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特許7107513メータボックス、及びメータボックス用扉の取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】メータボックス、及びメータボックス用扉の取付方法
(51)【国際特許分類】
   E05D 7/081 20060101AFI20220720BHJP
   E04F 17/08 20060101ALI20220720BHJP
   E04H 1/04 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
E05D7/081
E04F17/08 Z
E04H1/04 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022039217
(22)【出願日】2022-03-14
【審査請求日】2022-03-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521305310
【氏名又は名称】株式会社豊明
(73)【特許権者】
【識別番号】514138617
【氏名又は名称】イー・エル建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】岡本 高光
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 渉
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6553013(JP,B2)
【文献】特開2010-095933(JP,A)
【文献】特開2010-116667(JP,A)
【文献】実開昭55-97057(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00-9/00
E04H 1/04
E04F 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体に形成された空間における床面に対して垂直に延びる上方軸部材を有する第1上方ヒンジ部と、
前記上方軸部材の軸線上に配置された下方軸部材を有する第1下方ヒンジ部と、
前記第1上方ヒンジ部及び前記第1下方ヒンジ部が固定された第1扉であって、前記上方軸部材及び前記下方軸部材を中心に開閉する第1扉と、
前記第1上方ヒンジ部が固定された上方取付部材であって、前記空間における天井面に固定された上方取付部材と、
前記第1下方ヒンジ部が固定された下方取付部材であって、前記床面に固定された下方取付部材と、を備え、
前記上方取付部材は、前記下方取付部材と別個に構成されているとともに、前記下方取付部材から上方に離れて配置されており、
前記上方取付部材に固定された第2上方ヒンジ部と、
前記下方取付部材に固定された第2下方ヒンジ部と、
前記第2上方ヒンジ部及び前記第2下方ヒンジ部が固定された第2扉と、をさらに備え、
前記下方取付部材は、
前記床面に前記下方取付部材を固定させる固定部材が配置される下方固定孔が形成された下方固定部分と、
前記第1下方ヒンジ部が配置される第1下方ヒンジ孔と、前記第2下方ヒンジ部が配置される第2下方ヒンジ孔と、が形成された下方ヒンジ配置部分であって、前記下方固定部分に接続された下方ヒンジ配置部分と、を含み、
前記上方取付部材は、
前記天井面に前記上方取付部材を固定させる固定部材が配置される上方固定孔が形成された上方固定部分と、
前記第1上方ヒンジ部が配置される第1上方ヒンジ孔と、前記第2上方ヒンジ部が配置される第2上方ヒンジ孔と、が形成された上方ヒンジ配置部分であって、前記上方固定部分に接続された上方ヒンジ配置部分と、を含み、
前記第1扉は、前記第2扉とは反対側から前記第2扉側に向かって開き、
前記第2扉は、前記第1扉とは反対側から前記第1扉側に向かって開く、メータボックス。
【請求項2】
前記下方固定部分は、前記下方ヒンジ配置部分よりも後方に配置されている、請求項に記載のメータボックス。
【請求項3】
前記第1下方ヒンジ孔は、前記下方軸部材の軸線上に形成されている、請求項1または2に記載のメータボックス。
【請求項4】
前記上方取付部材は、前記下方取付部材と同一の形状を有する、請求項1~のいずれか1項に記載のメータボックス。
【請求項5】
建物躯体に形成された空間における床面に対して垂直に延びる上方軸部材を有する第1上方ヒンジ部と、
前記上方軸部材の軸線上に配置された下方軸部材を有する第1下方ヒンジ部と、
前記第1上方ヒンジ部及び前記第1下方ヒンジ部が固定された第1扉であって、前記上方軸部材及び前記下方軸部材を中心に開閉する第1扉と、
前記第1上方ヒンジ部が固定された上方取付部材であって、前記空間における天井面に固定された上方取付部材と、
前記第1下方ヒンジ部が固定された下方取付部材であって、前記床面に固定された下方取付部材と、を備え、
前記上方取付部材は、前記下方取付部材と別個に構成されているとともに、前記下方取付部材から上方に離れて配置されており、
前記下方取付部材は、
前記床面に前記下方取付部材を固定させる固定部材が配置される固定孔が形成された固定部分と、
前記第1下方ヒンジ部が配置されるヒンジ孔が形成されたヒンジ配置部分であって、前記固定部分に接続されたヒンジ配置部分と、を含み、
前記固定部分は、前記ヒンジ配置部分よりも後方に配置されており、
前記ヒンジ配置部分は、
前記固定部分から上方に延びる第1部分と、
前記第1部分から前方に延びる第2部分であって、前記ヒンジ孔が形成された第2部分と、を含み、
前記第2部分の前端は、前記床面から離れて配置されている、メータボックス。
【請求項6】
建物躯体に形成された空間に対するメータボックス用扉の取付方法であって、
下方取付部材を前記空間における床面に固定する下方取付工程と、
前記下方取付部材と別個に構成されている上方取付部材であって、前記下方取付部材とは別個に構成された上方取付部材を前記空間における天井面に固定する上方取付工程と、
前記下方取付工程及び前記上方取付工程の後に行われる第1扉取付工程であって、第1扉に固定された第1上方ヒンジ部を前記上方取付部材に取り付けるとともに、前記第1扉に固定された第1下方ヒンジ部を前記下方取付部材に取り付ける第1扉取付工程と、
前記下方取付工程及び前記上方取付工程の後に行われる第2扉取付工程であって、前記第1扉とは反対側から前記第1扉側に向かって開く第2扉に固定された第2上方ヒンジ部を前記上方取付部材に取り付けるとともに、前記第2扉に固定された第2下方ヒンジ部を前記下方取付部材に取り付ける第2扉取付工程と、を備え、
前記下方取付部材は、下方固定孔が形成された下方固定部分と、第1下方ヒンジ孔と第2下方ヒンジ孔とが形成された下方ヒンジ配置部分であって、前記下方固定部分に接続された下方ヒンジ配置部分と、を含み、
前記上方取付部材は、上方固定孔が形成された上方固定部分と、第1上方ヒンジ孔と第2上方ヒンジ孔とが形成された上方ヒンジ配置部分であって、前記上方固定部分に接続された上方ヒンジ配置部分と、を含み、
前記下方取付工程は、前記下方固定孔に固定部材を配置して前記床面に前記下方取付部材を固定させる工程を含み、
前記上方取付工程は、前記上方固定孔に固定部材を配置して前記天井面に前記上方取付部材を固定させる工程を含み、
前記第1扉取付工程は、前記第2扉とは反対側から前記第2扉側に向かって開く前記第1扉であって、前記第1扉に固定された前記第1下方ヒンジ部を前記第1下方ヒンジ孔に配置する工程と、前記第1扉に固定された前記第1上方ヒンジ部を前記第1上方ヒンジ孔に配置する工程と、を含み、
前記第2扉取付工程は、前記第2扉に固定された前記第2下方ヒンジ部を前記第2下方ヒンジ孔に配置する工程と、前記第2扉に固定された前記第2上方ヒンジ部を前記第2上方ヒンジ孔に配置する工程と、を含む、メータボックス用扉の取付方法。
【請求項7】
建物躯体に形成された空間に対するメータボックス用扉の取付方法であって、
下方取付部材を前記空間における床面に固定する下方取付工程と、
前記下方取付部材と別個に構成されている上方取付部材であって、前記下方取付部材とは別個に構成された上方取付部材を前記空間における天井面に固定する上方取付工程と、
前記下方取付工程及び前記上方取付工程の後に行われる第1扉取付工程であって、第1扉に固定された第1上方ヒンジ部を前記上方取付部材に取り付けるとともに、前記第1扉に固定された第1下方ヒンジ部を前記下方取付部材に取り付ける第1扉取付工程と、を備え、
前記下方取付部材は、固定孔が形成された固定部分と、ヒンジ孔が形成されたヒンジ配置部分であって、前記固定部分に接続されたヒンジ配置部分と、を含み、
前記ヒンジ配置部分は、前記固定部分から上方に延びる第1部分と、前記第1部分から前方に延びる第2部分であって、前記ヒンジ孔が形成された第2部分と、を含み、
前記下方取付工程は、前記固定部分を前記ヒンジ配置部分よりも後方に配置した状態で前記固定孔に固定部材を配置して、前記第2部分の前端が前記床面から離れた状態で前記下方取付部材を前記床面に配置する工程を含み、
前記第1扉取付工程は、前記第1扉に固定された前記第1下方ヒンジ部を前記ヒンジ孔に配置する工程を含む、メータボックス用扉の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メータボックス、及びメータボックス用扉の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物躯体に形成されたメータボックスが知られている。例えば、下記の特許文献1には、開き扉と、当該開き扉が開閉可能に当該開き扉を保持するフレーム体と、を備えたメータボックスが開示されている。
【0003】
特許文献1のメータボックスを建物躯体に形成するために、まず、建物躯体の床面にモルタルが配置される。そして、下部下地材がアンカーボルトによりモルタルを介して床面に固定される。また、上部下地材がアンカーボルトにより建物躯体の天井面に固定される。そして、フレーム体が下部下地材及び上部下地材に締結具により固定される。そして、開き扉が、フレーム体にヒンジを介して取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-95933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、建物躯体に形成された空間における床面と天井面との間の矩形状の開口部の寸法は、設計値に対する誤差が生じやすい。このため、開口部と枠形状を有するフレーム体との上下方向の寸法の差異を解消するために、上記特許文献1のような液状のモルタルが床面と下部下地材との間に配置される。モルタルを床面に配置する工程は、熟練度が高い職人が行う必要があり、熟練度が高い職人が少数しか居ない施工現場では、モルタルを床面に配置する工程に時間が多くかかってしまう。また、モルタルを乾燥させる工程が必要になるため、この点からも、フレーム体及び扉の取り付けにかかる時間が増大する。また、フレーム体を構成するために溶接作業が行われるが、溶接作業を行うための作業時間によって、メータボックスを形成する時間がさらに増大する。また、枠形状を有するフレーム体をメータボックスに設けるために、鉄材料が多く必要になる。このため、枠形状を有するフレーム体を製造するために排出される二酸化炭素の量が増大する。また、メータボックスの材料の輸送に伴う二酸化炭素の排出量も増大する。また、建築業界における部材の製造及び部材の輸送するための二酸化炭素の排出量は、全業界の中でも比較的大きく、地球環境保護(例えば、カーボンニュートラル)の観点から、建築業界における二酸化炭素の排出量の削減が望まれている。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑み、フレーム体が不要で、かつ、扉の取り付け時間を短縮することが可能なメータボックス、及びメータボックス用扉の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、第1の態様によるメータボックスは、
建物躯体に形成された空間における床面に対して垂直に延びる上方軸部材を有する第1上方ヒンジ部と、
前記上方軸部材の軸線上に配置された下方軸部材を有する第1下方ヒンジ部と、
前記第1上方ヒンジ部及び前記第1下方ヒンジ部が固定された第1扉であって、前記上方軸部材及び前記下方軸部材を中心に開閉する第1扉と、
前記第1上方ヒンジ部が固定された上方取付部材であって、前記空間における天井面に固定された上方取付部材と、
前記第1下方ヒンジ部が固定された下方取付部材であって、前記床面に固定された下方取付部材と、を備え、
前記上方取付部材は、前記下方取付部材と別個に構成されているとともに、前記下方取付部材から上方に離れて配置されている。
【0008】
また、第2の態様によるメータボックス用の取付方法は、
建物躯体に形成された空間に対するメータボックス用扉の取付方法であって、
下方取付部材を前記空間における床面に固定する下方取付工程と、
前記下方取付部材と別個に構成されている上方取付部材であって、前記下方取付部材とは別個に構成された上方取付部材を前記空間における天井面に固定する上方取付工程と、
前記下方取付工程及び前記上方取付工程の後に行われる第1扉取付工程であって、第1扉に固定された第1上方ヒンジ部を前記上方取付部材に取り付けるとともに、前記第1扉に固定された第1下方ヒンジ部を前記下方取付部材に取り付ける第1扉取付工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、上方取付部材と下方取付部材とが別個に離れて配置されているので、モルタル等の液体状の建築材料を用いることなく、上方取付部材と下方取付部材との間の距離を調整することができる。そして、上方取付部材と下方取付部材とに、第1上方ヒンジ部及び第1下方ヒンジ部を取り付ければ、第1上方ヒンジ部及び第1下方ヒンジ部を有する第1扉を、建物躯体に取り付けることができる。これらの結果、フレーム体が不要で、かつ、第1扉の取り付け時間を短縮することができる。また、枠形状を有するフレーム体を設ける必要がなくなるので、材料を削減することができる。このため、メータボックスの製造時に発生する二酸化炭素を削減することができるとともに、メータボックスの材料の輸送に伴う二酸化炭素の排出量も削減することができる。この結果、建築業界において本発明のメータボックスが広く用いられることにより、建築業界における二酸化炭素の排出量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態にかかるメータボックス100の配置位置を示す概要図である。
図2図2は、メータボックス100の扉ユニット30の正面図である。
図3図3は、図2のA1-A1線に沿った扉ユニット30の断面図である。
図4図4は、扉32を着脱する様子を説明するための図である。
図5図5は、図2のA2-A2線に沿った扉ユニット30の扉31及び扉32が閉じた状態の断面図である。
図6図6は、扉ユニット30の扉31及び扉32が開いた状態の断面図である。
図7図7は、下方取付部材42の平面図である。
図8図8は、扉閉まり規制部材70の平面図である。
図9図9は、扉開き規制部材80の構成を示す模式図である。
図10図10は、扉開き規制部材80により扉31の回動角度が規制される状態を説明するための図である。
図11図11は、扉ユニット30の建物躯体2に対する取付工程を示すフロー図である。
図12図12は、第2実施形態によるメータボックス200の構成を示す正面図である。
図13図13は、第2実施形態によるメータボックス200の構成を示す断面図である。
図14図14は、第1及び第2実施形態の第1変形例によるメータボックス300の構成を示す図である。
図15図15は、第1及び第2実施形態の第2変形例による上方取付部材441の構成を示す図である。
図16図16は、第1及び第2実施形態の第3変形例による上方取付部材541の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の一実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、図示した構成における各部材の寸法及び部材間の寸法比率は、必ずしも実際の寸法及び寸法比率を表すものではない。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかるメータボックス100の配置位置を示す概要図である。メータボックス100は、これに限られないが、例えば、集合住宅の廊下又は廊下に面した位置に配置されている。「集合住宅」は、これに限られないが、例えば、マンション、アパート、社宅、又は寮である。メータボックス100には、例えば、これに限られないが、ガスメータ、水道メータ、ガスの元栓、水道の元栓等の住宅の設備の一部又は計測器が配置されている。また、メータボックス100は、集合住宅の建物躯体2内(例えば、建物躯体2に形成された空間)に形成される。
【0013】
図1に示すように、集合住宅では、例えば、住宅が、廊下に沿って(X方向に)並んで配置されている。ここで、X方向とは、住宅が並ぶ方向を意味するものとし、Z方向は、上下方向を意味するものとし、Y方向は、X方向に垂直で、かつ、Z方向に垂直な方向(メータボックス100の奥行方向)を意味するものとする。
【0014】
ここで、図1に示すように、複数の住宅がX方向に並んで配置されている。複数の住宅のうちの隣り合う住宅を、第1住宅1a、及び第2住宅1bとする。第1住宅1aの玄関11aは、玄関11aから廊下へ出る方向(Y1方向)に向かって左手側から開かれる。第2住宅1bの玄関11bは、玄関11bから廊下へ出る方向(Y1方向)に向かって右手側から開かれる。
【0015】
そして、玄関11aから住民が廊下へ出た場合、メータボックス100が配置されている。すなわち、左手側から玄関11aを開いてすぐの位置(玄関11aの近傍の位置)に、メータボックス100が配置されている。また、玄関11bから住民が廊下へ出た場合、右手側にメータボックス100が配置されている。すなわち、右手側から玄関11bを開いてすぐの位置(玄関11bの近傍の位置)に、メータボックス100が配置されている。すなわち、メータボックス100は、第1住宅1aの玄関11aと、第2住宅1bの玄関11bとの間に配置されている。この構成によれば、住民が玄関から外に出てすぐに自身が使用するメータボックス100に辿り着くことができる。
【0016】
(メータボックスの全体構成)
メータボックス100は、第1住宅1aの住民及び第2住宅1bの住民により利用される。すなわち、図示は省略するが、メータボックス100の内部に、第1住宅1aのガスメータ、水道メータ、ガスの元栓、水道の元栓等の住宅の設備の一部又は計測器、及び、第2住宅1bのガスメータ、水道メータ、ガスの元栓、水道の元栓等の住宅の設備の一部又は計測器が配置されている。また、図示は省略するが、メータボックス100の内部に、第1住宅1a用の設備が収容される部分と、第2住宅1b用の設備が収容される部分とを隔てる隔壁が設けられていても良い。
【0017】
(扉ユニット30の構成)
図1に示すように、メータボックス100は、扉ユニット30を含む。図2は、メータボックス100の扉ユニット30の正面図である。図2に示すように、集合住宅の建物躯体2における空間には、Y2方向に見て(正面視において)、天井面2aと、床面2bと、2つの壁面2cとにより矩形状の開口部2dが形成されている。扉ユニット30は、建物躯体2の開口部2dに配置されている。扉ユニット30は、第1住宅1a側(X2方向)の扉31と、第2住宅1b側(X1方向)の扉32と、上方取付部材41及び下方取付部材42とを含む。また、図2に示すように、扉ユニット30と天井面2aとの間、扉ユニット30と床面2bとの間に、それぞれ、通気用の隙間CLが設けられている。これにより、メータボックス100内に、ガス給湯器等の換気が必要な機器が配置される場合でも、通気用の隙間により換気することが可能となる。
【0018】
(扉の構成)
図3は、図2のA1-A1線に沿った扉ユニット30の断面図である。図4は、扉32を着脱する様子を説明するための図である。図5は、図2のA2-A2線に沿った扉ユニット30の扉31及び扉32が閉じた状態の断面図である。図6は、扉ユニット30の扉31及び扉32が開いた状態の断面図である。
【0019】
図2に示すように、扉31及び扉32には、それぞれ、ヒンジ部51及び52が固定されている。図3に示すように、扉32は、ヒンジ部51の軸部材51a、及び、ヒンジ部52の軸部材52aを中心に回動する。軸部材52aは、軸部材51aの軸線C1上に配置されている。なお、図示を省略するが、扉31は、ヒンジ部51の軸部材51a、及び、ヒンジ部52の軸部材52aを中心に回動する。
【0020】
また、図5に示すように、扉31及び扉32は、それぞれ、レバーハンドル33aとラッチ33bとを含む。図2に示すように、正面視において、上方取付部材41及び下方取付部材42は、紙面左右方向において、扉ユニット30の中央部に配置されている。扉31のレバーハンドル33aは、上方取付部材41及び下方取付部材42よりもX2方向に配置されており、扉32のレバーハンドル33aは、上方取付部材41及び下方取付部材42よりもX1方向に配置されている。これにより、図6に示すように、扉31は、X2方向側から開き、扉32は、扉31が開く方向とは逆方向のX1方向側から開く。すなわち、扉31及び扉32は、バタフライ式の扉である。
【0021】
また、図5に示すように、扉閉まり規制部材70が壁面2cに固定部材60により固定されている。固定部材60は、例えば、アンカーボルトである。扉閉まり規制部材70は、固定部材60が配置された第1部分70aと、平面視で第1部分70aに対して直交して延びる第2部分70bとを含む。第2部分70bは、ラッチ33bが係合するラッチ受けとして機能するとともに、扉31のクッション材33c又は扉32のクッション材33cが当接することにより、扉31及び扉32の位置を規制する規制部材として機能する。ラッチ33bは、第2部分70bに係合した状態と、第2部分70bから解放された状態とを、レバーハンドル33aが操作されることによって切り替えられるように構成されている。なお、図示しないが、扉31及び32には、鍵を用いて施錠した状態と開錠した状態とが切り替えられるドアロックが設けられていても良い。
【0022】
また、扉31は、扉31が閉じた状態でXZ平面に広がるように形成された扉本体31aと、ヒンジ部52が固定されている位置からX1方向に扉本体31aから延びる突出部31bと、壁面2cよりもX2方向に扉本体31aから延びる突出部31cとを含む。また、扉32は、扉32が閉じた状態でXZ平面に広がるように形成された扉本体32aと、ヒンジ部52が固定されている位置からX2方向に扉本体32aから延びる突出部32bと、壁面2cよりもX1方向に扉本体32aから延びる突出部32cとを含む。建物躯体2のY1方向の前面21と2つの壁面2cとのそれぞれの接続部分には、Y2方向に窪む段差部21aが形成されている。突出部31cは、X2方向の前面21に形成された段差部21aに嵌るように配置されており、突出部32cは、X1方向の前面21に形成された段差部21aに嵌るように配置されている。
【0023】
(ヒンジ部の構成)
図3に示すように、ヒンジ部51は、床面2bに対して垂直な軸線C1上で延びる軸部材51aを有する。また、ヒンジ部52は、軸線C1上で延びる軸部材52aを有する。なお、図3では、扉32に設けられたヒンジ部51及び52の例を示しているが、扉31に設けられたヒンジ部51及び52は、扉32に設けられたヒンジ部51及び52と同様の構成のため、図示を省略する。ヒンジ部51は、締結部材51b(例えば、ボルト又はリベット)により扉32の上端32dの近傍に固定されている。そして、軸部材51aは、上端32dから上方に突出している。また、軸部材51aは、上方取付部材41のヒンジ孔41aaに嵌っている。ヒンジ部52は、締結部材52b(例えば、ボルト又はリベット)により扉32の下端32eの近傍に固定されている。そして、軸部材52aは、下端32eから下方に突出している。また、軸部材52aは、下方取付部材42のヒンジ孔42aaに嵌っている。
【0024】
図4に示すように、ヒンジ部51は、軸部材51aの位置を変更するレバー51cを含む。例えば、レバー51cが下方に引き下げされると、軸部材51aの位置が下がり、上端32dから突出しないでヒンジ孔41aaに嵌らない状態となる。この状態にすることによって、扉32の着脱が可能となる。なお、ヒンジ部52に、軸部材52aの位置を変更するレバーが設けられていてもよい。
【0025】
(下方取付部材及び上方取付部材の構成)
図3に示すように、上方取付部材41は、下方取付部材42と別個に構成されているとともに、下方取付部材42から上方に離れて配置されている。すなわち、メータボックス100には、上方取付部材41と下方取付部材42とを接続する柱部材、及びフレーム体のいずれもが設けられていない。この構成によれば、モルタル等の液体状の建築材料を用いることなく、上方取付部材41と下方取付部材42との間の距離を調整することができる。そして、上方取付部材41と下方取付部材42とに、ヒンジ部51及び52を取り付ければ、ヒンジ部51及び52を有する扉31を、建物躯体2に取り付けることができる。これらの結果、フレーム体を設けることなく、かつ、扉31の取り付け時間を短縮することができる。また、枠形状を有するフレーム体を設ける必要がなくなるので、メータボックス100の材料を削減することができる。このため、メータボックス100の製造時における二酸化炭素の排出量を削減することができる。また、メータボックス100の重量を小さくすることができるので、輸送時における二酸化炭素の排出量を削減することができる。この結果、上記の構成が建築業界において広く用いられることにより、建築業界における二酸化炭素の排出量を削減することができる。
【0026】
また、図3に示すように、下方取付部材42は、床面2bに下方取付部材42を固定させる固定部材60(例えば、アンカーボルト)が配置される固定孔42baが形成された固定部分42bと、軸部材52aが配置されるヒンジ孔42aaが形成されたヒンジ配置部分42aとを含む。ヒンジ配置部分42aは、固定部分42bに接続されている。また、上方取付部材41は、天井面2aに上方取付部材41を固定させる固定部材60(例えば、アンカーボルト)が配置される固定孔41baが形成された固定部分41bと、軸部材51aが配置されるヒンジ孔41aaが形成されたヒンジ配置部分41aとを含む。ヒンジ配置部分42aは、固定部分42bに接続されている。例えば、下方取付部材42及び上方取付部材41は、それぞれ、全体が一体的に形成されている。例えば、下方取付部材42及び上方取付部材41は、それぞれ、鋳造により全体が一体的に形成されている。また、下方取付部材42及び上方取付部材41は、それぞれ、1枚の板金(金属板)が曲げ加工されることにより形成されてもよいし、鍛造により成型されてもよい。
【0027】
また、ヒンジ配置部分42aは、X2方向に見て、上方に窪むU字状に形成されている。U字状のヒンジ配置部分42aの底部に、ヒンジ孔42aaが形成されている。すなわち、ヒンジ配置部分42aは、固定部分42bから上方に延びる第1部分と、第1部分から前方に延びる第2部分であって、ヒンジ孔42aaが形成された第2部分と、を含む。また、ヒンジ孔42aaは、軸部材52aの軸線C1上に形成されている。そして、軸部材52aがヒンジ孔42aaに配置されている。また、ヒンジ配置部分41aは、X2方向に見て、下方に窪むU字状に形成されている。U字状のヒンジ配置部分41aの底部に、ヒンジ孔41aaが形成されている。また、ヒンジ孔41aaは、軸部材51aの軸線C1上に形成されている。また、軸部材51aがヒンジ孔41aaに配置されている。また、ヒンジ配置部分42aのうちの前方下端部42abは、床面2bから離れて配置されている。前方下端部42abは、第2部分の前端である。また、ヒンジ配置部分41aのうちの前方下端部41abは、天井面2aから離れて配置されている。これにより、床面2b上にシート又はカーペット等の部材を配置する場合に、前方下端部42abと床面2bとの隙間にシート又はカーペット等の部材を配置することができる。
【0028】
固定部分42bは、ヒンジ配置部分42aよりも後方(Y2方向)に配置されている。また、固定部分41bは、ヒンジ配置部分41aよりも後方(Y2方向)に配置されている。これにより、固定部分41b及び42bが扉31よりも前方に突出せず、正面から視認されにくくなる。この結果、メータボックス100の意匠性が向上する。
【0029】
図7は、下方取付部材42の平面図である。第1実施形態では、上方取付部材41は、下方取付部材42と同一の形状を有する。この構成によれば、上方取付部材41と下方取付部材42との部品形状が共通化されるので、部品の種類を削減することができる。なお、以下の説明では、下方取付部材42の構成を説明し、上方取付部材41の説明を省略する。
【0030】
図7に示すように、ヒンジ孔42aaは、例えば、真円状に形成されている。また、1つの下方取付部材42に、扉31用のヒンジ孔42aaと、扉32用のヒンジ孔42aaとが設けられている。これにより、下方取付部材42に扉31及び32を固定することができるので、扉ごとに下方取付部材42を設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。また、固定孔42baは、複数(例えば、2つ)設けられている。2つの固定孔42baのうちの一方は、メータボックス100の奥行方向に長軸を有する長円形状を有し、2つの固定孔42baのうちの他方は、メータボックス100の左右方向に長軸を有する長円形状を有する。これにより、下方取付部材42を床面2bに固定する際に、位置調整が可能となる。また、下方取付部材42には、凹部42cが設けられている。凹部42cは、ヒンジ配置部分42aと固定部分42bとの接続部分における左右方向の中央部に形成され、下方に窪んでいる。凹部42cにより、ヒンジ配置部分42aと固定部分42bとの接続部分の機械的強度が向上する。また、図3に示すように、上方取付部材41は、板部材41dを介して天井面2aに固定されている。また、下方取付部材42は、板部材42dを介して床面2bに固定されている。なお、図3の例に限られず、上方取付部材41は、直接天井面2aに固定されてもよいし、下方取付部材42は、床面2bに直接固定されてもよい。
【0031】
(扉閉まり規制部材の構成)
図8は、扉閉まり規制部材70の平面図である。メータボックス100には、複数の扉閉まり規制部材70が設けられている。図5に示すように、扉閉まり規制部材70は、扉31又は扉32に当接することにより、メータボックス100内に扉31又は扉32が進入するのを規制する。図5に示すように、扉閉まり規制部材70は、例えば、L字状の断面を有する。図8に示すように、複数の扉閉まり規制部材70は、壁面2cに等間隔で配置されている。図8では、扉閉まり規制部材70を6つ図示しているが、6つ以外の数であってもよい。
【0032】
(扉開き規制部材の構成)
図9は、扉開き規制部材80の構成を示す模式図である。図10は、扉開き規制部材80により扉31の回動角度が規制される状態を説明するための図である。図9及び図10に示すように、メータボックス100は、扉開き規制部材80を含む。扉開き規制部材80は、例えば、天井面2aに固定されている。扉開き規制部材80は、ワイヤ81を含む。また、扉31の背面には、ワイヤ固定部材82が設けられている。ワイヤ81は、ワイヤ固定部材82に固定されている。ワイヤ81は、扉31の回動角度が所定の角度になると、突っ張った状態となり、扉31の回動角度が所定の角度を超えるのを規制する。なお、図示しないが、扉32に対しても、扉開き規制部材80が設けられており、扉32の回動角度が所定の角度を超えることが規制されている。
【0033】
[扉ユニットの取付方法]
図11を参照して、扉ユニット30の建物躯体2に対する取付方法について説明する。図11は、扉ユニット30の建物躯体2に対する取付工程を示すフロー図である。
【0034】
ステップS1において、下方取付部材42が床面2bに固定される。例えば、図4に示すように、下方取付部材42の固定孔42baに固定部材60(例えば、アンカーボルト)が配置されることにより、下方取付部材42が床面2bに固定される。
【0035】
ステップS2において、上方取付部材41が天井面2aに固定される。例えば、図4に示すように、上方取付部材41の固定孔41baに固定部材60(例えば、アンカーボルト)が配置されることにより、上方取付部材41が天井面2aに固定される。
【0036】
ステップS3において、扉閉まり規制部材70が壁面2cに固定される。例えば、図8に示すように、複数の扉閉まり規制部材70が、互いに間隔をあけて配置される。
【0037】
ステップS4において、扉31が下方取付部材42及び上方取付部材41に取り付けられる。例えば、図4に示す扉32の例と同様に、扉31の軸部材52aが下方取付部材42のヒンジ孔42aaに固定される(嵌められる)。そして、軸部材51aが扉31の上端から突出していない状態で、下方取付部材42と上方取付部材41との間に扉31が配置される。そして、レバー51cが操作されることにより、図3に示すように、軸部材51aが扉31の上端から突出し、軸部材51aが上方取付部材41のヒンジ孔41aaに嵌る。これにより、扉31が回動可能な状態で、扉31が下方取付部材42及び上方取付部材41に固定される。
【0038】
ステップS5において、扉32が下方取付部材42及び上方取付部材41に取り付けられる。扉32の下方取付部材42及び上方取付部材41に対する取り付け方法は、上記扉31の下方取付部材42及び上方取付部材41に対する取り付け方法と同様である。
【0039】
ステップS6において、扉開き規制部材80が、天井面2aと扉31及び扉32のそれぞれに固定される。例えば、まず、扉開き規制部材80が、天井面2aに固定される。そして、図9に示すように、扉開き規制部材80のワイヤ81が、扉31のワイヤ固定部材82に固定される。扉開き規制部材80のワイヤ81が、扉32のワイヤ固定部材82に固定される。この結果、扉ユニット30が建物躯体2に取り付けられ、メータボックス100が完成する。この取付方法によれば、上方取付部材41と下方取付部材42とが別個に構成されているので、ステップS2が終了した時点で、モルタル等の液体状の建築材料を用いることなく、上方取付部材41と下方取付部材42との間の距離が調整された状態となる。そして、ステップS4を行えば、ヒンジ部51及び52を有する扉31を、建物躯体2に取り付けることができるので、フレーム体を設けることなく、かつ、扉31の取り付け時間を短縮することができる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、図12及び図13を参照して、第2実施形態によるメータボックス200の構成について説明する。図12は、第2実施形態によるメータボックス200の構成を示す正面図である。図13は、第2実施形態によるメータボックス200の構成を示す断面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図12に示すように、第2実施形態によるメータボックス200には、扉31及び扉32が設けられていた第1実施形態と異なり、1つの扉231が配置されている。また、扉231のX2方向側には、パネル232が配置されている。パネル232は、メータボックス200の正面の一部を構成する。図13に示すように、パネル232は、固定部材260によって建物躯体2に固定されている。固定部材260は、例えば、アンカーボルトである。また、扉231及びパネル232には、それぞれ、ヒンジ部51及び52が設けられている。ヒンジ部51は、上方取付部材41に固定されており、ヒンジ部52は、下方取付部材42に固定されている。すなわち、第1実施形態と同様のヒンジ部51及び51と、上方取付部材41と、下方取付部材42と、を用いて、1つの扉231を有するメータボックス200を構成することが可能である。なお、第2実施形態のその他の構成、取付方法、及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0042】
[変形例]
上記実施形態に例示した具体例は、あくまでも一例であって、本開示をこれに限定する趣旨ではない。
【0043】
(1)上記第1及び第2実施形態では、上方取付部材及び下方取付部材の各々に、2つの固定孔と2つのヒンジ孔とを設ける例を示したが、本開示は、これに限られない。例えば、上方取付部材及び下方取付部材の各々に、1つの固定孔と1つのヒンジ孔のみを設けてもよい。すなわち、扉ごとに、上方取付部材及び下方取付部材をそれぞれ、設けてもよい。
【0044】
(2)上記第1及び第2実施形態では、ヒンジ部の軸部材が下方取付部材のヒンジ孔に直接嵌ることにより、ヒンジ部が下方取付部材に固定される例を示したが、本開示は、これに限られない。例えば、図14に示す第1変形例のメータボックス300のように、下方取付部材342に対して、締結部材360(例えば、ボルト又はリベット)によって、ヒンジ部352が固定されてもよい。例えば、第1変形例のメータボックス300のヒンジ部352は、軸部材352aが板部材352bにより覆われた、隠し蝶番である。下方取付部材342は、固定孔342baを有する固定部分342bと、ヒンジ部352が固定されたヒンジ配置部分342aとを含む。ヒンジ配置部分342aには、軸部材352aと直交する方向でかつ扉331又は332と平行な方向にヒンジ孔342aaが設けられている。ヒンジ孔342aaに締結部材360が配置されることにより、板部材352bとヒンジ配置部分342aとが固定されている。また、ヒンジ配置部分342aと固定部分342bとは、締結部材360により固定されている。
【0045】
(3)上記第1及び第2実施形態では、上方取付部材及び下方取付部材を、それぞれ、全体として一体的に形成する例を示したが、本開示はこれに限られない。図14に示す第1変形例の下方取付部材342、及び図15に示す第2変形例の上方取付部材441のように、固定部分342b(441b)と、ヒンジ配置部分342a(441a)とが、別個の部材により形成されてもよい。例えば、上方取付部材441の固定部分441bと、ヒンジ配置部分441aとは、締結部材460(例えば、ボルト又はリベット)によって、互いに固定されている。また、図16に示す第3変形例の上方取付部材541のように、1つの固定部分541bと、複数(図16では2つ)のヒンジ配置部分541a及び541cとが、締結部材560(例えば、ボルト又はリベット)によって、互いに固定されていてもよい。
【0046】
(4)上記第1及び第2実施形態では、固定部分がヒンジ配置部分よりも後方に配置される例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、固定部分がヒンジ配置部分よりも前方、左方向、又は右方向のいずれかに配置されていてもよい。
【0047】
(5)上記第1及び第2実施形態では、ヒンジ配置部分のうちの前方下端部が床面から離れて配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、前方下端部が床面に接触していてもよい。
【0048】
(6)上記第1及び第2実施形態では、上方取付部材を下方取付部材と同一の形状に構成する例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、上方取付部材と下方取付部材とが、互いに異なる形状を有していてもよい。
【0049】
(7)上記第1及び第2実施形態では、給湯器への給気または給湯器からの排気を行うための開口が扉に設けられていない例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、扉に、給湯器への給気または給湯器からの排気を行うための開口が設けられていてもよい。
【0050】
(8)上記第1及び第2実施形態では、扉ユニットの取付工程の例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、ステップS2の後にステップS1が実施されてもよいし、ステップS5の後にステップS4が実施されてもよいし、ステップS3がステップS1の前又はステップS6の後に実施されてもよい。
【0051】
なお、本開示は以下のように説明することもできる。
【0052】
[第1の構成]
第1の構成に係るメータボックスは、建物躯体に形成された空間における床面に対して垂直に延びる上方軸部材を有する第1上方ヒンジ部と、上方軸部材の軸線上に配置された下方軸部材を有する第1下方ヒンジ部と、第1上方ヒンジ部及び第1下方ヒンジ部が固定された第1扉であって、上方軸部材及び下方軸部材を中心に開閉する第1扉と、第1上方ヒンジ部が固定された上方取付部材であって、空間における天井面に固定された上方取付部材と、第1下方ヒンジ部が固定された下方取付部材であって、床面に固定された下方取付部材と、を備え、上方取付部材は、下方取付部材と別個に構成されているとともに、下方取付部材から上方に離れて配置されている。
【0053】
上記第1の構成によれば、上方取付部材と下方取付部材とが別個に離れて配置されているので、モルタル等の液体状の建築材料を用いることなく、上方取付部材と下方取付部材との間の距離を調整することができる。そして、上方取付部材と下方取付部材とに、第1上方ヒンジ部及び第1下方ヒンジ部を取り付ければ、第1上方ヒンジ部及び第1下方ヒンジ部を有する第1扉を、建物躯体に取り付けることができる。これらの結果、フレーム体が不要で、かつ、第1扉の取り付け時間を短縮することができる。また、枠形状を有するフレーム体を設ける必要がなくなるので、材料を削減することができる。このため、メータボックスの製造時に発生する二酸化炭素を削減することができるとともに、メータボックスの材料の輸送に伴う二酸化炭素の排出量も削減することができる。この結果、建築業界において本発明のメータボックスが広く用いられることにより、建築業界における二酸化炭素の排出量を削減することができる。
【0054】
[第2の構成]
第1の構成において、上方取付部材に固定された第2上方ヒンジ部と、下方取付部材に固定された第2下方ヒンジ部と、第2上方ヒンジ部及び第2下方ヒンジ部が固定された第2扉と、をさらに備えてもよい。
【0055】
上記第2の構成によれば、上方取付部材及び下方取付部材に2つの扉(第1扉及び第2扉)を固定することができるので、扉ごとに上方取付部材及び下方取付部材をそれぞれ設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0056】
[第3の構成]
第2の構成において、第1扉は、正面視において、上方取付部材及び下方取付部材に対して第1方向側から開くように構成されてもよく、第2扉は、正面視において、上方取付部材及び下方取付部材に対して第1方向とは逆方向である第2方向側から開くように構成されてもよい。
【0057】
上記第3の構成によれば、第1扉と第2扉とを、いわゆるバタフライ状に開閉することができるので、第1上方ヒンジ部と第2上方ヒンジ部とを近接して配置することができるとともに、第1下方ヒンジ部と第2下方ヒンジ部とを近接して配置することができる。この結果、上方取付部材及び下方取付部材を小型化することができる。
【0058】
[第4の構成]
第1~第3の構成のいずれかにおいて、下方取付部材は、床面に下方取付部材を固定させるアンカーが配置される固定孔が形成された固定部分と、第1下方ヒンジ部が配置されるヒンジ孔が形成されたヒンジ配置部分であって、固定部分に接続されたヒンジ配置部分と、を含んでもよい。
【0059】
上記第4の構成によれば、固定孔にアンカーを配置することで、下方取付部材を容易に床面に固定することができるとともに、ヒンジ孔に第1下方ヒンジ部を配置すれば、下方取付部材に第1扉を容易に下方取付部材に固定することができる。
【0060】
[第5の構成]
第4の構成において、固定部分は、ヒンジ配置部分よりも後方に配置されていてもよい。
【0061】
上記第5の構成によれば、固定部分が第1扉よりも前方に突出せず、正面から視認されにくくなる。この結果、メータボックスの意匠性が向上する。
【0062】
[第6の構成]
第5の構成において、ヒンジ配置部分のうちの前方下端部は、床面から離れて配置されていてもよい。
【0063】
上記第6の構成によれば、床面上にシート又はカーペット等の部材を配置する場合に、前方下端部と床面との隙間にシート又はカーペット等の部材を配置することができる。
【0064】
[第7の構成]
第4~第6の構成のいずれかにおいて、ヒンジ孔は、下方軸部材の軸線上に形成されていてもよい。
【0065】
上記第7の構成によれば、ヒンジ孔に第1下方ヒンジ部が乗るように、第1扉を配置すれば、第1扉を下方取付部材に容易に取り付けることができる。
【0066】
[第8の構成]
第1~第7の構成のいずれかにおいて、上方取付部材は、下方取付部材と同一の形状を有してもよい。
【0067】
上記第8の構成によれば、上方取付部材と下方取付部材との部品形状が共通化されるので、部品の種類を削減することができる。
【0068】
[第9の構成]
第9の構成に係るメータボックス用扉の取付方法は、建物躯体に形成された空間に対するメータボックス用扉の取付方法であって、下方取付部材を空間における床面に固定する下方取付工程と、下方取付部材と別個に構成されている上方取付部材であって、下方取付部材とは別個に構成された上方取付部材を空間における天井面に固定する上方取付工程と、下方取付工程及び上方取付工程の後に行われる第1扉取付工程であって、第1扉に固定された第1上方ヒンジ部を上方取付部材に取り付けるとともに、第1扉に固定された第1下方ヒンジ部を下方取付部材に取り付ける第1扉取付工程と、を備える。
【0069】
上記第9の構成によれば、上方取付部材と下方取付部材とが別個に構成されているので、下方取付工程及び上方取付工程が終了した時点で、モルタル等の液体状の建築材料を用いることなく、上方取付部材と下方取付部材との間の距離が調整された状態となる。そして、第1扉取付工程を行えば、第1上方ヒンジ部及び第1下方ヒンジ部を有する第1扉を、建物躯体に取り付けることができるので、フレーム体が不要で、かつ、第1扉の取り付け時間を短縮することができる。
【0070】
[第10の構成]
第9の構成において、下方取付工程及び上方取付工程の後に行われる第2扉取付工程であって、第2扉に固定された第2上方ヒンジ部を上方取付部材に取り付けるとともに、第2扉に固定された第2下方ヒンジ部を下方取付部材に取り付ける第2扉取付工程を、さらに備えてもよい。
【0071】
上記第10の構成によれば、上方取付部材に2つの扉(第1扉及び第2扉)を固定することができるので、扉ごとに上方取付部材を設ける場合に比べて、取付工程数を削減することができる。
【符号の説明】
【0072】
2…建物躯体、2a…天井面、2b…床面、2c…壁面、30…扉ユニット、31‥扉、32…扉、41…上方取付部材、41a…ヒンジ配置部分、41aa…ヒンジ孔、41ab…前方下端部、41b…固定部分、41ba…固定孔、42…下方取付部材、42a…ヒンジ配置部分、42aa…ヒンジ孔、42ab…前方下端部、42b…固定部分、42ba…固定孔、51…ヒンジ部、51a…軸部材、52…ヒンジ部、52a…軸部材、60…固定部材、100…メータボックス、200…メータボックス、231…扉、260…固定部材、300…メータボックス、331…扉、342…下方取付部材、342a…ヒンジ配置部分、342aa…ヒンジ孔、342b…固定部分、342ba…固定孔、352…ヒンジ部、352a…軸部材、441…上方取付部材、441a…ヒンジ配置部分、441b…固定部分、460…締結部材、541…上方取付部材、541a…ヒンジ配置部分、541b…固定部分、560…締結部材、C1…軸線
【要約】
【課題】フレーム体が不要で、かつ、扉の取り付け時間を短縮することが可能なメータボックス、及びメータボックス用扉の取付方法を提供する。
【解決手段】メータボックス100は、床面2bに対して垂直に延びる軸部材51aを有するヒンジ部51と、軸部材52aを有するヒンジ部52と、ヒンジ部51及び52
が固定された扉32であって、軸部材51a及び52aを中心に開閉する扉32と、ヒンジ部51aが固定され天井面2aに固定された上方取付部材41と、ヒンジ部52が固定され床面2bに固定された下方取付部材42と、を備える。上方取付部材41は、下方取付部材42と別個に構成されているとともに、下方取付部材42から上方に離れて配置されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16