IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吾妻製作所の特許一覧

<>
  • 特許-幕状標識 図1
  • 特許-幕状標識 図2
  • 特許-幕状標識 図3
  • 特許-幕状標識 図4
  • 特許-幕状標識 図5
  • 特許-幕状標識 図6
  • 特許-幕状標識 図7
  • 特許-幕状標識 図8
  • 特許-幕状標識 図9
  • 特許-幕状標識 図10
  • 特許-幕状標識 図11
  • 特許-幕状標識 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】幕状標識
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/608 20160101AFI20220720BHJP
   E01F 9/615 20160101ALI20220720BHJP
   G09F 15/00 20060101ALI20220720BHJP
   G09F 13/16 20060101ALI20220720BHJP
   G09F 19/22 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
E01F9/608
E01F9/615
G09F15/00 F
G09F13/16 F
G09F19/22 P
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018086666
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019190199
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】391013531
【氏名又は名称】株式会社吾妻製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 清貴
(72)【発明者】
【氏名】秋本 裕司
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-094321(JP,A)
【文献】特開2003-239232(JP,A)
【文献】実開平02-146689(JP,U)
【文献】特開2007-127915(JP,A)
【文献】実開昭49-132638(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0113105(US,A1)
【文献】特開2016-118057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/608
E01F 9/615
G09F 15/00
G09F 13/16
G09F 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に間隙を存して立設されるポールに設けられる幕状標識であって、
該幕状標識は、左右に間隙を存して立設する複数のポールに取付けられる保持体と、該保持体間に横断状に設けられ、ポールに対して着脱自在に取付けられるシート体とを備え、
該保持体には、左右方向外側方に向けて延出する連結部が設けられ、
該連結部は保持体の前後にそれぞれ設けられ、シート体は、前側連結部同士、後側連結部同士にそれぞれ連結されることで、前後に間隙を存する状態で一対が平行状に設けられていることを特徴とする幕状標識。
【請求項2】
左右方向に間隙を存して立設されるポールに設けられる幕状標識であって、
該幕状標識は、左右に間隙を存して立設する複数のポールに取付けられる保持体と、該保持体間に横断状に設けられ、ポールに対して着脱自在に取付けられるシート体とを備え、
該保持体には、
ポールを上下方向に長く覆う前後面材と、
前後面材の左右両側部に左右方向外側方に向けて延出し、前記シート体と連結する連結部と
が設けられていることを特徴とする幕状標識。
【請求項3】
保持体の前後面材には、再帰性反射シートが取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の幕状標識。
【請求項4】
ート体は、左右両端部が連結部に着脱自在に連結されることで横断状に設けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の幕状標識。
【請求項5】
連結部は、保持体に対して左右方向両外側方に向けて延出されており、シート体は、任意の保持体と、該任意の保持体に隣接する左右の保持体とのあいだに横断状に設けられていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1記載の幕状標識。
【請求項6】
シート体はメッシュ状であり、該シート体には、文字、図柄等の表示部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1記載の幕状標識。
【請求項7】
表示部の表面は、反射面で構成されていることを特徴とする請求項記載の幕状標識。
【請求項8】
表示部のシート体取付け面は、シート体と同系統の色に設定されていることを特徴とする請求項6又は7記載の幕状標識。
【請求項9】
シート体は、3本以上のポールに設けられた保持体に連続して設けられるよう長尺になっていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1記載の幕状標識。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に備えられるポール式視線誘導標等のポールに装着される幕状標識に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、車線分離、車歩道分離などの目的で道路にポール式視線誘導標が設置されている。これらポール式視線誘導標は、外周面に再帰性反射シートなどを貼着することで良好な視認性が確保さており、ゼブラゾーン(導流帯)の境界や中央線等、道路に沿って複数本が所定間隔を存した状態で設置することで、高い視線誘導機能を発揮している。また、ポール式視線誘導標を、高速道路等の出入り口付近に複数本並べて設置して、注意喚起するという役割も果たしている。
しかしながら、天候や時間帯、道路状況等によっては、これら視線誘導標が十分に視認できなかったり、また、視線誘導標間には間隙があるため誤認してしまったりするという惧れがあり、視線誘導標間に面発光手段を備えた中間部材を配するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-232890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1の中間部材は、中間部材内に光源を配して発光させたり、視線誘導標の光源を導光して発光させたりすることで、該中間部材が面発光することとなって視認性を向上するようにしたものであるが、運転者への注意喚起メッセージや進行方向等を表示することは考慮されておらず、また、前記中間部材は固定的に取付けられるものであって、交換等のメンテナンス性に劣るという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑み上記の課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、左右方向に間隙を存して立設されるポールに設けられる幕状標識であって、該幕状標識は、左右に間隙を存して立設する複数のポールに取付けられる保持体と、該保持体間に横断状に設けられ、ポールに対して着脱自在に取付けられるシート体とを備え、該保持体には、左右方向外側方に向けて延出する連結部が設けられ、該連結部は保持体の前後にそれぞれ設けられ、シート体は、前側連結部同士、後側連結部同士にそれぞれ連結されることで、前後に間隙を存する状態で一対が平行状に設けられていることを特徴とする幕状標識である。
請求項2の発明は、左右方向に間隙を存して立設されるポールに設けられる幕状標識であって、該幕状標識は、左右に間隙を存して立設する複数のポールに取付けられる保持体と、該保持体間に横断状に設けられ、ポールに対して着脱自在に取付けられるシート体とを備え、該保持体には、ポールを上下方向に長く覆う前後面材と、前後面材の左右両側部に左右方向外側方に向けて延出し、前記シート体と連結する連結部とが設けられていることを特徴とする幕状標識である。
請求項3の発明は、保持体の前後面材には、再帰性反射シートが取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の幕状標識である。
請求項の発明は、ート体は、左右両端部が連結部に着脱自在に連結されることで横断状に設けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の幕状標識である。
請求項の発明は、連結部は、保持体に対して左右方向両外側方に向けて延出されており、シート体は、任意の保持体と、該任意の保持体に隣接する左右の保持体とのあいだに横断状に設けられていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1記載の幕状標識である。
請求項6の発明は、シート体はメッシュ状であり、該シート体には、文字、図柄等の表示部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1記載の幕状標識である。
請求項の発明は、表示部の表面は、反射面で構成されていることを特徴とする請求項記載の幕状標識である。
請求項の発明は、表示部のシート体取付け面は、シート体と同系統の色に設定されていることを特徴とする請求項6又は7記載の幕状標識である。
請求項の発明は、シート体は、3本以上のポールに設けられた保持体に連続して設けられるよう長尺になっていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1記載の幕状標識である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、ポールに対してシート体を簡単に取付け、さらには交換することができ、設置性、メンテナンス性に優れた幕状標識とすることができる。さらに、保持体の前後面にそれぞれシート体を取り付けることができ、前後の両面側について視認性の優れたものとすることができる。
請求項2の発明とすることにより、ポールに対してシート体を簡単に取付け、さらには交換することができ、設置性、メンテナンス性に優れた幕状標識とすることができる。さらに、保持体がポールを覆うことができるため、ポールの劣化を防ぐことができる。
請求項3の発明とすることにより、再帰性反射シートを取り付けることで、保持体の視認性を高めると共に、より効率的に注意喚起をすることができる。
請求項の発明とすることにより、ポール間の空隙に横断状に幕状標識を取り付けることができて、視認性の優れたものとすることができる。
請求項の発明とすることにより、保持体の連結部が左右両外側方に向けて延出されているため、左右方向に連続した状態でシート体を取り付けることができ、任意の長さの幕状標識とすることができる。
請求項の発明とすることにより、シート体がメッシュ状であるため、耐久性、耐候性、通気性の優れたものとすることができ、さらに、シート体に表示部を設けることで、注意喚起等の表示をすることができる。
請求項の発明とすることにより、表示部が反射面で構成されることで、夜間や悪天候時など、視界が良好でない場合でも、視認性の高いものとすることができる。
請求項の発明とすることにより、表裏反対側面の表示部が視認されにくくなって、注意喚起等の内容が誤認されてしまう惧れを防ぐことができる。
請求項の発明とすることにより、設置性、メンテナンス性の優れた幕状標識とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(A)(B)は、幕状標識の正面図、背面図である。
図2】幕状標識の斜視図である。
図3】(A)(B)(C)は、中間保持体の正面図、平面図、一部拡大平面図である。
図4】(A)(B)は、端部保持体の正面図、平面図である。
図5】(A)(B)は、シート体の正面図、底面図である。
図6】(A)(B)(C)は、幕状標識の要部を示す平面図、正面図、側面図である。
図7】第二の実施の形態を示すものであって、(A)は幕状標識の正面図、(B)は保持体の縦断面図、(C)は、シート体の正面図である。
図8】第三の実施の形態を示すものであって、(A)は幕状標識の正面図、(B)は保持体の正面図、(C)はシート体の背面図である。
図9】第四の実施の形態を示すものであって、(A)(B)は幕状標識の斜視図である。
図10】第五の実施の形態を示すものであって、(A)(B)は幕状標識の斜視図、平面図である。
図11】第六の実施の形態を示すものであって、(A)(B)は幕状標識の平面図、正面図である。
図12】第七の実施の形態を示すものであって、(A)(B)は幕状標識の斜視図、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は幕状標識であって、該幕状標識1は、左右方向に間隔(間隙)を存して立設されるポールP間に設けられるものである。そして、該幕状標識1は、左右に間隙を存して立設する複数のポールPに取付けられる保持体2と、該保持体2間に横断状に設けられるシート体3とを備えたものとして構成される。
なお、本実施の形態において、ポールPは、ポール式の視線誘導標であるとして説明するが、これに限らず、車線分離標や車歩道分離標など、種々のポール、標柱を本発明のポールとして採用することができる。また、該保持体2、シート体3は、耐久性、耐候性に優れたターポリン素材を用いているが、これに限定されるものではない。
【0009】
図3、4に示すように、保持体2(2a、2b)は、上下方向が長尺状の長方形をした前面材4、後面材5を備えており、該前後面材4、5には、ポールPよりも左右方向に幅広となるように左右方向外側方に向けて延出する連結部4a、5aが形成されている。
なお、前面材4、後面材5は、二枚のシート材(本実施の形態においては、ターポリン素材)を貼り合わせたものとして構成されるが、内部に上下方向に長尺状をした薄い板状の芯材4b、5bを備えた状態で貼り合わせており、これによって強度、耐久性の良いものなっている。一方、連結部4a、5a部位には前記芯材は備えられておらず可撓性をゆうするものになっているため、風圧等による揺れへの対応、カーブや傾斜等の道路形状への対応が可能になっている。
さらに図3(C)に示すように、前後面材4、5だけでなく、連結部4a、5aにも芯材4c、5cを組み込むことができ、この場合、前後面材の芯材4b、5bと連結部の芯材4c、5cとの間を離間させたもの(該離間部4d、5dはシート材だけのもの)としておけば、該連結部4a、5aの強度がよいものとなり、しかも、該離間部4d、5dで折曲可能となって前記揺れや道路形状への対応が可能となる。
そして、該連結部4a、5aには、後述するシート体3を着脱自在に連結するための連結部材(本実施の形態ではスナップボタンが採用されているが、後述するように面ファスナー、結束バンド等、適宜の連結部材を必要において採用することができる。)6が前後方向外面側に向けて上下に所定間隔を存して取り付けられている。
さらに、保持体2には、前後面材4、5間を架け渡す左右面材7、8が備えられており、該前後面材4、5、左右面材7、8によって上下方向に長い角筒形状のものとして形成され、その筒内部は、ポールPを外嵌状に挿通させる挿通部9となっている。なお、該挿通部9の内側面には、保持体2を任意の位置でポールPに取り付けるための取付け材(本実施の形態においては両面粘着テープが採用されているが、保持体2をポールPに取り付けるものであれば接着剤等、適宜の取付け材を採用することができる。)10が設けられていて、これによってポールPに保持体2が外嵌固定されることになる。
【0010】
また、前後面材4、5には、前後方向外面に、上下方向全長に亘って再帰性反射シート11、12が取り付けられている(取り付け手段としては、接着剤によるもの、両面粘着テープによるもの、縫合によるもの等、適宜の手段を採用することができる。)が、前後面材4、5に用いる再帰性反射シート11、12の色や形状を異ならしめることで、前後の混同を生じにくくすることができる。また、前後面材4、5には文字や図、記号、絵柄等の任意の表示をすることも可能である。さらに本実施の形態では、再帰性反射シート11、12は、前後面部4、5に設けたものとして実施しているが、必要において連結部4a、5aにまで至るように設けても良い。
なお保持体2としては、図3に示すように、左右両側にシート体3が取り付けられる中間部の保持体2aと、図4に示すように、幕状標識1の左右端に位置していて、左右何れか一方にシート体3が取り付けられる端部の保持体2bとがあり、該端部保持体2bについては、シート体3が取り付けられない側を連結部材6のないものとすることができ、また中間部保持体2aと端部保持体2bとを同じ形状として兼用化を図るものとした場合、図4に示すように、連結部材6に相当する部位にまで再帰性反射シート11、12を取り付ける構成とすることで視認性の向上が図れることになる。
【0011】
次に、シート体3について説明する。図5に示すように、シート体3は左右方向に長い長方形状をしていて、本体部13、該本体部13の左右両端に設けられる左右側部14、15で構成される。
本体部13は、本実施の形態ではメッシュ状のターポリン素材を用いており、これによって、耐候性・耐久性と共に通気性をよいものとすることができるが、これに限定されるものではなく、通気性は劣るがメッシュ地ではないものを採用することもでき、前記横断状に設けられるシート素材であれば、素材に限定されるものではない。
また、本体部13の上下端部13a、13bは、それぞれ、折り返した状態で一体的に止着(例えば熱融着や接着)されており、これによって、耐久性がさらによいものとなっている。
【0012】
そして、本体部13には、任意の文字、図、記号、絵柄等の視覚認識ができる表示部16を設けることができるが、本実施の形態において表示部16は、表面16aが再帰性反射素材でできたシール材について、これを打ち抜きしたものを採用しているが、該表示部16の裏面(シート体3への取り付け面)16bはシート体本体部13と同系統の色(本実施の形態においては何れも白色となっているが、例えば本体部13については白色、表示部16の裏面については灰色(薄い色ほど好ましい。)となっていて、後述するように、前後一対のシート体3を平行状に設けた場合に、前後方向一方側のシート体3を通して(透かして)反対側のシート体3の裏面を見たとき、前後シート体3の表裏面が同色であった場合のように前後のシート体3が重なり合ったものとして視認されて認識しづらいものになってしまうことを回避する配慮がなされている。そして表示部16の本体部13への取り付けについても、粘着、接着、融着、縫合等、適宜の取り付け手段を採用することができる。
なお、シート体本体部13に表示部16を設けない構成としてもよく、この場合であっても、後述するようにシート体3がポールP(保持体2)間に横断状に配されるため、視線誘導や車線分離等の効果を十分に発揮することができる。
【0013】
また、前記左右側部14、15には、前述した保持体2と連結するため、保持体2の連結部材6に対応する連結部材17が前後方向裏面側(内面側)に上下に所定間隔を存して取り付けられている。
なお、左右側部14、15は、本実施の形態においては本体部13の上下方向全長に亘って設けられているが、シート体3の取り付け状態に支障がないものであれば、例えば、本体部13の上下端部に相当する部位のみとすることもできる。
【0014】
また、図5(B)において仮想線で示すように、シート体表面13cの表示部16と対称形状の表示部(色はシート体本体部13と同色系であることが好ましい。)16cをシート体裏面13dに取り付けることもできる。このようにすることで、シート体表裏面13c、13dから表示部16、16cが取り付けられることになって、前記取り付け面16bへゴミや埃等が付着したりするのを防ぐことができ、表示部16の耐久性アップと裏面側からの視認性の維持を図ることができると共に、表裏の表示部16、16c同士をシート体3を挟んで互いに粘着できることになって、一体化の向上を図ることができる。
【0015】
このように構成された保持体2とシート体3をポールPに取り付けるが、まず、間隔を存した状態で立設されているポールPに保持体2を外嵌させる。このとき、挿通部9に設けた取付け材10を用いて、ポールPに保持体2を止着させる。次に、シート体3を保持体2に連結することになるが、左右に隣接する保持体2のあいだにシート体3を配した状態で、該シート体3を、対応する連結部4a(5a)の連結部材6、左右側部14、15の連結部材17同士を突き合わせた状態で連結することでポールPに対して着脱自在に連結されることになり、その作業を前後のシート体3に対して行うことで、前後に間隙を存する状態で一対のシート体3が平行状に設けられることになり、幕状標識1となる。これを左右方向に連続させることで、任意の幅の幕状標識1とすることができる。
なお、図面において、保持体2、シート体3、表示部16等に適宜の厚みをもたせているが、これは図面上で表現しやすくするための厚みであって、実際の厚みとは異なるものである。
【0016】
叙述のごとく形成された本実施の形態において、左右方向に間隔を存して立設されるポールPに設けられる幕状標識1は、左右方向に間隙を存して立設される複数のポールPに取付けられる保持体2と、該保持体2間に横断状に設けられるシート体3とを備え、該シート体3は、ポールPに対して着脱自在に取付けられる構成とすることで、シート体3の交換がしやすくメンテナンス性に優れたものとすることができる。そしてこのようにすることで、ポールP間を横断するものであって、視認性に優れたシート体3を、該ポールPを有効に利用して簡単に取付けることができる。また、このようにポールP(保持体2)間にシート体3を横断状に設けた幕状標識1とすることで、視線誘導や車線分離、車歩道分離等の効果をアップさせることができる。
さらに保持体2には、左右方向外側方に向けて延出する連結部4a(5a)が設けられ、シート体3は、左右両端部(左右側部)14、15が連結部4a(5a)に着脱自在に連結されることで横断状に設けられ、これによって、保持体2はポールPに保持させたまま、シート体3のみを適宜交換することができる。
また、連結部は保持体の前後にそれぞれ設けられ(前側の連結部4a、後側の連結部5a)、シート体は3、前側連結部4a同士、後側連結部5a同士にそれぞれ連結されることで、前後に間隙を存する状態で一対が平行状に設けられるため、前後両面に、別表示のシート体3をそれぞれ配することができて、必要において各面に対応した幕状標識1とすることができる。
さらにまた、中間部保持体2aの連結部4a、5aは、保持体2に対して左右方向両外側方に向けて延出されており、シート体3は、任意の保持体2aと、該任意の保持体に隣接する左右の保持体2(2a、2b)とのあいだに横断状に設けられるため、左右方向に連続して意味のある内容を表示するシート体3を、遠方からの視認性も確保される大きな寸法の表示をするものとして配することができる。
【0017】
そして、シート体3をメッシュ状のものとすることで、耐久性、耐候性、通気性の優れたものであると共に、該シート体3に、文字、図柄等の表示部16を取り付けることで、注意喚起等の様々な表示をすることができる。
また、表示部16の表面16aは、反射面(再帰性反射シート)で構成されているため、夜間や悪天候等で視界が良好でない場合でも、視認性の良いものとすることができる。一方、表示部16のシート体取付け面16bは、シート体と同系統の色(本実施の形態においては両者ともに白色)に設定されていることで、反対面側の表示部16が視認されにくく、対面側の表示部16の表示のみが適切に視認できるようになっている。
さらに、保持体2は、ポールPを上下方向に長く覆う状態で前後面材4、5を備えると共に、連結部4a、5aは、前後面材4、5の左右両側部位に設けられる構成とすることで、保持体2でポールPを覆うことができるため、ポールPの劣化を防ぐことができる。また、このような該前後板面部4、5に再帰性反射シート11、12を取り付けることで、保持体2の視認性を向上すると共に注意喚起もより明確にすることができる。
【0018】
そして、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、以下の構成のようにすることもできる。なお、前記第一の実施の形態と同様の構成ものについては、同じ名称、同じ番号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に示す第二の実施の形態では、連結部材として、面ファスナーを採用している。保持体20(20a、20b)の連結部21の内面側(ポール側)に上下方向全長に亘るよう長尺状の面ファスナー(連結部材)22を設けると共に、シート体23の左右側部23aの外面側(道路側)に上下方向全長に亘るよう長尺状の面ファスナー(連結部材)24を設けている。そして、シート体23を内面側から保持体20に宛がった状態で、保持体20、シート体23の対応する面ファスナー22、24同士を連結することで、幕状標識となる。
また、本実施の形態において、保持体連結部21に設ける面ファスナー22を、シート体左右側部23aの面ファスナー24よりも幅広のものとしているが、これによって、保持体20とシート体23を連結する際の連結代の役割を果たし、左右幅方向の調整が任意にできるため、ポールPの設置間隔や道路状況などによって生じる惧れのあるシート体23の撓みを吸収した取り付けができることになって不用意に弛んだりすることを防ぐことができる。
なお、面ファスナー22、24は上下方向全長に亘って設けるだけでなく、上下端部位のみ、或いは任意の複数か所に点在させる等の任意の取り付け構成とすることができることは言うまでもない。
【0019】
また、図8に示す第三の実施の形態のように、連結部材として、面ファスナーと共に結束バンド32を採用する構成とすることもできる。この第三の実施の形態では、保持体25(25a、25b)の連結部26は、中間部が左右方向外方に向けて突出した凸部26aを有する凸型形状をしている。そして、該連結部26の外面側(道路側)の中間部には面ファスナー27が設けられるが、該面ファスナー27は、連結部26の左右方向内側端から該連結部の凸部26aに至るまで取り付けられている。さらに、該連結部26の上下端部位には連結孔26bが形成されている。
一方、シート体28は、左右側部29が、保持体連結部26に対応する部位に左右方向外方に向けて突出した凸部29aを有する凸型形状をしたものとなっている。そして、左右側部29の内面側(ポール側)の中間部に面ファスナー30が設けられるが、該面ファスナー30は、左右側部29の左右方向内側端から該凸部29aに至るまで取り付けられている。さらに、左右側部29の上下端部位には連結孔31が形成されている。
なお、連結孔26b、31は、ハトメ加工等の破損防止処理がされており、孔部分の強度をよいものとしている。
そして、このような保持体25にシート体28を取り付けて幕状標識とするためには、まず、シート体28を保持体25の外面側から宛がって面ファスナー27、30同士で連結し、その後、連結孔26b、31間を結束バンド32で結合することになり、このように結束バンド32を用いることで、保持体25とシート体28との連結がさらに確実なものとすることができる。
また、面ファスナー26、30は左右方向に幅があるため、第二の実施の形態のものと同様、連結シロの役割を果たすことができる。
【0020】
なお、第一、第三の形態においては、シート体3、28を保持体2、25に外面側から宛がっているが、第二の実施の形態のように内面側から宛がうことも可能であり、設置場所の状況等において、適宜選択することができる。
また、シート本体のメッシュについては、第一の実施の形態のように斜め交差としても、第二、第三の実施の形態のように縦横交差としてもよく、また、六角形状等、通気性が確保できるものであれば任意のものを採用できることは言うまでもない。さらに、シート本体として、パンチングシートを用いることもできる。
【0021】
さらに、図9に示す第四の実施の形態のように、前面(一面)だけの幕状標識とすることができる。このものは、シート体3は第一の実施の形態と同様のものを採用している。一方、保持体33について、前面材4は前記実施の形態と同様の構成であるが、後面材は設けられておらず、該前面材4に筒材33aが後面(ポール側面)側から取り付けられていて、これによって挿通孔34が形成されている。そして、該挿通孔34をポールPに外嵌固定した状態とし、前面材4にシート体3を取り付けることができる。
なお、筒材33aは前面材4と同長さのものを採用しているが、これに限らず、上下端に相当する部位のみとしてもよく、また、筒材33aの代わりに、結束バンド等によって保持体33(前面材4)をポールPに固定する構成とすることもできる。
【0022】
また、図10に示す第五の実施の形態のようにすることもできる。このものにおいて、保持体35は、前面材36、後面材37が中央に筒部38、左右に翼部39を存した状態で接続したものとなっていて、さらに、該翼部39の左右外端が連結部40となっていて、前後方向中間部位でシート体3を連結することができる構成となっている。
一方、シート体3は第一の実施の形態と同様のものを採用しており、シート本体部13の表裏面13c、13dに表示部41を設けることで一枚のシート体3で前後(表裏)それぞれに表示をすることができる。
なお、表示部41について、シート表裏面13c、13dで同じ形状(対称形状)のものとすることで反対側面に表示が影響してしまうのを防ぐことができ、例えば、文字等の表示41aの周りに余白41bを設け、表裏面13c、13dから貼り合わせることが考えられる。
【0023】
さらにまた、図11に示す第六の実施の形態のようにすることもできる。このものは、保持体42は、前後左右面材42a、42b、42c、42dによって、筒状の挿通部42eを構成し、取付け材(図示していないが、第一の実施の形態と同様のものが採用できる。)によって、ポールPを外嵌固定する。そして、前後面材42a、42bには、後述するシート体43を取り付けるための連結部材42fが設けられている。
一方、シート体43は、左右方向に長尺状の本体43aを用いており、該本体43aは、本実施の形態ではポールP相当位置43bには再帰性反射シート等のポール用表示部43cが設けられ、また、ポールP間には注意喚起等の表示部43dが設けられると共に、ポール相当位置43bの裏面(ポール側面)には、前記保持体42の連結部材42fに対応する連結部材43e設けられているが、これに限定されないことは勿論であって、例えば、表示部をポールP相当部位にまで至らしたものであってもよい。
そして、ポールPに外嵌固定された複数の保持体42に一枚のシート体43を対向させて、両連結部材42f、43e同士で連結する。
このように構成することで、シート体43が一枚のものとなって、部品点数が削減されて、取付け、取り外しにかかる作業時間を短縮することができる。
【0024】
さらにまた、図12に示す第七の実施の形態のようにすることもできる。この第七の実施の形態の幕状標識は、第五の実施の形態と同様、前後方向中間部位でシート体44を配したものであるが、左右方向に連続して設けるものではなく、2本のポールP間に設けるものである。そして、保持体45は、一枚の面材46を用いており、中間部で筒状部46aを存するように折り返して両側部46b、46cを貼り合わせるようにすることもできる。このものは、該両側部46b、46cが翼部であり、該両側部46b、46cの左右両端が連結部47となっていて、前後方向中間部位でシート体44の連結部44aと連結することができるものである。
なお、図12に示すように、シート体44のサイズは、適宜のサイズのものを用いることができ、例えば、ポールP間隔や表示部44bで表示する文字数等によって幅を変えたり、ポールP長さの半分の長さにしてポールPの上半部のみや中間部のみにシート体44を配するようにする等が考えられる(他すべての実施の形態において、同様である。)。
【0025】
なお、上記各実施の形態では、直線的にポールPが配置された場合について説明したが、カーブやコーナー等、道路の形状に応じて種々の角度で設置することも可能である。
また、ポールPの設置間隔が狭い等の場合は、全てのポールPに保持体を取り付ける必要はなく、例えば、ポール一本おきに保持体を取り付け、隣り合う保持体同士の間にシート体を配するようにすることも可能である。
さらにまた、表示部について、シール材等の別部材をシート体に取り付けるだけでなく、シート体自体に文字や図柄等を印刷して表示部とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、道路に備えられるポール式視線誘導標等のポールに装着される幕状標識として利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 幕状標識
2 保持体
3 シート体
4 前面材
4a 連結部
5 後面材
5a 連結部
11、12 再帰性反射シート
13 本体部
14 左側部
15 右側部
16 表示部
P ポール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12