(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】包装用紙袋容器の封緘装置及び封緘方法
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20220720BHJP
B65B 7/02 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
B65B51/10 P
B65B7/02 Z
(21)【出願番号】P 2019080032
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2019-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】599176698
【氏名又は名称】ニューロング工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100119312
【氏名又は名称】清水 栄松
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207653
【氏名又は名称】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】市川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】田口 太
(72)【発明者】
【氏名】満田 賢城
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-028034(JP,A)
【文献】特開2002-332013(JP,A)
【文献】米国特許第04758107(US,A)
【文献】特開2002-104326(JP,A)
【文献】特開2001-018930(JP,A)
【文献】実開昭58-167009(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
B65B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填した包装用紙袋容器を立てた状態で搬送する搬送コンベア装置と、
前記包装用紙袋容器を挟持するニップ装置と、
前記包装用紙袋容器の開口部を封緘する開口部封緘装置と、を備える封緘装置であって、
前記ニップ装置は、前記包装用紙袋容器を水平方向に挟持する左側のタイミングベルトと右側のタイミングベルトからなる一対のタイミングベルトと、前記左側のタイミングベルトをガイドする複数の左側のガイドロールと、前記右側のタイミングベルトをガイドする複数の右側のガイドロールと、を備え、
前記左側のガイドロールと前記右側のガイドロールの何れか一方が移動可能であり他方が固定され、移動可能な前記左側のガイドロール又は前記右側のガイドロールが固定された前記右側のガイドロール又は前記左側のガイドロール側に付勢され、
前記左側のタイミングベルト又は前記右側のタイミングベルトが、前記移動可能な前記左側のガイドロール又は前記右側のガイドロールにより前記包装用紙袋容器を挟持する方向に付勢され、
前記タイミングベルトは無端環状に形成され、前記タイミングベルトの内面部には、周方向に並列する複数の歯部と前記周方向に延びる溝部が形成され、前記タイミングベルトの外面部は平坦に形成され、
前記ガイドロールには、外側に突出した凸部が形成され、
前記溝部に前記凸部が配置され、
前記開口部封緘装置がそれぞれ異なる封緘工程を行う複数の装置により構成され、
前記左側のガイドロールと前記右側のガイドロールが前記開口部封緘装置による全封緘工程に配置されていることを特徴とする包装用紙袋容器の封緘装置。
【請求項2】
内容物を充填した包装用紙袋容器を立てた状態で搬送コンベア装置に載置すると共に、前記包装用紙袋容器を無端環状の左側のタイミングベルトと無端環状の右側のタイミングベルトからなる一対のタイミングベルトで水平方向に挟持して開口部封緘装置内を搬送し、前記包装用紙袋容器の開口部を封緘する封緘方法であって、
前記左側のタイミングベルトを複数の左側のガイドロールでガイドし、前記右側のタイミングベルトを複数の右側のガイドロールでガイドし、
前記タイミングベルトの内面部には、周方向に並列する複数の歯部と、前記周方向に延びる溝部と、が形成され、前記タイミングベルトの外面部は平坦に形成され、
回動可能な前記ガイドロールに突出して形成された凸部を前記溝部に配置し、
前記左側のガイドロールと前記右側のガイドロールの何れか一方を移動可能とし他方を固定し、移動可能な前記左側のガイドロール又は前記右側のガイドロールを固定された前記右側のガイドロール又は前記左側のガイドロール側に付勢し、
前記左側のタイミングベルト又は前記右側のタイミングベルトが、前記移動可能な前記左側のガイドロール又は前記右側のガイドロールにより前記包装用紙袋容器を挟持する方向に付勢され、
前記開口部封緘装置がそれぞれ異なる封緘工程を行う複数の装置により構成され、
前記左側のガイドロールと前記右側のガイドロールが前記開口部封緘装置による全封緘工程に配置されていることを特徴とする包装用紙袋容器の封緘方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用紙袋容器の封緘装置及び封緘方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装用の紙袋であるクラフト紙袋は、クラフト原紙を1層又は多層として製袋したものである。また、最内層にポリフィルムやラミネートフィルム及び強化クラフト紙等を用いたものもある。包装用の紙袋容器は、クラフト原紙を筒状としたチューブ本体の少なくとも一端部を封緘した片底袋と、下端開口部及び上端開口部である開口部の両方を封緘した両底ばり袋がある。
【0003】
紙袋の口部を封緘する装置として、特許文献1に記載の袋口部自動封緘装置が知られている。この袋口部自動封緘装置は、ベルトコンベヤ装置に載置された紙袋の口部を両側から一対のエンドレスベルトにより挟み、口部の扁平状態を維持し得るようにすると共に紙袋の口部が安定して正確な経路を通るようにしたものである。この一対のエンドレスベルトは離型紙除去位置における短区間だけに設置されている。また、エンドレスベルトは、始端側及び終端側にそれぞれプーリ(駆動用プーリ)が回転可能に設置されている。
【0004】
また、コンベヤーに載置され、充填袋の上側の袋口を一対の挟持ベルトによって挟持し、順次給送する充填袋口閉鎖装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この一対の挟持ベルトは、充填袋の上側の袋口の部分を挟持し、ミシン手前に配置された一対の案内板へ案内するものであり、ミシン縫製される際は、袋口は案内板により密着状態に閉鎖される。
【0005】
また、筒状の袋素材の底部となる端部を折り曲げ、シールする底部融着部を備えた袋端部シール装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。この袋端部シール装置は、載置台に載せた袋素材を移送ベルトにより移送すると共に、底部融着部に設けられた上下一対の無端チェーンコンベアにより底部を挟持し移送するようになっている。
【0006】
このように、紙袋容器の開口部の封緘装置は、紙袋容器をコンベアに載置して搬送すると共に、コンベアと等速で移動する挟持装置により紙袋容器の開口部を挟持し封緘を行う。紙袋容器の開口部を挟持する挟持部材として、特許文献1の一対のエンドレスベルト、特許文献2の一対の挟持ベルト、特許文献3の一対の無端チェーンコンベアがあり、その他、内曲りローラチェーン、Vベルト、平ベルト、タイミングベルト等を用いたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-332013号公報
【文献】実開平3-117606号公報
【文献】実開昭58-167009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のエンドレスベルト、特許文献2の挟持ベルト、その他Vベルトや平ベルトを使用した場合には、長時間の使用又は季節による環境(温度・湿度)変化により、ベルト張力が緩みベルトと駆動プーリにスリップが発生して不安定なベルト走行となり、紙袋の搬送のタイミングにズレ・誤差が生じて搬送が不安定となり封緘成形不良の問題があった。
【0009】
特許文献3の無端チェーンコンベアや、
図17に示す内曲りローラチェーンを使用した場合には、ローラチェーンのブッシュに回転が生じることから、摩擦を吸収するために定期的な給油が必要であり、給油した油が製品である紙袋に飛散(落下)して不良品となる場合があった。また、長期間の使用によるローラチェーンのピンとブッシュの摺動面の摩耗により、隙間ができて送袋間隔ピッチ(ローラチェーンピッチ間×リンク数)の伸びが大きくなり、一定間隔での紙袋容器の搬送に誤差が生じることにより、封緘成形不良となる場合があった。また、内曲りローラチェーンで搬送する紙袋容器の挿入口は、紙袋容器がスムーズに挿入される様に傾斜を設けているが、内曲りローラチェーンと搬送する紙袋容器が接触するアタッチメント面には若干の隙間があり、内曲りローラチェーンの隙間に搬送する紙袋容器が食い込んだり、ローラチェーンの弛みや、関連する送袋装置の搬送速度との同期誤差(ズレ)が発生して、内曲りローラチェーンのアタッチメントの隙間に紙袋容器が食い込むことにより紙袋容器に傷が付いて不良品となる場合があった。また、内曲りローラチェーンの材質は鋼材のため、長期間使用していると錆びる欠点があり、運転操業中にローラチェーンからの錆び(鉄粉)が紙袋容器に付着して、不良品扱いとなるという問題があった。また、紙袋容器の底部を封緘する前工程での内層シール装置では、熱シールバーの側面近くに配設された内曲りローラチェーンが加熱され、紙袋容器の内側が疑似溶着状態となり、紙袋容器の内容量不足や、強度不足により充填物が漏れる虞れがあった。また、内曲りローラチェーンの加熱・冷却の繰り返しによる伸び及び錆びが増長されるという問題があった。また、ローラチェーンは定期的な張ましなどのメンテナスを怠ると、騒音が大きくなるなど、早期損傷トラブルの原因になっていた。
【0010】
タイミングベルトでの紙袋容器の搬送は、駆動用タイミングプーリの他に、紙袋容器を挟持して搬送するタイミングベルトの位置決め用タイミングプーリを複数使用することでスリップすることなく紙袋を搬送することができるが、位置決め用タイミングプーリに取り付けたタイミングベルトの蛇行防止のフランジがタイミングベルトの外径寸法より大きくなっているため、そのまま使用すると搬送する紙袋にフランジが接触し、紙袋容器に筋状の傷が付き不良品となってしまう。そのため、フランジ外径寸法をタイミングベルト外径より若干小径に削って使用しているが、タイミングベルトの張力の緩み等でタイミングベルトがタイミングプーリより脱落して蛇行することがあり、そのような場合には、製袋装置を一時停止する必要があるため生産性の低下を招いていた。また、タイミングベルトの両側に駆動用タイミングプーリを設け、位置決め用タイミングプーリを使用しない場合には、紙袋容器をタイミングベルトでニップして搬送すると、高速運転のとき駆動用タイミングプーリの送りピッチによる影響で振動が発生するという問題があった。
【0011】
また、一般的に吸湿を嫌う内容物(食品、化学薬品等)を充填する紙袋容器の場合、紙袋容器の最内層にポリフィルム又はラミネートフィルムを用い、開口部の全幅に亘り所定のシール幅(7mm~12mm程度)で熱シールをして封緘している。紙袋容器の搬送速度にバラツキが発生すると、熱シール時の熱伝達が不均一となり、封緘シールのバラツキが発生して封緘不良となってしまう。また、紙袋容器の底部を封緘する補強紙(クレープテープ)をミシン縫いする際に紙袋の搬送速度にバラツキが発生すると、補強紙(クレープテープ)の長さにバラツキが発生し、封緘強度不足となり、物流搬送過程で破袋して充填した内容物が漏れる虞もある。さらに、熱シール及びミシン縫い後に封緘部の強度アップと密封性の向上を目的として、封緘部をオーバテープで覆う場合に、紙袋容器の搬送速度にバラツキが発生すると、オーバテープの切断長及び接着強度にバラツキが発生し、内容物が漏れる危険性がある。そのため、搬送手段は前後する作業工程に支障がないように連続又は等間隔で断続に正確な搬送が要求されている。
【0012】
そこで、本発明は以上の問題点を解決し、紙袋に傷や汚れを付けることなく、所定の速度で紙袋容器を搬送し、開口部や底部を封緘する封緘装置及び封緘方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る包装用紙袋容器の封緘装置は、内容物を充填した包装用紙袋容器を立てた状態で搬送する搬送コンベア装置と、前記包装用紙袋容器を挟持するニップ装置と、前記包装用紙袋容器の開口部を封緘する開口部封緘装置と、を備える封緘装置であって、前記ニップ装置は、前記包装用紙袋容器を水平方向に挟持する左側のタイミングベルトと右側のタイミングベルトからなる一対のタイミングベルトと、前記左側のタイミングベルトをガイドする複数の左側のガイドロールと、前記右側のタイミングベルトをガイドする複数の右側のガイドロールと、を備え、前記左側のガイドロールと前記右側のガイドロールの何れか一方が移動可能であり他方が固定され、移動可能な前記左側のガイドロール又は前記右側のガイドロールが固定された前記右側のガイドロール又は前記左側のガイドロール側に付勢され、前記左側のタイミングベルト又は前記右側のタイミングベルトが、前記移動可能な前記左側のガイドロール又は前記右側のガイドロールにより前記包装用紙袋容器を挟持する方向に付勢され、前記タイミングベルトは無端環状に形成され、前記タイミングベルトの内面部には、周方向に並列する複数の歯部と前記周方向に延びる溝部が形成され、前記タイミングベルトの外面部は平坦に形成され、前記ガイドロールには、外側に突出した凸部が形成され、前記溝部に前記凸部が配置され、前記開口部封緘装置がそれぞれ異なる封緘工程を行う複数の装置により構成され、前記左側のガイドロールと前記右側のガイドロールが前記開口部封緘装置による全封緘工程に配置されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る包装用紙袋容器の封緘方法は、内容物を充填した包装用紙袋容器を立てた状態で搬送コンベア装置に載置すると共に、前記包装用紙袋容器を無端環状の左側のタイミングベルトと無端環状の右側のタイミングベルトからなる一対のタイミングベルトで水平方向に挟持して開口部封緘装置内を搬送し、前記包装用紙袋容器の開口部を封緘する封緘方法であって、前記左側のタイミングベルトを複数の左側のガイドロールでガイドし、前記右側のタイミングベルトを複数の右側のガイドロールでガイドし、前記タイミングベルトの内面部には、周方向に並列する複数の歯部と、前記周方向に延びる溝部と、が形成され、前記タイミングベルトの外面部は平坦に形成され、回動可能な前記ガイドロールに突出して形成された凸部を前記溝部に配置し、前記左側のガイドロールと前記右側のガイドロールの何れか一方を移動可能とし他方を固定し、移動可能な前記左側のガイドロール又は前記右側のガイドロールを固定された前記右側のガイドロール又は前記左側のガイドロール側に付勢し、前記左側のタイミングベルト又は前記右側のタイミングベルトが、前記移動可能な前記左側のガイドロール又は前記右側のガイドロールにより前記包装用紙袋容器を挟持する方向に付勢され、前記開口部封緘装置がそれぞれ異なる封緘工程を行う複数の装置により構成され、前記左側のガイドロールと前記右側のガイドロールが前記開口部封緘装置による全封緘工程に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、搬送速度にバラつきが生じることなく包装用紙袋容器を搬送し、上端部(開口部)や下端部(底部)を封緘することができる。また、包装用紙袋容器に搬送による傷や汚れが付くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】実施例1のガイドロールユニットを示す平面図である。
【
図5】実施例1及び実施例2のタイミングベルトを示す斜視図である。
【
図6】実施例1のオーバテープ装置内の重包装紙袋の挟持状態を示す縦断面図である。
【
図7】実施例1のトリーミング装置を示す斜視図である。
【
図8】実施例1の内層シール装置を示す斜視図である。
【
図10】実施例1のオーバテープ装置及びカッター装置を示す斜視図である。
【
図11】実施例2の底部封緘装置の構成を示す略図である。
【
図12】実施例2の封緘の仕様が異なる4種の重包装紙袋と、底部封緘装置を構成する各装置の一覧表である。
【
図13】実施例2の内層シール装置を示す平面図である。
【
図14】実施例2の内層シール装置を示す正面図である。
【
図15】実施例2のニップ装置及びシール装置を示す縦断面図である。
【
図16】実施例2のガイドロールユニットを示す背面図である。
【
図17】従来例の内曲りローラチェーンによる紙袋の挟持状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について、添付の
図1~
図16を参照して説明する。以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0020】
図1~
図10は、本発明の実施例1を示し、
図1及び
図2は、クラフト原紙により製袋した包装用紙袋容器である重包装紙袋1に内容物を充填した後、上側の開口部2を封緘する封緘装置3を示している。封緘装置3は、搬送コンベア装置4、ニップ装置5、トリーミング装置6、内層シール装置7、口折装置8、オーバテープ装置9、カッター装置10、駆動装置11、操作盤12、制御盤13、を有している。本実施例では、内層シール装置7、口折装置8、オーバテープ装置9及びカッター装置10が開口部封緘装置を構成するが、重包装紙袋1の開口部2の封緘方法により、開口部封緘装置を構成する装置の種類は変更される。
【0021】
本実施例の重包装紙袋1(包装用紙袋容器)は、最内層であるポリフィルム層と、その外側の2層のクラフト紙の層から形成された3層の紙袋構造を有している。尚、最内層は、ラミネートフィルム層としてもよい。
【0022】
封緘装置3は、搬送コンベア装置4のベルト21の上面22を基準にして、封緘装置フレーム23の高さ位置を調整ハンドル24で任意に上下に昇降移動可能となっている。そのため、充填物の容量等による重包装紙袋1の仕様変更に伴う寸法等の変更があった場合には、封緘装置フレーム23の高さを調節して使用することができる。
図1及び
図2において、重包装紙袋1は右側から左側に向かって搬送される。
【0023】
搬送コンベア装置4は、一般的なベルトコンベアであり、本実施例では内容物を充填した重包装紙袋1を、封緘する開口部2を上側にした状態で載置し搬送する。そのため、重包装紙袋1は、開口部2が上側となって搬送される。
【0024】
ニップ装置5は、重包装紙袋1の開口部2を安定して正確に封緘するため、開口部2の下側部分である被挟持部14を水平方向(搬送方向に向かって左右方向)から挟持(ニップ)するものである。
図3及び
図4に示すように、ニップ装置5は、左右一対のタイミングベルト31L,31Rと、タイミングベルト31L,31Rに回転動力を伝達する左右一対のタイミングプーリ32L、32Rと、タイミングベルト31L,31Rを重包装紙袋1の被挟持部14に押し当て、ガイドするための左右一対のガイドロール33L,33Rと、ガイドロール33L,33Rを取り付ける左右のブラケット34L,34Rと、ブラケット34L,34Rを取り付ける左右一対のフレーム35L,35Rと、左側のブラケット34Lを押圧する板バネ36を有している。封緘装置フレーム23は、フレーム35L,35Rから構成されている。
【0025】
図5に示すように、タイミングベルト31L,31Rは、それぞれ無端環状に形成され、内面部37には、タイミングプーリ32L、32Rと噛み合う歯部である台形柱状の送り歯38がタイミングベルト31L,31Rの周方向(長手方向)に一定間隔で並列して設けられている。タイミングベルト31L,31Rの内面部37の幅方向(短手方向)中央部には、タイミングベルト31L,31Rの周方向全長に亘って延びるようにエンドレス溝加工した溝部39が形成されている。溝部39の底面である溝底部40は、タイミングベルト31L,31Rの内面部37の送り歯38が設けられていない部分と面一となっている。そのため、溝部39の深さD1は、タイミングベルト31L,31Rの送り歯38の高さH1と同一となる。タイミングベルト31L,31Rの外面部41は、平坦に形成されており、この外面部41が重包装紙袋1の被挟持部14を挟持した際に重包装紙袋1に当接する。
【0026】
タイミングプーリ32L、32Rは、駆動源である駆動装置11の出力軸15(図示せず)に接続されており、所定の回転数で回転する。この回転数は、操作盤12を操作して変更することが可能であり、操作盤12により設定した回転数により回転するように制御盤13により制御されている。尚、タイミングプーリ32L、32Rの回転数、すなわち、タイミングベルト31L,31Rによる搬送速度は、重包装紙袋1を載置して搬送する搬送コンベア装置4のベルト21による搬送速度と等速となる様に設定及び制御されている。
【0027】
主に
図4及び
図6に示すように、ガイドロール33L,33Rは、円環状の本体部42と、本体部42の厚さ方向(上下方向)中央部に設けられ、外側に突出した円環状の凸部43と、本体部42の中心部に穿設された貫通孔(図示せず)に挿通された回転軸部44と、を有する。本体部42と回転軸部44との間には、軸受(図示せず)が設けられており、本体部42及び凸部43は、回転軸部44を中心にフリーに回動可能となっている。凸部43の突出長さL1は、タイミングベルト31L,31Rの送り歯38の高さH1及び溝部39の深さD1と同一か僅かに長くなるように形成されている。また、凸部43の厚さT1は、溝部39の溝幅G1と同一か僅かに小さくなるように形成されている。そのため、ガイドロール33L,33Rの凸部43をタイミングベルト31L,31Rの溝部39内に配置し、ガイドロール33L,33Rを回転させる際に、凸部43が溝部39内で蛇行することを防止できると同時に、タイミングベルト31L,31Rが上下方向に蛇行することを防止できる。
【0028】
回転軸部44の軸受ピン45は、ブラケット34L,34Rに固定されている。左側のブラケット34Lは、フレーム35Lに対して僅か(例えば、±2.5mm)に移動可能に取り付けられていると共に、板バネ36により重包装紙袋1の搬送方向と直交する方向であるタイミングベルト31L側に向かって付勢されている。そのため、ブラケット34Lはタイミングベルト31L側に移動し、ブラケット34Lに固定されたガイドロール33Lは、タイミングベルト31Lに常に押し付けられている。その結果、タイミングベルト31Lがタイミングベルト31R側、すなわち重包装紙袋1の被挟持部14を挟持する方向に付勢されている。尚、右側のブラケット34Rは、移動しないようにフレーム35Rに固定されている。また、本実施例の板バネ36の厚さは1.2mmに形成されているが、板バネ36の厚さを変えることで、ブラケット34Lを付勢する力を変更することができる。
【0029】
図4に示すように、本実施例では、2個の左側ガイドロール33L、2個の右側ガイドロール33R、1個の左側フレーム35L、1個の右側フレーム35R及び1個の板バネ36を1セットのガイドロールユニット46とし、このガイドロールユニット46を12セット使用している(
図3参照)。尚、ガイドロールユニット46を構成するガイドロール33L,33Rの数は適宜変更可能である。また、ニップ装置5で使用するガイドロールユニット46の数もタイミングベルト31L,31Rの長さ等に応じて適宜変更可能である。
【0030】
トリーミング装置6は、搬送コンベア装置4に載置した重包装紙袋1を封緘するときに、開口部2の上端位置を揃えるため、重包装紙袋1の上端部分を切除する装置である。重包装紙袋1が搬送コンベア装置4に載置される際、傾いた状態となっていた場合等に、封緘が不完全となることを防止するものである。
図7に示すように、トリーミング装置6に搬入された重包装紙袋1の上端部(開口部2)は、左右に取り付けられた回転刃であるスリッターナイフ(図示せず)により上端部分が切断され、切断された切断片51は、送風機52によりダクト53内に飛ばされ封緘装置3より除去される。上端部分が切除された重包装紙袋1は、内層シール装置7へ搬送される。
【0031】
図8に示すように、内層シール装置7は、重包装紙袋1の最内層のポリフィルムを熱シール封緘する装置である。内層シール装置7は、左右一対のヒータブロック61L,61Rを有している。重包装紙袋1の搬送方向に向かって左側のヒータブロック61Lは、僅かに移動可能であり、圧縮スプリング62によりヒータブロック61R方向に付勢されている。重包装紙袋1の搬送方向に向かって右側のヒータブロック61Rは、移動できないように固定されている。そのため、内層シール装置7に搬入された重包装紙袋1の開口部2は、ヒータブロック61L,61Rにより加圧及び加熱され、最内層のポリフィルムが熱シール封緘される。ヒータブロック61L,61Rの温度設定(Max400℃)は、重包装紙袋1の仕様により適正温度を操作盤12により設定し、制御盤13で自動温調制御している。さらに、重包装紙袋1のポリフィルム層を完全に封緘するため、内層シール装置7の出口部分に配置した左右一対の内層シールプレスロール63L,63Rにより、開口部2の熱シール封緘部分を加圧されて封緘密封される。その後、重包装紙袋1は口折装置8へ搬送される。
【0032】
図9に示すように、口折装置8は、重包装紙袋1に充填した内容物の漏れ防止を強化するために、開口部2の上部を折り返して2重とする装置である。開口部2の折り返しを容易にするため、予め折り返し箇所を左右一対の筋付ロール71L,71Rで折筋を付ける。その後、開口部2を折成形板72で折り返し、オーバテープ装置9に重包装紙袋1を搬送する。尚、本実施例の開口部2の折代は15mmに設定されているが、この長さは適宜変更可能である。
【0033】
図10に示すように、オーバテープ装置9は、テープスタンド81より繰り出されたオーバテープ82(内面ラミネートフィルム/Max幅75mm)は、テープ折成形板83で逆U字状に折り曲げられる。そして、口折装置8で折り返して2重とした開口部2は、オーバテープ82で被覆され、左右一対のテープ繰出ロール84L,84R(右側のテープ繰出ロール84Rは図示せず)で加圧されて繰り出される。尚、テープ繰出ロール84L,84Rの繰り出し速度は、重包装紙袋1をニップして搬送する左右のタイミングベルト31L,31Rの搬送速度と等速となる様に設定されている。
【0034】
テープ繰出ロール84L,84Rによるオーバテープ82の繰り出し長さは、操作盤12で任意にパルス設定(例えば、1パルス=1mm)可能である。重包装紙袋1は、被挟持部14がタイミングベルト31L,31Rでニップされると同時に、開口部2がテープ繰出ロール84L,84Rでニップされた状態で搬送され、カッター装置10でオーバテープ82が所定の長さで切断される。オーバテープ82は、重包装紙袋1の搬送方向の重包装紙袋1の袋幅よりも前後にそれぞれ15mm~20mm長くなるように切断される。尚、オーバテープ82の長さは適宜変更可能である。
【0035】
オーバテープ装置9は、内層シール装置7が有するものと同様の左右一対のヒータブロック85L、85Rを有している。搬送方向に向かって左側のヒータブロック85Lは、僅かに移動可能に取り付けられており、圧縮スプリング86によりヒータブロック85R方向に付勢されている。搬送方向に向かって右側のヒータブロック85Rは、移動できないように固定されている。そのため、ヒータブロック85L、85Rにより加圧及び加熱されたオーバテープ82の内面ラミネートフィルムが溶解し、オーバテープ82が重包装紙袋1の外装面に熱シール溶着される。ヒータブロック85L、85Rにより加熱する温度設定(Max400℃)は重包装紙袋1の仕様により操作盤12により設定し、制御盤13で自動温調制御される。その後、オーバテープ装置9の出口部分に配置された左右一対のプレスロール87L,87Rで最終加圧され、重包装紙袋1に充填された内容物が漏れないように封緘されてオーバテープ装置9より搬出される。プレスロール87Rは、タイミングベルト31Rと等速で駆動されている。
【0036】
駆動装置11は、上述のとおり、ニップ装置5のタイミングプーリ32L、32Rの駆動源として機能するが、その他、内層シール装置7の内層シールプレスロール63L,63R、口折装置8の筋付ロール71L,71R、オーバテープ装置9のテープ繰出ロール84L,84R及びプレスロール87L,87R、の駆動源としても機能する。
【0037】
上述の内層シールプレスロール63L,63R、筋付ロール71L,71R、テープ繰出ロール84L,84R、プレスロール87L,87Rの各ロールは、重包装紙袋1をニップして搬送するタイミングベルト31L,31Rの速度と等速となるように設定及び制御されている。
【0038】
封緘装置3は、重包装紙袋1に内容物を充填する自動充填機(図示せず)や、開口部2を封緘した重包装紙袋1をパレット配積みするパレタイジング装置(図示せず)等の前後装置と接続することで一貫した充填包装ラインとすることも可能となっている。
【0039】
ここで、内容物を充填した重包装紙袋1の開口部2の封緘工程について説明する。まず、内容物を充填した重包装紙袋1を搬送コンベア装置4に載置する。このとき、重包装紙袋1は立てた状態であり、開口部2が上側となっている。重包装紙袋1を転倒しないように転倒防止ガイド25に沿わせ、搬送コンベア装置4によりニップ装置5に搬送すると、重包装紙袋1の被挟持部14が左右のタイミングベルト31L,31Rの間に挿入される。板バネ36により左側のブラケット34Lが押圧されているため、被挟持部14が左右のタイミングベルト31L,31Rにより確実に挟持される。被挟持部14は、封緘装置3内を搬送されている間、タイミングベルト31L,31Rにより常に挟持されている。重包装紙袋1は、この状態で搬送コンベア装置4によりトリーミング装置6に搬送され、回転する前記スリッターナイフで開口部2の上端部分がカットされる。カットされた切断片51は、送風機52で吹き飛ばされ、ダクト53内に除去される。開口部2の上端部分が除去され、上端部の位置が水平に揃えられた重包装紙袋1は、内層シール装置7に搬送される。内層シール装置7で重包装紙袋1は、開口部2が左右一対のヒータブロック61L,61Rにより外面側から加圧及び加熱され、最内層であるポリフィルム層が熱シール封緘されて、重包装紙袋1が口折装置8へ搬送される。口折装置8に搬入された重包装紙袋1は、開口部2の上部が1回折り返されて、オーバテープ装置9に搬送される。オーバテープ装置9において、折り返された開口部2がテープ幅の1/2幅に逆U字状に折り返されたオーバテープ82で被覆され、左右一対のテープ繰出ロール84L,84Rで加圧されて繰り出される。その後、オーバテープ82で被覆された部分が左右一対のヒータブロック85L、85Rにより加圧及び加熱され、オーバテープ82が重包装紙袋1の外装面に熱シール溶着される。オーバテープ82が熱シール溶着されると、重包装紙袋1はオーバテープ装置9から搬出され、封緘装置3による封緘工程が終了する。
【0040】
以上のように、本実施例の重包装紙袋1の封緘装置3は、内容物を充填した重包装紙袋1を封緘する開口部2を上側にし、立てた状態で搬送する搬送コンベア装置4と、重包装紙袋1を挟持するニップ装置5と、重包装紙袋1の開口部2を封緘する開口部封緘装置と、を備える封緘装置3であって、ニップ装置5は、重包装紙袋1を水平方向に挟持する一対のタイミングベルト31L,31Rと、一対のタイミングベルト31L,31Rを重包装紙袋1を挟持する方向に付勢する複数のガイドロール33L,33Rと、を備え、タイミングベルト31L,31Rは無端環状に形成され、タイミングベルト31L,31Rの内面部37には、周方向に並列する複数の送り歯38と周方向に延びる溝部39が形成され、ガイドロール33L,33Rには、外側に突出した凸部43が形成され、溝部39に凸部43が配置されることにより、重包装紙袋1を挟持する一対のタイミングベルト31L,31Rの上下方向の蛇行や振動を抑制するため、タイミングベルト31L,31Rの張力の緩みや、重包装紙袋1の搬送のタイミングのズレや誤差が生じ難くし、一定の速度で安定した搬送を行うことができる。また、重包装紙袋1の被挟持部14と接触するタイミングベルト31L,31Rの外面部41は平坦に形成されているため、搬送によって重包装紙袋1に傷や汚れが付くことを防止できる。
【0041】
また、本実施例の重包装紙袋1の封緘方法は、内容物を充填した重包装紙袋1を封緘する開口部2を上側にし、立てた状態で搬送コンベア装置4に載置すると共に、重包装紙袋1を一対の無端環状のタイミングベルト31L,31Rで水平方向に挟持して搬送し、重包装紙袋1の開口部2を封緘する封緘方法であって、タイミングベルト31L,31Rの内面部37には、周方向に並列する複数の送り歯38と、周方向に延びる溝部39と、が形成され、タイミングベルト31L,31Rを付勢する回動可能なガイドロール33L,33Rに突出して形成された凸部43を溝部39に配置し、ガイドロール33L,33Rによりタイミングベルト31L,31Rを重包装紙袋1を挟持する方向に付勢することにより、重包装紙袋1を挟持する一対のタイミングベルト31L,31Rの上下方向の蛇行や振動を抑制するため、タイミングベルト31L,31Rの張力の緩みや、重包装紙袋1の搬送のタイミングのズレや誤差が生じ難くし、一定の速度で安定した搬送を行うことができる。また、平坦に形成されたタイミングベルト31L,31Rの外面部41で重包装紙袋1の被挟持部14を正確に挟持するため、搬送によって重包装紙袋1に傷や汚れが付くことを防止できる。
【実施例2】
【0042】
図11~
図16は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。本実施例の封緘装置は、製袋工程において、チュービングされたチューブ本体93を指定された長さにカットし、筒状になった重包装紙袋1を搬送すると共に底部92を封緘する装置である。本実施例の封緘装置は、底部封緘装置91と、重包装紙袋1(チューブ本体93)を挟持して搬送するニップ装置98を備えている。
【0043】
重包装紙袋1の製袋工程において、底部92が封緘される前のチューブ本体93は、最内層であるポリフィルム層と、その外層のクラフト紙の層で構成された3層構造を有し、筒状に形成されている。尚、チューブ本体93は、2層構造や4層以上の多層袋としてもよく、最内層はラミネートフィルム層(ポリエチレン加工紙)としてもよい。本実施例のチューブ本体93の底部92の封緘は、最内層のポリフィルム層を熱シール封緘した後、底部92をミシン縫いして、底部92をオーバテープ82により被覆するものである。
【0044】
図11は、本実施例のチューブ本体93の底部92を封緘する底部封緘装置91の構成を示す略図であり、底部封緘装置91は、内層シール装置94、ミシン縫い装置95、オーバテープ装置96を備えている。チューブ本体93は、
図13に示す内層シール装置94の整列装置100により送られ、載置台部97に寝かせた状態で載置される。載置台部97に載置されたチューブ本体93は、後述するタイミングベルト104U,104Dとテフロン(登録商標)ベルト126U,126D(
図15参照)によりチューブ本体93の底部92の上側部分である被挟持部99が挟持(ニップ)されて搬送される。
図11~
図14においては、チューブ本体93は、内層シール装置94の左側からオーバテープ装置96の右側方向へと搬送される。本実施例では、内層シール装置94、ミシン縫い装置95、オーバテープ装置96が底部封緘装置91を構成するが、チューブ本体93の封緘の仕様により、底部封緘装置91を構成する装置は選択される。
【0045】
図12は、底部92の封緘の仕様が異なる4種((ア)~(エ))の重包装紙袋1と、底部封緘装置91を構成する各装置の一覧表を示している。
図12中の(ア)は、内層シール、ミシン縫い、オーバテープの処理を行う封緘仕様であり、
図12中の(イ)は、内層シール、ミシン縫いの処理を行う封緘仕様であり、
図12中の(ウ)は、ミシン縫い、オーバテープの処理を行う封緘仕様であり、
図12中の(エ)は、ミシン縫いの処理を行う封緘仕様である。(ア)の重包装紙袋1の底部92の封緘には、内層シール装置94、ミシン縫い装置95、オーバテープ装置96を使用する。(イ)の重包装紙袋1の底部92の封緘には、内層シール装置94、ミシン縫い装置95を使用する。(ウ)の重包装紙袋1の底部92の封緘には、ミシン縫い装置95、オーバテープ装置96を使用する。(エ)の重包装紙袋1の底部92の封緘には、ミシン縫い装置95を使用する。本実施例の重包装紙袋1は、(ア)の封緘の仕様に該当する。
【0046】
図13は、内層シール装置94の平面図を示し、
図14は、内層シール装置94の正面図を示しており、チューブ本体93は、給袋機(図示せず)から1袋ずつ断続的に内層シール装置94に供給される。供給されたチューブ本体93は、内層シール装置94に設けられた整列装置100に搬入され、各種検出装置(図示せず)でチェックされ、不良品と判定されたチューブ本体93は整列装置100の出口(図示せず)から排出される。そして、良品と判定されたチューブ本体93のみが内層シール装置94に設けられたチューブ本体93の底部92のシール装置101に搬入される。
【0047】
図15及び
図16に示すように、チューブ本体93の底部92のシール装置101は、上下に設けられた上フレーム102及び下フレーム103を有する。上フレーム102及び下フレーム103の一側(
図15における右側)には、上下一対のタイミングベルト104U,104Dと、タイミングベルト104U,104Dをガイドする上下一対のガイドロール105U,105Dと、上側のガイドロール105Uを下方向に付勢する圧縮スプリング106と、を有する。
【0048】
図5に示すように、上下のタイミングベルト104U,104Dは、それぞれ無端環状に形成され、内面部109には、タイミングベルト104U,104Dに回転動力を伝達する上下一対のタイミングプーリ107U,107D(
図13参照)と噛み合う歯部である台形柱状の送り歯108が、タイミングベルト104U,104Dの周方向(長手方向)に一定間隔で並列して設けられている。タイミングベルト104U,104Dの内面部109の幅方向(短手方向)中央部には、タイミングベルト104U,104Dの周方向全長に亘って延びるようにエンドレス溝加工した溝部110が形成されている。溝部110の底面である溝底部111は、タイミングベルト104U,104Dの内面部109の送り歯108が設けられていない部分と面一となっている。そのため、
図16に示すように、溝部110の深さD2は、タイミングベルト104U,104Dの送り歯108の高さH2と同一となる。タイミングベルト104U,104Dの外面部112は、平坦に形成されており、この外面部112が被挟持部99を挟持した際にチューブ本体93に当接する。また、外面部112は水平となるように配置されている。
【0049】
図15に示すように、ガイドロール105U,105Dは、円環状の本体部113と、本体部113の厚さ方向(上下方向)中央部に設けられ、外側に突出した円環状の凸部114と、本体部113の中心部に穿設された貫通孔(図示せず)に挿通された回転軸部115と、を有する。本体部113と回転軸部115との間には、軸受(図示せず)が設けられており、本体部113及び凸部114は、回転軸部115を中心にフリーに回動可能となっている。凸部114の突出長さL2は、タイミングベルト104U,104Dの送り歯108の高さH2及び溝部110の深さD2と同一か僅かに長くなるように形成されている。また、凸部114の厚さT2は、溝部110の溝幅G2と同一か僅かに短くなるように形成されている。そのため、ガイドロール105U,105Dの凸部114をタイミングベルト104U,104Dの溝部110内に配置し、ガイドロール105U,105Dを回転させる際に、凸部114が溝部110内で蛇行することを防止できると同時に、タイミングベルト104U,104Dが水平方向(左右方向)に振動することを防止できる。
【0050】
回転軸部115の軸受ピン116は、回転軸部115と直交する方向に延設された固定棒部117に固定されている。上フレーム102には、固定基部118が固定されており、この固定基部118には角棒状の固定台部119が固定されている。固定台部119には、上下方向に開口する挿通孔120が穿設されており、この挿通孔120に固定棒部117が遊挿されている。固定台部119の上側であって固定棒部117の上部には抜止部材121が固定されており、固定棒部117が固定台部119から抜け落ちないように保持されている。また、固定棒部117は圧縮スプリング106に挿通されており、圧縮スプリング106が回転軸部115の軸受ピン116と固定台部119との間に配置されることで、上側のガイドロール105Uが圧縮スプリング106によりガイドロール105U側(下側)方向に付勢される。下側のガイドロール105Dは、回転軸部115の軸受ピン116が下フレーム103に上下方向に移動しないように固定されている。そのため、上側のタイミングベルト104Uが下側のタイミングベルト104Dに接近するように付勢されている。すなわち、タイミングベルト104U,104Dがチューブ本体93の被挟持部99を挟持する方向に付勢されている。
【0051】
図16に示すように、本実施例では、1つの固定台部119の両端部にそれぞれ上側のガイドロール105Uが取り付けられている。そのため、2個の上側のガイドロール105Uと、2個の下側のガイドロール105Dと、2個の圧縮スプリング106を1セットのガイドロールユニット122とし、このガイドロールユニット122を8セット使用している(図示せず)。尚、ガイドロールユニット122を構成するガイドロール105U,105Dの数は適宜変更可能である。また、シール装置101で使用するガイドロールユニット122の数もタイミングベルト104U,104Dの長さ等に応じて適宜変更可能である。
【0052】
上フレーム102及び下フレーム103の他側(
図15における左側)には、上下一対のヒータブロック123U,123Dが配設されている。ヒータブロック123U,123Dは、チューブ本体93の最内層であるポリフィルムを熱シール封緘する上下一対のヒータバー124U,124Dを有している。上側のヒータブロック123Uは、僅かに上下移動が可能に取り付けられており、圧縮スプリング125によりヒータブロック123D側(下側)方向に付勢されている。下側のヒータブロック123Dは、上下方向に移動しないように下フレーム103に固定されている。ヒータブロック123Dは、後述するヒータバー124Dの接触面127Dが水平となるように固定されている。また、上下のヒータバー124U,124Dの間には、上下一対のテフロンベルト126U,126Dが配置されており、チューブ本体93を挟持して、スムーズに搬送できるようにしている。テフロンベルト126U,126Dは、無端環状に形成され、タイミングベルト104U,104Dと同速度でチューブ本体93を挟持して搬送するように設定及び制御されている。チューブ本体93の底部92は、テフロンベルト126U,126Dに挟まれた状態でヒータバー124U,124Dにより加熱及び加圧されてシール封緘される。底部92の熱シール幅(例えば、7~12mm)は、ヒータブロック123U,123Dに取り付けられたヒータバー124U,124Dの接触面127U,127Dの幅寸法を変えることで寸法変更が可能となっている。
【0053】
チューブ本体93の最内層にポリフィルムやラミネートフィルムを用いず、熱シール封緘をする必要がない場合には、上側のヒータブロック123Uを操作レバー(図示せず)により上昇させ、上側のヒータバー124Uをテフロンベルト126Uから離し、ヒータバー124U,124Dにより底部92を挟持せずに、上下のテフロンベルト126U,126Dでチューブ本体93を挟持して搬送することができる。この場合、ヒータ電源(図示せず)をオフにし、ヒータバー124U,124Dは加熱しない。
【0054】
シール装置101において最内層が熱シール封緘されたチューブ本体93は、載置台部97に載置された状態でシール装置101によりミシン縫い装置95に搬送される。ミシン縫い装置95において、底部92は補強紙であるクレープテープ128により被覆され、底部92がクレープテープ128と共にミシン糸129で縫い合わされる(JIS Z0102:2004 4.2.6及び
図5d参照)。底部92がミシン縫いされたチューブ本体93は、オーバテープ装置96に搬送される。
【0055】
オーバテープ装置96に搬入されたチューブ本体93は、クレープテープ128により被覆されミシン縫いされた底部92がオーバテープ82により被覆され、オーバテープ82に被覆された部分が上下一対のヒータブロック(図示せず)により加熱及び加圧され熱シール溶着される。オーバテープ82は、クレープテープ128を被覆するのに必要十分な長さで切断される。その後、オーバテープ装置96の出口部分に配置された上下一対のプレスロール(図示せず)で最終加圧される。底部92が完全に封緘され、重包装紙袋1となってオーバテープ装置96から搬出され、底部封緘装置91による封緘工程が終了する。
【0056】
以上のように、本実施例の重包装紙袋1の封緘装置は、重包装紙袋1を構成する筒状のチューブ本体93を寝かせた状態で載置する載置台部97と、チューブ本体93を挟持するニップ装置98と、チューブ本体93の底部92を封緘する底部封緘装置91と、を備える封緘装置であって、ニップ装置98は、チューブ本体93を上下方向に挟持する一対のタイミングベルト104U,104Dと、一対のタイミングベルト104U,104Dをチューブ本体93を挟持する方向に付勢する複数のガイドロール105U,105Dと、を備え、タイミングベルト104U,104Dは無端環状に形成され、タイミングベルト104U,104Dの内面部109には、周方向に並列する複数の送り歯108と周方向に延びる溝部110が形成され、ガイドロール105U,105Dには、外側に突出した凸部114が形成され、溝部110に凸部114が配置されることにより、チューブ本体93を挟持する一対のタイミングベルト104U,104Dの水平方向(左右方向)の蛇行及び振動を抑制するため、タイミングベルト104U,104Dの張力の緩みや、チューブ本体93を搬送するタイミングのズレや誤差が生じ難くし、一定の速度で安定した搬送を行うことができる。また、チューブ本体93の被挟持部99と接触するタイミングベルト104U,104Dの外面部112は平坦に形成されているため、搬送によってチューブ本体93に傷や汚れが付くことを防止できる。
【0057】
また、本実施例の重包装紙袋1の封緘方法は、重包装紙袋1を構成する筒状のチューブ本体93を寝かせた状態で載置台部97に載置すると共に、チューブ本体93を一対の無端環状のタイミングベルト104U,104Dで上下方向に挟持して搬送し、チューブ本体93の底部92を封緘する封緘方法であって、タイミングベルト104U,104Dの内面部109には、周方向に並列する複数の送り歯108と、周方向に延びる溝部110と、が形成され、タイミングベルト104U,104Dを付勢する回動可能なガイドロール105U,105Dに突出して形成された凸部114を溝部110に配置し、ガイドロール105U,105Dによりタイミングベルト104U,104Dをチューブ本体93を挟持する方向に付勢することにより、チューブ本体93を挟持する一対のタイミングベルト104U,104Dの水平方向(左右方向)の蛇行及び振動を抑制するため、タイミングベルト104U,104Dの張力の緩みや、チューブ本体93の搬送のタイミングのズレや誤差が生じ難くし、一定の速度で安定した搬送を行うことができる。また、平坦に形成されたタイミングベルト104U,104Dの外面部112でチューブ本体93の被挟持部99を挟持するため、搬送によってチューブ本体93に傷や汚れが付くことを防止できる。
【0058】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施例1,2では、送り歯38,108により溝部39,110が形成されているが、タイミングベルト31L,31R,104U,104Dの強度を確保できれば、タイミングベルト31L,31R,104U,104Dの内面部37,109の幅方向中央部を凹形状とし、その凹形状と送り歯38,108により溝部39,110を形成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 重包装紙袋(包装用紙袋容器)
2 開口部
3 封緘装置
4 搬送コンベア装置
5 ニップ装置
7 内層シール装置(開口部封緘装置)
8 口折装置(開口部封緘装置)
9 オーバテープ装置(開口部封緘装置)
10 カッター装置(開口部封緘装置)
31L タイミングベルト(左側のタイミングベルト)
31R タイミングベルト(右側のタイミングベルト)
33L ガイドロール(左側のガイドロール)
33R ガイドロール(右側のガイドロール)
37 内面部
38 送り歯(歯部)
39 溝部
41 外面部
43 凸部