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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】美容用噴霧器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
A45D34/04 550
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019084463
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020178927
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】719002414
【氏名又は名称】株式会社グランツーク研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100123364
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 徳子
(74)【代理人】
【識別番号】100132621
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 孝行
(72)【発明者】
【氏名】三浦 由規
(72)【発明者】
【氏名】三浦 尚子
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-015522(JP,U)
【文献】特開2007-001962(JP,A)
【文献】実公昭49-20896(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3157544(JP,U)
【文献】特開2016-131569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容成分を皮膚および肺から吸収させるために、前記美容成分を含む液体を平均粒子径が3μm~5μmの微粒子として空間中に噴霧する美容用噴霧器であって、
前記液体を入れる容器と、
超音波を発生させて前記液体を微粒子化させる超音波振動子とを備え、
前記美容成分は、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子およびセラミドを含み、
前記超音波の周波数が、1.5MHz~2.5MHzの範囲である
ことを特徴とする美容用噴霧器。
【請求項2】
前記超音波の周波数が、1.6MHz~2.4MHzの範囲である
ことを特徴とする請求項1に記載の美容用噴霧器。
【請求項3】
前記美容成分として、肝細胞増殖因子、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン酸、クレアチン、セリン、チロシン、テアニン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、プロリン、リシン、ロイシン(分子量89~205)、神経成長因子(NGF)、コロニ-刺激因子(CSF)、インスリン様増殖因子(IGF)、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンF、ビタミンK、ミノキシジル、ピロリジニルジアミノピリミジンオキシド、セレブロシド、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、エラスチン、1.2-ヘキサンジオ-ル、BG、デオキシリボ核酸ナトリウム、DPG、PEG-6、PEG-8、PEG-20、PEG-30、PEG-32、PEG-75、PEG-150、PEG-400、PCA-Na、プロピレングリコ-ル(PG)、アセチルヒアルロン酸Na、エチルヘキシルグリセリン、加水分解ケラチン、カプリリルグリコ-ル、グリコシルトレハロ-ス、グリセリン、グルタミン酸Na、ジグリセリン、デキストリン、エリスリト-ル、キシリト-ル、グルコ-ス、スクロ-ス、ソルビト-ル、マルチト-ル、マンニト-ル、トレハロ-ス、乳糖、ベタイン、ペンチレングリコ-ル、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、4-n-ブチルレゾ-ル、アスコルビルグルコシド、アスコルビン酸、アルブチン、エラグ酸、グルタチオン、トラネキサム酸、マグノリグナン、リン酸アスコルビルMg、アラントイン、イノシト-ル、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸エチル、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、酢酸トコフェロ-ル、ピリドキシン塩酸塩、ジパルミチン酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、塩化Al、クロルヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、グリコ-ル酸、サリチル酸、乳酸、パパイン、硫酸Na、t-フラバノン、アスタキサンチン、アセチルパントテニルエチル、アデノシン三リン酸2Na、アミノカプロン酸、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、アミノ酪酸、エストラジオ-ル、エチニルエストラジオ-ル、フェルラ酸エステル、カルニチン、L-カルノシン、D-カルノシン、カロテン、プラトニン、カンフル、グア-ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸メチル、シアノコバラミン、シルク、セチルPGヒドロキシエルチルパルミタミド、2-アミノエタンスルフォン酸、トコトリエノ-ル、トコフェリルリン酸Na、トコフェノ-ル、ナイアシンアミド、ニコチン酸トコフェノ-ルパルミチン酸レチノ-ル、パルミトイルオリゴペプチド、パンテノ-ル、パントテン酸Ca、ビオチン、ビサボロ-ル、ヒノキチオ-ル、フェルラ酸、ポリクオタニウム-7、メチオニン、ユビキノン、葉酸、リノ-ル酸、リノレン酸、リボフラビン、ルチン、レチノ-ル、アズレンからなる群から選ばれる化合物の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の美容用噴霧器。
【請求項4】
前記美容用噴霧器は、
器台と、
前記器台の上部に配置され前記液体が投入される容器と、
前記器台の周縁に取り付けられ前記容器を覆う蓋と
を具備することを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の美容用噴霧器。
【請求項5】
前記器台には、ファンが配置され、
前記ファンは、前記器台の底部から離間するように取り付けられている
ことを特徴とする請求項に記載の美容用噴霧器。
【請求項6】
前記容器の底部の下側に設けられた取付部には、前記超音波振動子及び駆動部が取り付けられている
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の美容用噴霧器。
【請求項7】
前記容器は、容器底部と、
前記容器底部から立ち上がり前記容器底部を取り囲む壁とを備え、
前記壁は、前記容器底部から立ち上がる内壁と、
前記内壁の上部先端から下方に折れ曲がる外壁とを有し、
前記外壁には、前記外壁の一部に、前記内壁と前記外壁とで形成される空間と前記蓋の内部空間とを連通する開口部が設けられている
ことを特徴とする請求項の何れか1項に記載の美容用噴霧器。
【請求項8】
前記開口部の上部には、前記外壁から外方に突出する突出部が形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の美容用噴霧器。
【請求項9】
前記蓋には、前記容器に面する側に流通口が設けられ、
前記流通口と反対側の端面には排気口が設けられ、
前記流通口には、前記容器底部に対向して前記蓋の略水平方向に広がる平板が設けられている
ことを特徴とする請求項の何れか1項に記載の美容用噴霧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容成分を含む美容液を噴霧し、皮膚だけでなく肺等からも美容成分を吸収させることができる美容用噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波振動子を用いて容器内の液体を微粒子化(ミスト)し、空気中に散布する装置が知られている(特許文献1および2)。
【0003】
特許文献1は、ベ-ス、ファン、液体容器、超音波振動装置、電源入力装置、カバ-、スピ-カを備える芳香剤噴霧装置であって、超音波振動装置が液体容器内の液体を振動させて微粒子化し、液体容器内の導気管により、ファンが導入した気体の流速が速くして微粒子化効果および霧の飛散効果が高めると共に、簡単に分解できることが開示されている。
【0004】
特許文献2は、液体からミストを生成し超音波振動子を備えるミスト生成部と、ミスト生成部で生成されたミストが流動する流路部を含むダクト部と、流路部の内側面に設けられているとともに流路部を流動するミストを流路部の中心軸に向かって噴出する複数個のミスト噴出部とを有する美容装置であって、部位にかかわらず肌表面に効率よくミストを吹き付けることができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3157544号公報
【文献】特開2016-131569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の噴霧器は、芳香油および芳香液体等の液体を噴霧して、香りなどを楽しむ芳香剤噴霧装置であり、美容液の噴霧を目的とした装置ではなく、美容液を噴霧することができないという問題点があった。
【0007】
一方、特許文献2の噴霧器は、水、天然水、水道水、酸性水、化粧水、薬品の溶液等、対象体を刺激したり、傷つけたりしにくい液体を直接皮膚の一部に吹き付ける美容装置であるが、肺等から美容成分を体内に吸収させることはできないという問題点があった。
【0008】
ここで、皮膚には皮膚バリア機能があり、外界からの異物(アレルゲン・細菌など)の侵入を防御する機能があることが知られている。この機能は、皮膚に塗布された美容液に含まれる美容成分に対しても働く。その結果、美容液に含まれる美容成分の量に対して、体内に浸透する美容成分の量が非常に少なくなってしまうという問題点があった。特に、分子量が大きなもの(例えば、分子量が500以上の美容成分は皮膚からほとんど吸収されないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑み、美容成分を含む美容液を噴霧し、皮膚だけでなく肺等からも美容成分を吸収させることができる美容用噴霧器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究・開発を続けた結果、美容液は皮膚に塗布されるものという概念を打ち破り、肺等からも吸収させることができるという全く新しい概念を作り出し、そのための美容液を噴霧させることができる美容用噴霧器を見出した。また、本発明の発明者は、分子量が500以上の美容成分であっても、皮膚に塗布した場合と比較して、空間中に噴霧させ、肺等から吸収させた方がより効率的に体内に取り入れることができることを見出した。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、液体を入れる容器と、超音波を発生させて液体を微粒子化させる超音波振動子とを備え、液体は、美容成分を含む美容液であり、超音波の周波数が、1.5MHz~2.5MHzの範囲であることを特徴とする美容用噴霧器にある。
【0012】
ここで、「美容液」とは、容姿・肌などを美しくすることだけでなく、容姿・肌などを保つために用いられる液体をいい、香りを楽しむためだけの液体(アロマオイル等)を含まないものをいう。
【0013】
かかる第1の態様では、美容成分を含む美容液を噴霧し、皮膚だけでなく肺等からも美容成分を吸収させることができる美容用噴霧器を提供することができる。また、美容成分が体内に取り込むことができる適切な流体粒径となり、美容液を噴霧し、室内に散布させて、肺等から美容成分を体内に吸収させることができる。その結果、従来の皮膚に塗布する場合と比較して、高い美容効果が得られる。また、呼吸等で美容成分を体内に取り入れるので、身体全体において高い美容効果を得ることができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、超音波の周波数が、1.6MHz~2.4MHzの範囲であることを特徴とする第1の態様に記載の美容用噴霧器にある。
【0015】
かかる第2の態様では、美容成分を含む美容液を噴霧し、皮膚だけでなく肺等からも美容成分を容易に吸収させることができる美容用噴霧器を提供することができる。その結果、従来の皮膚に塗布する場合と比較して、より高い美容効果が得られる。また、呼吸等で美容成分を体内に取り入れるので、身体全体において、より高い美容効果を得ることができる。
【0016】
本発明の第3の態様は、美容成分が、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子およびセラミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする第1または第2の態様に記載の美容用噴霧器にある。
【0017】
ここで、「上皮成長因子」(EGF)は、ヒトの上皮成長因子と同様の効果があれば特に限定されず、例えば豚や馬の胎盤(プラセンタ)に含まれている上皮成長因子であってもよいが、ヒトの上皮成長因子が好ましい。
【0018】
「線維芽細胞増殖因子」(FGF)は、ヒトの線維芽細胞増殖因子と同様の効果があれば特に限定されず、例えば豚や馬の胎盤(プラセンタ)に含まれている線維芽細胞増殖因子であってもよいが、ヒトの線維芽細胞増殖因子(FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF16、FGF17、FGF18)が好ましい。
【0019】
「セラミド」は、ヒトの皮膚に含まれるものと同様の保湿等の効果を奏するものであれば特に限定されないが、ヒトの皮膚に含まれる次の11個の化合物が高い美容効果を奏するので好ましく、下記のセラミド2およびセラミド3はより高い美容効果を奏するので特に好ましい。
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
かかる第3の態様では、高い美容効果を奏する美容液を噴霧することができる美容用噴霧器を提供することができる。
【0032】
本発明の第4の態様は、美容成分として、肝細胞増殖因子、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン酸、クレアチン、セリン、チロシン、テアニン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、プロリン、リシン、ロイシン(分子量89~205)、神経成長因子(NGF)、コロニ-刺激因子(CSF)、インスリン様増殖因子(IGF)、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンF、ビタミンK、ミノキシジル、ピロリジニルジアミノピリミジンオキシド、セレブロシド、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、エラスチン、1.2-ヘキサンジオ-ル、BG、デオキシリボ核酸ナトリウム、DPG、PEG-6、PEG-8、PEG-20、PEG-30、PEG-32、PEG-75、PEG-150、PEG-400、PCA-Na、プロピレングリコ-ル(PG)、アセチルヒアルロン酸Na、エチルヘキシルグリセリン、加水分解ケラチン、カプリリルグリコ-ル、グリコシルトレハロ-ス、グリセリン、グルタミン酸Na、ジグリセリン、デキストリン、エリスリト-ル、キシリト-ル、グルコ-ス、スクロ-ス、ソルビト-ル、マルチト-ル、マンニト-ル、トレハロ-ス、乳糖、ベタイン、ペンチレングリコ-ル、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、4-n-ブチルレゾ-ル、アスコルビルグルコシド、アスコルビン酸、アルブチン、エラグ酸、グルタチオン、トラネキサム酸、マグノリグナン、リン酸アスコルビルMg、アラントイン、イノシト-ル、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸エチル、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、酢酸トコフェロ-ル、ピリドキシン塩酸塩、ジパルミチン酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、塩化Al、クロルヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、グリコ-ル酸、サリチル酸、乳酸、パパイン、硫酸Na、t-フラバノン、アスタキサンチン、アセチルパントテニルエチル、アデノシン三リン酸2Na、アミノカプロン酸、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、アミノ酪酸、エストラジオ-ル、エチニルエストラジオ-ル、フェルラ酸エステル、カルニチン、L-カルノシン、D-カルノシン、カロテン、プラトニン、カンフル、グア-ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸メチル、シアノコバラミン、シルク、セチルPGヒドロキシエルチルパルミタミド、2-アミノエタンスルフォン酸、トコトリエノ-ル、トコフェリルリン酸Na、トコフェノ-ル、ナイアシンアミド、ニコチン酸トコフェノ-ルパルミチン酸レチノ-ル、パルミトイルオリゴペプチド、パンテノ-ル、パントテン酸Ca、ビオチン、ビサボロ-ル、ヒノキチオ-ル、フェルラ酸、ポリクオタニウム-7、メチオニン、ユビキノン、葉酸、リノ-ル酸、リノレン酸、リボフラビン、ルチン、レチノ-ル、アズレンからなる群から選ばれる化合物の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする第3の態様に記載の美容用噴霧器にある。
【0033】
ここで、「肝細胞増殖因子」(HGF)は、ヒトの肝細胞増殖因子と同様の効果があれば特に限定されず、例えば豚や馬の胎盤(プラセンタ)に含まれている肝細胞増殖因子であってもよいが、ヒトの肝細胞増殖因子が好ましい。
【0034】
かかる第4の態様では、より高い美容効果を奏する美容液を噴霧することができる美容用噴霧器を提供することができる。
【0035】
本発明の第5の態様は、美容用噴霧器は、器台と、器台の上部に配置され液体が投入される容器と、器台の周縁に取り付けられ容器を覆う蓋とを具備することを特徴とする第1~3の態様の何れか1つに記載の美容用噴霧器にある。
【0036】
かかる第5の態様では、高い美容効果を奏する美容液を噴霧することができる美容用噴霧器を提供することができる。
【0037】
本発明の第6の態様は、器台には、ファンが配置され、ファンは、器台の底部から離間するように取り付けられていることを特徴とする第5の態様に記載の美容用噴霧器にある。
【0038】
かかる第6の態様では、器台内に水等が入ってきてもファンとの接触を防止することができるので、美容用噴霧器を容易に洗浄することができる。
【0039】
本発明の第7の態様は、容器の底部の下側に設けられた取付部には、超音波振動子及び駆動部が取り付けられていることを特徴とする第5または第6の態様に記載の美容用噴霧器にある。
【0040】
かかる第7の態様では、ファンで生じる空域の流れがスム-ズとなり、また、容器の底部に水、液体等が付着しても、ファンに悪影響を及ぼすことを未然に防ぐことができる美容用噴霧器を提供することができる。
【0041】
本発明の第8の態様は、容器は、容器底部と、容器底部から立ち上がり容器底部を取り囲む壁とを備え、壁は、容器底部から立ち上がる内壁と、内壁の上部先端から下方に折れ曲がる外壁とを有し、外壁には、外壁の一部に、内壁と外壁とで形成される空間と蓋の内部空間とを連通する開口部が設けられていることを特徴とする第5~第7の態様の何れか1つに記載の美容用噴霧器にある。
【0042】
かかる第8の態様では、ファンの駆動で発生した空気が、開口部を通過して容器及び蓋内に加速されて流れ込み、微粒子化された美容液の乱流を作ることができ、効率よく微粒子化された美容液を外空間に噴霧することができる。
【0043】
本発明の第9の態様は、開口部の上部には、外壁から外方に突出する突出部が形成されていることを特徴とする第8の態様に記載の美容用噴霧器にある。
【0044】
かかる第9の態様では、容器を洗浄する際、開口部内に水等が容易に侵入することを防止できる。
【0045】
本発明の第10の態様は、蓋には、容器に面する側に流通口が設けられ、流通口と反対側の端面には排気口が設けられ、流通口には、容器底部に対向して蓋の略水平方向に広がる平板が設けられていることを特徴とする第5~第9の態様の何れか1つに記載の美容用噴霧器にある。
【0046】
かかる第10の態様では、超音波振動により飛散する、微粒子化されていない美容液(粒子径が10μmよりも大きな液滴の美容液)が、排気口を通って外空間に吐出することを防止することができる。
【0047】
なお、上述した上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子およびセラミドは、ヒトを含む動物の胎盤から抽出されたものでもよいし、人工的に合成されたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】実施形態1に係る美容用噴霧器の一例を示す概略斜視図である。
図2図1の美容用噴霧器の概略断面図である。
図3】実施形態1に係る美容用噴霧器を用いて微粒子化した液体と超音波の周波数との関係を評価した表である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る美容用噴霧器の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0050】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る美容用噴霧器1は、上部に向かって外径が小さくなる円筒形状を呈しており、器台10と、器台10の上部に配置される容器20と、容器20を覆い器台10に対して着脱自在の蓋30とを備える。
【0051】
器台10には、器台10を机や棚等に容易に設置するための複数の脚11が器台10の裏面に設けられ、器台10の内部には、制御部とファン12が設けられている。器台10の上部は開口され、上部に容器20を設置可能としている。ファン12は、器台10の底部13から立ち上がる取り付け用の立ち上げ部14にネジ等で固定され、ファン12は、底部13から離間するよう配置されている。
【0052】
容器20は、容器底部21と、容器底部21を取り囲む壁22と、容器底部21と反対側(下側)に位置する取付部23とを備え、容器底部21と壁22とで画定される空間内に美容液を入れることができるようになっている。
【0053】
壁22は、容器底部21から立ち上がる内壁24と、内壁24の上部先端から下方に折れ曲がる外壁25とで構成されている。また、壁22には、外壁25の一部に、内壁24と外壁25とで形成される空間と、蓋30の内部空間とを連通する開口部40が設けられている。そして、容器20の取付部23には、超音波振動子50と駆動部51が取り付けられており、超音波振動子50及び駆動部51に、水、液体等が付着することを防止することができるようになっている。
【0054】
蓋30は、蓋30の内壁と外壁25とが離間するように器台10の周縁に取り付けられている。蓋30の容器底部21に面する側(容器底部21の上方)には流通口31が設けられ、蓋30の流通口31と反対側の端面には、排気口32が設けられている。
【0055】
排気口32は、蓋30の頂部に位置し、美容用噴霧器1の内空間と外空間とを連通している。ここで、外空間とは、美容用噴霧器1が設置される室内空間を示す。なお、排気口32の開口径は、流通口31の開口径より小さく形成されている。そして、流通口31には、蓋30の水平方向に広がる平板33が、超音波振動子50に対向するように設けられており、超音波振動子50の振動によって飛散する、微粒子化されていない美容液(粒子径が10μmよりも大きな液滴の美容液)が排気口32を通って外空間に吐出するのを防止することができるようになっている。
【0056】
容器20の開口部40は、外壁25の周方向に沿って細長に開口され、外壁25に少なくとも一つ形成されており、後述するファン12によって送り出された空気を、容器20と蓋0によって区画される空間に送出することができるようになっている。その結果、ファン12の駆動で発生した空気が、開口部40を通過して容器20及び蓋30内に加速されて流れ込み、微粒子化された美容液の乱流を作ることができ、効率よく微粒子化された美容液を外空間に噴霧することができる。
【0057】
なお、開口部40の上部には、外壁25から外方に突出する突出部41が形成されており、美容用噴霧器1を洗浄する際や美容液が容器20から流れ出した際に、それらが開口部40を通って器台10内部に流れ込むのを防止することができるようになっている。
【0058】
ここで、容器20の取付部23に取り付けられる超音波振動子50は、容器20内の美容液を微粒子化できるものであれば特に限定されない。超音波振動子50としては、例えば、電圧を印加することで変形する圧電素子(例えば、圧電セラミック)が挙げられる。そして、駆動部51により高周波の交流電圧が印加されると、超音波振動子50から超音波が発生し、容器20内の美容液は、平均粒子径が1μm~10μmの範囲にある微粒子に微粒子化されることになる。
【0059】
また、駆動部51が駆動すると同時にファン12が駆動し、ファン12により発生した空気の流れが、器台10から壁21の開口部40を通過して容器20内に流れ込む。すると、容器20内に微粒子化された美容液が、蓋30の流通口31を通って、排気口32から室内に噴霧状に飛散する。微粒子化された美容液は、呼吸を通じて肺や気道等から人体内に吸引される。なお、美容用噴霧器1内の空気の流れは、図2の矢印で示している。
【0060】
容器底部21と壁22とで画定される空間内に、ユ-ザ-により美容液が投入される。ここで、美容液は、美容成分が含まれているものであれば特に限定されない。美容液としては、例えば、水に、美容成分であるEFG、FGF及びセラミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が溶け込んでいるものが挙げられる。
<実施例>
【0061】
次の美容成分(wt%)が含まれる美容液(実施例)を作成した。これに含まれるセラミド等はヒトから抽出されたものと同じ成分となっている。なお、これ以外に美容液中に含まれる成分は水である。
【0062】
【表1】
【0063】
この美容液を本実施形態に係る美容用噴霧器1を用いて微粒子化した美容液と超音波の周波数との関係を図3に示す。ここで、評価の「○」は美容液を十分に微粒子化できたことを示し、「△」は美容液を微粒子化できたことを示し、「×」は美容液を十分に微粒子化できなかったことを示す。なお、実験に使用した周波数(単位MHz)は、1.0、1.4、1.6、2.1、2.4、2.8、5.0、10.0である。
【0064】
この図に示すように、周波数1.0MHzでは、周波数が低いため美容液が十分に微粒子化しないため美容効果が得られなかった。特に、EGFやFGFはセラミドに比較して分子量が大きく、微粒子化しにくいと考えられる。例えば、セラミド2(C20 Ceramide)の分子量は594であるが、EGF(Epidermal Growth Factor)は6045、FGF2(Fibroblast Growth Factor)は17200である。
【0065】
また、周波数1.4MHzでは、美容液の一部が微粒子化したに過ぎなかった。その結果、十分な美容効果を得ることができなかった。周波数1.6MHz~2.4MHzの範囲であると、美容液が十分に微粒子化して適切な平均粒子径(3μm~5μm)となり、室内に散布された美容成分を呼吸によって取り入れることができ、十分な美容効果が得られた。さらに、周波数2.8MHzでは、美容液は微粒子化されるが、周波数が高いため、一部の美容成分が分解されてしまったものと考えられる。その結果、十分な美容効果は得られなかった。そして、周波数5.0MHz以上では、多くの美容成分が分解され、十分な美容効果が得られなかった。
【0066】
なお、微粒子の平均粒子径は、レ-ザ-回析式粒度分布測定装置等(例えば、マスタ-サイザ-3000(登録商標、Malvern Panalytical社製))により測定することができる。
【0067】
次に、次に示す比較例を作製し、本実施形態に係る美容用噴霧器(周波数2.4MHz)を用いて美容液を噴霧した際に、得られる美容効果について実施例と比較した。
<比較例1>
【0068】
次の美容成分が含まれる美容液(比較例)を作成した。これに含まれる美容成分は、実施例と同様に、ヒトから抽出されたものと同じ成分となっている。なお、これ以外に美容液に含まれている成分は、実施例と同様に水である。
【0069】
【表2】
【0070】
この美容液(比較例1)と実施例を、試験者(10名)がいる空間容積35mの空間中に1日8時間、噴霧量(40g/h)で噴霧した。この作業を3日間連続して繰り返した。
【0071】
その後、第三者がその試験者の肌に触れ、試験者の肌の状態を検査した。
<比較例2>
【0072】
実施例の美容液を、3日間連続して試験者(10名)の肌に塗布した。その後、第三者がその試験者の肌に触れ、試験者の肌の状態を検査した。
これらの結果を次に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
ここで、「〇」は肌の保湿感、肌密度等の肌の状態の改善が見られたことを示し、「×」は保湿感、肌密度に改善が見られなかったことを示す。ここで、「肌の保湿感」とは肌の水分量を保つ機能いう。また、「肌密度」とは素肌のキメ細やかさと細胞の厚みの度合いを意味し、「肌密度」の高い肌とは、ふっくらと厚みのある細胞が1つ1つ密に整然と並び、キメが整った弾力のある肌をいう。なお、比較例1を噴霧した際には、残渣物がタンク内に残留していた。
【0075】
このように、実施例を空間中に噴霧することによって、直接皮膚に塗布した場合(比較例2)と比較しても、高い美容効果が得られることが分かった。
【0076】
以上の結果から、本実施形態に係る美容用噴霧器1においては、周波数が1.5MHz~2.5MHzの範囲において、美容液が微粒子化(平均粒子径1μm~10μm)され、特に周波数が1.6MHz~2.4MHzの範囲において、美容液がより適切に微粒子化(平均粒子径3μm~5μm)されることが分かった。その結果、これらの微粒子を、皮膚だけでなく、肺等からも体内に吸収することができるので、高い美容効果が得られることが分かった。
(実施形態2)
【0077】
実施形態1では、美容用噴霧器は、表1に記載された美容成分を含む美容液を噴霧するようにしたが、本発明はこれに限定されない。美容液としては、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子およびセラミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むものであれば、含まれる美容成分に応じて、高い美容効果が得らえるが、それ以外の美容成分が含まれていてもよい。
【0078】
上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子およびセラミド以外の美容成分としては、例えば、肝細胞増殖因子、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン酸、クレアチン、セリン、チロシン、テアニン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、プロリン、リシン、ロイシン(分子量89~205)、神経成長因子(NGF)、コロニ-刺激因子(CSF)、インスリン様増殖因子(IGF)、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンF、ビタミンK、ミノキシジル、ピロリジニルジアミノピリミジンオキシド、セレブロシド、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、エラスチン、1.2-ヘキサンジオ-ル、BG、デオキシリボ核酸ナトリウム、DPG、PEG-6、PEG-8、PEG-20、PEG-30、PEG-32、PEG-75、PEG-150、PEG-400、PCA-Na、プロピレングリコ-ル(PG)、アセチルヒアルロン酸Na、エチルヘキシルグリセリン、加水分解ケラチン、カプリリルグリコ-ル、グリコシルトレハロ-ス、グリセリン、グルタミン酸Na、ジグリセリン、デキストリン、エリスリト-ル、キシリト-ル、グルコ-ス、スクロ-ス、ソルビト-ル、マルチト-ル、マンニト-ル、トレハロ-ス、乳糖、ベタイン、ペンチレングリコ-ル、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、4-n-ブチルレゾ-ル、アスコルビルグルコシド、アスコルビン酸、アルブチン、エラグ酸、グルタチオン、トラネキサム酸、マグノリグナン、リン酸アスコルビルMg、アラントイン、イノシト-ル、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸エチル、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、酢酸トコフェロ-ル、ピリドキシン塩酸塩、ジパルミチン酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、塩化Al、クロルヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、グリコ-ル酸、サリチル酸、乳酸、パパイン、硫酸Na、t-フラバノン、アスタキサンチン、アセチルパントテニルエチル、アデノシン三リン酸2Na、アミノカプロン酸、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、アミノ酪酸、エストラジオ-ル、エチニルエストラジオ-ル、フェルラ酸エステル、カルニチン、L-カルノシン、D-カルノシン、カロテン、プラトニン、カンフル、グア-ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸メチル、シアノコバラミン、シルク、セチルPGヒドロキシエルチルパルミタミド、2-アミノエタンスルフォン酸、トコトリエノ-ル、トコフェリルリン酸Na、トコフェノ-ル、ナイアシンアミド、ニコチン酸トコフェノ-ルパルミチン酸レチノ-ル、パルミトイルオリゴペプチド、パンテノ-ル、パントテン酸Ca、ビオチン、ビサボロ-ル、ヒノキチオ-ル、フェルラ酸、ポリクオタニウム-7、メチオニン、ユビキノン、葉酸、リノ-ル酸、リノレン酸、リボフラビン、ルチン、レチノ-ル、アズレン等が挙げられる。
【0079】
ただし、これらの成分のうち、コラ-ゲン、プロテオグリカンおよびヒアルロン酸が含まれない美容液が好ましい。これらの化合物は、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子およびセラミドが十分に噴霧できる噴霧条件でも噴霧されにくい。その結果、美容液中に残留物として残留し、その他の美容成分の噴霧に悪影響を及ぼす可能性がある。
(他の実施形態)
【0080】
実施形態1では、美容液として表1に示される美容成分を含むものを用いたが、本発明に用いることができる美容液はこれに限定されない。
【0081】
美容液としては、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子およびセラミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むものであればよい。本発明に係る美容用噴霧器を用いて、このような美容液を噴霧しても、上述したような十分な美容効果が得られる。
【0082】
また、美容成分としては、セラミドと、上皮成長因子または線維芽細胞増殖因子の何れか一方を含むものが好ましい。本発明に係る美容用噴霧器を用いて、このような美容液を噴霧すると、より高い美容効果が得られる。
【0083】
さらに、美容成分として、セラミド、上皮成長因子および線維芽細胞増殖因子を含むものがより好ましい。本発明に係る美容用噴霧器を用いて、このような美容液を噴霧すると、さらに高い美容効果が得られる。
【0084】
そして、セラミド、上皮成長因子および線維芽細胞増殖因子が、プラセンタから抽出されたものであるものが特に好ましい。本発明に係る美容用噴霧器を用いて、このような美容液を噴霧すると、特に高い美容効果が得られる。ここで、プラセンタとは、動物の胎盤をいう。プラセンタとしては、動物の胎盤であれば特に限定されないが、例えば馬、豚およびヒトの胎盤が高い美容効果を奏するので好ましく、ヒトの胎盤が特に高い美容効果を奏するのでより好ましい。
【0085】
また、美容液中に含まれる美容成分の濃度は特に限定されないが、6.0×10-8wt%~6.0wt%の範囲のものを噴霧させると、微粒子化できると共に十分な美容効果を有するので好ましく、1.0×10-8wt%~3.0wt%の範囲のものを噴霧させると、より高い美容効果を有するのでより好ましく、2.0×10-8wt%~1.0wt%の範囲のものを噴霧させると、さらに高い美容効果を有するので特に好ましい。
【0086】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0087】
1 美容用噴霧器
10 器台
11 脚
12 ファン
13 底部
14 立ち上げ部
20 容器
21 容器底部
22 壁
23 取付部
24 内壁
25 外壁
30 蓋
31 流通口
32 排気口
33 平板
40 開口部
41 突出部
50 超音波振動子
51 駆動部

図1
図2
図3