(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】家具用レベリングフットのための改良型前方調整システム
(51)【国際特許分類】
A47B 91/02 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
A47B91/02
(21)【出願番号】P 2019541411
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2018053417
(87)【国際公開番号】W WO2018149782
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】102017000016799
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516162951
【氏名又は名称】レオナルド エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】カッタネオ カルロ
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02839761(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02653068(EP,A1)
【文献】国際公開第2005/115199(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/02
A47B 13/02
A47B 77/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの前部フットである、右前フット及び左前フット、ならびに、少なくとも2つの後部フットである、右後フット及び左後フット、を備えるタイプの、底部及び肩部を有する家具のためのレベリングフットのためのコンパクト前方調整システムであり、前記後部フットの各々は、高さ調整機構を備え、前記高さ調整機構は、それぞれの穴を通して前記フットの外側からアクセス可能であり、かつ、操作ツールによって操作されることが可能であり、前記操作ツールのためのそれぞれの支持及び案内ユニットが、前記後部フットと組合せて設けられ、前記ユニットは、前記それぞれの後部フットの前記高さ調整機構にアクセスするための前記穴と一直線となる
軸に従って、前記前部フットの間の中間位置において前記家具の前記底部上に組付けられ、前記支持及び案内ユニットは、
前記軸上に載り
前記軸と一直線となる通過穴を有する、コンパクト前方調整システムであって、
前記操作ツールのための前記支持及び案内ユニットは、前記家具の前記底部の前縁に近いエリアに制限された前記前部フットの間の中間位置に配置され、前記前部フットに拘束されて
おらず、
前記支持及び案内ユニットは、単一要素からなり、前記単一要素は、前記家具の前記底部に固定され、一対の交差する通過穴を備えることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記支持及び案内ユニットは、一対の要素からなり、前記一対の要素は、前記底部に固定され、各々が通過穴を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも2つの前部フットである、右前フット及び左前フット、ならびに、少なくとも2つの後部フットである、右後フット及び左後フット、を備えるタイプの、底部及び肩部を有する家具のためのレベリングフットのためのコンパクト前方調整システムであり、前記後部フットの各々は、高さ調整機構を備え、前記高さ調整機構は、それぞれの穴を通して前記フットの外側からアクセス可能であり、かつ、操作ツールによって操作されることが可能であり、前記操作ツールのためのそれぞれの支持及び案内ユニットが、前記後部フットと組合せて設けられ、前記ユニットは、前記それぞれの後部フットの前記高さ調整機構にアクセスするための前記穴と一直線となる軸に従って、前記前部フットの間の中間位置において前記家具の前記底部上に組付けられ、前記支持及び案内ユニットは、前記軸上に載り前記軸と一直線となる通過穴を有する、コンパクト前方調整システムであって、
前記操作ツールのための前記支持及び案内ユニットは、前記家具の前記底部の前縁に近いエリアに制限された前記前部フットの間の中間位置に配置され、前記前部フットに拘束されておらず、
前記支持及び案内ユニットは、2つの動作位置の間で移動可能な要素からなり、前記2つの動作位置における第1の位置では、前記軸が、前記右後フットの前記高さ調整機構にアクセスするために前記穴と一直線となり、前記2つの動作位置における第2の位置では、前記軸が、前記左後フットの前記高さ調整機構にアクセスするために前記穴と一直線となることを特徴とする、
システム。
【請求項4】
前記要素は、前記底部に固定されたベースに対してヒンジ接続されることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記支持及び案内ユニットは、全体的に平行六面体/角柱のだぼの形状を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、家具用レベリングフットのための改良型前方調整システムに関する。
本発明は、例えば、底部と床との間の距離が最小でありかつ制限され、システムの後部フットに対する前方アクセスの困難さを伴うキッチンベース等の、家具の底部に適用される後部フットの調整を行うのに特に適する。
【0002】
種々のレベリングシステムが知られており、レベリングシステムは、特別なトランスミッションロッドの装備及び組立てならびに後部フットの調整を含む。
家具の底部と床との間の距離が最小であるため、後部フットに達するねじ回しまたはツールで正確にかつ迅速に作業することは、実際には不可能である。かなりの距離及び利用可能な最小の空間は、後部フットの穴または調整デバイスにアクセスする困難さを生じる。これは、後部フットの特定の台座に向かって案内される、ねじ回しまたは同様のツールによって制御されるガイド及び伸張ロッドについての必要性につながる。この困難さは、例えば欧州特許第2839761号に記載されるような、一点の家具の底部に拘束された適切なガイド内への、例えば、トランスミッションロッドの配置によって克服される。
【0003】
これらのトランスミッションロッドは、結果的に、家具の底部に固定された、特定の別個の管状要素内で適切に支持され、これら管状要素は、トランスミッションロッドを案内された位置で維持し、通常のねじ回しまたはツールによる後部フットの調整を可能にする。
【0004】
フットに隣接してはいるものの、別個の支持体の存在は、別個の支持体が、設置されフットに達するために、作動とフットの両方に対して傾斜されなければならず、作動において困難さを生じる。
【0005】
代替的に、例えば、イタリア国特許出願第2011A001872号に開示されるように、フットが、フットを支持するための飾り板または取付け具内に現在のところ設けられていることによって、前記飾り板には、後部フットに向かう上記で述べたトランスミッションロッドを収容するように設計された特定の通路及びハウジングが設けられている。
【0006】
この場合、トランスミッションロッドの別個の支持体、前部フットの支持飾り板は、いずれにしても、トランスミッションロッドのために通路及びハウジングを提供しなければならない。
【0007】
さらに、種々の部品の配置のために必要な距離は、正確に予測されなければならず、用途に応じて常に同じであるわけではない。
したがって、含まれる要素は、フットのための取付け具または支持プレートであるだけでなく、トランスミッションロッドでもあり、それは、製造コスト及び組立てコストの双方を伴う。
【0008】
その結果、公知技術においては、多数の要素が、後部フットの調整システムを形成し作動させるために必要である、あるいは、前部フットのための複雑な飾り板または支持取付け具が、トランスミッションロッドの支持体をなくすことができるように、複雑な飾り板または支持取付け具内に位置決めされた相対ロッドを備えなければならない。
【0009】
全ての調整可能フットがこれらの別個の取付け飾り板を備えるのではなく、一体化された取付け具を設けることができ、その結果、使用される任意のタイプのフットの存在下で調整を試みることが同様に留意されるべきである。
【0010】
他の調整システムは、豪国特許出願公開第2009227484号及び国際公開第2010/020633号及びイタリア国特許出願第102016000024683号に例示される。
【0011】
イタリア国特許出願第102016000024683号は、少なくとも1つの前部フット(13,26,127)及び少なくとも1つの後部フット(16,27)を組合せて備えるタイプの、底部(12)及び肩部(11)を有する家具(M)のレベリングフットのためのコンパクト前方調整システムを記述し、少なくとも前記後部フット(16,27)は、高さ調整機構を備え、この高さ調整機構は、フットの外側からアクセス可能であり、ツール(22,48,123)によって操作されることができる。前記少なくとも1つの前部フット(13,26,127)は、前記少なくとも1つの後部フット(16,27)の前記調整ツールのために通過穴(20,41,41’,141’,42,43)を提供し、前記通過穴は、前記ツールのための支持体及びガイドとして機能する。
【0012】
このタイプの調整システムは、優れた結果をもたらしているが、とりわけ一部の用途について、比較的高価である。
本発明の全体的な目的は、現在のところ知られているシステムに関して特に簡素化され、したがって、非常に経済的である、家具のための後部レベリングフットのための前方調整システムを提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、底部の下の空間が極端に制限され、アクセスについての重大な困難さを伴う家具のための後部レベリングフットのための前方調整システムを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、一点の家具をレベリングするために使用される種々の構成の後部フットに適する調整システムを提供することである。
更に別の目的は、家具の後部フットの調整具を作動させるためにトランスミッションロッドを提供しない家具のための後部レベリングフットのための前方調整システムを提供することである。
【0015】
上記目的は、添付の請求項1及び従属請求項に示す特徴を有するシステムによって達成される。
本発明の構造的及び機能的特徴及び公知技術に対するその利点は、添付図面を参照しつつ、本発明自体の種々の非制限的な実施形態を例示する以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明によって生産される家具のためのレベリングフットのためのコンパクト前方調整システムの第1の例を図示する斜視図であり、操作ツールは、特定のユニットによって支持および案内され、特定のユニットは、前部フットによって、家具のためのベースにおける単一の後部フットに達するための1つのアクセスのみに制限されず、前記後部フットは調整機構を備える。
【
図2】本発明に係る調整システムの更なる例を図示する斜視図であり、操作ツールは、単一ユニットによって支持および案内され、単一ユニットは、前部フットによって、ベースの右後フットと左後フットとの両方に達するための2つのアクセスポイントに制限されず、前記後部フットの双方は、それぞれの調整機構を備える。
【
図3】本発明の第3の実施形態の斜視図であり、操作ツールは、単一ユニットによって支持および案内され、単一ユニットは、前部フットによって、家具のためのベースの右後フットと左後フットとの両方に達するための単一の配向可能アクセスに制限されず、前記後部フットの双方は、それぞれの調整機構を備える。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を全体的に参照すると、図が、一点の家具M、例えば、一点のキッチン家具(ベース)を部分的に図示し、示す例において、肩部11(側面)が、底部12に対応して終端する、すなわち、肩部11が床(図示せず)に達しないことを観察することができる。
【0018】
他の実施形態において、肩部11は床に達することができ、底部12は、床に載置される肩部11の縁に対して高い高さにあることができる。
図面から明確に見ることができるように、家具(ベース)Mは、それぞれが右、左にある少なくとも一対の前部フット13d、13s及び少なくとも一対の後部フット14d、14sを使用して床上に載置されるように設計される。前記一対の前部フット13d、13s及び後部フット14d、14sは、或る角度位置で、家具M自体の底部12に対するそれぞれの取付け具15d、15s及び16d、16sを備える。前記フット及び取付け具は、当該分野の当業者によく知られているタイプであってもよく、高さ調整機構も組込んでもよい。例えば、上記で述べた先行特許に対して参照が行われるべきである。
【0019】
既に述べたように、このタイプの家具においては、底部12の下の空間は完全に空いていなければならず、後部調整可能フット14d、14sに対する前方アクセスは、床と家具の底部12との間の距離が制限されるために不可能である場合がある。
【0020】
図面の
図1を特に参照すると、本発明によれば、操作ツール18のためのそれぞれの支持及び案内ユニット17d、17sは、前記一対の後部フット14d、14sと協働する。
【0021】
前記ユニット17d、17sは、上記で述べた前部フット13dと13sとの間の中間位置で(図示しない床に対向する外側表面上で)家具Mの底部12に固定される。
図1の実施形態において、ユニット17d、17sは、それぞれの長手方向通過穴20d、20sが横切る、細長い平行六面体の形状を有する支持及び案内要素19d、19s(だぼ)からなる。
【0022】
特徴的には、本発明によれば、前記通過穴20d、20sの長手方向対称軸は、それぞれの後部フット14d、14sの高さ調整機構(図示せず)にアクセスするための、後取付け具16d、16sの穴21d、21sの対称軸Xに一致して一直線になる(長手方向対称軸は、同じ軸Xに沿って存在する)。
【0023】
こうして、後部フット14d、14sの高さ調整は、図面の
図1に明確に図示されるように、操作ツール18を長手方向穴20d、20sに導入し、操作ツール18が調整機構へのアクセス穴21d、21sの内部に挿入されるまで操作ツール18を前方に押すことによって、容易に行うことができる。
【0024】
図面の
図2の本発明の実施形態では、操作ツール18のための単一の支持及び案内ユニット22が図示されており、前記ユニット22は、右前フットと左前フットとの間の中間位置で底部12に固定される。
【0025】
前記ユニット22は、全体的に角柱の要素(だぼ)23からなり、要素23の内部には、(一対の)交差する通過穴24d、24sが形成されている。
この場合もまた、
図1の実施形態の場合と同様に、前記通過穴24d、24sの長手方向対称軸は、それぞれの後部フット14d、14sの高さ調整機構(図示せず)にアクセスするための、後取付け具16d、16sの穴21d、21sの対称軸Xに一致して一直線になる(長手方向対称軸は、同じ軸Xに沿って存在する)。
【0026】
調整は、
図1を参照しながら既に説明したように行われる。
図面の
図3の本発明の実施形態では、操作ツール18のための単一の支持及び案内ユニット25が図示されており、前記ユニット25は、右前フットと左前フットとの間の中間位置で底部12に固定されている。
【0027】
前記ユニット25は、長手方向通過穴27が横切る、細長い平行六面体形状を有する支持及び案内要素26からなる。
前記要素26は、底部12に固定されたベース29に対して28でヒンジ接続される。
【0028】
こうして、要素26は、ベース29の停止部30によって決定される2つの終端動作位置の間で回転することができる。
図3において明確に見ることができるように、前記2つの動作位置において、前記通過穴27の長手方向対称軸は、後部フット14d、14sのそれぞれの高さ調整機構にアクセスするための、後取付け具16d、16sの穴21d、21sの対称軸Xに一致して一直線になる(長手方向対称軸は、同じ軸Xに沿って存在する)。
【0029】
調整は、
図1及び
図2を参照しながら既に説明したように行われるが、同じ操作ツール18によって、2つの終端動作位置のいずれかの位置への要素26の28を中心とする回転が生じて、右後フットまたは左後フットのうちどちらか一方の調整も行われる。
【0030】
前部フット13d、13sも、アクセス穴32を通る操作ツール31によって操作することができる高さ調整機構を備える。この場合もまた、高さ調整機構は、当業者によく知られている任意のタイプであってもよい(しかも、床に載置されるフットのベースに直接作用しながら操作可能であってもよい)。
【0031】
したがって、極めて経済的かつ機能的である調整システムを提供するという、本明細書の冒頭で述べた目的が達成された。
本発明の保護範囲は添付の請求項によって規定される。