(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】チップ電子部品検査用のローラ電極接触子を備えた装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20220720BHJP
B65G 47/80 20060101ALI20220720BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20220720BHJP
B07C 5/344 20060101ALN20220720BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R31/26 Z
B65G47/80 C
H01G13/00 361A
B07C5/344
(21)【出願番号】P 2020144785
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2022-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592081117
【氏名又は名称】株式会社ヒューモラボラトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100074675
【氏名又は名称】柳川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】森 規与仁
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056483(JP,A)
【文献】特開2014-153364(JP,A)
【文献】特開2015-213121(JP,A)
【文献】特開2006-194831(JP,A)
【文献】特開平09-325172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
B65G 47/80
H01G 13/00
B07C 5/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ電子部品搬送円盤;チップ電子部品を収容保持した搬送円盤を間欠的な回転が可能なように、垂直あるいは傾斜状態で軸支する搬送円盤支持台;搬送円盤支持台の背後に備えられた排気装置;そして、それぞれ、搬送円盤支持台の周囲の搬送円盤の回転経路に沿った位置に設けられた、搬送円盤の表面にチップ電子部品を供給してその透孔に収容保持させるためのチップ電子部品供給装置、搬送円盤の透孔に収容保持されたチップ電子部品の電気特性を測定するための、上側電極端子がローラ電極端子とされた電極端子セットを備えた電気特性測定装置、そして電気特性が測定されたチップ電子部品を取り出して回収するためのチップ電子部品回収装置を備えたチップ電子部品検査選別装置であって、上記ローラ電極端子に、研磨材粉末層を一方の表面に形成した柔軟なテープ或いはシートを、ローラ電極がチップ電子部品の電極と接触している部位とは異なる部位にて、その研磨材粉末層表面がローラ電極と継続的に接触できるように組み込んでなることを特徴とするチップ電子部品検査選別装置
【請求項2】
上側ローラ電極端子が、ローラ電極、そしてローラ電極をチップ電子部品の電極面
と接触させ、その状態でローラ電極を回転可能に支持するローラ電極支持具を含む構成である請求項1に記載のチップ電子部品検査選別装置。
【請求項3】
上側ローラ電極端子が、ローラ電極を回転可能に保持するローラ回転軸保持手段、そして当該ローラ回転軸保持手段を収容し、ローラ回転軸保持手段に保持されているローラ電極をチップ電子部品の電極面に押し付けることのできる弾性手段を備えたハウジングからなる構成を持つ請求項1に記載のチップ電子部品検査選別装置。
【請求項4】
上側ローラ電極端子が、ローラ電極を回転可能に支持するローラ回転軸保持手段、そして当該ローラ回転軸保持手段に接続されている、ローラ回転軸保持手段に保持されているローラ電極をチップ電子部品の電極面に押し付けることのできる弾性手段を備えた構成を持つ請求項1に記載のチップ電子部品検査選別装置。
【請求項5】
研磨材粉末層の研磨材粉末が、微粒子粉末とされたダイヤモンド粉末、酸化アルミニウム粉末、及びシリコンカーバイド粉末から選ばれる剛性材料の微粒子粉末である請求項1に記載のチップ電子部品検査選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ電子部品検査用のローラ電極接触子を備えた装置に関する。さらに詳しくは、同一規格で大量に生産されたチップキャパシタ(チップコンデンサとも云う)に代表されるチップ電子部品の電気特性を連続的かつ高速に検査選別するために用いられるチップ電子部品検査選別装置であって、チップ電子部品の電気特性検査用の接触子としてローラ電極接触子を利用するタイプのチップ電子部品検査選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、液晶テレビジョン、電子ゲーム機などの小型電子機器の生産量の増加に伴い、このような小型電子機器に組み込まれる微小なチップ電子部品の生産量が著しく増えている。チップ電子部品の多くは、セラミック基材から形成された柱状の本体部と、対向する両端面のそれぞれに備えられている電極部から構成されている二電極端子構成の電子部品である。このような構成のチップ電子部品の代表例としては、チップキャパシタ(チップコンデンサとも云う)を挙げることができる。
【0003】
近年、チップ電子部品が組み込まれる電子機器のさらなる小型化そして電子機器に組み込まれるチップ電子部品の数の増加に対応するため、チップ電子部品は非常に小さくなってきている。例えば、チップキャパシタについては、極めて小さなサイズ(例えば、1608と呼ばれる、1.6mm×0.8mm×0.8mmのサイズ;1005と呼ばれる、1.0mm×0.5mm×0.5mmのサイズ;更には、0402チップと呼ばれる、0.4mm×0.2mm×0.2mのサイズ)のものが用いられるようになっており、このような微小のチップ電子部品は、大量生産により、一回の生産単位が数万~数十万個という単位で生産されている。
【0004】
チップ電子部品が組み込まれる電子機器の組立の際には、組み込まれるチップ電子部品の欠陥に起因して電子機器が不良品となることを防ぐため、一般に、組み込まれるチップ電子部品の全数について、その電気特性の検査が行なわれる。例えば、電子機器に組み込まれるチップキャパシタについては、一般に、電子機器への組み込み前にその全数について、静電容量や漏れ電流等の電気特性の検査が実施される。
【0005】
大量のチップ電子部品の電気特性の検査は連続的かつ高速に行なう必要があり、その検査を自動的に行なうための装置として、近年では、多数のチップ電子部品の収容(仮収容)のための透孔が円盤表面に同心円状に複数列形成されているチップ電子部品搬送円盤(単に「搬送円盤」あるいは「ロータ」と呼ばれることがある)を間欠的な回転が可能なように装着した、チップ電子部品の電気特性の検査と選別のための自動化装置(すなわち、チップ電子部品検査選別装置)が一般的に利用されるようになっている。
【0006】
従来から利用されているチップ電子部品検査選別装置の代表的な構成の例は、特許文献1及び特許文献2に記載され、図示されている。
【0007】
上記各特許文献の記載と図示から理解できるように、一般のチップ電子部品検査選別装置は、チップ電子部品を収容(検査のための仮収容を意味する)し、保持させるための多数の透孔が形成された搬送円盤;この搬送円盤を間欠的に回転させるために垂直あるいは傾斜状態で軸支する搬送円盤支持台(基準台あるいはベース板とも呼ばれる);搬送円盤支持台の周囲の、搬送円盤の回転経路に沿った位置に配置された、搬送円盤の表面上にチップ電子部品を供給して搬送円盤の透孔に収容保持させるためのチップ電子部品供給装置;搬送円盤支持台の背後に設置された、装置内部の空気を吸引・排気して、搬送円盤にチップ電子部品を収容保持させる排気装置;搬送円盤の透孔に収容保持されたチップ電子部品の電気特性を測定するための、一対の上側電極端子(検査用上側接触子)と下側電極端子(検査用下側接触子)とを備えた電気特性測定装置;電気特性測定装置に連結しているチップ電子部品選別装置;そして電気特性が測定されたチップ電子部品を搬送円盤より取り出し、回収するためのチップ電子部品回収装置;を備えた装置と云うことができる。
【0008】
チップ電子部品検査選別装置の使用に際しては、この装置内に垂直もしくは傾斜状態で配置されている搬送円盤支持台の前面側もしくは上面側に搬送円盤を装着し、その搬送円盤を間欠的に回転させながら、搬送円盤支持台の背後の排気装置を作動させて搬送円盤の透孔内にチップ電子部品を吸引して収容保持させ、次いで、搬送円盤を、その回転経路に沿った位置に設置されている電気特性検査部に回転移動させ、その電気特性検査部において、搬送円盤に保持されているチップ電子部品の各電極に、電気特性測定装置の上側電極端子と下側電極端子とを接触させて、所定の電圧の電気エネルギーを印加し、そのチップ電子部品の電気特性を検査(測定)する作業が行われる。そして、上記の各電極端子に電気的に接続されているチップ電子部品選別装置により、チップ電子部品の検査(測定)と選別が行われる。
【0009】
例えば、チップキャパシタの静電容量の測定を行う場合には、電気特性検査部にて、チップ電子部品検査選別装置に備えられた電気特性測定装置から一対の電極端子(検査用接触子)を介してチップキャパシタに所定の周波数を持つ検査用電圧が印加される。そして、この検査用電圧の印加によりチップキャパシタで発生する電流の電流値を検出し、この電流値と印加した検査用電圧の電圧値に基づき、検査対象のチップキャパシタの静電容量の検査が行なわれる。
【0010】
搬送円盤に収容保持したチップ電子部品の検査(電気特性の測定)が終わると、その検査結果に基づき、チップ電子部品を搬送円盤の透孔から所定の容器に選別収容されるように排出させる作業が行われる。このため、通常のチップ電子部品検査選別装置には、さらに検査後のチップ電子部品の選別(あるいは分類)を行うためのチップ電子部品選別部が付設されている。
【0011】
特許文献3には、特許文献1に記載のチップ電子部品検査選別装置を改良した装置を利用するチップ電子部品の電気特性の連続的な検査方法が記載されている。この特許文献3の
図1には、二電極端子タイプのチップ電子部品の基本構成の例が示されており、そして
図4の(a)、(b)には、それぞれ、チップ電子部品搬送円盤の前側表面と搬送円盤支持台の断面が図示されている。なお、この特許文献3の
図4に示されているのは、三列の透孔の列が同心円状に表面に形成されたチップ電子部品搬送円盤であるが、現在主流となっているのは同心円状の六列または八列の透孔の列が表面に形成されたチップ電子部品搬送円盤である。
そして、特許文献3の
図7、
図8そして
図9には、それぞれ、チップ電子部品が搬送円盤の透孔に収容保持された後、電気特性が測定され、最後に排出回収される一連の操作が図示されている。
【0012】
ところで、チップ電子部品検査選別装置の電気特性測定装置に備えられている一対の電極端子(検査用接触子)の内の上側接触子としては、以前は、特許文献2の
図7や
図8に示されているような細長い板状の接触子(レバー接触子)が用いられていたが、近年ではローラ電極タイプの接触子(ローラ電極端子)が一般的に用いられるようになっている。このローラ電極端子については、特許文献4及び特許文献5に詳しい記載と図示があるが、いずれのローラ電極端子も、ローラ電極と、そのローラ電極をチップ電子部品の電極面と接触させ、その状態でローラ電極を回転可能に支持するローラ支持具とを含む構成となっている。
【0013】
特許文献4には、ハウジングに収容された上側ローラ電極端子と平坦な頂面を持つ棒状の下側電極端子の組合せで、チップ電子部品の検査を行うシステムが記載され、図示されている。そして、特許文献4の[0049]~[0054]には、上側ローラ電極端子のローラ電極表面に、チップ電子部品の電極面から剥離した金属の酸化物などの非導電性汚染物が堆積すること、そして間欠的に回転する搬送円盤の上側表面に沿って上側ローラ電極端子を移動させ、接触させることにより、その非導電性汚染物の除去を行うことができることの記載がある。
【0014】
特許文献5には、ローラ電極端子として、板バネ状の支持体の先端に備えられたローラ電極端子と棒状の下側電極端子との組合せが開示されている。そして、この下側電極端子の頂面に汚染物が堆積すること、そしてチップ電極部品を収容した搬送円盤の回転に合わせて下側電極端子の上昇と下降とを繰り返し、下側電極端子の頂面と搬送円盤の下側表面とをこすり合わせることにより、下側電極の頂面に堆積した汚染物を除去することができるとの開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2001-26318号公報
【文献】特許第3426246号公報(WO97/018046公報に対応する日本出願の特許公報)
【文献】特開2015-213121号公報
【文献】特開2018-56483号公報
【文献】米国特許公開2006/0028224 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献4には、上述のように、上側ローラ電極端子のローラ電極表面に堆積した非導電性汚染物を、回転する搬送円盤の上側表面とローラ電極との物理的な接触を利用して除去するシステムの記載があり、また特許文献5には、回転する搬送円盤の下側表面と下側棒状電極の頂面との物理的な接触を利用して、下側棒状電極の頂面の汚染物質を除去するシステムの記載がある。しかしながら、電極表面と搬送円盤の表面との物理的な接触による電極表面の汚染物の除去システムは、樹脂材料から作られている搬送円盤の表面を傷つけることが危惧されるため、必ずしも満足できる方法とは云えない。
【0017】
特に、チップ電子部品は近年、前述のように、極めて小さなサイズを持つように小型化され、極小といえるサイズのものが主流となっている。本発明の発明者の検討によると、このような極小のチップ電子部品の検査選別を行うためのチップ電子部品検査選別装置では、必然的に、チップ電子部品を透孔の縦方向(長手方向)を垂直に収容保持して搬送する搬送円盤の厚みを、チップ電子部品の縦方向の長さよりも僅かに小さく(薄く)する必要がある。 従って、このように極度に薄い円盤となった搬送円盤では、その物理的強度の低下を引き起こしやすい表面の傷の発生は可能な限り回避することが望ましい。
【0018】
本発明は、チップ電子部品検査選別装置に備えられている上側ローラ電極端子のローラ表面に堆積した非導電性汚染物を、搬送円盤の表面を傷付けること無く、効率良く除去するシステムを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の発明者は、チップ電子部品検査選別装置の上側ローラ電極端子のローラ表面に堆積した非導電性汚染物を、搬送円盤の表面を傷付けることなく除去する方法を見出すことを目的として研究を行った結果、研磨材粉末層を一方の表面に形成した柔軟なテープ(或いはシート)、すなわち研磨テープ(或いは研磨シート)を用意した上で、この研磨テープを、回転状態にある非導電性汚染物が堆積したローラ表面と、ローラ電極がチップ電子部品の電極と接触している部位とは異なる部位にて、その研磨材粉末層表面をローラ電極と継続的に接触できるように、上側ローラ電極端子に組み込むことにより、電気特性の測定に必要なローラ電極とチップ電子部品の電極面との接触を妨げること無く、かつ搬送円盤の表面に傷を与えること無く、ローラ電極表面に堆積した非導電性汚染物を効果的に除去することができることを見出し、本発明に到達した。
【0020】
従って、本発明は、チップ電子部品搬送円盤;チップ電子部品を収容保持した搬送円盤を間欠的な回転が可能なように、垂直あるいは傾斜状態で軸支する搬送円盤支持台;搬送円盤支持台の背後に備えられた排気装置;そして、それぞれ、搬送円盤支持台の周囲の搬送円盤の回転経路に沿った位置に設けられた、搬送円盤の表面にチップ電子部品を供給してその透孔に収容保持させるためのチップ電子部品供給装置、搬送円盤の透孔に収容保持されたチップ電子部品の電気特性を測定するための、上側電極端子がローラ電極端子とされた電極端子セットを備えた電気特性測定装置、そして電気特性が測定されたチップ電子部品を取り出して回収するためのチップ電子部品回収装置を備えたチップ電子部品検査選別装置であって、上記ローラ電極端子に、研磨材粉末層を一方の表面に形成した柔軟なテープ或いはシートを、ローラ電極がチップ電子部品の電極と接触している部位とは異なる部位にて、その研磨材粉末層表面がローラ電極と継続的に接触できるように組み込んでなることを特徴とするチップ電子部品検査選別装置にある。
【0021】
本発明のチップ電子部品検査選別装置の上側ローラ電極端子は、ローラ電極、そしてローラ電極をチップ電子部品の電極面との接触させ、その状態でローラ電極を回転可能に支持するローラ電極支持具を含む構成であることが好ましい。そのローラ電極支持具の具体的な構成としては、下記の構成を挙げることができる。
(1)特許文献4に記載、図示されている構成、すなわち、ローラ電極を回転可能に保持するローラ回転軸保持手段、そして当該ローラ回転軸保持手段を収容し、ローラ回転軸保持手段に保持されているローラ電極をチップ電子部品の電極面に押し付けることのできる弾性手段(例、コイルスプリング)を備えたハウジングからなる構成、そして
(2)特許文献5に記載、図示されている構成、すなわち、ローラ電極を回転可能に支持するローラ回転軸保持手段、そして当該ローラ回転軸保持手段に接続されている、ローラ回転軸保持手段に保持されているローラ電極をチップ電子部品の電極面に押し付けることのできる弾性手段(例、板状バネ)を備えた構成を挙げることができる。
【0022】
また、本発明で使用する研磨材粉末層を一方の表面に形成した柔軟な(すなわち、フレキシブルな)テープ或いはシートに用いる研磨材粉末としては、微粒子粉末とされたダイヤモンド粉末、酸化アルミニウム粉末、シリコンカーバイド粉末などの剛性材料粉末を挙げることができる。そして、柔軟なテープ或いはシートは、ポリエステルテープ(或いはシート)を代表とする合成樹脂製テープあるいはシートであることが望ましい。研磨材粉末層は、基材となるテープあるいはシートの表面に平滑に塗布形成されたものであることが望ましい。このような研磨材粉末層を一方の表面に形成した柔軟なテープ或いはシートは、例えば、3Mラッピングフィルムあるいは3Mダイヤモンドラッピングフィルムとの商品名で市販されている。
【発明の効果】
【0023】
本発明のチップ電子部品検査選別装置では、その運転により、その上側ローラ電極端子のローラ電極面に堆積した汚染物、特にチップ電子部品の電極面との接触によりローラ電極面に付着したスズ酸化物などの非導電性酸化物を、チップ電子部品搬送円盤の表面に傷付けることなく継続的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1乃至
図10は、本発明に関する従来技術を説明する図である。そして、
図11乃至
図14は、本発明のチップ電子部品検査選別装置に備えられたローラ電極の表面の非導電性汚染物(堆積物)の除去手段の構成例を示す図である。
【
図1】標準的な二端子(二電極端子)タイプのチップ電子部品の構成を示す斜視図である。
【
図2】搬送円盤の回転を支持する搬送円盤支持台を垂直に配置した一般的なチップ電子部品検査選別装置の全体構成の概要を示す正面図である。
【
図3】搬送円盤の前面の標準的な構成を示す平面図である。
【
図4】搬送円盤の回転経路に沿って配置された、チップ電子部品供給部、電気特性測定部、そしてチップ電子部品回収部の位置関係を示す概略図である。
【
図5】(a)は、
図1と
図4に示したチップ電子部品供給部の正面図であって、裏面に備えられているチップ電子部品供給棚も併せて示す。(b)は、(a)の側面断面図であって、併せて搬送円盤との位置関係を示す。
【
図6】搬送円盤支持台とその前面に装着された搬送円盤との位置関係を示す断面図である。
【
図7】チップ電子部品供給装置に供給されたチップ電子部品が、搬送円盤支持台の背後の排気装置の作用により搬送円盤の透孔に収容される様子を模式的に示す図である。
【
図8】搬送円盤の透孔に収容されたチップ電子部品の電気特性を検査部にて検査する工程を示す図である。この図では、上側接触子(電極端子)と下側接触子(電極端子)のいずれもが、以前から利用されているの棒状接触子である構成を示している。
【
図9】電気特性の測定を終えたチップ電子部品を搬送円盤の透孔から排出させ、回収する工程を示す断面図である。
【
図10】(a)は、上記の
図8に対応する図であって、チップ電子部品検査選別装置の整列配置された上側ローラ電極端子を示す。(b)は、上側ローラ電極端子の側面断面図であり、そして(c)は、(b)の上側ローラ電極端子のローラ電極部分の拡大図(断面図)である。
【
図11】非導電性汚染物(堆積物)の除去手段(研磨テープ)を装着した上側ローラ電極端子の断面図であって、本発明のチップ電子部品検査選別装置の上側ローラ電極端子の構成例を示す。
【
図12】(a)は、
図11に断面図として示した研磨テープを装着した上側ローラ電極端子の背面図であり、そして(b)は、上側ローラ電極端子を構成する各部品と研磨テープを示し、かつそれらの組立方法を説明する構成図である。
【
図13】(a)は、
図11と
図12に示した非導電性汚染物の除去に用いられる研磨テープの形状例(平面図)を示す図である。(b)は、並列した複数の上側ローラ電極端子の研磨に有効な、複数の研磨テープが一体化されて形成された態様を示す図である。
【
図14】(a)は、研磨テープの別の装着位置を示し、(b)は、その上側ローラ電極端子を構成する各部品と研磨テープの組立を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
最初に、従来より使用されている一般的なチップ電子部品検査選別装置とチップ電子部品搬送円盤の構成について、添付図面の
図1乃至
図10を参照して簡単に説明する。
【0026】
図1は、検査対象となるチップ電子部品の代表例であるチップキャパシタの標準的な構成を示す図であって、チップキャパシタ1は、誘電体からなるキャパシタ本体1aとその両端に対向して設けられた一対の電極1b、1bとから構成されている。
【0027】
図2は、搬送円盤の回転を支持する搬送円盤支持台を垂直に配置したチップ電子部品検査選別装置の構成例を示す正面図である。
図2に示すチップ電子部品検査選別装置10には、搬送円盤11がその背面にて搬送円盤支持台に取り付けられている。
【0028】
図3は、搬送円盤11の正面図を示し、この搬送円盤11には、チップ電子部品を一時的に収容する複数の透孔(チップ電子部品収容保持孔)が同心円状に並んだ配置で形成されている。
【0029】
搬送円盤11の周囲には、
図2や
図4に見られるように、チップ電子部品の供給収容部101(チップ電子部品供給箱44を備えている)、チップ電子部品電気特性の測定装置が配置されている電気特性測定部102、そしてチップ電子部品の選別回収部103が、搬送円盤11の回転経路に沿って設けられている。
【0030】
図5は、チップ電子部品供給部11の正面図であって、チップ電子部品供給箱44、そして裏面に備えられているチップ電子部品供給棚33も併せて示している。(b)は、(a)の側面断面図であって、併せて搬送円盤11との位置関係を示す。
【0031】
検査(測定)対象のチップ電子部品は、チップ電子部品供給箱44に一旦貯留され、円弧状に形成されているチップ電子部品供給棚33に順次送り込まれ、その後、搬送円盤支持台の背後に備えられた排気装置の排気作用(吸引作用)により、間欠的な回転下にある搬送円盤11の透孔に収容される。
【0032】
図6に、搬送円盤支持台45と搬送円盤11との位置関係を示す。搬送円盤11は、搬送円盤支持台45の中央に備えられた回転具41に装着されて、間欠的な回転を行う。
【0033】
図7に、チップ電子部品供給装置に供給されたチップ電子部品が、チップ電子部品供給棚33の表面に沿って移動し、搬送円盤11の透孔に近接する位置に到達すると、搬送円盤支持台45の背後の排気装置の作用により搬送円盤11の透孔に収容される様子を模式的に示す。
【0034】
チップ電子部品を収容した搬送円盤11は回転を続け、次いで検査部(電気特性測定位置)102で一時的に停止する。検査部102では、
図8に示すように、個々のチップ電子部品19(19a、19b、・)のそれぞれの両端の電極(22a、22b)を、検査器に電気的に接続するため、搬送円盤11の透孔11aの両開口部に近接した位置に、それぞれ対として構成された電極端子13a、12aが配置されている。これらの電極端子の内、下側の電極端子12aは通常、固定電極端子であって、その周囲に配設された電気的に絶縁性の筒体51により、搬送円盤支持台45に固定されている。一方、上側の電極端子13aは、可動電極端子であり、
図8では、可動電極端子は棒状の電極端子が示されている。
【0035】
検査部102では、搬送円盤11の半径方向に一列に並ぶように収容配置された6個のチップ電子部品19a、19b、・のそれぞれについて、電気特性が検査され、所定の電気特性を示すチップ電子部品が選別される。
【0036】
電気特性が検査されたチップ電子部品は、次いで搬送円盤11の回転移動により、
図2と
図4に示すチップ電子部品の分類部103に送られ、検査結果に基づいて選定されたチップ電子部品の分類(選別)が行われる。
【0037】
図9に、チップ電子部品の分類部でのチップ電子部品の分類工程を模式図として示す。分類部では、搬送円盤支持台45に、加圧気体噴出孔45bが形成されていて、この加圧気体噴出孔45bは加圧気体生成装置63に接続されている。加圧気体は一般に空気の加圧により作り出される。
【0038】
搬送円盤の回転移動によって分類部に送られた電気特性検査済のチップ電子部品19a、19b、・、搬送円盤支持台45の加圧気体噴出孔45bに対応する位置にて停止しする。そして、制御器15から送られてくる制御信号に基づき、
図9に示されているように、加圧気体噴出孔45bを介して加圧気体が搬送円盤11の透孔11aに供給され、その加圧気体の供給により透孔11a内のチップ電子部品19aが吹き上げられて排出され、チップ電子部品排出パイプ62の内部を通ってチップ電子部品回収ケースに収容される。
【0039】
次に、本発明のチップ電子部品検査選別装置の上側ローラ電極端子の構成について説明する。
【0040】
図10の(a)は、先に従来技術として説明した
図8に対応する図であって、チップ電子部品検査選別装置の整列配置された上側ローラ電極端子71を示す。(b)は、一個の上側ローラ電極端子71の側面断面図であり、そして(c)は、(b)の上側ロール電極端子のローラ電極部分71の拡大図(断面図)である。
【0041】
図10の側面断面図(b)と拡大図(c)に見られるように、上側ローラ電極端子71は、ローラ電極72、そしてローラ電極72をチップ電子部品の電極面との接触させ、その状態でローラ電極72を回転可能に支持するローラ電極支持具73を含む。上側ローラ電極端子71は、ローラ電極72を回転可能に保持するローラ回転軸保持手段74、そして当該ローラ回転軸保持手段74を収容し、ローラ回転軸保持手段74に保持されているローラ電極72をチップ電子部品の電極面に押し付けることのできる弾性手段(例、コイルスプリング)75を備えたハウジング76から構成されている。
【0042】
図11は、
図10の(c)の拡大図に対応する断面図であって、
図11では、本発明の特徴的構成である研磨テープ77が、ローラ電極支持具73に組み込まれた状態を示す。研磨テープ77についての詳細は、本明細書において既に説明した。
【0043】
図12の(a)は、
図11に断面図として示した研磨テープ77を装着したローラ電極支持具73の背面図(裏側から見た図面)である。ローラ電極支持具73を構成する各部品(研磨テープ77を含む)、そしてそれらの組立方法については、
図12の(b)により明らかにされている。
【0044】
ローラ電極支持具73に組み込む前の研磨テープ77の平面図を
図13の(a)に示す。この研磨テープ77は通常、研磨材層が塗布形成された研磨材シートから切り抜くことにより製造される。そして、
図13の形状に切り抜かれた研磨テープ77は、ローラ電極支持具73に組み込む前に、予め
図12の(b)に図示したような形状に折り曲げられ、その上で、ローラ電極支持具73に組み込まれる。研磨テープ77の材料や構成については、本明細書において既に説明した。
(b)には、並列した複数の上側ローラ電極端子の研磨に有効な複数の研磨テープが一体化された態様のものが示されている。
【0045】
また、
図11と
図12には、研磨テープ77が、ローラ電極72の上側で接触するように、ローラ電極支持具73に組み込まれた構成が示されているが、研磨テープ77は、ローラ電極72に手前下側に接触するように組み込んでもよい。この構成例を、
図14の(a)と(b)に示す。
また、特に図示はしないが、研磨テープ77は、ローラ電極72がチップ電子部品の電極と触れる直前に接触するように、ローラ電極支持具73の前方側に垂直方向(或いは傾斜して)に装着されていてもよい。
【0046】
本明細書では、チップ電子部品検査選別装置の構成の説明、そして本発明の作用効果をチップ電子部品搬送円盤が垂直方向に配置されて作動するチップ電子部品検査選別装置を例にして説明したが、本発明のチップ電子部品検査選別装置は、チップ電子部品搬送円盤が基台に傾斜した状態で軸支されて装着される装置であってもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1、19a チップ電子部品(チップキャパシタ)
1b 電極部
10 チップ電子部品検査選別装置
11 チップ電子部品搬送円盤(搬送円盤)
71 ローラ電極端子
72 ローラ電極
73 ローラ電極支持具
74 ローラ回転軸保持手段
75 コイルスプリング
76 ハウジング
77 研磨テープ