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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】電気手術装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/295 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
A61B17/295
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017002909
(22)【出願日】2017-01-11
(65)【公開番号】P2017148492
(43)【公開日】2017-08-31
【審査請求日】2019-11-20
(31)【優先権主張番号】1600546.4
(32)【優先日】2016-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1600558.9
(32)【優先日】2016-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】594089821
【氏名又は名称】ジャイラス メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(72)【発明者】
【氏名】ネイル トーマス ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ミューリグ ジョーンズ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-541988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0155878(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0215215(US,A1)
【文献】特開平09-122138(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276803(US,A1)
【文献】特表2002-512544(JP,A)
【文献】特表2011-505198(JP,A)
【文献】米国特許第05925043(US,A)
【文献】特開2010-075699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/295
A61B 18/12 - 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具であって、
ハンドルと、
1対の湾曲した第1の及び第2の挟持部材であって、前記湾曲した挟持部材の一方又は両方が、それらの間に湾曲した走路を形成できるように、湾曲したスロットを含む、1対の湾曲した第1の及び第2の挟持部材と、
前記湾曲した走路内で長手方向に移動して展開位置につくように位置付けられた刃アセンブリであって、その遠位端に切断刃を含む刃アセンブリと、
前記ハンドル上に位置付けられ、第1の位置と第2の位置との間で可動であるトリガ機構であって、前記トリガ機構のその第1の位置からその第2の位置への動きが、前記刃アセンブリのその展開位置への長手方向移動を引き起こす、トリガ機構と、
を備え、
前記刃アセンブリは、互いに隣接して配置された3つの領域を含み、
前記3つの領域は、
第1の長手方向に伸びるスロットを含む遠位の第1の領域と
長手方向軸に沿って前記第1の長手方向に伸びるスロットと整列し且つ前記第1の長手方向に伸びるスロットよりも小さい第2の長手方向に伸びるスロットを含む中間の第2の領域であって、前記中間の第2の領域は、前記遠位の第1の領域よりも小さい横方向の柔軟性を有する、中間の第2の領域と、
前記中間の第2の領域よりも小さい横方向の柔軟性を有する近位の第3の領域と、
を含む、ことを特徴とする手術器具。
【請求項2】
請求項1に記載の手術器具であって、
前記刃アセンブリは、その幅又はその長さのいずれかを大幅に下回る厚さを有する棒の形態をとる、手術器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の手術器具であって、
前記第1の長手方向に伸びるスロットと前記第2の長手方向に伸びるスロットとは連続している、手術器具。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の手術器具であって、
前記刃アセンブリの前記遠位の第1の領域は、前記第1の長手方向に伸びるスロットを含む複数の長手方向に伸びるスロットを備える、手術器具。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の手術器具であって、
前記刃アセンブリの前記遠位の第1の領域及び前記中間の第2の領域は、ともに、前記第1および第2の長手方向に伸びるスロットを含む複数の長手方向に伸びるスロットを備え、前記遠位の第1の領域における長手方向に伸びるスロットの数は、前記中間の第2の領域における長手方向に伸びるスロットの数よりも多い、手術器具。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の手術器具であって、
前記刃アセンブリの前記遠位の第1の領域及び前記中間の第2の領域は、ともに、前記第1および第2の長手方向に伸びるスロットを含む複数の長手方向に伸びるスロットを備え、前記遠位の第1の領域における前記複数の長手方向に延びるスロットの面積は、前記中間の第2の領域における前記複数の長手方向に延びるスロットの面積よりも大きい、手術器具。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれか一項に記載の手術器具であって、
前記複数の長手方向に伸びるスロットは、前記刃アセンブリのボディの内部領域内に位置付けられる、手術器具。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれか一項に記載の手術器具であって、
前記刃アセンブリの厚さは、前記遠位の第1の領域において、前記中間の第2の領域におけるその厚さ未満である、手術器具。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれか一項に記載の手術器具であって、
前記刃アセンブリの少なくとも一部が、低摩擦コーティングでコーティングされる、手術器具。
【請求項10】
請求項1ないしのいずれか一項に記載の手術器具であって、
前記刃アセンブリがその展開位置にあるときに、前記挟持部材によって形成された前記湾曲した走路内に前記中間の第2の領域が少なくとも部分的に位置付けられるように、前記遠位の第1の領域は、前記中間の第2の領域よりも遠位側に位置付けられる、手術器具。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の手術器具であって、
前記ハンドルは、更に、第1の位置と第2の位置との間で可動であるクランプ機構を含み、前記クランプ機構のその第1の位置からその第2の位置への動きが、前記湾曲した挟持部材のうちの少なくとも一方を、もう一方に相対的に、前記挟持部材が互いに間隔をあけて配される第1の開位置から、前記湾曲した挟持部材が間に組織を把持するために協働する第2の閉位置へ動かす、手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書で説明される本発明の実施形態は、電気手術装置に関し、特に、機械的な刃が組織切断作用を提供し、電気手術電極と相まって組織凝固効果又は組織封止効果を提供するような、電気手術鉗子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気手術器具には、凝固及び組織封止の目的で使用できるという意味で、旧来の手術器具に勝る点がある。先行技術によるこのような配置の1つが、US2015/223870A1から知られている。該文献は、ハウジングとシャフトとを含む内視鏡用バイポーラ鉗子について記載しており、シャフトは、その遠位端に、組織を間に把持するための2つの挟持部材を含む電気手術エンドエフェクタアセンブリを有する。各挟持部材は、間に保持された組織に対して組織封止を実現することを可能にする電気手術エネルギ源に接続されるように構成される。ハウジング内には、挟持部材を動かすための駆動アセンブリが含まれる。また、可動式のハンドルも含まれ、該ハンドルの動きが駆動アセンブリを作動させて、挟持部材を互いに相対的に動かす。エンドエフェクタには、ナイフ通路が含まれ、その中におけるナイフの刃の往復運動を可能にして組織の切断を可能にするように構成される。
【0003】
その他の先行技術配置として、US5,730,740、US5,104,397、US4,800,880、WO98/14124、US2012/0109186、US5,352,235、WO2014/074807、US7,846,161、WO2008/024911、US5,776,130、US6,039,733、US6,179,834、US7,131,971、US7,766,910、EP2628459、US2014/0221999、US7,083,618、US2009/0248020、US2015/0209103、US5,797,938、及びUS7,101,373が挙げられる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、ハンドルから伸びている細長いシャフトの端に搭載されたエンドエフェクタを有する改良された手術器具を提供する。エンドエフェクタは、組織を把持する、切断する、並びに封止する及び/又は凝固させるなどの幾つかの異なる動作が可能であり、これらの動作の1つは、ハンドル内に内包されたトリガ機構によって制御される。一部の実施形態では、エンドエフェクタは、1対の湾曲した挟持部材と、遠位端に切断刃を有する刃アセンブリとを含む。トリガ機構は、切断刃が挟持部材間に突き出すように、刃アセンブリを細長いシャフト内で長手方向に駆動するように配置される。トリガ機構が刃アセンブリを湾曲した挟持部に沿って推し進めるのを助けるために、刃の遠位端は、より容易に挟持部材の形状に曲がることができるように、徐々に柔軟性が変えられている。刃の遠位端は、より容易に挟持部材間で滑ることができるように、低摩擦コーティングを提供されてもよい。
【0005】
第1の態様から、下記のような手術器具が提供される。手術器具は、
ハンドルと、
1対の湾曲した第1の及び第2の挟持部材であって、これらの湾曲した挟持部材の一方又は両方が、それらの間に湾曲した走路を形成できるように、湾曲したスロットを含む、1対の湾曲した第1の及び第2の挟持部材と、
湾曲した走路内で長手方向に移動して展開位置につくように位置付けられた刃アセンブリであって、その遠位端に切断刃を含む刃アセンブリと、
ハンドル上に位置付けられ、第1の位置と第2の位置との間で可動であるトリガ機構であって、該作動機構のその第1の位置からその第2の位置への動きが、刃アセンブリのその展開位置への長手方向移動を引き起こす、トリガ機構と、
を含み、
刃アセンブリは、少なくとも2つの領域を有するように形成され、第1の領域は、横方向における柔軟性が第2の領域よりも大きく、第1の領域は、第2の領域よりも遠位側に位置付けられ、この配置は、刃アセンブリがその展開位置にあるときに、挟持部材によって形成された湾曲した走路内に第2の領域が少なくとも部分的に位置付けられるような配置である、ことを特徴とする。
【0006】
しかるがゆえに、トリガ機構は、切断刃を湾曲に沿って推し進める必要があり、したがって、刃の移動に対抗して作用する摩擦力を増加させる。したがって、この摩擦力は、挟持部間の湾曲した走路を刃がたどることが容易になるように、刃の柔軟性を遠位端に向かって徐々に増加させることによって、低減させることができる。
【0007】
刃アセンブリは、その幅又はその長さのいずれかを大幅に下回る厚さを有する棒の形態をとってよい。
【0008】
一部の配置では、刃アセンブリの第1の領域は、その横方向における柔軟性を高めるために、1つ以上の孔を備え、これらの孔は、1つ以上のスロットの形態をとってよい。或いは、刃アセンブリの第1の領域は、長手方向に伸びる単独のスロットを備えてもよい。
【0009】
別の配置では、刃アセンブリの第1の及び第2の領域は、ともに、長手方向に伸びる単独のスロットを備え、第1の領域におけるスロットの幅は、第2の領域におけるスロットの幅よりも大きい。第1の領域におけるスロット及び第2の領域におけるスロットは、連続していてもよい。
【0010】
更なる配置では、刃アセンブリの第1の領域は、複数の孔を備える。尚も更に、刃アセンブリの第1の及び第2の領域は、ともに、複数の孔を備えてもよく、第1の領域における孔の数は、第2の領域における孔の数よりも多い。
【0011】
刃アセンブリの第1の及び第2の領域が、ともに、複数の孔を備える場合は、第1の領域における孔の面積は、第2の領域における孔の面積よりも大きくてよい。
【0012】
孔は、刃アセンブリのボディ内に位置付けられてよい。更に、孔は、刃アセンブリの外側表面に沿った切り抜きとして形成されてよい。
【0013】
刃アセンブリの厚さは、第1の領域において、第2の領域におけるその厚さ未満であってよい。
【0014】
一部の配置では、刃アセンブリの少なくとも一部が、低摩擦コーティングでコーティングされる。
【0015】
刃アセンブリは、少なくとも3つの領域を有するように形成されてもよく、第1の遠位領域は、横方向における柔軟性が第2の中間領域よりも大きく、第2の中間領域は、横方向における柔軟性が第3の近位領域よりも大きい。
【0016】
一部の配置では、ハンドルは、更に、第1の位置と第2の位置との間で可動である作動機構を含んでよく、該作動機構のその第1の位置からその第2の位置への動きが、湾曲した挟持部材のうちの少なくとも一方を、もう一方に相対的に、挟持部材が互いに間隔をあ
けて配される第1の開位置から、湾曲した挟持部材が間に組織を把持するために協働する第2の閉位置へ動かす。
【0017】
本書でやはり説明されるのは、下記のような手術器具である。手術器具は、
ハンドルと、
1対の湾曲した第1の及び第2の挟持部材であって、これらの湾曲した挟持部材の一方又は両方が、それらの間に湾曲した走路を形成できるように、湾曲したスロットを含む、1対の湾曲した第1の及び第2の挟持部材と、
湾曲した走路内で長手方向に移動するように位置付けられた刃アセンブリであって、その遠位端に切断刃を含む刃アセンブリと、
ハンドル上に位置付けられ、第1の位置と第2の位置との間で可動であるトリガ機構であって、作動機構のその第1の位置からその第2の位置への動きが、刃アセンブリの長手方向移動を引き起こす、トリガ機構と、
を含み、
刃アセンブリの少なくとも一部が、低摩擦コーティングでコーティングされる、ことを特徴とする。
【0018】
上記のように、トリガ機構は、切断刃を湾曲に沿って推し進める必要があり、その結果、刃の移動に対抗して作用する摩擦力を増加させる。これらの摩擦力は、したがって、挟持部間の湾曲した走路を刃がたどることが容易になるように、刃を低摩擦性材料でコーティングすることによって、低減させることができる。
【0019】
一部の配置では、刃アセンブリは、物理蒸着(PVD)を使用してコーティングされてよい。或いは、刃アセンブリは、化学気相成長を使用してコーティングされてよい。適切なコーティングとして、PTFEなどの低摩擦性ポリマ複合材料が挙げられる。
【0020】
一部の配置では、ハンドルは、更に、第1の位置と第2の位置との間で可動である作動機構を含んでよく、該作動機構のその第1の位置からその第2の位置への動きが、湾曲した挟持部材のうちの少なくとも一方を、もう一方に相対的に、挟持部材が互いに間隔をあけて配される第1の開位置から、湾曲した挟持部材が間に組織を把持するために協働する第2の閉位置へ動かす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
次に、本発明の実施形態が、添付の図面を参照にして単なる例として更に説明される。図中、同様の参照符号は、類似のパーツを指すものとする。
図1】本発明の一実施形態にしたがった電気手術器具の側面図である。
図2】本発明の実施形態にしたがった電気手術器具のハンドルの側面図である。
図3】本発明の実施形態にしたがった電気手術器具の分解図である。
図4図3の電気手術器具の、開構成で示されたクランプ機構の断面図である。
図5a図3の電気手術器具の、閉構成で示されたクランプ機構の断面図である。
図5b図3の電気手術器具の、間に組織がクランプされた閉構成で示されたクランプ機構の断面図である。
図6図3の電気手術器具のクランプ機構の一部の断面図である。
図7図3の電気手術器具のクランプ機構の斜視図である。
図8a-f】図8a~図8fは、図3の電気手術器具の一部の組み立てを示した図である。
図9a-b】図9a、図9bは、図3の電気手術器具の一部の断面図である。
図10a-c】図10a~図10cは、図3の電気手術器具の刃ガイドパーツを示した図である。
図11図3の電気手術器具のラッチパーツを示した図である。
図12図3の電気手術器具の刃角度調整パーツを示した図である。
図13a-b】図13a、図13bは、図3の電気手術器具の刃角度調整パーツの断面図である。
図14a-b】図14a、図14bは、図3の電気手術器具の刃角度制御ホイールパーツを示した図である。
図15a-b】図15a、図15bは、図3の電気手術器具の刃角度制御ホイールの回転運動を示した図である。
図16a-d】図16a~図16dは、図3の電気手術器具のエンドエフェクタの回転運動を示した図である。
図17図3の電気手術器具の断面図であり、配線経路を示している。
図18a-b】図18a、図18bは、図3の電気手術器具に使用される電気配線経路の更なる詳細を示した図である。
図19図3の電気手術器具に使用される電気配線経路の更なる詳細を示した図である。
図20a-b】図20a、図20bは、図3の電気手術器具の切断機構の一部の側面図である。
図21図3の電気手術器具の切断機構の一部の断面図である。
図22図3の電気手術器具の切断機構の別の一部の断面図である。
図23図3の電気手術器具の切断機構の一部の、部分透過斜視図である。
図24a-c】図24a~図24cは、図3の電気手術器具の切断機構の一部の組み立てを示した図である。
図25a-c】図25a~図25cは、図3の電気手術器具の切断機構及びクランプ機構の断面図である。
図26a-b】図26a、図26bは、図3の電気手術器具のラッチ機構の動作を示した断面図である。
図26c-d】図26c、図26dは、図3の電気手術器具のラッチ機構の動作を示した断面図である。
図26e-f】図26e、図26fは、図3の電気手術器具のラッチ機構の動作を示した断面図である。
図27図3の電気手術器具の切断機構を説明したグラフである。
図28a-b】図28a、図28bは、図3の電気手術器具の切断機構を説明した線図である。
図29a-b】図29a、図29bは、図3の電気手術器具の刃角度調整パーツを示した図である。
図30図3の電気手術器具のクランプ機構の一部の斜視図である。
図31図3の電気手術器具の切断機構及びクランプ機構の部分的断面図である。
図32図3の電気手術器具の切断機構及びクランプ機構の部分的断面図である。
図33図3の電気手術器具の刃角度制御ホイールパーツ及び電極制御スイッチを示した図である。
図34図3の電気手術器具の刃角度制御ホイールパーツを示した図である。
図35a-b】図35a、図35bは、手の大きさが異なるユーザによって保持されている図の電気手術器具のハンドルを示した図である。
図36a-c】図36a~図36cは、図3の電気手術器具のエンドエフェクタの回転運動を示した図である。
図37図3の電気手術器具の刃角度制御ホイールの回転運動を示した図である。
図38】エンドエフェクタの一例の概略斜視図である。
図39図38のエンドエフェクタの一部の拡大斜視図である。
図40図38のエンドエフェクタの一部の概略断面図である。
図41】代替のエンドエフェクタの概略斜視図である。
図42図41のエンドエフェクタの一部の拡大斜視図である。
図43図41のエンドエフェクタの一部の概略断面図である。
図44】更に代替のエンドエフェクタの一部の概略断面図である。
図45】本発明の実施形態にしたがったジェネレータ及び器具を含む電気手術システムを表した図である。
図46図3の電気手術器具のラッチパーツを示した更なる図である。
図47a-e】図47a~図47eは、図3の電気手術器具に使用される切断刃の遠位端を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の一実施形態が説明される。先ず、実施形態全体の概要が述べられ、その後、その特定の態様の詳細な説明が続く。
【0023】
1. 器具の構成の概要
図1は、本発明の一例にしたがった電気手術器具1を示している。器具1は、近位側のハンドル部分10と、該近位側ハンドル部分から遠ざかる遠位方向に伸びる外側シャフト12と、該外側シャフトの遠位端に取り付けられた遠位端エフェクタアセンブリ14とを含む。エンドエフェクタアセンブリ14は、例えば、開閉するように配置された対向する1組の挟持部であってよく、対向する挟持部の内表面上に又は内表面として配置された1つ以上の電極を含み、これらの電極は、使用時に、組織の封止又は凝固のための電気手術高周波(RF)信号を受信するための接続部を有する。挟持部は、更に、ユーザによって作動されたときに機械的な切断刃などが突出しえるスロット又はその他の開口部を、対向する内表面内に提供される。使用時には、ハンドル10は、ユーザによって、挟持部14間に組織をクランプするために第1の方式で作動され、電極にRF電流を供給して組織を凝固させるために第2の方式で作動される。挟持部14は、器具1の能動構成要素が常に見えているようにするために湾曲されてよい。これは、使用時におけるユーザの装置視野を妨げる人体領域の手術に使用される血管封止装置において重要である。ハンドル10は、刃を挟持部14間に突出させそれによって間にクランプされた組織を切断させるために、ユーザによって、第3の方式で作動されてよい。必要とされる切断及び封止が完了したら、ユーザは、挟持部14から組織を解放させることができる。
【0024】
ハンドル10は、図2に示されるように、2枚のクラムシェル成形物300、302で形成されたケーシング20を含み、該ケーシングは、挟持部14を動作させる及び回転させるために、並びに組織を凝固させる及び切断するために必要とされる、全てのコンポーネントを収容する。組み立てられた装置の中のクラムシェル成形物は、内部のコンポーネントが内側に組み付けられたら、超音波によって溶接される。ハンドル10は、挟持部14間に組織をクランプするためのクランプハンドル22と、組織を切断するためのトリガ24と、組織を凝固させるために挟持部14の中の電極へのRF供給を作動させる及び停止させるためのスイッチ26と、異なる角度から組織に到達するために挟持部14を回転させるための回転ホイール28とを含む。しかるがゆえに、ハンドル10の構成は、器具1及びその全ての機能が片手を使用して操作できて、操作のための全ての機構が容易にアクセス可能であるような構成である。
【0025】
図3は、器具1がその機能を実施するために必要とされる器具1の全ての特徴を示しており、ケーシングのクラムシェル成形物300、302内に収容されたものを含む。挟持部14間に組織をクランプするために、クランプハンドル22を使用してクランプ機構が作動される。クランプハンドル22は、更に、カラー304を含み、該カラー304は、
クランプハンドル22が回転するための支点として機能するヒンジ306を含む。例えば、ヒンジ306は、2本の外向きのピンであってよく、これらのピンは、クラムシェル成形物300、302と一体である対応する成形物308内に収まり、それによって、クランプハンドル22が回転するための固定点を提供する。クランプ機構は、更に、図4~7によって更に示されるように、カラー成形物310と、バネ312と、内側成形物314とを含み、これらは全て、駆動シャフト316に沿って装着される。
【0026】
カラー304は、カラー成形物310が中に着座するための鍵穴状の孔318を含む。孔318は、底部でよりも頂部での方が大きい直径を有し、カラー成形物310は、図8aによって示されるように、孔318の下部内に着座するように配置される。組み立ての際は、カラー成形物310は、図8b~cによって示されるように、2つのフランジ800と802との間にカラー304が着座するように、孔318の、大きい方の部分に容易に通される。図8dによって示されるように、カラー304は、次いで、鍵穴状の孔318の、小さい方の部分をカラー成形物310に係合させるために、上向きに押される。ヒンジ306が、ケーシング20内でヒンジ成形物308に接続されると、カラー成形物310は、孔318の下部内に保持され、孔318内で自由に回転運動することができる。
【0027】
図6に示されるように、カラー成形物310、バネ312、及び内側成形物314は、突出部材600、602を超えて軸方向に移動することができないように、これらの突出部材600と602との間に保持される。これに関しては、駆動シャフト316の近位端にある突出部材602は、駆動シャフト316が内側成形物314の近位端における通路604に通されることを可能にできるように、圧縮可能である。駆動シャフト316は、開口606に到達するまで通路604内で推し進められ、そこで、突出部材602は、駆動シャフト316の壁と同一面上にくるように圧縮状態から解放される。それどころか、突出部材602は、突出部材602の渡りが通路604の直径を超えるように扇形に広がって連結、開口606の壁に押し付けられる。その結果、駆動シャフト316は、通路604内で逆戻りすることができず、そうして適所に固定される。
【0028】
突出部材600と602との間の距離は、カラー成形物310と内側成形物314との間でバネ312が少なくとも部分的に圧縮されるような距離である。この事前圧縮は、更に詳しく後述されるように、クランプ機構が作動されるときに適切なクランプ荷重がかかることを保証するために重要である。カラー成形物310及び内側成形物314は、ともに、バネ312が伸びて入り込むための空洞608、610を含む。具体的には、カラー成形物310の長さのうちのかなりの割合が、バネ312を収容している。この配置は、バネ312が使用時にその密着長さに達することがないことを保証するために重要である長めのバネ312を可能にする。
【0029】
駆動シャフト316の本体は、外側シャフト12内にあり、駆動シャフト316の遠位端は、外側シャフト12の遠位端及び挟持部14の両方に連結されている。駆動シャフト316は、外側シャフト12内で軸方向に移動し、図4及び図5aからわかるように、挟持部14を開位置から閉位置へ動かすのは、この軸方向移動である。例えば、駆動シャフト316は、カムスロット402の中の駆動ピン400によって挟持部14に結合され、これによって、カムスロット402内における駆動ピン400の動きが、挟持部14を開位置と閉位置との間で動かす。駆動シャフト316と、外側シャフト12と、挟持部14との間の結合は、駆動シャフト316の回転運動が外側シャフト12及び挟持部14に伝達されるような結合である。
【0030】
外側シャフト12及び駆動シャフト316は、シャフト成形物320によって、更に別の地点で連結される。シャフト成形物320は、ケーシング20のソケット322内に着座し、それによって、外側シャフト12をケーシング20に連結する。外側シャフト12
は、例えば、図9bに示されるように、シャフト成形物320内の対応する切り込み902と協働するスナップ式ブなどの任意の適切な手段によって、シャフト成形物320に取り付けられる。駆動シャフト316は、図10aに示されるように、駆動シャフト316の断面「T」字形状に一致する孔(不図示)を通ってシャフト成形物320のボディに通される。シャフト成形物320は、ソケット322内で自由に回転可能であるように配置される。例えば、シャフト成形物320は、クラムシェル成形物300、302内に提供された同心状の合わせ面908、910内で回転する円筒状のフランジ特徴904、906を含んでいてよい。したがって、シャフト成形物320は、駆動シャフト316とともに回転し、これは更に、この回転運動を外側シャフト12及び挟持部4に伝達する。シャフト成形物320は、こうして駆動シャフト316のための回転・軸方向ガイドとして機能する。
【0031】
クランプハンドル22は、ケーシング20の近位端328内に着座するラッチ成形物326と協働するように配置されたラッチ324を含む。ラッチ成形物326は、例えば、図3によって示されるように、クラムシェル成形物300、302のいずれかと一体である成形されたピン330によって、又は単純に、図11によって示されるように、クラムシェル成形物300と一体である成形された壁1100によってなど、任意の適切な手段によって適所に保持されてよい。挟持部14を閉じさせるために、クランプハンドル22がケーシング20に向かって動かされるときは、ラッチ324は、クランプハンドル22をこの位置に保持できるように、開口1102を通ってケーシング20に入り、ラッチ成形物326に係合する。図26a~fに示されるように、ラッチ成形物326は、双方向バネ1104と、ラッチ324がそれに沿って横断するためのカム経路1106とを含む。図46に示されるように、ラッチ機構は、また、ラッチ324が行き止まったときにラッチ324をユーザが手動で解放することを可能にするためのオーバーライドコンポーネント4600と、ラッチ機構を完全に無効化するためのロックアウトコンポーネント4602とを含んでよい。オーバーライドコンポーネント4600及びロックアウトコンポーネント4602は、ラッチ成形物326上に提供されてよい、又はケーシングの内側と一体にされてよい。
【0032】
上述のように、ハンドル10は、更に、回転ホイール28を含み、該回転ホイール28は、内側成形物314を包み込むように配置される。これに関して、回転ホイール28及び内側成形物314は、図12によって示されるように、かみ合わせ部材1200、1202を有する。これらのかみ合わせ部材1200、1202は、図13a~bからわかるように、回転ホイール28と内側成形物314とが、回転ホイール28内における内側成形物314の軸方向移動を可能にしつつも一緒に回転するように、結合される。したがって、回転ホイール28の回転は、内側成形物314の回転を引き起こし、該回転は、続いて駆動シャフト316及びカラー成形物310を回転させる。安定のために、回転ホイール28は、クラムシェル成形物300、302と一体である内側合わせ面(不図示)上で回転式に滑動する円筒状の面1204を含む。
【0033】
ユーザによって挟持部14を回転可能にするために、ケーシング20は、回転ホイール28の波形部分336が突き出すための2つの開口332、334を有する。2つの開口332、334は、ハンドルの各側で互いに相対しており、台形状である。具体的には、台形状の孔は、ハンドルの長手方向軸に直交する平行の辺を有し、これらの平行辺は、一方の辺がもう一方の辺よりも長く、長い方の辺が孔の前方端に、短い方の辺が孔の後方端にある。波形部分336は、ユーザの親指又はそれ以外の指に快適になじむように、適宜に傾斜されている。これに関して、波形部分336は、図14a~bに示されるように、回転面に対して一定の角度で切り取られている。具体的には、波形部分の傾斜部分の角度は、回転ホイール28の領域における外部ケーシングの角度に実質的に等しいことが望ましい。
【0034】
回転ホイール28は、図5a~bに示されるように、回転度を制限するための少なくとも1つのストップ部材1500も含む。ストップ部材1500は、ケーシング20と一体であるストッパー1502、1504と相互に作用する。回転ホイール28が回転されるのに伴って、ストップ部材1500は、ストッパー1502、1504に阻まれ、それによって、更なる回転を阻止する。例えば、ストッパー1502、1504は、回転ホイールを270度の回転に制限してよい。同様に、シャフト成形物320も、図16a~dによって示されるように、ケーシング20と一体であるストッパー1602、1604と相互に作用するストップ部材1600を含む。シャフト成形物320のストップ部材1600及びそのそれぞれのストッパー1602、1604は、回転が同程度に制限されるように、回転ホイール28のストップ部材1500及びそのそれぞれのストッパー1502、1504と半径方向に揃えられる。要するに、回転ホイール28が回転されるのに伴って、回転ホイール28上のストップ部材1500が阻まれる半径方向地点は、シャフト成形物320上のストップ部材1600が阻まれる半径方向地点と同じである。例えば、図15b及び図16aにおいて、挟持部14は、(図16bに示された)ニュートラルな向きから反時計回りに90度回転されている。この回転の自由は、ユーザが器具1全体を回転させる必要なく様々な角度から組織を把持できることを意味する。
【0035】
上述のように、何らかの適切な回路構成を通じて挟持部14の中の電極に送られるRF信号を活性化及び非活性化するために、例えば小型プリント回路基板(PCB)338上の2つの侵入保護されたスイッチなどのスイッチボタン26が提供される。図17に示されるように、PCB338は、ジェネレータ(不図示)からのRF出力を受信するための接続コード1700に、並びにRF電流を挟持部14の中の電極に供給するための、1本は活性電極のための及びもう1本は戻り電極のための電気配線1702、1704に接続される。図17及び図18a~bに示されるように、配線1702、1704は、ガイドスロット1800からシャフト成形物320の内部空洞1802に入って外側シャフト12内を進む前に、シャフト成形物320の下に及び周りに巻き付けられる。配線1702、1704をこのようにシャフト成形物320に巻き付けることによって、配線1702、1704は、駆動シャフト316の回転を可能にしつつも容易な組み立てを可能にできるように、コンパクトな構成に維持される。これに関して、配線1702、1704は、駆動シャフト316の回転とともに巻きを解かれる及び再び巻かれる。また、クラムシェル成形物の1つ300は、活性配線1702及び戻り配線1704を侵入保護スイッチ338の配線1908、1910に接続する配線コンタクト1904、1906を収容するための、2つの直列に配置された成形ポケット1900、1902を含む。対向するクラムシェル成形物302は、コンタクト1904、1906をポケット1900、1902内に保持するための、対応するリブ特徴(不図示)を含む。その結果、2つの配線コンタクト1904、1906は、各ポケット1900、1902を一方のコンタクトのみが通れるように長手方向に分離され、それによって、各コンタクト1904、1906と配線との間に物理的障壁が提供される。これは、外側シャフト12を経てケーシング20に入るかもしれないあらゆる流体からコンタクト1904、1906自体を保護しつつ、コンタクト1904、1906によって引き起こされる配線の絶縁損傷のリスクを阻止する。
【0036】
切断機構を見ると、挟持部14間にクランプされた組織を切断するための刃340が、駆動シャフト316の長さに沿って走る中心走路342内に提供される。走路342に沿って且つ挟持部14間で刃340を作動させるための機構は、トリガ24を通じて操作される。トリガ24は、トリガ成形物344と、刃駆動成形物346と、刃カラー成形物348と、引っ張りバネ350と、刃成形物352とで形成された駆動アセンブリを作動させる。駆動アセンブリは、クランプ機構の、シャフト成形物320とハンドルカラー304との間に配置される。図20a~bに示されるように、駆動アセンブリは、オフセットスライダ-クランク機構として機能し、それによって、ユーザによってトリガ24に及ぼ
される力が駆動シャフト316に沿った刃成形物352の軸方向移動に変換され、該移動が更に、取り付けられた刃340を駆動する。
【0037】
図21図22、及び図23に示されるように、刃成形物352は、刃カラー成形物348内に着座するように配置される。図22に示されるように、刃カラー成形物348は、刃成形物352の周囲の溝2202とかみ合うリップ2200を含む。図23に示されるように、刃成形物352は、駆動シャフト316及び刃340を受け入れるための「T」字形状の孔2300を有する。刃成形物352は、更に、刃340の近位端のための、図21に示されるような内部切り抜き2100を含み、刃の端2102は、図24a~cで実演されるような容易な組み立てを可能にできるように、刃成形物352の内部切り抜き2100に一致する形状にされる。刃成形物352は、刃カラー成形物348から、これらの2つの成形物が同心状に回転できるように回転式に隔離される。その結果、刃成形物352は、駆動シャフト316とともに回転することができる。
【0038】
上述のように、挟持部14は、湾曲されてよい。刃340が、十分な切断能力を尚も維持しつつもこの湾曲に沿って推し進められることを可能にするためには、湾曲した走路を通る切断刃340の摩擦力が、最小限に抑えられなければならない。摩擦力は、走路342内における刃340の摩擦係数と、刃340が走路342の壁に及ぼす曲げに起因する力との積である。この摩擦力は、例えば、刃の側面に低摩擦コーティングを追加することによって、及び/又は刃が切断力の方向には剛性を維持しつつ走路342に沿って曲がることができるように刃340を選択的に弱体化させて刃の遠位端の柔軟性を徐々に変化させることによって、低減されてよい。選択的弱体化は、例えば、図3及び図47a~cに示されるように、遠位端に1つ以上の孔354を提供することによって、又は図47dに示されるように、刃340の厚さを徐々に変化させることによって、提供されてよい。或いは、図47eによって示されるように、刃の長さにわたる曲げ剛性を制御するために、遠位端におけるパターン形成されたレーザ切断部分4712又は化学エッチング部分が使用されてよく、このような切断部分間の間隔は、遠位端から近位端にかけて一定であってよい又は徐々に増してよい。
【0039】
使用時には、血液及び組織が、器具1の遠位端内に蓄積することがある。具体的には、血液及び組織が、刃340を駆動シャフト316内で詰まらせることがある。したがって、駆動シャフト316の遠位端は、図10b~cに示されるように、血液及び組織が蓄積して詰まる駆動シャフト316の表面積を減少させるための切り抜き部分1000、1002を含んでいてよい。例えば、切り抜き部分は、遠位端が、支えとなる基部を伴わずに2枚の側壁を有するような、又は遠位端が、支えとなる基部と分岐した側壁とを含むようなものであってよい。
【0040】
2. 器具の動作
装置の全体的な構成が説明されたところで、次は、使用時における電気手術器具1の全体的な動作が論じられる。その後、装置の特定の態様の構成及び動作に関して更に詳細な説明がなされる。
【0041】
上述のように、電気手術器具のハンドル10は、i)挟持部14の間に組織をクランプするように、ii)(もしユーザが望むならば、)挟持部を適所にラッチするように、iii)挟持部14の間にクランプされた組織を凝固させるために、挟持部14の中の電極にRF信号を送るように、及びiv)挟持部14の間にクランプされた組織を切断するために、挟持部14間に刃340を繰り出させるように、配置される。ハンドル10は、また、ユーザがハンドル10全体を回転させる必要なく様々な角度で組織をクランプすることを可能にできるように、挟持部14を回転させることもできる。その結果が、挟持部間の組織を、同じ電気手術器具によって切断される前に又は同じ電気手術器具によって切断される
のと同時に封止できることである。更に、これらの効果は、器具を外科医が片手で操作することで達成できる。
【0042】
2.1 クランプ機構
挟持部14間に組織をクランプするために、ユーザは、クランプハンドル22を、ラッチ324がケーシング20内のラッチ成形物326に係合するまでケーシング20の近位端328に向かって握り込む。この動きは、図8e~fによって示されるように、駆動ハンドル22をそのヒンジ306を中心に枢動させ、図4及び図5aによって示されるように、カラー304の端をフランジ800に対して押し付けて、カラー成形物310、バネ、及び内側成形物314を駆動シャフト316に沿って近位方向に推し進める。上述のように、内側成形物314は、突出部材602を通じて駆動シャフト316に取り付けられる。したがって、内側成形物314が軸方向に押し戻されるのに伴って、駆動シャフト316も軸方向に移動され、これは、挟持部14のカムスロット402の中のピン400を駆動し、それによって、挟持部14を閉じさせる。しかるがゆえに、駆動ハンドル22からの荷重は、カラー成形物310、バネ312、及び内側成形物314のバネ機構を通じて駆動シャフト316に伝達される。
【0043】
図5bによって示されるように、組織が挟持部14間にクランプされると、バネ312は、組織にかかる力を制限する働きをする。カラー成形物310、バネ312、及び内側成形物314が軸方向への移動を停止した後、カラー304がフランジ800を押し続けると、バネ312にかかる圧縮力は、最終的に、バネ312がカラー成形物310と内側成形物314との間で圧縮し始める圧縮力閾値に到達する。バネ312が更に圧縮するのに伴って、駆動ハンドル22は、クランプされた組織に更なる力を及ぼすことなくラッチ位置まで駆動できる。要するに、駆動ハンドル22の荷重は、これ以上駆動シャフト316に伝達されることはなく、バネ312によって効果的に吸収される。しかるがゆえに、バネ312は、適切な大きさの荷重が挟持部14に伝達されることを保証する。バネ312がないと、駆動ハンドル22の作動は、駆動シャフト316に及びそれに続いて挟持部14及び組織に伝達される荷重を増加させ続ける。これは、ユーザが駆動ハンドル22をラッチ324に係合させるために握り込むにつれて、組織の機械的損傷を招く恐れがある。
【0044】
上述のように、カラー成形物310及び内側成形物314の中の空洞608、610は、より大きなバネ312を可能にするために、協働して機能する。これは、より長いバネ運動距離を可能にし、バネ312が使用時にその密着長さまで完全に圧縮されることがないようにする。もし、バネ312がその密着長さに達したとすると、バネは、駆動ハンドル22によって及ぼされる荷重をこれ以上吸収しなくなり、力は、挟持部14に再び伝達されることになる。
【0045】
2.2 ラッチ機構
挟持部14間に組織がクランプされると、挟持部14は、図26a~fによって示されるように、駆動ハンドル上のラッチ324をケーシング20の内部のラッチ成形物326に係合させることによって閉位置にロックできる。ラッチ324は、開口1102を通ってケーシング20に入るのに伴って、ラッチ成形物326に係合し、該成形物326をケーシング20内で押し下げ、それによってバネ1104を伸長させる。図26b~cに示されるように、ラッチ324は、カム経路1106の側面上を、その最大位置に到達するまで駆け上る。この地点で、駆動ハンドル22は、これ以上圧縮できず、バネ1104は、図26dに示されるように、ラッチ324がカム経路1106の「V」字型ポケットに嵌り込んで駆動ハンドル22を圧縮位置に及び挟持部14を閉位置に保持するように、ラッチ成形物326をケーシング20の内部へ引き戻す。
【0046】
このラッチ位置では、ユーザの手は、以下で論じられるように、器具1の他の機能を自由に操作することができる。
【0047】
ラッチ324をケーシング20から解放して挟持部14を開かせるためには、ユーザは、図26eによって示されるように、駆動ハンドル22をケーシング20に向かって握り込んで、ラッチ324をカム経路1106のポケットから解放しなければならない。バネ1104の力は、ラッチ324が、図26e~fによって示されるように、カム経路1106の側面上で反対方向に進んで開口1102から出るように、ラッチ成形物326をケーシング20内で更に引っ張り上げる。ラッチ成形物326は、次いで、ケーシング20内でその元の位置に戻る。
【0048】
2.3 切断機構
挟持部が閉位置にある間、ユーザは、間にクランプされた組織を切断する必要があるかもしれない。組織を切断するために、駆動アセンブリの作動によって、挟持部14間で刃340が駆動される。
【0049】
駆動アセンブリは、スライダ-クランク機構として機能する3枢着配置である。図25b~cによって示されるように、ユーザがトリガ24をケーシング20に向かって後方へ引くのに伴って、例えば、図3に示されたクラムシェル成形物300、302と一体である対応する成形物356に接続する外向きのピン358によって、ケーシング20に固定された枢着点Aを中心として、トリガ24がトリガ成形物344をてこ作用で動かす。これは、トリガ成形物344と駆動成形物346とを接続している枢着点Bをその中心位置へ促し、それによって、刃カラー348、刃成形物352、及び刃340を、クランプされた組織を刃340が切断することができる十分に強い力で駆動シャフト316に沿って駆動する。これに関連して、トリガ24にかかる荷重が、トリガ成形物344及び駆動成形物346を通じて刃カラー348及び刃成形物352に伝達される。枢着点Bが中心を超えてその伸展位置へ動くにつれて、刃カラー348及び刃成形物352が駆動シャフト316に沿って駆動される速度が加速し、そうして刃340の力を増加させる。しかるがゆえに、ユーザが追加の力をトリガ24に及ぼすことなしに、刃340が組織に切り込む力が増大する。
【0050】
シャフト成形物320は、刃カラー348及び刃成形物352のためのストップ地点として機能する。したがって、枢着点Bは、駆動シャフト316に対して常に他の2つの枢着点A、Cよりも上方にとどまる。
【0051】
トリガ24の作動時において、トリガ24に及ぼされる力は、引っ張りバネ350が駆動シャフト316と同じ面に沿って伸長して刃カラー348及び刃成形物352の軸方向移動を可能にするように引っ張りバネ350の圧縮力に打ち勝つのに十分な大きさである。トリガ24の解放時には、引っ張りバネ350は、再び圧縮して駆動アセンブリをその元の位置に撤退させる。これに関して、引っ張りバネ350の張力は、ユーザによる介入を必要とすることなく刃340を厚い組織を経て撤退させるのに十分な強さである。
【0052】
2.4 シャフト回転
使用時に、ユーザは、器具1全体を動かす必要なく様々な角度から組織に到達する必要があるかもしれない。したがって、挟持部14は、回転ホイール28によってハンドル10に相対的に回転可能であることが有利である。これは、挟持部14が図16a~dに示されるような湾曲した走路上にある場合に特に有益である。上述のように、回転ホイール28は、内側成形物314が回転ホイール28とともに回転するように、かみ合い部材1200、1202を通じて内側成形物314に連結される。駆動シャフト316の端が内側成形物314に接続されているので、駆動シャフト316も回転し、この回転は引き続
き、反対側の端にある挟持部14を回転させる。
【0053】
クランプ機構の動作を妨げることなくこの回転運動を促すために、カラー成形物310は、カラー成形物310も駆動シャフト316とともに回転するように、ハンドルカラー304内で回転式に隔離される。同様に、切断機構の動作を妨げることなく駆動シャフト316回転を可能にできるように、刃成形物352は、刃カラー348内で回転式に隔離される。
【0054】
回転運動を外側シャフト12に伝達するために、シャフト成形物320は、そのソケット322内で回転式に隔離される。上述のように、シャフト成形物320は、器具1の全長に沿ったシャフト316に相対的な回転運動を制御できるように、回転ガイドとして機能する。また、活性配線1702及び戻り配線1704は、コンポーネントの回転の結果としてこれらの配線1702、1704に及ぼされる損傷を防ぐことができるように、ケーシング20内に配置される。上述のように、配線1702、1704は、駆動シャフト316の回転度を可能にできるように、シャフト成形物320の周りに巻き付けられる。その結果、配線1702、2704は、シャフト成形物320の回転に伴って巻きを解かれる及び再び巻かれる。
【0055】
2.5 電極活性化
挟持部14が閉位置にある間、ユーザは、間にクランプされた組織を凝固させること及び封止することを望むかもしれない。これを行うために、ユーザは、ケーシング20頂部のスイッチボタン26を使用して、電極の活性化を開始させる。スイッチボタン26は、ユーザが装置を片手で使用している間に容易にボタン26にアクセスできるように、適宜に配置されている。この際は、組織を凝固させる及び封止するために、適切なRF信号が挟持部14の中の電極に送られる。RF信号は、所望の効果に応じて純粋波形又は混合波形であってよい。
【0056】
装置全体としての構成及び動作の概要が述べられたところで、次は、装置の特定の態様の構成及び動作に関して更に詳細な説明が行われる。
【0057】
3. クランプ機構アセンブリ及び動作
上述のように、電気手術器具1の近位ハンドル部分10は、遠位エンドエフェクタアセンブリ14の一態様をこのエンドエフェクタアセンブリ14が第1の状態と第2の状態との間で動くように作動させるための、第1の機構を含む。例えば、エンドエフェクタアセンブリ14は、開閉するように配置された対向する1組の挟持部14であってよい。これらの挟持部14の動きをトリガするために使用される機構は、駆動ハンドル22と、2つのたる型成形物310、314と、それらの間で圧縮されるバネ312とを含むいわゆるクランプ機構であり、駆動ハンドル22、成形物310、314、及びバネ312は、図4及び図5a~bに示されるように、全て、挟持部14とハンドル10との間に伸びる細長い棒316に沿って装着される。
【0058】
図8aに示されるように、駆動ハンドル22は、カラー成形物310が中に着座するカラー304を含む。カラー304は、鍵穴又は8の字のような形状にされた孔318を含む。このように、孔318は、2つの連続した孔804、806で形成され、頂部の孔804は、底部の孔806よりも大きい渡り直径を有する。
【0059】
カラー成形物310は、長手方向に相隔てられた2つのフランジ部分800、802を有する円筒状の又はたる型のコンポーネントである。近位側フランジ800の直径は、上部の孔804及び下部の孔806のいずれよりも大きい。遠位側フランジ802の直径は、上部の孔804よりも小さく且つ下部の孔806よりも大きい。
【0060】
組み立て時には、先ず、図8b~cによって示されるように、カラー成形物310が上部の孔804に挿入される。遠位側フランジ802は、上部の孔804よりも小さいので容易に通り抜け、これに対し、近位側フランジ800は、カラー成形物310が上部の孔804を完全に通り抜けるのを防ぐのに十分な大きさであってよい。図8dによって示されるように、カラー8304は、次いで、下部の孔806をカラー成形物310に係合させるために押し上げられる。
【0061】
組み立てられたら、カラー成形物310は、カラー304の下部の孔806内にとどまり、図8eに示されるように、その2つのフランジ800、802がカラー304の両側にくるように位置決めされる。下部の孔806は、両フランジ800、802よりも小さい直径を有するので、カラー成形物310は、下部の孔806を通るようにカラー成形物310を単純に押すことによって取り除くことはできない。反対に、2つのフランジ800と802との間のカラー成形物310のボディは、下部の孔806よりも僅かに小さい直径を有する。したがって、カラー成形物310は、回転運動を可能にするのに十分な緩さで下部の孔806内に着座する。
【0062】
図8eからわかるように、2つのフランジ800と802との間の長手方向における距離は、カラー304がフランジ800と802との間にぴたりと着座するように、カラー304の厚さよりも僅かに大きいだけである。これは、駆動ハンドル22の動きがカラー成形物310に直接伝達され、それに続いてクランプ機構のその他のコンポーネントに伝達されることを保証する。これは、挟持部14が駆動ハンドル22の動きに反応すること、及び駆動ハンドル22の作動と挟持部14の動きとの間に遅延反応がないことを保証するために、特に重要である。
【0063】
カラー成形物310及び駆動ハンドル22が組み立てられたら、残りのコンポーネントも組み付けることができる。
【0064】
駆動シャフト316は、図6に示されるように、その近位端に1つ以上の突出部材602が位置付けられた細長い棒である。突出部材602は、駆動シャフト316の表面から扇形に開く柔軟性のタブである。要するに、突出部材602は、駆動シャフト316の表面と同一面上にくるように押されえるように変形可能であり、ただし、抵抗力の解放時にはその元の位置に戻る。これは、駆動シャフト316が、次に説明されるように、組み立て時にクランプ機構の全てのコンポーネントに容易に通されることを可能にする。
【0065】
カラー成形物310は、2つの部分に分割された内部空洞を有する。第1の部分は、駆動シャフト316を受け入れるための狭い通路、即ちスロット607であり、カラー成形物310の遠位端は、図3に示されるように、駆動シャフト316の断面「T」字形状に一致する開口311を含む。通路607の直径は、安定のための滑合を提供できるように、駆動シャフト316の直径よりも僅かに広いだけである。駆動シャフト316の挿入時に、突出部材602は、駆動シャフトが最後まで押し通されることを可能にするために、平らに押しつぶされる。
【0066】
第2の部分は、バネ312の一端を収容するのに十分な大きさのチャンバ608である。チャンバ608は、カラー成形物310の長さのうちの任意の適切な割合に及ぶことができる。例えば、チャンバ608の長さは、カラー成形物310の長さの25%程度であってよい、又はカラー成形物310の長さの75%に及んでよい。
【0067】
チャンバ608は、駆動シャフト316がカラー成形物310に通されるのに伴って突出部材602がチャンバ608に到達したときに、突出部材602が広がってその元の構
成に戻るように、カラー成形物通路607よりも大幅に大きい。
【0068】
カラー成形物310と駆動ハンドル22とからなるアセンブリは、カラー成形物310が第2の組の突出部材600に到達するまで駆動シャフト316に沿って押し進められる。これらの突出部材600は、カラー成形物310が駆動シャフト316に沿ってこれ以上先に進むことを防ぐための妨害を提供するために、カラー成形物310上の開口311よりも広い渡りを有する。しかるがゆえに、突出部材600は、何らかの力が突出部材600に加わることによって又は突出部材600が内向きに押されることによってカラー成形物310が突出部材600から抜け出ることがないように、十分に剛性でなければならない。
【0069】
駆動シャフト316は、次いで、バネ312の中心に通される。好ましくは、バネ312は、バネ312と駆動シャフト316との間に締まり嵌めを提供するために、駆動シャフト316よりも僅かに大きいだけの直径を有する。バネ312は、次いで、バネ312の端がカラー成形物チャンバ608を満たすまで、駆動シャフト316に沿って押し進められる。
【0070】
内側成形物314は、2つの区域に分割された内部空洞を有する円筒状の又はたる型のコンポーネントである。第1の区域は、バネ312がカラー成形物310及び内側成形物314によって部分的に包み込まれるようにバネ312の一端が収容されるチャンバ610である。第2の区域は、駆動シャフト316を受け入れるための狭い通路、即ちスロット603である。通路603は、2つの部分604、606に分割される。通路の第1の部分604は、駆動シャフト316が通されることを可能にできるような形状にされ、シャフトが通される際に、柔軟性のタブ602は、平らに押しつぶされる。しかるがゆえに、第1の通路部分604の直径は、滑合を提供できるように、駆動シャフト316の直径よりも僅かに広いだけである。カラー成形物通路607内及び内側成形物通路603内の両方における駆動シャフト316の滑合は、駆動シャフト316が適所にしっかりと保持されることを意味する。これは、ケーシング20内における駆動シャフト316の安定性を向上させ、これは、エンドエフェクタ14の最大限の制御を保証するために特に重要である。
【0071】
第2の通路部分606は、その中へ突出部材602が伸長できる肩部605を提供する。したがって、駆動シャフト316が通路604を通り、第2の通路部分606に入るのに伴って、平らにされた突出部材602は、扇形に開いてその元の非圧縮位置に戻る。突出部材602がひとたび第2の通路部分606の肩部605に係合すると、駆動シャフト316は、第1の通路部分604内を引き戻すことはできず、その結果、内側成形物314内に保持される。しかるがゆえに、第2の通路部分606の直径は、突出部材602が第1の通路部分604の直径を超えて広がることができる十分な広さでなければならない。このスナップ式接続を達成するためには、駆動シャフト316の一方の側でのみ、突出部材602が必要とされる。
【0072】
このスナップ式接続は、内側成形物314のあらゆる軸方向移動が駆動シャフト316に伝達されるような接続である。同様に、例えば内側成形物314の周りに形成された回転ホイール28による内側成形物314のあらゆる回転運動も、駆動シャフト316に伝達される。
【0073】
したがって、クランプ機構の組み立てを完了させるために、駆動シャフト316は、突出部材602が第2の通路部分606にスナップ式に嵌るまで、単純に、カラー成形物310、バネ312、及び最後に内側成形物314に通される。
【0074】
駆動シャフト316に沿って組み付けられると、カラー成形物310、バネ312、及び内側成形物314は、バネ312がカラー成形物310及び内側成形物314によって部分的に包み込まれるように配置される。バネ312のかなりの割合の部分を収容することができるカラー成形物のチャンバ608及び内側成形物314のチャンバ610を提供することによって、ハンドル10内の更なる空間を使い果たすことなく更に長いバネ312を使用することが可能になる。しかるがゆえに、カラー成形物のチャンバ608及び内側成形物のチャンバ610が大きいほど、バネ312が長くなる。更に、突出部材600と602との間の距離は、バネ312がその装着時に初期の事前圧縮を受けるように、バネ312の両端がカラー成形物のチャンバ608及び内側成形物のチャンバ610の端壁612、614によってそれぞれ圧縮されることを意味する。これは、クランプ機構を作動させるためにハンドル22が動かされるときに適切な荷重が挟持部14にかかることを保証するために重要である。
【0075】
また、内側成形物314は、図13a~bに示される回転ホイール28などの、更なるたる型成形物内に内包されてよい。ここでは、内側成形物314は、回転ホイール28とともに回転するが、内部空洞1300内で、図13aに示されるような第1の位置と図13bに示されるような第2の位置との間で自由に軸方向に移動することができる。したがって、ホイール28の回転が、内側成形物314を回転させ、更には駆動シャフト316及び挟持部14を回転させる。
【0076】
全てのコンポーネントが組み立てられたら、駆動ハンドル22が、ケーシング20の内側に装着できる。これに関しては、駆動ハンドル22は、そのヒンジ306でケーシング20に接続される。例えば、ヒンジ306は、クラムシェル成形物300、302と一体である対応するヒンジ成形物308と合わさる2本の外向きのピンであってよい。これは、駆動ハンドル22が中心にして回転することができる支点を提供する。
【0077】
したがって、上記の配置は、追加のコンポーネントを必要とすることなく容易に且つ安全に組み立て可能である、エンドエフェクタアセンブリ14を作動させるための機構を提供する。
【0078】
使用時に、ユーザは、駆動ハンドル22をケーシング20の近位端328に向けて握り込み、それによって、駆動ハンドル22をそのヒンジ306を中心として回転させる。その際に、カラー304は、近位側フランジ800に押し付けられ、そうしてカラー成形物310を長手方向に移動させる。この長手方向移動は、図5aによって示されるように、バネ312、内側成形物314、及び駆動シャフト316をハンドル部分10の近位端に向かって戻らせる。駆動シャフト316は、例えばピン400及びカムスロット402からなる配置によって挟持部14に連結されるので、挟持部14は、開位置から閉位置へ動かされる。しかるがゆえに、駆動ハンドル22からの荷重は、カラー成形物310、バネ312、及び内側成形物314からなるバネ機構を通じて駆動シャフト316に伝達される。このバネ機構は、挟持部14間にクランプされた組織に及ぼされる力を制限する働きをするゆえに、特に重要である。
【0079】
駆動ハンドル22が握り込まれるのに伴って、カラー成形物310、バネ312、及び内側成形物314は、図5aに示されるように、挟持部14が完全に閉じられるように内側成形物314がその最も遠い近位位置に到達するまで、又は図5bによって示されるように、挟持部14がその間にクランプされた組織500ゆえにこれ以上閉じることができなくなるまで、軸方向に移動し続ける。後者の場合、駆動ハンドル22は、完全には作動されておらず、ラッチ324によってその場所に保持されている。引き続き、ユーザが駆動ハンドル22を握り込み、カラー304がフランジ800に押し付けられるのに伴って、バネ312にかかる圧縮力は、最終的に、図5bからわかるようにバネ312がカラー
成形物310と内側成形物314との間で圧縮し始める圧縮力閾値に到達する。
【0080】
バネ312が更に圧縮するのに伴って、駆動ハンドル22は、クランプされた組織500に更なる力を及ぼすことなくラッチ位置まで駆動できる。要するに、駆動ハンドル22の荷重は、これ以上駆動シャフト316に伝達されることはなく、バネ312によって効果的に吸収される。しかるがゆえに、バネ312は、適切な大きさの荷重が挟持部14に伝達されることを保証する。バネ312がないと、駆動ハンドル22の作動は、駆動シャフト316に及びそれに続いて挟持部14及び組織500に伝達される荷重を増加させ続ける。これは、ユーザが駆動ハンドル22をラッチ324に係合させるために握り込むにつれて、組織500の機械的損傷を招く恐れがある。
【0081】
したがって、バネ312の事前圧縮は、内側成形物314がその軸方向における限界に到達したら直ちにバネ312がハンドル22の荷重を負うことを保証するために、重要である。同様に、より長いバネ312は、そのバネ312が使用時にその密着長さまで完全に圧縮されることがないように、より長いバネ運動距離を可能にする。もし、バネ312がその密着長さに達したとすると、バネ312は、駆動ハンドル22によって及ぼされる荷重をこれ以上吸収しなくなり、力は、挟持部14に再び伝達されることになる。
【0082】
挟持部14を閉位置に保持するためには、駆動ハンドル22上のラッチ324は、図26a~fに示されるように、ケーシング20の近位端328の内側のラッチ成形物326に係合されなければならない。
【0083】
図11に示されるように、ラッチ成形物326は、ボディ部分1108と、バネ要素1104と、カム経路1106とを含む単一の一体成形コンポーネントである。ケーシング20の近位端328は、ボディ部分1108が中に着座する通路1110を画定する平行な壁1100を有する。通路1110の幅は、後述されるように、ボディ部分1108が通路1110内に保持されるが使用時には通路110内で上下に滑動することができるような幅である。これに関して、ラッチ成形物326は、ボディ部分1108が通路1110内で粘着することなく容易に滑動することを可能にするために、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの低摩擦材料で作成されることが好ましい。通路1112内における更なる安定性のために、ケーシング20内に成形ピン330が提供されてよく、該ピンは、図46に示されるように、ボディ部分1108上に提供されたカムスロット331に係合する。
【0084】
バネ1104は、ボディ部分1108の端に位置付けられ、ボディ部分1108を通路1110内でケーシング20の遠位端に向かって付勢するように配置される。バネ1104は、任意の構成であってよく、例えば、バネ1104は、図11に示されるような弓状又はループ状の形状であってよい。カム経路1106は、ボディ部分1108上に形成された成形された突出である。カム経路1106は、第1のカム表面1110と、切り込み1114と、第2のカム表面1116とを含み、「V」字型の成形物を形成している。
【0085】
ラッチ324は、駆動ハンドル22の底部から伸びるアーム1118で形成される。アーム1118は、その端にピン1120を位置付けられ、該ピンは、カム経路1106を横断するのに適している。
【0086】
使用時に、ラッチ324は、開口1102を通ってケーシング20に入る。ピン1120は、ボディ部分1108が通路1110内で引き下ろされ、それによってバネ1104が伸長されるように、ラッチ成形物326に係合する。図26b~cに示されるように、ピン1120は、第1のカム表面1112の側面を、「V」の頂点に到達するまで駆け上る。この時点で、駆動ハンドル22は、これ以上圧縮できず、バネ1104は、ピン11
10が切り込み1114に入り込むように、ボディ部分1108を通路1110内で引き戻し、そうして、図26dに示されるように、駆動ハンドル22を圧縮位置に及び挟持部14を閉位置に保持する。
【0087】
したがって、駆動ハンドル22をラッチするために、ユーザが行わなければならないことは、駆動ハンドルを完全圧縮位置まで作動させて、ピン1110が切り込み114に収まるのを待ち、次いで、駆動ハンドル22を解放するだけである。このラッチ位置では、ユーザの手は、トリガ24を使用して切断機構を作動させる、回転ホイール28を使用して挟持部14を回転させる、又はスイッチ26を使用して挟持部14の中の電極を作動させるなどの、器具1のその他の機能を自由に操作することができる。
【0088】
ラッチ324をケーシング20から解放して挟持部14を開かせるためには、ユーザは、駆動ハンドル22をケーシング20に向けてもう一度握り込まなければならない。これは、図26eによって示されるように、ピン1120を切り込み1114から解放する。ピン1120が切り込み1114から出るのに伴って、伸長されたバネ1104の力は、図26e~fによって示されるように、ピン1120が第2のカム表面1116の側面を駆け上るように、ボディ部分1108を通路1110内で引き戻す。ピン1120は、第2のカム表面1116の底部に到達するのに伴って、ボディ部分1108を更に通路1110内で押し上げ、したがって、ピン1120は、開口1102を通って出ていくことができる。ボディ部分1108は、すると、通路1110内でその元の位置に戻る。
【0089】
したがって、駆動ハンドル22を解放するために、ユーザが行わなければならないことは、駆動ハンドル22をケーシング20の近位端に向けて握り込み、次いで、駆動ハンドル22をその元の開位置に戻れるようにするだけである。
【0090】
また、ラッチ成形物324は、図46に示されるようにボディ部分1108上に一体的に形成されたオーバーライドボタン4600を含んでよく、該オーバーライドボタン4600は、ピン1120が切り込み1114から自動的に外れて駆動ハンドル22を解放するように、カム経路1106の位置を変更するために係合される。したがって、もし、ラッチ機構が何らかの理由で機能しなくても、ユーザは、駆動ハンドル22を解放して挟持部14を開かせることができる。
【0091】
ユーザがラッチ機構を完全に解除することを可能にするために、ボディ部分1108には、ロックアウトバー4602も一体化されてよく、該ロックアウトバー4602は、ボディ部分1108を通路1110内で手動で滑動させるために、第1の位置と第2の位置との間で可動である。ロックアウトバー4602が第1の位置にあるときは、ボディ部分1108は、その正常位置にあり、したがって、ラッチ機構は、上述のように動作する。ユーザは、次いで、ロックアウトバー4602をその第2の位置へ動かしてよく、それによって、ボディ部分1108は、通路1110内で上方へ移動され、したがって、ピン1120は、第2のカム表面1116に沿って横断することしかできず、そうして切り込み1114への係合を阻止される。
【0092】
ラッチ機構は、多くのエンドエフェクタアセンブリに適しているだろうことがわかる。例えば、このようなラッチは、切断刃340を作動位置に保持するために、切断機構のためのトリガ24上に提供されてよい。
【0093】
ラッチ324の解放時には、駆動ハンドル22をその元の位置に戻すことができる。その際に、カラー304は、近位側フランジ800にかかる荷重を解放して遠位側フランジ802を押し、それによって、カラー成形物310をその元の軸方向位置に引き戻す。その結果、バネ312、内側成形物314、及び駆動シャフト316も軸方向に引き戻され
、これが更に、挟持部14を開構成に戻らせる。
【0094】
4. 切断機構アセンブリ及び動作
次に、切断機構の構造及び動作に関する様々な更なる特徴及び態様が説明される。上述のように、電気手術器具1の近位側のハンドル部分10は、遠位側のエンドエフェクタアセンブリ14の更なる態様を作動させるための第2の機構を含む。例えば、エンドエフェクタアセンブリ14は、1組の対向する挟持部14、及び刃340であってよく、刃340の遠位端は、挟持部14間にクランプされた組織を切断するために、上記挟持部14間で滑動するように配置される。駆動シャフト316の中心走路341内に配された刃340の動きをトリガするために使用される機構は、いわゆる切断機構である。切断機構は、駆動アーム2000と、刃駆動成形物346と、刃カラー成形物348と、刃成形物352と、引っ張りバネ350とを含み、これらは全て、結合されて、図20a~b、図31、及び図32に示されるような3枢着スライダ-クランク機構を形成する。
【0095】
駆動アーム2000は、トリガ24と、トリガ成形物344とで形成され、トリガ24は、切断機構を作動させるための指グリップ部材であり、トリガ成形物344は、「C」字型の側面輪郭と、駆動シャフト316が通される孔364とを有するカラーである。トリガ24とトリガ成形物344とが合流する地点は、駆動アーム2000が中心として回転される枢着点Aを提供する。この第1の枢着点Aは、例えば、クラムシェル成形物300、302と一体である対応する成形物356に接続する外向きのピン358によって、ケーシング20に固定される。
【0096】
駆動アーム2000の遠位端、即ちトリガ成形物344の端は、刃駆動成形物346に枢動式に接続されて、第2の枢着点Bを形成する。刃駆動成形物346は、2本の平行アームと、それらの間の突っ張りとを有する「H」字型のフレームである。しかるがゆえに、刃駆動成形物346の平行アームは、例えば外向きのピン366と、合わせコネクタ368とによって、トリガ成形物344の一端に枢動式に接続される。反対側の端でも、刃駆動成形物346の平行アームは、例えば外向きのピン372と、合わせコネクタ370とによって、刃カラー成形物348に枢動式に接続されて、第3の枢着点Cを形成する。
【0097】
図21~23に示されるように、刃カラー成形物348は、刃成形物352が中に着座するチャンバ2104を有する円筒状の又はたる型のコンポーネントであり、刃成形物352は、刃カラー成形物348のチャンバ2104の内側に収まるボディ362を有する円筒状の又はたる型のコンポーネントである。刃成形物352は、更に、チャンバ2104よりも大きい直径を有するフランジ360を含み、したがって、図22に示されるように、フランジ360は、刃カラー成形物348の遠位側のリップ2200に突き当たる。したがって、フランジ360は、刃成形物352の正しい端が刃カラー成形物348に作用することを保証する。
【0098】
ボディ362は、刃成形物352と刃カラー成形物348とがスナップ式接続を通じて連結されるように、遠位側のリップ2200がかみ合う肩部を提供できるように、その周囲に小さい溝2202を提供される。遠位側のリップ2200は、刃成形物352がチャンバ2104内で自由に回転することを可能にしつつ、刃成形物352を刃カラー成形物348内で保持するために、溝2202と合わさる。しかるがゆえに、刃成形物352及び刃カラー成形物348は、同心状に自由に回転することができる。
【0099】
刃カラー成形物348及び刃成形物352が組み立てられたら、図24a~cによって示されるように、刃340を接続することができる。これに関して、刃成形物352は、図23によって示されるように、刃340及び駆動シャフト316の両方を受け入れられるような形状にされた「T」字型の孔2300を、その全長にわたって含む。
【0100】
刃340の近位端は、刃340の残りの部分の全体輪郭を超えて伸びるタブ特徴2102を含む。要するに、刃340の近位端は、刃340の残りの部分と同じ軸方向面内にはない。図24cに示されるように、ボディ362は、更に、タブ2100が中に保持される凹所2100を含む。組み立てを可能にするために、刃340の近位端は、斜切された縁2400を提供するために、タブ2102に対向する第1の地点で切り取られ、陥凹部分2402を提供するために、タブ2102に隣接する第2の地点で切り取られる。しかるがゆえに、刃340の近位端は、「L」字型の輪郭を有する。
【0101】
刃成形物352内に及び刃カラー成形物348内に刃340を組み付けるために、刃340は、図24a~bに示されるように、タブ2102及び斜切された縁2400が刃成形物352の内部空洞2404に挿入されることが可能であるように、器具1の長手方向軸に対して一定の角度で「T」字型の孔2300に臨まされる。刃340は、次いで、図24cによって示されるように、タブ2102を凹所2100に押し込むことができるように、長手方向軸と同一直線上になるように引き下げられる。しかるがゆえに、タブ2102は、刃成形物352の肩部2406に効果的に引っ掛けられ、それによって、刃340の近位端を内部空洞2404内に保持する。
【0102】
次いで、駆動シャフト316が、「T」字型孔2300に通されてよく、刃340は、図22及び図23に示されるように、中心走路342に受け入れられる。しかるがゆえに、刃カラー成形物348と刃成形物352とからなるアセンブリの、駆動シャフト316に沿った長手方向移動は、刃340を走路342に沿って動かす。
【0103】
刃トリガアセンブリを完成させるために、例えばフック2002、2004によって、刃カラー成形物348と駆動アーム2000との間に引っ張りバネ350が伸びる。
【0104】
使用時に、ユーザは、図25b~cによって示されるように、駆動アーム2000を第1の枢着点Aを中心として枢動させるために、トリガ24をケーシング20に向けて引き戻す。その際に、第2の枢着点Bは、遠位方向に前方へ押され、これは、駆動成形物346に、刃カラー成形物348と刃成形物352とからなるアセンブリを駆動シャフトに沿って押させる。トリガ24にかかる荷重は、したがって、トリガ成形物344及び駆動成形物346を通じて刃カラー成形物348及び刃成形物352に伝達される。刃340の近位端は、上述のように、刃成形物352の内部に保持されるので、刃340は、刃カラー成形物348と刃成形352とからなるアセンブリとともに、中心走路342に沿って滑動する。刃成形物352は、刃カラー成形物348から回転式に隔離されるので、駆動シャフト316もまた、切断機構の動作を妨害することなく回転させられる。
【0105】
機構の機能性は、ユーザの指が伸びていてあまり強くないときである刃340の移動開始時に、また、バネ350の力、走路342内の摩擦、及び厚い組織を貫くために必要とされる力などの多くの力が刃340の移動に対抗して作用している刃340の移動終了時に、優れた機械的利点を提供することができるように、最適化される。図27からわかるように、トリガ24には、ユーザによって一定の力が加えられる。機構は、このトリガ力を初期の高い刃340力に変換し、この力は、刃340が走路342に沿って動かされるのに伴って減少し、刃340が挟持部14に到達するのに伴って再び増加する。したがって、図28a~bによって示されるように、枢着点Bがその後退位置から、β>90度になるようにその伸展位置へ動くのに伴って、刃カラー348及び刃成形物352が駆動シャフト316に沿って動かされる速度が加速し、その結果、刃340の力が増加する。しかるがゆえに、機構は、ユーザが追加の力をトリガ24に加える必要なく、挟持部14間にクランプされた組織を効果的に切断するのに十分な力で刃340を動かされることができる。
【0106】
加えて、切断機構は、湾曲した挟持部14に沿って刃340を推し進める必要があるかもしれず、これは、刃340の移動に対抗して作用する摩擦力を増加させる。摩擦力は、走路342内における刃340の摩擦係数と、刃340が走路342の壁に及ぼす曲げに起因する力との積である。
【0107】
この摩擦力を低減させるために、刃の遠位端の、横方向における柔軟性が徐々に変化させられてよい。このような徐々に変化する柔軟性は、例えば、刃が切断力の方向における剛性を維持しつつも走路342に沿って曲がることができるように、刃340を選択的に弱体化させることによって実現されてよい。選択的弱体化は、例えば、図47aに示されるように、遠位端に1つ以上の孔又はスロット354を提供することによって提供されてよい。このような孔は、必要とされる柔軟性の程度に応じて、大きさ又は形状が一定又は可変であってよい。例えば、図47bでは、大きさが異なる2つの連続した孔4702、4704が提供され、大きい方の孔4702は、小さい方の孔4704よりも大きい柔軟性を提供する。別の例として、図47cでは、サイズ及び形状が異なる3つの孔4706、4708、4710が提供され、最も大きい孔4706は、更なる柔軟性を最も遠位の領域に提供できるように、最も遠位にある。選択的弱体化は、図47dに示されるように、刃340の遠位端が斜切された端4700であるように、刃340の厚さを徐々に変化させることによって実現されてもよい。
【0108】
或いは、図47eに示されるように、刃の長さにわたる曲げ剛性を制御するために、遠位端におけるパターン形成されたレーザ切断部分4712又は化学エッチング部分が使用されてよく、このような切断部分間の間隔は、遠位端から近位端にかけて一定であってよい又は徐々に増してよい。
【0109】
好ましくは、刃340は、柔軟性が異なる少なくとも3つの領域に分割される。例えば、遠位領域、中間領域、及び近位領域であり、遠位領域は、横方向における柔軟性が中間領域よりも大きく、中間領域は、近位領域よりも大きい柔軟性を有する。例えば、図47aによって示されるように、遠位領域は、最も程度が大きい柔軟性を与えるために、斜切された端4700で形成されてよく、中間領域は、相対的に低い柔軟性を提供するために、孔354で形成され、近位領域は、更に低い柔軟性を与えるために、中身が詰まった棒状に形成される。図47bによって示される更なる例では、遠位領域は、最も程度が大きい柔軟性を与えるために、大きな孔4702を含み、中間領域は、それよりも低い柔軟性を提供するために、より小さい孔4704を含み、近位領域は、再びやはり、最も程度が低い柔軟性を有する中身が詰まった棒状である。しかるがゆえに、遠位領域、中間領域、及び近位領域は、上述された選択的弱体化の任意の適切な組み合わせを使用して実現されてよい。
【0110】
湾曲した走路に起因する摩擦力を低減させる更なる方法は、刃340の遠位端の少なくとも一方の側面に低摩擦コーティングを追加することである。例えば、刃は、例えば物理蒸着(PVD)プロセス又は化学気相成長(CVD)プロセスを使用して、PTFE複合材料又はその他の低摩擦性ポリマ複合材料などの、低摩擦性材料又は付着防止材料でコーティングされてよい。
【0111】
5. 排水孔
次に、駆動シャフト316の構造に関する様々な更なる特徴及び態様が説明される。上述のように、駆動シャフト316は、図10aによって示されるように、「T」字型の断面を有する細長い棒である。駆動シャフト316は、上述された切断機構に使用される切断刃340などの更に細長い部材を収容するのに適したスロット又は走路342をその長さに沿って含む。使用時に、切断刃340は、挟持部14間にクランプされた組織を切断
するために切断刃340の遠位端を挟持部14間で駆動できるように、駆動シャフト316の長さに沿って滑動させられる。
【0112】
時間の経過に伴って、血液及び組織が、器具1の遠位端内に、具体的には外側シャフト12及び駆動シャフト316の長さの先の方に、蓄積することがある。この血液及び組織の蓄積は、刃340を駆動シャフト316内で詰まらせて、器具1の、とりわけ切断機構の、機能性を低下させることがある。これに対抗するために、駆動シャフト318の遠位端の部分は、駆動シャフト316と刃340との間の接触領域を少なくし、それによって、血液及び組織が詰まる恐れがある表面積を低減させるために、切り抜かれる。
【0113】
これらの切り抜き部分は、支えとなる基部と、分岐した側壁とを駆動シャフト316の遠位端が含むように、図10b~cに示される細長い窓1000、1002などの孔であってよい。切り抜き部分は、分岐した側壁と、開いた底部とを遠位端が含むように、駆動シャフト316の基部まで伸びてもよい。これらの孔1000、1002によって可能になる排水の量を最大にするために、これらの孔は、駆動シャフト316の深さの50%を超えることが好ましい。
【0114】
しかるがゆえに、これらの孔1000、1002は、中心走路342と、駆動シャフト316の外側との間に排水路を提供する。
【0115】
6. 回転ホイール及びスイッチ
次に、サムホイール(本書では回転ホイールとも呼ばれる)28の動作に関する様々な更なる特徴及び態様が説明される。サムホイール28は、エンドエフェクタアセンブリ14が上に搭載された外側シャフト12をユーザが回転させることを可能にするために提供される。しかしながら、スペースを削減し、それによって、よりコンパクトな器具を作成するためには、サムホイール28の内部容積1300も、前述のクランプ機構の一部を形成する内側成形物314のための移動スペースを提供するために用いられる。このような配置によって、よりコンパクトな機構が得られる。
【0116】
より詳しくは、回転ホイール28(本書ではサムホイールとも呼ばれる)は、プラスチック製の歯様ホイールであり、その外径の周りに位置付けられた複数の波形部分336を有する。しかるがゆえに、サムホイール28は、歯の外観をしており、ユーザの親指を人間工学的に受けるように配置された波形の切り抜き部分を有する。これに関して、図13a、13b、及びとりわけ図14aに更に詳しく示されるように、波形部分は、サムホイール又は回転ホイール28が、総じて、ユーザから遠い遠位側の端での方がユーザに近い近位側の端でよりも広い僅かに切頭円錐型の形状であるように、使用時におけるサムホイールの回転面に対して角度を付けられる。波形部分336は、それぞれ、サムホイールの遠位端から近位端に伸びており、使用時にユーザの親指を受けるために湾曲している又は鞍様の形状である。図14aに詳しく示されるように、回転ホイール28を切頭円錐型にするための、波形部分336の角度付けは、器具のボディの角度に概ね一致する。図14aにおいて、破線は、ホイール28の端周りにおける波形336の角度付けを示しており、これは、ホイール周囲の地点における器具の外壁の角度に対して、及びとりわけホイールのすぐ前における器具の外壁部分の角度に対して接線方向であることがわかる。回転ホイールの外縁における角度付けされた波形がホイール周囲における器具の壁の角度付けに一致するこのような配置は、外科医によって容易に操作可能な快適で且つ人間工学的な設計を提供する。
【0117】
ホイール28の外径周りにおける波形部分336の数に関しては、一実施形態に示されるように、ホイールの外径周りに8個の波形部分が均等に分布している。その他の実施形態では、例えば、6個若しくは7個などの少ない数、又は9個若しくは10個などの多く
の数などの、より少ない又はより多い数の波形部分が使用されてよい。もし、大きめのホイール28が用いられたならば、より多数の波形部分336が含まれてよく、反対に、小さめのホイールが用いられるならば、波形部分の数が少なくてよい。これに関して、各波形部分336の実際の大きさは、波形部分がユーザの親指を快適に受けられるように人間工学的に選択されているゆえに、通常は、同じままであることが望ましい。
【0118】
図2に示されるように、器具内におけるサムホイール28の位置決めに関しては、回転ホイール又はサムホイール28は、スイッチ26の下で垂直な向きにされ、例えば駆動シャフト316の長手方向によって定められた長手方向軸に直交する方向にサムホイールから隔てられている。具体的には、ハンドスイッチ26は、このような長手方向軸に直交してサムホイール28も通過する軸の上に直接載っている。更に、図14a及び図14bに示されるように、スイッチ26は、比較的サイズが大きく、サムホイールの上方で、器具の上表面の片側からもう一方の片側にかけて広がっている。スイッチ26は、実際は湾曲しており、器具の外壁の湾曲した上表面に概ね一致し、ユーザが自身の親指でスイッチを捕らえて押せるように助けるために、その外表面上に膨らみ、溝、又はその他の隆起突出を有する。スイッチ26の表面積は、比較的大きく、3cm2を、又はひいては5cm2を超えている。これは、ユーザによるその人間工学的作動を可能にするための、大きな表面積を提供する。サムホイール28の真上におけるスイッチ26の垂直な向きも、人間工学的作動を可能にする。本書の他所で説明されるように、スイッチ26は、使用時に、エンドエフェクタ内に位置する組織の凝固のために、エンドエフェクタへのRF凝固信号の供給を引き起こすように作動する。
【0119】
スイッチ及びサムホイールの人間工学に関して、図35a及び図35bは、それぞれ異なる大きさの手を有する異なるユーザの2枚の写真である。図に示されるように、比較的表面積が大きいスイッチ26は、手の大きさが異なるユーザが、クランプハンドル22(及びもし必要であれば、刃トリガ24)を操作するのと同時に容易に操作することができる。
【0120】
図12に戻り、前述のように、サムホイール28は、使用時に内側成形物314が中に受け入れられる内部空洞1300を有する。前述のように、内側成形物314は、内側成形物のチャンバ610を含み、その中にT字型の切り抜き部分1208を有し、該切り抜き部分には、前述のように、駆動シャフト316が通されて留め付けられる。内側成形物314は、ホイール28の内部空洞内にスナップ式に嵌り、図12、及び図29a、29bに示されるように、サムホイール28の円筒状内部空洞1300の外縁周りには、内側成形物314が空洞内に挿入されたらその内側成形物314を空洞内の適所に保持するために、フランジ1206が提供される。サムホイール28の内部空洞1300には、かみ合い部材1200も提供され、該部材は、円筒状の内側成形物314の外周沿いに提供された対応するかみ合い部材1202と相互に作用する。それぞれのかみ合い部材1200、1202は、サムホイール28と円筒状内側成形物314とが互いに対して正しく回転整合されたときに空洞1300の内表面沿いに円周方向に隣り合って組み合わさるそれぞれの隆起段差部分を含む。それぞれのかみ合い部材1200、1202は、円筒状内側成形物314が使用時にホイール28の内部空洞内で端から端へ滑動はしえるがホイール28内で回転はしえないように提供される。その代わりに、相互に作用するかみ合い部材1202、1200は、内側成形物314が回転ホイール28の回転に伴って回転ホイール28とともに回転するように機能する。このように、ユーザ28によって回転ホイール28に加えられた回転トルクは、エンドエフェクタを載せた駆動シャフト316を回転させるために、内側成形物314に伝達されて次いで駆動シャフトに伝達される。図29a及び図29bは、サムホイール28の内部空洞に挿入された内側成形物314を示しており、内側成形物314がどのようにしてホイール28の内部空洞1300内で軸方向に滑動しえるかを説明している。
【0121】
図13a及び図13bも、内側成形物314がどのようにしてホイール28の内部空洞1300内で移動できるかを更に詳細に示している。上述のように、駆動シャフト316は、内側成形物314の中のT字型の孔1208に通され、駆動シャフトの端に提供されたスナップ式の突出したキャッチ部材又はラッチ部材602を通じて留め付けられる。要するに、ラッチ部材又はキャッチ部材602は、内側成形物314内のT字型の孔1208を通り抜けて次いで空洞を形成している内側成形物の第2の通路部分606に受け入れられる弾力性の金属タブの形態をとり、第2の通路部分606は、これらの弾力性タブが跳ね開くことを可能にし、そうして内側成形物内に駆動シャフトを留め付ける。内側成形物314は、次いで、サムホイール1208の内部空洞に押し込まれ、上述のように、スナップ式のタブ1206によって適所に保持される。内側成形物は、図13aに示されるように、ホイール28の遠位側の壁の内表面に突き当たるように、又はその移動の反対側の端において、ホイールの遠位側の縁にあるタブ1206に突き当たるように、内部空洞1300内で軸方向に移動してよい。したがって、内側成形物314は、サムホイール28の空洞内で軸方向にある程度の滑動を許容され、これは、上述のように、挟持部内に含まれた材料に対してユーザによって加えられる力を制御するための機構の一部として必要である。
【0122】
サムホイール28の内部空洞内への内側成形物314のスナップ式嵌合特性は、装置の組み立てを大いに向上させ、装置の組み立てを大幅に容易に及びそれゆえに安価にする。同様に、図33に示されるように、サムホイールをケーシング内に位置決めするために、サムホイール28の遠位側の外壁1310は、装置のケーシングからの突出として提供された支持内壁1320と同心であるとともに揃えられている。これも、ケーシング内におけるホイール28の容易で且つ正確な組み立て及び位置決めを可能にする。
【0123】
7. 駆動シャフトの回転制御
上述のように、エンドエフェクタ14を上に有するシャフト12は、組織の切断及び凝固のためにエンドエフェクタが所望の回転位置へ動かされることを可能にする。しかしながら、エンドエフェクタへの配線接続が、一方向に極端に回転されているシャフトからの過度なひずみ下に置かれて配線が巻き上がる、捻じれる、又は過度なひずみを受けることがないようにするためには、シャフト12の回転を制御するための機構が必要であり、特に、回転の量を制限しそれによって配線が受ける過度なひずみを阻止するための機構が必要である。また、シャフト12の回転のポシティブ制御の提供は、使用時における器具の人間工学的経験を向上させ、ユーザの知覚の質を高める。
【0124】
一実施形態においてシャフトの回転制御を提供するためには、図15a及び図15b、並びに図16a~dに示されるような配置が用いられる。図15を参照すると、ここでは、サムホイール28が、その近位側表面(即ち、ユーザに面している、後方を向いた面)上に波形部分36を提供され、近位側表面から僅かに突出するリング1506が、ホイール28の軸と同心に配置される。リング1506は、使用時に、ガイドストッパー1502、1504上に載っており、これらは、外側ケーシングの内表面からの突出であり、リング1506の外周に接触するように上方に突き出している。ストッパー1502は、リングの軸に対するケーシング上におけるそれらの位置決めゆえにストッパー1504よりも小さいが、ストッパー1502、1504は、ともに、角度付けされたガイド上面1510、1512(図15aを参照)をそれぞれ有する。これらのガイド上面は、リング1506の外周表面に接触してサムホイールの一部を形成し、サムホイールをその回転において支持及び誘導する。
【0125】
加えて、ガイド機能を提供するために、ストッパー1502、1504は、これらのストッパーの角度位置を超えるサムホイールの回転を阻止するためのストップ部材としても
機能する。これに関連して、リング1506は、そこから半径方向に伸びる矩形のストップ突出1500を提供されている。サムホイール28が回転されるのに伴って、ストップ突出1500は、ストッパー1502、1504のそれぞれのストップ面1514、1516に突き当たる。ストップ面は、矩形のストップ突出1500がストップ面に突き当たる角度に位置決めされたときにストップ突出に平行であるように角度を付けられる。
【0126】
上述のように配置されたストップ突出1502、1504は、ストッパー1500からストッパー1502への既知の量のホイール28回転を提供できるような配置及び長さである。図15a及び図15bに示された目下説明されている配置では、ストッパー1502、1504は、サムホイールがストップからストップへ270度回転することを可能にできるように、ケーシング上に間隔をあけて位置決めされる。回転の量は、ストッパー間の距離を増加又は減少させることによって僅かに変化させることができ、それに応じて、ストッパーは、ホイールとストッパーとが尚も実質的に垂直に出会えるように、ガイド面及びストップ面の長さと角度とを適応される。例えば、ストッパーは、250度から300度のホイールの角度回転を提供するような位置決め及び形状であってよい。
【0127】
上記は、サムホイールに(及び次いでサムホイールを通じてシャフトに)加えられる回転制御を説明している。図16a~dは、反対側のシャフト端においてシャフト成形物320を使用してシャフトに作用する更なる回転制御機構を示している。ここで、シャフト成形物320は、そこから突き出す矩形のストップ部材1600を提供されている。外側ケーシングの内表面は、更に、それぞれの成形ストッパー1602、1604を提供され、これらのストッパーは、シャフト成形物320のそれぞれの角度位置においてそれぞれの平行ストップ表面を矩形ストップ部材1600に臨ませるそれぞれのストップ表面を提供する段差構造の形で示されている。図に示された例では、成形ストッパーは、ケーシング上に位置決めされ、エンドエフェクタを載せているシャフト12の、ストップからストップへの270度の回転を許容するために、それぞれのストップ表面をストップ部材1600に臨ませる。その他の実施形態では、成形されたストッパー1602、1604は、例えば180度から360度、又は更に好ましくは250度から300度、又は最も好ましくは270度などの、より多い又は少ない量の回転を提供するために、成形物320のその他の回転角度位置においてストップ表面をストップ部材1600に臨ませるように位置決めされてよい。
【0128】
サムホイール28及びシャフト成形物320に提供されたそれぞれの回転制御機構は、互いに独立に提供されてよい。即ち、任意の特定の実施形態において、これらの両方の回転機構が提供される必要はなく、シャフトの回転制御を提供するために、一方のみ又は別の一方のみが提供されてもよい。しかしながら、装置の動作及び知覚の質の観点からすると、両方の回転制御機構が同じ装置内に提供されて、いずれの回転方向にもそれぞれの同地点で回転を停止させるように位置合わせされると有利である。このような配置は、シャフトの回転がハンドル部分10の両端で独立に停止することを意味しており、ストップによって表される許容限界を超える望ましくない更なるシャフト回転をユーザが強いることが、非常に困難になる。
【0129】
図36及び図37には、代替の回転制御機構が示されている。図36は、再びシャフト成形物320を示しており、ただし、ここでは、成形物は、リング3220を提供され、該リング上には、そこから半径方向に突き出す主要な矩形ストップ部材3202と、リングの周に沿って実質的に等角度間隔で好ましくは直交位置に位置決めされた補助的な位置マーカ部材3204、3206、3208とが搭載されている。補助的な位置マーカ部材3204、3206、3208は、ストップ面3212、3214に突き当たるのに十分な大きさではない小さい隆起突出を構成する。
【0130】
ストップ面3212、3214は、外側ケーシングに一体の成形物として提供され、ここでは、シャフト成形物320が180度回転されることを許容できるように位置決めされる。これに関して、ストップ部材320は、回転範囲の両極において、シャフト成形物の更なる回転を防ぐために、ストップ面3212、3214に突き当たる。したがって、図36a~cに示されるように、シャフト12を載せているシャフト成形物320は、エンドエフェクタが必要に応じて回転式に位置決めされることを可能にするために、180度回転されてよい。
【0131】
また、弾力性の突出3216も提供され、該突出は、その先端がリング3220の外周表面に接触するようにストップ面3214形成成形物から上向きに突出している実質的に三角形の断面のプラスチック突出を含む。小さい隆起突出の形をしている補助的な位置マーカは、シャフト成形物320の回転に伴ってこの弾力性突出の先端に押し付けられ、弾力性突出の先端を、対応する突出が先端を通過することを可能にするためにその静止位置から外れさせる。この動作の効果は、機構を回転させて、隆起突出を、弾力性突出の先端に接触する回転位置を通過させるために、ユーザが更なる力を加えなければならないという意味で、何らかのユーザフィードバックを提供することである。なぜならば、弾力性突出の先端を撓ませて、隆起突出が先端を通過することを可能にするためには、十分な力が提供されなければならないからである。これの結果は、シャフトを回転させて隆起突出の回転位置を通過させるために必要とされる力の増加をユーザが感じ取ることであり、したがって、ユーザは、直感的に、シャフトの及びそれゆえにエンドエフェクタの回転位置に関する示唆を提供される。このような触覚的フィードバック機構は、こうして、ユーザに優しく且つ容易な装置操作を可能にする。
【0132】
図37は、図36の機構のための、対応するサムホイール28を示している。ここでは、サムホイールも、サムホイールの周囲に90度の間隔で直交に配置されたそれぞれの小さいストップを提供されている。シャフト成形物320の場合と同様な触覚的フィードバックを提供するために、弾力性突出3216と同様な、ケーシングから突き出した機構が提供されてよい。このような配置では、シャフトの回転位置に関する触覚的フィードバックがハンドルの両方の端から提供され、したがって、ユーザの装置知覚が向上される。
【0133】
8. 配線
次に、ハンドル2内における配線に関する様々な更なる特徴及び態様が説明される。上述のように、何らかの適切な回路構成を通じてエンドエフェクタアセンブリ14の中の電極を作動させるためのRF信号を活性化及び非活性化するために、例えば小型プリント回路基板(PCB)338上の2つの侵入保護スイッチなどのスイッチボタン26が提供される。図17に示されるように、PCB338は、ジェネレータ(不図示)からのRF出力を受信するための接続コード1700、並びにRF電流を挟持部14の中の電極に供給するための、例えば1本は活性電極のための及びもう1本は戻り電極のための電気配線1702、1704に接続される。
【0134】
組み立ての際は、電極からの配線1702、1704が、駆動シャフト316に並行して外側シャフト12を遡ってシャフト成形物320に至るように引かれる。図9bに示されるように、シャフト成形物320は、外側シャフト12を受け入れるための開口912を遠位端に有する円筒状の又はたる型のコンポーネントである。外側シャフト12は、例えば、シャフト成形物320内の対応する切り込み902と協働するスナップ式のタブ900によって、シャフト成形物320に取り付けられる。したがって、もし、シャフト成形物320が回転すると、それとともに、外側シャフト12も回転する。シャフト成形物320は、更に、近位端に更なる孔914を含み、該孔914は、駆動シャフト316を受け入れられるように「T」字型の形状を有し、駆動シャフト316は、シャフト成形物320の内部空洞1802を通って外側シャフト12の長さにわたって伸びる。しかるが
ゆえに、駆動シャフト316は、シャフト成形物320内で及び外側シャフト12内で滑動することができ、しかしながら、駆動シャフト316の回転運動は、シャフト成形物320に及びそれに続いて外側シャフト12に伝達される。
【0135】
図18aに示されるように、電極配線1702、1704は、シャフト成形物320のボディ1804の上に及び周りに巻き付けられる前に、シャフト成形物320の壁にあいた開口1800を通して内部空洞1802から引き出される。配線1702、1704をこのようにシャフト成形物320に巻き付けることによって、配線1702、1704は、器具1の残りの部分を組み立てるときに配線1702、1704が邪魔になる事態が回避されるように、コンパクトな構成に維持される。更に、配線1702、1704をシャフト成形物320に巻き付けるということは、シャフト成形物320が駆動シャフト316とともに回転するのに伴って、配線1702、1704が引き寄せられて短絡することなく上記回転とともに配線1702、1704が巻きを解かれる及び再び巻かれることを意味する。具体的には、このように配線1702、1704を巻き付けることによって、図15a~b及び図16a~dを参照にして説明されるように、最大で270度の回転が可能になる。
【0136】
電気配線1702、1704は、次いで、ケーシング20の頂部に沿って引き渡される。これに関して、クラムシェル成形物の1つ300は、活性配線1702及び戻り配線1704を侵入保護スイッチ338の配線1908、1910に接続する配線コンタクト1904、1906を収容するための、2つの直列に配置されたポケット1900、1902を提供されている。したがって、全ての電気配線1702、1704、1908、1910は、各ポケット1900、1902内に1つのコンタクト1904、1906のみが収容されるように、ポケット1900、1902の中及び周囲において経路設定される。配線の経路設定は、1組の配線1702、1910をポケット1900、1902の外周りに方向付けるガイド部分1912、1914、1916によって補助される。各ポケット内では、活性配線1702が配線1908と長手方向に揃えられ、戻り配線1704が配線1910と長手方向に揃えられる。
【0137】
その結果、2つの配線コンタクト1904、1906は、各ポケット1900、1902に一方のコンタクトのみを通せるように長手方向に分離され、それによって、各コンタクト1904、1906と配線との間に物理的障壁が提供される。これは、コンタクト1904、1906自体によって引き起こされるあらゆる配線の絶縁損傷のリスクを防ぐ。
【0138】
配線1702、1704、1908、1708は、全て、そのそれぞれのポケット1900、1902に、ポケットの壁にあいた小開口1918、1920、1922、1924を通って進入する。好ましくは、孔1918、1920、1922、1924の寸法は、1本の電気配線のみが通り抜けられる寸法である。実質的に密封されたハウジングを形成できるように、相対するクラムシェル成形物302も、ポケット1900、1902内にコンタクト1904、1906を保持するための対応するリブ機構(不図示)を含む。これは、外側シャフト12を経てケーシング20内へ進みその結果としてコンタクト1904、1906による回路の短絡を引き起すかもしれないあらゆる流体からコンタクト1904、1906を保護するためにポケット1900、19200の浸透性を最小限に抑えるために、重要である。
【0139】
9. エンドエフェクタアセンブリ
次に、装置に使用されてよいエンドエフェクタアセンブリの例が説明される。説明される例は、完全を期すために与えられるものであり、駆動シャフト316によって駆動可能でありさえすれば、その他の設計のエンドエフェクタが器具に使用されてもよいことが、理解されるべきである。要するに、本発明の実施形態は、本書で説明される特定のエンド
エフェクタに限定されず、その他の設計のエンドエフェクタが使用されてもよい。
【0140】
図38~44は、封止電極の一方又は両方に導電性ストップ部材が配されている器具の例を示している。図38を参照すると、全体を3801で示されているエンドエフェクタは、枢軸3804を中心にして下方挟持部3803に枢動式に接続された上方挟持部3802を含む。上方挟持部3802の近位端に、フランジ3805が存在する一方で、下方挟持部3803の近位端には、フランジ3806が存在する。フランジ3805、3806は、(駆動機構(不図示)による)駆動ピン3808の近位側及び遠位側における動きが挟持部3802、3803を開位置と閉位置との間で枢動させるように、それぞれ、駆動ピン8が通るスロット3807を有する。
【0141】
上方挟持部3802の内向き面上に、金属製のシム3809が存在する一方で、下方挟持部3803の内向き面上には、金属製のシム3810が存在する。挟持部3802、3803がその閉位置へ枢動するときは、金属製のシム3809、3810は、それらの間に組織(不図示)を把持するために互いに近接近する。
【0142】
上方のシム3809は、その長さにわたる長手方向の溝(図38では見えていない)を例外として、概ね平面状の表面を有する。下方のシム3810は、対応する溝3811を有し、シム3809、3810の中の溝は、切断刃(不図示)の長手方向移動に適応している。下方シム3810は、シムの長さに沿って配されて溝3811の両側に位置する複数の金属製ストップ部材3812も提供される。ストップ部材3812は、図39及び図40を参照にして、次に更に詳しく説明される。
【0143】
各金属製ストップ部材3812は、ストップ要素3813の上部ドームによって構成され、該ドームは、絶縁部材3814によって、該絶縁部材がストップ要素3813を封入してシムの残りの部分から隔離するように包み込まれる。各絶縁部材3814及びストップ要素3813は、絶縁部材の上方部分が各ストップ部材3812を取り巻く絶縁リング3816を形成するように、シム3810内に存在する対応する孔の中に位置決めされる。
【0144】
挟持部3802、3803が、(図40に示されるように)それらの閉位置へ動かされると、ストップ部材3812は、上方シム3809に接触し、上方シムと下方シムとの間に20μmから約350μm(0.00079インチから約0.014インチ)の分離を維持する。使用時には、シム3809と3810との間に凝固のための電気手術電圧が供給され、シム間の分離は、挟持部材3802と3803との間に把持される組織の効果的な封止を保証する。その一方で、ストップ部材3812は、それらがシム3810の残りの部分と同じ電位を帯びないように、電気的に隔離されているので、シム間の電気的短絡は、回避される。金属製のストップ部材3812は、剛性であり、シム表面の一貫した分離を可能にする一方で、ストップ要素3813がいつ上方のシム3809に接触するかを検出するためにストップ要素3818の電位を監視し、挟持部が閉じたとの示唆を与えることができるという点で、実用的である。
【0145】
図41~43は、金属製ストップ部材3812が、ストップ部材を取り巻く絶縁部材の提供を伴うことなく下方シム3810上に直接搭載される代替の配置を示している。この配置では、各ストップ部材に対応するように、上方シム3809に絶縁部材3817が提供される。このようにすると、挟持部3802と3803とが閉じられたときに、絶縁部材3817によって、上方シム3809と下方シム810との間に電気的短絡がないことが保証される。金属製ストップ部材3812は、挟持部間に把持されている組織を封止するために電気手術エネルギが加えられる最中に、挟持部材間の適切な分離が維持されることを保証する。
【0146】
最後に、図44は、金属製ストップ部材3812が再び下方シム3810上に直接搭載される更なる代替配置を示している。この配置では、各ストップ部材の向かい側に金属製のアンビル3818が配置され、各アンビル3818は、上方シム3809の残りの部分から隔離するために、絶縁部材3819に取り囲まれる。挟持部が閉じられるときは、ストップ部材3812と金属製アンビル3818との間に金属どうしの接触が生じ、ここでもやはり、アンビルの隔離によって、シム3809と3810との間の電気的短絡が回避されることが保証される。ここでもやはり、各金属製アンビルがいつ下方シムの電位を帯びて、挟持部が閉じたことを示唆するかを検出するために、各金属製アンビルの電位を監視することができる。
【0147】
10. 電気手術システム
次に、図45を参照すると、使用時における器具1は、制御可能な高周波(RF)源を中に有する電気手術ジェネレータ4500に接続されるとされ、高周波源は、器具1のエンドエフェクタの電極を通じて与えられたときに組織を凝固させる又は封止するRF凝固信号を生成する。電気手術ジェネレータ4500は、ジェネレータがオン及びオフにされることを可能にするための、並びに制御対象とされている器具1にRF凝固信号の電力が供給されることを可能にするための、それぞれの制御入力スイッチ4504、4502を含む。これらに関して、電気手術ジェネレータ4500は、従来通りである。
【0148】
器具1は、使用時に、制御・電力ライン4506によってジェネレータ4500に接続される。制御・電力ラインは、前述の内部配線を通じて器具1のエンドエフェクタにRF信号が供給されることを可能にするための、及びRF凝固信号を器具1に出力するように電気手術ジェネレータに指示するために器具1のスイッチ26から制御信号が受信されることを可能にするための、別々の制御ラインを内包している。使用時に、外科医は、オン-オフスイッチ4504を通じてジェネレータを作動させ、ボタン4502を使用して、内部RF源によって生成される凝固又は封止のための信号強度を選択する。器具を使用した外科手術中、エンドエフェクタにおいて封止又は凝固のためのRF信号が必要とされるときは、外科医は、ジェネレータを制御してこのような信号を生成させるために器具上のスイッチ26を押し、生成されたRF信号は、次いで、電気ライン4506を通じてエンドエフェクタに引き渡される。要するに、使用時におけるスイッチ26の押圧が、エンドエフェクタ内に内包された適切な電極へのRF凝固又は封止信号の供給を引き起こす。
【0149】
11. まとめ
したがって、以上の全てを考慮すると、本発明の実施形態は、高度な電気手術鉗子器具であって、ユーザによる容易で且つ人間工学的な片手操作を可能し、エンドエフェクタの回転柔軟性を提供し、把持されている組織に対してエンドエフェクタによって加えられる力を制御して、過度な力が加えられることを阻止し、把持されている組織を電気手術によって凝固又は封止させつつ、尚も簡便な機械的切断を同時に可能にする、電気手術鉗子器具を提供する。更に、器具は、それぞれの内部活性化機構内において利用可能なスペースの効率的使用を通じてコンパクトな器具を提供しつつ、尚も構築が単純で且つ低コストであるように設計されている。
【0150】
当業者には、追加、削除、又は置換のいずれによってであれ、上述された実施形態に対する様々な更なる変更が、更なる実施形態を提供するために明らかであり、これらの更なる実施形態は、いずれも、添付の特許請求の範囲によって網羅されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8a-f】
図9a-b】
図10a-c】
図11
図12
図13a-b】
図14a-b】
図15a-b】
図16a-d】
図17
図18a-b】
図19
図20a-b】
図21
図22
図23
図24a-c】
図25a-c】
図26a-b】
図26c-d】
図26e-f】
図27
図28a-b】
図29a-b】
図30
図31
図32
図33
図34
図35a-b】
図36a-c】
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
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図45
図46
図47a-e】