(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】回転子鉄心、回転子、及び回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/27 20220101AFI20220720BHJP
H02K 1/22 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H02K1/27
H02K1/22 A
(21)【出願番号】P 2017174797
(22)【出願日】2017-09-12
【審査請求日】2020-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】岩井 通信
(72)【発明者】
【氏名】荒木 貴志
(72)【発明者】
【氏名】稲村 直樹
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-122353(JP,A)
【文献】特開2005-051897(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022021(WO,A1)
【文献】特開2005-065479(JP,A)
【文献】特開2008-131693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状を呈し、回転軸が貫通可能に構成された貫通孔を備える2つの鉄心ブロックは、
前記貫通孔の一部を構成し、回転軸と係合可能に設けられたキーと、
前記鉄心ブロックの外周に沿って交互に配置された複数の第1極性永久磁石と第2極性永久磁石と、を備え、
前記第1極性永久磁石と前記第2極性永久磁石の合計数をnとし、回転方向をプラスとした場合に、前記キーの中心と前記回転軸中心を通る線を基準として角度360/n度間隔で配置された軸線に対して、前記第1極性永久磁石の中心はプラスθ度ずれており、前記第2極性永久磁石の中心はマイナスθ度ずれており、前記鉄心ブロックの一方を裏返して重ね合わせて構成された回転子鉄心。
【請求項2】
前記第1極性永久磁石及び第2極性永久磁石は、前記鉄心ブロックの外周に沿って配置され、前記鉄心ブロックの軸方向に貫通して設けられた磁石用孔に挿入されて設けられている請求項
1に記載の回転子鉄心。
【請求項3】
前記回転子鉄心が装着される回転電機の固定子が24スロットで構成されている場合、前記θは2度である請求項
1又は
2に記載の回転子鉄心。
【請求項4】
前記鉄心ブロックのそれぞれに装着される前記第1極性永久磁石、及び第2極性永久磁石のそれぞれは、一体に構成されており、分割されていない請求項
1から3の何れか一項に記載の回転子鉄心。
【請求項5】
請求項1から
4の何れか一項に記載の回転子鉄心と、
前記貫通孔に貫通する回転軸と、を備える回転子。
【請求項6】
請求項
5に記載の回転子を備える回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転子鉄心、回転子、及び回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機の回転子では、例えば、回転子鉄心を軸水平方向に分割して複数段の回転子鉄心を構成し、それぞれの鉄心ブロック段毎に、磁石配置を僅かにずらすことにより疑似スキューを構成するという手法がとられている。スキューを設けることにより、固定子に対して磁束の流れを滑らかにすることができるため(以下、これをスキュー効果と称する)、トルクリップルの低減、トルク脈動の低減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-333778号公報
【文献】特開平2005-51896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような疑似スキューでは、鉄心の分割、磁石の細分化、シャフト(すなわち回転軸)への段組みのためのキー溝の形成など、コストがかかるという問題があった。
そこで、スキュー効果を維持しつつ、鉄心の分割、磁石の細分化、回転軸への段組みのためのキー溝の構成の単純化が図られた回転子鉄心、回転子、及び回転電機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る回転子鉄心は、円柱状を呈し、回転軸が貫通可能に構成された貫通孔を備える2つの鉄心ブロックであって、前記貫通孔の一部を構成し、回転軸と係合可能に設けられたキーと、前記回転子鉄心の外周に沿って交互に配置された複数の第1極性永久磁石と第2極性永久磁石と、を備え、前記第1極性永久磁石と前記第2極性永久磁石の合計数をnとし、回転方向をプラスとした場合に、前記キーの中心と前記回転軸中心を通る線を基準として角度360/n度間隔で配置された軸線に対して、前記第1極性永久磁石の磁石軸はプラスθ度ずれており、前記第2極性永久磁石の中心はマイナスθ度ずれており、前記鉄心ブロックの一方を裏返して重ね合わせて構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る回転子の概略構成を示す側面図
【
図3】第2実施形態に係る回転子の概略構成を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明において、回転中心軸Oに対して平行な方向を回転軸方向と称する。また、回転中心軸Oの周りを回転中心軸Oに対して同軸に周回する方向を周方向と称する。また、回転中心軸Oに対して直行する方向を径方向と称する。また、角度について、時計回り方向をプラス、反時計回り方向をマイナスとする。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る回転電機が備える回転子2の概略構成を示す側面図である。
図2は、回転子鉄心3の第1面Aから見た概略構成を示す平面図であり、
図1の矢印P方向から見た図を示している。
【0009】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る回転子2は、回転子鉄心3の内部に永久磁石6が埋設されたいわゆるIPM(Interior Permanent Magnet)型の回転電機に用いられる回転子2である。
【0010】
図1及び
図2において、回転子2は、回転軸10、回転子鉄心3を備えている。回転子鉄心3は
図2に示すように、軸方向に所定の厚さを有する略円柱状の立体形状を備えており、中心部には回転軸10が貫通可能に構成された貫通孔14を備えている。回転子鉄心3及び貫通孔14は、回転中心軸Oを共通の回転中心とした同心円をなしている。
【0011】
図1に示すように、回転軸10は、回転子鉄心3の貫通孔14に貫通しており、回転軸10の外周面に凸状に設けられたストッパ11、平板円環形状のスペーサ12、及びスペーサ13により固定されている。スペーサ12は貫通孔12aを、スペーサ13は貫通孔13aを備えており、それぞれの貫通孔12a、13aには回転軸10が貫通している。スペーサ13と回転軸10とは、スペーサ13を加熱して貫通孔13aを膨張させて広げ、回転軸10を貫通孔13aに嵌め入れ、その後冷却することにより固着状態にされている。スペーサ12は回転軸10に摺動可能に貫通され、ストッパ11に係止されることにより
図1において軸方向の位置決めに用いられる。
【0012】
図2に示すように、キー16は、回転軸10に設けられた図示しないキー溝と係合可能に構成されている。回転子鉄心3と回転軸10との周方向の位置決めは、このキー溝と、キー16とが係合することにより達成される。
図2に示す例では、キー16は回転中心軸Oに対して対象位置に配置される二つのキー16a及び16bを備える例を示している。ここで、二つのキー16a、16bの周方向の中心を結ぶ線をキー軸17と称する。キー軸17は係合凸部であるキー16の周方向の中心に位置する。キー軸17は、キー16a、16bの中心及び回転中心軸Oを通っている。また、キー軸17を基準として、回転子鉄心3の周方向に16等角分割する線を軸線1701~1716と称することとする。軸線1701~1716は、全部で16本が存在し、回転子鉄心3の外周に沿って周方向に360/16度すなわち22.5度の等角度間隔で配置されている。本実施形態の場合、第1極性永久磁石4及び第2極性永久磁石6は、各々8個が回転子鉄心3の外周に沿って交互に配置されており、回転子鉄心3は16極の第1極性永久磁石4及び第2極性永久磁石6を備えている。
【0013】
図2に示すように、回転子鉄心3は、複数の第1極性磁石用孔5、第2極性磁石用孔7、及びこれら磁石孔5,7内に配置される第1極性永久磁石4、第2極性永久磁石6を備えている。ここでは、
図2に示すように、それぞれ8個の第1極性磁石用孔5(5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h)、第2極性磁石用孔7(7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7h)、及び、この磁石用孔5及び7内に挿入されて配置される第1極性永久磁石4(4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h)、第2極性永久磁石6(6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6h)を備えている。実施形態では、例えば第1極性はN極であり、第2極性はS極である。第1極性磁石用孔5及び第2極性磁石用孔7は、回転子鉄心3の軸方向に貫通して設けられた孔部である。それぞれの第1極性永久磁石4及び第2極性永久磁石6は、一体に構成されており、第1極性磁石用孔5及び第2極性磁石用孔7内に、分割されることなく配置されている。
【0014】
第1極性磁石用孔5及び第2極性磁石用孔7内には、それぞれに、第1極性永久磁石4及び第2極性永久磁石6が配置されている。第1極性磁石用孔5aには第1極性永久磁石4aが、第1極性磁石用孔5bには第1極性永久磁石4bが、第1極性磁石用孔5cには第1極性永久磁石4cが、第1極性磁石用孔5dには第1極性永久磁石4dが、第1極性磁石用孔5eには第1極性永久磁石4eが、第1極性磁石用孔5fには第1極性永久磁石4fが、第1極性磁石用孔5gには第1極性永久磁石4gが、第1極性磁石用孔5hには第1極性永久磁石4hが、第1極性磁石用孔5gには第1極性永久磁石4gが、第1極性磁石用孔5hには第1極性永久磁石4hが、配置される。同様に、第2極性磁石用孔7aには第2極性永久磁石6aが、第2極性磁石用孔7bには第2極性永久磁石6bが、第2極性磁石用孔7cには第2極性永久磁石6cが、第2極性磁石用孔7dには第2極性永久磁石6dが、第2極性磁石用孔7eには第2極性永久磁石6eが、第2極性磁石用孔7fには第2極性永久磁石6fが、第2極性磁石用孔7gには第2極性永久磁石6gが、第2極性磁石用孔7hには第2極性永久磁石6hが、配置されている。
【0015】
第1極性永久磁石4及び第2極性永久磁石6は、回転子鉄心3の外周に沿って、時計回りに、第1極性永久磁石4a、第2極性永久磁石6a、第1極性永久磁石4b、第2極性永久磁石6b、第1極性永久磁石4c、第2極性永久磁石6c、第1極性永久磁石4d、第2極性永久磁石6d、第1極性永久磁石4e、第2極性永久磁石6e、第1極性永久磁石4f、第2極性永久磁石6f、第1極性永久磁石4g、第2極性永久磁石6g、第1極性永久磁石4h、第2極性永久磁石6h、の順に並んでいる。すなわち、第1極性永久磁石4(N極)と第2極性永久磁石6(S極)とが交互に、それぞれが8個、合計16個並んで、16極構成の回転子鉄心3を構成している。
【0016】
永久磁石4及び6の周方向における中心と回転中心軸Oとを通る線を磁石軸18とする。第1極性永久磁石4の磁石軸18を、第1磁石軸1801~1808とする。第2極性永久磁石6の磁石軸18を、第2磁石軸1811~1818とする。本実施形態の場合、第1磁石軸はN型磁石の軸であるので以下、N軸と称する。また、第2磁石軸はS型磁石の軸であるのでS軸と称する。
【0017】
N軸1801~1808とS軸1811~1818は、回転子鉄心3の円周方向に交互に配置されている。すなわち、N軸1801、S軸1811、N軸1802、S軸1812、N軸1803、S軸1813、、、、、N軸1808、S軸1818の順で、等角度間隔で並んでいる。従って、N軸1801~1808は45度の等角度間隔で配置されており、S軸1811~1818は45度の等角度間隔で配置されている。
【0018】
ここで、
図2に示すように、第1極性永久磁石4aの磁石軸18であるN軸1801は、キー軸17(この場合、軸線1701)からプラスθ度だけ(すなわち時計回り方向にθ度だけ)ずれて配置されている。また、第2極性永久磁石6aの磁石軸18であるS軸1811は、これに対応する軸線1702からマイナスθ度だけずれて(すなわち、反時計回り方向にθ度だけずれて)配置されている。
【0019】
従って、それぞれのN軸1801~1808すなわち第1極性永久磁石4(4a~4h)の中心は、それぞれのN軸1801~1808に対応して配置される軸線1701、1703、1705、1707、1709、1711、1713、1715から、プラスθ度だけずれている。
【0020】
また、それぞれのS軸1811~1818すなわち第2極性永久磁石6(6a~6h)の中心は、それぞれのS軸1811~1818に対応して配置される軸線1702、1704、1706、1708、1710、1712、1714、1716から、マイナスθ度だけずれている。
【0021】
このように、それぞれの第1極性永久磁石4a~4hが軸線1701~1716からプラスθ度のずれ角を備え、第2極性永久磁石6a~6hが軸線1701~1716からマイナスθ度のずれ角を備える回転子2及び回転子鉄心3を構成することができる。この構成により、回転子鉄心3を用いて回転電機を構成した場合に、回転子鉄心3に対向して配置される固定子のスロットに対して、第1極性永久磁石4によりプラスθ度のスキュー効果、及び、第2極性永久磁石6によりマイナスθ度のスキュー効果を得ることができる。
【0022】
第1実施形態に係る回転子鉄心3、回転子2及びこれを用いた回転電機によれば以下の効果を奏する。
回転子鉄心3を、図示しない固定子に対向するように配置して図示しない回転電機を構成した場合であって、回転子鉄心3が時計回り方向に回転する場合に、第1極性永久磁石4a~4hの磁石軸18は軸線1701、1703、1705、1707、1709、1711、1713、1715に対してプラスθ度のずれ角を備えており、プラスθ度のスキュー角を備えた場合と同様の効果を生じる。
【0023】
また、第2極性永久磁石6a~6hの磁石軸18は軸線1702、1704、1706、1708、1710、1712、1714、1716に対してマイナスθ度のずれ角を備えており、マイナスθ度のスキュー角を備えた場合と同様の効果を生じる。そして、これらのスキュー効果を、回転子鉄心3の段構造を備えることなく、1種類の回転子鉄心3により実現できる。これにより、回転子鉄心3の複数段の段構造が必要なくなるため、鉄心の分割、磁石の細分化、回転軸への段組みに対するキー溝の構成の単純化を図ることが可能となる。すなわち、1種類の回転子鉄心3及びこれを用いた回転子2により、プラスθ度、及びマイナスθ度の2段スキューを備えた回転子鉄心と同様のスキュー効果を奏する。このように、スキュー効果を維持しつつ、鉄心の分割、磁石の細分化、回転軸への段組みのキー溝の構成の単純化が図られた回転子鉄心3、回転子2及びこれを用いた回転電機を提供することができる。
【0024】
例えば、第1実施形態に係る回転子鉄心3ないし回転子2を、図示しない24スロットの固定子と組み合わされて図示しない回転電機を構成する場合を想定する。24スロットの1スロット分の周角度は15度であり、スキュー角は約2分の1スロット分の周角度すなわち7.5度を最大とするように設定される。本実施形態において、θ=2度と設定すれば、第1極性永久磁石4a~4hがプラス2度のスキュー角を備え、第2極性永久磁石6a~6hがマイナス2度のスキュー角を備え、全体として4度のスキュー角を備える回転子2及び回転子鉄心3を構成することができる。
【0025】
従って、実施形態に係る回転子2及びこれを用いた回転子鉄心3によれば、1種類の回転子2及び回転子鉄心3により、プラス2度のスキュー角と、マイナス2度のスキュー角の、2段スキューを備えたものと同様のスキュー効果を得ることができる。
【0026】
なお、この場合、隣接する永久磁石4aと6a、4bと6b、4cと6c、4dと6d、4eと6e、4fと6f、4gと6g、4hと6hの間の角度は18.5度となる。一方、隣接する永久磁石6aと4b、6bと4c、6cと4d、6dと4e、6eと4f、6fと4g、6gと4h、6hと4aの間の角度は26.5度となる。
【0027】
このように、2段のスキュー効果を得るために1種類の回転子鉄心3、すなわち1段構成の回転子鉄心を準備すればよいため、2種類の鉄心ブロックすなわち2段の回転子鉄心を準備する必要がない。従って、回転子鉄心3、回転子2及びこれらを用いた回転電機のコストを低減させることが可能となる。
【0028】
また、2段のスキュー効果を得るために、第1極性永久磁石4及び第2極性永久磁石6を回転子鉄心3のスキュー段ごとに分割する必要がない。すなわち、回転子鉄心3を2段構成とすることなく2段のスキュー効果を得ることができる。そのため、回転子鉄心3のコストを低減させることが可能となる。また、例えば2段構成の回転子鉄心3を構成するとすれば、段方向すなわち軸方向に重なった永久磁石が反発することにより永久磁石が回転子鉄心3から脱離するということがなくなる。これにより、回転子鉄心3、回転子2、これらを備える図示しない回転電機の信頼性、安全性を向上させることができる。
【0029】
以上のように、第1実施形態に係る回転子鉄心3、及び回転子2によれば、スキュー効果を維持しつつ、鉄心の分割、磁石の細分化、回転軸への段組みのキー溝の構成の単純化が図られた回転子鉄心、回転子、及び回転電機を提供することができる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、回転子20は、第1実施形態における回転子鉄心3と同様の構成を備える二つの鉄心ブロック30a、30bを準備し、これらのうちの一方を反転させて重ねた構成の回転子鉄心30を備えている。
【0031】
図3は第2実施形態に係る回転子20の概略構成を示す図である。回転子20に用いられる回転子鉄心30は、第1実施形態における回転子鉄心3と同じ構成の鉄心ブロック30a及び30bを、一方を反転させて2枚重ねた状態のものである。そのため、第1実施形態の説明に用いた
図2も参照する。
図2は回転子鉄心3の第1面A側の平面図を示している。
図2において第1面Aの反対側の図示しない裏面を第2面Bとする。
【0032】
図3に示すように、回転子鉄心30は鉄心ブロック30a及び30bを備えている。鉄心ブロック30a及び30bは、第1実施形態における回転子鉄心3と同様の構成を備えている。従って、鉄心ブロック30a及び30bは、第1面A及び第2面Bを備えている。鉄心ブロック30aと鉄心ブロック30bのそれぞれは、同一の構造を備えている。
【0033】
図3に示すように、回転子鉄心30は、鉄心ブロック30a及び30bの第1面Aをそれぞれ反対方向すなわち外側方向に向け、それぞれの第2面Bを相互に対面させて接触させた構成を備えている。回転子鉄心30は鉄心ブロック30aと30bの2段ブロックを備えたブロック構成の回転子鉄心30となっている。第1面Aと第2面Bは向きを逆にして、第1面A同士が対面するようにしてもよい。このとき、キー16の位置は鉄心ブロック30a及び30bで一致するように配置されている。
【0034】
ここで、鉄心ブロック30aが第1実施形態の回転子鉄心3と同様の向きを有しているとする。この場合、鉄心ブロック30aでは、第1極性永久磁石4a~4hの磁石軸18(1801、1802、1803、1804、1805、1806、1807、1808)は軸線1701、1703、1705、1707、1709、1711、1713、1715に対してプラスθ度のずれ角を備えており、プラスθ度のスキュー角を備えた場合と同様の効果を奏している。また、鉄心ブロック30aの第2極性永久磁石6a~6hの磁石軸18(1811、1812、1813、1814、1815、1816、1817、1818)は軸線1702、1704、1706、1708、1710、1712、1714、1716に対してマイナスθ度のずれ角を備えており、マイナスθ度のスキュー角を備えた場合と同様の効果を奏している。
【0035】
一方、鉄心ブロック30aとは上下反対向きで構成された鉄心ブロック30bでは、第1極性永久磁石4a~4hの磁石軸18(1801、1802、1803、1804、1805、1806、1807、1808)は軸線1701、1703、1705、1707、1709、1711、1713、1715に対してマイナスθ度のずれ角を備えており、マイナスθ度のスキュー角を備えた場合と同様の効果を奏している。また、鉄心ブロック30aの第2極性永久磁石6a~6hの磁石軸18(1811、1812、1813、1814、1815、1816、1817、1818)は軸線1702、1704、1706、1708、1710、1712、1714、1716に対してプラスθ度のずれ角を備えており、プラスθ度のスキュー角を備えた場合と同様の効果を奏している。
【0036】
ここで、第1極性永久磁石4をN極、第2極性永久磁石6をS極とすると、鉄心ブロック30aでは、プラスθ度スキューのN極と、マイナスθ度スキューのS極を備えており、鉄心ブロック30bでは、マイナスθ度スキューのN極と、プラスθ度スキューのS極を備えている。すなわち、鉄心ブロック30aと鉄心ブロック30bとを備えた回転子鉄心30において、4段のスキュー効果を奏することが可能な構成を備えている。
【0037】
第2実施形態における回転子鉄心30及び回転子20によれば、1種類の鉄心ブロック30a及び30bの一方を反転して構成された回転子鉄心30によって、4段のスキュー効果を得ることができる。すなわち4段のスキュー効果を得るために、4種類の鉄心ブロックを準備する必要がない。従って、回転子鉄心30及び回転子20、さらにこれを用いて構成された回転電機のコストを低減させることが可能となる。その他、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0038】
上記実施形態においては、回転電機として、IPM型の回転電機に用いられる回転子鉄心、回転子を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、SPM(Surface Permanent Magnet)型の回転電機に用いてもよい。また、回転電機として、モータに限ることはなく、発電機に用いてもよい。
【0039】
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
2…回転子、3…回転子鉄心、4、4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h…第1極性永久磁石、5、5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h…第1極性磁石用孔、6、6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6h…第2極性永久磁石、7、7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7h…第2極性磁石用孔、10…回転軸、16、16a、16b…キー、17…キー軸、1801~1808…N軸、1811~1818…S軸、30…回転子鉄心、30a、30b…鉄心ブロック、O…回転中心軸