(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
F16K 27/02 20060101AFI20220720BHJP
F16K 1/22 20060101ALI20220720BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20220720BHJP
【FI】
F16K27/02
F16K1/22 B
F01N13/08 B
(21)【出願番号】P 2017252725
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】田中 直記
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓悟
(72)【発明者】
【氏名】高山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】十部 勝成
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/105311(WO,A1)
【文献】特開2002-004894(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0270470(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00193503(EP,A2)
【文献】特開2004-293452(JP,A)
【文献】特開平10-153266(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013016420(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0138274(US,A1)
【文献】特開2017-180837(JP,A)
【文献】特開平09-280385(JP,A)
【文献】特開平09-133224(JP,A)
【文献】国際公開第2015/078432(WO,A1)
【文献】独国特許発明第102014113332(DE,B3)
【文献】特開2018-151067(JP,A)
【文献】特開2018-17322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/22- 1/226
F16K 27/00-27/02
F16K 31/02-31/11
F01N 13/08
F02D 9/08- 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を通す通路を画定すると共に外壁から突出するように一体形成された突出部を有するボディと、
前記ボディの弁軸孔に回動自在に支持された弁軸と、
前記通路を開閉するべく前記弁軸に固定されたバタフライ弁と、
前記弁軸に回転駆動力を及ぼすべく前記突出部を介して前記ボディに固定された駆動ユニットと、を備え、
前記ボディは、前記バタフライ弁
の輪郭部が全閉状態において当接するべく前記通路内に
半円弧状に突出する
半円弧状のシール部と、前記バタフライ弁が全開状態において当接するべく前記通路内に突出する全開ストッパとを含むように、ロストワックス法により鋳造された鋳造品であり、
前記全開ストッパは、前記弁軸孔の中心から前記通路の中心線方向の一方側に偏倚した位置でかつ前記シール部に隣接して連なるように形成されている、
ことを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記ボディの外壁において、互いに離隔して突出する複数の脚部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記複数の脚部は、前記ボディの外壁から先端側に向けて断面積が小さくなる先細り形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記突出部の先端部分に取り付けられたブラケットを含み、
前記駆動ユニットは、前記ブラケットを介して前記ボディに固定されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記突出部に固定される板状部と、前記板状部から屈曲して形成され前記駆動ユニットを取り付ける取付け部と、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記駆動ユニットは、外輪郭を画定するケースと、前記ケースから突出する回転軸を含み、
前記回転軸と前記弁軸の間には、回転力を伝達する連結機構が設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つに記載のバルブ装置。
【請求項7】
前記連結機構は、前記弁軸の端部に着脱自在に連結される第1連結レバーと、前記第1連結レバーに連結されると共に前記回転軸が着脱自在に連結される第2連結レバーと、を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載のバルブ装置。
【請求項8】
前記第2連結レバーは、前記回転軸を離脱可能に嵌合する嵌合孔を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載のバルブ装置。
【請求項9】
前記第1連結レバー及び第2連結レバーは、前記弁軸の軸線方向において所定範囲に亘って相対移動可能に係合され、
前記第1連結レバーと第2連結レバーの間には、前記弁軸の軸線方向に付勢力を及ぼす付勢バネが配置されている、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の流体を通す通路を開閉するバタフライ弁を含むバルブ装置に関し、例えば、エンジンの排気系等の如く、高温の排気を通す通路を開閉する際に適用されるバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバルブ装置としては、流体通路を画定する円筒状のパイプ部材、パイプ部材を横断するように挿通された弁軸、弁軸の両端部を支持するべくパイプ部材に設けられた支持部、弁軸に固定されて流体通路を開閉する円板状のバタフライ弁、閉鎖時にバタフライ弁が当接するようにパイプ部材の内壁に溶接された当接部等を備えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このバルブ装置では、バタフライ弁が当接する当接部が、パイプ部材の内壁に溶接されている。したがって、溶接による変形を防止するには、溶接後の矯正や熱変形を考慮した部品形状の検討が必要になる。
また、溶接熱による変形を抑制するべくレーザー溶接等を使用すれば、設備費用が高くなり、溶接部の寸法管理が厳しくなり、製造コストの増加を招く。
【0004】
さらに、弁軸をモータ等の駆動ユニットで回転駆動する場合、パイプ部材を流れる排気が高温であることから、駆動ユニットへの熱の影響を抑制ないし防止する必要がある。
しかしながら、このバルブ装置においては、駆動ユニットを取りつけるための構造等を何ら備えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、高温流体の熱の影響を抑制ないし防止でき、開閉動作を高精度に行うことができるバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバルブ装置は、流体を通す通路を画定すると共に外壁から突出するように一体形成された突出部を有するボディと、ボディの弁軸孔に回動自在に支持された弁軸と、通路を開閉するべく弁軸に固定されたバタフライ弁と、弁軸に回転駆動力を及ぼすべく突出部を介してボディに固定された駆動ユニットとを備え、ボディは、バタフライ弁の輪郭部が全閉状態において当接するべく通路内に半円弧状に突出する半円弧状のシール部と、バタフライ弁が全開状態において当接するべく通路内に突出する全開ストッパとを含むように、ロストワックス法により鋳造された鋳造品であり、全開ストッパは、弁軸孔の中心から通路の中心線方向の一方側に偏倚した位置でかつシール部に隣接して連なるように形成されている、構成となっている。
【0008】
上記構成において、突出部は、ボディの外壁において、互いに離隔して突出する複数の脚部を含む、構成を採用してもよい。
【0009】
上記構成において、複数の脚部は、ボディの外壁から先端側に向けて断面積が小さくなる先細り形状に形成されている、構成を採用してもよい。
【0010】
上記構成において、突出部の先端部分に取り付けられたブラケットを含み、駆動ユニットは、ブラケットを介してボディに固定されている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記構成において、ブラケットは、突出部に固定される板状部と、板状部から屈曲して形成され駆動ユニットを取り付ける取付け部を含む、構成を採用してもよい。
【0012】
上記構成において、駆動ユニットは、外輪郭を画定するケースと、ケースから突出する回転軸を含み、回転軸と弁軸の間には、回転力を伝達する連結機構が設けられている、構成を採用してもよい。
【0013】
上記構成において、連結機構は、弁軸の端部に着脱自在に連結される第1連結レバーと、第1連結レバーに連結されると共に駆動ユニットの回転軸が着脱自在に連結される第2連結レバーを含む、構成を採用してもよい。
【0014】
上記構成において、第2連結レバーは、回転軸を離脱可能に嵌合する嵌合孔を有する、構成を採用してもよい。
【0015】
上記構成において、第1連結レバー及び第2連結レバーは、弁軸の軸線方向において所定範囲に亘って相対移動可能に係合され、第1連結レバーと第2連結レバーの間には、弁軸の軸線方向に付勢力を及ぼす付勢バネが配置されている、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
上記構成をなすバルブ装置によれば、高温流体の熱の影響を抑制ないし防止でき、又、通路の開閉動作を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るバルブ装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
【
図2】
図1に示すバルブ装置において、通路の一方側から視た端面図である。
【
図3】
図1に示すバルブ装置において、通路の他方側から視た端面図である。
【
図5】
図1に示すバルブ装置において、弁軸の軸線方向から視た側面図である。
【
図7】
図1に示すバルブ装置に含まれるボディを示す外観斜視図である。
【
図8】
図1に示すバルブ装置に含まれる連結機構を示す分解斜視図である。
【
図9】
図1に示すバルブ装置において、バタフライ弁が全開位置にある状態を断面にて示した斜視断面図である。
【
図10】
図1に示すバルブ装置において、バタフライ弁が全閉位置にある状態を断面にて示した斜視断面図である。
【
図11】
図1に示すバルブ装置において、バタフライ弁が中間開度位置にある状態を断面にて示した斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
この実施形態に係るバルブ装置Mは、
図1ないし
図5に示すように、ボディ10、軸線Sをもつ弁軸20、バタフライ弁30、ブラケット40、連結機構50、駆動ユニット60を備えている。
【0021】
ボディ10は、ステンレス鋼、鉄等の金属材料を用いて、ロストワックス法により鋳造された鋳造品である。
ボディ10は、流体を通す通路11、通路11内に突出して形成されたシール部12、通路11内に突出して形成された全開ストッパ13、弁軸20を通す二つの弁軸孔14、ブッシュBを嵌め込む二つの嵌合孔15、キャップCを嵌め込む凹部16、ブラケット40を固定するための突出部としての複数の脚部17、第1連結部18、第2連結部19を備えている。
【0022】
通路11は、中心線L上に中心をもつ所定内径の円形断面をなす円筒通路として形成されている。
シール部12は、弁軸孔14の領域で分断されて半円弧状に突出して形成された第1シール部12a及び第2シール部12bにより構成されている。
第1シール部12aは、弁軸孔14の中心(軸線S)から中心線L方向の一方側に偏倚した位置においてバタフライ弁30が当接する当接面を画定するように形成されている。
第2シール部12bは、弁軸孔14の中心から中心線L方向の他方側に偏倚した位置においてバタフライ弁30が当接する当接面を画定するように形成されている。
【0023】
全開ストッパ13は、弁軸孔14の中心から中心線L方向の一方側に偏倚した位置でかつ第1シール部12aに隣接する位置において、全開状態にあるバタフライ弁30が当接する当接面を画定するように形成されている。
【0024】
二つの弁軸孔14は、中心線Lに垂直に伸長する軸線S上において、弁軸20の第1軸部21及び第2軸部22が回動自在に嵌め込まれる内径寸法をもつ円筒状に形成されている。
二つの嵌合孔15は、軸線S方向において弁軸孔14の外側に隣接する位置に、ブッシュBが隙間なく堅固に嵌め込まれる内径寸法をもつ円筒状に形成されている。
凹部16は、キャップCが嵌合固定されるように、嵌合孔15よりも大きい内径をなす座ぐり形状に形成されている。
【0025】
突出部としての複数(ここでは4つ)の脚部17は、ボディ10の外壁10aから互いに離隔して軸線S方向に突出し、外壁10aから先端側に向けて断面積が小さくなる先細り形状に形成されている。
各々の脚部17は、ブラケット40が取り付けられる先端部分17a、先端部分17aから外壁10aに向けて広がるフィン部分17bを備えている。
先端部分17aは、ブラケット40を当接させる座面、座面から突出してブラケット40の嵌合孔41aに嵌合して結合される結合部を含むように形成されている。
ここで、先端部分17aは、溶接、カシメ処理、あるいはその他の手法により、ブラケット40を嵌め込んだ後に堅固に固定されるようになっている。
【0026】
このように、複数の脚部17が、ボディ10の外壁10aから先端側に向けて断面積が小さくなる先細り形状に形成されているため、曲げ荷重等に対する機械的強度を確保しつつ、ボディ10からブラケット40に向かう熱伝達を抑制することができる。
また、複数の脚部17がフィン部分17bを有するため、その表面からの放熱作用も得られて、ブラケット40に向かう熱伝達をさらに抑制することができる。
【0027】
すなわち、複数の脚部17は、ボディ10の外壁10aから離隔した位置において駆動ユニット60を堅固に保持すると共に、通路11内を流れる高温流体の熱を外部に逃して駆動ユニット60への伝熱を抑制する伝熱抑制及び放熱の役割をなすものである。
ここでは、複数の脚部17が、ボディ10に対して同一材料により一体形成されているため、溶接等によりボディに後付けする場合に比べて熱歪等の影響を抑えることができ、ボディ10を所望する形状及び寸法に形成することができる。
【0028】
第1連結部18及び第2連結部19は、バルブ装置Mが排気通路を形成する排気管の途中に介在させられた状態で、排気管を嵌合結合させることにより、あるいは、別の連結スペーサ及び締結ボルト等を用いて、排気管に連結されるように形成されている。
【0029】
上記のように、ボディ10はロストワックス法により鋳造された鋳造品であるため、耐熱性の高い金属材料を用いて、鋳肌表面の平滑性を確保しつつ複雑な形状を高精度に成型することができる。それ故に、通路11、シール部12、全開ストッパ13、弁軸孔14、嵌合孔15等は、ボディ10の所定位置において所定寸法に高精度に形成される。
一方、要求仕様に応じて、通路11の内径寸法、シール部12の内径及び幅寸法等が、機械加工により適宜設定されてもよい。
【0030】
弁軸20は、高耐食ステンレス鋼等の金属材料を用いて、軸線S方向に伸長する円柱形状に形成されている。
そして、弁軸20は、同一の外径寸法をなす円柱状の第1軸部21及び第2軸部22、バタフライ弁30を固定するべく円柱形状の一部が段付き状にカットされた平坦部23、平坦部23の略中央に形成されたネジ孔24、第2軸部22の外側に連続して形成された端部25を備えている。
【0031】
第1軸部21及び第2軸部22は、ボディ10の弁軸孔14に挿通されると共にブッシュBに嵌め込まれる外径寸法に形成されている。
平坦部23は、バタフライ弁30を接合させてネジ23aをネジ孔24に捩じ込むことにより、バタフライ弁30が堅固に固定されるように形成されている。
端部25は、連結機構50の一部をなす第1連結レバー51の嵌合孔h1に嵌合される略矩形の断面をなすように形成されている。
【0032】
二つのブッシュBは、高耐食ステンレス鋼、高耐食ステンレス合金鋼等の金属材料を用いて円筒状に形成されている。
そして、二つのブッシュBは、ボディ10の二つの嵌合孔15にそれぞれ嵌め込まれて、弁軸20の第1軸部21及び第2軸部22をそれぞれ回動自在に支持するラジアル軸受として機能するようになっている。
【0033】
これによれば、弁軸20は、ボディ10に装着されたブッシュBを介して回動自在に支持されるため、弁軸孔14を軸受孔として使用して弁軸孔14により直接支持される場合に比べて、弁軸20を円滑に回動させることができる。
また、ブッシュBをボディ10に嵌合することで、ブッシュBとボディ10の間及び弁軸20とブッシュBの間に隙間が生じないようにできるため、高温の流体がボディ10の外部に漏れ出るのを防止できる。
【0034】
バタフライ弁30は、ステンレス鋼等の金属材料を用いて、軸線Sと中心線Lの交点を中心とする円板状に形成され、その中央においてネジ23aを通す円孔31、軸線S上に位置する直線を境として一方側に第1輪郭部32及び他方側に第2輪郭部33を備えている。
【0035】
そして、バタフライ弁30は、弁軸20の平坦部23に接合されて、ネジ23aを円孔31に通して弁軸20のネジ孔24に捩じ込むことにより、弁軸20に堅固に固定される。ここで、バタフライ弁30は、通路11を全閉した全閉状態において、第1輪郭部32が第1シール部12aに当接しかつ第2輪郭部33が第2シール部12bに当接する。
一方、バタフライ弁30は、通路11を全開した全開状態において、第2輪郭部33が全開ストッパ13に当接するようになっている。
【0036】
ブラケット40は、ステンレス鋼等の金属材料を用いて形成され、板状部41、板状部41から屈曲して形成された複数(ここでは3つ)の取付け部42を備えている。
板状部41は、略矩形の平板状に形成され、ボディ10の複数の脚部17の先端部分17aを嵌合させるための複数(ここでは4つ)の嵌合孔41a、連結機構50を通す貫通孔41bを備えている。
各々の取付け部42は、板状部41から略L字状に屈曲して形成され、その先端側において駆動ユニット60のフランジ部61aが接合される平坦部42a、平坦部42aに形成されたネジ孔42bを備えている。
【0037】
そして、ブラケット40は、脚部17の先端部分17aが嵌合孔41aに結合されることにより、ボディ10に堅固に固定される。ここで、結合方法としては、溶接、カシメ処理、その他の堅固な結合方法を適用することができる。
また、ブラケット40がボディ10に固定された状態において、取付け部42は、ボディ10に対して板状部41から軸線S方向にさらに離隔した位置において駆動ユニット60を固定するようになっている。
【0038】
このように、駆動ユニット60は、ブラケット40を介してボディ10に固定されている。したがって、ケースの形状あるいは型式等の仕様が異なる種々の駆動ユニット60が存在する場合は、それぞれの駆動ユニット60に対応した種々のブラケット40を採用することで、共通のボディ10を流用しつつ、要望に応じた種々のバルブ装置Mを提供することができる。
【0039】
また、ブラケット40は、板状部41、板状部41からそれぞれ離隔して屈曲形成された複数の取付け部42を備える形態をなすため、ブラケット40に伝達した熱をその表面から逃す放熱作用も得られ、駆動ユニット60に向かう熱伝達を抑制することができる。
さらに、ブラケット40が板状部41を備えているため、ボディ10の外壁10aから放射される輻射熱を板状部41で遮ることができ、駆動ユニット60への熱の影響を低減することができる。
【0040】
連結機構50は、弁軸20の端部25と駆動ユニット60の回転軸62を連結して回転力を伝達するものであり、
図8に示すように、第1連結レバー51、第2連結レバー52、付勢バネ53により構成されている。
【0041】
第1連結レバー51は、薄板状のステンレス鋼板等を用いて、略コ字状に屈曲して形成され、連結部51a、一対の係合片51b、一対の規制片51cを備えている。
連結部51aは、略平板状に形成され、その中央において弁軸20の端部25を挿脱自在に嵌合し得る略矩形の嵌合孔h1を備えている。
一対の係合片51bは、第2連結レバー52に係合されるものであり、連結部51aからクランク状に屈曲して形成され、付勢バネ53のずれを規制する役割をなすと共に、第2連結レバー52のスリット52cを通して係合孔52dに係合され得るように形成されている。
一対の規制片51cは、付勢バネ53のずれを規制するものであり、一対の係合片51bと軸線S回りに略90度位相がずれた位置において、連結部51aからそれぞれL字状に屈曲して形成されている。
【0042】
第2連結レバー52は、薄板状のステンレス鋼等を用いて、略コ字状に屈曲して形成され、連結部52a、一対の腕部52b、一対のスリット52c、一対の係合孔52dを備えている。
連結部52aは、駆動ユニット60の回転軸62が連結されるものであり、略平板状に形成され、その中央において駆動ユニット60の回転軸62を挿脱自在に嵌合し得る略矩形の嵌合孔h2を備えている。
一対の腕部52bは、連結部52aからそれぞれ略L字状に屈曲して形成され、その内側に配置された付勢バネ53のずれを規制するようになっている。
各々のスリット52cは、対応する腕部52bに形成され、第1連結レバー51を第2連結レバー52に係合させるように組み付ける際に、係合片51bが通過し得る寸法に形成されている。
各々の係合孔52dは、対応する腕部52bにおいてスリット52cに連続して形成され、第1連結レバー50の係合片51bが軸線S回りに移動不能にかつ軸線S方向に所定量移動可能な寸法に形成されている。
【0043】
付勢バネ53は、圧縮型のコイルバネであり、第1連結レバー51と第2連結レバー52が互いに係合するように組み付けられてバルブ装置Mに装着された状態で、両者のガタツキを防止するべく両者を軸線S方向に押し広げる付勢力を及ぼすようになっている。
【0044】
上記構成をなす連結機構50は、以下のようにして組み付けられる。
先ず、第1連結レバー51及び第2連結レバー52が、嵌合孔h1及び嵌合孔h2が並ぶ直線の方向においてコ字形状の開放側を互いに向か合わせるように配置されて、付勢バネ53を挟み込むように保持される。
続いて、第1連結レバー51と第2連結レバー52が直線回りに相対的に回転させられて、第1連結レバー51の係合片51bが第2連結レバー52のスリット52cを通して係合孔52dに挿入される。
そして、付勢力により、第1連結レバー51と第2連結レバー52が直線方向において互いに付勢バネ53により付勢されると、係合片51bがスリット52cからずれて係合状態が維持される。
【0045】
これにより、第1連結レバー51と第2連結レバー52は、直線方向において所定範囲に亘って相対移動可能に係合され、付勢バネ53をずれないように保持し、両者の係合が外れないように組み付けられたモジュール品となる。
このモジュール品において、第1連結レバー51及び第2連結レバー52は、直線方向において所定範囲に亘って相対移動可能に係合され、かつ、直線回りにおいて一体的に回転するように組み付けられた状態となる。
【0046】
そして、モジュール品としての連結機構50が、弁軸20の端部25が嵌合孔h1に嵌合されかつ駆動ユニット60の回転軸62が嵌合孔h2に嵌合されるようにして組付けられることにより、回転軸62と弁軸20との間において回転力が伝達される連結状態が得られる。
【0047】
すなわち、第1連結レバー51及び第2連結レバー52は、弁軸20の軸線S方向において所定範囲に亘って相対移動可能に係合され、かつ、軸線S回りにおいて一体的に回転するように組み付けられた状態となる。
【0048】
上記構成をなす連結機構50は、薄板状の部材を屈曲形成した第1連結レバー51及び第2連結レバー52を含むため、中実部材等を採用する場合に比べて、熱伝達の通路面積を小さくしつつ、表面積を大きくすることができる。
これにより、連結機構50を介して弁軸20から回転軸62への熱伝達を抑制でき、又、連結機構50での放熱作用も得ることができる。
【0049】
駆動ユニット60は、弁軸20に対して回転駆動力を及ぼすものであり、外輪郭を画定するケース61、ケース61から突出する回転軸62、ケース61内に配置された駆動源、駆動源と回転軸62の間に介在する減速歯車を備えている。
【0050】
ケース61は、ブラケット40の取付け部42に接合されるフランジ部61a、フランジ部61aに形成されて締結ボルトb1を通す円孔61bを備えている。
回転軸62は、その先端領域において、第2連結レバー52の嵌合孔h2に挿脱自在に嵌合される略矩形の断面部分を備えている。
駆動源は、励磁用のコイル、永久磁石、電磁力により回転するロータ等を含む、DCモータ、トルクモータ等である。
【0051】
次に、上記構成をなすバルブ装置Mの組付けについて説明する。
上記のボディ10、ブッシュB、キャップC、弁軸20、ネジ23a、バタフライ弁30、ブラケット40、連結機構50、駆動ユニット60、締結ボルトb1が準備される。
続いて、ブッシュBが、ボディ10の嵌合孔15に嵌合して固定される。
続いて、弁軸20が、弁軸孔14を通してボディ10のブッシュBに対して回動自在に嵌合され、その状態において、バタフライ弁30がネジ23aを用いて弁軸20の平坦部23に締結される。
続いて、キャップCが、ボディ10の凹部16に嵌合して固定される。
【0052】
次に、ブラケット40が、ボディ10の脚部17に固定される。
続いて、連結機構50が、嵌合孔h1に弁軸20の端部25を嵌合させるようにして組み込まれる。
その後、駆動ユニット60が、回転軸62を嵌合孔h2に嵌合させつつブラケット40の取付け部42に接合され、締結ボルトb1が円孔61bを通してネジ孔42bに捩じ込まれることにより、ブラケット40に固定される。
これにより、駆動ユニット60がブラケット40及び複数の脚部17を介してボディ10に固定されたバルブ装置Mが得られる。
尚、上記組み付け方法は、一例であり、その他の手順による組み付けが可能である。
【0053】
次に、バルブ装置Mが、自動車に搭載されるエンジンの排気系に適用された場合の動作について説明する。
ここで、駆動ユニット60の駆動は、自動車の走行状態及びエンジンの運転状態に関する種々の情報に基づいて、制御ユニットにより発せられる制御信号に基づき適宜制御される。
【0054】
例えば、排気通路を全開とする場合は、駆動ユニット60により、弁軸20が一方向へ回転させられて、
図9に示すように、バタフライ弁30が全開ストッパ13に当接する。これにより、通路11が全開状態にされる。
【0055】
一方、排気通路を全閉とする場合は、駆動ユニット60により、弁軸20が他方向へ回転させられて、
図10に示すように、バタフライ弁30がシール部12に当接する。これにより、通路11が全閉状態にされる。
【0056】
また、排気通路を流れる排気を所定量に制御する場合は、駆動ユニット60により、弁軸20が一方向又は他方向に適宜回転させられて、
図11に示すように、バタフライ弁30が所望される開度に調整され、通路11を流れる排気ガスの流量が調整される。
【0057】
このように、バタフライ弁30は、駆動ユニット60の回転駆動力により、全開状態及び全閉状態だけではなく、所定の開度に絞った中間開度状態にも高精度に開閉制御されるため、排気の流量を所望される流量に高精度に制御でき、それに基づく種々の運転制御が可能になる。
特に、このバルブ装置Mにおいては、駆動ユニット60に対して、高温排気による熱の影響が抑制ないし防止される構造が採用されているため、所望の耐久性を確保しつつ、通路11の開閉動作を高精度に行うことができる。
【0058】
上記実施形態においては、ボディとして円筒状の通路11を画定するボディ10及びバタフライ弁として円形のバタフライ弁30を採用した形態を示したが、これに限定されるものではない。例えば、通路として楕円通路を画定するボディ及びバタフライ弁として楕円形のバタフライ弁を採用してもよい。
【0059】
上記実施形態においては、ボディ10から突出する突出部として4つの脚部17を採用した形態を示したが、これに限定されるものではなく、4つ以外の個数の脚部を採用してもよい。また、脚部として先端側に向けて断面積が小さくなる先細り形状の脚部17を示したが、これに限定されるものではなく、それ以外の形態をなす脚部を採用してもよい。
【0060】
上記実施形態においては、ボディ10の突出部に対して、ブラケット40を介して駆動ユニット60が固定される形態を示したが、これに限定されるものではなく、突出部に対して駆動ユニットが直接固定される形態を採用してもよい。
【0061】
上記実施形態においては、連結機構として、第1連結レバー51、第2連結レバー52、付勢バネ53を含む連結機構50を示したが、これに限定されるものではなく、駆動ユニットの回転軸と弁軸の間に介在して回転力を伝達し得るものであればその他の形態をなす連結機構を採用してもよい。
【0062】
上記実施形態においては、ブラケット40に駆動ユニット60を固定する形態を示したが、ブラケット40と駆動ユニット60のケース61との間隙部分に、遮熱部材を配置した構成を採用してもよい。
これによれば、駆動ユニット60が、ボディ10の外壁10a又はブラケット40の表面から放射される輻射熱に曝されるのを防止でき、熱の影響をより一層抑制することができる。
【0063】
以上述べたように、本発明のバルブ装置は、高温流体の熱の影響を抑制ないし防止でき、又、通路の開閉動作を高精度に行うことができるため、自動車等の排気系に適用できるのは勿論のこと、その他の車両等、あるいはその他の高温流体を扱う分野においても有用である。
【符号の説明】
【0064】
M バルブ装置
10 ボディ
10a 外壁
11 通路
L 中心線
12 シール部
13 全開ストッパ
14 弁軸孔
17 複数の脚部(突出部)
17a 先端部分
20 弁軸
S 軸線
25 端部
30 バタフライ弁
40 ブラケット
41 板状部
42 取付け部
50 連結機構
51 第1連結レバー
52 第2連結レバー
h1,h2 嵌合孔
53 付勢バネ
60 駆動ユニット
61 ケース
62 回転軸