(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】火災検知器および消火システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20220720BHJP
G08B 17/06 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B17/00 G
G08B17/06 J
G08B17/00 J
(21)【出願番号】P 2018041713
(22)【出願日】2018-03-08
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000229405
【氏名又は名称】日本ドライケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】桑折 智郎
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-046884(JP,A)
【文献】実開昭59-015194(JP,U)
【文献】特開2016-114969(JP,A)
【文献】特開2011-028574(JP,A)
【文献】特開平10-261177(JP,A)
【文献】特開平06-269512(JP,A)
【文献】特開昭51-122997(JP,A)
【文献】特開2007-252637(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106331130(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C2/00-99/00
G01K1/00-19/00
G08B17/00-17/12
H01L27/16
35/00-37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災検知器が、
集熱材と、
前記集熱材の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、
前記熱電素子で生成された電気エネルギーによって、受信機に所定の信号をマルチホップ通信によって送信する送信部と、を有し、
前記所定の信号が、火災の発生を示す信号と固有のIDを示す信号とからな
り、
前記火災検知器が、建屋のフリーアクセスフロアの配線用アウトレット設置部に設置されるように構成されており、
前記配線用アウトレット設置部は、床パネルの上板部に設けられている貫通孔で形成されており、この貫通孔は、上側部位と下側部位とを備えて構成されており、上下方向で見ると、前記上側部位の内側に前記下側部位が存在しており、
上下方向で見ると、前記上側部位の底面は、環状に形成されており、また、前記底面は、前記上板部の平面状の上面と平行になって、前記上板部の平面状の上面よりも僅かに下側に位置しており、
前記火災検知器が、前記配線用アウトレット設置部に設置された状態では、平板状の前記集熱材が前記上側部位に入り込んでいることを特徴とする火災検知器。
【請求項2】
請求項1に記載の火災検知器において、
前記送信部による前記所定の信号の送信は、前記集熱材の温度が上昇して第1の温度を超えて前記熱電素子の発電量が所定の閾値を超えたときに前記熱電素子で生成された電気エネルギーによってなされることを特徴とする火災検知器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の火災検知器において、
前記熱電素子が、高温側導体と低温側導体とを有し、前記集熱材の熱による前記熱電素子の発電が、前記高温側導体と前記低温側導体との温度差によってなされることを特徴とする火災検知器。
【請求項4】
建屋の部屋に所定の間隔をあけて設置される請求項1~
請求項3のいずれか1項に記載の複数の火災検知器と、
火点に向かって消火剤を放出する消火剤放出部と、
前記受信機と、
前記各火災検知器のうちの所定の火災検知器から前記受信機が所定の信号を受信したときに、前記所定の火点に向けて前記消火剤放出部が消火剤を放出するように、前記消火剤放出部を制御する制御部と、
を有することを特徴とする消火システム。
【請求項5】
請求項4に記載の消火システムにおいて、
前記建屋の部屋とこの部屋の外界とを仕切っており前記各火災検知器が設置されている仕切材に対して直交する方向で見て、前記仕切材の少なくとも一部を同じ大きさの複数の正六角形で平面充填したと仮定したときに、前記各火災検知器のそれぞれが、前記各正六角形の中心それぞれのところに設置されていることを特徴とする消火システム。
【請求項6】
建屋の部屋に所定の間隔をあけて設置される複数の火災検知器と、
火災の火点に向かって消火剤を放出する消火剤放出部と、
前記火災の発生を報知する受信機と、
前記火点に向けて前記消火剤放出部が消火剤を放出するように、前記消火剤放出部を制御する制御部と、を有し、
前記火災検知器が、集熱材と、前記集熱材の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、前記受信機に、前記火災の発生を示す信号と固有のIDを示す信号とからなる所定の信号を前記熱電素子で生成された電気エネルギーによってマルチホップ通信で送信する送信部と、を有し、
前記火災検知器が、建屋のフリーアクセスフロアの配線用アウトレット設置部に設置されるように構成されており、
前記配線用アウトレット設置部は、床パネルの上板部に設けられている貫通孔で形成されており、この貫通孔は、上側部位と下側部位とを備えて構成されており、上下方向で見ると、前記上側部位の内側に前記下側部位が存在しており、
上下方向で見ると、前記上側部位の底面は、環状に形成されており、また、前記底面は、前記上板部の平面状の上面と平行になって、前記上板部の平面状の上面よりも僅かに下側に位置しており、
前記火災検知器が、前記配線用アウトレット設置部に設置された状態では、平板状の前記集熱材が前記上側部位に入り込んでおり、
前記制御部は、前記受信機が前記各火災検知器のうちの所定の火災検知器の送信部から前記所定の信号を受信したときに、前記所定の火災検知器からの火災の発生を示す信号と固有のIDを示す信号によって、所定の火点を特定し、前記所定の火災検知器が検知した前記所定の火点に向けて前記消火剤放出部が消火剤を放出するように、前記消火剤放出部を制御することを特徴とする消火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災検知器および消火システムに係り、特に、熱電素子を用いて火災を検出するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルカメラや光電式分離型感知器を用いて火点を特定し、この火点に向けて放水銃から放水をする消火システムが知られている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の消火システムでは、火点を特定するために少なくとも2台のサーマルカメラを使用する必要がある。サーマルカメラは高価であるとともに数年に一度メンテナンスをする必要があり、イニシャルコストとランニングコスト(トータルコスト)が高くついてしまう。
【0005】
また、サーマルカメラや光電式分離型感知器を用いて火点を特定しようとしても、遮蔽物があると、火点を正確に特定できないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、安価であって、従来のものよりもメンテンナンスの間隔を延ばすことができ、遮蔽物があっても火点を正確に特定することができる火災検知器と消火システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、火災検知器が、集熱材と、前記集熱材の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、前記熱電素子で生成された電気エネルギーによって、受信機に所定の信号をマルチホップ通信によって送信する送信部と、を有し、前記所定の信号が、火災の発生を示す信号と固有のIDを示す信号とからなり、前記火災検知器が、建屋のフリーアクセスフロアの配線用アウトレット設置部に設置されるように構成されており、前記配線用アウトレット設置部は、床パネルの上板部に設けられている貫通孔で形成されており、この貫通孔は、上側部位と下側部位とを備えて構成されており、上下方向で見ると、前記上側部位の内側に前記下側部位が存在しており、上下方向で見ると、前記上側部位の底面は、環状に形成されており、また、前記底面は、前記上板部の平面状の上面と平行になって、前記上板部の平面状の上面よりも僅かに下側に位置しており、前記火災検知器が、前記配線用アウトレット設置部に設置された状態では、平板状の前記集熱材が前記上側部位に入り込んでいる火災検知器である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に係る火災検知器において、前記送信部による前記所定の信号の送信は、前記集熱材の温度が上昇して第1の温度を超えて前記熱電素子の発電量が所定の閾値を超えたときに前記熱電素子で生成された電気エネルギーによってなされる火災検知器である。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明に係る火災検知器において、前記熱電素子が、高温側導体と低温側導体とを有し、前記集熱材の熱による前記熱電素子の発電が、前記高温側導体と前記低温側導体との温度差によってなされる火災検知器である。
第4の発明は、建屋の部屋に所定の間隔をあけて設置される第1~第3のいずれか1に係る複数の火災検知器と、火点に向かって消火剤を放出する消火剤放出部と、前記受信機と、前記各火災検知器のうちの所定の火災検知器から前記受信機が所定の信号を受信したときに、前記所定の火点に向けて前記消火剤放出部が消火剤を放出するように、前記消火剤放出部を制御する制御部とを有する消火システムである。
【0011】
第5の発明は、第4の発明に係る消火システムにおいて、前記建屋の部屋とこの部屋の外界とを仕切っており前記各火災検知器が設置されている仕切材に対して直交する方向で見て、前記仕切材の少なくとも一部を同じ大きさの複数の正六角形で平面充填したと仮定したときに、前記各火災検知器のそれぞれが、前記各正六角形の中心それぞれのところに設置されている消火システムである。
第6の発明は、建屋の部屋に所定の間隔をあけて設置される複数の火災検知器と、火災の火点に向かって消火剤を放出する消火剤放出部と、前記火災の発生を報知する受信機と、前記火点に向けて前記消火剤放出部が消火剤を放出するように、前記消火剤放出部を制御する制御部と、を有し、前記火災検知器が、集熱材と、前記集熱材の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、前記受信機に、前記火災の発生を示す信号と固有のIDを示す信号とからなる所定の信号を前記熱電素子で生成された電気エネルギーによってマルチホップ通信で送信する送信部と、を有し、前記火災検知器が、建屋のフリーアクセスフロアの配線用アウトレット設置部に設置されるように構成されており、前記配線用アウトレット設置部は、床パネルの上板部に設けられている貫通孔で形成されており、この貫通孔は、上側部位と下側部位とを備えて構成されており、上下方向で見ると、前記上側部位の内側に前記下側部位が存在しており、上下方向で見ると、前記上側部位の底面は、環状に形成されており、また、前記底面は、前記上板部の平面状の上面と平行になって、前記上板部の平面状の上面よりも僅かに下側に位置しており、前記火災検知器が、前記配線用アウトレット設置部に設置された状態では、平板状の前記集熱材が前記上側部位に入り込んでおり、前記制御部は、前記受信機が前記各火災検知器のうちの所定の火災検知器の送信部から前記所定の信号を受信したときに、前記所定の火災検知器からの火災の発生を示す信号と固有のIDを示す信号によって、所定の火点を特定し、前記所定の火災検知器が検知した前記所定の火点に向けて前記消火剤放出部が消火剤を放出するように、前記消火剤放出部を制御する消火システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安価であって、従来のものよりもメンテンナンスの間隔を延ばすことができ、遮蔽物があっても火点を正確に特定することができる火災検知器と消火システムを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る火災検知器の概略構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る火災検知器の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る火災検知器の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る消火システムの概略構成を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る消火システムの動作を示すフローチャートである。
【
図6】変形例に係る消火システムの火災検知器の配置の概要を示す平面図である。
【
図7】変形例に係る火災検知器の概略構成を示す平面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る消火システムの放水銃の放水区画を示す平面図である。
【
図9】変形例に係る火災検知器の概略構成を示す断面図である。
【
図10】変形例に係る火災検知器の概略構成を示す断面図である。
【
図11】変形例に係る火災検知器の概略構成を示す断面図である。
【
図12】変形例に係る火災検知器の概略構成を示す断面図である。
【
図13】変形例に係る火災検知器の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る火災検知器1は、
図1~
図2で示すように、集熱材3と熱電素子5と送信部(無線送信部)7とを備えて構成されている。
【0015】
熱電素子5は、集熱材3に一体的に設けられており、集熱材3の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。ここで、集熱材3と熱電素子5とを備えたものを火災検出部(温度検出部)として把握してもよい。
【0016】
送信部7は、熱電素子5で生成された電気エネルギーによって、火災受信機9(
図4参照)に所定の信号を送信する。所定の信号として、たとえば、火災が発生した旨を示す信号(集熱材3の温度が上昇した旨の信号)と火災検知器(熱検知器)1の固有のIDを示す信号を掲げることができる。
【0017】
集熱材(集熱板)3は、金属もしくはセラミックス等の熱伝導性が高い不燃性もしくは難燃性の材料で平板状(たとえば矩形な平板状)に形成される。
【0018】
熱電素子5は、複数設けられており、各熱電素子5は、電極(高温側導体11、低温側導体13)によって直列接続される。
【0019】
ここで、説明の便宜のために、火災検知器1における水平な一方向を横方向とし、火災検知器1における水平な他の一方向であって横方向に対して直交する方向を縦方向とし、横方向と縦方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0020】
平板状の集熱材3はこの厚さ方向が上下方向になっている。各熱電素子5は、平板状の集熱材3の厚さ方向の一方の面(下面)に設けられており、平板状の集熱材3の縦方向および横方向で所定の間隔をあけてならんでいる。
【0021】
1つの熱電素子5は、たとえば、直方体状の1つのn型半導体15と直方体状の1つのp型半導体17と矩形な平板状の高温側導体(高温側電極)11とを備えて構成されている。1つのn型半導体15と1つのp型半導体17とはお互いが僅かに離れ隣り合っている。1つのn型半導体15の上面と1つのp型半導体17の上面とは、矩形な平板状の高温側導体11で接続されている。高温側導体11もこの厚さ方向が上下方向になっている。
【0022】
各熱電素子5は、高温側導体11が設置されている端面が上側になり、高温側導体11が設置されている端面とは反対側の端面が下側になって、集熱材3に設けられている。なお、各熱電素子5の高温側導体11と集熱材3との間には、薄い平板状の絶縁体(たとえば、熱伝導率が高いセラミックス等の、絶縁性と不燃性もしくは難燃性を備えた材料で構成されている絶縁体)19が設けられている。薄い平板状の絶縁体19もこの厚さ方向が上下方向になっている。
【0023】
また、薄い平板状の絶縁体19の上面は、集熱材3の下面に面接触しており、各熱電素子5の高温側導体11の上面は、薄い平板状の絶縁体19の下面に面接触している。
【0024】
図1で示すように、各熱電素子5のうちのお互いが隣接している2つの熱電素子(5A、5B)では、一方の熱電素子5Aのn型半導体15の下面と、他方の熱電素子5Bのp型半導体17の下面とが、矩形な平板状の低温側導体13(13A)で接続されている。低温側導体13もこの厚さ方向が上下方向になっている。
【0025】
これにより集熱材3の下側に設けられている各熱電素子5は、低温側導体13によって、
図2で示すように直列接続される。
【0026】
送信部7は、第1の制御部(制御基板;火災検知器用制御部)21とアンテナ23とを備えて構成されている。第1の制御部21は、図示しないメモリとCPU(マイコン)とを備えて構成されている。
【0027】
ここで、送信部7の無線仕様(無線通信方式)について説明する。火災検知器1では、アンテナ23が床面37の下側に収納されているため、無線の伝達範囲が制限される恐れがある。そこで、情報伝達の信頼性向上のため、メッシュ通信又はマルチホップ通信(情報を無線端末間でバケツリレーのように伝達する方式)が可能な無線通信方式(Bluetooth、Zigbee等)を使用することが望ましい。
【0028】
メッシュ通信又はマルチホップ通信とすることによって、火災検知器1が使用する電力を小さくすることができ、熱電素子5の電力を小さくできることから熱電素子5を小さくできる。また、電池を利用する場合には、使用する電池を小型化かつ安価にできる。さらに、電池のみの電力で駆動する火災検知器1の場合でも、火災を検知した火災検知器1から受信機(火災受信機)9までの間を少なくとも1つの他の火災検知器1(この火災検知器1は火災を検知してはいないが検知していてもよい。)をリレーする(所定の信号を受信しかつ送信する)ことによって、充分遠方まで小型の電池で送信することができる。
【0029】
そして、火災の発生によって集熱材3の温度が上昇すると、集熱材3の熱によって熱電素子5が発電し、この各熱電素子5が発電した電力で送信部7(第1の制御部21)が稼働し、第1の制御部21の制御の下、アンテナ23から火災受信機9に向けて、所定の信号を送信する。
【0030】
なお、集熱材3の熱による熱電素子5の発電は、高温側導体11と低温側導体13との温度差によってなされる。また、送信部7での所定の信号の送信は、集熱材3の温度が上昇して第1の温度を超えて発電量が所定の閾値を超えたときになされる。
【0031】
また、火災検知器1には、
図1で示すように、送信部7が発した電波が透過する材料(たとえば難燃性の合成樹脂)で構成された枡状の筐体(カバー部材)25が設けられている。筐体25はたとえば矩形な枡状に形成されており、開口部が上側を向いており、開口部が、集熱材3で蓋がされている。
【0032】
これにより、筐体25の内側には、筐体25と集熱材3とで閉空間27が形成されており、この閉空間27内に、各熱電素子5、薄い平板状の絶縁体19、高温側導体11、低温側導体13、送信部7が設けられている。
【0033】
上下方向で見ると、集熱材3は筐体25よりも大きく、集熱材3の内側に筐体25が位置している。これにより、筐体25の外側には、集熱材3の一部で構成されて鍔部57(
図1参照)が形成されている。
【0034】
また、火災検知器1は、
図1で示すように、たとえば、建屋29のフリーアクセスフロア31の配線用アウトレット設置部33に埋め込まれて設置されるように構成されている。配線用アウトレット設置部33として、収納型コンセント(インナコンセント)を設置する部位や収納型空調用機器等を設置する部位等を掲げることができる。
【0035】
フリーアクセスフロア31は、建屋29の部屋35の床面(床)37上に、複数の床パネル39をたとえば敷き詰めて設置して形成される。床パネル39は、平板状の上板部41とこの上板部41から下側に突出している脚部43とを備えている。
【0036】
建屋29の部屋35の床面37上に複数の床パネル39を設置したことで、各床パネル39の上板部41の上面でフリーアクセスフロア31の平面状の上面45が形成され、建屋29の部屋35の床面37と床パネル39の上板部41との間には、空間47が形成される。そして、この空間47に電線等の配線(図示せず)が設置される。
【0037】
配線用アウトレット設置部33は、たとえば、床パネル39の上板部41に設けられている貫通孔49で形成される。この貫通孔49は、上側部位51と下側部位53とを備えており、上下方向で見ると上側部位51の内側に下側部位53が存在している。
【0038】
これにより、下側部位53の外側に位置している上側部位51の底面55は、上下方向で見て、たとえば「ロ」字状等の環状に形成されている。また、下側部位53の外側に位置している上側部位51の底面55は、床パネル39の上板部41の上面45と平行になって、床パネル39の上板部41の上面45よりも僅かに下側に位置している。
【0039】
火災検知器1がフリーアクセスフロア31の配線用アウトレット設置部33に設置された状態では、
図1で示すように、火災検知器1の筐体25が上板部41の貫通孔49の下側部位53(空間47)に入り込んでおり、火災検知器1の集熱材3(筐体25の外側の鍔部57)が、上板部41の貫通孔49の上側部位51に入り込んでおり、上板部41の貫通孔49の上側部位51の底面55に集熱材3の鍔部57が接している。
【0040】
また、火災検知器1がフリーアクセスフロア31の配線用アウトレット設置部33に設置された状態では、上板部41の上面45と集熱材3の上面とが同一平面状に位置しており、さらに、火災検知器1がフリーアクセスフロア31の配線用アウトレット設置部33に設置された状態を上下方向で見ると、集熱材3の大きさが、上板部41の貫通孔49の上側部位51の大きさ等しくなっているか僅かに小さくなっており、集熱材3が上板部41の貫通孔49の上側部位51に嵌り込む。
【0041】
ところで、
図2で示すように、火災検知器1に、火災検知器1の周囲の温度(たとえば、集熱材3の温度や空間47の温度、または、フリーアクセスフロア31上の空間の温度)を測定する温度測定センサ(たとえば、市販の温度センサ)59を設けてもよい。
【0042】
そして、温度測定センサ59で測定した温度が、所定の閾値(上述した第1の温度よりも高い第2の温度)を超えたときに、熱電素子5で生成された電気エネルギーによって、送信部7が、火災受信機9に所定の信号を送信するように構成してもよい。
【0043】
この場合、温度センサ59は熱電素子5で生成された電気エネルギーに可動するようになっているが、温度センサ59が電池(図示せず)や商用の電力で稼働するようになっていてもよい。この場合、熱電素子5を設けず制御部21を含む火災検知器1が電池(図示せず)や商用の電力で稼働するようになっていてもよい。また、電池が熱電素子5に接続されており熱電素子5で生成された電気エネルギーによって充電される構成としてもよく、電池が制御部21に搭載されてもよい。
【0044】
このように構成した場合、温度測定センサ59で測定した温度が第2の温度を超えたときに、送信部7が火災受信機9に所定の信号を送信するので、誤作動を無くして火災の発生を確実に検出することができる。
【0045】
また、火災検知器1が他の構成のものであってもよい。たとえば、
図12で示すように、火災検知器1において、温度測定センサに変えてもしくは加えて炎センサ91を設けてもよい。炎センサ91は、炎の強度に応じて炎の放射エネルギーを電気エネルギーに変換する炎検知器である。
【0046】
そして、熱電素子5で生成された電気エネルギーを用い、炎センサ91で検出した火点の炎(
図12では図示せず)の放射エネルギーが所定の閾値を越えたときに(所定の閾値よりも強い強度の炎)、制御部21の制御の下、送信部7が、火災受信機9(
図12では図示せず)に所定の信号を送信するように構成してもよい。なお、
図12で示す参照符号θは、炎センサ91の監視エリアの拡がり角を示している。
【0047】
また、
図12で示す構成では、炎センサ91が熱電素子5で生成された電気エネルギーで稼働するようになっているが、炎センサ91が電池(図示せず)や商用の電力で稼働するようになっていてもよい。この場合、熱電素子5を設けず制御部21を含む火災検知器1が電池(図示せず)や商用の電力で稼働するようになっていてもよい。また、電池が熱電素子5に接続されており熱電素子5で生成された電気エネルギーによって充電される構成としてもよく、電池が制御部21に搭載されてもよい。
【0048】
次に、複数の火災検知器1を用いた消火システム(防災システム)61について
図4等を参照しつつ説明する。
【0049】
消火システム61は、火災検知器1と消火剤放出部(たとえば、放水部;放水銃)63と火災受信機9と制御盤(第2の制御部;消火システム用制御部)65とを備えて構成されている。
【0050】
火災検知器1は複数設けられており、建屋29の部屋35に所定の間隔をあけて設置されている。放水銃63は、火点67に向かって消火剤(たとえば水)を放出(放水)する。
【0051】
第2の制御部65は、各火災検知器1のうちの所定の火災検知器1(1A)から火災受信機9が所定の信号を受信したときに、所定の火災検知器1A(火点67)に向けて放水銃63が放水を放出するように、放水銃63を制御する。
【0052】
複数の火災検知器1のそれぞれは、固有のIDを有しており、たとえば、上述した態様で、建屋29の部屋35の床37に設置されている。上下方向で見ると、各火災検知器1のそれぞれは、縦方向および横方向で一定の間隔をあけて(たとえば1mのピッチで)設置されている。上下方向で見たときの集熱材3は、たとえば、10cm×10cm程度の大きさになっている。すなわち、平板状の集熱材3は、縦横方向で10cm×10cm程度の大きさになっている。
【0053】
なお、各火災検知器1のそれぞれが、フリーアクセスフロア31を用いることなく、建屋29の床37にたとえば埋め込まれて直接設置されていてもよいし、建屋29の壁(横壁)や天井にたとえば埋め込まれて設置されていてもよい。さらに、各火災検知器1のそれぞれが、建屋以外の構造物(消火システム61の消火対象である構造物)に設置されていてもよい。
【0054】
放水銃63は、平面視では、建屋29の部屋35の内部もしくは建屋29の部屋35の外部(建屋29の部屋35から僅かに離れている箇所)に設置され、図示してはいないが、側面視では、建屋29の部屋35の床面37の上側で床面37から所定の距離だけ離れた箇所に設置される。
【0055】
また、放水銃63は、本体部69と筒状のバレル部71とを備えて構成されている。本体部69は、建屋29に対し上下方向に延びている軸を回転中心にして、回動位置決め自在になっている。つまり水平方向に回転する。また、バレル部71は、本体部69に対し水平方向に延びている軸を回転中心にして、回動位置決め自在になっている。つまり上下方向に回転する。
【0056】
貯水タンク(図示せず)から供給される水が、バレル部71の先端から建屋29の部屋35内に向けて放出される。さらに説明すると、本体部69の回動角度とバレル部71の回動角度とを適宜設定することで、建屋29の部屋35内の目標とする箇所(火点)67に向けて放水することができる。
【0057】
なお、放水銃63を縦横方向や上下方向に移動することで、建屋29の部屋35内の火点67に向けて水を放出する構成にしてもよい。
【0058】
第2の制御部65は、図示しないCPUとメモリとを備えて構成されており、火災受信機9が受信した所定の信号によって所定の信号の送信を行った火災検知器1(1A)を特定する。
【0059】
たとえば、第2の制御部65のメモリには、各火災検知器1それぞれのIDと各火災検知器1それぞれの設置場所(横方向における設置位置、縦方向における設置位置)がお互いに対応づけられ記憶されている。
【0060】
そして、所定の信号の送信を行った火災検知器1AのIDから火災検知器1Aが設置されている位置を特定し、第2の制御部65が放水銃63を制御することで、本体部69とバレル部71とが適宜回動位置決めされ、特定した火災検知器1A(火点67)に向かって放水がされる。
【0061】
なお、消火システム61には、図示しないLCD等の出力部とタッチパネル等の入力部とを備えた操作盤73が設けられている。オペレータは操作盤73を用いて、消火システム61の状況や建屋29の部屋35の状況を知ることができ、また、消火システム61を適宜操作することができる。
【0062】
また、消火システム61には、
図4で示すように、法令による設置義務がある火災検知機器として、光電式分離型火災感知器75が設けられている。光電式分離型火災感知器75は複数の送光部(発光部)77と複数の受光部79とを備えて構成されている。なお、光電式分離型火災感知器75に代えてもしくは加えて、火災感知器(NSF904EGA 日本ドライケミカル製)などの法令による設置義務がある火災検知機器を採用してもよい。
【0063】
各送光部77は、たとえば、建屋29の部屋35の横方向の一方の壁面に縦方向で所定の間隔をあけて設置される。また、各送光部77は、上下方向では、建屋29の部屋35の床37から上側に所定の距離だけ離れたところに設置される。
【0064】
各受光部79も、各送光部77と同様にして、たとえば、建屋29の部屋35の横方向の他方の壁面に縦方向で所定の間隔をあけて設置される。また、各受光部79も、上下方向では、建屋29の部屋35の床37から上側に所定の距離だけ離れたところに設置される。
【0065】
そして、常態では(建屋29の部屋35で火災が発生していない状態では)、各送光部77のそれぞれが各受光部79のそれぞれに向けて発した光を各受光部79のそれぞれが受光する。
【0066】
一方、建屋29の部屋35で火災が発生したときには、火災による煙で各受光部79のうちの少なくとも一部の受光部が、送光部77が発した光を受光することができなくなる。これにより、建屋29の部屋35での火災の発生を感知する。
【0067】
次に、消火システム61の動作を、
図5を参照しつつ説明する。
【0068】
建屋29の部屋35内で火災が発生すると(S1)、光電式分離型火災感知器75が火災の発生を検知する(S3)。
【0069】
続いて、火災が発生した旨の表示をする表示部(図示せず)が設けられている火災受信機9が、火災が発生した旨の表示をする(S5)。
【0070】
なお、火災受信機9に火災が発生した旨の情報を出力する火災情報出力部が設けられていてもよい。そして、火災発生時にたとえばアラーム音を発してもよい。
【0071】
続いて、火災受信機9から第2の制御部65に火災が所定の信号(火災が発生した旨の信号と火災検知器1A固有のIDを示す信号)を送信し(S7)、第2の制御部65が、所定の信号を受信する(S9)。
【0072】
続いて、第2の制御部65が火災受信機9を介して、火災検知器1(1A)から所定の信号を受信すると(S11)、第2の制御部65が火点67を特定し、放水銃63が火点67に向けて放水する(S13)。
【0073】
なお、上記説明では、ステップS5で、火災受信機9が、火災が発生した旨の表示をするようになっているが、操作盤73が、火災が発生した旨の表示をするようになっていてもよい。また、第2の制御部65に受信機を設け、火災が発生したときに、火災受信機9を介することなく第2の制御部65の受信機で所定の信号を受信してもよい。さらに、ステップ11では制御盤65が火災検知器1から火災位置情報を受信するようになっているが、火災受信機9が火災検知器1から火災位置情報を受信し、制御盤65に火災位置情報を送信してもよい。
【0074】
火災検知器1によれば、サーマルカメラに比べて安価であり長寿命である熱電素子5を用いているので、イニシャルコストとランニングコストを低減することができ、メンテンナンスの間隔を延ばすことができる。
【0075】
また、火災検知器1によれば、熱電素子5で生成された電気エネルギーによって、火災検知器1が所定の信号を無線送信するように構成されているので、電源から火災検知器1までの配線(電源を供給するための電線や信号を送るための配線)を無くすことができ、火災検知器1の設置がしやすくなる。
【0076】
また、火災検知器1によれば、熱電素子5で生成された電気エネルギーによって、送信部7が稼働するようになっているので、電池が不要になり、低消費エネルギーを達成することができるとともにメンテンナンスの間隔を一層延ばすことができる。
【0077】
また、火災検知器1によれば、熱伝導性の良い集熱材3を介して熱電素子5が発電するようになっているので、熱電素子5の設置領域に対して集熱材3を大きくすることで、少ない熱電素子5で広範囲での火災の発生を検知することができる。
【0078】
また、火災検知器1によれば、火災検知器1が、建屋29のフリーアクセスフロア31の配線用アウトレット設置部33に設置されるように構成されているので、建屋29や市販のフリーアクセスフロア31に改造を施すことなく、火災検知器1を容易に設置することができる。
【0079】
ところで、従来の消火システムでは、サーマルカメラや光電式分離型感知器を用いて火点を特定しようとしても、遮蔽物があると、火点を正確に特定できないおそれがある。
【0080】
これに対して、消火システム61では、複数の火災検知器1を床37に設置しているので、床パネル39上に遮蔽物があっても火点67を正確に特定することができる。
【0081】
さらに、消火システム61では、複数の火災検知器1を床37に設置しているので、サーマルカメラや光電式分離型感知器を用いた場合に比べて、火点67の位置を正確に検知することができる。
【0082】
すなわち、火点67の炎は、たとえば、ゆらぎや部屋35内の空気の流れによって、位置が変化しやすく、火点67で発生する煙も、たとえば、ゆらぎや部屋35内の空気の流れによって、位置が変化しやすい。これにより、サーマルカメラや光電式分離型感知器では、火点67の位置を正確に検知することができない場合がある。
【0083】
これに対して、消火システム61では、複数の火災検知器1を床37に設置しているので、ゆらぎや部屋35内の空気の流れがあっても、火点67の位置を正確に検知することができる。
【0084】
また、火点67を正確に特定することで、大施設空間において放水銃63を用いた消火を行う際、放水量削減することができ、貯水設備を小型化することができ、全体のコストを低減することができる。
【0085】
たとえば、貯水タンク(放水銃に水を供給する貯水タンク)の貯水量を少なくすることができきる。これについてさらに説明する。
【0086】
また、消火システム61によれば、安価であって、従来のものよりもメンテンナンスの間隔を延ばすことができ、遮蔽物があっても火点を正確に特定する火災検知器1の効率的な配置ができる。
【0087】
まず、従来の消火システムにおける貯水タンク(放水銃に水を供給する貯水タンク)の貯水量について説明する。
【0088】
法令で定められた放水区画の面積は、
図8で示すように、4m×5m=20m
2である。これに安全率を設定した放水区画の面積は、
図8で示すように、(4m+2m)×(5m+2m)=42m
2になる。これに火災検知器1の検知精度誤差を設定した放水区画の面積は、
図8で示すように、(6m+2m)×(7m+2m)=72m
2になる。
【0089】
ここで、放水銃の放水区画(床面積)1m2あたりの放水流量をqL/m2・min(たとえば、5L/m2・min)とすると、放水銃63の1分間あたりの放水量は、qL/m2・min×72m2=72qL/min(たとえば、5L/m2・min×72m2=360L/min)になる。
【0090】
さらに、放水銃から20分間放水する必要があるので、貯水タンクの貯水量は、72qL/min×20min=1440qL(たとえば、360L/min×20min=7200L(7.2m3))になる。
【0091】
本発明の実施形態に係る消火システム61によれば、火点を正確に特定することで、放水区画の面積をたとえば6m×7m=42m2ですることができ、7.2m3の容量の貯水タンクを、5L/m2・min×42m2×20min=4200L(4.2m3)の容量の貯水タンクにすることができ、貯水タンク規模や貯水量を減少させコストを削減させることが可能になる。
【0092】
ところで、
図4では、各熱電素子5を縦方向および横方向で所定の間隔をあけて配置しているが、
図6で示すように、各熱電素子5を最密充填(六方最密充填)で配置してもよい。
【0093】
すなわち、平面視において、床37の少なくとも一部(たとえば総て)を同じ大きさの複数の正六角形で平面充填したと仮定したときに、各火災検知器1のそれぞれが、各正六角形の中心それぞれのところに設置されていてもよい(各火災検知器1の中心それぞれの位置と各正六角形の中心それぞれの位置とがお互いに一致していてもよい)。もしくは、各火災検知器1のそれぞれが、各正六角形の頂点それぞれのところに設置されていてもよい。
【0094】
さらには、建屋29の部屋35とこの部屋35の外界とを仕切っており各火災検知器1が設置されている仕切材(たとえば、床37、天井、壁の少なくともいずれか)の平面状の表面に対して直交する方向で見て、上記仕切材の少なくとも一部を同じ大きさの複数の正六角形で平面充填したと仮定したときに、各火災検知器1のそれぞれが、各正六角形の中心のそれぞれに設置されていてもよい。
【0095】
このように、各火災検知器1を六方最密充填で配置することで、より少ない数の火災検知器1を用いて、偏りなくしかも効率良く火点を検出することができる。
【0096】
なお、正六角形による六方最密充填で配置する火災検知器1として、熱感知器(差動式スポット型感知器、定温式スポット型感知器)、煙感知器(光電式スポット型感知器)、炎感知器(紫外線式スポット型感知器、赤外線式スポット型感知器)を採用してもよく、火災を検出する、熱センサ、煙センサ、光センサを備えた検知器を採用してもよい。
【0097】
また、上記説明では、1つの火災検知器1Aが火点67を検出しているが、各火災検知器1のうちで所定の複数の火災検知器が火点67を検出する場合もある。
【0098】
この場合、各火災検知器1のうちで所定の複数の火災検知器から所定の信号を受信したときに、上記所定の複数の火災検知器が配置されている領域の中央部に向けて放水銃63が放水する。
【0099】
なお、所定の複数の火災検知器1から火災受信機9が所定の信号を受信したときに、各火災検知器1からの受信時刻に応じて、火点を特定してもよい。たとえば、1つ目の火災検知器1から時刻t1に所定の信号を受信し、2つ目の火災検知器1から時刻t2(時刻t1から時間taだけ経過した時刻)に所定の信号を受信したとき、1つ目の火災検知器1と2つ目の火災検知器1との間の中央部よりも1つ目の火災検知器1側の箇所を火点67として特定してもよい。
【0100】
また、火災検知器1に受信部を設けてもよい。そして、上述したマルチホップ通信のように、各火災検知器1のうちの火災を検知した火災検知器1Aから受信機までの間を、各火災検知器1のうちの火災を検知した火災検知器1A以外の少なくとも1つの火災検知器1が上記所定の信号を受信しかつ送信するように構成されていてもよい。
【0101】
すなわち、火災を検知した火災検知器1A以外の、1つもしくは複数の火災検知器1を中継して、上記所定の信号を火災受信機9まで送ってもよい。
【0102】
次に、火災検知器1が検出部(火災検出部)として炎センサ91を採用した場合を、
図13を参照しつつ説明する。炎センサ91は所定の拡がり角θを持った監視エリアを有している。炎センサ91は、たとえば、複数設けられており、1つ目の炎センサ91(91A)の監視エリアは、隣り合う2つ目の炎センサ91(91B)の監視エリアと重なっている。
【0103】
このように炎センサ91を配置することによって、炎センサ91Bの監視エリアで炎センサ91Bが火点67(67B)の炎(所定の閾値よりも高い炎の強度)を検出すると、炎センサ91Bが配置されている位置で炎が発生しているとして火点67Bの位置を特定し、放水銃63(
図4参照)の放水を制御できる。
【0104】
また、
図13に示すような火点67(67A)の場合は、炎センサ91Aと炎センサ91Bとが火点67Aを検出する。これにより、炎センサ91Aの監視エリアと炎センサ91Bの監視エリアとがお互いに重なる位置が火点67A位置として特定でき、放水銃63(
図4参照)の放水を制御できる。
【0105】
なお、
図13で示す炎センサ91(91A、91B)は、たとえば、炎センサ支持体93を用いて仕切材89に設置されている。仕切材89として、
図4や
図6で示す建屋29等の壁面を掲げることができるし、さらに、床や天井等を掲げることができる。
【0106】
次に、図示しない加熱試験機を用いた消火システム61の点検について説明する。
【0107】
加熱試験機は、ヒータを備えており、また、点検時には、消火システム61は、たとえば、操作盤73を操作することで、点検モードに切り換えられる。
【0108】
消火システム61を点検モード(たとえば放水銃63が動作しないモード)に切り換えておいて、加熱試験機のヒータで検査対象である1つの火災検知器1の集熱材3を所定の時間加熱する。この結果、操作盤73によって、加熱された火災検知器1からの所定の信号を受信することができた旨が確認できれば、検査対象である1つの火災検知器1が正常であることを確認することができる。
【0109】
この確認は、他の火災検知器1にも順に行うことで、消火システム61の総ての火災検知器1の点検をする。
【0110】
なお、加熱された火災検知器1からの所定の信号を受信することができた旨の確認を、加熱試験機で行えるように構成してもよい。また、点検モードになっている場合には、たとえば操作盤73を用いて、点検モードになっている旨の警告を継続して行うように構成してもよい。
【0111】
ところで、
図7(a)~(d)で示すように、平面視において、熱電素子5が設けられている部位(斜線で示す部位)81に対して集熱材3を大きくして、広範囲での集熱をすることができるように構成してもよい。
【0112】
図7では、熱電素子5が設けられている部位81の外径に対する集熱材3の外径が5倍程度になっているが、熱電素子5が設けられている部位81の外径に対する集熱材3の外径が1.5倍~10倍、もしくは、2倍~8倍、もしくは、2倍~6倍程度にしてもよい。
【0113】
また、
図9で示すように、高温側導体11を設けることなく、熱電素子5がp型半導体17とn型半導体15とを直接接合した態様に形成されていてもよい。この場合、p型半導体17とn型半導体15との直接接合されている部位が、薄い平板状の絶縁体19を間にして、集熱材3に設置されている。
【0114】
また、
図10で示すように、低温側導体13側に蓄熱材83を設けてもよい。蓄熱材83は、たとえば、低温側導体13に接している。また、蓄熱材83は、常温では固体になっており、たとえば温度が100℃程度になると融解して液化するようになっている。したがって、火災によって集熱材3の温度が100℃に以上に上昇し空間27内の温度が100℃を超えたときでも、蓄熱材83の融解熱(潜熱)によって、蓄熱材83が100℃程度の温度を所定の時間だけ維持するようになっている。
【0115】
これにより、各熱電素子5が、蓄熱材83設けていない場合よりも長い時間、発電するようになっている。
【0116】
また、
図11で示すように、集熱材3を複数の部材(たとえば、第1の部材3Aと第2の部材3B)で構成し、お互いが離れている各部位3A、3Bを熱伝導率の高い連結材85でつないでもよい。
【0117】
さらに、上記記載内容を、火災受信機と複数の火災検知器1とを有する火災検知システム87として把握してもよい。この場合、火災検知器1として市販ものを採用してもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 火災検知器
3 集熱材
5 熱電素子
7 送信部
29 建屋
31 フリーアクセスフロア
33 配線用アウトレット設置部
59 温度測定センサ
61 消火システム
65 制御部
63 消火剤放出部(放水銃)
67 火点