IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社岡村製作所の特許一覧

<>
  • 特許-回動部位付き什器 図1
  • 特許-回動部位付き什器 図2
  • 特許-回動部位付き什器 図3
  • 特許-回動部位付き什器 図4
  • 特許-回動部位付き什器 図5
  • 特許-回動部位付き什器 図6
  • 特許-回動部位付き什器 図7
  • 特許-回動部位付き什器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】回動部位付き什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 3/08 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
A47B3/08 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018042003
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2019154569
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】小田 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】奥田 直之
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-161446(JP,A)
【文献】特開2014-108253(JP,A)
【文献】国際公開第2008/040034(WO,A2)
【文献】独国特許出願公開第102008037285(DE,A1)
【文献】特開2009-213549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00- 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広幅の表面を形成する回動部位と、前記回動部位を支持する支持構造体と、を備え、
前記支持構造体と前記回動部位との間には、前記回動部位を、前記表面に沿う方向を向く枢軸回りに回動可能とする回動機構が構成され、
前記回動機構には、前記回動部位の前記枢軸回りの回動に伴い縮小拡大する開口が形成されるとともに、
前記開口を遮蔽する遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材は、前記枢軸の軸方向と交差する長手方向に延び、前記遮蔽部材の長手方向の一端側は、前記支持構造体および前記回動部位の一方に連結され、前記支持構造体および前記回動部位の他方には、前記遮蔽部材の長手方向の他端側を挿脱可能に支持する収容部が設けられ、
前記回動部位は、前記表面が第一の方向を向く第一状態と、前記表面が前記第一の方向と交差する第二の方向を向く第二状態と、の間で回動可能とされ、
前記遮蔽部材は、前記回動部位が前記第一状態と前記第二状態との間で回動する間、前記収容部に対する挿入代を確保し、
前記遮蔽部材は、前記回動部位の回動に伴い弾性変形し、前記収容部に対する前記遮蔽部材の挿脱を可能とする変形許容部を備え
前記変形許容部は、前記遮蔽部材における長手方向の一端側から他端側に渡る範囲に設けられる帯板状の弾性板部材であり、
前記弾性板部材は、全体的に弾性変形しつつ、前記収容部に対して挿脱される、回動部位付き什器。
【請求項2】
前記回動部位は、天板を有する天板構造体であり、
前記天板構造体は、前記表面が上方を向く前記第一状態と、前記表面が前記第一状態に対して起立する前記第二状態と、の間で回動可能とされている請求項1に記載の回動部位付き什器。
【請求項3】
前記遮蔽部材を前記長手方向と交差する幅方向から遮蔽する遮蔽壁を備えている請求項1又は2に記載の回動部位付き什器。
【請求項4】
前記収容部は、前記回動部位に支持されるカバー部材を備え、
前記遮蔽部材は、前記支持構造体に支持される、前記変形許容部としての前記弾性板部材を備え、
前記カバー部材は、前記弾性板部材における前記収容部に収容される側の先端部に対向する奥壁を備え、
前記弾性板部材は、前記回動部位が前記第一状態にある場合において、前記収容部への挿入長さが最大となり、かつ前記奥壁に前記先端部を突き当てて弾性変形する請求項1から3の何れか一項に記載の回動部位付き什器。
【請求項5】
広幅の表面を形成する回動部位と、前記回動部位を支持する支持構造体と、を備え、
前記支持構造体と前記回動部位との間には、前記回動部位を、前記表面に沿う方向を向く枢軸回りに回動可能とする回動機構が構成され、
前記回動機構には、前記回動部位の前記枢軸回りの回動に伴い縮小拡大する開口が形成されるとともに、
前記開口を遮蔽する遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材は、前記枢軸の軸方向と交差する長手方向に延び、前記遮蔽部材の長手方向の一端側は、前記支持構造体および前記回動部位の一方に連結され、前記支持構造体および前記回動部位の他方には、前記遮蔽部材の長手方向の他端側を挿脱可能に支持する収容部が設けられ、
前記回動部位は、前記表面が第一の方向を向く第一状態と、前記表面が前記第一の方向と交差する第二の方向を向く第二状態と、の間で回動可能とされ、
前記遮蔽部材は、前記回動部位が前記第一状態と前記第二状態との間で回動する間、前記収容部に対する挿入代を確保し、
前記遮蔽部材および前記収容部の少なくとも一方は、前記回動部位の回動に伴い弾性変形し、前記収容部に対する前記遮蔽部材の挿脱を可能とする変形許容部を備え、
前記収容部は、前記回動部位に支持されるカバー部材を備え、
前記遮蔽部材は、前記支持構造体に支持される、前記変形許容部としての弾性板部材を備え、
前記カバー部材は、前記弾性板部材における前記収容部に収容される側の先端部に対向する奥壁を備え、
前記弾性板部材は、前記回動部位が前記第一状態にある場合において、前記収容部への挿入長さが最大となり、かつ前記奥壁に前記先端部を突き当てて弾性変形する、回動部位付き什器。
【請求項6】
広幅の表面を形成する回動部位と、前記回動部位を支持する支持構造体と、を備え、
前記支持構造体と前記回動部位との間には、前記回動部位を、前記表面に沿う方向を向く枢軸回りに回動可能とする回動機構が構成され、
前記回動機構には、前記回動部位の前記枢軸回りの回動に伴い縮小拡大する開口が形成されるとともに、
前記開口を遮蔽する遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材は、前記枢軸の軸方向と交差する長手方向に延び、前記遮蔽部材の長手方向の一端側は、前記支持構造体および前記回動部位の一方に連結され、前記支持構造体および前記回動部位の他方には、前記遮蔽部材の長手方向の他端側を挿脱可能に支持する収容部が設けられ、
前記回動部位は、前記表面が第一の方向を向く第一状態と、前記表面が前記第一の方向と交差する第二の方向を向く第二状態と、の間で回動可能とされ、
前記遮蔽部材は、前記回動部位が前記第一状態と前記第二状態との間で回動する間、前記収容部に対する挿入代を確保し、
前記遮蔽部材および前記収容部の少なくとも一方は、前記回動部位の回動に伴い弾性変形し、前記収容部に対する前記遮蔽部材の挿脱を可能とする変形許容部を備え、
前記収容部は、前記回動部位に支持され、前記回動部位が前記第一状態にある場合において、第一広幅面を前記第一の方向に向けるカバー部材を備え、
前記遮蔽部材は、前記支持構造体に支持され、前記回動部位が前記第一状態にある場合において、第二広幅面を前記第一の方向に向けるとともに、前記第二広幅面の少なくとも一部を前記カバー部材の前記第一広幅面に重ねるように配置する、前記変形許容部としての弾性板部材を備え、
前記カバー部材は、前記弾性板部材における前記収容部に収容される側の先端部に対向する奥壁を備え、
前記弾性板部材は、前記回動部位が前記第一状態にある場合において、前記収容部への挿入長さが最大となり、かつ前記奥壁に前記先端部を突き当てて弾性変形する、回動部位付き什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動部位付き什器に関する。
【背景技術】
【0002】
天板や座等の主要機能部位が、当該部位を支持する支持構造体に対して回動するように支持された回動部位付き什器において、下記特許文献1,2に開示されるテーブルが公知である。
これらのテーブルでは、主要機能部位としての天板が、支持構造体としての脚体に対して、広幅面が水平に配置された使用位置から、同面が起立した不使用位置まで回動するように構成されている。このような構成を採用することにより、複数のテーブルを奥行方向に複数並置させ、整理することが可能になっている。
このような構成を採用するにあたり、天板を脚体に対して回動可能に連結する回動機構では、天板の角度が漸次変化することから、回動機構に天板の回動に合わせて縮小拡大する開口が生じることがある。
【0003】
そこで、特許文献1に開示される構成では、天板受32とは別体である遮蔽部材としての前カバー6を、不使用位置における上部において天板受32に支持している。前カバー6は、下端部を遊端部とし、脚体を構成する支柱23の上端部に形成された挿入孔75から、支柱23の内部空間に挿通されている。これによって、天板の回動で縮小拡大する開口を常時遮蔽することができる。
また、特許文献2に開示される構成では、天板受32とは別体のカバー34が天板受32に支持されている点は同じだが、カバー34の下端部に、さらに別体の可動部341が枢支され、この可動部341が、天板が使用位置にある状態における余長部として機能する。これによって、天板が使用位置から不使用位置に切り替わるにつれて漸次拡大する開口を効率的に遮蔽することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-161446号公報
【文献】特開2014-079534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、縮小拡大する開口を常時遮蔽するためには、遮蔽部材を挿脱可能に収容する収容部を設けることが望ましい。
しかし、特許文献1,2に開示される構成では、相対位置が漸次切り替わる天板と脚体との間に、硬質の遮蔽部材が介在することになる。したがって、天板の操作が乱雑になったり天板および脚体の間に寸法誤差が生じている場合に、遮蔽部材のスムーズな作動が阻害されるおそれがある。また、遮蔽部材の破損にもつながりやすい。さらに、遮蔽部材および収容部の形状や大きさといったデザインの制約を受けることがある。また、外部に露呈する可動部341の先端部を手で操作されれば、開口が露呈された状態に容易に戻ってしまう。
本願発明は、上記の技術的課題に鑑みてなされたもので、支持構造体に回動部位を支持した回動部位付き什器において、回動機構の開口を遮蔽する遮蔽部材のスムーズな作動を確保し、遮蔽部材の破損を抑えるとともに遮蔽の確実性を高め、かつデザイン自由度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明は、広幅の表面を形成する回動部位と、前記回動部位を支持する支持構造体と、を備え、前記支持構造体と前記回動部位との間には、前記回動部位を、前記表面に沿う方向を向く枢軸回りに回動可能とする回動機構が構成され、前記回動機構には、前記回動部位の前記枢軸回りの回動に伴い縮小拡大する開口が形成されるとともに、前記開口を遮蔽する遮蔽部材を備え、前記遮蔽部材は、前記枢軸の軸方向と交差する長手方向に延び、前記遮蔽部材の長手方向の一端側は、前記支持構造体および前記回動部位の一方に連結され、前記支持構造体および前記回動部位の他方には、前記遮蔽部材の長手方向の他端側を挿脱可能に支持する収容部が設けられ、前記回動部位は、前記表面が第一の方向を向く第一状態と、前記表面が前記第一の方向と交差する第二の方向を向く第二状態と、の間で回動可能とされ、前記遮蔽部材は、前記回動部位が前記第一状態と前記第二状態との間で回動する間、前記収容部に対する挿入代を確保し、前記遮蔽部材および前記収容部の少なくとも一方は、前記回動部位の回動に伴い弾性変形し、前記収容部に対する前記遮蔽部材の挿脱を可能とする変形許容部を備えている、回動部位付き什器を提供する。
【0007】
この構成によれば、回動部位の枢軸回りの回動に伴い回動機構の開口が縮小拡大しても、この開口が遮蔽部材で遮蔽されるので、開口に物品や身体を挟み込むことが防止される。遮蔽部材は、回動部位が第一状態と第二状態との間で回動する間、常に収容部に対する挿入代(オーバーラップ代)を確保するので、回動機構の開口が常に遮蔽部材で遮蔽されるとともに、遮蔽部材が収容部から脱落したり収容部から露出した端部から取り外されたりすることが防止される。
そして、遮蔽部材および収容部の少なくとも一方は、回動部位の回動に伴い弾性変形し、収容部に対する遮蔽部材の挿脱を可能とするので、回動部位の操作が乱雑になったり、部材間の寸法精度に誤差が生じている場合にも、遮蔽部材のスムーズな作動が阻害され難い。また、収容部および遮蔽部材部材がいずれも硬質な場合に比べて、遮蔽部材の破損が抑えられる。また、収納部の向きや大きさによっては遮蔽部材および収容部の弾性変形が不要になるが、遮蔽部材および収容部の形状や大きさといったデザインが制限されやすい。一方、遮蔽部材および収容部の少なくとも一方が弾性変形して遮蔽部材の挿脱を可能とすることで、遮蔽部材および収容部のデザインが制限され難くなる。
このように、本発明によれば、支持構造体および回動部位の間の開口を遮蔽する遮蔽部材のスムーズな作動を確保し、遮蔽部材の破損を抑えるとともに遮蔽の確実性を高め、かつデザイン自由度の高い回動部位付き什器を提供することができる。
【0008】
本発明において、前記回動部位は、天板を有する天板構造体であり、前記天板構造体は、前記表面が上方を向く前記第一状態と、前記表面が前記第一状態に対して起立する前記第二状態と、の間で回動可能とされている構成でもよい。
この場合、支持構造体および天板構造体の間の開口を遮蔽する遮蔽部材のスムーズな作動を確保し、遮蔽部材の破損を抑え、かつデザイン自由度の高い天板付什器を提供することができる。
【0009】
本発明において、前記変形許容部は、前記遮蔽部材における長手方向の一端側から他端側に渡る範囲に設けられている構成でもよい。
この場合、遮蔽部材が一端側から他端側に渡る広範囲で弾性変形するので、遮蔽部材が局部的に弾性変形する構成に比べて、遮蔽部材の全体的な弾性変形によって、遮蔽部材のよりスムーズな作動が確保されるとともに、遮蔽部材の局所的な負荷を抑えて耐久性を向上させることができる。遮蔽部材における長手方向の一端側から他端側に渡る範囲とは、遮蔽部材の長手方向中央部を含んで両端側に延びる幅を有する範囲とする。
【0010】
本発明において、前記収容部は、前記回動部位に支持され、前記回動部位が前記第一状態にある場合において、第一広幅面を前記第一の方向に向けるカバー部材を備え、前記遮蔽部材は、前記支持構造体に支持され、前記回動部位が前記第一状態にある場合において、第二広幅面を前記第一の方向に向けるとともに、前記第二広幅面の少なくとも一部を前記カバー部材の前記第一広幅面に重ねるように配置する、前記変形許容部としての弾性板部材を備えている構成でもよい。
この場合、回動部位が前記第一状態にある場合において、遮蔽部材の弾性板部材が、収容部のカバー部材における回動部位の表面と略平行な第一広幅面に沿うように配置されるので、嵩張らずコンパクトに遮蔽部材を収容部に収容し、かつ挿脱させることができる。また、弾性板部材は、収容部に収容される側の先端部が外部に露呈しにくく、この端部への外乱の引っ掛かりにより弾性板部材が収容部から取り外されてしまうことを抑止することができる。
【0011】
本発明において、前記カバー部材は、前記弾性板部材における前記収容部に収容される側の先端部に対向する奥壁を備え、前記弾性板部材は、前記回動部位が前記第一状態にある場合において、前記収容部への挿入長さが最大となり、かつ前記奥壁に前記先端部を突き当てて弾性変形する構成でもよい。
この場合、弾性板部材の収容部への挿入長さが最大となるとき、弾性板部材の先端部がカバー部材の奥壁に突き当たって弾性変形するので、弾性板部材が長尺に設けられても収容部の奥行方向の大型化を回避し、弾性板部材の弾接によって弾性板部材を収容部内に収容可能となる。このため、弾性板部材の長さを十分に確保して開口を確実に遮蔽可能としながら、遮蔽部材の破損を抑え、かつ遮蔽部材および収容部のデザイン自由度を高めることができる。
【0012】
本発明において、前記遮蔽部材を前記長手方向と交差する幅方向から遮蔽する遮蔽壁を備えている構成でもよい。
この場合、遮蔽部材を側方から遮蔽する遮蔽壁を備えるので、遮蔽部材の幅方向の端部が露呈しにくく、この端部への外乱の引っ掛かりにより遮蔽部材が収容部から取り外されてしまうことを抑止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、支持構造体に回動部位を支持した回動部位付き什器において、回動機構の開口を遮蔽する遮蔽部材のスムーズな作動を確保し、遮蔽部材の破損を抑えるとともに遮蔽の確実性を高め、かつデザイン自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る回動部位付き什器としてのテーブルの天板使用状態を斜め上方から見た斜視図である。
図2】上記テーブルの天板使用状態を斜め下方から見た斜視図である。
図3】上記テーブルの天板格納状態を斜め上方から見た斜視図である。
図4】上記テーブルの天板使用状態の天板支持ブラケットおよび回動機構を斜め上方から見た斜視図である。
図5】上記テーブルの天板使用状態の天板支持ブラケットおよび回動機構を斜め下方から見た斜視図である。
図6】上記テーブルの天板格納状態の天板支持ブラケットおよび回動機構を斜め上方から見た斜視図である。
図7図4のVII-VII断面図である。
図8図6のVIII-VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1図3に示すように、本実施形態では、回動部位付き什器として、天板11を上下回動して折り畳み可能なテーブル1を例示している。なお、図中適所には、テーブル1における水平な幅方向(什器幅方向)を示す矢印X、テーブルにおける什器幅方向と直交する水平な奥行方向(什器奥行方向)を示す矢印Y、テーブルにおける垂直な上下方向を示す矢印Z、天板11の起立時における天面に沿う奥行方向(天板奥行方向)を示す矢印YBが示されている。
【0016】
<テーブル1全体>
図1図3に示すように、テーブル1は、広幅の表面(上面、天面)11aを形成する天板11を有する天板構造体10と、床面F上の規定位置に設置され、天板構造体10を水平に配置された枢軸2回りに回動可能に支持する支持構造体20と、を備えている。天板11は、例えば平面視で角部が丸面取りされた正方形状をなしている。枢軸2は、天板11の裏面11b(下面)側で表裏面11a,11bと平行をなして水平方向(什器幅方向)に延びている。枢軸2は、天板11の平面視の中央部の裏面側に配置されている。
【0017】
天板構造体10は、表面11aが水平をなして上方を向いた(法線方向を上方に向けた)第一状態Aと、第一状態Aに対して枢軸2回りに回動し、表面11aが略垂直に起立して什器奥行方向を向いた(法線方向を什器奥行方向に向けた)第二状態Bと、の間で回動可能である。第一状態Aは天板構造体10の使用状態(天板使用状態)に相当し、第二状態Bは天板構造体10の格納状態(天板格納状態)に相当する。
【0018】
以下、什器奥行方向において、天板構造体10が第一状態Aから第二状態Bに回動する際に上方に移動する側を手前側、天板構造体10が第一状態Aから第二状態Bに回動する際に下方に移動する側を奥側、と称する。また、天板構造体10の第二状態Bにおいて、表面11aに平行で什器幅方向に直交する方向(本実施形態では上下方向)を天板奥行方向と称する。以下の説明では、特に記載がなければ、天板構造体10が第一状態Aにあるときの構成を説明する。
【0019】
<天板構造体10>
図3図6に示すように、天板構造体10は、天板11を裏面11b側から支持する天板支持ブラケット12を備えている。天板支持ブラケット12は、天板11の外周縁から離間した内周側の範囲の裏面11b側に配置されている。天板支持ブラケット12は、天板11の平面視で十字状をなし、天板11の裏面11bに下方から螺着した複数の固定ボルトB1によって締結固定されている。
【0020】
天板支持ブラケット12は、什器奥行方向に長手方向を向けて延びる第一金具13と、什器幅方向に長手方向を向けて延びる第二金具14と、を備えている。第二金具14は、第一金具13の什器幅方向の両側に分割して設けられている。第一金具13および第二金具14は、それぞれ下方に開放するコ字状の断面形状を有して長手方向に延びている。第一金具13および第二金具14は、それぞれ板金の屈曲加工により形成されている。図中符号13aは第一金具13の上壁、符号13bは第一金具13の一対の側壁、符号14aは第二金具14の上壁、符号14bは第二金具14の一対の側壁を示している。図6では第一金具13の図示を省略している。
【0021】
第一金具13の一対の側壁13bは、什器奥行方向と平行に設けられている。一対の側壁13bは、後述する支柱22を挟んで互いに平行をなして什器幅方向で対向し、かつ互いに同一形状に設けられている。一対の側壁13bは、天板11の裏面11b側から支柱22の上端部近傍を頂部として突出する側面視山形をなしている。一対の側壁13bは、側面視で什器奥行方向手前側の傾斜部13dを凹状に形成している。一対の側壁13bは、側面視形状における頂部の什器奥行方向奥側に、後述する固定金具23と側面視で重なってこれを隠す張り出し部13eを形成している。第一金具13は、天板構造体10の被支持部を構成している。
【0022】
<支持構造体20>
図1図3に示すように、支持構造体20は、平面視で放射状に配置された複数(四本)の脚杆21aを有する脚体21を備えている。各脚杆21aの先端部には、それぞれ床面Fに接地するキャスタ21bが設けられている。脚体21の平面視の中央部の上方には、単一の円筒状の支柱22が立設されている。支柱22の上端部には、天板構造体10の平面視の中央部が支持されている。
【0023】
図4図6に示すように、支持構造体20は、天板構造体10の天板支持ブラケット12に連結される固定金具23を備えている。固定金具23は、支柱22の上端部に溶接等により固定されている。固定金具23は、下方に開放するコ字状をなし、例えば板金の屈曲加工により形成されている。固定金具23は、支柱22の上端面に沿って水平に配置される平面視矩形状の上壁23aと、上壁23aの什器幅方向両側から下方に屈曲して延びる一対の側壁23bと、を備えている。一対の側壁23bは、それぞれ什器奥行方向と平行に設けられている。一対の側壁23bは、支柱22を挟んで互いに平行をなして什器幅方向で対向し、かつ互いに同一形状に設けられている。
【0024】
図7図8を併せて参照し、一対の側壁23bにおける支柱22よりも什器奥行方向奥側の部位には、一対の側壁23bの間に渡る枢軸2の両端部が支持されている。枢軸2の両端部は、第一金具13の一対の側壁13bをその外側まで貫通している。一対の側壁23bにおける支柱22よりも什器奥行方向手前側の部位には、後述する第一係止ピン31を係止する第一フック25が形成されている。一対の側壁23bにおける支柱22よりも什器奥行方向奥側で枢軸2よりも下方の部位には、後述する第二係止ピン32を係止する第二フック26が形成されている。
【0025】
天板構造体10の第一状態Aにおいて、固定金具23の上壁23aの上面には、第一金具13の上壁13aの下面が当接し、天板構造体10からの荷重が入力される。固定金具23は、支持構造体20の天板支持部を構成し、天板構造体10の被支持部(第一金具13)を枢軸2回りに回動可能に支持する。天板構造体10と支持構造体20との間には、固定金具23、第一金具13および枢軸2を含む回動機構15が構成されている。
【0026】
<天板ロック機構30>
図6図8を参照し、テーブル1は、天板構造体10の枢軸2回りの回動を第一状態Aおよび第二状態Bの各々においてロックする天板ロック機構30を備えている。
天板ロック機構30は、固定金具23の一対の側壁23bに形成された前記第一フック25および第二フック26と、第一金具13の内側で什器奥行方向に規定量だけスライド可能に支持されたスライド金具33と、スライド金具33における什器幅方向両側の一対の側壁33aに渡って什器幅方向に延びる前記第一係止ピン31および第二係止ピン32と、を備えている。第一係止ピン31は、第一金具13の一対の側壁13bをその外側まで貫通している。
【0027】
第一フック25は、側面視で什器奥行方向手前側に開放するU字状をなし、上部に略水平な第一係止辺25aを形成している。第一係止辺25aには、第一係止ピン31が下方から係止される。この係止により、第一状態Aにある天板構造体10の什器奥行方向手前側が上方へ移動することが規制される。すなわち、第一状態Aにある天板構造体10の第二状態Bへの回動が規制され、天板構造体10が第一状態Aに保持される。
【0028】
第二フック26は、側面視で上方に開放するU字状をなし、什器奥行方向奥側に略垂直な第二係止辺26aを形成している。第二係止辺26aには、天板構造体10が第二状態Bにあるとき、第二係止ピン32が什器奥行方向奥側から係止される。この係止により、第二状態Bにある天板構造体10の天板奥行方向奥側(下側)が什器奥行方向奥側へ移動することが規制される。すなわち、第二状態Bにある天板構造体10の第一状態Aへの回動が規制され、天板構造体10が第二状態Bに保持される。
【0029】
スライド金具33の一対の側壁33aには、側面視で枢軸2と重なる位置に、什器奥行方向に長い長孔33bが形成されている。この長孔33bには、枢軸2の両端部が什器奥行方向でスライド可能に挿通されている。また、第一金具13の一対の側壁13bには、側面視で第一係止ピン31と重なる位置に、什器奥行方向に長い長孔13cが形成されている。この長孔13cには、第一係止ピン31の両端部が什器奥行方向でスライド可能に挿通されている。第一係止ピン31の両端部には、長孔13cの露出を抑える大径のワッシャ13c1が装着されている。
【0030】
スライド金具33には、什器奥行方向手前側の端部に、第一金具13の上壁13aの下面に沿って什器奥行方向手前側に延びる帯板状の操作片34が連結されている。操作片34の什器奥行方向手前側の端部には、下方に突出することで使用者が手先を掛けることが可能な取っ手34aが設けられている。
【0031】
操作片34は、例えば長手方向の中間部に、什器奥行方向に長い長孔34bが形成されている。この長孔34bには、支持ボルトB2の軸部が什器奥行方向でスライド可能に挿通されている。スライド金具33は、各長孔33b,34bの長さで規定されるスライド量だけ、第一金具13に対して什器奥行方向でスライド可能に支持されている。
【0032】
操作片34の什器奥行方向手前側の取っ手34aは、第一金具13の什器奥行方向手前側の端部と側面視で重なるように設けられている。スライド金具33の什器奥行方向奥側の端部には、引っ張りコイルバネ35の一端が係止されている。引っ張りコイルバネ35の他端は、スライド金具33よりも什器奥行方向奥側で第一金具13の上壁13aから垂下した係止片36に係止されている。図中符号37は第一金具13の什器奥行方向奥側に取り付けられて引っ張りコイルバネ35および係止片36を遮蔽する奥側カバー部材、符号B4は奥側カバー部材37を第一金具13の一対の側壁13bに固定する締結具、を示している。
【0033】
スライド金具33は、引っ張りコイルバネ35の付勢力により、前記各長孔33b,34bで規定されたストローク範囲における什器奥行方向奥側のストローク端に向けて付勢されている。スライド金具33は、引っ張りコイルバネ35の付勢力に抗して取っ手34aが什器奥行方向手前側に引かれることで、前記ストローク範囲の什器奥行方向手前側のストローク端に向けてスライドする。
【0034】
スライド金具33が什器奥行方向手前側のストローク端まで移動すると、第一係止ピン31が第一フック25との係止位置から退避し、天板構造体10の第一状態Aでの回動ロックが解除される。これにより、天板構造体10を第一状態Aから第二状態Bへ回動させることが可能となる。
【0035】
一方、天板構造体10の第二状態Bにおいて、取っ手34aが天板奥行方向手前側に引かれ、スライド金具33が天板奥行方向手前側のストローク端まで移動すると、第二係止ピン32が第二フック26との係止位置から退避し、天板構造体10の第二状態Bでの回動ロックが解除される。これにより、天板構造体10を第二状態Bから第一状態Aへ回動させることが可能となる。
【0036】
<遮蔽部材40>
図6図8を参照し、固定金具23と第一金具13との間には、天板構造体10の枢軸2回りの回動に伴い、固定金具23と第一金具13とが互いに接近離反することによって、枢軸2回りの回動方向で縮小拡大する開口K1が形成されている。開口K1は、天板構造体10が第一状態Aから第二状態Bに回動する際に拡大し、天板構造体10が第二状態Bから第一状態Aに回動する際に縮小する。テーブル1は、前記開口K1に身体や物体が入り込むことを防止するために、前記開口K1を遮蔽する遮蔽部材40を備えている。
【0037】
遮蔽部材40は、固定金具23の什器奥行方向手前側に回動可能に連結される回動金具41と、回動金具41に長手方向の一端部(基端部42a)が結合される帯板状の弾性板部材42と、を備えている。弾性板部材42は、天板構造体10の回動に伴い縮小拡大する開口K1の大きさの変化に対応する長さを有し、例えば軟質のポリプロピレン等、弾性を有する樹脂板で構成されている。弾性板部材42は、枢軸2および第二枢軸43の軸方向と平行な幅方向と、この幅方向と直交する長手方向と、これら幅方向および長手方向と直交する厚さ方向と、を有している。弾性板部材42は、帯幅を一定にして長手方向に延びている。
【0038】
弾性板部材42は、幅方向から見た側面視において、概ね直線状(詳細には浅いV字状)をなして延びる初期形状を有し(図7図8に符号42’を付して鎖線で示す)、この初期形状から適宜弾性変形して湾曲可能である。弾性板部材42は、天板構造体10の回動に伴い後述する収容部50に摺接して弾性変形することで、天板構造体10の回動に伴い収容部50に対して挿脱可能となる。つまり、弾性板部材42は、天板構造体10の回動に伴い弾性変形して収容部50に対する挿脱を可能とする変形許容部を構成している。遮蔽部材40は、変形許容部(弾性板部材42)を局部的に設けるのではなく、長手方向の一端側から他端側に渡る広い範囲(長手方向の中央部を含む)に設けることで、弾性変形を容易にし、かつ弾性変形による局部的な負荷を抑えている。弾性板部材42の長手方向の一端部(先端部42b)には、第一状態Aにおいて下方に突出する凸部42d(図8参照)が設けられている。凸部42dは、後述するガイド部材52の第一状態Aにおける上向き面に形成された凹部52d(図8参照)に、第二状態Bにおいて弾性係合する。これにより、第二状態Bにおいて弾性板部材42の先端部42bが収容部50から脱落することが抑止される。
【0039】
回動金具41は、固定金具23の一対の側壁23bにおける支柱22よりも什器奥行方向手前側で、かつ第一フック25よりも下方の部位に、枢軸2と平行な第二枢軸43を介して回動可能に連結されている。回動金具41ひいては遮蔽部材40は、什器奥行方向で支柱22を挟んで枢軸2とは反対側となる位置(枢軸2から離間した位置)において、固定金具23に連結されている。
【0040】
回動金具41は、上方に開放するコ字状をなし、例えば板金の屈曲加工により形成されている。回動金具41は、第二枢軸43と平行な平面視矩形状の遮蔽壁41aと、遮蔽壁41aの什器幅方向両側から上方に屈曲して延びる一対の側壁41bと、を有している。一対の側壁41bの什器奥行方向奥側の部位には、固定金具23の一対の側壁23bの間に渡る第二枢軸43の両端部が挿通、支持されている。遮蔽壁41aは、什器幅方向から見た側面視で、下方に凸の浅い屈曲形状をなしている。遮蔽壁41aは、什器奥行方向の略中央部に形成された屈曲部よりも什器奥行方向手前側の部位を、什器奥行方向手前側ほど上方に位置するように傾斜した傾斜壁41a1としている。
【0041】
傾斜壁41a1の上面には、弾性板部材42の基端部42aが一対の締結具B3により固定されている。すなわち、弾性板部材42の長手方向の一端部(基端部42a)は、回動金具41を介して固定金具23ひいては支持構造体20に連結されている。弾性板部材42の長手方向の他端側(先端側)は、天板構造体10に設けられた収容部50に長手方向で挿脱可能に挿入、支持されている。
【0042】
遮蔽部材40は、支持構造体20への連結端部45(固定金具23における第二枢軸43近傍の基端部)から長手方向で反対側の端部(弾性板部材42の先端部42b)までの長さが、前記連結端部45から収容部50の開口K2までの長さの最大値(第二状態Bでの長さ)よりも長い。このため、弾性板部材42は、天板構造体10が第一状態Aと第二状態Bとの間で回動する間、常に収容部50に対して挿入代を確保する。つまり、弾性板部材42の長手方向の先端側は、常に天板構造体10の収容部50内に挿入、支持された状態を維持する。
【0043】
弾性板部材42は、収容部50の開口K2の周縁や内壁面に摺接しながら、収容部50に対して挿脱される。天板構造体10が第一状態Aから第二状態Bへ回動する際、遮蔽部材40は、天板構造体10の回動に追従するように、回動金具41を第二枢軸43回りに上向きに回動させる。これにより、遮蔽部材40は、長手方向を収容部50の奥行方向に沿わせるように指向させる。回動金具41は、天板構造体10が第二状態Bに至る前に、第一フック25に当接して上向きの回動が規制される。その後、さらに天板構造体10が回動すると、弾性板部材42は、幅方向から見た側面視でS字状に撓むように(厚さ方向で曲がるように)弾性変形しつつ、収容部50に対して挿脱される。
【0044】
弾性板部材42は、天板構造体10の第一状態Aにおいて収容部50への挿入長さが最大となる。天板構造体10の第一状態Aにおいて、弾性板部材42は、収容部50の奥壁51bに先端部42bを突き当てることで、側面視で全体的に反るように弾性変形する。図中符号52は収容部50の内側に固設されて弾性板部材42の弾性変形時の位置を規制するガイド部材、符号B5はガイド部材52を第一金具13の一対の側壁13bに固定する締結具、を示している。ガイド部材52は、後述するカバー部材51を第一金具13に固定する脚部を兼ねている。
【0045】
<収容部50>
図6図8を参照し、収容部50は、第一金具13と、第一金具13の内側に取り付けられるカバー部材51と、を備えている。
カバー部材51は、第一金具13の一対の側壁13bの間に配置され、第一金具13とともに天板11の裏面11b側に共締め固定(締結固定)されている。カバー部材51は、例えば板金の屈曲加工により形成されている。
【0046】
カバー部材51は、什器奥行方向手前側が天板11側に位置するように傾斜して延びる帯板状のカバー壁51aと、カバー壁51aの什器奥行方向手前側の端部から上方(天板11側)へ屈曲して起立する奥壁51bと、を備えている。カバー壁51aは、上下方向を向く第一広幅面51cを形成している。奥壁51bは、収容部50に収容された弾性板部材42の先端部42bと什器奥行方向で対向する。カバー部材51は、下方に開放するコ字状断面の第一金具13とともに、天板11の裏面11bに沿うように什器奥行方向に延び、かつ什器奥行方向手前側が閉塞した収容部50を形成している。収容部50の長手方向(奥行方向)は、什器奥行方向を向いている。第一金具13の一対の側壁13bは、遮蔽部材40を什器幅方向から遮蔽するように天板11の裏面11b側から下方へ起立する遮蔽壁13b1を構成している。
【0047】
弾性板部材42は、上下方向を向く第二広幅面42cを形成している。弾性板部材42は、収容部50に収容された状態において、第二広幅面42cの少なくとも一部(長手方向の他端側)を、カバー部材51の第一広幅面51cに重ねている。遮蔽部材40の長手方向における両広幅面42c,51cの重なり代は、遮蔽部材40の収容部50への挿入代に相当する。
【0048】
収容部50は、枢軸2と上下方向でラップする高さにある。収容部50は、天板構造体10における枢軸2よりも什器奥行方向手前側に配置されている。収容部50は、天板構造体10の回動時、回動中心である枢軸2とは接近離反しないが、枢軸2と離間した部位に対しては接近離反する。遮蔽部材40の支持構造体20への連結端部45は枢軸2から離間しているので、収容部50は、天板構造体10の回動時、前記連結端部45に対しては接近離反する。
【0049】
収容部50の開口K2は、回動機構15の開口K1に臨み、この開口K2から遮蔽部材40(弾性板部材42)が収容部50内に挿脱される。このとき、弾性板部材42は、収容部50の開口K2の周縁や内壁面に摺接することで、幅方向から見て弾性変形しながら収容部50に挿脱される。遮蔽部材40は、収容部50に対して挿脱されることで、天板構造体10の回動時における前記連結端部45と収容部50との間の距離の変化を吸収しつつ、前記開口K1を遮蔽した状態を保つ。
【0050】
収容部50は、奥行方向を遮蔽部材40の長手方向に沿うように配置したり開口K2側を広げたりすれば、遮蔽部材40を弾性変形させずに挿脱させる可能性があるが、この場合、収容部50の向きや大きさが制限されてしまう。
【0051】
本実施形態の収容部50は、上下方向(天板11の厚さ方向)の寸法を、什器奥行方向および什器幅方向の各寸法よりも小さくし、全体的に上下方向の寸法を抑えた偏平状をなしている。このような偏平状の収容部50とすることで、天板11の裏面11b側への収容部50の突出を抑え、天板11の裏面11b側のコンパクト化(特に天板構造体10が第二状態Bとなったときのコンパクト化)に寄与している。
【0052】
遮蔽部材40は、天板構造体10の回動に追従するように第二枢軸43回りに回動する。遮蔽部材40は、天板構造体10が第一状態Aから第二状態Bに向けて回動する際、回動金具41の回動が固定金具23への当接により規制されるまでの間は、長手方向を収容部50の奥行方向に沿わせるように配置される。このため、弾性板部材42は、弾性変形することなく収容部50に挿脱される。
【0053】
回動金具41の回動が規制された後、さらに天板構造体10が第二状態Bに向けて回動すると、遮蔽部材40の長手方向と収容部50の奥行方向とがずれはじめる。このため、弾性板部材42が厚さ方向でカバー部材51に押されて側面視S字状に弾性変形しつつ、収容部50に挿脱される。このように、弾性板部材42が適宜撓んで収容部50に挿脱されることで、遮蔽部材40の破損や作動不良が抑えられる。
【0054】
<作用>
次に、作用について説明する。
まず、天板構造体10が第一状態Aにあるとき、遮蔽部材40の弾性板部材42は、収容部50の奥壁51bに先端部42bを突き当てることで、全体が側面視で反り返るように弾性変形する。これにより、弾性板部材42の長さを確保した上で、収容部50の奥行方向の寸法を抑えることが可能となる。また、弾性板部材42の収容部50への挿脱ストロークが増えても、弾性板部材42と収容部50とのラップ代が確保されるので、遮蔽部材40の収容部50からの脱落が防止される。また、弾性板部材42の長さの確保により、弾性板部材42の弾性変形が容易になるので、天板構造体10を第一状態Aに向けて回動させる際、天板11の操作がラフになったり天板構造体10および支持構造体20の間に寸法誤差が生じたりしても、遮蔽部材40および収容部50の局所的な負荷が抑えられる。このため、遮蔽部材40および収容部50の破損が抑止されるとともに、天板構造体10が第一状態Aに至る直前の回動がスムーズになる。
【0055】
天板構造体10が第一状態Aにあるとき、遮蔽部材40は、回動金具41が略水平となるように回動し、長手方向を収容部50の奥行方向(第一状態Aの什器奥行方向でもある)に向けるように配置される。このとき、回動金具41の什器奥行方向手前側の回動端部は、カバー部材51の什器幅方向奥側の開口端部に近接している。このカバー部材51の什器幅方向奥側の開口端部に弾性板部材42が上方から当接することで、回動金具41の下向きの回動が規制される。天板構造体10が第一状態Aにあるとき、固定金具23の上壁23aの上面と第一金具13の上壁13aの下面とが互いに当接し、もって回動機構15の開口K1が閉塞する。
【0056】
天板構造体10が第一状態Aにあるとき、天板構造体10の回動は天板ロック機構30によりロックされている。この状態から、スライド金具33が什器奥行方向手前側に引かれると、第一係止ピン31が第一フック25との係止位置から退避し、天板構造体10の第一状態Aでの回動ロックが解除される。これにより、天板構造体10を第一状態Aから第二状態Bへ回動させることが可能となる。
【0057】
天板構造体10を第一状態Aから第二状態Bへ回動させると、遮蔽部材40は、弾性板部材42がカバー部材51に持ち上げられることで、第二枢軸43回りに上向きに回動し、長手方向を上向きに変化させる。天板構造体10を第一状態Aから第二状態Bへ回動させると、回動機構15の開口K1が開いて拡大するが、この開口K1は、下方および什器奥行方向手前側から遮蔽部材40により遮蔽され、かつ什器幅方向両側からは第一金具13の一対の側壁13b(遮蔽壁13b1)により遮蔽される。このため、前記開口K1が外部に露出せず、開口K1への物品や身体の進入が防止される。
【0058】
天板構造体10の起立角度が大きくなるに従い、収容部50は遮蔽部材40の連結端部45から漸次離間する。収容部50が遮蔽部材40の連結端部45から離間しても、弾性板部材42が収容部50から引き出されることで、遮蔽部材40により前記開口K1を遮蔽した状態が維持される。
【0059】
天板構造体10は、回動金具41が固定金具23に当接して回動を規制された後もさらに回動する。このとき、弾性板部材42の長手方向の先端側は、カバー部材51により什器奥行方向奥側に押されるので、弾性板部材42の長手方向の先端側が基端側に対して什器奥行方向奥側に変位するように弾性変形する。弾性板部材42は、長さが確保されていることから弾性変形が容易であり、天板構造体10が第二状態Bに至る直前の回動がスムーズである。また、弾性板部材42を長尺に設けることで、遮蔽部材40および収容部50の局所的な負荷が抑えられ、これらの破損も抑止される。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の回動部位付き什器は、広幅の表面11aを形成する天板11を有する天板構造体10と、前記天板構造体10を支持する支持構造体20と、を備え、前記支持構造体20と前記天板構造体10との間には、前記天板構造体10を、前記表面11aに沿う方向を向く枢軸2回りに回動可能とする回動機構15が構成され、前記回動機構15には、前記天板構造体10の前記枢軸2回りの回動に伴い縮小拡大する開口K1が形成されるとともに、前記開口K1を遮蔽する遮蔽部材40を備え、前記遮蔽部材40は、前記枢軸2の軸方向と交差する長手方向に延び、前記遮蔽部材40の長手方向の一端側(基端側)は、前記支持構造体20に連結され、前記天板構造体10には、前記遮蔽部材40の長手方向の他端側(先端側)を挿脱可能に支持する収容部50が設けられ、前記天板構造体10は、前記表面11aが第一の方向(上方)を向く第一状態Aと、前記表面11aが前記第一の方向と交差する第二の方向(什器奥行方向奥側)を向いて起立する第二状態Bと、の間で回動可能とされ、前記遮蔽部材40は、前記天板構造体10が前記第一状態Aと前記第二状態Bとの間で回動する間、前記収容部50に対する挿入代を確保し、前記遮蔽部材40は、前記天板構造体10の回動に伴い弾性変形し、前記収容部50に対する前記遮蔽部材40の挿脱を可能とする変形許容部(弾性板部材42)を備えている。
【0061】
この構成によれば、天板構造体10の枢軸2回りの回動に伴い回動機構15の開口K1が縮小拡大しても、この開口K1が遮蔽部材40で遮蔽されるので、開口K1に物品や身体を挟み込むことが防止される。遮蔽部材40は、天板構造体10が第一状態Aと第二状態Bとの間で回動する間、常に収容部50に対する挿入代(オーバーラップ代)を確保するので、回動機構15の開口K1が常に遮蔽部材40で遮蔽されるとともに、遮蔽部材40が収容部50から脱落したり収容部50から露出した端部から取り外されたりすることが防止される。
そして、遮蔽部材40は、天板構造体10の回動に伴い弾性変形し、収容部50に対する遮蔽部材40の挿脱を可能とするので、天板構造体10の操作が乱雑になったり、部材間の寸法精度に誤差が生じている場合にも、遮蔽部材40のスムーズな作動が阻害され難い。また、収容部50および遮蔽部材40部材がいずれも硬質な場合に比べて、遮蔽部材40の破損が抑えられる。また、収納部の向きや大きさによっては遮蔽部材40の弾性変形が不要になるが、遮蔽部材40および収容部50の形状や大きさといったデザインが制限されやすい。一方、遮蔽部材40が弾性変形して遮蔽部材40の挿脱を可能とすることで、遮蔽部材40および収容部50のデザインが制限され難くなる。
このように、本実施形態によれば、支持構造体20および天板構造体10の間の開口K1を遮蔽する遮蔽部材40のスムーズな作動を確保し、遮蔽部材40の破損を抑えるとともに遮蔽の確実性を高め、かつデザイン自由度の高い回動部位付き什器(天板付什器)を提供することができる。
【0062】
また、本実施形態の回動部位付き什器において、前記変形許容部は、前記遮蔽部材40における長手方向の一端側から他端側に渡る範囲に設けられている。
この構成によれば、遮蔽部材40が一端側から他端側に渡る広範囲で弾性変形するので、遮蔽部材40が局部的に弾性変形する構成に比べて、遮蔽部材40の全体的な弾性変形によって、遮蔽部材40のよりスムーズな作動が確保されるとともに、遮蔽部材40の局所的な負荷を抑えて耐久性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態の回動部位付き什器において、前記収容部50は、前記天板構造体10に支持され、前記天板構造体10が前記第一状態Aにある場合において、第一広幅面51cを前記第一の方向に向けるカバー部材51を備え、前記遮蔽部材40は、前記支持構造体20に支持され、前記天板構造体10が前記第一状態Aにある場合において、第二広幅面42cを前記第一の方向に向けるとともに、前記第二広幅面42cの少なくとも一部を前記カバー部材51の前記第一広幅面51cに重ねるように配置する、前記変形許容部としての弾性板部材42を備えている。
この構成によれば、天板構造体10が前記第一状態Aにある場合において、遮蔽部材40の弾性板部材42が、収容部50のカバー部材51における天板構造体10の表面11aと略平行な第一広幅面51cに沿うように配置されるので、嵩張らずコンパクトに遮蔽部材40を収容部50に収容し、かつ挿脱させることができる。また、弾性板部材42は、収容部50に収容される側の先端部42bが外部に露呈しにくく、この端部への外乱の引っ掛かりにより弾性板部材42が収容部50から取り外されてしまうことを抑止することができる。
【0064】
また、本実施形態の回動部位付き什器において、前記カバー部材51は、前記弾性板部材42における前記収容部50に収容される側の先端部42bに対向する奥壁51bを備え、前記弾性板部材42は、前記天板構造体10が前記第一状態Aにある場合において、前記収容部50への挿入長さが最大となり、かつ前記奥壁51bに前記先端部42bを突き当てて弾性変形する。
この構成によれば、弾性板部材42の収容部50への挿入長さが最大となるとき、弾性板部材42の先端部42bがカバー部材51の奥壁51bに突き当たって弾性変形するので、弾性板部材42が長尺に設けられても収容部50の奥行方向の大型化を回避し、弾性板部材42の弾接によって弾性板部材42を収容部50内に収容可能となる。このため、弾性板部材42の長さを十分に確保して開口K1を確実に遮蔽可能としながら、遮蔽部材40の破損を抑え、かつ遮蔽部材40および収容部50のデザイン自由度を高めることができる。
【0065】
また、本実施形態の回動部位付き什器において、前記遮蔽部材40を前記長手方向と交差する幅方向から遮蔽する遮蔽壁13b1を備えている。
この構成によれば、遮蔽部材40を側方から遮蔽する遮蔽壁13b1を備えるので、遮蔽部材40の幅方向の端部が露呈しにくく、この端部への外乱の引っ掛かりにより遮蔽部材40が収容部50から取り外されてしまうことを抑止することができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、天板11の平面視形状は正方形に限らず、長方形や円形(楕円含む)等であってもよい。天板11(天板構造体10)は、平面視の中央部を支持構造体20に支持される構成に限らず、奥行方向および左右方向で偏った部位を支持される構成でもよく、かつ複数個所を支持される構成でもよい。支持構造体20は、天板構造体10の高さを調節可能な構成でもよい。天板構造体10は、第二状態Bで天板11を垂直方向に対して傾斜させる構成でもよい。
【0067】
遮蔽部材40の長手方向の一端側が、支持構造体20ではなく天板構造体10に連結され、天板構造体10ではなく支持構造体20に、遮蔽部材40の長手方向の他端側を挿脱可能に支持する収容部50が設けられる構成でもよい。
収容部50は、什器本体(天板構造体10または支持構造体20)に別体のカバー部材51を取り付けて構成しているが、例えば什器本体の内側に形成された空洞部分を利用する等により、什器本体に一体に設けた構成であってもよい。
【0068】
遮蔽部材40ではなく収容部50の少なくとも一部が、天板構造体10の回動に伴い弾性変形し、収容部50に対する遮蔽部材40の挿脱を可能とする構成であってもよい。また、遮蔽部材40および収容部50の両方が、天板構造体10の回動に伴い弾性変形し、収容部50に対する遮蔽部材40の挿脱を可能とする構成であってもよい。
本実施形態で「金具」と称する部材は、特別な弾性変形を求めない部材の意であり、板金性に限らず、かつ金属製に限るものでもない。また、弾性板部材42は、天板構造体10の回動に伴い弾性変形して収容部50に対する挿脱を可能とする部材であれば、ポリプロピレン以外の樹脂板でもよく、かつ樹脂製に限るものでもない。
【0069】
上記実施形態では、回動部位付き什器として、天板付什器であるテーブルを例示したが、例えばデスク、作業台およびカウンター等であってもよい。また、天板付什器に限らず、座が上下回動可能な椅子等、回動部位付き什器の全般に適用してもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 テーブル(回動部位付き什器、天板付什器)
2 枢軸
10 天板構造体
11 天板
11a 表面
11b 裏面
13b1 遮蔽壁
15 回動機構
K1 開口
20 支持構造体
40 遮蔽部材
42 弾性板部材(変形許容部)
42b 先端部
42c 第二広幅面
50 収容部
51 カバー部材
51b 奥壁
51c 第一広幅面
A 第一状態
B 第二状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8