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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】セラミック電子部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
H01G4/30 201K
H01G4/30 201F
H01G4/30 311E
H01G4/30 512
H01G4/30 513
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2018051355
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019165083
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】森 風美
(72)【発明者】
【氏名】村井 稚明
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-153767(JP,A)
【文献】特開2017-216268(JP,A)
【文献】特開2004-146495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部を内蔵した略直方体状のセラミック部品本体の一端部に第1外部電極を有し他端部に第2外部電極を有するセラミック電子部品であって、
前記セラミック部品本体の相対する2つの面の対向方向を第1方向、他の相対する2つの面の対向方向を第2方向、残りの相対する2つの面の対向方向を第3方向としたとき、
前記第1外部電極は、前記セラミック部品本体の第3方向の一面に設けられた主体部と、前記セラミック部品本体の第1方向の一面に設けられた副体部とを連続して有し、前記第2外部電極は、前記セラミック部品本体の第3方向の一面に設けられた主体部と、前記セラミック部品本体の第1方向の他面に設けられた副体部とを連続して有しており、
前記第1外部電極の前記主体部と、前記第2外部電極の前記主体部は、それぞれ前記セラミック部品本体の第2方向の一端部から他端部までの全域を覆うように形成され、
前記第1外部電極の前記主体部の体積は、当該第1外部電極の前記副体部の体積よりも大きく、前記第2外部電極の前記主体部の体積は、当該第2外部電極の前記副体部の体積よりも大きく、
前記セラミック電子部品は、当該セラミック電子部品を前記第1外部電極の前記主体部と前記第2外部電極の前記主体部が仮想平面と向き合うように当該仮想平面に置いたときに、前記第1外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間に第1の最大隙間が生じ、かつ、前記第2外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間に第2の最大隙間が生じる反りを備えている、
セラミック電子部品。
【請求項2】
前記第1外部電極の前記主体部と前記第2外部電極の前記主体部は、前記反りを前記セラミック電子部品に発生させるための応力を、前記セラミック部品本体に付加した状態にある、
請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項3】
前記第1外部電極の前記副体部と前記第2外部電極の前記副体部は、前記第1外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間の第1の最大隙間の大小、かつ、前記第2外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間の第2の最大隙間の大小を調節するための応力を、前記セラミック部品本体に付加した状態にある、
請求項1または2に記載のセラミック電子部品。
【請求項4】
前記第1外部電極の前記副体部の前記主体部と連続している側の端部と反対側の端部は、前記セラミック部品本体の第1方向の一面の前記副体部と前記主体部とが連続している端部と反対側の端部以下の位置まで延びており、
前記第2外部電極の前記副体部の前記主体部と連続している側の端部と反対側の端部は、前記セラミック部品本体の第1方向の他面の前記副体部と前記主体部とが連続している端部と反対側の端部以下の位置まで延びている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のセラミック電子部品。
【請求項5】
前記第1外部電極の前記主体部を第3方向の一面側から見たときの面積は、当該第1外部電極の前記副体部を第1方向の一面側から見たときの面積よりも大きく、前記第2外部電極の前記主体部を第3方向の一面側から見たときの面積は、当該第2外部電極の前記副体部を第1方向の他面側から見たときの面積よりも大きい、
請求項4に記載のセラミック電子部品。
【請求項6】
前記第1外部電極の前記主体部の第3方向に沿う厚さは、当該第1外部電極の前記副体部の第1方向に沿う厚さよりも大きく、前記第2外部電極の前記主体部の第3方向に沿う厚さは、当該第2外部電極の前記副体部の第1方向に沿う厚さよりも大きい、
請求項4または5に記載のセラミック電子部品。
【請求項7】
前記第1外部電極と前記第2外部電極は、1層、2層または3層の金属層から構成されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載のセラミック電子部品。
【請求項8】
前記1層、2層または3層の場合、前記金属層は全てスパッタ金属層である、
請求項7に記載のセラミック電子部品。
【請求項9】
前記2層の場合、内側の前記金属層はスパッタ金属層であり、外側の金属層はスパッタ金属層または電解メッキ金属層である、
請求項7に記載のセラミック電子部品。
【請求項10】
前記3層の場合、最も内側の金属層はスパッタ金属層であり、中間の金属層はスパッタ金属層または電解メッキ金属層であり、最も外側の金属層は電解メッキ金属層である、
請求項7に記載のセラミック電子部品。
【請求項11】
第1方向に沿う寸法を第1方向寸法、第2方向に沿う寸法を第2方向寸法、第3方向に沿う寸法を第3方向寸法としたとき、
前記セラミック部品本体の第1方向寸法と第2方向寸法と第3方向寸法は第2方向寸法>第1方向寸法>第3方向寸法の条件を満足している、
請求項1~10のいずれか1項に記載のセラミック電子部品。
【請求項12】
前記セラミック部品本体の第3方向寸法は100μm以下である、
請求項11に記載のセラミック電子部品。
【請求項13】
前記セラミック部品本体の第3方向寸法は50μm以下である、
請求項11に記載のセラミック電子部品。
【請求項14】
前記セラミック電子部品は積層セラミックコンデンサである、
請求項1~13のいずれか1項に記載のセラミック電子部品。
【請求項15】
機能部を内蔵した略直方体状のセラミック部品本体の一端部に第1外部電極を有し他端部に第2外部電極を有するセラミック電子部品の製造方法であって、
前記セラミック部品本体の相対する2つの面の対向方向を第1方向、他の相対する2つの面の対向方向を第2方向、残りの相対する2つの面の対向方向を第3方向としたとき、
前記セラミック部品本体を用意するステップと、
前記セラミック部品本体の第3方向の一面に設けられた主体部と、前記セラミック部品本体の第1方向の一面に設けられた副体部とを連続して有する前記第1外部電極をセラミック部品本体に形成するステップと、
前記セラミック部品本体の第3方向の一面に設けられた主体部と、前記セラミック部品本体の第1方向の他面に設けられた副体部とを連続して有する前記第2外部電極をセラミック部品本体に形成するステップとを備えており、
前記各外部電極を形成するステップは、
前記セラミック部品本体の第2方向の一端部から他端部までの全域を覆うように前記第1外部電極の前記主体部を形成し、前記第1外部電極の前記主体部の体積が、前記第1外部電極の前記副体部の体積よりも大きくなるように前記副体部を設けるとともに、
前記セラミック部品本体の第2方向の一端部から他端部までの全域を覆うように前記第2外部電極の前記主体部を形成し、前記第2外部電極の前記主体部の体積が、前記第2外部電極の前記副体部の体積よりも大きくなるように前記副体部を設ける工程を含み、
前記セラミック電子部品を前記第1外部電極の前記主体部と前記第2外部電極の前記主体部が仮想平面と向き合うように当該仮想平面に置いたときに、前記第1外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間に第1の最大隙間が生じ、かつ、前記第2外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間に第2の最大隙間が生じる反りを、前記セラミック電子部品に備えさせるステップである、
セラミック電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記第1外部電極の前記主体部と前記第2外部電極の前記主体部は、前記反りを前記セラミック電子部品に発生させるための応力を、前記セラミック部品本体に付加した状態にある、
請求項15に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記第1外部電極の前記副体部と前記第2外部電極の前記副体部は、前記第1外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間の第1の最大隙間の大小、かつ、前記第2外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間の第2の最大隙間の大小を調節するための応力を、前記セラミック部品本体に付加した状態にある、
請求項15または16に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記第1外部電極の前記副体部の前記主体部と連続している側の端部と反対側の端部は、前記セラミック部品本体の第1方向の一面の前記副体部と前記主体部とが連続している端部と反対側の端部以下の位置まで延びており、
前記第2外部電極の前記副体部の前記主体部と連続している側の端部と反対側の端部は、前記セラミック部品本体の第1方向の他面の前記副体部と前記主体部とが連続している端部と反対側の端部以下の位置まで延びている、
請求項15~17のいずれか1項に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記第1外部電極の前記主体部を第3方向の一面側から見たときの面積は、当該第1外部電極の前記副体部を第1方向の一面側から見たときの面積よりも大きく、前記第2外部電極の前記主体部を第3方向の一面側から見たときの面積は、当該第2外部電極の前記副体部を第1方向の他面側から見たときの面積よりも大きい、
請求項18に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記第1外部電極の前記主体部の第3方向に沿う厚さは、当該第1外部電極の前記副体部の第1方向に沿う厚さよりも大きく、前記第2外部電極の前記主体部の第3方向に沿う厚さは、当該第2外部電極の前記副体部の第1方向に沿う厚さよりも大きい、
請求項18または19に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項21】
前記第1外部電極と前記第2外部電極は、1層、2層または3層の金属層から構成されている、
請求項15~20のいずれか1項に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項22】
前記1層、2層または3層の場合、前記金属層は全てスパッタ金属層である、
請求項21に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項23】
前記2層の場合、内側の前記金属層はスパッタ金属層であり、外側の金属層はスパッタ金属層または電解メッキ金属層である、
請求項21に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項24】
前記3層の場合、最も内側の金属層はスパッタ金属層であり、中間の金属層はスパッタ金属層または電解メッキ金属層であり、最も外側の金属層は電解メッキ金属層である、
請求項21に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項25】
第1方向に沿う寸法を第1方向寸法、第2方向に沿う寸法を第2方向寸法、第3方向に沿う寸法を第3方向寸法としたとき、
前記セラミック部品本体の第1方向寸法と第2方向寸法と第3方向寸法は第2方向寸法>第1方向寸法>第3方向寸法の条件を満足している、
請求項15~24のいずれか1項に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項26】
前記セラミック部品本体の第3方向寸法は100μm以下である、
請求項25に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項27】
前記セラミック部品本体の第3方向寸法は50μm以下である、
請求項25に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項28】
前記セラミック電子部品は積層セラミックコンデンサである、
請求項15~27のいずれか1項に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品と、当該セラミック電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品は、一般に、容量部等の機能部を内蔵した略直方体状のセラミック部品本体の一端部に第1外部電極を有し他端部に第2外部電極を有している。ちなみに、セラミック部品本体の主成分(機能部を形成する導体層を除く)はセラミックスであり、各外部電極の主成分は金属である。
【0003】
ところで、スマートフォンやノートブック型パソコン等の電子機器の薄型化に伴い、前掲のセラミック電子部品には低背実装(低実装高さ)が要求されており、当該要求を満足するにはセラミック電子部品の薄型化は避けることができない。
【0004】
セラミック電子部品を薄型化するには、セラミック部品本体の高さ(厚さ)を小さくすることと、各外部電極の断面形を略L字状とすること(後記特許文献1の図5を参照)が望ましいが、セラミック部品本体の高さ(厚さ)を小さくするとセラミック電子部品を回路基板に実装するときに以下のような懸念を生じる。
【0005】
回路基板へのセラミック電子部品の実装には、一般に、リフロー半田付けが採用されている。ちなみに、このリフロー半田付けは、回路基板に設けられた各外部電極対応の導体パッドそれぞれに半田ペーストを塗布し、当該半田ペーストに各外部電極が接触するようにセラミック電子部品を搭載した後、セラミック電子部品が搭載された回路基板をリフロー炉に投入し、予熱ステップ、本加熱ステップ、冷却ステップを経て各外部電極を各導体パッドに半田付けする方法であり、本加熱ステップの温度は半田ペーストの溶融温度に対応し、予熱ステップの温度は本加熱ステップの温度よりも低い。
【0006】
各外部電極の主成分は金属であるため、当該各外部電極の熱膨張係数は、主成分がセラミックスであるセラミック部品本体の熱膨張係数よりも大きい。よって、セラミック電子部品を薄型化するためにセラミック部品本体の高さ(厚さ)を小さくすると、とりわけ100μm以下にすると、リフローハンダ付けの予熱ステップで、各外部電極の熱膨張がセラミック部品本体の熱膨張よりも大きくなってセラミック電子部品に反り、具体的にはセラミック電子部品の回路基板対向側が各外部電極の幅方向において凸となり反対側が凹となる反りが発生する。
【0007】
すなわち、リフローハンダ付けの予熱ステップでセラミック電子部品に前記のような反りが発生してしまうために、各外部電極と半田ペーストとの接触形態が搭載時の接触形態から変化し、この接触形態の変化によってセラミック電子部品の姿勢や向きが不安定になって位置ずれを生じ易くなる。また、この不安定な状態で本加熱ステップが実施されるために、溶融した半田の流動に偏りが生じて前記位置ずれが増長されるとともに、接続不良に至る懸念もある。
【0008】
つまり、セラミック電子部品の薄型化に関しては、セラミック部品本体の高さ(厚さ)を小さくした場合、とりわけ100μm以下にした場合でもリフロー半田付け時に位置ずれを生じないような工夫をセラミック電子部品に施しておくことが、実用上で極めて肝要となる。
【0009】
なお、後記特許文献2の図2および図3には、セラミック部品本体にダミー導体またはダミーパターンを設けることによって、セラミック電子部品に、回路基板対向側が凸となり反対側が凹となるような反りを予め形成したものが開示されているが、当該セラミック電子部品では、リフロー半田付けの予熱ステップで当該反りが増してしまうために、前記位置ずれが増長されてしまう。
【0010】
また、後記特許文献3の図3には、セラミック部品本体それ自体に回路基板対向側が凹となり反対側が凸となるような反りを予め形成し、これに1対の外部電極を設けたものが開示されているが、前記位置ずれを解消するための手段を有するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2015-228481号公報
【文献】特開2002-151346号公報
【文献】特開平08-130160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、セラミック部品本体の高さ(厚さ)を小さくした場合でもリフロー半田付け時に位置ずれを生じることを極力防止できるセラミック電子部品と、当該セラミック電子部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明に係るセラミック電子部品は、機能部を内蔵した略直方体状のセラミック部品本体の一端部に第1外部電極を有し他端部に第2外部電極を有するセラミック電子部品であって、前記セラミック部品本体の相対する2つの面の対向方向を第1方向、他の相対する2つの面の対向方向を第2方向、残りの相対する2つの面の対向方向を第3方向としたとき、前記第1外部電極は、前記セラミック部品本体の第3方向の一面に設けられた主体部と、前記セラミック部品本体の第1方向の一面に設けられた副体部とを連続して有し、前記第2外部電極は、前記セラミック部品本体の第3方向の一面に設けられた主体部と、前記セラミック部品本体の第1方向の他面に設けられた副体部とを連続して有しており、前記セラミック電子部品は、当該セラミック電子部品を前記第1外部電極の前記主体部と前記第2外部電極の前記主体部が仮想平面と向き合うように当該仮想平面に置いたときに、前記第1外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間に第1の最大隙間が生じ、かつ、前記第2外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間に第2の最大隙間が生じる反りを備えている。
【0014】
また、本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、機能部を内蔵した略直方体状のセラミック部品本体の一端部に第1外部電極を有し他端部に第2外部電極を有するセラミック電子部品の製造方法であって、前記セラミック部品本体の相対する2つの面の対向方向を第1方向、他の相対する2つの面の対向方向を第2方向、残りの相対する2つの面の対向方向を第3方向としたとき、前記セラミック部品本体を用意するステップと、前記セラミック部品本体の第3方向の一面に設けられた主体部と、前記セラミック部品本体の第1方向の一面に設けられた副体部とを連続して有する前記第1外部電極をセラミック部品本体に形成するステップと、前記セラミック部品本体の第3方向の一面に設けられた主体部と、前記セラミック部品本体の第1方向の他面に設けられた副体部とを連続して有する前記第2外部電極をセラミック部品本体に形成するステップとを備えており、前記各外部電極を形成するステップは、前記セラミック電子部品を前記第1外部電極の前記主体部と前記第2外部電極の前記主体部が仮想平面と向き合うように当該仮想平面に置いたときに、前記第1外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間に第1の最大隙間が生じ、かつ、前記第2外部電極の前記主体部の第2方向の中央と前記仮想平面との間に第2の最大隙間が生じる反りを、前記セラミック電子部品に備えさせるステップである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るセラミック電子部品によれば、セラミック部品本体の高さ(厚さ)を小さくした場合でもリフロー半田付け時に位置ずれを生じることを極力防止できる。また、本発明に係るセラミック電子部品の製造方法によれば、前記のセラミック電子部品を的確に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1(A)は本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサの平面図、図1(B)は同積層セラミックコンデンサの底面図、図1(C)は同積層セラミックコンデンサの第2方向の側面図、図1(D)および図1(E)は同積層セラミックコンデンサの第1方向の側面図である。
図2図2図1(A)のII-II線拡大断面図である。
図3図3(A)および図3(B)は図2の部分拡大図である。
図4図4(A)および図4(B)は図1に示した積層セラミックコンデンサを製造する方法の説明図である。
図5図5(A)および図5(B)は図1に示した積層セラミックコンデンサで得られる作用効果の説明図である。
図6図6(A)~図6(C)は図1(B)に示した各外部電極の主体部の変形例の説明図である。
図7図7(A)および図7(B)は図3(A)および図3(B)に示した各外部電極の副体部の変形例の説明図である。
図8図8(A)および図8(B)は本発明の第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサを示す、図3(A)および図3(B)に対応する図である。
図9図9(A)および図9(B)は本発明の第3実施形態に係る積層セラミックコンデンサを示す、図3(A)および図3(B)に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、便宜上、図1に示したセラミック部品本体11の相対する2つの面の対向方向(図1(A)および図1(B)の左右方向に相当)を「第1方向d1」、他の相対する2つの面の対向方向(図1(A)および図1(B)の上下方向に相当)を「第2方向d2」、残りの相対する2つの面の対向方向(図1(B)の上下方向に相当)を「第3方向d3」と表記する。
【0018】
また、各構成要素の第1方向d1に沿う寸法を「第1方向寸法D1[構成要素の符号]」、第2方向d2に沿う寸法を「第2方向寸法D2[構成要素の符号]」、第3方向d3に沿う寸法を「第3方向寸法D3[構成要素の符号]」と表記する。
【0019】
ただし、第1内部電極層11a、第2内部電極層11b、誘電体層11c、第1誘電体マージン部11d、第2誘電体マージン部11e、各外部電極12および13等の説明にあっては、理解促進を図るために「厚さ」の用語を併用する。また、各寸法として例示した数値は設計上の基準寸法を意味するものであって、製造上の寸法公差を含むものではない。
【0020】
《第1実施形態》
まず、図1図3を用いて、本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10-1の構成について説明する。
【0021】
積層セラミックコンデンサ10-1は、機能部としての容量部(符号省略)を内蔵した略直方体状のセラミック部品本体11と、セラミック部品本体11の第1方向d1の一端部(図1(A)~図1(C)の左端部)に設けられた第1外部電極12と、セラミック部品本体11の第1方向d1の他端部(図1(A)~図1(C)の右端部)に設けられた第2外部電極13とを有している。
【0022】
セラミック部品本体11は、第1方向寸法D1[11]と第2方向寸法D2[11]と第3方向寸法D3[11]が、第2方向寸法D2[11]>第1方向寸法D1[11]>第3方向寸法D3[11]の条件を満足している。
【0023】
ちなみに、セラミック部品本体11の主成分(容量部を形成する各内部電極層11aおよび11bを除く)は、好ましくはチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等から選択された誘電体セラミックスである。
【0024】
また、セラミック部品本体11の第3方向寸法D3[11]には、積層セラミックコンデンサ10-1の薄型化に対応した100μm以下、または、50μm以下を例示することができ、最小値として30μmを例示することができる。さらに、セラミック部品本体11の第1方向寸法D1[11]のと第2方向寸法D2[11]には特段の制限はないが、積層セラミックコンデンサ10-1の薄型化を考慮すると、200~1600μmの範囲を例示することができる。
【0025】
さらに、図1図3には、便宜上、セラミック部品本体11の各角部および各稜部に丸みを付けていないものを描いているが、各角部および各稜部に微小の丸みが付いていてもよい。
【0026】
参考までに、図1図3の基になっている試作品におけるセラミック部品本体11の主成分(容量部を形成する各内部電極層11aおよび11bを除く)はチタン酸バリウムであり、セラミック部品本体11の第1方向寸法D1[11]は600μm、第2方向寸法D2[11]は1000μm、第3方向寸法D3[11]は50μmである。
【0027】
機能部としての容量部(符号省略)は、略矩形状を成す第1内部電極層11aと、当該第1内部電極層11aと略同じ大きさの略矩形状を成す第2内部電極層11bを、誘電体層11cを介して交互に積層して構成されている。この容量部は、第3方向d3の一面(図3(A)および図3(B)の下面)を第1誘電体マージン部11dによって覆われ、第3方向d3の他面(図3(A)および図3(B)の上面)を第2誘電体マージン部11eによって覆われている。また、図示を省略したが、容量部は、第2方向d2の両面それぞれを誘電体マージン部で覆われている。
【0028】
ちなみに、各内部電極層11aおよび11bの主成分は、好ましくはニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等から選択された金属である。
【0029】
また、各内部電極層11aおよび11bの厚さと誘電体層11cの厚さには特段の制限はないが、積層セラミックコンデンサ10-1の薄型化を考慮すると、0.3~4μmの範囲を例示することができる。さらに、各誘電体マージン部11dおよび11e(第2方向d2の両面それぞれを誘電体マージン部も同様)の厚さには特段の制限はないが、積層セラミックコンデンサ10-1の薄型化を考慮すると、3~30μmの範囲を例示することができる。
【0030】
さらに、図2および図3には、便宜上、計6層の内部電極層11aおよび11bを描いているが、各内部電極層11aおよび11bの総層数、ならびに、各内部電極層11aおよび11bの第1方向寸法D1[11a]および第2方向寸法D2[11a]は、先に説明した厚さを含め、目標容量値に応じて任意に変更することができる。
【0031】
参考までに、図1図3の基になっている試作品における各内部電極層11aおよび11bの主成分はニッケルであり、各内部電極層11aおよび11bの厚さと誘電体層11cの厚さは1μmであり、各内部電極層11aおよび11bの第2方向寸法D2[11a&11b]は950μm、第1方向寸法D1[11]は560μmである。
【0032】
第1外部電極12は、セラミック部品本体11の第3方向d3の一面(図2の下面)に設けられた主体部12aと、セラミック部品本体11の第1方向d1の一面(図2の左面)に設けられた副体部12bとを連続して有しており、1層の金属層、具体的にはスパッタ金属層(スパッタリングによって形成された金属層)から構成されている。この第1外部電極12の副体部12bには各第1内部電極層11aの端縁が接続されている。
【0033】
第2外部電極13は、セラミック部品本体11の第3方向d3の一面(図2の下面)に設けられた主体部13aと、セラミック部品本体11の第1方向d1の他面(図2の右面)に設けられた副体部13bとを連続して有しており、1層の金属層、具体的にはスパッタ金属層(スパッタリングによって形成された金属層)から構成されている。この第2外部電極13の副体部13bには各第2内部電極層11bの端縁が接続されている。
【0034】
各外部電極12および13の主体部12aおよび13aは、図1(B)に示したように略同じ大きさの略台形状を成しており、各主体部12aおよび13aは第1方向d2に離れている(間隔INを参照)。また、各外部電極12および13の副体部12bおよび13bは、図1(D)および図1(E)に示したように略同じ大きさの略矩形状を成している。
【0035】
図1(D)および図1(E)に示したように、セラミック電子部品10-1は、当該セラミック電子部品10-1を各外部電極12および13の主体部12aおよび13aが仮想平面21と向き合うように置いたときに、各主体部12aおよび13aの第2方向d2の中央と仮想平面21との間に第1および第2の最大隙間MGが生じる反りを備えている。
【0036】
各外部電極12および13の主体部12aおよび13aは、主として、前記反りをセラミック電子部品10-1に発生させるための応力を、セラミック部品本体11に付加した状態にある。一方、各外部電極12および13の副体部12bおよび13bは、後述する各々の体積にもよるが、主として、各主体部12aおよび13aの第2方向d2の中央と仮想平面21との間の第1および第2の最大隙間MGの大小を調節するための応力を、セラミック部品本体11に付加した状態にある。ちなみに、各外部電極12および13の主体部12aおよび13aと副体部12bおよび13bのそれぞれがセラミック部品本体11に応力を付加している状態は、例えば、X線回折装置による応力解析等によって確認することが可能である。
【0037】
前掲の「第2方向d2の中央」は第2方向d2の中心またはその近傍を意味する。すなわち、前記反りはセラミック電子部品10-1の第3方向の一面側(図1(D)および図1(E)の下面側)において凹曲面またはこれに近い形状と成り、第3方向の他面側(図1(D)および図1(E)の上面側)において凸曲面またはこれに近い形状と成るものの、セラミック電子部品10-1の第3方向の一面側(図1(D)および図1(E)の下面側)の隙間は必ずしも第2方向d2の中心で最大となる訳ではなく、第2方向d2の中心から僅かに離れた位置で最大となる場合もある。
【0038】
さらに、各外部電極12および13の主体部12aおよび13aの体積は、前記反りをセラミック電子部品10-1に発生させるための応力をセラミック部品本体11に付加した状態とするために、副体部12bおよび13bの体積よりも大きい。
【0039】
前掲の体積の大小は、{方法A1}主体部12aおよび13aを第3方向d3の一面側から見たときの面積(図1(B)を参照)を、副体部12bおよび13bを第1方向d1の一面側および他面側から見たときの面積(図1(D)と図1(E)を参照)よりも大きくする方法、{方法A2}主体部12aおよび13aの第3方向d3に沿う厚さT12aおよびT13a(図3(A)および図3(B)を参照)を、副体部12bおよび13bの第1方向d1に沿う厚さT12bおよびT13b(図3(A)および図3(B)を参照)よりも大きくする方法、{方法A3}方法A1と方法A2とを組み合わせた方法、等によって実現することが可能である。
【0040】
ちなみに、各外部電極12および13の主成分は、好ましくは銅、ニッケル、銀、金、プラチナ、パラジウム、スズ、クローム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン等から選択された金属である。
【0041】
また、各主体部12aおよび13aの第3方向d3に沿う厚さT12aおよびT13a(図3を参照)と、副体部12bおよび13bの第1方向d1に沿う厚さT12bおよびT13b(図3を参照)には特段の制限はないが、積層セラミックコンデンサ10-1の薄型化を考慮すると、2~18μmの範囲を例示することができる。
【0042】
さらに、各主体部12aおよび13aの第1方向寸法D1[12a&13a]には特段の制限はないが、半田付け時の短絡を考慮すると両者の第1方向d1の間隔INに100μm以上を確保することが好ましい。さらに、各主体部12aおよび13aの第2方向寸法D2[12a&13a]には特段の制限はないが、先に説明した反りの発生を考慮すると、セラミック部品本体11の第2方向寸法D2[11]と同じ数値か、あるいは、僅かに小さい数値が好ましく、各副体部12bおよび13bの第2方向寸法D2[12b&13b]についても同様である。
【0043】
さらに、各副体部12bおよび13bの第3方向寸法D3[12b&13b]は、各第1内部電極層11aとの接続と各第2内部電極層11bとの接続が行える範囲内であれば、任意に設定することができる。さらに、各主体部12aおよび13aの第2方向d2の中央と仮想平面21との間の第1および第2の最大隙間MGは、後に説明する半田付け時の挙動を考慮すると、セラミック部品本体11の第2方向寸法D2[11]が1000μm以下の場合には0.1~10μmの範囲を例示することができ、第2方向寸法D2[11]が1000μm超過の場合には0.1~20μmの範囲を例示することができる。ちなみに、第1および第2の最大隙間MGを含む反り量およびその形状の測定には、例えば、レーザー顕微鏡を用い、各主体部12aおよび13aを第2方向d2に沿ってレーザーを走査して得た反り量プロファイルデータに基づいて、または、この反り量プロファイルデータに外挿線を入れたデータに基づいて計測する方法等を採用することができる。
【0044】
参考までに、図1図3の基になっている試作品における各外部電極12および13の主成分は銅であり、各主体部12aおよび13aの第3方向d3に沿う厚さT12aおよびT13aは7μm、各副体部12bおよび13bの第1方向d1に沿う厚さT12bおよびT13bは2μmである。また、各外部電極12および13の主体部12aおよび13aの第1方向寸法D1[12a&13a]は210μm、第2方向寸法D2[12a&13a]は1000μm、間隔INは156μmであり、副体部12bおよび13bの第3方向寸法D3[12b&13b]は40μm、第2方向寸法D2[12a&13a]は1000μmである。さらに、各主体部12aおよび13aの第2方向d2の中央と仮想平面21との間の第1および第2の最大隙間MGは3μmである。
【0045】
すなわち、この試作品にあっては、先に説明した主体部12aおよび13aの体積と副体部12bおよび13bの体積との大小関係が、主体部12aおよび13aの面積>副体部12bおよび13bの面積と、主体部12aおよび13aの厚さ>副体部12bおよび13bの厚さとを組み合わせた方法によって実現されている。
【0046】
次に、図4を用いて、前記積層セラミックコンデンサ10-1の製造方法について説明する。
【0047】
製造に際しては、最初に、セラミック部品本体11を用意する。このセラミック部品本体11は、セラミックグリーンシートと内部電極用導体パターンが形成されたセラミックグリーンシートとを適宜積層し熱圧着して未焼成積層シートを作製し、この後に未焼成積層シートを切断して未焼成セラミックチップを作製し、この後に未焼成セラミックチップを焼成してセラミックチップを作製し、この後に必要に応じてセラミックチップにバレル研磨を施すことによって用意することができる。
【0048】
そして、図4(A)に示したように、セラミック部品本体11にスパッタリング用のマスクを設け、この後に第3方向d1の一面(図4(A)の下面)に向かってスパッタリングを実施する。セラミック部品本体11の第1方向寸法D1[11]が100μm以下であるため、スパッタリング時には、図4(B)に示したように、セラミック部品本体11の第3方向d1の一面(図4(A)の下面)に主体部12aおよび13aが形成されるともに、スパッタ粒子の回り込みによってセラミック部品本体11の第2方向d1の両面(図4(A)の左右面)に主体部12aおよび13aよりも厚さが小さな副体部12bおよび13bが連続して形成され、これにより各外部電極12および13が形成される。ちなみに、各外部電極12および13(スパッタ金属層)をセラミック部品本体11に形成するときには、必要に応じて、スパッタリングを実施する前にプラズマ洗浄等によってセラミック部品本体11の表面にクリーニング処理を施して、セラミック部品本体11へのスパッタ金属層の密着性を高めるようにしてもよい。
【0049】
積層セラミックコンデンサ10-1に所期の反りを備えさせるには、スパッタリングによってセラミック部品本体11に形成される各外部電極12および13、とりわけ各主体部12aおよび13aにおける金属粒子の緻密度を増した方が好ましい。この緻密度を増すには、{方法B1}チャンバー内の不活性ガスの圧力を低減する方法、例えば、チャンバー内の不活性ガスの圧力を0.05~0.1Paに低減し、電力を300~500Wとする方法、{方法B2}チャンバー内の不活性ガスとして質量が大きな不活性ガスを使用する方法、例えば、Xeガス等の質量が大きな不活性ガスを用い、電力を300~500Wとする方法、{方法B3}方法B1と方法B2とを組み合わせた方法、等によって実現することが可能である。
【0050】
次に、図5を用いて、前記積層セラミックコンデンサ10-1によって得られる作用効果について説明する。
【0051】
積層セラミックコンデンサ10-1をリフロー半田付けによって回路基板31に実装するときには、図5(A)に示したように、回路基板31に設けられた各外部電極12および13対応の導体パッド31aそれぞれに半田ペーストSOLpを塗布し、当該半田ペーストSOLpに各外部電極12および13の主体部12aおよび13aが接触するように積層セラミックコンデンサ10-1を搭載する。
【0052】
積層セラミックコンデンサ10-1は、図1(D)および図1(E)を用いて先に説明したように、各外部電極12および13の主体部12aおよび13aの第2方向d2の中央と仮想平面21との間に第1および第2の最大隙間MGが生じる反りを有しているため、搭載後の積層セラミックコンデンサ10-1は、図5(A)に示したように、少なくとも各主体部12aおよび13aの第2方向d2の両端部分が各導体パッド31aの半田ペーストSOLpに接触する。すなわち、積層セラミックコンデンサ10-1は、主体部12aおよび13aが半田ペーストSOLpに対して4点接触またはこれに近い接触形態で搭載されるため、搭載姿勢や向きが不安定になることもないし、位置ずれを生じることもない。
【0053】
積層セラミックコンデンサ10-1を回路基板31に搭載した後は、当該回路基板31を図示省略のリフロー炉に投入し、予熱ステップ、本加熱ステップ、冷却ステップを経て各外部電極12および13を各導体パッド31aに半田付けする。ちなみに、本加熱ステップの温度は半田ペーストSOLpの溶融温度に対応し、予熱ステップの温度は本加熱ステップの温度よりも低い。
【0054】
主成分が金属である各外部電極12および13の熱膨張係数は、主成分がセラミックスであるセラミック部品本体11の熱膨張係数よりも大きいため、図5(B)に示したように、リフローハンダ付けの予熱ステップでは、各外部電極12および13の主体部12aおよび13aの熱膨張に基づいて、積層セラミックコンデンサ10-1にその反りを矯正する力が働く。すなわち、半田ペーストSOLpに対する主体部12aおよび13aの接触形態(4点接触またはこれに近い接触形態)が、2面接触またはこれに近い接触形態に変化し、当該変化によって積層セラミックコンデンサ10-1の搭載姿勢が安定化する。
【0055】
つまり、リフローハンダ付けの本加熱ステップは積層セラミックコンデンサ10-1の搭載姿勢が安定化した後に実行されるため、当該本加熱ステップで半田ペーストSOLpが溶融しても、溶融した半田SOLの流動に偏りが生じることはなく、当該偏りを原因として積層セラミックコンデンサ10-1に位置ずれを生じることもない。
【0056】
溶融した半田SOLはリフローハンダ付けの冷却ステップで固化するが、当該冷却ステップでは、反り矯正が為された後の積層セラミックコンデンサ10-1に、各外部電極12および13の主体部12aおよび13aの熱収縮に基づいて、積層セラミックコンデンサ10-1に反りを復元させる力が働く。
【0057】
しかしながら、リフローハンダ付けの冷却ステップでは、溶融した半田SOLの固化も始まっているため、積層セラミックコンデンサ10-1の反りは僅かに復元するものの完全に復元しない。すなわち、積層セラミックコンデンサ10-1は、各外部電極12および13の主体部12aおよび13aと各導体パッド31aとが半田SOLを介して各導体パッド31aに接続されるため、積層セラミックコンデンサ10-1に位置ずれを生じることはないし、接続不良を生じることもない。
【0058】
ちなみに、リフローハンダ付けの本加熱ステップでは、溶融した半田SOLの一部が各外部電極12および13の副体部12bおよび13bに濡れ上がるため、当該濡れ上がり部分の固化によっても、リフローハンダ付けの冷却ステップにおける積層セラミックコンデンサ10-1の反りの復元を抑制することができ、これにより前記の位置ずれおよび接続不良の発生を抑止することができる。
【0059】
このように、前記積層セラミックコンデンサ10-1は、セラミック部品本体の高さ(厚さ)を小さくした場合、とりわけ100μm以下にした場合でも、リフロー半田付け時に位置ずれを生じることを確実に防止できため、実用上で極めて有益である。
【0060】
次に、図6図7をそれぞれ用いて、前記積層セラミックコンデンサ10-1の各外部電極12および13の変形例について説明する。
【0061】
図6は各外部電極12および13の主体部12aおよび13aの他の形状を示す。図1(B)には各主体部12aおよび13aとして略台形状のものを示したが、当該各主体部12aおよび13aの形状は、図6(A)に示したような略6角形状としてもよいし、図6(B)に示したような第2方向d2の両端部が丸みを帯びた形状としてもよいし、図6(B)に示したような略矩形状としてもよい。
【0062】
すなわち、各外部電極12および13の主体部12aおよび13aの形状は、前記反りを積層セラミックコンデンサ10-1に発生させるための応力をセラミック部品本体11に付加できる形状であれば特段の制限はない。
【0063】
図7は各外部電極12および13の副体部12bおよび13bの他の形状を示す。図3(A)および図3(B)には各副体部12bおよび13bの上端が最上位の第1内部電極層11aとセラミック部品本体11の第1方向d1の両面の上端との間に在るものを示したが、図7(A)に示したように各副体部12bおよび13bの上端位置をセラミック部品本体11の第1方向d1の両面の上端と一致もしくは略一致する位置まで高くしてもよいし、図7(B)に示したように各副体部12bおよび13bの上端を最上位の第1内部電極層11aと同じ位置まで低くしてもよい。
【0064】
すなわち、各外部電極12および13の副体部12bおよび13bの第3方向寸法D3[12b&13b]は、各第1内部電極層11aの端縁と各第2内部電極層11bの端縁が接続されていれば特段の制限はない。
【0065】
《第2実施形態》
図8は本発明の第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10-2を示す。ちなみに、図8(A)および図8(B)は、図3(A)および図3(B)に対応する図である。
【0066】
この積層セラミックコンデンサ10-2が、前記積層セラミックコンデンサ10-1と異なるところは、各外部電極12および13を2層の金属層ML21およびML22から構成した点にあり、他は前記積層セラミックコンデンサ10-1と同じである。
【0067】
各外部電極12および13を2層の金属層ML21およびML22で構成する場合には、2層の金属層ML21およびML22の両方をスパッタ金属層(スパッタリングによって形成された金属層)としてもよいし、内側の金属層ML21をスパッタ金属層とし外側の金属層ML22を電解メッキ金属層(電解メッキによって形成された金属層)としてもよい。ちなみに、前記の電解メッキ金属層は、無電解メッキ金属層(無電解メッキによって形成された金属層)で代用することも可能である。
【0068】
また、2層の金属層ML21およびML22の主成分には、1層の場合と同様に、好ましくは銅、ニッケル、銀、金、プラチナ、パラジウム、スズ、クローム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン等から選択することができるが、2層の金属層ML21およびML22の主成分を同じにする必要はなく、異ならせてもよい。2層の金属層ML21およびML22の主成分を異ならせる場合には、相互密着性や半田付け性等を考慮して、例えば、内側の金属層ML21の主成分をクローム、チタンまたはタングステンとし外側の金属層ML22の主成分を銅としたり、内側の金属層ML21の主成分を銅とし外側の金属層ML22の主成分をスズとしたりする等の組み合わせを適宜採用することができる。
【0069】
さらに、各外部電極12および13を2層の金属層ML21およびML22で構成する場合の各主体部12aおよび13aの第3方向d3に沿う厚さT12aおよびT13a(図8を参照)と、副体部12bおよび13bの第1方向d1に沿う厚さT12bおよびT13b(図8を参照)には特段の制限はないが、1層の場合と同様、積層セラミックコンデンサ10-2の薄型化を考慮すると、2~18μmの範囲を例示することができる。
【0070】
この積層セラミックコンデンサ10-2でも、前記積層セラミックコンデンサ10-1と同様の作用効果を得ることができる。ちなみに、積層セラミックコンデンサ10-2にも、図6に示した各主体部12aおよび13aの他の形状と、図7に示した各副体部12bおよび13bの他の形状を適宜採用することができる。
【0071】
なお、各外部電極12および13を2層の金属層ML21およびML22で構成する場合、外側の金属層ML22を電解メッキ金属層とし、各副体部12bおよび13bを図7(A)に示した形状とすると、外側の金属層ML22(電解メッキ金属層)を形成するときに当該電解メッキ金属層の上端がセラミックコンデンサ11の上面に回り込んでしまうことがあり得るが、回り込み量および厚さが小さければ、積層セラミックコンデンサ10-2の薄型化の障害となるようなことはない。
【0072】
《第3実施形態》
図9は本発明の第3実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10-3を示す。ちなみに、図9(A)および図9(B)は、図3(A)および図3(B)に対応する図である。
【0073】
この積層セラミックコンデンサ10-3が、前記積層セラミックコンデンサ10-1と異なるところは、各外部電極12および13を3層の金属層ML31~ML33から構成した点にあり、他は前記積層セラミックコンデンサ10-1と同じである。
【0074】
各外部電極12および13を3層の金属層ML31~ML33で構成する場合には、3層の金属層ML31~ML33の全てスパッタ金属層(スパッタリングによって形成された金属層)としてもよいし、最も内側の金属層ML31をスパッタ金属層とし中間の金属層ML32をスパッタ金属層または電解メッキ金属層(電解メッキによって形成された金属層)とし最も外側の金属層ML33を電解メッキ金属層(電解メッキによって形成された金属層)としてもよい。ちなみに、前記の電解メッキ金属層は、無電解メッキ金属層(無電解メッキによって形成された金属層)で代用することも可能である。
【0075】
また、3層の金属層ML31~ML33の主成分には、1層の場合と同様に、好ましくは銅、ニッケル、銀、金、プラチナ、パラジウム、スズ、クローム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン等から選択することができるが、3層の金属層ML31~ML33の主成分を同じにする必要はなく、異ならせてもよい。3層の金属層ML31~ML33の主成分を異ならせる場合には、相互密着性や半田付け性等を考慮して、例えば、最も内側の金属層ML31の主成分をクローム、チタンまたはタングステンとし中間の金属層ML32を銅とし最も外側のスズとしたり、最も内側の金属層ML31の主成分を銅とし中間の金属層ML32をニッケルとし最も外側のスズとしたりする等の組み合わせを適宜採用することができる。
【0076】
さらに、各外部電極12および13を3層の金属層ML31~ML33で構成する場合の各主体部12aおよび13aの第3方向d3に沿う厚さT12aおよびT13a(図9を参照)と、副体部12bおよび13bの第1方向d1に沿う厚さT12bおよびT13b(図9を参照)には特段の制限はないが、1層の場合と同様、積層セラミックコンデンサ10-2の薄型化を考慮すると、2~18μmの範囲を例示することができる。
【0077】
この積層セラミックコンデンサ10-3でも、前記積層セラミックコンデンサ10-1と同様の作用効果を得ることができる。ちなみに、積層セラミックコンデンサ10-3にも、図6に示した各主体部12aおよび13aの他の形状と、図7に示した各副体部12bおよび13bの他の形状を適宜採用することができる。
【0078】
なお、各外部電極12および13を3層の金属層ML31~ML33で構成する場合、中間の金属層ML32と最も外側の金属層ML33、または、最も外側の金属層ML33を電解メッキ金属層とし、各副体部12bおよび13bを図7(A)に示した形状とすると、中間の金属層ML32と最も外側の金属層ML33(いずれも電解メッキ金属層)、または、最も外側の金属層ML33(電解メッキ金属層)を形成するときに当該電解メッキ金属層の上端がセラミックコンデンサ11の上面に回り込んでしまうことがあり得るが、回り込み量および厚さが小さければ、積層セラミックコンデンサ10-3の薄型化の障害となるようなことはない。
【0079】
《他の実施形態》
以上、本発明を積層セラミックコンデンサに適用した実施形態について説明したが、本発明は積層セラミックコンデンサ以外のセラミック電子部品、例えば、積層セラミックバリスタや積層セラミックインダクタ等にも適用できる。すなわち、機能部を内蔵した略直方体状のセラミック部品本体11の一端部に第1外部電極12を有し他端部に第2外部電極13を有するセラミック電子部品であれば、本発明を適用して前記同様の作用効果を得ることができる。
【0080】
また、セラミック部品本体11として第2方向寸法D2[11]>第1方向寸法D1[11]>第3方向寸法D3[11]の条件を満足しているものについて説明したが、セラミック部品本体11が第2方向寸法D2[11]=第1方向寸法D1[11]>第3方向寸法D3[11]の条件や第1方向寸法D1[11]>第2方向寸法D2[11]>第3方向寸法D3[11]の条件を満足している場合でも、本発明を適用して前記同様の作用効果を得ることができる。
【0081】
さらに、各外部電極12および13として1層、2層または3層の金属層から構成されたものについて説明したが、各外部電極12および13が4層以上の金属層から構成されている場合でも、少なくとも最も内側の金属層がスパッタ金属層(スパッタリングによって形成された金属層)であれば、本発明を適用して前記同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0082】
10-1,10-2,10-3…積層セラミックコンデンサ、11…セラミック部品本体、11a…第1内部電極層、11b…第2内部電極層、11c…誘電体層、11d…第1誘電体マージン部、11e…第1誘電体マージン部、12…第1外部電極、12a…主体部、T12a…主体部の厚さ、12b…副体部、T12b…副体部の厚さ、13…第2外部電極、13a…主体部、T13a…主体部の厚さ、13b…副体部、T13b…副体部の厚さ、ML21…内側の金属層、ML22…外側の金属層、ML31…最も内側の金属層、ML32…中間の金属層、ML33…最も外側の金属層、21…仮想平面、31…回路基板、31a…導体パッド、SOLp…半田ペースト、SOL…半田。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9