(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】収容箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20220720BHJP
B65D 5/68 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
B65D5/52 101B
B65D5/68 Z
B65D5/52 L
(21)【出願番号】P 2018061311
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】506100990
【氏名又は名称】日本トーカンパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】上原 克司
(72)【発明者】
【氏名】辻井 温子
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】実公昭38-013851(JP,Y1)
【文献】米国特許第02186071(US,A)
【文献】特開2000-203563(JP,A)
【文献】実公昭46-002363(JP,Y1)
【文献】独国実用新案第000029621214(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52
B65D 5/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と収容側壁を有する収容部と、天面と蓋側壁とを有する蓋部と、
前記収容箱とは別体に構成され前記収容部と蓋部を嵌合した際に固定されるスリーブ
を有し、前記蓋部の蓋側壁が前記収容部の収容側壁の外方に位置するように嵌合する収容箱であって、
前記蓋部は、前記天面と蓋側壁とに連続して開口する開口窓部を有し、
前記スリーブは、前記開口窓部に面する
上面部と、前記収容側壁に係合する係合脚部とを有
し、
前記係合脚部は、前記上面部から屈曲線で屈曲する外方脚部と、前記上面部から屈曲線で屈曲する内方脚部とを有し、
前記外方脚部の一部と前記上面部の一部が、前記開口窓部に露出する表示面を構成し、
前記開口窓部は、前記外方脚部と前記上面部との屈曲線の両側端部が露出しないように設けられていることを特徴とする
収容箱。
【請求項2】
前記スリーブは、前記収容側壁への横方向の係合位置を規制する位置規制部を有することを特徴とする
請求項1に記載の
収容箱。
【請求項3】
前記係合脚部は、前記外方脚部の両側に内方脚部が配置され、前記内方脚部の前記外方脚部の反対側端縁が隣接する収容側壁と接することで位置規制部として機能するように構成されていることを特徴とする
請求項1に記載の
収容箱。
【請求項4】
前記上面部は、下方に屈曲する屈曲片を有し、
前記屈曲片が、前記収容部に収容された収容物に当接して位置規制部として機能するように構成されていることを特徴とする
請求項1に記載の
収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面と収容側壁を有する収容部と、天面と蓋側壁とを有する蓋部と、収容箱とは別体に構成され収容部と蓋部を嵌合した際に固定されるスリーブを有し、蓋部の蓋側壁が収容部の収容側壁の外方に位置するように嵌合する収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、底面と収容側壁を有する収容部と、天面と蓋側壁とを有する蓋部とを有した収容箱は周知であり、収容箱の蓋部に印刷を施したものも周知である。
蓋部への印刷は、収容する内容物や、使用目的に応じて様々であるが、変更したい場合は、別の印刷を施した蓋部を製造する必要があり、変更前の蓋部が余った場合には破棄するしかなくコストや資源の無駄が生じていた。
一方、収容箱(外装箱)の一部に表示窓を設け、収容する内容物(内装箱)が異なることが確認できる収容箱(包装箱)が公知である(特許文献1等参照。)
また、外面に表示体を着脱自在な表示体取付部を設け、表示体を取り替えることで異なる表示を可能とした収容箱(商品陳列用容器)が公知である(特許文献2等参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭63-128929号公報
【文献】実用新案登録3034005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等で公知の収容箱は、変更される表示は収容する内容物に依存するため、内容物が同じで使用用途による表示の変更はできないという問題があった。
また、収容する内容物(内装箱)が表示窓に密着していることを前提としており、円筒状の缶や、不定形の袋状の内容物を収容する場合、表示としての機能を果たさないという問題があった。
特許文献2等で公知の収容箱は、表示体を簡単に変更でき、陳列等の一時的な用途では使用可能であるが、表示体が外れる虞があり、積重や搬送等を伴う流通目的での使用は困難であるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、簡単な構成で、いかなる内容物を収容した場合でも、積重や搬送等を伴う流通に使用する場合でも、収容箱そのものを変更することなく表示の変更可能となる収容箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の収容箱は、底面と収容側壁を有する収容部と、天面と蓋側壁とを有する蓋部と、前記収容箱とは別体に構成され前記収容部と蓋部を嵌合した際に固定されるスリーブを有し、前記蓋部の蓋側壁が前記収容部の収容側壁の外方に位置するように嵌合する収容箱であって、前記蓋部は、前記天面と蓋側壁とに連続して開口する開口窓部を有し、前記スリーブは、前記開口窓部に面する上面部と、前記収容側壁に係合する係合脚部とを有し、前記係合脚部は、前記上面部から屈曲して前記収容側壁の外方に延びる外方脚部と、前記上面部から屈曲して前記収容側壁の内方に延びる内方脚部とを有し、前記外方脚部の一部と上面部の一部が、前記開口窓部に露出する表示面を構成し、前記開口窓部は、前記外方脚部と前記上面部との屈曲線の両側端部が露出しないように設けられていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
本請求項1に係る発明の収容箱によれば、スリーブが収容部と蓋部を嵌合した際に固定され、開口窓部に面する表示面と、収容側壁に係合する係合脚部とを有することにより、いかなる内容物を収容した場合でも、積重や搬送等を伴う流通に使用する場合でも、収容箱の蓋部、収容部を変更することなくスリーブを変更するだけで表示の変更が可能となり、コストや資源の無駄を低減することができる。
また、収容側壁に係合する係合脚部によって、蓋部を収容部に嵌合する際にスリーブを収容側壁に仮止めすることができ、容易にスリーブを固定することが可能となる。
【0008】
また、外方脚部と内方脚部とを有することにより、収容箱の収容側壁の形状を変更することなく、スリーブを収容側壁に仮止めすることができる。
さらに、外方脚部の一部と上面部の一部が、開口窓部に露出する表示面を構成し、開口窓部は、外方脚部と前記上面部との屈曲線の両側端部が露出しないように設けられていることにより、スリーブによる表示面がより拡大されるとともに、収容部と蓋部を嵌合した際に、スリーブの外方脚部と上面部との屈曲線の両端が固定され、開口窓部を大きくしてもスリーブの形状を確実に維持することが可能となる。
本請求項2に記載の構成によれば、スリーブは収容側壁への横方向の係合位置を規制する位置規制部を有することにより、搬送や蓋部の着脱によって、開口窓部から見えるスリーブの表示面がずれることが防止される。
本請求項3に記載の構成によれば、係合脚部は、外方脚部の両側に内方脚部が配置され、内方脚部の前記外方脚部の反対側端縁が隣接する収容側壁と接することで位置規制部として機能するように構成されていることにより、いかなる内容物を収容しても干渉することなく収容側壁への横方向の係合位置を規制することが可能となる。
本請求項4に記載の構成によれば、屈曲片が収容部に収容された収容物に当接して位置規制部として機能するように構成されていることにより、スリーブを係合する収容側壁の長さや形状にかかわらず収容側壁への横方向の係合位置を規制することが可能となる。
また、屈曲片によってより確実に上面部を平面に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態である
収容箱のスリーブの展開図。
【
図2】本発明の一実施形態である収容箱の蓋部の展開図。
【
図3】本発明の一実施形態である収容箱の斜視図(参考写真)。
【
図4】スリーブを収容側壁に係合した斜視図(参考写真)。
【
図5】スリーブを収容側壁に係合する前の斜視図(参考写真)。
【
図6】スリーブを別方向から見た斜視図(参考写真)。
【
図7】本発明の他の実施形態である
収容箱のスリーブの展開図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0010】
本発明の一実施形態である収容箱100及びスリーブ110について、図面(参考写真)に基づいて説明する。
スリーブ110は、
図1や
図6に示すように、上面部111と係合脚部112とを有し、係合脚部112は、上面部111から屈曲線116aで屈曲する外方脚部113と、上面部111から屈曲線116bで屈曲する内方脚部114とを有している。
内方脚部114は外方脚部113の両側に配置され、内方脚部114の外方脚部113とは反対側端縁が後述する位置規制部115として機能する。
【0011】
蓋部120は、
図2乃至
図5に示すように、矩形の天面121と4つの蓋側壁122とを有し、天面121から1つの蓋側壁122にかけて開口窓部123が設けられている。
収容部130は、
図4や
図5に示すように、矩形の底面131と4つの収容側壁132と有している。
本実施形態では、収容側壁132は紙厚以上の厚みを有するように構成され、スリーブ110の外方脚部113の屈曲線116aと内方脚部114の屈曲線116bは、収容側壁132の厚みを考慮した異なる位置に設けられている。
【0012】
収容箱100は、蓋部120を収容部130に嵌合する際には、蓋側壁122が収容側壁132の外方に位置して嵌合するように構成されており、
図4に示すように、収容部130の収容側壁132をスリーブ110の外方脚部113と内方脚部114で挟むよう取り付けた後、蓋部120の開口窓部123がスリーブ110と重なるように蓋部120を収容部130に嵌合することで、
図3に示すように、スリーブ110の表示面が蓋部120の開口窓部123から露出して見える収容箱100が構成される。
【0013】
本実施形態では、スリーブ110の長手方向の寸法を、取り付ける収容側壁132の内面側の幅とほぼ同じ長さに構成されており、両方の内方脚部114の外方脚部113とは反対側端縁が隣接する収容側壁132と接して位置規制部115として機能するように構成され横方向の位置決めが行われ、移動を防止している。
また、蓋部120の開口窓部123は、外方脚部113と上面部111との屈曲線116aの両側端部が露出しないように設けられている。
蓋部120の開口窓部123の大きさや形状、及び、スリーブ110の上面部111と外方脚部113の大きさや形状は、必要に応じて適宜設計可能である。
【0014】
他の実施形態であるスリーブ110bは、
図7に示すように、上面部111bから屈曲線116aで屈曲する外方脚部113bと、外方脚部113bの両側に上面部111bから屈曲線116bで屈曲する内方脚部114bとを有しており、両側の内方脚部114bは外方脚部113bの外側で連続するように構成されている。
また、上面部111bには、屈曲線116cで下方に屈曲する屈曲片117bを有している。
このスリーブ110bによれば、屈曲片117bを収容部130に収容される内容物に当接させて位置規制部とすることが可能となり、スリーブ110bの長手方向の寸法を自由に設定することが可能となる。
また、屈曲片117bを有することで、より確実に上面部111bを平面に保つことができ、寸法を長くすることが可能となり、開口窓部123を大きくして露出する表示面を大きくすることが可能となる。
【0015】
なお、収容箱は、ボール紙、段ボール等で形成されるのが一般的であるが、その紙質はいかなるものであってもよく、種々のコーティングが行われたもの、紙以外の樹脂等で形成されたものであってもよい。
また、収容部、蓋部、スリーブが異なる材料で形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0016】
100 ・・・ 収容箱
110 ・・・ スリーブ
111 ・・・ 上面部
112 ・・・ 係合脚部
113 ・・・ 外方脚部
114 ・・・ 内方脚部
115 ・・・ 位置規制部
116 ・・・ 屈曲線
117 ・・・ 屈曲片
120 ・・・ 蓋部
121 ・・・ 天面
122 ・・・ 蓋側壁
123 ・・・ 開口窓部
130 ・・・ 収容部
131 ・・・ 底面
132 ・・・ 収容側壁