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特許7107726張付け材の充填性確認方法および充填性確認装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】張付け材の充填性確認方法および充填性確認装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/18 20060101AFI20220720BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
E04F21/18 H
E04F15/02 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018077522
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2019183538
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名知 博司
(72)【発明者】
【氏名】船越 貴惠
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-331389(JP,A)
【文献】特開2007-211543(JP,A)
【文献】特開2005-248471(JP,A)
【文献】特開2007-178210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/18
E04F 15/02
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地材の表面に張付け材を介して仕上げ材を張り付けた後、仕上げ材と下地材の間における張付け材の充填性を確認する方法であって、
張り付ける前の仕上げ材の裏面の端部に、硬化する前の張付け材が触れると状態が変化するセンサーを取り付けるステップと、張り付ける前の仕上げ材の裏面に端部を除いて張付け材を塗付して、この張付け材の表面を平滑に仕上げた後、この張付け材の表面にクシ目を入れておくステップと、その後、張付け材塗付された仕上げ材の裏面を下地材の表面に貼り合わせた後、仕上げ材と下地材の間の張付け材が硬化する前に、仕上げ材を下地材に向けて押し込んで張り付けるステップと、センサーの状態変化に基づいて、硬化する前の張付け材の充填性を確認するステップとを備え
前記センサーとして、張付け材に接触すると変色するセンサー、または、張付け材に含まれる水分を検知するセンサーを用いることを特徴とする張付け材の充填性確認方法。
【請求項2】
下地材の表面に張付け材を介して仕上げ材を張り付けた後、仕上げ材と下地材の間における張付け材の充填性を確認する装置であって、
張付け材は、張り付ける前の仕上げ材の裏面に端部を除いて塗付され、この張付け材の表面は平滑に仕上げられるとともに、張付け材の表面にはクシ目が入れられた張付け材であり、
下地材の表面に張付け材を介して張り付けた仕上げ材の裏面の端部に取り付けられ、硬化する前の張付け材が触れると状態が変化するセンサーと、このセンサーの状態変化に基づいて、硬化する前の張付け材の充填性を確認する手段とを備え
前記センサーが、張付け材に接触すると変色するセンサー、または、張付け材に含まれる水分を検知するセンサーであることを特徴とする張付け材の充填性確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば床タイルと下地材の間に設けられる張付けモルタルなどの張付け材の充填性確認方法および充填性確認装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、本発明者らは、大型床タイルの有機無機ハイブリッド接着工法の開発に取り組んできた(例えば、特許文献1を参照)。この工法は、コンクリート下地に有機系接着剤を薄く塗布した後、時間を空けずに、張付けモルタルを厚く塗付して、タイル張りするものである。この工法は近年、寒冷地域における床タイル(600mm×150mm、600mm角)に適用した実績があり、600mm角サイズまでは、下地面とタイル面に張付けモルタルを塗付してタイルを張り付ける方法(改良圧着張り)で、十分な充填性を確保しつつ、効率良く施工できることを確認している。
【0003】
昨今、長辺が600mmを超えるサイズのタイルが市場に出回っている。一辺が900mmや1200mmの大型床タイルも見かけるようになってきた。
【0004】
本発明者らは、こうした600mmを超えるサイズの大型床タイルにおいて、タイル面と下地面を貼り合わせる際に、空気を巻き込みにくく、かつ、タイルを押し込んだ際に空気が抜けやすい貼り合わせ方法を提案中である。この方法は、サイズの大きいタイルほど、施工プロセスによる張付けモルタルの充填性を確保する効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-169568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、長辺が1mを超えるような大型床タイルは、タイルを剥がして張付けモルタルの充填性を確認することが難しいため、施工品質を担保する手段がない。このため、タイルを剥がさずに、タイル裏面の張付けモルタルの充填状態を確認することのできる方法が求められていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、仕上げ材を剥がさずに、その裏面側の張付け材の充填状態を確認することのできる張付け材の充填性確認方法および充填性確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る張付け材の充填性確認方法は、下地材の表面に張付け材を介して仕上げ材を張り付けた後、仕上げ材と下地材の間における張付け材の充填性を確認する方法であって、張り付ける前の仕上げ材の裏面の端部に、硬化する前の張付け材が触れると状態が変化するセンサーを取り付けるステップと、張り付ける前の仕上げ材の裏面に端部を除いて張付け材を塗付するステップと、張付け材を塗付した仕上げ材の裏面を下地材の表面に貼り合わせた後、仕上げ材と下地材の間の張付け材が硬化する前に、仕上げ材を下地材に向けて押し込んで張り付けるステップと、センサーの状態変化に基づいて、硬化する前の張付け材の充填性を確認するステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の張付け材の充填性確認方法は、上述した発明において、センサーとして、張付け材に接触すると変色するセンサー、または、張付け材に含まれる水分を検知するセンサーを用いることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る張付け材の充填性確認装置は、下地材の表面に張付け材を介して仕上げ材を張り付けた後、仕上げ材と下地材の間における張付け材の充填性を確認する装置であって、下地材の表面に張付け材を介して張り付けた仕上げ材の裏面の端部に取り付けられ、硬化する前の張付け材が触れると状態が変化するセンサーと、このセンサーの状態変化に基づいて、硬化する前の張付け材の充填性を確認する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の張付け材の充填性確認装置は、上述した発明において、センサーが、張付け材に接触すると変色するセンサー、または、張付け材に含まれる水分を検知するセンサーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る張付け材の充填性確認方法によれば、下地材の表面に張付け材を介して仕上げ材を張り付けた後、仕上げ材と下地材の間における張付け材の充填性を確認する方法であって、張り付ける前の仕上げ材の裏面の端部に、硬化する前の張付け材が触れると状態が変化するセンサーを取り付けるステップと、張り付ける前の仕上げ材の裏面に端部を除いて張付け材を塗付するステップと、張付け材を塗付した仕上げ材の裏面を下地材の表面に貼り合わせた後、仕上げ材と下地材の間の張付け材が硬化する前に、仕上げ材を下地材に向けて押し込んで張り付けるステップと、センサーの状態変化に基づいて、硬化する前の張付け材の充填性を確認するステップとを備えるので、下地材に張り付けた仕上げ材を剥がさずに、その裏面側の張付け材の充填状態を確認することができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る他の張付け材の充填性確認方法によれば、センサーとして、張付け材に接触すると変色するセンサー、または、張付け材に含まれる水分を検知するセンサーを用いるので、張付け材の充填性を比較的簡単かつ安価に確認することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る張付け材の充填性確認装置によれば、下地材の表面に張付け材を介して仕上げ材を張り付けた後、仕上げ材と下地材の間における張付け材の充填性を確認する装置であって、下地材の表面に張付け材を介して張り付けた仕上げ材の裏面の端部に取り付けられ、硬化する前の張付け材が触れると状態が変化するセンサーと、このセンサーの状態変化に基づいて、硬化する前の張付け材の充填性を確認する手段とを備えるので、下地材に張り付けた仕上げ材を剥がさずに、その裏面側の張付け材の充填状態を確認することができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他の張付け材の充填性確認装置によれば、センサーが、張付け材に接触すると変色するセンサー、または、張付け材に含まれる水分を検知するセンサーであるので、張付け材の充填性を比較的簡単かつ安価に確認することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に係る張付け材の充填性確認方法および充填性確認装置の実施の形態を示す側断面図である。
図2図2は、本発明に係る張付け材の充填性確認方法および充填性確認装置の実施の形態を示す上面図である。
図3図3は、リトマスセンサー、水分検知センサーの設置状況を示す写真図であり、(1)は全体写真、(2)は(1)の右上部のリトマスセンサーの設置状況の拡大写真である。
図4図4は、リトマスセンサーの変色状況を示す写真図であり、(1)は左上部の写真、(2)は右上部の写真である。
図5図5は、リトマスセンサーの構造を示す図であり、(1)は側断面図、(2)は上面図、(3)は(1)のA-A線に沿った図、(4)は(1)のB-B線に沿った図、(5)は設置状況を示す側断面図である。
図6図6は、水分検知センサーの設置状況を示す写真図であり、(1)は要部拡大写真、(2)は充填状況を示す写真である。
図7図7は、水分検知センサーの経時変化を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る張付け材の充填性確認方法および充填性確認装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
上述したように、本発明者らは、長辺が600mmを超えるサイズの大型床タイルにおいて、タイル面と下地面を貼り合わせる際に、空気を巻き込みにくく、かつ、タイルを押し込んだ際に空気が抜けやすい貼り合わせ方法を提案した。この方法は、図1に示すように、タイル10(仕上げ材)とコンクリートからなる下地材12とにあらかじめ張付けモルタル14(張付け材)を塗付して、タイル10側の張付けモルタル14については平滑に仕上げてクシ目16を入れておき、張付けモルタル14が硬化する前にタイル面を下地面に貼り合わせ、タイル10を下地材12に向けて押し込むものである。ここで、貼り合わせ前のタイル面の端部10Aには張付けモルタル14を塗付しないようにしている。これは、タイル10を押し込んだ時に、張付けモルタル14の逃げ道として利用するためである。この方法によれば、サイズの大きいタイルほど、タイル面と下地面との間の張付けモルタル14の充填性を高めることができる。
【0019】
この施工方法では、タイル10の端部10A周辺に張付けモルタル14が付着していない。そこで、本実施の形態では、あらかじめタイル10の隅角部(端部10A)に、張付けモルタル14が触れると状態が変化するセンサー18を取り付けておく。
【0020】
タイル面と下地面を貼り合わせた後の押し込みで張付けモルタル14が端部10Aからはみ出し、センサー18に接触すると、センサー18の状態が変化する。このセンサー18の状態変化を通じてタイル10の隅角部の充填状況をモニタリングするとともに、タイル裏面の充填性のプロセス検査記録として保存する。
【0021】
図2は、センサー18によって充填モニタリングが必要になる箇所を例示した上面図である。この図に示すように、矩形状のタイル1、2、・・・、8をこの順番で下地材に張り付けていく場合には、符号Pで示される隅角部は目視では張付けモルタル14の充填性を確認しづらい。このような箇所にセンサー18を取り付けて、張付けモルタル14の充填状況を確認することが望ましい。
【0022】
なお、タイル10に張付けモルタル14を塗付する前に、充填モニタリングが必要な隅角部のみにセンサー18を取り付ける手順では、取り付け箇所などを誤るおそれがある。そこで、全てのタイル10の隅角部にセンサーを取り付けて全数モニタリングするのが誤りを未然に防ぐ上で望ましい。
【0023】
センサー18は、硬化前の張付けモルタルに接触すると状態が変化するもので、かつ、タイルの端部に配置可能な寸法、形状のものであればいかなるものでもよいが、小型で低価格のセンサーであることがより好ましい。こうしたセンサーとしては、例えば、張付けモルタルに接触すると変色するリトマス試験紙を用いたセンサー(以下、リトマスセンサーという。)や、張付けモルタルの水分に接触すると電圧が変化して、水分を検知する水分検知センサーなどを利用することができる。このようなセンサーは安価に入手可能であるため、張付けモルタルの充填性を比較的簡単かつ安価に確認することが可能である。
【0024】
<実施例1>
次に、本発明の実施例1として、リトマス試験紙を用いたセンサー(リトマスセンサー)による充填性確認方法および充填性確認装置について説明する。
【0025】
図3(1)の上側にリトマスセンサーの設置状況を、(2)に右上部の拡大図を示す。これらの図に示すように、あらかじめ大型床タイルの隅角部にリトマスセンサーを巻き付けておく。なお、図の例では、アクリル板からなる大型床タイルの上側の左右隅にリトマスセンサーを設けた場合を示したが、上下左右の四隅にリトマスセンサーを設けてもよい。この構成において、大型床タイルを下地材に押し込むと、リトマスセンサーのリトマス試験紙に張付けモルタルが接触し、リトマス試験紙がアルカリ性を呈して青色に変色する。図4(1)に左上部の変色状況を、(2)に右上部の変色状況を示す。
【0026】
図5は、リトマスセンサーの構造を示したものである。この図に示すように、リトマスセンサー20は、上層から順に透明シート22と、透明な粘着のり24と、リトマス試験紙26の3層で構成されている。透明シート22には部分S1、S2を切り出し可能なように切り込み線Lが入っている。リトマスセンサー20を取り付ける場合には、大型床タイル10の隅角部P(端部10A)にリトマスセンサー20を側面視でコの字状に巻き付け、粘着のり24を介して大型床タイル10の表裏面に貼り付ける。ここで、図5(2)の部分S1の側が大型床タイル10の裏面側、部分S2の側が大型床タイル10の表面側になるようにする。
【0027】
張付けモルタル14を大型床タイル10の裏面に塗付した後、図5(2)の部分S1の透明シート22を剥がして、下層のリトマス試験紙26をむき出しにする。その後、大型床タイル10を押し込み、張付けモルタル14がリトマスセンサー20に接触すると、むき出しにされたリトマス試験紙26が変色する。リトマス試験紙26は大型床タイル10の裏面側から表面側に繋がっているので、大型床タイル10の表面側のリトマス試験紙26は次第に変色するようになる。これにより、張付けモルタル14が大型床タイル10の裏面側全体に充填したことがわかる。これを目視で確認した後、図5(2)の部分S2の透明シート22を剥がす。部分S2の透明シート22は、粘着のり24を介してリトマス試験紙26にも粘着しているので、透明シート22とともにリトマス試験紙26も除去される。これにより、大型床タイル10の表面側に、リトマスセンサー20が除去された綺麗なタイル面が現れる。このようにすることで、下地材12に張り付けた大型床タイル10を剥がさずに、その裏面側の張付けモルタル14の充填状態を確認することができる。
【0028】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2として、水分検知センサーによる充填性確認方法および充填性確認装置について説明する。
【0029】
図3(1)の下側に水分検知センサーの設置状況を示す。この図に示すように、あらかじめ大型床タイルの隅角部に水分検知センサーを取り付けておく。なお、図の例では、アクリル板からなる大型床タイルの下側の左右隅に水分検知センサーを設けた場合を示したが、上下左右の四隅に水分検知センサーを設けてもよい。この構成において、大型床タイルを下地材に押し込むと、水分検知センサーに張付けモルタルが接触し、例えば図7に示すように、水分検知センサーの電圧値が変化する。図6(1)に水分検知センサーの設置状況の拡大図、(2)に充填状況を示す。なお、図7中の凡例において、センサー(右)は大型床タイルの下側の右隅の水分検知センサー、センサー(左)は大型床タイルの下側の左隅の水分検知センサーである。いずれのセンサーも検出開始から25秒程度で検出電圧値が急上昇している。したがって、この25秒程度の時期に張付けモルタルが左右隅に達し、充填が完了したことがわかる。
【0030】
図6の水分検知センサーは、センサー部分がリード線で構成されており、リード線はタイル外部に露出しているが、本発明はこのような有線方式の水分検知センサーに限るものではない。例えば、ワイヤレスタイプの水分検知センサーをタイル裏面の端部に設け、検知結果をワイヤレス通信方式でタイル外部のデータロガーなどに転送するようにしてもよい。このようなワイヤレスタイプのセンサーとして、例えば、下記の参考文献1に示されるRFIDひずみ計測システムのように、RFID(登録商標)タグを利用してセンシングするものや、下記の参考文献2に示されるワイヤレス有機センサーシステムのように、検知したデータをBlueTooth(登録商標)などのワイヤレス通信規格で外部に転送するものを用いることができる。
【0031】
[参考文献1] 太平洋セメント株式会社ホームページ、「RFIDひずみ計測システム」、[online]、[平成30年3月30日検索]、インターネット<URL:http://www.taiheiyo-cement.co.jp/rd/rfid/hizumi/index.html>
【0032】
[参考文献2] 科学技術振興機構(JST)ホームページ、「共同発表:世界初、柔らかいワイヤレス有機センサーシステムの開発に成功~ばんそうこうやおむつへの使い捨てセンサー応用に期待~」、[online]、[平成30年3月30日検索]、インターネット<URL:http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140210/>
【0033】
従来、長辺が1mを超えるような大型床タイルは、下地面に貼り合わせた直後にタイルを剥がして張付けモルタルの充填性を確認することが難しかった。仮に剥がせたとしても、再度、充填状態に気を配りながらタイルを貼り直すこともまた難儀であった。さらに、張付けモルタルの硬化後に、タイルの打音検査をして、浮き音が出れば張り替えになるためダメージが大きい。この点を考えれば、タイルサイズが大きくなるほど、施工するタイル枚数は少ないため、上記のセンサーを各タイルの四隅に取り付けて全数をモニタリングしても、過度なコストアップ要因にはならない。したがって、本発明のように、タイルを剥がさないで充填性を確認する方法は、品質管理方法として非常に有効である。
【0034】
以上説明したように、本発明に係る張付け材の充填性確認方法によれば、下地材の表面に張付け材を介して仕上げ材を張り付けた後、仕上げ材と下地材の間における張付け材の充填性を確認する方法であって、張り付ける前の仕上げ材の裏面の端部に、硬化する前の張付け材が触れると状態が変化するセンサーを取り付けるステップと、張り付ける前の仕上げ材の裏面に端部を除いて張付け材を塗付するステップと、張付け材を塗付した仕上げ材の裏面を下地材の表面に貼り合わせた後、仕上げ材と下地材の間の張付け材が硬化する前に、仕上げ材を下地材に向けて押し込んで張り付けるステップと、センサーの状態変化に基づいて、硬化する前の張付け材の充填性を確認するステップとを備えるので、下地材に張り付けた仕上げ材を剥がさずに、その裏面側の張付け材の充填状態を確認することができる。
【0035】
また、本発明に係る他の張付け材の充填性確認方法によれば、センサーとして、張付け材に接触すると変色するセンサー、または、張付け材に含まれる水分を検知するセンサーを用いるので、張付け材の充填性を比較的簡単かつ安価に確認することができる。
【0036】
また、本発明に係る張付け材の充填性確認装置によれば、下地材の表面に張付け材を介して仕上げ材を張り付けた後、仕上げ材と下地材の間における張付け材の充填性を確認する装置であって、下地材の表面に張付け材を介して張り付けた仕上げ材の裏面の端部に取り付けられ、硬化する前の張付け材が触れると状態が変化するセンサーと、このセンサーの状態変化に基づいて、硬化する前の張付け材の充填性を確認する手段とを備えるので、下地材に張り付けた仕上げ材を剥がさずに、その裏面側の張付け材の充填状態を確認することができる。
【0037】
また、本発明に係る他の張付け材の充填性確認装置によれば、センサーが、張付け材に接触すると変色するセンサー、または、張付け材に含まれる水分を検知するセンサーであるので、張付け材の充填性を比較的簡単かつ安価に確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明に係る張付け材の充填性確認方法および充填性確認装置は、下地材の表面に張付け材を介して仕上げ材を張り付ける施工方法に有用であり、特に、仕上げ材を剥がさずに、その裏面側の張付け材の充填状態を確認するのに適している。
【符号の説明】
【0039】
10 タイル(仕上げ材)
10A 端部
12 下地材
14 張付けモルタル(張付け材)
16 クシ目
18 センサー
20 リトマスセンサー
22 透明シート
24 粘着のり
26 リトマス試験紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7