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特許7107730油冷式スクリュ圧縮機の運転制御方法及び油冷式スクリュ圧縮機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】油冷式スクリュ圧縮機の運転制御方法及び油冷式スクリュ圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/03 20060101AFI20220720BHJP
   F04C 18/16 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
F04B49/03 331
F04C18/16 L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018083080
(22)【出願日】2018-04-24
(65)【公開番号】P2019190350
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000241795
【氏名又は名称】北越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 直幸
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-168177(JP,A)
【文献】特開2010-101186(JP,A)
【文献】特開昭56-138483(JP,A)
【文献】特開昭52-098206(JP,A)
【文献】特開平10-089296(JP,A)
【文献】特公昭43-027366(JP,B1)
【文献】特開平11-230053(JP,A)
【文献】特開昭56-138484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/03
F04C 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機本体と,前記圧縮機本体が吐出した圧縮気体を導入するレシーバタンクと,前記圧縮機本体を駆動する駆動源と,前記圧縮機本体の吸入流路を開閉する吸入制御装置を備え,前記レシーバタンク内の圧力が所定の基準圧力以下のときに前記吸入流路を全開とした全負荷運転を行うと共に,前記レシーバタンク内の圧力が前記基準圧力よりも高い所定の無負荷運転圧力となったときに前記吸入流路を全閉とした無負荷運転に移行する油冷式スクリュ圧縮機において,
前記無負荷運転時における前記駆動源の回転速度である無負荷回転速度を可変とし,
前記無負荷運転時,前記レシーバタンクと前記圧縮機本体の吸入口間を連通する負圧緩和流路を介して前記レシーバタンク内の圧縮気体を前記圧縮機本体の前記吸入口に導入する負圧緩和処理を実行し,
前記負圧緩和流路内を流れる圧縮気体の流量を調整する流量調整手段を設け,前記負圧緩和処理時に前記圧縮機本体に導入する圧縮気体の導入量を,前記無負荷回転速度を相対的に低い回転速度に設定するときには相対的に減少するよう前記流量調整手段で調整し,前記無負荷回転速度を相対的に高い回転速度に設定するときには相対的に増大させるよう前記流量調整手段で調整することを特徴とする油冷式スクリュ圧縮機の運転制御方法。
【請求項2】
前記圧縮機本体が多段式の圧縮機本体であり,
前記負圧緩和処理における圧縮気体の導入を,前記圧縮機本体を構成する低圧段圧縮機本体の吸入口及び/又は高圧段圧縮機本体の吸入口に対し行うことを特徴とする請求項1記載の油冷式スクリュ圧縮機の運転制御方法。
【請求項3】
前記圧縮機本体が多段式の圧縮機本体であり,
前記無負荷回転速度を相対的に低い回転速度に設定するときには,前記圧縮気体の導入を,前記圧縮機本体を構成する低圧段圧縮機本体の吸入口に対してのみ行うことで,導入する圧縮気体量を相対的に減少し,
前記無負荷回転速度を相対的に高い回転速度に設定するときには,前記圧縮機本体に対する圧縮気体の導入を,前記低圧段圧縮機本体の吸入口と高圧段圧縮機本体の吸入口の双方に対し行うことで,導入する圧縮気体量を相対的に増大することを特徴とする請求項1記載の油冷式スクリュ圧縮機の運転制御方法。
【請求項4】
前記高圧段圧縮機本体の吸入側の圧力を測定し,前記高圧段圧縮機本体の吸入側の圧力が所定の圧力となるように前記高圧段圧縮機本体の吸入口に対する前記圧縮気体の導入量を調整することを特徴とする請求項3記載の油冷式スクリュ圧縮機の運転制御方法。
【請求項5】
前記無負荷回転速度を多段階又は無段階に設定可能としたことを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の油冷式スクリュ圧縮機の運転制御方法。
【請求項6】
圧縮機本体と,前記圧縮機本体が吐出した圧縮気体を導入するレシーバタンクと,前記圧縮機本体を駆動する駆動源と,前記圧縮機本体の吸入流路を開閉する吸入制御装置を備え,前記レシーバタンク内の圧力が所定の基準圧力以下のときに前記吸入流路を全開とした全負荷運転を行うと共に,前記レシーバタンク内の圧力が前記基準圧力よりも高い所定の無負荷運転圧力となったときに前記吸入流路を全閉とした無負荷運転に移行する油冷式スクリュ圧縮機において,
前記無負荷運転時における前記駆動源の回転速度である無負荷回転速度を設定する無負荷回転速度設定手段と,
前記レシーバタンクと前記圧縮機本体の吸入口間を連通する負圧緩和流路と,
前記負圧緩和流路に設けた流量調整手段と,
前記無負荷回転速度設定手段で設定された無負荷回転速度に応じて,前記流量調整手段を制御する制御手段を備え,
前記制御手段が,
前記無負荷回転速度設定手段により設定された前記無負荷回転速度が相対的に低い回転速度であるとき,前記負圧緩和流路を流れる圧縮気体の流量が相対的に減少するよう前記流量調整手段を制御し,
前記無負荷回転速度設定手段により設定された前記無負荷回転速度が相対的に高い回転速度であるとき,前記負圧緩和流路を流れる圧縮気体の流量が相対的に増大するよう前記流量調整手段を制御することを特徴とする油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項7】
前記圧縮機本体が多段式の圧縮機本体であり,
前記負圧緩和流路の一端を前記レシーバタンクに連通すると共に,他端を,前記圧縮機本体を構成する低圧段圧縮機本体の吸入口に連通したことを特徴とする請求項6記載の油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項8】
前記圧縮機本体が多段式の圧縮機本体であり,
前記負圧緩和流路の一端を前記レシーバタンクに連通すると共に,他端側を分岐して,分岐された一方の流路を,前記圧縮機本体を構成する低圧段圧縮機本体の吸入口に連通すると共に,他方の流路を,高圧段圧縮機本体の吸入口に連通し,前記他方の流路と,該他方の流路を開閉する開閉手段により,前記流量調整手段を形成したことを特徴とする請求項6記載の油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項9】
前記高圧段圧縮機本体の吸入口内の圧力を検出する圧力検出手段を設けると共に,前記他方の流路を開閉する前記開閉手段を開度調整可能な流量調整弁とし,前記制御手段が前記圧力検出手段の検出圧力に基づいて前記高圧段圧縮機本体の吸入側の圧力が所定の圧力となるように前記流量調整弁を制御することを特徴とする請求項8記載の油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項10】
前記無負荷回転速度設定手段が,前記無負荷回転速度を多段階又は無段階に設定可能であることを特徴とする請求項6~9いずれか1項記載の油冷式スクリュ圧縮機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油冷式スクリュ圧縮機の運転制御方法,及び前記制御方法を実行可能な油冷式スクリュ圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
油冷式スクリュ圧縮機100は,ケーシング内に形成されたシリンダ内にオス,メス一対のスクリュロータを噛み合い回転可能に収容し,前記一対のスクリュロータの噛み合い回転により吸入流路137を介して導入された被圧縮気体を冷却油と共に圧縮して気液混合流体として吐出する圧縮機本体130と,この圧縮機本体130より吐出された気液混合流体を導入して,圧縮気体と冷却油とに分離するレシーバタンク160,及び前記圧縮機本体130のロータ軸に対し回転駆動力を入力するためのエンジンやモータ等の駆動源(図示の例ではエンジン150)を備える(図6参照)。
【0003】
そして,レシーバタンク160内に導入された圧縮機本体130からの気液混合流体は,レシーバタンク130内で圧縮気体と冷却油に一次分離され,分離された冷却油はオイルクーラ163やオイルフィルタ162を備えた給油流路164を介して再度圧縮機本体130の噴射口に導入されると共に,冷却油が分離された圧縮気体は,オイルセパレータ160aによって圧縮気体中にミストの状態で残る冷却油が更に除去された後,図示せざる空気作業機等が接続された消費側に供給される。
【0004】
このような油冷式スクリュ圧縮機100では,圧縮機本体130の吸入流路137に吸入制御弁111を設け,消費側における圧縮気体の消費量変化によってレシーバタンク160内の圧力が変化すると,吸入制御弁111による圧縮機本体130の吸入流路137の開度と,エンジンやモータ等の駆動源(図示の例ではエンジン150)の回転速度を変化させて,レシーバタンク160内の圧力が予め設定された所定の圧力に近付くように制御する「容量制御」を行うことで,消費側に安定した圧力の圧縮気体を供給できるように構成されている。
【0005】
この「容量制御」では,通常,レシーバタンク160内の圧力が予め設定した基準圧力Ps以下のときには,吸入制御弁111により圧縮機本体130の吸入流路137を全開すると共に,駆動源150の回転速度を定格回転速度Rrとした全負荷運転(フルロード運転)を行い,レシーバタンク160内の圧力が前記基準圧力Psよりも高い圧力として設定した無負荷運転圧力Puに達したときには,吸入制御弁111により圧縮機本体130の吸入流路137を全閉すると共に,エンジン150の回転速度を前述の定格回転速度Rrよりも所定の低い速度として設定した無負荷回転速度Ruに低下させて無負荷運転(アンロード運転)を行う。
【0006】
なお,油冷式スクリュ圧縮機100には,前述の運転状態の切替を,前述した全負荷運転と無負荷運転の2つの運転状態間で行うものの他,レシーバタンク160内の圧力が基準圧力Psと無負荷運転圧力Puとの間にあるときに,レシーバタンク160内の圧力に応じて吸入制御弁111の開度を全開と全閉間の所定位置とし,及び/又は,駆動源150の回転速度を定格回転速度Rrと無負荷回転速度Ru間の所定の速度として,前述した全負荷運転と無負荷運転の中間の負荷状態で運転する,中間負荷運転を行うものもあり,本発明ではいずれの油冷式スクリュ圧縮機100共に対象とする。
【0007】
このように,油冷式スクリュ圧縮機100ではレシーバタンク160内の圧力に応じて運転状態を切り換えることから,消費側で圧縮気体の消費が停止してレシーバタンク160内の圧力が上昇して無負荷運転圧力Puに達すると,前述した無負荷運転に移行し,無負荷運転の状態から消費側で圧縮空気の消費が再開されてレシーバタンク160内の圧力が基準圧力Ps以下になると,全負荷運転に復帰する。
【0008】
ここで,既知の一般的な油冷式スクリュ圧縮機100では,無負荷運転から全負荷運転に復帰する際,駆動源150の回転速度は,無負荷回転速度Ruから定格回転速度Rrに上昇するが,このような回転速度の上昇には,一定の時間を要するため,無負荷運転の状態で圧縮空気の大量消費が開始されると共に継続される等してレシーバタンク160内の圧力が基準圧力Psよりも大幅に低下すると,基準圧力Psに復帰させるまでには長時間を要し,消費側に接続された空気作業機が停止してしまう等の不都合が生じる。
【0009】
このような問題を解消するために,後掲の特許文献1は,レシーバタンク160内の圧力変化に拘わらず,常に駆動源であるエンジン150の回転速度を高回転速度(例えば定格回転速度)に固定し,吸入制御弁111の開閉のみで容量制御を行うことを提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2002-168177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前掲の特許文献1に記載のエンジン駆動型圧縮機100のように,無負荷運転時においてもエンジン150の回転速度を高回転速度に固定する構成では,無負荷運転時に消費側で大量の圧縮気体の消費が開始される等してレシーバタンク160内の圧力が急激に低下しようとした場合であっても,この圧力低下に即座に対応してレシーバタンク160に対する圧縮気体の導入を開始できるため,レシーバタンク160内の圧力が基準圧力Psよりも大幅に低下することを防止して,消費側に安定した圧力の圧縮気体を供給することができ,従って,消費側に接続された空気作業機が停止等することを防止できるものとなっている。
【0012】
しかし,特許文献1に記載のエンジン駆動型圧縮機100の構成では,無負荷運転時にエンジンの回転速度を低下させる既知の一般的なエンジン駆動型圧縮機の構成に比較して,圧縮機本体130に設けられている軸受の交換サイクルが短くなる。
【0013】
すなわち,前述した圧縮機本体130のオス及びメスのスクリュロータのロータ軸は,軸受(ベアリング)によって支承されているが,この軸受は,正常な条件で使用していても,内輪や外輪の軌道面や転動体の転がり面が繰り返し圧縮応力を受けることで,材料の疲れによるフレーキング(表層部が鱗状にはがれる現象)を発生して使用できなくなる。
【0014】
軸受の「寿命」は,このフレーキングが発生するまでの「総回転数」として定義され,この「寿命」を迎える前に軸受を交換する必要があるが,前掲の特許文献1に記載の油冷式スクリュ圧縮機100のように,無負荷運転時においても高回転速度でエンジン150を駆動する構成では,無負荷運転時にエンジン150の回転速度を低速とする構成の既知の一般的なエンジン駆動型圧縮機100に比較して,短い作動時間のうちにフレーキングが発生する「総回転数」に達することとなることから,軸受の交換サイクルが短くなり,メンテナンス作業が煩雑となる。
【0015】
無負荷運転時におけるエンジン150の回転速度を高回転速度に維持しつつ,軸受の交換頻度を減らしてメンテナンス作業の煩雑さを解消するためには,動定格荷重(100万回転で定格寿命が得られるような,軸受にかかる方向と大きさが一定の荷重)の高い軸受を採用することも考えられるが,一般に動定格荷重が高くなる程,軸受の価格も高くなるため,動定格荷重の高い軸受の採用は油冷式スクリュ圧縮機の価格を高めることとなるだけでなく,高価な軸受の定期的な交換に伴いメンテナンス費用も嵩むことになる。
【0016】
なお,無負荷運転時に高回転速度でエンジン150を駆動する構成では,無負荷運転時にエンジン150を低回転速度で運転する既知のスクリュ圧縮機に比較して,無負荷運転時における圧縮機本体130の作動音や,エンジン150の作動音が増大するため,無負荷運転の際の騒音が増大する。
【0017】
そのため,無負荷運転時に高回転速度で運転しても,騒音の増大を抑え,又は低減することのできる構造が要望される。
【0018】
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,圧縮機本体のロータ軸を支承する軸受の交換サイクルを短くすることなく,無負荷運転時における騒音を増大させることなく,無負荷運転時の回転速度を高回転速度とすることで,無負荷運転時に大量の圧縮気体の消費が開始された場合であってもレシーバタンク内の圧力が大幅に低下して空気作業機が停止等することを防止できる油冷式スクリュ圧縮機の運転制御方法,及び前記制御方法を実行可能な油冷式スクリュ圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と,発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0020】
上記目的を達成するために,本発明の油冷式スクリュ圧縮機1の運転制御方法は,
圧縮機本体30と,前記圧縮機本体30が吐出した圧縮気体を導入するレシーバタンク60と,前記圧縮機本体30を駆動する駆動源50と,前記圧縮機本体30の吸入流路37を開閉する吸入制御装置10を備え,前記レシーバタンク60内の圧力が所定の基準圧力Ps以下のときに前記吸入流路37を全開とした全負荷運転を行うと共に,前記レシーバタンク60内の圧力が前記基準圧力Psよりも高い所定の無負荷運転圧力Puとなったときに前記吸入流路37を全閉とした無負荷運転に移行する油冷式スクリュ圧縮機1において,
前記無負荷運転時における前記駆動源50の回転速度である無負荷回転速度Ruを可変とし,
前記無負荷運転時,前記レシーバタンク60と前記圧縮機本体30の吸入口間を連通する負圧緩和流路82を介して前記レシーバタンク60内の圧縮気体を前記圧縮機本体30の前記吸入口に導入する負圧緩和処理を実行し,
前記負圧緩和流路82内を流れる圧縮気体の流量を調整する流量調整手段80を設け,前記負圧緩和処理時に前記圧縮機本体30に導入する圧縮気体の導入量を,前記無負荷回転速度Ruを相対的に低い回転速度に設定するときには相対的に減少するよう前記流量調整手段80で調整し,前記無負荷回転速度Ruを相対的に高い回転速度に設定するときには相対的に増大させるよう前記流量調整手段80で調整することを特徴とする(請求項1)。
【0021】
前記圧縮機本体30は,これを多段式の圧縮機本体30とすることができ,
前記負圧緩和処理における圧縮気体の導入を,前記圧縮機本体30を構成する低圧段圧縮機本体31の吸入口,及び/又は高圧段圧縮機本体32の吸入口に対し行うことができる(請求項2,図1及び図3参照)。
【0022】
また,前記圧縮機本体30を多段式の圧縮機本体30とする場合,
前記無負荷回転速度Ruを相対的に低い回転速度に設定するときには,前記圧縮気体の導入を,前記圧縮機本体30を構成する低圧段圧縮機本体31の吸入口(図示の例では低圧段圧縮機本体31の吸入口と連通する吸入流路37)に対してのみ行うことで,導入する圧縮気体量を相対的に減少し,
前記無負荷回転速度Ruを相対的に高い回転速度に設定するときには,前記圧縮機本体30に対する圧縮気体の導入を,前記低圧段圧縮機本体31の吸入口と高圧段圧縮機本体32の吸入口(図示の例では高圧段圧縮機本体32の吸入口と連通する中間流路33)の双方に対し行うことで,導入する圧縮気体量を相対的に増大するようにすることもできる(請求項3,図4及び図5参照)。
【0023】
更に,高圧段圧縮機本体32の吸入口に圧縮気体を導入する構成では,前記高圧段圧縮機本体32の吸入側の圧力(図示の例では高圧段圧縮機本体32の吸入側に連通する中間流路33内の圧力)を測定し,前記高圧段圧縮機本体32の吸入側の圧力が所定の圧力となるように前記高圧段圧縮機本体32の吸入口に対する前記圧縮気体の導入量を調整するものとしても良い(請求項4,図5参照)。
【0024】
更に,前述の無負荷回転速度Ruは,これを多段階又は無段階に設定可能とするものとしても良い(請求項5,図5参照)。
【0025】
また,本発明の油冷式スクリュ圧縮機1は,
圧縮機本体30と,前記圧縮機本体30が吐出した圧縮気体を導入するレシーバタンク60と,前記圧縮機本体30を駆動する駆動源50と,前記圧縮機本体30の吸入流路37を開閉する吸入制御装置10を備え,前記レシーバタンク60内の圧力が所定の基準圧力Ps以下のときに前記吸入流路37を全開とした全負荷運転を行うと共に,前記レシーバタンク60内の圧力が前記基準圧力Psよりも高い所定の無負荷運転圧力Puとなったときに前記吸入流路37を全閉とした無負荷運転に移行する油冷式スクリュ圧縮機1において,
前記無負荷運転時における前記駆動源50の回転速度である無負荷回転速度を設定する無負荷回転速度設定手段(図示の例では回転速度切替スイッチ21又は回転速度設定ボリューム22)と,
前記レシーバタンク60と前記圧縮機本体30の吸入口間を連通する負圧緩和流路82と,
前記負圧緩和流路82に設けた流量調整手段80と,
前記無負荷回転速度設定手段21又は22で設定された無負荷回転速度に応じて,前記流量調整手段80を制御する制御手段(図示の例ではコントローラ70)を備え,
前記制御手段70が,
前記無負荷回転速度設定手段21又は22により設定された前記無負荷回転速度が相対的に低い回転速度であるとき,前記負圧緩和流路82を流れる圧縮気体の流量が相対的に減少するよう前記流量調整手段80を制御し,
前記無負荷回転速度設定手段により設定された前記無負荷回転速度が相対的に高い回転速度であるとき,前記負圧緩和流路82を流れる圧縮気体の流量が相対的に増大するよう前記流量調整手段80を制御することを特徴とする(請求項6)。
【0026】
上記構成の油冷式スクリュ圧縮機1において,前記圧縮機本体30を多段式の圧縮機本体30とすることができ,
前記負圧緩和流路82の一端を前記レシーバタンク60に連通すると共に,他端を,前記圧縮機本体30を構成する低圧段圧縮機本体31の吸入口(図示の例では低圧段圧縮機本体31の吸入口と連通する吸入流路37)に連通した構成とするものとしても良い(請求項7,図1及び図3参照)。
【0027】
また,前記圧縮機本体30を多段式の圧縮機本体30とする場合,
前記負圧緩和流路82の一端を前記レシーバタンク60に連通すると共に,他端側を分岐して,分岐された一方の流路83を,前記圧縮機本体30を構成する低圧段圧縮機本体31の吸入口(図示の例では低圧段圧縮機本体31の吸入口と連通する吸入流路37)に連通すると共に,他方の流路84を,高圧段圧縮機本体32の吸入口(図示の例では高圧段圧縮機本体32の吸入口と連通する中間流路33)に連通し,前記他方の流路84と,該他方の流路84を開閉する開閉手段(図示の例では電磁弁98,電空弁99)により,前記流量調整手段80を形成するものとしても良い(請求項8,図4及び図5参照)。
【0028】
この場合,前記高圧段圧縮機本体32の吸入口内の圧力を検出する圧力検出手段(図示の例では圧力センサ72)を設けると共に,前記他方の流路84を開閉する前記開閉手段を開度調整可能な流量調整弁(図示の例では電空弁99)とし,前記制御手段70が前記圧力検出手段72の検出圧力に基づいて前記高圧段圧縮機本体32の吸入側の圧力が所定の圧力となるように前記流量調整弁99を制御するように構成するものとしても良い(請求項9,図5参照)。
【0029】
更に,前記無負荷回転速度設定手段としては,前記無負荷回転速度を多段階又は無段階に設定可能なもの(図5の回転速度設定ボリューム22参照)とすることができる(請求項10,図5参照)。
【発明の効果】
【0030】
以上で説明した本発明の構成により,本発明によれば以下の顕著な効果を得ることができた。
【0031】
無負荷運転時の駆動源50の回転速度である無負荷回転速度Ruを可変としたことで,必要な状態の時にのみ無負荷回転速度Ruを高速(一例として定格回転速度)とすることができ,常時,無負荷回転速度Ruを高速とする場合に比較して,燃費又は消費電力を抑えて低コストで油冷式スクリュ圧縮機1を運転することができた。
【0032】
さらに,前記無負荷運転時,前記レシーバタンク60内の圧縮気体を圧縮機本体30の吸入口に導入する負圧緩和処理を実行すると共に,この負圧緩和処理において圧縮機本体30の吸入口に導入する圧縮気体の導入量を,前記無負荷回転速度Ruを相対的に低い回転速度に設定するときには相対的に減少し,前記無負荷回転速度Ruを相対的に高い回転速度に設定するときには相対的に増大するように構成したことで,高回転速度での無負荷運転時には,圧縮機本体30の吸入側圧力が上昇し,低回転速度で無負荷運転をする場合と比較して吸入側と吐出側の圧力差が小さくなることで,スクリュロータのロータ軸を支承する軸受36a~36gに生じるアキシャル方向,及びラジアル方向いずれの荷重ともに減少させることができた。
【0033】
その結果,無負荷運転時の回転速度を高回転速度とした場合であっても,動定格荷重の高い軸受を使用することなく,軸受の交換サイクルが短くなることを防止できた。
【0034】
しかも,負圧緩和処理によって圧縮機本体30の吸入側の負圧が緩和されることから,圧縮機本体30の騒音を低減することができる油冷式スクリュ圧縮機1を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の1実施形態に係る油冷式スクリュ圧縮機の説明図。
図2図1の変形例を示した説明図(吸入制御装置10及び圧縮機本体30の変形例)。
図3図1の変形例を示した説明図(図1のECU51を機械式ガバナ52に変更した例)。
図4】本発明の別の実施形態に係る油冷式スクリュ圧縮機の説明図。
図5】本発明の更に別の実施形態に係る油冷式スクリュ圧縮機の説明図。
図6】従来の油冷式スクリュ圧縮機の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下,添付図面を参照しながら本発明の油冷式スクリュ圧縮機1について説明する。
【0037】
1.実施形態1
〔油冷式スクリュ圧縮機の全体構成〕
図1中の符号1は本発明の油冷式スクリュ圧縮機であり,油冷式スクリュ圧縮機1は,圧縮機本体30,前記圧縮機本体30を駆動する駆動源(本実施形態ではエンジン50),前記圧縮機本体30より吐出された圧縮気体を貯留するレシーバタンク60を備え,圧縮機本体30より吐出された圧縮気体を,レシーバタンク60内に貯留した後,逆止弁61を介して図示せざる空気作業機等が接続された消費側に供給するように構成されている。
【0038】
本発明で運転制御の対象とするエンジン駆動型圧縮機1は,圧縮機本体30として圧縮作用空間の潤滑,冷却及び密封のために潤滑油と共に被圧縮気体を圧縮する油冷式のスクリュ圧縮機を搭載したものであり,圧縮機本体30が潤滑油と共に吐出した圧縮気体を,一旦,レシーバタンク60内に導入することで,圧縮気体と潤滑油を気液分離し,潤滑油が分離された後の圧縮気体をオイルセパレータ60aを通過させた後,消費側に供給すると共に,レシーバタンク60内に回収された潤滑油を,オイルフィルタ62及びオイルクーラ63を備えた給油流路64を介して再度,圧縮機本体30に給油することで,潤滑油を循環使用することができるように構成されている。
【0039】
〔圧縮機本体〕
図示の実施形態において,油冷式スクリュ圧縮機1に設けられた圧縮機本体30は,所謂「二段圧縮機」と呼ばれるもので,紙面上段に配置された低圧段圧縮機本体31の吐出口を,中間流路33を介して紙面下段に配置された高圧段圧縮機本体32の吸入口に連通することで,低圧段圧縮機本体31で圧縮された圧縮気体を,更に高圧段圧縮機本体32で圧縮することができるように構成したものである。
【0040】
低圧段,高圧段の各圧縮機本体31,32は,それぞれケーシング内にロータ室を備え,このロータ室内に両端を軸受(36a~36g)で支承されたオス,メス一対のスクリュロータ34,34’;34,35’(図1において他方のロータ34’,35’は,一方のロータ34,35の背面に隠れている)がそれぞれ噛み合い回転可能に収容されていると共に,スクリュロータ34,35のロータ軸に対し,増速装置40を介してエンジンやモータ等の駆動源(図示の例ではエンジン50)からの回転駆動力を入力することができるように構成している。
【0041】
この油冷式スクリュ圧縮機1のケーシングには,前述した低圧段圧縮機本体31の吸入口に連通する吸入流路37,低圧段圧縮機本体の吐出口と高圧段圧縮機本体の吸入口間を連通する中間流路33,及び高圧段圧縮機本体32の吐出口に連通する吐出流路38が形成されており,吸入流路37を介して導入された被圧縮気体が,低圧段圧縮機本体31で圧縮されて吐出された後,更に高圧段圧縮機本体32で圧縮され,吐出流路38を介して前述のレシーバタンク60に導入されるように構成されている。
【0042】
なお,図1に示した油冷式スクリュ圧縮機1は,圧縮機本体30として二段式の圧縮機本体30を備えた構成として説明したが,本発明の油冷式スクリュ圧縮機1は,二段式の圧縮機本体30を備えた構成に限定されず,図2に示すように単段式の圧縮機本体を備えたものであっても良く,更には二段以上の多段式の圧縮機本体を備えたものにも応用可能である。
【0043】
また,図1に示した実施形態では,圧縮機本体30が増速装置40を備えた構成を示したが,本発明の構成は,増速装置40を備えていない圧縮機本体30を備えた油冷式スクリュ圧縮機に対しても応用可能であり,図示の構成に限定されるものではない。
【0044】
〔容量制御装置〕
以上のように構成された油冷式スクリュ圧縮機1では,消費側に安定した圧力の圧縮気体を供給することができるようにするために,レシーバタンク60内の圧力変化に応じて圧縮機本体30の吸気を制御すると共に,エンジン50の回転速度を制御する,容量制御が行われる。
【0045】
このような容量制御を行うために,図示の油冷式スクリュ圧縮機1には,圧縮機本体30の吸入流路37を開閉制御する吸入制御装置10と,エンジン50の回転速度を制御する速度制御装置が設けられている。
【0046】
(1)吸入制御装置
図1に示す実施形態において,前述の吸入制御装置10は,圧縮機本体30の吸入流路37に設けたバタフライ弁11,このバタフライ弁11の回動軸に連結されたレバー12,バタフライ弁11を作動させるアクチュエータであるエアシリンダ13,このエアシリンダ13のピストンロッドと前記レバー12を連結する,連結杆14により構成されている。
【0047】
この吸入制御装置10の動作は,レシーバタンク60内の圧力変化に応じて制御手段であるコントローラ70によって制御され,コントローラ70による吸入制御装置10の制御を可能とするために,油冷式スクリュ圧縮機1には,レシーバタンク60内の圧力を検出する圧力検出手段である圧力センサ71が設けられている。
【0048】
また,レシーバタンク60内の圧力を作動圧力として前述した吸入制御装置10を作動させることができるよう,一端をレシーバタンク60に連通した制御流路81が設けられており,この制御流路81の他端を前述したエアシリンダ13に連通すると共に,コントローラ70は,前述した圧力センサ71が検出したレシーバタンク60内の圧力に対応して,制御流路81中に設けた電空弁91の開閉及び開度を制御することで,吸入制御装置10により圧縮機本体30の吸入流路37の開閉及び開度を制御することができるように構成されている。
【0049】
コントローラ70は,予め設定された基準圧力Psを記憶すると共に,圧力センサ71が検出したレシーバタンク60内の圧力と前記基準圧力Psとを比較して圧力センサ71の検出圧力が基準圧力Psを超えると,予め設定された対応関係に基づき電空弁91を開弁させる制御信号を出力する。
【0050】
すなわち,検出圧力と基準圧力Psとの圧力差と,電空弁の開度との対応関係を予め設定しておき,コントローラ70は,検出圧力と基準圧力Psとの圧力差に応じて前述した制御信号の信号強度を変化させることで,圧力差が0以下(検出圧力が基準圧力以下)のときには電空弁91の内部通路を閉塞し,圧力差が小さいときには電空弁の開度を小さく,圧力差が大きいときには開度を大きくする制御信号を出力する。
【0051】
吸入制御装置10のエアシリンダ13に供給された圧縮空気の圧力が低いとき,即ち,電空弁91の開度が小さく,電空弁91の二次側における制御流路81内の圧力が低いときには,エアシリンダ13のロッドは縮小して,バタフライ弁11が圧縮機本体30の吸入流路37を開いている一方,電空弁91の開度が大きく,電空弁91の二次側における制御流路81内の圧力が高くなってエアシリンダ13に供給される圧縮空気の圧力が高くなると,エアシリンダ13のロッドが伸長し,バタフライ弁11が吸入流路37を閉じ,又は全閉する。
【0052】
これにより,コントローラ70は,レシーバタンク60内の圧力が所定の基準圧力Ps以下では,圧縮機本体30の吸入流路37が全開となるように吸入制御装置10を作動させ,レシーバタンク60内の圧力が前述した基準圧力Psよりも所定の高い圧力として設定された無負荷運転圧力Puに至ると,圧縮機本体30の吸入流路37を全閉とするように吸入制御装置10の動作を制御する。
【0053】
なお,図示の実施形態では,前述した吸入制御装置10をバタフライ弁11とエアシリンダ13,並びにこれらの間を連結する連結杆14やレバー12によって構成する例を説明したが,吸入制御装置10は,圧縮機本体30の吸気を制御し得るものであれば,既知の各種構造のものを採用可能である。
【0054】
一例として,図2は,吸入制御装置10を,ノーマリオープン型の吸入制御弁11’によって構成した例である。
【0055】
この吸気制御弁11’は,閉弁受圧室15に対しレシーバタンク60内の圧縮気体を導入することで閉弁して圧縮機本体30の吸入流路37を閉じるように構成されており,図示の実施形態では,そのボディ(弁箱)16内に形成された空間によって,圧縮機本体30の吸入流路37に連通する吸気路17が形成されていると共に,この吸気路17内に設けた弁座17aに,弁体18を着座させることで,吸気路17を閉塞,従って圧縮機本体30の吸入流路37を閉塞することができるように構成している。
【0056】
(2)速度制御装置
前述したエンジン50には,コントローラ70が出力した回転速度指示信号を受信してエンジン50の回転速度を制御するエンジンコントロールユニット(以下,「ECU」と記載する。)51が設けられており,前述のコントローラ70は,予め記憶させておいた対応関係に基づきECU51に対して回転速度指示信号を出力する。
【0057】
従って,図1の実施形態では,コントローラ70とECU51によって,エンジンの回転速度を制御する速度制御装置が実現されている。
【0058】
図1に示す実施形態では,無負荷運転速度設定手段を,二位置切替スイッチである回転速度切替スイッチ21により構成し,回転速度切替スイッチ21を紙面左側の「低速」の位置に操作すると,コントローラ70は,無負荷回転速度を,所定の低速無負荷回転速度LRuに設定すると共に,紙面右側の「高速」位置に操作すると,前記低速無負荷回転速度LRuに対し所定の高い回転速度として設定されている高速無負荷回転速度HRuに設定する。
【0059】
この高速無負荷回転速度HRuは,前述した低速無負荷回転速度LRuよりも高い回転速度の範囲から適宜設定することができ,速度制御における最大の回転速度であるエンジンの定格回転速度Rrを高速無負荷回転速度HRuとして設定するものとしても良い。
【0060】
一例として図1に示す油冷式スクリュ圧縮機1では,回転速度切替スイッチ21を「低速」とした場合,エンジン50の回転速度範囲の最低値(例えば1100min-1)を低速回転速度LRuとして設定,速度切替スイッチを「高速」とした場合には,エンジン50の定格回転速度(例えば1900min-1)を高速無負荷回転速度HRuに設定する。
【0061】
コントローラ70は,低速無負荷回転速度LRuが選択された場合と,高速無負荷回転速度HRuが選択された場合のそれぞれについて,圧力センサ71が検出したレシーバタンク60内の圧力と基準圧力Psの圧力差と,エンジン50のECU51に対して出力する回転速度指示信号の対応関係を記憶しており,コントローラ70は,圧力差が0以下(検出圧力が基準圧力以下)のときには,エンジン50の回転速度を容量制御時におけるエンジンの回転速度範囲の最高値である定格回転速度Rrとすることを指令する回転速度指示信号をECU51に対し出力し,圧力差が基準圧力に対し所定の高い圧力として設定した無負荷運転圧力Puに至ったことを示す値になると,エンジン50の回転速度を,回転速度切替スイッチ21で設定された,高速又は低速いずれかの無負荷回転速度(HRu又はLRu)とすることを指令する回転速度指示信号をECU51に対し出力する。
【0062】
なお,図1に示す実施形態では,エンジン50の速度制御をコントローラ70の回転速度指令信号に基づいてECU51が制御する構成について説明したが,図1におけるECU51に代えて,図3に示すようにエンジン50に機械式ガバナ52と,この機械式ガバナ52を作動させるアクチュエータであるエアシリンダ53を設け,制御流路81をこのエアシリンダ53に連通して,レシーバタンク60内の圧力によって,機械式ガバナ52を作動させてエンジン50の回転速度を制御できるようにしても良い。
【0063】
図3に示す実施形態では,図1に示す構成において制御流路81に設けていた電空弁91に代えて圧力調整弁92を設け,レシーバタンク60内の圧力が基準圧力Ps以上に上昇すると圧力調整弁92が制御流路81を開き始め,レシーバタンク60内の圧力が無負荷運転圧力Puに至ると制御流路81を全開とするように構成することで,圧力センサ71が検出した圧力に基づくコントローラ70による電気的な制御に代え,制御流路81の開閉を機械的に制御するように構成している。
【0064】
この場合,機械式ガバナ52を作動させるエアシリンダ53の一次側における制御流路81に電磁弁93を設け,回転速度切替スイッチ21を「高速」側に操作した際,コントローラ70は制御流路81を閉じる動作を行わせる信号を電磁弁93に対し出力するように構成することで,レシーバタンク60内の圧力変化によってエンジンの回転速度が変化せず,圧縮機本体30の吸入流路37を閉じた状態で行われる無負荷運転が,高速(定格回転速度)で行われるように構成しても良い。
【0065】
また,図1に示す実施形態では,回転速度切替スイッチ21により無負荷回転速度を,低速無負荷回転速度LRuと高速無負回転速度HRuのいずれか一方を択一的に選択するように構成した例を示したが,二位置切替スイッチである回転速度切替スイッチ21に代え,図5に示すように可変抵抗器等のボリュームスイッチ(回転速度設定ボリューム22)とし,無負荷回転速度を多段階,又は無段階に設定できるように構成しても良い。
【0066】
〔負圧緩和流路〕
レシーバタンク60と圧縮機本体30の吸入流路37との間は,バキュームレリーフ弁94を備えた負圧緩和流路82によって連通されており,吸入制御装置10が吸入流路37を閉じた際にレシーバタンク60内の圧縮気体を導入して吸入流路37内の負圧を緩和する。
【0067】
この負圧緩和流路82に設けたバキュームレリーフ弁94は,導入口94aと排出口94b,及び受圧室に連通する受圧口94cを備え,このうちの導入口94aは負圧緩和流路82を介してレシーバタンク60に,排出口94bは圧縮機本体30の吸入流路37にそれぞれ連通されていると共に,受圧口94cは電空弁91の二次側で制御流路81と連通しており,受圧口94cを介して受圧室に圧縮空気が導入されると,内部に形成されている通路が開いて導入口94aと排出口94bとが連通する構造となっている。
【0068】
従って,レシーバタンク60内の圧力が基準圧力Psを超えて電空弁91が開いて電空弁91の二次側の制御流路81にレシーバタンク60の圧縮気体が導入されると,吸入制御装置10が圧縮機本体30の吸入流路37を閉じると共に,バキュームレリーフ弁94の受圧室に対しても圧縮気体が導入されて負圧緩和流路82が開き,レシーバタンク60内の圧縮気体が圧縮機本体30の吸入流路37に導入されるようになっている。
【0069】
バキュームレリーフ弁94の二次側において,負圧緩和流路82には絞り95を備えた主通路82aと,この絞り95を迂回する副通路82bを備え,このうちの副通路82bに絞り97と共に電磁弁96を設けることで,副通路82bを開閉可能に構成している。
【0070】
そして,コントローラ70は,回転速度切替スイッチ21が「低速」に切り換えられているときには副通路82bに設けた電磁弁96を閉じ,「高速」に切り換えられているときには副通路82bに設けた電磁弁96を開く信号を出力するように構成されており,低速時に対し,高速時では負圧緩和流路82を通過して圧縮機本体30に導入される圧縮気体量を相対的に増大させることができるように構成されている。
【0071】
従って,図1に示す実施形態では前述の副通路82bとこれを開閉する電磁弁96により,負圧緩和流路82を通過する圧縮気体の流量を変化させる流量調整手段80が構成されている。
【0072】
〔作用及び効果〕
以上のように構成された図1に記載の油冷式スクリュ圧縮機1において,消費側に多量の圧縮気体を消費する空気作業機が接続されている場合等,低速での無負荷運転状態で圧縮気体の消費が開始されるとエンジン50の回転速度の立ち上がりの遅れによってレシーバタンク60内の圧力が基準圧力Psに対し大幅に低下するおそれがある場合には,無負荷回転速度設定手段である回転速度切替スイッチ21を操作して,無負荷回速度として,高速無負荷回転速度(本実施形態において定格回転速度)を選択する。
【0073】
この回転速度切替スイッチ21の操作により,コントローラ70は負圧緩和流路82の副通路82bに設けた電磁弁96に対し,これを開く信号を出力する。
【0074】
そして,コントローラ70は,圧力センサ71からの検出信号に基づいてレシーバタンク60内の圧力を監視し,レシーバタンク60内の圧力が基準圧力Psとなるまで電空弁91を閉じる信号を出力すると共に,ECU51に対して定格回転速度Rrの回転速度指示信号を出力する。
【0075】
これにより,油冷式スクリュ圧縮機1は,吸入制御装置10によって圧縮機本体30の吸入流路37が全開とされた状態で,エンジン50が定格回転速度Rrで運転された,全負荷運転を行う。
【0076】
このように,全負荷運転時には電空弁91が閉じているのでバキュームレリーフ弁94も閉じていることから,圧縮機本体30の吸入流路37に対し,負圧緩和流路82を介してレシーバタンク60内の圧縮気体が導入されることもない。
【0077】
このような全負荷運転の継続により,レシーバタンク60内の圧力が上昇して基準圧力Psを超えると,コントローラ70は予め記憶している対応関係に基づき,圧力センサ71が検出した圧力と基準圧力Psの圧力差に応じた開度信号を電空弁91に対して出力する。
【0078】
これにより,電空弁91が制御流路81を開き,レシーバタンク60内の圧縮気体が吸入制御装置10のエアシリンダ13に導入されて吸入制御装置10による圧縮機本体30の吸入流路37の閉動作が開始されると共に,バキュームレリーフ弁94の受圧室に対する圧縮気体の導入が開始され,バキュームレリーフ弁94が開き,負圧緩和流路82を介してレシーバタンク60内の圧縮気体が圧縮機本体30の吸入流路37に導入される。
【0079】
コントローラ70は,圧力センサ71の検出信号に基づき,レシーバタンク60内の圧力上昇に応じて電空弁91に対し出力する信号を変化させて電空弁91の開度を増大させ,これに伴い,吸入制御装置10は,圧縮機本体30の吸入流路37を絞り,レシーバタンク60内の圧力が所定の無負荷運転圧力Puに達すると,吸入制御装置10は圧縮機本体30の吸入流路37を全閉として,無負荷運転に移行する。
【0080】
但し,コントローラ70は,回転速度切替スイッチ21が「高圧」側へ操作されていることに対応して,無負荷回転速度Ruを高速無負荷回転速度HRu(本実施形態において「定格回転速度」)に設定しているため,無負荷運転に移行してもエンジン50の回転速度を低下せず,高速無負荷回転速度HRu(定格回転速度)に維持する回転速度指示信号をエンジン50のECU51に対し出力する。
【0081】
このように,回転速度切替スイッチ21により「高速」が設定されている場合,無負荷運転に移行してもエンジン50は高回転速度での運転を維持することになるが,無負荷運転時には,バキュームレリーフ弁94により負圧緩和流路82を開いていると共に,コントローラ70が負圧緩和流路82の副通路82bに設けた電磁弁96を開いているため,レシーバタンク60内の圧縮気体が,負圧緩和流路82の主通路82aと副通路82bの双方を通って圧縮機本体30の吸入流路37に導入される。
【0082】
その結果,無負荷運転時に圧縮機本体30を高速回転させたとしても,圧縮機本体30の吸入流路37に対しては,電磁弁96が閉じた「低速」設定の場合に比較して吸入流路37に導入される圧縮気体量が増加して圧縮機本体30の吸入側と吐出側の間の圧力差が大幅に緩和されることから,軸受36a~36gにかかるスラスト方向,アキシャル方向のいずれの荷重ともに低減させることができる。
【0083】
その結果,回転速度を高めたことに伴う軸受の転がり疲れの進行速度の上昇を,荷重の低減によって遅らせて相殺することができ,軸受の交換サイクルが短くなることを防止することができる。
【0084】
また,圧縮機本体30の吸入流路37に対し導入される圧縮気体の増量により,圧縮機本体30の吸入側の負圧が緩和されることで,圧縮機本体30の騒音が増大することを抑制できる。
【0085】
2.実施形態2
以上,図1を参照して説明した油冷式スクリュ圧縮機1の構成では,圧縮機本体30の吸入口に対する圧縮気体の導入を,低圧段側圧縮機本体31の吸入口と連通した吸入流路37を介してのみ行う構成について説明した。
【0086】
これに対し,図4に示す実施形態では,レシーバシンク60に一端を連通した負圧緩和流路82の他端を二方向に分岐し,一方の分岐流路83を,吸入流路37を介して低圧段圧縮機本体31の吸入口に連通すると共に,他方の分岐流路84を,低圧段圧縮機本体31の吐出口と高圧段圧縮機本体32の吸入口間を連通する中間流路33に連通している。
【0087】
そして,中間流路33に連通した他方の分岐流路84に電磁弁98を設け,回転速度切替スイッチ21により無負荷回転速度として「高速」が設定されている場合に他方の分岐流路84の電磁弁98を開き,高圧段側圧縮機本体32の吸入口に対し圧縮気体を導入できるように構成した。
【0088】
従って,図4に示す実施形態では,この電磁弁98によって他方の分岐流路84を開閉することで,負圧緩和流路82を通過して圧縮機本体30に導入される圧縮気体の流量を変化させる流量調整手段80が構成されている。
【0089】
その他の構成は,図1における油冷式スクリュ圧縮機1の構成と同様である。
【0090】
以上のように構成された図4の油冷式スクリュ圧縮機1の構成より,回転速度切替スイッチ21を「高速」側に操作した状態で油冷式スクリュ圧縮機1を始動すると,コントローラ70は,レシーバタンク60内の圧力が基準圧力Ps以下の状態では電空弁91を閉じた状態,従って,圧縮機本体30の吸入流路37を全開とした状態と成すと共に,ECU51に対しエンジン50の回転速度を定格回転速度Rrと成す回転速度指示信号を出力して全負荷運転を行う。
【0091】
全負荷運転の継続によって,レシーバタンク60内の圧力が基準圧力Psを超えると,コントローラ70はこの圧力上昇に応じて電空弁91の開度を拡大し,これにより電空弁91の二次側における制御流路81内の圧力が上昇して吸入制御装置10が圧縮機本体30の吸入流路37を閉じ始め,レシーバタンク60内の圧力が所定の無負荷運転圧力Puに至ると,圧縮機本体30の吸入流路37が全閉となって無負荷運転に移行する。
【0092】
但し,コントローラ70は,回転速度切替スイッチ21による選択に従い,無負荷回転速度Ruを高速無負荷回転速度HRu(本実施形態では定格回転速度)に設定するため,エンジン50の回転速度は全負荷運転時の回転速度をそのまま維持する。
【0093】
また,電空弁91の開弁によって電空弁91の二次側における制御流路81内の圧力が上昇してバキュームレリーフ弁94の受圧室に圧縮気体が供給されるとバキュームレリーフ弁94の内部通路が開き,レシーバタンク60内の圧縮気体が負圧緩和流路82の一方の分岐流路83を介して圧縮機本体30の吸入流路37に導入される。
【0094】
このように,無負荷運転回転速度が「高速」に設定されている場合に,中間流路33を介して高圧段圧縮機本体32の吸入側に圧縮気体を導入することで,高圧段圧縮機本体32の吸入側と吐出側の圧力差を小さくでき,低圧段圧縮機本体31の軸受36a~36cに比較してより大きな荷重がかかっている高圧段圧縮機本体32の軸受36d~36gに加わる荷重を好適に低減することができ,無負荷運転を高回転速度で行った場合であっても,高圧段圧縮機本体32のロータ軸を支承する軸受36d~36gの交換サイクルが短くなることを防止することができた。
【0095】
なお,中間流路33に圧縮気体を導入することで,無負荷運転時の低圧段圧縮機本体31の吸入流路37と吐出側(中間流路33)の圧力差は,中間流路33に対し圧縮気体の導入を行わない場合に比較して大きくなる。
【0096】
しかし,無負荷運転時における低圧段圧縮機本体31の吸入側と吐出側の圧力差(吸入流路37と中間流路33の圧力差)は,高圧段圧縮機本体32の吸入側と吐出側の圧力差(中間流路33と吐出流路38の圧力差)に比較して十分に小さいだけでなく,全負荷運転時における低圧段圧縮機本体31の吸入側と吐出側の圧力差に比較しても十分に小さなものとなっており,無負荷運転時に中間流路33に圧縮気体を導入することで低圧段圧縮機本体31の吸入側と吐出側の圧力差が多少大きくなったとしても,低圧段圧縮機本体31の軸受36a~36cにかかる荷重は依然小さいままであり,その交換サイクルを短くするものではない。
【0097】
一方,無負荷運転時における高圧段圧縮機本体32の吸入側と吐出側の圧力差(中間流路33と吐出流路38の圧力差)は,全負荷運転時における圧力差よりも大きくなることから,無負荷運転時,高圧段圧縮機本体32の軸受36d~36gにはスラスト方向,アキシャル方向のいずれともに大きな負荷がかかっており,このように大きな負荷がかかった状態で高圧段圧縮機本体32を高回転速度で駆動すると,軸受36d~36gの交換サイクルは大幅に短くなる。
【0098】
従って,本実施形態のように無負荷運転時に中間流路33に対して圧縮気体を導入し,中間流路内の圧力を高めて高圧段圧縮機本体32の吸入側と吐出側の圧力差(中間流路33と吐出流路38の圧力差)を小さくすることで軸受36d~36gにかかる負荷を低減することで,より大きな荷重がかかっている高圧段圧縮機本体32の軸受36d~36gの交換サイクルを延ばすことができる。
【0099】
その結果,無負荷運転時において圧縮機本体を高速回転させたとしても,低速でのみ無負荷運転を行う場合に比較して軸受36a~36gの交換サイクルが短くなることを防止できた。なお,図4を参照して説明した本実施形態の構成では,無負荷回転速度を高速に設定した際,低圧段圧縮機本体31の吸入口(吸入流路37)と高圧段圧縮機本体32の吸入口(中間流路33)の双方に対し負圧緩和流路82を介してレシーバタンク60内の圧縮気体の導入を行う構成を説明したが,前述したように,高圧段圧縮機本体32の吸入口に対する圧縮気体の導入は,軸受にかかる負荷を軽減する上で有効であることから,例えば図1を参照して説明した構成において低圧段圧縮機本体31の吸入口(吸入流路37)に連通されている負圧緩和流路82の他端を,高圧段圧縮機本体32の吸入口(中間流路33)に連通し,圧縮機本体30に対する圧縮気体の導入を,高圧段圧縮機本体32の吸入口を介して行うように構成するものとしても良い。
【0100】
3.実施形態3
図4を参照して説明した実施形態2の油冷式スクリュ圧縮機1の構成では,回転速度切替スイッチ21によって無負荷回転速度を「高速」と「低速」の二位置間でのみ切替可能と成すと共に,中間流路33に圧縮気体を導入する他方の分岐流路84に電磁弁98を設け,他方の分岐流路84の開閉のみ制御するように構成した。
【0101】
これに対し,図5に示す実施形態では,回転速度切替スイッチ21を可変抵抗器等によって多位置又は無段階に切替可能な回転速度設定ボリューム22として構成し,無負荷回転速度を多段階又は無段階に設定できるように構成した。
【0102】
また,中間流路33に圧縮気体を導入する前述の他方の分岐流路84に電空弁99を設け,コントローラ70からの制御信号によって他方の分岐流路84の開閉制御のみならず,開度についても制御できるように構成すると共に,低圧段圧縮機本体31と高圧段圧縮機本体32間を連通する中間流路33内の圧力を検出する圧力検出手段(圧力センサ)72を設けている。
【0103】
これにより,コントローラ70は,回転速度設定ボリューム22を操作して無負荷回転速度を最低速回転に設定したときに電空弁99を閉じ,回転速度設定ボリューム22を最低速回転から高速回転側へ操作して高い回転速度に設定すると,回転速度設定ボリューム22の操作量に応じて前記最低速回転に対し所定の高い回転速度を無負荷回転速度として設定する。
【0104】
そして,コントローラ70は,圧力センサ72が検出した中間流路33内の圧力が,予め設定された所定の圧力となるように他方の分岐流路84に設けた電空弁99の開度を制御する。
【0105】
このように,回転速度設定ボリューム22の操作により無負荷回転速度を最低速回転速度よりも高い回転速度に設定した場合,負圧緩和流路82が開いて低圧段圧縮機本体31の吸入流路37に対する圧縮気体の導入が行われるだけでなく,他方の分岐流路84及び中間流路33を介して高圧段圧縮機本体32の吸入口に対しても圧縮気体が導入されることで,高圧段圧縮機本体32の吸入側と吐出側間の圧力差も小さくなり,低圧段圧縮機本体31及び高圧段圧縮機本体32の軸受36a~36gに掛かる荷重が低下することから,無負荷運転時において圧縮機本体30を高速回転速度で運転した場合であっても,軸受36a~36gの交換サイクルを,低速でのみ無負荷運転を行う場合の交換サイクルよりも短くする必要がない点は,図4を参照して説明した前掲の実施形態2として紹介した油冷式スクリュ圧縮機1の場合と同様である。
【0106】
また,本実施形態(実施形態3)の油冷式スクリュ圧縮機1では,回転速度設定ボリューム22の採用によって無負荷回転速度を多段階又は無段階に設定可能であることから,消費側に接続されている空気作業機における圧縮気体の消費量や,運転状態等に合わせて無負荷運転回転速度の設定が可変であり,低速無負荷回転速度では無負荷運時における圧縮気体の消費開始によってレシーバタンク内の圧力が基準圧力以下に低下するおそれがあるが,定格回転で無負荷運転を行う場合には過剰性能となり,むしろ燃費の点で不利となるような場合では,無負荷回転速度を最低値よりも高く定格回転速度よりも低い範囲で適宜設定できるので,無負荷運転時における燃料消費量や消費電力等の最適化を行うことができる点でも有利である。
【0107】
しかも,中間流路33内の圧力を検出して,無負荷回転速度の設定が変化しても中間流路33内の圧力が所定の圧力範囲となるように制御することから,圧縮気体を中間流路33に導入しすぎて,導入された圧縮気体を高圧段圧縮機本体32で再圧縮する動力が増大し無負荷運転時の消費動力が増加するといった不都合の発生についても好適に防止することができた。
【符号の説明】
【0108】
1 油冷式スクリュ圧縮機
10 吸入制御装置
11 吸入制御弁(バタフライ弁)
11’ 吸入制御弁(ノーマリオープン型)
12 レバー
13 アクチュエータ(エアシリンダ)
14 連結杆
15 閉弁受圧室
16 ボディ
17 吸気路
17a 弁座
18 弁体
21 回転速度切替スイッチ(無負荷回転速度設定手段)
22 回転速度設定ボリューム(無負荷回転速度設定手段)
30 圧縮機本体
31 低圧段圧縮機本体
32 高圧段圧縮機本体
33 中間流路
34,35(34’,35’) スクリュロータ
36a~36g 軸受
37 吸入流路
38 吐出流路
40 増速装置
50 エンジン
51 エンジンコントロールユニット(ECU)
52 機械式ガバナ
53 アクチュエータ(エアシリンダ)
60 レシーバタンク
60a オイルセパレータ
61 逆止弁
62 オイルフィルタ
63 オイルクーラ
64 給油流路
70 コントローラ(制御手段)
71 圧力検出手段(圧力センサ)(レシーバタンク用)
72 圧力検出手段(圧力センサ)(中間流路用)
80 流量調整手段
81 制御流路
82 負圧緩和流路
82a 主通路
82b 副通路
83 一方の分岐流路
84 他方の分岐流路
91,99 電空弁
92 圧力調整弁
93,96,98 電磁弁
94 バキュームレリーフ弁
94a 導入口
94b 排出口
94c 受圧口
95,97 絞り
100 油冷式スクリュ圧縮機
111 吸入制御弁
130 圧縮機本体
137 吸入流路
150 駆動源(エンジン)
160 レシーバタンク
160a オイルセパレータ
162 オイルフィルタ
163 オイルクーラ
164 給油流路
Ps 基準圧力
Pu 無負荷運転圧力
Rr 定格回転速度
Ru 無負荷回転速度
HRu 高速無負荷回転速度
LRu 低速無負荷回転速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6