(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】車両用ドア制御装置
(51)【国際特許分類】
E05B 81/76 20140101AFI20220720BHJP
E05B 85/12 20140101ALI20220720BHJP
E05B 81/56 20140101ALI20220720BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20220720BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20220720BHJP
【FI】
E05B81/76
E05B85/12 E
E05B81/56
B60J5/00 H
G06F3/0484
(21)【出願番号】P 2018092002
(22)【出願日】2018-05-11
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】西塚 三男
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0077227(US,A1)
【文献】特開2017-172140(JP,A)
【文献】特開2003-206675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 81/76
E05B 85/12
E05B 81/56
B60J 5/00
G06F 3/0484
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ドア制御装置において、
ドアの車両室内側に設けられたスワイプ操作部と、
少なくとも前記スワイプ操作部に設けられ、前記スワイプ操作部に沿って人体を移動させるスワイプ操作を検知する検知部と、
ドアの閉扉状態を保持するドアロック装置と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記スワイプ操作を判断した場合に、前記ドアロック装置によるドアの閉扉状態を解除するコントローラーと、を有
し、
前記検知部は、ユーザーの接触を静電容量の変化で検知する静電容量センサーであり、
前記静電容量センサーは、前記スワイプ操作の方向にかけて上流側から下流側に間隔を隔てて複数配置されており、
前記コントローラーは、
最上流の前記静電容量センサーについてのみセンサー入力を受付可能とし、当該最上流の前記静電容量センサー以外の前記静電容量センサーについてセンサー入力を受付不能とする待機処理を実行し、
前記待機処理の開始後、センサー入力を受付可能としている前記静電容量センサーについてセンサー入力を受け付けた場合に、当該静電容量センサーに隣接した下流側の前記静電容量センサーについてセンサー入力を受付不能から受付可能に切り替える切替処理を実行する
車両用ドア制御装置。
【請求項2】
ドアの車両室内側に設けられ、ドア開閉時に持ち手となる持ち手部をさらに有し、
前記スワイプ操作部は、前記持ち手部に連続するように造形されており、
前記コントローラーは、前記スワイプ操作部を前記持ち手部に向かって移動するスワイプ操作を判断した場合に、前記ドアロック装置によるドアの閉扉状態を解除する
請求項1記載の車両用ドア制御装置。
【請求項3】
ドアの車両室内側に設けられ、ドア開閉時に持ち手となる持ち手部をさらに有し、
前記スワイプ操作部は、前記持ち手部の造形の一部若しくは全部に跨がるように設定されている、又は前記持ち手部の造形の一部若しくは全部に重畳して設定されている
請求項1記載の車両用ドア制御装置。
【請求項4】
少なくとも前記スワイプ操作部に設けられ、前記スワイプ操作の方向を照明でガイドする照明部をさらに有する
請求項1から3のいずれか記載の車両用ドア制御装置。
【請求項5】
前記ドアロック装置は、車体に対して係合することでドアの閉扉状態を保持するラッチを備え、
前記コントローラーは、前記スワイプ操作を判断した場合に、前記ラッチの解除を行うとともに、ドアの開放角度が閾値以上に到達するまで、前記ラッチの解除を継続する
請求項1から4のいずれか記載の車両用ドア制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ドアロック装置が開示されている。このドアロック装置は、ドアを閉状態に保持するラッチ部材と、ラッチ部材をロックするボール部材と、ドアグリップへの接触を検知してドア開指示信号を発生するロック解除指示手段と、ドア開指示信号に応じてボール部材によるラッチ部材のロックを解除するロック解除手段と、を有している。このドアロック装置によれば、ユーザーがドアグリップを掴むと、ドアグリップへの接触が検知されてドア開指示信号が発生する。これにより、ラッチ部材のロックが解除され、ドアを開方向に駆動することによりドアを開けることができる。したがって、ドアグリップを掴むというドアを開放するための人の操作に応答するので、意識的な操作を必要としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された手法によれば、単一のセンサー電極をドアグリップに配置して、静電容量の変化からドアグリップへの接触を検知している。そのため、ユーザーがドア開放を意図することなくドアグリップに咄嗟に触れてしまったような場合でも、ラッチ部材のロックが解除されてしまうという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザーの操作意思を適切に反映することができる車両用ドア制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明に係る車両用ドア制御装置は、ドアの車両室内側に設けられたスワイプ操作部と、少なくともスワイプ操作部に設けられ、スワイプ操作部に沿って人体を移動させるスワイプ操作を検知する検知部と、ドアの閉扉状態を保持するドアロック装置と、検知部の検知結果に基づいてスワイプ操作を判断した場合に、ドアロック装置によるドアの閉扉状態を解除するコントローラーと、を有し、検知部は、ユーザーの接触を静電容量の変化で検知する静電容量センサーであり、静電容量センサーは、スワイプ操作の方向にかけて上流側から下流側に間隔を隔てて複数配置されており、コントローラーは、最上流の静電容量センサーについてのみセンサー入力を受付可能とし、当該最上流の静電容量センサー以外の静電容量センサーについてセンサー入力を受付不能とする待機処理を実行し、待機処理の開始後、センサー入力を受付可能としている静電容量センサーについてセンサー入力を受け付けた場合に、当該静電容量センサーに隣接した下流側の静電容量センサーについてセンサー入力を受付不能から受付可能に切り替える切替処理を実行する。
【0007】
ここで、本発明は、ドアの車両室内側に設けられ、ドア開閉時に持ち手となる持ち手部をさらに有していてもよい。この場合、スワイプ操作部は、持ち手部に連続するように造形されており、コントローラーは、スワイプ操作部を持ち手部に向かって移動するスワイプ操作を判断した場合に、ドアロック装置によるドアの閉扉状態を解除することが好ましい。
【0008】
また、本発明は、ドアの車両室内側に設けられ、ドア開閉時に持ち手となる持ち手部をさらに有していてもよい。この場合、スワイプ操作部は、持ち手部の造形の一部若しくは全部に跨がるように設定されている、又は持ち手部の造形の一部若しくは全部に重畳して設定されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、少なくともスワイプ操作部に設けられ、スワイプ操作の方向を照明でガイドする照明部をさらに有することが好ましい。
【0010】
また、本発明において、ドアロック装置は、車体に対して係合することでドアの閉扉状態を保持するラッチを備え、コントローラーは、スワイプ操作を判断した場合に、ラッチの解除を行うとともに、ドアの開放角度が閾値以上に到達するまで、ラッチの解除を継続することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザーの操作意思を適切に反映することができる車両用ドア制御装置及び車両用制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る車両用ドア制御装置が適用されるサイドドアを示す正面図
【
図8】本実施形態に係る車両用ドア制御装置の動作を説明するフローチャート
【
図9】本実施形態に係る車両用ドア制御装置の動作を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係る車両用ドア制御装置10を車両のサイドドア1に適用して説明する。ここで、
図1は、本実施形態に係る車両用ドア制御装置10が適用されるサイドドア1を示す正面図である。
図2は、サイドドア1を示す斜視図である。
図3は、車両用ドア制御装置10の構成を示すブロック図である。
図4は、サイドドア1の要部を拡大して示す正面図である。
【0015】
サイドドア1は、フロントピラーとセンタピラーとの間のドア開口部を開閉するフロント側のサイドドアである。サイドドア1は、その前端部がヒンジ機構(図示せず)を介して車体と連結され、ヒンジ機構を中心に回動可能に構成されている。サイドドア1は、ドア本体2と、ドアトリム3とを主体に構成されている。
【0016】
ドア本体2は、車両室外側のドア半体を形成するドアアウタパネルと、車両室内側のドア半体を形成するドアインナパネルとを備えている。ドアアウタパネル及びドアインナパネルは、周縁部同士が接合され、その内部に空間が形成された閉断面に構成されている。
【0017】
ドアトリム3は、車両室内を装飾する内装部品であり、ドア本体2の車両室内側に、当該ドア本体2を覆うように設けられている。ドアトリム3の主要部は、車両上下方向及び車両前後方向に沿う面形状を備えている。ドアトリム3において、ドアトリム3の車両上下方向の下方位置にはドアポケット3aが設けられ、このドアポケット3aよりも前方位置にはスピーカーグリル3bが設けられている。ドアトリム3の車両上下方向の中央位置には、ドアアームレスト3cが設けられている。
【0018】
ドアアームレスト3cの前方には、サイドドア1の開閉時に持ち手となるドアアシストグリップ(持ち手部)3dが設けられている。ドアアシストグリップ3dは、車両前方から車両後方にかけて下向きとなるように斜め形状に配設されている。ドアアシストグリップ3dの上端には、ドアアシストグリップ3dに連続するように連続的に造形されたスワイプ操作部3eが設けられている。
【0019】
スワイプ操作部3eは、ドアトリム3に対して向き合うように縦壁状に配置されており、ドアトリム3との間に隙間を形成している。この隙間に指を差し入れた格好でスワイプ操作部3eの造形に沿って上方から下方へと手を移動させることで、ユーザーは、スワイプ操作部3eを利用したスワイプ操作を行うことができる。また、スワイプ操作部3eはドアアシストグリップ3dに連続して造形されているため、スワイプ操作からの一連の動きで、ドアアシストグリップ3dへと手を移動させることができる。本実施形態においては、スワイプ操作部3eに沿ってドアアシストグリップ3dへと手を移動させるスワイプ操作が、サイドドア1を開放するための操作として採用されている。
【0020】
車両用ドア制御装置10は、検知部20と、スイッチ部30と、ドアロック装置40と、照明部50と、半ドアセンサー60と、制御装置70とを主体に構成されている。
【0021】
検知部20は、スワイプ操作部3eに沿って手(人体)を接触移動(接近した状態での移動も含む)させるスワイプ操作を検知するものであり、複数の静電容量センサー、本実施形態では3つの静電容量センサー21~23から構成されている。個々の静電容量センサー21~23は、静電容量の変化に基づいてユーザーの接触(接近も含む)を検知する。
図4に示すように、1つ目の静電容量センサー21(以下必要に応じて「第1センサー21」という)がスワイプ操作部3eの上端側に配置され、2つ目の静電容量センサー22(以下必要に応じて「第2センサー22」という)がスワイプ操作部3eの下端側に配置され、3つ目の静電容量センサー23(以下必要に応じて「第3センサー23」という)がドアアシストグリップ3dの下端側に配置されている。これらの第1センサー21から第3センサー23の検知結果に応じて、すなわち、第1センサー21から第3センサー23にかけてユーザーの接触が順次検知されることで、スワイプ操作部3eに沿ってドアアシストグリップ3dへと至るスワイプ操作を検知することができる。したがって、スワイプ操作の方向を基準に、最上流に第1センサー21が配置され、その下流に第2センサー22が配置され、さらに下流(最下流)に第3センサー23が配置されることとなる。
【0022】
スイッチ部30は、ロックスイッチ31及びアンロックスイッチ32から構成されている。ロックスイッチ31及びアンロックスイッチ32は、ドアトリム3の造形面の一部に配置されている。ロックスイッチ31は、ドアロック装置40をロック状態に操作するためのスイッチである。アンロックスイッチ32は、ドアロック装置40をアンロック状態に操作するためのスイッチである。
【0023】
ドアロック装置40は、サイドドア1の閉扉状態を保持する装置であり、車体に対して係合するラッチ40aを備えている。ドアロック装置40には、ケーブル装置を介して、アンラッチユニット41、ロックユニット42及び操作ハンドル43が接続されている。
【0024】
図5は、アンラッチユニット41の構成を示す説明図である。アンラッチユニット41は、制御装置70に制御されて、ドアロック装置40によるサイドドア1の閉扉状態を解除する装置である。アンラッチユニット41は、アンラッチモーター41aと、アンラッチモーター41aの出力軸に連結されたアンラッチレバー41bとで構成されている。アンラッチレバー41bには、アンラッチレバー41bとドアロック装置40とを相互に連結する第1ケーブル装置45が接続されている。
【0025】
第1ケーブル装置45は、インナーケーブル45aと、チューブ状のアウターケーブル45bとから構成されている。インナーケーブル45aは、アウターケーブル45bの中空内に挿通されており、その内部を移動することができる。アウターケーブル45bの一方の端部は、アンラッチユニット41のケーブル保持部41cに固定され、その他方の端部は、ドアロック装置40に固定されている。インナーケーブル45aの一方の端部は、アンラッチレバー41bに連結され、その他方の端部は、ドアロック装置40のラッチ40aを操作する可動点に連結されている。
【0026】
アンラッチユニット41が動作していない場合、アンラッチレバー41bは初期位置(図示せず)となる。アンラッチレバー41bが初期位置の状態では、インナーケーブル45aは引っ張られた状態とはなっておらず、ドアロック装置40の可動点についても操作は行われない。この場合、ドアロック装置40のラッチ40aは車体と係合した係合状態(ラッチ状態)となっている。このため、サイドドア1は閉扉状態で保持される。
【0027】
そして、アンラッチユニット41が動作すると、アンラッチモーター41aが順方向へと一定量だけ回転する。アンラッチモーター41aの回転によりアンラッチレバー41bが初期位置からアンラッチ位置まで回動すると、アンラッチレバー41bに連結されたインナーケーブル45aが引っ張られる(
図5に示す状態)。これにより、インナーケーブル45aの他端に連結されたドアロック装置40の可動点が操作される。この操作により、ラッチ40aと車体との係合状態が解除される(アンラッチ状態)。すなわち、アンラッチユニット41が動作してドアロック装置40に操作力を入力することで、ドアロック装置40によるサイドドア1の閉扉状態が解除される。
【0028】
一方、アンラッチユニット41が動作を停止すると、アンラッチモーター41aが逆方向へと一定量だけ回転する。アンラッチモーター41aの回転によりアンラッチレバー41bがアンラッチ位置から初期位置まで回動すると、アンラッチレバー41bに連結されたインナーケーブル45aが戻される。これにより、インナーケーブル45aの他端に連結されたドアロック装置40の可動点が初期状態へと操作される。この操作により、ラッチ40aは、車体に対して係合可能なラッチ状態となる。このため、サイドドア1が閉扉された状態であれば、その閉扉状態が保持される。
【0029】
図6は、ロックユニット42の構成を示す説明図である。
図7は、ロックユニット42の動作を説明する説明図である。ロックユニット42は、制御装置70に制御されて、ドアロック装置40のアンロック状態と、ドアロック装置40のロック状態とを切り替える装置である。ドアロック装置40のアンロック状態は、アンラッチユニット41によるドアロック装置40への操作力の入力を有効とする状態であり、サイドドア1の閉扉状態を解除することが可能な状態に相当する。一方、ドアロック装置40のロック状態は、アンラッチユニット41によるドアロック装置40への操作力の入力を無効とする状態であり、サイドドア1の閉扉状態を解除することを禁止する状態に相当する。
【0030】
ロックユニット42は、ロックモーター42aと、ロックモーター42aの出力軸に連結されたモーターレバー42bと、モーターレバー42bとは異なる回転軸に軸支されたロックレバー42cとで構成されている。モーターレバー42bの先端は略U字状の可動片42b1として形成されており、ロックレバー42cに配設された係合ピン42c1と係合することで、ロックレバー42cを回動させるように構成されている。
【0031】
ロックレバー42cには、ロックレバー42cとドアロック装置40とを相互に連結する第2ケーブル装置46が接続されている。第2ケーブル装置46は、インナーケーブル46aと、チューブ状のアウターケーブル46bとから構成されている。インナーケーブル46aは、アウターケーブル46bの中空内に挿通されており、その内部を移動することができる。アウターケーブル46bの一方の端部は、ロックユニット42のケーブル保持部42dに固定され、その他方の端部は、ドアロック装置40に固定されている。インナーケーブル46aの一方の端部は、ロックレバー42cに連結され、その他方の端部は、ドアロック装置40に連結されている。
【0032】
モーターレバー42bが初期位置にある状態において(
図7(a))、ロックレバー42cはロック位置に存在する。この場合、ドアロック装置40はロック状態となっている。このロック状態においては、アンラッチユニット41によるドアロック装置40への操作がキャンセルされるので、サイドドア1の開放が規制される。
【0033】
まず、ロック状態からアンロック状態への切替動作について説明する。ロックユニット42が動作することで、ロックモーター42aが順方向へと一定量だけ回転する。ロックモーター42aの回転により、モーターレバー42bが第1方向(
図7において反時計回り方向)にかけて第1回動位置(
図7(b))まで回動する。この際、モーターレバー42bの可動片42b1の一端がロックレバー42cの係合ピン42c1に係合することで係合ピン42c1が押し出され、ロックレバー42cがアンロック位置(
図7(b))まで回動する。ロックレバー42cがアンロック位置まで回動すると、ロックレバー42cに連結されたインナーケーブル46aが引っ張られる。インナーケーブル46aが引っ張られると、インナーケーブル46aの他端に連結されたドアロック装置40が操作され、ドアロック装置40がアンロック状態となる。このアンロック状態においては、アンラッチユニット41によるドアロック装置40への操作が有効とされるので、サイドドア1の開放が可能となる。
【0034】
そして、ロックモーター42aは、逆方向へと一定量だけ回転する。ロックモーター42aの回転により、モーターレバー42bが第2方向(
図7において時計回り方向)にかけて初期位置まで回動する。モーターレバー42bは、その可動片42b1がロックレバー42cの係合ピン42c1に係合することなく回動するので、モーターレバー42bのみが初期位置まで復帰する(
図7(c))。したがって、ロックレバー42cはアンロック位置を維持する。
【0035】
つぎに、アンロック状態からロック状態への切替動作について説明する。ロックユニット42が動作することで、ロックモーター42aが逆方向へと一定量だけ回転する。ロックモーター42aの回転により、モーターレバー42bが第2方向(
図7において時計回り方向)にかけて第2回動位置(
図7(d))まで回動する。この際、モーターレバー42bの可動片42b1の他端がロックレバー42cの係合ピン42c1に係合することで係合ピン42c1が押し出され、ロックレバー42cがロック位置(
図7(d))まで回動する。ロックレバー42cがロック位置まで回動すると、ロックレバー42cに連結されたインナーケーブル46aが押し出される。インナーケーブル46aが押し出されると、インナーケーブル46aの他端に連結されたドアロック装置40が操作され、ドアロック装置40がロック状態となる。このロック状態においては、アンラッチユニット41によるドアロック装置40への操作がキャンセルされるので、サイドドア1の開放が規制される。
【0036】
そして、ロックモーター42aは、順方向へと一定量だけ回転する。ロックモーター42aの回転により、モーターレバー42bが第1方向(
図7において反時計回り方向)にかけて初期位置まで回動する。モーターレバー42bは、その可動片42b1がロックレバー42cの係合ピン42c1に係合することなく回動するので、モーターレバー42bのみが初期位置まで復帰する(
図7(a))。したがって、ロックレバー42cはロック位置を維持する。
【0037】
操作ハンドル43は、ユーザーの手動操作によりドアロック装置40を操作して、サイドドア1の閉扉状態を解除するものである。上述したように、サイドドア1の閉扉状態の解除は、アンラッチユニット41によってドアロック装置40を操作することにより行われる。ただし、アンラッチユニット41の故障等を想定して、手動操作のための操作ハンドル43が設けられている。操作ハンドル43は、ドアアームレスト3cの上面のドアアシストグリップ3dの近傍に設けられている。車両室内側から眺めた際には、ドアアシストグリップ3dにより操作ハンドル43が覆われるので、操作ハンドル43を目立ちにくい状態で配置することができる。
【0038】
操作ハンドル43は、図示しないピンにより後端が軸支されており、後端を中心として前端側が回動自在に構成されている。操作ハンドル43は、ドアアームレスト3cと面一になる閉位置と、前端側がドアアームレスト3cから引き上げられた開位置との範囲で回動する。この操作ハンドル43は、インナーケーブル及びアウターケーブルを含む第3ケーブル装置を介してドアロック装置40と相互に連結されている。
【0039】
操作ハンドル43が閉位置から開位置まで回動操作されると、操作ハンドル43に連結された第3ケーブル装置が引っ張られる。これにより、第3ケーブル装置の他端に連結されたドアロック装置40の可動点が操作される。この操作により、ラッチ40aと車体との係合状態が解除される(アンラッチ状態)。すなわち、操作ハンドル43を引き上げてドアロック装置40に操作力を入力することで、ドアロック装置40によるサイドドア1の閉扉状態が解除される。
【0040】
照明部50は、スワイプ操作の方向を照明でガイドするために設けられている。照明部50は、複数のLED、本実施形態では7つのLED51~57から構成されている。上述した通り、スワイプ操作は、ドアアシストグリップ3dに向かってスワイプ操作部3eを上方から下方へと連続的になぞる操作に相当する。
図4に示すように、7つのLED51~57は、スワイプ操作部3eの上端からドアアシストグリップ3dの下端にかけて所定のピッチで配置されている。具体的には、スワイプ操作部3eの上端から下端にかけて4つのLED51~53が配置され、ドアアシストグリップ3dの上端から下端にかけて3つのLED54~57が配置されている。7つのLED51~57が、スワイプ操作部3eの上端からドアアシストグリップ3dの下端にかけて順次点灯することで、スワイプ操作の方向をガイドすることができる。
【0041】
半ドアセンサー60は、サイドドア1の半ドアを検知するセンサーである。具体的には、半ドアセンサー60は、サイドドア1の開放角度が半ドアを検知する閾値以上であるか否かを検知する。
【0042】
制御装置70は、車両用ドア制御装置10を制御する装置である。制御装置70は、制御部71、静電容量センサー入力回路72、ドアスイッチ入力回路73、モーター駆動回路74、LED駆動回路75及び半ドアセンサー入力回路76を主体に構成されている。
【0043】
制御部71は、各入力回路72,73,76から入力される情報に基づいて、各駆動回路74,75に制御信号を出力する。この制御信号を通じて、アンラッチユニット41の動作状態、ロックユニット42の動作状態、照明部50を構成する各LED51~57の点灯状態が制御される。制御部71としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。CPUは、制御プログラムに従い、各種の制御を行う(プロセッサ)。ROMは、CPUが実行するプログラム、又はそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業領域である。
【0044】
本実施形態との関係において、制御部71は、第1センサー21から第3センサー23の検知結果に基づいて、ユーザーの接触がスワイプ操作部3eに沿ってドアアシストグリップ3dへと移動するスワイプ操作を判断した場合に、ドアロック装置40によるサイドドア1の閉扉状態を解除する。
【0045】
静電容量センサー入力回路72は、第1センサー21、第2センサー22及び第3センサー23のセンサー信号がそれぞれ入力される。静電容量センサー入力回路72に入力されたセンサー信号は、制御部71に出力される。
【0046】
ドアスイッチ入力回路73は、ロックスイッチ31及びアンロックスイッチ32のスイッチ信号が入力される。ドアスイッチ入力回路73に入力されたスイッチ信号は、制御部71に出力される。
【0047】
モーター駆動回路74は、制御部71からの制御信号に応じて、アンラッチユニット41のアンラッチモーター41a及びロックユニット42のロックモーター42aを回転駆動する。
【0048】
LED駆動回路75は、制御部71からの制御信号に応じて、7つのLED51~57を点灯駆動する。
【0049】
半ドアセンサー入力回路76は、半ドアセンサー60からのセンサー信号が入力される。半ドアセンサー入力回路76に入力されたセンサー信号は、制御部71に出力される。
【0050】
以下、本実施形態に係る車両用ドア制御装置10の動作を説明する。ここで、
図8及び
図9は、本実施形態に係る車両用ドア制御装置10の動作を説明するフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、制御装置70により実行される。このフローチャートの開始時においては、検知部20の3つの静電容量センサー21~23のうち第1センサー(スワイプ操作の方向において最上流の静電容量センサー)21についてのみ、センサー入力(センサー信号)の受付が可能となっている。
【0051】
まず、ステップS10において、制御装置70は、第1センサー21のセンサー信号及びアンロックスイッチ32のスイッチ信号の入力を待機する。信号の入力があると待機処理を終了し、ステップS11に進む。
【0052】
ステップS11において、制御装置70は、アンロックスイッチ32を操作するアンロック操作がなされたか否かを判断する。アンロック操作の有無は、アンロックスイッチ32のスイッチ信号の入力の有無で判断される。アンロック操作がなされた場合には、ステップS11において肯定判定され、ステップS12に進む。一方、アンロック操作がなされない場合には、ステップS11において否定判定され、ステップS16に進む。
【0053】
ステップS12において、制御装置70は、照明部50の各LED51~57を点灯駆動することで、ガイド照明を開始する。ガイド照明は、スワイプ操作部3eの上端からドアアシストグリップ3dの下端に向かってLED51~57を順次点灯することで、スワイプ操作の方向をガイドするものである。点灯された個々のLED51~57は、その点灯タイミングを基準に一定時間経過後に消灯され、その後一定時間経過した後に再度点灯され、ガイド照明が終了するまでこの動作が繰り返される。
【0054】
ステップS13において、制御装置70は、タイマーを開始する。
【0055】
ステップS14において、制御装置70は、タイマーのカウント値が上限時間を超過したか否かを判断する。ステップS14の上限時間は、アンロックスイッチ32を操作してからスワイプ操作部3eの上端(第1センサー21の配置位置)に接触操作がなされるまでの有効時間を示すものであり、実験やシミュレーションを通じて最適値が設定されている。タイマーのカウント値が上限時間を超過した場合には、ステップS14において肯定判定され、ステップS15に進む。一方、タイマーのカウント値が上限時間を超過していない場合には、ステップS14において否定判定され、ステップS16に進む。
【0056】
ステップS15において、制御装置70は、ガイド照明を終了する。
【0057】
ステップS16において、制御装置70は、スワイプ操作部3eの上端に位置する第1センサー21で接触が検知されたか否かを判断する。第1センサー21で接触が検知された場合には、ステップS16で肯定判定され、ステップS17に進む。第1センサー21で接触が検知されない場合には、ステップS16で否定判定され、ステップS14に戻る。
【0058】
ステップS17において、制御装置70は、第2センサー22のセンサー信号の受付を開始する。
【0059】
ステップS18において、制御装置70は、タイマーのカウント値をリセットした上で、タイマーを改めて開始する。
【0060】
ステップS19において、制御装置70は、タイマーのカウント値が上限時間を超過したか否かを判断する。ステップS19の上限時間は、スワイプ操作部3eの上端(第1センサー21の配置位置)からスワイプ操作部3eの下端(第2センサー22の配置位置)に至るまでのスワイプ操作の有効時間を示すものであり、実験やシミュレーションを通じて最適値が設定されている。タイマーのカウント値が上限時間を超過した場合には、ステップS19において肯定判定され、ステップS15に進む。一方、タイマーのカウント値が上限時間を超過していない場合には、ステップS19において否定判定され、ステップS20に進む。
【0061】
ステップS20において、制御装置70は、スワイプ操作部3eの下端に位置する第2センサー22で接触が検知されたか否かを判断する。第2センサー22で接触が検知された場合には、ステップS20で肯定判定され、ステップS21に進む。第2センサー22で接触が検知されない場合には、ステップS20で否定判定され、ステップS19に戻る。
【0062】
ステップS21において、制御装置70は、第3センサー23のセンサー信号の受付を開始する。
【0063】
ステップS22において、制御装置70は、タイマーのカウント値をリセットした上で、タイマーを改めて開始する。
【0064】
ステップS23において、制御装置70は、タイマーのカウント値が上限時間を超過したか否かを判断する。ステップS23の上限時間は、スワイプ操作部3eの下端(第2センサー22の配置位置)からドアアシストグリップ3dの下端(第3センサー23の配置位置)に至るまでのスワイプ操作の有効時間を示すものであり、実験やシミュレーションを通じて最適値が設定されている。タイマーのカウント値が上限時間を超過した場合には、ステップS23において肯定判定され、ステップS15に進む。一方、タイマーのカウント値が上限時間を超過していない場合には、ステップS23において否定判定され、ステップS24に進む。
【0065】
ステップS24において、制御装置70は、ドアアシストグリップ3dの下端に位置する第3センサー23で接触が検知されたか否かを判断する。第3センサー23で接触が検知された場合には、ステップS24で肯定判定され、ステップS25に進む。第3センサー23で接触が検知されない場合には、ステップS24で否定判定され、ステップS23に戻る。
【0066】
ステップS25において、制御装置70は、ドアロック装置40がアンロック状態であるか否かを判断する。ドアロック装置40がアンロック状態である場合には、ステップS25において肯定判定され、ステップS27に進む。一方、ドアロック装置40がロック状態である場合には、ステップS25において否定判定され、ステップS26に進む。
【0067】
ステップS26において、制御装置70は、ロックユニット42を動作させて、ドアロック装置40をアンロック状態へと切り替える。
【0068】
ステップS27において、制御装置70は、アンラッチユニット41を動作させて、ドアロック装置40をアンラッチ状態へと切り替える。すなわち、ドアロック装置40によるサイドドア1の閉扉状態が解除される。
【0069】
ステップS28において、制御装置70は、半ドアセンサー60からのセンサー信号を参照し、サイドドア1の開放角度が半ドアを検知する閾値以上であるか否かを判断する。サイドドア1の開放角度が閾値以上である場合には、ステップS28において肯定判定され、ステップS29に進む。一方、サイドドア1の開放角度が閾値未満である場合には、ステップS28において否定判定され、ステップS28に戻る。
【0070】
ステップS29において、制御装置70は、アンラッチユニット41の動作を停止させる。
【0071】
このように本実施形態に係る車両用ドア制御装置10は、サイドドア1の車両室内側に設けられたスワイプ操作部3eと、少なくともスワイプ操作部3eに設けられ、スワイプ操作部3eに沿って手(人体)を移動させるスワイプ操作を検知する検知部20と、サイドドア1の閉扉状態を保持するドアロック装置40と、検知部20の検知結果に基づいて、スワイプ操作を検知した場合に、ドアロック装置40によるサイドドア1の閉扉状態を解除する制御装置70と、を有している。
【0072】
この構成によれば、スワイプ操作部3eに対してスワイプ操作を行うことで、ドアロック装置40による閉扉状態が解除され、サイドドア1を開放することができる。スワイプ操作にあっては、一定の範囲を手でなぞる必要があるので、ユーザーの明確な操作意図が必要となる。そのため、単にスワイプ操作部3eやドアアシストグリップ3dに触れてしまったような場合でも、サイドドア1の閉扉状態が維持される。これにより、ユーザーの意図的な操作となるスワイプ操作をもって制御が実行されるので、ユーザーの操作意思を適切に反映することができる。
【0073】
また、本実施形態において、車両用ドア制御装置10は、サイドドア1の車両室内側に設けられ、ドア開閉時に持ち手となるドアアシストグリップ3dをさらに有している。この場合、スワイプ操作部3eは、ドアアシストグリップ3dに連続するように造形されている。そして、制御装置70は、スワイプ操作部3eに沿ってドアアシストグリップ3dへと移動するスワイプ操作を判断した場合に、ドアロック装置40によるドアの閉扉状態を解除している。
【0074】
この構成によれば、スワイプ操作により、スワイプ操作部3eからドアアシストグリップ3dへと手が移動する。これにより、ドアロック装置40による閉扉状態の解除操作(スワイプ操作)に伴い、サイドドア1を開放する際に持ち手となるドアアシストグリップ3dへと手が自然な形で移動する。これにより、片手のみを利用した簡単な動きで、ドアロック装置40による閉扉状態の解除操作と、サイドドア1の開放操作とを連続的に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態において、車両用ドア制御装置10は、スワイプ操作部3e及びドアアシストグリップ3dに設けられ、スワイプ操作の方向を照明でガイドする照明部50をさらに有している。
【0076】
この構成によれば、照明部50の照明に沿ってスワイプ操作を行えばよいので、ユーザーの操作をガイドすることができる。これにより、ユーザーにとって分かり易い装置を提供することができる。
【0077】
なお、本実施形態では、ドアアシストグリップ3dに検知部20を設けているが、検知部20は、少なくともスワイプ操作部3eに設けられていればよい。この場合、制御装置70は、スワイプ操作部3eをドアアシストグリップ3dに向かって移動するスワイプ操作を判断した場合に、ドアロック装置40によるドアの閉扉状態を解除することとなる。また、照明部50についても同様に、少なくともスワイプ操作部3eに設けられていればよい。
【0078】
また、本実施形態において、ドアロック装置40は、ロック状態とアンロック状態とが、ユーザーの操作に応じて切り替え可能に構成されている。そして、制御装置70は、ドアロック装置40がロック状態からアンロック状態へと操作された場合に、照明部50を制御してスワイプ操作の方向を照明でガイドしている(ガイド照明)。
【0079】
この構成によれば、サイドドア1が開放されるシーンに併せて、照明部50によるガイドが実行される。これにより、ユーザーの操作タイミングに併せて適切にガイドを実行することができる。
【0080】
また、本実施形態において、ドアロック装置40は、車体に対して係合することでドアの閉扉状態を保持するラッチ40aを備えている。この場合、制御装置70は、スワイプ操作を検知した場合に、ラッチ40aの解除を行う。
【0081】
この構成によれば、サイドドア1の閉扉状態を適切に解除することができる。
【0082】
また、本実施形態において、制御装置70は、サイドドア1の開放角度が閾値以上に到達するまで、ラッチ40aの解除を継続する。
【0083】
この構成によれば、車体に対してラッチ40aが完全に外れた状態となるまで、ラッチ40aの解除が継続されることとなる。これにより、ユーザーがサイドドア1の開放操作を適切に行うことができる。
【0084】
また、本実施形態の車両用ドア制御装置10は、サイドドア1の車両室内側に設けられ、ユーザーが操作可能な操作ハンドル43をさらに有している。操作ハンドル43は、ドアロック装置40と接続されて、ハンドル操作に応じてラッチ40aの解除を行う。
【0085】
この構成によれば、操作ハンドル43を利用することで、ラッチ40aの解除操作を行うことができる。これにより、手動による解除操作が可能となるので、緊急時の操作手法を提供することができる。
【0086】
また、本実施形態において、検知部20は、ユーザーの接触状態を静電容量の変化で検知する静電容量センサーで構成されている。
【0087】
この構成によれば、スワイプ操作部3eへの接触状態を適切に検知することができる。
【0088】
また、本実施形態において、制御装置70は、スワイプ操作の方向における最上流の静電容量センサー21についてのみセンサー入力を受付可能とし、下流側の静電容量センサー22,23については、ユーザーのスワイプ操作の検知状況に従ってセンサー入力を受付可能へと順次切り替えている。
【0089】
この構成によれば、スワイプ操作部3eの上端を始点とするスワイプ操作のみを適切に判断することができる。これにより、類似の操作を排除することができるので、信頼性の高い装置を提供することができる。
【0090】
なお、本実施形態において、スワイプ操作を検知する検知部20は、複数の静電容量センサー21~23を備えている。しかしながら、検知部20は、ユーザーの手の移動に伴うスワイプ操作を検知する構成を広く適用することができ、複数の静電容量センサーを用いる以外にも、単一の静電容量センサーで実現してもよい。また、静電容量センサー以外のセンサーを用いることも可能である。
【0091】
以上、本発明の実施形態に係る車両用ドア制御装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。また、上述した実施形態では、サイドドアに適用される装置について説明したが、本実施形態に係る車両用ドア制御装置はバックドア等を含む種々の車両用ドアに適用することができる。
【0092】
また、本実施形態では、スワイプ操作部をドアアシストグリップに連続するように造形している。しかしながら、サイドドアの開放を行う持ち手部に連続するように造形するものであれば、この形態に限定されない。
【0093】
例えば、ドアアームレストの車両後方位置に持ち手部が設定されている車両であれば、ドアアームレストの車両前方位置にスワイプ操作部が造形されればよい。この際、スワイプ操作部は、ドアアームレストに専用の部位として造形されてもよいし、ドアアームレストの造形の一部を利用するものでもよい。
【0094】
また、ドアアームレストの上面に設けられた凹状のポケット部(
図2において符号「3c1」で示される部位)を持ち手部として、このポケット部に対してスワイプ操作部を組み合わせてもよい。例えば、ドアアシストグリップがポケット部に連続するように造形されている場合には、ドアアシストグリップをスワイプ操作部として利用することができる。また、ドアアシストグリップが存在しない構成のドアアームレスト、或いはドアアシストグリップが離れている構成のドアアームレストであれば、ドアアームレストにおけるポケット部前方にスワイプ操作部が設定されればよい。この際、スワイプ操作部は、ドアアームレストに専用の部位として造形されてもよいし、ドアアームレストの造形の一部を利用するものでもよい。
【0095】
なお、スワイプ操作部は、持ち手部に対して車両前方側又は上側に配置されていることが好ましい。これにより、スワイプ操作部に対するスワイプ操作から持ち手部へと手が自然な形で移動することとなる。よって、ドアロック装置による閉扉状態の解除操作と、サイドドアの開放操作という一連の動きを操作性よく行うことができる。
【0096】
なお、本実施形態では、スワイプ操作部は、サイドドアの開放を行う持ち手部に連続するように独立して造形されている。しかしながら、スワイプ操作部は、その全部を専用の造形としなくてもよく、持ち手部の造形の一部又は全部に跨がるように設定してもよい。また、スワイプ操作部は、持ち手部の造形を利用して、その造形の一部又は全部に重畳して設定してもよい。このような構成であっても、ドアロック装置による閉扉状態の解除操作に伴い、サイドドアを開放する持ち手部へと手が自然な形で移動する、或いは、持ち手部を握る状態へとそのまま移動する。これにより、片手のみを利用した簡単な動きで、ドアロック装置による閉扉状態の解除操作と、サイドドアの開放操作とを連続的に行うことができる。このように、本発明にあっては、持ち手部及びスワイプ操作部は、それぞれが造形的に分離独立している必要はなく、それぞれの機能が隣り合うように又は重畳するようにドアの車両室内側に設けられていればよい。
【符号の説明】
【0097】
1 サイドドア
2 ドア本体
3 ドアトリム
3a ドアポケット
3b スピーカーグリル
3c ドアアームレスト
3d ドアアシストグリップ
3e スワイプ操作部
10 車両用ドア制御装置
20 検知部
21~23 静電容量センサー(第1センサー、第2センサー、第3センサー)
30 スイッチ部
31 ロックスイッチ
32 アンロックスイッチ
40 ドアロック装置
40a ラッチ
41 アンラッチユニット
41a アンラッチモーター
41b アンラッチレバー
41c ケーブル保持部
42 ロックユニット
42a ロックモーター
42b モーターレバー
42b1 可動片
42c ロックレバー
42c1 係合ピン
42d ケーブル保持部
43 操作ハンドル
45 第1ケーブル装置
46 第2ケーブル装置
50 照明部
51~57 LED
60 半ドアセンサー
70 制御装置(コントローラー)
71 制御部
72 静電容量センサー入力回路
73 ドアスイッチ入力回路
74 モーター駆動回路
75 LED駆動回路
76 半ドアセンサー入力回路