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  • 特許-破砕装置および破砕方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】破砕装置および破砕方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/14 20060101AFI20220720BHJP
   E21C 37/16 20060101ALI20220720BHJP
   E21C 37/20 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
E21B7/14
E21C37/16
E21C37/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018092862
(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2019199686
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 史隆
(72)【発明者】
【氏名】谷 卓也
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-133180(JP,A)
【文献】登録実用新案第3148317(JP,U)
【文献】特開2002-206389(JP,A)
【文献】特表2017-516006(JP,A)
【文献】特公昭47-029256(JP,B1)
【文献】特公昭47-023451(JP,B1)
【文献】特開平05-118185(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0041940(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 7/14
E21C 37/16
E21C 37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕対象物の被加熱部分に対して非接触で加熱する複数の加熱手段と、
記複数の加熱手段によって加熱される二つの前記被加熱部分同士の間の領域または複数の前記被加熱部分に囲まれた領域に対して衝撃を加える衝撃手段と、を備えることを特徴とする、破砕装置。
【請求項2】
並設された一対の前記加熱手段と、
前記加熱手段同士の間に配設された前記衝撃手段と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の破砕装置。
【請求項3】
三つ以上の前記加熱手段が等間隔で環状に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の破砕装置。
【請求項4】
前記複数の加熱手段が、前記破砕対象物と交差する回転軸を中心に回転可能に設けられており、
各前記加熱手段と前記回転軸との距離が同一であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の破砕装置。
【請求項5】
前記衝撃手段が、圧縮空気吐出器またはパルスレーザ発振器であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の破砕装置。
【請求項6】
温度センサを備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の破砕装置。
【請求項7】
破砕対象物の被加熱部分を非接触で加熱して二つの前記被加熱部分同士の間の領域または複数の前記被加熱部分に囲まれた領域である破砕領域の内部に亀裂を生じさせる工程と、
前記破砕領域の表面に衝撃を加えることで、当該破砕領域の表層部分を除去する工程と、を備えていることを特徴とする、破砕方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩石や岩盤等を破砕するための破砕装置および破砕方法に関する。
【背景技術】
【0002】
岩石や岩盤等(以下、「岩石等」という)を破砕する際には、例えば、削岩機、大型ブレーカ、トンネル掘削機等を利用した機械式工法や、爆薬を利用した発破工法等が採用されている。しかしながら、前記従来の破砕方法は、大きな騒音や振動を伴うため、周辺環境への影響が懸念されていた。また、削岩機や大型ブレーカ等を使用する機械式工法では、反力をとる必要があるため、装置が大規模になってしまう。
そのため、騒音や振動等が発生し難い方法として、例えば、特許文献1には、燃料と圧縮空気とを混合して燃焼させた火炎を用いて岩石等を加熱することで、岩石等に亀裂を生じさせるとともに劣化部分を吹き飛ばす方法が開示されている。また、特許文献2には、岩石等に照射したレーザービームで昇温させることにより、岩石等を破砕する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭61-97492号公報
【文献】特開2007-21518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の破砕方法は、火炎により限定された幅の溝を穿つことを目的としているため、一定の範囲に対して大きく岩石や岩盤等(以下、「岩石等」という)を破砕するものではない。
また、特許文献2の破砕方法は、レーザービームによって破砕対象となる岩石を昇温させるとともに冷却するものであるため、温度管理に手間がかかる。また、レーザービームを照射する範囲は限定されており、一定の範囲に対して大きく岩石等を破砕するものではない。
このように、特許文献1,2の破砕方法を利用して一定の範囲において大きく岩石等を破砕するためには、局所的な破砕を繰り返す必要があり、手間がかかるとともにエネルギー効率が悪い。
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、比較的簡易な装置を利用して、岩石等を簡易に破砕することを可能とした破砕装置およびこれを利用した破砕方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の破砕装置は、破砕対象物の被加熱部分に対して非接触で加熱する複数の加熱手段と、記複数の加熱手段によって加熱される二つの前記被加熱部分同士の間の領域または複数の前記被加熱部分に囲まれた領域に対して衝撃を加える衝撃手段とを備えるものである。例えば、二つの加熱手段によって二か所を加熱する場合には、加熱される破砕対象物表面の二か所の被加熱部分に挟まれた領域に対して衝撃を加える。また、三つ以上の加熱手段によって三か所以上を加熱する場合には、破砕対象物表面の三か所以上の被加熱部分によって囲まれた領域に対して衝撃を加える。また、複数の加熱手段により筒状に加熱する場合には、破砕対象物表面の筒状の被加熱部分によって囲まれた領域に対して衝撃を加える。
このような破砕装置は、例えば、並設された一対の前記加熱手段と、前記加熱手段同士の間に配設された前記衝撃手段とを備えたものであればよい。また、破砕装置は、三つ以上の前記加熱手段が等間隔で環状(多角形状)に配設されたものであってもよい。また、破砕装置は、前記複数の加熱手段が前記破砕対象物と交差する回転軸を中心に回転可能に設けられており、各前記加熱手段と前記回転軸との距離が同一であるものであってもよい。さらに、前記衝撃手段には、圧縮空気吐出器(エアガン等)またはパルスレーザ発振器を使用すればよい。
また、前記破砕装置を利用した本発明の破砕方法は、破砕対象物の被加熱部分を非接触で加熱して二つの前記被加熱部分同士の間の領域または複数の前記被加熱部分に囲まれた領域である破砕領域の内部に亀裂を生じさせる工程と、内部に亀裂が生じた前記破砕対象物の表面に衝撃を加えることで、当該破砕領域の表層部分を除去する工程とを備えるものである。
【0006】
かかる破砕装置および破砕方法によれば、岩石や岩盤等(以下、「岩石等」という)を加熱手段によって加熱することで部分的に膨張させ、この膨張部分に囲まれた領域あるいは挟まれた領域に亀裂を生じさせることができる。そして、この亀裂が生じた部分に対して、衝撃手段によって衝撃を加えることで当該部分を岩石等の表層部から剥離させる。岩石等には、加熱手段による加熱により予め亀裂が形成されているため、剥離しやすく、衝撃手段として大掛かりな装置を要しない。そのため、破砕装置の小型化を図ることができるとともに、破砕時に生じる騒音や振動を最小限に抑えることができ、周辺環境に対する影響が少ない。また、簡易に一定の範囲に対して岩石等を大きく破砕することができる。なお、衝撃手段として、非接触により衝撃を与える装置(エアガンやパルスレーザ発振器等)を使用すれば、大きな反力をとる必要がないため、破砕装置をより簡易な設備にすることができる。加熱手段による加熱は、対象領域が膨張する程度に加熱すればよいため、加熱した部分を冷却して劣化させる従来の破砕方法に比べて、温度を低めに設定することができ、同じ量の破砕を行う際に与える熱エネルギーを減ずることができる。なお、破砕装置に温度センサを装備して温度管理を行ってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の破砕装置およびこれを利用する破砕方法によれば、周辺環境への影響を最小限に抑えた状態で岩石や岩盤等を破砕することできる。また、破砕装置が小型なため、取り扱いやすく、作業性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は第一実施形態に係る破砕装置を模式的に示す平面図、(b)は同破砕装置による作用効果を示す模式図である。
図2】(a)は第二実施形態に係る破砕装置を模式的に示す斜視図、(b)は同破砕装置による作用効果を示す模式図である。
図3】(a)は第二実施形態に係る破砕装置の他の形態を模式的に示す斜視図、(b)は同破砕装置による作用効果を示す模式図である。
図4】(a)は第三実施形態に係る破砕装置を模式的に示す斜視図、(b)は同破砕装置による作用効果を示す模式図である。
図5】破砕装置を利用した施工例を示す側面図である。
図6】破砕装置を利用した他の施工例を示す断面図である。
図7】破砕装置を利用した他の施工例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
第一実施形態では、破砕装置1を利用して岩石や岩盤等を破砕する場合について説明する。破砕装置1は、図1(a)に示すように、加熱手段2と、衝撃手段3と、温度センサ4とを備えている。加熱手段2、衝撃手段3および温度センサ4は、棒状の取付手段5に固定されている。なお、取付手段5の形状は限定されるものではなく、例えば、枠状、環状またはコ字状であってもよい。また、取付手段5を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、形鋼や押出成形材を使用すればよい。
【0010】
加熱手段2は、破砕対象物(岩石や岩盤等)Rを非接触で加熱する。本実施形態では、一対の加熱手段2,2が、間隔をあけて並設されている。各加熱手段2は、破砕対象物Rの表面の離れた位置をそれぞれ加熱する。加熱手段2は、ガス管61を介してガス源(ガスボンベ、ガスタンク等)6に接続されているとともに、エア管71を介してコンプレッサー7に接続されている。加熱手段2は、ガス源6から供給されたガスおよびコンプレッサー7から供給された酸素を燃焼してなる火焔により破砕対象物Rの表面を加熱する。
【0011】
衝撃手段3は、いわゆるパルスレーザ発振器からなり、破砕対象物Rに対して非接触で衝撃を加える。衝撃手段3は、パルスレーザ発生装置8に接続されていて、パルスレーザ発生装置8から供給されたパルスレーザを破砕対象物Rの表面に照射する。なお、衝撃手段3は、パルスレーザ発信器に限定されるものではなく、例えばエアガン(圧縮空気吐出器)であってもよい。本実施形態の衝撃手段3は、加熱手段2同士の間(取付手段5の中間部)に配設されていて、一対の加熱手段2,2により加熱された部分(被加熱部分A1)の間の領域(破砕領域A2)に対して衝撃を加える。なお、加熱手段2同士の間には、複数の衝撃手段3が配設されていてもよい。また、衝撃手段3は、加熱手段2,2の外側に並設されていてもよい。また、衝撃手段3は、必ずしも加熱手段2の横に並設されている必要はなく、加熱手段2の上側または下側に並設されていてもよい。
【0012】
温度センサ4は、破砕対象物Rの温度を測定する。本実施形態では、二つの温度センサ4,4が、それぞれ加熱手段2の外側に配置されている。すなわち、一対の温度センサ4,4の間に加熱手段2,2および衝撃手段3が並設されている。なお、温度センサ4の数及び配置は限定されるものではなく、例えば、一対の加熱手段2,2の間に配設されていてもよい。また、温度センサ4は、必ずしも加熱手段2,2および衝撃手段3の横に並設されている必要はなく、例えば、加熱手段2の上または下に並設されていてもよい。本実施形態では、加熱手段2により加熱された領域の温度を、温度センサ4により非接触で測定する。温度センサ4は、いわゆる赤外線温度計であって、非接触で破砕対象物Rの表面温度を測定する。なお、温度センサ4は、必ずしも赤外線温度計である必要はない。また、温度センサ4は、破砕対象物Rの表面温度とともに、内部の温度を測定してもよい。さらに、温度センサ4の測定範囲は、被加熱部分A1および破砕領域A2を含めた範囲であってもよい。
【0013】
次に、破砕装置1を利用した岩石や岩盤等(以下、岩石等という)の破砕方法を説明する。この破砕方法では、まず、加熱手段2により破砕対象物Rを非接触で加熱して破砕対象物Rの内部に亀裂を生じさせる。加熱手段2により加熱すると、図1(b)に示すように、加熱された被加熱部分A1が膨張し、被加熱部分A1,A1に挟まれた破砕領域A2に膨張圧が作用するため、破砕領域A2に微細な亀裂が多数生じる。ここで、岩石等の熱伝導率は、金属等と比較して小さいため、岩石等の表面を加熱した場合には表面から浅い部分のみが昇温する。加熱された岩石等は熱膨張するため、被加熱部分A1,A1によって挟まれた領域には、前面側方向の引張力が作用して、内部に亀裂が生じる。
次に、内部に亀裂が生じた破砕領域A2(破砕対象物R)の表面に対して、衝撃手段3によりパルスレーザを照射して衝撃を加える。パルスレーザの衝撃により、亀裂が生じた破砕領域A2(破砕対象物R)の表層部分が剥落して、破砕対象物Rから除去される。なお、衝撃手段3による衝撃は、加熱手段2による加熱と同時に加えてもよい。
【0014】
以上、本実施形態の破砕装置1および破砕装置1を利用した破砕方法によれば、非接触で岩石や岩盤等(以下、「岩石等」という)を破砕することができるため、破砕時に生じる騒音や振動を最小限に抑えることができ、周辺環境に対する影響が少ない。また、衝撃手段3は、非接触により衝撃を与えるため、大きな反力をとる必要がなく、破砕装置1の小型化を図ることができる。また、簡易に一定の範囲に対して岩石等を大きく破砕することができる。
破砕装置1の据付方法は限定されるものではなく、例えば、架台により支持してもよいし、建設機械に取り付けてもよい。
また、対象領域(被加熱部分A1)が膨張する程度に加熱すればよいため、被加熱部分A1を劣化させる従来の破砕方法に比べて、加熱温度を低めに設定することができる。そのため、従来の方法と比べて、同じ量の破砕を行う際に与える熱エネルギーの量を減ずることができる。また、温度センサ4を使用しているため、加熱時の温度管理をより確実に行うことができる。なお、破砕対象物Rが溶融すると、被加熱部分A1の熱膨張による膨張圧が吸収されてしまうため、破砕対象物Rに亀裂が生じ難くなる。そのため、被加熱部分A1の温度管理を行うことで、破砕作業を確実に実行することが可能となる。
【0015】
<第二実施形態>
第二実施形態では、第一実施形態と同様に、破砕装置1を利用して岩石や岩盤等を破砕する場合について説明する。破砕装置1は、図2(a)に示すように、加熱手段2と、衝撃手段3とを備えている。本実施形態では、四つの加熱手段2,2,…が、枠状(正方形状)の取付手段5の各角部にそれぞれ固定されている。衝撃手段3は、取付手段5の中央部に保持材51を介して固定されている。なお、加熱手段2の数および配置は限定されるものではないが、加熱手段2が等間隔(正多角形状の頂点)に配設されることが好ましい。また、取付手段5の形状等も限定されるものではない。例えば、図3(a)に示す破砕装置1のように、三つの加熱手段2,2,2が、環状(リング状)の取付手段5に等間隔に(正三角形の頂点に位置するように)配置されていてもよい。
この他の加熱手段2および衝撃手段3の詳細は、第一実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0016】
本実施形態の破砕装置1を利用した岩石や岩盤等の破砕方法では、まず、加熱手段2により破砕対象物Rを非接触で加熱して破砕対象物Rの内部に亀裂を生じさせる。加熱手段2により加熱すると、加熱された被加熱部分A1が膨張するため、被加熱部分A1,A1,…に囲まれた破砕領域A2には膨張圧によって微細な亀裂が多数生じる(図2(b)参照)。
加熱手段2による加熱後、或いは加熱手段2による加熱と同時に、破砕領域A2(破砕対象物R)の表面に対して、衝撃手段3によりパルスレーザを照射して衝撃を加える。パルスレーザの衝撃により、亀裂が生じた破砕領域A2(破砕対象物R)の表層部分が剥落して、破砕対象物Rから除去される。
以上、本実施形態の破砕装置1および破砕装置1を利用した破砕方法によれば、破砕領域A2を囲うように加熱することで、破砕領域A2に対してより確実に亀裂を生じさせることができる。この他の第二実施形態の破砕装置1および破砕装置1を利用した破砕方法の作用効果は、第一実施形態と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0017】
<第三実施形態>
第三実施形態では、第一実施形態と同様に、破砕装置1を利用して岩石や岩盤等を破砕する場合について説明する。破砕装置1は、図4(a)に示すように、加熱手段2と、衝撃手段3とを備えている。
本実施形態では、一対の加熱手段2,2が、互いに間隔をあけた状態で取付手段5に固定されていて、取付手段5の中間部(加熱手段2同士の中間部)に衝撃手段3が固定されている。取付手段5は、中間部において回転可能に軸支されている。すなわち、各加熱手段2と取付手段5の回転軸a(取付手段5の中間部)との距離は同一である。
この他の加熱手段2および衝撃手段3の詳細は、第一実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0018】
本実施形態の破砕装置1を利用した岩石や岩盤等の破砕方法では、まず、加熱手段2により破砕対象物Rを非接触で加熱して破砕対象物Rの内部に亀裂を生じさせる。加熱手段2による破砕対象物Rの加熱は、取付手段5を回転軸aを中心に回転させながら行う。加熱手段2により加熱すると、リング状に加熱された被加熱部分A1が膨張するため、被加熱部分A1に囲まれた破砕領域A2には膨張圧によって微細な亀裂が多数生じる(図4(b)参照)。
加熱手段2による加熱後、或いは加熱手段2による加熱と同時に、破砕領域A2(破砕対象物R)の表面に対して、衝撃手段3によりパルスレーザを照射して衝撃を加える。パルスレーザの衝撃により、亀裂が生じた破砕領域A2(破砕対象物R)の表層部分が剥落して、破砕対象物Rから除去される。
以上、本実施形態の破砕装置1および破砕装置1を利用した破砕方法によれば、破砕領域A2を囲うように加熱することで、破砕領域A2に対してより確実に亀裂を生じさせることができる。この他の第三実施形態の破砕装置1および破砕装置1を利用した破砕方法の作用効果は、第一実施形態と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0019】
以上、本発明に係る実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
本実施形態の破砕装置1およびこれを利用した破砕方法の対象となる工事は限定されるものではない。例えば、岩石の大塊R1の小割(図5参照)、シールド機のカッタヘッドCより前方の巨礫R2の割岩(図6参照)、山岳トンネルの切羽Kの掘削(図7参照)、または、法面の転石の割石等に適用可能である。
【0020】
また、前記実施形態では、衝撃手段3として、非接触型のものを使用したが、衝撃手段3は、接触型(破砕対象物Rの表面を直接打撃する方式)であってもよい。
また、温度センサ4は必要に応じて設置すればよく、省略してもよい。
加熱手段2、衝撃手段3および温度センサ4が制御手段(図示せず)に接続されていて、それぞれ、制御手段により制御可能に構成されていれば、作業の自動化や無人化が可能となる。すなわち、温度センサ4によって測定された破砕対象物Rの表面温度に応じて加熱手段2および衝撃手段3を制御することで、作業を自動化することができる。
また、破砕装置1が距離センサを備えていれば、破砕装置1を簡易に適切な位置に据え付けることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 破砕装置
2 加熱手段
3 衝撃手段
4 温度センサ
5 取付手段
6 ガス源
7 コンプレッサー
8 パルスレーザ発生装置
A1 被加熱部分
A2 破砕領域
a 回転軸
R 破砕対象物(岩石や岩盤等)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7