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特許7107743情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20220720BHJP
【FI】
G06Q40/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018097862
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019204207
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000191076
【氏名又は名称】日鉄ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】水落 友樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄介
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-122404(JP,A)
【文献】特開2006-099346(JP,A)
【文献】特開2012-027781(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0299901(US,A1)
【文献】特開2018-060452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外国送金に関する確認情報を登録する第1の登録手段と、
外国送金に関する外国送金情報を受け付ける受付手段と、
外国送金に関する確認不要情報を登録する第2の登録手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記外国送金情報に含まれる文字列と、前記第1の登録手段により登録された前記確認情報に含まれる文字列と、の類似度に基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する判定手段と、
を有し、
前記確認情報は、外国送金先に関する第1の確認情報であり、
前記判定手段は、前記外国送金情報に含まれる受取人名の文字列のうち前記確認不要情報に含まれる文字列を除いた文字列と、前記第1の確認情報に含まれる文字列のうち前記確認不要情報に含まれる文字列を除いた文字列と、の類似度に基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記第1の確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記外国送金情報に含まれる文字列のうち、判定対象とする文字列を設定する設定手段を更に有し、
前記判定手段は、前記外国送金情報に含まれる文字列のうち、前記設定手段により設定された文字列と、前記確認情報に含まれる文字列との類似度に基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する請求項記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記確認情報は、受取人名に関する第1の確認情報と規制対象品に関する第2の確認情報とであり、
前記判定手段は、前記外国送金情報に含まれる受取人名の文字列と前記第1の確認情報に含まれる文字列との類似度に基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記第1の確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定すると共に、前記外国送金情報の受取人名以外の項目に含まれる文字列と前記第2の確認情報に含まれる文字列との語幹一致に基づいて、前記外国送金情報の受取人名以外の項目に含まれる文字列の中に前記第2の確認情報に含まれる文字列があるか否かを判定する請求項記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記判定手段は、レーベンシュタイン距離を用いて文字列と文字列との類似度を判断する請求項1乃至3何れか1項記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記語幹一致として、前方一致、後方一致、及び、部分一致のうち、少なくとも何れかに基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記第2の確認情報に含まれる文字列があるか否かを判定する請求項記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記判定手段によって判定が行われた日時情報と前記判定手段による判定に用いられた前記確認情報とを関連付けて履歴情報としてメモリに記憶する記憶手段を更に有する請求項1乃至何れか1項記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記判定手段による判定の結果に基づく情報を出力する出力手段を更に有する請求項1乃至何れか1項記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第1の登録手段は、金融機関システムからの要求に応じて、金融機関ごとに外国送金に関する確認情報を登録し、
前記受付手段は、金融機関を指定した外国送金に関する外国送金情報を受け付け、
前記判定手段は、前記受付手段により受け付けられた前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記第1の登録手段により登録された確認情報のうち、前記指定された金融機関の外国送金に関する確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する請求項1乃至何れか1項記載の情報処理システム。
【請求項9】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
外国送金に関する確認情報を登録する第1の登録工程と、
外国送金に関する外国送金情報を受け付ける受付工程と、
外国送金に関する確認不要情報を登録する第2の登録工程と、
前記受付工程により受け付けられた前記外国送金情報に含まれる文字列と、前記第1の登録工程により登録された前記確認情報に含まれる文字列と、の類似度に基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する判定工程と、
を含み、
前記確認情報は、外国送金先に関する第1の確認情報であり、
前記判定工程は、前記外国送金情報に含まれる受取人名の文字列のうち前記確認不要情報に含まれる文字列を除いた文字列と、前記第1の確認情報に含まれる文字列のうち前記確認不要情報に含まれる文字列を除いた文字列と、の類似度に基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記第1の確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至何れか1項記載の情報処理システムの各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
受け付けられた外国送金に関する外国送金情報に含まれる文字列と、登録された外国送金に関する確認情報に含まれる文字列と、の類似度に基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に登録された前記確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであり、
前記確認情報は、外国送金先に関する第1の確認情報であり、
前記判定手段は、前記外国送金情報に含まれる受取人名の文字列のうち、登録された外国送金に関する確認不要情報に含まれる文字列を除いた文字列と、前記第1の確認情報に含まれる文字列のうち前記確認不要情報に含まれる文字列を除いた文字列と、の類似度に基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記第1の確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する、
プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行の外国送金業務では、入力が必要な項目が多いこと等から事務処理が煩雑になる。そのため、特許文献1では、外国送金業務における入力作業の負担軽減を図る仕組みが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-34298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外国送金の事務処理では、必要な情報を入力するのみならず、送金先や送金目的等で不正なものがないか等をチェックする必要がある。
しかしながら、現状、外国送金における入金内容のチェックは手作業で行われている。このため、依然として外国送金業務における作業は煩雑なものとなる。また、例えば、送金先の受取人が外国人で受取人の名前が外国語である場合、チェック漏れが発生する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報処理システムは、外国送金に関する確認情報を登録する第1の登録手段と、外国送金に関する外国送金情報を受け付ける受付手段と、外国送金に関する確認不要情報を登録する第2の登録手段と、前記受付手段により受け付けられた前記外国送金情報に含まれる文字列と、前記第1の登録手段により登録された前記確認情報に含まれる文字列と、の類似度に基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する判定手段と、を有し、前記確認情報は、外国送金先に関する第1の確認情報であり、前記判定手段は、前記外国送金情報に含まれる受取人名の文字列のうち前記確認不要情報に含まれる文字列を除いた文字列と、前記第1の確認情報に含まれる文字列のうち前記確認不要情報に含まれる文字列を除いた文字列と、の類似度に基づいて、前記外国送金情報に含まれる文字列の中に前記第1の確認情報に含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、外国送金の事務処理の負荷を更に軽減し、入力内容のチェック精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、外国送金システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、外国送金システムにおける情報処理の一例を示すシーケンス図である。
図4図4は、ブラックリストの一例を示す図である。
図5図5は、レーベンシュタイン距離を用いて文字列と文字列との類似度を判断する処理を説明するための図である。
図6図6は、類似度が70%以上の送金先をブラックリスト一致候補として所定のメモリに記憶した概念図である。
図7図7は、ホワイトリストの一例を示す図である。
図8図8は、ホワイトリストに含まれる文字列を除去して文字列と文字列との類似度を判断する処理を説明するための図である。
図9図9は、ブラックリストとブラックリストを用いた類似度の判定が行われた日時情報とを関連付けて履歴情報として所定のメモリに記憶した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0009】
<実施形態1>
(外国送金システムのシステム構成)
図1は、外国送金システムのシステム構成の一例を示す図である。
外国送金システムは、事業法人PC10と、情報処理装置20と、金融機関PC30と、がインターネット、専用回線等のネットワークを介して接続されている。事業法人PC10は、外国送金を依頼したり、依頼の承認をしたりする、事業法人のPC(Personal Computer)である。金融機関PC30は、外国送金を行う金融機関のPCである。情報処理装置20は、金融機関PC30から後述するブラックリストや規制対象品チェックリストを受け取り登録する。また、情報処理装置20は、事業法人PC10から外国送金依頼書を受け付ける。そして、情報処理装置20は、受け付けられた外国送金依頼書に含まれる文字列の中に登録されたブラックリストや規制対象品チェックリストに含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定し、判定結果に基づく情報を出力する。判定結果に基づく情報としては、同一・類似の文字列があるか否かのみならず、例えば同一・類似の文字列の類似度や類似する順位等を含めた情報などである。情報処理装置20は、コンピュータの一例である。
なお、図1に示すシステム構成はあくまで一例であって、事業法人PC10は個人顧客等のPC等の情報処理端末であってもよい。また、情報処理装置20は、金融機関以外の第三者によって管理され、金融機関がそれを利用する構成であってもよいし、各金融機関が管理する構成であってもよい。
係る構成とすることで、外国送金の事務処理の負荷を更に軽減し、入力内容のチェック精度を向上させることができる。
【0010】
(情報処理装置のハードウェア構成)
図2は、情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
情報処理装置20は、ハードウェア構成として、CPU21と、メモリ22と、通信部23と、を含む。CPU21は、情報処理装置20の全体を制御する。メモリ22は、プログラム、CPU21がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶する。通信部23は、情報処理装置20をネットワークに接続し、他のシステム、装置との通信を制御する。CPU21がメモリ22に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって情報処理装置20の機能が実現される。ここで、事業法人PC10、金融機関PC30も図2と同様の構成を有する。但し、事業法人PC10、金融機関PC30は、図2に示した構成に加え、入力装置、表示装置等を有する。
ここで、図1及び図2では説明の簡略化のため、事業法人PC10、情報処理装置20、金融機関PC30は、それぞれ単体の装置(PC)から構成されているものとして説明したが、各々複数の装置からなるシステムとして構成されていてもよい。
以下では、各々システムとして構成されているものとして説明を行う。即ち、以下に示す事業法人システム15は、複数の事業法人PC10から構成される。また、情報処理システム25は、複数の情報処理装置20から構成される。また、金融機関システム35は、複数の金融機関PC30から構成される。
情報処理システム25が複数の情報処理装置20から構成される場合、複数のCPUが、1又は複数のメモリに記憶されたプログラムに基づき処理を実行することにより、情報処理システム25の機能が実現される。また、クラウド型のシステムとして構成されてもよい。
【0011】
(外国送金システムにおける情報処理)
図3は、外国送金システムにおける情報処理の一例を示すシーケンス図である。図3の例では、情報処理システム25に接続されている事業法人システム15、金融機関システム35は、各々1つであるが、複数の事業法人システム15及び金融機関システム35が情報処理システム25に接続される。
SQ10において、金融機関システム35は、ブラックリストを情報処理システム25に送信する。ここで、ブラックリストとは、各金融機関が設定する不適切な送金先(受取人名)の一覧である。図4にブラックリストの一例を示す。ブラックリストは、外国送金先に関する第1の確認情報の一例である。
ブラックリストを受信すると、SQ11において、情報処理システム25は、ブラックリストを送信してきた金融機関システム35で識別される金融機関ごとにブラックリストを所定のメモリに登録する。即ち、情報処理システム25は、金融機関を識別する識別情報と関連付けてブラックリストを所定のメモリに登録する。情報処理システム25は、金融機関ごとに専用の環境が用意されており、識別情報を意識することなくログインした自機関の環境においてブラックリストを登録する構成であってもよく、仕様に応じて各種の構成が想定される。
SQ12において、金融機関システム35は、規制対象品チェックリストを情報処理システム25に送信する。ここで、規制対象品チェックリストとは、各金融機関が設定する規制対象の商品の一覧である。規制対象品チェックリストは、受取人名以外に関する第2の確認情報の一例である。但し、本実施形態では確認情報として、ブラックリスト、規制対象品チェックリストを例に説明を行うが、これらに限定されず、外国送金に関する確認を要する情報であれば他のものであってもよい。
規制対象品チェックリストを受信すると、SQ13において、情報処理システム25は、規制対象品チェックリストを送信してきた金融機関システム35の金融機関ごとに規制対象品チェックリストを所定のメモリに登録する。即ち、情報処理システム25は、金融機関を識別する識別情報と関連付けて規制対象品チェックリストを所定のメモリに登録する。
ここで、ブラックリスト、規制対象品チェックリストの送信、登録の順序は、逆であってもよいし、同時であってもよい。
また、SQ10~SQ13の処理は、一連の外国送金の処理の際に、毎回実行されるものではなく、ブラックリストや規制対象品チェックリストが更新されるタイミングで行われ、SQ14以降の処理は、最新のブラックリストを用いて行われる。ブラックリストや規制対象品チェックリストの更新は、所定のタイミングで行われるが、各時点のブラックリストは、バージョンを表す情報と共に履歴として保存される。
【0012】
SQ14において、事業法人システム15は、外国送金の際に使用する金融機関を指定した外国送金の依頼を情報処理システム25に送信する。
外国送金の依頼を受信すると、SQ15において、情報処理システム25は、外国送金の依頼を識別する識別情報と、指定された金融機関を識別する識別情報と、外国送金の依頼に含まれる外国送金依頼書とを関連付けて所定のメモリに登録する。ここで、外国送金依頼書には、送金金額、依頼者、送金先、送金目的等の情報が含まれる。外国送金依頼書は、外国送金に関する外国送金情報の一例である。外国送金の依頼を受信する処理は、外国送金に関する外国送金情報を受け付ける受付処理の一例である。
外国送金の依頼の承認権限を持つユーザの操作に応じて、SQ16において、事業法人システム15は、外国送金の依頼を識別する識別情報を含む依頼承認を情報処理システム25に送信する。
【0013】
依頼承認を受信すると、SQ17において、情報処理システム25は、外国送金の依頼を識別する識別情報に基づいて、メモリより外国送金依頼書を特定する。また、情報処理システム25は、外国送金依頼書と関連付けて登録されている指定された金融機関を識別する識別情報に基づき、メモリより、金融機関を識別する識別情報で識別される金融機関により登録されたブラックリストと規制対象品チェックリストとを特定する。そして、情報処理システム25は、特定した外国送金依頼書と、ブラックリスト及び規制対象品チェックリストと、に基づいてスクリーニングを実行する。
即ち、情報処理システム25は、特定した外国送金依頼書に含まれる文字列の中に特定したブラックリストに含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する。また、情報処理システム25は、特定した外国送金依頼書に含まれる文字列の中に特定した規制対象品チェックリストに含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する。
より具体的に説明すると、情報処理システム25は、外国送金依頼書に含まれる受取人名の文字列とブラックリストに含まれる文字列との類似度に基づいて、外国送金依頼書に含まれる文字列の中にブラックリストに含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する。ここで、情報処理システム25は、レーベンシュタイン距離を用いて文字列と文字列との類似度を判断する。レーベンシュタイン距離は、例えば動的計画法のアルゴリズム等を用いて算出され、何回編集すれば同じ文字列になるかを表す値である。
【0014】
図5は、レーベンシュタイン距離を用いて文字列と文字列との類似度を判断する処理を説明するための図である。
図5の左側の文字列は、外国送金依頼書に含まれる受取人名(送金先)の文字列であり、図5の右側の文字列は、ブラックリストに含まれる文字列である。図5の左側の「Oq prsu」の文字列を図5の右側の「Op qrstu」の文字列に編集する場合、例えば、図5の左側の文字列の2文字目のqをpに置き換え、3文字目のqをpに置き換えることになる。この場合、距離を2となる。図5の例の場合、情報処理システム25は、文字列の長さは7文字であり、7文字中の5文字は編集不要のため、類似度を5/7=約71%と決定する。
類似度に基づいて、外国送金依頼書に含まれる文字列の中にブラックリストに含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定するのは、図5に示したように、受取人名(送金先)の文字列がスペルミスのためブラックリストに登録されている文字列と異なっていても怪しい送金先を見逃さず、見つけ出すことを可能にするためである。
また、情報処理システム25は、外国送金依頼書に含まれる受取人国名、受取人本社国名、受取人住所、受取銀行名、経由銀行名、原産地、船積地、貨物の仕向地、送金内容(具体的目的)等の項目(以下、住所や送金目的等)に含まれる文字列と規制対象品チェックリストに含まれる文字列との語幹一致に基づいて、外国送金依頼書に含まれる文字列の中に規制対象品チェックリストに含まれる文字列があるか否かを判定する。情報処理システム25は、語幹一致として、前方一致、後方一致、及び、部分一致のうち、少なくとも何れかに基づいて、外国送金依頼書に含まれる文字列の中に規制対象品チェックリストに含まれる文字列があるか否かを判定する。
【0015】
外国送金依頼書に含まれるすべての文字列を類似度に基づき判定するようにしてもよいが、類似度に基づく判定は語幹一致に基づく判定よりCPU等の処理能力を要すると共に、処理に時間を要する。特に、住所や送金目的等については文字列として長くなり類似度の算出に時間を要する。また、例えば特定の国名を表す文字列が含まれていないかをチェックしたい場合においても、外国送金依頼書の住所の項目が国名以外の県や市や町等も含めた住所全体の一連の文字列として構成されているときには、チェック対象の国名と、外国送金依頼書の一項目の住所全体との間で類似度を算出することになるため、類似度による判定が難しい場合もある。したがって、本実施形態では、外国送金先は類似度による判定を行い、住所や送金目的等は語幹一致に基づく判定を行うようにしている。但し、情報処理システム25は、金融機関システム35からの要求に応じて、すべての項目(外国送金先、送金目的等)に対して類似度による判定を行うようにしてもよい。また、情報処理システム25は、例えば、金融機関システム35からの要求に応じて、外国送金依頼書に含まれる文字列のうち、類似度に基づく判定対象とする文字列、又は項目を設定するようにしてもよい。そして、情報処理システム25は、外国送金依頼書に含まれる文字列のうち、設定された文字列、又は項目の文字列と、金融機関システム35から登録されたリストに含まれる文字列との類似度に基づいて、外国送金依頼書に含まれる文字列の中にリストに含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定するようにしてもよい。
【0016】
図3のSQ18において、情報処理システム25は、判定の結果を出力する。例えば、情報処理システム25は、ブラックリストに含まれる送金先のうち、類似度が閾値(例えば、70%)以上の送金先をブラックリスト一致候補として、例えば、所定のメモリに記憶する。図6は、類似度が70%以上の送金先をブラックリスト一致候補として所定のメモリに記憶した概念図である。
ここで、情報処理システム25は、金融機関システム35からの要求に応じて、類似度の閾値を変更するようにしてもよいし、一番類似度が高い受取人名(送金先)の文字列のみ、又は類似度が一番高いものから10個をブラックリスト一致候補として出力するようにしてもよい。
SQ19において、金融機関システム35は、スクリーニング結果の照会要求を情報処理システム25に対して送信する。
スクリーニング結果の照会要求を受信すると、SQ20において、情報処理システム25は、メモリ等に記憶していた判定の結果を含む画面等を生成し、金融機関システム35のWebブラウザ等に表示する。
また、SQ21において、金融機関システム35は、スクリーニング結果の出力要求を情報処理システム25に対して送信する。
スクリーニング結果の出力要求を受信すると、SQ22において、情報処理システム25は、メモリ等に記憶していた判定の結果を含むファイルを生成し、金融機関システム35に送信する。
SQ19、SQ21の順序は逆であってもよい。
【0017】
金融機関システム35の担当者は、画面、又はファイルとして送信された判定の結果をみて、適切な送信先か、適切な送金目的か等を確認する。適切な送信先や適切な送金目的ではない場合、金融機関システム35は、情報処理システム25を介して外国送金の依頼を行った事業法人システム15に対して原因等を通知し、修正等を依頼する。適切な送信先や適切な送金目的の場合、金融機関システム35は、情報処理システム25に対して、外国送金の実行を指示する。指示を受け取ると、情報処理システム25は、外国送金依頼書の内容に基づき、外国送金の実行に係る処理を行う。
本実施形態の処理によれば、外国送金の事務処理の負荷を更に軽減し、入力内容のチェック精度を向上させることができる。
【0018】
<実施形態2>
情報処理システム25は、金融機関システム35からの要求に応じて、類似度の判断において考慮を必要としないホワイトリストを登録するようにしてもよい。図7は、ホワイトリストの一例を示す図である。ホワイトリストは、確認不要情報の一例である。
そして、例えば、情報処理システム25は、外国送金依頼書に含まれる受取人名の文字列のうちホワイトリストに含まれる文字列を除いた文字列とブラックリストに含まれる文字列のうちホワイトリストに含まれる文字列を除いた文字列との類似度に基づいて、外国送金依頼書に含まれる文字列の中にブラックリストに含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定する。
図8は、ホワイトリストに含まれる文字列を除去して文字列と文字列との類似度を判断する処理を説明するための図である。図8の左側の文字列は、外国送金依頼書に含まれる受取人名(送金先)の文字列であり、図8の右側の文字列は、ブラックリストに含まれる文字列である。そして、例えば、「BANK」はホワイトリストに登録されている文字列である。この他にも例えば、「株式会社」等がホワイトリストに登録される。
「BBC XZZ BANK」は、本来、適切な送金先だとする。
情報処理システム25が仮に「BANK」を除去せずに類似度を算出すると、「BBC XZZ BANK」と「ABC XYZ BANK」とでは2文字の入れ替えが必要なため、距離は2、文字列の長さは10であるため、類似度は8/10=80%となる。したがって、仮に閾値が70%に設定されていると、「BBC XZZ BANK」はブラックリスト一致候補となる。しかし、情報処理システム25が「BANK」を除去して類似度を算出すると、類似度は4/6=約67%となる。したがって、仮に閾値が70%に設定されていると、「BBC XZZ BANK」はブラックリスト一致候補とならない。
ホワイトリストに登録されている文字を除去して文字列の類似度を判断することにより、チェック精度を向上させることができる。
【0019】
(変形例1)
類似度の判断において、情報処理システム25は、レーベンシュタイン距離に替えてジャロウィンクラー距離を用いてもよい。
【0020】
(変形例2)
情報処理システム25は、受け付けられた外国送金依頼書に含まれる文字列の中に登録されたブラックリストや規制対象品チェックリストに含まれる文字列と同一又は類似の文字列があるか否かを判定し、判定に用いたブラックリスト、規制対象品チェックリストと日時情報とを関連付けて履歴情報として、所定のメモリに記憶するようにしてもよい。
図9は、ブラックリストとブラックリストを用いた類似度の判定が行われた日時情報とを関連付けて履歴情報として所定のメモリに記憶した一例を示す図である。
図9に示すように、履歴情報を保持しておくことによって、仮に、適切でない送金先にお金が送金されてしまった場合でも、そもそもブラックリストに登録されていなかった送金先なのか否か等、あとから原因を把握することが可能となる。
【0021】
以上、本発明の実施形態の一例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではない。
【0022】
以上、上述した各実施形態の処理によれば、外国送金の事務処理の負荷を更に軽減し、入力内容のチェック精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0023】
21 CPU
25 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9