(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】浚渫ステーションおよび浚渫システム
(51)【国際特許分類】
E02F 3/88 20060101AFI20220720BHJP
E02F 5/00 20060101ALI20220720BHJP
E02F 3/92 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
E02F3/88 K
E02F5/00 A
E02F3/92 C
(21)【出願番号】P 2018122337
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000165974
【氏名又は名称】古河機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 文雄
(72)【発明者】
【氏名】林元 和智
(72)【発明者】
【氏名】塚本 佳明
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-030138(JP,A)
【文献】特開2018-096075(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200744(JP,U)
【文献】特開2007-146481(JP,A)
【文献】特開2016-153556(JP,A)
【文献】特公昭49-035166(JP,B1)
【文献】特公昭59-039358(JP,B2)
【文献】国際公開第2014/153494(WO,A2)
【文献】特開平07-268901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/88- 3/94
E02B 17/04
E21B 15/02
43/01
E21C 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダム湖の湖底に立設される浚渫用矢倉と、該浚渫用矢倉に上下および左右にスライド移動可能に装備される破砕機と、該破砕機の上部に設置される浚渫用ポンプと、を備え、
前記浚渫用矢倉は、
上部フレーム、下部フレームおよびこれら上下のフレーム間に配置される中間フレームを有するプラットフォームと、水平面で互いに直交するX方向およびY方向の少なくとも一方に前記プラットフォームを移動可能な水平移動機構と、前記上下のフレームそれぞれに設けられるとともに垂直移動機構を介してZ方向に個別に相対的スライド移動が可能に構成されて各支持脚がダム湖の湖底に着底される複数の支持脚と、を有し、
前記水平移動機構は、
前記中間フレームと前記上部フレームとを、X方向およびY方向のうち水平方向への移動機構を介して一の方向に相対的スライド移動が可能に構成され、
前記中間フレームと前記下部フレームとを、水平方向への移動機構を介して前記一の方向と直交する他の方向に相対的スライド移動が可能に構成され
、
前記破砕機は、上下二段に配置されるとともにそれぞれが一対のドラムカッタを有する二基の二軸破砕機から構成され、
上段の二軸破砕機は、前記浚渫用ポンプの吸込み側に対向する位置に一対のドラムカッタが設けられ、
下段の二軸破砕機は、前記上段二軸破砕機の一対のドラムカッタに対して前記浚渫用ポンプの吸込み側とは反対の側に自身の一対のドラムカッタが設けられ、
前記下段の二軸破砕機の一対のドラムカッタは、浚渫物を掻き込む掻き込み機能と、浚渫物を粗く破砕する粗破砕機能とを有し、
前記上段の二軸破砕機の一対のドラムカッタは、下段の二軸破砕機で粗く破砕後の浚渫物をより細かく破砕する細破砕機能を有することを特徴とする浚渫ステーション。
【請求項2】
請求項1に記載の浚渫ステーションと、ダム湖の水上に設けられる水上ステーションと、を備え、
前記浚渫ステーションの前記プラットフォームが、前記水上ステーションに取り付けられた作業機に捲回されるワイヤを介して前記水上ステーションに連結されることを特徴とする浚渫システム。
【請求項3】
前記浚渫ステーションは、水上での浚渫ステーションの浮設並びに注水により浚渫ステーションの沈降が可能な浮体と、浚渫ステーションを推進可能なスラスタと、を有し、
前記水上ステーションは、相互に着脱可能に連結されて水上に浮設可能な本体部および連結体部と、前記本体部または連結体部に装備されて水上ステーションを推進可能なスラスタと、を有し、
前記本体部および連結体部は、相互が連結されたときに前記浚渫ステーションを水上で収容可能なドッキングベイが画成される
請求項2に記載の浚渫システム。
【請求項4】
浚渫ステーションと、ダム湖の水上に設けられる水上ステーションと、を備え、
前記浚渫ステーションは、
ダム湖の湖底に立設される浚渫用矢倉と、該浚渫用矢倉に上下および左右にスライド移動可能に装備される破砕機と、該破砕機の上部に設置される浚渫用ポンプと、水上での浚渫ステーションの浮設並びに注水により浚渫ステーションの沈降が可能な浮体と、浚渫ステーションを推進可能なスラスタと、
を備え、
前記浚渫用矢倉は、前記水上ステーションに取り付けられた作業機に捲回されるワイヤを介して前記水上ステーションに連結されるプラットフォームと、水平面で互いに直交するX方向およびY方向の少なくとも一方に前記プラットフォームを移動可能な水平移動機構と、前記プラットフォームに垂直移動機構を介してZ方向に個別に相対的スライド移動が可能に構成されて各支持脚がダム湖の湖底に着底される複数の支持脚と、を有し、
前記水上ステーションは、相互に着脱可能に連結されて水上に浮設可能な本体部および連結体部と、前記本体部または連結体部に装備されて水上ステーションを推進可能なスラスタと、を有し、
前記本体部および連結体部は、相互が連結されたときに前記浚渫ステーションを水上で収容可能なドッキングベイが画成される
ことを特徴とする浚渫システム。
【請求項5】
走行用の複数の車輪と、該車輪の車軸とは直交する面に設けられた牽引部と、を前記浚渫ステーションと前記水上ステーションとにそれぞれ有する
請求項3または4に記載の浚渫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダム湖の湖底に堆積した堆積物を浚渫するための浚渫技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なダムでは、ダム湖の底に堆積した泥や土砂、玉石、礫、沈木等の堆積物を排出するための浚渫作業がダムの貯水能力維持のために必要である。特に、水力発電用のダムでは、取水口付近の堆積物が問題となり、取水口付近の浚渫作業が適時実施される。
従来のダム浚渫工法としては、グラブバケットによって湖底の堆積物をつかみ揚げ、土運船に積載するグラブ船を用いた浚渫工法や、浚渫用ポンプにより湖底の堆積物を吸引するとともに送泥するポンプ浚渫船方式のダム浚渫工法が知られている。
これらのダム浚渫工法においては、グラブ船やポンプ浚渫船での浚渫作業において、特殊な技術を持った作業員を要するため、作業員の確保や技術継承が問題となる。また、浚渫工事のたびに、浚渫作業船を含む浚渫機器を陸上運搬してダム湖に配置しなければならないという問題がある。
【0003】
このようなことから、例えば特許文献1では、水上を移動可能に形成された浮力体と、その浮力体上に敷設された軌道に沿って走行移動するベースマシンと、そのベースマシンから水底に昇降可能に吊降ろされて堆積物を掘削する水平多軸式カッタと、その水平多軸式カッタで掘削された堆積物を吸引して排出するためのポンプと、を備える浚渫システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の浚渫システムは、浮力体上に敷設された軌道に沿って走行移動するベースマシンから水底に吊降ろした水平多軸式カッタにより堆積物を掘削する構造である。
そのため、起伏の激しい湖底で水平多軸式カッタを湖底の形状に追従して移動させる場合、浮力体上に取り付けられたウインチによるワイヤの捲回操作と浮力体上に敷設された軌道に沿って走行移動するベースマシンの走行移動との連動操作が必要となり、その操作自体が難しいという問題がある。
【0006】
また、水平多軸式カッタによる掘削作業では、湖水の懸濁が発生するところ、懸濁した湖底の湖面形状の確認は水上からでは困難である。そのため、湖底の形状が確認できない中での水平多軸式カッタの湖底の形状への追従操作となる。したがって、水平多軸式カッタの湖底面への配置が不正確となり、湖底の礫や沈木などの堆積物を効率よく掘削しつつ浚渫することが難しいという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、ダム湖の湖底の堆積物を効率よく掘削しつつ浚渫し得る浚渫ステーションおよび浚渫システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る浚渫ステーションは、ダム湖の湖底に立設される浚渫用矢倉と、該浚渫用矢倉に上下および左右にスライド移動可能に装備される破砕機と、該破砕機の上部に設置される浚渫用ポンプと、を備え、前記浚渫用矢倉は、プラットフォームと、水平面で互いに直交するX方向およびY方向の少なくとも一方に前記プラットフォームを移動可能な水平移動機構と、前記プラットフォームに垂直移動機構を介してZ方向に個別に相対的スライド移動が可能に構成されて各支持脚がダム湖の湖底に着底される複数の支持脚と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る浚渫ステーションによれば、浚渫用矢倉が、ダム湖の湖底に複数の支持脚で立設され、浚渫用矢倉には、上下および左右にスライド可能に破砕機が設置されその上部に浚渫用ポンプが設置されているので、起伏の激しい湖底であっても、湖底の形状に対して破砕機を正確に追従移動させることができる。そのため、湖底の堆積物を効率よく破砕(掘削)しつつ浚渫用ポンプで浚渫できる。
【0009】
ここで、本発明の一態様に係る浚渫ステーションにおいて、前記破砕機は、上下二段に配置されるとともにそれぞれが一対のドラムカッタを有する二基の二軸破砕機から構成され、上段の二軸破砕機は、前記浚渫用ポンプの吸込み側に対向する位置に一対のドラムカッタが設けられ、下段の二軸破砕機は、前記上段二軸破砕機の一対のドラムカッタに対して前記浚渫用ポンプの吸込み側とは反対の側に自身の一対のドラムカッタが設けられていることは好ましい。
【0010】
このような構成であれば、堆積物に玉石や沈木が含まれる場合であっても、一基のみの破砕機による破砕に比べ、二段構えの二軸破砕機による破砕工程により、設置されている浚渫用ポンプで吸引・吐出できる大きさまで堆積物をより確実に破砕できる。よって、湖底の堆積物を効率よく破砕しつつ浚渫用ポンプで浚渫する構成としてより好適である。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る浚渫システムは、本発明のいずれか一の態様に係る浚渫ステーションと、ダム湖の水上に設けられる水上ステーションと、を備え、前記浚渫ステーションの前記プラットフォームが、前記水上ステーションに取り付けられた作業機に捲回されるワイヤを介して前記水上ステーションに連結されることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る浚渫システムによれば、浚渫ステーションのプラットフォームが、ダム湖の水上に設けられる水上ステーションに取り付けられた作業機に捲回されるワイヤを介して水上ステーションに連結されているので、湖底がどのような形状であっても、浚渫ステーションの転倒を確実に防止できる。よって、湖底の堆積物を効率よく破砕しつつ浚渫用ポンプで浚渫できる。
ここで、特許文献1に記載の浚渫システムでは、浮力体上への軌道の敷設が必要なので浮力体も大型化する。また、浮力体上の装置構成も複雑となるため、大がかりで煩雑な設置作業が必要となる。さらに、同文献記載の浚渫システムの搬入時には、大型化に応じた、大型トラックやトレーラ、ラフタークレーンなどの作業機が必要となるという問題がある。
【0013】
これに対し、本発明の一態様に係る浚渫システムにおいて、前記浚渫ステーションは、水上での浚渫ステーションの浮設並びに注水により浚渫ステーションの沈降が可能な浮体と、浚渫ステーションを推進可能なスラスタと、を有し、前記水上ステーションは、相互に着脱可能に連結される水上に浮設可能な本体部および連結体部と、前記本体部または連結体部に装備されて水上ステーションを推進可能なスラスタと、を有し、前記本体部および連結体部は、相互が連結されたときに前記浚渫ステーションを水上で収容可能なドッキングベイが画成されることは好ましい。
【0014】
このような構成であれば、水上ステーションは、本体部および連結体部が相互に着脱可能に連結され、相互が連結されたときに浚渫ステーションを収容可能なドッキングベイが画成されるので、本体部と連結体部とを分離すれば搬送時の小型化が可能となり、また、装置構成も簡素となるため設置作業が容易になる。よって、浚渫システムの搬入出時には、大型ラフタークレーンを使用せずとも、搬入および搬出ができる。
また、このような構成であれば、浚渫ステーションは、水上での浚渫ステーションの浮設並びに注水により浚渫ステーションの沈降が可能な浮体と、浚渫ステーションを推進可能なスラスタと、を有し、本体部または連結体部には、水上ステーションを推進可能スラスタが装備されるので、水上での曳航船等の他の配置装置が不要である。
【0015】
さらに、本発明の一態様に係る浚渫システムにおいて、走行用の複数の車輪と、該車輪の車軸とは直交する面に設けられた牽引部と、を前記浚渫ステーションと前記水上ステーションとにそれぞれ有することは好ましい。
このような構成であれば、大型ラフタークレーンを使用せず、例えば車両搭載型クレーンやキャリアカー等の比較的小型の搬送機器に設けられたウインチにより、湖面までのスロープを利用して、浚渫ステーションおよび水上ステーションをワイヤ等で牽引して搬出および搬入する上で好適である。そのため、このような構成であれば、比較的小型の搬送機器で装置の組立作業や搬入作業がより容易となり、狭い道路やトンネルのある山間部のダムに適応する上で好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上述のように、本発明によれば、ダム湖の湖底の堆積物を効率よく掘削しつつ浚渫できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一態様に係る浚渫ステーションを用いた浚渫システムの第一実施形態を示す模式的説明図である。
【
図2】本発明の一態様に係る浚渫ステーションの一実施形態を示す模式的説明図であり、同図(a)は浚渫時の平面図、(b)はその正面図を示している。
【
図3】本発明の一態様に係る浚渫ステーションの一実施形態を示す模式的斜視図である。
【
図4】浚渫ステーションを構成するプラットフォームの模式的平面図である。
【
図5】浚渫ステーションを構成するプラットフォームの模式的正面図である。
【
図6】プラットフォームの中間フレームの模式的平面図である。
【
図7】本発明の一態様に係る浚渫ステーションに装備された浚渫装置の一実施形態を示す正面図である。
【
図8】本発明の一態様に係る浚渫装置の一実施形態を示す側面図である。
【
図9】本発明の一態様に係る浚渫装置を装備した浚渫ステーションを用いた浚渫システムの第二実施形態を示す模式的説明図であり、同図(a)はその浚渫ステーションの平面図、(b)は正面図である。
【
図10】本発明の一態様に係る浚渫システムの第二実施形態を示す模式的説明図であり、同図(a)はその水上ステーションの平面図、(b)は正面図である。
【
図11】本発明の一態様に係る浚渫システムの第二実施形態を示す模式的説明図であり、同図(a)は湖上において水上ステーションのドッキングベイに浚渫ステーションが格納される過程を示す平面図、(b)はその格納過程の正面図である。
【
図12】本発明の一態様に係る浚渫システムの第二実施形態を示す模式的説明図であり、同図(a)は湖上において水上ステーションのドッキングベイに浚渫ステーションが格納されている格納状態を示す平面図、(b)はその格納状態の正面図である。
【
図13】本発明の一態様に係る浚渫システムの第二実施形態を示す模式的説明図であり、同図(a)は湖上において水上ステーションのドッキングベイから浚渫ステーションが湖底に向けて垂下されている状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。本実施形態は、ダム湖の湖底に立設され堆積物を掘削しつつ浚渫する浚渫ステーションと、ダム湖の湖上に配置される水上ステーションと、を備える浚渫システムの例である。
なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0019】
まず、第一実施形態の浚渫システムの全体構成について説明する。
この浚渫システムは、
図1に示すように、ダム湖の湖上SLに配置される水上ステーション1と、ダム湖の湖底SBに配置される浚渫ステーション50とを有する。本実施形態の浚渫ステーション50には、二基の二軸破砕機10,20を上下2段に構成した浚渫装置100が装備されている。
浚渫ステーション50は、堆積物が堆積するダム湖の湖底SBに対し、浚渫装置100に装備された二基の二軸破砕機10、20でダム湖の湖底を掘削するとともに、二軸破砕機10、20の上部に設けられた浚渫用ポンプ30により、掘削された堆積物を泥水とともに浚渫可能に構成されている。そして、本実施形態の浚渫システムは、浚渫装置100で浚渫された堆積物を、浚渫ステーション50の配置位置Sから、水中に配設された排水ホース7を介して湖底の移設位置Mに移動するように構成されている。
【0020】
詳しくは、本実施形態の例では、水上ステーション1が湖上SLの目的とする位置に停泊される。本実施形態の水上ステーション1は、浚渫ステーション50を湖上SLから吊り下げた状態で運搬(水中での移送)し、ダム湖の湖底SBに架設配置するための配置用母船を兼ねている。
なお、第一実施形態の浚渫システムは、ダム湖の状況として、水上ステーション1および浚渫ステーション50をトラック等の車両によってダム湖に至る湖岸まで運搬可能であり、さらに、クレーン等の作業機によって湖岸から湖上まで搬送可能な状況下での使用状態を想定した例である。
【0021】
水上ステーション1には、浚渫ステーション50をダム湖の湖底SBに架設配置するためのウインチやクレーン等を含む作業機6と、発電機2と、油圧源として内燃機関で駆動される可変容量タイプの油圧ポンプ3と、制御手段を構成する管理コンピュータ9と、が装備されている。水上ステーション1は、ダム湖の所定位置まで浚渫ステーション50を水上にて曳航ないし自走により搬送し、作業機6のワイヤ5で浚渫ステーション50を垂下してダム湖の湖底SBに立設する。
【0022】
管理コンピュータ9および発電機2並びに油圧ポンプ3は、アンビリカブルケーブル8を介してダム湖の湖底SBに配置された浚渫ステーション50に接続され、水上ステーション1側から、浚渫ステーション50および浚渫装置100の作動に必要な電力や制御信号の供給並びに圧油の供給が可能になっている。
アンビリカブルケーブル8は、給排用の各油圧ホースと、電力ケーブルと、信号用ケーブルと、を可撓性ケーブルベア(ケーブルベアは登録商標)により一体的に囲繞保持してなるハイブリット構造を有する。なお、給排用の各油圧ホースと、電力ケーブルと、信号用ケーブルと、をそれぞれを別箇に配線および配管してもよい。
【0023】
次に、上記浚渫ステーション50について、
図2~
図6を適宜参照しつつ詳しく説明する。この浚渫ステーション50は、上記浚渫装置100と、X方向およびY方向へ自走可能な浚渫用矢倉52と、を備えるダム湖の湖底堆積物浚渫用の自走式浚渫機械である。
図2に示すように、本実施形態の浚渫ステーション50は、複数の矩形枠体を有するプラットフォーム51と、プラットフォーム51を構成する上下の枠体の四隅を支持する複数(この例では8脚)の支持脚66と、ジャッキ機構69と、を有する浚渫用矢倉52を備える。各支持脚66は、ジャッキ機構69を介してプラットフォーム51に昇降可能に固定されている。
【0024】
浚渫用矢倉52を構成するプラットフォーム51は、平面視が矩形枠状をなす上部フレーム(Upper frame)51Xと、平面視が矩形枠状をなす下部フレーム(Lower frame)51Yと、両プラットフォーム51X、51Yの中間に設けられ平面視が矩形枠状をなす中間フレーム(Middle frame)51Mと、を有する。
この例では、上部フレーム51Xには、
図3に示すように、Y方向に沿って二つのX移動フレーム53が張り渡されている。各X移動フレーム53の両端は、X方向用移動機構53Xを介して上部フレーム51Xの上面にそれぞれ支持される。X方向用移動機構53は、不図示のモータ、減速機構およびラック・ピニオン機構を有し、モータで減速機構を介してラック・ピニオン機構を駆動することにより、二つのX移動フレーム53を上部フレーム51Xに沿ってX方向に同時にスライド移動可能になっている。
【0025】
二つのX移動フレーム53の上部には、Y移動フレーム54が張り渡されて載置されている。Y移動フレーム54は、Y方向用移動機構54Yを介してX移動フレーム53の上面に支持され、浚渫装置100のY方向の送り機構を構成している。Y方向用移動機構54は、不図示のモータ、減速機構およびラック・ピニオン機構を有し、モータで減速機構を介してラック・ピニオン機構を駆動することにより、浚渫装置100をX移動フレーム53の延在方向に沿って(つまりY方向に沿って)スライド移動可能になっている。
また、浚渫装置100は、Y移動フレーム54の下面に設けられて浚渫装置100のZ方向の送り機構を構成する昇降装置90を介して昇降可能に支持されており、Y移動フレーム54の下面から吊下げられた姿勢で配置される。
【0026】
昇降装置90は、Y移動フレーム54の側部に設けられた左右一対の駆動部92と、各駆動部92に対して垂直に挿通された姿勢で立設された昇降用ラック91と、を備える。駆動部92は、不図示のモータ、減速機構および昇降用ラック91と歯合するラック・ピニオン機構を有し、モータで減速機構を介してラック・ピニオン機構を駆動することにより、浚渫装置100を昇降用ラック91に沿って(つまりZ方向に沿って)スライド移動可能になっている。
さらに、Y移動フレーム54の上部には、制御ユニット60が設けられている。制御ユニット60には、上記アンビリカブルケーブル8が接続される。
【0027】
制御ユニット60には、
図3に示すように、浚渫ステーション50および浚渫装置100を駆動するために、浚渫用矢倉52の歩行動作を含む浚渫ステーション50全体の作動を制御する制御部であるコントローラ61が内蔵されている。
これにより、浚渫ステーション50は、水上ステーション1からアンビリカブルケーブル8を介して必要な圧油の供給、並びに、電力や管理コンピュータ9の制御信号の供給を制御ユニット60に受ける。制御ユニット60のコントローラ61は、水上ステーション1側の管理コンピュータ9の指令に基づいて、各ジャッキ機構69の駆動により、浚渫ステーション50の姿勢を制御する制御部として機能する。
【0028】
次に、
図4~
図6に基づき、浚渫ステーション50の水平移動機構を詳しく説明する。なお、
図4~
図6は、上記水上ステーション1からダム湖の湖底SBに浚渫ステーション50が着底させられる時の浚渫用矢倉52の着底準備姿勢を示すもので、浚渫用矢倉52は、着底準備姿勢にあっては、上部フレーム51X、中間フレーム51Mおよび下部フレーム51Yの水平面内の中心(重心)Gが一致している。なお、
図5において符号CLは、各支持脚66の中心軸線を示している。
上部フレーム51Xは、
図4に示すように、平面視が矩形枠状をなし、X方向に離隔して互いに並行に設けられた矩形筒状をなす一対の縦ガーダーXbと、Y方向に離隔して互いに並行に設けられた矩形筒状をなす一対の横ガーダーXaとを有する。2つの横ガーダーXaの各外側面には、横ガーダーXaの延在方向に沿って、X移動用ラックRxが、中央から左右対称にそれぞれ取付けられている。
【0029】
また、下部フレーム51Yは、同図に示すように、平面視が矩形枠状をなし、X方向に離隔して互いに並行に設けられた矩形筒状をなす一対の横ガーダーYbと、Y方向に離隔して互いに並行に設けられた矩形筒状をなす一対の縦ガーダーYaとを有する。2つの縦ガーダーYaの外側面には、縦ガーダーYaの延在方向に沿って、Y移動用ラックRyが、中央から左右対称にそれぞれ取付けられている。
中間フレーム51Mは、
図6に示すように、平面視が矩形枠状をなし、X方向に離隔して互いに並行に設けられた矩形筒状をなす一対の縦ガーダーMbと、Y方向に離隔して互いに並行に設けられた矩形筒状をなす一対の横ガーダーMaとを有する。中間フレーム51Mの各横ガーダーMaの延在方向の中央の位置には、横ガーダーMaの矩形筒内に、X駆動モータMxがそれぞれ配置されている。また、中間フレーム51Mの各縦ガーダーMbの延在方向の中央の位置には、縦ガーダーMbの矩形筒内に、Y駆動モータMyがそれぞれ配置されている。
【0030】
図4に示すように、上下のフレーム21X、21Yは、4本の支持脚66と、各支持脚66を昇降可能なジャッキ機構69と、をそれぞれ有する。そして、中間フレーム51Mと上下のフレーム21X、21Yとは、不図示の直動案内機構を介してスライド移動可能に支持されるとともにラック&ピニオン機構を介して係合され、水平面で互いに直交するX方向およびY方向に相対的スライド移動可能に構成されている。
より詳しくは、浚渫用矢倉52は、
図4に示すように、上部フレーム51Xの矩形状の枠体の四隅それぞれと、下部フレーム51Yの矩形状の枠体の四隅それぞれとに支持脚66を有する。各支持脚66には、Z方向のスライド移動機構であるジャッキ機構69が昇降用のジャッキングユニットとして設けられている。
【0031】
ジャッキ機構69は、各支持脚66の両側に1基ずつ、計二基が装備され、各支持脚66には、
図3に示すように、Z移動用ラックRzが、各支持脚66の軸方向に沿って周方向で対向する位置にそれぞれ取付けられている。
ジャッキ機構69は、不図示のモータ、減速機構およびラック・ピニオン機構を有する。ラックは支持脚66の軸方向に沿って形成されている。ジャッキ機構69は、モータで減速機構を介してラック・ピニオン機構を駆動することにより、支持脚66を上下方向(Z方向)にスライド移動可能に且つその移動位置の保持が可能になっている。なお、ジャッキ機構69の駆動用のモータとしては、流体圧による駆動(例えば油圧駆動)であっても、電力による駆動(例えば電磁式モータ)であってもよい(以下、他の駆動用のモータにおいて同様)。
【0032】
各Z移動用ラックRzに対応するジャッキ機構69は、不図示のZ駆動モータと、Z駆動モータの出力軸に装着されたピニオンと、ピニオンに噛合された上記Z移動用ラックRzを有してラック&ピニオン機構が構成される。これにより、各支持脚66は、自身が装着された上下の各フレーム21X、21Yに対しZ方向に相対的スライド移動して、複数の支持脚66の協働によって、上下のフレーム21X、21Yの上昇および下降が可能になっている。
上部フレーム51Xの直動案内機構は、上部フレーム51Xの横ガーダーXa底面に、横ガーダーXaの延在方向に沿って取付けられた不図示のスキッディングレールを有する。スキッディングレールの上下は不図示のベアリングプレートで案内される。スキッディングレールは、上部フレーム51Xの横ガーダーXaに沿って上部フレーム51Xの端から端まで取り付けられている。
【0033】
ベアリングプレートは、中間フレーム51Mの横ガーダーMaの角部上面に取り付けられる。また、スキッディングレールを左右から覆うように、ベアリングプレートの配置位置と同じ位置に、不図示のホールディングクローが取り付けられる。ホールディングクローは、上部フレーム51XがX方向に移動する時に、その落下を防ぐようにスキッディングレールを両側から支持する。
上記X駆動モータMxの駆動軸には、不図示のX移動用ピニオンが装着され、X移動用ラックRxのラック面に対向する位置に張り出している。X移動用ピニオンは、X移動用ラックRxに噛合され、X駆動モータにより同期駆動されて、上部フレーム51XをX方向にスライド移動可能に構成されている。
【0034】
一方、下部フレーム51Yの直動案内機構は、下部フレーム51Yの縦ガーダーYa上面に、縦ガーダーYaの延在方向に沿って取付けられた不図示のスキッディングレールを有する。スキッディングレールは、下部フレーム51Yの縦ガーダーYaの端から端まで取り付けられている。
下部フレーム51Yは、上部フレーム51Xと同様に、中間フレーム51Mの縦ガーダーMbの角部下面に、不図示のベアリングプレートが取付けられ、ベアリングプレートによりスキッディングレールの上下を案内している。また、ベアリングプレートの配置位置と同じ位置に、スキッディングレールを左右から覆うように、ホールディングクローが取り付けられ、下部フレーム51YがY方向に移動する時に、その落下を防ぐようにスキッディングレールを両側から支持している。
【0035】
上記Y駆動モータMyの駆動軸には、Y移動用ピニオンPyが装着され、Y移動用ラックRyのラック面に対向する位置に張り出している。Y移動用ピニオンPyは、それぞれY移動用ラックRyに噛合され、Y駆動モータMyにより同期駆動されて、下部フレーム51YをY方向にスライド移動可能に構成されている。
なお、浚渫用矢倉52の中間フレーム51Mと上下のフレーム51X、51Yとは、ラック&ピニオン機構を介して水平方向への移動が可能な例を示すが、浚渫用矢倉52の移動機構はこれに限定されず、水平方向への移動が可能な移動機構であれば、種々の移動機構を採用可能である。
【0036】
例えば、油圧シリンダ方式でスライドさせる移動機構を用いることができる。同様に、各支持脚66は、ラック&ピニオン機構を介してZ方向に相対的スライド移動が可能な例を示すが、これに限定されず、例えば油圧シリンダ方式でスライドさせる移動機構とすることができる。また、油圧駆動に限定されず、電気駆動式としてもよい。
さらに、この浚渫ステーション50は、管理コンピュータ9の管理下、コントローラ61によるX方向用移動機構53およびY方向用移動機構54の駆動制御により、浚渫装置100をプラットフォーム51の所定区画内でX方向およびY方向に移動するとともに、浚渫用ポンプ30の駆動により、浚渫物とともに取水した泥水を高圧の泥水として排出ホース7から排出可能になっている。
【0037】
これにより、浚渫ステーション50は、上下のフレーム21X、21YをX方向およびY方向にスライド移動させる水平スライド移動機構、並びに各支持脚66をZ方向にスライド移動させるスライド移動機構により、歩行制御処理の手順に従い、予定浚渫区域をX方向およびY方向それぞれに浚渫用矢倉52により歩行するとともに、浚渫装置100をX方向およびY方向に移動させて、所定区画を順次に浚渫可能になっている。
ここで、ダム湖の湖底SBにおいて、浚渫ステーション50は、ダム湖の湖底に堆積する軟弱な地盤や、傾斜や起伏に対応する必要がある。これに対し、本実施形態の浚渫ステーション50は、
図3に示すように、制御ユニット60が、浚渫用矢倉52のプラットフォーム51の随時の姿勢を検出する姿勢検出センサとしての慣性センサ80を有する。
【0038】
また、本実施形態では、各支持脚66を駆動するジャッキ機構69には、不図示のトルク検出器が装備されている。各トルク検出器は、対応する各ジャッキ機構69のラック&ピニオン機構のピニオンを駆動する各駆動モータのトルクを検出可能なトルク計である。各トルク検出器は、各駆動モータの随時のモータトルクを検出し、検出したトルク情報を制御ユニット60のコントローラ61に出力可能になっている。
コントローラ61は、コンピュータと、姿勢制御処理を実行するためのプログラムとを含み、浚渫用矢倉52の歩行制御処理および浚渫用矢倉52の姿勢制御処理、並びに、浚渫ステーション50の浚渫制御処理およびその他必要な処理を実行する。
【0039】
コントローラ61は、浚渫ステーション50の姿勢制御処理が実行されると、慣性センサ80の出力に基づいて、浚渫ステーション50自体の姿勢の不均衡の程度を判定し、ジャッキ機構69のラック&ピニオン機構のピニオンを駆動する各駆動モータの調整により、姿勢安定を維持する姿勢安定制御を行う。
特に、本実施形態の浚渫ステーション50は、ダム湖の湖底に堆積する軟弱な地盤や、傾斜や起伏に対応する必要がある上、大きな礫や沈木がバラ積みされた湖底を歩くので、礫や沈木の崩れ等により生じる動的姿勢変化を加速度計およびジャイロスコープ等の角加速度計を含めた慣性センサ80で計測する。
【0040】
なお、静的姿勢を計る傾斜センサを併せて用いることもできる。また、姿勢制御用として、スラスタやウォータジェットを用いて姿勢の安定性を維持する制御を行ってもよい。コントローラ61は、慣性センサ80の姿勢検出情報に基づいて、浚渫ステーション50の姿勢が水平になるように各支持脚66の脚長を調整する。これにより、浚渫ステーション50は、ダム湖の湖底に安定した姿勢で着底できる。
【0041】
次に、上記浚渫ステーション50の浚渫用矢倉52に装備された浚渫装置100について
図7および
図8を参照しつつ詳しく説明する。
本実施形態の浚渫装置100は、
図7および
図8に示すように、直方枠体状の筐体38と、筐体38の枠体内部に設けられた、浚渫用ポンプ30および二基の二軸破砕機10、20と、を備える。
二基の二軸破砕機10、20は、浚渫用ポンプ30の吸込口36の側に設けられ、筐体38の長手方向に沿って上下2段に配置されている。筐体38の上部は、
図3に示すように、Y移動フレーム54の下面の位置に、昇降装置90を介して昇降可能に支持され、昇降装置90の駆動により、左右の昇降用ラック91に沿ってZ方向にスライド移動可能になっている。
【0042】
本実施形態の浚渫用ポンプ30は、水中サンドポンプを採用している。
浚渫用ポンプ30は、ポンプ駆動部31と、ポンプ駆動部31の下部に設けられたケーシング34とを備える。ケーシング34には、底面に吸込口36が設けられ、吸込口36には、下方に向けて拡径するサクションホッパ40が装着されている。ケーシング34の側面には排水管37が接続され、排水管37は、湖底に沿って延設された可撓性を有する排水ホース7に連結されている。
ポンプ駆動部31には水中モータ32が内蔵されている。ポンプ駆動部31の上部には、制御ユニット60からキャプタイヤケーブル39が接続され、湖上の水上ステーション1に設けられた発電機2から供給される電力が、制御ユニット60からキャプタイヤケーブル39を介して水中モータ32に供給される。
【0043】
水中モータ32の駆動軸33は、駆動軸33上下が軸受41A、41Bで回転自在に支持されるとともに、駆動軸33下端が、ケーシング34の上部中央から下方に向けて突設されている。ケーシング34内には、駆動軸33の先端にインペラ35が同軸に装着されている。なお、ポンプ駆動部31とケーシング34との間は、水中モータ32の駆動軸33の周囲の位置にメカニカルシールやオイルシール等の軸封部42が設けられている。
これにより、本実施形態の浚渫用ポンプ30は、水中モータ32が駆動されると、インペラ35が所定方向に回転してケーシング34内で渦流を発生させ、湖底側を向くサクションホッパ40からポンプ排水量に応じて破砕された浚渫物とともに泥水を吸引し、吸込口36から排出管37を介して排水ホース38に排出可能になっている。
【0044】
本実施形態の二基の二軸破砕機10、20は、スリットカッタ方式で破砕する二軸破砕機をそれぞれ採用している。
二基の二軸破砕機10、20のうち、下段二軸破砕機10は、その一対のドラムカッタ12、13が、礫や沈木等の浚渫物の掻き込み機能と荒破砕機能を有する。これに対し、上段二軸破砕機20は、その一対のドラムカッタ22、23が、所定寸法以下の大きさに更に細かく破砕する破砕するツイン・スリットカッタによる細破砕機能を有する。
詳しくは、
図8に示すように、下段二軸破砕機10は、筐体38を立ち上げた姿勢でその下端部のフレーム45内の下段に、互いに平行な一対をなす2本の水平回転軸14,15がフレーム45にそれぞれ支持されるとともに、各水平回転軸14,15に一対をなす円柱状のドラムカッタ12、13が装着される。両回転軸11、12の先端は、軸受19を介してフレーム45に回転自在に支承されている。中空円筒状の回転軸11、12の基端部には、両回転軸11、12を回転駆動する油圧モータ11が装着されている。
【0045】
一対のドラムカッタ12、13は、各々複数枚の破砕刃16が、軸方向で密着状態の環状のスペーサ17を介して一定間隔に交互に嵌装され固定キー18で固定されている。破砕刃16は、略円盤状をなすとともに、その外周部に複数の爪が一定間隔で設けられている。一対のドラムカッタ12、13相互は、各破砕刃16を他方のスペーサ17の位置に構成される環状溝に嵌合する位置で水平姿勢で並設されている。
そして、一対のドラムカッタ12、13相互は、両回転軸11、12の回転駆動によりフレーム45内に掻き込まれた浚渫物を両軸の破砕刃16が噛み合う部分にて常時密接してせん断するスリットカッタ方式で破砕するようになっている。これにより、両破砕刃16が正回転時に浚渫物を掻き込む作用と、相対するスペーサ17の外周面に摺接するように接近して剪断作用により浚渫物を破砕する作用を奏する。そして、浚渫物は、両破砕刃16によってケーシングの下方から掻き込まれ、スリットカッタの剪断作用によって破砕されつつ上方の上段二軸破砕機20に向けて移動するようになっている。
【0046】
同様にして、上段二軸破砕機20は、上記フレーム45内の上段に、互いに平行な一対をなす2本の水平回転軸24,25がフレーム45にそれぞれ支持されるとともに、各水平回転軸24,25に一対をなす円柱状のドラムカッタ22、23が装着される。両回転軸21、22の先端は、軸受29を介してフレーム45に回転自在に支承されている。中空円筒状の回転軸21、22の基端部には、両回転軸21、22を回転駆動する油圧モータ21が装着されている。
そして、一対のドラムカッタ22、23相互は、両回転軸21、22の回転駆動によりフレーム45内に掻き込まれた浚渫物を両軸の破砕刃26が噛み合う部分にて常時密接してせん断するスリットカッタ方式で破砕するようになっている。これにより、両破砕刃26が正回転時に浚渫物を掻き込む作用と、相対するスペーサ27の外周面に摺接するように接近して剪断作用により浚渫物を破砕する作用を奏する。そして、浚渫物は、両破砕刃26によってケーシングの下方から掻き込まれ、スリットカッタの剪断作用によって破砕されつつ上方の浚渫用ポンプ30のサクションホッパ40に向けて移動するようになっている。
【0047】
ここで、本実施形態の浚渫用破砕機では、下段二軸破砕機10の一対のドラムカッタ12,13は、浚渫物を隣接する破砕刃間の環状溝に通過させる大きさまで粗破砕(一次破砕)するように各部の寸法が設定されている。そして、上段二軸破砕機20の一対のドラムカッタ22,23は、その粗破砕した浚渫物を所定寸法以下の大きさに更に細かく細破砕(二次破砕)するように各部の寸法が設定されている。
なお、上段二軸破砕機20の一対のドラムカッタ22,23には、
図7に示すように、破砕刃26およびスペーサ27に対向する位置に、スクレーパ44が設けられている。スクレーパ44は、フレーム45の側部から破砕刃26とフレーム45内面との隙間を埋めるように突設して配置され、一対のドラムカッタ22,23の両破砕刃26に挟まった浚渫物をかき取るようになっている。
【0048】
ここで、本実施形態の下段二軸破砕機10は、水平回転軸14、15の回転速度および回転方向を変えられるように構成され、また、上段二軸破砕機20は、水平回転軸24、25の回転速度および回転方向を変えられるように構成されている。
詳しくは、本実施形態の二基の二軸破砕機10,20の各駆動部は、一対のドラムカッタ12、13、および22、23を駆動する駆動モータとして、
図8に示すように、可変容量タイプの油圧モータ11、21をそれぞれ備える。各油圧モータ11、21は、不図示の斜板が設けられ、この斜板を傾転させることにより、吐出する圧油の流れ方向を変えるとともに、圧油の吐出流量を変えられるようになっている。さらに、水上ステーション1の油圧ポンプ3側から供給する圧油の圧力を制御することでトルク制御が可能であり、また、油圧ポンプ3側から供給する流量を制御することで出力(回転速度)制御が可能になっている。
【0049】
これにより、本実施形態の二基の二軸破砕機10,20では、破砕抵抗が大きい浚渫物が掻き込まれたときは、自動的に回転数が低下して、破砕に必要な出力トルクが大きくなるように制御され、破砕抵抗が小さい浚渫物が掻き込まれたときは、自動的に回転数が上昇して、破砕に必要な出力トルクを保ちながら回転速度が大きくなるように各油圧モータ11、21が定馬力制御される。
【0050】
次に、上述した浚渫ステーション50および水上ステーション1を備える浚渫システムによって、ダム湖の湖底SBから堆積物を浚渫する手順、並びにこの浚渫システム並びに浚渫装置100による堆積物の浚渫方法の作用・効果について説明する。
まず、
図1に示したように、浚渫ステーション50を垂下した水上ステーション1を湖上SLの目的とする位置に停泊する。次いで、水上ステーション1に設置されているクレーン等の作業機6を用い、浚渫ステーション50を水中に降ろし、浚渫ステーション50が
図1に示す配置となるようにダム湖の湖底SBの適切な位置に設置する。
【0051】
浚渫ステーション50の稼動時は、水上ステーション1からアンビリカブルケーブル8を介してコントローラ61に必要な圧油の供給、並びに、電力や制御信号を供給し、浚渫ステーション50および浚渫装置100を駆動し、掘削された堆積物を泥水とともに吸引し、浚渫ステーション50の配置位置から、水中に配設された排水ホース7を介して湖底の移設位置に移動する。
浚渫ステーション50のコントローラ61は、管理コンピュータ9から浚渫開始命令を受けると、中間フレーム51Mの内側の所定領域を浚渫装置100により浚渫する。なお、以下、この中間フレーム51Mの内側の所定領域を「一の区画」とも称する。
【0052】
本実施形態では、まず、プラットフォーム51に対して浚渫装置100の垂直姿勢を確実に保持した状態で浚渫を開始する。浚渫装置100は、二基の二軸破砕機10,20の対をなすドラムカッタの動きにより、ダム湖の湖底SBを略長方形断面に掘削しつつ浚渫用ポンプ30によりの駆動により、浚渫物とともに取水した泥水を高圧の泥水として排出ホース7から排出する。浚渫後には「一の区画」に掘削溝VHが地中に形成される。
ここで、ダム湖の湖底SBにおいては、湖底に堆積する軟弱な地盤や傾斜や起伏に対応する必要がある。これに対し、本実施形態によれば、各支持脚66を個別に昇降可能なので、湖底に堆積する軟弱な地盤や傾斜や起伏に対応しつつ、浚渫用矢倉52に対して浚渫装置100の垂直姿勢を確実に保持した状態で安定して掘削できる。
【0053】
浚渫装置100は、いずれの二軸破砕機10,20も、使用時には、各軸に設けられ互いに噛合する破砕刃は、ともに内方に向かって回転(正転)している。すなわち、対向する一対の破砕刃は、両軸が互いに逆方向に回転している。下段二軸破砕機10により浚渫物がフレーム45内に掻き込まれると、下段二軸破砕機10の一対の破砕刃が浚渫物を一次破砕しつつ上部の上段二軸破砕機20に向けて送り出す。
このように、本実施形態の浚渫装置100によれば、二基の二軸破砕機10,20を上下2段に構成し、下段二軸破砕機10の一対のドラムカッタは、礫や沈木等の堆積物の掻き込み機能と荒破砕機能を有し、上段二軸破砕機20の一対のドラムカッタは、所定寸法以下の大きさに破砕するツイン・スリットカッタによる細破砕機能を有するので、堆積物に玉石や沈木が含まれる場合でも、上段二軸破砕機20の上部に設置されている浚渫用ポンプ30で吸引・吐出できる大きさまで確実に堆積物を破砕できる。よって、浚渫用ポンプ30の閉塞を防止または抑制する上で優れている。
【0054】
次いで、浚渫装置100を、XおよびY移動フレーム53、54によるXないしY方向への移動により、浚渫装置100を最初の浚渫位置から特定距離だけ一の区画内で移動する。その後に、二軸破砕機10,20の昇降による垂下浚渫、並びに、XおよびY移動フレーム53、54によるXないしY方向への水平移動浚渫による手順を繰り返すことにより一の区画内での浚渫を継続する。
区画内での浚渫以降の浚渫において、各支持脚66を立設する位置は、掘削溝VHの幅やダム湖の湖底状況に応じて適宜昇降させる。つまり、
図2において、掘削溝VHの溝幅が狭いときや溝幅が拡がったとき、掘削溝VHの幅やダム湖の湖底状況に応じて、浚渫用矢倉52の着底姿勢が安定するように各支持脚66を接地させる。
【0055】
そして、浚渫ステーション50の姿勢が安定している状態で、垂下浚渫工程から水平浚渫工程による浚渫手順を繰り返すことにより、一の区画内での浚渫を安定して継続できる。さらに、各支持脚66の昇降動作位により浚渫用矢倉52の高さを調整し、垂下浚渫工程から水平浚渫工程による浚渫手順を繰り返すことで、一段下の高さにて、上述した各工程での浚渫を継続することができる。
そして、上述した二基の二軸破砕機10、20による掘削と同時に、浚渫用ポンプ30が駆動されることにより、掘削された堆積物が排水管37から排水ホース7を介して湖底での所定の移設位置Mに連続して移動させることができる。浚渫ステーション50は、一の区画において、浚渫装置100の最大浚渫深度まで浚渫したら、浚渫装置100を後退した後に、浚渫ステーション50自身をX-Y平面で移動して、次の区画でのX-Y平面全体を走査するように順次に浚渫を行う。このようにして、この浚渫装置100によれば、一の区画において、ダム湖の湖底SBにて堆積物の浚渫を継続できる。
【0056】
一の区画でのX-Y平面での移動および移動後の浚渫は、コンピュータ(上記管理コンピュータ9、およびコントローラ61等)により自動的に行ってもよいし、浚渫ステーション50の状況をオペレータが湖上の水上ステーション1から監視しつつ、オペレータの手動操作によって行ってもよい。
このように、本実施形態の浚渫ステーション50およびこれを用いた浚渫システムによれば、浚渫用矢倉52がダム湖の湖底SBに複数の支持脚66で立設され、この浚渫用矢倉52に上下および左右にスライド可能に二軸破砕機10、20が設置されるとともに、その上部に浚渫用ポンプ30が設置されているので、起伏の激しい湖底SBであっても、湖底の形状に対して二軸破砕機10、20を正確に追従移動させることができる。そのため、湖底SBの堆積物を効率よく破砕しつつ浚渫できる。
【0057】
また、本実施形態の浚渫ステーション50およびこれを用いた浚渫システムによれば、浚渫用矢倉52が、ダム湖の水上に設けられる水上ステーション1に装備された作業機6に捲回されるワイヤ5を介して水上ステーション1に連結されているので、湖底SBがどのような形状であっても、浚渫ステーション50の転倒を確実に防止できる。
なお、本発明に係る浚渫装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
例えば、上述した第一実施形態の浚渫システムでは、浚渫システムをトラック等の車両によってダム湖に至る湖岸まで運搬し、ダム湖の湖上SLの目的とする位置まで、クレーン等の作業機によって搬送する例を説明したが、本発明に係る浚渫システムは、ダム湖の状況に応じて、種々の搬送方法や停泊方法を採用することができる。以下、ダム湖の状況に応じた搬送方法および停泊方法を実施する他の例として、浚渫システムの第二実施形態について説明する。
【0058】
第二実施形態の浚渫システムは、ダム湖の状況として、浚渫システムに必要な機器のうち、浚渫ステーションをトラック等の車両によってダム湖に至る湖岸まで運搬可能であり、水上ステーションについては、以下に説明する分割状態での運搬が可能な例である。また、第二実施形態では、ダム湖の湖岸が、水上ステーションおよび浚渫ステーションを搬入可能な広さを有するとともに、その搬入場所からダム湖に至る湖岸の斜面が、水上ステーションおよび浚渫ステーションを安全に搬送可能な状態(例えばなだらかな斜面)を有する場合を想定した例である。
【0059】
第二実施形態の浚渫システムは、第一実施形態の浚渫システムに対して、水上ステーションが分割構造を備えるとともに、湖岸斜面を滑走するための車輪と、水上移動用のスラスタと、を有し、浚渫ステーションが、注排水が可能な浮体と、湖岸斜面を滑走するための車輪と、水上移動用のスラスタと、を備える点が相違する。その他の構成は第一実施形態と同様なので、以下、相違点について説明し、その他の構成については同一符号を付すとともにその説明は省略する。
図9に示すように、第二実施形態の浚渫ステーション50Bは、同図において、上部フレーム51Xの左右の外側面それぞれに、直方体状の浮体71が装着されている。浮体71は、水上での浚渫ステーションの浮設並びに注水により浚渫ステーションの沈降が可能に構成されている。
【0060】
一方(同図では右側)の浮体71の外側面には、浮体71の長手方向に離隔して二基のスラスタ73が設けられるとともに、二基のスラスタ73の中央の位置に牽引部74が設けられている。第二実施形態の浚渫ステーション50Bは、水上に浮上したときに、二基のスラスタ73の駆動により、水上で浚渫ステーション50Bを推進可能になっている。
さらに、上部フレーム51Xの前後左右の四隅には、浮体71が装着されている面とは直交する側の浮体71の側面に、4つの車輪72が設けられている。4つの車輪72は、全ての支持脚66を最も短縮した状態のときに、側方に水平に張り出す支軸に回転自在に支持された4つの車輪72が浚渫ステーション50を支持して牽引により走行可能なように設けられている。
【0061】
一方、
図10に示すように、第二実施形態の水上ステーション1Bは、相互に着脱可能に連結されて水上に浮設可能な本体部4および二つの連結体部81を有する。本体部4および二つの連結体部81が一体とされた状態が、上記第一実施形態の水上ステーション1と同様の構成になっている。
二つの連結体部81は、符号81jに示す着脱位置において着脱可能な直方体状の連結用浮体であって、本体部4の同図右外側面の両端に、ボルトナット等によって着脱可能に装着される。装着状態では、水上ステーション1の本体部4の同図右外側面の上下の端の位置から右側に向けて水平に張り出し、これにより、平面視がコ字状の凹部が、浚渫ステーション50BのドッキングベイDBとして画成される。なお、本体部4も浮体を有し、本体部4単独でも水上に浮設可能である。
【0062】
各連結体部81の同図右側の端面にはスラスタ83がそれぞれ設けられている。第二実施形態の水上ステーション1は、連結体部81と本体部4とが一体とされた状態で、二基のスラスタ83の駆動により水上で推進可能になっている。
また、連結体部81と本体部4とが一体とされた状態で、その前後左右側面の四隅には、各連結体部81が装着されている面とは直交する側の面に、4つの車輪82が装備されている。4つの車輪82は、側方に水平に張り出す支軸に回転自在に支持され、水上ステーション1Bを支持した状態で、牽引されることで走行可能になっている。
【0063】
このように、第二実施形態の浚渫システムによれば、連結された状態の水上ステーション1Bおよび浚渫ステーション50Bは、それぞれの4つの車輪82,83を有するので、連結された状態の水上ステーション1Bおよび浚渫ステーション50Bそれぞれを4つの車輪82,83で支持した状態で、例えばウインチ等を用いてワイヤで牽引しつつ、湖岸斜面に沿ってゆっくりと滑走させることで、ダム湖の湖上まで容易に搬送することができる。そして、ダム湖の湖上に、連結用浮体を装着した水上ステーション1、および浚渫ステーション50を浮かせた状態で搬入することができる。
【0064】
そして、水上ステーション1BにはドッキングベイDBが設けられているので、湖上に搬入後には、
図11に示すように、浚渫ステーション50Bのスラスタ73を駆動して、水上ステーション1B側のドッキングベイDBに浚渫ステーション50Bを収容し(
図12参照)、水上ステーション1Bとともに湖上SLの目的とする位置に浚渫ステーション50Bを移動して停泊させることができる。
次いで、湖上SLの目的とする位置に停泊後は、
図12に示すように、浚渫ステーション50Bを作業機6のワイヤ5で垂下し、その後、浚渫ステーション50の浮体71に注水した後に、
図13に示すように、上記第一実施形態同様に、浚渫ステーション50Bを、作業機6のワイヤ5繰り出して吊り下げ、ダム湖の湖底SBに立設することができる。
【0065】
このように、第二実施形態浚渫システムによれば、浚渫ステーション50Bは、上記第一実施形態と共通する構成を有するので、起伏の激しい湖底SBであっても、湖底SBの形状に対して破砕機を正確に追従移動させることができる。そのため、湖底の堆積物を効率よく破砕しつつ浚渫用ポンプで浚渫できる。そして、水上ステーション1Bは、浚渫ステーション50Bを、ワイヤ5を介して昇降可能な作業機6を有するので、湖底SBがどのような形状であっても、浚渫ステーション50Bの転倒を確実に防止できる。
ここで、上述した特許文献1に記載の浚渫システムでは、浮力体上への軌道の敷設が必要なので浮力体も大型化するという問題があり、また、浮力体上の装置構成も複雑となるため、大がかりで煩雑な設置作業が必要となる。さらに、同文献記載の浚渫システムの搬入時には、大型化に応じた、大型トラックやトレーラ、ラフタークレーンなどが必要となるという問題がある。
【0066】
これに対し、第二実施形態の浚渫システムであれば、水上ステーション1Bは、相互に着脱可能に連結される連結体部81と本体部4とを有するので、本体部4と連結体部81とを分離すれば搬送時の小型化が可能となり、また、装置構成も簡素となり、設置作業が容易になる。さらに、浚渫システムの搬入出時には、大型ラフタークレーンを使用せずとも、搬出および搬入ができる。
また、浚渫ステーション50Bは、水上での浚渫ステーション50Bの浮設並びに注水により浚渫ステーション50Bの沈降が可能な浮体71と、水上で浚渫ステーション50Bを推進可能なスラスタ73と、を有し、水上ステーション1Bには、水上で水上ステーション1Bを推進可能スラスタ83が装備されるので、水上での曳航船等の他の配置装置が不要である。
【0067】
また、本実施形態浚渫システムにおいて、浚渫ステーション1Bは、複数の車輪72と、車輪72の車軸とは直交する面に設けられた牽引部74と、を有するので、大型ラフタークレーンを使用せず、例えば車両搭載型クレーンやキャリアカー等の比較的小型の搬送機器に設けられたウインチにより、湖面までのスロープを利用して、浚渫ステーション1Bをワイヤで牽引して搬出および搬入することができる。
また、水上ステーション1Bにおいても同様に、複数の車輪82を有し、ワイヤ5を巻回可能な作業機6を有するので、水上ステーション1B自身をワイヤ5で牽引して搬出および搬入することができる。そのため、このような構成であれば、比較的小型の搬送機器で装置の組立作業や搬入作業が可能となり、狭い道路やトンネルのある山間部のダムにも適応できる。つまり、この例では、作業機6が牽引部として機能することになる。
【符号の説明】
【0068】
1 水上ステーション
2 発電機
3 油圧ポンプ
4 本体部
5 ワイヤ
6 作業機(牽引部)
7 排水ホース
8 アンビリカブルケーブル
9 管理コンピュータ(制御手段)
10 下段二軸破砕機
11 油圧モータ
12 ドラムカッタ
13 ドラムカッタ
14 水平回転軸
15 水平回転軸
16 破砕刃
17 スペーサ
18 固定キー
19 軸受
20 上段二軸破砕機
21 油圧モータ
22 ドラムカッタ
23 ドラムカッタ
24 水平回転軸
25 水平回転軸
26 破砕刃
27 スペーサ
28 固定キー
29 軸受
30 浚渫用ポンプ
31 ポンプ駆動部
32 水中モータ
33 駆動軸
34 ケーシング
35 インペラ
36 吸込口
37 排水管
38 筐体
39 キャプタイヤケーブル
40 サクションホッパ
41A、41B 軸受
42 軸封部
44 スクレーパ
45 (破砕機の)フレーム
46 制御バルブ部
47 モータ部
48 駆動部
49
50 浚渫ステーション
51 プラットフォーム
51X 上部フレーム
51Y 下部フレーム
51M 中間フレーム
52 浚渫用矢倉
53 X移動フレーム
53X X方向用移動機構
54 Y移動フレーム
54Y Y方向用移動機構
60 制御ユニット
61 コントローラ
66 支持脚
69 ジャッキ機構
71 浮体
72 車輪
73 スラスタ
74 牽引部
80 慣性センサ
81 連結体部
82 車輪
83 スラスタ
84 牽引部
90 昇降装置
91 昇降用ラック
92 駆動部
100 浚渫装置
S 配置位置
M 移設位置