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特許7107776インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220720BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/14 611
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018139127
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020015209
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】兼古 佳明
(72)【発明者】
【氏名】外山 晃正
(72)【発明者】
【氏名】飯島 知実
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/077312(WO,A1)
【文献】実開昭62-087852(JP,U)
【文献】特開2008-021682(JP,A)
【文献】特開平10-341065(JP,A)
【文献】特表2004-523075(JP,A)
【文献】実開昭61-059054(JP,U)
【文献】実開昭63-009783(JP,U)
【文献】特開2017-113927(JP,A)
【文献】特開2006-128435(JP,A)
【文献】特開2010-228110(JP,A)
【文献】特開2012-016848(JP,A)
【文献】米国特許第06386672(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長いスリット状の開口を有するカバーと、
前記開口から前記カバーの外側に向けて延出するフレキシブルケーブルと、
前記フレキシブルケーブルと前記カバーの前記開口との間に配され、前記カバーの前記開口の外方に向けて突出するとともに、前記開口の外方の端縁の両端部は前記フレキシブルケーブルが前記開口から延出する方向に対して傾斜または湾曲する保プレートと、
前記フレキシブルケーブル及び前記保護プレートが配された前記開口に配されるシーリングと、を備え、
前記開口において、前記保護プレートは前記フレキシブルケーブルの両面に配され、
前記保護プレートの前記第1方向の幅寸法は前記フレキシブルケーブルの前記第1方向の幅寸法よりも大きい、
インクジェットヘッド。
【請求項2】
記フレキシブルケーブルは、帯状に構成され、前記カバーの内方に配される基板に接続され、前記開口から前記第1方向と交差する第2方向に延出し、
前記保護プレートは、前記第1方向における前記両端部の端縁が前記第1方向及び前記第2方向に対して傾斜または湾曲する、板状である、
請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のインクジェット記録装置に用いられるインクジェットヘッドにおいて、外部機器と電気的に接続するためのフレキシブルケーブルを備えたインクジェットヘッドが考案されている。フレキシブルケーブルは、薄く柔軟性があり、一端が例えばヘッドの筐体内に納められた電子基板にコネクタを介して接続されている。フレキシブルケーブルの他端側は例えば外部機器に接続されている。インクジェットヘッドは、外部機器から入力された電気信号によりフレキシブルケーブルを介してアクチュエータが動作することにより、インク滴を吐出する。フレキシブルケーブルは薄く柔軟性があるため、ケーブルの引回しスペースを縮小化することができる。そのためヘッドだけでなく外部機器まで含めた装置全体を小型化することができる。このようなインクジェットヘッドでは、インクの侵入により筐体内の電子基板が破損しないよう、ケーブル引出口や継目を接着剤等のシーリングにより密閉する場合があるが、硬化したシーリングの表面に鋭利な部分があると、フレキシブルケーブルを外部基板に取り付ける際などにフレキシブルケーブルが損傷する原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-100457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、フレキシブルケーブルの損傷を防止できる、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一形態にかかるインクジェットヘッドは、第1方向に長いスリット状の開口を有するカバーと、前記開口から前記カバーの外側に向けて延出するフレキシブルケーブルと、前記フレキシブルケーブルと前記カバーの前記開口との間に配され、前記カバーの前記開口の外方に向けて突出するとともに、前記開口の外方の端縁の両端部は前記フレキシブルケーブルが前記開口から延出する方向に対して傾斜または湾曲する保護プレートと、前記フレキシブルケーブル及び前記保護プレートが配された前記開口に配されるシーリングと、を備え、前記開口において、前記保護プレートは前記フレキシブルケーブルの両面に配され、前記保護プレートの前記第1方向の幅寸法は前記フレキシブルケーブルの前記第1方向の幅寸法よりも大きい
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態にかかるインクジェットヘッドの構成を示す斜視図。
図2】同インクジェットヘッドの構成を示す分解斜視図。
図3】同インクジェットヘッドの平面図。
図4図3のE-E断面図。
図5】インクジェットヘッドの一部を拡大して示す正面図。
図6図4のF-F断面図。
図7】同インクジェットヘッドを用いたインクジェット記録装置の構成を示す説明図。
図8】他の実施形態にかかるインクジェットヘッドの一部の構成を示す説明図。
図9】他の実施形態にかかるインクジェットヘッドの一部の構成を示す説明図。
図10】他の実施形態にかかるインクジェットヘッドの一部の構成を示す説明図。
図11】他の実施形態にかかるインクジェットヘッドの構成を示す分解斜視図。
図12】同インクジェットヘッドの一部構成を示す断面図。
図13】同インクジェットヘッドの一部の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、第1実施形態に係るインクジェットヘッド1について、図1乃至図7を参照して説明する。図1は、第1実施形態にかかるインクジェットヘッド1の構成を示す正面図である。図2はインクジェットヘッドの構成を示す分解斜視図である。図3は、インクジェットヘッドの平面図であり、図4図3のE-E断面図である。図5は、インクジェットヘッドの一部を拡大して示す正面図であり、図6図4のF-F断面図である。なお、図中矢印X,Y,Zはそれぞれ互いに直交する3方向を示す。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0008】
図1乃至図7に示すように、インクジェットヘッド1は、液体吐出部10と、カバー20と、基板ユニット30と、を備える。
【0009】
図1及び図2に示すように、液体吐出部10は、アクチュエータ11と、アクチュエータ11の下面側に配されたノズルプレート12と、を備える。液体吐出部10は、基板ユニット30の下方に配されている。
【0010】
液体吐出部10には、供給管13aや回収管13bなどの複数の流路管が接続されている。供給管13a及び回収管13bは例えば図1等において下側に配される一端が液体吐出部10に連通し、図中上側の他端が供給タンク132に接続される。
【0011】
図1乃至図3に示すように、カバー20は、液体吐出部10の上部に配される。カバー20は、複数、例えば3つのパーツがシーリングにより接着され、矩形の筺状に構成されている。
【0012】
例えば本実施形態において、カバー20は、第1パーツ21、第1パーツ21に対向配置される第2パーツ22、及び第1パーツ21及び第2パーツ22の上部に配される第3パーツ23を備える。
【0013】
第1パーツ21は、基板ユニット30の前面に配される矩形の第1壁21aと、第1壁21aの両側縁から後方に延びる第1側壁21bと、を一体に有している。
【0014】
第2パーツ22は、基板ユニット30の後面に配される矩形の第2壁22aと、第2壁22aの両側縁から前方に延びる第2側壁22bと、を一体に有している。
【0015】
第3パーツ23は、後述する回路基板31の上方を覆う矩形の第3壁23aと第3壁23aの外周縁から下方に延びる第3周壁23bと、を一体に有している。第3壁23aには、カバー20内から供給管13aや回収管13bが引き出される円形の貫通孔である管引出口23dと、フレキシブルケーブル32が引き出されるケーブル引出口23eが、それぞれ複数形成されている。
【0016】
図1乃至図4に示すように、ケーブル引出口23eは例えば第1方向に長いスリット状の開口であり、第3壁23aを厚さ方向に貫通している。ケーブル引出口23eには、フレキシブルケーブル32とその両面を挟む保護部材としての保護プレート33とが、重ねて配置されている。ケーブル引出口23eはシーリング24が内部に侵入しないように、カバー20の内方に向けてその開口幅が狭くなり、カバー20の外方に向けて開口幅が広がる、テーパ状の断面形状に構成される。また、ケーブル引出口23eは、シーリング24により密閉されている。
【0017】
第1パーツ21,第2パーツ22及び第3パーツ23は、その端縁21c、22c、23cが互いに突合わされて組付けられ、端縁21c,22c、23cの間がシーリング24により密閉され、接合されている。
【0018】
図1乃至図6に示すように、シーリング24は、例えばエポキシ系の熱硬化性樹脂等の樹脂材料により形成されている。シーリング24は、製造工程においてケーブル引出口23eや端縁21c,22c、23cの間に塗布された接着剤が、熱処理によって硬化することで、引出口23eや端縁21c,22c、23cの間に充填され、隙間が密閉される。このとき、図6に示すように、ケーブル引出口23eに配されたシーリング24は、表面張力により接着剤の外面が曲成されて硬化することで、保護プレート33側の縁部分が鋭利な形状となる。硬化したシーリング24は例えばフレキシブルケーブル32よりも剛性が高く構成されている。
【0019】
基板ユニット30は、カバー20の内部空間に立設された矩形の板状の回路基板31と、回路基板31の一端側に接続されたフレキシブルケーブル32と、フレキシブルケーブル32の両面に配される保護プレート33と、を備える。
【0020】
回路基板31は、液体吐出部10の上部に支持され、立設されている。回路基板31にはドライブIC等の各種の電子部品が搭載されている。例えば回路基板31はフレキシブル基板を介して液体吐出部10に接続される。回路基板31の上側の端縁近傍の所定箇所に、フレキシブルケーブル32が接続されるコネクタベース31aが搭載されている。
【0021】
フレキシブルケーブル32は、所定の幅を有する帯状に構成され、長手方向に沿って配される複数の配線を有している。フレキシブルケーブル32は一端側にケーブルコネクタ32aを有している。
【0022】
フレキシブルケーブル32は、一端側に配されるケーブルコネクタ32aが、回路基板31のコネクタベース31aに挿入されて係合することで、回路基板31に接続される。フレキシブルケーブル32は、一端側のケーブルコネクタ32aがカバー20内に配され、他方側がケーブル引出口23eを通ってカバー20の外方に向かって第2方向に引出され、延出される。フレキシブルケーブル32の他端側は、カバー20外の所定箇所に配される外部基板に接続される。フレキシブルケーブル32は、薄く柔軟であり、例えば曲げやねじりなどの変形を伴い、例えばカバー20外部に配される所定の接続先に取り回される。
【0023】
フレキシブルケーブル32は、ケーブル引出口23eにおいて、一対の保護プレート33の間に挟まれている。すなわち、一対の保護プレート33が、ケーブル引出口23eの内縁とフレキシブルケーブル32の両面との間に、それぞれ粘着性テープなどの貼付材を介して貼付けられている。保護プレート33は、所定の厚さを有し、例えばPI,PET等の樹脂材料により、フレキシブルケーブル32よりも剛性が高く構成されたシート状部材である。各保護プレート33は、引出口23eの内外に至る所定の高さ寸法を有するとともに、第1方向においてフレキシブルケーブル32の幅寸法よりも大きい幅寸法を有している。したがって、一対の保護プレート33によりフレキシブルケーブル32の両側の側縁部が覆われる。
【0024】
保護プレート33は、カバー20の外方に突出する突出部を有し、そのカバー20の外方の端部が台形状に構成されている。すなわち、保護プレート33のカバー20の外方の端縁33aの両端部33bは、幅方向の中央部が両端部よりもカバー20の外方に位置するように第1方向に対して傾斜する縁部を有している。両端部33bの縁部は、フレキシブルケーブル32の幅方向であるスリット状のケーブル引出口23eの幅方向に沿う第1方向と、フレキシブルケーブル32が引き出される延出方向である2方向とに対して、傾斜している。例えば保護プレート33の両端部33bの傾斜角度や寸法割合等の形状は、フレキシブルケーブル32の取り回しの条件に応じて設定され、例えば両端部33bの第1方向に対する傾斜角度は20~70度に設定される。
フレキシブルケーブル32は、その端縁33aに、鋭利な部分や角がなく、緩やかに変位する外形を有している。したがって、例えばカバー20の外方においてフレキシブルケーブル32が引っ張られたり曲げられたりした場合に、保護プレート33の端縁33aにフレキシブルケーブル32が押しつけられるが、両端部33bの縁部が傾斜していることから、フレキシブルケーブル32がより広い面積で保護プレート33が力を受けるように力が分散され、段階的に力を逃がすことができるため、フレキシブルケーブル32が破損しにくい。
【0025】
以上のように構成されたインクジェットヘッド1は、例えば回路基板31に搭載されたドライブICにより駆動電圧を印加することで、アクチュエータ11が駆動され、ノズルから液滴を吐出させる。
【0026】
インクジェットヘッド1は、例えば図7に示されるインクジェット記録装置100に設けられる。インクジェットヘッド1は、インクジェット記録装置100に設けられた液体収容部としての供給タンク132に接続され、供給タンク132との間でインクを循環させる循環型のヘッドである。インクジェットヘッド1は例えば液体吐出部10のノズルが下方に向く姿勢で配置される。
【0027】
以下、インクジェットヘッド1を有するインクジェット記録装置100について、図7を参照して説明する。インクジェット記録装置100は、筐体111と、媒体供給部112と、画像形成部113と、媒体排出部114と、支持装置である搬送装置115と、制御部116と、を備える。
【0028】
インクジェット記録装置100は、媒体供給部112から画像形成部113を通って媒体排出部114に至る所定の搬送路A1に沿って、吐出対象物である記録媒体として例えば用紙Pを搬送しながらインク等の液体を吐出することで、用紙Pに画像形成処理を行うインクジェットプリンタである。
【0029】
媒体供給部112は複数の給紙カセット112aを備える。媒体排出部114は、排紙トレイ114aを備える。画像形成部113は、用紙を支持する支持部117と、支持部117の上方に対向配置された複数のヘッドユニット130と、を備える。支持部117は、画像形成を行う所定領域にループ状に備えられる搬送ベルト118と、搬送ベルト118を裏側から支持する支持プレート119と、搬送ベルト118の裏側に備えられた複数のベルトローラ120と、を備える。
【0030】
ヘッドユニット130は、複数のインクジェットヘッドであるインクジェットヘッド1と、各インクジェットヘッド1上にそれぞれ搭載された液体タンクとしての複数の供給タンク132と、インクジェットヘッド1と供給タンク132とを接続する接続流路135と、循環部である循環ポンプ134と、を備える。ヘッドユニット130は、液体を循環させる循環型のヘッドユニットである。
【0031】
本実施形態において、インクジェットヘッド1としてシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色のインクジェットヘッド1と、これらの各色のインクをそれぞれ収容する供給タンク132として、供給タンク132を備える。供給タンク132は接続流路135によってインクジェットヘッド1に接続される。接続流路135は、インクジェットヘッド1の供給管13aに接続される供給流路135aと、インクジェットヘッド1の回収管13bに接続される回収流路135bと、を備える。
【0032】
また、供給タンク132には、図示しないポンプなどの負圧制御装置が連結されている。そして、インクジェットヘッド1と供給タンク132との水頭値に対応して、負圧制御装置により供給タンク132内を負圧制御することで、インクジェットヘッド1の各ノズルに供給されたインクを所定形状のメニスカスに形成させている。
【0033】
循環ポンプ134は、例えば圧電ポンプで構成される送液ポンプである。循環ポンプ134は、配線により制御部116に接続され、CPU(Central Processing Unit)116aの制御によって制御可能に構成されている。循環ポンプ134は、インクジェットヘッド1と供給タンク132を含む循環流路で液体を循環させる。
【0034】
搬送装置115は、媒体供給部112の給紙カセット112aから画像形成部113を通って媒体排出部114の排紙トレイ114aに至る搬送路A1に沿って、用紙Pを搬送する。搬送装置115は、搬送路A1に沿って配置される複数のガイドプレート対121a~121hと、複数の搬送用ローラ122a~122hと、を備えている。搬送装置115は、用紙Pをインクジェットヘッド1に相対移動可能に支持する。
【0035】
制御部116は、プロセッサの一例としてのCPU116aと、各種のプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)と、各種の可変データや画像データなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、外部からのデータの入力及び外部へのデータの出力をするインターフェイス部と、を備える。
【0036】
インクジェットヘッド1及びインクジェット記録装置100において、ノズルから液体を吐出する駆動時には、制御部116は、アクチュエータ11の駆動素子に駆動電圧を印加し、アクチュエータ11を動作させて、ノズルからインク滴を吐出させる。
【0037】
以上のように構成されたインクジェットヘッド1において、インクは、図7に示す供給タンク132から、供給流路135a及び供給管13aを通って液体吐出部10の圧力室へ至り、圧力室に対向配置されたノズルから吐出される。一方、インクは、圧力室から回収管13b及び回収流路135bを通って供給タンク132に回収され、循環する。
【0038】
本実施形態にかかるインクジェットヘッド1及びインクジェット記録装置100は、シーリング24とフレキシブルケーブル32との間に保護プレート33があることから、例えばフレキシブルケーブル32が引っ張られたり曲げられたりした場合に、フレキシブルケーブル32がシーリング24の鋭利な端部によって破損することを防止できる。さらに、保護プレート33は両端部33bの縁部が傾斜していることから、応力を段階的に分散させることができるため、フレキシブルケーブル32が破損しにくい。
【0039】
また、保護プレート33はケーブル引出口23eに対応する一部のみとすることで、例えばフレキシブルケーブル32全体を覆うあるいは厚くする構成と比べ、材料を少なくできるとともに、フレキシブルケーブル32の柔軟性と保護を両立できる。
【0040】
また、保護プレート33は、フレキシブルケーブル32よりも幅寸法が大きいことから、貼付け時の位置精度を緩和できる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0042】
上記第1実施形態において、端部が台形状に構成された例を示したが、これに限られるものではない。図8は他の実施形態にかかるインクジェットヘッド1Aの一部を拡大して示す正面図である。図8に示すように、インクジェットヘッド1Aの保護プレート133は、端縁133aが三角形状に構成されている。具体的には、保護プレート133は、中央がカバー20の外方に位置するように傾斜した一対の縁部133bを備えて構成されている。
【0043】
図9は他の実施形態にかかるインクジェットヘッド1Bの一部を拡大して示す正面図である。図9に示すように、インクジェットヘッド1Bの保護プレート233は、中央がカバー20の外方に位置するように湾曲した縁部233aを備えて構成されている。本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を得られる。すなわち、保護プレート233によりシーリング24の鋭利な端縁からフレキシブルケーブル32を保護できるとともに、保護プレート233の端縁233aを湾曲形状としたことにより、フレキシブルケーブル32がねじれ、あるいは曲げられた際に、保護プレート233によりフレキシブルケーブル32にかかる力を分散させ、フレキシブルケーブル32の破損を抑制できる。
【0044】
また、上記第1実施形態において、保護プレート33は第1方向において厚さが一様である例を示したが、これに限られるものではない。図10は他の実施形態にかかる保護プレート333を示す断面図である。図10に示すように、保護プレート333は、第1方向における中央が厚く、第1方向の両端部が薄くなるように厚みが変化している。保護プレート333の両表面は、中央が膨らむように湾曲している。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を得られる。すなわち、保護プレート333によりシーリング24の鋭利な端縁からフレキシブルケーブル32を保護できるとともに、保護プレート333の端縁を傾斜または湾曲した形状としたことにより、フレキシブルケーブル32がねじれ、あるいは曲げられた際に、保護プレート33によりフレキシブルケーブル32にかかる力を分散させ、フレキシブルケーブル32の破損を抑制できる。
【0045】
また、上記第1実施形態において、保護プレート33はカバー20の内部空間に至る高さ寸法を有する例を示したが、これに限られるものではない。図11は他の実施形態にかかるインクジェットヘッド1Cの構成を示す分解斜視図であり、図12及び図13は同インクジェットヘッド1Cの一部を示す断面図である。
図11乃至図13に示すように、インクジェットヘッド1Cにおいて保護プレート433は、カバー20の内方側に位置する端縁433cが、シーリング24内に埋設されるとともに、カバー20のケーブル引出口23e内に挟まれる位置に配される。すなわち、本実施形態にかかる保護プレート433の端縁は、カバー20の内部に至らない。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0046】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を得られる。すなわち、保護プレート433によりシーリング24の鋭利な端縁からフレキシブルケーブル32を保護できるとともに、保護プレート433の端縁が湾曲または傾斜する形状としたことにより、フレキシブルケーブル32がねじれ、あるいは曲げられた際に、保護プレート433によりフレキシブルケーブル32にかかる力が分散し、フレキシブルケーブル32の破損を抑制できる。
【0047】
さらに、本実施形態にかかるインクジェットヘッド1Cによれば、保護プレート433の内方の端縁がシーリング24の内部に留まり、カバー20の内部に至らない位置関係とすることにより、シーリング24を構成する接着剤が保護プレート433を伝って内部に侵入することも防止できる。
【0048】
また、上記各実施形態においては、フレキシブルケーブル32の両面に保護プレート33を配置する例を示したがこれに限られるものではなく、片面のみに貼付してもよい。
【0049】
また、吐出する液体は印字用のインクに限られるものではなく、例えばプリント配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する装置等であっても良い。
【0050】
インクジェットヘッドは、上記の他、例えば静電気で振動板を変形してインク滴を吐出する構造、あるいはヒータ等の熱エネルギーを利用してノズルからインク滴を吐出する構造等でもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、インクジェットヘッドは、インクジェット記録装置等のインクジェット記録装置に用いられる例を示したが、これに限られるものではなく、例えば3Dプリンタ、産業用の製造機械、医療用途にも用いることが可能であり、小型軽量化及び低コスト化が可能である。
【0052】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
(1)
開口を有するカバーと、
前記開口から前記カバーの外側に向けて延出する、前記カバーよりも剛性の低いフレキシブルケーブルと、
フレキシブルケーブルよりも剛性が高く構成され、前記フレキシブルケーブルと前記カバーの前記開口との間に配され、前記カバーの前記開口の外方に向けて突出するとともに、前記開口の外方の端縁の両端部は前記フレキシブルケーブルが前記開口から延出する方向に対して傾斜または湾曲する、保護部材と、
前記フレキシブルケーブル及び前記保護部材が配された前記開口に配されるシーリングと、を備えるインクジェットヘッド。
(2)
前記開口は、所定の第1方向に延びるスリットであり、
前記フレキシブルケーブルは、帯状に構成され、前記カバーの内方に配される基板に接続され、前記開口から前記第1方向と交差する第2方向に延出し、
前記保護部材は、前記第1方向における前記両端部の端縁が前記第1方向及び前記第2方向に対して傾斜または湾曲する、板状であり、
前記シーリングは、前記フレキシブルケーブルよりも剛性が高い、(1)に記載のインクジェットヘッド。
(3)
前記保護部材は前記フレキシブルケーブルの両面に配される、(1)または(2)に記載のインクジェットヘッド。
(4)
前記保護部材の幅寸法は前記フレキシブルケーブルの幅寸法よりも大きい、(1)乃至(3)のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
(5)
(1)乃至(4)のいずれかに記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置。
【符号の説明】
【0053】
1、1A、1B、1C…インクジェットヘッド、10…液体吐出部、11…アクチュエータ、13a…供給管、13b…回収管、20…カバー、21…第1パーツ、21a…第1壁、21b…側壁、21c…端縁、22…第2パーツ、22a…第2壁、22b…側壁、22c…端縁、23…第3パーツ、23a…第3壁、23b…周壁、23c…端縁、23d…管引出口、23e…ケーブル引出口、24…シーリング、30…基板ユニット、31…回路基板、31a…コネクタベース、32…フレキシブルケーブル、32a…ケーブルコネクタ、33,133,333,433…保護プレート、33a…端縁、33b…両端部、133b…縁部、433c…端縁、100…インクジェット記録装置、130…ヘッドユニット、132…供給タンク、133a…端縁、134…循環ポンプ、135…接続流路、135a…供給流路、135b…回収流路、A1…搬送路。
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