(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/035 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
H01G9/035
(21)【出願番号】P 2018139999
(22)【出願日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2017228696
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 努
(72)【発明者】
【氏名】芝 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】田邊 史行
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】向井 孝夫
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-126611(JP,A)
【文献】特開2011-049262(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143535(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸(a)とアミン(b)又はアンモニアとの塩(A)及び溶剤(B)を含有する電解コンデンサ用電解液であって、
前記カルボン酸(a)が、ジカルボン酸(e)と1~8価のアルコール(d)とのエステル化合物(a1)と、芳香族カルボン酸(a2)と、鎖状脂肪族カルボン酸(a3)とを含有し、
前記カルボン酸(a)の合計重量に基づいて、エステル化合物(a1)の重量割合が10~30重量%であり、芳香族カルボン酸(a2)の重量割合が60~80重量%であり、鎖状脂肪族カルボン酸(a3)の重量割合が5~15重量%であって、
前記エステル化合物(a1)が、少なくとも1個のカルボキシ基を有するエステル化合物である電解コンデンサ用電解液(C)。
【請求項2】
前記ジカルボン酸(e)が有するカルボキシ基が結合している炭素原子の内、少なくとも1個の炭素原子が、3級炭素原子である請求項1に記載の電解コンデンサ用電解液。
【請求項3】
前記アルコール(d)が2価又は3価のアルコールである請求項1又は2に記載の電解コンデンサ用電解液。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液を含有する電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電解コンデンサ用電解液及びそれを用いた電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム電解コンデンサに代表される電解コンデンサは、誘電体が設けられている陽極と、集電用の陰極と、陽極、陰極との間に配置された電解液を保持したセパレータとが密封ケース内に収納された構造を有しており、巻回型、積層型の形状のものが広く知られている。
【0003】
近年、電解コンデンサが使用される周辺環境の高温化に伴い、比電導度及び火花電圧が高い電解コンデンサ用電解液が要望されている。
【0004】
従来、中高圧級の電解コンデンサには、エチレングリコール等の極性溶剤に、1,6-デカンジカルボン酸等の酸のアンモニウム塩を溶解させたものが、高い火花電圧が得られる電解液として広く使用されている(例えば特許文献1)。
しかし、特許文献1の電解コンデンサ用電解液は、近年の上記要望の水準からすると、火花電圧が十分でない。
また、更に、陽極の酸化皮膜誘電体を修復する機能(化成性)も十分でないため、酸化皮膜誘電体の欠陥に由来する電流の漏れが生じ、電解コンデンサのショートが発生してしまい、電解コンデンサの信頼性も十分でないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、比電導度が高く、火花電圧が高く、更に化成性に優れる電解コンデンサ用電解液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、カルボン酸(a)とアミン(b)又はアンモニアとの塩(A)及び溶剤(B)を含有する電解コンデンサ用電解液であって、前記カルボン酸(a)が、ジカルボン酸(e)と1~8価のアルコール(d)とのエステル化合物(a1)と、芳香族カルボン酸(a2)と、脂肪族カルボン酸(a3)とを含有し、前記エステル化物(a1)が、少なくとも1個のカルボキシ基を有するエステル化合物を含む電解コンデンサ用電解液;前記電解コンデンサ用電解液を含有する電解コンデンサ(C)である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電解液を使用した電解コンデンサは、比電導度及び火花電圧が高いという効果を奏し、かつ化成性に優れるため、電解コンデンサの信頼性に優れるという効果も奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、カルボン酸(a)とアミン(b)又はアンモニアとの塩(A)、及び溶剤(B)を含有する。
前記の塩(A)において、前記のカルボン酸(a)に由来する成分が塩(A)のアニオン成分を構成し、前記のアミン(b)又はアンモニアに由来する成分が塩(A)のカチオン成分を構成する。
【0010】
前記のカルボン酸(a)は、ジカルボン酸(e)と1~8価のアルコール(d)とのエステル化合物(a1)と、芳香族カルボン酸(a2)と、脂肪族カルボン酸(a3)とを含有する。
ここで、前記エステル化合物(a1)は、少なくとも1個のカルボキシ基を有するエステル化合物である。また、芳香族カルボン酸(a2)と脂肪族カルボン酸(a3)とはエステル基を有しないカルボン酸である。
【0011】
前記のジカルボン酸(e)としては、鎖状脂肪族ジカルボン酸(e1)、脂環式ジカルボン酸(e2)及び芳香族ジカルボン酸(e3)等が挙げられる。また、ジカルボン酸(e)には、ジカルボン酸(e)の酸無水物が含まれる。
【0012】
前記の鎖状脂肪族ジカルボン酸(e1)としては、飽和脂肪族ジカルボン酸(e11)、不飽和脂肪族ジカルボン酸(e12)が挙げられる。
前記の飽和脂肪族ジカルボン酸(e11)としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、コハク酸無水物、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸及び1,6-デカンジカルボン酸等が挙げられる。
前記の不飽和脂肪族ジカルボン酸(e12)としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オクテニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、マレイン酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物及びオクタデセニルコハク酸無水物等が挙げられる。
【0013】
脂環式ジカルボン酸(e2)としては、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸及びデカヒドロ-1,4-ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
【0014】
芳香族ジカルボン酸(e3)としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4-メチルフタル酸、4-メトキシフタル酸、3-フルオロフタル酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及びベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸等が挙げられる。
【0015】
これらのジカルボン酸(e)の内、溶解性の観点から好ましく鎖状脂肪族ジカルボン酸(e1)及び脂環式ジカルボン酸(e2)であり、更に好ましく鎖状脂肪族ジカルボン酸(e1)であり、特に好ましくは不飽和脂肪族ジカルボン酸(e12)である。
前記ジカルボン酸(e)が有するカルボキシ基が結合している炭素原子の内、少なくとも1個の炭素原子が、3級炭素原子であることが、耐熱性の観点からの好ましい。
このようなジカルボン酸(e)としては、オクテニルコハク酸及びドデセニルコハク酸等が挙げられる。
前記のジカルボン酸(e)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記の1~8価のアルコール(d)としては、以下の1価~8価のアルコールが挙げられる。
1価のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、メチルセロゾルブ及びメトキシエトキシエタノール等が挙げられる。
2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられる。
3価のアルコールとしては、グリセリン及びトリメチロールプロパン等が挙げられる。
4価のアルコールとしては、ペンタエリスリトール及びジプロピレングリコール等が挙げられる。
5価のアルコールとしては、キシリトール等が挙げられる。
6価のアルコールとしては、ソルビトール及びマンニトール等が挙げられる。
7価のアルコールとしては、ポリグリセリン(5量体)等が挙げられる。
8価のアルコールとしては、スクロース等が挙げられる。
【0017】
前記のアルコール(d)の内、化成性の観点から好ましいのは1~6価のアルコールであり、更に好ましくは2価のアルコール及び3価のアルコールである。
前記のアルコール(d)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記のエステル化合物(a1)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記のエステル化合物(a1)を構成するジカルボン酸(e)が有するカルボキシ基の合計モル数と、前記のエステル化合物(a1)を構成するアルコール(d)が有する水酸基の合計モル数との比[(e)が有するカルボキシ基の合計モル数/(d)が有する水酸基の合計モル数]は、比電導度の観点から1.25/1~3/1であることが好ましく、更に好ましくは、1.5/1~2.5/1である。
前記のエステル化合物(a1)の分子量は、溶剤に対する(a1)の溶解度の観点から、好ましくは1000以下であり、更に好ましくは800以下である。
【0020】
前記のエステル化合物(a1)は、公知の方法で、ジカルボン酸(e)と、1~8価のアルコール(d)とを反応することにより得ることができる。
【0021】
前記の芳香族カルボン酸(a2)としては、芳香族モノカルボン酸[安息香酸、p-トルイル酸、サリチル酸、レソルシル酸及びナフタレンカルボン酸等]及び芳香族ポリカルボン酸[テレフタル酸、イソフタル酸、2-メチルテレフタル酸、4,4-スチルベンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4-ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸及びジフェニルスルホンジカルボン酸等]等が挙げられる。
これらの芳香族カルボン酸(a2)の内、火花電圧及び比電導度の観点から好ましいのは、安息香酸である。
前記の芳香族カルボン酸(a2)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記の鎖状脂肪族カルボン酸(a3)としては、鎖状脂肪族モノカルボン酸[酢酸、1-プロピオン酸、1-ブタン酸、1-ペンタン酸、1-ヘキサン酸、1-ヘプタン酸及び1-オクタン酸等]及び鎖状脂肪族ポリカルボン酸[シュウ酸、マロン酸、ジプロピルマロン酸、コハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2,4-ジメチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、3,3-ジメチルグルタル酸、3-エチル-3-メチルグルタル酸、アジピン酸、3-メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6-テトラメチルピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、1,6-デカンジカルボン酸、ペンタデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸及びエイコサン二酸等]等が挙げられる。
これらの鎖状脂肪族カルボン酸(a3)の内、火花電圧及び比電導度の観点から好ましいのは、1,6-デカンジカルボン酸である。
前記の鎖状脂肪族カルボン酸(a3)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0023】
本発明におけるカルボン酸(a)としては、前記のエステル化合物(a1)、芳香族カルボン酸(a2)及び鎖状脂肪族カルボン酸(a3)以外のその他のカルボン酸[脂環式脂肪族カルボン酸(1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等)等]を併用してもよい。
【0024】
前記カルボン酸(a)が含有するエステル化合物(a1)の重量割合は、化成性の観点から、カルボン酸(a)の合計重量に基づいて好ましくは10~30重量%である。
前記カルボン酸(a)が含有する芳香族カルボン酸(a2)の重量割合は、化成性の観点から、カルボン酸(a)の合計重量に基づいて好ましくは60~80重量%である。
前記カルボン酸(a)が含有する鎖状脂肪族カルボン酸(a3)の重量割合は、化成性の観点から、カルボン酸(a)の合計重量に基づいて好ましくは5~15重量%である。
【0025】
前記のアミン(b)としては、1級アミン(ブチルアミン及びエタノールアミン等);2級アミン(ジメチルアミン、エチルメチルアミン及びジエチルアミン等);及び3級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジメチルアミン及びジエチルメチルアミン等)等が挙げられる。
前記の塩(A)のカチオン成分となるアミン(b)及びアンモニアのうち、比電導度の観点から好ましいのはアンモニアである。
また、前記の塩(A)のカチオン成分となるアミン(b)及びアンモニアの内、耐熱性の観点から好ましいのは2級アミン及び3級アミンである。
【0026】
カルボン酸(a)とアミン(b)又はアンモニアとの塩(A)が含有するカルボン酸(a)の重量割合は、化成性の観点から、塩(A)の合計重量に基づいて好ましくは70~99重量%である。
カルボン酸(a)とアミン(b)又はアンモニアとの塩(A)が含有するアミン(b)及びアンモニアの重量割合は、化成性の観点から、塩(A)の合計重量に基づいて好ましくは1~30重量%である。
【0027】
本発明における溶剤(B)としては、電解コンデンサ用電解液に一般的に使われる極性溶剤であれば特に限定されず、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-エチルホルムアミド、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、スルホラン、ジメチルスルホキシド及びエチルメチルスルホン等が挙げられる。
前記の溶剤(B)の内、比電導度の観点から好ましいのはエチレングリコール及びγ-ブチロラクトンであり、更に好ましいのはエチレングリコールである。
これらの溶剤(B)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明の電解コンデンサ用電解液には、必要により、電解液に一般的に用いられる種々の添加剤(D)を添加することができる。
駆動中に発生する水素ガスを吸収させる目的で、例えば、ニトロ化合物(o-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、m-ニトロ安息香酸、o-ニトロフェノール及びp-ニトロフェノール)等が添加される。
また、耐電圧を高めるために、ホウ酸及びポリビニルアルコール等が添加される。
また、電極箔の劣化防止の目的で、次亜リン酸等が添加される。
【0029】
本発明の電解コンデンサ用電解液が含有する塩(A)の重量割合は、火花電圧及び比電導度の観点から、電解コンデンサ用電解液の重量に基づいて、3~20重量%であることが好ましく、更に好ましくは5~15重量%である。
【0030】
本発明の電解コンデンサ用電解液が含有する溶剤(B)の重量割合は、火花電圧及び比電導度の観点から、電解コンデンサ用電解液の重量に基づいて、75~95重量%であることが好ましく、更に好ましくは80~90重量%である。
【0031】
本発明の電解コンデンサ用電解液が含有する添加剤(D)の重量割合は、比電導度と電解液への溶解度の観点から、電解コンデンサ用電解液の重量に基づいて、5重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1~2重量%である。
【0032】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、特にアルミニウム電解コンデンサ用に最適である。
本発明の電解コンデンサ用電解液は、原料を公知の方法で混合し、製造することができる。
アルミニウム電解コンデンサとしては、特に限定されず、捲き取り形の電解コンデンサであって、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレータを介在させて捲回することにより構成されたコンデンサ等が挙げられる。
本発明の電解コンデンサは、本発明の電解コンデンサ用電解液を駆動用電解液としてセパレータに含浸し、陽陰極と共に、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口ゴムで密閉して電解コンデンサを構成することで得ることができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
製造例1 [カルボン酸(a1-1)の製造]
オクテニルコハク酸無水物(e1-1)[リカシッド OSA、新日本理化(株)製]420重量部(2mol)にエチレングリコール(d-1)62重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。プロトン核磁気共鳴装置(1H-NMR)チャートと酸価でオクテニルコハク酸2分子とエチレングリコール1分子とのエステル化物であるカルボン酸(a1-1)が得られたことを確認した。
【0035】
製造例2 [カルボン酸(a1-2)の製造]
ドデセニルコハク酸無水物(e1-2)532重量部(2mol)にエチレングリコール(d-1)62重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。プロトン核磁気共鳴装置(1H-NMR)チャートと酸価でドデセニルコハク酸2分子とエチレングリコール1分子とのエステル化物であるカルボン酸(a1-2)が得られたことを確認した。
【0036】
製造例3 [カルボン酸(a1-3)の製造]
オクタデセニルコハク酸無水物(e1-3)701重量部(2mol)にエチレングリコール(d-1)62重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。プロトン核磁気共鳴装置(1H-NMR)チャートと酸価でオクタデセニルコハク酸2分子とエチレングリコール1分子とのエステル化物であるカルボン酸(a1-3)が得られたことを確認した。
【0037】
製造例4 [カルボン酸(a1-4)の製造]
1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物(e1-4)308重量部(2mol)にエチレングリコール(d-1)62重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。プロトン核磁気共鳴装置(1H-NMR)チャートと酸価で1,2-シクロヘキサンジカルボン酸2分子とエチレングリコール1分子とのエステル化物であるカルボン酸(a1-4)が得られたことを確認した。
【0038】
製造例5 [カルボン酸(a1-5)の製造]
オクテニルコハク酸無水物(e1-1)420重量部(2mol)にプロピレングリコール(d-2)76重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H-NMRチャートと酸価測定により、オクテニルコハク酸2分子とプロピレングリコール1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1-5)が得られたことを確認した。
【0039】
製造例6 [カルボン酸(a1-6)の製造]
オクテニルコハク酸無水物(e1-1)420重量部(2mol)にポリオキシエチレングリコール[三洋化成工業(株)製、PEG-200](d-3)200重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H-NMRチャートと酸価測定により、オクテニルコハク酸2分子とPEG-200が1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1-6)が得られたことを確認した。
【0040】
製造例7 [カルボン酸(a1-7)の製造]
オクテニルコハク酸無水物(e1-1)630重量部(3mol)にグリセリン(d-4)92重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H-NMRチャートと酸価測定により、オクテニルコハク酸3分子とグリセリン1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1-7)が得られたことを確認した。
【0041】
製造例8 [カルボン酸(a1-8)の製造]
オクテニルコハク酸無水物(e1-1)420重量部(2mol)にグリセリン(d-4)92重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H-NMRチャートと酸価測定により、オクテニルコハク酸2分子とグリセリン1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1-8)が得られたことを確認した。
【0042】
製造例9 [カルボン酸(a1-9)の製造]
オクテニルコハク酸無水物(e1-1)1260重量部(6mol)にマンニトール(d-5)182重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H-NMRチャートと酸価測定により、オクテニルコハク酸6分子とマンニトール1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1-9)が得られたことを確認した。
【0043】
製造例10 [カルボン酸(a1-10)の製造]
コハク酸無水物(e1-5)200重量部(2mol)にエチレングリコール(d-1)62重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H-NMRチャートと酸価測定により、コハク酸2分子とエチレングリコール1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1-10)が得られたことを確認した。
【0044】
実施例1~8、11~24及び比較例1、4、5
表1及び2に記載したカルボン酸(a)と、溶剤(B)とを、表1及び2に記載した配合部数(重量部)で配合した後に混合し、次いでアンモニアガスを表1に記載した配合部数(重量部)吹き込み、中和した。その後、次亜リン酸(D-2)[太平化学産業(株)製]を添加して、均一混合させて、電解コンデンサ用電解液(C-1)~(C-8)及び(C-11)~(C-24)並びに比較用の電解コンデンサ用電解液(C’-1)、(C’-4)、(C’-5)を得た。
なお、ポリビニルアルコール(D-3)及び/又はほう酸(D-1)を含有しているものに関しては、上記の中和操作後に、ポリビニルアルコール(D-3)及びほう酸(D-1)を表1に記載の配合部数(重量部)添加し、120℃で加熱溶解を行った。
また、ポリビニルアルコール(D-3)は、商品名「JP-05」[日本酢ビ・ポバール(株)製]のものを用いた。
【0045】
実施例9、10及び比較例2、3
表1及び2に記載したカルボン酸(a)と、溶剤(B)とを、表1及び2に記載した配合部数(重量部)で配合した後に混合し、次いでアミン(b)を表1に記載した配合部数(重量部)滴下して中和をし、電解コンデンサ用電解液(C-9)、(C-10)及び比較用の電解コンデンサ用電解液(C’-2)、(C’-3)を得た。
【0046】
【0047】
【0048】
実施例1~24で得られた電解コンデンサ用電解液(C-1)~(C-24)及び比較例1~5で得られた比較用の電解コンデンサ用電解液(C’-1)~(C’-5)について、以下に示す方法で、30℃における比電導度、25℃における火花電圧、25℃における化成時間を測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
【0049】
<25℃における火花電圧>
電解液として各電解コンデンサ用電解液を用い、陽極及び陰極として高圧用エッチングアルミニウム箔を用い、25℃にて定電流(電流密度:0.5mA/cm2)を負荷し、電圧の降下(ショート)がみられたときの電圧値を読みとって、この電圧値を火花電圧とした。
なお、直流安定化電源として(株)高砂製作所製のGP650-05Rを用いて測定した。
【0050】
<30℃における比電導度>
各電解コンデンサ用電解液を測定用セルに15ml入れて、恒温槽中で30℃に温調し、比電導度(mS/cm)を測定した。比電導度測定用セルとして東亜ディーケーケー(株)製のCT-57101Bを用いて測定した。
【0051】
<25℃における化成時間>
上記の火花電圧の測定において、定電流(電流密度:0.5mA/cm2)を負荷し始めてから、電圧値が400Vに到達するまでに要した時間を化成時間とした。
化成時間が短い程、化成性に優れていることを示す。
【0052】
本発明の実施例1~24の電解コンデンサ用電解液は、電導度が高く、火花電圧が高く、更に化成性に優れていることが分かる。
一方、カルボン酸(a)としてエステル化合物(a1)を含有しない比較例1~3の比較用の電解コンデンサ用電解液は、火花電圧が低く、化成性に劣る。
また、カルボン酸(a)として脂肪族カルボン酸(a3)を含有しない比較例4の比較用の電解コンデンサ用電解液は、化成性に劣る。
また、カルボン酸(a)として芳香族カルボン酸(a2)を含有しない比較例5の比較用の電解コンデンサ用電解液は、化成性に劣る。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、比電導度及び火花電圧が高く、更に化成性に優れているため、信頼性の高いアルミ電解コンデンサとして有用である。