(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】レンズユニットおよび接合レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20220720BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20220720BHJP
【FI】
G02B7/02 B
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2018160155
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】神崎 陽介
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097294(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0129017(US,A1)
【文献】特開2017-037155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズと、
前記複数のレンズが収容された鏡筒と、
を有し、
前記複数のレンズは、第1接合レンズ素子に対して接着剤層を介して第2接合レンズ素子が接合された接合レンズを含み、
前記第1接合レンズ素子は、前記第2接合レンズ素子の側に向いた凸状レンズ面、および、前記凸状レンズ面を外周側で囲む第1フランジ部を備えたレンズであり、
前記第2接合レンズ素子は、前記第1接合レンズ素子の前記凸状レンズ面に前記接着剤層によって接合された凹状レンズ面、および、前記凹状レンズ面を外周側で囲む第2フランジ部を備えたレンズであり、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか一方のフランジ部には、他方側のフランジ部に向かって凸の突出部が
周方向で離間する複数箇所に形成されており、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか他方のフランジ部には、前記突出部の側面と対向する対向部が形成されており、
前記凸状レンズ面と前記凹状レンズ面との間隔をGaとし、
前記突出部の側面と前記対向部との間隔をGbとすると、
Ga、Gbは次の関係式
Gb<Ga
を満たしていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記第1接合レンズ素子および前記第2接合レンズ素子は、プラスチックレンズであり、
前記第1接合レンズ素子および前記第2接合レンズ素子のいずれか一方は鏡筒内周面と接触状態にあって、他方は非接触状態であり
前記突出部の側面と前記対向部との間には前記間隔Gbが存在することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか他方のフランジ部には、一方のフランジ面とは反対側に向け凹んだ接着剤溜まり部が形成されており、
前記接着剤溜まり部の側面が、前記突出部の側面と対向する前記対向部であることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記接着剤溜まり部は、前記第1接合レンズ素子および前記第2接合レンズ素子のいずれか他方のレンズ面を囲むように周方向に繋がって円環状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のレンズユニット
【請求項5】
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか一方のフランジ部であって、前記突出部または前記対向部よりも径方向外側には、他方のフランジ部に向かって突出し、前記第1接合レンズ素子と前記第2接合レンズ素子における光軸方向での位置決めを行う位置決め凸部が形成されていることを特徴とする請求項1から
4までのいずれかに記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記突出部よりも径方向内側である一方側内側面と、前記対向部よりも内側の他方側内側面との間隔をGcとし、
前記一方側内側面と前記凹状レンズ面との境界部分と、前記他方側内側面と前記凸状レンズ面との境界部分との間隔をGdとしたとき、
Ga、Gc、Gbは次の関係式
Ga<Gd<Gc
を満たすことを特徴とする請求項1から
5までのいずれかに記載のレンズユニット。
【請求項7】
第1接合レンズ素子に対して接着剤層を介して第2接合レンズ素子が接合された接合レンズであって、
前記第1接合レンズ素子は、前記第2接合レンズ素子の側に向いた凸状レンズ面、および、前記凸状レンズ面を外周側で囲む第1フランジ部を備えたレンズであり、
前記第2接合レンズ素子は、前記第1接合レンズ素子の前記凸状レンズ面に前記接着剤層によって接合された凹状レンズ面、および、前記凹状レンズ面を外周側で囲む第2フランジ部を備えたレンズであり、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか一方のフランジ部には、他方側のフランジ部に向かって凸の突出部が
周方向で離間する複数箇所に形成されており、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか他方のフランジ部には、前記突出部の側面と対向する対向部が形成されており、
前記凸状レンズ面と前記凹状レンズ面との間隔をGaとし、
前記突出部の側面と前記対向部との間隔をGbとすると、
Ga、Gbは以下の関係式
Gb<Ga
を満たしていることを特徴とする接合レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニットおよび接合レンズに係り、例えば、接合レンズを含む複数のレンズとそれらを保持する鏡筒とを備えるレンズユニットおよびそのような接合レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レンズユニット市場では、さらなる高解像度化の要求が高まってきている。高解像度を得るには倍率色収差を補正する必要があるため、レンズユニット内にレンズ同士を接着剤により接合した接合レンズを備えることがある(例えば特許文献1参照)。この接合レンズは、接合面(レンズ面)同士を接着剤によって接合させるが、接着剤層の剥離を抑制するために接合面同士の間に必ずある一定以上の隙間(接着剤層)を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の接着剤層、すなわち一定以上の隙間によってある一定以上のレンズ同士の芯合わせが難しく、高解像度化に伴う光学性能向上を図る上で、このレンズ同士の芯ズレによってコマ収差を補正しきれず、光学性能向上の妨げとなる懸念があり対策の技術が求められていた。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑みなされたものであって、接合レンズの接着剤層の剥離を抑制しつつレンズ同士の芯あわせをより精密に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレンズユニットは、複数のレンズと、前記複数のレンズが収容された鏡筒と、を有し、前記複数のレンズは、第1接合レンズ素子に対して接着剤層を介して第2接合レンズ素子が接合された接合レンズを含み、前記第1接合レンズ素子は、前記第2接合レンズ素子の側に向いた凸状レンズ面、および、前記凸状レンズ面を外周側で囲む第1フランジ部を備えたレンズであり、前記第2接合レンズ素子は、前記第1接合レンズ素子の前記凸状レンズ面に前記接着剤層によって接合された凹状レンズ面、および、前記凹状レンズ面を外周側で囲む第2フランジ部を備えたレンズであり、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか一方のフランジ部には、他方側のフランジ部に向かって凸の突出部が周方向で離間する複数箇所に形成されており、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか他方のフランジ部には、前記突出部の側面と対向する対向部が形成されており、前記凸状レンズ面と前記凹状レンズ面との間隔をGaとし、前記突出部の側面と前記対向部との間隔をGbとすると、Ga、Gbは次の関係式Gb<Gaを満たしている。接着剤層として間隔Gaよりも間隔の狭い間隔Gbがあるため、凸状レンズ面と凹状レンズ面(接合面同士)の間に一定以上の隙間(間隔)を設けることができるとともに、間隔Gbによってレンズ同士の芯合わせを行える。このため、接着剤層の剥離を抑制することができるとともに、レンズ同士の芯合わせをより精密に行うことができる。したがって、接着剤層の剥離による乱反射、曇り、白化、接合レンズの破壊等の問題を抑制できるとともに、精度よくレンズ同士の芯合わせができ、光学性能の向上によるレンズユニットの高解像度化を図ることができる。また、余剰の接着剤が接着剤溜まり部に収まりきらなかった場合、突出部と突出部の間に余剰の接着剤を溜めることができる。
【0007】
前記第1接合レンズ素子および前記第2接合レンズ素子は、プラスチックレンズであり、前記第1接合レンズ素子および前記第2接合レンズ素子のいずれか一方は鏡筒の内周面と接触状態にあって、他方は非接触状態であり、前記突出部の側面と前記対向部との間には隙間が存在してもよい。第1接合レンズ素子および第2接合レンズ素子がプラスチックレンズであり、かつ、第1接合レンズ素子および第2接合レンズ素子のいずれか一方は鏡筒の内周面と接触状態であって、他方は非接触状態であり、環境温度が上昇して各接合レンズ素子がそれぞれ膨張した場合、一方の接合レンズ素子は鏡筒に当接しているため、鏡筒によって膨張が妨げられるため、膨張および歪みが生じる。他方の接合レンズ素子は鏡筒とは非接触状態であるため、鏡筒による妨げなく膨張する。したがって、突出部の側面と対向部が当接状態であると、突出部と対向部とが直接作用し合い、膨張等のずれによって接着剤層が剥離するリスクが高まる。一方で、本発明とすることで、環境温度が上昇した際に第1接合レンズ素子および第2接合レンズ素子がそれぞれ膨張した場合でも、突出部の側面と対向部との間には隙間が存在するので、その隙間が緩衝機能を果たし、上述の膨張のずれによる接着剤層が剥離してしまうことを抑制することができる。
【0008】
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか他方のフランジ部には、一方のフランジ面とは反対側に向け凹んだ接着剤溜まり部が形成されており、前記接着剤溜まり部の側面が、前記突出部の側面と対向する前記対向部であってもよい。凹状レンズ面や凸状レンズ面を重ねた際、余剰の接着剤は接着剤溜まり部に溜まるため、接着剤の剥離や気泡が発生しないように十分な量の接着剤を塗布できるとともに、接着剤がレンズの外側に漏出してしまうことを抑制できる。
【0009】
前記接着剤溜まり部は、前記第1接合レンズ素子および前記第2接合レンズ素子のいずれか他方のレンズ面を囲むように周方向に繋がって円環状に形成されてもよい。一方のレンズを周方向に回転させながらレンズ同士の芯合わせ行うことができる。また、接着剤溜まり部が環状に形成されていることで、接着剤がフランジ側にムラなく広がるため、接着剤層の剥離をより抑制できるとともに、周方向の全体にわたって、レンズの外側に接着剤が漏出してしまうことを抑制できる。
【0011】
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか一方のフランジ部であって、前記突出部または前記対向部よりも径方向外側には、他方のフランジ部に向かって突出し、前記第1接合レンズ素子と前記第2接合レンズ素子における光軸方向での位置決めを行う位置決め凸部が形成されてもよい。位置決め凸部によって、第1接合レンズ素子と第2接合レンズ素子の光軸方向の間隔を高い精度で制御することができる。
【0012】
前記突出部よりも径方向内側である一方側内側面と、前記対向部よりも内側の他方側内側面との間隔をGcとし、前記一方側内側面と前記凹状レンズ面との境界部分と、前記他方側内側面と前記凸状レンズ面との境界部分との間隔をGdとしたとき、Ga、Gc、Gbは次の関係式Ga<Gd<Gcを満たしてもよい。一般に、接着剤が硬化する際に収縮するが、このとき間隔(隙間)が広い接着剤溜まり部側に向かって接着剤が引き寄せられやすく(収縮されやすく)、この収縮により接着剤が剥離(途切れる)してしまう虞がある。しかし、上述の関係のように接着剤溜まり部の近傍になるほど間隔(隙間)が広くなることで、接着剤が剥離を抑制でき、剥離に伴う乱反射、曇り、白化、接合レンズの破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0013】
本発明は、第1接合レンズ素子に対して接着剤層を介して第2接合レンズ素子が接合された接合レンズであって、前記第1接合レンズ素子は、前記第2接合レンズ素子の側に向いた凸状レンズ面、および、前記凸状レンズ面を外周側で囲む第1フランジ部を備えたレンズであり、前記第2接合レンズ素子は、前記第1接合レンズ素子の前記凸状レンズ面に前記接着剤層によって接合された凹状レンズ面、および、前記凹状レンズ面を外周側で囲む第2フランジ部を備えたレンズであり、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか一方のフランジ部には、他方側のフランジ部に向かって凸の突出部が周方向で離間する複数箇所に形成されており、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のいずれか他方のフランジ部には、前記突出部の側面と対向する対向部が形成されており、前記凸状レンズ面と前記凹状レンズ面との間隔をGaとし、前記突出部の側面と前記対向部との間隔をGbとすると、Ga、Gbは以下の関係式Gb<Gaを満たしている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接合レンズの接着剤層の剥離を抑制しつつレンズ同士の芯あわせをより精密に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る、レンズユニットを示す図である。
【
図2】実施形態に係る、レンズユニットの分解斜視図である。
【
図3】実施形態に係る、第5レンズを示す図である。
【
図4】実施形態に係る、第6レンズを示す図である。
【
図5】実施形態に係る、
図1(c)の領域P1を拡大し示した図である。
【
図6】実施形態の変形例1に係る、接合レンズの接合状態を示す図である。
【
図7】実施形態の変形例2に係る、接合レンズを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は本実施形態に係るレンズユニット1を示しており、
図1(a)は全体を示す斜視図、
図1(b)は平面図、
図1(c)は縦断面図である。
【0018】
レンズユニット1は、車載周辺監視カメラ、監視カメラ、ドアホン等に組み込まれるレンズアッシである。なお、本実施形態における「物体側L1」および「像側L2」とは、光軸方向における物体側および像側をいい、「光軸方向」とは光軸Lに平行する方向をいう。
【0019】
(全体構成)
レンズユニット1は、複数のレンズからなる広角レンズ2と、広角レンズ2を収納する鏡筒3とを備える。広角レンズ2は、光軸Lに沿って物体側L1から像側L2に向かって密着して配置された第1レンズ21、第2レンズ22、第3レンズ23、第4レンズ24、第5レンズ25、および第6レンズ26の6枚のレンズにより構成される。
【0020】
なお、本実施形態では、第2レンズ22と第3レンズ23との間には、光が像側へ進入することを防止する遮光シート36が密着して配置されている。また、第3レンズ23と第4レンズ24(ガラスレンズホルダ4)との間には、絞り37が密着して配置されている。また、鏡筒3の像側L2の開口には、第6レンズ26に対向するように赤外線カットフィルタ38が取りつけられている。
【0021】
広角レンズ2を構成するレンズのうち、第1レンズ21は、最も物体側L1に配置される。第2レンズ22は、第1レンズ21の像側L2に位置する。第3レンズ23は、第2レンズ22の像側L2に位置する。第4レンズ24は、第3レンズ23の像側に位置する。第4レンズ24は、樹脂製のレンズホルダ4に圧入固定され更に接着剤による補強固定された状態で鏡筒3に配置される。第5レンズ25は、第4レンズ24の像側L2に位置する。第6レンズ26は、第5レンズ25の像側L2に位置する。第5レンズ25と第6レンズ26は、接合レンズ20を構成する。つまり、第6レンズ26は第1接合レンズ素子20aであり、第5レンズ25は第2接合レンズ素子20bであり、第1接合レンズ素子20a(第6レンズ26)と第2接合レンズ素子20b(第5レンズ25)とが接着剤により固定されて接合レンズ20を構成している。
【0022】
第1レンズ21には、最も物体側に位置する第1レンズ21の物体側レンズ面が露出している場合でも第1レンズ21の物体側レンズ面に傷が付きにくくするという観点からガラスレンズが用いられる。第2レンズ22、第3レンズ23、第5レンズ25、および第6レンズ26には、レンズの加工性および経済性に優れるという点から、プラスチックレンズが用いられる。第4レンズ24には、温度変化に対する屈折率の変化を抑制できるという観点からガラスレンズが用いられる。
【0023】
尚、本実施形態におけるレンズユニット1の広角レンズ2は上記6枚のレンズにより構成されているが、レンズの枚数は限定されることはなく、また、レンズの材質についても限定されることない。
【0024】
鏡筒3は、樹脂製の円筒状の玉枠であり、広角レンズ2を構成する各レンズの外周面に沿いながら、像側に向かって内周面60が形成されている。内周面60の像側L2側には、内周面60より小径であって第6レンズ26が配置される第6レンズ収容部69が形成されている。
【0025】
内周面60には、周方向で等間隔に複数の圧入凸部70が径方向内側に凸状(膨出した形状)となるように形成されている。内周面60の圧入凸部70に、広角レンズ2を構成するレンズのうち、第2レンズ22、第3レンズ23、レンズホルダ4(第4レンズ24)、第5レンズ25が圧入される。すなわち、圧入凸部70は、第2レンズ22、第3レンズ23、レンズホルダ4(第4レンズ24)、および第5レンズ25の圧入保持部として機能する。なお、第6レンズ26は、内周面60に対して非接触状態で内周面60内に配置されている。
【0026】
また、第5レンズ25における像側L2の面の周縁に形成された平坦部25aが、鏡筒3の像側L2において周方向内側に延びる環状の配置面31に載置される。また、第2レンズ22の物体側L1の面の周縁が鏡筒3の物体側内周面の端部に設けられたカシメ部35に係止される。
【0027】
このことにより、第2レンズ22、第3レンズ23、レンズホルダ4(第4レンズ24)、第5レンズ25、および第6レンズ26が、光軸L方向に位置決めされる。さらに、第1レンズ21の外周部分にOリング5が組み込まれた後、Oリング5が組み込まれた第1レンズ21が、環状の溝部34に組み込まれる。その後、第1レンズ21の周縁が鏡筒3の物体側端部に設けられたカシメ部33に係止される。この工程によって、第1レンズ21が光軸L方向に位置決めされる。
【0028】
ここでは、第2レンズ22、第3レンズ23、レンズホルダ4(第4レンズ24)、第5レンズ25、および第6レンズ26の挿入順の間違い防止の観点から、像側L2のレンズほど外径が小さく、かつそれられに対応して内周面60が狭く形成されている。また、第2レンズ22、第3レンズ23、レンズホルダ4(第4レンズ24)、第5レンズ25、および第6レンズ26の
図1(c)で右側領域や
図2で上側部分にはそれぞれ、Dカット部22x、23x、4x、25x、26xが形成されている。
【0029】
(接合レンズの構成)
つづいて、
図3~5を参照して接合レンズ20の構造、すなわち、第5レンズ25(第2接合レンズ素子20b)と第6レンズ26(第1接合レンズ素子20a)の構造について説明する。
【0030】
図3は第5レンズ25(第2接合レンズ素子20b)を示す図であって、
図3(a)は底面図すなわち像側L2の面(像側面252)を示し、
図3(b)はX1-X1断面を示す。
【0031】
第5レンズ25において、物体側L1のレンズ面が凹状の物体側凹状レンズ面255であり、像側L2のレンズ面が凹状の像側凹状レンズ面253である。像側凹状レンズ面253と物体側凹状レンズ面255の外周側には、それらを囲むように第2フランジ部254が一体に形成されている。なお、像側凹状レンズ面253は、後述の第6レンズ26の物体側凸状レンズ面263と接合する凹状レンズ面である。
【0032】
第2フランジ部254の像側面252には、接着剤溜まり部256と、接着剤溜まり部256より外側の当接面257と、接着剤溜まり部256よりも内側の内側面258と、内側面258と像側凹状レンズ面253との境界部分である凸部259が形成されている。本実施形態において接着剤溜まり部256は、円環状からなる凹状形状である。
【0033】
接着剤溜まり部256は、例えば、0.4mm程度凹んでおり、後述の突出部266が嵌まる。接着剤溜まり部256は凹状形状に限らず、突出部266が嵌まった状態で、接着剤を溜めるための一定の空間が形成される形状であればよく、例えば、物体側L1に段状に下がった形状であってもよい。
【0034】
なお、当接面257より外側の領域には、当接面257よりわずかに物体側L1に下がった平坦部25aが形成され、
図1(
c)に示すように接合状態において、鏡筒3の配置面31に当接する。また、その領域には、第5レンズ25を成形する際に金型から取り出すための押し出しピンを当てる円形のピン当て部252aが複数形成されている。
【0035】
図4は第6レンズ26(第1接合レンズ素子20a)を示す図であって、
図4(a)は平面図すなわち物体側L1の面(物体側面261)を示し、
図4(b)はX2-X2断面を示す。
【0036】
第6レンズ26において、物体側L1のレンズ面が凸状の物体側凸状レンズ面263であり、像側L2のレンズ面が凸状の像側凸状レンズ面265である。像側凸状レンズ面265と物体側凸状レンズ面263の外周側には、それらを囲むように第1フランジ部264が一体に形成されている。なお、物体側凸状レンズ面263は、第5レンズ25の像側凹状レンズ面253と接合する凸状レンズ面である。
【0037】
第1フランジ部264の物体側面261には、第5レンズ25と第6レンズ26の光軸L方向での位置決めを行う位置決め部が形成されている。位置決め部は、120度間隔で弧状の位置決め凸部267が僅かに物体側L1側に突出した平面として形成されている。さらに、位置決め凸部267には所定長だけ突出した円弧状の突出部266が形成されている。また、第1フランジ部264の物体側面261には、位置決め凸部267よりも内側に内側面268と、内側面268と物体側凸状レンズ面263との境界部分である凹部269が形成されている。本実施形態において、位置決め凸部267は、等間隔に3箇所形成されている。同様に、本実施形態において突出部266も3箇所形成されている。
【0038】
突出部266は、断面略台形の形状を呈しており、例えば、0.2mm程度突出している。なお、突出部266は、第5レンズ25と第6レンズ26とが接合状態となったときに、第5レンズ25の接着剤溜まり部256に挿入される。
【0039】
図5を参照して、第5レンズ25と第6レンズ26との接合状態について説明する。
図5は、
図1(c)の領域P1を拡大して示している。
【0040】
第5レンズ25(すなわち第2接合レンズ素子20b)の像側凹状レンズ面253と第6レンズ26(第1接合レンズ素子20a)の物体側凸状レンズ面263との間には、一定以上の間隔Ga(隙間)を有しており、その間隔Gaに介在する接着剤層29である接着剤によって接合されている。間隔Gaにおける接着剤層29の厚さは、例えば5μmから20μm程度である。なお、間隔Gaは、像側凹状レンズ面253と物体側凸状レンズ面263とが対向する方向である対向方向の間隔である。接着剤は、例えばUV硬化型接着剤であり、硬化後も弾性を有する材質であることが好ましい。
【0041】
接着剤層29は、物体側凸状レンズ面263と像側凹状レンズ面253との接合部分(間隔Ga)、および、それらより径方向外側の接着剤溜まり部256の位置まで形成されている。つまり、接着剤層29は、物体側凸状レンズ面263と像側凹状レンズ面253が相対して接合しているレンズ面接合領域、接着剤溜まり部256に突出部266が嵌まっている嵌合領域、及びレンズ面接合領域と嵌合領域との中間領域(第5レンズ25の内側面258と第6レンズ26の内側面268とが対向している領域)に形成されている。なお、接着剤溜まり部256は余剰の接着剤が溜まる空間であるので、その空間は接着剤で全て埋まらず、空気が含まれてもよい。
【0042】
第5レンズ25の当接面257は、第6レンズ26の位置決め凸部267に当接し、第5レンズ25と第6レンズ26の光軸L方向での位置決めがなされる。また、当接面257および位置決め凸部267は、光軸Lに対して垂直な平坦面である。したがって、第5レンズ25と第6レンズ26の光軸方向での位置精度、特に物体側凸状レンズ面263の中心部分と像側凹状レンズ面253の中心部分における光軸方向の間隔を高い精度で制御することができる。
【0043】
凹状である接着剤溜まり部256の側面は傾斜面となっている。すなわち、当接面257から内側へ向かう面は、傾斜面であって、突出部266の外側の側面266aと対向する対向部256aとなっている。突出部266の外側の側面266aと、対向部256aとの間には、一定以上の間隔Gb(隙間)を有している。間隔Gbにおける隙間は、例えば1μmから5μm程度である。なお、間隔Gbは、側面266aと対向部256aとが対向する方向である対向方向の間隔である。
【0044】
また、突出部266よりも径方向内側である内側面258(一方側内側面)と、対向部256aである接着剤溜まり部256よりも内側の内側面268(他方側内側面)との間には、一定以上の間隔Gc(隙間)を有している。なお、間隔Gcにおける隙間(接着剤層の厚さ)は、例えば30μmから50μm程度である。なお、間隔Gcは、内側面258と内側面268が対向する方向である対向方向(本実施形態では光軸方向)における間隔である。
【0045】
また、内側面258と像側凹状レンズ面253との境界部分である凸部259と、内側面268と物体側凸状レンズ面263との境界部分である凹部269との間には、一定以上の間隔Gd(隙間)を有している。凸部259の先端は凸曲面であり、凹部269の底部は凹曲面である。なお、間隔Gdにおける隙間(接着剤層の厚さ)は、例えば10μmから30μm程度である。なお、間隔Gdは、像側凹状レンズ面253と物体側凸状レンズ面263との接合面におけるレンズとしての有効径よりも径方向外側から間隔Gcの位置(内側面258と内側面268の対向部分よりも径方向内側)までの間隔のことであり、徐々に間隔が広くなる構成となっている。
【0046】
ここで、間隔Gaと間隔Gbは、関係式Gb<Gaを満たしている。また、間隔Ga、Gc、Gdは、関係式Ga<Gd<Gcを満たしている。これによって、後述する接合工程、特に接着剤の硬化工程において、接着剤の硬化に伴う収縮作用によって接着剤層29(接着剤)に剥離が生じることを抑制できる。
【0047】
関係式Gb<Gaにより、間隔Gbの方が間隔Gaよりも狭いため、物体側凸状レンズ面263と像側凹状レンズ面253が当接することなく、突出部266の外側の側面266aと対向部256aによってレンズ同士の芯合わせを行える。
【0048】
なお、間隔Gbにも隙間を備えているため、レンズ同士の芯合わせによって突出部266の外側の側面266aの一部と、対向部256aの一部が当接することはあるが、突出部266の外側の側面266aの全周と、対向部256aの全周が当接することはない。
【0049】
また、上述の通り、第5レンズ25および第6レンズ26は、プラスチックレンズであり、樹脂製の鏡筒3の内周面60に第5レンズ25は圧入され、第6レンズ26は内周面60に対して非接触状態で内周面60内に配置されている。
【0050】
(接合レンズの接合行程)
本実施形態において、第5レンズ25と第6レンズ26とを接合するまでの一連の接合行程では、例えば、第5レンズ25の像側凹状レンズ面253の側に接着剤を塗布する塗布行程を行う。次に第5レンズ25に第6レンズ26を重ねる重ね行程を行い、その結果、第5レンズ25と第6レンズ26との間で接着剤が広がる。このとき、突出部266は、接着剤溜まり部256に挿入される。その後、UV照射にて接着剤を硬化させる硬化行程を行い、第5レンズ25と第6レンズ26が接着剤によって接合される。
【0051】
上述の重ね工程において、第5レンズ25と第6レンズ26との間で接着剤が広がる際、接着剤は、第5レンズ25と第6レンズ26との間から外側に流出しようとするが、接着剤は接着剤溜まり部256に溜まる。従って、接着剤が第5レンズ25と第6レンズ26との間から外側に流出することを抑制できる。なお、本実施形態では、3つの突出部266が接着剤溜まり部256に挿入された状態となるため、隣り合う突出部266の間の領域に接着剤が存在することになる。すなわち、仮に余剰の接着剤が接着剤溜まり部256に収まりきらなかった場合でも、突出部266と突出部266の間に余剰の接着剤を溜めることができる。また、接着剤の硬化工程において、接着剤が収縮するが、このとき、間隔(隙間)が広い接着剤溜まり部256側に向かって接着剤が引き寄せられやすく(収縮されやすく)、この収縮により接着剤が剥離(途切れる)してしまう虞がある。しかし、接着剤溜まり部256の近傍になるほど間隔(隙間)を広くすることで、接着剤が剥離してしまうことを抑制でき、乱反射、曇り、白化、接合レンズの破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0052】
また、上述の重ね工程の後、第5レンズ25に重ねられた第6レンズ26を周方向に回転させてレンズ同士の芯合わせを行う芯合わせ行程を行ってもよい。
【0053】
以上の実施形態の簡単に纏めると次の通りである。
レンズユニット1は、複数のレンズで構成された広角レンズ2と、広角レンズ2が収容された鏡筒3と、を有する。広角レンズ2は、第1接合レンズ素子20a(第6レンズ26)に対して接着剤層29を介して第2接合レンズ素子20b(第5レンズ25)が接合された接合レンズ20を含む。
第1接合レンズ素子20a(第6レンズ26)は、第2接合レンズ素子20b(第5レンズ25)の側に向いた物体側凸状レンズ面263、および、物体側凸状レンズ面263を外周側で囲む第1フランジ部264を備えたレンズである。
第2接合レンズ素子20b(第5レンズ25)は、第1接合レンズ素子20a(第6レンズ26)の物体側凸状レンズ面263に接着剤層29によって接合された像側凹状レンズ面253、および、像側凹状レンズ面253を外周側で囲む第2フランジ部254を備えたレンズである。
第1フランジ部264および第2フランジ部254のいずれか一方のフランジ部には、他方側のフランジ部に向かって凸の突出部(ここでは、第1フランジ部264の突出部266)が形成されている。また、第1フランジ部264および第2フランジ部254のいずれか他方のフランジ部(ここでは第2フランジ部254)には、突出部266の側面266aと対向する対向部256aが形成されている。
物体側凸状レンズ面263と像側凹状レンズ面253との間隔をGaとし、前記突出部の側面と前記対向部との間隔をGbとすると、Ga、Gbは以下の関係式
Gb<Ga
を満たしている。
間隔Ga(接着剤層29)よりも間隔の狭い間隔Gbがあるため、物体側凸状レンズ面263と像側凹状レンズ面253(すなわち接合面同士)の間に一定以上の隙間を設けつつ間隔Gbを使ってレンズ同士の芯合わせを行える。その結果、間隔Gaにおける接着剤層29の剥離を抑制することができるとともに、レンズ同士の芯合わせをより精密に行うことができる。したがって、間隔Gaにおける接着剤層29の剥離による乱反射、曇り、白化、接合レンズの破壊等の問題を抑制できるとともに、精度よくレンズ同士の芯合わせを行えるため、特にコマ収差を良好に補正することができ、光学性能の向上によるレンズユニット1の高解像度化を図ることが出来る。
【0054】
第1接合レンズ素子20a(第6レンズ26)および第2接合レンズ素子20b(第5レンズ25)は、プラスチックレンズである。また、第1接合レンズ素子20a(第6レンズ26)および第2接合レンズ素子20b(第5レンズ25)のいずれか一方は鏡筒3の内周面60と接触状態にあって、他方は非接触状態である。また、突出部266の側面266aと対向部256aとの間には隙間(間隔Gb)が存在する。
【0055】
第1接合レンズ素子20a(第6レンズ26)および第2接合レンズ素子20b(第5レンズ25)がプラスチックレンズであり、かつ、第1接合レンズ素子20a(第6レンズ26)および第2接合レンズ素子20b(第5レンズ25)のいずれか一方は鏡筒3の内周面60と接触状態にあって、他方は非接触状態であり、環境温度が上昇して各接合レンズ素子がそれぞれ膨張した場合、一方の接合レンズ素子(ここでは第2接合レンズ素子20b(第5レンズ25))は鏡筒3の内周面60に当接しているため、鏡筒3によって膨張が妨げられるため、膨張および歪みが生じる。他方の接合レンズ素子(ここでは第1接合レンズ素子20a(第6レンズ26))は鏡筒3とは非接触状態であるため、鏡筒3による妨げなく膨張する。したがって、突出部266の側面266aと対向部256aが当接状態であると、この膨張のずれによって接着剤層が剥離するリスクが高まる。一方で、上述の構成としたことで、環境温度が上昇した際に第1接合レンズ素子20a(第6レンズ26)および第2接合レンズ素子20b(第5レンズ25)がそれぞれ膨張した場合でも、突出部266の側面266aと対向部256aとの間には隙間(間隔Gb)が存在するので、上述の膨張のずれによる接着剤層が剥離してしまうことを抑制することができる。
【0056】
第1フランジ部264および第2フランジ部254のいずれか他方のフランジ部には、ここでは、第2フランジ部254には、フランジ面とは反対側に向け凹んだ接着剤溜まり部256が形成されている。接着剤溜まり部256の外側側面が、突出部266の側面266aと対向する対向部256aとなっている。接合構造となる凹状レンズ面や凸状レンズ面(すなわち第6レンズ26の物体側凸状レンズ面263と第5レンズ25の像側凹状レンズ面253)を重ねた際、余剰の接着剤は接着剤溜まり部256に溜まる。このため、接着剤の剥離や気泡が発生しないように十分な量の接着剤を塗布できるとともに、接着剤がレンズの外側に漏出してしまうことを抑制できる。
【0057】
接着剤溜まり部256は、他方のレンズ面を囲むように周方向に繋がって円環状に形成されている。したがって、一方のレンズ(実際には接合面が凸状レンズ面である第6レンズ26)を周方向に回転させながらレンズ同士の芯合わせ行うことができる。また、接着剤溜まり部256が円環状に形成されていることで、接着剤がフランジ側(第1フランジ部264側、第2フランジ部254側)にムラなく広がるため、接着剤層29の剥離をより抑制できる。また、周方向の全体にわたって、レンズ外側に接着剤が漏出してしまうことを抑制できる。
【0058】
突出部266は、周方向で離間する複数箇所、例えば等間隔で3箇所に形成されている。余剰の接着剤が接着剤溜まり部256に収まりきらなかった場合、突出部266と突出部の間に余剰の接着剤を溜めることができる。
【0059】
第1フランジ部264および第2フランジ部254のいずれか一方のフランジ部であって、突出部266または対向部256aよりも径方向外側には、他方のフランジ部に向かって突出し、第1接合レンズ素子20aと第2接合レンズ素子20bにおける光軸方向での位置決めを行う位置決め凸部267が形成されている。位置決め凸部267に接着剤が被ることがないので、位置決め凸部267によって、第1接合レンズ素子20aと第2接合レンズ素子20bの光軸方向の間隔を高い精度で制御することができる。
【0060】
前記突出部よりも径方向内側である一方側内側面と、前記対向部よりも内側の他方側内側面との間隔をGcとし、前記一方側内側面と前記凹状レンズ面との境界部分と、前記他方側内側面と前記凸状レンズ面との境界部分との間隔をGdとしたとき、Ga、Gc、Gdは次の関係式Ga<Gd<Gcを満たしてもよい。接着剤は硬化する際に収縮するため、間隔(隙間)が広い接着剤溜まり部256側に向かって接着剤が引き寄せられやすく(収縮されやすく)、この収縮により接着剤が剥離(途切れる)してしまう虞がある。したがって、上述の関係のように接着剤溜まり部256の近傍になるに従って徐々に間隔(隙間)を広くすることで、接着剤が剥離してしまうことを抑制でき、乱反射、曇り、白化、接合レンズの破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0061】
以上、本発明を、実施の形態をもとに説明したが、この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0062】
図6は変形例1の第5レンズ25と第6レンズ26との接合状態について説明するものであり、
図5に対応する。図示のように、第6レンズ26の突出部266Xが、
図5の例と比較して、中心側(光軸L側)に寄っている。すなわち、接着剤溜まり部256Xの内側面258から外側に向かう斜面が対向部256a1となり、この対向部256a1が、突出部
266において内側面268から斜め外側(図示では左斜め上)に向かう側面266a1に対向している。この
側面266a1と対向部256a1の隙間が間隔Gbとなる。この場合でも、間隔Gaと間隔Gbは、関係式Gb<Gaを満たしている。また、間隔Ga、Gc、Gdは、関係式Ga<Gd<Gcを満たしている。その結果、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
図7は変形例2に係る接合レンズ320を示した図であり、
図7(a)は縦断面図、
図7(b)は
図7(a)の領域P2を拡大して示している。この変形例では、第5レンズ325(第2接合レンズ素子320b)に突出部356が設けられ、第6レンズ326(第1接合レンズ素子320a)に接着剤溜まり部366が設けられている。
【0064】
上述の実施形態と同様に、第5レンズ325(第2接合レンズ素子320b)の像側凹状レンズ面353と第6レンズ326(第1接合レンズ素子320a)の物体側凸状レンズ面363との間には、一定以上の間隔Ga(隙間)を有しており、その間隔Gaに介在する接着剤層329で接合されている。第5レンズ325の第2フランジ部354の当接面357は、第6レンズ326の第1フランジ部364の位置決め凸部367に当接し、第5レンズ325と第6レンズ326の光軸L方向での位置決めがなされる。
【0065】
具体的には、接着剤層329は、物体側凸状レンズ面363と像側凹状レンズ面353が相対して接合しているレンズ面接合領域、接着剤溜まり部366に突出部356が嵌まっている嵌合領域、及びレンズ面接合領域と嵌合領域との中間領域(第5レンズ325の内側面358と第6レンズ326の内側面368とが対向している領域)に形成されている。
【0066】
凹状である接着剤溜まり部366において外側の傾斜面は対向部366aであり、突出部356の外側の側面356aと対向する。突出部356の外側の側面356aと対向部366aとの間には隙間(間隔Gb)が存在する。
【0067】
また、突出部356(接着剤溜まり部366)よりも径方向内側である内側面358(一方側内側面)と、対向部366aである接着剤溜まり部366よりも内側の内側面368(他方側内側面)との間には、一定以上の間隔Gc(隙間)を有している。
【0068】
また、内側面358と像側凹状レンズ面353との境界部分である凸部359と、内側面368と物体側凸状レンズ面363との境界部分である凹部369との間には、一定以上の間隔Gd(隙間)を有している。
【0069】
この場合でも、間隔Gaと間隔Gbは、関係式Gb<Gaを満たしている。また、間隔Ga、Gc、Gdは、関係式Ga<Gd<Gcを満たしている。その結果、上述の実施形態や変形例1と同様の効果が得られる。
【0070】
なお、上述の実施形態や変形例1、2では、第1フランジ部264、364に位置決め凸部267、367が形成されているが、第2フランジ部254、354に位置決め凸部が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 レンズユニット
2 広角レンズ
3 鏡筒
5 Oリング
20、320 接合レンズ
20a、320a 第1接合レンズ素子
20b、320b 第2接合レンズ素子
21 第1レンズ
22 第2レンズ
23 第3レンズ
24 第4レンズ
25、325 第5レンズ
25a 平坦部
26、326 第6レンズ
29、329 接着剤層
31 配置部
251、261 物体側面
252、262 像側面
253、353 像側凹状レンズ面
254、354 第2フランジ部
255 物体側凹状レンズ面
256、366 接着剤溜まり部
256a、256a1、366a 対向部
257、357 当接面
258、268、358、368 内側面
259、359 凸部
263、363 物体側凸状レンズ面
264、364 第1フランジ部
265 像側凸状レンズ面
266、266X、356 突出部
266a、266a1、356a 側面
267、367 位置決め凸部
269、369 凹部
L 光軸
L1 物体側
L2 像側