(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】液体燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
B67D 7/54 20100101AFI20220720BHJP
【FI】
B67D7/54
(21)【出願番号】P 2018180533
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂内 聡
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-072100(JP,A)
【文献】特開昭55-012016(JP,A)
【文献】実開昭50-090319(JP,U)
【文献】特開2018-167877(JP,A)
【文献】特開2010-111405(JP,A)
【文献】特開平09-012100(JP,A)
【文献】特開2010-030622(JP,A)
【文献】特開平09-240800(JP,A)
【文献】特開平02-242798(JP,A)
【文献】特開昭48-058406(JP,A)
【文献】特開昭48-051121(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106660778(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料が流通する燃料供給系統と、
前記液体燃料を吐出パイプより吐出させる供給ノズルと、
前記供給ノズルに向けて液体燃料を供給する供給ポンプと、
前記供給ノズルを用いた被供給体への液体燃料の供給時に、当該被供給体の供給口から放出されるベーパを吸引する吸引ポンプと、
前記液体燃料が貯留された貯留タンクとは別に形成され、前記液体燃料と同一種類の液体燃料が貯留される回収容器と、
を備えた液体燃料供給装置において、
前記吸引ポンプは、前記ベーパの吸引方向に関して前記回収容器よりも上流側となる位置に配置され、前記液体燃料の供給時に前記被供給体の供給口から放出されたベーパを前記回収容器に加圧した状態で流入させる構成とし、
かつ、前記吸引ポンプにより吸引されたベーパは、前記回収容器内に貯留された液体燃料中に流入して当該回収容器内に回収され
、
前記回収容器は、前記吸引ポンプからのベーパの流入により内部の圧力を上昇させ、前記回収容器内に貯留された液体燃料中への当該ベーパの溶解を促進させることを特徴とする液体燃料供給装置。
【請求項2】
前記被供給体の供給口から排出されるベーパが前記回収容器へと流通するベーパ導管を備え、
前記吸引ポンプは、前記ベーパ導管の途中位置に設けられており、
前記回収容器内の圧力は前記吸引ポンプの上流側の前記ベーパ導管の圧力よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の液体燃料供給装置。
【請求項3】
前記ベーパ導管に設けられ、前記回収容器内の流体が前記供給ノズル側に向けて流れることを防止するチェック弁を備えたことを特徴とする請求項2に記載の液体燃料供給装置。
【請求項4】
前記回収容器には、当該回収容器内の圧力を前記吸引ポンプの上流側の前記ベーパ導管の圧力よりも高く、過剰圧となる所定圧力を超えない圧力となるよう保持する圧力制御弁が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の液体燃料供給装置。
【請求項5】
液体燃料が流通する燃料供給系統と、
前記液体燃料を吐出パイプより吐出させる供給ノズルと、
前記供給ノズルに向けて液体燃料を供給する供給ポンプと、
前記供給ノズルを用いた被供給体への液体燃料の供給時に、当該被供給体の供給口から放出されるベーパを吸引する吸引ポンプと、
前記液体燃料が貯留された貯留タンクとは別に形成され、前記液体燃料と同一種類の液体燃料が貯留される回収容器と、
を備えた液体燃料供給装置において、
前記吸引ポンプは、前記ベーパの吸引方向に関して前記回収容器よりも上流側となる位置に配置され、前記液体燃料の供給時に前記被供給体の供給口から放出されたベーパを前記回収容器に加圧した状態で流入させる構成とし、
かつ、前記吸引ポンプにより吸引されたベーパは、前記回収容器内に貯留された液体燃料中に流入して当該回収容器内に回収されるものであり、
さらに、前記燃料供給系統と前記回収容器とに接続され、前記貯留タンク内の液体燃料を前記回収容器へと補充する補充管路および前記回収容器から液体燃料を前記燃料供給系統に還流させる還流管路と、
前記補充管路、前記還流管路による液体燃料の補充もしくは還流を切り替え制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記補充管路による液体燃料の補充と前記還流管路による液体燃料の還流とを切り替え制御することにより、前記回収容器内の液体燃料は前記貯留タンク内の液体燃料と交換されることを特徴とす
る液体燃料供給装置。
【請求項6】
前記供給ポンプは、前記燃料供給系統の途中で前記補充管路と前記還流管路との間となる位置に設けられていることを特徴とする請求項
5に記載の液体燃料供給装置。
【請求項7】
前記回収容器には、当該回収容器内に貯留される液体燃料の貯留量を検出する貯留量検出手段を設け、
前記制御手段は、前記貯留量検出手段により検出される前記回収容器内の液体燃料が所定の貯留量となるように、前記貯留タンク内の液体燃料を前記補充管路を介して前記回収容器に補充するか、または、前記回収容器内の液体燃料を前記還流管路を介して前記燃料供給系統に還流させることを特徴とする請求項
5に記載の液体燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガソリン、軽油、灯油等の液体燃料を被供給体である燃料タンクに供給するのに好適に用いられる液体燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガソリン計量機に代表される液体燃料供給装置は、例えば車両の燃料タンクに液体燃料を供給(給油)するときに、燃料タンク内に残留している気化燃料(以下、ベーパという)を回収し、このベーパが大気中に放出されるのを抑える構成としている(例えば、特許文献1参照)。この種の従来技術による液体燃料供給装置は、液体燃料を吐出パイプより吐出させる供給ノズルと、該供給ノズルに向けて液体燃料を供給する供給ポンプと、前記供給ノズルの吐出ハイプ外周を覆うベーパ回収用ノズルカバーと、被供給体への液体燃料の供給時に当該被供給体の供給口から前記ベーパ回収用ノズルカバー内に放出されるベーパを当該ベーパ回収用ノズルカバーの外部へ排気するためのベーパ排気孔と、前記ベーパ排気孔と給油所の地下タンクとを連通し、前記ベーパを地下タンク内へと回収させる回収経路と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術による液体燃料供給装置では、被供給体(即ち、燃料タンク)に液体燃料を給油するときに、前記燃料タンクの給油口から放出されるベーパを回収するための回収経路を、給油所の地下タンクに接続されたベーパ回収用の配管により構成している。このため、ベーパの回収経路が複雑化してしまい、給油所設備の簡素化、小型化を図る上で改善すべき課題となっている。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、給油時におけるベーパ回収を効率的に行うことができ、装置の簡素化を図ることができるようにした液体燃料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、液体燃料が流通する燃料供給系統と、前記液体燃料を吐出パイプより吐出させる供給ノズルと、前記供給ノズルに向けて液体燃料を供給する供給ポンプと、前記供給ノズルを用いた被供給体への液体燃料の供給時に、当該被供給体の供給口から放出されるベーパを吸引する吸引ポンプと、前記液体燃料が貯留された貯留タンクとは別に形成され、前記液体燃料と同一種類の液体燃料が貯留される回収容器と、を備えた液体燃料供給装置において、前記吸引ポンプは、前記ベーパの吸引方向に関して前記回収容器よりも上流側となる位置に配置され、前記液体燃料の供給時に前記被供給体の供給口から放出されたベーパを前記回収容器に加圧した状態で流入させる構成とし、かつ、前記吸引ポンプにより吸引されたベーパは、前記回収容器内に貯留された液体燃料中に流入して当該回収容器内に回収され、前記回収容器は、前記吸引ポンプからのベーパの流入により内部の圧力を上昇させ、前記回収容器内に貯留された液体燃料中への当該ベーパの溶解を促進させることを特徴としている。
また、本発明は、液体燃料が流通する燃料供給系統と、前記液体燃料を吐出パイプより吐出させる供給ノズルと、前記供給ノズルに向けて液体燃料を供給する供給ポンプと、前記供給ノズルを用いた被供給体への液体燃料の供給時に、当該被供給体の供給口から放出されるベーパを吸引する吸引ポンプと、前記液体燃料が貯留された貯留タンクとは別に形成され、前記液体燃料と同一種類の液体燃料が貯留された回収容器と、を備えた液体燃料供給装置において、前記吸引ポンプは、前記ベーパの吸引方向に関して前記回収容器よりも上流側となる位置に配置され、前記液体燃料の供給時に前記被供給体の供給口から放出されたベーパを前記回収容器に加圧した状態で流入させる構成とし、かつ、前記吸引ポンプにより吸引されたベーパは、前記回収容器内に貯留された液体燃料中に流入して当該回収容器内に回収されるものであり、さらに、前記燃料供給系統と前記回収容器とに接続され、前記貯留タンク内の液体燃料を前記回収容器へと補充する補充管路および前記回収容器から液体燃料を前記燃料供給系統に還流させる還流管路と、前記補充管路、前記還流管路による液体燃料の補充もしくは還流を切り替え制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記補充管路による液体燃料の補充と前記還流管路による液体燃料の還流とを切り替え制御することにより、前記回収容器内の液体燃料は前記貯留タンク内の液体燃料と交換されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、供給ノズルを用いた被供給体への液体燃料の供給時に、燃料ベーパの回収(再生)を効率的に行うことができ、装置の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態による液体燃料供給装置としての計量機を自動車への給油状態で示す一部破断の構成図である。
【
図2】ベーパを液化して再生する前の状態で前記計量機の内部構成を模式的に示す構成図である。
【
図3】回収容器内でベーパを液化して再生した状態を示す
図2と同様な構成図である。
【
図4】回収容器内で再生した燃料を送液管路側に還流させた状態を示す
図2と同様な構成図である。
【
図5】制御装置によるベーパ回収・再生制御処理を示す流れ図である。
【
図6】第2の実施の形態による計量機の内部構成を模式的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態による液体燃料供給装置を、ガソリンに代表される燃料の計量機に適用した場合を例に挙げ、添付図面の
図1ないし
図6に従って詳細に説明する。
【0010】
ここで、
図1ないし
図5は第1の実施の形態を示している。
図1において、液体燃料供給装置としての計量機1は、例えばレギュラーガソリン、ハイオクガソリンまたは軽油等の給油作業を行う給油所の給油ブースに設置されている。計量機1は、略四角形状をなす筐体2を有し、この筐体2の正面側には、後述の表示器17および設定装置18等が配設されている。筐体2内には、後述の送液管路5、供給ポンプとしての給油ポンプ14、流量計15、制御弁16およびベーパの圧縮装置20等が設けられている。
【0011】
給油所の地下には、燃料(例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリンまたは軽油等)を貯留する貯留タンク3が埋設されている。貯留タンク3は、通常は複数個に分離または分画して設けられ、夫々のタンク毎に液種の異なる液体燃料(例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン)が収容して貯留される。貯留タンク3内の液面4は、例えば専用の液面検出器(図示せず)を用いて検出され、これにより、貯留タンク3内の液体残量が監視されている。
【0012】
図1、
図2は計量機1の外殻を構成する筐体2の内部構造(即ち、送液管路5、給油ポンプ14、流量計15および制御弁16等の配管構造)を簡略化して示したものであり、実際には筐体2の左,右両側に、それぞれ後述の給油ホース7が設けられる。しかし、
図1、
図2中では、一の給油ホース7だけを示し、他の給油ホースは説明の簡略化のために省略している。
【0013】
燃料供給経路を構成する送液管路5は、筐体2内から下向きに延びる一端(下端)側が吸上げ管5Aとなって貯留タンク3に接続されている。送液管路5の他端(先端)側は、例えば継手6を介して可撓性の給油ホース7に接続されている。可撓性の給油ホース7は、
図1に示すように、例えば内部に後述のベーパ吸引チューブ10が挿通された二重管構造となっている。給油ホース7は、送液管路5と共に燃料供給経路を構成している。なお、給油ホース7とベーパ吸引チューブ10とは、必ずしも二重管構造とする必要はない。
【0014】
給油ホース7の先端側には、被供給体(例えば、後述の燃料タンク101)に液体燃料を供給する供給ノズル8(以下、給油ノズル8という)が設けられている。この給油ノズル8は、給油作業の待機時に後述のノズル掛け13に掛止されている。例えば、給油所の操作者(セルフの給油者を含む)は、顧客の要求等に従って給油ノズル8をノズル掛け13から外し、この状態で、例えば車両100の燃料タンク101に対する給油作業を行う。
【0015】
図1に示すように、車両100には、燃料タンク101に燃料を給油(補充)するための給油口102(供給口)が設けられている。給油ノズル8には、ノズル先端部としての吐出パイプ8Aが設けられ、この吐出パイプ8Aは、給油口102内に挿入された状態で燃料タンク101への給油を行う。また、給油ノズル8は、手動操作されるノズルレバー8Bと内蔵の弁8C(
図2参照)とを有し、内蔵された弁8Cはノズルレバー8Bの操作位置によって弁開度が調整される。なお、給油ノズル8には、ノズルレバー8Bの先端を任意の操作位置に掛止する掛止部(図示せず)が設けられている。
【0016】
給油ノズル8には、吐出パイプ8Aの付け根部分にベーパ回収用ノズルカバー9(以下、回収カバー9という)が追加して設けられている。この回収カバー9は、ゴム等の弾性材料から蛇腹状をなす可撓性の筒体として形成され、吐出パイプ8Aの外周側を取囲むように覆っている。車両100の燃料タンク101に給油ノズル8を用いて給油を行うときに、回収カバー9は車両100の給油口102周囲に押付けられる。このとき、回収カバー9は、燃料タンク101内の気化燃料(即ち、燃料蒸気としてのベーパ)が燃料タンク101の外部に漏れ出すのを防ぐように、給油口102の周囲を封止状態で覆う。
【0017】
回収カバー9内は、給油ノズル8内に設けたベーパ回収弁8D(
図2参照)を介してベーパ吸引チューブ10に連通している。このベーパ吸引チューブ10は、給油ホース7の内側に挿入されて二重管構造をなし、計量機1の筐体2内を継手6の位置まで延びている。計量機1の筐体2内には、継手6等を介してベーパ吸引チューブ10に接続されたベーパ導管11、吸引圧縮ポンプ12および後述の回収容器21等が設けられている。なお、ベーパ吸引チューブ10と給油ホース7とは、必ずしも二重管構造に形成する必要はない。
【0018】
ベーパ導管11は、一方の端部がベーパ吸引チューブ10に接続され、他方の端部は、後述の回収容器21に接続されるベーパの放出部22となっている。そして、ベーパ導管11の途中には、吸引ポンプとしての吸引圧縮ポンプ12と、後述のベーパ冷却部23およびチェック弁24とが設けられている。即ち、ベーパ導管11には、吸引圧縮ポンプ12と放出部22との間に位置してベーパ冷却部23とチェック弁24とが設けられている。
【0019】
吸引圧縮ポンプ12は、給油ノズル8を用いた燃料の給油時に、燃料タンク101の給油口102から放出されるベーパを吸引するポンプである。吸引圧縮ポンプ12は、後述の制御装置34により駆動制御される。燃料タンク101内のベーパは、吸引圧縮ポンプ12の駆動により回収カバー9からベーパ回収弁8Dおよびベーパ吸引チューブ10を介してベーパ導管11内に吸引されると共に、ベーパ導管11の放出部22から回収容器21内へと噴射(即ち、放出)される。これにより、吸引圧縮ポンプ12は、燃料タンク101内の気化燃料(ベーパ)が給油口102の周囲から燃料タンク101の外部に漏れ出すのを防ぐことができる。
【0020】
図2に示すように、給油ノズル8の弁8Cは、ノズルレバー8Bの手動操作により閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換えられる。ベーパ回収弁8Dは、可撓性の回収カバー9が車両100の給油口102周囲に押付けられると、このときの押動力により閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換えられる。このように、給油ノズル8を用いた燃料タンク101への給油が開始されると、後述する流量計15の流量パルス発信器15Aから流量パルスが制御装置34に出力される。なお、給油ノズル8は、燃料タンク101内の液面を検知して自動閉弁動作する構成であってもよく、自動閉弁機構を有していない汎用ノズルであってもよい。給油ノズル8と一緒に回収カバー9を車両100の給油口102から離間させたときに、ベーパ回収弁8Dは開弁位置(b)から閉弁位置(a)に自動的に復帰する。
【0021】
なお、ベーパ回収弁8Dの開閉タイミングは、上述のタイミングに限るものではなく、給油ノズル8を用いた燃料タンク101への給油が開始されたときに閉弁位置(a)から開弁位置(b)となり、給油が終了したときに開弁位置(b)から閉弁位置(a)となるように構成されていれば良い。即ち、例えば、給油ノズル8を用いた燃料タンク101への給油が開始されることにより後述する流量計15の流量パルス発信器15Aから流量パルスが出力されると、制御装置34により閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換えられ、当該給油が終了して流量パルスの出力が停止すると制御装置34により開弁位置(b)から閉弁位置(a)に切換えられるようにしてもよい。また、給油を行わないときに給油ノズル8が載置される載置部に、当該給油ノズル8が載置されているか否かを検出するための検出器(例えば、ノズルスイッチ13A)が設けられたものにおいては、当該検出器が給油ノズル8を検出している場合にベーパ回収弁8Dを閉弁位置(a)とし、当該検出器が給油ノズル8を検出していない場合はベーパ回収弁8Dを開弁位置(b)とするようにしても良い。
【0022】
図1に示すように、筐体2の側面には、給油ノズル8が着脱可能に掛止めされるノズル収納部としてのノズル掛け13が設けられている。通常、給油ノズル8は、筐体2の側面に設けられたノズル掛け13に収納されており、例えば顧客の車両100が給油所に到着すると、前記操作者により給油ノズル8がノズル掛け13から外されて、車両100の燃料タンク101の給油口102内に挿入される。また、ノズル掛け13にはノズルスイッチ13Aが付設されている。このノズルスイッチ13Aは、給油ノズル8がノズル掛け13に掛止されているか否かを検出し、その検出信号を後述の制御装置34に出力する。給油ノズル8がノズル掛け13に掛止されている間は、例えばノズルスイッチ13Aから制御装置34にOFF信号が出力される。
図1に示す如く、給油ノズル8がノズル掛け13から外されている間は、ノズルスイッチ13Aから制御装置34にON信号が出力される。
【0023】
送液管路5の途中には、筐体2内に位置して給油ポンプ14(供給ポンプ)、流量計15および制御弁16が配設されている。給油ポンプ14により吸上げ管5Aから吸上げられた貯留タンク3内の液体燃料(例えば、ガソリン)は、送液管路5内を流通するときに、流量計15により流量が計測される。給油ポンプ14は、貯留タンク3内の燃料を給油ノズル8側に供給するため、ポンプモータ14Aにより回転駆動される。
【0024】
流量計15は、給油ポンプ14により給油ノズル8に供給された液体燃料の給油量を、給油ノズル8毎に個別に計測する流量検出装置である。流量計15には流量パルス発信器15Aが付設されている。この流量パルス発信器15Aは、送液管路5内を流れる液体燃料の流量に応じた流量パルス信号を後述の制御装置34に出力する。
【0025】
制御弁16は、その弁開度が可変に制御される電磁式流量制御弁により構成されている。制御弁16は、送液管路5から給油ホース7を介して給油ノズル8へと供給される液体燃料(例えば、ガソリン等の油液)の流量を調整するため、制御弁16の弁開度は、制御装置34から出力される制御信号の周波数およびデューティ比に応じて可変に制御される。
【0026】
筐体2の正面側には、計量機1による燃料の給油量を表示する表示手段としての表示器17と、給油所の作業者(操作者)が手動操作することにより給油量に関する設定が行われる設定手段としての設定装置18とが設けられている。給油所の操作者(セルフの給油者を含む)は、設定装置18の各スイッチを操作することにより、例えば満タン給油を選択したり、任意のプリセット給油量を設定したりする操作を行う。
【0027】
ベーパ排気孔19は、前記ベーパを筐体2の外部に排出するための排気口である。即ち、給油ノズル8を用いた燃料タンク101への液体燃料の供給時に、当該燃料タンク101内から給油ノズル8のベーパ回収用ノズルカバー(即ち、回収カバー9)内に燃料蒸気からなるベーパが放出される。このベーパは、
図2~
図4に示すように、回収カバー9、ベーパ回収弁8D、ベーパ吸引チューブ10およびベーパ導管11を介して吸引圧縮ポンプ12により回収容器21内へと吸引(放出)され、その一部が後にベーパ排気孔19から筐体2の外部に排出される。
【0028】
筐体2内に設けられた圧縮装置20は、例えば吸引圧縮ポンプ12と回収容器21とを含んで構成されている。この回収容器21は、液体燃料が貯留された貯留タンク3とは別に小型に形成された容器であり、例えば5~8L(リットル)程度の内容積を有している。回収容器21の側面には、ベーパ導管11の先端側(即ち、ベーパの放出部22)が固定して設けられている。ここで、回収容器21内には、前記液体燃料と同一種類の液体燃料が貯留される。吸引圧縮ポンプ12により吸引されたベーパは、回収容器21内に貯留された液体燃料中に流入して回収容器21内に回収される。
【0029】
圧縮装置20の回収容器21内には、吸引圧縮ポンプ12により加圧(圧縮)されたベーパが液体燃料と一緒に収容されている。この場合、回収容器21内でベーパの液化を促進するためには、回収容器21内に規定量(例えば、
図2に示す低位の液面レベルSL)以上の液体燃料を収容しておくのが好ましい。即ち、回収容器21内の液体燃料の液面Sは、ベーパ導管11の放出部22先端(開口端)よりも高い液面レベルSL,Shの範囲(
図2、
図3に示す液面差ΔH)内となるように、回収容器21内における液体燃料の貯留量は制御されるのが好ましい。
【0030】
回収容器21内に収容した液体燃料は、例えば
図4に示す下限液面Srまで液面Sが下がると、低位の液面レベルSL(
図2参照)よりも低くなっている。これにより、
図4の状態で回収容器21内のベーパは、液化する上での再生効率が低下し、ベーパの液化、再生を促進することが難しくなる。このため、回収容器21内には、後述の補充管路30および油液補充弁31を介して液体燃料が補充され、回収容器21内の液体貯留量は、
図2に示す待機位置(低位の液面レベルSL)まで増液される。回収容器21内に貯留された液体燃料の貯留量は、例えば
図2に示す低位の液面レベルSLとなったときに、回収容器21の内容積に対して約1/2の貯留量となる。
【0031】
ベーパの放出部22は、ベーパ導管11の先端(下流端)側に設けられ、回収容器21の側面のうち、予め決められた高さ位置(即ち、回収容器21の底部21Aよりも上方で、
図4に示す下限液面Srよりも低い位置)に固定して取付けられている。この放出部22は、ベーパ導管11のうち吸引圧縮ポンプ12の流出側(2次側)でベーパ冷却部23の下流側に配設されている。そして、放出部22は、吸引圧縮ポンプ12により燃料タンク101からベーパ導管11内へと吸引されたベーパを、ベーパ冷却部23により冷却させた状態で回収容器21内へと噴射するように放出(流入)させる。
【0032】
また、吸引圧縮ポンプ12の2次側(ベーパ導管11の途中)には、ベーパ冷却部23が吸引圧縮ポンプ12とチェック弁24との間に設けられている。このベーパ冷却部23は、十分な放熱面積を有した屈曲管等を含んで構成され、内部を流通するベーパを自然冷却または強制冷却等の熱交換手段(図示せず)を用いて冷却する。即ち、吸引圧縮ポンプ12で圧縮されたベーパは、ベーパ冷却部23で冷却されることにより、回収容器21内での液体燃料中への溶解が促進される。また、ベーパ導管11を送液管路5と二重構造とすることで、ベーパ導管11内のベーパは、送液管路5を流れる液体燃料により冷却される。
【0033】
チェック弁24は、ベーパ導管11の放出部22とベーパ冷却部23との間に位置してベーパ導管11の下流側に設けられている。チェック弁24は、ベーパ導管11内のベーパが吸引圧縮ポンプ12から回収容器21に向けて放出部22側へと流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する。吸引圧縮ポンプ12とチェック弁24とにより、回収容器21内はベーパ導管11の上流側よりも高い圧力状態(即ち、ベーパが圧縮された状態)に保持される。
【0034】
このため、回収容器21内は、吸引圧縮ポンプ12で圧送されたベーパの圧力により容器内圧力が所定の圧力に維持されている。また、回収容器21内に放出部22から噴射されたベーパは、当該回収容器21内で液体燃料中に放出されることで、ベーパの一部は液体燃料中に吸収(溶解)される。これによって、回収容器21内に導入されたベーパは液体燃料中に吸収(溶解)され、液化した再生燃料として回収容器21内に貯留可能となる。
【0035】
回収容器21内に貯留された液体燃料は、例えば
図2に示すように、第1の液面レベルSL(即ち、低位の液面レベルSL)以上となった状態(少なくとも液体燃料の液面Sの高さ位置が放出部22よりも高く、液面検出器28の位置となった状態)で、ベーパの液体燃料中への溶解を促進することができる。ベーパ導管11の放出部22から回収容器21内に放出されたベーパは、回収容器21内の液中で気泡が細分化され、回収容器21内の液体燃料との接触面積を増やすことができる。さらに、回収容器21は、内部に収容した液体燃料の液面側での波うち現象を抑制することができ、これにより、液面検出器28、29の測定精度を向上させることができる。
【0036】
回収容器21内の液体燃料でベーパが溶解された後の気体(主に燃料蒸気中に含まれた空気)は、回収容器21内を上方へと浮遊しつつ、回収容器21の上部空間21B内に滞留する。回収容器21の上端側には、回収容器21内の圧力を検出する圧力センサ25と、圧縮装置20の回収容器21とベーパ排気孔19とを接続させるベーパ流通路26と、該ベーパ流通路26の途中に位置するベーパ排出弁27とが設けられている。このベーパ排出弁27を開弁させることにより、回収容器21の上部空間21Bに滞留した気体(例えば、ガス濃度が低下した状態の空気)を、ベーパ排気孔19から筐体2の外部へとベーパ流通路26を介して排出することができる。
【0037】
回収容器21内の圧力は、回収容器21内に収容する液体燃料中に放出部22からベーパが放出されるのに伴って上昇する。この回収容器21内の圧力が大気圧よりも高い圧力である所定圧力(後述の所定圧値Pa)を超えた場合には、回収容器21内の圧力(過剰圧)を下げるようにベーパ排出弁27が開弁する。これにより、回収容器21内の圧力は所定圧力(所定圧値Paよりも低く、かつ後述の所定圧値Pb以上の圧力)に保持される。
【0038】
また、回収容器21内に収容する液体燃料(再生燃料を含む)が漸次増加し、その液面Sが高位の液面レベルShに達すると、回収容器21内には液体燃料が満杯状態となる。このような場合には、
図3、
図4に示すように、後述の還流制御弁33を開弁させ、内部の液体燃料を回収容器21外に排出すると共に、これを再生燃料として車両100の燃料タンク101に給油する再利用処理(即ち、後述の還流制御)を行う。
【0039】
圧縮装置20の回収容器21には、例えば光学式の液面センサからなる第1,第2の液面検出器28,29が設けられている。これらの液面検出器28,29は、回収容器21内に貯留される液体燃料の貯留量を検出する貯留量検出手段を構成している。即ち、貯留量検出手段は、第1の液面検出器28と第2の液面検出器29とを含んで構成されている。
【0040】
第1の液面検出器28は、回収容器21内に補充された液体燃料の液面Sが、低位の液面レベルSL(
図2参照)に達したか否かを検出する。第2の液面検出器29は、回収容器21内に補充された液体燃料の液面Sが、高位の液面レベルSh(
図3参照)に達したか否かを検出する。回収容器21内の液面Sは、後述の如く低位の液面レベルSLよりも高く、高位の液面レベルShよりも低い液面となるように制御される。
【0041】
回収容器21内に所定量以上の液体燃料が貯留されているときに、回収容器21内の液面Sは、
図3に示すように、高位の液面レベルShとなる。一方、
図2に示す低位の液面レベルSLは、回収容器21内に貯留された液体燃料の貯留量が前記高位の液面レベルSh(
図3参照)よりも予め定められた貯留量分だけ小さく減少された場合である。回収容器21内の液体燃料の液面Sは、低位の液面レベルSLと高位の液面レベルShとの間で、
図2、
図3に示す液面差ΔHとなっている。この液面差ΔHは、前記予め定められた貯留量分に該当し、低位の液面レベルSLと高位の液面レベルShとの液面差である。
【0042】
回収容器21には液体燃料の補充管路30が設けられ、その途中には油液補充弁31が設けられている。補充管路30は、その基端側が給油ポンプ14と流量計15との間で送液管路5から分岐し、補充管路30の先端側は、回収容器21内で液体燃料中に浸漬状態で配置されている。給油ポンプ14を駆動している状態で、後述の大気開放弁35を開弁させると共に、油液補充弁31を開弁すると、補充管路30の先端側から回収容器21内に液体燃料が補充される。これにより、回収容器21内の液面Sは上昇する。一方、給油ポンプ14を停止させて大気開放弁35を閉弁させると共に油液補充弁31を閉弁すると、回収容器21内への液体燃料の補充は停止される。
【0043】
回収容器21の底部21A側には、液体燃料の還流管路32が設けられ、還流管路32の途中には還流制御弁33が設けられている。還流管路32は、その基端側が回収容器21の底部21A側で液体燃料中に浸漬状態で配置され、還流管路32の先端側は、給油ポンプ14と地下の貯留タンク3との間で送液管路5の吸上げ管5Aに接続されている。このため、貯留タンク3から吸上げ管5Aを介して液体燃料(給油ガソリン)を給油ポンプ14で吸上げるときに、還流制御弁33を開弁すると、回収容器21内の液体燃料は還流管路32を介して給油ポンプ14へ供給され、これにより回収容器21内の液面Sは漸次低下する。一方、還流制御弁33を閉弁すると、回収容器21内から給油ポンプ14への液体燃料の還流(供給)は停止される。このため、回収容器21内の液面Sが、これ以上に低下することは抑えられる。
【0044】
換言すると、補充管路30と還流管路32とは、燃料供給系統(送液管路5)と圧縮装置20の回収容器21との間に接続された補充・還流経路を構成している。この補充・還流経路(補充管路30と還流管路32)は、圧縮装置20の回収容器21への液体燃料の補充と、圧縮装置20の回収容器21から燃料供給系統(送液管路5)への液体燃料の還流とを行うものである。制御手段としての制御装置34は、前記補充・還流経路による液体燃料の補充もしくは還流を切替え制御する機能を有している。
【0045】
計量機1の筐体2内には、設定装置18により設定された前記給油量に基づいて給油に関する制御を行う制御手段としての制御装置34が設けられている。この制御装置34は、給油ノズル8による燃料の給油時に流量計15により計測された給油量を、表示器17により表示させる表示制御手段を構成している。この表示制御手段は、前記給油作業が終了したときに、その給油量を表示器17で表示させる構成となっている。また、制御装置34は、燃料タンク101内のベーパを回収すると共に、回収したベーパの一部を液化させて液体燃料に戻し、残余のベーパをベーパ排気孔19から筐体2の外部に排出するベーパ回収・再生制御処理を行う機能を有している。
【0046】
図1に示すように、制御装置34の入力側は、ノズル掛け13のノズルスイッチ13A、流量計15の流量パルス発信器15Aおよび設定装置18等に接続されている。制御装置34の出力側は、給油ポンプ14のポンプモータ14A、制御弁16および表示器17等に接続されている。制御装置34は、給油ノズル8がノズル掛け13から外されてノズルスイッチ13AからのON信号が入力されると、給油ポンプ14のポンプモータ14Aを起動する。このとき、給油ポンプ14は、制御装置34からの駆動信号により貯留タンク3内の燃料を送液管路5内に吸上げる。また、制御弁16は、制御装置34から所定周波数の駆動信号が出力されると共に、当該駆動信号のデューティ比を変更することにより、所定の弁開度を保つように制御される。
【0047】
この状態で、給油ノズル8のノズルレバー8Bが操作されると、燃料タンク101への給油が開始され、流量計15の流量パルス発信器15Aから流量パルスが制御装置34に出力される。そして、制御装置34は、流量パルス発信器15Aから出力された流量パルスを積算して表示器17に給油量を表示させる。また、制御装置34は、例えば満タン給油制御あるいはプリセット給油制御等を設定装置18の操作に基づいて行う機能も有している。
【0048】
さらに、
図2に示すように、制御装置34の入力側は、流量計15、圧力センサ25および第1,第2の液面検出器28,29等に接続されている。制御装置34の出力側は、吸引圧縮ポンプ12、給油ポンプ14、ベーパ排出弁27、油液補充弁31、還流制御弁33および大気開放弁35等に接続されている。この大気開放弁35は、例えば回収容器21内に補充管路30側から液体燃料を補充するときに、制御装置34からの制御信号により開弁され、回収容器21内の圧力を一時的に下げる。そして、回収容器21内への液体燃料の補充が完了したときには、大気開放弁35が制御装置34からの制御信号によって閉弁され、回収容器21内の圧力は、ベーパ排出弁27の開閉により調整される(
図5中のステップ18~20参照)。
【0049】
制御装置34には、例えばROM,RAMおよび/または不揮発性メモリ等からなるメモリ34Aが設けられている。このメモリ34A内には、例えば
図5に示すベーパ回収・再生制御処理用のプログラム、回収容器21内の液面Sが高位の液面レベルSh以上か否かを検出し監視するための液面検出フラグF、低位の液面レベルSL以上か否かを判定する判定値、回収容器21内の圧力Pを判定するための高い所定圧値Pa、低い所定圧値Pb、カウンタCおよび所定の計数値C1等が更新可能に格納されている。
【0050】
制御装置34は、回収容器21内の圧力Pが高い所定圧値Pa以下の圧力で、低い所定圧値Pbよりも高い圧力となるように、圧力センサ25の検出圧力をフィードバック制御する。これにより、回収容器21内のベーパ(燃料蒸気)を液体燃料中に効率的に溶解または液化させ、液体燃料の再生効率を高めることができる。また、前記カウンタCの計数値C1は、液体燃料の再生を効率的に行い得るように、還流制御弁33の開弁時間を所定の再生用時間として設定するための値である。
【0051】
即ち、カウンタCの計数値C1は、回収容器21内の液体燃料を給油ポンプ14により還流管路32を介して送液管路5側に還流させる還流制御の再生用時間に対応したカウンタCの計数閾値である。即ち、回収容器21内の液体燃料を給油ポンプ14により送液管路5側に還流させる還流制御は、
図5に示すように、カウンタCの計数値が所定の計数値C1に達するまで行われる。これにより、回収容器21内の液面Sは、
図3に示す高位の液面レベルShから
図4に示す下限液面Srまで、液面差ΔHt(ΔHt>ΔH)分だけ低下するように還流制御は実行される。
【0052】
次に、吸引圧縮ポンプ12、回収容器21、ベーパ冷却部23およびチェック弁24等からなる圧縮装置20のベーパ回収動作と、回収容器21内でベーパを液化させる再生処理とについて説明する。
【0053】
吸引圧縮ポンプ12により燃料タンク101からベーパ導管11内へと吸引されるベーパは、例えばベーパ冷却部23等で冷却されると、冷却後の温度での飽和蒸気量の蒸気と空気が残り、液化し易い状態となる。この状態でベーパは、ベーパ導管11の放出部22から回収容器21の液体燃料中に噴射するように導入される。回収容器21内の液体燃料中にベーパを放出すると、蒸気と空気の混合ガスは泡となって回収容器21内の液体燃料中に放出される。このとき、蒸気と空気の泡は周囲の液体燃料を撹拌する。そして、泡の中のベーパ(ガソリン蒸気)は、液化するように液体燃料中へ吸収され、泡の中のガソリン蒸気(ベーパ)の量が減少する。
【0054】
また、回収容器21内の泡内のベーパは液体燃料の中を浮上する過程において当該液体中に溶解し、残った気体は回収容器21の上部空間21B内に滞留することになる。これらの現象が連続的に発生することで、回収容器21内の圧力は上昇する。回収容器21内の飽和蒸気量は、この空間の温度に依存するため、温度を一定にすれば飽和蒸気量を超える蒸気は液化し、その温度での飽和蒸気量の蒸気と圧縮により押し込まれた空気が残る。
【0055】
この結果、回収容器21の上部空間21Bは空気が支配的となる。回収容器21の圧力がある一定範囲となるように、ベーパ排出弁27を開閉して回収容器21の上部空間21Bから容器内のガスを排気する。また、回収容器21内で液化されたものは、回収容器21内で液体燃料に混ざることにより、ベーパは液化されて回収容器21内の液体燃料により希釈され、後述の還流制御により給油燃料と共に車両100の燃料タンク101に給油される。
【0056】
第1の実施の形態による燃料供給装置としての計量機1は、上述の如き構成を有するもので、次に、車両100の燃料タンク101にガソリン等の燃料を供給する給油作業と、燃料タンク101内のベーパ回収・再生制御処理とについて、
図5を参照して説明する。
【0057】
まず、制御装置34の制御処理が開始されると、ステップ1でノズル掛け13に付設されたノズルスイッチ13AがONとなったか否かを判定する。ステップ1で「NO」と判定する間は、ノズルスイッチ13AがOFFとなって、給油ノズル8がノズル掛け13に掛止めされた状態であり、給油作業が行われることはない。
【0058】
そこで、この場合はステップ2に移って回収容器21内の液面Sが、
図2に示すように低位の液面レベルSL以上か否かを判定する。ステップ2で「NO」と判定する間は、回収容器21内の液面Sが低位の液面レベルSLよりも低く、例えば
図4に示すように、下限液面Srまで低下している。このため、回収容器21内のベーパは、液化する上での再生効率が低下し、ベーパの液化、再生を促進することが難しくなっていると判断できる。
【0059】
そこで、次のステップ3では、給油ポンプ14を駆動し、大気開放弁35を開弁させると共に、油液補充弁31を開弁する。これにより、地下の貯留タンク3内から液体燃料が給油ポンプ14で吸上げられ、この液体燃料は送液管路5の吸上げ管5Aおよび補充管路30を介して回収容器21内に補充される。このため、回収容器21内の液面Sは、液体燃料の補充によって漸次上昇される。
【0060】
次に、ステップ2で「YES」と判定したときには、
図2に示すように、回収容器21内の液面Sが低位の液面レベルSL以上(即ち、第1の液面検出器28の高さ以上)となっている。そこで、次のステップ4では、給油ポンプ14の駆動を停止させ、大気開放弁35を閉弁させると共に、油液補充弁31を閉弁させる。これにより、地下の貯留タンク3内から回収容器21に向けた液体燃料の補充は停止される。
【0061】
次のステップ5では、回収容器21内の液面Sが高位の液面レベルSh以上(即ち、
図3に示す第2の液面検出器29の高さ以上)となっているか否かを判定する。ステップ5で「NO」と判定する間は、回収容器21内の液面Sが高位の液面レベルShよりも低いので、ステップ6に移ってリターンし、ステップ1以降の処理を続行させる。
【0062】
一方、ステップ5で「YES」と判定したときには、
図3に示すように、回収容器21内の液面Sが高位の液面レベルSh以上となっている。そこで、次のステップ7では、液面検出フラグを、「F=1」と設定する。その後は、ステップ6に移ってリターンし、ステップ1以降の処理を続行させる。
【0063】
次に、ステップ1で「YES」と判定したときには、給油ノズル8がノズル掛け13から外されて、ノズルスイッチ13AがONとなっている。即ち、この場合は、例えば給油所に到着した顧客の車両100に給油を行うために、操作者により給油ノズル8がノズル掛け13から外されている。このとき、給油ノズル8は、車両100の燃料タンク101の給油口102内に挿入される。そして、給油ノズル8に付設した回収カバー9は、
図1に示すように、車両100の給油口102周囲に押付けられ、燃料タンク101内の燃料蒸気としてのベーパが燃料タンク101の外部に漏れ出すのを防ぐように、給油口102の周囲を封止状態で覆う。
【0064】
次のステップ8では、給油ノズル8を用いて車両100の燃料タンク101に給油を行っているか否かを判定する。これは、例えば流量計15から流量パルス信号が出力されているか否かによって判定することができる。ステップ8で「NO」と判定する間は、燃料タンク101への給油作業は行われていないので、次のステップ9では、吸引圧縮ポンプ12をOFFとし、ベーパの吸引を停止させたままとする。そして、この場合は、ステップ6に移ってリターンし、ステップ1以降の処理を続行させる。
【0065】
一方、ステップ8で「YES」と判定したときには、給油ノズル8を用いた燃料タンク101への給油が開始され、流量計15の流量パルス発信器15Aから流量パルスが制御装置34に出力されている。このとき、
図2、
図3に示すように、給油ノズル8の弁8Cは、ノズルレバー8Bの手動操作により閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換えられ、ベーパ回収弁8Dは可撓性の回収カバー9が車両100の給油口102周囲に押付けられたときの押動力により閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換えられている。
【0066】
そこで、次のステップ10では吸引圧縮ポンプ12をONとする。これにより、吸引圧縮ポンプ12は駆動制御され、燃料タンク101内のベーパは、回収カバー9、ベーパ回収弁8D、ベーパ吸引チューブ10、ベーパ導管11およびベーパ冷却部23等を介して回収容器21内へと導入される。この場合、ベーパ冷却部23は、ベーパ導管11の途中に位置して吸引圧縮ポンプ12の2次側に設けられているので、ベーパ導管11内を流通するベーパを吸引圧縮ポンプ12で圧縮された状態のベーパ(燃料蒸気)を冷却し、このベーパが液化し易くなるようにベーパ温度を下げることができる。
【0067】
次のステップ11では、液面検出フラグが「F=1」に設定されているか否かを判定する。ステップ11で「YES」と判定したときには、
図3に示すように、回収容器21内の液面Sが高位の液面レベルSh以上となっているので、次のステップ12で給油ノズル8による給油作業が行われているか否かを判定する。ステップ12で「NO」と判定するときは、燃料タンク101への給油中ではないので、ステップ6に移ってリターンし、ステップ1以降の処理を続行させる。
【0068】
しかし、ステップ12で「YES」と判定したときは、回収容器21内の液面Sが高位の液面レベルSh以上となった状態で、給油ノズル8による給油作業が行われるため、この給油作業に伴ってベーパ導管11側からは回収容器21内にベーパが更に導入される。これにより、回収容器21内の液体燃料は、新たに導入されたベーパ(燃料蒸気)が液体燃料中に溶解または液化するに伴って、液面Sが高位の液面レベルShよりも更に高くなる可能性がある。
【0069】
そこで、次のステップ13では、還流制御を開始するために還流制御弁33を開弁させ、回収容器21内の液体燃料を給油ポンプ14により還流管路32を介して燃料供給系統(送液管路5)側に還流させる。これにより、回収容器21内の液体燃料は、貯留タンク3(吸上げ管5A)からの給油燃料と一緒に送液管路5を介して給油ノズル8から車両100の燃料タンク101に給油される。このため、回収容器21内の液体燃料は、還流制御弁33の開弁に伴って還流管路32側に排出され、回収容器21内の液面Sは漸次低下する。
【0070】
次のステップ14では、回収容器21から還流管路32側に排出される液体燃料の還流回収量をカウントアップするため、カウンタCを「1」だけ歩進(C←C+1)させる。そして、次のステップ15では、カウンタCの計数値が所定の計数値C1以上になっているか否かを判定する。この計数値C1は、回収容器21内の液体燃料を給油ポンプ14により還流管路32を介して送液管路5側に還流させる還流制御の再生用時間(即ち、回収容器21内の液面Sが
図3に示す高位の液面レベルShから
図4に示す下限液面Srまで低下するのに要する時間)に対応したカウンタCの計数閾値である。
【0071】
ステップ15で「NO」と判定する間は、前記還流制御の時間が計数値C1に対応する再生用時間には達していないので、ステップ6に移ってリターンし、ステップ1以降の処理を続行させる。しかし、ステップ15で「YES」と判定したときには、カウンタCの計数値が所定の計数値C1以上になり、回収容器21内の液面Sが下限液面Srまで、液面差ΔHt分だけ低下していると判断することができる。このため、次のステップ16では、還流制御弁33を閉弁させ、回収容器21内から給油ポンプ14経由で給油燃料と共に液体燃料が還流される還流制御を停止させる。これにより、回収容器21内の液面Sが、
図4に示す下限液面Sr(液面差ΔHt)よりも更に下がるのを阻止することができる。
【0072】
このように、ステップ16で還流制御弁33を閉弁することにより、回収容器21内から給油ポンプ14への液体燃料の供給(還流制御)は停止される。このため、回収容器21内の液面Sが、下限液面Srよりも低下することは抑えられる。次のステップ17では、カウンタCを零(C=0)にリセットし、液面検出フラグを「F=0」に設定する。そして、その後はステップ6に移ってリターンし、ステップ1以降の処理を続行させる。
【0073】
次に、ステップ11で「NO」と判定したときには、例えば液面検出フラグが「F=0」に設定されている。即ち、ステップ11で「NO」と判定する間は、回収容器21内の液面Sが
図3に示す低位の液面レベルSLから、
図4に示す高位の液面レベルShに達するまでの途中段階であり、回収容器21内のベーパが徐々に液化している再生処理の途中状態である。
【0074】
そこで、次のステップ18では回収容器21内の圧力Pが高い所定圧値Paよりも高いか否かを判定する。ステップ18で「YES」と判定したときには、回収容器21内の圧力Pが高い所定圧値Paを越えているので、次のステップ19でベーパ排出弁27を開弁させ、回収容器21内のベーパ(主に燃料蒸気中に含まれた空気)をベーパ流通路26を介してベーパ排気孔19から筐体2の外部に排出する。
【0075】
次のステップ20では、回収容器21内の圧力Pが低い所定圧値Pb以下まで低下したか否かを判定する。ステップ20で「NO」と判定する間は、ステップ19に戻ってベーパ排出弁27の開弁を続ける。しかし、ステップ20で「YES」と判定したときには、回収容器21内の圧力Pは低い所定圧値Pb以下まで下がっているので、次のステップ21でベーパ排出弁27を閉弁させ、回収容器21内のベーパ排出を停止させる。
【0076】
その後は、ステップ6に移ってリターンし、ステップ1以降の処理を続行させる。また、前記ステップ18で「NO」と判定したときにも、ステップ21でベーパ排出弁27を閉弁したままとし、回収容器21内のベーパ排出を停止した状態に保つ。そして、回収容器21内の圧力Pを過剰圧よりも低い圧力に保った状態で、ステップ6に移ってリターンし、ステップ1以降の処理を続行させる。
【0077】
かくして、第1の実施の形態によれば、計量機1の筐体2内に、吸引圧縮ポンプ12および回収容器21を設け、吸引圧縮ポンプ12により車両100の燃料タンク101から吸引されたベーパは、回収容器21内に貯留された液体燃料中に流入して当該容器21内に回収される構成としている。即ち、計量機1の筐体2内に設けた回収容器21内には、吸引圧縮ポンプ12により加圧(圧縮)されたベーパが液体燃料と一緒に収容される構成としている。
【0078】
これにより、給油ノズル8により車両100の燃料タンク101に給油を行うときには、吸引圧縮ポンプ12を駆動して燃料タンク101内のベーパを、回収カバー9、ベーパ回収弁8D、ベーパ吸引チューブ10およびベーパ導管11を介して回収容器21内へと吸引することができる。このため、ベーパを冷却するための冷媒等の冷却装置(熱交換装置)を用いることなく、回収容器21内にベーパを回収して、ベーパの液化、再生を行うことが可能となる。
【0079】
また、回収容器21内に回収したベーパから再生される液体燃料は、地下の貯留タンク3に戻す必要がないため、地下の貯留タンク3に戻すための配管工事等が不要となり、装置全体の簡素化を図ることができる。そして、回収したベーパから再生した液体燃料を回収容器21から給油ポンプ14で還流(排出)できるため、還流用のポンプ等の機器を新たに設ける必要がない。給油ノズル8を用いた燃料タンク101への液体燃料の給油時に、燃料ベーパの回収(再生)を効率的に行うことができる。
【0080】
また、第1の実施の形態によれば、計量機1(液体燃料供給装置)は、送液管路5と回収容器21とに接続され、回収容器21へ液体燃料を補充するか又は回収容器21から液体燃料を送液管路5に還流させる補充・還流経路(補充管路30と還流管路32)と、前記補充・還流経路による液体燃料の補充もしくは還流を切り替え制御する制御装置34とを備えている。これにより、回収容器21内に収容する液体燃料の量(液面Sのレベル)をベーパの回収と再生に適した量に調整でき、液体燃料の再生効率を高めることができる。
【0081】
一方、吸引圧縮ポンプ12の2次側にはベーパ冷却部23を設ける構成とすることにより、圧縮されたベーパの液化を促進できる。また、ベーパ導管11を送液管路5と二重構造とすることで、送液管路5を流れる液体燃料により、ベーパ導管11内を流通するベーパを冷却し、ベーパ(燃料蒸気)の液化を促進することができる。
【0082】
しかも、このように冷却された状態でベーパは、吸引圧縮ポンプ12により回収容器21内に放出部22を介して導入される。回収容器21内の液体燃料中に導入されたベーパは、回収容器21内の液体燃料と混ざり、液化するように液体燃料中へ吸収(溶解)され、燃料蒸気の量を減少させることできる。回収容器21の圧力は、低い所定圧値Pbに近い一定の範囲となるように、ベーパ排出弁27を開閉して回収容器21の上部空間21Bから容器内の気体(主に燃料蒸気中に含まれた空気)を外部に排出することができる。
【0083】
また、ベーパは液化された状態で液体燃料として回収するので、貯留タンク3内の液体燃料と比較しても品質の変化を最小限にすることができる。
【0084】
また、第1の実施の形態によると、回収容器21には、内部に貯留される液体燃料の貯留量を検出する貯留量検出手段(液面検出器28,29)を設け、制御装置34は、前記貯留量検出手段により所定量(高位の液面レベルSh)以上の液体燃料が回収容器21内に貯留されていることが検出され、かつ給油ポンプ14を駆動して送液管路5から液体燃料を給油ノズル8に向けて給油するときに、回収容器21内の液体燃料を還流管路32(補充・還流経路)を介して送液管路5に還流させる還流制御を行う構成としている。
【0085】
この場合、制御装置34は、回収容器21内の液体燃料の貯留量が高位の液面レベルShに達したときに前記還流制御を開始し、回収容器21内の液体燃料の貯留量が低位の液面レベルSLよりも低下したときには前記還流制御を停止させる構成としている。しかも、制御装置34は、前記還流制御が開始されてから回収容器21内の液体燃料の貯留量が低位の液面レベルSL未満となるまでに要する時間よりも長くなるように予め定められた所定時間(カウンタCの計数値C1)が経過したときに、前記還流制御を停止させる構成としている。
【0086】
このため、第1の実施の形態によれば、回収容器21内に貯留される液体燃料の貯留量(液面S)が、低位の液面レベルSLと高位の液面レベルShとの範囲(SL ≦S≦Sh)内に収まるように、前記還流制御を行うことにより、回収容器21内でのベーパの液体燃料中への溶解を促進することができ、ベーパの再生燃料を回収容器21から還流管路32を介して送液管路5に還流させ、給油燃料として活用することができる。
【0087】
しかも、このような還流制御の繰返し回数Nを制御装置34のメモリ34Aに記憶させることにより、一回のベーパ再生回収量Vと繰返し回数Nとを掛け算して、例えばトータルのベーパ再生回収量(V×N)を簡単に演算して求めることができる。この場合、一回のベーパ再生回収量Vは、回収容器21の内径(内側面積)と
図3に示す液面差ΔHとを掛け算して求められる。即ち、一回分のベーパ再生回収量Vは、回収容器21内に貯留された液体燃料のうち、
図3に示す液面差ΔHに対応する液量である。また、前述の還流制御を、例えば1日に回数Nだけ繰返したときには、1日当たりのベーパ再生回収量(V×N)を簡単に演算することができ、数日分のベーパ再生回収量(V×N)についても同様に演算して求めることができる。
【0088】
従って、第1の実施の形態によれば、給油ノズル8を用いた燃料タンク101への液体燃料の供給時に、回収容器21内に放出されるベーパ(燃料蒸気)を効率的に液体燃料中に溶解させ、液体燃料の再生効率を高めることができる。また、計量機1の筐体2内には、吸引圧縮ポンプ12および回収容器21等からなる圧縮装置20と、ベーパ排気孔19と圧縮装置20とを接続させるベーパ流通路26とを設けるだけでよく、装置の簡素化を図ることができる。
【0089】
なお、前記第1の実施の形態では、
図5に示すステップ13~16の還流制御を、1回の燃料給油処理中に行う場合を例に挙げて説明した。しかし、ステップ13~16に示す還流制御の途中で車両100への燃料給油が停止されることも考えられる。そこで、このような場合には、次なる車両への燃料給油を再開したときに残りの還流制御を行い、前の車両と次の車両とでカウンタCの計数値が所定の計数値C1に達するまで還流制御を行う構成としてもよい。
【0090】
また、回収容器21内に貯留している液体燃料は、当該容器内でベーパの液化(再生)処理を続けているうちに劣化することも考えられる。そこで、例えば計量機1のメンテナンスを行うときに、回収容器21内に貯留している液体燃料を新しい燃料と一括して交換する交換作業を行うようにするのが好ましい。
【0091】
さらに、前述の如き還流制御を行うときには、給油ポンプ14により貯留タンク3内の液体燃料と回収容器21内の液体燃料とが一緒に送液管路5内へと吸上げるように給油が行われる。このとき、貯留タンク3内の液体燃料と回収容器21内の液体燃料との流量比(比率)は、貯留タンク3内に延びる吸上げ管5Aの配管径(流路面積)と還流管路32の配管径(流路面積)とに依存する。そこで、還流管路32の配管途中に絞り等を設け、貯留タンク3内の液体燃料と回収容器21内の液体燃料との流量比(比率)を適宜に変更または調整するように構成してもよい。
【0092】
次に、
図6は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、1台の計量機に2つ以上の複数の供給(給油)ノズルを設ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0093】
ここで、送液管路41は、第1の実施の形態で述べた送液管路5と同様に燃料供給経路を構成している。しかし、この送液管路41は、筐体2内から下向きに延びる一端(下端)側が吸上げ管5Aとなって貯留タンク3に接続され、他端(上端)側は筐体2内で複数に分岐された分岐管部41A,41Bを含んで構成されている。これらの分岐管部41A,41Bにはそれぞれ流量計15が設けられ、各流量計15は、分岐管部41A,41B内を流通する液体燃料の流量を個別に検出する構成となっている。
【0094】
各分岐管部41A,41Bの他端側は、それぞれ継手(例えば、
図1に示す継手6)を介してそれぞれ給油ホース42に接続されている。
図6中では、2本の給油ホース42を示している。しかし、送液管路41に3本以上の分岐管部41A,41B,…が設けられる場合には、これに対応して3本以上の給油ホース42を設ける構成とすればよい。各給油ホース42は、
図1に例示した給油ホース7と同様に、内部にベーパ吸引チューブ43が夫々挿通された二重管構造とすることができる。なお、各給油ホース42とベーパ吸引チューブ43とは、必ずしも二重管構造とする構成に限らず、互いに並行して延びる構成としてもよい。
【0095】
各給油ホース42の先端側には、被供給体(例えば、
図1に示す燃料タンク101)に液体燃料を供給する給油ノズル8(即ち、供給ノズル)が夫々設けられている。これらの給油ノズル8は、給油作業の待機時に第1の実施の形態と同様にノズル掛け13にそれぞれ掛止されている。例えば、給油所の操作者(セルフの給油者を含む)は、顧客の要求等に従って各給油ノズル8をノズル掛け13から外し、この状態で、例えば車両100の燃料タンク101に対する給油作業を行う。
【0096】
ここで、各ベーパ吸引チューブ43は、その長さ方向一側が各給油ノズル8の回収カバー9内に夫々ベーパ回収弁8Dを介して接続され、長さ方向他側はベーパ導管11を介して吸引圧縮ポンプ12の吸込側に接続されている。この場合でも、ベーパ導管11の途中には、第1の実施の形態とほぼ同様にベーパ冷却部23が設けられている。
【0097】
複数(例えば2個)の吸引量調整弁44は、各ベーパ吸引チューブ43の途中に設けられ、制御装置45からの制御信号によりベーパ吸引チューブ43毎にベーパの吸引量(流量)を調整する。例えば、2個の給油ノズル8のうち一方の給油ノズル8を用いて給油作業が行われるときに、他方の給油ノズル8側では他方の吸引量調整弁44が閉弁され、一方の吸引量調整弁44のみが開弁される。これにより、吸引圧縮ポンプ12は、使用中の一方の給油ノズル8(回収カバー9)側から燃料タンク101内のベーパを吸引し、非使用中の他方の給油ノズル8(回収カバー9)側から外気が吸込まれるのを、吸引量調整弁44の開,閉により抑える構成となっている。なお、吸引量調整弁44は、流量の異なる2種類以上の分岐配管から構成し、適時管路を選択しベーパ流路を切り換える方式としても良い。
【0098】
例えば、2個の給油ノズル8の両方を用いて給油作業が行われるときには、制御装置45からの制御信号により両方の吸引量調整弁44が開弁される。これにより、吸引圧縮ポンプ12は、使用中の両方の給油ノズル8(回収カバー9)側から燃料タンク101内のベーパを同時並行的に吸引し、例えば2台の車両100(燃料タンク101)から夫々吸込んだベーパ(例えば、2台分のベーパ)を圧縮装置20の回収容器21内に導入する。
【0099】
制御装置45は第2の実施の形態で採用した制御手段である。この制御装置45は、第1の実施の形態で述べた制御装置34とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の制御装置45は、送液管路41の分岐管部41A,41B毎に設けた流量計15がそれぞれ給油量を検出するときに、個別の給油量に応じて各吸引量調整弁44の開度を調整し、ベーパ吸引チューブ43内にベーパ(燃料蒸気)以外の空気が吸込まれるのを抑えるように、ベーパの吸引制御処理を行う点で第1の実施の形態とは異なっている。
【0100】
制御装置45の入力側は、各流量計15、圧力センサ25および第1,第2の液面検出器28,29等に接続されている。制御装置34の出力側は、吸引圧縮ポンプ12、給油ポンプ14、ベーパ排出弁27、油液補充弁31および還流制御弁33等に加えて、各吸引量調整弁44に接続されている。制御装置45には、例えばROM,RAMおよび/または不揮発性メモリ等からなるメモリ45Aが設けられている。
【0101】
このメモリ45A内には、例えば
図5に示すプログラムとほぼ同様なベーパ回収・再生制御処理用のプログラム、回収容器21内の液面Sが高位の液面レベルSh以上か否か検出し監視するための液面検出フラグF、低位の液面レベルSL以上か否かを判定する判定値、回収容器21内の圧力Pを判定するための高い所定圧値Pa、低い所定圧値Pbおよび回収量のカウントアップを行う時間カウンタ等が格納されている。
【0102】
かくして、このように構成される第2の実施の形態でも、各給油ノズル8を用いた車両100(燃料タンク101)への液体燃料の供給時に、回収容器21内のベーパ(燃料蒸気)を効率的に回収させ、前記第1の実施の形態と同様に液体燃料の再生効率を高めることができる。
【0103】
なお、前記各実施の形態では、液体燃料供給装置としてガソリン等の給油所に設ける計量機1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば車両の燃料タンク以外の被供給体に液体燃料を供給する液体燃料供給装置にも適用することができる。
【0104】
また、前記各実施の形態では、第1の液面検出器28と第2の液面検出器29とにより貯留量検出手段を構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば液面変位に追従してフロートが変位するフロート式の液面検出器を採用してもよい。この場合は、単一の液面検出器を用いて低位の液面レベルと高位の液面レベルとを検出することが可能となる。
【0105】
次に、上記の実施の形態に含まれる発明について記載する。即ち、液体燃料供給装置は、燃料供給系統と回収容器とに接続され、前記容器へ液体燃料を補充するか又は前記容器から液体燃料を燃料供給系統に還流させる補充・還流経路と、前記補充・還流経路による液体燃料の補充もしくは還流を切り替え制御する制御手段とを備えている。これにより、回収容器内に収容する液体燃料をベーパの回収と再生に適した量に調整でき、液体燃料の再生効率を高めることができる。
【0106】
また、本発明の液体燃料供給装置によると、前記容器には、当該容器内に貯留される液体燃料の貯留量を検出する貯留量検出手段を設け、前記制御手段は、前記貯留量検出手段により所定量以上の液体燃料が前記容器内に貯留されていることが検出され、かつ前記供給ポンプを駆動して前記燃料供給系統から液体燃料を前記供給ノズルに向けて供給するときに、当該容器内の液体燃料を前記補充・還流経路を介して前記燃料供給系統に還流させる還流制御を行うことを特徴としている。
【0107】
一方、本発明の液体燃料供給装置によると、前記貯留量検出手段は、前記容器内に貯留される液体燃料の貯留量が前記所定量以上となる高位の液面レベルに達したか否かを検出し、さらに、前記液体燃料の貯留量が前記高位の液面レベルよりも予め定められた貯留量分だけ小さい低位の液面レベルに達したか否かを検出することを特徴としている。これにより、貯留量検出手段は、単一の液面検出器で液面変位に追従して可変に液面を検出する構成としてもよい。また、複数の液面検出器を用いて低位の液面レベルと高位の液面レベルとを検出する構成としてもよい。
【0108】
また、本発明の液体燃料供給装置によると、前記制御手段は、前記容器内の液体燃料の貯留量が前記高位の液面レベルに達したときに前記還流制御を開始し、前記容器内の液体燃料の貯留量が前記低位の液面レベルよりも低下したときには前記還流制御を停止させることを特徴としている。前記制御手段は、前記還流制御が開始されてから前記容器内の液体燃料の貯留量が前記低位の液面レベル未満となるまでに要する時間よりも長くなるように予め定められた所定時間が経過したときに、前記還流制御を停止させることを特徴としている。
【0109】
また、前記貯留量検出手段は、前記容器内に貯留される液体燃料の貯留量が低位の液面レベルに達したか否かを検出する第1の液面検出器と、前記液体燃料の貯留量が前記低位の液面レベルよりも予め定められた貯留量分だけ大きい高位の液面レベルに達したか否かを検出する第2の液面検出器とを含んで構成されていることを特徴としている。
【符号の説明】
【0110】
1 計量機(液体燃料供給装置)
2 筐体
3 貯留タンク
5,41 送液管路(燃料供給系統)
7,42 給油ホース(燃料供給系統)
8 給油ノズル(供給ノズル)
8A 吐出パイプ
9 回収カバー(ベーパ回収用ノズルカバー)
10,43 ベーパ吸引チューブ
11 ベーパ導管
12 吸引圧縮ポンプ(吸引ポンプ)
14 給油ポンプ(供給ポンプ)
15 流量計
19 ベーパ排気孔
21 回収容器
22 ベーパの放出部
28 第1の液面検出器(貯留量検出手段)
29 第2の液面検出器(貯留量検出手段)
30 補充管路(補充・還流経路)
31 油液補充弁
32 還流管路(補充・還流経路)
33 還流制御弁
34,45 制御装置(制御手段)
SL 低位の液面レベル
Sh 高位の液面レベル