(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】印刷製品の綴じられていないフォーマットの余白の断裁動作を実行するための装置
(51)【国際特許分類】
B26D 11/00 20060101AFI20220720BHJP
B26D 7/04 20060101ALI20220720BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20220720BHJP
B26D 7/01 20060101ALI20220720BHJP
B42B 2/02 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
B26D11/00
B26D7/04
B26D7/06 E
B26D7/01 C
B42B2/02
(21)【出願番号】P 2018206997
(22)【出願日】2018-11-02
【審査請求日】2021-10-28
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】502200092
【氏名又は名称】ミュラー・マルティニ・ホルディング・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ベルガー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・シュミディガー
(72)【発明者】
【氏名】レート・パイヤー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・レンハルト
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6752225(JP,B2)
【文献】特許第6718695(JP,B2)
【文献】特許第6752026(JP,B2)
【文献】特開2013-183173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 11/00
B26D 7/04
B26D 7/06
B26D 7/01
B42B 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの印刷製品の綴じられていないフォーマットの余白((offene Formatkante)のうち少なくとも1辺ので断裁動作を実行するための装置であって、
該装置が、第1の断裁動作に際して、前記印刷製品の位置に関して位置合わせを行うために、印刷製品と関連している1つのフィード装置に、協働するように接続されていると共に、最後の断裁動作の後に作動するようになっている、印刷製品と関連している1つの搬出装置に、協働するように接続されており、
余白に関する断裁動作を行うために、前記印刷製品(A)を1つの第1の断裁場所(1)から1つの第2の断裁場所(2)へ、及び1つの第3の断裁場所(3)へと移送可能であり、
前記印刷製品の1つの断裁場所から次の断裁場所への移送が、少なくとも1つの搬送ユニット(101,102,...)を用いて、1つのガイドコースに沿ってとり行われ、
更に前記搬送ユニットに、少なくとも1つの力を加える手段(103,104)が備えられており、これを用いて、前記印刷製品が背側で捕捉されていると共に、前記印刷製品を、1つの断裁場所から次の断裁場所へと吊り下げられた状態で輸送できるようになっている
前記装置において、
少なくとも1つの断裁場所(1,2,3)における余白に関する断裁動作が、少なくとも1つの断裁工具(150a,150b,150c)によって行われること、及び、
余白に関する1回目の断裁動作(T
1-1;T
2-1;T
3-1)の後に、オプションとして、続いて行われる、少なくとも2回目の、余白に関する断裁動作(T
1-2;T
2-2;T
3-2)を実行可能であること
を特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記続いて行われる2回目の断裁動作が、前記1回目の断裁動作に直接追加して行われること、及び、
前記2回目の断裁動作において断裁されることになる余白の断裁幅(Kantenbreite)分の断裁を、いずれも場所に関して固定された状態で動作するようになっている前記断裁工具(150a,150b,150c)に対して、前記印刷製品を案内しながら変位させることによって、実行可能であること
を特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1及び2に記載の装置の作動方法であって、
前記第1の断裁場所(1)において、前記印刷製品(A)の天の余白において行われる、少なくとも、続いて行われる2回目の部分断裁が、次の手順:
a)1回目の部分断裁(T
1-1)の実行後に、前記印刷製品を短時間、前記搬送ユニットの第1のキャリッジ(101)のグリッパ(103)により挟持して、それを受けて、1つの搬送クランプ(Transportklammer)(130)に付属しているクランプ・ジョー(131,132)を少し開くことによって、前記印刷製品をこれらのクランプ・ジョーに対して無圧状態で位置決めされた状態として;
b)前記搬送ユニットの前記キャリッジ(101)の前記グリッパ(103)に付属しているクランプ・ジョーにより、前記1回目の部分断裁の場所で、前記印刷製品(A)に一定の圧着力(Kraftschluss)を中間的に加えて、前記搬送ユニットの前記キャリッジに、協働するように接続されているクランプ・ジョーにより、前記搬送クランプ(130)のクランプ・ジョー(131,132)が開いた状態で、前記印刷製品に、場所に関して一時的な位置決め(intertemporaere oertliche Positionierung)をもたらして;
c)この時間インタバルの間に、前記搬送クランプ(130)の開いているクランプ・ジョー(131,132)を、前記2回目の部分断裁(T
1-2)の幅に相当するある一定の長さ分だけ、前記断裁工具(150a)から遠ざかるように後退させて;
d)前記長さの分だけ移動し終えた時には、前記搬送クランプ(130)の前記クランプ・ジョー(131,132)により、前記搬送ユニットの前記キャリッジ(101)の前記グリッパ(103)の前記クランプ・ジョーの開動作と同調して、前記印刷製品に一定の圧着力を再び加えて;
e)前記搬送クランプ(130)の前記クランプ・ジョー(131,132)により、挟持されている印刷製品(A)を、2回目の部分断裁(T
1-2)のための当該長さ分だけ、断裁工具(150a)に向かって前方に変位させることによって、前記印刷製品の化粧裁ちされるべきフォーマットの余白が再び断裁位置に案内されている状態として;
f)それに続いて、前記2回目の部分断裁(T
1-2)を開始する直前に、断裁場所と関連している、好適にはガーダ形状の1つのプレス・ユニット(Pressaggregat)(144)により、前記印刷製品を押圧して;
g)前記2回目の部分断裁(T
1-2)の終了後に、前記プレス・ユニット(144)を、前記断裁工具(150a)と時間的に同調して後退させて、それを受けて前記搬送クランプ(130)の前記クランプ・ジョー(131,132)を開いて、その後で前記搬送装置の前記キャリッジ(101)により、前記印刷製品(A)を次工程に輸送可能である;
に従って行われることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1及び2に記載の装置の作動方法であって、
前記第3の断裁場所(3)において、前記印刷製品(A)の地の余白において行われる、少なくとも、前記続いて行われる2回目の部分断裁が、次の手順:
a)1回目の部分断裁(T
3-1)の実行後に、前記印刷製品を短時間、前記搬送ユニットの第2のキャリッジ(102)のグリッパ(104)により挟持して、それを受けて、1つのクランプ装置に付属しているクランプ・ジョー(163,165)が、前記クランプ装置(160/161)の部材として、少し開くことによって、前記印刷製品(A)をこれらのクランプ・ジョーの間に無圧状態で位置決めされた状態として;
b)前記搬送ユニットの前記第2のキャリッジ(102)の前記グリッパ(104)に付属しているクランプ・ジョーにより、前記1回目の部分断裁(T
3-1)が行われた場所で、前記印刷製品(A)に一定の圧着力を中間的に加えて、前記搬送ユニットのこのキャリッジ(102)に、協働するように接続されているクランプ・ジョーにより、クランプ・ジョー(163,165)が開いた状態で、前記印刷製品に、場所に関して一時的な位置決めをもたらして;
c)この時間インタバルの間に、前記クランプ装置(160/161)の前記開いているクランプ・ジョー(163,165)を、前記2回目の部分断裁(T
3-2)の幅に相当するある一定の長さ分だけ、前記断裁工具(150c)から遠ざかるように前進させて;
d)前記長さの分だけ移動し終えた時には、前記クランプ装置の前記クランプ・ジョー(163,165)により、前記搬送ユニットの前記キャリッジ(102)の前記グリッパ(104)の前記クランプ・ジョーの開動作と同調して、前記印刷製品に一定の圧着力を再び加えて;
e)前記クランプ装置(160/161)の前記クランプ・ジョー(131,132)により、前記挟持されている印刷製品(A)を、前記2回目の部分断裁(T
3-2)のための当該長さ分だけ、断裁工具(150c)に向かって後方に変位させることによって、前記印刷製品の化粧裁ちされるべきフォーマットの余白が再び断裁位置に案内されている状態として;
f)それに続いて、前記2回目の部分断裁(T
3-2)を開始する直前に、この断裁場所と関連している好適にはガーダ形状の1つのプレス・ユニット(144)により、前記印刷製品(A)を押圧して;
g)前記2回目の部分断裁(T
3-2)の終了後に、前記プレス・ユニット(144)を、前記断裁工具(150c)と時間的に同調して後退させて、それを受けて前記クランプ装置(160/161)の前記クランプ・ジョー(163,165)を開き、その時に前記印刷製品(A)は、1つの排出装置とそれに連続している1つの不良品選別装置(500)との協働接続状態にある;
に従って、行われることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1及び2に記載の装置の作動方法であって、
前記第2の断裁場所(2)において、前記印刷製品の小口の部分において行われる、前記続いて行われる2回目の部分断裁が、次の手順:
a)1回目の部分断裁(T
2-1)の実行後に、前記印刷製品を短時間、前記搬送ユニットの前記キャリッジ(101)の前記グリッパ(103)により動かないように確実に挟持して、それを受けて、1つのクランプ装置に付属しているクランプ・ユニット(Klemmaggregat)(200
1-n)を少し開くことによって、前記印刷製品(A)をこれらのクランプ・ユニットの間に無圧状態で位置決めされた状態として;
b)前記キャリッジ(101)に付属しているグリッパ(103)により、前記1回目の部分断裁(T
2-1)が先行して行われた場所で、前記印刷製品に一定の圧着力を中間的に加えて、前記グリッパにより、前記クランプ装置(200)の前記クランプ・ユニット(200
1-n)が開いた状態で、前記印刷製品に、場所に関して一時的な位置決めをもたらして;
c)この時間インタバルの間に、前記搬送ユニットの前記キャリッジ(101)により、鉛直平面内で下に向かってある一定の長さ分だけ、前記印刷製品を運び、その際にこの鉛直方向の変位は、前記第2の部分断裁(T
2-2)の量に相当しており;
d)前記長さの分だけ移動し終えた時には、前記クランプ装置(200)の前記クランプ・ユニット(200
1-n)により、前記搬送ユニットの前記キャリッジ(101)の前記グリッパ(103)に、協働するように接続された状態で、その開動作と時間的に同調して、前記印刷製品に一定の圧着力を再び加えて;
e)それに続いて、前記2回目の部分断裁(T
1-2)を開始する直前に、この断裁場所と関連している好適にはガーダ形状の1つのプレス・ユニット(144)により、前記印刷製品を押圧して;
f)前記2回目の部分断裁(T
2-2)の終了後に、前記プレス・ユニットを前記断裁工具(150b)と時間的に同調して後退させて、前記クランプ装置の前記クランプ・ジョー又はプレス・バー(Pressleiste)を開いて、その後で前記搬送装置の前記キャリッジ(102)により、前記印刷製品を更に前記第3の断裁場所(3)へと更に輸送する;
に従って、行われることを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
少なくとも前記続いて行われる2回目の断裁動作(T
1-2;T
2-2;T
3-2)が、前記1回目の断裁動作に直接追加して行われること、及び、
前記印刷製品の天の部分、小口の部分、地の部分に関して断裁されることになる余白の断裁幅分の断裁を、そこで使用されることになる前記断裁工具(150a,150b,150c)及びプレッシング用にレイアウトされた手段(144)を、前記断裁場所(1,2,3)で、挟み付けられた状態で留まっている印刷製品に向かって、案内しながら変位させることによって、実行可能であること
を特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置の作動方法であって、
a)1回目の部分断裁(T
1-1;T
2-1;T
3-1)の実行後に、前記印刷製品がその時々の断裁場所(1,2,3)に挟み付けられた状態で留まっており;
b)前記1回目の部分断裁(T
1-1;T
2-1;T
3-1)の終了後に、断裁工具(150a,150b,150c)とプレス・ユニット(144)とが、互いに依存し合いながら、夫々続いて行われる更にもう1回の部分断裁(T
1-2;T
2-2;T
3-2)の、前記印刷製品の天地の余白では側方への量に相当し、小口の余白では鉛直方向への量に相当する、同調した変位を完遂し;
c)引き続いて前記搬送ユニットの、作業を担当するキャリッジが、1つの断裁場所から次の断裁場所への前記印刷製品の更なる輸送を引き受ける;
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記化粧裁ちされるべき印刷製品が、少なくとも、関連した1冊の中本(Buchblock)、複数冊のバラの仮綴じ本(Broschuere)、又は幾つかの、仮綴じ本を束ねたものから成ることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、
前記印刷製品が、前記断裁動作の前及び/又は後に、同じ又は異なる厚さで、同じ又は可変のフォーマット寸法諸元を有することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の断裁場所(1)において化粧裁ちされることになる第1の余白が、前記印刷製品の天の部分に関係すること、
前記第2の断裁場所(2)において化粧裁ちされることになる第2の余白が、前記印刷製品の小口の部分に関係すること、及び、
前記第3の断裁場所(3)において化粧裁ちされることになる第3の余白が、前記印刷製品の地の部分に関係すること、
又は、
前記第1の断裁場所(1)において化粧裁ちされることになる第1の余白が、前記印刷製品の地の部分に関係すること、
前記第2の断裁場所(2)において化粧裁ちされることになる第2の余白が、前記印刷製品の小口の部分に関係すること、及び、
前記第3の断裁場所(3)において化粧裁ちされることになる第3の余白が、前記印刷製品の天の部分に関係すること
を特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
前記フィード装置が、前記印刷製品の位置に関して行われる位置合わせを、それに続く第1の断裁動作に関して断裁技術上最適となる位置決めと関連付けて行うように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、
前記フィード装置が、中本(A)として構成された1つの印刷製品の位置に関する位置合わせを行うために、1つの多分割式インフィード・ホイール(Einschubrad)(120)の形態を有しており、これが、次の基準:
a)前記インフィード・ホイール(120)が初回の90°回転を行う間に、前記中本(A)に対する1つの可倒式のレーキ状ガイド(121)が旋回式の運動を実施することによって、前記中本(A)が、90°回転した後には背(A
R)を下にして立っており、それによりページが扇状に開くこと及び/又は倒れることを防止しており;
b)前記レーキ状ガイド(121)は、1つのクランプ・ユニット(122)に連結されており、前記クランプ・ユニットにより、前記背を下にして立っている中本(A)は、短時間クランプされた状態にあり、その際には前記レーキ状ガイド(121)が中本の厚さに応じた位置に移送可能であるように、このクランプ・ユニット(122)を運動学的に作動させることが可能であり;
c)その後、前記クランプ・ユニット(122)が再度少しだけ開くことによって、前記インフィード・ホイール(120)の内部に設けられた1つのストップ面(123)にならった、前記中本の背(A
R)の位置合わせが重力に追従して行われて;
d)その後、前記クランプ・ユニット(122)が改めて閉じて、それを受けて前記中本(A)は、ある1つの定義済みの位置を取っており;
e)次いで前記インフィード・ホイール(120)は、2サイクル分、サイクルにつき90°ずつ、更に回転して、それにより前記中本(A)を、前記断裁場所(1,2,3)に対して、この時にはある1つの吊り下げられた位置へと移送可能であり;
f)この最後に挙げた回転運動の間には、前記第1のレーキ状ガイド(121)及びこれに対して協働接続状態にある1つの第2のレーキ状ガイド(124)が、前記中本から遠ざかるように旋回されて、その際には前記中本(A)が、その背(A
R)の少なくとも一部の領域内で、前記クランプ・ユニット(122)により保持されており、それによって、前記中本(A)の前記ガイド(121,124)により解放されている部分が、重力だけに起因して、鉛直下向きに垂れ下がる(hangen)ようになっている;
に従って作動可能であることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置であって、
少なくとも1冊の仮綴じ本から成る前記印刷製品用のフィード装置が、次の基準:
a)前記インフィード・ホイール(120)が初回の90°回転を行う間に、前記仮綴じ本に対する1つの可倒式レーキ状ガイド(121)が旋回式の運動を実施することによって、前記仮綴じ本は、90°回転した後には背(A
R)を下にして立っており、それによりページが扇状に開くこと及び/又は倒れることを防止しており;
b)前記レーキ状ガイド(121)は、1つのクランプ・ユニット(122)に連結されており、前記クランプ・ユニットにより前記仮綴じ本は背を下にして立った姿勢で短時間クランプされた状態にあり、その際には前記レーキ状ガイド(121)が仮綴じ本の厚さに応じた位置に移送可能であるように、このクランプ・ユニット(122)を運動学的に動作させることが可能であり;
c)その後、前記クランプ・ユニット(122)が再度少しだけ開くことによって、前記インフィード・ホイール(120)の内部に設けられた1つのストップ面(123)にならった、前記仮綴じ本の背(A
R)の位置合わせが重力に追従して行われて;
d)その後、前記クランプ・ユニット(122)が改めて閉じて、それを受けて前記仮綴じ本は、ある1つの定義済みの位置を取っており;
e)それを受けて前記インフィード・ホイール(120)は、2サイクル分、サイクルにつき90°ずつ、更に回転して、それにより前記仮綴じ本を、前記断裁場所(1,2,3)に対して、この時にはある1つの吊り下げられた位置へと移送可能であり;
f)この回転運動の間には、前記第1のレーキ状ガイド(121)及びこれに対して協働接続状態にある1つの第2のレーキ状ガイド(124)が、前記仮綴じ本から遠ざかるように旋回可能であり、その際には前記仮綴じ本が、その背(A
R)の少なくとも一部の領域内で、前記クランプ・ユニット(122)により保持されており、それによって、前記仮綴じ本の前記ガイド(121,124)により解放されている部分が、重力だけに起因して、鉛直下向きに垂れ下がるようになっており;
に従って作動可能である、1つの多分割式インフィード・ホイール(120)の形態を有することを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項12、13のいずれか1つに記載の装置であって、
クランプ・ユニット(122)が開いた状態にある時に、上から(125)及び/又は横から(126)駆動可能な補助手段が備えられ、それにより中本又は仮綴じ本に一定の押圧力(Andruckkraft)を短時間加えることが可能であり、この押圧力によって、前記ストップ面(123)又は他の方法で設定されるある1つの位置に対する、中本又は仮綴じ本の、少なくとも水平方向への最終位置を達成可能であることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1、12、13のいずれか1つに記載の装置であって、
前記フィード装置(120)が、前記第1の断裁場所(1)の領域内で、複数のクランプ・ジョー(131,132)を実装した1つの可動式のクランプ装置(130)に、これと協働するように接続されており、前記クランプ装置が前記フィード装置(120)から前記印刷製品を引き取り、それを受けて前記印刷製品を前記第1の断裁動作に供給可能であることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置であって、
前記搬送ユニットが実質的に、少なくとも、印刷製品と関連している少なくとも1つのグリッパ(103)を有する1つのキャリッジ(101)から成ること、
前記グリッパが、化粧裁ちの対象である前記印刷製品を、冊子の背側(A
R)で捕捉すること、
前記グリッパの基礎に置かれるのが、前記印刷場所(1,2,3)に向かう、1つのガイドコースに沿った、コントローラに支援された次の並進運動:
a)前記第1の断裁場所(1)での前記第1の断裁動作の完了後に、前記キャリッジに付属している前記グリッパが前記印刷製品を引き取ること;
b)これと同じキャリッジ/グリッパが、前記第2の断裁場所(2)にこの印刷製品を移送すること、更に、前記第2の断裁場所で断裁動作が行われた後に、
c)第3の断裁動作を実行するために、これと同じキャリッジ/グリッパが第3の断裁場所(3)への同じ印刷製品の移送をとり行うこと;
d)次に持ち込まれる1つの印刷製品を改めて引き取るために、前記第1の断裁場所の初期位置への、これと同じキャリッジ/グリッパの返送を、この第1の断裁場所で前記第1の断裁動作が実行された後に、開始可能であること、
であることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置であって、
前記搬送ユニットが実質的に、グリッパ(103,104)を1つずつ有する2つの印刷製品と関連しているキャリッジ(101,102)から成ること、
前記グリッパが、前記化粧裁ちの対象である印刷製品の背側(A
R)を把持すること、
前記両方のキャリッジ/グリッパが、互いに対して動作に関して協働接続状態にあること、及び、
前記キャリッジ/グリッパが、前記断裁場所(1,2,3)に向かって、1つのガイドコースに沿って、コントローラに支援された次の並進運動:
a)前記第1の断裁場所(1)で第1の断裁動作が行われた後に、前記第1のキャリッジ(101)の前記第1のグリッパ(103)が前記印刷製品を引き取ること;
b)それから前記第1のキャリッジが、この印刷製品を、前記第2の断裁場所(2)に移送して、そこで前記印刷製品を前記第2の断裁動作を実行するために位置決めして、引き続いて空積状態で前記第1の断裁場所(1)に戻り、そこで次に持ち込まれて、この断裁場所(1)に既に化粧裁ちされた状態で存在している1つの印刷製品の新たな引取りがとり行われること;
c)その間に、前記第2の断裁場所(2)での断裁動作の終了直後に、前記第2のキャリッジ(102)/グリッパ(104)が前記印刷製品を引き取って、これを前記第3の断裁場所(3)に移送して、そこで前記第3の断裁動作を行うこと;
d)その後、前記第2のキャリッジ(102)/グリッパ(104)は、空積状態で前記第2の断裁場所(2)に引き返すこと、そこには、次に持ち込まれた1つの印刷製品が再び化粧裁ちされた状態で存在しており、それを受けて前記第2のキャリッジ(102)/グリッパ(104)はこの印刷製品と一緒に再び第3の断裁場所(3)に進み、そこで前記第3の断裁動作をとり行うこと、
により作動可能であることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置であって、
前記搬送ユニットが少なくとも、それ自体としては閉じている1つのガイドコース(301)に沿って案内されている、2つ、3つのキャリッジ(101/103)から成ること、
キャリッジがいずれも、前記断裁場所(1,2,3)の領域内では、断裁動作のために、少なくとも1つの印刷製品を個別に装荷した状態にあること、
キャリッジが、前記第3の断裁場所(3)から出た後は、装荷されない状態で、前記閉じたガイドコースの残りの区間を通り、前記第1の断裁場所(1)に帰還可能であって、そこで前記第1の断裁動作の前又は後に次に持ち込まれる1つの印刷製品を引き取ること、
前記キャリッジを、前記引き取った印刷製品と一緒に、ある1つの所定のクロック周期に従って順番に、まだ行われていない断裁動作を実行するために、それ以外の断裁場所(2,3)に案内可能であること、
を特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、
前記閉じたガイドコースが、実質的に楕円又は略楕円の形状、若しくは円形又は略円形に延びる形状を有することを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項18に記載の装置であって、
前記ガイドコースに沿って周回するキャリッジの個数が、前記断裁動作のクロック周期に依存しており、及び/又は、前記キャリッジが前記第3の断裁場所(3)から第1の断裁場所(1)に戻る際に選択されている速度に依存していることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項1、16、17、18のいずれか1つに記載の装置であって、
全ての断裁動作が、1つの中央断裁場所で行われること、及び、
天地刃(Seitenmesser)及びこれらに付属しているプレス要素の運動が、小口刃(Frontmesser)及びこれらに付属しているプレス要素の運動に対して、上述の要素間の衝突を阻止するために位相をずらして行われることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項1、16、17、18のいずれか1つに記載の装置であって、
前記グリッパ(103,104)の末端側に、前記印刷製品に作用する複数のクランプ・ジョー(103a,103b;104a,104b)が実装されていること、
少なくとも1つの断裁場所(1,2,3)の領域内では、1つの印刷製品を装荷した少なくとも1つのグリッパを用いて、断裁動作の前及び/又は後に、局所的に配置される少なくとも1つのクランプ及び/又はプレス装置(103,104,130,160/161,200,144)の1つのプレス面(Pressflaeche)に対して、ある1つの狙いを定めた横方向オフセット運動を実施可能であることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項1、16、17、18のいずれか1つ又は複数に記載の装置であって、
前記グリッパ(103,104)の前記クランプ・ジョーを用いて、前記その時々の印刷製品を対称、又は略対称、又は非対称に、若しくは可能な限りその重心で、及び/又は、前記余白の切り落とされなければならない切れ端の長さに応じて、捕捉可能であることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項1、16~23のいずれか1つ又は複数に記載の装置であって、
少なくとも1つの断裁場所(1,2,3)で、少なくとも1つのグリッパ(103,104)を用いて、その時々の断裁動作の前及び/後に、1つのクランプ装置の1つの固定式プレス面に対して、位置決めを行うための更にもう1つの運動を、少なくとも1つの平面内で実行可能であることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項1に記載の装置であって、
前記第3の断裁場所(3)で、前記搬出装置(160)が作用可能であると共に、次の基準:
a)前記搬出装置(160)が、1つの多分割式に作動するホイールを介在して作動可能であること;
b)前記搬出装置が、少なくとも1つの第1のジョー(163)と少なくとも1つの第2のジョー(165)とから成る1つのクランプ装置(161)を有しており、前記ジョーを用いて、断裁動作の際には前記印刷製品(A)に挟持作用(Klemmwirkung)を加えることが可能であること;
c)前記断裁動作の後、前記多分割式ホイールが1回の部分回転を実施することによって、前記印刷製品を1つの搬出位置に移送可能であること
に従って作動可能であることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項1に記載の装置であって、
前記第3の断裁場所(3)における前記搬出装置(160)が、その下流側に配置される1つの不良品選別装置(500)に、協働するように接続されており、それによって、良品であると感知された印刷製品(510)については、次工程への輸送が許可されて、前記断裁動作の間にセンサにより連続的に遂行される品質測定に基づいて、不良品であることが確認された印刷製品については、決定的に又は条件付きで選別排除(520,530)されるように配慮していることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置であって、
前記不良品選別装置(500)が、一種のクロス・マニホールド(Kreuzverteiler)技術に従って構成されており、それによって、印刷製品に何らかの品質損失(Qualitaetseinbusse)がある場合には、組み込まれているローラが作動状態に入って、複数の縦長ベルトにより形成された、合格した印刷製品(510)が輸送される面からこれらのローラが上方にせり上がることによって、不良品(520,530)の更なる選別排除を実行することを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項1に記載の装置であって、
各断裁場所(1,2,3)で、前記1つの断裁装置(105a~c)が、夫々1つの定置式又は準定置式のクランプ装置及び/又はプレス装置(130,161,200,144)に、協働するように接続されており、これを用いて前記化粧裁ちの対象である印刷製品に少なくとも1つのプレス力(Presskraft)を加えることができること、
前記クランプ装置が、少なくとも1つのクランプ・ジョーに付属している、複数の単動型又は重合動作型の可制御式プレス面を有すること、
前記クランプ装置が、前記印刷製品のフォーマット・サイドに合わせて調整されているか、又は作動の過程で、同期押圧により、印刷製品のその時々のフォーマット・サイズに合わせて調整可能であること
を特徴とする装置。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか1つ又は複数に記載の装置であって、
各断裁場所(1,2,3)に、力を加える、互いに協働する接続された複数のクランプ装置及び/又はプレス装置(103,104,130,160/161,200,144)が設けられていること、
1つの断裁場所(1,2,3)から次の断裁場所への前記印刷製品の搬送用として定められたグリッパ(103,104)の挟持力(Klemmkraft)が、初回の力を加えるために利用される前記クランプ装置(130,160/161,200)よりも小さいこと、
初回の力を加えるために利用されるこれらのクランプ装置(130,160/161,200)によって、第2の断裁場所と関連している1つのクランプ装置(144)よりも小さい挟持力を加えることができること
を特徴とする装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置であって、
前記第2の断裁場所と関連しているプレス・ユニット(144)が、1つのプレス・ガーダ(Pressbalken)の形態を有しており、これが前記印刷製品を直接プレスすること、又は機械式、空気圧式、油圧式により反力を伝播することによって、プレス圧力固有の(pressdruckspezifisch)調整が行われていることを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項28~30のいずれか1つに記載の装置であって、
前記プレス装置に付属している前記プレス・ガーダ(144)に作用するように発生可能な、前記印刷製品の断面に対してコンフォーマルな面圧(Anpressung)を得るためのプレス力が、1つの駆動部に直接又は略直接協働するように接続されており、前記駆動部もまた、前記断裁場所(1,2,3)の内部で、刃物の断裁力をもたらす原因となるように、レイアウトされていることを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項28~30のいずれか1つに記載の装置であって、
前記プレス装置に付属している前記プレス・ガーダ(144)に作用するように発生可能な、前記印刷製品の断面に対してコンフォーマルな面圧を得るためのプレス力が、前記断裁場所(1,2,3)の内部で前記刃物の断裁力をもたらすための前記駆動部から独立している、1つの自律型の駆動部によりもたらされることを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項28~30のいずれか1つに記載の装置であって、
前記もたらされる刃物の断裁力と、前記印刷製品に加えられる前記プレス・ガーダ(144)のプレス力とが、互いから非連結化されていることを特徴とする装置。
【請求項34】
請求項30に記載の装置であって、
前記プレス・ガーダ(144)から加えられるプレス力を、次の基準:
少なくとも、前記印刷製品の厚さの測定結果、フォーマット・サイズ、表紙の一貫性(Umschlagkonsistenz)及び紙の性状を前提として、前記プレス・ガーダにおいて前記印刷製品に加えられる最適プレス力を、連続的に決定する、又は保存されている様々な制御特性から読み出すこと、
に従って設定可能であることを特徴とする装置。
【請求項35】
請求項28~33のいずれか1つに記載の装置であって、
プレス・ガーダ(144)として構成された前記プレス装置を用いて、少なくとも動作期の間には前記印刷製品に、断面にコンフォーマルな押圧力を加えることができること、
前記力は、好適には、調整が図られた、一様な、一様ではない、略単調(quasi-monoton)な、上昇する、下降する、適応型の、速度プロファイル及び/又は運動プロファイルに対応して定められていることを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項28~35のいずれか1つに記載の装置であって、
前記クランプ・ジョーに少なくとも1つのクランプ装置が実装されており、前記クランプ装置が、次の基準:
a)クランプ・ジョーが、圧着力を利用した挟持効果をもたらすように作動する1つの駆動部に直接又は間接的に協働するように接続すること、その際には前記駆動部により案内される前記クランプ・ジョーが、その場に存在している印刷製品の任意のフォーマット・サイズ(Formatauspraegung)に見合った、調整式及び/又は予測制御式のステローク・プロファイル及び圧着力プロファイルを有すること;
b)前記印刷製品を、その厚さに関する中心線に対して対称又は略対称に捕捉可能であるように、前記クランプ・ジョーにより実施される圧着力をもたらす運動プロファイルが設計されていること、
c)前記クランプ・ジョーを用いて、少なくとも動作期の間には、前記印刷製品にある一定の挟持力を、相互調整が図られた、一様な、一様ではない、又は適応型の速度プロファイル及び/又は運動プロファイルにより加えることができること
に従って、互いに対して移動可能であることを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項1に記載の装置であって、
各断裁場所(1,2,3)で、前記断裁動作の前、間、及び後に、前記印刷製品に次のプレス力:
a)前記グリッパ(103,104)に付属している前記クランプ・ジョー(103a,103b;104a,104b)により、1つのプレス力を印刷製品に加えることができること、このプレス力は、1つの断裁場所から次の断裁場所への前記印刷製品の搬送用として設計されていること;
b)断裁場所で作用する1つの第1のクランプ装置(130,160/161,200)により、更にもう1つのプレス力を印刷製品に加えることができること、このプレス力は、その時々の断裁場所の領域内で、前記印刷製品に定常に作用可能であること、
c)断裁場所で作用する、プレッシングを行うためにレイアウトされた1つの第2のクランプ装置(144)により、更にもう1つのプレス力を印刷製品に加えることができること、このプレス力は、その時々の断裁場所の領域内で直接作用可能であること;
が作用可能であることを特徴とする装置。
【請求項38】
請求項37に記載の装置であって、
前記第1の断裁場所(1)で、1つの第1のクランプ装置(130)が作用可能であること、
前記第2の断裁場所(2)で、更にもう1つの第1のクランプ装置(200)が作用可能であること、
前記第3の断裁場所(3)で、更にもう1つの第1のクランプ装置(160/161)が作用可能であること、及び、
断裁場所(1,2,3)で、いずれも更にそれに追加して、1つの第2のクランプ装置(144)が作用可能であること
を特徴とする装置。
【請求項39】
請求項38に記載の装置であって、
少なくとも前記第2の断裁場所(2)で作動可能である1つの第1のクランプ装置(200)が、鉛直方向又は略鉛直方向に順番に並べられる複数の個別プレス・バー(200
1-n)から成ること、
前記プレス・バーが、前記印刷製品の片面では、位置を固定して位置決めされている(fest positioniert)のに対して、前記印刷製品の反対側の面では、前記プレス・バーを用いて圧着力をもたらす押圧運動を実施可能であること、
を特徴とする装置。
【請求項40】
請求項38に記載の装置であって、
少なくとも前記第2の断裁場所(2)で作動可能である1つの第1のクランプ装置(200)が、鉛直方向又は略鉛直方向に順番に並べられる複数の個別プレス・バー(200
1-n)から成ること、
前記印刷製品の両側に配置された前記プレス・バーを用いて、一様又は略一様に前記印刷製品に向けられた圧着力をもたらす様々な押圧運動を、直接又は間接的に実施可能であること、
を特徴とする装置。
【請求項41】
請求項38に記載の装置であって、
少なくとも前記第2の断裁場所(2)で作動可能である1つの第1のクランプ装置(200)が、鉛直方向又は略鉛直方向に順番に並べられる複数の個別プレス・バー(200
1-n)から成ること、
前記印刷製品の両側に配置された前記プレス・バーを用いて、圧着力をもたらす様々な押圧運動を実施可能であり、これらの運動が、前記印刷製品の厚さに関する中央線に対して対称又は略対称になるように設計されていること
を特徴とする装置。
【請求項42】
請求項38~41のいずれか1つに記載の装置であって、
前記プレス・バー(200
1-n)から前記印刷製品に加えられる押圧運動が後続して行われる場合は、そのプレス効果(Presswirkung)が、前記印刷製品の背の領域内にある1本目のプレス・バーから開始され、その後は、概ね断裁対象である余白のレベルに達するまで、残りのプレス・バーを連続的に使用することによって、これを続行することを特徴とする装置。
【請求項43】
請求項42に記載の装置であって、
前記印刷製品の背から始まって、断裁対象である余白までの前記プレス・バーの後続的な動作制御によって、前記印刷製品の折丁(Signatur)の間にトラップされた空気を連続的に絞り出すことが可能であること
を特徴とする装置。
【請求項44】
請求項1~43のいずれか1つに記載の装置であって、
前記印刷製品のフォーマットの余白の夫々に関する断裁動作が、断裁場所(1,2,3)で個別に動作するようになっている、1回の断裁動作により、実行可能であることを特徴とする装置。
【請求項45】
請求項44に記載の装置であって、
少なくとも1回の断裁動作を、1つの単動型断裁工具を用いて営むことができることを特徴とする装置。
【請求項46】
請求項1~45のいずれか1つに記載の装置において、化粧裁ちされた印刷製品の品質を保障する方法であって、
前記断裁場所(1,2,3)内の前記断裁動作の間に、前記印刷製品(A)の外部構造並びに化粧裁ちされた端面を、品質を算定するセンサ(400)により検査すること、及び、
これらの検査結果から得られた定性的なステートメントを1つの不良品選別装置(500)に伝送して、これが化粧裁ちが行われた印刷製品を対象として、予め定められた品質基準に従って、相応の選別(510,520,530)を遂行すること
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの印刷製品の綴じられていないフォーマットの余白(offene Formatkante)の断裁動作を実行するための装置、具体的には例えば特許文献1から読み取ることができるような、請求項1の前段部分に記載の、天側、小口側、地側の少なくとも1つの余白の化粧裁ちを行うための装置に関する。
【0002】
「綴じられていないフォーマットの余白」という概念は、印刷製品が複数の個別の刷り本から作り上げたものであるのか、それとも複数の折丁(Signatur)から作り上げたものであるのかに関係なく、印刷製品の天の部分、小口の部分、地の部分を指すと解釈されるものである。
【0003】
少数又は最小限の部数の印刷製品を、好適には中本(Buchblock)又は仮綴じ本(Broschuere)を、工業的に製造するためには、フォーマット及び厚さの異同を問わず複数の製品を高いサイクル性能で次から次へと所望の仕上げ寸法へと最高の断裁品質(Schnittqualitaet)で断裁することが可能な状況にある、所謂三方断裁機を用いて作業が行われるようになっている。
【0004】
中本又は仮綴じ本は、所定の厚さである場合は、3箇所の断裁ステーションにおいて、天側、地側、並びに小口側を最終フォーマットへと断裁される。これらの中本又は仮綴じ本は、背側で綴じられている。綴じ方としては、例えば糸綴じ、無線綴じ、中綴じ等々、ありとあらゆる公知の方法が検討される。
【0005】
三方断裁機は、単独のオフライン機としても、また、別の製造機械を持つ生産ラインの中のインライン機としても、使用可能である。
【背景技術】
【0006】
以下では三方断裁機と呼ぶこの装置の課題は、これに持ち込まれる印刷製品、即ち大抵の場合は中本及び/又は仮綴じ本の、閉じられていない三方の側面を、断裁することにある。これは、中本又は仮綴じ本(以下では「中本」とだけ呼ぶ)を、静止状態でプレス・バー(Pressleiste)又はプレス・プレートの間に挟持して、3つの断裁装置上で、中本の上述の三方の側面を化粧裁ちすることによって行われる。これらの断裁装置は、2つの刃物がハサミの刃のように重なり合うようして断裁する、対となる刃物ユニットとして、又は、1つの刃物が、1つの固定式プラスチック・バーに対して断裁し、終位置においてはこの刃物の刃が、保護のために、プラスチック・バーに少し食い込むようになっている、カッター・バー(Schneidleiste)・タイプの刃物ユニットとして、構成されたものであってもよい。
【0007】
そのような三方断裁機においては、第1段階で天地の断裁が行われて、第2段階で小口の断裁が行われるのが通例である。しかし必ずしもその順序通りに行う必要はなく、それとは逆の順序で化粧裁ちを実行することもできる。更に中本で実施するのを天地の化粧裁ちだけ、又は小口の化粧裁ちだけとすることも可能であるが、これは例えば英国の小冊子(Englische Broschure)を製造するために必要である。
【0008】
三方断裁機の中には、第1断裁段階(例:天地の断裁)と第2断裁段階(例:小口の断裁)との間で、中本が同じ場所に留まり続ける仕様のものもあれば、両方の断裁段階の間で中本の搬送される仕様のものもある。
【0009】
更に、中本が、断裁のためにプレス・プランジャ(Pressestempel)とカッター・カセット(Schneidkassete)との間でプレスされて、1回又は複数の断裁動作の間、動かないように確実に保持されるようになっている、三方断裁機も公知となっている。断裁後の中本は、プレス・プランジャが上昇した状態で搬出されて、新たに断裁されることになる中本がそこに装入される。装入された中本は、1つのセンタリング・装置によりその位置に移動されて、続いて下降するプレス・プランジャによって挟持される。刃物はスイング・カット方式で本に向かって移動して、綴じられていない側面を断裁する。三方全ての側面を断裁した後、プレス・プランジャは上昇し、次の作業サイクルを開始することができる。しかし三方断裁機のこの仕様は、フォーマットの速やかな切替えには向かないものとなっている。プレス・プランジャもカッター・カセットも、処理対象であるフォーマットに合わせて調整されているために、機械を停止しない限り、これらを交換することは不可能である。
【0010】
特許文献2には、刃物をカッター・バー又は対となる刃物と重ね合わせるようにして断裁が行われる三方断裁機が開示されているが、そこでは中本が、天地を断裁する際にも、また小口を断裁する際にも、プレス・バーにより、刃物に隣接して保持されるようになっている。一方ではカッター・バー若しくは対となる刃物の間の、フォーマットに応じて変わってくる自由な空間の中に、他方ではプレス・バーの間の空間の中には、断裁の間に中本を支持するための多数のジグザグ状の担持ウェブが配置されている。そのような三方断裁機を用いて、良好な断裁品質を達成することができるが、これは、断裁の間には中本が、これらのプレス・バーによってプレスされた状態にあると共に、ジグザグ状の担持ウェブによって支持された状態にあるからである。
【0011】
いずれにせよこの解決策においては、断裁位置への搬入搬出時に、中本がジグザグ状の担持ウェブに引っ掛かって動かなくなる怖れがある点を考量する必要がある。特許文献2においては、この事情に対処するために、搬送システムを1つのロア・ベルトと1つのアッパ・ベルトとから構成しており、その際には、中本を搬送するために、両方のベルトを同時に互いの方に向かって若干繰り出すことによって、中本が断裁テーブル面若しくはプレス面の担持ウェブに引っ掛かり得ないようにしている。しかしながら中本のそのような搬送方式によっては、中本の厚さがまちまちである場合には、この搬送システム内で搬送することができるのは、常に1冊の中本だけであることが明らかである。このため搬送システム内には多数の中本が存在する関係上、中本の許容可能な厚さの差に制約を受けることになる。特に断裁が2箇所のステーション内で行われる三方断裁機の場合は、厚さが著しく異なる中本の上述の搬送システムを用いた搬送には問題を孕んでいる。したがって中本の厚さが著しく変動する場合は、搬送システムの内部で常に1冊の中本だけを搬送することが不可欠となっている。しかしそのような三方断裁機の場合は、それにより処理能力には制限を受けてしまう、換言すると三方断裁機は、より低いクロック周期(生産量)でしか作動できないことになる。
【0012】
この特許文献2には、従来の技術水準を定義づけている更に別の三方断裁機も引き合いに出されている。しかしながらこれらは皆、高品質の断裁に対する要求と抱き合わせになった段取り時間の短縮に対する要求を充足することはできずにいる。
【0013】
特許文献3には、化粧裁ちの対象である中本が、1つの位置決め装置により捕捉されて、1つのフィード装置を用いて断裁装置に供給されるようになっている、三方断裁機が公開されている。互いに対して離間して配置される複数の断裁装置が設けられ、中本は順々に、いずれも1辺の側面を断裁するために、フィード装置によって断裁装置内に置かれるようになっている。断裁装置内では、位置決めが行われた印刷製品のところで1辺の側面の断裁が実行される。位置決め装置によって、中本は、位置合わせが行われた状態のまま、1つのフィード・グリッパ(Einlaufgreifer)を用いて、1回の直線ストロークにより、1つの移行位置に送られるが、その際に中本の位置合わせは変化しないようになっている。中本の送りは、1つの多重遊星歯車装置(mehrfaches Umlaufsgetriebe)を用いて行われる。断裁装置内で中本の位置決めを行うために、複数の調整式コントロール・リンク(Steuerkulisse)が設けられている。この装置により、別のフォーマットへの簡単かつ急速な切替えが可能となる。夫々の断裁装置は、固定された1つの下刃物と、1つの上刃物とから成り、この上刃物には、1つのガイドと1つの空気圧シリンダとを介して、1つのプレス・プレートが連結されている。このプレス・プレートにより、中本は断裁に先立ち中本をプレス・プレートと位置を固定された下刃物との間に挟持される。その際に中本は、プレス・プレート及び下刃物並びにフィード装置によって、大面積にわたってではなく、断裁領域内だけでプレスされるようになっている。中本のプレスされていない領域は「垂れ下がる」(durchhangen)傾向を示し、このため不十分な断裁品質を来すことがある。これに当該するのは特に、中本が柔らかい及び/又は薄い紙から成るケースである。
【0014】
特許文献3により、異なるフォーマットの冊子を順番に加工することができる、冊子の両側の表面に傷を付けない三方断裁機が紹介される。1つの移動部に、印刷物の背側を把持するための1つのクランプ・ユニット(Einspanneinheit)が取り付けられており、その際にこのクランプ・ユニットは、印刷部の背の位置決めを行うための1つの基準面を有している。1つの位置決めアクチュエータを用いて、この移動部が、1つのコントローラにより1つの鉛直な平面内を移動し、印刷製品の綴じられていない三方の側面の断裁工程のために、夫々冊子のフォーマットに合わせて適正に位置決めされることによって、水平方向に移動する断裁刃物が印刷物を断裁できるようにしている。クランプユニットの基準面及び1つの鉛直な当たり面のところで印刷物の位置合わせが行われ、それによりコントローラは、冊子のフォーマットの情報(Formatdaten)も合わせて利用して、その時々の断裁のために必要な位置に辿り着いて、断裁のために印刷物を適切に位置決めすることができる状況に置かれるようになっている。
【0015】
この最後に挙げた三方断裁機では、冊子のフォーマットを変更する可能性が限定される点が短所となっている。印刷物は、その三方全てを断裁するために、この1つのクランプ・ユニットによって保持されるが、そのためにはこのクランプ・ユニットを、処理対象である最小の印刷物よりも遥かに小型の仕様としなければならない。印刷物のフォーマットが遥かに大きい場合には、断裁の間に印刷物を支持するために追加使用されるプレートに、1つの大きなリセス領域(Ausnahmebereich)を備えてやらなければならない。しかしながらリセス領域が大きいと、断裁品質に不利な影響を与えてしまう。
【0016】
小口の断裁のために、このクランプ・ユニットは、これらのプレートのリセス領域の多少なりとも奥深くに潜り込むことができるようになっている。印刷物が適切に支持されるのは、クランプ・ユニットがプレートのリセス領域の奥深くに挿入されている場合だけに限られている。プレートの交換を不要として印刷製品を十分に支持することができるようにするためにも、この三方断裁機を用いて加工することができるのは、冊子の幅の差が小さい場合だけに限られている。
【0017】
特許文献1から、少なくとも1つの印刷製品の綴じられていないフォーマットの余白の内少なくとも1つの断裁動作を実行するための装置を見て取ることができるが、そこではこの装置が、初回の断裁動作のために印刷製品と関連している1つのフィード装置にこれと協働するように接続されていると共に、最後の断裁動作の後に作動する、印刷製品と関連している1つの搬出装置にこれと協働するように接続されている。余白に関する夫々の断裁動作は、少なくとも1つの断裁装置を用いて実行される。印刷製品は、印刷製品の第1のフォーマットの余白に関する断裁動作がとり行われる第1の断裁場所から、第2のフォーマットの余白に関する断裁動作がとり行われる第2の断裁場所へと移送可能である。印刷製品は、第2の断裁場所における断裁動作が実行された後には、第3のフォーマットの余白に関する断裁動作が行われる第3の断裁場所へと移送可能である。1つの断裁場所から次の断裁場所への印刷製品の移送は、少なくとも1つの搬送ユニットを用いて実行されるが、そこではこの搬送ユニットが、印刷製品を背側で捕捉して、1つの断裁場所から次の場所へと吊り下げられた状態で輸送するようになっている、少なくとも1つの手段を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】国際公開第2016/168945号
【文献】独国特許出願公開第102011105253号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1504860号明細書
【文献】特開2012-218114号公報
【文献】欧州特許出願公開第1647373号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の根底にあるのは、三方断裁機として構成される装置を得るという課題であり、更にその上に本発明の根底にあるのは、そのような三方断裁機として構成される装置の作動方法を説明するという課題である。したがって本発明の課題は、フォーマット及び厚さの異同を問わず、印刷製品を、高い断裁性能及び断裁品質で連続的に処理することが可能な状況とすることにあり、定義に従ってフォーマット上で断裁することである。本発明に従った三方断裁機及びその作動方式は、仮綴じ本を束ねたもの(Stapel von Broschueren)の化粧裁ちを、中本の場合と同じ手順で行うのにも適したものとなっている。
【0020】
したがってこの三方断裁機は、書籍、小冊子、雑誌等の印刷製品のページの余白とも呼ばれる、綴じられていないフォーマットの余白の化粧裁ちのために導入されるものであり、以下では便宜上「印刷製品」という用語を主に用いるほか、「中本」又は「仮綴じ本」といった用語も逐一用いるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に従った三方断裁機により、ある1つのフォーマットを次のフォーマットに切り替えるための停止を不要として、最少1冊までの少数部数の確実な処理を実現することができる。例えばこの三方断裁機には、サイズが異なる様々なフォーマットの中本を供給可能である、及び/又は、余白で切り落とされる切れ端(Abschnitt)の大きさを変えることにより、仕上げ寸法の異なる中本を作製することができる。
【0022】
本発明は、課題によれば、印刷製品が、第1のページの余白に関する断裁動作がとり行われる第1の断裁場所から、第2のページの余白に関する断裁動作がとり行われる第2の断裁場所に移送されるようになっており、この第2の断裁場所における断裁動作が実行された後には、印刷製品が、第3のページの余白に関する断裁動作がとり行われる第3の断裁場所に供給されるようになっており、1つの印刷場所から次の印刷場所への印刷製品の移送が、少なくとも1つの搬送ユニットによって成し遂げられるようになっている、装置により解決される。
【0023】
本発明に従った三方断裁機の経済性を高いまま維持するために、フォーマットの切替えは、機械の運転中に、好適には印刷製品の搬入搬出のために利用できる時間の間に、行われるようになっている。
【0024】
その際には、断裁後の印刷製品が皆、その寸法安定性に関する要求を充足できるようにするために、1つのフォーマットから次のフォーマットへの切替えを、寸法に関して正確に行う必要がある。
【0025】
例え印刷原稿の部数が1部だけであったとしても、本発明に従った三方断裁機を使用できるようにする以上、本発明に従った三方断裁機では、1回限りしか存在しない原稿であれ、100%の信頼性で断裁が行われるように、目標を見定める必要がある。
【0026】
本発明の更にもう1つの重要な長所は、三方断裁機の構造がシンプルで作動信頼性に優れた設計となっているために、例え補助要員であってもこれを操作することが可能である点に見出すことができる。
【0027】
本発明に従った三方断裁機により、断裁後の印刷製品の寸法安定性、及び夫々の印刷製品の小口側及び背側の面に対して平行若しくは直角に真っ直ぐ延びる断裁面が保証されていることが保障されている。
【0028】
したがって本発明に従った三方断裁機により、例え印刷製品がかなり厚いものであったとしても、少なくとも1つのプレス装置により印刷製品を最初のページと最後のページとの間で可能な限り面全体にわたり挟み付けて(einspannen)、その間に未処理の綴じられていないページの余白において断裁動作を行い、それによりこの断裁動作の時に、品質を低下させる「サギング(Nasenbildung)」が断裁後の中本に生じる怖れを排除できるようにすることによって、高い断裁品質が保障されることになる。印刷製品のこの面全体にわたる捕捉は、必要時には複数のプレス・プレートにより、又は例えばセグメント化されたプレス・プレートにより、又は個別に作動可能な複数のプレス要素により、達成されてもよい。
【0029】
そこでは印刷製品が、横に寝かせた状態で、綴じ処理が施された背を先にして、概ね等ピッチで、コンベヤベルトを介して、三方断裁機に供給されるようになっている。この概ね一様なピッチは、印刷製品を三方断裁機のコンベヤベルトに周期的に供給することによって与えられるか、又はコンベヤベルトの上流側でそれ自体としては公知である装置及び方法によって、そのような供給が生み出されるようになっている。
【0030】
別の実施形態においては、印刷製品が三方断裁機のコンベヤベルトに不規則なピッチで供給されるようになっている。任意のクロック発生装置により、最小ピッチ(先行する冊子の背の際(Buchrueckenkante)から後続製品の冊子の背の際までの距離)を下回ることがないように配慮している。1つのセンサにより、印刷製品が三方断裁機のコンベヤベルトにいつ到着したかが検出される。
【0031】
ここで、印刷製品間の距離がこの最小ピッチを上回る場合には、第1の好適な変形実施形態として、三方断裁機のプロセスの最中にある印刷製品が仕上がってから、フィードが再開されるように設けられてもよい。別のオプションとして、コントローラにより三方断裁機の速度を低下させ、三方断裁機を印刷製品のクロック周期に同期化させるようにしてもよい。この時にピッチがある1つの最大量を上回る場合には、同様にオプションとして、コントローラにより三方断裁機にアイドル周期が生成されるようにしてもよい。
【0032】
搬送ユニットは実質的に、印刷製品と関連している少なくとも1つのグリッパを末端側に実装した少なくとも1つのキャリッジから成っており、そこではこのグリッパが、化粧裁ちの対象である印刷製品を冊子の背側で捕捉することによって、この印刷製品は吊り下げられた状態で輸送されるが、その際にこのキャリッジ及びグリッパは、断裁場所に向かう際に用いる基礎として、コントローラに支援されて、次の並進運動:
i)第1の断裁場所のところで最初の断裁動作が完了した後に、キャリッジのグリッパにより印刷製品を引き取る運動;
ii)第1の断裁場所のところで断裁動作が行われた後に、これと同じキャリッジ/グリッパによりこの印刷製品を第2の断裁場所に移送する運動;
iii)第2の断裁場所のところで断裁動作が行われた後に、これと同じキャリッジ/グリッパによりこの印刷製品を第3の断裁動作のための第3の断裁場所に移送する運動;その後で、
iv)第1の断裁場所のところで最初の断裁動作が実行されて完了した後に、次に持ち込まれる印刷製品を新たに引き取るために、このキャリッジ/グリッパが第1の断裁場所のところの初期位置に戻る運動;
を行うようになっている。
【0033】
更にもう1つの変形形態として、搬送ユニットは、化粧裁ちの対象である印刷製品を同様に冊子の背側で、即ち吊り下げた状態で、捕捉するようになっているグリッパが夫々1つずつ備えられた、印刷製品と関連している2つのキャリッジから成ってもよいが、そこではこれらのキャリッジが、夫々に付属しているグリッパとともに、作動時には互いに協働するように接続されており、その際にこれらのキャリッジ及びグリッパは、断裁場所に向かう際に用いる基礎として、コントローラに支援されて、次の並進運動:
i)第1の断裁場所のところで最初の断裁動作が行われた後に、第1のキャリッジの第1のグリッパにより印刷製品を引き取る運動:
ii)この第1のキャリッジ/グリッパが、この印刷製品を第2の断裁場所に移送して、そこで第2の断裁動作を実行するためにこの印刷製品の位置決めを行ってから、引き続いて第1の断裁場所のところの初期位置に引き返して、そこで、この第1の断裁場所のところで最初の断裁動作が実行された後に、次に持ち込まれる印刷製品を新たに引き取る運動;
iii)その間に第2のキャリッジの第2のグリッパが、第2の断裁場所のところで断裁動作が終了した直後に印刷製品を引き取って、これを第3の断裁動作がとり行われる第3の断裁場所に移送する運動;
iv)その後で第2のキャリッジが、第2のグリッパと共に、第1のキャリッジ/グリッパにより既に再び持ち込まれて、化粧裁ちが既に行われている印刷製品が、引き取られて第3の断裁場所に移送されるために待機している、第2の断裁場所に引き返す運動;
を行うようになっている。
【0034】
1つのキャリッジを用いて作動する場合にも、また2つのキャリッジを用いて作動する場合にも、第1の断裁場所においては通例印刷製品の天の部分の化粧裁ちが行われ、第2の断裁場所においては小口の部分の、第3の断裁場所においては地の部分の化粧裁ちが行われるようになっている。
【0035】
1つの断裁場所から次の断裁場所への印刷製品を搬送する更にもう1つの搬送ユニットが、少なくとも2つ、3つのキャリッジが、実質的に円形の、又は環状に取り廻された、又は楕円形に類似した、1つのコースに沿って行き来するようになっているが、そこではこの機能的な周回コースが、1つの前側の軌道と、これに対して実質的に平行に延びる1つの後側の軌道とから成っており、両方の軌道は、左右各1つのR部によって互いの中へと移行している。前側の軌道は、キャリッジを直線的又は略直線的に断裁場所を経由して案内するために利用される。このコースに沿って置かれるキャリッジの個数は、最大許容クロック周期により決まるようになっており、換言すると夫々のキャリッジは、1つの印刷製品を主導的に引き取って、これを、上述の実施形態において意図されているような引渡しをせずに、3つの断裁場所を介して案内するようになっている。生産量を最大限化するために、キャリッジが互いの間隔を詰めて連続するように、クロック周期は定められるが、キャリッジの相互間の距離は、個々の断裁動作のために要求される時間によって左右される関係上、通例は2つ、3つ又はそれ以上のキャリッジが使用されるようになっている。例えば最後の断裁動作から後側の軌道に沿って最初の断裁動作に戻る際にキャリッジが加速化されるようにした場合には、キャリッジの個数の低減を達成することができる。したがってこのような段取りを取ることによって、キャリッジが行き来することにより、断裁場所ごとに固有の印刷製品を引き渡したり引き取ったりするという中間的な工程を回避することができる。その反面、高い生産量を維持するためには通例、周回するキャリッジの個数を増やすことが考慮されるが、しかしそれと同時に、楕円形に類似したコースのインフラストラクチャについても、要求度が増すことになる。
【0036】
印刷製品の化粧裁ちを中央方式で行うためには、即ち、1箇所の断裁場所のところだけで3種類の断裁動作を遂行する場合には、即ち、印刷製品の引取りと、中央断裁場所へのこの印刷製品の供給とそれに続く引渡しを、同じ1つのキャリッジによって行う場合には、そのような楕円形に類似したコースを特徴とする搬送変形形態を基礎として良好に用いることができる。その場合は、有利にはこのキャリッジが、新たな印刷製品を引き取るための帰還を、それ迄に辿ってきた前側の軌道を引き返すことによって生産の流れを阻害する怖れを生じてしまうのではなくて、むしろそのまま後側の軌道を辿り先に進むことによって、行うようになっている。
【0037】
1箇所の中央断裁場所のところだけで印刷製品のフォーマットの余白全ての断裁を行う場合は、その限りにおいて、好適には次の運動学的経過を考慮すべきである:
【0038】
1つの定置式クランプ装置の内部で、印刷製品の位置決めが形状同士の係合により規定通りに行われた状態となると直ちに、1つのプレス・ユニット(Pressaggregat)、好適には1つのプレス・ガーダ(Pressbalken)によって印刷製品はクランプ装置の固定壁に対して最終的にプレスされて、それにより断裁動作に備えて固定されるようになっている。このプレス・ガーダは、1つのサーボ・ドライブにより1本のラインを介して制御される1つのサーボ・モータに動力が伝達されるように接続された1つのスピンドルの下端部に配置されていると好適である。このサーボ・ドライブは、更にもう1本の信号ラインを介して、プレス・ガーダの位置を検出する1つのセンサに接続されている。
【0039】
このスピンドルの回転によって、プレス・ガーダは印刷製品に向かって移動される。サーボ・ドライブは、それ以外にも1つの上位コントローラに接続されている。印刷製品は、一旦最終的に固定される、引き続いて、略して刃物と呼ぶ1つの断裁工具を用いて、小口のところで化粧裁ちされて、それに次いで2つの天地刃(Seitenmesser)を用いて、天地のところで化粧裁ちされる。断裁順序については、それとは逆の、天地の断裁の後に小口の化粧裁ち、としてもよい。言うまでもないが、刃物同士の衝突を阻止できるようにするためには、天地刃とそれらに付属している夫々のプレス・ガーダの運動が、小口刃(Frontmesser)とそれに付属している夫々のプレス・ガーダの運動に対してシフトされているようにレイアウトする必要がある。このため天地刃による断裁が行われたら直ちに、局所的なプレッシング(クランプ装置、プレス・ガーダ)が終了されて、断裁後の印刷製品は運び出されるようになっている。
【0040】
本発明に従った三方断裁機自体においては、上述の運動経過を、特に最初の化粧裁ちが常に天の部分で行われるとされる、第1及び第3の断裁場所の加工順序に関する部分については、必ずしも所定のまま踏襲することが要求される訳ではなく、それよりもむしろ、本発明に従って基礎として用いられることになる並進運動が、順序に関して最適な形で行われるようにするためにも、第1の断裁場所のところで印刷製品の地の部分、次いで第3の断裁場所のところで天の部分を加工し、第2の断裁場所のところでは、それ迄と同様小口の部分の化粧裁ちが行われるようにすることも、問題なく可能である。
【0041】
第1の断裁場所のところで、天地いずれの部分を加工するかは、印刷製品の三方断裁機へのフィード方式がどのようにお膳立てされるかにより、換言すると、コンベヤベルト上の印刷製品が、表紙側(Lesevorderseite)を上に向けているのかそれとも下に向けているのかにより決まる。いずれのケースとも、三方断裁機への搬送時には、印刷製品の背側が先行することになる。そのような(天地の部分の)切替えを遂行する場合は、特に天の部分と地の部分とで加工時に切り落とされる切れ端の長さが異なる場合には、切り落とされなければならない切れ端に関して、制御技術上の然るべき段取りが取られていることが保障されなければならない。
【0042】
したがって、1つ又は複数のグリッパの並進運動によって、2つ若しくは3つの作業平面、具体的には:
-1つの断裁場所から次の断裁場所への印刷製品の移送により特徴付けられる、第1の作業平面(X);
-夫々の断裁場所のところでの印刷製品の積み卸しにより特徴付けられる、第2の作業平面(Y);
-断裁場所のところの印刷製品と関連している定置式クランプ装置に対する、キャリッジ/グリッパの横方向適合化(laterale Anpassung)(オフセット運動)により特徴付けられる、第3の作業平面(Z)、その際にこの横方向適合化は、予め固定値として設定されているか、又はオプションとして制御されながら使用されるようにしてもよい;
が捕捉されるようになっている。
【0043】
グリッパ自体には、印刷製品と関連しているクランプ・ジョーが末端側に実装されているが、そこでは上述のグリッパ若しくは1つ又は複数のキャリッジが、断裁場所において、上述の全ての作業平面(X,Y,Z)内に更にもう1つの並進自由度を有している。そこでは夫々の印刷製品の把持が、可能な限りその重心のところで行われる、及び/又は、印刷製品を把持する地点が、綴じられていないページの余白(天、小口、地)のところで切り落とされなければならない切れ端に応じて、幾何学的に最善の場所と合致するようになっているが、後者の可能性については、印刷製品の理論重心に対して、中程度の偏差から著しい偏差まで、様々な偏差があり得るようになっている。
【0044】
基本的にクランプ装置は、次の基準に従って作動される:
a)1つのクランプ装置に付属しているクランプ・ジョーは、圧着による挟持効果(Klemmwirkung)をもたらすように作動する1つの駆動部に、直接又は間接的にこれと協働するように接続されており、その際にこの駆動部により案内されるクランプ・ジョーは、加工対象である夫々の印刷製品の任意のフォーマット・サイズ(Formatauspraegung)に対して位置合わせが行われている、調整式及び/又は予測制御式のストローク・プロファイル(Hubprofil)及び圧着プロファイル(Kraftschlussprofil)を有している。したがってクランプ・ジョーにより実施される圧着運動プロファイル(kraftschluessige Bewegungsprofil)によって、印刷製品の背の中央線に対して対称又は略対称に印刷製品を捕捉することができる。更に、これらのクランプ・ジョーを用いて、少なくとも動作期の間には、相互調整が図られた、一様な、又は一様ではない、又は適応型の速度プロファイル及び/又は運動プロファイルによって、印刷製品に一定の挟持力(Kremmkraft)を加え得ることを、達成することができる。
b)1つのプレス要素によって片側だけからプレス力(Presskraft)を加える場合にも、1つのクランプ装置の両方のクランプ要素の相互調整が図られた、一様な、又は一様ではない、又は適応型の速度プロファイル及び/又は運動プロファイルが設けられてもよい。断裁動作の品質保証という意味でこれに当該するのがプレス・ガーダであるが、これは、決められた基準に従った進捗方法で印刷製品にプレス力が加えられることになるように、刃物に直接協働するように接続されている。このプレス・ガーダの速度プロファイルは、印刷製品に初めて接触した直後に、別のモードに移されてもよい。これは印刷製品へ伝播される力(Kraftentfalttung)についても同様であり、これは、設定に応じて、連続的に単調(sukuzessiv monoton)又は略単調(quasi-monoton)に増減するように行われてもよい。即ち力を伝搬する際には、例えば恐らくは少し肥厚化しているであろう印刷製品の背の部分を痛めないようにする目的で、特性曲線がプレッシングの終わりにかけてある程度の屈曲を呈することが要求されている場合には、例えば伝搬される力が、単調に増大する特性曲線から、コンデンサの充電原理に準じた特性曲線へと移行できるようにする、相応の制御プロファイルを起動することによって、これがもたらされるようにしてもよい。したがってその場合は、中間的又は包括的に使用される、指数関数的な伝播される力を備えることが、問題なく可能となる。
【0045】
三方断裁機の断裁ステーションは、断裁場所のところで、化粧裁ちされることになる印刷製品を基本的に捕捉して、これに加えられるプレス力を発生させる責任を持つ、少なくとも1つの、定置式、又は準定置式、又は可動式の、力を作用させるクランプ装置に、これと協働するように接続されているが、そこではこのクランプ装置が、印刷製品のフォーマット・サイズに合わせて調整されている、即ち、このクランプ装置は、1つの最適化された固定式押圧面を有している、又は、作動の過程で同期適合化によりその時々の印刷製品のフォーマット・サイズに合わせてこれを調整できるようになっている。
【0046】
そのようなクランプ装置によって断裁動作の間に印刷製品に加えられる力、即ち使用されなければならないプレス力は、グリッパのクランプ・ジョーによって印刷製品に加えられる閉止力よりも、力に関して優位に作用するようになっているために、印刷製品は、全断裁動作の間、その時々のクランプ装置から出されるプレス力によって、動かないように位置決めされた状態に留まるようになっている。
【0047】
グリッパのクランプ・ジョーの閉止力は、グリッパが断裁動作の場所に留まる限り、クランプ装置から印刷製品に加えられるプレス力及びそのベクトルに影響を及ぼすことはない。これは、クランプ装置のプレス力が、グリッパのクランプ・ジョーの閉止力よりも、効き目に関しても力に関しても無条件で優位な挙動を示すことを意味している。
【0048】
三方断裁機の内部の少なくとも1つのクランプ装置は、互いに対して力を加え合う閉止運動を少なくとも1回は実施するようになっている、2つのクランプ・ジョーから成ってもよい。それ以外にも、いずれかの適切な断裁場所にある少なくとも更にもう1つのクランプ装置が、印刷製品のプレス面(Pressflaeche)にプレス力を加えるようになっている、互いに接続された状態にある複数の個々のプレス・バーから成ってもよいが、そこではこれらのプレス・バーが、全体で1つのプレス・バー・セット(Pressleistenbatterie)を形成するようになっている。
【0049】
本発明によれば、まず最初に1つのフィード装置(その構成方式によりインフィード・ホイール(Einschubrad)若しくはスパイダ・ホイール(Sternfoermiges Rad)とも呼ばれる)に、これと協働するように、第1の断裁場所のところで第1の断裁動作部が接続されている。このフィード装置は基本的に任意の四分割式ホイールの形態を有しているが、これについてはそれ以外にも様々な分割方式が考えられる。懸案となっているのが、綴じてひとまとめにされた中本(zusammenhaengender Buchblock)の輸送である場合には、そのような多分割式フィード装置の機能方式が次のようなものなる:
【0050】
フィード装置が初回の90°の回転を行う間に、1つの可倒式のレーキ状(rechenartig)ガイドが中本に向かって旋回されることによって、中本は、90°回転した後には、背を下にして立った姿勢で、ページが扇状に開く及び/又は倒れることがないように防止される。このレーキ状ガイドは、フィード装置の内部で作用する1つのクランプ・ユニット(Klemmaggregat)と連結されており、このクランプ・ユニットは、中本を、背を下にして立った姿勢で、短時間挟持するようになっている。このクランプ・ユニットは、レーキ状ガイドが中本の厚さに従属した位置に移送されるように、運動学的に設計されている。この状況において、クランプ・ユニットが小さく開く動作をとり行うことによって、中本は重力に追従して、フィード装置の当該ステーションの内部の1つのストップ面の上に、その背を合わせるようになっている。その後クランプ・ユニットは改めて閉じて、それを受けて中本は、更に別のプロセスのためのある1つの定義済みの位置に保持される。
【0051】
その後フィード装置、即ちインフィード・ホイールは、2サイクル分、夫々90°ずつ更に回転して、中本を、この時には吊り下げられている状況へと持って行く。この回転運動の間に、第1のレーキ状ガイド及びこれと協働するように接続されている1つの第2のガイドが中本から遠ざかるように旋回されることによって、中本がその背の領域で上述のクランプ・ユニットにより保持される一方で、中本の自由な状態にあるページ又は折丁は、重力だけに起因して鉛直下向きに垂れ下がるようになっている。
【0052】
他にも2つ又はそれ以上の仮綴じ本から成っている印刷製品用の、本発明に従った装置のこのフィード装置は、同様に1つのそのような四分割式フィード装置から形成されたものであってもよいが、その場合はこのフィード装置の機能方式は次のようなものとなる:
【0053】
フィード装置が初回の90°の回転を行う間に、1つの可倒式のレーキ状ガイドが仮綴じ本に向かって旋回されることによって、これらの仮綴じ本は、90°回転した後には、背を下にして立った姿勢で、ページが扇状に開く及び/又は倒れることがないように防止される。このレーキ状ガイドは、フィード装置の内部で作用する、1つのクランプ・ユニットに連結されており、このクランプ・ユニットは、仮綴じ本を、背を下にして立った姿勢で短時間挟持するようになっている;このクランプ・ユニットは、レーキ状ガイドが厚さに従属した位置に移送されるように、運動学的に設計されている。その後でクランプ・ユニットが再度少し開くことによって、仮綴じ本は重力に追従して、フィード装置の1つのストップ面の上に、背を合わせるようになっている、及び/又は、この工程の間に機械式の補助手段及び/又は振動を誘発する補助手段が介入して、仮綴じ本の位置合わせを行って、フォーマットが統一された1つの中本が得られるようにしている。その後クランプ・ユニットは改めて閉じて、それを受けて仮綴じ本は、同じ1つの定義済みの位置に保持される。
【0054】
その後フィード装置は、2サイクル分、夫々90°ずつ更に回転して、仮綴じ本をこの時には吊り下げられた状態へと持って行く。この回転運動の間に、第1のレーキ状ガイド及びこれと協働するように接続されている1つの第2のガイドが仮綴じ本から遠ざかるように旋回されることによって、これらの仮綴じ本が背の領域でクランプ・ユニットにより保持される一方で、仮綴じ本の自由な状態にあるページ又は折本は、重力だけに起因して鉛直下向きに垂れ下がるようになっている。
【0055】
他方では、第1の断裁場所の領域内で、このフィード装置には、クランプ・ジョーを実装した、1つの可動式の搬送クランプ(Transportklammer)と動作に関してこれと協働するように接続されているが、この搬送クランプは、上述のクランプ装置の機能を果たすようになっており、更に、印刷製品をフィード装置から上述の運動学に従って引き取って、これを第1の断裁動作部に供給するようになっている。
【0056】
このフィード装置には、1つのむら取りスライダ(Buendigschieber)がこれと協働するように接続されているが、これは、そのストップ面に対して中本の確実な位置決めを達成するために、上記で既に解説した様々な措置の補足として利用されるものである。
【0057】
一方では、個々の冊子(Einzelbuch)においても、また仮綴じ本を束ねたものにおいても、フィード装置の内部で、予め固定して与えられている1つの支持面(Auflageflaeche)に対して印刷製品の背側の位置合わせを行うための基礎として、1つのストップ面が用いられるようになっている。他方では、印刷製品の天側及び/又は地側で、初回の断裁動作に先立ち、流れの向きに沿って、印刷製品の相応に縦に長く垂れ下がった位置決め(haengende laengliche Positionierung)が保障されることを保障しなければならない。
【0058】
個々の冊子については、天側若しくは地側の部分の領域内の、表紙のオーバハング部(ueberhaengender Umschlag)の外縁部(aeussere Kante)、若しくは中本自体の外縁部に応答するようになっている1つのセンサが、搬送クランプ装置によるフィード装置からの個々の冊子のフォーマットに応じた引取り方法をつかさどる限り、そのような位置決めが成されることになる。それにより、中本についてはそこで断裁された切り屑(Span)が、ある一定の調整が図られたサイズ(abgestimmte Groesse)を有することを達成している。
【0059】
個々の仮綴じ本(einzelne Broschuere)を束ねたものから成るパイル(Paket)については、初回の断裁動作に先立ち、このパイルの断裁場所側の余白の画一的な位置合わせを保障する側方手段(seitliche Mittel)が設けられなければならない。
【0060】
要約すると、このフィード装置の機能は、可倒式のレーキ状仕様の1つのガイドを中本に向かって旋回させることによって、中本が90°回転された後には背を下にして立った姿勢で、ページが扇状に開いたり倒れたりし得ないようにする点にある。このレーキ状ガイドは1つのクランプ・ユニットに連結されており、このクランプ・ユニットは、中本を、背を下にして立った姿勢で短時間挟持するようになっており、また運動学的には、このレーキ状ガイドが本の厚さに従属した位置に移送可能であるように、設計されている。その後クランプ・ユニットが再度少しだけ開くことによって、中本又は仮綴じ本が、重力に追従して、その中本の背側によって、フィード装置のストップ面にならって位置合わせを行う可能性を得ている。その後でクランプ・ユニットは改めて閉じて、それを受けて中本はある1つの定義済みの位置に保持された状態となる。
【0061】
したがってそれ自体が最適化されているこの手順によって、印刷製品の背側が、それに続く断裁動作にとり決定的な意味を持つある1つの定義済みの位置を取るという保証がもたらされることになる。
【0062】
それにもかかわらず、印刷製品の構成方式、特にその中本の背の構成方式がまちまちである場合には、模索される付属のストップ面に対する中本の背側のこの定義済みの位置を保障するためにも、重力を利用するだけでは間に合わないようなケースにおいて講じることが求められる追加措置(鉛直平面及び水平平面内で作用する、むら取りスライダ)が設けられると、定性的な観点からは適切である。
【0063】
この事実との関連では、印刷製品、特に中本が、大抵のケースにおいては、三方全て(天、地、小口の部分)に、断裁余白により取り囲まれた本体部(eingefasster Koerper)に対してかなり大きなオーバハング部を有している1つの表紙を用いて仕立てられていることを想定しておかなければならない。このオーバハングは、それ自体としては断裁工程にとり何ら制約を加えるものではないが、しかし夫々異なる断裁動作部の内部で印刷製品の化粧裁ちを精確に行うためにも、補助センサを用いて、このオーバハング部が検出されるようにする必要がある。ロジスティクス上の観点に基づくと、できるだけ等しいサイズの表紙を用いて作業が行われると有利であり、それにより様々な中本フォーマットの幅広い帯域を検出することが可能となる。即ち大多数においては、比較的大きなオーバハング部での作業が行われるものと想定できるようになっている。
【0064】
天、地及び小口の部分の領域に大きなオーバハング部を持つ表紙の場合にも、中本の背側とフィード装置の内部に設けられたストップ面との間の確実な定義済みの位置を成し遂げる目的で、従来技術を本発明に従って充実させるために、クランプ・ユニットが少しの間開いている間に、印刷製品に作用する重力を利用する目的で、それに更に追加して、必要な押圧力(Andruckkraft)を、表紙のオーバハング部を介して直接又は間接的に断裁余白により取り囲まれた印刷製品に加えられるようになっている、少なくとも1つの妥当なむら取りスライダを用いて、介入することによって、印刷製品の少なくとも背側が、確実に付属のストップ面の上に載置されるようにすることが提案される。
【0065】
この目的のために、中本の小口側の両方の表紙オーバハング部は、押圧平面内に角度に関して最適に位置合わせが行われた1つのブラシ・コーム(Buerstenkamm)によって、又はそれ以外の可撓性を示す機械式又は空気圧式に動作制御される手段によって、捕捉されることにより、その結果として生じる押圧力が、表紙オーバハング部を介して印刷製品の本体部に伝達されることによって、その後には印刷製品がフィード装置の内部に設置されているストップ面の上に確実に載置されるようにしている。
【0066】
ブラシ・コームの例をとると、これは、その材料の可撓性に関して、両方の表紙のオーバハング部の間に生じているブラシ・コームの自由な部分領域が、鉛直方向又は略鉛直方向の押圧運動により、それに更に追加して、中本の小口の部分のところまで侵入可能であって、そこで、補助的又は優位な押圧力を伝播することができるように、構成されている。
【0067】
基本的には、異なる仮綴じ本からパイルが成る場合にも、1つの単一平面(einheitliche Ebene)を形成するために、妥当な手段により行われるようになっている、印刷製品の天の部分又は地の部分に側方から加えられる押圧力を生成することによって、その後に1つのセンサによって、搬送クランプ装置の内部でこの単一端面(einheitliche Kante)のそのような最適な位置決めを得ようとする場合にも、上述の手順が設けられてもよい。
【0068】
第2の断裁場所のところのクランプ装置は、本発明によれば、上記で既に言及したように、印刷製品のプレス面の両側に配置されているプレス・バーとなっているが、これらのプレス・バーは、印刷製品を、少なくとも片側からは同期方式又は逐次的に押圧するようになっている。
【0069】
両側での動作のために使用されるこれらのプレス・バーの本数は、加工対象である印刷製品のフォーマット・サイズに夫々従属して、制御技術を駆使して確定されるが、これについては、使用が許可されたプレス・バーが、同じ大きさの力であれ、制御されて段階的に伝播される力であれ、印刷製品にプレス力を加えるために、互いに向かって運動を実施するようにしてもよい。
【0070】
プレス・バーが印刷製品に逐次的に作用する場合は、印刷製品の背の領域内にある第1のプレス・バーを用いて、プレス効果(Presswirkung)、即ちプレス力の伝播が開始され、その後連続して、逐次的又は半逐次的(semi-subsequent)な順序で、概ね断裁対象である小口側の余白の領域内に入るところまで、プレス・バーによる押圧が続行される。
【0071】
印刷製品のフォーマットに沿ってプレス・バーを逐次方式により制御しながら動作させることによって、他にも、印刷製品のページ又は折丁の間にトラップされた空気が連続的に絞り出されて、最後には中本が申し分のない一貫した厚さに達することをもたらしている。そうなって初めて、特に印刷製品の小口側の余白に向けた断裁動作を好首尾に実行することができる。それ以外の様々な断裁動作についても、相応しいクランプ装置を用いることにより、上述の手順を実行することができる。
【0072】
クランプ・ジョーに基づくものであれ、プレス・バーに基づくものであれ、使用されることになるクランプ装置の種類に関係なく、更にそれに追加してプレス・ガーダを使用することによって、断裁動作の領域内で印刷製品の最終的な押圧が直接行われることになり、それにより、その断裁動作にとって極限最適状況が達成されることになる。
【0073】
第3の断裁場所のところで行われる第3の断裁動作の領域内では、一種の4クランプ・システムにならって構成された、力を加えるクランプ装置が、更にもう1つ使用されるが、これについては、それ以外の分割方式も考えられる。既に論じたクランプ装置に対する言葉の上での相克を解消するために、これについては以下では4クランプ・システムと呼ぶものとする。この4クランプ・システムは、同時に、直接又は間接的に、印刷製品と関連している一種の搬出装置の機能を充足するようになっている。
【0074】
この第3の断裁動作の下流側には、更にそれに追加して、直接又は間接的に、この搬出装置と協働するように接続される1つの不良品選別装置が設けられ、それにより、生産された印刷製品に不良が検出されると、それを不良品として選別排除することができるように配慮しているが、これについては、選別されることになる印刷製品を、決定的な不良品と条件付きの不良品とで区別するようにした場合は、その限りにおいて、更に細かい選別が可能となる。
【0075】
この不良品選別装置については、一種のクロス・マニホールド(Kreuzverteiler)技術によって、変形実施形態の一例を達成できるかもしれない。「良品」の印刷製品(冊子)を通すために、選別用に設けられた複数の係合式ローラ(eingreifende Rolle)が、複数の縦ベルトにより構成された1つの面の下側のある程度の深さのところに位置決めされている。搬出される冊子が「良品」である限り、これらのローラは非アクティブ状態のままとなる。しかし組み込まれているセンサによって、冊子に何らかの品質損失(Qualitaetseomfisse)があると判定されると、正確にこの判定された製品だけを選別排除する排出(Ausschleusung)が起動されるようになっている。そのようなケースでは、それまで非アクティブ状態だったローラが、当該製品を排出するために上昇されることによって、介入してくる。これらの製品の排出は、不良品として選別排除しなければならない製品が、決定的な不良品であるのか、それとも条件付きの不良品であるのかに応じて、左又は右に向かって行われるようになっている。条件付きで選別された印刷製品については、尚も修理可能であると想定される。この不良品選別装置は、そのようなクロス・マニホールドに限定されるものではない。
【0076】
本発明に従った装置の、中本もまた仮綴じ本も受け入れて、新たな処理を提供することができるこの4クランプ・システムは、次の基準に基づいて作動される:
【0077】
第3の断裁動作のためにこの4クランプ・システム内に持ち込まれる中本又は仮綴じ本は、第3の断裁場所のところで行われる断裁工程の間に、この4クランプ・システムに付属している1つの可動式クランプ・ジョーと、1つの固定式クランプ・ジョーとの間でプレスされる。
【0078】
この第3の断裁場所のところで断裁動作が実行された後に、この回転式4クランプ・システムは、クロック周期の間に90°ずつ移動して、それと同時に1つのクランプも、中本又は仮綴じ本と一緒に、この第3の断裁場所のところで行われる刃物の運動に対して直角に刃物から遠ざかるように移動する。続いてこの中本又はこれらの仮綴じ本は、その姿勢のまま4クランプ・システムから搬出されて、1つのコンベヤベルトに引き渡される。
【0079】
三方断裁機の断裁場所内で行われる断裁動作は、印刷製品の個々の綴じられていないページの余白の化粧裁ちに関して、各々1つの個別に駆動される断裁装置を用いて実行されるが、その際には少なくとも1つの断裁装置が、1つの単動型断裁刃物を用いて作動されるようになっている。
【0080】
この断裁装置は、好適にもモジュール式に構成されて、中本の天、小口、及び地の余白の化粧裁ちを行うための少なくとも3つの断裁ステーションから成るが、これらの断裁ステーションは、U字形状に、U字の開口側を下にして配置されている。更に断裁動作部は、場所ごとに夫々少なくとも1つずつ配置されるプレス・ガーダと協働するように接続されているが、その際にこのプレス・ガーダは、U字形の内側の平面に対して作用するようになっている。この下向きのU字形の構成によって、中本又は仮綴じ本の断裁された切れ端が全て、下に落下するようにしている。
【0081】
それ以外にも本発明に従った三方断裁機は、公知である三方断裁機に対して次の長所を有している:
【0082】
個々の断裁動作の間には、印刷製品が、構成方式が異なるクランプ装置(クランプ・ジョー又はプレス・バー・セット)により、更にそれに追加して既に言及したプレス・ガーダによるプレス効果を受けながら、プレスされるが、それにより印刷製品は、夫々の断裁動作に際して、略その面全体にわたり捕捉されることになる。印刷製品が捕捉されないのは、唯一背の領域内だけとなる。これは、別にクリティカルなことではない、というのも、夫々に使用された背の綴じ方(糸綴じ、無線綴じ、中綴じ等)によって、印刷製品は、この領域内では綴じられた状態に十分に保持される一方で、使用されるクランプ・ジョー又はプレス・バーによって、印刷製品は一体のものとして十分に支持されるからである。使用されるプレス・ガーダとの協働で行われる印刷製品のこの面全体にわたるプレスは、高い断裁品質を達成するための前提条件となっている。
【0083】
それにより、本発明に従った殆ど面全体にわたる印刷製品のプレッシングを、簡単な方法により達成している。フォーマットに応じて使用されるウェブ、支持要素、又は支え縁を設ける必要はない。それにより本発明に従った三方断裁機においては、高いクロック周期数で優れた生産能率を達成することができる。
【0084】
本発明に従った三方断裁機を用いて、印刷製品は、吊り下げられた状態で断裁装置の個々の断裁ステーションに搬送されるために、搬送システム内の引渡し地点においては、印刷製品の側面の支持が不要となる。
【0085】
即ち印刷製品は、寝かせた状態で搬送される訳ではないために、支持地点の間で支持面が面全体にわたっていなくとも、冊子のページが撓むことはなく、このため所定の引渡し地点のところで引っ掛かって離れなくなる怖れもない。
【0086】
断裁装置の3つの断裁ステーションは、U字形であって、U字の開口側は下に向けられている。印刷製品の端面のところ、即ち綴じられていない側面のところで、所定の長さに切り落とされることになる切れ端の断裁は、3つの断裁動作(天側、地側、小口側)の全てにおいて、このU字の内側に向かって行われるようになっている。それにより、1つの廃棄処分装置だけを用いて作業を行うことが可能となり、したがって落下した切れ端を全て一緒に「搬出」することができる。これらの切れ端は、重力によって、それ以外の補助手段を不要として、下に落下して、そこで大域的に収集されるか、又は連続式に運び出すことができるようになっている。
【0087】
個々の印刷製品(中本)を工業規模で製造する際には、三方断裁機のところで初めて異なるフォーマットが作り出されることになるケースが非常に多いために、切れ端の良好な廃棄処分は大きな意味を持つ。この場合は、最大の最終フォーマットにサイズを合わせた印刷製品が三方断裁機に供給されることになるが、当然ながらそれよりも大幅に小さな最終フォーマットに仕上げる場合には、切り落とされることになる切れ端も大きくなってしまう。
【0088】
しかしながらカッター・カセットとプレス・プランジャとを備えた三方断裁機においては、広く一般に、冊子の背から天側にかけてのコーナと冊子の背から地側にかけてのコーナに1つずつ、計2つの直角ストッパをあてがって、更に小口側からも1つのストッパを使用することにより、印刷製品の位置合わせが行われるようになっている。様々なフォーマットの印刷製品(中本)を製造する際には、大抵の場合、ある1つの特定のフォーマット範囲を対象として、同じフォーマットの表紙が使用されるようになっている。
【0089】
したがって上述のプレス・ガーダは、その時々の断裁刃物と協働するようにこれに接続されることになるが、それにより、きれいな断裁のために不可欠であるような力が印刷製品に加えられるように配慮している。
【0090】
中心に据えられるのは基本的に次の2つの主要変形実施形態である:一方では、プレス・ガーダと断裁刃物間に、力に関する一種の連結状態が存在している、このため、換言するとプレス・ガーダの力は、ある1つの固定値を有することになるが、その場合は速度プロファイル(プレス速度/加速度)も通例は単調な推移を示すことになる。
【0091】
もう一方の変形実施形態は、断裁刃物から加えられる力とプレス・ガーダから加えられる力が、互いから非連結化されることにあるが、この場合はプレス・ガーダが次の基準に従って作動することになる:
【0092】
プレス・ガーダのところでは、1つのサーボ・ドライブによりサーボ・モータにある1つの相応のトルクを立ち上げることによって、ある一定の力の立ち上げが行われる。厚さの測定結果に基づいて、印刷製品に加えられる最適プレス力が決定されるが、これは保存されている様々な制御プロファイルを用いることにより、容易に行うことができる。同じ1回のジョブ内では、中本の厚さに見られる差が比較的小さいために、基礎として用いられるプレス力特性曲線(Presskraftkennlinie)を定常であると見做すことができる限り、通例は、厚さにある一定の可変性が見られる様々な印刷製品を捕捉するために、1回だけのキャリブレーション(Eichung)で十分である。
【0093】
しかしこれとは逆に、何よりも特に印刷製品がごわごわしている及び/又は薄い場合には、プレス・ストロークを最適化することによって、プレス速度と合わせ何よりも特に加速度の大幅な低減をもたらすことができる点に配慮することが求められる。しかしこのコンセプトの場合は、生産速度に関係なく、1つ又は複数の断裁装置が常に、ここでは断裁速度によって制限された最高速度で仕事をするのではなく、それよりもむしろメカニズムにより決まる様々な限界によって制限された最高速度で仕事をする点で有利である。それに加えて実質的に、断裁工程のためには常に同じ沢山の時間が必要とされるために、機械が低速である場合には、特に搬送、位置合わせ、及びプレスの動作のために、一段と大きなサイクル・タイムを利用することができる点である。
【0094】
ところで、印刷製品の厚さに、ある1つの決められた枠内で変化が見られ、かつこれらの印刷製品が、一種の固定端面処理方式(Fixkantenverarbeitung)により製造される場合には、印刷製品の一番上のページの表紙のはみ出し方が、同じ印刷製品の一番最後のページのはみ出し方とは異なることになる。印刷製品の高さに変化が見られる場合は、その高さに応じて、表紙は印刷製品に対して多少なりともはみ出すことになる。通例印刷製品は、片側については表紙のはみ出し量(Ueberstand)を一定として、その反対側についてははみ出し量を可変として、製造される。カッター・カセットとプレス・プランジャとが備えられる三方断裁機において行われるような中本の位置合わせは、そのような製品の場合は不向きである。
【0095】
これに対して本発明に従った三方断裁機の場合は、断裁がまだ行われていない印刷製品の位置合わせが、地又は天の余白と背の余白のところで行われるようになっている。したがって表紙の可変はみ出し量は、印刷製品の幅と、恐らくは他にも高さに関しては、無関係となる。
【0096】
更にその上に、本発明の課題は、必要時には、即ちシングル・カット(Einzelschnitt)では仕上げ寸法に仕上げることが不可能であり、むしろ例えば品質上の理由から、オプションとして、印刷製品の同じ余白のところで、逐次的に複数回断裁を行うことによって、断裁動作を実行する場合には、逐次的に行われる複数回の断裁動作自体が行われるように、少なくとも1つの断裁場所において行われる断裁動作を制御することにある。
【0097】
デリケートな断裁動作において模索される品質をもたらすために、断裁動作を実行するための装置の制御方式は、装置のオペレータが自ら制御技術を駆使して介入することが可能であり、またそれにより、逐次的に行われる一連の断裁のインプリメンテーションが直接導入されるように、レイアウトされている。
【0098】
即ちオペレータは、オプションとして、特にその目的のために、ダブル・カット(Doppelschnitt)又はマルチ・カット(Mehrfacschnitt)を目指したり、保存されている様々な制御プロファイルを利用して断裁動作を処理させたりすることを選択できるようになっており、そこではこれらの制御プロファイルは、適応制御又は予測制御による制御介入を行うこともできる状況に置かれている。
【0099】
言うまでもないが、多重断裁(Mehrfachschnitt)により常に、装置の当初のクロック周期が一定の低下を蒙るという事態を来してしまう。しかし他方では、この本発明に従って段取りを取ることにより、断裁プロシージャ(Schneidprozedur)を途切れることなく展開可能であることが保障されることになり、このため仕上げ目的での化粧裁ち動作を設ける必要はない。
【0100】
夫々の動作に当該する制御プロファイルの呼び出しは、例えば印刷製品のバーコード内の「マーキング」により与えられている様々な情報により行われるようになっている。したがって、同じ1箇所の断裁場所のところで遂行されなければならない断裁の回数に関する指示は、そのようなマーキングによってコントローラに伝えられることになる。それ以外にも、特殊なケースにおいて、何らかの品質上の損失が直接確認されたために、ダブル・カット若しくはマルチ・カットへの移行が要求される場合には、保存されている更に別の制御プロファイルを介入させることもできる。
【0101】
シングル・カットだけでは目標に到達しないようなケースでは、ダブル・カットが行われることになるが、これは僅かな例外を除いて、切り落とさなければならない余白の幅が極端である場合に限って使用されるようになっている。このため以下では便宜上、このダブル・カットが、オプションとしてシングル・カットを拡張する断裁動作として使用されることになる場合に、ダブル・カット、即ち1回目の断裁(シングル・カット)プラス2回目の断裁(ダブル・カット)、と言うものとする。
【0102】
したがって、ここでダブル・カットのことを話題としていても、それをもって、その断裁動作が最終的に2回の断裁だけに限定される、と言っている訳ではない。即ち以下で便宜上ダブル・カットと呼ばれるものには、連続する一連の断裁も暗に含意されるものとする。
【0103】
任意の印刷製品について、いつダブル・カットに切り替えるべきであるかのボーダーラインは、切り落とされなければならない余白の全幅、印刷製品の合計厚さとフォーマット、紙の性状、表紙の厚さ等々により左右されるのが通例である。
【0104】
ダブル・カットの実行方式は、2回目の断裁が傾向的に最小限化されるものとしてレイアウトされている。いずれにせよ、しわの形成を可能な限り回避すべきであることを肝に銘じると、1回目の断裁によって印刷製品の背側にかかる負荷が、2回目の断裁によってそれにかかる負荷を上回ることは許されないために、両方の断裁工程の間のバランスを見出すことが要求される。
【0105】
本発明に従った装置においては、マルチ・カットを実行するために、印刷製品の天又は地の余白のところで、若しくは小口の余白のところで、続いて行われる2回目の断裁を果たして行うのかどうかを決める前提条件として、フィード方式に違いがあることが必要である。
【0106】
ここでは最初に、天又は側の余白の化粧裁ちを行う必要がある場合は、装置に関して技術的なプロセスがどのように実行されるのかを詳述するものとする。
【0107】
1回目の部分断裁の実行後に、印刷製品は短時間、搬送ユニットのクランプ手段により動かないように確実に保持され、それを受けて、別のクランプ装置に付属しているクランプ・ジョーが少し開かれることによって、印刷製品はこれらのクランプ・ジョーの間に無圧状態で位置決めされた状態となる。
【0108】
この状態で、搬送ユニットに付属しているクランプ・ジョーは、1回目の部分断裁が行われた場所のところで、印刷製品に圧着力(Kraftschluss)を中間的に加えて、クランプ装置のクランプ・ジョーが開いた状態で印刷製品に、場所に関して一時的な位置決め(intertemporaere oertliche Positionierung)をもたらすようになっている。
【0109】
この時間インタバルの間に、クランプ装置の開かれているクランプ・ジョーは、2回目の部分断裁幅に相当する長さの分だけ、後方又は前方に送られる。その後に続いて、装置内における断裁場所の場所に関する位置決めを目指して、前方又は後方に関する運動が繰り返されるが、これは天の部分については好適には前進するように(voranstellend)作用し、地の部分については後退するように(nachstellend)作用するようになっている。断裁場所は位置を固定されている(festpositioniert)ために、印刷製品の入り方によっては、前方に関する運動が印刷製品の地の部分に、後方に関する運動が天の部分に当該するケースも生じることがある。したがって、次の部分断裁動作のための印刷製品のこの再度の送りは、常に断裁刃物に向かって行われるようになっている。
【0110】
いずれのケースにおいても、その長さ分を移動し終えた時には、クランプ装置のクランプ・ジョーにより、搬送ユニットのジョーの開動作と同調して、印刷製品には一定の圧着力が再び加えられるようになっている。
【0111】
この状態で、クランプ装置のこれらのクランプ・ジョーによって挟み込まれた印刷製品は、2回目の部分断裁のために、当該長さ分だけ前方又は後方に変位されるようになっており、それにより印刷製品が再び断裁位置に移送されるようにしている。
【0112】
それに続いて、2回目の部分断裁を開始する直前に、この断裁場所と関連している、印刷製品に極限プレス力を加えるようになっている1つのプレス・ガーダにより、印刷製品の押圧が行われる。
【0113】
2回目の部分断裁が終了した後、プレス・ガーダは断裁工具と時間的に同調して戻され、それを受けてクランプ装置のクランプ・ジョーが開かれて、印刷製品はその後、この断裁場所が第1の断裁場所である場合は、搬送装置により次の断裁場所に輸送されるか、又はこの断裁場所が第3の断裁場所である場合は、搬出装置に後置されている1つの排出装置を介して次工程に送られるようになっている。
【0114】
第2の断裁場所に関しては、小口の部分の2回目の部分断裁を続いて実行するために、プロセス・ステップが次に示すように展開される:
【0115】
1回目の部分断裁の実行後に、印刷製品は短時間、搬送ユニットのクランプ手段により動かないように確実に保持されるが、それを受けて、別のクランプ装置に付属しているクランプ・ジョー又はプレス・バーが少し開かれることによって、印刷製品はこれらのクランプ・ジョー又はプレス・バーの間に無圧状態で位置決めされた状態となる。
【0116】
この時に、1回目の部分断裁が先行して行われた場所で、搬送ユニットに付属しているクランプ・ジョーは、印刷製品に圧着力を中間的に加えており、それにより、クランプ装置のクランプ・ジョーが開いた状態で、一時的に印刷製品の場所の位置決めをもたらすようになっている。
【0117】
この時間インタバルの間に、印刷製品は搬送ユニットにより一定の長さ分だけ鉛直方向に送られたが、この変位量は2回目の部分断裁量に相当する。
【0118】
その長さ分を移動し終えた時には、クランプ装置のクランプ・ジョー又はプレス・バーにより、搬送ユニットに付属しているクランプ・ジョーの開動作と時間的に同調して、印刷製品には一定の圧着力が再び加えられることになる。
【0119】
それに続いて、2回目の部分断裁を開始する直前に、この断裁場所と関連している1つのプレス・ガーダによって、印刷製品の押圧が行われる。
【0120】
1つのサーボ・モータからプレス・ガーダに加えられる力に関して言うと、これは実質的に印刷製品の、少なくとも、
- 冊子のフォーマット;
- 切れ端のサイズ;
- 紙の性状;
- 断裁工具の刃先の鋭さ
- 機械の速度
から成る、様々な値により、左右されるようになっている。
【0121】
品質上の様々な理由から多重断裁(Mehrfachschnitt)に切り替える場合は、印刷製品にできるだけ小さな力を作用させるようにするために、鋭意努力すべきである。既述のように断裁動作においてはプレス・ガーダから極限プレッシングが加えられることから、好適には容易に調節可能な1つのサーボ・モータにより発生されるプレス力が、断裁工具の、即ち刃物の必要な断裁力から切り離されていること、即ちこれらのユニットが両方とも自律的に仕事をすることが極めて重要である。
【0122】
2回目の部分断裁が終了した後、プレス・ガーダは断裁工具と時間的に同調して初期位置に戻されるが、それを受けてクランプ装置のクランプ・ジョー又はプレス・バーが開かれて、印刷製品はその後、搬送装置により次工程に輸送される。
【0123】
印刷製品の綴じられていない余白を化粧裁ちする場合の、更にもう1つの変形実施形態は、少なくとも続いて行われる2回目の断裁動作が、1回目の断裁動作に直接追加して行われること、及び、印刷製品の天の部分、小口の部分、地の部分に関して断裁されることになる余白の断裁幅分の断裁を、そこで使用されることになる断裁工具及びプレッシング用にレイアウトされた手段を、断裁場所で、挟み付けられた状態で留まっている印刷製品に向かって、案内しながら変位させることによって、実行可能であることにある。このために、1回目の部分断裁の実行後に、印刷製品がその時々の断裁場所に挟み付けられた状態で留まる。1回目の部分断裁の終了後に、断裁工具とプレス・ユニットとが、互いに依存し合いながら、夫々続いて行われる更にもう1回の部分断裁の、印刷製品の天地の余白では側方への量に相当し、小口の余白では鉛直方向への量に相当する、同調した変位を完遂する。引き続いて搬送ユニットの、作業を担当するキャリッジが、1つの断裁場所から次の断裁場所への印刷製品の更なる輸送を引き受ける。
【0124】
印刷製品において、1回限りの断裁(einziger Schnitt)によって捕捉することができる、化粧裁ちされることになる切れ端のサイズは、通例は次となる:
- 天の断裁:約60mm;
- 小口の断裁:最大125mm;
- 地の断裁:最大約125mm。
このため、化粧裁ちされる切れ端のサイズがこれよりも大きい場合には、断裁品質を保証するために、2回目若しくはそれ以降の部分断裁による処理が必要となる。
【0125】
したがって、印刷製品の綴じられていない余白を化粧裁ちする際に切り落とされる切れ端のサイズは、送られてくる印刷製品のフォーマットがどの位大きいかに左右されることになる。この初期状況を踏まえた上で、断裁品質(断裁性状(Schnittbeschaffenheit))を向上するためには、その後に続いて部分断裁を行う必要があるかどうかが考慮されることになる。
【0126】
断面性状の品質保証検査は、重点的に次の点を目指したものとなっている:
a)印刷製品の綴じられていないフォーマットの端面が皆、完璧な、滑らかな断面を有すること。
b)冊子の背に、断裁技術に起因する、特にプレス・ガーダによる面圧(Anpressung)がかからず、不完全部(Imperfektionen)をどこにも有していないこと;したがって、冊子の背は、完璧で、滑らかな状態で、断裁動作部から出て装置自体を後にすることが保障されなければならない。
c)印刷製品の最終フォーマットの寸法遵守を遵守すること。
d)特に天地の余白については、ノンブル(Impagination des Textes)が印刷製品の余白に対して完璧に対応したものとなることを保障するために、事前に計画された切れ端のサイズの枠内で、化粧裁ちが厳格に行われること。
【0127】
上述の断裁動作は、他にも2回目の部分断裁のための印刷製品の再度の送りを搬送ユニットだけにより実施することによって、力/ストローク・ダイナミクス(Kraft/Weg-Dynamik)を準運動学的に反転すること(quasi-kinematische Umkehrung)により、実行することができる。そのようなケースにおいては、クランプ装置のクランプ・ジョーが、目的の場所に留まり続けることになり、またその場合には閉止力に関してこれらのクランプ・ジョーが実施するのが開閉運動だけとなり、したがってこれらのクランプ・ジョーは、印刷製品を所定量だけ再度送るために基礎として用いられる前方又は後方に向かう運動を、最早実行しないようになっている。言うまでもなくこれには、搬送ユニットが少なくともX方向及びY方向に相応の運動自由度を有していることが前提として必要である。
【0128】
ここで、ある1つの固定式の場所のところで動作する断裁工具(刃物)に対する、必要とされる印刷製品の再度の送りが、搬送ユニットを起動することだけによって行われる場合は、システム内において、クランプ装置のクランプ・ジョーの前方又は後方に向かう運動も一切行われないことになり、それよりもむしろこの時には搬送ユニットが、同時に圧着により捕捉された印刷製品と一緒に、これらの限定的な運動を実施するようになっている。これらの運動は、ある1つの断裁場所から次の断裁場所へと搬送ユニットを引き連れていく行程の内の一部の運動であるために、限定的と呼ぶことができる。
【0129】
2回目の部分断裁を行うための更にもう1つの代替例は、印刷製品の天の部分及び/又は地の部分のこの部分断裁において、次の措置を取ることにある:
i)1回目の部分断裁の実行後に、印刷製品を、その時々の断裁場所のところに挟み付けられた状態で、留まらせること;
ii)断裁工具即ち刃物とプレス・ガーダとに、天の部分及び/又は地の部分においては、1回目の部分断裁の終了後に、2回目の部分断裁量に当該する側方への変位を同調方式で遂行させること;
iii)引き続いて搬送ユニットに、ここで説明した経過に従って、印刷製品の次工程への輸送を引き受けさせること。この枠内で小口の部分の化粧裁ちに当該するものについては、同様の措置が講じること、即ち、
iv)1回目の部分断裁の実行後に、印刷製品を再びその時々の断裁場所のところに挟み付けられた姿勢で留まらせること;
v)断裁工具とプレス・ガーダとに、小口の部分においては、2回目の部分断裁量に当該する、ある一定の鉛直方向への運動を遂行させること;
vi)引き続いて搬送ユニットに、印刷製品の次工程への輸送を引き受けさせること。
【0130】
最後には所望のフォーマット寸法諸元を有している断裁済み印刷製品を提示するために、三方断裁機のコントローラには、断裁対象である全ての印刷製品と関連している製品データが知られていなければならず、これらのデータから、搬送機構に不可欠な運動を計算できるようになっている。
【0131】
その際にこれらのデータは、各種各様の方法でコントローラに伝送されてもよい。以下に例示的に幾つかの可能性を列記する:
【0132】
印刷製品には、1つの識別特徴が備えられている。三方断裁機の入口にある1つの特徴読取り装置が、この識別特徴(例:バーコード又はQRコード、RFIDチップ、アイコン、画像等々)を読み取って、この特徴から得た情報を、断裁機の様々な動作に対して割り当てて(mit der Maschinentaktzuordnung)、コントローラに向けて伝送する。この特徴には、断裁後の印刷製品の寸法諸元を表している、不可欠な情報が含まれていてもよい、又は、欠落している情報については、1つのデータベース内に保存されている制御プロファイルから補足されるようにしてもよい。
【0133】
別のシステムにおいては、印刷製品が三方断裁機に周期的に供給されるようになっている。クロック毎に、三方断裁機のコントローラには、印刷製品を適切な寸法に断裁するために不可欠な様々な情報が送られる。ここでも印刷製品と一緒に送られるデータが、1つのデータベースからのデータにより補足されるようにしてもよい。
【0134】
更にもう1つの可能性として、印刷製品の供給に先立ち、三方断裁機に様々なデータが印刷製品の順序と一緒に知らされるようにしてもよい。三方断裁機は、供給される印刷製品と同時に、所定の順序で並んでいる次のデータセットについても処理を行うようになっている。この場合は、中本の供給が正しい順序で行われることが要求される。それをチェックするために、更にもう1つの、順序をチェックするための特徴読取り装置が追加使用されてもよい。
【0135】
上記で既に説明したように、印刷製品は、寝かせた状態で、糸綴じ、無線綴じ、中綴じ等によって加工された側を先にして、概ね等ピッチで、1つのコンベヤベルトを利用して、三方断裁機に供給される。この概ね一様のピッチは、印刷製品を三方断裁機のコンベヤベルトにクロック動作方式により周期的に供給することによってもたらされるか、又は従来技術から公知である、コンベヤベルトの上流側の装置及び方法によって発生されるようになっている。
【0136】
更に別の実施形態においては、印刷製品が不規則なピッチで三方断裁機のコンベヤベルトに供給される。1つのクロック発生装置により、最小ピッチ(冊子の背の際から次の製品の冊子の背の際までの距離)を下回ることがないように配慮している。
【0137】
1つのセンサにより、中本が三方断裁機のコンベヤベルトにいつ到着したかが検出される。この時に中本の間隔が最小ピッチを上回る場合には、第1の好適な変形実施形態として、三方断裁機のプロセスの最中にある印刷製品が仕上がってから、フィードが再開されるようにしてもよい。
【0138】
更にもう1つのオプションとして、コントローラにより三方断裁機の速度を低下して、三方断裁機を印刷製品のクロック周期に同期化させるようにしてもよい。例えばピッチがある1つの最大量を上回る場合には、同様にオプションとして、上記で既にフィード装置の作動方式との関連で説明したように、コントローラにより三方断裁機にアイドル周期が生成されるようにしてもよい。
【0139】
以下では図面を参照しながら本発明を詳しく説明する。本発明を直接理解する上で重要ではない要素については、全て省略している。以下では印刷製品が概して中本と呼ばれるが、これは、それによって、それ以外の種類の印刷製品、例えば仮綴じ本についても、立ち入る余地を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【
図1】X平面及びY平面の内部のキャリッジとグリッパの並進運動を示す図である。
【
図2】三方断裁機の全体をキャリッジのスナップショットと共に示す図である。
【
図3】三方断裁機の全体をキャリッジの別のスナップショットと共に更に示す図である。
【
図4】中本を三方断裁機に送り込むためのインレット装置を示す図である。
【
図5】フィード装置としてのインフィード・ホイールを示す図である。
【
図7】3つの断裁ステーションを内蔵したモジュール式断裁装置を示す図である。
【
図8】プレス・バーの作動の際のスナップショットである。
【
図9】プレス・バーの作動の際の更のもう1つのスナップショットである。
【
図10】断裁動作の間の更にもう1つのスナップショットである。
【
図11】クランプ装置兼搬出装置としての回転式4クランプ・システムを示す図である。
【
図12】断裁動作の際の中本の極限面圧を示す図である。
【
図13】1回の断裁動作の間の異なるクランプ要素の力の伝播過程を示すグラフである。
【
図14】印刷製品に鉛直方向の圧力を加えるためのむら取りスライダを示す図である。
【
図15】印刷製品に水平方向の圧力を加えるためのむら取りスライダを示す図である。
【
図16】印刷製品の更にもう1つの搬送装置を示す図である。
【
図17】1回目の部分断裁に続いて2回目の部分断裁を実行する際のプロセスの流れを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0141】
図1には、任意の三方断裁機100に付属している1つの搬送ユニットの様々な並進運動が図式的に示されるが、これらの運動は、印刷製品と関連している2つの可動式キャリッジ101、102に端を発して実施されるようになっており、そこではこれらのキャリッジが、後ほどその他の図を説明する際に更に詳しく説明するように、動作時には互いに協働するように接続されている。これらのキャリッジは、末端側に印刷製品と関連している、化粧裁ちの対象である印刷製品Aを冊子の背側A
Rで順々に捕捉する複数のクランプ・ジョーを有するグリッパ103、104を有している。これらのキャリッジ自体は、コントローラに支援されて、断裁ステーションとも呼ばれる断裁場所1、2、3に向かって、次に示す同調された並進運動を実施するようになっている:
【0142】
第1のキャリッジ101は、第1の断裁場所1のところで第1の断裁動作が行われた後、印刷製品Aを能動的に引き取る。続いて第1のキャリッジは、この印刷製品Aを第2の断裁場所2に移送して、印刷製品の引渡しを遂行した後、次に持ち込まれる印刷製品Aを新たに引き取るために、第1の断裁場所1のところの初期位置に、この第1の断裁場所1のところで第1の断裁動作が実行された後に戻る。その間に第2キャリッジ102は、第2の断裁場所2のところでの断裁動作の終了直後に印刷製品Aを引き取って、この印刷製品を第3の断裁動作がとり行われる第3の断裁場所3に移送する。その後で第2のキャリッジ102は、第1のキャリッジにより持ち込まれた、既に化粧裁ちが行われている更にもう1つの印刷製品Aが、引き取られて第3の断裁場所3に移送されるために既に再び待機している第2の断裁場所2に引き返す。
【0143】
夫々に接続されているグリッパ103、104も含めて、これらのキャリッジ101、102の並進運動により、2つ若しくは3つの平面が捕捉されることになり、具体的には、第1平面X内では、1つの断裁場所から次の断裁場所への印刷製品の移送が実行されて;第2平面Y内では、断裁場所における印刷製品の積み卸しが遂行される。それから更にオプションとして(詳細には図示されない)第3平面Zが使用されるが、この平面内では、三方断裁機100の夫々の断裁場所において、印刷製品と関連している定置式のクランプ要素に対する横方向適合化(オフセット運動)が必要に応じて行われるようになっている。
【0144】
以下ではこれらのキャリッジの並進運動がどのように作用するのかを、それぞれのグリッパに基づいて説明する、というのもこれらのグリッパは、三方断裁機の内部における様々な動作を最も良好に再現するものであるからである。
【0145】
図2及び3には、3D図で三方断裁機100が示される。中本A
nは、寝かせた状態で、中本の背を先にして概ね等ピッチで、コンベヤベルト110を利用して三方断裁機100に供給される。この概ね一様のピッチは、中本を三方断裁機のコンベヤベルトに周期的に供給することによってもたらされるか、又は従来技術から公知となっている、コンベヤベルトの上流側にある様々な装置によって発生されるようになっている。
【0146】
更に別の図示されない実施形態においては、中本が不規則なピッチで三方断裁機100のコンベヤベルト110に供給される。1つのクロック発生装置により、最小ピッチ(先行する冊子の背の際から次の中本の冊子の背の際までの距離)を下回らないように配慮している。
【0147】
詳細には図示されない1つのセンサにより、1つの中本が三方断裁機のコンベヤベルトに到着する時点が検出される。この時に中本同士の間隔が最小ピッチを上回る場合は、コントローラにより三方断裁機の並進運動の速度が低下され、それを受けて三方断裁機は送られてくる中本のクロック周期に同期化される。ピッチが最大寸法を上回る場合には、三方断裁機にアイドル周期を生成することができる状況にあるように、コントローラはプログラミングされている。
【0148】
コンベヤベルト110上では、中本Anの位置合わせが、天側又は地側を1つの固定式ストッパに当接させることにより行われる。これは、少し傾斜した搬送ローラを複数備えた1つの搬送区間により、又は従来技術から公知となっているそれ以外の手法により、行うことができる。
【0149】
図2及び3に指摘される三方断裁機のその他のモジュールは、以下の図に詳細に描写される。
【0150】
1つのむら取りスライダ125(
図3及び14を参照)が、インフィード・ホイール120(フィード装置)と協働するように接続されているが、これは、そのストップ面に対する中本の確実な位置決めを達成するために、既に解説した様々な措置の補足として利用されるものである。
【0151】
一方では、個々の中本(Einzelbuchblock)においても、また仮綴じ本を束ねたものにおいても、インフィード・ホイール120の内部で予め固定して与えられている1つの支持面に対して印刷製品の背側の位置合わせを行うための基礎として1つのストップ面が用いられるようになっている。他方では、印刷製品の天側及び/又は地側で、初回の断裁動作に先立ち、流れの向きに沿って、相応に縦に長く垂れ下がった位置を取ることが保障されなければならない。
【0152】
これは、中本については、搬送クランプ装置130によるインフィード・ホイール120からの個々の冊子のフォーマットに応じた引取りが、表紙のオーバハング部の外縁部、若しくは中本自体の外縁部、天側若しくは地側の部分の領域内の外縁部に応答する1つのセンサにより制御される、という意味で行われるようになっている。それにより中本の場合はそこで断裁される縁部ゾーン(Randzone)が、ある一定の調整が図られたサイズを有することを達成している。
【0153】
個々の仮綴じ本を束ねたものから成るパイルについては、初回の断裁動作に先立ち、このパイルの断裁場所側の余白の画一的な位置合わせを保障する側方手段が設けられるようにすべきである。
【0154】
したがってインフィード・ホイール120の機能は、可倒式のレーキ状仕様の1つのガイドを中本に向かって旋回させることによって、中本が90°回転された後には背を下にして立った姿勢で、ページが扇状に開いたり倒れたりし得ないようにする点にある。このレーキ状ガイドは1つのクランプ・ユニットに連結されているが、このクランプ・ユニットは、中本を、背を下にして立った姿勢で短時間挟持するようになっており、またこのレーキ状ガイドが冊子の厚さに従属した位置に移送可能であるように、運動学的に設計されている。その後このクランプ・ユニットが再度少しだけ開くことによって、中本が重力に起因して、その中本の背側によって、フィード装置のストップ面にならって位置合わせが行われる可能性を得ている。その後でクランプ・ユニットは改めて閉じて、それを受けて中本はある1つの定義済みの位置に保持された状態となる。
【0155】
したがって、それ自体が最適化されているこの手順によって、中本の背側が、それに続く断裁動作にとり決定的な意味を持つある1つの定義済みの位置を取るという保証がもたらされることになる。
【0156】
それにもかかわらず、中本の構成方式、特にその中本の背の構成方式がまちまちである場合には、模索される付属のストップ面に対する中本の背側のこの定義済みの位置を保障するためには、重力成分を利用するだけでは間に合わないようなケースにおいて講じることが求められる追加措置が設けられると、定性的な観点からは適切である。
【0157】
この事実との関連では、中本が、大抵のケースにおいては、三方全て(天、地、小口の部分)に、当初の中本本体に対してかなり大きなオーバハング部を有している1つの表紙を用いて仕立てられていることを想定しておかなければならない。このオーバハング部は、それ自体としては断裁工程にとり何ら制約を加えるものではないが、しかし等しいサイズの表紙を用いることにより、様々な中本フォーマットの幅広い帯域を検出可能であるという意味で、一種の規格化によって、様々なロジスティクス上の長所がもたらされることになる。即ち大多数においては、比較的大きなオーバハング部が使用されると想定することができる。
【0158】
天、地及び小口の部分の領域に大きなオーバハング部を持つ表紙の場合にも、中本の背側とインフィード・ホイール120の内部にあるストップ面との間の確実な定義済みの位置を成し遂げる目的で、従来技術を本発明に従って充実させるために、クランプ・ユニットが少しの間開いている間に、印刷製品に重力を作用させる目的で、必要な押圧力を表紙のオーバハング部を介して直接又は間接的に中本に加えられるようになっている、少なくとも1つの妥当な形状を有するむら取りスライダ125、126(
図14、15を参照)を用いて作業を行うことによって、中本の背側が、確実に付属のストップ面の上に載置されるか、又は側方の位置合わせが行われるようにすることが提案される。
【0159】
この目的のために、中本の小口側の両方の表紙オーバハング部は、押圧平面内に角度に関して最適に位置を合わされたブラシ・コーム(
図14、15を参照)によって、又はそれ以外の可撓性を示す機械式又は空気圧式に動作制御される手段によって、捕捉されることにより、その結果として生じる押圧力が、表紙オーバハング部を介して中本Aの本体部に伝達されることによって、その後には中本がインフィード・ホイール120の内部に設置されているストップ面の上に確実に載置されるか、又はさもなければ水平方向に位置決めされているようにしている。
【0160】
ブラシ・コーム(
図14、15を参照)の例をとると、両方の表紙のオーバハング部の間に生じているブラシ・コームの自由な部分領域が、鉛直方向又は略鉛直方向の押圧運動により、それに更に追加して、中本の小口の部分のところまで侵入可能であって、そこで補助的又は優位な押圧力を伝播可能であることを狙って、その材料の可撓性を得るようにしている。
【0161】
基本的には、更にもう1つのむら取りスライダ126(
図3及び15を参照)の形態を取る妥当な手段によって、パイル全ての印刷製品にまたがり1つの単一平面が形成されることを成し遂げる目的で、印刷製品の天の部分又は地の部分に全般的に、側方からある1つの押圧力を加えることによって、この端面を、その後に1つのセンサによって確実に検出できるようにし、それにより搬送クランプ装置130の内部でそのような最適な位置決めを提供できるようにすることで、後続の断裁動作(天及び地)を適切な寸法で実行できるようにすることが問われる場合にも、この押圧力が設けられていてよい。
【0162】
これに関しては
図4から読み取ることができるように、中本は、搬送方向112に少し斜めに位置を合わされた搬送ローラ113によって、1つの固定式ストッパ111に対して押圧されてから、更に三方断裁機100に向かって輸送されるようになっている。固定式のストッパ111は、詳細には図示されない回転駆動ベルトをこれに備えて、又は他にも単なる固定プレートとして、構成されたものであってもよい。
【0163】
その後中本Anは1つの引渡し位置に到達し、そこから例えば1つの回転するインフィード・ホイール120により上昇されて、これが回転することによってその位置に移動されるようになっている。
【0164】
これに関しては
図5から読み取ることができるように、後続の動作に対する一種のフィード装置の機能を果たすこのインフィード・ホイール120が初回の90°の回転を行う間に、可倒式のレーキ状仕様の1つのガイド121が中本Aに向かって旋回されることによって、中本は、90°回転した後には背を下にして立った姿勢で、ページが扇状に開いたり倒れたりし得ないようになっている。このレーキ状ガイド121は、1つのクランプ・ユニット122に連結されているが、このクランプ・ユニットは、中本を、背を下にして立った姿勢で、短時間挟持するようになっており、更に、レーキ状ガイド121が冊子の厚さに従属した位置に移送可能であるように、運動学的に設計されている。その後クランプ・ユニット122が再度少しだけ開くことによって、中本Aは、重力に追従して、インフィード・ホイール120のストップ面123にならって中本の背側の位置合わせが行われる可能性を得ている。その後クランプ・ユニット122は改めて閉じて、それを受けて中本は、ある1つの定義済みの位置に動かないように保持された状態となる。この状態で四分割式インフィード・ホイール120は、2サイクル分、夫々90°ずつ更に回転して、全般的に印刷製品を、更に別の加工のための、ここでは吊り下げられた位置へと移すようになっている。この回転運動の間には、第1のレーキ状ガイド121及びこれと協働するように接続されている1つの第2のレーキ状ガイド124が、中本から少し遠ざかるように旋回されることによって、中本が中本の背のところでクランプ・ユニット122により保持される間、中本のページは、重力だけに起因して鉛直下向きにぶら下がるようになっている。
【0165】
この位置において、(
図2の位置130において良好に確認することができる)1つの開いている搬送クランプが、中本の背に向かって水平方向に中本自体の上に走行して、これを大面積で引き取るようになっている。
【0166】
これに関しては
図6から細部が明らかであるように、この搬送クランプ130は2つのクランプ・ジョー131、132から成っている。好適にはこの搬送クランプは、一方のクランプ・ジョー131がストローク運動を全く実施しないのに対して、他方のクランプ・ジョー132が全ストロークを行うように作動する。両方のクランプ・ジョー131、132は一緒に、印刷製品が全般的に搬送されるのか、それともアイドル走行が行われるのかどうかに関係している、二通りのオフセット走行を行うようになっている。
【0167】
オプションとして、中本の厚さに特定の可変性及び/又は不整合性が見られる場合は、搬送クランプ130の両方のクランプ・ジョー131、132のストロークを個別に設計することによって、両者が同じ距離又は異なる距離を走行することにより最終プレス姿勢(Endpressstellung)が遂行されるようにしてもよい。
【0168】
搬送クランプ130は、1つのリニア運動装置133によって水平方向に運動可能である。詳細には図示されない1つの可制御式駆動部により、搬送クランプ130は、中本に対してコンフォーマルな1つの引取り位置に向かって、精確に移動されるようになっている。この引取り位置は、そこでは常に、中本の天側又は地側で遂行されることになる、断裁されなければならない切れ端のサイズにより左右される。それから搬送クランプ130は、この引取り位置で閉じて、その際に中本を、その小口の面と背の面との間で、大面積で挟み込むようになっている。中本の背の領域と、夫々断裁されなければならない切れ端の領域だけが、挟まれずに自由のままとなっている。これについては
図12の描写を参照されたい。
【0169】
この状態でクランプ・ユニット122(
図5を参照)が開いて、中方の背を解放する。それを受けて搬送クランプ130は水平方向に移動して、モジュール式に構成されたマルチ断裁装置の第1の断裁位置に中本を搬送する(
図1、位置1も参照)
【0170】
他にも両方のクランプ・ジョー131、132を次の基準に従って作動させることもできる:クランプ・ジョーはいずれも、圧着による挟持効果をもたらすように作動する1つの駆動部に、直接又は間接的にこれと協働するように接続されている。これらの駆動部により案内されるクランプ・ジョーは、そこに差し出されている印刷製品の任意のフォーマット・サイズに見合った、調整式及び/又は予測制御式のストローク・プロファイル及び圧着プロファイルを有しており、このためクランプ・ジョーにより行われる、印刷製品の圧着による捕捉は、印刷製品の中央線に対して対称又は略対称になるようにレイアウトされている。これらのクランプ・ジョーは、少なくとも動作期の間には、印刷製品に挟持効果を加えるために、1つの相互調整が図られた、一様な、又は一様ではない、又は適応型の速度プロファイルを実施するようになっている。この作動方式は、本出願の構成要素である互いに協働するように接続されている全てのクランプ・ジョーを対象として備えられるようにしてもよい。
【0171】
これに関しては
図7から読み取ることができるように、モジュール式断裁装置140には、断裁場所1のところの第1のステーション141(
図1を参照)、断裁場所2のところの第2のステーション142(
図2を参照)、及び断裁場所3のところの第3のステーション143から成る3つの断裁ステーションが含まれる。その時々の断裁動作のために、1つのプレス・プレート145及び更にそれに追加して1つのプレス・ガーダ144が中本を押圧することによって、中本はプレス・ガーダ144と既に言及したプレス・プレートによって、断裁動作の間は搬送クランプと切れ刃との間の領域内に可能な限り挟持若しくはプレスされるようになっている。1つの刃物150bが、好適にはそれ自体としては固定式である1つのカッター・バーに対して、斜めに切り込むように(in einem schraegen Schnitt)運動する。
【0172】
即ち夫々のプレス・ガーダ144は、夫々の断裁刃物150a、105b、150cに、これらと協働するように接続されているが、それにより、きれいな断裁のために不可欠であるような力が印刷製品に加えられるように配慮している。
【0173】
中心に据えられるのは基本的に次の2つの主要変形実施形態である:一方では、
図7の位置250が象徴しようとしているように、プレス・ガーダと断裁刃物間に、力に関する一種の連結状態が存在している、このため、換言するとプレス・ガーダの力は、ある1つの固定値を有することになるが、その場合は速度プロファイル(プレス速度/加速度)も通例は単調な推移を示すことになる。
【0174】
もう一方の変形実施形態は、
図7の位置251が象徴しようとしているように、断裁刃物から加えられる力とプレス・ガーダから加えられる力を互いから非連結化することにあるが、この場合はプレス・ガーダが次の基準に従って作動することになる:
【0175】
プレス・ガーダのところでは、1つのサーボ・ドライブによりサーボ・モータにある1つの相応のトルクを立ち上げることによって、ある一定の力の立ち上げが行われる。厚さの測定結果に基づいて、印刷製品に加えられる最適プレス力が決定されるが、これは保存されている制御プロファイルを用いることにより、容易に行うことができる。同じ1回のジョブ内では、中本の厚さに見られる差が比較的小さいために、基礎として用いられるプレス力特性曲線を定常であると見做すことができる限り、通例は、厚さにある一定の可変性が見られる様々な印刷製品を捕捉するために、1回だけのキャリブレーションで十分である。
【0176】
しかしこれとは逆に、何よりも特に印刷製品がごわごわしている及び/又は薄い場合には、プレス・ストロークを最適化することによって、プレス速度と合わせ何よりも特に加速度の大幅な低減を達成可能である点に配慮することが求められる。しかしこのコンセプトの場合は、生産速度に関係なく、1つ又は複数の断裁装置が常に、ここでは断裁速度によって制限される最高速度で仕事をするのではなく、それよりもむしろメカニズムにより決まる様々な限界によって制限された最高速度で仕事をする点で有利である。それに加えて実質的に、断裁工程のためには常に同じ沢山の時間が必要とされるために、機械が低速である場合には、特に搬送、位置合わせ、及びプレスの動作のために、一段と大きなサイクル・タイムを利用することができる点である。
【0177】
残り2箇所の断裁場所は、実質的に同じ面圧と断裁フィロソフィを追及する刃物150a及び150cによってとり行われる。第1の断裁ステーション141内では、中本の天の領域が断裁される(
図1も参照)。しかしこの第1の断裁動作については、中本の地の領域から開始する可能性が排除されている訳ではないが、いずれにせよ、特定の構成においては、その前提として、冊子の背側A
Rのクランプ(
図1を参照)をそのまま維持した上で、クランプの作用場所(Wirkungsort)、そして恐らくは断裁装置140の作用場所の適合化が、断裁部分の幅の適合化とあわせて、必要となるだろう。
【0178】
図1、2、3に戻ると、鉛直方向の断裁動作(Y平面、
図1を参照)の間も、また水平方向の断裁動作(X平面、
図1を参照)の間も、開いている1つの可動式第1のグリッパ103が介入するが、このグリッパは、鉛直方向に中本の背の方に向けられている。1回目の断裁の後には、この第1のグリッパ103が中本を背のところで引き取って、搬送クランプ130が開くようになっている。この搬送クランプは、その後、次の中本のための引取り位置へと走行する。第1のグリッパ103は、この第1の断裁動作(
図1、位置1)から鉛直上向き(Y平面)に中本を搬送するが、その際には水平方向への運動を重畳させることによって第2の断裁位置(
図1、位置2)へと進むようになっている。
【0179】
第1のグリッパ103の鉛直方向への運動区間は、機械のコントローラにより、断裁される中本の幅に従属して制御されるが、その際には、例えば特殊なグリッパ位置を得ることが模索される場合には、中本に対して全般的に水平方向のグリッパの運動区間についても、個別制御が可能となっている。そのような例としては、その時々の中本において、フォーマット及び断裁されなければならない切れ端によって、非対称又は略非対称な挟持効果や、重心の位置により片側に偏った挟持効果が求められる場合を挙げることができる。
【0180】
第2の断裁位置(
図1、位置2)においては、中本が1つのプレス・バー・セットに付属している複数のプレス・バー(
図2、3、位置200)により押し付けられており、中本は、これらを用いて、小口側と背側との間で挟持されるようになっている。
図2においては、プレス・バー・セットが閉じた状態にあるのに対して、
図3には開いた状態にあるプレス・バー・セットが描かれている。
【0181】
図8及び9から明らかであるように、1本1本のプレス・バー200
1-nは、冊子の背からスタートして順番に閉じていくことによって、一枚一枚の枚葉紙の間の空気を断裁される端面に向かって狙いを定めて絞り出せるようにしており、またこの時には同時に物体(Koerper)としての印刷製品の平滑化が行われるようにしている。それから、
図9から良好に読み取ることができるように、グリッパ103の夫々のクランプ・ジョー103a、103bの位置と、第2の断裁場所2における第2の断裁ステーション142との間に見出すことができるスペース分だけの本数のプレス・バーが閉じるようになっている(
図1を参照)。これと同じクランプ・ジョー104a及び104b(詳細には図示されない)が、別のグリッパ104(
図1を参照)にも付属している。それによっても再び、中本の大面積でのプレッシングが達成される。この状態で第2の断裁ステーション142内で中本の小口側が断裁されるが、これは、天側並びに地側用の第1及び第3の断裁ステーション141,143と同様の方法で行われるようになっている。
【0182】
図10から読み取ることができるように、第2の断裁場所2(
図1、位置2を参照)のところで、プレス・バー・セット200の実際に使用されるプレス・バー200
1-nによって当該中本が挟持された後に、第1のグリッパ103は、中本を解放して、次の中本を引き取るために、その引取り位置(断裁場所1、
図1)に戻される。
【0183】
図10からは、更にその上に、そこに示される刃物150bを利用して、高品質の断裁を実施可能であることを保障するために、断裁動作の際に中本Aが力に関して極限状態で保持されていることを読み取ることができる。即ちグリッパ103から実際に使用されるプレス・バー200
1-n(
図8、9を参照)に中本Aが引き取られた時には、プレス・ガーダ(位置144)が介入して、断裁領域内で直接、中本に決定的な押圧力を加えるようになっている。その際にこの力は、刃物150bにより実施される断裁によって、直角に鋭利に断裁された断裁端面が実現されるようにするために、プレス・バーから加えられる押圧力よりも優位となるように設計されなければならない。このプレス・装置は、1つのプレス・プレート145(
図7も参照)の構成要素として中本の片面上で、位置を固定して位置決めされた1つのストッパ152と、その反対側に位置する、中本の反対側の面上で、1本のプレス・ボルト(Pressbolzen)151により中本に対して押し付けられるようになっている、1つの可動式ブレス・ガーダ144とから成っている。
【0184】
更に先へと進めた実施方式において、上から送り込まれる中本の、厚さ及び/又は厚さの一貫性(Dickenkonsistenz)に配慮するために、換言すれば、挿入される中本の先行する縁部(vorauseilende Kanten)がぶつかり得ないようにする目的で、ストッパ152を可動式に設計することも考えられる。このストッパ152の動的適合化は、既に言及した機械コントローラにより行われてもよい。
【0185】
プレス・ガーダ144用のプレス・ボルト151は、例えば電動式、油圧式、又は空気圧式に駆動されるものであってもよく、それにより、予め設定されたプレス力を中本に加えられるようにしている。
【0186】
それ以外の断裁場所1、3のところの、その他のプレス・ガーダ(
図7、位置144を参照)の機能原理もこれと同じであるが、そこではこれによって鉛直平面内のプレス力がもたらされるようになっている。ここでも、直角に鋭利に断裁された断裁端面を保証できるようにすることが重要である。
【0187】
プレス・バー200
1-nによって中本がきれいに押圧された状態となった直後には、第2の断裁動作(小口の断裁)を続いて実施することができる。断裁動作の終了後には、1つの第2のグリッパ104(
図1を参照)が、プレス・バー・セットの上方の位置へと進んで、中本を、第1のグリッパ103の時と同様の方法で把持するようになっている。中本を挟持する位置である第2のグリッパ104の位置は、そこでは断裁される中本の高さに応じて決まることになる。コントローラが第2のグリッパ104を前もって計算したグリッパ位置に移動することによって、第3の断裁動作(
図1の位置3を参照)により、中本に適切な中本高さが生じるようにしている。
【0188】
第2の断裁動作(小口の断裁)が実施された後には、プレス・バー・セット200が開いて、印刷製品は第2グリッパ104により、(断裁位置から出る)鉛直運動を行い、次に水平方向を行い(次の断裁位置に供給)、最後に再び鉛直運動を行うことによって、第3の化粧裁ち(地の部分)のための断裁位置へと更に運ばれるようになっている(
図1、2を参照)。
【0189】
少なくとも1つの断裁位置の領域内で鉛直運動が行われる際には、装荷状態にある当該グリッパが、必要に応じて更にクランプ装置の1つの挟持面に向かって横方向オフセット運動を遂行するようになっている。
【0190】
第3の断裁場所3(
図1を参照)のところの断裁動作が実施されたら、
図11に示される回転式搬出装置(4クランプ・システム)160は、中本をクランプ161とともに、刃物の運動に対して直角に刃物から離れるように移動する。この回転式4クランプ・システム160は、クロック周期の間に90°ずつ回転する。
【0191】
図11から明らかであるこの4クランプ・システム160には、これとの関係で、クランプ161の位置が断裁位置162にあることが示されるが、そこでは可動式ジョー163が尚も開いている。更にもう1つのクランプが、搬出位置164で作用している。この位置においては中本Aを取り出すことができる。この4クランプ・システム160の作動方式により、第3の断裁場所3(
図1、7を参照)のところで行われる断裁工程の間、及び4クランプ・システムの回転運動の間に、中本Aが可動式ジョー163と固定式ジョー165との間で持続的にプレスされることを保障している。更にその上に、1つの四分円の内部では、クランプ161に二通りの状態が与えられており、具体的には、完全に閉じた中間的な位置(intermediaere Position)166と、完全に開いた中間的な位置167が、そこから明らかである。この四分円の内部では、回転の際に、その時々に存在しているスペースの状況に対応して、目的に適うためにはどちらの中間位置を取ればよいのか、検討できるようになっている。
【0192】
取出し装置(Entnahmevorrichtung)として、例えば中本を輸送するために複数の可動式ローラが実装された1つのコンベヤベルトが備えられていてもよい。従来技術から公知となっている別の装置を備えるようにしてもよい。
【0193】
図12からは、断裁動作の際のプレス・ガーダ144による中本の極限面圧を読み取ることができる。そのような押圧による面圧は、
図10の下で説明したような効果に相当するものである。フィード装置は、位置170により明らかにされている。
【0194】
図13には、印刷製品を押し付ける異なる押圧要素(クランプ装置)の相互依存関係が示されるが、これは、断裁場所2に関して、異なるクランプ装置103、200、144から加えられる挟持力の相互依存関係を示したものであり、この断裁場所においてはクランプ装置が1つのプレス・バー・セット200から成っている。このグラフ中の異なるクランプ装置の挟持力は、あくまでも定性的な解釈だけを許すものである。1つの断裁場所から次の断裁場所へ印刷製品を搬送210するために使用に供されるグリッパ103の挟持力は、これらの断裁場所と関連しているユニット200及び144の挟持力自体よりも小さくなっているが、これは、そこでは問題とされる力が、搬送の間に印刷製品の確実な挟持効果をもたらすために必要な大きさであれば十分であるからである。その後、断裁場所2のところには、プレス・バー・セットに付属している押圧バー(Anpressleiste)200
1-nの挟持力が同期方式又は逐次的に急速に立ち上げられることによって、印刷製品に加えられる押圧バーの挟持力が最終挟持力に達するや否や、グリッパ103の挟持力は直ちに低落する(nachlassen)ようになっている211(低下点(Abnahmepunkt))。印刷製品に加えられるグリッパの挟持力の減少範囲をどの位の枠とするのかは、個別に設定され、その時々の印刷製品の重量によっても左右される。その後で、定性的な断裁品質にとり重要な、印刷製品にかかる最終的な挟持力が、断裁刃物の平面に対して十二分に平行な位置を取る、既に言及したプレス・ガーダ144により加えられる。
図13に記載される力のグラフから明らかであるように、プレス・ガーダ144は好適にも、平行な破線212a、212b(位相シフト間隔)から読み取ることができるように、それ以外のクランプ装置に対して可変式に位相シフト212(介入時のプレス力レベル:Eingreifebene)される最大挟持力を伝播するようになっている。プレス・ガーダ144から加えられるプレス力が立ち上がるや否や、刃物は断裁動作213を実行する。その後でプレス・ガーダ144は、尚も少しの間、グリッパの挟持力が立ち上げられて印刷製品の確実な搬送214が保証されるようになる迄は、断裁時の断裁レベル215内に留まり続ける。その後にそれ以外の要素144、200(の挟持力は、所定の低下曲線217に従って逐次的に低下し、それにより次工程への搬送レベル216は、印刷製品がグリッパ103により本格的に捕捉された状態のまま、再び開かれた状態となる。この運動力学は基本的に、第2のキャリッジ102(
図1を参照)に付属している、夫々のクランプ装置と協働するように接続されているグリッパ104についても言える。
【0195】
この
図13には、それに加えて更に、位置251が象徴しようとしているように(
図7も参照)、刃物150bのために用意される力が、プレス・ガーダ144のために用意される力とは最早連結されてはおらず、むしろプレス・ガーダがそのプレス力を自律的に印刷製品に加えることによって、プレス・ガーダ144によって片側だけからプレス力を加えられる場合についても、1つのクランプ装置の両方のクランプ要素の相互調整が図られた、一様な、又は一様ではない、又は適応型の速度プロファイル及び/又は運動プロファイルを設けられることが象徴的に示される。したがって、決められた基準に従ってプレス・ガーダのプレス力が印刷製品に加えられることを考慮してもよい。プレス・ガーダ144の速度プロファイルは、印刷製品と初めて接触した直後に別のモードに移されてもよい。これは、印刷製品へ伝播される力についても同様であり、これは設定に応じて連続的に単調又は略単調に増減するように行われてもよい。即ち力を伝播する際には、例えば恐らくは少し肥厚化しているであろう印刷製品の背の部分を痛めないようにする目的で、特性曲線がプレッシングの終わりにかけてある程度の屈曲を呈することが要求されている場合には、例えば伝播される力が、単調な増大する特性曲線から、コンデンサの充電原理に準じた特性曲線へと移行できるようにする、相応の制御プロファイルを起動することによって、これがもたらされるようにしてもよい。したがってその場合は、中間的又は包括的に使用される、指数関数的な伝播される力を備えることが、問題なく可能となる。
【0196】
他にも特許文献5は、この明細書の不可欠な構成要素であり、特にプレス力を用意するための駆動部と刃物の運動力学の協調について、どのような配慮が成されているかを提示する上で不可欠な構成要素となっている。
【0197】
図14には1つのむら取りスライダ125の構成が示される(
図3も参照)。これは、上から作用する、印刷製品側にブラシ体181、182を担持している、1つの受入れプレート180から成るが、これらのブラシ体により、印刷製品Aから小口側で突出している表紙の端部(Umschlagende)183に一定の圧力が加えられることによって、印刷製品の背が、インフィード・ホイール120の内部に設けられた支持面と合致するようにしている。表紙の端部184は、小口側では面一の位置にあるために、位置185及び186(印刷製品Aの天側又は地側)の下でこれらを良好に確認することができる。両方のブラシ体181及び182はいずれも2つの部分ブラシ体181a、181b;182a、182bから成るが、これらの部分ブラシ体は、互いに対して角度を成すように置かれることによって、表紙の端部を楔形に把持して、相応に平行に下に向かって押圧できるようになっており、それによりこれらの表紙の端部が膨らんで作業を阻害することがないようにしている。
【0198】
図15には、更にもう1つのむら取りスライダ126の構成が示される(
図3も参照)。これは、印刷製品側にブラシ体191、192を担持している、側方(天側又は地側)から作用する1つの受入れプレート190から成るが、これらのブラシ体により、印刷製品Aから天側又は地側で突出している表紙の端部184、185に一定の圧力が加えられることによって、印刷製品Aが断裁動作のために相応に位置決めされるようにしている。表紙端部のオーバハング部は、ここでは印刷製品Aの背の部分193との関係で確認することができる。両方のブラシ体191及び192はいずれも2つの部分ブラシ体191a、191b;192a、192bから成るが、これらの部分ブラシ体は、互いに対して角度を成すように置かれることによって、表紙の端部を楔形に把持して、印刷製品本体の全体の側部を予め設定された基準に従って位置決めできるようになっており、それによりこれらの表紙の端部が膨らんで作業を阻害することがないようにしている。
【0199】
図16には、印刷製品を1つの断裁場所1から次の断裁場所2へ、更にそこから第3の断裁場所3へと搬送する、更にもう1つの搬送装置300が示される。これらの断裁場所のところで遂行される断裁動作は、
図1の下で説明したものと同じである。
【0200】
ここでは、
図1に従った運動力学に対する本質的な相違点が、夫々にグリッパ101/103を備えた少なくとも3つのキャリッジが、実質的に楕円形に類似した1つのコース301に沿って動作するように使用されている点にあり、そこでは、この機能的な周回コースが、1つの前側の軌道303と、これと実質的に平行に延びる1つの後側の軌道304とから成っており、両方の軌道は、左右各1つのR部305、306によって互いの中へと移行している。前側の軌道は、一定のクロック周期で互いに連続する複数のキャリッジ101を、断裁場所1、2、3に沿って直線的又は略直線的に案内するために利用される。このコースに沿って置かれるキャリッジ101の個数は、最大許容クロック周期により決まるようになっており、換言すると夫々のキャリッジは1つの印刷製品を主導的に引き取って、これをいずれか別のキャリッジに引き渡すことなく、基礎となる3つの断裁場所1、2、3を巡り案内するようになっている。そのクロック周期は、生産能力を最大限化するために、これらのキャリッジが互いに密な間隔で連続するようにレイアウトされるが、キャリッジの互いに対する間隔は、個々の断裁動作のために要求される時間に応じて決まっており、通例は3つ又はそれ以上のキャリッジが使用されるようになっている。例えば、キャリッジが最後の断裁場所3と最初の断裁場所1の間で後側の軌道304に沿って加速されるようにする場合には、キャリッジ数を低減することができる。
【0201】
したがって、このような段取りを取ることによって、キャリッジが行き来することにより、断裁場所ごとに固有の印刷製品を引き渡したり引き取ったりするという中間的な工程を回避することができる(
図1を参照)。その反面、高い生産能力を維持するために通例は、周回するキャリッジ302a~302fの個数を増やすことが考慮されるが、これは、これらのキャリッジが後側の軌道304を通り走行するために時間を要するからである。
【0202】
分かり易いようにするために、動作のために使用されているキャリッジが、夫々にハッチングを施して描かれているのに対して、その他の、装荷されていない、即ち搬出装置160の下流側の、印刷製品を新たに引き取るためにフィード装置120に向かう途上にあるキャリッジは、ハッチングを施さずに示されている。
【0203】
即ち、1箇所の断裁場所のところだけで3種類の断裁動作を遂行する場合には、即ち、印刷製品の引取りと、中央断裁場所へのこの印刷製品の供給とそれに続く引渡しを、同じ1つのキャリッジによって行う場合には、そのような楕円形に類似したコース301を特徴とする搬送変形形態を基礎として良好に用いることができる。そのような中央化粧裁ちは、有利にはそれが意図するところのものから、第2の断裁場所2の内部に配置されてもよいだろう。その場合は、使用されるキャリッジが、再びフィード装置120に戻るために、前側の軌道303を通るのではなく、それよりもむしろ後側の軌道304を通るようにすべきであり、それにより生産の流れを阻害しないようにすると有利である。
【0204】
言うまでもないが、印刷製品の全てのフォーマットの余白の化粧裁ちを中央断裁場所において行う場合には、刃物同士の衝突を阻止できるようにするために、天地用とそれに付属しているプレス・ガーダの運動が、小口刃とそれに付属しているプレス・ガーダの運動に対して、位相をずらして使用されなければならず、そのための手立てを講じることが要求される。
【0205】
図17には、断裁場所1、2、3のところで通常通りに1箇所の断裁だけを実行する場合のプロセスの流れと合わせ、2回目、そして恐らくはそれに更に続いて行われることになろう3回目以降の部分断裁の実行方法を示すプロセスが、ブロック線図で示される。既に上記で、一部については既に説明したように、持ち込まれる印刷製品Aは、インフィード・ホイール120内でその直後に続く断裁動作に備えて位置を合わされることによって、印刷製品Aが、この第1の断裁動作の後には、次工程への搬送のために、搬送ユニットの第1のキャリッジ101により背側を捕捉されるようにしており、またそこでは、この第1の断裁場所1のところで基本的に印刷製品の天の余白の加工が行われるようになっているが、この第1の断裁動作が、地の断裁に当該する可能性自体は排除されていない。この第1の断裁動作のために、基本的にはクランプ装置130とプレス・ガーダ144が行動を起こして、断裁刃物150aにより断裁動作が実行される。この第1の断裁場所1の内部で行われるプロセスの流れについては、これ迄の図の説明を参照されたい。
【0206】
この第1の断裁T1-1の際には既に1回の品質検査400が行われるようになっているが、これは、一方では行われた断裁の品質検査を目的としたものであり、他方では、断裁が行われた部位(geschnittener Abschnitt)の厚さが、予め定められた値と符合するかどうかの検査も、これには含まれている。それと同時に、中本の背が無傷であるかどうかも調べられる。これらの検査のために使用される手段には、一方では、断裁動作の後、印刷製品の実状態をインテグラルに検出して、それらの情報を制御ユニットに向けて転送するようになっている、接触式・非接触式のセンサが含まれ、他方では他にもインテリジェント・センサが含まれるが、これらは品質に関して、フォーカスを当てた品質の流れの制御、調節、最適化を行うことが可能な状況にあるために、それにより一種のセンサ支援生産が実現されることになる。これらのセンサには、ここでは生産プロセスの基礎として用いられるこれらの品質検査のために、卓越したデータ品質を兼ね備えていることが要求されるが、これらは、誘導技術や光電技術に立脚したものであると好適である。即ち概して言うと、センサ素子の物理的な測定原理によって、測定量が何らかの内部信号に変換されることが要求されることになる。この場合は必要に応じて、後続の演算処理を行う電子装置がセンサに個別に設けられることになるが、その場合はそれによって、電気的及び/又は電子的に利用可能な信号が出力に印加されることになる。
【0207】
この第1の断裁場所1において、コントローラにより2回目の部分断裁T1-2の必要性が検出された場合は、その限りにおいて、プロセス上の制約により、基本的には1回目の断裁T1-1が繰り返して行われるようになっている、即ち、印刷製品の不可欠なプレッシングは、前回と同じ手段130及び144を用いて行われて、断裁動作は前回と同じ断裁刃物150aを用いて実行されるようになっている。これに補足として更に付け加わるのが、印刷製品Aの天の余白の、化粧裁ちが追加して行わなければならない部分を、固定式断裁刃物150aに向かって再度移動させることができるように配慮された、調整が図られた運動学的手法である。
【0208】
これによれば、1回目の部分断裁T1-1が定義通りに実行された後に、印刷製品Aは、短時間、輸送ユニットのキャリッジ101のグリッパ103のクランプ・ジョーにより動かないように確実に挟持されるようになっており、それを受けて、搬送クランプとも呼ばれる別のクランプ装置130に付属しているクランプ・ジョー131、132が少し開くことによって、印刷製品Aは、上述のクランプ・ジョー131、132に対して無圧状態で位置決めされた状態となる。この状態で、搬送装置のキャリッジ101のグリッパ103に付属しているクランプ・ジョーが、1回目の部分断裁T1-1が行われた場所のところで、印刷製品Aに一定の圧着力を中間的に加えるようになっており、搬送ユニットのこのキャリッジと協働するように接続されているこれらのクランプ・ジョーによって、搬送クランプ130のクランプ・ジョー131、132が開いた状態で、印刷製品Aに、場所に関して一時的な位置決めがもたらされるようにしている。この時間インタバルの間に、搬送クランプ130の開かれているクランプ・ジョー131、132は、断裁刃物150aに向かってある1つの長さの分だけ、後戻りするが、そこではこの長さが、2回目の部分断裁T1-2の幅に相当している。この長さ分を移動し終えた時には、搬送クランプ130のクランプ・ジョー131、132により、搬送ユニットのキャリッジ101のグリッパ103のクランプ・ジョーの開動作と同調して、印刷製品Aには再び一定の圧着力が加えられるようになっている。この状態で、搬送クランプ130のこれらのクランプ・ジョー131、132により、挟持された印刷製品Aは、2回目の部分断裁T1-2のために、当該長さ分だけ前方に変位されて、それによって印刷製品Aは再び断裁位置に移送される。それに続いて、2回目の部分断裁T1-2を開始する直前に、この断裁場所と関連している、印刷製品に極限プレス力を加えるようになっているプレス・ガーダ144によって、印刷製品Aの押圧が行われる。2回目の部分断裁T1-2が終了した後、プレス・ガーダ144は断裁刃物150aと時間的に同調して戻されるが、それを受けて搬送クランプ130のクランプ・ジョー131、132が開かれて、印刷製品Aはその後、搬送装置のキャリッジ101によって次工程に輸送される。この断裁動作の間も、またその終了後も、品質検査を行うセンサ400が、次の断裁場所のセンサが品質検査を引き取るまで、付き添うように使用されることによって、全ての断裁動作にまたがり品質検査を維持可能であることを保障している。
【0209】
コントローラにより、2回目の部分断裁T1-2後に3回目の部分断裁T1-3の必要性が検出されていたのであれば、その限りにおいて、この場合にもプロセス上の制約により、基本的には1回目の断裁T1-1又は2回目の断裁T1-2が繰り返して行われることになるが、この3回目の部分断裁T1-3においても、その終了後には、既に説明した品質検査を行うセンサが介入するようになっている。
【0210】
図1によれば、第1のキャリッジ101は、第1の断裁場所1のところで第1の断裁動作が行われた後、若しくは第2、第3及びそれ以降の断裁動作が行われた後、印刷製品Aを能動的に引き取るようになっている。続いて第1のキャリッジ101は、この印刷製品Aを第2の断裁場所2に移送して、そこで印刷製品Aの引渡しを遂行した後、第1の断裁場所1のところで1回目及び恐らくは2回目以降の断裁動作が実行された後に、第1の断裁場所1のところの初期位置に戻って、そこで、次に持ち込まれる化粧裁ちされた別の印刷製品Aを新たに引き取るために待機する。
【0211】
第2の断裁場所2のところの正規の断裁動作に関しては、
図8~10の下で行った上記の説明を参照されたい。この第2の断裁場所において、2回目又はそれ以降の部分断裁が実行されることになる場合には、これらの部分断裁は、この第2の断裁場所2の内部では、次のプロセス・ステップに基づいて実行されるようになっている:
【0212】
1回目の部分断裁T2-1の実行後に、印刷製品は短時間、搬送ユニットのキャリッジ101のグリッパ103により、動かないように確実に挟持されるようになっており、それを受けて、この第2の断裁場所2のところの1つのクランプ装置に付属しているプレス・バー2001-nが少し開くことによって、印刷製品Aはこれらのプレス・バーに対して無圧状態で位置決めされた状態となる。この状態で、キャリッジ101に付属しているグリッパ103が、その前に1回目の部分断裁T2-1が行われていた場所のところで、印刷製品Aに一定の圧着力を中間的に加えるようになっており、このグリッパによって、プレス・バー・セット200のプレス・バーが開いた状態で、印刷製品に、場所に関して一時的な位置決めがもたらされるようにしている。この時間インタバルの間に、搬送ユニットのキャリッジ101は、印刷製品をそこでは鉛直方向下向きにある1つの長さの分だけ運ぶようになっているが、そこではこの変位が、2回目の部分断裁T2-2の断裁に関する量に相当している。この長さ分を移動し終えた時には、プレス・バー・セット200のプレス・バー2001-nにより、搬送ユニットのキャリッジ101のグリッパ103の開動作と時間的に同調して、再び印刷製品Aに一定の圧着力が加えられるようになっている。その後続いて、2回目の部分断裁の開始直前に、この断裁場所と関連しているプレス・ガーダ144によって、印刷製品Aの押圧が行われる。
【0213】
その間に第2のキャリッジ102のグリッパ104は、第2の断裁場所2のところでの断裁動作の終了直後に印刷製品Aを引き取って、この印刷製品Aを第3の断裁動作が行われる第3の断裁場所3に移送する。その後第2のキャリッジ102は、搬送装置の第1のキャリッジ101により持ち込まれた、既に第2の断裁場所2のところで化粧裁ちが行われている更にもう1つの印刷製品Aが、引き取られて第3の断裁場所3に移送されるために既に再び待機している第2の断裁場所2に戻るようになっている。
【0214】
即ちこの第3の断裁場所3においては、1回又は複数回の断裁工程により印刷製品Aの地の余白の化粧裁ちを行うことが問われることになる。これは、次のプロセス・ステップに基づいて行われる:
【0215】
この第3の断裁場所3のところで1回目の部分断裁T3-1が定義通りに実行された後に、印刷製品Aは短時間、搬送ユニットの第2のキャリッジ102のグリッパ104より動かないように確実に保持されるようになっており、それを受けて、1つのクランプ装置160/161に付属しているクランプ・ジョー163、165が、4クランプ・システム若しくは搬出装置の部材として、少し開くことによって、印刷製品Aは、上述のクランプ・ジョー163、165に対して無圧状態で位置決めされた状態となる。この状態で、搬送装置のキャリッジ102のグリッパ104に付属しているクランプ・ジョーが、1回目の部分断裁T3-1が行われた場所のところで、印刷製品Aに一定の圧着力を中間的に加えるようになっており、搬送ユニットのこのキャリッジ102と協働するように接続されているこれらのクランプ・ジョーによって、搬送クランプ130のクランプ・ジョー163、165が開いた状態で、印刷製品Aに場所に関して一時的な位置決めがもたらされるようにしている。この時間インタバルの間に、搬送クランプ130の開かれているクランプ・ジョー163、165は、断裁刃物150cに向かってある1つの長さの分だけ前進するが、そこではこの長さが、2回目の部分断裁T3-2の幅に相当している。この長さ分を移動し終えた時には、クランプ装置160/161のクランプ・ジョー163、165により、搬送ユニットのキャリッジ102のグリッパ104のクランプ・ジョーの開動作と同調して、印刷製品Aには再び一定の圧着力が加えられるようになっている。この状態で、クランプ装置160/161のこれらのクランプ・ジョー163、165により、挟持された印刷製品Aは、2回目の部分断裁T3-2のために、当該長さ分だけ断裁刃物150cに向かって後方に変位され、それによって印刷製品Aは再び断裁位置に移送される。それに続いて、2回目の部分断裁T3-2を開始する直前に、この断裁場所と関連している、印刷製品に極限プレス力を加えるようになっているプレス・ガーダ144によって、印刷製品Aの押圧が行われる。2回目の部分断裁T3-2が終了した後、プレス・ガーダ144は断裁刃物150cと時間的に同調して戻され、それを受けてクランプ装置160/161のクランプ・ジョー163、165が開かれて、印刷製品Aはその後、搬出装置を介して1つの不良品選別装置500に引き渡される。この断裁動作の間も、またその終了後も、品質検査を行うセンサ400が使用されるようになっている。
【0216】
即ち1つの連続する不良品選別装置500が、この排出装置と協働するように接続されて作動して、品質を算定するセンサ400から送られる様々な入力に基づいて、断裁後の印刷製品のトリアージをとり行うようになっている。詳細には図示されないこの不良品選別装置500は、申し分のない印刷製品を「合格品として通す」一方で、不良品として判定された印刷製品を不合格品として排出するように構想されているが、これについても、決定的な不良品520と条件付きの不良品530とで更に区別が行われるようにする1つの選択肢が組み込まれている。後者については、これらの印刷製品を、後処理によって申し分のない印刷製品に変更できるようにするための、前提条件が定められるべきである。
【0217】
詳細には図示されないが、しかし当業者であれば容易に理解することができる、この不良品選別装置500の変形実施形態の一例を、一種のクロス・マニホールド技術により成し遂げることができる。「良品」であると鑑定された印刷製品510は、従来通りに複数の縦長ベルト上を次工程に搬送される。これらの縦長ベルトの下側には、複数のローラ・セットが備えられて、これらのローラ・セットが、実際に使用される時には、即ち、印刷製品が不良品として排出されることになる場合には、上に向かって縦長ベルトの走行面の上方へと上昇されることによって、この印刷製品を別の方向に誘導できるようにしている。「良品」である印刷製品510が搬出される限り、これらのローラは非アクティブ状態に留まることになる。即ち、組み込まれている品質を算定するセンサ400から、断裁後の印刷製品に何らかの品質損失がある旨、通報が入ると、この不良品選別機能が、その製品に正確に狙いを定めて、起動されるようになっている。そのようなケースにおいては、これまで非アクティブ状態にあったローラが、当該不良品選別を行うように制御されることによって、介入してくる、即ち、選別される印刷製品が決定的な不良品520であるのか、それとも条件付きの不良品530であるのかどうか、更に分別をとり行うようになっている。条件付きの不良品として選別される印刷製品については、尚も修理可能であると想定される。そのような不良品選別装置500は、上記で説明したクロス・マニホールドに限定されるものではない。
【0218】
上述の本発明に従った三方断裁機100は、公知である三方断裁機に対して次の長所を有している:
【0219】
断裁の間、中本は、クランプ又はプレス・バー・セットによって、略その面全体にわたりプレスされる。中本は唯一、冊子の背の領域内に、1つの自由面M1を有している。尤も、綴じられている中本は、この自由面の領域内では十分に圧縮された状態にある上に、断裁領域内では、断裁装置の断裁ステーションの内部で、複数のプレス・バーにより中本が支持されるために、この自由面はクリティカルなものではない。中本がこのように面全体にわたりプレスされる結果、高い断裁品質がもたらされることになる。
【0220】
この面全体にわたるプレッシングは、簡単な方法により達成される:フォーマットに応じて使用されるウェブ、支持要素、又は支え縁を設ける必要はない。それにより、三方断裁機の高いクロック周期を、ひいては高い性能を、達成することができる。
【0221】
本発明に従った三方断裁機を用いて、中本は吊り下げられた状態で、個々の断裁ステーション141、142、143(
図7を参照)に搬送されるために、搬送システム内の引渡し地点においては、中本の側面の支持が不要となる。中本は、寝かせた状態で搬送される訳ではないために、支持地点の間で支持面が面全体にわたっていなくとも、冊子のページが撓むことはなく、それにより引渡し地点のところで引っ掛かって離れなくなる怖れもない。
【0222】
断裁装置の3つの断裁ステーション141、142、143は、互いに対してU字形状に、U字の開口側を下にして配置されている。中本で切り落とされることになる切れ端の断裁は、3つの断裁ステーションの全てにおいて、プレス・ガーダ144(
図7、特に
図10を参照)との協働接続状態により、U字形の内側に向かって行われるようになっている。それにより、切れ端廃棄処分装置を1つだけ、下側に配置することによって、切り落とされた周り三方全ての切れ端を、首尾よく「搬出」することが可能となる。これらの切れ端は、具体的には重力によって、それ以外の補助手段を不要として落下する。
【0223】
このため、中本であるのか、それとも仮綴じ本であるのかに関係なく、個々の冊子を工業規模で製造する際には、三方断裁機のところで初めて異なるフォーマットが完成されることになるケースが非常に多いために、切れ端の良好な廃棄処分は大きな意味を持つ。この場合は、最大の最終フォーマットにサイズを合わせた中本が三方断裁機に供給されることになり、それよりも大幅に小さな最終フォーマットに仕上げる場合には、切り落とされることになる切れ端も大きくなってしまう。
【0224】
カッター・カセットとプレス・プランジャとを備えた三方断裁機においては、広く一般に、冊子の背から天側にかけてのコーナと冊子の背から地側にかけてのコーナに1つずつ、計2つの直角ストッパをあてがって、更には中本の小口側からも1つのストッパを使用することによって、中本の位置合わせが行われるようになっている。様々なフォーマットの冊子や小冊子等を製造する際には、大抵の場合、ある1つの特定のフォーマット範囲を対象として、同じフォーマットの表紙が使用されるようになっている。ところで、中本の厚さがまちまちであって、固定端面処理を行う綴じ機を用いてこれらの中本を綴じる場合には、表紙が、中本の一番上のページのところと、その最後のページのところとでは、違う大きさになっている。
【0225】
中本の高さがまちまちである場合は、その高さに応じて、表紙は印刷製品に対して多少なりともはみ出すことになる。通例中本は、片側については表紙のはみ出し量を一定として、その反対側についてははみ出し量を可変として、製造されるようになっている。
【0226】
複数のカッター・カセットとプレス・プランジャとが備えられる三方断裁機において行われるような中本の位置合わせは、そのような製品の場合は不向きである。
【0227】
本発明に従った三方断裁機においては、断裁前の中本又は断裁前の仮綴じ本の位置合わせが、天又は地の断裁余白と処理済みの背側の端面のところで行われるようになっている。このため表紙のはみ出し量の大きさがまちまちであっても、中本の高さ及び冊子幅には、何の問題も生じないようになっている。
【0228】
最後には所望のフォーマット寸法諸元を有している断裁済み印刷製品が成立するようにするために、三方断裁機のコントローラには、断裁対象である全ての中本又は断裁対象である全ての仮綴じ本に関する製品データが既知であることが要求されるが、これらかのデータから、搬送機構に不可欠な運動を計算することができる。
【0229】
その際にこれらのデータは、各種各様の方法でコントローラに伝送されるようにしてもよい。以下に例示的に幾つかの可能性を列記する。中本又は仮綴じ本には、1つの識別特徴が備えられている。三方断裁機の入口のところの1つの特徴読取り装置が、この識別特徴(例:バーコード又はQRコード、RFIDチップ、アイコン、画像等々)を読み取って、この特徴から得た情報を、断裁機の様々な動作サイクルに対して割り当ててコントローラに向けて伝送する。この特徴には、断裁後の印刷製品の寸法諸元を表している不可欠な情報が含まれていてもよい、又は、欠落している情報については、1つのデータベース内に保存されている様々な制御プロファイルから補足されるようにしてもよい。
【0230】
別のシステムにおいては、中本がクロック動作方式により三方断裁機に周期的に供給されるようになっている。クロック毎に、三方断裁機のコントローラには、中本を適切な寸法に断裁するために不可欠な様々な情報が送られる。ここでも印刷製品と一緒に送られるデータが、1つのデータベースからのデータにより補足されるようにしてもよい。
【0231】
更にもう1つの可能性として、中本の供給に先立ち、三方断裁機に様々なデータが中本の順序と一緒に知らされるようにしてもよい。三方断裁機は、供給される中本と同時に、所定の順序で並んでいる次のデータセットについても処理を行うようになっている。この場合は、中本の供給が正しい順序で行われることが要求される。それをチェックするために、更にもう1つの、順序をチェックするための特徴読取り装置が追加使用されてもよい。