IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

<>
  • 特許-竿体を備えた釣り具 図1
  • 特許-竿体を備えた釣り具 図2
  • 特許-竿体を備えた釣り具 図3
  • 特許-竿体を備えた釣り具 図4
  • 特許-竿体を備えた釣り具 図5
  • 特許-竿体を備えた釣り具 図6
  • 特許-竿体を備えた釣り具 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】竿体を備えた釣り具
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/00 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
A01K87/00 630N
A01K87/00 610A
A01K87/00 610Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018208638
(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2020074693
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 信広
(72)【発明者】
【氏名】谷川 尚太郎
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-205940(JP,A)
【文献】特開2004-147581(JP,A)
【文献】特開2009-207370(JP,A)
【文献】特開2011-155887(JP,A)
【文献】特開2016-154451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00 - A01K 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の竿体と、前記第一の竿体の後側に連結される第二の竿体と、前記第二の竿体の後側に連結される第三の竿体と、を備える、振出式の釣り具であって、
前記第一の竿体は、前記第一の竿体の後部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が前側を向いている第1前テープ痕領域を有し、
前記第二の竿体は、前記第二の竿体の前部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が後側を向いている第1後テープ痕領域と、前記第二の竿体の後部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が前側を向いている第2前テープ痕領域と、前記第1後テープ痕領域と前記第2前テープ痕領域の間に設けられ、前記第1後テープ痕領域と前記第2前テープ痕領域を区画する境界部と、有し、
前記第三の竿体は、前記第三の竿体の前部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が後側を向いている第2後テープ痕領域を有する、竿体を備えた釣り具。
【請求項2】
穂先竿と、元竿と、前記穂先竿と前記元竿の間に位置する中間竿と、を備える振出式の釣り具であって、
前記穂先竿は、前記穂先竿の後部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が前側を向いている第1前テープ痕領域を有し、
前記中間竿は、前記中間竿の前部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が後側を向いている第1後テープ痕領域と、前記中間竿の後部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が前側を向いている第2前テープ痕領域と、前記第1後テープ痕領域と前記第2前テープ痕領域の間に設けられ、前記第1後テープ痕領域と前記第2前テープ痕領域を区画する境界部と、有し、
前記元竿は、前記元竿の前部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が後側を向いている第2後テープ痕領域を有する、竿体を備えた釣り具。
【請求項3】
第一の竿体と、前記第一の竿体の後側に分離可能に連結される第二の竿体と、前記第二の竿体の後側に分離可能に連結される第三の竿体と、を備える、継ぎ式の釣り具であって、
前記第一の竿体は、前記第一の竿体の後部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が後側を向いている第1後テープ痕領域を有し、
前記第二の竿体は、前記第二の竿体の前部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が前側を向いている第1前テープ痕領域と、前記第二の竿体の後部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が後側を向いている第2後テープ痕領域と、前記第1前テープ痕領域と前記第2後テープ痕領域の間に設けられ、前記第1前テープ痕領域と前記第2後テープ痕領域を区画する境界部と、有し、
前記第三の竿体は、前記第三の竿体の前部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が前側を向いている第2前テープ痕領域を有する、竿体を備えた釣り具。
【請求項4】
穂先竿と、元竿と、前記穂先竿と前記元竿の間に互いに分離可能に連結される中間竿と、を備える、継ぎ式の釣り具であって、
前記穂先竿は、前記穂先竿の後部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が後側を向いている第1後テープ痕領域を有し、
前記中間竿は、前記中間竿の前部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が前側を向いている第1前テープ痕領域と、前記中間竿の後部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が後側を向いている第2後テープ痕領域と、前記第1前テープ痕領域と前記第2後テープ痕領域の間に設けられ、前記第1前テープ痕領域と前記第2後テープ痕領域を区画する境界部と、有し、
前記元竿は、前記元竿の前部の外周面に設けられ、成形テープによるテープ痕の段差部が前側を向いている第2前テープ痕領域を有する、竿体を備えた釣り具。
【請求項5】
前記境界部に、成形テープによるテープ痕が研磨除去された部分を有する、請求項1乃至4の何れかに記載の釣り具。
【請求項6】
前記境界部に、塗装された塗装部を有する、請求項5記載の釣り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振出竿及び継ぎ竿等の釣り具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば振出竿は複数の竿体を備えている。竿体のブランクは、一般には、プリプレグから形成される。プリプレグはマンドレルに巻回され、その上から成形テープで加圧される。そのため、成形テープを剥離した後のブランクには螺旋状のテープ痕が残る。そして、そのテープ痕を消すために、ブランクの外周面が研磨される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-38002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、テープ痕を積極的に利用することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る竿体を備えた釣り具は、複数の竿体が伸縮可能に連結される振出式の釣り具であって、前側の竿体は、後部の外周面に、成形テープによるテープ痕の段差部が前側を向いている前テープ痕領域を有し、後側の竿体は、前部の外周面に、成形テープによるテープ痕の段差部が後側を向いている後テープ痕領域を有している。尚、竿先側を前側とし、竿元側を後側とする。
【0006】
例えば振出竿を延ばした状態では、前側の竿体の後端部の外周面が後側の竿体の前端部の内周面に摩擦により当接して固定されている。この振出竿を仕舞う際には、例えば右手で前側の竿体の後部を把持すると共に左手で後側の竿体の前部を把持して、右手を左手に近づけるようにして、前側の竿体を後側の竿体の内側に収納する。前側の竿体の後部の外周面には前テープ痕領域が形成されていて、前テープ痕領域の段差部は前側を向いているので、右手が後側に滑りにくい。また、後側の竿体の前部の外周面には後テープ痕領域が形成されていて、後テープ痕領域の段差部は後側を向いているので、左手が前側に滑りにくい。従って、前側の竿体を後側の竿体に容易に収納できる。
【0007】
特に、第一の竿体と、該第一の竿体の後側に連結される第二の竿体と、該第二の竿体の後側に連結される第三の竿体とを備えている場合には、第一の竿体は、後部の外周面に前テープ痕領域を有し、第二の竿体は、前部の外周面に後テープ痕領域を有し、且つ、後部の外周面に前テープ痕領域を有し、第三の竿体は、前部の外周面に後テープ痕領域を有していることが好ましい。第一の竿体と第三の竿体との間に位置する第二の竿体が後テープ痕領域と前テープ痕領域の双方を有していることにより、第三の竿体に第二の竿体を容易に収納できると共に第二の竿体に第一の竿体を容易に収納できる。尚、この場合、振出竿は少なくとも三本の竿体を備えていればよく、四本以上の竿体を備えていてもよい。振出竿が四本以上の竿体を備えている場合には、第一の竿体は穂先竿であってもよいし、穂先竿の後側に連結される二番竿(穂持ち竿)や、二番竿の後側に連結される三番目の竿体である三番竿等であってもよい。四本以上の竿体のうち連続する三本の竿体が第一の竿体から第三の竿体となる。
【0008】
また、穂先竿は、後部の外周面に前テープ痕領域を有し、元竿は、前部の外周面に後テープ痕領域を有し、穂先竿と元竿との間に位置する一又は複数の中間竿は、前部の外周面に後テープ痕領域を有し、且つ、後部の外周面に前テープ痕領域を有していることが好ましい。尚、複数の中間竿を備える場合には、その複数の中間竿が、それぞれ後テープ痕領域と前テープ痕領域を有していることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る竿体を備えた釣り具は、複数の竿体が前後に連結分離可能な継ぎ式の釣り具であって、前側の竿体は、後部の外周面に、成形テープによるテープ痕の段差部が後側を向いている後テープ痕領域を有し、後側の竿体は、前部の外周面に、成形テープによるテープ痕の段差部が前側を向いている前テープ痕領域を有している。
【0010】
例えば継ぎ竿においては、前側の竿体の後端部と後側の竿体の前端部とが継ぎ合わせられる。前後に連結された前後二つの竿体を分離する場合、例えば右手で前側の竿体の後部を把持すると共に左手で後側の竿体の前部を把持して、右手を左手から遠ざけるようにして、前後の竿体同士を引き離す。前側の竿体の後部の外周面には後テープ痕領域が形成されていて、後テープ痕領域の段差部は後側を向いているので、右手が前側に滑りにくい。また、後側の竿体の前部の外周面には前テープ痕領域が形成されていて、前テープ痕領域の段差部は前側を向いているので、左手が後側に滑りにくい。従って、前後の竿体同士を容易に分離できる。
【0011】
特に、穂先竿は、後部の外周面に後テープ痕領域を有し、元竿は、前部の外周面に前テープ痕領域を有し、穂先竿と元竿との間に位置する一又は複数の中間竿は、前部の外周面に前テープ痕領域を有し、且つ、後部の外周面に後テープ痕領域を有していることが好ましい。中間竿が前テープ痕領域と後ープ痕領域の双方を有していることにより、中間竿をその前後の竿体から容易に分離できる。尚、複数の中間竿を備える場合には、その複数の中間竿が、それぞれ前テープ痕領域と後テープ痕領域を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、複数の竿体同士の連結部分の前後に、段差部の向きが互いに異なるテープ痕領域を有することにより、振出式の釣り具においては前側の竿体を後側の竿体に容易に収納でき、継ぎ式の釣り具においては前後の竿体同士を容易に分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態における振出竿の要部を示す正面図。
図2】(a)は前テープ痕領域の拡大断面図、(b)は同領域の成形テープ剥離前の状態を示す断面図。
図3】(a)は後テープ痕領域の拡大断面図、(b)は同領域の成形テープ剥離前の状態を示す断面図。
図4】同振出竿の要部を示す正面図。
図5】(a)及び(b)は、同振出竿の要部を示す正面図。
図6】本発明の他の実施形態における継ぎ竿の要部を示す正面図。
図7】同継ぎ竿の要部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る釣り具としての振出竿について図1図5を参酌しつつ説明する。振出竿は、複数の竿体を備えている。複数の竿体は伸縮可能に連結される。本実施形態では釣糸ガイドを備えていない延べ竿を示しているが、磯竿等のような釣糸ガイドを備えたものであってもよい。
【0015】
図1に、振出竿の複数の竿体のうち、二本の竿体1,2の連結部分を示している。二本の竿体1,2は複数の竿体のうちの何れであってもよく、互いに前後に連結される二本であればよい。振出竿を延ばした状態では、前側の竿体1の後端部の外周面が後側の竿体2の前端部の内周面に摩擦により当接して固定され、前側の竿体1はそれ以上後側の竿体2から前側に引き出すことができない。振出竿を仕舞う際には、前側の竿体1は後側の竿体2の内側に収納される。
【0016】
前側の竿体1と後側の竿体2は、それぞれプリプレグから形成された筒状のブランク10,20を備えている。ブランク10,20の外周面には成形テープによる螺旋状のテープ痕が残存している領域がある。ブランク10,20は、マンドレルにプリプレグを巻回し、加圧、焼成して形成される。加圧の際、プリプレグの上に、成形テープが所定のピッチで螺旋状に巻回される。ピッチは、例えば数ミリであって成形テープのテープ幅よりも小さい。特に、ピッチは、テープ幅の半分よりも小さいことが好ましく、テープ幅の1/10程度とすることが好ましく、2mm以下とすることが好ましい。成形テープは、隣の成形テープと重なり合うようにしながら螺旋状に巻回される。成形テープは、焼成後に剥離される。成形テープを剥離した後のブランク10,20の外周面にはセロ目とも称されるテープ痕が螺旋状に形成される。テープ痕は、段差部を有しており、成形テープがブランク10,20の後端部から前端部に向けて巻回されると、テープ痕の段差部は後側を向く。即ち、テープ痕の段差部の端面は後側を向いた状態となる。成形テープがブランク10,20の前端部から後端部に向けて巻回されると、テープ痕の段差部は前側を向く。即ち、テープ痕の段差部の端面は前側を向いた状態となる。
【0017】
前側の竿体1のブランク10の外周面の後部には、成形テープ100のテープ痕の段差部11が前側を向いた前テープ痕領域12が残存している。前テープ痕領域12を図2(a)に示している。図2(a)のように、前テープ痕領域12は、テープ痕の段差部11の端面11aが前側を向いている。テープ痕の段差部11はブランク10の軸線方向即ち前後方向に沿って一定間隔毎に形成されている。この段差部11同士の間の間隔が成形テープ100の巻回ピッチである。
【0018】
図2(a)においては簡略化のため、隣り合う段差部11同士の間の部分は、後側に向けて縮径する直線状の逆テーパ面13として示しているが、逆テーパ面13の大部分がほとんど傾斜していない周面であってもよい。段差部11の端面11aは急な角度であり、逆テーパ面13は緩い角度である。このような前テープ痕領域12におけるテープ痕は、図2(b)のように、プリプレグの外周面に成形テープ100を螺旋状に巻回することによって形成される。図2(b)では、見やすくするため、成形テープ100のテープ幅を小さくして図示している。このように成形テープ100は、前テープ痕領域12においては、前側から後側に向けて所定のピッチで重なり合うようにしながら螺旋状に巻回される。加熱焼成後に成形テープ100を剥離すると、図2(a)のような状態となる。
【0019】
一方、後側の竿体2のブランク20の外周面の前部には、成形テープ100のテープ痕の段差部21が後側を向いた後テープ痕領域22が残存している。後テープ痕領域22を図3(a)に示している。図3(a)のように、後テープ痕領域22は、テープ痕の段差部21の端面21aが後側を向いており、前テープ痕領域12とは逆向きとなっている。テープ痕の段差部21はブランク20の軸線方向即ち前後方向に沿って一定間隔毎に形成されている。この段差部21同士の間の間隔が成形テープ100の巻回ピッチであり、本実施形態では前テープ痕領域12におけるピッチと同じピッチとしているが、互いに異なっていてもよい。前テープ痕領域12の成形テープ100と後テープ痕領域22の成形テープ100は、互いに同じものであってもよいし異なるものであってもよい。即ち、成形テープ100の材質や厚さ、テープ幅、テンション等は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
図3(a)においては簡略化のため、隣り合う段差部21同士の間の部分は、後側に向けて拡径する直線状のテーパ面23として示しているが、テーパ面23の大部分がほとんど傾斜していない周面であってもよい。段差部21の端面21aは急な角度であり、テーパ面23は緩い角度である。このような後テープ痕領域22におけるテープ痕は、図3(b)のように、プリプレグの外周面に成形テープ100を螺旋状に巻回することによって形成される。図3(b)では、見やすくするため、成形テープ100のテープ幅を小さくして図示している。このように成形テープ100は、後テープ痕領域22においては、後側から前側に向けて所定のピッチで重なり合うようにしながら螺旋状に巻回される。加熱焼成後に成形テープ100を剥離すると、図3(a)のような状態となる。
【0021】
振出竿を仕舞う際、例えば右手で前側の竿体1の後部を把持すると共に左手で後側の竿体2の前部を把持して、右手を左手に近づけるようにして前側の竿体1を後側の竿体2の内側に収納する。前側の竿体1の後部の外周面には前テープ痕領域12が形成されていて、前テープ痕領域12の段差部11は前側を向いているので、右手が後側に滑りにくい。また、後側の竿体2の前部の外周面には後テープ痕領域22が形成されていて、後テープ痕領域22の段差部21は後側を向いているので、左手が前側に滑りにくい。即ち、両手を互いに容易に接近させることができる。従って、前側の竿体1の後端部外周面と後側の竿体2の前端部内周面との間の摩擦による固定状態を容易に解除でき、前側の竿体1を後側の竿体2に容易に収納できる。
【0022】
図4に振出竿の全体構成を簡略化して示している。図4では簡略化のため竿体が四本の場合について説明するが、五本以上であっても同様である。振出竿は、前側から順に、穂先竿3と、穂持ち竿とも称される二番竿4と、元上竿とも称される三番竿5と、元竿6とを備えている。二番竿4及び三番竿5の数字は、穂先竿3を一番としたときの数字である。二番竿4と三番竿5は穂先竿3と元竿6との間に位置する中間竿となる。図4では中間竿が二本の場合を示しているが、中間竿が三本以上であっても同様である。
【0023】
穂先竿3は、ブランク30の後部の外周面に前テープ痕領域12を有している。穂先竿3のブランク30の外周面の全長に亘って前テープ痕領域12が形成されていてもよいし、穂先竿3のブランク30の外周面の全長のうち後部のみに前テープ痕領域12が形成されていてもよい。元竿6は、ブランク60の前部の外周面に後テープ痕領域22を有している。元竿6のブランク60の外周面の全長に亘って後テープ痕領域22が形成されていてもよいし、元竿6のブランク60の外周面の全長のうち前部のみに後テープ痕領域22が形成されていてもよい。二番竿4は、ブランク40の前部の外周面に後テープ痕領域22を有し、ブランク40の後部の外周面に前テープ痕領域12を有している。
【0024】
図5(a)に二番竿4の全体を示している。二番竿4のブランク40の外周面の全長のうち前側略半分の領域が後テープ痕領域22である。二番竿4のブランク40の外周面の全長のうち後側略半分の領域は前テープ痕領域12である。二番竿4のブランク40の外周面は、前側の後テープ痕領域22と後側の前テープ痕領域12という二つの領域に区画される。後テープ痕領域22と前テープ痕領域12の比率は、本実施形態では略1:1となっているが、種々であってよい。後テープ痕領域22と前テープ痕領域12との境界部90の位置は任意であって、本実施形態では境界部90がブランク40の前後方向の中央部に位置しているが、境界部90がブランク40の前後方向の中央部よりも前側に位置していたり後側に位置していたりしてもよい。この境界部90は、成形テープ100の巻き付け方向が変わる部分である。
【0025】
尚、図5(b)のように、ブランク40の前後方向の中央部に、所定長さの塗装部91を形成してもよい。塗装部91を設けると、塗装部91によって後テープ痕領域22と前テープ痕領域12が区画される。塗装部91は、ブランク40の外周面の全周に亘って形成される。塗装部91は、ブランク40の境界部90を覆っている。ブランク40の外周面のうち境界部90を含む所定長さ部分は、研磨された後に塗装され、それによって塗装部91が形成される。塗装部91においては、テープ痕は研磨により除去されている。穂先竿3の後端部の外周面や二番竿4の後端部の外周面、三番竿5の後端部の外周面等、後側の竿体との連結部分である前側の竿体の後端部の外周面は、研磨によりテープ痕が除去されていてもよい。
【0026】
三番竿5は二番竿4と同様の構成である。即ち、三番竿5は、ブランク50の前部の外周面に後テープ痕領域22を有し、ブランク50の後部の外周面に前テープ痕領域12を有している。尚、中間竿を三本以上備える場合には、三本以上の中間竿の全てを上記二番竿4や三番竿5と同様に後テープ痕領域22と前テープ痕領域12の双方を備えていることが好ましい。このように中間竿である二番竿4や三番竿5が後テープ痕領域22と前テープ痕領域12の双方を有していることにより、元竿6に三番竿5を容易に収納でき、三番竿5には二番竿4を容易に収納でき、二番竿4には穂先竿3を容易に収納できる。
【0027】
次に、継ぎ竿の場合について説明する。継ぎ竿は、複数の竿体を備えている。複数の竿体は前後に連結分離可能である。継ぎ竿の継ぎ方式は、並継ぎ、逆並継ぎ、印籠継ぎ等であるが、一例として、並継ぎの場合を図6に示している。継ぎ竿の竿体の本数は二本以上であればよい。図6は、複数の竿体のうち、二本の竿体1,2の連結部分を示している。二本の竿体1,2は複数の竿体の何れであってもよく、互いに前後に連結される二本であればよい。継ぎ竿においては、前側の竿体1の後端部と後側の竿体2の前端部とが継ぎ合わせられる。並継ぎにおいて前側の竿体1と後側の竿体2とを連結した状態では、前側の竿体1の後端部の外周面が後側の竿体2の前端部の内周面に摩擦により当接して固定され、前側の竿体1はそれ以上後側には移動できない。
【0028】
前側の竿体1のブランク10の外周面の後部には、後テープ痕領域22が残存しており、後側の竿体2のブランク20の外周面の前部には、前テープ痕領域12が残存している。前側の竿体1と後側の竿体2を互いに分離する場合、例えば右手で前側の竿体1の後部を把持すると共に左手で後側の竿体2の前部を把持して、右手を左手から遠ざけるようにして、前後の竿体1,2同士を引き離す。前側の竿体1の後部の外周面には後テープ痕領域22が形成されていて、後テープ痕領域22の段差部21は後側を向いているので、右手が前側に滑りにくい。また、後側の竿体2の前部の外周面には前テープ痕領域12が形成されていて、前テープ痕領域12の段差部11は前側を向いているので、左手が後側に滑りにくい。即ち、両手を互いに容易に離間させることができる。従って、前側の竿体1の後端部外周面と後側の竿体2の前端部内周面との間の摩擦による固定状態を容易に解除でき、前後の竿体1,2同士を容易に分離できる。
【0029】
図5に継ぎ竿の全体構成を簡略化して示している。図5は簡略化のため竿体が三本の場合について説明するが、四本以上であっても同様である。継ぎ竿は、穂先竿3と二番竿4と元竿6を備えている。二番竿4が中間竿であるが、中間竿が二本以上の場合も同様である。穂先竿3は、ブランク30の後部の外周面に後テープ痕領域22を有している。穂先竿3のブランク30の外周面の全長に亘って後テープ痕領域22が形成されていてもよいし、穂先竿3のブランク30の外周面の全長のうち後部のみに後テープ痕領域22が形成されていてもよい。元竿6は、ブランク60の前部の外周面に前テープ痕領域12を有している。元竿6のブランク60の外周面の全長に亘って前テープ痕領域12が形成されていてもよいし、元竿6のブランク60の外周面の全長のうち前部のみに前テープ痕領域12が形成されていてもよい。二番竿4は、ブランク40の前部の外周面に前テープ痕領域12を有し、ブランク40の後部の外周面に後テープ痕領域22を有している。
【0030】
二番竿4のブランク40の外周面の全長のうち前側略半分の領域が前テープ痕領域12であり、後側略半分の領域は後テープ痕領域22である。二番竿4のブランク40の外周面は、前側の前テープ痕領域12と後側の後テープ痕領域22という二つの領域に区画される。前テープ痕領域12と後テープ痕領域22の比率は、本実施形態では略1:1となっているが、種々であってよい。前テープ痕領域12と後テープ痕領域22との境界部90の位置は任意であって、本実施形態では境界部90がブランク40の前後方向の中央部に位置しているが、境界部90がブランク40の前後方向の中央部よりも前側に位置していたり後側に位置していたりしてもよい。また、境界部90には塗装部91を設けてもよい。このように中間竿である二番竿4が前テープ痕領域12と後テープ痕領域22の双方を有していることにより、元竿6と二番竿4を容易に分離でき、二番竿4と穂先竿3を容易に分離できる。逆並継ぎや印籠継ぎの場合も同様である。
【0031】
尚、上記実施形態では、竿体を備えた釣り具として振出竿や継ぎ竿を例示したが、釣り具は釣竿の他、玉ノ柄や竿掛けであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 前側の竿体
2 後側の竿体
3 穂先竿
4 二番竿(中間竿)
5 三番竿(中間竿)
6 元竿
10 ブランク
11 段差部
11a 端面
12 前テープ痕領域
13 逆テーパ面
20 ブランク
21 段差部
21a 端面
22 後テープ痕領域
23 テーパ面
30 ブランク
40 ブランク
50 ブランク
60 ブランク
90 境界部
91 塗装部
100 成形テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7