(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/447 20060101AFI20220720BHJP
G01N 35/04 20060101ALI20220720BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20220720BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20220720BHJP
C12M 1/38 20060101ALN20220720BHJP
【FI】
G01N27/447 311B
G01N27/447 315K
G01N27/447 325A
G01N27/447 315D
G01N27/447 301A
G01N35/04 H
G01N21/64 Z
C12M1/00 A
C12M1/38 Z
(21)【出願番号】P 2018536474
(86)(22)【出願日】2017-01-13
(86)【国際出願番号】 US2017013470
(87)【国際公開番号】W WO2017123970
(87)【国際公開日】2017-07-20
【審査請求日】2020-01-06
(32)【優先日】2016-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507018768
【氏名又は名称】プロテインシンプル
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ローチ,デイビッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,トム ウェイサン
(72)【発明者】
【氏名】スー,フイ
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/048458(WO,A2)
【文献】特表2004-532384(JP,A)
【文献】特開2010-243498(JP,A)
【文献】特表2013-536439(JP,A)
【文献】特開2000-065796(JP,A)
【文献】特表2008-506970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26 -27/404
G01N 27/414-27/416
G01N 27/42 -27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたカートリッジリテーナであって、キャピラリを有するキャピラリカートリッジを受けるように構成されているカートリッジリテーナと、
前記ハウジング内に配置された検出アセンブリであって、少なくとも1つの放射体と、
少なくとも1つの検出器を含み、前記
少なくとも1つの検出器が、第1アッセイタイ
プに関連する第1出力
であって、前記キャピラリの点からの光信号である第1出力を検出する第1形態と、前記
少なくとも1つの2検出器が、第2アッセイタイ
プに関連する第2出力
であって、前記キャピラリの少なくとも1cmの長さからの第2出力を検出する第2形態との間で遷移するように構成されている検出アセンブリと、
前記ハウジング内に移動可能に配置された試薬トレイホルダであって、前記キャピラリカートリッジのキャピラリを試薬と流体連通させるように、前記カートリッジリテーナに対して移動するように構成されている試薬トレイホルダと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記カートリッジリテーナは、前記ハウジング内の実質的に固定された位置に前記キャピラリカートリッジを維持する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出アセンブリは、前記キャピラリカートリッジに関連する1つまたは複数の特性に少なくとも部分的に基づいて前記第1形態と前記第2形態との間で遷移するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記キャピラリは、前記キャピラリカートリッジが前記カートリッジリテーナ内に配置されているときに軸を画定し、
前記試薬トレイホルダは、前記ハウジング内で第1方向および第2方向に移動するように構成され、前記第1方向および前記第2方向は、前記軸に対して垂直である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記試薬トレイホルダは、第3方向に移動するように構成され、前記第3方向は、前記軸に対して平行である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ハウジング内に配置された真空源であって、前記カートリッジリテーナに流体的に結合され、前記カートリッジリテーナは、前記キャピラリカートリッジが前記カートリッジリテーナ内に配置されているときに前記キャピラリカートリッジの一部を前記真空源と流体連通させるように構成されている、真空源をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記
少なくとも1つの検出器
及び前記少なくとも1つの放射体は、
前記
少なくとも1つの検出器が、実質的に点に収束する光の第1ビームによって照明されている第1試料に関連する第1光出力を検出するように
、前記第1形態に集合的に構成されると共に
、
前記
少なくとも1つの検出器
が、前記
少なくとも1つの放射体から放射される、
長さで少なくとも1cmの光の列を形成する光の第2ビームによって照明されている第2試料に関連する第2光出力を検出するように
、前記第2形態に集合的に構成され
る、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記光の第1ビームは、前記キャピラリカートリッジが前記カートリッジリテーナ内に配置されているときに前記キャピラリに沿った位置を照明するように構成され、前記
少なくとも1つの光検出器は、前記光の第1ビームが前記キャピラリに沿った前記位置を照明するとき、前記キャピラリに収容された試料中の分析物を検出するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1出力は、前記第1光出力の吸光度、前記第1光出力によって誘起される標識部分の蛍光、または前記第1光出力によって誘起される分析物の固有蛍光の少なくとも1つである、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2出力は、前記第2光出力の吸光度、前記第2光出力によって誘起される標識部分の蛍光、または前記第2光出力によって誘起される分析物の固有蛍光の少なくとも1つである、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記カートリッジリテーナは、電源に電気的に結合され、前記カートリッジリテーナは、前記キャピラリカートリッジが前記カートリッジリテーナ内に配置されているときに前記キャピラリを前記電源に電気的に結合するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記光の第2ビームは、前記キャピラリカートリッジが前記カートリッジリテーナ内に配置されているときに前記キャピラリの長さを照明するように構成され、前記
少なくとも1つの光検出器は、前記光の第2ビームが前記キャピラリの前記長さを照明するとき、前記キャピラリ内に収容された試料中の1つまたは複数の分析物を検出するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記カートリッジリテーナは、前記キャピラリカートリッジと接触して前記カートリッジリテーナ内で前記キャピラリカートリッジを位置合せするように構成された複数の接触面を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年1月13日に出願された米国仮特許出願第62/278,159号の利益を主張し、その開示内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
背景
本明細書に記載する実施形態は、概して、試料混合物を分子量および/または等電点によって電気泳動的に分離および/または分析するシステムおよび方法に関する。本明細書に記載するいくつかの実施形態は、試料中に存在する1種または複数の分析物の分離、検出、同定、分類および/または定量化に関する。より詳細には、本明細書に記載する実施形態は、キャピラリベースの電気泳動を行うように構成されたシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気泳動は、分子の混合物を電界中におけるそれらの移動速度の差異に基づいて分離するために用いられてきた。一般に、電気泳動は、流体またはゲルに接触する1つまたは複数の電極または導電部材に印加される起電力の作用下での、流体またはゲル中に懸濁または溶解した分子の移動を指す。いくつかの既知の電気泳動分離モードとしては、分子を少なくとも部分的に緩衝液中のそれらの移動度の差異に基づいて分離するもの(一般にゾーン電気泳動と呼ばれる)、ゲルもしくはポリマー溶液中のそれらの移動度の差異に基づいて分離するもの(一般にゲル電気泳動と呼ばれる)、または水素イオン指数(pH)勾配中でのそれらの移動度の差異に基づいて分離するもの(一般に等電点電気泳動と呼ばれる)が挙げられる。電気泳動中の分子の移動は非常にばらつきがあり得るため、その解釈は、挙動および独自性が予め特徴付けられた電気泳動標準物質との比較によって決まる。電気泳動標準物質としては、例えば、硫酸ドデシルナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)における分子量(MW)標準物質、およびアガロースゲルにおけるデオキシリボ核酸(DNA)サイズ標準物質が挙げられる。場合により、生体分子分離は、キャピラリチューブ内でキャピラリ電気泳動により行うことができる。場合により、その後、生体分子(例えば、タンパク質)は、この生体分子をキャピラリチューブの壁に固定化することにより可視化することができる。しかしながら、キャピラリ電気泳動および生体分子可視化は、一貫して行うことが困難であり得る。
【0004】
生体分子可視化は、デジタル撮像を用いて行うことができる。こうした既知の分析は、試料の画像を取り込みかつ/または他に試料を検出するために、撮像デバイス(例えば、電荷結合素子、フォトダイオード等)およびレンズまたは顕微鏡を用いる。場合により、試料が光学系を通過して流れる際、光源が比較的高速で点滅して、カラム(例えば、キャピラリ)内の流動する生体分子を照明し、かつ/または他にその撮像を可能にする。取り込まれた画像は、例えば、フィルタリングおよび/または分離されて、標識蛍光、固有蛍光および/または吸光度等、生体分子に関連する特徴の画像を生成する。その後、この情報を既知のデータと比較して、試料中の生体分子に対して特性評価を行いかつ/または同定することができる。
【0005】
分析物、タンパク質、分子等に関連する情報を決定するために電気泳動分析を行ういくつかの方法である一方、こうした方法は、通常、単一分析モードを行うことができる複雑かつ高価な装置で行われる。さらに、いくつかの既知の方法およびシステムは、再現性に悪影響を与えかつ自動化を困難にする、広範囲なかつ/または時間のかかるハンドリングおよび処理ステップを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、単一のデバイス内で電気泳動移動度および/または等電点電気泳動等の複数のタイプの分析を行うように構成された改善されたシステムおよび方法が必要とされている。高価な試薬および/または使い捨て品の消費量を最小限にしながら、複数の試料を同時にまたは間断なく簡単かつ堅牢に分析することができるように、こうした技法を自動化することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本明細書では、キャピラリ電気泳動ならびに分析可視化および特性評価のためのシステムおよび方法について記載する。一態様では、システムは、ハウジングと、ハウジング内に配置されたカートリッジリテーナと、ハウジング内に配置された検出アセンブリと、ハウジング内に移動可能に配置された試薬トレイホルダとを含む。カートリッジリテーナは、キャピラリを有するキャピラリカートリッジを受けるように構成されている。検出アセンブリは、少なくとも1つの放射体と、第1検出器と、第2検出器とを含む。検出アセンブリは、第1検出器が少なくとも1つの放射体の第1出力を検出する第1形態と、第2検出器が少なくとも1つの放射体の第2出力を検出する第2形態との間で遷移するように構成されている。試薬トレイホルダは、キャピラリカートリッジのキャピラリを試薬体積(reagent volume)と流体連通させるように、カートリッジリテーナに対して移動するように構成されている。
【0008】
別の態様では、装置は、カートリッジ本体と、カートリッジ本体内に配置されたキャピラリと、カートリッジ本体内に配置された導電性バイアルと、導電性バイアルに電気的に結合された第1電極と、第2電極とを含む。キャピラリは、分析物を含む試料を収容するように構成された内部容積を画定する。キャピラリは、内部容積の第1端部を画定する第1端部と、内部容積の第2端部を画定する第2端部とを有する。導電性バイアルは、緩衝液を収容し、かつ第1隔壁および第2隔壁を有する。緩衝液は、内部容積が試料を収容しているとき、試料がバイアルに電気的に結合されるように、第1隔壁を介してキャピラリの内部容積の第1端部に電気的に結合される。第2電極は、キャピラリの第2端部に電気的に結合され、それにより、第1電極、第2電極および試料は、内部容積が試料を収容しているときに回路の一部を画定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態による、キャピラリ電気泳動を行いかつ/またはキャピラリ電気泳動によって分離された分析物を撮像するように構成されたシステムの一部の概略図である。
【
図2】実施形態による、キャピラリ電気泳動を行いかつ/またはキャピラリ電気泳動によって分離された分析物を撮像するように構成されたシステムの斜視図である。
【
図3】
図2に示すシステムのハウジングに含まれるドアアンブリの斜視図である。
【
図4】
図2に示すシステムのハウジングに含まれるドアアセンブリの組立分解図である。
【
図5】ハウジングの一部がなく、
図3のドアアセンブリが閉鎖形態にあるように示されている、
図2に示すシステムの一部の正面斜視図である。
【
図6】ハウジングの一部がなく、
図3のドアアセンブリが開放形態にあるように示されている、
図2に示すシステムの一部の正面斜視図である。
【
図7】
図2に示すシステムの異なる部分を示す斜視図である。
【
図8】
図2に示すシステムの異なる部分を示す斜視図である。
【
図9】
図2に示すシステムの異なる部分を示す斜視図である。
【
図10】試薬アセンブリおよび
図3に示すシステムのハウジングの一部の正面斜視図である。
【
図11】試薬アセンブリおよび
図3に示すシステムのハウジングの一部の背面斜視図である。
【
図12】
図10に示す試薬アセンブリのトレイ部分の組立分解図である。
【
図13】
図2に示すシステムの一部を示す背面斜視図である。
【
図14】
図2のシステムに含まれるキャピラリカートリッジリテーナおよび光学系アセンブリの正面斜視図である。
【
図15】
図14に示すキャピラリカートリッジリテーナの正面斜視図である。
【
図16】
図14に示すキャピラリカートリッジリテーナの部分組立分解図である。
【
図17】
図14に示すキャピラリカートリッジリテーナの一部の背面右側斜視図である。
【
図18】
図14に示すキャピラリカートリッジリテーナの一部の正面左側斜視図である。
【
図19】
図14に示すキャピラリカートリッジリテーナの一部の正面図である。
【
図20】
図14のキャピラリカートリッジリテーナおよび
図14の光学系アセンブリの単一点検出部分の斜視図である。
【
図21】
図20に示す光学系アセンブリの単一点検出部の斜視図である。
【
図22】
図20に示す光学系アセンブリの単一点検出部の組立分解図である。
【
図23】
図21の線23-23に沿った光学系アセンブリの単一点検出部の断面図である。
【
図24】
図14のカートリッジリテーナおよび
図14に示す光学系アセンブリの全カラム検出部の斜視図である。
【
図25】
図24に示す光学系アセンブリの全カラム検出部に含まれる照明アセンブリの斜視図である。
【
図26】
図24に示す光学系アセンブリの全カラム検出部に含まれる照明アセンブリの組立分解図である。
【
図27】
図24に示す光学系アセンブリの全カラム検出部に含まれるカメラアセンブリの斜視図である。
【
図28】
図24に示す光学系アセンブリの全カラム検出部に含まれるカメラアセンブリの組立分解図である。
【
図29】分子量分析中に
図2のシステム内で使用されるように構成されたキャピラリカートリッジの左側斜視図である。
【
図30】分子量分析中に
図2のシステム内で使用されるように構成されたキャピラリカートリッジの右側斜視図である。
【
図31】カートリッジ本体の一部なしに示されている、
図29のキャピラリカートリッジの側面図である。
【
図32】
図14に示すキャピラリカートリッジリテーナ内に保持されている、
図29に示すキャピラリカートリッジの右側斜視図である。
【
図33】
図14に示すキャピラリカートリッジリテーナ内に保持されている、
図29に示すキャピラリカートリッジの左側斜視図である。
【
図34】側壁なしに示されている、
図29のキャピラリカートリッジおよび
図14のキャピラリカートリッジリテーナの左側斜視図である。
【
図35】
図31の線35-35に沿ったキャピラリカートリッジおよびキャピラリカートリッジリテーナの断面図である。
【
図36】
図29のキャピラリカートリッジ、
図20に示す光学系アセンブリの単一点検出部、および
図14のキャピラリカートリッジリテーナの一部の正面斜視図である。
【
図37】
図36の線37-37に沿ったキャピラリカートリッジ、光学系アセンブリの単一点検出部、およびキャピラリカートリッジリテーナの断面図である。
【
図38】キャピラリ電気泳動分析中に
図2のシステム内で使用されるように構成されたキャピラリカートリッジの左側斜視図である。
【
図39】キャピラリ電気泳動分析中に
図2のシステム内で使用されるように構成されたキャピラリカートリッジの右側斜視図である。
【
図40】カートリッジ本体の一部なしに示されている、
図38のキャピラリカートリッジの側面図である。
【
図41】カートリッジ本体の一部なしに示されている、
図38のキャピラリカートリッジの斜視図である。
【
図42】
図38のキャピラリカートリッジ、
図24に示す光学系アセンブリの全カラム撮像部、および
図14のカートリッジリテーナの斜視図である。
【
図43】
図14に示すキャピラリカートリッジリテーナ内に保持されている
図38のキャピラリカートリッジの左側斜視図である。
【
図44】
図43の線44-44に沿ったキャピラリカートリッジおよびキャピラリカートリッジリテーナの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本明細書では、試料のキャピラリ電気泳動、等電点および/または分子量分析を行う装置、方法およびシステムについて記載する。装置およびシステムは、電気泳動分離中および/または電気泳動分離後に試料中の分析物を検出するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、ハウジングと、ハウジング内に配置されたカートリッジリテーナと、ハウジング内に配置された検出アセンブリと、ハウジング内に移動可能に配置された試薬トレイホルダとを含む。カートリッジリテーナは、キャピラリを有するキャピラリカートリッジを受けるように構成されている。検出アセンブリは、少なくとも1つの放射体と、第1検出器と、第2検出器とを含む。検出アセンブリは、第1検出器が少なくとも1つの放射体の第1出力を検出する第1形態と、第2検出器が少なくとも1つの放射体の第2出力を検出する第2形態との間で遷移するように構成されている。試薬トレイホルダは、キャピラリカートリッジのキャピラリを試薬体積と流体連通させるように、カートリッジリテーナに対して移動するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムは、ハウジングと、ハウジング内に配置されたカートリッジリテーナと、ハウジング内に配置された光源と、ハウジング内に配置された検出アセンブリとを含む。カートリッジリテーナは、第1側部および第2側部を含む。第1側部および第2側部は、実質的に平行であり、かつそれらの間に、キャピラリカートリッジの少なくとも一部を受けるように構成された空間を画定する。第1側部および第2側部の各々が第1開口部および第2開口部を画定する。第2側部の第1開口部および第2開口部は、第1側部の第1開口部および第2開口部にそれぞれ実質的に位置合せされる。光源は、光の第1ビームおよび光の第2ビームを放射するように構成されている。光の第1ビームの少なくとも一部は、第1側部の第1開口部および第2側部の第1開口部を通るように向けられる。光の第2ビームの少なくとも一部は、第1側部の第2開口部および第2側部の第2開口部を通るように向けられる。検出アセンブリは、光の第1ビームの少なくとも一部を検出するように構成された第1検出器と、光の第2ビームの少なくとも一部を検出するように構成された第2検出器とを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、システムは、ハウジングと、ハウジング内に配置されたカートリッジリテーナと、ハウジング内に配置された検出アセンブリと、ハウジング内に移動可能に配置された試薬トレイホルダと、カートリッジリテーナと、ハウジング内に配置された制御アセンブリとを含む。カートリッジリテーナは、キャピラリを有するキャピラリカートリッジを受けるように構成されている。カートリッジリテーナは、キャピラリカートリッジと接触し、かつカートリッジリテーナ内でキャピラリカートリッジを位置合せするように構成された複数の接触面を含む。検出アセンブリは、第1放射体および第2放射体と、第1検出器および第2検出器とを含む。検出アセンブリは、少なくとも部分的にキャピラリカートリッジに関連する1つまたは複数の特性に基づいて第1形態と第2形態との間で遷移するように構成されている。第1検出器は、検出アセンブリが第1形態にあるとき、第1放射体の出力を検出するように構成されている。第2検出器は、検出アセンブリが第2形態にあるとき、第2放射体の出力を検出するように構成されている。試薬トレイホルダは、キャピラリカートリッジのキャピラリを試薬体積と流体連通させるように、カートリッジリテーナに対して移動するように構成されている。制御アセンブリは、キャピラリカートリッジがカートリッジリテーナ内に配置されているとき、キャピラリカートリッジに関連するデータを受け取るように構成されている。制御アセンブリは、キャピラリカートリッジに関連するデータに基づいて、検出アセンブリを第1形態または第2形態にするための信号を検出アセンブリに送信するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、装置は、カートリッジ本体と、カートリッジ本体内に配置されたキャピラリと、カートリッジ本体内に配置された導電性バイアルと、導電性バイアルに電気的に結合された第1電極と、第2電極とを含む。キャピラリは、分析物を含む試料を収容するように構成された内部容積を画定する。キャピラリは、内部容積の第1端部を画定する第1端部と、内部容積の第2端部を画定する第2端部とを有する。導電性バイアルは、緩衝液を収容し、かつ第1隔壁および第2隔壁を有する。緩衝液は、内部容積が試料を収容しているとき、試料がバイアルに電気的に結合されるように、第1隔壁を介してキャピラリの内部容積の第1端部に電気的に結合される。第2電極は、キャピラリの第2端部に電気的に結合され、それにより、第1電極、第2電極および試料は、内部容積が試料を収容しているときに回路の一部を画定する。
【0015】
いくつかの実施形態では、装置は、分析器内に配置されるように構成されたカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に配置されたキャピラリと、カートリッジ本体内に配置されたチューブとを含む。カートリッジ本体は、開口部を画定する。キャピラリは、分析物分離のために構成されている。チューブは、キャピラリの端部に結合され、それにより、分析器は、キャピラリに圧力または真空の少なくとも一方をかけることができる。チューブの少なくとも一部は、開口部を介して露出される。開口部は、分析器からピンチ弁の一部を受けるように構成されている。ピンチ弁は、チューブをはさむように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、装置は、分析器内に配置されるように構成されたカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に配置されたキャピラリと、出口チューブと、出口チューブに流体的に結合された出口ポートと、カートリッジ本体内に画定された廃棄物容器とを含む。キャピラリは、分析物分離のために構成されている。カートリッジ本体内に配置された出口を有するキャピラリである。出口チューブは、キャピラリ出力に結合されている。廃棄物容器は、出口チューブに流体的に結合され、かつ液体が出口チューブから出口ポートに流れることを妨げるように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、装置は、分析器内に配置されるように構成されたカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に配置されたキャピラリと、カートリッジ本体内のバイアル内に配置された緩衝液と、緩衝液とキャピラリとの間に配置された第1隔壁と、緩衝液と分析器との間に配置された第2隔壁とを含む。キャピラリは、等電点に基づいて分析物を分離するように構成されている。緩衝液は、キャピラリの長さに沿ってpH勾配を引き起こすように構成されている。第2隔壁は、圧力または真空の少なくとも一方をバイアルにかけることができるように分析器によって破壊されるように構成されている。
【0018】
本明細書で用いる単数形「1つの(a)、「1つの(an)」および「その(the)」は、別段の明確な指示のない限り複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「部材」という用語は、単一の部材または部材の組合せを意味するように意図され、「材料」は、1つもしくは複数の材料またはその組合せを意味するように意図される。
【0019】
本明細書で用いる「約」および「およそ」という用語は、概して、述べられている値のプラスマイナス10%を意味する。例えば、約0.5は、0.45および0.55を含み、約10は、9~11を含み、約1000は、900~1100を含む。
【0020】
本明細書で用いる「組」という用語は、複数の特徴または複数の部分を有する単数の特徴を指すことができる。例えば、壁の組に言及する場合、壁の組は、複数の部分を有する1つの壁とみなすことができ、または複数の別個の壁とみなすことができる。したがって、一体構造で構成された要素は、壁の組を含むことができる。こうした壁の組は、互いに連続的または非連続的のいずれかである複数の部分を含むことができる。壁の組は、また、別々に作製された後に(例えば、溶接部、接着剤または任意の好適な方法により)接合される複数の要素から製造することも可能である。
【0021】
本明細書で用いる「直角の」および/または「垂直な」という用語は、概して、2つの幾何学的構造(例えば、2つの線、2つの面、線および面等)間の、それら2つの幾何学的構造が実質的に90°で配置される関係を述べる。例えば、ある線と別の線とが、90°に実質的に等しい角度で交差する場合、ある線は、別の線に対して「垂直である」と言われる。同様に、平面の表面(例えば、二次元面)が別の平面の表面に対して「垂直である」と言われる場合、それら平面の表面は、無限に広がるにつれて実質的に90°で(例えば、実質的に直交して)配置される。
【0022】
本明細書で用いる「モジュール」という用語は、例えば、メモリ、プロセッサ、電気トレース、光コネクタ、(ハードウェア内で実行される)ソフトウェア等を含むことができる、作動的に結合された電気コンポーネントの任意のアセンブリおよび/または組を指す。例えば、プロセッサにおいて実行されるモジュールは、ハードウェアベースモジュール(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および/またはそのモジュールに関連する1つまたは複数の所定の機能を実行することができるソフトウェアベースモジュール(例えば、メモリに格納され、かつ/またはプロセッサにおいて実行されるコンピュータコードのモジュール)の任意の組合せであり得る。
【0023】
本明細書で用いる「分析物」および/または「標的分析物」という用語は、本明細書で提供する方法、装置およびシステムにより分離および/または検出される任意の分子または化合物を指す。好適な分析物としては、限定されないが、例えば、環境分子、臨床分子、化学物質、汚染物質および/または生体分子等の小化学分子が挙げられる。より具体的には、こうした化学分子としては、限定されないが、殺虫剤、防虫剤、毒物、治療および/または乱用薬物、抗生物質、有機材料、ホルモン、抗体、抗体フラグメント、抗体分子複合体(例えば、抗体薬物複合体)、抗原、細胞膜抗原、タンパク質(例えば、酵素、免疫グロブリンおよび/または糖タンパク質)、核酸(例えば、DNAおよび/またはRNA)、脂質、レクチン、炭水化物、全細胞(例えば、病原菌等の原核細胞および/または哺乳動物の腫瘍細胞等の真核細胞)、ウイルス、胞子、多糖類、糖タンパク質、代謝物、余因子、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド(リボ核酸および/またはデオキシリボ核酸を含む)、遷移状態類似体、阻害物質、受容体、受容体リガンド(例えば、神経受容体もしくはそれらのリガンド、ホルモン受容体もしくはそれらのリガンド、栄養素受容体もしくはそれらのリガンドおよび/または細胞表面受容体もしくはそれらのリガンド)、受容体リガンド複合体、栄養素、電解質、成長因子および他の生体分子ならびに/または非生体分子とともに、フラグメントおよびそれらの組合せを挙げることができる。いくつかの実施形態では、分析物はタンパク質またはタンパク質複合体であり、試料は細胞溶解物または精製タンパク質である。他の好適な分析物としては、コロイドおよび/またはエマルジョンの集合体、塊、フロックおよび/または分散相液滴もしくは粒子を挙げることができる。
【0024】
本明細書で用いる「試料」という用語は、検出対象の1種または複数の分析物を含有する組成物を指す。試料は、いくつかの実施形態では、不均質であり、種々の成分(例えば、種々のタンパク質)を含有するか、または同質であり、1種の成分(例えば、1つのタンパク質の集団)を含有する。場合により、試料は、天然の生物学的材料および/または人工材料であり得る。さらに、試料は、未変性形態(例えば、細胞懸濁液)または変性形態(例えば、溶解物)であり得る。場合により、試料は、単細胞(もしくは例えば単細胞からの細胞溶解物、もしくは精製タンパク質としての単細胞の含有物)または複数細胞(もしくは例えば複数細胞からの細胞溶解物、もしくは複数細胞からの精製タンパク質としての複数細胞の含有物)、血液試料、組織試料、皮膚試料、尿試料、水試料および/または土壌試料であり得る。場合により、試料は、真核生物、原核生物、哺乳類、ヒト、酵母および/または細菌等の生物由来であり得るか、または試料は、ウイルス由来であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、試料は、不均質生物学的試料であるか、または不均質生物学的試料、例えば、組織溶解物、細胞溶解物またはタンパク質(例えば、精製タンパク質)等の生体分子の混合物由来である。さらなる実施形態では、細胞溶解物中のタンパク質が、本明細書に記載する方法およびシステムによる検出対象の分析物である。さらなる実施形態では、本明細書で提供する装置、システムおよび方法は、特定の形態のタンパク質、例えばリン酸化タンパク質の検出を可能にする。細胞溶解物は、例えば、1つの細胞または細胞の混合物の溶解物であり得る。さらに、細胞溶解物は、単細胞型(single cell type)または複数細胞型(multiple cell type)を含むことができる。細胞型は、いくつかの実施形態では、幹細胞もしくは癌細胞、または幹細胞集団、または癌細胞集団を含む。一実施形態では、試料は、1つまたは複数の幹細胞(例えば、無限に分化し、特殊な細胞を生じさせる能力を有する任意の細胞)を含む。幹細胞の好適な例としては、限定されないが、胚性幹細胞(例えば、ヒト胚性幹細胞(hES))および非胚性幹細胞(例えば、間充織細胞、造血細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、または成体幹細胞(MSC))を挙げることができる。
【0026】
場合により、本明細書で提供する装置およびシステムにより試料中の分析物を検出する前に試料に対して処理を実施することができる。例えば、溶解ステップ、変性ステップ、加熱ステップ、精製ステップ(例えば、タンパク質精製)、沈降ステップ、免疫沈降ステップ、カラムクロマトグラフィステップ、遠心分離等を試料に対して施すことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法、装置およびシステムにより試料中の標的分析物を検出および/または分離する前に試料に対して変性ステップが施される。いくつかの実施形態では、試料に対する処理ステップは、本明細書に記載する装置またはシステムの1つにおいて実施される。別の実施形態では、処理ステップは、本明細書に示す装置またはシステムの1つに試料を導入する前に実施される。
【0027】
本明細書で用いる「標準物質(standard)」および/または「内部標準物質(internal standard)」という用語は、分析物を含む試料に比較の目的で添加することができる、既知の量および/または独自性(例えば、既知の等電点、既知の分子量、電気泳動移動度プロファイル、核酸の場合には塩基対の数、分子組成等)の、特徴が明確な物質を意味する。いくつかの実施形態では、既知の量の標準物質が1種または複数の分析物を含む試料に添加され、標準物質と、分析物を含む試料中の分子との両方が電気泳動)によって等電点に基づいて分離される。その後、標準物質の信号と分析物の信号との比較により、試料中に元来存在する分析物の量の定量的測定値または半定量的測定値がもたらされる。
【0028】
一般に、等電点電気泳動(IEF)標準物質は、確立された等電点に基づいて既知である。同様に、分子量標準物質は既知である。場合により、標準物質および/または分析物は、分析物に対する抗体または標準物質に付加された標識部分による等、1種または複数の検出分子または試薬により検出することができる。いくつかの実施形態では、一次抗体は、標的分析物に結合するために使用され、蛍光または化学発光試薬に結合された二次抗体は、一次抗体または一次抗体-分析物複合体を結合するために導入される。その後、蛍光または化学発光分子の信号が検出される。他の場合、標準物質および/または分析物は、固有蛍光(例えば、標準物質および/または分析物中のトリプトファンアミノ酸の蛍光を介して)および/または吸光度を介して検出することができる。
【0029】
その後、標準物質の信号と分析物の信号とを比較して、試料中の分析物の濃度を測定することができる。さらにまたは別法として、標準物質との比較により、分析物の相対的な特性(例えば、等電点、分子量等)を求めることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、内部標準物質は、分析物自体の精製形態であり得、この形態は、一般に、分析物から何らかの方法で識別可能とされる。分析物の精製形態を得る任意の方法としては、限定されないが、天然からの精製、研究室で培養した生物からの(例えば、化学合成による)精製等を挙げることができる。内部標準物質の際立った特性は、限定されないが、色素標識、放射標識、または標準物質が分析物から識別可能であるように電気泳動分離中に標準物質の移動度を修正することを含むことができる、任意の好適な変更であり得る。例えば、分析物はおよび内部標準物質は、離散的発光波長において各々検出可能な蛍光色素で各々標識することができ、それにより分析物および標準物質が個別に検出可能となり得る。場合により、内部標準物質は分析物と異なるが、分析物と同様にまたは同じように挙動し、関連する比較測定を可能にする。いくつかの実施形態では、使用に好適な標準物質は、開示内容が全体として参照により本明細書中に援用される、2006年9月20日に出願された「Electrophoresis Standards, Methods and Kits」という名称の米国特許出願公開第2007/0062813号に記載されているものうちの任意のものであり得る。
【0031】
場合により、本明細書で提供する装置、システムおよび方法により、単一のキャピラリチューブ内の単一の試料から複数の分析物が検出され、それに対して特性評価が行われる。例えば、いくつかの実施形態では、複数の分析物はタンパク質の集団またはタンパク質の亜集団である。これに関して、タンパク質の集団またはタンパク質の亜集団の個々のタンパク質の各々に対応する1種の内部標準物質を含むことは実際的ではないことがあり得る。したがって、いくつかの実施形態では、一般的な等電点標準物質が、本明細書で提供するシステムおよび装置内に導入される。標準物質は、いくつかの実施形態では、キャピラリチューブに沿って異なる等電点を示すように動作可能なラダー標準物質である。電気泳動中に移動する試料中のタンパク質はラダーと比較され、試料中に存在するタンパク質の等電点が求められる。いくつかの実施形態では、複数のラダー標準物質が使用される。
【0032】
上述した分析物および/または標準物質は、いくつかの実施形態では、(例えば、分子量、特徴的な長さ、面積もしくは体積、オリゴヌクレオチドの長さまたは他の好適な特性によって影響を受ける)、電荷、分子量、電気泳動移動度等の任意の好適な移動性パラメータによって分離される。例えば、いくつかの実施形態では、試料に対し、等電点等の移動度パラメータに基づいて、分離マトリックスを含むキャピラリチューブ内で電気泳動分離が施される。キャピラリチューブは、自動的に添加することができる分離マトリックスを含み得る。分離マトリックスは、いくつかの実施形態では、等電分離マトリックスであり、pH勾配等の従来の電気泳動実験で使用される高分子ゲルと同様であるかまたは実質的に同じ特性を有する。分離マトリックスにおけるキャピラリ電気泳動は、分子が移動することができる多孔性通路を設けることにより、分子が試料中の分子の移動度パラメータに基づいて分離される、ポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲル等の高分子ゲルでの分離に類似する。
【0033】
いくつかの実施形態にでは、分離が完了すると、限定されないが、化学的処理、光化学的処理および熱処理を含む任意の適切な方法を用いて、(例えば、分析物および/または標準物質を含む)分離後の試料の成分をキャピラリの壁に固定化することができる。いくつかの実施形態では、分離後の試料の成分は、分子が電気泳動によって分離された後、(例えば、キャピラリ等により画定される)流体路内で固定化される。例えば、いくつかの実施形態では、固定化は、分離後の試料およびキャピラリを紫外線(UV)に暴露することにより発生し、紫外線(UV)は、分析物(試料内に存在する場合)および試料中の分子をキャピラリの壁に固定化する役割を果たす。固定化は、疎水性相互作用もしくはイオン性相互作用による等、共有結合または非共有結合手段によることができる。別の実施形態では、分解後の1種または複数の分析物を流体路内で共有結合的に固定化するために、反応性部分を使用することができる。反応性部分は、流体路に(例えば、キャピラリチューブの壁に)直接または間接的に付着させることができる。いくつかの実施形態では、反応性部分は溶液または懸濁液で供給することができ、活性化すると、流体路の壁と試料中の分子との間に架橋を形成するように構成され得る。反応性部分は流体路の内側を覆うことができ、または活性化前および/もしくは活性化後に流体路の壁に結合する場合もあればしない場合もある、流体路の直鎖または架橋ポリマー上に存在することができる。反応性部分は、例えば、上述したもの等、試料の個々の分子の対応する反応基と共有結合を形成することができる任意の反応基であり得、かつ/またはそれを含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、反応性部分は、疎水性相互作用、イオン性相互作用、水素結合等により、分析物に付着する官能性に変換され得る官能基を含む。いくつかの実施形態では、こうした反応性部分は、流体路の表面上および/または流体路の表面に付着した粒子の表面上に分析物を固定化するために、紫外線、レーザ、温度または他の任意のエネルギー源で活性化することができる。いくつかの実施形態では、流体路の表面は、温度が変化すると表面の疎水性の変化を可能にする熱応答性ポリマーによって官能化する。いくつかの実施形態では、分析物は、流体路内が特定の温度に達したときに温度応答性ポリマーの疎水性を増大させることにより、そうした表面上で固定化される。さらに他の実施形態では、最初に流体路の表面上で固定化されずに、分析物をプローブおよび/または検出することができる。例として、分析物を等電点に基づいて(例えば、等電点電気泳動により)分離し、少なくとも流体路内の試料に対して電流が施される限り、それらのそれぞれの等電点において維持することができる。換言すれば、分析物および/または標準物質が分離されると、本明細書に記載する装置および/またはシステムは、分析物および/または標準物質をそれらのそれぞれの等電点で維持する(例えば、固定化)ように動作可能な電流の流れを提供し続けることができる。
【0035】
固定化および/または他に分離された分析物および/または標準物質は、その後、1種または複数の検出試薬によってプローブされ、検出される。検出試薬は、検出対象の分析物および/または標準物質と結合または相互作用することができる。検出試薬は、限定されないが、蛍光色素、光学色素、化学発光試薬、放射能、粒子、磁性粒子、常磁性粒子等の任意の手段による標準物質および分析物の検出を可能にする。検出試薬は、例えば、タンパク質、ペプチド、抗体、酵素基質、遷移状態類似体、余因子、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アプタマー、レクチン、小分子、リガンド、阻害物質、薬物および他の生体分子、ならびに検出対象の分析物に結合することができる非生体分子等の任意の有機分子または無機分子を含むことができる。いくつかの実施形態では、検出試薬は、(上述したような)1つまたは複数の標識部分を含む。いくつかの実施形態では、検出試薬は、1つまたは複数の標識部分を含む。2つ以上の標識部分を使用する実施形態では、各標識部分は同じであり得るか、または標識部分のいくつかまたはすべてが異なり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、検出試薬は二次試薬として使用される。例えば、いくつかの実施形態では、検出試薬は、分析物および/または標準物質に結合させるために導入される第1分子または第1分子の複合体を分析物および/または標準物質と結合させるように設計されている。例えば、いくつかの実施形態では、固定化された試料を含むキャピラリチューブ内に「一次」モノクローナルまたはポリクローナル抗体が最初に導入される。この「一次」抗体は対象分析物(試料内に存在する場合)に結合し、非結合一次抗体は押し流される。次に、「二次」抗体が導入され、二次抗体は、一次抗体、または一次抗体-分析物複合体が広がる領域のいずれかに結合するように設計されている。二次抗体は、対象分析物の存在/非存在を検出および/または可視化するための標識部分を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供する装置およびシステムにおいて、試料中の2種以上の対象分析物(例えば、2種、3種、4種または5種の分析物)の存在または非存在を検出するために、または試料中の2種以上の分析物の量を定量化するためにマルチプレックスイムノアッセイが実施される。さらなる実施形態では、検出試薬は対象分析物の各々に対して同じである。例えば、各分析物に対する検出試薬は、西洋ワサビペルオキシダーゼ等の化学発光標識に結合した二次抗体である。分析物間の差異化は、最初に特異な一次抗体をキャピラリチューブ内に導入することによって行われ、そこでは、各一次抗体は一意の対象分析物に特定である。
【0038】
二次抗体に結合した標識部分は、任意の適切な標識であり得る。例えば、一般標識には、光学色素(例えば、着色または蛍光色素);化学発光標識、リン光標識、酵素標識(例えば、アルカリフォスファターゼおよび/または西洋ワサビペルオキシダーゼ)、生物発光標識、同位体標識(例えば、放射性同位体または重同位体)、質量標識および/または粒子標識(例えば、コロイド、磁性粒子等)を含むことができる。いくつかの実施形態では、標識部分は化学発光部分である。さらなる実施形態では、化学発光部分は西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)である。いくつかの実施形態では、HRPは、二次抗体に結合し、イムノアッセイにおいて、試料中の1つの分析物または複数の分析物を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、標識部分は単一異性体色素(single isomer dye)であり得る。いくつかの実施形態では、標識部分は、蛍光信号をもたらす任意の実体を含むことができる蛍光色素であり得る。例えば、蛍光色素は、第1波長で光を吸収し、吸収事象に応答して第2波長で蛍光を発する共鳴非局在化系(resonance-delocalized system)または芳香環系を含むことができる。蛍光色素は、種々のクラスの蛍光化合物、例えば、キサンテン、ローダミン、フルオレセイン、シアニン、フタロシアニン、スクアライン、ボディパイ色素、クマリン、オキサジンおよびカルボピロニンのうちの任意のものであり得る。いくつかの実施形態では、蛍光色素は、5-カルボキシテトラメチルローダミン(5-TAMRA)および/または他の任意の好適なクラスの蛍光化合物である。
【0039】
いくつかの実施形態では、標識部分は、化学発光標識であり得、かつ/または化学発光標識を含み得る。好適な標識部分は、化学発光による光子放出が誘起されるように化学発光基質と反応することができる酵素を含み得る。例えば、酵素は、酵素活性により他の分子の化学発光を誘起することができる。そうした酵素は、ペルオキシダーゼ、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、β-ガラクトシダーゼ、ホスファターゼ等であり得、かつ/またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、化学発光標識は、種々のクラスのルミノール標識、イソルミノール標識等のうちの任意のものから選択することができる。いくつかの実施形態では、検出試薬は、化学発光標識抗体、例えば、HRPに共有結合した二次抗体を含むことができる。いくつかの実施形態では、検出試薬は、例えば、Foster City、CaliforniaのApplied Biosystemsから入手可能なGalacton基質、またはRockford、IllinoisのPierce Biotechnology, Inc.から入手可能なSuperSignal West Femto Maximum Sensitivity基質、または他の任意の適切な基質等の化学発光基質を含む。いくつかの実施形態では、検出試薬は、開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,689,576号、同第6,395,503号、同第6,087,188号、同第6,287,767号、同第6,165,800号および同第6,126,870号に記載されているもののうちの任意のものであり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、標識部分は、(例えば、触媒的タンパク質が化学発光反応の効率を上昇させる生物系に見られる)生物発光化合物であり得、かつ/またはそれを含み得る。生物発光化合物の存在は、発光の存在を検出することによって判断される。好適な生物発光化合物としては、限定されないが、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンが挙げられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、標識部分は、蛍光色素であり得、かつ/または蛍光色素を含み得る。こうした蛍光色素は、第1波長で光を吸収し、吸収事象に応じて第2波長で蛍光を発する共鳴非局在化系または芳香環系を含むことができる。蛍光色素は、限定されないが、キサンテン、ローダミン、フルオレセイン、シアニン、フタロシアニン、スクアライン、ボディパイ色素、クマリン、オキサジンおよびカルボピロニン等の種々のクラスの蛍光化合物のうちの任意のものであり得る。いくつかの実施形態では、例えば、検出試薬が蛍光色素等の蛍光体を含む場合、蛍光体の蛍光は、蛍光体を適切な光源で励起し、蛍光体の蛍光を蛍光体の特徴的な蛍光発光波長に高感度な検出器によってモニタリングすることによって検出される。
【0042】
上述したように、いくつかの実施形態では、2種以上の異なる分析物と結合または相互作用して、2種以上の種類の分析物が同時に検出されることを可能にするために、2種以上の異なる薬剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、1種の分析物と結合または相互作用する2種以上の異なる検出試薬を同時に検出することができる。さまざまな実施形態において、2種以上の異なる検出試薬を用いることにより、1つの薬剤、例えば、第1一次抗体は、1種または複数の分析物と結合または相互作用して第1薬剤-分析物複合体を形成することができ、第2試薬、検出試薬、例えば、二次抗体は、第1薬剤-分析物複合体と結合または相互作用するために使用され得る。
【0043】
別の実施形態では、2つの異なる検出試薬、例えば、リン酸形態および非リン酸形態の両方の対象分析物の抗体が両形態の対象分析物の検出を可能にし得る。いくつかの実施形態では、1つの所定の検出試薬、例えば、抗体がリン酸化形態および非リン酸化形態の両方の分析物の検出および分析を可能にし得る。いくつかの実施形態では、色多重化を可能にするために、複数の基質とともに複数の検出試薬を使用することができる。例えば、異なる色の光子を放出するために異なる化学発光基質を使用することができる。(例えば、回折格子、プリズム、一連の色フィルタ等による)異なる色の選択的検出により、流体路に沿った(例えば、分子量勾配に沿った)任意の位置でいずれの色の光子が放出されているかの判断、したがって各放出位置にいずれの検出試薬が存在するかの判断を可能にし得る。いくつかの実施形態では、異なる化学発光試薬を逐次供給することができ、異なる結合検出試薬を逐次検出することが可能になる。
【0044】
概して、本明細書に記載する装置およびシステムにおいて実施される標準的なイムノアッセイプロセス中、内部標準物質の一部は、さまざまな洗浄プロセスにより失われる。したがって、一般に、曲線を校正し、分析物の分子量および/または独自性(例えば、アミノ酸数またはオリゴヌクレオチド塩基対の数)を分析するように調整を可能にするために、イムノアッセイ後、キャピラリ内に残っている内部標準物質によって十分な信号を発生することができるように、アッセイの開始時に試料中に十分な量の内部標準物質を装填することが望ましい。しかしながら、比較的多量の内部標準物質は、標準物質と分析物とが同位置にある場合、分析物の捕捉を妨げ得る。したがって、いくつかの標準物質は、電気泳動中および/または電気泳動の終了時、分析物とともに位置しない。しかしながら、こうした標準物質は、分析物の検出のための信頼性の高い校正曲線を生成しないことがあり得る。したがって、いくつかの実施形態では、試料は2種以上の標準物質を含むことができる。例えば、内部標準物質は、第1標準物質(「高輝度標準物質(bright standard)」または「位置決め標準物質」と呼ばれる)および第2標準物質(「低輝度標準物質(dim standard)」と呼ばれる)によって形成され得、かつ/またはそれらを含み得る。高輝度標準物質は、分析物の特性と異なる特性(等電点等)を有する標準物質であり得る。したがって、電気泳動後、位置決め標準物質および分析物の位置は、キャピラリ内で互いに離れて位置する。したがって、高輝度標準物質および分析物から放出される蛍光は互いに重ならず、かつ干渉しない。低輝度標準物質は、分析物の特性に類似する特性(等電点等)を有する標準物質であり得る。したがって、電気泳動後、位置決め標準物質および分析物の位置は、キャピラリ内で互いに接近して位置する。
【0045】
高輝度標準物質は、(例えば、キャピラリ等によって画定される)流路に沿った、分析物の場所と異なる場所に位置することができ、低輝度標準物質が分析物に接近してまたは分析物と同じ場所に位置するための座標(例えば、アンカ点)を提供し、それにより正確な校正曲線を提供する。一般に、内部標準物質および分析物が分離された後、高輝度標準物質は、低輝度標準物質によって放出される蛍光よりも輝度の高い蛍光を生成する。高輝度標準物質と低輝度標準物質との間の輝度の相違は、放出の性質の相違および/または内部標準物質に含有される2つの標準物質の量の差に起因し得る。例えば、多量の高輝度標準物質と少量の低輝度標準物質とを混合して、高輝度標準物質から「高輝度」信号、低輝度標準物質から「低輝度」信号を生成することができる標準物質を形成し得る。したがって、電気泳動による分離ステップ後、高輝度標準物質による「高輝度」信号および低輝度信号による「低輝度」信号が検出される。いくつかの実施形態では、内部標準物質は、例えば、開示内容が全体として参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2011/0011740号に記載されているもの等、高輝度標準物質および低輝度標準物質を含むことができる。
【0046】
本明細書に記載する実施形態を用いて、単一システムにおける1種または複数の分析物の(例えば、分子量分析および/または等電点電気泳動による)1回または複数回の分析、およびそれに続く試料中の分析物の可視化および検出を容易にすることができる。本明細書に記載する実施形態は、ピペットおよびマイクロ流体路の機能を提供することができ、それにより非常に少量の試料の分析を可能にする。こうした装置および/またはシステムは、装置および/またはシステムが、例えば任意の好適な標的分析物を分離、固定化および/または検出することを可能にし得る任意の好適なデバイス、機構、アセンブリ、サブアセンブリ、電子デバイス、アクチュエータ等を含むことができる。より具体的には、本明細書に記載する装置およびシステムは、1つまたは複数のキャピラリを含むカートリッジを受け入れ、かつある量の流体(例えば、1種または複数の試薬、試料、緩衝液、洗浄液、検出物、分析物、両性電解質等)を、装置および/またはシステムに含まれる1つまたは複数のウェルまたはトレイからカートリッジのキャピラリ内に引き込むように動作可能な(例えば、真空源によって生成される)負差圧にカートリッジの少なくとも一部を露出させるように構成される。
【0047】
いくつかの実施形態では、こうしたカートリッジは、カートリッジ本体に固定して結合される少なくとも1つのキャピラリを有することができる。(以下では簡単のために単数形で言及する)キャピラリは、(例えば、カートリッジ本体内に配置され、かつ/または試薬トレイ内に配置されるかもしくは試薬トレイによって画定される等の)1つまたは複数の流体リザーバと流体連通するように構成される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の流体リザーバは、上述した化学的性質のうちの任意のものを有する成分を含む流体を収容するウェル等であり得る。いくつかの実施形態では、カートリッジの少なくとも一部は、導電性であり(例えば、銅、白金、ステンレス鋼、導電性マイクロプレートプラスチック、カーボン注入プラスチック、導電性ポリマーおよび/または他の任意の好適な材料から形成され)得る。いくつかの実施形態では、カートリッジのこうした部分は、25オームセンチメートル(Ω・cm)未満の体積抵抗率と、1000オーム(または1キロオーム(kΩ))~100kΩの表面抵抗率とを有することができる。他の実施形態では、カートリッジおよび/またはその一部は、実質的に非導電性である。
【0048】
カートリッジのキャピラリは、試料、溶液、試薬、分析物および/または他の任意の好適な流体もしくはゲルの少なくとも一部を受ける内腔を画定する。キャピラリは、任意の好適な形状、サイズまたは構成であり得、液体および/または溶解した分子が内腔を通って流れることを可能にする任意の好適な材料(例えば、ガラス、プラスチック、シリコン、溶融シリカ、ゲル、PYREX(登録商標)(非晶質ガラス)等)から形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、キャピラリの長さは、少なくとも部分的に試料のサイズまたは量、および分析物または対象分析物を分解するときの試料分離の大きさ(例えば、約2センチメートル(cm)~約20cm)等の要素に基づき得、その場合、キャピラリが長いほど試料の分離を増大させることができ、それにより、複雑な混合物および/または低存在量の分析物を有する混合物の分解を促進することができる。いくつかの実施形態では、カートリッジのキャピラリは、丸いもしくは円形の断面形状または多角形(例えば、台形、矩形、正方形、五角形、八角形等)の断面形状を有する細長い部材であり得る。いくつかの実施形態では、キャピラリによって画定される内腔の形状および/またはサイズは、少なくとも部分的に試料、試料の量および/または分析物のタイプ(例えば、約10マイクロメートルまたは「ミクロン」(μm)~約1000μmの内径を有する)に基づき得る。例えば、比較的小さい内径を有するキャピラリは、高価な試料または試薬に好適であり得る比較的少ない試料の量に関連付け、かつ/またはそれのために他に使用することができる。逆に、比較的大きい内径を画定するキャピラリは、比較的多い試料の量に関連付け、かつ/またはそれのために他に使用することができ、場合により、その結果、信号検出等を改善することができる。他の実施形態では、内径は、行われる分析(例えば、分子量ベースの分離、等電点電気泳動等)に少なくとも部分的に基づき得る。
【0049】
図1は、実施形態による、キャピラリ電気泳動を(例えば、分子量および/または等電点に基づいて)行うように構成されたシステム1000の一部の概略図である。例えば、場合により、使用者は、システム1000内にキャピラリカートリッジを装填することができ、システム1000に対して命令を開始および/または他に提供して、システムに対し、分子量により試料内の分析物(例えば、タンパク質)を少なくとも半自動的に分離させることができる。こうした場合、システム1000は、キャピラリカートリッジのキャピラリ内に引き込まれる試料(例えば、任意の好適な薬剤、試薬、タンパク質、分析物、緩衝液、溶解物等を含む)中の分析物の検出に関連するデジタル画像またはアナログ画像を取り込む。したがって、システム1000は、検出に関連する画像および/または他のデータを分析することができ、試料の成分の分子量および/または形態学的データを提供することができる。他の場合、使用者は、システム1000にキャピラリカートリッジを装填することができ、システム1000に対して命令を開始および/または他に提供して、システム1000に対し、等電点により試料中の分析物を少なくとも半自動的に分離させることができる。こうした場合、システム1000は、試料(例えば、任意の好適な薬剤、試薬、タンパク質、分析物、緩衝液、溶解物等を含む)をキャピラリ内に引き込み、キャピラリ内で試料中の分析物を分離および/もしくは集束させ、標的分析物の存在もしくは不在を検出し、かつ/または試料中の分析物(例えば、等電点に関連するキャピラリに沿った異なる位置に移動した分析物)の位置を検出する。任意選択的に、システム1000は、標的分析物を検出する前にキャピラリ内の試料の少なくともいくつかの成分を(例えば、熱、UV曝露等により)固定化することができる。
【0050】
図1に示すように、システム1000は、ハウジング1100、試薬トレイアセンブリ1300、キャピラリカートリッジリテーナ1400および検出アセンブリ1700を含む。
図1には図示しないが、いくつかの実施形態では、システム1000は、少なくとも半自動電気泳動分離を行うことに関連する1つまたは複数のプロセスを実行するように構成および/または他にプログラムすることができる、少なくとも電源、プロセッサおよびメモリを備えた任意の好適な電子システムまたはアセンブリ(例えば、ハードウェアモジュール、および/またはメモリに格納され、プロセッサにおいて実行されるソフトウェアモジュール)を含むことができる。同様に、システム1000は、具体的な実施形態に関して本明細書においてさらに詳細に記載するように、システム1000を通って流れることができる、例えば、試料、1種または複数の試薬、空気等の流体を受けるように構成された1つまたは複数の流体流路を画定する任意の好適な流体路システムまたはアセンブリを含むことができる。
【0051】
上述したように、システム1000は、キャピラリカートリッジ1500(本明細書では「カートリッジ」とも呼ぶ)を受けるように構成されている。カートリッジ1500は、少なくとも1つのキャピラリ1530に固定して結合されている少なくとも1つの本体1510を含むことができる。カートリッジ1500は、任意の好適な形状、サイズまたは構成であり得る。いくつかの実施形態では、カートリッジ1500は、特定の分析に関連付け、かつ/または他に特定の分析で使用されるように構成することができる。例えば、場合により、システム1000は、分子量分析で使用されるように構成されたカートリッジを受けることができる。他の場合、システム1000は、等電点電気泳動プロセスで使用されるように構成されたカートリッジを受けることができる。いくつかの実施形態では、カートリッジ1500は、カートリッジをいずれかの分析に好適なものとするサイズ、形状および/または構成を有することができる。さらに、カートリッジ1500は、使用者がシステム1000内にカートリッジ1500を配置する際に自動的にシステム1000によって検出することができる任意の好適な識別タグ、コードおよび/またはデバイスを含むことができる。
【0052】
システム1000のハウジング1100は、任意の好適な形状、サイズまたは構成であり得、システム1000の任意の好適な構成要素を少なくとも部分的に包囲するかまたは少なくとも部分的に収容するように配置することができる。例えば、ハウジング1100は、試薬トレイアセンブリ1300、キャピラリカートリッジリテーナ1400および検出アセンブリ1700を少なくとも部分的に包囲することができる。
図1には図示しないが、いくつかの実施形態では、ハウジング1100は、システム1000の構成要素の少なくともいくつかが内部に配置されることを可能にするように構成されている1つまたは複数の部分、チャンバ、内部容積等を形成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ハウジング1100はドアを含むことができ、ドアは、ドアによって画定される内部容積へのアクセスを可能にするように構成される。例えば、使用者は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、キャピラリカートリッジリテーナ1400内にキャピラリカートリッジ1500を配置するために、ハウジング1100のドアを開くことができる。いくつかの実施形態では、ハウジング1100の少なくとも一部は光を通さないものであり得、それにより、実質的な量の光は、ハウジングを通ってハウジングによって画定されたチャンバ内に漏れない。いくつかの実施形態では、ハウジング1100は、少なくとも1つの空調されたチャンバを画定することができる。同様に、システム1000は、ハウジングのチャンバを一定のかつ/または事前設定された温度、湿度および/または他の環境パラメータ(例えば、照度)で維持するように動作可能であり得る。
【0053】
キャピラリカートリッジリテーナ1400(本明細書では「カートリッジリテーナ」とも呼ぶ)は、ハウジング1100内に固定して配置される。例えば、いくつかの実施形態では、カートリッジリテーナ1400をハウジング1100内の実質的に固定された位置で維持するフレーム等にカートリッジリテーナ1400を結合することができる。いくつかの実施形態では、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カートリッジリテーナ1400は、検出アセンブリ1700に対して固定された位置に結合および/または他に配置することもできる。
【0054】
カートリッジリテーナ1400は、任意の好適な形状、サイズまたは構成であり得る。例えば、カートリッジリテーナ1400は、例えば、キャピラリカートリッジ1500(本明細書では「カートリッジ」とも呼ぶ)の少なくとも一部を受けるように構成された内部容積を画定する側壁の組を含むことができる。より詳細には、カートリッジリテーナ1400は、カートリッジリテーナ1400の少なくとも1つの面が実質的に開放している、実質的にC字型の断面を有するかまたはそれを画定することができる。したがって、使用者は、内部容積内にカートリッジ1500の少なくとも一部を配置するために、カートリッジリテーナ1400の実質的に開放した面を通してカートリッジ1500を挿入することができる。いくつかの実施形態では、カートリッジリテーナ1400は、カートリッジ1500をカートリッジリテーナ1400に結合するためにカートリッジ1500の少なくとも一部と摩擦嵌合、スナップフィット、ねじ結合等を形成するのに好適なラッチ機構を含むことができる。換言すれば、カートリッジリテーナ1400は、カートリッジ1500の一部が内部容積内に挿入されたときにカートリッジ1500に少なくとも一時的に結合して、カートリッジリテーナ1400に対して実質的に固定された位置にカートリッジ1500を維持する。
【0055】
カートリッジリテーナ1400は、カートリッジ1500を所定の向き(例えば、1つの向きまたは方向のみ)で受けるように構成されている。
図1には図示しないが、カートリッジリテーナ1400は、カートリッジ1500がカートリッジリテーナ1400内に配置される際、カートリッジ1500の一部と係合しかつ/またはそれを検知するように構成された任意の好適な位置合せ特徴部またはセンサを含むことができる。より詳細には、カートリッジリテーナ1400は、例えば、任意の数の特徴部(例えば、突起、開口部、溝等)、アセンブリ、機構、センサ等を含むことができ、それらの各々は、カートリッジ1500がカートリッジリテーナ1400内で所望の位置および/または所望の向きで保持されることを確実にするために、カートリッジ1500の一部と係合しかつ/またはそれを検知する。
【0056】
いくつかの実施形態では、カートリッジリテーナ1400は、例えば、カートリッジ1500の少なくとも一部を通る流体の流れを制御するように、カートリッジ1500と係合するように構成された任意の好適なアセンブリ、機構、デバイス等を含み、かつ/または他にそれに結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、カートリッジリテーナ1400は、例えば、キャピラリの内腔等、カートリッジ1500の容積内に負圧を生成するように構成された真空源またはアセンブリを含むことができ、かつ/またはそれに結合することができる。真空源は、カートリッジ1500がカートリッジリテーナ1400によって保持されているときに真空源をカートリッジと流体連通させるポート等を介して、カートリッジリテーナ1400の一部に流体結合することができる。場合により、具体的な実施形態に関して詳細に後述するように、カートリッジ1500内に負圧を生成するように、(例えば、手動スイッチにより、かつ/または電気回路に含まれプロセッサによって制御される電気スイッチにより)真空源を作動させることができる。いくつかの実施形態では、カートリッジリテーナ1400は、カートリッジ1500の一部を通る流体のバルク流を選択的に制限するようにカートリッジ1500と係合するように構成されたデバイスまたは機構を含むことができる。例えば、カートリッジリテーナ1400は、例えば、キャピラリカートリッジ1500に含まれるキャピラリの内腔を通る流体のバルク流を制限および/または実質的に阻止するように、カートリッジ1500に含まれるピンチ弁等と選択的に接触するアクチュエータ等を含むことができる。
【0057】
カートリッジリテーナ1400は、システム1000に含まれる電気アセンブリまたは電子アセンブリにカートリッジ1500の一部を電気的に結合するように構成された任意の数の電気接点等も含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、カートリッジリテーナ1400は、その内部にカートリッジ1500が保持されているとき、カートリッジ1500の関連する導電性接点部材、クリップ、表面等と接触する1つまたは複数の導電性接点部材、クリップ、表面等を含む。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼、導電性プラスチック等の導電性材料からカートリッジ1500の少なくとも一部を形成することができる。したがって、カートリッジ1500がカートリッジリテーナ1400内の所望の位置に保持されるとき、カートリッジリテーナ1400の1つまたは複数の導電性部材等は、カートリッジ1500の1つまたは複数の所定の導電性部分と接触し、それにより、カートリッジ1500は、システム1000内に含まれる電気アセンブリおよび/または電子アセンブリと電気通信または電子通信するようになる。例として、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カートリッジリテーナ1400は、カートリッジ1500の導電性キャピラリおよび/またはキャピラリの内腔内の導電性流体をシステム1000の電気アセンブリおよび/または電子アセンブリに電気的に接続することができる。
【0058】
システム1000の試薬トレイアセンブリ1300は、任意の好適な形状、サイズまたは構成であり得、試薬トレイ(
図1には図示せず)の少なくとも一部を受け入れ、収容し、かつ/または保管するように配置することができる。試薬トレイアセンブリ1300は、任意の好適な試薬トレイ(
図1には図示せず)を受けることができ、かつ/または含むことができる。例えば、試薬トレイは、ウェル、ウェルプレート、マイクロウェルプレート、トラフ等の組を保持および/または他に画定することができる。ウェルおよび/またはマイクロウェルは、任意の好適なサイズであり得、任意の好適な配置で試薬トレイの表面に沿って配置し、かつ/または他にそうした表面によって画定することができる。本明細書では試薬トレイの具体的な例について記載するが、試薬トレイアセンブリ1300は、任意の数および/または任意の配置のウェルおよび/またはマイクロウェルを画定することができる同様のサイズおよび/または形状の任意の好適な試薬トレイを受け入れかつ/または含むように構成することができる。試薬トレイに含まれるかまたは試薬トレイによって画定されるウェルおよび/またはマイクロウェルは、任意の好適な量の溶液、流体、ゲル、溶解物、緩衝液、試料、分析物、両性電解質、薬剤、試薬、タンパク質、基質等を受けることができる。いくつかの実施形態では、ウェルおよび/またはマイクロウェルは、ある量の任意の好適な流体を収容するバイアル等を受けることができる。いくつかの実施形態では、試薬トレイアセンブリ1300および/または試薬トレイアセンブリ1300の一部は、導電性であり、システム1000に含まれる電気アセンブリおよび/または電子アセンブリに電気的に結合される。こうした実施形態では、試薬トレイおよび/または試薬トレイの一部も導電性であり得、試薬トレイを試薬トレイアセンブリ1300に結合することにより、試薬トレイ内に配置された流体への電気的接続を容易にすることができる。
【0059】
試薬トレイアセンブリ1300の少なくとも一部は、ハウジング1100内に移動可能に配置され、かつ/またはハウジング1100に移動可能に結合される。例えば、試薬トレイアセンブリ1300は、ハウジング1100に対して試薬トレイアセンブリ1300を移動させるように動作可能であり得る1つまたは複数のトラック、ラック、親ねじ、スライド、ピストン等に移動可能に結合することができる。
図1において矢印AAによって示すように、試薬トレイアセンブリ1300(または少なくともその中に含まれる試薬トレイ)をカートリッジリテーナ1400により近づくかまたはそれから離れる方向に移動させることができる。換言すれば、カートリッジ1500がカートリッジリテーナ1400によって保持されているとき、カートリッジ1500のキャピラリ1530によって画定される軸に対して平行な方向に試薬トレイアセンブリ1300を移動させることができる。さらに、矢印BBによって示すように、カートリッジリテーナ1400に対して垂直な平面に沿った1つまたは複数の方向に試薬トレイアセンブリ1300を移動させることができる。すなわち、カートリッジ1500がカートリッジリテーナ1400によって保持されているとき、カートリッジ1500のキャピラリ1530によって画定される軸に対して垂直な平面に沿って試薬トレイアセンブリ1300(またはそれに含まれる試薬トレイ)を移動させることができる。換言すれば、ハウジング1100内において、カートリッジリテーナ1400に対してX方向(例えば、左または右)、Y方向(例えば、上または下)およびZ方向(例えば、前または後)に試薬トレイアセンブリ1300(または少なくともそれに含まれる試薬トレイ)を移動させることができる。
【0060】
このように、試薬トレイアセンブリ1300は、試薬トレイのウェル、マイクロウェル、バイアル等の中にカートリッジ1500の1つまたは複数のキャピラリ1530の少なくとも端部を配置するために、カートリッジリテーナ1400によって保持されるカートリッジ1500に対して少なくとも試薬トレイ(
図1には図示せず)を移動させるように構成されている。さらに、試薬トレイアセンブリ1300は、試薬トレイに含まれるウェル、マイクロウェルおよび/またはバイアルのうちの任意のもの、またはそれらの任意の好適な組合せに1つまたは複数のキャピラリ1530を配置するために、カートリッジ1500および/またはカートリッジリテーナ1400に対して任意の好適な数の位置を通して少なくとも試薬トレイを移動させることができる。したがって、キャピラリ1530が(上述したように)真空源と流体連通している状態でキャピラリ1530内に負圧を生成することができ、負圧は、上述したもの等のある量の流体を試薬トレイの任意の好適な1つのウェルまたは複数のウェルからキャピラリ1530内に引き込むように動作可能である。さらにまたは別法として、キャピラリ1530とともにウェル、マイクロウェル、バイアル等に挿入された圧力導管(
図1には図示せず)を介して正圧源にウェル、マイクロウェル、バイアル等を流体的に結合することができる。試薬トレイアセンブリ1300、キャピラリ1530、および/またはカートリッジ1500の一部は、カートリッジ1500に対してウェル、マイクロウェル、バイアル等を封止して、正圧が流体をウェル、マイクロウェル、バイアル等からキャピラリ1530内に押し込むことができるように動作可能であり得る。
【0061】
システム1000の検出アセンブリ1700は、ハウジング1100内に固定して配置される。上述したように、検出アセンブリ1700はまた、カートリッジリテーナ1400に対して所定のかつ固定された位置に配置される。例えば、検出アセンブリ1700の所定部分がカートリッジリテーナ1400の所定部分に位置合せされ、かつ/または他にそれに対して所望の位置に配置されるように、ハウジング1100内に検出アセンブリ1700を配置することができる。いくつかの実施形態では、検出アセンブリ1700および/またはカートリッジリテーナ1400は、検出アセンブリ1700とカートリッジリテーナ1400との間の所望の位置合せを確保するために任意の好適な調整機構等を含むことができる。
【0062】
検出アセンブリ1700は、例えば、分析物および/もしくは標準物質のデジタルデータもしくはアナログデータ(例えば、画像)を取り込みかつ/もしくは検出するように、ならびに/または分析物および/もしくは標準物質によって放出される信号を検出するように構成されている任意の好適なデバイス、機構および/またはアセンブリであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、検出アセンブリ1700は、第1放射体1705、第2放射体1751、第1検出器1728および第2検出器1760を含む。検出アセンブリ1700の第1放射体1705は、エネルギー(例えば、熱、光子、放射線等)を放出するように構成された任意の好適なデバイス、部材、機構、アセンブリ等であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1放射体1705は、1つまたは複数のLED、重水素ランプ、レーザ、白熱光源、蛍光源または他の任意の好適な光源であり得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のレンズ、ミラー、プリズム、光ファイバ等を介して、第1放射体1705をカートリッジリテーナ1400、カートリッジ1500および/またはキャピラリ1530に光学的に結合することができる。例えば、所定波長および/または波長範囲を有する光子を放射するように、第1放射体1705に電力を供給しかつ/または第1放射体1705を励起することができる。いくつかの実施形態では、検出アセンブリ1700は、第1放射体1705によって放射される光子を方向付け、集束させ、かつ/またはその波長を変換するように構成された1つまたは複数のミラー、レンズ、フィルタ等を含むことができる。例えば、検出アセンブリ1700は、化学発光、蛍光(例えば、固有蛍光、標識部分の蛍光等)、吸光度等に関連する任意の好適なレンズおよび/またはフィルタ(例えば、TAMRAフィルタ)を含むことができる。
【0063】
同様に、第2放射体1751は、光子、熱、放射線等の形態のエネルギーを放出するように構成された任意の好適なデバイス、部材、機構、アセンブリ等であり得る。いくつかの実施形態では、第2放射体1751は、例えば、LEDのアレイ、および/または第1放射体1705に関して記載した光源のうちの任意のものであり得る。いくつかの実施形態では、第1放射体1705は、例えば分子量分析中に光子を放射するように構成され、第2放射体1751は、例えば等電点電気泳動中に光子を放射するように構成される。こうした実施形態では、第1放射体1705は、例えば、単一光ファイバ出力(例えば、単一の光の集束ビーム)であり得る一方、第2放射体1751は、例えば、光ファイバ出力、LED等のグリッドアレイ(例えば、単一の光の集束ビームでなく光の列)であり得る。他の実施形態では、分子量分析および等電点電気泳動中に(例えば、1つまたは複数のアパーチャ、フィルタ、遮断体、反射体および/または屈折体等を介して)単一放射体を用いることができる。さらに他の実施形態では、検出アセンブリ1700は、第1放射体1705および第2放射体1751を超えるものを含むことができる。本明細書においてさらに詳細に記載するように、第1放射体1705(または複数の放射体)および第2放射体1751(または複数の放射体)は、カートリッジ1500がカートリッジリテーナ1400によって保持されているとき、カートリッジ1500のキャピラリ1530内に収容される試料の少なくとも一部と相互作用するエネルギーを放射することができる。
【0064】
第1検出器1728および第2検出器1760は、任意の好適なデジタル検出器またはアナログ検出器であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1検出器1728および/または第2検出器1760は、フォトダイオード、フォトダイオードのアレイ、電荷結合素子(CCD)アレイ等であり得、かつ/またはそれを含み得る。検出器1728および1760を用いて、試料中の分析物および/または標準物質に関連する画像および/または信号を取り込むことができる。いくつかの実施形態では、検出器1728および1760は、分析物および/または標準物質から放出される画像および/または信号を周期的および/または連続的に取り込むように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、検出器1728および1760は、分析物および/または標準物質をリアルタイムでまたは実質的にリアルタイムでモニタリングするように動作可能であり得、それにより、使用者が、試料中に分析物が存在するか否か、分析物の量または活量、分析物の分子量等を迅速に判断することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、例えば、分子量分析中に第1検出器1728を用いて、カートリッジ1500がカートリッジリテーナ1400によって保持されているときに、(この場合には分子量分析に使用されるように構成された)カートリッジ1500のキャピラリ1530を通る試料の流れを実質的にリアルタイムで検出および/または撮像することができる。いくつかの実施形態では、等電点電気泳動中および/または等電点電気泳動後に第2検出器1760を用いることができる。例えば、第2検出器1760を用いて、分析物の分離を、分析物が分離し集束する際に実質的にリアルタイムで、かつ/または分析物を集束させ、任意選択的に固定化した後に検出することができる。同様に、第2検出器1760は、カートリッジ1500がカートリッジリテーナ1400によって保持されているときに、(この場合には等電点電気泳動に使用されるように構成された)カートリッジ1500のキャピラリ1530内で分離された試料に含まれる1種または複数の分析物に関連する信号(例えば、蛍光、吸光度等)を検出する。さらに、検出アセンブリ1700は、任意の好適な電気回路または電子回路に動作可能に結合し、プロセッサ等に信号を送信し、かつ/またはプロセッサ等から信号を受信するように構成することができる(例えば、検出アセンブリ1700は、取り込まれた画像および/または検出された信号に関連するデータが例えばメモリまたはデータベースに格納されるように、プロセッサ等に1つまたは複数の信号を送信することができる)。検出アセンブリ1700は、第1検出器1728および第2検出器1760を含むものとして記載するが、他の実施形態では、検出アセンブリ1700は、放射体1705および/または1751によって生成されるエネルギー(例えば、光子)の一部を検出するように構成された単一の検出器または複数(例えば、3つ以上)の検出器を含むことができる。
【0065】
例えば、使用時、例えば試料および/または試薬を用意することとともに、カートリッジ1500を用意することを含むことができる、試料の分子量分析を行うようにシステム1000を設定し、プログラムし、かつ/または他にそのような構成にすることができる。その後、使用者は、上述したように、カートリッジ1500をカートリッジリテーナ1400内に単一の所定の向きで挿入することができる。それにより、カートリッジリテーナ1400は、少なくとも一時的にカートリッジ1500に結合して、カートリッジ1500を実質的に固定された位置で保持する。ハウジング1100内におけるカートリッジリテーナ1400および検出アセンブリ1700の配置は、検出アセンブリ1700の所定部分(例えば、第1放射体1705および第1検出器1728)がカートリッジリテーナ1400の所定部分(例えば、第1組の開口部等)と位置合せされるようなものである。したがって、検出アセンブリ1700をカートリッジリテーナ1400と位置合せすることにより、かつカートリッジリテーナ1400がカートリッジ1500を所定の固定された位置で保持した状態で、例えば、カートリッジ1500のキャピラリ1530の一部と第1放射体1705および第1検出器1728を位置合せすることができる。したがって、第1放射体1705によって放射されるエネルギーおよび/または光子をキャピラリ1530の所定部分に向けることができる。
【0066】
上述したように、(例えば、キャピラリ1530を含む)カートリッジ1500は、カートリッジリテーナ1400内に配置されているときに真空源に流体的に結合される。したがって、その後、キャピラリ1530内において、キャピラリ1530を通して試料の実質的に連続した流れを引き込むように動作可能な負差圧を生成するように真空源を(例えば、少なくとも半自動的に)作動させることができる。このように、試料がキャピラリ1530を通って流れている状態で、第1放射体1705はエネルギーまたは光子を放射することができ、それにより、エネルギーまたは光子は、(エネルギーまたは光子が向けられる)キャピラリ1530の所定部分を通って流れているある量の試料を照明および/または活性化する。それにより、第1検出器1728は、その量の試料中の照明および/または活性化された分析物、標準物質等に関連する1つまたは複数の画像、画像データおよび/または信号を取り込みかつ/または検出することができる。さらにまたは別法として、第1検出器1728は、分析物、標準物質等によって吸収される光に関連する1つまたは複数の画像、画像データおよび/または信号を取り込みかつ/または検出することができる。その後、画像および/またはデータを分析して、試料中の分析物に関連する分子量ベースのデータ、電気泳動移動度、サイズベースのデータおよび/または形態学的データを求めることができる。
【0067】
同様に、キャピラリ電気泳動を行い、かつ/またはカートリッジ1500がカートリッジリテーナ1400によって保持されているときに、(この場合には等電点電気泳動で使用されるように構成された)カートリッジ1500のキャピラリ1530内で分離されかつ/または集束した試料中に含まれる1種または複数の分析物の信号を検出するようにシステム1000を設定し、プログラムし、かつ/または他にそのような構成にすることができる。こうした場合、使用者は、上述したように、(この場合には等電点電気泳動で使用されるように構成された)カートリッジ1500をカートリッジリテーナ1400内に単一の所定の向きで挿入することができる。したがって、検出アセンブリ1700をカートリッジリテーナ1400と位置合せすることにより(例えば、それにより、第2放射体1751および第2検出器1760は、例えば、第2組の開口部と位置合せされる)、かつカートリッジリテーナ1400がカートリッジ1500を所定の固定された位置で保持する状態で、第2放射体1751および第2検出器1760を例えばカートリッジ1500のキャピラリ1530の一部と位置合せすることができる。したがって、第2放射体1751は、キャピラリ1530の所定部分(例えば、キャピラリ1530の所定長さまたは対応するカラム)に向けられるエネルギーまたは光子を放射することができる。
【0068】
場合により、第2放射体1751および第2検出器1760は、集合的に、キャピラリ1530内の試料の「全カラム」画像を取り込みかつ/または「全カラム」検出を行うことができる。同様に、第2放射体1751および第2検出器1760は、キャピラリ1530に沿った単一点より多くの点を取り込みかつ/または検出するように動作可能であり得る。例えば、第2放射体1751および第2検出器1760は、電気泳動プロセス中に分析物の分離および/または集束を可視化するために十分な長さを取り込むように動作可能であり得る。第2放射体1751、第2検出器1760および任意選択的に追加の光学部品は、キャピラリ1350の約1cm、約3cm、約5cm、約10cm、約20cm、約50cmまたは他の任意の好適な長さの光路を画定するように動作可能であり得る。さらにまたは別法として、第2放射体1751および第2検出器1760は、キャピラリ1530内の分析物、標準物質等の固有蛍光、標識蛍光および/または吸光度を取り込むように動作可能であり得る。例えば、分析物がキャピラリ1530内で分離されかつ/または集束している間、フィルタホイール(
図1には図示せず)が、第2検出器1760に提示された光信号を変更するように動作可能であり得る。したがって、1回のラン中に分析物が分離および/または集束する間、全カラムに沿って、固有蛍光、標識蛍光、吸光度および/または他の任意の好適な光学特性について試料に対して特性評価を行うことができる。
【0069】
上述したように、真空源によって生成される負差圧に応じて、キャピラリ1530内にある量の混合物(例えば、1種または複数の試薬、試料、緩衝液、洗浄液、検出物、分析物、両性電解質、抗体、標識等)を引き込むことができる。しかしながら、システム1000が等電点電気泳動を行うように構成されている場合、所望の量の試料または他の所望の流体がキャピラリ1530内に引き込まれると、カートリッジリテーナ1400および/またはシステム1000の他の任意の好適な部分は、カートリッジ1500の一部と係合して、例えば、ピンチ弁等を閉鎖位置に遷移させ、それにより、キャピラリ1530を通る流体のバルク流を制限および/または実質的に阻止し得る。さらに、システム1000は、カートリッジ1500の導電性部分(例えば、上述したように、キャピラリ1530内の流体および/またはキャピラリ1530)に電界を印加することができる。したがって、電流がキャピラリ1530に沿って流れ得、混合物中の分析物は、(例えば、各キャピラリの長さに沿った)等電点勾配により分離される。任意選択的に、いくつかの実施形態では、分子が十分に分離されかつ/または集束すると、カートリッジ1500のキャピラリ内の分子を固定化するようにシステム1000を構成することができる。例えば、第2放射体1751は、キャピラリ1530の所定部分(例えば、キャピラリ1530の所定長さまたは対応するカラム)に向けられるエネルギーまたは光子(例えば、光の列または蛍光)を放射することができ、それにより、キャピラリ1530の対応するカラム内のその量の分離された試料または混合物がキャピラリ1530内で照明され、活性化され、かつ固定化される。
【0070】
(例えば、1種または複数の分析物を含む)試料成分が分離された状態で、試料中に含まれる分離された分析物および/または標準物質は、検出試薬(例えば、詳細に上述したように、任意の好適な薬剤、試薬、分析物に特異的な抗体、HRPを結合させた二次抗体等またはそれらの任意の組合せ)を含むことができる1種または複数の試薬でプローブされる。その後、検出試薬を用いて、1つまたは複数の標識部分(例えば、同位体標識、免疫標識、光学色素、酵素、粒子または化学発光標識抗体、蛍光標識抗体等の粒子の組合せ)から信号が生成され、この信号は、第2検出器1760によって取り込まれるかまたは検出される。他の実施形態では、分析物の固有蛍光および/または吸光度特性が、第2検出器1760によって取り込まれる信号を生成することができる。例えば、分析物(例えば、タンパク質、構成成分であるトリプトファンアミノ酸等、タンパク質の一部)を第2放射体1751で励起し、第2検出器1760によって検出することができる。他の場合、第2検出器1760により、分析物吸光度ピークの特徴的な第2放射体1751から放射された光の低減を検出することができる。このように、システム1000を用いて分子量分析および/または等電点電気泳動を少なくとも半自動的に行うことができる。
【0071】
試料中の分子を固定化するものとして上述したが、他の実施形態では、システム1000は、試料中の分子を固定化する必要はない。例えば、試料が分離されかつ/または集束した後、第1検出器1728および/または第2検出器1760は、キャピラリ1530の最終画像を取り込むことができ、かつ/または試料が廃棄物容器内に洗い流される前に試料中の分子を検出することができ、かつ/または試料は再度取り込まれるかもしくは他に廃棄される。こうした実施形態では、カートリッジ1500は、同じカートリッジ1500および/またはキャピラリ1530を用いて後続する試料を分離および/または集束させることができるように再使用可能であり得る。
【0072】
図2~
図44は、実施形態による分子量測定および/または等電点電気泳動測定等のキャピラリ電気泳動を行うように構成されたシステム2000を示す。システム2000は、ハウジング2100および/または支持構造(
図2~
図8)、電子機器アセンブリ2200(
図8)、試薬アセンブリ2300(
図9~
図13)、カートリッジリテーナ2400(
図14~
図20)および光学系アセンブリ2700(
図20~
図28)を含む。システム2000は、分子量カートリッジ2500’(
図29~
図37)および/または等電点電気泳動カートリッジ2500’’(
図38~
図44)等のカートリッジを受けるように構成される。本明細書においてさらに詳細に記載するように、システム2000は、分子量および/または等電点により試料中の分析物に対して少なくとも半自動的に特性評価を行うことができる。システム200は、(例えば、任意の好適な薬剤、試薬、タンパク質、分析物、緩衝液、溶解物および/または本明細書に記載する他の任意の物質を含む)試料をカートリッジ2500’および/または2500’’(本明細書では概して「カートリッジ2500’’」と呼ぶ(例えば、
図7を参照されたい))の1つまたは複数のキャピラリ内に引き込み、それを流れるある量の試料を撮像するように動作可能であり得る。さらに、システム2000は、少なくとも半自動的に(キャピラリ電気泳動により)試料を分離し、例えば全カラム検出により、分離中および/または分離後に試料を撮像することができる。
【0073】
図2~
図8に示すように、ハウジング2100および/または支持構造(以下では「ハウジング」と呼ぶ)は、任意の好適な形状、サイズおよび/または構成であり得、システム2000の任意の好適な構成要素を少なくとも部分的に取り囲み、または少なくとも部分的に支持するように配置され得る。ハウジング2100は、カバー2110、ベース2112、シアター(theater)カバー2114、フレーム2120、ドア2130およびドア保持アセンブリ2140を含む。
図2に示すように、カバー2110は、ベース2112に結合されて、集合的にシステム2000の少なくとも一部を覆い、収容しかつ/または他に取り囲む。
【0074】
ハウジング2100のドア2130は、カバー2110および/またはフレーム2120の一部に結合され、カバー2110に対して閉鎖形態と開放形態との間で移動して、カバー2110内に配置されたシステム2000の部分をそれぞれ隔離するか、またはそれにアクセスできるようにし得る。
図3および
図4に示すように、ハウジング2100のドア2130は、ドアフレーム2131、ヒンジ2132、ドアカバー2133、ハンドル2134、ラッチ2135、センサ2136およびセンサプレート2137を含む。ドアフレーム2131は、ドア2130を支持し、ドア2130に対して構造的剛性を提供する。ヒンジ2132は、ドアフレーム2131とハウジング2100のフレーム2120の一部とに結合される。ヒンジ2132は、例えば、第2部分に回転可能に結合される第1部分を含むことができる。このように、第1部分および/または第2部分は、軸(図示せず)を中心に回転および/または枢動して、ドア2130を閉鎖形態(例えば、
図5)と開放形態(例えば、
図6)との間で遷移させるように構成され得る。
【0075】
ドアカバー2133は、ドアフレーム2131の周囲に配置されている。いくつかの実施形態では、ドアカバー2133は、透明であり、カバー2110によって画定される内部容積内に入る光の量を制限するように構成することができる。他の実施形態では、ドアカバー2133は、使用者が、カバー2110内に配置されたシステム2000の一部を可視化することを可能にするように構成された観察窓等を含むことができる。ドア2110のハンドル2133は、ラッチ2135に作動的に結合され、使用者が操作して、ラッチ2135を第1形態(例えば、ラッチまたはロック形態)と第2形態(例えば、ラッチ解除またはロック解除形態)との間で遷移させることができる。ラッチ2135は、ドア保持アセンブリ2140と選択的に係合して、カバー2110に対するドア2130の移動を選択的に防止するように構成されている。本明細書においてさらに詳細に記載するように、センサ2136は、ドア2130の相対位置を検知および/または検出するように構成されている。
【0076】
例えば、
図6および
図7に示すように、ドア保持アセンブリ2140は、解除機構2141および1つまたは複数のアクチュエータ2142を含む。解除機構2141は、ドア2130のラッチ2135と選択的に係合して、選択的にラッチ2135を固定位置に保持する(例えば、ドア2130を閉鎖形態に少なくとも一時的に保持する)ように構成されている。アクチュエータ2142は、解除機構2141を、解除機構2141がラッチ2135と係合する第1形態と、解除機構2141がラッチ2135を係合解除する第2形態との間で遷移させるように構成された任意の好適なアクチュエータ等であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ2142は、例えば、電子機器アセンブリ2200または他の制御装置から受け取られた信号または命令に応じて、解除機構2141の一部を機械的に移動させるように構成された電気機械アクチュエータ等であり得る。
【0077】
ドア保持アセンブリ2140は、ドア2130の相対位置を検出するように構成された1つまたは複数の近接センサ2143をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、ドア2130のセンサプレート2137の一部の近接を検出し、かつ/またはそれとの接触を検出するように1つまたは複数の近接センサ2143を構成することができる。このように、ドア2130のセンサ2136とドア保持アセンブリ2140の近接センサ2143とは、集合的に、例えば、カバー2110および/またはハウジング2100の他の部分に対するドア2130の位置および/または形態を検知および/または検出することができる。さらに、場合により、例えば、電子機器アセンブリ2200および/または他の制御デバイスに、ドア2130の位置および/または形態に関連する信号を送信するように、センサ2136および/または2143を構成することができ、それにより、(例えば、ドア2130が閉鎖形態にあるとき)システム2100の一部を作動させ、かつ/または(例えば、ドア2130が開放形態にあるとき)システム2100の一部が作動しないようにすることができる。
【0078】
フレーム2120は、システム2100の1つまたは複数の部分を支持するように構成されている。例えば、フレーム2120は、少なくとも、光学系アセンブリ2700の少なくとも一部を支持するように構成された光学系支持部材2121と、電子機器アセンブリ2200および/または光学系アセンブリ2700の少なくとも一部を支持するように構成された電子アセンブリ支持部材2122とを含む。シアターカバー2114は、フレーム2120に結合され、システム2100の一部を少なくとも部分的に隔離するように構成されている(例えば、
図6および
図7を参照されたい)。いくつかの実施形態では、シアターカバー2114は、システム2000の一部の(例えば、カバー2110の外側からの)光に対する望ましくない露出を遮断、制限および/または実質的に阻止するように構成されたシールド等であり得る。
【0079】
電子機器アセンブリ2200は、任意の好適な構成であり得、電子機器アセンブリ2200がシステム2000を少なくとも部分的に制御することを可能にする任意の好適な構成要素を含むことができる。例えば、
図8に示すように、電子機器アセンブリ2200は、少なくとも、電源2210と、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)2212と、電子機器アセンブリ2200の構成要素を冷却するように構成された1つまたは複数のファン2215とを含む。本明細書においてさらに詳細に記載するように、PCBA2212は、例えば、ポンプ、ライト、カメラ、検出器、モータ、センサ、補助PCBAおよび/または他の任意の好適なデバイス等、1つまたは複数のシステム構成要素と電気通信する。
図8には図示しないが、電源2210は、送電網から電流の流れを受け取るように外部電気回路に電気的に接続する(例えば、「プラグで接続する」)ことができる。その後、電源2210は、電子PCBA2212に送られる前の電流の流れを調整、変圧および/または変換することができる(例えば、交流(AC)から直流(DC)に変換される)。さらに、電源2210は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、1つまたは複数のポンプ、モータ、アクチュエータ、ライト、検出器、カメラ、センサ等に電流の流れを供給するように構成することができる。
【0080】
PCBA2212は、任意の好適な電子デバイスまたは構成要素を含むことができる。例えば、PCBA2212は、少なくともメモリおよびプロセッサ(図示せず)を含む。メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)等であり得る。いくつかの実施形態では、メモリは、システム2000の少なくとも一部の制御に関連するモジュール、プロセスおよび/または機能をプロセッサに実行させるための命令を格納することができる。プロセッサは、命令もしくはコードの組を走らせかつ/または実行することができる任意の好適な処理デバイスであり得る。例えば、プロセッサは、汎用プロセッサ、中央処理装置(CPU)、アクセラレーテッドプロセッシングユニット(accelerated processing unit)(APU)、特定用途向け集積回路(ASIC)等であり得る。プロセッサは、メモリ内に格納されている、システム2000の少なくとも一部の制御に関連する命令もしくはコードの組を走らせかつ/または実行することができる。例えば、プロセッサは、メモリ内に格納されている、1つまたは複数のポンプ、モータ、アクチュエータ、センサ、ライト、カメラ等の制御に関連する命令またはコードの組を実行することができる。さらに、本明細書においてさらに詳細に記載するように、プロセッサは、メモリ内に格納されている、電気泳動を開始および/または実施するために電流の流れをカートリッジアセンブリ2500の一部に送ることに関連する命令またはコードの組を実行することができる。
【0081】
図9~
図13に示すように、システム2000の試薬アセンブリ2300は、少なくとも駆動部2310およびトレイ部2340を含む。駆動部2310は、例えば電子機器アセンブリ2200から受け取られる1つまたは複数の信号に応じて、試薬アセンブリ2300のトレイ部2340を移動させるように構成されている。
図10および
図11に示すように、駆動部2310は、第1駆動ねじ2312に結合された第1モータ2311と、第2駆動ねじ2316に結合された第2モータ2315と、第3駆動ねじ2321に結合された第3モータ2320とを含む。駆動部2310は、第1スライドトラック2313、第2スライドトラック2317および第3スライドトラック2322をさらに含む。第1モータ2311はベースプレート2113に固定して結合され、ベースプレート2113は、さらに、フレーム2120の一部に結合されて、試薬アセンブリ2300の少なくとも駆動部分2310を支持する。換言すれば、第1モータ2311は、ベースプレート2113に結合され、実質的に固定された位置に維持される。
【0082】
図9~
図13には図示しないが、第1スライドトラック2313は、スライドブロックを摺動可能に受けるように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、第1スライドトラック2313は、スライドブロック(図示せず)の一部を受け入れかつ/またはそれに摺動可能に係合するように構成された1つまたは複数の溝、チャネル、スロット、トラック等を含むことができる。その後、スライドブロックは、スライドプレート2318に結合される。他の実施形態では、スライドブロックおよびスライドプレート2318は、一体構造でまたは一体型に形成されている。さらに、スライドプレート2318は、第1駆動ねじ2312の端部に結合されている。例えば、いくつかの実施形態では、スライドプレート2318は、取付プレートまたはブラケットを含むことができ、かつ/または(例えば、1つまたは複数の機械的結合具、溶接部、接着剤等を介して)それに結合することができ、取付プレートまたはブラケットは、第1駆動ねじ2312とねじ結合をさらに形成する。したがって、本明細書においてさらに詳細に記載するように、第1モータ2311が作動すると、第1モータ2311の出力は、第1駆動ねじ2312をスライドプレート2318の取付プレートまたはブラケットに対して回転させ、したがって第1スライドトラック2312の長さに沿って(例えば、第1モータ2311に近づくかまたはそれから離れる)直線方向にスライドプレート2318を移動させる。
【0083】
駆動部2310の第2モータ2315および第2スライドトラック2317は、それぞれスライドプレート2318に結合されている。より詳細には、第2スライドトラック2317は、スライドプレート2318に結合されかつ/または他に含まれ、第1スライドトラック2313に対して垂直な方向にスライドプレート2318の長さに沿って延在する。第1スライドトラック2313に関して上述したように、第2スライドトラック2317は、スライドブロック(図示せず)を摺動可能に受けるように構成され、スライドブロックは、スライドブラケット2323にさらに結合されている。スライドブラケット2323は、第2駆動ねじ2316の端部にさらに結合されている。したがって、本明細書においてさらに詳細に記載するように、第2モータ2315が作動すると、第2モータ2315の出力は、スライドブラケット2323に対して第2駆動ねじ2316を回転させ、したがって第2スライドトラック2316の長さに沿って(例えば、第2モータ2315に近づくかまたはそれから離れる)直線方向にスライドブラケット2323を移動させる。
【0084】
第3スライドトラック2322は、
図10および
図12に示すように、スライドブラケット2323に結合され、第1スライドトラック2313および第2スライドトラック2316の各々に対して垂直な方向にスライドブロック2323の長さに沿って延在するように構成されている。第1スライドトラック2313および第2スライドトラック2316に関して上述したように、第3スライドトラック2322は、スライドブロック2342を摺動可能に受けるように構成され(
図12)、スライドブロック2342は、トレイ部2340の取付プレート2344にさらに結合されている。第3モータ2320は、取付プレート2344のモータ取付具2345に、第3駆動ねじ2321の端部がモータ取付具2345を通って延在してスライドブラケット2323に回転可能に結合されるように結合されている。
図10および
図11に示すように、第3駆動ねじ2321は、第3スライドトラック2322に対して実質的に平行な方向に(例えば、ベースプレート2113に対して垂直であり、かつ/または第1駆動ねじ2312および第2駆動ねじ2316の両方に対して直角の方向に)延在している。第3モータ2320が作動すると、第3モータ2320の出力は、第3モータ2320に対して第3駆動ねじ2321を回転させ、したがって、第3モータ2320は、第3駆動ねじ2321の長さに沿って移動する。したがって、第3モータ2320が取付プレート2344に結合された状態で、第3駆動ねじ2321の長さに沿った第3モータ2320の移動により、取付プレート2344(およびスライドブロック2342)は、第3スライドトラック2322の長さに沿った(例えば、スライドプレート2318に近づくかまたはそれから離れる)直線方向に移動することになる。
【0085】
駆動部2310の配置は、電子アセンブリ2200からの1つまたは複数の信号に応じて、駆動部2310が、試薬アセンブリ2300のトレイ部2340を、ベースプレート2113に対して平行な平面に沿った任意の好適な方向にかつその平面に対して直角のまたは垂直な方向に移動させることができる。換言すれば、駆動部2310は、トレイ部2340をX方向、Y方向およびZ方向に移動させることができる。さらに、第2モータ2315を、第1スライドトラック2313に移動可能に結合されているスライドプレート2318に結合し、第3モータ2320を、第2スライドトラック2316および第3スライドトラック2322に(少なくとも間接的に)移動可能に結合されている取付プレート2344に結合することにより、第1モータ2311、第2モータ2315および第3モータ2322を同時に作動させて、トレイ部2340をX-Y平面、X-Z平面および/またはY-Z平面内の任意の好適な方向に移動させるように駆動部2310を構成することができる。
図10および
図11に示すように、駆動部2310は、1つまたは複数のワイヤおよび/または導管を受けることができるケーブルトラック2325も含む。このように、1つまたは複数のワイヤおよび/または導管は、第1モータ2311、第2モータ2315および/または第3モータ2320の作動に応じて、スライドプレート2318およびスライドブラケット2323に対して(例えば、ケーブルトラック2325内でかつ/またはケーブルトラック2325と同時に)移動することができる。
【0086】
試薬アセンブリ2300のトレイ部2340は、任意の好適な形状、サイズおよび/または構成であり得る。
図12に示すように、トレイ部2340は、取付プレート2344、冷却器2350、コールドブロック2360、トレイホルダ2362、試薬トレイ2365およびシュラウド2368を含む。冷却器2350、コールドブロック2360、試薬トレイ2365およびシュラウド2368の各々は、トレイホルダ2362に結合され、トレイホルダ2362は、さらに取付プレート2344に結合され、かつ/または他に取付プレート2344によって支持される。したがって、(上述したように)取付プレート2334がスライドブロック2342に結合された状態で、取付プレート2344およびスライドブロック2342は、試薬アセンブリ2300のトレイ部2340を試薬アセンブリ2300の駆動部2310に摺動可能に結合する。いくつかの実施形態では、駆動部2310は、システム2000が使用されていないとき、および/またはトレイ部2310を移動させる前もしくは移動させた後、トレイ部2310をデフォルトのまたは他の所定位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、シュラウド2368の少なくとも一部がシアターカバー2114の関連部分に実質的に位置合せされる(例えば、
図6を参照されたい)ように、トレイホルダ2362にシュラウド2368を結合することができる。このように、シュラウド2368およびシアターカバー2114は、集合的に、ハウジング2100内でシステム2000の一部を隔離することができる。
【0087】
試薬トレイ2365は、トレイホルダ2362に少なくとも一時的に結合されるように構成されている。例えば、試薬トレイ2365は、トレイホルダ2362に取外し可能に結合することができ、それにより、使用者が(例えば、清掃等のために)試薬トレイ2365を取外しかつ/または交換することを可能にし得る。本明細書においてさらに詳細に記載するように、試薬トレイ2365の表面がコールドブロック2360の表面と接触するように、トレイホルダ2362に試薬トレイ2365を結合することができる。試薬トレイ2365は、任意の好適なトレイ等であり得る。例えば、試薬トレイ2365は、任意の好適な溶液、流体、ゲル、溶解物、緩衝液、試料、分析物、両性電解質、薬剤、試薬、タンパク質、基質等を受けるように構成されたウェル2366の組を保持および/または他に画定することができる。他の実施形態では、ウェル2366は、本明細書に記載する試料および/または混合物のうちの任意のものを収容することができる1つまたは複数のバイアル2367等を受けることができる。ウェル2366は、任意の好適な形状、サイズまたは構成であり得、任意の好適な配置で配置することができる。例えば、ウェル2366は、ウェルプレート、マイクロウェルプレート等であり得る。
図12に示すように、試薬トレイ2365は、42個のウェル2366を含む。他の実施形態では、試薬トレイは、任意の数のウェル(例えば、43個以上のウェルまたは42個未満のウェル)を含むことができる。いくつかの実施形態では、トレイホルダ2362に、任意の好適な数および/または配置のウェルを有する試薬トレイを少なくとも一時的に結合することができるように、試薬トレイ2365はトレイホルダ2362に取外し可能に結合される。さらに、本明細書においてさらに詳細に記載するように、試薬アセンブリ2300の駆動部2310は、ハウジング2100内でトレイ部2340を移動させて、試薬トレイ2365の1つまたは複数のウェル2366を、カートリッジリテーナ2400の一部および/またはカートリッジリテーナ2400内に配置されたカートリッジ2500と選択的に流体連通させることができる。
【0088】
トレイ部2340の冷却器2350は、トレイホルダ2362に結合されている。冷却器2350は、冷却器2350にまたは冷却器2350から熱エネルギーを伝達するように構成された任意に好適なデバイス、機構、アセンブリ等であり得る。例えば、
図12に示すように、冷却器2350は、流体ブロック2351および熱電冷却デバイス2355を含む。流体ブロック2351は、流体ブロック2351内への流体の入口流を受けるように構成された入口2352と、流体ブロック2351からの流体の出口流を受けるように構成された出口2353とを有する。
図13に示すように、流体ブロック2351は、ポンプ2385に流体的に結合されており、ポンプ2385は、熱交換器2390(例えば、シェルアンドチューブ式熱交換器、放熱器等)にさらに流体的に結合されている。このように、ポンプ2385は、流体ブロック2351の出口2353から相対的に高温のまたは加熱された流体(例えば、水、冷却液等)の流れを受け取ることができ、ある量の流体を熱交換器2390に圧送することができる。熱交換器2390は、熱交換器2390の外面を横切ってバルク流体(例えば、空気)の流れを供給するように構成されたファン2395を含み、かつ/またはそうしたファン2395に結合され、それにより熱交換器2390内を流れる流体から熱エネルギーを除去する。その後、相対的に低温のまたは冷却された流体は、流体ブロック2351の入口2352内に流れ込むことができる。したがって、流体ブロック2351を通って流れる流体は、熱エネルギーを流体ブロック2351からまたは流体ブロック2351に伝達するように構成することができる。
【0089】
熱電冷却デバイス2355(本明細書では「冷却デバイス」とも呼ぶ)は、例えば、電気入力(例えば、電圧または電圧の変化)に応じて温度勾配をもたらすように構成されたペルティエ素子等の任意の好適な冷却デバイスであり得る。いくつかの実施形態では、冷却デバイス2355は、流体ブロック2351を通って流れる流体と少なくとも熱連通する高温面と、コールドブロック2360と少なくとも熱連通する低温面とを有する。したがって、冷却デバイス2355は、冷却デバイス2355の低温面と高温面との間の温度勾配をもたらすように動作可能な電流の流れを(例えば、電子アセンブリ2200の電源2210から)受け取ることができる。したがって、コールドブロック2360が(上述したように)試薬トレイ2365と接触している状態で、熱エネルギーを、試薬トレイ2365からコールドブロック2360を介して冷却デバイス2355の低温面に、冷却デバイス2355を通して、流体ブロック2351内を流れている流体に伝達することができる。その後、上述したように、流体が熱交換器2390を通って流れる際、熱エネルギーの少なくとも一部が流体から除去される。したがって、試薬アセンブリ2300のトレイ部2340は、試薬トレイ2365内の試料および/または他の混合物を冷まし、冷却し、かつ/または他に調節することができる。
【0090】
別法として、冷却デバイス2355の高温面は、コールドブロック2360と熱連通することができ、冷却デバイス2355の低温面は、流体ブロック2351を通る流体と熱連通することができ、それにより、冷却デバイスは、試薬トレイ2365に熱エネルギーを伝達するように動作可能である(例えば、ヒータとして機能するように動作可能である)。例えば、冷却デバイス2355に印加される電圧の極性を変化させることにより、冷却デバイス2355は、加熱デバイスと冷却デバイスとの間で交互になるように動作可能であり得る。場合により、比例・積分・微分(PID)制御装置等の制御装置は、試薬トレイ2365の温度を特定の温度範囲内で維持するため、冷却デバイス2355に供給される極性、デューティサイクル、持続時間、電位等を変更するように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、こうした制御装置は、メモリに格納され、かつ電子アセンブリ2200のPCBA2212のプロセッサにおいて実行される命令の組であり得かつ/またはそれを含むことができる。
【0091】
システム2000のキャピラリカートリッジリテーナ2400(本明細書では「カートリッジリテーナ」とも呼ぶ)は、ハウジング2100内に配置される。例えば、
図14に示すように、カートリッジリテーナ2400の一部は、フレーム2120の光学系支持部材2121に固定して結合されている。このように、ハウジング2100内の実質的に固定された位置に維持されたカートリッジリテーナ2400の少なくとも一部である。より具体的には、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カートリッジリテーナ2400の一部は、光学系支持部材2121に結合され、検出アセンブリ2700に対する固定位置の範囲内に維持され、それによりそれらの間で所望の位置合せが維持される。
【0092】
カートリッジリテーナ2400は、任意の好適な形状、サイズまたは構成であり得る。例えば、
図15~
図20に示すように、カートリッジリテーナ2400は、フレーム2410、真空部2440、ラッチ機構2455およびピペット部2470を含む。本明細書においてさらに詳細に記載するように、フレーム2410は、カートリッジリテーナ2400を光学系支持部材2121に結合し、カートリッジ2500の少なくとも一部を受け入れかつそれと選択的に係合するように構成されている。さらに、
図15~
図18に示すように、真空部2440、ラッチ機構2455およびピペット部2470の各々は、フレーム2410に結合され、かつ/または他にフレーム2410によって支持されている。
【0093】
図15および
図16に示すように、ピペット部2470は、フレーム2410の側壁(例えば、本明細書においてさらに詳細に記載するように第2側壁2421)に結合され、フレーム2410に対して直線方向に移動するように構成されたピペット2481を含む。ピペット部2470は、取付ブロック2471、モータ2472、ラック2473、ピニオン2474、ベルト2475、支持部材2476、スライドトラック2478およびスライドブロック2479をさらに含む。取付ブロック2471および支持部材2476は、それぞれフレーム2410の第2側壁2421に結合するように構成されている。モータ2472は、取付ブロック2471に結合し、出力部(図示せず)を含む。モータ2472の出力部は、ベルト2475を介してピニオン2474に作動的に結合されている。ピニオン2474は、取付ブロック2471に回転可能に結合され、モータ2472の出力部の回転に応じてベルト2475によって回転するように構成されている。ラック2473は、ピニオン2474のギヤ等(図示せず)と係合して、取付ブロック2471に対して直線運動で移動するように構成されている。
図16に示すように、ラック2473の端部およびピペット2481は、スライドブロック2479に結合されている。スライドブロック2479は、スライドトラック2478の一部の周囲に摺動可能に配置され、スライドトラック2478は、支持部材2476に結合され、かつフレーム2410に対して実質的に固定された位置で維持されるようにさらに構成されている。さらに、本明細書においてさらに詳細に記載するように、支持部材2476は、ラッチ機構2455の一部を移動可能に受けるように構成された切欠き2477を画定する。
【0094】
ピペット部2470のこの配置により、モータ2472が作動すると、ベルト2475がラック2473に対してピニオン2474を回転させる。ピニオン2474が取付ブロック2471に回転可能に結合された状態で、かつピニオン2474のギヤ部がラック2473と係合した状態で、ピニオン2474の回転により、ピニオン2474に対してラック2473が前進する。ラック2473の端部がスライドブロック2479に結合された状態で、ラック2473がピニオン2474に対して前進することにより、スライドトラック2478の長さに沿ったスライドブロック2479の直線運動がもたらされる。したがって、ピペット2481がスライドブロック2479に結合された状態で、ピペット2481は、スライドブロック2479がスライドトラック2478の長さに沿って移動する際、スライドブロック2479と同時に移動する。このように、電子アセンブリ2200は、モータ2472に信号および/または電力を送って、スライドトラック2478の長さに沿って(例えば、ピペット2481によって画定される中心線の長さに沿って)直線方向にピペット2481を移動させることができる。
【0095】
場合により、ピペット2481を、試薬トレイ2365の1つまたは複数のウェル2366内に配置されるように第1位置から第2位置に移動させることができる。例えば、場合により、試薬トレイ2465のウェル2366内にピペット2481の第1端部を配置するように、(例えば、電子アセンブリ2200から受け取られる信号および/または電力に応じて)モータ2472を作動させることができる。さらに、
図16に示すように、ピペット2481の第1端部と反対側の第2端部は、少なくとも1つの流体導管2480と流体連通している。したがって、ピペット2481は、それが配置されているウェル2366に流体を送出し、かつ/またはそのウェル2366から流体を受け取るように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の流体導管2480は、ポンプ2490等と流体連通している(例えば、
図13を参照されたい)。ポンプ2490は、少なくとも1つの流体リザーバ2495とさらに流体連通している。このように、電子アセンブリ2200および/または他の制御デバイスは、ピペット2481の第1端部が所望のウェル2366内に配置されるようにモータ2472を作動させるように、ピペットアセンブリ2470に信号を送信することができる。電子アセンブリ2200は、ポンプ2490(例えば、シリンジポンプまたは他の好適なポンプ)にも信号を送信することができ、それに応じて、ポンプ2490は、1つまたは複数の流体リザーバ2495から所定量の流体を引き出すことができ、1つまたは複数の流体導管2480およびピペット2481を介して所定量の流体をウェル2366に送出することができる。いくつかの実施形態では、この配置により、システム2000は、少なくとも半自動的に、本明細書に記載したもの等の所望の試料または混合物で試薬トレイ2365の1つまたは複数のウェル2366を充填および/または他に用意することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、流体リザーバ2495は、20ミリリットル(mL)、50mL、100mL等、比較的少量の流体を収容するようなサイズであり得る。流体リザーバ2495は、1回または数回(例えば、2回、5回、10回等)のランに対して十分な量の流体を貯蔵することができる。場合により、ハウジング2100の内部は、流体リザーバ2495が、事前設定されたかつ/または実質的に一定の温度で維持されるように空調することができる。例えば、事前設定されたかつ/または実質的に一定の温度を維持するように、システム構成要素(例えば、電気部品、電源、変圧器、冷却デバイス2355等)から発生する熱が制御された割合で排出されるように、ファン2215および/または2395を循環させることができる。流体リザーバ2495は、比較的少量の流体を収容するようなサイズであり得、そうした流体の温度は、例えば、マルチリットルバルク流体リザーバよりも容易に制御することができる。
【0097】
場合により、流体リザーバ2495は、例えばハウジング2100の外側に位置するバルク流体容器(図示せず)に流体的に結合することができる。流体リザーバ2495は、バルク流体容器から流体を引き出しかつ/または他に受け取るように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、バルク流体容器に既知の圧力で既知の量の気体を供給することにより、既知の容積を有するバルク流体容器の充填レベルを求めることができる。バルク流体容器内の圧力の変化を計算することにより、(例えば、流体リザーバ2495内および/またはバルク流体容器内のヘッドスペースの容積を求めることができる。すなわち、バルク流体容器内の圧力の変化は、ヘッドスペースが増大するにつれて低減する。バルク流体容器の既知の容積からヘッドスペースを減じて、充填レベルを計算することができる。いくつかの実施形態では、システム2000は、充填レベルが所定レベル未満に低下したとき、1つまたは複数のバルク流体容器を再充填するように使用者を促し、かつ/または他にランの挙動を変更することができる(例えば、システム2000は、バルク流体容器が再充填されるまでアッセイが行われないようにすることができる)。
【0098】
カートリッジリテーナ2400のフレーム2410は、任意の好適な形状、サイズおよび/または構成であり得る。
図16~
図19に示すように、例えば、フレーム2410は、第1側壁2411、第2側壁2421、第1接触ブラケット2438(例えば、上部接触ブラケット)および第2接触ブラケット2489(例えば、下部接触ブラケット)を含む。第1接触ブラケット2438および第2接触ブラケット2439は、それぞれ第1側壁2411と第2側壁2421との間に配置され、第1側壁2411および第2側壁2421に結合するように構成されている。より具体的には、第1接触ブラケット2438および第2接触ブラケット2439は、第1側壁2411および第2側壁2421が所定距離だけ離間されるように側壁2411および2421に結合され、かつそれらの間に配置されている(例えば、
図19を参照されたい)。いくつかの実施形態では、所定距離は、例えば、カートリッジ2500の幅に関連することができる。換言すれば、第1接触ブラケット2438および第2接触ブラケット2439は、側壁2411および2421を、それらの間にカートリッジ2500の少なくとも一部を受けるのに十分な空間が画定されるように合わせて結合する。本明細書においてさらに詳細に記載するように、第1接触ブラケット2438および第2接触ブラケット2439の各々は、カートリッジ2500が第2側壁2421と第1側壁2411との間に配置されるときにカートリッジ2500の一部と接触する接触部材2485に結合される。
【0099】
図17に示すように、第1側壁2411は、1つまたは複数のばね開口部2412、第1光学系開口部2414および第2光学系開口部2415を画定する。第1光学系開口部2414は、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400によって保持されているとき、カートリッジ2500の第1部分の可視化を可能にするように、光学系アセンブリ2700の第1部分(例えば、本明細書においてさらに詳細に記載するようにサイズ撮像部2701)と位置合せされるように構成されている。同様に、第2光学系開口部2415は、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400によって保持されているとき、カートリッジ2500の第2部分の可視化を可能にするように、光学系アセンブリ2700の第2部分(例えば、本明細書においてさらに詳細に記載するように全カラム検出部2750)と位置合せされるように構成されている。
【0100】
第1側壁2411によって画定される1つまたは複数のばね開口部2412は、ばね2450の一部を受けるように構成されている。例えば、
図17に示すように、第1側壁2411は、ばね2450の異なる部分を受ける2つのばね開口部2412を画定する。ばね2450(例えば、板ばね等)は、曲げられ、変形し、付勢され、かつ/または他に再構成され得る比較的薄い細長い部材であり得、こうした部材は、それに応じて反作用力をかけることができる。このように、ばね開口部2412内にばね2450の一部を配置して、ばね2450を、ばね2450の少なくとも一部にかけられる力に応じて、位置エネルギーを運動エネルギーに変換するように構成された付勢形態にすることができる。図示するように、ばね2450は、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400内に挿入される際にカートリッジ2500の表面と接触する、ばね2450の端部に配置されたローラ2451を含む。いくつかの実施形態では、カートリッジ2500は、ローラ2451と接触したときにばね2450を付勢するかまたは一時的に変形させるのに十分な力をばね2450にかける。
【0101】
図18および
図19に示すように、第2側壁2421は、第1ガイドレール2428(例えば、上部ガイドレール)および第2ガイドレール2429(例えば、下部ガイドレール)を含みかつ/または形成する内面2427を有する。第1ガイドレール2428および第2ガイドレール2429は、カートリッジ2500が、第1側壁2411と第2側壁2421との間に画定された空間内に配置されたときにカートリッジ2500の関連部分と選択的に係合し、それを案内しかつ/または支持するように構成されている。より詳細には、第1ガイドレール2428および第2ガイドレール2429は、カートリッジ2500の一部と係合しかつ/またはそれを案内して、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400内で所望の位置および/または所望の向きで保持されることを確実にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、カートリッジリテーナ内でのカートリッジ2500の位置合せは、1.0ミクロン(μm)~約500μm(0.5ミリメートル(mm))以下の許容差を有することができる。
【0102】
本明細書においてより詳細に記載するように、第2側壁2421は、ラッチ開口部2422、真空モータ開口部2423、第1光学系開口部2424、第2光学系開口部2425および切欠き2426を画定する。第2側壁2421によって画定される切欠き2426は、カートリッジリテーナ2400の光学系支持部材2121への結合を容易にするように、フレーム2120の光学系支持部材2121の一部を受けるように構成され、かつ/または他にその周囲に配置されるように構成されている。ラッチ開口部2422および真空モータ開口部2423は、それぞれラッチ機構2455の一部および真空モータ2447の一部を受けるように構成されている。第1側壁2411に関して上述したように、第2側壁2421の第1光学系開口部2424および第2光学系開口部2425は、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400によって保持されているとき、それぞれカートリッジ2500の第1部分および/または第2部分の可視化を可能にするように、光学系アセンブリ2700のそれぞれ第1部分および第2部分と位置合せされるように構成されている。さらに、少なくとも第2光学系開口部2425は、集束レンズ2405および/または他の任意の好適な光学部品を含み得、かつ/またはそれを受けることができる。
【0103】
第2側壁2421は、シャフト2430および係合部材2431も含みかつ/またはそれらに結合されている。シャフト2430は、第2側壁2421に移動可能に結合されかつ/またはその中に移動可能に配置された第1端部と、係合部材2431に結合されている、第1端部と反対側の第2端部とを有する細長い部材である。シャフト2430は、加えられた力に応じて第2側壁2421に対して移動するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、試薬トレイ2365の一部および/または試薬トレイ2365内に収容された試料バイアルが係合部材2431と接触するように、試薬トレイ2365を垂直方向に移動させることができる。したがって、試薬トレイ2365の(同じ方向における)さらなる移動により、第2側壁2421に対して垂直方向にシャフトを移動させるのに十分である係合部材2431の力がかかる。より詳細には、いくつかの実施形態では、シャフト2430の一部は、第2側壁2421によって画定された開口部内に移動可能に配置される。こうした実施形態では、係合部材2431にかけられる力は、開口部内に配置されるシャフト2430の部分を増大させ、それにより第2側壁2421から延在するシャフト2430を圧縮し、かつ/または他にその長さを短縮するのに十分であり得る。いくつかの実施形態では、シャフト2430および係合部材2431の配置は、試薬トレイ2365の垂直方向における移動を制限して、本来、それらがないことによってもたらされ得るカートリッジ2500および/またはカートリッジリテーナ2400に対する損傷を実質的に防止するように構成することができる。他の実施形態では、シャフト2430および/または係合部材2431は、カートリッジリテーナ2400に対するシャフト2430(および/または試薬トレイ2365)の移動に関する位置および/または力を検知および/または検出するように構成されたセンサ等(例えば、近接センサ、圧力センサ、加速度計等)を含む得、かつ/またはそれに動作可能に結合され得る。したがって、少なくとも部分的にこうしたセンサによって検知されかつ/または求められるデータに基づいて、システム2000は、カートリッジリテーナ2400に対する試薬トレイ2365および/またはシステム2000の他の任意の好適な部分の移動を制御することができる。
【0104】
上述したように、真空部2440およびラッチ機構2455は、フレーム2410に結合されている。
図16~
図19に示すように、カートリッジリテーナ2400の真空部2440は、レバーアーム2441、ピンチ弁アクチュエータ2444、圧力ノズル2445、モータ2447および真空ポート2448を含む。レバーアーム2441は、第1端部2442および第2端部2443を有する。レバーアーム2441の第1端部2442は、例えば、軸受またはピンを介してフレーム2410の第2側壁2421に回転可能に結合されている(例えば、
図17を参照されたい)。レバーアーム2441の第2端部2443は、レバーアーム2441の第2端部2443をモータ2447に接続および/または結合するように構成されたコネクタ2446等に結合されている。より具体的には、モータ2447は、出力部材等が真空モータ開口部2423を通って延在し(例えば、
図18を参照されたい)コネクタ2446に結合するように、フレーム2410の第2側壁2421に結合されている。したがって、コネクタ2446は、レバーアーム2441をモータ2447に動作可能に結合する。このように、モータ2447は、(例えば、電子アセンブリ2200から送出される)信号および/または電力に応じてその出力部を回転させることができ、それにより、レバーアーム2441が、第1端部2442によって画定された軸を中心に(例えば、ピン、アクスル、ピボット点等を中心に)回転および/または枢動する。
【0105】
ピンチ弁アクチュエータ2444および圧力ノズル2445は、それぞれレバーアーム2441に結合され、モータ2447の作動に応じてレバーアーム2441と移動するように構成されている。より具体的には、ピンチ弁アクチュエータ2444は、レバーアーム2441の第2端部2443に結合され、かつ/または他にそこもしくはその近くに配置される一方、圧力ノズル2445は、レバーアーム2441の中心部により近くかつ/または実質的にその中心部に配置される。本明細書においてさらに詳細に記載するように、ピンチ弁アクチュエータ2444および圧力ノズル2445は、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400によって保持されており、かつモータ2447がレバーアーム2441を回転させるように作動したとき、カートリッジ2500の所定部分と選択的に係合するようにそれぞれ構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、ピンチ弁アクチュエータ2444は、1つまたは複数の流体流路を通る流体の流れを制御するように、カートリッジ2500に含まれるピンチ弁を駆動するように構成することができる。同様に、圧力ノズル2445は、1つまたは複数の流体流路および/またはキャピラリ内の圧力を調節するように構成されたカートリッジ2500の一部と係合しかつ/またはそれを駆動するように構成することができる。例えば、圧力ノズル2445は、正圧を生成するように作動させることができるポンプ2497等に(例えば、任意の好適な流体導管、管、パイプ等を介して)流体的に結合することができる。したがって、本明細書においてさらに詳細に記載するように、圧力ノズル2445は、カートリッジ2500の一部と係合して、正圧の少なくとも一部をカートリッジ2500のその部分に伝達することができる。
【0106】
図17および
図19に示すように、真空ポート2448は、第1接触ブラケット2438に結合されている。本明細書においてさらに詳細に記載するように、真空ポート2448は、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400内に配置されているときにカートリッジ2500の一部と係合および/または接触するように構成されている。図示しないが、真空ポート2448は、任意の好適な流体導管、管、パイプ等に結合することができ、それにより、真空ポート2448は真空源と流体連通する。例えば、真空ポート2448を真空源2496と流体連通させるように流体導管等を構成することができる(例えば、
図13を参照されたい)。真空源2496は、真空源2496と例えば真空ポート2448との間に負差圧をもたらすように構成された任意の好適なデバイス等であり得る。いくつかの実施形態では、真空源2496は、負圧を生成するようにチャンバ内で回転するように構成されたインペラ等を含むことができる。他の実施形態では、真空源2496は、ピストンポンプまたは他の好適なポンプであり得る。このように、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カートリッジ2500が真空ポート2448と接触しているとき、カートリッジ2500の一部内で負圧を生成するように、(例えば、電子アセンブリ2200から受け取られる信号および/または電力に応じて)真空源2496を作動させることができる。
【0107】
カートリッジリテーナ2400のラッチ機構2455は、任意の好適な部材、デバイス、機構および/またはアセンブリであり得る。例えば、
図16、
図18および
図19に示すように、ラッチ機構2455は、ラッチアーム2456、モータ2459および手動解除部材2465を含む。ラッチアーム2456は、任意の好適な形状、サイズおよび/または構成であり得る。ラッチアーム2456の第1端部は、モータ2459の出力部(図示せず)に、出力部の回転によりラッチアーム2456の同様のかつ/または対応する回転がもたらされるように結合されるように構成されている。
図18および
図19に示すように、ラッチアーム2456は、ピン2457およびラッチ部材2458を含む。ピン2457は、ラッチアーム2456の回転を制限するように止め具および/またはフレーム2410の一部と接触するように構成されている。ラッチ部材2458は、モータ2459に結合された端部と反対側のラッチアーム2456の端部に結合されている。ラッチ部材2458は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400内に配置されているときにカートリッジ2500の一部と選択的に係合するように構成された任意の好適なピン、ローラ、つまみ、タブ、突起等であり得る。
【0108】
ラッチ部材2458は、第1接触ブラケット2438および第2接触ブラケット2439に対してカートリッジ2500を高度な精度および反復性で確実に配置するように動作可能である。したがって、ラッチ部材2458、ガイドレール2428および2429ならびに接触ブラケット2438および2439は、集合的に、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400内に挿入される際にカートリッジ2500を位置合せすることができる。場合により、光学系アセンブリ2700との位置合せを確実にするように、カートリッジ2500の挿入(例えば、カートリッジ2500のカートリッジリテーナ2400内への挿入)の方向および/または位置合せを厳密に制御することが望ましい場合がある。場合により、ラッチ部材2458、ガイドレール2428および2429ならびに接触ブラケット2438および2439は、例えば、0.1mm、0.05mm、0.01mm、0.005mmまたは他の任意の好適な距離の許容差の範囲内でカートリッジ2500を再現可能に配置するように動作可能であり得る。さらに、カートリッジリテーナ2400は、カートリッジリテーナ2400内のカートリッジ2500の位置または位置合せを検出および/または検知するように構成された1つまたは複数のセンサ2488(例えば、
図19を参照されたい)を含むことができる。例えば、センサ2488は、近接センサおよび/または任意の好適なスイッチ、プランジャ、アクチュエータ(例えば、機械および/または電気)等であり得る。いくつかの実施形態では、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400内の所望の位置に配置されているとき、センサ2488は、ラッチアーム2456を回転させる命令を示す信号をモータ2459に送信することができる。
【0109】
手動解除部材2465は、第1端部2466、第2端部2467および接触部2468を含む。手動解除部材2465の第1端部2466は、
図18に示すように、フレーム2410の第2側壁2421に回転可能に結合されている。さらに、手動解除部材2465の一部は、支持部材2476によって画定された切欠き2477内に移動可能に配置されている。第2端部2467は、第1端部2466と反対側であり、第1端部2466によって画定された軸(例えば、ピン、ねじ、アクスル、結合器、軸受等)を中心に手動解除部材2465を枢動および/または回転させるように、使用者によって係合および/または操作され得る。さらに、手動解除部材2465が第1端部2466によって画定された軸を中心に回転するとき、接触部2468は、ラッチアーム2456のピン2457と接触する。このように、使用者は、手動解除部材2465の第2端部2467に力をかけて、接触部2468をラッチアーム2456のピン2457と接触させることができ、それにより、ラッチアーム2456がフレーム2410に対して回転および/または枢動することができる。したがって、モータ2459等の故障時、カートリッジリテーナ2400からカートリッジ2500を手動で解除することができる。
【0110】
システム2000の光学系アセンブリ2700は、ハウジング2100内に配置され、フレーム2120の光学系支持部材2121に結合されている。より具体的には、光学系アセンブリ2700は、少なくとも部分的にカートリッジリテーナ2400を包囲するようにハウジング2100内に配置することができる。
図20~
図28に示すように、光学系アセンブリ2700は、単一点検出部2701(
図20~
図23)および全カラム検出部2750(
図24~
図28)を含む。単一点検出部2701は、任意の好適な形状、サイズおよび/または構成であり得る。
図20に示すように、単一点検出部2701は、その1つまたは複数の構成要素が、第1側壁2411および第2側壁2421のそれぞれの第1光学系開口部2414および2424と実質的に位置合せされて、単一点検出部2701がカートリッジ2500(例えば、分子量カートリッジ2500’)を通って流れる試料等に対して分子量分析を行うことを可能にするように、所定位置でカートリッジリテーナ2400に結合され、かつ/または他にその周囲に配置される。本明細書においてさらに詳細に記載するように、全カラム検出部2750は、その1つまたは複数の構成要素が、第1側壁2411および第2側壁2421のそれぞれの第2光学系開口部2415および2425と実質的に位置合せされて、全カラム検出部2750が、分離前、分離中および/または分離後にキャピラリ2500(例えば、等電点電気泳動カートリッジ3500’’)の長さに沿って分析物(例えば、タンパク質)の移動を検出することを可能にするように、所定位置でカートリッジリテーナ2400の周囲に配置される。
【0111】
図21~
図23に示すように、単一点検出部2701は、照明アセンブリ2705と、中心部材2710と、第1撮像デバイス2725に結合された第1側方部材2720と、第2撮像デバイス2735に結合された第2側部部材2730とを含む。さらに、本明細書においてさらに詳細に記載するように、単一点検出部2701は、照明アセンブリ2705から放射される光の少なくとも一部を方向付けるように構成された任意の数のフィルタ、レンズ、ホルダ、ミラー等を含むことができる。
【0112】
照明アセンブリ2705は、入口ブロック2706および光ファイバ部材2707(本明細書では「光出力部」とも呼ぶ)を含む。入口ブロック2706は、中心部材2710の側部に結合され、光出力部2707にさらに結合されている。このように、本明細書においてさらに詳細に記載するように、入口ブロック2706は、光出力部2707から中心部材2710によって画定された1つまたは複数のボア内に放射される光(例えば、光子)のビームを方向付けかつ/または案内することができる。光出力部2707は、電子機器アセンブリ2200(例えば、電源2210)および/または他の任意の好適な制御デバイスから受け取られた信号および/または電力に応じて励起および/または他に作動させることができる、重水素ランプ、白熱灯、LED、または他の任意の好適な光ファイバ光源等の光源2795(例えば、
図13を参照されたい)に光学的に結合することができる。いくつかの実施形態では、所望の波長(例えば、赤外線スペクトル、可視光スペクトル、紫外線スペクトル等の波長)を有する光源2795によって生成されたエネルギーおよび/または光子を放射するように光出力部2707を構成することができる。
【0113】
中心部材2710は、任意の形状、サイズおよび/または構成であり得る。例えば、
図22および
図23に示すように、中心部材2710は、中心ボア2711、側部ボア2712、カートリッジリテーナ切欠き2713、ミラー切欠き2714およびフィルタ切欠き2715を画定する。中心ボア2711は、実質的に円形の断面形状を有し、中心部材2710の長さに沿って横方向に延在する。この実施形態では、中心ボア2711は、例えば、3つのレンズ2741、ミラー2742、およびフィルタ2744を保持するかまたは含むフィルタホルダ2743を受ける。より詳細には、中心ボア2711は、照明アセンブリ2705の入口ブロック2706に隣接して配置された第1レンズ2741と、カートリッジリテーナ切欠き2713の第1側に隣接しかつその上に配置された第2レンズ2741と、カートリッジリテーナ切欠き2713の第1側と反対側の第2側に隣接しかつその上に配置された第3レンズ2741とを有する(例えば、
図23を参照されたい)。本明細書においてさらに詳細に記載するように、ミラー2742は、ミラー切欠き2714内に配置され、ミラー切欠き2714は、光出力部2707から放射された光の少なくとも一部を側部ボア2712に向けるように、ミラー2742を所望の位置に配置する。フィルタホルダ2743は、フィルタ切欠き2715内に配置され、フィルタ切欠き2715は、(フィルタホルダ2743によって保持されかつ/またはそれに結合された)フィルタ2744を第1レンズ2741と側部ボア2712との間の所望の位置に配置する。このように、第1レンズ2741は、光出力部2707から放射される光の少なくとも一部を集束させることができ、さらに、フィルタ2744は、光のその部分を、光が側部ボア2712および/または中心ボア2711の残りの部分に入る前にフィルタリングすることができる(例えば、
図23を参照されたい)。
【0114】
再度
図20を参照すると、光学系アセンブリ2700の単一点検出部2701は、カートリッジリテーナ2400の少なくとも一部が、中心部材2710によって画定されたカートリッジリテーナ切欠き2713内に配置されるように、カートリッジリテーナ2400に対して配置されている。より具体的には、単一点検出部2701およびカートリッジリテーナ2400は、中心部材2710の中心ボア2711が、フレーム2410の第1側壁2411および第2側壁2421のそれぞれによって画定される第1光学系開口部2414および2424の一部と実質的に位置合せされるように集合的に配置される。このように、中心ボア2711内に配置されたレンズ2741、フィルタ2744およびミラー2742は、集合的に、光出力部2707によって放射される光の集束しかつフィルタリングされた部分を、カートリッジリテーナ2400の所定部分を通るように向ける。したがって、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カートリッジ2500がカートリッジリテーナ2400によって保持されているとき、光の集束しかつフィルタリングされた部分は、同様にカートリッジ2500の所定部分を通過する。
【0115】
単一点検出部2701の第1側方部材2720は、ボア2721および切欠き2722を画定する。第1側方部材2720は、そのボア2721が中心部材2710の側部ボア2712と実質的に位置合せされるように中心部材2710に結合されている。第1側方部材2720のボア2721は、レンズ2741を受け入れかつ/または収容する。このように、中心部材2710の中心ボア2711内に配置されたミラー2742は、光出力部2707によって放射される光の少なくとも一部を第1側方部材2720のボア2721内に向けることができ、その後、その光の部分は、ボア2721内に配置されたレンズ2741によって集束される。
【0116】
第1側方部材2721は、第1撮像デバイス2725(例えば、
図21を参照されたい)にも結合されている。第1撮像デバイス2725は、熱質量基準部材2726、遮断材2727、およびフォトダイオードプリント回路基板アセンブリ(PCBA)2728を含む。
図22に示すように、熱質量基準部材2726は、遮断材2727内に配置され、遮断材2727は、熱質量基準部材2726を遮断する(例えば、断熱する)。遮断材2727および熱質量基準部材2726は、第1側方部材2722によって画定された(例えば、第1側方部材2722とフォトダイオードPCBA2728との間の)切欠き2722内に配置される。熱質量基準部材2726は、任意の好適なデバイス、センサ等であり得る。熱質量基準部材2726は、第1撮像デバイス2725を実質的に一定のかつ/または基準の温度で維持するように構成することができる。フォトダイオードPCBA2728(本明細書では「フォトダイオード」とも呼ぶ)は、光(例えば、光子)の入力を検知および/または検出し、入力を電流に変換するように構成された任意の好適なデバイスであり得る。このように、フォトダイオード2728は、光出力部2707によって放射された光の散乱に関連する信号、および/またはカートリッジ2500のキャピラリを通って流れているある量の試料の画像を生成することができる。こうした信号を(例えば、電子機器アセンブリ2200の)プロセッサが解釈して、試料中の分析物の特徴的な分子量、電気泳動移動度、形態等を求めることができる。フォトダイオードとして記載したが、他の実施形態では、単一点検出部2701は、CCDカメラ等の任意の好適な撮像デバイスを含むことができる。
【0117】
単一点検出部2701の第2側方部材2730は、ミラー2742に結合され、かつ/または他にミラー2742を保持するように構成されたミラーブロック2740を含み、ボア2731および切欠き2732を画定する。第2側方部材2730は、中心部材2710に結合されかつ/またはそれに隣接して配置される。
図21に示すように、単一点検出部2701の配置は、第1側方部材2720がカートリッジリテーナ切欠き2713の第1側に結合および/または配置され、第2側方部材2730がカートリッジリテーナ切欠き2713の第1側と反対側の第2側に結合および/または配置されるようなものである。さらに、第2側方部材2730は、光出力部2707から放射される光の一部が、ミラー2742により、第2側方部材2730によって画定されたボア2731内に向け直され、それによりボア2731内に配置された1つまたは複数のレンズ2741によって集束されるように、中心部材2710に対して配置される。
【0118】
第1側方部材2720に関して上述したように、第2側方部材2730は、第2撮像デバイス2735(例えば、
図21を参照されたい)にも結合されている。第2撮像デバイス2735は、熱質量基準部材2736、遮断材2737およびフォトダイオードPCBA2738を含む。第2撮像デバイス2735は、上述した第1撮像デバイス2725と実質的に同様なものであり得、したがって本明細書では具体的に詳細に記載しない。
【0119】
第1撮像デバイス2725および第2撮像デバイス2735は、個々にかつ/または集合的に、カートリッジ2500のキャピラリを通って流れているある量の試料中の分析物、標準物質、標識部分等によって影響を受ける、前方向および後方向両方における光の生成、散乱および/または吸収に関する信号(例えば、データおよび/または情報を含む電子信号)を生成することができる。例えば、場合により、第1撮像デバイス2725は、暗視野および/または後方視点から(例えば、ビーム方向の約95度~265度反対側から)放射、散乱および/または吸収される光を検出するように動作可能であり得、第2撮像デバイス2735は、明視野および/または前方視点から(例えば、ビームの方向において約85度~275度から)放射、散乱および/または吸収される光を検出するように動作可能であり得る。このように、システム2000の単一点検出部2701は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、例えば、分子量および/または電気泳動移動度によって分離された分析物がカートリッジ2500のキャピラリの一部を通って流れるときを検出するように動作可能であり得る。各分析物の分子量は、それが検出される時間および/またはシーケンスに基づいて求めることができる。例えば、10,000Daの標準物質が検出された後であるが、15,000Daの標準物質が検出される前に検出される分析物は、10,000~15,000の分子量を有すると判断することができる。分子量は、10,000Daの標準物質、分析物および15,000Daの標準物質の検出間のタイミングを考慮することによってより正確に求めることができる。
【0120】
光学系アセンブリ2700の全カラム検出部2750は、任意の好適なデバイス、機構、サブアセンブリ等であり得る。単一点検出部2701に関して上述したように、光学系アセンブリ2700は、全カラム検出部2750がカートリッジリテーナ2400の少なくとも一部を包囲するようにハウジング2100内に配置される。本明細書においてさらに詳細に考察するように、光学系アセンブリ2700の全カラム検出部2750および単一点検出部2701は、それぞれ、例えば、カートリッジリテーナ2400内に挿入されるカートリッジ2500の構成に応じていずれの撮像モードも使用することができるように、カートリッジリテーナ2400の一部を包囲することができる。
【0121】
図24~
図28に示すように、全カラム検出部2750は、照明アセンブリ2751、撮像アセンブリ2760および集束アセンブリ2770を含む。照明アセンブリ2751は、光エネルギーの出力を生成するように構成された任意の好適なデバイスおよび/またはアセンブリであり得る。
図25および
図26に示すように、例えば、照明アセンブリ2751は、線形光出力アレイ2752、取付構造2753およびレンズ2759を含む。線形光出力アレイ2752(本明細書では「光出力部」とも呼ぶ)は、任意の好適な放射体(例えば、光または光子放射体)であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、光出力部2752は、光源(例えば、光源2795)によって生成される光エネルギーを放射するように構成された光ファイバ出力部のアレイであり得る。いくつかの実施形態では、光出力部2752は、LEDのアレイ等であり得る。さらに他の実施形態では、光出力部2752は、光出力部2752によって画定された細長いアパーチャ等を通して光を放射するように構成された単一の放射体であり得る。このように、光出力部2752は、例えば、所定長を有する光の列を出力することができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、光出力部2752は、紫外線スペクトル等の波長を有する光エネルギーおよび/または光子を出力することができる。いくつかの実施形態では、光出力部2752は、狭帯域光源であり得、かつ/または単一波長を有する光の列を生成し得る。他の実施形態では、光出力部2752は、単一波長を有する光の列を出力するように構成されたフィルタまたはモノクロメータを含むことができる。このように、光出力部2752は、カートリッジ2500のキャピラリに収容された試料中の1種または複数の分析物、標準物質、蛍光標識等によって吸収される所望の波長および/またはエネルギー(例えば、紫外線波長またはエネルギー)を有する光子を放射することができる。さらに、本明細書においてさらに詳細に記載するように、1種または複数の分析物、標準物質、標識等は、したがって、(例えば、蛍光、燐光等を介して)1つまたは複数の光子を放射することができ、それは撮像アセンブリ2760によって検出される。
【0123】
場合により、光出力部2752は、全カラムおよび/またはリアルタイム検出に対して動作可能であり得、かつ/または最適化され得る。例えば、光出力部2752は、例えば、レーザ光源と比較して、比較的長時間にわたり比較的一定の光出力を出力するように構成されたLEDアレイであり得る。より具体的には、いくつかの既知の電気泳動法は、レーザを用いて比較的短時間にわたり高強度でカラム上の単一点を照明する。こうした方法は、正確な測定を達成するように十分なエネルギーを単一点に送出するために好適であるが、レーザの強度は、長期間適用される場合、検出器を損傷し得るため、こうした方法は、概して、全カラム検出またはリアルタイム検出には好適ではない。しかしながら、LEDアレイは、電気泳動が発生している間に全カラムに対して正確な測定を達成するために十分なエネルギーを生成するように、より長時間にわたり、より低強度で全カラムを照明することができる。
【0124】
取付構造2753は、第1調整ブロック2754、第2調整ブロック2755、調整プレート2756、取付クランプ2758の対を含む。取付クランプ2758は、
図25に示すように、レンズ2759を調整プレート2756の端部に対して固定された位置で締め付け、結合し、かつ/または他に保持するように調整プレート2756の端部に結合される。取付構造2753は、光出力部2752を調整可能に支持し、かつ/または例えばフレーム2120の光学系支持プレート2121に調整可能に取り付けるように構成されている。より具体的には、
図26に示すように、取付構造2753は、第1調整ブロック2754を第2調整ブロック2755に調整可能に結合するように構成された第1取付プレート2757と、第2調整ブロック2755を調整プレート2756に調整可能に結合するように構成された第2取付プレート2757とを含む。いくつかの実施形態では、取付構造2753の配置は、第1調整ブロック2754により、照明アセンブリ2751の少なくとも一部の(例えば、カートリッジリテーナ2400に対する)水平調整が可能になり、第2調整ブロック2755により、照明アセンブリ2751の少なくとも一部の(例えば、カートリッジリテーナ2400に対する)垂直調整が可能になるようなものである。同様に、光出力部2752は、例えばレンズ2759により近くまたはより離れて配置されるように調整プレート2756の長さに沿って摺動させることができるように、調整プレート2756に摺動可能に結合することができる。このように、光出力部2752は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カートリッジリテーナ2400および/またはカートリッジリテーナ2400によって保持されるカートリッジ2500に対して所望の位置に配置することができる。
【0125】
全カラム検出部2750の撮像アセンブリ2760は、任意の好適なデバイス、機構、アセンブリ等であり得、かつ/またはそれを含み得る。
図27および
図28に示すように、撮像アセンブリ2760は、撮像デバイス2761、シールブラケット2762、1つまたは複数のシール2763、回転フランジ2765および遷移フランジ2767を含む。撮像デバイス2761は、例えば、(上述した)分析物および/または標準物質によって放射される信号を検出するように構成された任意の好適なカメラまたは検出器であり得る。撮像デバイス2761は、例えば、使用者が、試料中に分析物が存在するか否か、および任意選択的に分析物の量または活量を迅速に判断することを可能にするように、分析物および/または標準物質によって放出される信号をリアルタイムで連続的にモニタリングするために使用することができる電荷結合素子(CCD)アレイ等であり得る。他の実施形態では、撮像デバイス2761は、上述したフォトダイオード2728および2738等のフォトダイオードであり得る。
【0126】
シールブラケット2762、シール2763、回転フランジ2765および遷移フランジ2767は、集合的に、撮像デバイス2760を集束アセンブリ2770の取付ブロック2771に結合するように構成されている。さらに、撮像アセンブリ2760の配置は、撮像デバイス2761が外部光源(例えば、光出力部2752以外)によって放射される光から隔離されるようなものである。換言すれば、シールブラケット2762、シール2763、回転フランジ2765および遷移フランジ2767は、集合的に、撮像デバイス2761と取付ブロック2771との間の光不透光性シールを形成する。
【0127】
集束アセンブリ2770は、取付ブロック2771、レンズホルダ2774、レンズ2775、ミラー保持ブロック2776、モータ2781およびフィルタホイール2784を含む。上述したように、取付ブロック2771は、撮像アセンブリ2760(例えば、撮像アセンブリ2760の遷移フランジ2767または他の部分)に結合されている。取付ブロック2771は、ミラー保持ブロック2776にも結合されている(例えば、
図27を参照されたい)。換言すると、取付ブロック2771は、撮像アセンブリ2760とミラー保持ブロック2776との間に配置されている。取付ブロック2771は、任意の好適な形状、サイズおよび/または構成であり得る。例えば、
図28に示すように、取付ブロック2771は、開口部2772およびモータ凹部2773を画定する。レンズホルダ2774は、レンズ2775を受け入れ、開口部2772内に移動可能に配置されている。モータ2781は、モータ凹部2773内に少なくとも部分的に配置され(例えば、
図27を参照されたい)、取付ブロック2771によって画定された開口部2772内でレンズホルダ2774を移動させるように動作可能である。例えば、いくつかの実施形態では、モータ2781は、ピニオン等を回転させるように構成することができ、その結果、レンズホルダ2774に含まれ、かつ/またはレンズホルダ2774によって形成されるラックがピニオンに対して前進することができる。したがって、レンズホルダ2774は、例えば、レンズ2775を通過する(例えば、光出力部2752によって放射される)光の少なくとも一部を集束させるように、取付ブロック2771内でレンズホルダ2774を移動させることができる。
【0128】
上述したように、ミラー保持ブロック2776は、取付ブロック2771に結合されている。ミラー保持ブロック2776は、開口部2778を画定し、ミラー調整機構2777を含む。より具体的には、ミラー調整機構2777は、ミラー保持ブロック2776によって画定された開口部2778内に配置されている(例えば、
図27を参照されたい)。ミラー調整機構2777は、ミラー2790を受け入れかつ/またはミラー2790に結合するように構成され、ミラー2790をミラー保持ブロック2776内で調整しかつ/または移動させるように係合、操作および/または他に再構成され得る。全カラム検出部2750の配置は、ミラー保持ブロック2776によって画定された開口部2778が、例えば、カートリッジリテーナ2400の第1側壁2411および第2側壁2421のそれぞれの第2光学系開口部2415および2425に位置合せされるようなものである。このように、光出力部2752から放射される光は、カートリッジリテーナ2400の第2光学系開口部2415および2425(ならびにその中に配置されたカートリッジ2500の一部)を通って、ミラー保持ブロック2776によって画定された開口部2778内に入ることができる。その後、本明細書においてさらに詳細に記載するように、光の少なくとも一部を撮像デバイス2761に向けるようにミラー2790を調整および/または配置することができる。
【0129】
フィルタホイール2784は、(例えば、1つまたは複数のギヤ2782を介して)モータ2781に動作可能に結合され、取付ブロック2771とミラー保持ブロック2776との間に回転可能に配置されている。フィルタホイール2784は、任意の好適な形状、サイズおよび/または構成であり得る。例えば、
図28に示すように、フィルタホイール2784は、開口部2785の組を画定する比較的薄いプレートである。より具体的には、この実施形態では、フィルタホイール2784は6つの開口部2785の組を画定し、それらの各々は、光学フィルタ等(図示せず)を受けるように構成されている。光学フィルタは、通過する光の少なくとも一部を集束させ、フィルタリングし、変換し、かつ/または他に修正するように構成された任意の好適なフィルタ、レンズおよび/または他の光学デバイスであり得る。いくつかの実施形態では、フィルタホイール2784によって画定された各開口部2785は、異なるフィルタおよび/またはレンズを含むことができる。このように、モータ2781は、フィルタホイール2784を回転させて、取付ブロック2771によって画定された開口部2772にフィルタの任意の1つを位置合せすることができる。したがって、ミラー2790によって撮像デバイス2761に向けられる光の少なくとも一部は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、撮像デバイス2761に入る前に所望のフィルタ(およびレンズ2776)を通過する。
【0130】
場合により、電気泳動ラン中にフィルタホイール2784を回転させることができる。このように、電気泳動プロセスが発生している間に別の撮像モードを用いることができる。例えば、フィルタホイール2784は、第1フィルタが取付ブロック2771によって画定された開口部2772と位置合せされるように第1位置に配置することができ、その後、第2フィルタ、第3フィルタおよび/または第4フィルタをそれぞれ開口部2772と位置合せするように第2位置、第3位置および/または第4位置に移動させる(例えば、回転させる)ことができる。こうしたいくつかの場合、第1フィルタは、例えば、撮像デバイス2761が分析物に結合された標識部分内で誘起された蛍光を取り込むことを可能にし得、第2フィルタは、例えば、撮像デバイス2761が第1分析物の固有蛍光を取り込むことを可能にし得、第3フィルタは、例えば、撮像デバイス2761が第2分析物の固有蛍光を取り込むことを可能にし得、第4フィルタは、例えば、撮像デバイス2761が分析物の吸光度を検出することを可能にし得る。他の実施形態では、フィルタホイール2784は、他の任意の好適なフィルタまたはフィルタの組合せを含むことができる。フィルタホイール2784を回転させることにより、ラン中の任意の時点において、(例えば、光出力部2752によって照明される)全カラムの別の画像を取り込むことができる。このように、分析物がカラム(例えば、キャピラリ)を通って移動する際、標識の蛍光、分析物の固有蛍光および/または分析物の吸光度をそれぞれ1回のランで別個に追跡することができる。
【0131】
上述したように、システム2000、具体的にはカートリッジリテーナ2400は、分子量カートリッジ2500’および等電点電気泳動カートリッジ2500’’等の異なるカートリッジを受けるように構成することができる。等速電気泳動カートリッジ、キャピラリ電気クロマトグラフィ等の他のタイプのカートリッジも可能である。場合により、カートリッジ2500は再使用可能であり得る。同様に、カートリッジ2500は、同じであるかまたは異なる試料で複数回分析を実施するために好適であり得る。
【0132】
図29~
図37に示すように、分子量カートリッジ2500’は、カートリッジ本体2501’およびキャピラリ2530’を有する。カートリッジ本体2501’は、少なくとも1つのアパーチャ2505’、少なくとも1つの垂直位置合せ特徴部2510’および少なくとも1つの水平位置合せ特徴部2515’を画定する。
図18および
図19に関して上述したように、垂直位置合せ特徴部2510’は、カートリッジリテーナ2400の第1ガイドレール2428(例えば、上部ガイドレール)および第2ガイドレール2429(例えば、下部ガイドレール)と摺動可能に係合し、嵌合し、かつ/または他に相互作用するように構成することができる。より具体的には、この実施形態では、カートリッジ本体2501’は、第1ガイドレール2428と係合するように構成された第1垂直位置合せ特徴部(例えば、上部位置合せ特徴部)と、第2ガイドレール2429と係合するように構成された第2垂直位置合せ特徴部(例えば、下部位置合せ特徴部)とを含む。いくつかの実施形態では、垂直位置合せ特徴部2510’は、例えば、第1ガイドレール2428または第2ガイドレール2429の一部を受けるように構成された溝、切欠き、スロット、チャネル等であり得る(例えば、
図29、
図33および
図34を参照されたい)。したがって、ガイドレール2428および2429ならびに垂直位置合せ特徴部2510’は、集合的に、分子量カートリッジ2500’の垂直方向の移動を制限および/または実質的に阻止する。
【0133】
水平位置合せ特徴部2515’は、同様に、カートリッジリテーナ2400のラッチ部材2458と嵌合するように構成することができる。例えば、水平位置合せ特徴部2515’は、例えば、
図33および
図34に示すように、ラッチ部材2458がラッチ形態またはロック形態に移動したときにラッチ部材2458の一部を選択的に受け入れかつそれと接触するように構成された切欠き、溝、スロット、チャネル等であり得る。水平位置合せ特徴部2515’は、ラッチ部材2458を、水平位置合せ特徴部2515’を画定するカートリッジ本体2501’の表面内に回転させそれに対してロックすることができるように、くの字形形状を有することができる。このように、水平位置合せ特徴部2515’およびラッチ部材2458は、集合的に、分子量カートリッジ2500’の水平方向における(例えば、挿入方向における)移動を阻止することができる。さらに、本明細書においてさらに詳細に記載するように、ラッチ部材2458が水平位置合せ特徴部2515’と係合するとき、分子量カートリッジ2500’の1つまたは複数の部分が接触部材2485と接触するように、カートリッジリテーナ2400内に分子量カートリッジ2500’を引き込むことができる。いくつかの実施形態では、カートリッジ本体2501’の表面がセンサ2488と接触することに応じて、水平位置合せ特徴部2515’と接触するようにラッチ部材2458を移動させることができる。いくつかの実施形態では、カートリッジ本体2501’は、カートリッジリテーナ2400の第1側壁2411の内面および/または第2側壁2421の内面と当接して、分子量カートリッジ2500’の、カートリッジ2500’の挿入方向以外の水平方向における(例えば、横切る方向または横方向における)移動を阻止することもできる。このように、カートリッジリテーナ2400は、ラッチ部材2458が係合したときにカートリッジリテーナ2400に対する分子量カートリッジ2500’の水平移動および/または垂直移動を制限および/または実質的に阻止することができる。
【0134】
カートリッジ本体2501’によって画定された1つまたは複数のアパーチャ2505’は、任意の好適な形状、サイズまたは構成であり得る。例えば、
図29~
図31に示す通りである。分子量カートリッジ2500’は、カートリッジ本体2501’の第1側に配置された第1アパーチャ2505’と、カートリッジ本体2501’の第1側と反対側の第2側に配置された第2アパーチャ2505’とを含む。より具体的には、第1アパーチャ2505’および第2アパーチャ2505’は、反対のかつ/または位置合せされた位置に配置される。アパーチャ2505’の位置は、分子量カートリッジ2500’がカートリッジリテーナ2400内に配置されているとき、アパーチャ2505’が、例えば、光学系アセンブリ2700の単一点検出部2701に含まれる中心部材2710の中心ボア2711と実質的に位置合せされるようなものである。さらに、キャピラリ2530’は、キャピラリ2530’の一部がアパーチャ2505’とかつ/またはその間で位置合せされるように(例えば、
図29および
図30を参照されたい)カートリッジ本体2501’内に配置され、それにより、光学系アセンブリ2700の単一点検出部2701によってキャピラリ2501’の一部を可視化することができる。
【0135】
キャピラリ2530’は、例えば、試薬トレイ2365に配置された試料バイアル2367に収容された試料と流体連通するように構成することができる。いくつかの実施形態では、キャピラリ2530’の端部2532’は、分子量カートリッジ2500’のカートリッジ本体2501’の外側に延在することができる。他の実施形態では、キャピラリ2530’は、カートリッジ本体2501’から突出するピペットチップまたは他の好適な構造を介して1つまたは複数の試料バイアル2367および/またはウェル2366内の試料と流体連通することができる。いくつかの実施形態では、プラスチックまたはカーボンスリーブ等のスリーブ2535’をキャピラリ2530’の一部の周囲に配置して、例えば、キャピラリ2530’の剛性を向上させることができる。このように、スリーブ2535’は、キャピラリ2530’の端部2532’を保護して、その望ましくない変形または破損を防止することができる。こうしたスリーブ2535’は、例えば、試料バイアルの隔壁または他の覆いに穴をあけるのに十分な剛性を有することができる。いくつかの実施形態では、スリーブ2535’は、キャピラリ2530’の端部2532’に対する遮断(例えば、断熱および/または絶縁)をさらに提供することができる。
【0136】
分子量カートリッジ2500’は、
図31~
図35に示すように、圧力ライン2550’、圧力ポート2551’およびシール2552’も含む。分子量カートリッジ2500’がカートリッジリテーナ2400内に配置されると、圧力ポート2551’を介して圧力ノズル2445に圧力ライン2550’を流体的に結合することができる(例えば、
図35を参照されたい)。シール2552’は、試薬トレイ2365が分子量カートリッジ2500’に対して移動すると、試料バイアル2367または容器に対して押圧されるように構成されている。例えば、キャピラリ2530’を試料バイアルと流体連通させてシール2552’が試料バイアルに当接するように、試薬トレイ2365を垂直方向に移動するように構成することができる。システム2000は、試料バイアルを加圧して、バイアルからキャピラリ2530’内に試料を押し込むことができる圧力源2497を作動させるように構成することができる。さらにまたは別法として、真空ポート2448および真空インタフェース2541’を介して真空源2496にキャピラリ2530’を流体的に結合することができる。システム2000は、試料の流れをバイアルからキャピラリ2530’内に押し込むように真空源2496および/または圧力源2497を作動させるように構成することができる。場合により、試料バイアルに負圧および正圧の両方をかけることにより、所望の特性の組(例えば、気泡、乱流等が少ない等)を有するある量および/または流量の試料をキャピラリ2530’内に引き込むことができる。
【0137】
分子量カートリッジ2500’は、入口隔壁2543’および出口隔壁2542’を有する二重隔壁バイアル2540’をさらに含む(例えば、
図31および
図35を参照されたい)。入口隔壁2543’および/または出口隔壁2542’は、液体に対して実質的に不浸透性であり得る。入口隔壁2543’は、キャピラリ2530’の(端部2532’と反対側の)端部2531’によって穴があけられて、キャピラリ2530’を二重隔壁バイアル2540’の内部容積と流体連通および電気通信させるように構成されている。例えば、二重隔壁バイアル2540’は、キャピラリ2530’に送出することができる作動緩衝液を収容することができ、かつ/または現ラン中または先行するラン中のキャピラリ2530’からの廃棄試料を受け入れかつ貯蔵することができる。さらに、キャピラリ2530’の少なくとも端部2531’は、導電性であり、したがって端部2531’が入口隔壁2543’に穴をあけると、キャピラリ2530’を二重隔壁バイアル2540’に電気的に接続または電気的に結合する。
【0138】
いくつかの実施形態では、出口隔壁2542’は気体透過性であり得、それにより、試料がキャピラリ2530’を通って二重隔壁バイアル2540’内に引き込まれるとき、液体ではなく空気を、出口隔壁2542’を通るように押し出すことができる。さらにまたは別法として、二重隔壁バイアル2540’は、試料が分子量カートリッジ2500’から出ることを妨げるためにスポンジ、フィルタおよび/または他の吸収材料を含むことができる。この実施形態では、出口隔壁2542’は、真空インタフェース2541’によって穴があけられる。場合により、ランが完了すると、システム2000は、例えば、二重隔壁バイアル2540’を通して空気を循環させることにより、二重隔壁バイアル2540’を乾燥させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、システム2000は、二重隔壁バイアル2540’内に吸引された試料の量を追跡および/または判断し、二重隔壁バイアル2540’が満たされると、かつ/または所定回数のラン後、使用者に対して、二重隔壁バイアル2540’および/または分子量カートリッジ2500’を交換するように警告するように構成することができる。場合により、システム2000は、二重隔壁バイアル2540’が満たされると、少なくともその一部の動作を遮断するように構成することができる。
【0139】
二重隔壁バイアル2540’は、分子量カートリッジ2500’がカートリッジリテーナ2400’内に配置されているとき、システム2000の少なくとも一部に電気的に結合されるように構成されている。例えば、分子量カートリッジ2500’がカートリッジリテーナ2400によって保持されているとき、第1接触ブラケット2438から延在する接触部材2485の一部が、分子量カートリッジ2500’内において、二重隔壁バイアル2540’と接触するように配置される。上述したように、接触部材2485は、例えば、電源2210等の電圧(または電流)源と電気的に結合される。したがって、接触部材2485は、二重隔壁バイアル2540’を電圧(または電流)源と電気的に接触させる。同様に、第2接触ブラケット2439から延在する接触部材2485を分子量カートリッジ2500’の一部および/またはキャピラリ2530’の一部と接触させて、それらの間に電気的接続を確立することができる。したがって、接触ブラケット2485および二重隔壁バイアル2540’を介してキャピラリ2530’に電位を印加することができ、それによりキャピラリ2530’内の分析物に起電力を誘起することができる。分析物が帯電している場合、電位は、分析物をキャピラリ2530’の端部2531’に(例えば、二重隔壁バイアル2540’に向かって)引き付けることができる。場合により、分析物および/または試料の他の部分は、少なくとも部分的に分子量に基づいて、特性(例えば、移動度パラメータ等)の組を有してキャピラリ2530’の端部に向かって流れることができ、そこでは、分子量が小さい分析物ほど、分子量の大きい分析物より高速で移動することができる。
【0140】
図35~
図37に示すように、カートリッジリテーナ2400内に分子量カートリッジ2500’を配置することができ、分子量分析を行うようにシステム2000を設定することができる。場合により、分子量カートリッジ2500’を挿入する前に、使用者は、試薬トレイ2365および/または分子量カートリッジ2500’を用意することができる。その後、上述したように、使用者は、分子量カートリッジ2500’をカートリッジリテーナ2400内に単一の所定の向きで挿入することができる。このように、カートリッジリテーナ2400内の所望の位置に分子量カートリッジ2500’を配置することができ、それにより、
図37に示すように、アパーチャ2505’は単一点検出光学系部2701と位置合せされる。より具体的には、分子量カートリッジ2500’は、アパーチャ2505’、したがってキャピラリ2530’が中心部材2710の中心ボア2711と位置合せされるようにシステム2000内に配置される。したがって、分子量カートリッジ2500’を単一点検出光学系部2701と位置合せすることにより、光出力部2707によって放射されるエネルギーおよび/または光子をキャピラリ2530’の所定部分に向けることができる。
【0141】
カートリッジリテーナ2400内に分子量カートリッジ2500’が保持されると、上述したように、試薬トレイ2365のウェルおよび/または試料バイアル内にキャピラリ2530’の少なくとも一部を配置するように、分子量カートリッジ2500’に対して試薬トレイ2365を移動させることができる。さらに、キャピラリ2530’は、分子量カートリッジ2500’がカートリッジリテーナ2400内に配置されると真空源2496に流体的に結合される。したがって、それにより、キャピラリ2530’内において、キャピラリ2530’内に試料を引き込むように動作可能な負差圧を生成するように真空源2496を(例えば、少なくとも半自動的に)作動させることができる。キャピラリ2530’がウェルおよび/または試料バイアル内に配置されると、接触部材2485は、電気エネルギー(例えば、電流)を二重隔壁バイアル2540’と分子量カートリッジ2500’および/またはキャピラリ2530’の一部とに伝達して、試料に電位を印加することができ、その結果、試料内で分析物が移動する。キャピラリ2540’内で分析物が移動する速度を、例えば、分子量等の1つまたは複数の移動度係数と相関させることができる。
【0142】
このように、キャピラリ2530’内で分析物が移動すると、光出力部2707はエネルギーまたは光子を放射することができ、それにより(エネルギーまたは光子が向けられる)キャピラリ2530’の所定部分を通って流れているある量の試料が照明および/または励起される。その後、フォトダイオード2728および2738は、その容量の試料中の照明および/または励起された分析物、標準物質、標識部分等によって反射され、屈折および/または吸収されるエネルギーおよび/または光子の少なくとも一部を取り込みかつ/または検出する。その後、フォトダイオード2728および2738は、検出に関連しかつ/または検出に関するデータを含む信号を送信することができ、システム2000(例えば、電子機器アセンブリ2200のプロセッサ)は、データを分析して、試料中の分析物に関連する分子量ベースのデータおよび/または電気泳動移動度データを求めることができる。例えば、印加されている電位と検出されている分析物との間の時間の長さを分析物の分子量および/または移動度係数と相関させることができる。他の実施形態では、真空源2496および/または圧力源2497によって試料の流れを誘導することができる。
【0143】
システム2000について、分子量カートリッジ2500’を受け入れかつ分子量分析を行うものとして上述したが、他の場合、システム2000は、等電点電気泳動カートリッジ2500’’を受けることができ、電気泳動とそれに続く可視化および検出とを行う構成に設定することができる。
図38~
図44に示すように、等電点電気泳動カートリッジ2500’’は、カートリッジ本体2501’’、キャピラリ2530’’および電極2560’’の組を有する。カートリッジ本体2501’’は、少なくとも1つのアパーチャ2505’’、少なくとも1つの垂直位置合せ特徴部2510’’および少なくとも1つの水平位置合せ特徴部2515’’を画定する。垂直位置合せ特徴部2510’’および水平位置合せ特徴部2515’’は、分子量カートリッジ2500’に関して上述したものと同様であり得る。したがって、カートリッジリテーナ2400内において、等電点電気泳動カートリッジ2500’’を同様に配置しかつ一時的に固定することができる。
【0144】
カートリッジ本体2501’’によって画定されたアパーチャ2505’’は、任意の好適な形状、サイズおよび/または構成であり得る。例えば、
図38~
図41に示すように、アパーチャ2505’’は、(分子量カートリッジ2500’に関して上述したように)カートリッジ本体2501’’の反対側に配置される細長い開口部である。したがって、アパーチャ2505’’内に等電点電気泳動カートリッジ2500’’が内部に配置されるとき、アパーチャ2505’’をカートリッジリテーナ2400の第2光学系開口部2415および2425と光学的に位置合せすることができる。さらに、アパーチャ2505’’は、キャピラリ2530’’の長さに対する光学的なアクセスを可能にし得、それにより、光学アセンブリ2700の全カラム検出部2750は、等電点電気泳動前、その間および/またはその後に試料を撮像することができる。アパーチャ2505’’および光学系アセンブリ2700の全カラム検出部2750は、集合的に、全カラム撮像を行うように構成することができる。同様に、アパーチャ2505’’は、電極2560’’の組間に配置されたキャピラリ2530’’の実質的に全長(例えば、長さの90%を超える)を露出させることができる。
【0145】
等電点電気泳動カートリッジ2500’’は、スリットプレート2520’’をさらに含む。スリットプレート2520’’は、光学的にアパーチャ2505’’および/またはキャピラリ2530’’と位置合せすることができる。スリットプレート2520’’は、例えば、キャピラリ2530’’の湾曲に関連するレンズ効果を低減させることにより、等電点電気泳動の画像の解像度を向上させることができる。同様に、スリットプレート2520’’は、キャピラリ2530’’の縁を閉塞させながら、光学系アセンブリ2700の全カラム検出部2750にキャピラリ2530’’の中心部を露出させることができる。いくつかの実施形態では、スリットプレート2520’’は、100ミクロン、200ミクロン、300ミクロン、500ミクロンまたは他の任意の好適なスリット幅を画定することができる。
【0146】
図40および
図41に示すように、等電点電気泳動カートリッジ2500’’は、キャピラリ2530’’、圧力ライン2550’’、圧力ポート2551’’、シール2552’’およびスリーブ2535’’を含み、それらの各々は、分子量カートリッジ2500’に関して上述したキャピラリ2530’、圧力ライン2550’、圧力ポート2551’’、シール2552’およびスリーブ2535’と構造的および/または機能的に同様であり得る。したがって、試薬トレイ2365の1つまたは複数のバイアル2367またはウェル2366からの試料を、分子量カートリッジ2500’に関して上述したものと同様にキャピラリ2530’’内に吸引することができる。等電点電気泳動カートリッジ2500’’は、バルク流体流が実質的にない状態で試料を分析するように構成することができる。したがって、試料がキャピラリ2500’’内に吸引されると、本明細書においてさらに詳細に記載するように、バルク流体流を阻止することができる。
【0147】
図40~
図44に示すように、等電点電気泳動カートリッジ2500’’は、真空ライン2572’’およびピンチプレート2571’’を含むピンチ弁アセンブリ2570’’を含む。カートリッジ本体2501’’によって画定されたピンチ弁開口部2520’’は、カートリッジリテーナ2400の真空部2440に関して上述したピンチ弁アクチュエータ2444を受けるように構成されている。真空ライン2572’’は、キャピラリ2530’’の上部に流体的に結合されている。試料がキャピラリ2530’’内に吸引されると、ピンチ弁アクチュエータ2444が真空ライン2572’’に力を加えるように、カートリッジリテーナ2400のレバーアーム2441を回転させることができる。その力により、真空ライン2572’’をピンチプレート2571’’に対して変形させることができ、真空ライン2572’’の断面が低減し、それによりピンチ弁アセンブリ2570’’が閉鎖する。ピンチ弁アセンブリ2570’’が閉鎖すると、キャピラリ2530’’内のバルク流体流を阻止するかまたは妨げることができる。場合により、真空がかけられている間、ピンチ弁アセンブリ2570’’を閉鎖することができ、それによりキャピラリ2530’’の上部に負圧がかけられる。こうした負圧は、重力に反作用しかつ/または重力を克服することができる。同様に、ピンチ弁アセンブリ2570’’および/またはキャピラリ2530’’にかけられる負圧により、重力下での垂直カラム内におけるバルク流体移動を阻止するかまたは妨げることができる。
【0148】
図示しないが、等電点電気泳動カートリッジ2500’’は、分子量カートリッジ2500’の二重隔壁バイアル2540’と同様にキャピラリ2530’’に流体的に結合された二重隔壁バイアルを含むことができる。二重隔壁バイアル2540’’は、相対的に高いまたは低いpHを有する溶液等、作動緩衝液を収容することができる。底部隔壁は、バルク流体流を阻止および/または制限しながら、作動緩衝液とキャピラリ2530’’との間のイオン流を可能にするように構成することができる。このように、二重隔壁バイアルは、キャピラリ2530’’内のpH勾配を引き起こすことができる。
【0149】
二重隔壁バイアルに加えて、等電点電気泳動カートリッジ2500’’は、廃棄物容器2540’’を含む。廃棄物容器2540’’もキャピラリ2530’’に流体的に結合することができる。同様に、廃棄物容器2540’’は、二重隔壁バイアルに対して流体的に平行であり得る。廃棄物容器2540’’は、スポンジ、フィルタまたは他の好適な材料を含むことができる。ランが完了すると、ピンチ弁アセンブリ2570’’を開放することができ、真空源2496を介して廃棄物容器2540’’内に試料を吸引することができる。例えば、二重隔壁バイアルの底部隔壁は、試料を廃棄物容器2540’’内に向けて流体試料がカートリッジ2500’’から引き出されることを防止し得る。いくつかの実施形態では、廃棄物容器2540’’は、分子量カートリッジ2500’に含まれる廃棄物容器2540’と同様に機能することができる。
【0150】
等電点電気泳動カートリッジ2500’’は、電極2560’’の組をさらに含む。この実施形態では、電極2560’’の組は、2つの電極を含む。電極2560’’は、等電点電気泳動カートリッジ2500’’がカートリッジリテーナ2400内に配置されているとき、対応する接触部材2485と当接するように構成することができる(
図44)。その後、接触部材2485は、例えば、電子機器アセンブリ2200の電源2210等の電圧(または電流)源と電気的に結合することができる。2つの電極2560’’もキャピラリ2530’’および/またはキャピラリ2530’’内の試料に電気的に結合される。例えば、いくつかの実施形態では、
図44に示すように、キャピラリ2530’’は導電性であり得、第1端部2531’’は第1電極2560’’に電気的に結合され、第2端部2532’’は第2電極2560’’に電気的に結合される。いくつかの実施形態では、上述した二重隔壁バイアルに一方の電極2560’’を結合することができる。こうした実施形態では、二重隔壁バイアル内の作動緩衝液を電極2560’’に電気的に結合することができるように、二重隔壁バイアルは導電性であり得る。システム2000は、試料を収容するキャピラリ2530’’に沿って電位が誘起されるように電源2210を作動させるように構成することができる。電位により、詳細に上述したように、試料中の分析物がキャピラリ2530’’内のpH勾配に沿ってそれらの等電点に移動することができる。
【0151】
分子量カートリッジ2500’に関して上述したように、使用者は、カートリッジリテーナ2400内に等電点電気泳動カートリッジ2500’’を配置することができ、システム2000を、例えば、電気泳動分析設定および/または構成に設定することができる。場合により、等電点電気泳動カートリッジ2500’’を挿入する前に、使用者は、試薬トレイ2365および/または等電点電気泳動カートリッジ2500’’を用意することができる。上述したように、その後、使用者は、等電点電気泳動カートリッジ2500’’をカートリッジリテーナ2400内に単一の所定の向きで挿入することができる。このように、
図42に示すように、アパーチャ2505’’が光学系アセンブリ2700の全カラム検出部2750に位置合せされるように、カートリッジリテーナ2400内の所望の位置に等電点電気泳動カートリッジ2500’’を配置することができる。より詳細には、等電点電気泳動カートリッジ2500’’は、アパーチャ2505’’、したがってキャピラリ2530’’がカートリッジリテーナ2400の第2光学系開口部2415および2425、光出力部2752、ならびにミラー保持ブロック2776の開口部2778に位置合せされるようにシステム2000内に配置される。したがって、等電点電気泳動カートリッジ2500’’を全カラム検出2750と位置合せすることにより、光出力部2752によって放射されるエネルギーおよび/または光子をキャピラリ2530’’の所定部分に向けることができる。
【0152】
等電点電気泳動カートリッジ2500’’がカートリッジリテーナ2400内に保持されると、上述したように、試薬トレイ2365のウェルおよび/または試料バイアル内にキャピラリ2530’’の少なくとも一部を配置するように、等電点電気泳動カートリッジ2500’’に対して試薬トレイ2365を移動させることができる。さらに、等電点電気泳動カートリッジ2500’’がカートリッジリテーナ2400内に配置されているとき、キャピラリ2530’’は真空源2496に流体的に結合される。したがって、その後、キャピラリ2530’’内において、キャピラリ2530’’内にある量の試料を引き込むように動作可能な負差圧を生成するように真空源2496を(例えば、少なくとも半自動的に)作動させることができる。
【0153】
所望の成分を有する混合物(例えば、試料)がキャピラリ2530’’内に引き込まれると、システム2000は、例えば、カートリッジリテーナ2400の真空部2440を作動させて、ピンチ弁アクチュエータ2444の少なくとも一部をカートリッジ本体2501’’のピンチ弁開口部2520’’内に挿入し、等電点電気泳動カートリッジ2500’’のピンチ弁アセンブリ2570’’と接触させることができる。したがって、ピンチ弁アクチュエータ2444は、上述したように、真空ライン2572’’の一部をピンチプレート2571’’に対して変形させることにより、ピンチ弁アセンブリ2570’’を閉鎖形態にすることができる。したがって、ピンチ弁アセンブリ2570’’が閉鎖形態にある状態で、キャピラリ2530’’を通るバルク流体流は、制限、制約および/または実質的に阻止される。その後、システム2000は、例えば、接触部材2485に電流の流れを供給することにより、キャピラリ2530’’に電界を印加することができる。したがって、接触部材2485が電極2560’’と接触した状態で、電流は、同様に電極2560’’に通電して、キャピラリ2530’’の端部2531’’および2532’’間に電圧差をもたらす。したがって、キャピラリ2530’’に供給される電流に応じて、詳細に上述したように、試料中の分析物は、各分析物の等電点等に従ってキャピラリ2530’’の長さに沿って移動および/または分離される。
【0154】
場合により、全カラム検出部2750は、「全カラム」画像もしくは信号を検出することができ、かつ/または他にキャピラリ2530’’内の試料の「全カラム」検出を行うことができる。同様に、撮像デバイス2761は、キャピラリ2530’’に沿って単一点より多くの点を取り込むように動作可能であり得る。例えば、撮像デバイス2761は、電気泳動プロセス中に分析物の分離および/または集束を可視化するのに十分な長さ(例えば、約1cm、約3cm、約5cm、約10cm、約20cm、約50cm、またはキャピラリ2530’’の他の任意の好適な長さ)を取り込みかつ/または検出するように動作可能であり得る。さらにまたは別法として、撮像デバイス2761は、キャピラリ2530’’内の分析物の固有蛍光および吸光度を取り込みかつ/または検出するように動作可能であり得る。例えば、分析物がキャピラリ2530’’内で分離されかつ/または集束している間、撮像デバイス2761に提示された光信号を変更するようにフィルタホイール2784を回転させることができる。したがって、1回のラン中に分析物が分離および/または集束する間、全カラムに沿った固有蛍光、吸光度、および/または他の任意の好適な光学特性について、試料に対して特性評価を行うことができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載したシステムまたは方法のうちの任意のものを用いる分析物検出用のキットとして、試薬、試薬トレイ、キャピラリカートリッジ等を別個にパッケージ化することができ、または集合的にパッケージ化することができる。いくつかの実施形態では、キットは、分子量、等電点、および/または本明細書に記載するもの等の他の任意の好適な標準物質をもたらす材料を含むことができる。さらに、1つまたは複数の移動度部分、1つまたは複数の反応性部分、1つまたは複数の標識部分を単独でまたは集合的にパッケージ化することができる。いくつかの実施形態では、キットは、ペプチドを含む1種または複数の電気泳動標準物質、1種または複数の蛍光色素、および1種または複数の光反応性基を含むことができる。さらに、緩衝液、高分子材料または重合性材料、ブロッキング溶液および洗浄溶液を試薬、試薬トレイ、キャピラリカートリッジ等とともにパッケージ化することができ、または試薬、試薬トレイ、キャピラリカートリッジ等とは別個にパッケージ化することができる。構成要素は、乾燥形態または液体形態で互いに別個にまたは混合して提供することができる。
【0156】
本明細書に記載したいくつかの実施形態は、さまざまなコンピュータ実施作業を実行するための命令またはコンピュータコードを有する非一時的なコンピュータ可読媒体(プロセッサ可読媒体とも呼ぶことができる)を備えたコンピュータストレージ製品に関連する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、本質的に一時的な伝播信号(例えば、空間またはケーブル等の伝送媒体で情報を搬送する伝播電磁波)を含まないという意味で非一時的である。媒体およびコンピュータコード(コードとも呼ぶことができる)は、具体的な1つまたは複数の目的に対して設計および構成されたものであり得る。非一時的なコンピュータ可読媒体の例としては、限定されないが、ハードディスク、フロッピーディスクおよび磁気テープ等の磁気記憶媒体、コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)およびホログラフィックデバイス等の光記憶媒体、光ディスク等の光磁気記憶媒体、搬送波信号処理モジュール、ならびに特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)およびリードオンリーメモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス等、プログラムコードを格納し実行するように特に構成されたハードウェアデバイスが挙げられる。本明細書に記載した他の実施形態は、例えば、本明細書において考察した命令および/またはコンピュータコードを含むことができるコンピュータプログラム製品に関連する。
【0157】
本明細書に記載したいくつかの実施形態および/または方法は、(ハードウェアで実行される)ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せによって実行することができる。ハードウェアモジュールとしては、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を挙げることができる。(ハードウェアで実行される)ソフトウェアモジュールは、C、C++、Java(登録商標)、Ruby、Visual Basic(登録商標)、ならびに/または他のオブジェクト指向、手続き型もしくは他のプログラミング言語および開発ツールを含む種々のソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表すことができる。コンピュータコードの例としては、限定されないが、コンパイラによって生成されるようなマイクロコードまたはマイクロ命令、機械命令、ウェブサービスを作成するために使用されるコード、およびインタープリタを用いてコンピュータによって実行される高水準命令を含むファイルが挙げられる。例えば、実施形態は、命令型プログラミング言語(例えば、C、FORTRAN等)、関数型プログラミング言語(Haskell、Erlang等)、論理プログラミング言語(例えば、Prolog)、オブジェクト指向プログラミング言語(例えば、Java(登録商標)、C++等)、または他の好適なプログラミング言語および/もしくは開発ツールを用いて実施することができる。コンピュータコードのさらなる例としては、限定されないが、制御信号、暗号化コードおよび圧縮コードが挙げられる。
【0158】
さまざまな実施形態について上述したが、それらは、限定としてではなく単に例として提示されていることが理解されるべきである。上述した概略図および/または実施形態は、いくつかの向きまたは位置に配置されたいくつかの構成要素を示すが、構成要素の配置は変更され得る。いくつかの実施形態について特に図示し記載したが、形態および細部においてさまざまな変更形態がなされ得ることが理解されるであろう。特定の特徴および/または構成要素の組合せを有するものとしてさまざまな実施形態について記載したが、上述した実施形態のうちの任意ものからの任意の特徴および/または構成要素の組合せを有する他の実施形態が可能である。
【0159】
上述した方法および/または事象が一定の順序で起こるいくつかの事象および/または手順を示す場合、いくつかの事象および/または手順の順序を変更することができる。さらに、いくつかの事象および/または手順は、可能な場合には並列プロセスで同時に実施することができるとともに、上述したように逐次実施することができる。