IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ YKK AP株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-建具用排水装置及び建具 図1
  • 特許-建具用排水装置及び建具 図2
  • 特許-建具用排水装置及び建具 図3
  • 特許-建具用排水装置及び建具 図4
  • 特許-建具用排水装置及び建具 図5
  • 特許-建具用排水装置及び建具 図6
  • 特許-建具用排水装置及び建具 図7
  • 特許-建具用排水装置及び建具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】建具用排水装置及び建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/14 20060101AFI20220720BHJP
   E06B 1/04 20060101ALI20220720BHJP
   E06B 1/70 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
E06B7/14
E06B1/04 Z
E06B1/70 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019006102
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2020114964
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大輔
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-044892(JP,U)
【文献】実開昭55-150191(JP,U)
【文献】実開昭50-121529(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/04
E06B 1/70
E06B 7/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠に設けられた排水孔に装着されるケースと、
前記排水孔を開閉する状態で支持軸部を介して前記ケースに回転可能に配設された弁体と
を備える建具用排水装置であって、
前記ケースには、前記支持軸部を回転可能に支持する軸受部が設けられ、前記軸受部は、前記支持軸部の端面に対向する部分が遮風壁部によって覆われており、
前記ケース及び前記弁体の少なくとも一方には、前記排水孔が閉じられている際に他方に接触することにより前記支持軸部の外周面と前記ケースとの間の隙間を通じた前記枠の中空部と外部との連通を遮断する遮断部材が設けられていることを特徴とする建具用排水装置。
【請求項2】
前記軸受部は、前記枠の中空部側に位置する部分が当接突出部によって覆われていることを特徴とする請求項1に記載の建具用排水装置。
【請求項3】
前記遮断部材が前記ケースに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具用排水装置。
【請求項4】
下枠の室外に臨む部分に排水孔が設けられ、前記排水孔に請求項1~請求項3のいずれか一つに記載した建具用排水装置が装着されていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠に設けられた排水孔に装着される建具用排水装置及び建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建具には、枠の中空部に浸入した雨水等の水を外部に排出するための排水孔が設けられているものがある。通常、この排水孔には、枠の中空部に異物が進入するのを防止するとともに、外気が進入するのを防止するため、排水装置が装着されている。この種の排水装置としては、排水孔に装着されるケースと、支持軸部を介してケースに回転可能に配設された弁体とを備えるものが提供されている。支持軸部は、弁体の上部において水平方向に延在したもので、その両端部がケースに設けられた軸受孔の内部に配設されている。この排水装置では、枠の中空部に水が貯留されると、貯留された水によって弁体が押し開かれ、排水孔を通じて外部に排水されることになる(例えば、特許文献1もしくは特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-87567号公報
【文献】特開2016-148207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常の建具には、室内側に浸入した水を枠の中空部に導入するため、枠の室内側に位置する部分に水抜き孔が設けられている場合が多い。つまり、枠の中空部と室内空間とは、互いに連通された状態にあるため、排水装置を通じて外気が進入すると、進入した外気がそのまま室内空間に到達することになる。このため、建具の気密性能や断熱性能を考慮した場合には、枠の排水孔に装着される建具用排水装置に対して、枠の中空部へ外気が進入する事態を如何に防止できるかが重要な課題となる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、枠の中空部へ外気が進入する事態をより確実に防止することのできる建具用排水装置及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具用排水装置は、枠に設けられた排水孔に装着されるケースと、前記排水孔を開閉する状態で支持軸部を介して前記ケースに回転可能に配設された弁体とを備える建具用排水装置であって、前記ケースには、前記支持軸部を回転可能に支持する軸受部が設けられ、前記軸受部は、前記支持軸部の端面に対向する部分が遮風壁部によって覆われており、前記ケース及び前記弁体の少なくとも一方には、前記排水孔が閉じられている際に他方に接触することにより前記支持軸部の外周面と前記ケースとの間の隙間を通じた前記枠の中空部と外部との連通を遮断する遮断部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る建具は、下枠の室外に臨む部分に排水孔が設けられ、前記排水孔に上述した建具用排水装置が装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軸受部において支持軸部の端面に対向する部分が遮風壁部によって覆われているため、支持軸部の軸方向に沿って外気が枠の中空部に進入するおそれがなくなり、適用する建具の気密性能や断熱性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態である排水装置を適用した建具の下枠部分を示す縦断面図である。
図2図1に示した建具の下枠を示す要部拡大縦断面図である。
図3図1に示した建具の下枠をさらに拡大して示す要部縦断面図である。
図4図1に示した建具に適用する排水装置の分解斜視図である。
図5図4に示した排水装置において弁体を省略したケースを示すもので、(a)は室外側から見た斜視図、(b)は室内側(中空部側)から見た斜視図、(c)は室外側から見た正面図である。
図6図4に示した排水装置の分解縦断面図である。
図7図4に示した排水装置の縦断面図である。
図8図7におけるZ-Z線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具用排水装置及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である排水装置を適用した建具の要部を示すものである。ここで例示する建具は、室内側の内障子1Aと、室外側の外障子1Bとを備えた引き違い窓と称されるものである。本実施の形態では、特に外障子1Bよりも室外側となる部分に網戸1Cを備えた引き違い窓を例示している。しかしながら、本発明は必ずしも網戸1Cが設けられている必要はなく、また片引き窓やすべり出し窓等、その他の可動障子を備えた建具に適用することが可能であり、さらにFIX窓を備える建具にも適用することは可能である。
【0011】
枠体の下縁を構成する下枠(枠)10は、樹脂によって成形した押し出し形材であり、内部に中空部11を有している。中空部11は、上方の上壁部10a、下方の底壁部10b、室内側に配置される内壁部10c及び室外側に配置される外壁部10dによって囲まれる中空の空間である。中空部11の内部適宜箇所には、上壁部10a及び底壁部10bの間を連結する補強リブ10eが下枠10の長手に沿って設けてある。
【0012】
下枠10の上面には、互いに平行となる3本のガイドレール11A,11B,11Cが設けてある。ガイドレール11A,11B,11Cは、内障子1A、外障子1B及び網戸1Cをそれぞれ下枠10の長手に沿って案内するもので、上壁部10aの上面から鉛直方向に沿って上方に突出している。以下では便宜上、3本のガイドレール11A,11B,11Cを区別する場合、内障子1Aのガイドレールを内レール11A、外障子1Bのガイドレールの外レール11B、網戸1Cのガイドレールを網戸レール11Cと称することとする。
【0013】
図1図3に示すように、下枠10には、排水孔12及び水抜き孔13が設けてある。排水孔12は、下枠10の外壁部10dを見込み方向に貫通する切欠であり、外壁部10dの下方となる部分に形成してある。図には明示していないが、本実施の形態では、室外側から見た場合に横長の矩形状を成すように排水孔12が設けてある。
【0014】
ここで、見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。また、本実施の形態では便宜上、見付け方向という用語も用いる。見付け方向とは、下枠10等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。図には示していないが、縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0015】
水抜き孔13は、下枠10の上壁部10aを上下方向に貫通する切欠であり、室内空間となる部分に開口するように形成してある。室内空間とは、閉じた位置に配置される内障子1A及び外障子1Bよりも室内側に位置する部分である。つまり、内障子1Aが配置される部分においては内レール11Aよりも室内側が室内空間であり、外障子1Bが配置される部分においては外レール11Bよりも室内側が室内空間となる。図からも明らかなように、補強リブ10eには、水抜き孔13と排水孔12との間を連通するように連通孔14が適宜箇所に設けてある。
【0016】
下枠10の排水孔12には、排水装置20が装着してある。排水装置20は、排水孔12を開放した状態と閉塞した状態とに切り換えるためのもので、図4図8に示すように、弁体21と、弁体21を収容するケース22とを備えて構成してある。
【0017】
弁体21は、円柱状を成す支持軸部21aと、支持軸部21aの外周面から径方向に延在した弁本体21bとを一体に成形したものである。図からも明らかなように、弁本体21bは、外形が略矩形の板状を成すもので、支持軸部21aに近接した部分よりも支持軸部21aから離隔した部分が肉厚となるように構成してある。支持軸部21aは、軸方向に沿った寸法が弁本体21bの左右方向に沿った寸法よりも大きく構成してあり、弁本体21bの両端面からそれぞれ同じ寸法だけ突出している。弁本体21bにおいて室内側に対向する面は、後述する側方弁座23に対応する部分が平坦となるように構成してある。弁本体21bにおいて側方弁座23を超える先端縁部分は、室内側に向けてわずかに屈曲した下方対向面21b1を構成している。
【0018】
ケース22は、排水孔12に挿入される挿入体221と、排水孔12の周囲において下枠10の室外に臨む見付け面に当接するカバー体222とを有したものである。これら挿入体221及びカバー体222の中央部には、見込み方向に沿って排水通路223が貫通している。本実施の形態では、挿入体221及びカバー体222を樹脂によって一体に成形したケース22を例示している。
【0019】
挿入体221は、排水孔12の上縁に沿って配置される上縁部221aと、排水孔12の左右両側縁に沿って配置される2つの側縁部221bとを有して構成してある。挿入体221の下縁となる部分は、排水孔12に挿入した際に下枠10の外壁部10dを位置させるために開放してある。上縁部221a及び2つの側縁部221bには、それぞれの外周となる部分に係合片224が設けてある。これらの係合片224は、挿入体221が室外側から下枠10の排水孔12に挿入された場合に外壁部10dの内面に係合することにより、外壁部10dからの脱落を制限するものである。本実施の形態では、上縁部221aに2つ係合片224が設けてあり、側縁部221bにそれぞれ1つずつ係合片224が設けてある。このうち、左右の係合片224は、弾性的に内方に撓めることが可能である。従って、左右の係合片224を内方に撓めれば、外壁部10dとの係合状態が解除されるため、排水孔12から挿入体221を引き抜くことが可能となる。2つの側縁部221bの相互間隔は、弁本体21bの左右方向に沿った寸法よりも大きく構成してある。
【0020】
カバー体222は、上カバー部222a、下カバー部222b及び左右の縦カバー部222cを有した矩形の枠状を成すもので、排水孔12よりも大きな外形寸法を有するように構成してある。これら上カバー部222a、下カバー部222b及び左右の縦カバー部222cにおいて下枠10の見付け面に対向する部分には、同一の平面上に位置するように当接面225が構成してある。図からも明らかなように、カバー体222における縦カバー部222cの相互間隔は、2つの側縁部221bの相互間隔と同一の寸法となるように構成してある。下カバー部222bは、その上面が挿入体221における側縁部221bの下端よりも下方に位置するように構成してある。このケース22には、左右の側方弁座23、左右の軸受部24、上方の遮断部材25が設けてある。
【0021】
側方弁座23は、排水通路223の内部に弁本体21bを配置した場合に、弁本体21bの両側縁部221bに当接する部分であり、2つの側縁部221bから排水通路223に突出するように設けてある。図からも明らかなように、本実施の形態では、下方に向かうに従って漸次室外側となるように傾斜した側方弁座23を設けるようにしている。側方弁座23の下方部には、当接面225と同一の平面上となる鉛直対向面23aが構成してある。
【0022】
軸受部24は、側方弁座23に対して弁本体21bを当接させた場合に弁体21における支持軸部21aの両端部が収容される部分である。本実施の形態では、縦カバー部222cの内面から側縁部221bの内面にわたる部分の上方部に見込み方向に延在する軸受溝24Gを形成することにより、その室内側に位置する端部に軸受部24を構成するようにしている。軸受溝24Gは、室内側に位置する部分が支持軸部21aの外径よりもわずかに大きな一定の幅を有する一方、室外側に位置する部分が室外に向けて漸次幅が増大するように構成してある。軸受溝24Gの室外側に位置する端部は、見込み方向に沿って開放している。軸受溝24Gの室内側に位置する端部は、側縁部221bから突出するように設けた当接突出部24aによって閉塞してある。すなわち、軸受部24を構成する軸受溝24Gは、排水通路223に対向する内面及び室外側に位置する端部のみが開放したものであり、室内側に位置する端部が当接突出部24aによって閉塞され、かつ支持軸部21aの端面に対向する部分が、軸受溝24Gの内底面である遮風壁部24bによって閉塞された状態にある。遮風壁部24bの相互間隔は、支持軸部21aの両端面が同時に遮風壁部24bに当接することがないように、支持軸部21aの全長よりもわずかに大きくなるように設定してある。
【0023】
遮断部材25は、上縁部221aから下方に向けて突出した部分であり、両側の側縁部221bの間にわたって形成してある。この遮断部材25は、下縁部が室外に向けて突出しており、軸受部24に弁体21の支持軸部21aを配置した場合に下縁部を介して支持軸部21aの外周面に当接することが可能である。なお、図中の符号26は、弁体21の支持軸部21aが軸受部24に配置された場合に支持軸部21aの室外側に位置する外周面に対向する脱落防止突起である。本実施の形態では、支持軸部21aの2箇所に対向するように2つの脱落防止突起26が設けてある。上述した遮断部材25は、支持軸部21aの全長にわたって当接することが好ましい。しかしながら、脱落防止突起26がアンダーカットとなるため、成形上の理由により、図示の例では脱落防止突起26に対応する部分については遮断部材25が設けられていない。
【0024】
上記のように構成した排水装置20では、ケース22の軸受部24に弁体21の支持軸部21aを配置すると、すなわち、室外側から挿入した弁体21の支持軸部21aを軸受溝24Gの室内側に位置する端部に配置すると、軸受溝24Gの下方に位置する内側面24Ga及び当接突出部24aに対して支持軸部21aの外周面が当接することにより、支持軸部21aの軸心を中心として弁本体21bが回転可能に支持される。このとき、軸受部24を構成する軸受溝24Gの幅が支持軸部21aの外径よりも大きく構成してあるため、ケース22に対する弁体21の良好な回転動作性を確保することができる。従って、排水装置20を下枠10に装着した姿勢に配置すれば、弁体21は、自重によって弁本体21bの両側縁部221bが側方弁座23に当接した状態に維持されることになる。
【0025】
この排水装置20を下枠10の排水孔12に装着すべく、挿入体221を排水孔12に挿入すると、カバー体222の当接面225が下枠10の外壁部10dに当接した状態で係合片224が係合し、下枠10からの脱落が制限される。排水装置20が装着された下枠10においては、排水孔12の開口周縁部がカバー体222によって覆われた状態となり、排水孔12の開口端面が外部から視認されるおそれがなくなるため、外観品質の点で有利となる。
【0026】
またこのとき、図3に示すように、挿入体221における側縁部221bの下面に対して排水孔12の下縁に位置する開口端面が当接するため、下枠10の外壁部10dにおいて排水孔12よりも下方に位置する部分が下カバー部222bの上面を超えて上方に突出し、弁本体21bの下方対向面21b1に対して近接した状態で対向することになる。つまり、排水装置20を装着した下枠10においては、弁体21が閉じた状態にある場合、弁本体21bの両側縁部221bが側方弁座23に当接し、かつ弁本体21bの下方対向面21b1が鉛直対向面23a及び外壁部10dに対して近接して対向配置されることになり、弁本体21bとケース22との間において室外側から室内側へ連通する隙間がほぼゼロとなる。一方、支持軸部21aに対しては、軸受部24において軸受溝24Gの下方に位置する内側面24Ga及び室内側に位置する当接突出部24aが当接するため、加えて軸受溝24Gにおいて支持軸部21aの端面に対向する部分が遮風壁部24bによって覆われているため、支持軸部21aと軸受部24との間において室外側から室内側へ連通する隙間もほぼゼロとなる。これらの結果、排水装置20を通じて外気が下枠10の中空部11に進入する事態が防止され、中空部11から水抜き孔13を通じて室内に外気が進入する事態を招来するおそれもなくなる。
【0027】
因に、雨水等の水が障子1A,1Bを超えて室内空間に浸入したとしても、浸入した水が下枠10に到達した時点で水抜き孔13から中空部11へ排出されることになる。さらに下枠10の中空部11へ排出された水は、補強リブ10eに設けた連通孔14を通じて順次室外側に移動する。その後、下枠10の中空部11に貯留された水が一定量を超えると、弁体21がその自重に抗して押し開かれることになり、排水通路223を通じて室外に排水される。水が排出された後においては、自重によって再び弁体21が閉じた状態に復帰するため、外気が進入する事態を招来するおそれはない。
【0028】
なお、上述した実施の形態では、ケース22に遮断部材25を設けるようにしているため、排水通路223の上部において支持軸部21aの外周面とケース22との隙間を介して室外側から室内側へ外気が進入する事態をも確実に防止することが可能である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、遮断部材25は必ずしも設ける必要はない。遮断部材25を設ける場合に上述した実施の形態では、ケース22に設けるようにしているため、弁体21の重量が大きくならず、その回転動作性を損なうおそれがないが、弁体21に遮断部材を設けることも可能である。
【0029】
また、上述した実施の形態では、樹脂製の下枠10に排水装置20を装着する建具を例示しているが、アルミニウム合金等の金属によって成形された枠に排水装置20を装着するようにしても良い。さらに、実施の形態では、網戸レール11Cに設けられた排水孔112にも排水装置20を装着するようにしているため、外観品質の点で一層有利となるが、網戸レール11Cの排水孔112には必ずしも排水装置20を装着する必要はない。
【0030】
さらに、上述した実施の形態では、支持軸部21aの端面に対向する遮風壁部24bをケース22と一体に成形しているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば支持軸部の端面に対向する部分が開放した軸受孔を軸受部として適用する場合には、軸受孔に支持軸部を配置した後、蓋状の遮風壁部によって軸受孔の開口を閉塞するようにしても良い。この場合には、軸受孔を貫通するように支持軸部を挿入することでケースに弁体を配設することが可能となるため、軸受溝を設ける必要はない。
【0031】
以上のように、本発明に係る建具用排水装置は、枠に設けられた排水孔に装着されるケースと、前記排水孔を開閉する状態で支持軸部を介して前記ケースに回転可能に配設された弁体とを備える建具用排水装置であって、前記ケースには、前記支持軸部を回転可能に支持する軸受部が設けられ、前記軸受部は、前記支持軸部の端面に対向する部分が遮風壁部によって覆われていることを特徴としている。
【0032】
この発明によれば、軸受部において支持軸部の端面に対向する部分が遮風壁部によって覆われているため、支持軸部の軸方向に沿って外気が枠の中空部に進入するおそれがなくなる。
【0033】
また本発明は、上述した建具用排水装置において、前記軸受部は、前記枠の中空部側に位置する部分が当接突出部によって覆われていることを特徴としている。
【0034】
この発明によれば、軸受部において枠の中空部側に位置する部分が当接突出部によって覆われているため、軸受部を通じて枠の中空部に外気が進入することがない。
【0035】
また本発明は、上述した建具用排水装置において、前記ケース及び前記弁体の少なくとも一方には、前記排水孔が閉じられている際に他方に接触することにより前記支持軸部の外周面と前記ケースとの間の隙間を通じた前記枠の中空部と外部との連通を遮断する遮断部材が設けられていることを特徴としている。
【0036】
この発明によれば、支持軸部の外周面とケースとの隙間を通じた外気の進入が抑えられる。なお、遮断部材は、弁体が開いたときに他方に対して離隔している必要はなく、常時接触するように設けても良い。
【0037】
また本発明は、上述した建具用排水装置において、前記遮断部材が前記ケースに設けられていることを特徴としている。
【0038】
この発明によれば、弁体の重量が増大することがなく、弁体の開閉動作に影響を及ぼすおそれがない。
【0039】
また、本発明に係る建具は、下枠の室外に臨む部分に排水孔が設けられ、前記排水孔に上述した建具用排水装置が装着されていることを特徴としている。
【0040】
この発明によれば、軸受部において支持軸部の端面に対向する部分が遮風壁部によって覆われているため、支持軸部の軸方向に沿って外気が枠の中空部に進入するおそれがなくなり、室内へ外気が進入する事態を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
10 下枠、11 中空部、12 排水孔、20 排水装置、21 弁体、21a 支持軸部、21b 弁本体、22 ケース、24 軸受部、24a 当接突出部、24b 遮風壁部、25 遮断部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8