(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】箱型荷台の荷室構造
(51)【国際特許分類】
B62D 33/04 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
B62D33/04 F
(21)【出願番号】P 2019011636
(22)【出願日】2019-01-25
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2018122615
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正雄
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03875871(US,A)
【文献】実開平05-028791(JP,U)
【文献】特開2002-308583(JP,A)
【文献】実公昭50-013620(JP,Y1)
【文献】特開2012-162188(JP,A)
【文献】特開2012-106550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/04
B60R 7/06
E05B 85/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型荷台の庫内で、
車幅方向の一方側に設けられた第一棚板と、
車幅方向の他方側に設けられ前記第一棚板と同じ高さで対向する第二棚板と、
前記第一棚板と前記第二棚板とを連結する連結スライド部材とを備え、
前記連結スライド部材は、前記第一棚板に出没自在に設けられ、前記連結スライド部材の先端部が前記第二棚板に挿入され、
前記第一棚板は、前記連結スライド部材を車幅方向にスライド可能に支持する第一支持回転体と、前記連結スライド部材を車幅方向にスライドさせるリンク機構とを備え、
前記第二棚板は、前記連結スライド部材の先端部を車幅方向にスライド可能に支持する第二支持回転体を備え、
前記リンク機構は、前記連結スライド部材をスライドさせる際に使用されるスライド操作ハンドルを備え、
前記連結スライド部材および前記リンク機構は、前記第一棚板の前後両端部にそれぞれ設けられており、
前記第一棚板は、前後の前記連結スライド部材同士または前記リンク機構同士を連結する連結部材をさらに備えている
ことを特徴とする箱型荷台の荷室構造。
【請求項2】
箱型荷台の庫内で、
車幅方向の一方側に設けられた第一棚板と、
車幅方向の他方側に設けられ前記第一棚板と同じ高さで対向する第二棚板と、
前記第一棚板と前記第二棚板とを連結する連結スライド部材とを備え、
前記連結スライド部材は、前記第一棚板に出没自在に設けられ、前記連結スライド部材の先端部が前記第二棚板に挿入され、
前記第一棚板は、前記連結スライド部材を車幅方向にスライド可能に支持する第一支持回転体を備え、
前記第二棚板は、前記連結スライド部材の先端部を車幅方向にスライド可能に支持する第二支持回転体を備え、
前記連結スライド部材には、車幅方向に沿って延在するラックが設けられており、
前記第一棚板には、前記ラックを移動させるピニオンギヤが設けられている
ことを特徴とする箱型荷台の荷室構造。
【請求項3】
前記第一棚板は、前記箱型荷台の一方の側壁に取り付けられ、
前記第二棚板は、前記箱型荷台の他方の側壁に取り付けられ、
前記第一棚板および前記第二棚板は、それぞれ使用位置と収納位置との間で回動可能である
ことを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の箱型荷台の荷室構造。
【請求項4】
前記第一棚板は、当該第一棚板を前記使用位置で水平状態に保持するための位置決め緩衝材をさらに備え、
前記第二棚板は、当該第二棚板を前記使用位置で水平状態に保持するための位置決め緩衝材をさらに備えている
ことを特徴とする
請求項3に記載の箱型荷台の荷室構造。
【請求項5】
前記連結スライド部材には、当該連結スライド部材をスライドさせるためのスライド操作ハンドルが設けられている
ことを特徴とする
請求項2に記載の箱型荷台の荷室構造。
【請求項6】
前記第一棚板には、前記ラックを移動可能に吊り下げ支持するラックガイドが設けられている
ことを特徴とする
請求項2または
請求項5に記載の箱型荷台の荷室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱型荷台の荷室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやトレーラなどの運搬車両に用いられる箱型荷台において、自転車等の積み上げ不能な荷物を積載するために、二段の荷台面を要求される場合があった。二段の荷台面の構造としては、たとえば特許文献1に示すような荷室構造があった。この荷室構造では、箱型荷台の左右両側の側壁の内側に棚板が傾動可能に取り付けられている。棚板は、箱型荷台の前部から後部にかけて多数設けられている。棚板を水平に倒すとともに、倒した棚板の先端部を支持脚で支持することで、所定高さの位置に荷台面が形成される。その他には、棚板の先端部と側壁の上部とに吊ワイヤを架け渡す構成の荷室構造もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の荷室構造では、荷室内に支持脚や吊ワイヤが設けられるため、荷室空間に障害物が発生し、荷室空間が狭くなるとともに、荷の積込み作業が行い難くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、荷室空間を狭くさせることなく、効率的な積込み作業を行うことができる箱型荷台の荷室構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、箱型荷台の庫内で、車幅方向の一方側に設けられた第一棚板と、車幅方向の他方側に設けられ前記第一棚板と同じ高さで対向する第二棚板と、前記第一棚板と前記第二棚板とを連結する連結スライド部材とを備え、前記連結スライド部材は、前記第一棚板に出没自在に設けられ、前記連結スライド部材の先端部が前記第二棚板に挿入され、前記第一棚板は、前記連結スライド部材を車幅方向にスライド可能に支持する第一支持回転体と、前記連結スライド部材を車幅方向にスライドさせるリンク機構とを備え、前記第二棚板は、前記連結スライド部材の先端部を車幅方向にスライド可能に支持する第二支持回転体を備え、前記リンク機構は、前記連結スライド部材をスライドさせる際に使用されるスライド操作ハンドルを備え、前記連結スライド部材および前記リンク機構は、前記第一棚板の前後両端部にそれぞれ設けられており、前記第一棚板は、前後の前記連結スライド部材同士または前記リンク機構同士を連結する連結部材をさらに備えていることを特徴とする箱型荷台の荷室構造である。
【0007】
本発明に係る箱型荷台の荷室構造によれば、第一棚板と第二棚板とを連結スライド部材で一体化できるので、支持脚や吊ワイヤを設けることなく、荷台面を形成することができる。これによって、荷室空間に障害物が発生しない。したがって、荷室空間が狭くなることを防止できるとともに、効率的な積込み作業を行うことができる。また、連結スライド部材のガタツキを抑制しつつ、連結スライド部材をスライドさせることができる。よって、水平精度が高い状態で第一棚板と第二棚板とを連結することができる。さらに、リンク機構を用いて小さい力で容易に連結スライド部材をスライドさせることができる。また、第一棚板と第二棚板とを前後二ヶ所で連結できるので、連結部分の剛性が大きくなる。さらに、一方の連結スライド部材をスライドさせると他方の連結スライド部材もスライドするので、連結作業が簡素になる。
前記課題を解決するための第二の本発明は、箱型荷台の庫内で、車幅方向の一方側に設けられた第一棚板と、車幅方向の他方側に設けられ前記第一棚板と同じ高さで対向する第二棚板と、前記第一棚板と前記第二棚板とを連結する連結スライド部材とを備え、前記連結スライド部材は、前記第一棚板に出没自在に設けられ、前記連結スライド部材の先端部が前記第二棚板に挿入される前記第一棚板は、前記連結スライド部材を車幅方向にスライド可能に支持する第一支持回転体を備え、前記第二棚板は、前記連結スライド部材の先端部を車幅方向にスライド可能に支持する第二支持回転体を備え、前記連結スライド部材には、車幅方向に沿って延在するラックが設けられており、前記第一棚板には、前記ラックを移動させるピニオンギヤが設けられていることを特徴とする箱型荷台の荷室構造である。
前記箱型荷台の荷室構造によれば、第一棚板と第二棚板とを連結スライド部材で一体化できるので、支持脚や吊ワイヤを設けることなく、荷台面を形成することができる。これによって、荷室空間に障害物が発生しない。したがって、荷室空間が狭くなることを防止できるとともに、効率的な積込み作業を行うことができる。また、連結スライド部材のガタツキを抑制しつつ、連結スライド部材をスライドさせることができる。よって、水平精度が高い状態で第一棚板と第二棚板とを連結することができる。さらに、ピニオンラック機構を用いて容易に連結スライド部材を直線状にスライドさせることができる。
【0008】
本発明の箱型荷台の荷室構造では、前記第一棚板は、前記箱型荷台の一方の側壁に取り付けられ、前記第二棚板は、前記箱型荷台の他方の側壁に取り付けられ、前記第一棚板および前記第二棚板は、それぞれ使用位置と収納位置との間で回動可能であるものが好ましい。このような構成によれば、第一棚板と第二棚板を収納位置に収納している場合には、背の高い荷物も積載することができる。つまり、積載する荷物の形状に応じて使用形態を選択することができる。
【0012】
さらに、本発明の箱型荷台の荷室構造では、前記第一棚板は、当該第一棚板を前記使用位置で水平状態に保持するための位置決め緩衝材をさらに備え、前記第二棚板は、当該第二棚板を前記使用位置で水平状態に保持するための位置決め緩衝材をさらに備えているものが好ましい。このような構成によれば、第一棚板と第二棚板とが互いに水平な状態で連結スライド部材のスライドを行うことができるので、連結スライド部材が第二棚板に干渉するのを防止できる。また、走行時の第一棚板および第二棚板の振動を位置決め緩衝材で吸収することができる。
【0014】
さらに、本発明の箱型荷台の荷室構造では、前記スライド部材には、当該連結スライド部材をスライドさせるためのスライド操作ハンドルが設けられているものが好ましい。このような構成によれば、スライド部材のスライドを行い易い。
【0015】
また、本発明の箱型荷台の荷室構造では、前記第一棚板には、前記ラックを移動可能に吊り下げ支持するラックガイドが設けられているものが好ましい。このような構成によれば、ラックの水平度を容易に確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の箱型荷台の荷室構造によれば、荷室空間に障害物が発生しない。したがって、荷室空間が狭くなることを防止できるとともに、効率的な積込み作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る箱型荷台の荷室構造の第一棚部および第二棚板を収納位置に配置した状態を示した斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る箱型荷台の荷室構造の第一棚部および第二棚板を使用位置に配置した状態を示した斜視図である。
【
図4】第一棚部および第二棚板が使用位置にある状態を示した平面図である。
【
図5】(a)は第一棚板が収納位置にある状態を示した要部拡大側面図、(b)は第一棚板が使用位置にある状態を示した要部拡大側面図である。
【
図6】第一棚部および第二棚板を示した要部拡大平面図である。
【
図7】(a)は連結スライド部材が没入位置にある状態を示した側面図、(b)は連結スライド部材がスライド途中の状態を示した断面図、(c)は連結スライド部材が突出位置にある状態を示した断面図である。
【
図8】(a)は第一棚板を示した要部拡大側面図、(b)は第二棚板を示した要部拡大側面図である。
【
図9】(a)は第一棚部および第二棚板が収納位置にある状態を示した断面図、(b)は第一棚部および第二棚板が回動途中の状態を示した断面図、(c)は第一棚部および第二棚板が使用位置にある状態を示した断面図である。
【
図10】本発明の第二実施形態に係る箱型荷台の荷室構造の第一棚部および第二棚板を示した要部拡大平面図である。
【
図11】本発明の第二実施形態に係る箱型荷台の荷室構造を示した図であって、(a)は連結スライド部材が没入位置にある状態を示した側面図、(b)は連結スライド部材が突出位置にある状態を示した断面図である。
【
図12】(a)は
図11の(b)のA-A線断面図、(b)は
図11の(b)のB-B線断面図、(c)は
図11の(b)のC-C線断面図、(d)は
図11の(b)のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、
図1に示すように、後壁2に開閉扉が設けられた後面開放型の荷台を例に挙げて説明する。なお、本実施形態において、前後左右の方向は、運転席に座った運転者からみた方向を示す。
【0019】
図1乃至
図4に示すように、本実施形態に係る箱型荷台1の荷室構造3は、箱型荷台1の庫内において、車幅方向の一方側(左側)に設けられた第一棚板11と、車幅方向の他方側(右側)に設けられた第二棚板12と、第一棚板11と第二棚板12とを連結する連結スライド部材13と、を備えている。
【0020】
第一棚板11は、箱型荷台1の一方の側壁(左側壁)4に回動可能に取り付けられている。第一棚板11は、平面視矩形形状を呈している。第一棚板11の基端部は、左側壁4に設けられた設置用レール6に回動可能に固定されている。第一棚板11は、使用位置S1と収納位置S2との間で回動する。使用位置S1は、第一棚板11が設置用レール6から幅方向中央に張り出して水平となった位置である(
図2および
図3参照)。収納位置S2は、第一棚板11が設置用レール6から垂直に立ち上がって左側壁4と平行に近接した位置である(
図1および
図3の二点鎖線部分参照)。
【0021】
第一棚板11の左右幅寸法は、箱型荷台1の内法幅寸法の半分より僅かに小さい。第一棚板11は、隣り合う第二棚板12と合わさって、左側壁4から右側壁5に亘る棚板を構成する(
図2参照)。第一棚板11は、箱型荷台1の前端部から後端部に亘って、前後に複数隣接して設けられている(
図1および
図2参照)。なお、第一棚板11の設置範囲は、本実施形態では、箱型荷台1の前端部から後端部に亘っているが、これに限定されるものではない。設置範囲は、積載する積荷に応じて設定すればよく、たとえば箱型荷台1の前方部分のみであってもよいし、中間部分或いは後方部分であってもよい。
【0022】
設置用レール6は、車体の前後方向に延在する長尺部材である。第一棚板11が設置される設置用レール6は、第一棚板11の設置領域に配置されており、左側壁4の内側面に固定されている。本実施形態では、設置用レール6は、箱型荷台1の前端部から後端部に亘って設けられている。
図5および
図6に示すように、設置用レール6は、左側壁4から内側に張り出す張出部6aを備えている。張出部6aの上面6bは水平になっている。上面6bには、垂直に立ち上がる接続ブラケット7aが設けられている。接続ブラケット7aは、上面6bに固定されたベースプレート7b上に立設されており、車幅方向に沿って広がっている。ベースプレート7bは、第一棚板11の前端部と後端部に相当する位置にそれぞれ設けられている。接続ブラケット7aは、ベースプレート7b上で前後方向に所定間隔をあけて一対ずつ配置されている。接続ブラケット7aには、第一棚板11がピン結合されている。
【0023】
一対の接続ブラケット7a,7a間には、後記するバネ部材21を支持するための連結部材7cが回転可能に設けられている。連結部材7cは、ロッド形状を呈しており、車両前後方向に延在している。連結部材7cには、バネ部材21の一端が固定されている。上面6bには、後記する位置決め緩衝材が当接するストッパ8が設けられている。ストッパ8は、第一棚板11の前端と後端に相当する位置にそれぞれ設けられている。ストッパ8は、立上板部8aと、当接板部8bとを備えて構成されている。立上板部8aは、ベースプレート7b上に立設され、車幅方向に沿って広がっている。当接板部8bは、立上板部8aの車幅方向内側端部に設けられ、車体の前後方向に沿って広がっている。立上板部8aと当接板部8bとが合わさって、平面視T字形状を呈している。
【0024】
第一棚板11は、格子状に組み合わされた板材支持フレーム(図示せず)の表側に耐水ベニヤ等からなる床板14aが貼り付けられ、裏側にアルミ合金製の板材等からなる裏板14bが貼り付けられて構成されている。床板14aおよび裏板14bは、板材支持フレームに、スクリュネジやリベット等の固定手段にて固定されている。
図3および
図4に示すように、第一棚板11には、連結スライド部材13が、スライド可能に設けられている。第一棚板11は、接続部材20と、バネ部材21と、位置決め緩衝材22と、回動操作ハンドル23と、ロック部材24と、連結スライド部材13の支持部材50と、連結スライド部材13をスライドさせるリンク機構51とを備えている。
【0025】
図5および
図6に示すように、接続部材20は、第一棚板11を設置用レール6に回動可能に接続するための部材である。接続部材20は、設置用レール6に設けられた接続ブラケット7aと平行に配置された前後一対の回動ブラケット25,25にて構成されている。回動ブラケット25は、第一棚板11の前端部と後端部において、前後方向に所定間隔をあけて一対ずつ配置されている。一対の回動ブラケット25,25は、第一棚板11に固定されており、ピン26を介して互いに接続されている。このピン26が、第一棚板11の回転中心となる。ピン26は、接続ブラケット7a,7a間で延在しており、1本のピン26で一対の接続ブラケット7a,7aと回動ブラケット25,25同士を接合している。
【0026】
バネ部材21は、第一棚板11の回動操作を補助する部材である。バネ部材21は、第一棚板11の幅方向に沿って延在している。バネ部材21は、第一棚板11の前端部と後端部において、前後方向に所定間隔をあけて2本ずつ配置されている。バネ部材21は、圧縮コイルバネ27と軸部材28とバネ力調整ナット29とを備えて構成されている。圧縮コイルバネ27の先端部(設置用レール6から離間した側の端部)に相当する位置には、バネ受プレート27aが設けられている。バネ受プレート27aは、軸部材28が挿通する挿通孔を備えた長方形形状を呈しており、第一棚板11のフレームに固定されている。バネ受プレート27aには、圧縮コイルバネ27の先端部が当接している。圧縮コイルバネ27の内側には軸部材28が挿通されている。
【0027】
軸部材28は、圧縮コイルバネ27の軸方向長さより長い。軸部材28の基端部(設置用レール6寄りの端部)は、設置用レール6の連結部材7cが接続されている。連結部材7cが回転することでバネ部材21が回動可能になっている。軸部材28の基端部には雄ネジが形成されており、雄ネジにバネ力調整ナット29が螺合されている。このバネ力調整ナット29を締め付けて圧縮コイルバネ27の長さを小さくすることによって、圧縮コイルバネ27のバネ力が大きくなる。圧縮コイルバネ27のバネ力は、バネ部材21の設置本数や第一棚板11の質量に応じて適宜設定される。バネ反力は、第一棚板11の回転中心(ピン26)周りの回転モーメントを比較して設定する。具体的には、第一棚板11が水平に対して概ね45度上方に傾斜した状態で、バネ反力に起因するモーメントと、フロア重量に起因するモーメントとが等しくなるようにバネ力を設定する。第一棚板11が45度より小さい傾斜のときは、バネ反力のモーメントがフロア質量のモーメントより大きく、第一棚板11が45度より大きい傾斜のときは、バネ反力のモーメントがフロア質量のモーメントより小さくなるのが好ましい。
【0028】
位置決め緩衝材22は、第一棚板11を使用位置S1で水平状態に保持するための部材である。位置決め緩衝材22は、第一棚板11の基端部のフレームに固定されている。位置決め緩衝材22は、第一棚板11が使用位置S1にあるときに、設置用レール6のストッパ8の当接板部8bに当接することで、第一棚板11の回動を規制し、第一棚板11を水平状態に保持する。位置決め緩衝材22は、ゴムやプラスチック等の樹脂材にて構成されている。位置決め緩衝材22は、第一棚板11の前端と後端にそれぞれ設けられている。位置決め緩衝材22は、位置調整ボルト22aを介して、第一棚板11に固定されている。位置決め緩衝材22は、第一棚板11および積荷の荷重を設置用レール6に伝達するとともに、走行時の振動を吸収する役目を果たす。
【0029】
回動操作ハンドル23は、第一棚板11の回動操作を行う際に作業者が把持するハンドルである。
図6に示すように、回動操作ハンドル23は、第一棚板11の後端部のフレーム35に回動可能に設けられている。後端部のフレーム35は断面コ字状を呈しており、上フランジ部35aとウエブ部35bと下フランジ部35cとを備えている。フレーム35の上フランジ部35aと下フランジ部35cは、外側(後方側)に向かって突出している。フレーム35の下フランジ部35cの突出寸法は、上フランジ部35aの突出寸法より小さい(
図7参照)。回動操作ハンドル23は、ウエブ部35bに取り付けられている。回動操作ハンドル23は、車幅方向に延在する向きになる格納位置と、車両の前後方向に延在する向きになる使用位置との間で回動する。格納位置では、回動操作ハンドル23は、断面コ字状のフレーム内に収容されて、第一棚板11の平面内に入っている。使用位置では、回動操作ハンドル23の先端の把持部が、第一棚板11の平面から後方に突出して、把持し易くなる。
【0030】
ロック部材24は、第一棚板11を収納位置S2において、左側壁4に係止させる部材である。
図5および
図6に示すように、ロック部材24は、第一棚板11の前端部および後端部の両方に設けられている。ロック部材24は、支持ブラケット30とロックプレート31とを備えている。支持ブラケット30は、第一棚板11のフレーム35のウエブ部35bに取り付けられている。ロックプレート31は、支持ブラケット30に回動可能に取り付けられている。ロックプレート31の先端部には、鉤部31aが形成されている。ロックプレート31の先端部は、フレーム35の外側にオフセットしており、係止時に第一棚板11の表面から突出できるようになっている(
図5の(a)参照)。ロックプレート31を回動させることで、左側壁4に設けられた受部材32に鉤部31aが係止される。受部材32は、水平方向に延在する水平ロッド32aを備えている。水平ロッド32aに鉤部31aが係止される。以上のように、ロックプレート31を受部材32に係止することで、第一棚板11が収納位置S2に固定される。第一棚板11の前端部および後端部のロックプレート31(前端部のロックプレートのみ図示)は、前後方向に延在する連結ロッド33によって連結されており、後端部のロックプレート31を回動させると、前端部のロックプレートも同期して回動するように構成されている。
【0031】
連結スライド部材13は、第一棚板11と第二棚板12とを連結する部材である。
図4に示すように、連結スライド部材13は、第一棚板11の前端部と後端部の二ヶ所にそれぞれ設けられている。
図6乃至
図8に示すように、連結スライド部材13は、上フランジ部13a、ウエブ部13bおよび下フランジ部13cを備えた断面コ字状を呈する長尺部材である。連結スライド部材13は、第一棚板11が使用位置S1にあるときに、車幅方向に延在する。連結スライド部材13は、第一棚板11内に配置されており、支持部材50を介して支持されている。連結スライド部材13は、第二棚板12に向かって出没可能である。
【0032】
連結スライド部材13の先端部の上フランジ部13aには、上フランジ部13aに直交する回転軸を有する回転体36が設けられている。回転体36は、たとえばボールベアリングにて構成されている。連結スライド部材13はフレーム35の上フランジ部35a、ウエブ部35bおよび下フランジ部35cの内側に挿入されている。フレーム35の先端部(第二棚板12部寄り先端部)には、開口部分を覆うカバー部材37が設けられている。
図8の(a)に示すように、カバー部材37は、断面L字状を呈している。カバー部材37の一端はフレーム35の下フランジ部35cの先端に突き合わされ、他端は上フランジ部35aの下面に当接している。フレーム35とカバー部材37とで矩形形状の中空部が形成されている。連結スライド部材13の上部に設けられた回転体36の外周面は、フレーム35のウエブ部35bとカバー部材37の側壁部とに近接しており、連結スライド部材13の幅方向の位置決めガイドの役目を果たしている。
【0033】
連結スライド部材13のウエブ部13bの両側には、ウエブ部13bを挟むように配置されたガイド部材38,38が設けられている。ガイド部材38,38はプレートにて構成されており、フレーム35のウエブ部35bとカバー部材37にそれぞれ固定されている。
【0034】
連結スライド部材13の上フランジ部13aの先端部の下面角部は面取りされて傾斜面15が形成されている。この傾斜面15によって、連結スライド部材13を第二棚板12に挿入する際に、後記する第二支持回転体61の上方に上フランジ部13aが案内される。連結スライド部材13の下フランジ部13cの先端部の上面角部は面取りされて傾斜面16が形成されている。この傾斜面16によって、連結スライド部材13を第二棚板12に挿入する際に、後記する第二支持回転体61の下方に下フランジ部13cが案内される。連結スライド部材13の下フランジ部13cの先端部の下面角部は面取りされて傾斜面17が形成されている。この傾斜面17によって、連結スライド部材13を第二棚板12に挿入する際に、フレーム35の下フランジ部35cの上方に下フランジ部13cが案内される。
【0035】
支持部材50は、第一棚板11の前端部および後端部のフレーム35のウエブ部35bに取り付けられている。支持部材50は、たとえばボールベアリングからなる第一支持回転体52にて構成されている。第一支持回転体52は、車体前後方向に延在する回転軸を有し、連結スライド部材13の上フランジ部13aと下フランジ部13cとの間に設けられている。第一支持回転体52上には、上フランジ部13aが載置されている。第一支持回転体52は、第一棚板11の幅方向に間隔をあけて複数(本実施形態では二つ)設けられている。第一支持回転体52は、連結スライド部材13が第一棚板11内に収容された際に、連結スライド部材13の先端部の位置と、中間部の位置の二ヶ所に配置されている。二つの第一支持回転体52,52は、第一棚板11が使用位置S1にあるときに、同じ高さに配置されている。
【0036】
リンク機構51は、連結スライド部材13をスライドさせて、第一棚板11から出没させるためのものである。リンク機構51は、第一棚板11の前端部および後端部のフレーム35に取り付けられている。リンク機構51は、リンクアーム53とリンクロッド54と固定部材56とを備えて構成されている。リンクアーム53は、第一棚板11側に取り付けられる部材である。リンクアーム53の基端部は、フレームに回動可能に取り付けられている。
【0037】
リンクアーム53の先端部近傍には、スライド操作ハンドル55と固定部材56と連結部材57が設けられている。
【0038】
スライド操作ハンドル55は、連結スライド部材13のスライド操作を行う際に作業者が把持するハンドルである。スライド操作ハンドル55は、第一棚板11の後端部のリンクアーム53のみに取り付けられている。スライド操作ハンドル55は、車幅方向に延在する向きになる格納位置と、車両の前後方向に延在する向きになる使用位置との間で回動する。使用位置では、スライド操作ハンドル55が車両前後方向に延在して把持し易くなる。スライド操作ハンドル55は、格納位置でも第一棚板11の平面から若干後方に突出しているが、隣り合う第一棚板11の後端部のフレーム35の下フランジ部35cの突出寸法が小さいので、スライド操作ハンドル55とフレーム35は干渉しない。
【0039】
固定部材56は、リンク機構51が連結スライド部材13を第一棚板11から突出させた状態にあるときに、リンクアーム53を第一棚板11に固定する。固定部材56は、磁石にて構成されており、リンクアーム53が連結スライド部材13側に回動した際に、フレームの上面に設置されたプレート58に磁着する。これによって、リンクアーム53が第一棚板11に固定される(
図9の(c)参照)。
【0040】
前端部のリンクアーム53と後端部のリンクアーム53は、連結部材57を介して連結されている。連結部材57は、ロッド形状を呈しており、リンクアーム53の先端部同士に架け渡されている。前後のリンクアーム53同士を連結することで、後端部のリンクアーム53を回動させると、前端部のリンクアーム53も連動するようになっている。これによって、第一棚板11の後方からリンク機構51の回動作業を行うだけで、前後両方の連結スライド部材13を同時にスライドさせることができる。
【0041】
リンクロッド54は、連結スライド部材13側に取り付けられる部材である。リンクロッド54の基端部は、リンクアーム53の先端部に回動可能に取り付けられている。リンクロッド54の先端部は、連結スライド部材13の基端部に回動可能に取り付けられている。
【0042】
以上のような構成のリンク機構51では、連結スライド部材13が第一棚板11内に没入している際には、
図9の(a)に示すように、リンクアーム53が第一棚板11の基端側に向いて、リンクアーム53とリンクロッド54が折り畳まれている。連結スライド部材13を突出させる際には、
図9の(b)に示すように、スライド操作ハンドル55を持ってリンクアーム53を下側から連結スライド部材13側に回動させる。すると、リンクロッド54が第一棚板11の先端側に押されて連結スライド部材13が第二棚板12側へ突出する。連結スライド部材13が第一棚板11から突出した状態では、
図9の(c)に示すように、リンクアーム53が第一棚板11の先端側に向いて、リンクアーム53とリンクロッド54が伸びた状態になっている。このとき固定部材56がプレート58に磁着して、リンクアーム53が第一棚板11に固定されている。なお、固定部材56は、磁石であるので、所定以上の力で、リンクアーム53を基端側に回動させると、プレート58から外れて、リンクアーム53の固定が解除される。
【0043】
第二棚板12は、箱型荷台1の他方の側壁(右側壁)5に回動可能に取り付けられている。第二棚板12は、第一棚板11と左右対称の平面視矩形形状を呈している。第二棚板12の基端部は、右側壁5に設けられた設置用レール6に回動可能に固定されている。右側壁5に設けられた設置用レール6は、左側壁4に設けられた設置用レール6と左右対称の形状である。第二棚板12は、第一棚板11と同様に、使用位置S1と収納位置S2との間で回動する。
【0044】
第二棚板12は、接続部材20と、バネ部材21と、位置決め緩衝材22と、回動操作ハンドル23と、ロック部材24と、連結スライド部材13の先端部を支持する支持部材60とを備えている。
【0045】
接続部材20と、バネ部材21と、位置決め緩衝材22と、回動操作ハンドル23と、ロック部材24は、第一棚板11に設けられたものと左右対称の形状であって、基本構成は同じである。
【0046】
支持部材60は、第一棚板11から突出した連結スライド部材13の先端部を支持する部材である。支持部材60は、たとえばボールベアリングからなる第二支持回転体61にて構成されている。第二支持回転体61は、第一支持回転体52と同様の構成である。第二支持回転体61は、第二棚板12のフレーム35の先端部(第一棚板11寄りの先端部)と、第二棚板12の基端寄り部分(挿入された連結スライド部材13の先端部に相当する部分)の二ヶ所に設けられている。第二支持回転体61は、第一棚板11と第二棚板12が使用位置S1に配置されたときに、第一支持回転体52と同じ高さになる。第二支持回転体61には、挿入された連結スライド部材13の上フランジ部13aが載置される。そして、第二支持回転体61が回転することで、連結スライド部材13がスライドする。
【0047】
連結スライド部材13がスライドする範囲(二つの第二支持回転体61,61を含む範囲)には、フレーム35の開口部分を覆うカバー部材37が設けられている。
図8の(b)に示すように、フレーム35とカバー部材37とで矩形形状の中空部が形成されている。連結スライド部材13が第二棚板12に挿入された際に、連結スライド部材13の上部に設けられた回転体36が、連結スライド部材13の幅方向の位置決めガイドの役目を果たす。
【0048】
以下、本実施形態に係る箱型荷台1の荷室構造3において、
図9の(a)に示すように、収納位置S2にある第一棚板11および第二棚板12を、使用位置S1に回動させて一体化する手順を説明しながら、荷室構造3の作用効果を説明する。
【0049】
図9の(b)に示すように、第一棚板11を使用位置S1に回動させる。第一棚板11を回動するに際しては、ます、ロック部材24のロックプレート31を回動させて、鉤部31aの水平ロッド32aへの係止を解除する。このとき、前後のロックプレート31,31は連結ロッド33にて連結されているので、一方(後方)のロックプレート31を回動させるだけで、両方のロック部材24のロックを解除できる。
【0050】
次に、回動操作ハンドル23を、車両の後方に延在する向きに起こして使用位置にし、回動操作ハンドル23を把持して第一棚板11を回動させる。このとき、バネ部材21によって、第一棚板11の回動操作が補助されているので、比較的軽く第一棚板11を回動することができる。
【0051】
第一棚板11が水平になり、使用位置S1になると、位置決め緩衝材22が、設置用レール6のストッパ8の当接板部8bに当接し、第一棚板11が水平状態に保持される。位置決め緩衝材22によって、走行時の振動を吸収することもできる。
【0052】
次に、第二棚板12も同様の手順で使用位置S1に回動させる。
図9の(c)に示すように、第一棚板11と第二棚板12が同じ高さで対向する。
【0053】
その後、
図7に示すように、リンク機構51を用いて、連結スライド部材13をスライドさせる。連結スライド部材13をスライドさせるに際しては、スライド操作ハンドル55を、車両の後方に延在する向きに起こして使用位置にし、スライド操作ハンドル55を把持して第一棚板11を回動させる。このとき、前後のリンクアーム53,53は連結部材57にて連結されているので、一方(後方)のリンクアーム53を回動させるだけで、両方の連結スライド部材13,13をスライドさせることができる。また、連結スライド部材13はボールベアリングからなる第一支持回転体52にて支持されているので、連結スライド部材13のガタツキを抑制しつつ小さい力でスライドさせることができるとともに、連結スライド部材13の水平精度を高くできる。
【0054】
連結スライド部材13がスライドすると、その先端部が第二棚板12に挿入される。連結スライド部材13の先端部には、傾斜面15,16,17が形成されているので、連結スライド部材13が、第二支持回転体61やフレーム35と衝突することなく、所望の位置に案内される。また、第二棚板12内では、連結スライド部材13はボールベアリングからなる第二支持回転体61にて支持されているので、連結スライド部材13のガタツキを抑制しつつ小さい力でスライドさせることができるとともに、連結スライド部材13の水平精度を高くできる。リンクアーム53は、固定部材56によって、所定位置に磁着されるので、連結スライド部材13を所定の位置に固定することができる。
【0055】
これによって、第一棚板11と第二棚板12とが連結スライド部材13で一体化される。特に、連結スライド部材13は、第一棚板11および第二棚板12の前後に設けられているので、一体化された棚板の剛性を大きくできる。また、第一棚板11と第二棚板12は、連結スライド部材13で一体化されるので、左側壁4および右側壁5の設置用レール6には、主に棚板と積荷の荷重がかかるのみである。したがって、従来の支持脚や吊ワイヤを設けることなく、荷台面を形成することができる。これによって、荷室空間に障害物が発生しないので、荷室空間が狭くなることを防止できるとともに、効率的な積込み作業を行うことができる。
【0056】
第一棚板および第二棚板12は、使用位置S1と収納位置S2との間で回動可能に取り付けられているので、第一棚板11と第二棚板12を使用しない場合には、収納位置S2に回動させることで、背の高い荷物も積載することができる。つまり、積載する荷物の形状に応じて使用形態を選択することができる。
【0057】
次に、第二実施形態に係る箱型荷台の荷室構造を、
図10乃至
図12を参照しながら詳細に説明する。前記実施形態の箱型荷台1の荷室構造3の第一棚板11が、連結スライド部材13をスライドさせる機構としてリンク機構51を備えていたのに対し、第二実施形態に係る箱型荷台1の荷室構造3は、
図10および
図11に示すように、連結スライド部材13をスライドさせる機構としてラックピニオンが用いられている。
【0058】
連結スライド部材13には、ラック110が設けられ、第一棚板11には、ラック110を移動させるピニオンギヤ120が設けられている。さらに、連結スライド部材13には、スライド操作ハンドル111が設けられ、第一棚板11には、ラックを移動可能に吊り下げ支持するラックガイド112が設けられている。
【0059】
ラック110は、車幅方向に沿って延在しており、連結スライド部材13の端部(車幅方向外側端部)に接続されている。ラック110は、連結スライド部材13の上部に接続され、歯113を下方に向けた状態で配置されている。ラック110の長さは連結スライド部材13のスライド長さと同等である。ラック110は、第一棚板11の前後のフレーム35内にそれぞれ設けられている。
【0060】
ピニオンギヤ120は、ラック110の歯113に噛合する歯121を外周面に備えた円盤状部材である。ピニオンギヤ120は、連結スライド部材13が第一棚板11に没入したときの、ラック110の端部(連結スライド部材13側端部)の下側に配置されている。つまり、ピニオンギヤ120は、連結スライド部材13が第二棚板12に向かって出没する範囲で、常にラック110に噛合している。
図12の(b)に示すように、ピニオンギヤ120は、回転軸122を備えている。回転軸122は、フレーム35のウエブ部35bに設けられた軸受123に回転可能に支持されている。ピニオンギヤ120は、第一棚板11の前後のフレーム35内にそれぞれ設けられている。前後のピニオンギヤ120は、前後に延在する連結棒124によって連結されている。連結棒124は、前後のピニオンギヤ120の回転軸122に、同軸状に連結されている。一方(後方)のピニオンギヤ120が回転すると、それに追従して、他方(前方)のピニオンギヤ(図示せず)も連動して回転する。
【0061】
スライド操作ハンドル111は、
図10および
図11に示すように、連結スライド部材13のスライド操作を行う際に作業者が把持するハンドルである。
図12の(c)にも示すように、スライド操作ハンドル111は、連結スライド部材13とラック110との接続部近傍位置で、連結スライド部材13の外側端部の側面のウエブ部13bに設けられている。スライド操作ハンドル111は、第一棚板11の後側の連結スライド部材13のみに取り付けられている。スライド操作ハンドル111は、車幅方向に延在する向きになる格納位置と、車両の前後方向に延在する向きになる使用位置との間で回動する。使用位置では、スライド操作ハンドル111が車両前後方向に延在して把持し易くなる。スライド操作ハンドル111は、格納位置では、フレーム35内に収容されるが、一部が第一棚板11の平面から若干後方に突出している。スライド操作ハンドル111の突出下部分は、隣り合う第一棚板(図示せず)とは干渉しない。
【0062】
ラックガイド112は、ピニオンギヤ120の近傍に設けられており、ラック110とピニオンギヤ120の噛合状態を良好にしている。ラックガイド112は、
図12の(a)に示すように、断面U字形状を呈しており、ラック110を下方から覆っている。ラックガイド112は、固定ブロック114を介して、フレーム35の上フランジ部35aに取り付けられている。ラックガイド112は、ラック110を下方から囲って移動可能に吊り下げ支持している。ラックガイド112は、第一棚板11の前後のフレーム35内にそれぞれ設けられている。
【0063】
第一棚板11には、スライドストッパ130が設けられている。スライドストッパ130は、連結スライド部材13を突出位置と没入位置とで係止する部材であり、フレーム35の第二棚板12側端部に設けられている。スライドストッパ130は、
図12の(d)に示すように、フレーム35の端部に取り付けられたカバー部材37に固定されている。スライドストッパ130は、連結スライド部材13のウエブ部13bに向かって出没する出没ピン131を備えている。出没ピン131は、ウエブ部13bに形成された係止孔132a,132bに挿入される。係止孔132aは、ウエブ部13bの外側端部に形成されており、連続スライド部材13が突出位置にあるときに、出没ピン131が挿入される。係止孔132bは、ウエブ部13bの第二棚板12側端部に形成されており、連続スライド部材13が没入位置にあるときに、出没ピン131が挿入される。
【0064】
なお、
図10乃至
図12において、その他の構成については、前記実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0065】
前記構成の箱型荷台1の荷室構造3において、連結スライド部材13を第二棚板12側に移動させるに際しては、スライド操作ハンドル111を、車両の後方に延在する向きに起こして使用位置にし、スライド操作ハンドル111を把持して第二棚板12側へ移動させる。すると、連結スライド部材13はボールベアリングからなる第一支持回転体52にて支持されているので、連結スライド部材13のガタツキを抑制しつつ小さい力でスライドさせることができるとともに、連結スライド部材13の水平精度を高くできる。
【0066】
連結スライド部材13がスライドすると、ラック110もともにスライドし、ピニオンギヤ120が回転する。これに伴って、連結棒124が回転し、前方のピニオンギヤが連動して回転する。そして、ラックがスライドして、前方の連結スライド部材も第二棚板12側に突出する。このように、後方の連結スライド部材13をスライドさせるだけで、前方の連結スライド部材も連動してスライドさせることができる。
【0067】
また、本実施形態では、ラックガイド112が設けられているので、ラック110の水平度を容易に確保することができ、連結スライド部材13の円滑なスライドを行うことができる。
【0068】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。たとえば、前記実施形態では、第一支持回転体52と第二支持回転体61は、ボールベアリングにて構成されているが、これに限定されるものではない。ローラベアリングや流体軸受け等、他のベアリングを用いてもよいし、また、単なる車輪等を用いてもよい。但し、ベアリングを用いた方が、連結スライド部材13のスライド時の水平精度が高くできるので好ましい。
【0069】
また、前記実施形態では、設置用レール6は前後方向に延在しているが、上下方向に延在するように複数列設けてもよい。この場合、設置用レールに、接続ブラケットを固定するための穴を上下方向に複数設けるのが好ましい。このようにすると、接続ブラケットの設置高さを変更することができるので、棚板の高さを調整することができる。
【0070】
また、前記実施形態では、前後のリンク機構51,51同士が連結部材57を介して連結されているが、これに限定されるものではなく、前後の連結スライド部材13,13同士を連結してもよい。このようにすれば、前方のリンク機構51を省略するこのが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
1 箱型荷台
3 荷室構造
4 左側壁(一方の側壁)
5 右側壁(他方の側壁)
6 設置用レール
11 第一棚板
12 第二棚板
13 連結スライド部材
51 リンク機構
52 第一支持回転体
53 リンクアーム
54 リンクロッド
55 スライド操作ハンドル
61 第二支持回転体
S1 使用位置
S2 収納位置
110 ラック
111 スライド操作ハンドル
112 ラックガイド
120 ピニオンギヤ