(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】飲料用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 23/00 20060101AFI20220720BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20220720BHJP
G03B 35/18 20210101ALI20220720BHJP
【FI】
B65D23/00 H
B65D1/02
B65D23/00 B
G03B35/18
(21)【出願番号】P 2019016969
(22)【出願日】2019-02-01
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000138082
【氏名又は名称】株式会社メニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100150212
【氏名又は名称】上野山 温子
(72)【発明者】
【氏名】田中 英成
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0140881(US,A1)
【文献】特開2013-222189(JP,A)
【文献】国際公開第2017/061341(WO,A1)
【文献】特開2010-247460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00
B65D 1/02
G03B 35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に開口を有する首部と該首部から下方に向かって拡径する肩部と該肩部から下方に延びる胴部と該胴部の下端と接続する底部とを有する容器本体と、該容器本体の該肩部に設けられた画像表示体と、を有する飲料用容器であって、
該画像表示体が、第1の角度から観察した際に視認できる一方で、第2の角度から観察した際には視認できないように構成された第1の画像を含み、
該画像表示体が、互いに平行に配置された複数の半円柱状レンズを含むレンチキュラーレンズと、該半円柱状レンズの凸面側と反対側に設けられたレンチキュラー画像とを有する、レンチキュラーレンズ表示体であって、
該レンチキュラー画像が、対応する半円柱状レンズを介して該第1の角度から観察した際に該第1の画像を表示するように配置された第1の画像帯群と該第2の角度から観察した際に第2の画像を表示するように配置された第2の画像帯群とを有し、
該第2の画像が、透明無地画像であり、
該第1の画像が、該容器本体に充填される飲料と同色または同系色の画像である、
飲料用容器。
【請求項2】
前記容器本体の形成材料が、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1に記載の飲料用容器。
【請求項3】
上端に開口を有する首部と該首部から下方に向かって拡径する肩部と該肩部から下方に延びる胴部と該胴部の下端と接続する底部とを有する容器本体と、該容器本体の該肩部に設けられた画像表示体と、を有する飲料用容器であって、
該画像表示体が、第1の角度から観察した際に視認できる一方で、第2の角度から観察した際には視認できないように構成された第1の画像を含み、
該画像表示
体が、基材層とその上に所定の間隔を空けて設けられた複数の画像形成用凸部とを有し、
該画像形成用凸部が、画像形成層とその上に積層された被覆層とを有し、
該第1の角度から観察した際に、該画像形成層が該第1の画像を形成するように、該画像形成用凸部が配置されており、
該基材層が、無色透明であり、
該被覆層が、該容器本体に充填される飲料と同色または同系色である、
飲料用容器。
【請求項4】
前記容器本体の形成材料が、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項3に記載の飲料用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料用容器の側面には、内容物を説明する、購買意欲を喚起する等の目的で、種々の文字、絵柄、写真等が模様として付されている。近年では、エンボス加工等によって表面に凹凸を付けることにより模様に立体感をもたせることや、ステレオホログラム等の光学的手法を利用して模様を立体的に視認させることが行われており、これらの手法によれば、需要者に対して、当該模様を強く印象付けることができる(例えば、特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-329831号公報
【文献】特開平10-254338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主たる目的は、需要者に対して内容物の説明や広告等の所定の表示を強く印象付けることができる飲料用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの局面によれば、上端に開口を有する首部と該首部から下方に向かって拡径する肩部と該肩部から下方に延びる胴部と該胴部の下端と接続する底部とを有する容器本体と、該容器本体の該肩部に設けられた画像表示体と、を有する飲料用容器であって、該画像表示体が、第1の角度から観察した際に視認できる一方で、第2の角度から観察した際には視認できないように構成された第1の画像を含む、飲料用容器が提供される。
1つの実施形態において、上記容器本体の形成材料が、ポリエチレンテレフタレートを含む。
1つの実施形態において、上記画像表示体が、互いに平行に配置された複数の半円柱状レンズを含むレンチキュラーレンズと、該半円柱状レンズの凸面側と反対側に設けられたレンチキュラー画像とを有する、レンチキュラーレンズ表示体であって、該レンチキュラー画像が、対応する半円柱状レンズを介して上記第1の角度から観察した際に上記第1の画像を表示するように配置された第1の画像帯群と上記第2の角度から観察した際に第2の画像を表示するように配置された第2の画像帯群とを有する。
1つの実施形態において、上記第2の画像が、透明無地画像であり、上記第1の画像が、上記容器本体に充填される飲料と同色または同系色の画像である。
1つの実施形態において、上記画像表示部が、基材層とその上に所定の間隔を空けて設けられた複数の画像形成用凸部とを有し、該画像形成用凸部が、画像形成層とその上に積層された被覆層とを有し、上記第1の角度から観察した際に、該画像形成層が上記第1の画像を形成するように、該画像形成用凸部が配置されている。
1つの実施形態において、上記基材層が、無色透明であり、上記被覆層が、上記容器本体に充填される飲料と同色または同系色である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、需要者に対して内容物の説明や広告等の所定の表示を強く印象付けることができる飲料用容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A)は、本発明の1つの実施形態による飲料用容器の概略正面図であり、(B)は、(A)に示す飲料用容器の概略底面図である。
【
図2】(A)は、本発明の別の実施形態による飲料用容器の概略正面図であり、(B)は、(A)に示す飲料用容器の概略底面図である。
【
図4】本発明に用いられ得るレンチキュラーレンズ表示体の構成の一例を説明する概略図である。
【
図5】
図4に示すレンチキュラーレンズ表示体の要部の概略拡大図であり、符号1~7は観察者の視線を示す。
【
図6】本発明に用いられ得るレンチキュラーレンズ表示体の構成の別の例を説明する概略図である。
【
図7】
図6に示すレンチキュラーレンズ表示体の要部の概略拡大図であり、符号1~7は観察者の視線を示す。
【
図8】本発明の1つの実施形態における画像表示体の構成の一例を説明する概略図であり、符号1~6は観察者の視線を示す。
【
図9】本発明の1つの実施形態における画像表示体の構成の一例を説明する概略図であり、符号1~9は観察者の視線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施形態による飲料用容器を説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0009】
本発明の飲料用容器は、上端に開口を有する首部と、該首部から下方に向かって拡径する肩部と、該肩部から下方に延びる胴部と、該胴部の下端と接続する底部とを有する容器本体と、該容器本体の該肩部に設けられた画像表示体と、を有し、該画像表示体が、第1の角度から観察した際に視認できる一方で、第2の角度から観察した際には視認できないように構成された第1の画像を含む。
【0010】
A.飲料用容器の全体構成
図1(A)は、画像表示体が設けられた方向を正面方向とした場合における、本発明の1つの実施形態による飲料用容器の概略正面図であり、
図1(B)は、
図1(A)に示す飲料用容器の概略底面図である。飲料用容器100aは、上端に開口11を有する首部12と、首部12から下方に向かって拡径する肩部13と、肩部13から下方に延びる胴部14と、胴部14の下端と接続する底部15とを有する容器本体10と、肩部13に設けられた画像表示体20とを有する。底部15は、略正方形状であり、肩部13および胴部14はそれぞれ、平面状に成形されている。当該実施形態において、容器本体10は、横断面が略正方形の角柱状の容器である。
【0011】
図2(A)は、画像表示体が設けられた方向を正面方向とした場合における、本発明の別の実施形態による飲料用容器の概略正面図であり、
図2(B)は、
図2(A)に示す飲料用容器の概略底面図である。飲料用容器100bは、上端に開口11を有する首部12と、首部12から下方に向かって拡径する肩部13と、肩部13から下方に延びる胴部14と、胴部14の下端と接続する底部15とを有する容器本体10と、肩部13に設けられた画像表示体20とを有する。底部15は、略円形状であり、肩部13および胴部14はそれぞれ、曲面的に成形されている。当該実施形態において、容器本体10は、横断面が略円形の円筒状の容器である。
【0012】
代表的には、上記飲料用容器は、容器本体内に飲料が充填され、首部に設けられた雄ネジに螺合可能な雌ネジを備えた蓋体が、これらのネジの螺合により開口を塞ぐように装着される。
【0013】
B.容器本体
容器本体の形状は、上記図示例に限定されず、本発明の効果が得られる範囲において、任意の適切な形状を有することができる。例えば、市販の飲料製品に用いられている樹脂製容器と同様の形状を有することができる。容器本体の容量は、例えば180mL~1000mL、好ましくは250mL~600mLである。
【0014】
容器本体は、代表的には透明であり、好ましくは無色透明である。容器本体は、例えば10%以下、好ましくは5%以下のヘイズを有する。ヘイズは、JIS K 7136に準拠して測定することができる。
【0015】
容器本体を形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。好ましくは、容器本体は、ポリエチレンテレフタレートを主材料とするペットボトルである。容器本体は、ブロー成形法等の公知の成形法によって製造することができる。
【0016】
容器本体に充填される飲料としては、特に限定されるものではなく、例えば、飲料水、清涼飲料水、果汁飲料、茶、コーヒー、ココア、アルコール飲料、乳飲料等が挙げられる。
【0017】
C.画像表示体
画像表示体20は、第1の角度から観察した際に視認可能であり、第2の角度から観察した際に視認されないように構成された第1の画像を含み、代表的には、第2の角度から観察した際に視認可能に構成された第2の画像をさらに含む。画像表示体は、第3の角度から観察した際に視認可能に構成された第3の画像をさらに含んでいてもよい。この場合、第2の画像と第3の画像とは、同じ画像であってもよく、異なる画像であってもよい。なお、本明細書において、「第1の角度」、「第2の角度」および「第3の角度」はそれぞれ、観察者(例えば、飲食者)が画像表示体をその上下方向において観察した際の視線角度であり、観察者(例えば、飲食者)が画像表示体をその上下方向において観察した際の視線(V)方向と画像表示体の法線(Z)方向とのなす角度(
図3において、θ1で示される角度)を意味する。このような画像表示体によれば、飲食者が画像表示体を第2の角度から観察した際(例えば、容器本体を正面方向から観察した際)には、第2の画像が視認され、第1の角度から観察した際(例えば、容器本体の開口に口をつけた際、または、口をつけてある程度飲み進めた際等)に初めて第1の画像が視認されることから、飲食者に第1の画像を強く印象付けることができる。なお、本明細書においては、便宜上、首部側(上側)から観察した際の視線角度を正の値として表記し、胴部側(下側)から観察した際の視線角度を負の値として表記する。
【0018】
第1の角度、第2の角度および第3の角度はそれぞれ、容器本体の形状、表示目的等に応じて適切に設定され得る。なお、これらの角度はそれぞれ、特定の角度のみを意味するのではなく、ある程度の角度範囲を含み得る(すなわち、特定の視線角度においてのみ第1の画像が視認されてもよく、視線角度をある程度の範囲で変化させた際に第1の画像が継続的に視認されてもよい)。例えば、第1の角度は、0°~70°の範囲内、具体的には10°~70°、20°~60°または30°~50°の範囲内の任意の角度または任意の角度範囲(例えば40°以内、30°以内、20°以内または10°以内の角度範囲)であってよい。第2の角度および第3の角度は、第1の角度を除いた角度範囲で、目的に応じて適切に設定され得る。1つの実施形態において、第2の角度は、容器本体を正面方向および/または胴部側から観察した際の角度(例えば-90°以上20°未満、-90°以上 10°未満、-90°以上0°未満の範囲内)であり、第3の角度は、第1の角度に応じ0°~70°の範囲で適宜設定し得る角度であり、容器本体の開口に口を付けている状態で視認可能な角度のうち、第1の角度範囲を超える角度(例えば30°を超え70°以下、40°を超え70°以下、50°を超え70°以下の範囲内)であり得る。例えば第1の角度が30°~50°の場合には、第3の角度は、50°を超え70°以下の範囲内に設定され得る。
【0019】
画像表示体の寸法は、目的に応じて適切に設定される。画像表示体の上下方向の長さは、例えば、容器本体の肩部の長さを超えない範囲であり、また、横方向の長さは、例えば、肩部の周長の2分の1を超えない範囲である。
【0020】
C-1.第1の実施形態
第1の実施形態においては、画像表示体として、レンチキュラーレンズ表示体が用いられる。
図4は、本発明に用いられ得るレンチキュラーレンズ表示体の構成の一例を説明する概略図であり、
図5は、その要部の概略拡大図である。レンチキュラーレンズ表示体30は、互いに平行に配置された複数の半円柱状レンズ31を含むレンチキュラーレンズ32と、該半円柱状レンズの凸面側と反対側(平坦面側)に設けられたレンチキュラー画像34とを有する。レンチキュラーレンズ表示体は、半円柱状レンズが延びる方向が横方向(
図1(A)または
図2(A)の左右方向)となるように容器本体の肩部に配置される。
【0021】
C-1-1.レンチキュラーレンズ
レンチキュラーレンズは、複数の半円柱状レンズが互いに平行に配置された構成を有し、光透過性を有する樹脂によって形成されている。
【0022】
上記光透過性を有する樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリスチレン、メタクリレート-スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性エラストマー、またはこれらの共重合体、シクロオレフィン等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0023】
レンチキュラーレンズの厚みおよび線数は、第1の角度から見た場合に第1の画像が視認されるように適切に設定される。レンズの厚みは、例えば0.10mm~5.00mmであり、好ましくは0.20mm~2.50mmであり得る。レンズの線数は、例えば10Lpi~300Lpiであり、好ましくは15Lpi~200Lpi、より好ましくは15Lpi~100Lpiであり得る。一般に、レンズ厚みを小さくすることおよび/または線数を少なくすることにより、視野角を広くすることができ、結果として、低い視線方向から(大きい視線角度(θ1)で)第1の画像を視認することができる。
【0024】
C-1-2.レンチキュラー画像
図4および
図5に示す実施形態において、レンチキュラー画像34は、半円柱状レンズ31の延びる方向と平行に配置された第1の画像帯34Aと第2の画像帯34Bとを含む。レンチキュラーレンズ32がN個の半円柱状レンズ31を備える場合、第1の画像帯34Aおよび第2の画像帯34Bはそれぞれ、レンチキュラーレンズ表示体によって表示させる第1の画像および第2の画像を帯状にN個に分割したものである。これらの画像帯は、n番目の半円柱状レンズ31
nの平坦面側の対応する位置にn番目の第1の画像帯34A
nおよび第2の画像帯34B
nが配置されるように、半円柱状レンズのレンズピッチに合わせて交互に配置される(Nは、2以上の整数であり、nは1以上N以下の整数である)。
【0025】
具体的には、上記図示例において、第1の画像帯34Anは、対応する半円柱状レンズ31nを介して第1の角度(例えば、視線1または2)から観察した際に第1の画像を表示するように配置されている。同様に、第2の画像帯34Bnは、対応する半円柱状レンズ31nを介して第2の角度(例えば、視線3~7)から観察した際に第2の画像を表示するように配置されている。上述のとおり、第1の角度は、比較的低い視線方向からの角度(比較的大きいθ1)であり得、また、第2の角度範囲に比べて狭い範囲であり得ることから、図示例では、第1の画像帯34Anは、半円柱状レンズ31nを介して表示される領域の幅方向中心Cよりも飲食者から遠方側(胴部側)に配置され、かつ、第2の画像帯34Bnよりも狭幅に設定されている。第2の画像帯Bnの幅に対する第1の画像帯Anの幅の割合は、例えば20%~95%とすることができる。
【0026】
1つの実施形態においては、第2の画像が透明無地画像(無色透明)であり、第1の画像が容器本体に充填される飲料と同色または同系色の画像である。当該実施形態によれば、無色透明の容器本体に飲料が充填された状態においては、第2の画像が実質的に容器本体に充填された飲料と同色無地の画像として視認され、また、飲料と第1の画像とが同色または同系色であることから、観察角度に関わらず第1の画像または第2の画像を背景から識別し難くなる一方で、飲料を飲み進めるにつれて、背景色が変化することから第1の角度から第1の画像を良好に視認することができる。なお、同系色としては、例えば、明度または彩度だけが異なる色の組み合わせ、トーンは異なるが同じ色相の色の組み合わせ、または、トーンは同じで、色相上隣り合う色の組み合わせを挙げることができる。
【0027】
第1の実施形態は上記図示例に限定されない。第1の実施形態に用いられ得るレンチキュラーレンズ表示体の構成の別の例を説明する概略図およびその要部の概略拡大図をそれぞれ
図6および
図7に示す。
図6および
図7に示すレンチキュラーレンズ表示体によれば、レンチキュラー画像34は、半円柱状レンズ31の延びる方向と平行に配置された第1の画像帯34Aと第2の画像帯34Bと第3の画像帯34Cとを含む。レンチキュラーレンズ32がN個の半円柱状レンズ31を備える場合、第1の画像帯34A、第2の画像帯34Bおよび第3の画像帯34Cはそれぞれ、レンチキュラーレンズ表示体によって表示させる第1の画像、第2の画像および第3の画像を帯状にN個に分割したものである。これらの画像帯は、n番目の半円柱状レンズ31
nの平坦面側の対応する位置にn番目の第1の画像帯34A
n、第2の画像帯34B
nおよび第3の画像帯34C
nが配置されるように、半円柱状レンズのレンズピッチに合わせて所定の順序で配置される(Nは、2以上の整数であり、nは1以上N以下の整数である)。
【0028】
上記変形例において、第1の画像帯34Anは、対応する半円柱状レンズ31nを介して第1の角度(例えば、視線2)から観察した際に第1の画像を表示するように配置されている。同様に、第2の画像帯34Bnは、対応する半円柱状レンズ31nを介して第2の角度(例えば、視線3~7)から観察した際に第2の画像を表示するように配置されており、第3の画像帯34Cnは、対応する半円柱状レンズ31nを介して第3の角度(例えば、視線1)から観察した際に第3の画像を表示するように配置されている。当該変形例によれば、飲食者が開口から飲料を飲み始めた際には第3の画像が視認され、飲み進めると第1の画像が視認され、さらに飲み進めると第2の画像を視認することができる。
【0029】
1つの実施形態においては、第2の画像および第3の画像が透明無地画像(無色透明)であり、第1の画像が容器本体に充填される飲料と同色または同系色の画像である。当該実施形態によれば、無色透明の容器本体に飲料が充填された状態においては、第2の画像および第3の画像が実質的に容器本体に充填された飲料と同色無地の画像として視認され、また、飲料と第1の画像とが同色または同系色であることから、観察角度に関わらず第1の画像、第2の画像および第3の画像を背景から識別し難くなる一方で、飲料を飲み進めるにつれて、背景色が変化することから第1の角度から第1の画像を良好に視認することができる。
【0030】
上記第1の実施形態に適用可能なレンチキュラーレンズ表示体は、上記図示例に限定されず、特開2003-94790号公報、WO2017/061341等に記載のレンチキュラーレンズ表示体を参照することができる。
【0031】
レンチキュラーレンズ表示体は、例えば、レンチキュラー印刷法、樹脂フィルムに鋳型を熱プレスする方法等によってレンチキュラーレンズを作製し、該レンチキュラーレンズの平坦面にレンチキュラー画像を直接形成(例えば、印刷)することによって得られ得る。あるいは、紙、樹脂フィルム等の基材表面にレンチキュラー画像を印刷し、当該印刷面とレンチキュラーレンズの平坦面とが対向するように基材とレンチキュラーレンズとを貼り合わせることによっても得られ得る。
【0032】
レンチキュラーレンズ表示体は、例えば任意の適切な接着層(接着剤層または粘着剤層)を介して容器本体に貼り合わせられる。
【0033】
C-2.第2の実施形態
第2の実施形態において用いられる画像表示体は、基材層とその上に所定の間隔を空けて設けられた複数の画像形成用凸部とを有する。
図8は、当該実施形態における画像表示体の構成の一例を説明する概略図である。画像表示体20は、基材層22とその上に所定の間隔を空けて設けられた複数の画像形成用凸部24とを有し、画像形成用凸部24が、画像形成層24aとその上に積層された被覆層24bとを有する。複数の画像形成層24aは、いわゆる点描画のように、第1の角度から観察された際に全体として、第1の画像を形成し得る。また、被覆層24bは、第2の角度から画像形成層24aを視認できないように被覆するものであり、不透明膜または反射膜であり得る。
【0034】
図8に示す画像表示体20において、複数の画像形成用凸部24は、第1の角度から観察した際に、画像形成層24aが全体として第1の画像を表示するように配置されている。このように配置することにより、第2の角度(例えば、視線4~6)においては、被覆層24bが視認され、第1の角度(例えば、視線1~3)から観察した際には第1の画像が視認され得る。
【0035】
図9に示す実施形態においては、画像形成層24aの開口側の反対側(胴部側)にも被覆層24cが設けられる。このような構成によれば、胴部側から観察した場合(例えば、視線7~9)であっても、第1の画像が視認されることを防止できる。
【0036】
画像形成用凸部の間隔、画像形成層および被覆層の厚みは、目的に応じて適切に設定され得る。画像形成層の厚みは、例えば1μm~50μmであり得る。被覆層の厚みは、例えば0.1μm~30μmであり得る。また、画像形成用凸部の間隔は、例えば画像形成用凸部の厚み以上であり、好ましくは1μm~100μmであり得る。
【0037】
画像形成用凸部は、例えば、基材層上に画像形成層および被覆層をこの順に印刷することによって形成され得る。基材層としては、紙、樹脂フィルム等が用いられ得る。第1の画像を強く印象付ける観点から、光透過性の樹脂フィルムを基材層として用いることが好ましい。あるいは、容器本体を基材層として、容器本体の表面に直接画像形成用凸部を印刷してもよい。
【0038】
1つの実施形態において、基材層が無色透明であり、被覆層が容器本体に充填される飲料と同色または同系色を有する不透明膜であり、画像形成層が被覆層から識別可能な第1の画像を形成する。このような構成によれば、無色透明の容器本体に飲料が充填された状態において、所定の視線角度(第1の角度)から観察した際には第1の画像(例えば、被覆層と異なる色の画像)を良好に視認できる一方で、それ以外の視線角度(第2の角度)からは主として被覆層が視認される。ここで、被覆層は飲料と同色または同系色を有することから、被覆層の視認性は低く抑えられる。よって、第1の角度を飲食者が飲料を飲む際の視線角度とすることにより、当該飲食者に良好に第1の画像を視認させることができる。
【0039】
上記第2の実施形態に適用可能な画像表示体は、上記図示例に限定されず、特開2010-247460号公報、特開2017-154438公報等に記載の画像表示体を参照することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、飲料製品の製造において好適に用いられ得る。
【符号の説明】
【0041】
10 容器本体
20 画像表示体
30 レンチキュラーレンズ表示体
100 飲料用容器