(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】気化式燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23K 5/14 20060101AFI20220720BHJP
F23N 5/26 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
F23K5/14 505
F23N5/26 101B
(21)【出願番号】P 2019035468
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】九原 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 芳美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直彦
(72)【発明者】
【氏名】大塚 康弘
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-094247(JP,A)
【文献】特開昭64-090915(JP,A)
【文献】特開昭64-084016(JP,A)
【文献】特開2010-043777(JP,A)
【文献】特開2013-108631(JP,A)
【文献】特開2016-084957(JP,A)
【文献】特開昭61-066013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/14
F23N 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、燃焼部と、給油タンクと、給油タンク重量検知手段と、制御装置と、表示部とを備えた気化式燃焼装置に於いて、前記給油タンク重量検知手段は前記本体に差し込まれた前記給油タンクの重量を検出し、前記制御装置は、前記給油タンク無しの状態の時の前記給油タンク重量検知手段の出力値Tを記憶値Nとして記憶すると共に、満タン状態の前記給油タンクが有る状態の時の前記給油タンク重量検知手段の出力値Tを記憶値Fとして記憶し、前記本体に前記給油タンクが差し込まれた時、前記給油タンク重量検知手段の出力値Tが前記記憶値Fよりも大きい時、前記記憶値Fをその時の出力値Tに更新して記憶し、前記記憶値Nから前記記憶値Fまでの範囲と、現在の前記給油タンク重量検知手段の出力値Tとから前記給油タンクの残油量を前記表示部に表示することを特徴とする気化式燃焼装置。
【請求項2】
前記給油タンクが前記本体内にあるか否かを検知する給油タンク検知手段を備え、前記制御装置は、前記給油タンク検知手段が前記給油タンクが本体内に無しから有りになったのを検知した時、その時の出力値Tが前記記憶値Fよりも小さく、且つその時の出力値Tが予め
前記制御装置が記憶
してい
る初期値fより大きい時、前記記憶値Fに補正係数aを乗じた補正値Hと前記出力値Tとを比較し、前記出力値Tが前記補正値H以上の時は前記記憶値Fをその時の出力値Tに更新して記憶し、前記出力値Tが前記補正値H未満の時は前記記憶値Fを補正値Hに更新して記憶することを特徴とする請求項1記載の気化式燃焼装置。
【請求項3】
前記給油タンクが本体内にあるか否かを検知する給油タンク検知手段を備え、前記制御装置は、前記給油タンク検知手段が前記給油タンクが前記本体内に有りから無しになったのを検知した時、前記記憶値Nをその時の出力値Tに更新して記憶すると共に、前記給油タンク検知手段が前記給油タンクが本体内に無しから有りになったのを検知した時、その時の出力値Tが前記記憶値Fよりも大きい時、前記記憶値Fをその時の出力値Tに更新して記憶することを特徴とする請求項1又は2記載の気化式燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃油を気化して燃焼させる気化式燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のものでは、燃油量が所定量以下に低下すると、警報を発すると共に、燃焼部の燃焼を自動的に停止させるものであった。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
又、燃油量が所定量以下に低下して燃焼部の燃焼が自動的に停止してしまう前に給油できるように、装置本体に脱着自在な給油タンク内の残油量を表示するものとして、装置に格納した給油タンクの重さを重量センサにて測定して表示するものがあり、前記重量センサを使用し、装置に格納した給油タンクの重さを測定して給油タンク内の残油量を表示するものとして、給油タンク内の液体燃料量が灯油量表示手段にて規定した重量のときにその重量に見合った適切な情報を提供可能にするために、予め暖房機の製造工程段階において、給油タンク内に液体燃料が満量詰め込まれたときのその荷重を重量検知装置に読み取らせ、その重量検知装置からの信号を調整設定装置を介して記憶装置に記憶させておき、実際の暖房機使用時において、記憶装置に記憶させておいたデータに基づいて中央制御装置で計算した情報を灯油量表示手段に出力するものがあった。(例えば、特許文献2参照)
【0004】
又、予め給油タンクそのものの重量が記憶され、重量センサからのセンサ信号を入力して液体燃料の残量に相当する残量信号を記憶されている給油タンクそのものの重量に基づいて補正するものがあった。(例えば、特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第2588169号公報
【文献】特開平11-94247号公報
【文献】特開昭64-84016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこの従来のものでは、予め暖房機の製造工程段階において、給油タンク内に液体燃料が満量詰め込まれたときのその荷重を重量検知装置に読み取らせ、その重量検知装置からの信号を調整設定装置を介して記憶装置に記憶させる工程等の重量センサの出力のばらつきを調整する工程又は、製造工程段階において、空の給油タンクそのものの重量を記憶させる工程が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1では、本体と、燃焼部と、給油タンクと、給油タンク重量検知手段と、制御装置と、表示部とを備えた気化式燃焼装置に於いて、前記給油タンク重量検知手段は前記本体に差し込まれた前記給油タンクの重量を検出し、前記制御装置は、前記給油タンク無しの状態の時の前記給油タンク重量検知手段の出力値Tを記憶値Nとして記憶すると共に、満タン状態の前記給油タンクが有る状態の時の前記給油タンク重量検知手段の出力値Tを記憶値Fとして記憶し、前記本体に前記給油タンクが差し込まれた時、前記給油タンク重量検知手段の出力値Tが前記記憶値Fよりも大きい時、前記記憶値Fをその時の出力値Tに更新して記憶し、前記記憶値Nから前記記憶値Fまでの範囲と、現在の前記給油タンク重量検知手段の出力値Tとから前記給油タンクの残油量を前記表示部に表示するものである。
【0008】
また、請求項2では、前記請求項1に於いて、前記給油タンクが前記本体内にあるか否かを検知する給油タンク検知手段を備え、前記制御装置は、前記給油タンク検知手段が前記給油タンクが本体内に無しから有りになったのを検知した時、その時の出力値Tが前記記憶値Fよりも小さく、且つその時の出力値Tが予め前記制御装置が記憶している初期値fより大きい時、前記記憶値Fに補正係数aを乗じた補正値Hと前記出力値Tとを比較し、前記出力値Tが前記補正値H以上の時は前記記憶値Fをその時の出力値Tに更新して記憶し、前記出力値Tが前記補正値H未満の時は前記記憶値Fを補正値Hに更新して記憶するものである。
【0009】
また、請求項3では、前記請求項1又は請求項2に於いて、前記給油タンクが本体内にあるか否かを検知する給油タンク検知手段を備え、前記制御装置は、前記給油タンク検知手段が前記給油タンクが前記本体内に有りから無しになったのを検知した時、前記記憶値Nをその時の出力値Tに更新して記憶すると共に、前記給油タンク検知手段が前記給油タンクが本体内に無しから有りになったのを検知した時、その時の出力値Tが前記記憶値Fよりも大きい時、前記記憶値Fをその時の出力値Tに更新して記憶するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1によれば、前記給油タンク重量検知手段は前記本体に差し込まれた前記給油タンクの重量を検出し、前記制御装置は、前記給油タンク無しの状態の時の前記給油タンク重量検知手段の出力値Tを記憶値Nとして記憶すると共に、満タン状態の前記給油タンクが有る状態の時の前記給油タンク重量検知手段の出力値Tを記憶値Fとして記憶し、前記本体に前記給油タンクが差し込まれた時、前記給油タンク重量検知手段の出力値Tが前記記憶値Fよりも大きい時、前記記憶値Fをその時の出力値Tに更新して記憶し、前記記憶値Nから前記記憶値Fまでの範囲と、現在の前記給油タンク重量検知手段の出力値Tとから前記給油タンクの残油量を前記表示部に表示するので、前回給油時に満タンまで給油せずに本体内に給油タンクを差し込んでも、今回満タンまで給油して本体内に給油タンクを差し込めば、満タンの給油タンクが有る状態の時の記憶値Fを満タンの給油タンクが有る状態の時の出力値Tに自動的に近づけることができ、給油タンク残油量表示レベルの精度を向上させて正確な給油タンク残油量を表示部に表示できるものである。
【0011】
また、請求項2によれば、前記給油タンクが前記本体内にあるか否かを検知する給油タンク検知手段を備え、前記給油タンク検知手段が前記給油タンクが本体内に無しから有りになったのを検知した時、その時の出力値Tが前記記憶値Fよりも小さく、且つその時の出力値Tが最初の記憶値Fとして予め記憶されている前記初期値fより大きい時、前記記憶値Fに一定の補正係数aを乗じた補正値Hと前記出力値Tとを比較し、前記出力値Tが前記補正値H以上の時は前記記憶値Fをその時の出力値Tに更新して記憶し、前記出力値Tが前記補正値H未満の時は前記記憶値Fを補正値Hに更新して記憶するので、定格の満タンよりも多い給油量を前回給油し、今回は定格の満タン給油量を給油した場合は、前記記憶値Fを補正値Hに更新して記憶することで補正を行い、今回の給油量が前回の給油量と補正値Hの間の給油量の場合は、前記記憶値Fを今回の給油量である前記出力値Tに更新して記憶することで補正を行い、満タンではあるものの前回より給油量が少ない場合でも、給油タンク残油量表示レベルの精度を向上させて正確な給油タンク残油量を表示部に表示できるものである。
【0012】
また、請求項3によれば、前記給油タンクが本体内にあるか否かを検知する給油タンク検知手段を備え、前記制御装置は、前記給油タンク検知手段が前記給油タンクが前記本体内に有りから無しになったのを検知した時、前記記憶値Nをその時の出力値Tに更新して記憶すると共に、前記給油タンク検知手段が前記給油タンクが本体内に無しから有りになったのを検知した時、その時の出力値Tが前記記憶値Fよりも大きい時、前記記憶値Fをその時の出力値Tに更新して記憶するので、前記給油タンクの給油を行う度に前記記憶値Nから前記記憶値Fまでの範囲を最新にして給油タンク残油量表示レベルの精度を向上させて正確な給油タンク残油量を表示部に表示できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の一実施例を付した気化式燃焼装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る発明の1実施形態を図面に基づいて説明する。
1は屋内に設置される気化式燃焼装置を構成する本体で、本体1内部に気化バーナからなる燃焼部2と、この本体1の作動を制御するマイコンを主体として構成された制御装置3と、本体1背面開口部の対流用送風機4と、本体1前面の温風吹出口5と、本体1前面側上部の操作部6とを備えているもので、燃焼部2での燃焼排気ガスを対流用送風機4により温風吹出口5から室内に吹き出すことで暖房を行うものである。
【0015】
前記燃焼部2は、複数の炎孔を有したバーナヘッド7の下部に加熱ヒーター8を有した気化部9を備えて構成され、加熱ヒーター8によって加熱された気化部9内に油受け皿10から容積型の電磁ポンプ11の駆動で送油ノズル12を通じて液体燃料を供給し、この液体燃料が気化した気化ガスと燃焼用送風機13から送風路14を通じて供給される燃焼用空気との混合ガスを前記バーナヘッド7の炎孔で燃焼させ、また燃焼中は前記気化部9の上端に複数の炎孔に対向する如く備えた環状の熱回収リング15によって炎から熱回収を行い加熱ヒーター8の通電を低減しているもので、ターンダウン比が広く静かな気化燃焼を行うものである。
【0016】
前記操作部6には、運転の開始/停止を指令するための運転スイッチ16と、室温上昇スイッチ17と室温下降スイッチ18とにより構成され所望の室温を設定する室温設定手段19と、残油量表示スイッチ20やタイマースイッチや延長スイッチなどの各種の操作スイッチと、時刻や設定室温や残油量を表示する表示部21が設けられている。
【0017】
22は前記加熱ヒーター8で加熱される気化部9の温度を検知する気化温度センサで、前記制御装置3はこの気化温度センサ22の検知温度が所定の上限温度になると前記加熱ヒーター8をオフし、また所定の下限温度になると前記加熱ヒーター8をオンして気化部9の温度を液体燃料が良好に気化できる温度範囲内に保持する。
【0018】
又前記制御装置3は、運転スイッチ16の運転指令により、前記気化温度センサ22の検知温度を監視して、前記気化部9を液体燃料が気化可能な温度まで加熱ヒーター8により加熱し、気化部9の温度を燃焼に適する温度まで上昇させると前記電磁ポンプ11及び燃焼用送風機13を駆動開始し、点火装置23により混合ガスに点火して燃焼を開始させて、本体1背面の対流用送風機4の近傍に設けられた室温センサ24の検知室温と前記室温設定手段19で設定された設定室温との偏差に応じて、前記電磁ポンプ11及び燃焼用送風機13を制御して燃焼火力を可変して前記室温設定手段19で設定された室温になるように制御する。
【0019】
25は給油タンク検知手段で、給油タンク26が本体1内にあるか否かを検知し、給油タンク26を本体1に差し込むと給油タンク26の側面に当接して閉成し、給油タンク26を本体1から抜き取ると開成する開閉スイッチで構成され、運転中にタンク検知手段25が本体1から給油タンク26が抜き取られたのを検知すると、制御装置3は運転を停止するものである。
【0020】
前記給油タンク26が本体1内に挿入されると、前記給油タンク26先端の口金27が油受け皿10に形成されているタンク挿入口28に挿入される。
前記タンク挿入口28には燃油内に混入したゴミなどの不純物をろ過する油フィルタ29が配置されていて、油フィルタ29内に前記給油タンク26の口金27を挿入することで油受け皿10に前記給油タンク26を載置するようになっている。
【0021】
そして前記油フィルタ29内の中央にはピン30が突出形成されており、前記給油タンク26を装着するとこのピン30が前記給油タンク26の口金27に設けられた燃油吐出口31を開口させるので、前記給油タンク26内の燃油が油フィルタ29を介して油受皿10内に供給される。
【0022】
そして、油受皿10内の液面が上昇して燃油吐出口31まで達すると、前記給油タンク26からの燃油の供給が停止するので、これを繰り返すことにより油受皿10には常に一定量の液体燃料が貯留されるようになっているものである。
【0023】
32はフロートスイッチからなる油量検知手段で、給油タンク26からの燃油を一旦貯留する油受け皿10内の燃油が所定量以下になったことを検知するものである。
33はタイマー手段で、所定時間をカウントするものである。
【0024】
34は給油タンク重量検知手段で、前記油受け皿10のタンク挿入口28周辺に設けられ、前記給油タンク26をファンヒータの本体1に差し込むと前記給油タンク26先端の口金27が前記油受け皿10のタンク挿入口28に位置するが、この時、前記給油タンク26が前記給油タンク重量検知手段34に当接して、前記給油タンク26の重量が給油タンク重量検知手段34にかかり、そのかかった重量によって給油タンク重量検知手段34の出力値が変化するものである。
【0025】
次にこの一実施形態の作動について
図5のフローチャート図により説明する。
まず、給油タンク検知手段25がファンヒータの本体1内に給油タンク26が有るのを検知している状態から、本体1内に給油タンク26が無いと検知した状態に変化した時(S1)、前記制御装置3は、前記給油タンク26無しの状態の時の記憶値Nを、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tに更新して記憶する(S2)。
【0026】
次に(S1)で本体1内に給油タンク26が有るのを検知している状態から、本体1内に給油タンク26が無いと検知した状態に変化しない時、又は、(S2)で前記給油タンク26無しの状態の時の記憶値Nを、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tに更新して記憶した後、給油タンク検知手段25がファンヒータの本体1内に給油タンク26が無いのを検知している状態から、本体1内に給油タンク26が有ると検知した状態に変化した時(S3)、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tと、満タンの給油タンク26が有る状態の時の記憶値Fとを比較し、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tが満タンの給油タンク26が有る状態の時の記憶値F以上の時(S4)、次に現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tが予め前記制御装置3が記憶している満タンの給油タンク26が有る状態の時の上限値Uとを比較し、前記出力値Tが前記上限値U以下の時(S5)、前記記憶値Fを、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tに更新して記憶する(S6)。
【0027】
この上限値Uは、満タンの給油タンク26を本体1内に差し込んだ時の上限値、つまり満タンの給油タンク26を本体1内に差し込んだ時に、給油タンク重量検知手段34の出力値Tがこの値よりも大きくならない値が上限値であり、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tがこの上限値である上限値Uを越える場合は、給油タンク26を本体1内に差し込んだ際、手で給油タンク26を押して差し込んだり、勢いをつけて差し込んだ場合と判断するものである。
【0028】
そして、(S6)で前記記憶値Fを、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tに更新して記憶した後、前記給油タンク26無しの状態の時の記憶値Nから満タンの給油タンク26が有る状態の時の記憶値Fまでの範囲を表示レベル数に分割して給油タンク残油量表示レベルを算出する(S7)。
【0029】
そして、(S7)にて算出された給油タンク残油量表示レベルにより給油タンク残油量表示レベルを再設定し(S8)、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tをその給油タンク残油量表示レベルに照らし合わせて、現在の給油タンク残油量を表示部21に表示するものである(S9)。
【0030】
これにより、前回給油時に満タンまで給油せずに本体1内に給油タンク26を差し込んだ場合、前回その満タンまで給油されていない給油タンク26での給油タンク重量検知手段34の出力値Tを満タンの給油タンク26が有る状態の時の記憶値Fとして記憶しているが、今回満タンまで給油して本体1内に給油タンク26を差し込めば、今回の給油タンク重量検知手段34の出力値Tを満タンの給油タンク26が有る状態の時の記憶値Fとして更新して記憶するので、前記記憶値Fを満タンの給油タンク26が有る状態の時の出力値Tに自動的に近づけることができ、給油タンク残油量表示レベルの精度を向上させて正確な給油タンク残油量を表示部21に表示できるものである。
【0031】
又、(S4)で現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tが満タンの給油タンク26が有る状態の時の記憶値F未満の時、次に現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tと、予め前記制御装置3が記憶している初期値fとを比較し、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tが前記初期値f以上の時(S10)、次に現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tが、前記記憶値Fに1より小さい値に設定された補正係数aを乗じた補正値H未満かを比較する(S11)。
【0032】
そして(S11)で、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tが、前記記憶値Fに補正係数aを乗じた補正値H未満の時、満タンの給油タンク26が有る状態の時の記憶値Fを前記記憶値Fに補正係数aを乗じた補正値Hに更新して記憶し(S12)、(S7)へと進むものである。
【0033】
ここで補正係数aは定格の満タンよりも多い油量を前回給油した場合の補正を行うもので、例えば0.9や0.95等の1より小さい一定の値が設定されているものである。
【0034】
又、(S3)で給油タンク検知手段25がファンヒータの本体1内に給油タンク26が無いのを検知している状態から、本体1内に給油タンク26が有ると検知した状態に変化しない時、又は、(S5)で前記出力値Tが前記上限値Uを越える時、又は、(S10)で現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tが満タンの給油タンク26が有る状態の時の初期値f未満の時、給油タンク残油量表示レベルを再設定せずに前回の設定のままとし(S13)、(S9)へと進むものである。
【0035】
これにより、給油時の給油タンク26への給油量が増える度に、(S4)及び(S5)及び(S6)により前記満タンの給油タンク26が有る状態の時の記憶値Fを、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tに更新して記憶するので、給油タンク26への給油量が増えた場合の給油タンク残油量表示レベルを自動で調整できるものである。
【0036】
又、前記給油タンク26は、全容積の70%から90%給油した状態で定格の油量になるように設計されており、その状態を満タンとしているが、前回給油時に例えば給油タンク26の全容積の90%を越えて給油し、その給油タンク26を本体1内に差し込んだ場合、定格の満タンよりも多い油量を満タンの油量として前記記憶値Fを更新して記憶し(S5)、それに基づいて表示レベル数に分割して給油タンク残油量表示レベルを算出し(S6)、次の給油時に定格の満タン状態、例えば給油タンク26の全容積の90%給油した給油タンク26を本体1内に差し込んだ場合、給油タンク残油量表示レベルが前回のままのため、満タン表示しない場合がある。
【0037】
そこで今回定格の満タン状態、例えば給油タンク26の全容積の90%給油した給油タンク26を本体1内に差し込んだ場合、(S4)から(S10)に進み、(S10)で現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tと、満タンの給油タンク26が有る状態の時の初期値fとを比較する。
【0038】
ここで初期値fは、満タンの給油タンク26を本体1内に差し込んだ時の下限値、つまり満タンの給油タンク26を本体1内に差し込んだ時に、給油タンク重量検知手段34の出力のバラツキや給油タンク26そのものの重量のバラツキ、燃油の温度による密度の変化などがあっても、給油タンク重量検知手段34の出力値Tがこの値よりも小さくならない値であり、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tがこの下限値である初期値f未満の場合は、給油時に満タンに給油せずに給油タンク26を本体1内に差し込んだと判断し、(S13)に進んで給油タンク残油量表示レベルを再設定せずに前回の設定のままとするので、例えば給油時に半分給油した給油タンク26を本体1内に差し込めば、表示部21の現在の給油タンク残油量の表示が半分の表示となり、満タンに給油していないのに満タンと誤表示してしまうのを防止できるものである。
【0039】
又、(S10)で現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tがこの下限値である初期値f以上の場合は、更に(S11)に進み、(S11)で現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tが、前記記憶値Fに補正係数aを乗じた補正値H未満の場合は、前回の給油が定格の満タンを越えて給油されたと判断して、(S12)に進んで満タンの給油タンク26が有る状態の時の記憶値Fを前記記憶値Fに補正係数aを乗じた補正値Hに更新して記憶することで、前回の給油が定格の満タンを越えて給油されても、前記記憶値Fを定格の満タンの給油タンク26が有る状態の時の出力値Tに自動的に近づけることができ、給油タンク残油量表示レベルの精度を向上させて正確な給油タンク残油量を表示部21に表示できるものである。
【0040】
又、(S11)で現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tが、前記記憶値Fに補正係数aを乗じた補正値H以上の場合は、前回の給油が定格の満タンを越えて給油され、今回も定格の満タンを越えて給油されたものの前回よりも少なく給油されたと判断して、(S6)に進んで前記記憶値Fを、現在の給油タンク重量検知手段34の出力値Tに更新して記憶することで、今回の給油が前回よりも少ないものの定格の満タンを越えて給油されたても、前記記憶値Fを定格の満タンの給油タンク26が有る状態の時の出力値Tに自動的に近づけることができ、給油タンク残油量表示レベルの精度を向上させて正確な給油タンク残油量を表示部21に表示できるものである。
【0041】
以上のように、定格の満タンより少ない給油量から定格の満タンより多い給油量までが満タン状態であり、満タン状態といっても幅があるものの、今回の給油量に従って前記記憶値Fを更新して記憶し、それに基づいて表示レベル数に分割して給油タンク残油量表示レベルを算出するので、給油する度に満タンの給油量が増減しても給油タンク残油量表示レベルの精度を向上させて正確な給油タンク残油量を表示部21に表示できるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 本体
2 燃焼部
3 制御装置
21 表示部
26 給油タンク
34 給油タンク重量検知手段