(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】フェンス用継手
(51)【国際特許分類】
E04H 17/16 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
E04H17/16 103
(21)【出願番号】P 2019041359
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000221351
【氏名又は名称】JFE建材フェンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】石川 昌克
(72)【発明者】
【氏名】米山 貴浩
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-239308(JP,A)
【文献】特開平10-008778(JP,A)
【文献】特開平11-081751(JP,A)
【文献】実開平01-130467(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 -17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦桟と横桟とが格子状に溶接され、胴縁は、リング状に折り曲げた前記縦桟の端部の外側に前記横桟を溶接することによって形成され、前記胴縁の下部には、隙間が形成されているメッシュフェンス用パネルを、丸パイプからなる支柱に固定するためのフェンス用継手において、
長手方向中央部にボルト孔が形成された板状の継手本体と、前記胴縁内に挿入される前記継手本体の両側に、前記継手本体を貫通して固定されたナットとからなり、前記継手本体の長手方向中央部の、前記支柱との取付け部分は、前記継手本体の長手方向に山状に湾曲し、前記継手本体の両側下部は、前記胴縁の前記隙間内に挿入され、前記継手本体の両側上部は、前記胴縁の上部内側に当接することを特徴とするフェンス用継手。
【請求項2】
前記継手本体の前記両側下部は、前記縦桟と当接するように円弧状に湾曲し、前記継手本体の両側上部は、前記取付け部分と反対方向に向けて折れ曲がっていることを特徴とする、請求項1に記載のフェンス用継手。
【請求項3】
前記継手本体には、補強用リブが形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のフェンス用継手。
【請求項4】
前記ボルト孔は、横長に形成されていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載のフェンス用継手。
【請求項5】
前記継手本体において、前記支柱との前記取付け部分の外側の上下端部は、前記支柱と間隔をあけて内側に折り曲げられていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載のフェンス用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フェンス用継手、特に、メッシュフェンス用パネルを支柱に固定するためのフェンス用継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メッシュフェンスは、縦桟と横桟とを格子状に溶接したものからなるパネルを、フェンス用継手を介して支柱に固定することによって構築される。
【0003】
従来のフェンス用継手の一例を、図面を参照しながら説明する。以下、この従来のフェンス用継手を従来継手という。
【0004】
図10は、従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す正面図、
図11は、従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す平面図、
図12は、従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す側面図である。
【0005】
図10から
図12において、11は、縦桟12と横桟13とを格子状に溶接したものからなるパネルである。パネル11の胴縁14は、リング状に折り曲げられた縦桟12の上端の外側に横桟13を溶接することによって形成されている。なお、図示の胴縁は、上胴縁を示す。
【0006】
15は、パネル11を丸パイプからなる支柱16に固定するための従来継手である。従来継手15は、胴縁14内に挿入される挿入部17と支柱16に固定される固定部18とからなっている。挿入部17には、挿入部17の一部をプレスにより打ち抜くことによって、後述するねじの螺合部19が形成されている。挿入部7には、ボルト孔20が形成され、固定部18には、ボルト孔21が形成されている。
【0007】
このように構成されている従来継手15によりパネル11を支柱16に固定するには、従来継手15の挿入部17をパネル11の胴縁14に挿入し、固定金具22を胴縁14に当てがい、ねじ23を固定金具22を通して挿入部17の螺合部19にねじ込む。
【0008】
このようにして、従来継手15を左右のパネル11の胴縁14に固定したら、ボルト24を一方の従来継手15の固定部18のボルト孔21から支柱16を通して他方の従来継手15の固定部18のボルト孔21に通し、ナット25を締める。これによって、パネル11は、従来継手15により支柱16に固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来継手15によれば、パネル11を支柱16に固定することはできるが、2つの継手が必要であるので、継手の数の削減と施工性の改善が望まれている。
【0010】
従って、この発明の目的は、継手の数を削減することができるとともに、施工性の改善を図ることができるフェンス用継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0012】
請求項1に記載の発明は、縦桟と横桟とが格子状に溶接され、胴縁は、リング状に折り曲げた前記縦桟の端部の外側に前記横桟を溶接することによって形成され、前記胴縁の下部には、隙間が形成されているメッシュフェンス用パネルを、丸パイプからなる支柱に固定するためのフェンス用継手において、長手方向中央部にボルト孔が形成された板状の継手本体と、前記胴縁内に挿入される前記継手本体の両側に、前記継手本体を貫通して固定されたナットとからなり、前記継手本体の長手方向中央部の、前記支柱との取付け部分は、前記継手本体の長手方向に山状に湾曲し、前記継手本体の両側下部は、前記胴縁の前記隙間内に挿入され、前記継手本体の両側上部は、前記胴縁の上部内側に当接することに特徴を有するものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記継手本体の前記両側下部は、前記縦桟と当接するように円弧状に湾曲し、前記継手本体の両側上部は、前記取付け部分と反対方向に向けて折れ曲がっていることに特徴を有するものである。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記継手本体には、補強用リブが形成されていることに特徴を有するものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、前記ボルト孔は、横長に形成されていることに特徴を有するものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、前記継手本体において、前記支柱との前記取付け部分の外側の上下端部は、前記支柱と間隔をあけて内側に折り曲げられていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、1つの継手でパネルを支柱に固定することができるので、継手の数を削減することができるとともに、継手本体にナット機能を付加することによって、施工性の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明のフェンス用継手を示す正面図である。
【
図2】この発明のフェンス用継手を示す平面図である。
【
図3】この発明のフェンス用継手を示す側面図である。
【
図4】この発明のフェンス用継手を示す背面図である。
【
図6】この発明のフェンス用継手により支柱にパネルを取り付けた状態を示す正面図である。
【
図7】この発明のフェンス用継手により支柱にパネルを取り付けた状態を示す平面図である。
【
図8】この発明のフェンス用継手により支柱にパネルを取り付けた状態を示す側面図である。
【
図9】この発明のフェンス用継手により支柱にパネルを取り付けた状態を示す背面図である。
【
図10】従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す正面図である。
【
図11】従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す平面図である。
【
図12】従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明のフェンス用継手の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、この発明のフェンス用継手を示す正面図、
図2は、この発明のフェンス用継手を示す平面図、
図3は、この発明のフェンス用継手を示す側面図、
図4は、この発明のフェンス用継手を示す背面図、
図5は、
図1のA-A線断面図である。
【0021】
図1から
図5において、1は、長手方向中央部に横長のボルト孔2が形成された板状の継手本体、3は、後述する胴縁14内に挿入される継手本体1の両側に、継手本体1を貫通して、かしめにより固定されたナットである。ボルト孔2を横長に形成したのは、継手本体1の取り付けを調整するためである。
【0022】
継手本体1の長手方向中央部の、支柱4との取付け部分(S)(
図2参照)は、継手本体1の長手方向に山状に湾曲している。これは継手本体1の両側を後述するパネル11の胴縁14の中央部に挿入させるためである。
【0023】
継手本体1の両側下部1aは、後述する縦桟12と当接させるために円弧状に湾曲し、胴縁14の隙間(m)(
図8参照)内に挿入される。継手本体1の両側上部1bは、取付け部分(S)と反対方向に向けて折れ曲がり、胴縁14の上部内側に当接する。
【0024】
継手本体1には、補強用リブ5が上下に形成され、継手本体1が補強されている。また、継手本体1において、支柱4との取付け部分の外側の上下端部1cは、支柱4と間隔(O)をあけて内側に折り曲げられている。これによって、継手本体1の補強が可能になるとともに、支柱4にパネル11を傾斜させて取り付けることが可能になる。
【0025】
なお、パネル11は、前述したパネルと同様に、縦桟12と横桟13とを格子状に溶接したものからなり、パネル11の胴縁14は、リング状に折り曲げられた縦桟12の上端の外側に横桟13を溶接することによって形成され、胴縁14の下部には、隙間(m)が形成されている。
【0026】
このように構成されている、この発明の継手によりパネルを支柱に固定するには、
図6から
図9に示すように、支柱4に継手本体1を当てがい、ボルト6を支柱4に形成されたボルト孔7から、継手本体1のボルト孔2に通し、ナット8を締める。
【0027】
このようにして、継手本体1を支柱4に固定したら、継手本体1の一方側をパネル11の胴縁14内に挿入する。挿入方法は、例えば、胴縁14に形成された隙間(m)から継手本体1を胴縁14内に差し込む方法を採用する。
【0028】
次に、固定金具9を胴縁14に当てがい、ボルト10を長孔9aが形成された固定金具9を通してナット3にねじ込む。これによって、継手本体1の両側下部1aが胴縁14の隙間(m)内に挿入され、継手本体1の両側上部1bが胴縁14の上部内側に当接する継手本体1が締め付けられるので、支柱4にパネル11が固定される。
【0029】
このようにして、パネル11は、この発明の継手により支柱4に固定される。これを左右のパネル11において行えば、メッシュフェンスを構築することができる。
【0030】
以上、説明したように、この発明によれば、長手方向中央部にボルト孔2が形成された板状の継手本体1と、胴縁14内に挿入される継手本体1の両側に、継手本体1を貫通して固定したナット3とにより構成することによって、1つの継手でパネルを支柱に固定することができるので、継手の数の削減と施工性の改善を図ることができる。
【符号の説明】
【0031】
1:継手本体
1a:継手本体の両側下部
1b:継手本体の両側上部
1c:上下端部
2:ボルト孔
3:ナット
4:支柱
5:補強用リブ
6:ボルト
7:ボルト孔
8:ナット
9:固定金具
9a:長孔
10:ボルト
11:パネル
12:縦桟
13:横桟
14:胴縁
15:従来継手
16:支柱
17:挿入部
18:固定部
19:螺合部
20:ボルト孔
21:ボルト孔
22:固定金具
23:ねじ
24:ボルト
25:ナット