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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
A61B8/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019512000
(86)(22)【出願日】2017-09-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2017071998
(87)【国際公開番号】W WO2018042008
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-28
(31)【優先権主張番号】16186862.5
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クリンダー,トビーアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヒター-シュテーレ,イリーナ
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/042808(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0081705(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0232394(US,A1)
【文献】特開2013-138869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0173175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に対象を分析するための、超音波診断装置であって:
・前記対象から3D超音波データを受信するように構成された超音波データインタフェースと、
・前記3D超音波データに基づいて2D超音波面を提供するように構成された面抽出ユニットと、
・前記2D超音波面における前記対象の解剖学的構造をセグメント化し、前記解剖学的構造のセグメンテーションデータを提供するためのセグメンテーションユニットと、
・前記解剖学的構造の前記セグメンテーションデータに基づいて、前記対象の前記解剖学的構造を測定するための測定ユニットと、
・前記対象の前記測定された解剖学的構造に基づいて、少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを計算するように構成された計算ユニットと、
を備え
前記測定ユニットは、前記解剖学的構造の前記セグメンテーションデータに基づいて前記対象の前記解剖学的構造の複数の異なるバイオメトリック測定を実行するように構成され、前記計算ユニットは、別々に、前記複数の異なるバイオメトリック測定のそれぞれに基づいて、前記少なくとも1つのバイオメトリックパラメータのパラメータ値を計算するように構成され、
前記計算ユニットは、前記複数の異なるバイオメトリック測定のそれぞれに基づいて計算された前記パラメータ値の相互相関を計算するように構成される、超音波診断装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを計算するためにバイオメトリックデータを受信するように構成されたデータインタフェースをさらに備える、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記バイオメトリックデータは、所定のモデルベースセグメンテーションデータを含む、請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記測定ユニットは、測定アルゴリズムに基づいて前記少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを計算するように構成された、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記アルゴリズムは、事前に選択され、前記超音波診断装置のメモリに記憶される、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記測定アルゴリズムはユーザによって事前に選択される、請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記測定アルゴリズムは、前記計算された少なくとも1つのバイオメトリックパラメータに基づいて選択される、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記測定ユニットによって実行される前記複数の異なるバイオメトリック測定は、(i)前記対象の異なるバイオメトリック測定を評価し、(ii)異なる測定アルゴリズムに基づいて実行され、及び/又は(iii)異なる3D超音波データ組から抽出されたセグメンテーションデータに基づいて実行される、請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記計算ユニットは、前記計算された相互相関が、所定の相関しきい値より大きい場合、前記少なくとも1つのバイオメトリックパラメータの前記計算の精度を推定するように構成された、請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
計算ユニットが、前記計算された相互相関が所定の相関しきい値未満の場合、前記測定ユニットによって実行されたさらなるバイオメトリック測定に基づいて、前記少なくとも1つのバイオメトリックパラメータのさらなるパラメータ値を計算するように構成される、請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記計算ユニットは、前記さらなるパラメータ値を前記複数の異なるバイオメトリック測定のそれぞれに基づいて計算された前記パラメータ値と比較し、前記比較に基づいて信頼値を抽出するように構成された、請求項10に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
・超音波診断装置の超音波データインタフェースが、3D超音波データを対象から受信するステップと、
・前記超音波診断装置の面抽出ユニットが、前記3D超音波データに基づいて2D超音波面を抽出するステップと、
・前記超音波診断装置のセグメンテーションユニットが、解剖学的構造のセグメンテーションデータを提供するために前記2D超音波面における前記対象の解剖学的構造をセグメント化するステップと、
・前記超音波診断装置の測定ユニットが、前記解剖学的構造の前記セグメンテーションデータに基づいて前記対象の前記解剖学的構造を測定するステップと、
・前記超音波診断装置の計算ユニットが、前記対象の測定された解剖学的構造に基づいて少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを計算するステップと、
を含み、
前記対象の前記解剖学的構造を測定するステップは、前記解剖学的構造の前記セグメンテーションデータに基づいて前記対象の前記解剖学的構造の複数の異なるバイオメトリック測定を実行することによって行われ、前記少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを計算するステップは、別々に、前記複数の異なるバイオメトリック測定のそれぞれに基づいて、前記少なくとも1つのバイオメトリックパラメータのパラメータ値を計算することによって行われ、
前記複数の異なるバイオメトリック測定のそれぞれに基づいて計算された前記パラメータ値の相互相関がさらに計算される、特に対象を分析するための超音波診断装置の作動方法。
【請求項13】
特に対象の画像化のための超音波画像化装置であって、
・グラフィカルユーザインタフェース、特に超音波画像データを表示するように構成されたディスプレイユニットと、
・前記対象を分析するための請求項1に記載の超音波診断装置と、
を含み、
前記グラフィカルユーザインタフェースは、前記少なくとも1つのバイオメトリックパラメータの前記計算結果を表示するように適合されている、超音波画像化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に胎児(fetus)を分析するための超音波診断装置に関連する。本発明は、特に胎児を分析するための超音波診断方法にさらに関連する。本発明は、分析される対象(object)の少なくとも1つの計算されたバイオメトリックパラメータ(biometric parameter)の計算結果を表示するための、本発明によるグラフィカルインタフェース及び超音波診断装置を含む超音波画像化装置にさらに関連する。本発明は、本発明による方法のステップを実行するコンピュータプログラムに、最後に関連する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像化システム(ultrasound imaging systems)は、人間の患者の解剖学的特徴(anatomical features)の検査に関するものとして一般に知られている。特に、超音波画像化システム及び超音波診断システムは、例えば、米国特許出願公開第2013/0173175号明細書に開示されたような胎児のバイオメトリックス(biometrics)を測定することを含む、胎児の出生前スクリーニング検査のために使用される。
【0003】
胎児の超音波は、胎児のスクリーニング、診断及び妊娠(在胎)期間(gestational age)の推定に対する最適のモダリティ(modality)である。上述の資料、米国特許出願公開第2013/0173175号明細書に開示されるように現在の手続きは、2次元の超音波に主に基づいている。しかしながら、超音波ベースバイオメトリック測定は、エラーが発生しやすく(error prone)、時間が掛かり、実際に行う測定の回数が通常制限される。通常のケースを仮定すると、妊娠期間は、例えば、頭囲(head circumference)、大腿骨長(femur length)などのたった一回の測定によって推定できる。スクリーニングに関しては、バイオメトリック測定は、所定のタスクに対して典型的には個別に実行され、例えば、小脳の直径は、脳の発達異常を検出するために測定されても良い。これらの測定は、しかしながら、異常な状態が見落とされたり、又はバイオメトリック測定の精度の欠如が検出されないままだったりする状況に導く。
【0004】
超音波画像の自動分析は、しかしながら、短い時間で多くの測定の実行を可能にする。画像は、さらなる処理に対してシステムの中で直ちに利用可能であり、一方、超音波測定は、放射能のない状態で実行され(inactively executed)、システムに入れられなければならない。頭の自動バイオメトリック測定を実行する能力は、胎児スクリーニングの効率を向上させる。同時に、測定が信頼できるかはオペレータ(operator)に必ずしも明確ではなかった。多数の測定に包含される冗長性により、典型的なモダリティ依存測定の正確さなどに関連して、ある偏差(deviation)のしきい値に基づいて不一致(disagreement)を検出することができる。この段階での不一致の場合、それが測定のエラー(error)によって又は異常な状態によって引き起こされているのは、はっきりしない。オペレータは、関連する解剖学的構造を示す画像の上に不一致な測定を表示することによってこの質問に売り切る(outsell)ようにガイドされる。
【0005】
しかしながら、利用可能な超音波診断システムは、それが予想されるバイオメトリックパラメータから外れた場合に、検出されたバイオメトリックパラメータの異常な状態が正しいか否かをオペレータに示すエラー検出システムは持っていない。
【0006】
米国特許出願公開第2007/0081705号明細書は、胎児の超音波画像における解剖学的構造をセグメント化し、測定する方法を開示し、その方法は、3Dグリッドの点領域に対応する複数の強度(intensities)を含む胎児のデジタル化超音波画像を提供するステップと、胎児の画像において解剖学的構造を検出するようにトレーニングされた複数の分類器を提供するステップと、胎児の超音波画像に楕円形輪郭分類器(elliptical contour classifiers)を適用することによって、画像分類器を使って解剖学的構造をセグメント化して測定するステップであって、解剖学的構造を特徴付ける複数の2D輪郭が検出される、ステップとを含む。解剖学的構造測定は、胎児の妊娠期間を推定するために他の解剖学的構造と組み合わせることができる。
【0007】
欧州特許出願公開第2 624 211号明細書は、画像処理装置を開示し、その装置は、対象の骨を含む被験者(subject)の画像データを取得するためのデータ取得デバイスと、画像データに基づいていき値化を実行することによって2値の画像データを取得し、ラベル付によって、2値の画像データを複数のセグメントにセグメント化し、対象の骨の画像の特徴に基づいて対象画像としての複数のセグメントのうちの1つを決定し、対象画像に基づいて対象の骨の長さを測定する、データプロセッサを含む。
【0008】
欧州特許出願公開第2 982 306号明細書は、超音波診断装置を開示し、その装置は、対象の頭に対する体積データを取得するように構成されたデータ取得ユニットと、体積データから正中矢状面(MSP:mid-sagittal plane)を検出し、MSPに対応するMSP画像を生成し、MSPに基づいて少なくとも1つの測定面を検出し、少なくとも1つの測定面に対応する少なくとも1つの測定面画像を生成するように構成された画像プロセッサと、単一のスクリーン状にMSP画像及び少なくとも1つの測定面画像を表示するように構成されたディスプレイとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開第2013/0173175号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0081705号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2 624 211号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2 982 306号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、改良された超音波診断装置を提供することであり、その装置は、計算され、測定されたバイオメトリックパラメータに対して自動でエラーを検出するこを含み、備えられた超音波検出の改善された精度を提供する。本発明のさらなる目的は、そのような方法を実装するための対応する方法、対応する超音波画像化装置、及び対応するコンピュータ・プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様における、特に対象を分析するための、超音波診断装置であって:
・前記対象から3D超音波データを受信するように構成された超音波データインタフェースと、
・前記3D超音波データに基づいて2D超音波面を提供するように構成された面抽出ユニットと、
・前記2D超音波面における前記対象の解剖学的構造をセグメント化し、前記解剖学的構造のセグメンテーションデータを提供するためのセグメンテーションユニットと、
・前記解剖学的構造の前記セグメンテーションデータに基づいて、前記対象の前記解剖学的構造を測定するための測定ユニットと、
・前記対象の前記測定された解剖学的構造に基づいて、少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを計算するように構成された計算ユニットと、
を備えるものが提示される。
【0012】
本発明のさらなる態様において、
・3D超音波データを超音波データインタフェースで対象から受信するステップと、
・前記3D超音波データに基づいて2D超音波面を抽出するステップと、
・解剖学的構造のセグメンテーションデータを提供するために前記2D超音波面における前記対象の解剖学的構造をセグメント化するステップと、
・前記解剖学的構造の前記セグメンテーションデータに基づいて前記対象の前記解剖学的構造を測定するステップと、
・前記対象の測定された解剖学的構造に基づいて少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを計算するステップと、
を含む、特に対象を分析するための超音波診断方法が提示される。
【0013】
本発明のさらなる態様において、特に対象の画像化のための超音波画像化装置であって、
・グラフィカルユーザインタフェース、特に超音波画像データを表示するように構成されたディスプレイユニットと、
・前記対象を分析するための請求項1に記載の超音波診断装置と、
を含み、
前記グラフィカルユーザインタフェースは、前記少なくとも1つのバイオメトリックパラメータの前記計算結果を表示するように適合されている、超音波画像化装置が提示される。
【0014】
本発明のさらに別の態様では、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されたときに上述の方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を含むコンピュータが提示される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に規定される。請求項の方法は、請求されるデバイスとして、及び従属請求項で定義されるように、類似の及び/又は同一の好ましい実施形態を持つと理解される。
【0016】
本発明は、対象のあるバイオメトリックコンポーネント、特に胎児の妊娠期間を測定するためにバイオメトリックパラメータを決定するために、対象から取得された3次元超音波データを利用し、自動的に抽出された2次元データ面を提供するアイデアに基づいている。3次元(3D)超音波システムによる対象の測定に起因して、放射被爆、特に胎児の放射被爆が削減されるので、対象の健康は、CT画像ベース3Dデータと比較して影響されない。その結果、超音波診断装置は、クリティカルなバイオメトリック3Dパラメータを決定するために利用でき、一方、対象の健康は、超音波照射によって影響を受けない。
【0017】
好ましい実施形態において、超音波診断装置は、さらに、少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを計算するためにバイオメトリックデータを受信するように構成されたデータインタフェースを備える。これは、誤ったバイオメトリックパラメータを決定するための技術的努力が軽減されるように、計算されたバイオメトリックパラメータを以前に計算されたパラメータ又は文献のバイオメトリックパラメータと比較するための参照データを提供する可能性がある。
【0018】
超音波診断装置は、さらに、超音波データにおける対象の解剖学的構造をセグメント化し、解剖学的構造のセグメンテーションデータを提供するためのセグメンテーションユニットを備え、測定ユニットは、これが後続の測定ユニットによって必要とされ、セグメンテーションユニットを省略できない場合、セグメンテーションデータに基づいて対象の解剖学的構造を測定することを提供する。セグメンテーションユニットは、解剖学的構造の測定結果及び少なくとも1つのバイオメトリックパラメータの決定を向上させる可能性を与える。
【0019】
さらに好ましい実施形態において、バイオメトリックデータは、所定のモデルベースセグメンテーションデータを含む。バイオメトリックパラメータは、モデルベースセグメンテーションデータに基づくので、セグメンテーションデータに基づいてバイオメトリックパラメータのエラーを決定するための技術的努力を削減することができる可能性がある。
【0020】
超音波診断装置は、さらに、3D超音波データに基づいて2D(2次元)超音波面を提供するように構成された面抽出ユニット(plane extraction unit)であって、セグメンテーションユニットは、2D超音波面に基づいて解剖学的構造をセグメント化するように構成される。2D超音波面に基づく解剖学的構造のセグメンテーションは、3D体積画像データのセグメンテーションより技術的により複雑ではないので、技術的努力を削減することができる可能性がある。
【0021】
さらに好ましい実施形態において、測定ユニットは、例えば、ニューラルネットワークベースアプローチなどのマシンラーニング方法を使用して、直接測定(明白な事前セグメンテーションなしで)に基づいて少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを測定するように構成される。
【0022】
さらに好ましい実施形態において、測定ユニットは、測定アルゴリズムに基づいて、少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを測定するように構成される。これにより、バイオメトリックパラメータの計算の複雑さがさらに削減される可能性がある。
【0023】
アルゴリズムが事前に選択され、超音波診断装置のメモリに記憶されることがさらに好ましい。これによって、オペレータが装置を扱うことに関する柔軟性及び単純さに加えて、システムを利用するバイオメトリックパラメータの最初の推定を提供するために、デフォルトにより所定のアルゴリズムを利用することができる可能性がある。
【0024】
さらに好ましい実施形態において、測定アルゴリズムは、ユーザによって事前選択される。これによって、ユーザは、少なくとも1つのバイオメトリックパラメータの測定アルゴリズムを良く知っているので、超音波診断装置及び計算されたバイオメトリックパラメータをさらに単純化する可能性がある。
【0025】
さらに好ましい実施形態において、測定アルゴリズムは、計算された少なくとも1つのバイオメトリックパラメータに基づいて選択される。これによって、少なくとも1つのバイオメトリックパラメータの計算が反復して向上できる可能性がある。
【0026】
さらに好ましい実施形態において、測定ユニットは、色々な測定アルゴリズムに基づいて解剖学的構造を測定するように構成される。これにより、自動的に測定アルゴリズムに適応し、現在のバイオメトリックパラメータを決定する最適の測定アルゴリズムに反復して達する可能性がある。
【0027】
さらに好ましい実施形態において、測定ユニットは、色々な測定アルゴリズムに基づいて解剖学的構造を測定するように構成される。これにより、計算されるバイオメトリックパラメータを決定する最高の測定アルゴリズムを見つけるために、色々な測定アルゴリズムの測定結果を比較できる可能性がある。
【0028】
さらに好ましい実施形態において、測定ユニットは、対象の色々な解剖学的構造に基づいて3D画像データを測定するように構成される。これにより、例えば、左右の大腿骨(femur)の例えば、左右の解剖学的特徴の様々な測定の測定の組を相関付ける可能性がある。これは、超音波測定の組に基づいてバイオメトリ精度推定(biometry accuracy estimation)を提供するさらなる可能性がある。
【0029】
さらに好ましい実施形態において、計算ユニットは、ある3D超音波データからの測定においてエラーを決定するために異なる超音波データに基づいてセグメンテーションデータの相互相関を計算するように構成される。これは、異なる超音波データは、バイオメトリックパラメータを比較し、相互相関を計算するために利用できるので、低い技術的努力によって測定された超音波データにおけるエラーを決定できる可能性がある。
【0030】
さらに好ましい実施形態において、計算ユニットは、3D超音波データにおける偏差(deviation)を決定するために、種々の測定アルゴリズムに基づいてセグメンテーションデータの相互相関を計算するように構成される。これは、種々の測定アルゴリズムの相互相関は低い技術的努力で比較できるので、低い技術的努力でエラーのある超音波データを決定できる可能性がある。
【0031】
さらに好ましい実施形態において、測定ユニットは、種々のアルゴリズムの相互相関に基づいてエラーを決定するように構成される。
【0032】
さらに好ましい実施形態において、超音波診断装置は、さらに、例えば、少なくとも1つのバイオメトリックパラメータの計算結果を表示し、ユーザの命令を入力する入力ユニットとして利用できるように構成されたタッチスクリーンなどの、特に表示ユニットなどのグラフィカルユーザインタフェースを備える。これにより、測定し計算したバイオメトリックパラメータ及び計算されたパラメータの可能性のあるエラーをユーザに提示できる可能性があり、それにより、超音波診断装置の取り扱う努力を削減することができる可能性がある。
【0033】
さらなる実施形態において、測定ユニットは、解剖学的構造のセグメンテーションデータに基づいて対象の解剖学的構造の複数の種々のバイオメトリック測定を実行するように構成され、計算ユニットは、複数の種々のバイオメトリック測定のそれぞれに基づいて少なくとも1つのバイオメトリックパラメータのパラメータ値を計算するように構成される。
【0034】
さらなる実施形態において、測定ユニットにより実行される複数の種々のバイオメトリック測定は、(i)対象の種々のバイオメトリック測定を評価し、(ii)異なる測定アルゴリズムに基づいて実行され、及び/又は(iii)異なる3D超音波データセットから抽出されたセグメンテーションデータに基づいて実行される。
【0035】
さらなる実施形態において、計算ユニットは、複数の種々のバイオメトリック測定のそれぞれに基づいて計算されたパラメータ値の相互相関を計算するように構成される。
【0036】
さらなる実施形態において、計算ユニットは、計算された相互相関が所定の相関しきい値を超えている場合、少なくとも1つのバイオメトリックパラメータの計算の精度を推定するように構成される。
【0037】
さらなる実施形態において、計算ユニットは、計算された相互相関が所定の相関しきい値よりも低い場合に、測定ユニットによって実行されたさらなるバイオメトリック測定に基づいて少なくとも1つのバイオメトリックパラメータのさらなるパラメータ値を計算するように構成される。
【0038】
さらなる実施形態において、計算ユニットは、さらなるパラメータ値を複数の種々のバイオメトリック測定のそれぞれに基づいて計算されたパラメータ値と比較し、その比較に基づいて信頼値を抽出するように構成される。
【0039】
上述のとおり、3次元超音波データは、一般に超音波診断装置の診断を改善するために少なくとも1つのバイオメトリックパラメータの計算結果を向上するために、対象の測定の精度を改善することができる。さらに、対象から取られた超音波画像によって、対象の放射被爆を削減することができ、それによって対象のストレスも削減することができる。
【0040】
さらに、種々の計算アルゴリズム及び種々のデータベースによって、取得された超音波データにおけるエラーを決定する技術的努力は削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明のこれらの及び別の態様は、以下で説明される実施形態を参照すると明らかであり、且つ明瞭である。
図1】患者の身体の一部をスキャンするたに使用中の超音波画像化システムの概略表現を示す。
図2】アレイトランスデューサを持つ超音波画像化システムの実施形態の概略ブロック図を示す。
図3】胎児をスキャンするための超音波画像化装置の概略図を示す。
図4】2つの異なる視野方向(viewing directions)でスキャンされる患者の概略図を示す。
図5】胎児を分析するための超音波診断方法の概略フロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の態様による医療用超音波診断装置10を参照する前に、超音波システム100の基本原理が図1及び図2を参照して説明される。
【0043】
図1は、超音波システム100、特に医療用3次元(3D)超音波画像化システムの概略図を示す。超音波画像化システム100は、解剖学的部位、特に時間と共に患者12の解剖学的部位の体積(volume)を検査するために適用される。超音波システム100は、超音波を送信及び/又は受信するための多数のトランスデューサ要素を持つ少なくとも1つのトランスデューサアレイを持つ超音波プローブ14を備える。1例において、トランスデューサ要素のそれぞれは、特定のパルス持続期間、特に、複数の後続の送信パルスの少なくとも1つの伝送パルスの形で超音波を送信することができる。トランスデューサ要素は、特に、複数の平面又は3次元の画像を提供するために、2次元アレイに好ましくは構成される。
【0044】
3次元超音波システムの特定の例は、特に、出願人のxMatrixテクノロジーを使用する出願人のX6-1又はX7-2t TEEトランスデューサ又は他のトランスデューサと共に出願人によって販売されるCX40コンパクトXtreme超音波システムであっても良い。一般に、フィリップスのiE33システムに見られるようなマトリックストランスデューサシステム又は例えば、フィリップスiU22及びHD15システムに見られるようなメカニカル3D/4Dトランスデューサ技術は、本発明と共に適用しても良い。
【0045】
3D超音波スキャンは、対象の体積又は体積領域として指定され得る身体内の特定の体積に当てる超音波を放射することを含む。これは、複数の異なる角度で超音波を放射することによって達成することができる。体積データのセットは、次に、反射波を受信して処理することによって取得される。体積データのセットは、時間と共に身体内の対象体積の表現である。時間は通常4番目の次元として示されるので、時間と共に3D画像シーケンスを供給するそのような超音波システム100は、ときどき、4D超音波画像化システムとも呼ばれる。
【0046】
超音波プローブ14は、非侵襲なやり方で(図1に示したような)又は、通常TEE(明確に図示せず)において行われるような侵襲なやり方のいずれかで使用されても良いことが理解される。超音波プローブ14は、例えば、医療従事者や内科医などの、システムのユーザによって手で持って操作できても良い。解剖学的位置、特に患者12の解剖学的対象の画像が提供されるように、超音波プローブ14は、患者12の身体に当てられる。
【0047】
さらに、超音波システム100は、超音波システム100を経由して3D画像のシーケンスの供給を制御する画像復元ユニット16を備えても良い。以下でさらに詳細に説明されるように、画像復元ユニット16は、超音波プローブ14のトランスデューサアレイを介したデータの取得のみではなく、超音波プローブ14のトランスデューサアレイによって受信された超音波ビームのエコーから3D画像シーケンスを形成する信号と画像処理も制御する。
【0048】
超音波システム100は、ユーザに3D画像シーケンスを表示するためのディスプレイ18をさらに備えても良い。また、入力デバイス20は、キー又はキーボード22及び例えば、トラックボール24などのさらなる入力するデバイスを備えても良い。入力デバイス20は、ディスプレイ18に又は画像復元ユニット16に直接、接続されても良い。
【0049】
図2は、超音波システム100の概略ブロック図を説明する。超音波プローブ14は、例えば、CMUTトランスデューサアレイ26を備えても良い。トランスデューサアレイ26は、代わりに、PZT又はPVDFなどの材料で形成された電圧型トランスデューサ要素を備えても良い。トランスデューサアレイ26は、3D画像に対して3次元でスキャンする能力のあるトランスデューサ要素の1次元又は2次元のアレイである。トランスデューサアレイ26は、CMUTアレイセル又は電圧型要素による信号の送受信を制御するプローブにあるマイクロビームフォーマ28に接続される。マイクロビームフォーマは、米国特許第5,997,479号(Savord他)、米国特許第6,013,032号(Savord)及び米国特許第6,623,432号(Powers他)に記載されたようなトランスデューサ要素のグループ又は「パッチ(patches)」によって受信される信号の少なくとも一部をビームフォーミングする能力がある。マイクロビームフォーミング29は、送信/受信(T/R)スイッチ30にプローブケーブルによって接続されても良く、送信/受信(T/R)スイッチ30は、送信と受信の間で切り替わり、マイクロビームフォーマ28が使用されておらず、トランスデューサアレイ26がメインビームフォーマ34によって直接操作されているときに、高エネルギーの送信信号からメインビームフォーマ34を保護することができる。マイクロビームフォーマ28の制御下にあるトランスデューサアレイ26からの超音波ビームの送信は、T/Rスイッチ30及びメインのシステムビームフォーマ34によってマイクロビームフォーマ28に接続されたトランスデューサコントローラ32によって管理され、メインのシステムビームフォーマ34は、ユーザインタフェース又はコントロールパネル22のユーザの操作からの入力を受信する。トランスデューサコントローラ32によって制御される機能の1つは、ビームが進み、フォーカスされる向きである。ビームは、トランスデューサアレイ26から(直角に)まっすぐ進んでも良いし、又はより広い視野に対して様々な角度で進んでも良い。トランスデューサコントローラ32は、CMUTアレイに対してDCバイアスコントロール58を制御するために接続できる。DCバイアスコントロール58は、CMUTセルに適用されるDCバイアス電圧を設定する。
【0050】
受信に応答してマイクロビームフォーマ26によって生成される部分的にビーム形成された信号は、メインのビームフォーマ34に接続され、トランスデューサ要素の個別のパッチからの部分的にビーム形成された信号は、完全にビーム形成された信号に合成される。例えば、メインのビームフォーマ34は、128のチャンネルを有しても良く、それらのチャンネルのそれぞれは、数十から数百のCMUTトランスデューサセル又は電圧型要素のパッチからの部分的にビーム形成信号を受信する。このようにして、トランスデューサアレイ26の数千のトランスデューサ要素によって受信された信号は、単一のビームが形成された信号に効率的に寄与することができる。
【0051】
ビームが形成された信号は、信号プロセッサ36に接続される。信号プロセッサ36は、細胞及び/又は患者12の身体に事前に塗布した造影剤に含まれる微小気泡から返ってくる非線形(基本周波数より高調波)エコー信号の特定を可能にするために、バンドパスフィルタリング、デシメーション、I及びQ成分分離、及び線形信号と非線形信号を分離するために働く高調波信号分離などの様々な方法で受信したエコー信号を処理することができる。信号プロセッサ36は、スペックル削減(speckle reduction)、信号合成(signal compounding)、及びノイズ除去(noise elimination)などの追加の信号強調も行う。信号プロセッサ36の中のバンドパスフィルタは、エコー信号が増加する深度から受信されるにつれて、その通過帯がより高い周波数帯からより低い周波数帯にスライドする追跡フィルタであり、その結果、それらの周波数では身体構造上の情報が欠けているより大きな深度からのより高い周波数でのノイズを拒絶する。
【0052】
処理された信号は、Bモードプロセッサ38及びドップラプロセッサ40に転送されても良い。Bモードプロセッサ38は、身体における器官の細胞及び身体の血管などの身体における構造の画像化のために受信した超音波信号の振幅の検出に用いる。身体の構造のBモード画像は、米国特許第6,283,919号(Roundhill他)及び米国特許第6,458,083号(Jago他)に記載されているように、ハーモニック画像モード(harmonic image mode)又は基本画像モード(fundamental image mode)又はそれらの組み合わせのいずれかで形成されても良い。
【0053】
ドップラプロセッサ40は、画像領域における血液細胞の流れなどとして物質の動きを検出するための細胞の動き及び血液の流れからの一時的な特徴のある信号を処理する。ドップラプロセッサ40は、身体の材質の選択された種類から戻されたエコーを通し(pass)、及び/又は拒絶する(reject)ように設定するためのパラメータを持つウォールフィルタ(wall filter)を含む。例えば、ウォールフィルタは、より高い速度の材質からの比較的低い振幅の信号を通し、一方、より低い又はゼロの速度の材質からの比較的強い信号を拒否するよに、通過帯域(passband)特徴を持つように設定できる。この通過帯域特徴は、流れている血液からの信号を通し、心臓の壁などの対象のすぐ近くの動かない又は遅い動きの対象からの信号を拒絶する。反対の特徴は、心臓の動く細胞からの信号を通し、一方、細胞の動きを画像化し、検出して表現する細胞ドップラと呼ばれるものに対して血流の信号を拒絶する。ドップラプロセッサ40は、画像フィールド、アンサンブルと呼ばれる特定の位置からの一連のエコーにおける異なるポイントからの時間的な個別のエコーの一連の信号を受信し、処理しても良い。比較的短い間隔に渡る速い連続で受信されたエコーの集合(ensemble)は、血流の速度を示す速度に対するドップラ周波数の対応によって、血流のドップラ遷移周波数を推定するために使用できる。より長い期間に渡って受信されたエコーの集合体は、より遅い流れの血液又は遅い動きの細胞の速度を推定するのに使用される。
【0054】
Bモード及びドップラプロセッサ38、40によって生産される構造的な又は動きの信号は、次に、スキャンコンバータ44及びマルチプレーナリフォーマッタ54に転送されても良い。スキャンコンバータ44は、所望の画像フォーマットで受信されたものから空間的関連性におけるエコー信号を配置する。例えば、スキャンコンバータ44は、エコー信号を2次元(2D)セクタ形状のフォーマット、又はピラミッド型の3次元(3D)画像に構成しても良い。スキャンコンバータ44は、画像フィールドにおける細胞及び血流の動きを描写するカラードップラ画像を生成するために、それらのドップラ推定速度を持つ画像フィールドの点における動きに対応する色をBモード構造画像上にオーバーレイすることができる。マルチプレーナリフォーマッタ54は、米国特許第6,443,896号(Detmer)に記載されたように、身体の容積測定領域における共通面における点から受信されたエコーをその面の超音波画像に変換する。体積レンダラ52は、3Dデータセットのエコー信号を、米国特許第6,530,885号(Entrekin他)に記載されたように、ある基準点から見て、時間にわたり投影された3D画像シーケンス56に変換する。3D画像シーケンス56は、ディスプレイ18上に表示するためのさらなる向上、バッファリング及び一時記憶のために、スキャンコンバータ44、マルチプレーナリフォーマッタ54、および体積レンダラ52から3D画像プロセッサ42に転送される。画像化のために使用することに加えて、ドップラプロセッサ40によって生成される血流値及びBモードプロセッサ38によって生成される細胞構造情報は、定量化プロセッサ46に転送されても良い。この定量化プロセッサ46は、血流の体積率などの様々な流動状態の測定、及び臓器のサイズ及び妊娠期間などの構造的測定を生成することができる。定量化プロセッサ46は、測定が行われる画像の組織の点などの、ユーザ制御パネル22からの入力を受信しても良い。定量化プロセッサ46からの出力データは、ディスプレイ18上の画像と共に測定図形と値を再現するために、グラフィックスプロセッサ50に転送されても良い。グラフィックスプロセッサ50は、超音波画像と共に表示するためにグラフィックオーバーレイも生成することができる。これらのグラフィックオーバーレイは、患者の名前、画像の日時、画像化パラメータなどの標準の特定情報を包含し得る。これらの目的のために、グラフィックスプロセッサ50は、患者の名前などユーザインタフェース22からの入力を受信しても良い。ユーザインタフェース22は、送信コントローラ32に接続され、トランスデューサアレイ26からの超音波信号の生成を制御し、従って、トランスデューサアレイ及び超音波システムによって画像が生成される。ユーザインタフェース22は、また、複数のマルチプレーナリフォーマット化(MPR)画像の面を選択し、制御するために、マルチプレーナリフォーマッタ54に接続され、MPR画像は、MPR画像の画像領域における定量化測定を実行するために使用しても良い。
【0055】
また、上述の超音波システム100は、医療用超音波画像処理デバイス10のアプリケーションに対する1つの可能な例としてのみ説明した点に留意されたい。上述の超音波システム100は、上述したすべてのコンポーネントを備える必要はない点に留意されたい。一方、超音波システム100は、必要があれば、さらなるコンポーネントを備えても良い。またさらに、上述の複数のコンポーネントは、必ずしもハードウェアとして実現する必要はなく、ソフトウェアコンポーネントとして実現することもできる点に留意されたい。上述の複数のコンポーネントは、共通のエンティティにおいて、又は単一のエンティティにおいても含まれても良く、概略的に図2に示されたように、個別のエンティティとして実現される必要はない。
【0056】
図3は、一般に10で示される超音波診断装置の概略図を示す。超音波診断装置10は、一般に62で示される胎児を超音波プローブ14を用いてスキャンする。超音波プローブ14は、解剖学的位置をスキャンし、それは関心領域を形成し、それは一般に64で表示される。超音波プローブ14は、超音波データインタフェース66を経由して画像復元ユニット16に接続され、画像復元ユニット16は、セグメンテーションユニット68、測定ユニット70及び計算ユニット72を備える。
【0057】
画像復元ユニット16は、超音波スキャンの結果を表示するためにディスプレイ18に接続され、ディスプレイ18は、医療用超音波診断装置10を制御する命令を入力するための入力デバイス20に接続される。
【0058】
セグメンテーションユニット68は、超音波プローブ14によって取得された3D超音波データにおける胎児62の解剖学的構造のセグメント化を提供し、セグメンテーションユニット68は、胎児62の解剖学的構造のセグメンテーションデータを提供する。測定ユニット72は、セグメンテーションユニット68によって提供されるセグメンテーションデータに基づいて、胎児62の解剖学的構造の測定を提供する。計算ユニット72は、セグメンテーションユニット68によって提供されたセグメンテーションデータに基づいて胎児62の少なくとも1つのバイオメトリックパラメータを計算するように構成される。そのように決定された少なくとも1つのバイオメトリックパラメータに基づいて、種々のバイオメトリック分析を実行することができ、特に、胎児62の妊娠期間は、胎児62の頭における解剖学的構造の測定されたサイズに基づいて計算することができる。
【0059】
図4は、超音波プローブ14によってスキャンされる対象12の詳細な概略図を示し、この特定のケースにおいて、対象は、スキャンされ、胎児62の頭部内の異なる個別のバイオメトリックパラメータのバイオメトリックサイズに基づいて妊娠期間が決定される、胎児62である。
【0060】
バイオメトリックパラメータを測定するために、初めに、図4に示される異なる関心領域64、64’での異なる位置で複数の超音波スキャンが実行され、モデルベース測定が続くモデルベースセグメンテーションを実行するために、スキャンは、超音波データインタフェース66を経由してセグメンテーションユニット68に提供される。
【0061】
図4に示された特定のケースでは、妊娠期間の計算は、すべての種々の個別のバイオメトリック測定で実行され、個別の測定の直接信頼相関関係は、種々のモデルベースセグメンテーション測定の測定の間での一致を評価するために、実行される。異なる個別の測定間で一致する場合、妊娠期間やすべての他の測定に対する正確さが推定される。
【0062】
個々の測定値間の不一致または誤相関の場合、測定ユニット72は、種々の視線方向の少なくとも1つのバイオメトリックパラメータ及び超音波プローブ14によって捕捉された種々のバイオメトリック測定値を抽出するために異なる数学的アルゴリズムを実行する。測定ユニット72は、様々なバイオメトリック測定間の類似性を評価し、様々な視野方向64、64’に基づいて信頼基準(confidence measure)を抽出する。
【0063】
これによって、バイオメトリックパラメータの正しい計算を得て及び胎児62の妊娠期間の正しい計算を得るために、エラーを訂正して、又は個々の測定を排除するために測定エラーを除外することが可能である。
【0064】
測定間の不一致が持続する場合、測定ユニット72は、関連する異常な部分に対する超音波データをチェックし、それぞれの関連する解剖学的構造をアセスするようにオペレータをガイドする。
【0065】
超音波測定を評価するために、同じ胎児62の取得された超音波画像の前の比較又は例えば、メモリ60又はデータベースに記憶された種々の胎児のバイオメトリックパラメータとの比較に基づいて、モデルベースセグメンテーション及び計算された少なくとも1つのバイオメトリックパラメータが実行できる。
【0066】
図5は、一般に200で表示される本発明による超音波診断方法の概略フロー図を示す。
【0067】
最初に、様々な関心領域64、64’の複数の超音波測定がステップ202で実行される。ステップ204で、計算ユニット72は、計算されたバイオメトリックパラメータの相関分析を計算し、この場合のバイオメトリックパラメータは、一対の相関を介する妊娠期間である。異なる視野方向64、64’の異なるバイオメトリックパラメータ間での一致が得られた場合、ステップ206で、バイオメトリック精度推定が実行される。
【0068】
現在の異なる視野方向64、64’の異なるバイオメトリックパラメータ間で一致が得られない場合、矛盾する測定の視覚フィードバックをステップ208でディスプレイ18を介してユーザに提供することができる。
【0069】
ステップ208で提供される視覚フィードバックに基づいて、関連する異常な部分のアセスメントが不一致の量に関してステップ210でユーザによって実行され、極めて重要な生体構造がディスプレイスクリーン18上に表示される。
【0070】
測定のエラーがステップ208で検出できた場合、それぞれの測定が排除されるか又は、矛盾のある測定がステップ212で訂正される。そのように訂正された測定に基づいて、バイオメトリック精度推定がステップ206で実行することができる。
【0071】
バイオメトリック精度推定は、1つ以上の測定又は計算アルゴリズム用いて測定ユニット72によって計算される。測定アルゴリズムは、システム自身によって又はユーザによって事前に選択されてもよいし、そして、バイオメトリックパラメータの最初の推定に利用される。
妊娠期間の不一致の場合、測定ユニット72は、分析の一対の相関の段階的な達成のために、システム自身によって選択された種々の測定アルゴリズムに基づいて、解剖学的構造を測定する。
【0072】
本超音波診断装置10は、対象12の解剖学的構造を決定するために、3Dの胎児モデルを利用しても良く、超音波プローブ14から直接受信した測定された3D超音波データを利用しても良く、画像復元ユニット16内の面抽出ユニットを備えても良く、この画像復元ユニット16は、セグメンテーションの努力を一般に削減するために3D超音波データに基づいて2D超音波面を提供するように構成される。
【0073】
図面及び上述の説明において本発明が詳細に図示され、説明されたが、そのような図示及び説明は、説明の役に立つ又は例示的なものであり、制限的ではないとみなされ、本発明は、開示された実施形態に制限されない。開示された実施形態の他の変形例は、図面、開示及び添付請求項の検討から、当業者が請求された発明を実施する際に理解され、達成することができる。
【0074】
請求項において、単語「含む(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つ(a又はan)」は、複数を排除するものではない。単一の要素又は他のユニットは、請求項で引用されるいくつかのアイテムの機能を実行することができる。相互に異なる従属請求項において、ある手段が引用されているという単なる事実によって、これらの手段の組み合わせが利点のために利用できないことを示すものではない。
【0075】
コンピュータプログラムは、例えば、他のハードウェアと共に又は一部として提供される光学式記憶媒体又は半導体媒体などの適切な媒体に記憶され/分配されても良いし、インターネット又は他の有線又はワイヤレス通信システムなどを経由して、他の形式で配られても良い。
【0076】
請求項における任意の参照符号は、範囲を狭めるものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5