(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】エンボス加工装置及びエンボス加工方法
(51)【国際特許分類】
B29C 59/04 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
B29C59/04 Z
(21)【出願番号】P 2019535049
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2018026482
(87)【国際公開番号】W WO2019031159
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2017153880
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】吉村 勝
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-261202(JP,A)
【文献】特開2007-098742(JP,A)
【文献】特開昭55-111224(JP,A)
【文献】特開2009-050538(JP,A)
【文献】特開2002-086562(JP,A)
【文献】特開2016-159476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/00-59/18
B31F 1/00- 7/02
B29C 43/00-43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸状の成形部を外周に有し、周方向に沿った第一回転方向に回転する、エンボスロールと、
前記エンボスロールに対して前記エンボスロールの径方向に沿
い且つ鉛直方向に一致する第一配置方向の
鉛直方向の上側となる第一側に設けられ、長尺の基材の裏面に接し、前記基材を前記基材の表面が前記成形部に押圧された状態で前記エンボスロールと共に挟み込み、前記第一回転方向とは反対の第二回転方向に回転する、第一バックアップロールと、
前記第一バックアップロールに設けられ、前記第一バックアップロールを加熱する、第一加熱部と、
前記エンボスロールに対して前記第一バックアップロールより前記第一配置方向の第二側に設けられ、前記基材の裏面に接し、前記エンボスロールと前記第一バックアップロールとの間を通過して前記エンボスロールの外周を前記第一回転方向及び前記第二回転方向の各方向に対応する搬送方向に搬送されている前記基材を前記基材の表面が前記成形部に押圧された状態で前記エンボスロールと共に挟み込み、前記第二回転方向に回転する、第二バックアップロールと、
前記エンボスロールの外周のうち、前記基材が前記エンボスロールと前記第一バックアップロールとの間を通過することとなる第一位置と、前記基材が前記エンボスロールと前記第二バックアップロールとの間に進入することとなる第二位置と、の間の第一範囲に前記エンボスロールに対向して設けられ、前記第一範囲を前記搬送方向に搬送されている前記基材の裏面に接する、接触部と、を備
え、
前記接触部は、前記第一範囲のうち、前記第二位置より前記第一バックアップロール寄りで、且つ前記第一配置方向に直交する水平な第二配置方向に沿った前記エンボスロールの回転中心を通る基準線より前記第一配置方向の第一側となる、第三位置に前記エンボスロールに対向して設けられ、前記基材の裏面に接した状態で前記第二回転方向に回転する、第一接触ロールを含む、エンボス加工装置。
【請求項2】
前記接触部は、前記第一範囲のうち、前記第三位置より前記第二バックアップロール寄りの第四位置に前記エンボスロールに対向して設けられ、前記基材の裏面に接した状態で前記第二回転方向に回転する、第二接触ロールを含む、請求項
1に記載のエンボス加工装置。
【請求項3】
前記第一バックアップロールの外周のうち、前
記第二配置方向で前記第一範囲の側となる第三側とは反対の第四側の第二範囲に前記第一バックアップロールに対向して設けられ、前記第一バックアップロールの外周を前記搬送方向に搬送され前記エンボスロールと前記第一バックアップロールとの間に進入することとなる前記基材を前記第一バックアップロールの側に供給する、ガイドロールを備える、請求項1
又は請求項
2に記載のエンボス加工装置。
【請求項4】
前記第二バックアップロールに設けられ、前記第二バックアップロールを加熱する、第二加熱部を備える、請求項1から請求項
3の何れか1項に記載のエンボス加工装置。
【請求項5】
前記エンボスロールに設けられ、前記エンボスロールを加熱する、第三加熱部を備える、請求項1から請求項
4の何れか1項に記載のエンボス加工装置。
【請求項6】
長尺の基材を、凹凸状の成形部を外周に有し、周方向に沿った第一回転方向に回転する、エンボスロールの前記成形部で前記基材の表面を押圧し且つ前記エンボスロールに対して前記エンボスロールの径方向に沿
い且つ鉛直方向に一致する第一配置方向の
鉛直方向の上側となる第一側に設けられ、前記第一回転方向とは反対の第二回転方向に回転する、第一バックアップロールが前記基材の裏面に接した状態で前記エンボスロールと前記第一バックアップロールとで挟み込む、第一工程と、
前記エンボスロールと前記第一バックアップロールとの間を通過した前記基材を、前記エンボスロールの外周のうち、前記基材が、前記エンボスロールと、前記第一バックアップロールと、の間を通過することとなる第一位置と、前記基材が、前記エンボスロールと、前記エンボスロールに対して前記第一バックアップロールより前記第一配置方向の第二側に設けられ、前記第二回転方向に回転する、第二バックアップロールと、の間に進入することとなる第二位置と、の間の第一範囲を前記第一回転方向及び前記第二回転方向の各方向に対応する搬送方向に搬送する、第二工程と、
前記第一範囲を前記搬送方向に搬送された前記基材を、前記成形部で前記基材の表面を押圧し且つ前記第二バックアップロールが前記基材の裏面に接した状態で前記エンボスロールと前記第二バックアップロールとで挟み込む、第三工程と、を含み、
前記第一工程は、前記第一バックアップロールに設けられた第一加熱部によって、前記第一バックアップロールが加熱された状態で行われ、
前記第二工程は、前記第一範囲
のうち、前記第二位置より前記第一バックアップロール寄りで、且つ前記第一配置方向に直交する水平な第二配置方向に沿った前記エンボスロールの回転中心を通る基準線より前記第一配置方向の第一側となる、第三位置に前記エンボスロールに対向して設けられた接触部
の第一接触ロールが前記基材の裏面に接し
且つ前記基材の裏面に接した状態で前記第二回転方向に回転した状態で行われる、エンボス加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボス加工に関する。
【背景技術】
【0002】
エンボス加工に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、凹凸模様を有する車輌の座席用表皮材の製造方法が開示されている。製造方法では、積層シートは、エンボスロールとヒートロールの間を押圧された状態で通過する。エンボスロールは、100~250℃に温度設定される。ヒートロールは、100~250℃に温度設定される。加工スピードは、0.3~10m/分とされる。製造方法は、次の状態で行うことも可能である。前述の状態は、カレンダーロールをヒートロールと反対側にエンボスロールに接するように配置した状態である。更に、前述の状態は、積層シートがエンボスロールに1/2周接する状態である。
【0003】
特許文献2には、シートの型押し方法が開示されている。前述の方法では、シート状物をエンボスロールで加圧型押した後、シート状物が強制的に剥離される。シート状物は、熱可塑性樹脂からなる表面層を有する。剥離は、剥離点におけるエンボスロールの接線に対してバックロールの側に10~60゜の角度となる方向にされる。特許文献2には、従来技術として、特許文献3~7が列挙されている。特許文献3~7は、次の方法に関する。前述の方法は、多孔質層を有するシート状物の表面に、加熱エンボスにより型押し模様を付与する方法である。
【0004】
特許文献8には、エンボスキャリアテープ製造装置が開示されている。エンボスキャリアテープ製造装置では、エンボス部が形成された基材樹脂テープの部分は、ロータリー式金型への伝熱とクーラからの冷風により、冷却される。これに伴い、前述の部分の形状は、固定される。エンボスキャリアテープ製造装置は、補助ローラを備える。補助ローラは、冷却後の基材樹脂テープがロータリー式金型から離型することを防止する。
【0005】
特許文献9には、座席用表皮材の製造方法が開示されている。座席用表皮材は、長尺材の表面にエンボス模様を付与することにより形成される。製造方法は、長尺材を押圧する工程を備える。この工程では、長尺材は、エンボスロールとフラットロールの間を通過する。エンボスロールには、ベース面から突出する複数の型押部が設けられる。長尺材がエンボスロールとフラットロールの間を通過すると、型押部の加熱及び押圧によって、表地と裏地とクッション材が互いに熱融着する。更に、エンボスロールとフラットロールは、共に加熱されているから、表地及び裏地は、クッション材と熱融着する。クッション材は、熱融着する部分が圧縮された状態となる。座席用表皮材の表地側には、型押部の加熱及び押圧により凹部が形成される。座席用表皮材の裏地側には、表地の凹部と対応する位置に、凹部が形成される。エンボス加工により、次のエンボス模様を有する座席用表皮材が形成される。前述のエンボス模様は、表地及び裏地の各表面に複数の凹部が形成された模様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-276285号公報
【文献】特開平7-329175号公報
【文献】特公昭47-24662号公報
【文献】特公昭55-6754号公報
【文献】特公昭57-23036号公報
【文献】特公昭57-23037号公報
【文献】特公平4-55380号公報
【文献】特開2004-167726号公報
【文献】特許第5913755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
化粧シートが実用化されている。化粧シートは、基材の表面に凹凸模様を有する装飾シートである。基材は、長尺のシート材である。基材は、例えば、厚み及び材質の一方又は両方が異なる各種のシート材を含む。基材は、積層体であることもある。基材が積層体である場合、この基材は、例えば、中間材の表面に表面材を貼り合わせて形成される。この他、前述の基材は、中間材の表面に表面材を貼り合わせると共に、中間材の裏面に裏面材を貼り合わせて形成される。
【0008】
化粧シートは、エンボス加工装置によって製造される。発明者は、製造現場で基材の表面をエンボス加工した場合、基材の表面に十分な凹凸模様が賦形されないことがあることを認識している。発明者は、基材が厚手である場合に、前述の問題が生じ易いと考える。発明者は、例えば、基材が次の態様の積層体である場合、次の凹部と、この凹部に隣接する凸部による凹凸模様を賦形することが困難になることを知っている。前述の態様は、クッション性を有する厚手の中間材の表面に薄手の表面材が貼り合わされ、前述の中間材の裏面に薄手の裏面材が貼り合わされた態様である。前述の凹部は、中間材の表裏両面に貼り合わされた表面材及び裏面材が密着する程度の凹部である。仮に、前述したような凹凸模様を賦形する場合、発明者は、種々の問題が発生することがあると考える。
【0009】
例えば、凹凸模様の賦形を2回の工程に分けたとする。この場合、各回における凹凸模様の賦形位置にずれが生じることが想定される。そこで、発明者は、基材が上述したような積層体であっても、基材の表面に所望の立体形状を有する凹凸模様を賦形することができるエンボス加工技術を検討した。その際、発明者は、凹凸模様を複数回に分けて賦形した場合に、前述したような位置ずれを抑制可能とする点を考慮した。検討したエンボス加工技術は、各種の基材に適用可能である。例えば、このエンボス加工技術は、2層以上の積層体である基材の他、単一層の基材にも適用可能である。
【0010】
本発明は、立体的な凹凸模様を有する化粧シートを製造できる、エンボス加工装置及びエンボス加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面は、凹凸状の成形部を外周に有し、周方向に沿った第一回転方向に回転する、エンボスロールと、前記エンボスロールに対して前記エンボスロールの径方向に沿い且つ鉛直方向に一致する第一配置方向の鉛直方向の上側となる第一側に設けられ、長尺の基材の裏面に接し、前記基材を前記基材の表面が前記成形部に押圧された状態で前記エンボスロールと共に挟み込み、前記第一回転方向とは反対の第二回転方向に回転する、第一バックアップロールと、前記第一バックアップロールに設けられ、前記第一バックアップロールを加熱する、第一加熱部と、前記エンボスロールに対して前記第一バックアップロールより前記第一配置方向の第二側に設けられ、前記基材の裏面に接し、前記エンボスロールと前記第一バックアップロールとの間を通過して前記エンボスロールの外周を前記第一回転方向及び前記第二回転方向の各方向に対応する搬送方向に搬送されている前記基材を前記基材の表面が前記成形部に押圧された状態で前記エンボスロールと共に挟み込み、前記第二回転方向に回転する、第二バックアップロールと、前記エンボスロールの外周のうち、前記基材が前記エンボスロールと前記第一バックアップロールとの間を通過することとなる第一位置と、前記基材が前記エンボスロールと前記第二バックアップロールとの間に進入することとなる第二位置と、の間の第一範囲に前記エンボスロールに対向して設けられ、前記第一範囲を前記搬送方向に搬送されている前記基材の裏面に接する、接触部と、を備え、前記接触部は、前記第一範囲のうち、前記第二位置より前記第一バックアップロール寄りで、且つ前記第一配置方向に直交する水平な第二配置方向に沿った前記エンボスロールの回転中心を通る基準線より前記第一配置方向の第一側となる、第三位置に前記エンボスロールに対向して設けられ、前記基材の裏面に接した状態で前記第二回転方向に回転する、第一接触ロールを含む、エンボス加工装置である。
【0012】
このエンボス加工装置によれば、基材が第一範囲を搬送されている状態でエンボスロールからの基材の剥離(離型)を接触部によって規制することができる。第一範囲を搬送中の基材では、表面及び裏面の各側での熱収縮量が相違する。従って、前述した熱収縮量の相違に基づき、基材は、第一範囲の搬送途中にエンボスロールから剥離し易くなる。第一範囲を搬送中の基材がエンボスロールから剥離した場合、第一賦形位置及び第二賦形位置の位置ずれが生じ易くなる。第一賦形位置は、エンボスロールと第一バックアップロールによって押圧される基材表面上の位置である。第二賦形位置は、エンボスロールと第二バックアップロールによって押圧される基材表面上の位置である。この点に関し、上記のエンボス加工装置では、エンボスロールからの基材の剥離が規制されるため、第一賦形位置及び第二賦形位置の位置ずれを抑制することができる。
【0013】
また、基材がエンボスロールと第一バックアップロールの間を通過した後、早いタイミングでエンボスロールからの基材の剥離を規制することができる。
【0014】
更に、基材をスムーズに搬送することができる。更にまた、第一接触ロールによって基材をエンボスロールの径方向の中心側に押圧することができる。この押圧では、押圧力を第一接触ロールの自重により生じさせることができる。
【0015】
エンボス加工装置では、前記接触部は、前記第一範囲のうち、前記第三位置より前記第二バックアップロール寄りの第四位置に前記エンボスロールに対向して設けられ、前記基材の裏面に接した状態で前記第二回転方向に回転する、第二接触ロールを含む、ようにしてもよい。この構成によれば、第三位置と第四位置でエンボスロールからの基材の剥離を規制しつつ、基材をスムーズに搬送することができる。
【0016】
エンボス加工装置は、前記第一バックアップロールの外周のうち、前記第二配置方向で前記第一範囲の側となる第三側とは反対の第四側の第二範囲に前記第一バックアップロールに対向して設けられ、前記第一バックアップロールの外周を前記搬送方向に搬送され前記エンボスロールと前記第一バックアップロールとの間に進入することとなる前記基材を前記第一バックアップロールの側に供給する、ガイドロールを備える、ようにしてもよい。この構成によれば、基材を第一バックアップロールにスムーズに供給することができる。基材が第一バックアップロールの外周を搬送される距離を短くすることが可能となる。基材を第一バックアップロールに密着させることができる。基材をスムーズに加熱することができる。
【0017】
エンボス加工装置は、前記第二バックアップロールに設けられ、前記第二バックアップロールを加熱する、第二加熱部を備える、ようにしてもよい。更に、エンボス加工装置は、前記エンボスロールに設けられ、前記エンボスロールを加熱する、第三加熱部を備える、ようにしてもよい。この構成によれば、基材を加熱することができる。基材がエンボスロールと第一バックアップロールの間を通過した後、基材の温度変化を抑制することができる。
【0018】
本発明の他の側面は、長尺の基材を、凹凸状の成形部を外周に有し、周方向に沿った第一回転方向に回転する、エンボスロールの前記成形部で前記基材の表面を押圧し且つ前記エンボスロールに対して前記エンボスロールの径方向に沿い且つ鉛直方向に一致する第一配置方向の鉛直方向の上側となる第一側に設けられ、前記第一回転方向とは反対の第二回転方向に回転する、第一バックアップロールが前記基材の裏面に接した状態で前記エンボスロールと前記第一バックアップロールとで挟み込む、第一工程と、前記エンボスロールと前記第一バックアップロールとの間を通過した前記基材を、前記エンボスロールの外周のうち、前記基材が、前記エンボスロールと、前記第一バックアップロールと、の間を通過することとなる第一位置と、前記基材が、前記エンボスロールと、前記エンボスロールに対して前記第一バックアップロールより前記第一配置方向の第二側に設けられ、前記第二回転方向に回転する、第二バックアップロールと、の間に進入することとなる第二位置と、の間の第一範囲を前記第一回転方向及び前記第二回転方向の各方向に対応する搬送方向に搬送する、第二工程と、前記第一範囲を前記搬送方向に搬送された前記基材を、前記成形部で前記基材の表面を押圧し且つ前記第二バックアップロールが前記基材の裏面に接した状態で前記エンボスロールと前記第二バックアップロールとで挟み込む、第三工程と、を含み、前記第一工程は、前記第一バックアップロールに設けられた第一加熱部によって、前記第一バックアップロールが加熱された状態で行われ、前記第二工程は、前記第一範囲のうち、前記第二位置より前記第一バックアップロール寄りで、且つ前記第一配置方向に直交する水平な第二配置方向に沿った前記エンボスロールの回転中心を通る基準線より前記第一配置方向の第一側となる、第三位置に前記エンボスロールに対向して設けられた接触部の第一接触ロールが前記基材の裏面に接し且つ前記基材の裏面に接した状態で前記第二回転方向に回転した状態で行われる、エンボス加工方法である。
【0019】
このエンボス加工方法によれば、基材が第一範囲を搬送されている状態でエンボスロールからの基材の剥離を接触部によって規制することができる。上述した第一賦形位置及び第二賦形位置の位置ずれを抑制することができる。また、基材がエンボスロールと第一バックアップロールの間を通過した後、早いタイミングでエンボスロールからの基材の剥離を規制することができる。更に、基材をスムーズに搬送することができる。更にまた、第一接触ロールによって基材をエンボスロールの径方向の中心側に押圧することができる。この押圧では、押圧力を第一接触ロールの自重により生じさせることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、立体的な凹凸模様を有する化粧シートを製造できる、エンボス加工装置及びエンボス加工方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】エンボス加工装置の概略構成の一例を示す側面図である。基材及び化粧シートは、エンボス加工装置に対応する部分を示す。
【
図2】基材及び化粧シートの概略構成の一例を示す側面図である。長尺の基材及び長尺の化粧シートの長手方向の各一部を示す。上段は、基材を示す。中段は、基材の表面に凹凸模様を有し、基材の裏面が凹凸状である化粧シートを示す。下段は、基材の表面に凹凸模様を有し、基材の裏面が平面状である化粧シートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
【0023】
<エンボス加工装置及び化粧シート>
エンボス加工装置10と化粧シート80について、
図1及び
図2を参照して説明する。エンボス加工装置10は、化粧シート80を製造する加工装置である。エンボス加工装置10は、供給装置90から繰り出された長尺の基材85を搬送し、基材85にエンボス加工を行う(
図1参照)。エンボス加工装置10では、エンボス加工は、連続的に行われる。基材85は、エンボス加工装置10でエンボス加工が施された後、化粧シート80として、回収装置92に回収される。
図1では、次の各部の図示は、簡略化されている。前述の各部は、基材85及び化粧シート80と、供給装置90と、回収装置92である。基材85及び化粧シート80は、供給装置90から回収装置92まで連続した長尺のシート材の態様を有する。供給装置90及び回収装置92としては、公知のエンボス加工装置に設けられる供給装置90及び回収装置92を採用できる。従って、供給装置90及び回収装置92に関する説明は、省略する。
【0024】
化粧シート80は、少なくとも基材85の表面に凹凸模様81を有する装飾シートである(
図2中段及び下段参照)。凹凸模様81は、凹部82と凸部83によって形成される。
図2中段に示す例では、化粧シート80は、表面の凹凸模様81に対応する凹凸状の裏面を有する。換言すれば、化粧シート80は、表面に凹凸模様81を有し、裏面に表面の凹凸模様81に対応する凹凸模様を有する。
図2下段に示す例では、化粧シート80は、平面状の裏面を有する。実施形態では、凹凸模様81は、凹凸状の縞模様とする。この縞模様では、基材85の短手方向に沿った凹部82及び凸部83が基材85の長手方向に繰り返される。
図2中段に示す化粧シート80では、裏面の凹凸模様は、凹凸模様81と同様、凹凸状の縞模様となる。前述の長手方向及び短手方向は、互いに直交する方向である。短手方向は、基材85の幅方向に一致する。但し、このような凹凸模様81は、例示である。化粧シート80では、凹凸模様81として、各種の凹凸模様が採用される。基材85の短手方向は、化粧シート80の短手方向ということもできる。基材85の長手方向は、化粧シート80の長手方向ということもできる。
【0025】
基材85としては、各種のシート材が採用される。従って、基材85は、例えば、厚み及び材質の一方又は両方が異なる各種のシート材を含む。基材85は、クッション性を有する。実施形態では、基材85は、3層の積層体である(
図2上段参照)。この場合、基材85は、中間材86と、表面材87と、裏面材88を含む。但し、基材は、2層又は4層以上の積層体であってもよい。例えば、基材を2層の積層体とする場合、この基材は、中間材86と表面材87による積層体であってもよい。この他、基材は、積層体でなくてもよい。基材は、1層で且つクッション性を有する厚手のシート材であってもよい。
【0026】
実施形態では、積層方向の一方側を「表側」といい、積層方向の他方側を「裏側」という。積層方向は、基材85で表面材87と中間材86と裏面材88が積層される方向である。積層方向は、基材85の厚み方向に一致する。基材85では、積層方向の表側は、表面材87が設けられる側となり、積層方向の裏側は、裏面材88が設けられる側となる。基材85、中間材86、表面材87及び裏面材88の各シート材では、表面は、積層方向の表側となる面であり、裏面は、積層方向の裏側となる面である。エンボス加工により、基材85の表面は、化粧シート80の表面となり、基材85の裏面は、化粧シート80の裏面となる。
【0027】
基材85は、次のように形成される。即ち、表面材87は、中間材86の表面に貼り合わされる。裏面材88は、中間材86の裏面に貼り合わされる。中間材86と表面材87の貼り合わせ及び中間材86と裏面材88の貼り合わせには、公知の技術が採用される。例えば、前述の各貼り合わせは、接着剤を介して行われる。この他、前述の各貼り合わせは、フレームラミネートによって行われてもよい。フレームラミネートは、既に実用化された技術である。従って、フレームラミネートに関する説明は、省略する。
【0028】
中間材86は、クッション性を有する。従って、上述した通り、基材85は、クッション性を有する。中間材86としては、ウレタンフォームシートが例示される。例えば、軟質ウレタンフォームシートが中間材86として採用される。中間材86の厚みは、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、中間材86の厚みの決定には、基材85のクッション性が考慮される。この他、中間材86の厚みの決定には、エンボス加工における加工性が考慮される。前述の各点を考慮すると、中間材86の厚みは、例えば、1~10mmの範囲の所定値とするとよい。
【0029】
表面材87としては、各種のシート材が採用される。例えば、表面材87は、織物、編物、不織布、合成皮革、人工皮革、塩化ビニルレザー及び天然皮革の何れかで形成してもよい。表面材87に関し、シート材は、諸条件を考慮して適宜決定される。但し、エンボス加工における加工性の点で、表面材87は、熱可塑性樹脂を含むシート材とするとよい。裏面材88としては、各種のシート材が採用される。例えば、裏面材88は、織物、編物及び不織布の何れかで形成してもよい。裏面材88に関し、シート材は、諸条件を考慮して適宜決定される。基材85に裏面材88を設けることで、エンボス加工における加工性を向上させることができる。
【0030】
エンボス加工装置10は、エンボスロール20と、第一バックアップロール24と、第二バックアップロール26と、接触部30と、ガイドロール40と、剥離ロール50と、第一加熱部60と、第二加熱部62と、第三加熱部64を備える(
図1参照)。
【0031】
エンボスロール20は、外周に凹凸状の成形部22を有する。成形部22は、基材85の表面に接し、基材85の表面を押圧する。成形部22における凹凸は、化粧シート80の表面の凹凸模様81に対応する。エンボスロール20は、シャフト21を回転軸として、第一回転方向D1に回転する。第一回転方向D1は、エンボスロール20の周方向に対応する。エンボスロール20には、駆動部から駆動力が付与される。これに伴い、エンボスロール20は、前述したように回転する。駆動部は、シャフト21に取り付けられる。駆動部は、例えば、モータである。
図1では、駆動部の図示は、省略されている。実施形態では、第一回転方向D1とは反対の方向を「第二回転方向D2」という。
【0032】
第一バックアップロール24は、シャフト25を回転軸として、第二回転方向D2に回転する。第一バックアップロール24は、エンボスロール20に対して第一配置方向の第一側に設けられる。第一配置方向は、エンボスロール20の径方向に沿った方向である。実施形態では、第一配置方向は、鉛直方向に一致する。第一配置方向の第一側は、鉛直方向の上側である。第一バックアップロール24は、基材85の裏面に接する。第一バックアップロール24は、基材85をエンボスロール20と共に挟み込む。この場合、基材85は、表面が成形部22に押圧された状態となる。第一バックアップロール24は、第一回転方向D1へのエンボスロール20の回転に従動して第二回転方向D2に回転する。
【0033】
第二バックアップロール26は、シャフト27を回転軸として、第二回転方向D2に回転する。第二バックアップロール26は、エンボスロール20に対して第一バックアップロール24より第一配置方向の第二側に設けられる。第一配置方向の第一側が鉛直方向の上側である場合、第一配置方向の第二側は、鉛直方向の下側である。実施形態では、第二バックアップロール26は、搬送範囲RAがエンボスロール20の外周の1/2周となる位置に設けられている。搬送範囲RAは、基材85がエンボスロール20の外周を搬送方向に搬送される範囲である。従って、第一バックアップロール24とエンボスロール20と第二バックアップロール26は、第一配置方向に並んで配置される。搬送方向は、第一回転方向D1及び第二回転方向D2の各方向に対応する方向である。エンボス加工装置10では、基材85とエンボス加工後の化粧シート80は、搬送方向に搬送される。
図1で、二点鎖線で示す矢印は、搬送方向を示す。第二バックアップロール26は、基材85の裏面に接する。第二バックアップロール26は、次の基材85をエンボスロール20と共に挟み込む。この場合、基材85は、表面が成形部22に押圧された状態となる。前述の基材85は、エンボスロール20と第一バックアップロール24の間を通過してエンボスロール20の外周を搬送方向に搬送されている基材である。第二バックアップロール26は、第一回転方向D1へのエンボスロール20の回転に従動して第二回転方向D2に回転する。
【0034】
接触部30は、エンボスロール20の外周の第一範囲R1にエンボスロール20に対向して設けられる。第一範囲R1は、エンボスロール20の外周(全周)のうち、第一位置P1と第二位置P2の間の範囲である。第一位置P1と第二位置P2は、エンボスロール20の外周上の次の位置である。即ち、第一位置P1は、基材85がエンボスロール20と第一バックアップロール24の間を通過することとなる位置である。第二位置P2は、基材85がエンボスロール20と第二バックアップロール26の間に進入することとなる位置である。実施形態では、第一範囲R1は、エンボスロール20の外周のうち、第二配置方向の第三側となる。第二配置方向は、第一配置方向に直交する方向である。第一配置方向が鉛直方向である場合、第二配置方向は、水平方向となる。接触部30は、第一範囲R1を搬送方向に搬送されている基材85の裏面に接する。接触部30は、第一接触ロール32と、第二接触ロール34を含む。第一接触ロール32と第二接触ロール34は、外周に被覆層を設けたロールとしてもよい。被覆層を形成する被覆材としては、フェルトが例示される。第一接触ロール32と第二接触ロール34では、外周のフェルト層の変形に伴い、基材85の裏面の接触面積を増加させることができる。但し、被覆材は、フェルトとは異なる素材としてもよい。被覆材は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0035】
第一接触ロール32は、シャフト33を回転軸として、第二回転方向D2に回転する。第一接触ロール32は、第一範囲R1の第三位置P3にエンボスロール20に対向して設けられる。第三位置P3は、第一範囲R1のうち、第二バックアップロール26より第一バックアップロール24寄りの位置である。換言すれば、第三位置P3は、第一範囲R1のうち、第二位置P2より第一バックアップロール24寄りの位置である。実施形態では、第三位置P3は、基準線L1より第一配置方向の第一側(鉛直方向の上側)とされている。更に、第三位置P3は、角度θ1が45°となる位置とされている。基準線L1は、エンボスロール20の回転中心を通る第二配置方向に沿った直線である。第一配置方向が鉛直方向である場合、第二配置方向は、水平方向となるから、基準線L1は、水平線となる。角度θ1は、エンボスロール20の回転中心を基準とした基準線L1とのなす角である。角度θ1としての45°は、例示である。角度θ1は、第三位置P3が、第一範囲R1のうち、第二位置P2より第一バックアップロール24寄りの位置となる所定の値であればよい。角度θ1は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0036】
第一接触ロール32は、第一範囲R1の第三位置P3で基材85の裏面に接する。第一接触ロール32は、基材85をエンボスロール20と共に挟み込む。第一接触ロール32は、基材85の裏面に接した状態で第二回転方向D2に従動して回転する。第一接触ロール32は、基材85をエンボスロール20の径方向の中心側に押圧する。この押圧では、押圧力は、第一接触ロール32の自重により生じる。但し、基材85の押圧は、次のようにしてもよい。例えば、エンボス加工装置10には、所定のアクチュエータが設けられる。アクチュエータは、第一接触ロール32をエンボスロール20の径方向の中心側に移動する。これに伴い、第一接触ロール32は、基材85をエンボスロール20の径方向の中心側に押圧する。アクチュエータとしては、公知のアクチュエータが採用される。公知のアクチュエータとしては、エアシリンダ、油圧シリンダ又は電動シリンダが例示される。
【0037】
第二接触ロール34は、シャフト35を回転軸として、第二回転方向D2に回転する。第二接触ロール34は、第一範囲R1の第四位置P4にエンボスロール20に対向して設けられる。第四位置P4は、第一範囲R1のうち、第三位置P3より第二バックアップロール26寄りの位置である。実施形態では、第四位置P4は、基準線L1上の位置とされている。第四位置P4は、第三位置P3との関係を考慮して適宜決定される。第二接触ロール34は、第一範囲R1の第四位置P4で基材85の裏面に接する。第二接触ロール34は、基材85をエンボスロール20と共に挟み込む。第二接触ロール34は、基材85の裏面に接した状態で第二回転方向D2に従動して回転する。第二接触ロール34は、基材85をエンボスロール20の径方向の中心側に押圧してもよい。この押圧では、押圧力は、所定の構成により付与されてもよい。例えば、エンボス加工装置10には、所定のアクチュエータが設けられてもよい。アクチュエータは、第二接触ロール34をエンボスロール20の径方向の中心側に移動する。これに伴い、第二接触ロール34は、基材85をエンボスロール20の径方向の中心側に押圧する。アクチュエータは、上述した通りである。
【0038】
ガイドロール40は、シャフト41を回転軸として、第一回転方向D1に回転する。ガイドロール40は、第一バックアップロール24の外周の第二範囲R2に第一バックアップロール24に対向して設けられる。第二範囲R2は、第一バックアップロール24の外周(全周)のうち、第二配置方向の第四側となる範囲である。実施形態では、ガイドロール40は、搬送範囲RBが第一バックアップロール24の1/4周となる位置に設けられている。搬送範囲RBは、基材85が第一バックアップロール24の外周を搬送方向に搬送される範囲である。ガイドロール40は、基材85を第一バックアップロール24の側に供給する。ガイドロール40は、基材85を第一バックアップロール24と共に挟み込む。基材85は、第一バックアップロール24とガイドロール40の間を通過する。更に、基材85は、第一バックアップロール24の外周(搬送範囲RB)を搬送方向に搬送される。その後、基材85は、エンボスロール20と第一バックアップロール24の間に進入する。ガイドロール40は、外周が基材85の表面に接した状態で第一回転方向D1に従動して回転する。
【0039】
剥離ロール50は、シャフト51を回転軸として、第二回転方向D2に回転する。剥離ロール50には、化粧シート80が掛けられる。エンボス加工装置10では、基材85は、エンボスロール20と第二バックアップロール26の間を通過することで、化粧シート80となる。剥離ロール50は、外周が化粧シート80の裏面に接した状態で第二回転方向D2に従動して回転する。化粧シート80は、エンボスロール20と第二バックアップロール26の間の位置から剥離ロール50の側に搬送される。これに伴い、剥離ロール50は、化粧シート80をエンボスロール20から剥離(離型)する。剥離ロール50は、第二バックアップロール26より第二配置方向の第四側で且つ搬送方向が次の方向となる所定の位置に設けられる。前述の方向は、エンボスロール20の接線L2に対して角度θ2となる方向である。前述の接線L2は、エンボスロール20の第二配置方向に沿った2本の接線のうち、第一配置方向の第二側となる接線である。角度θ2は、-10~45°の範囲の所定値とするとよい。角度θ2は、諸条件を考慮して適宜決定される。実施形態では、角度θ2に関し、時計回りの方向を「+」と定義し、反時計回りの方向を「-」と定義している。エンボス加工装置10では、角度θ2は、-5°に設定されている。
【0040】
第一加熱部60は、第一バックアップロール24に設けられる。第一加熱部60は、第一バックアップロール24の内部に埋め込まれる。第一加熱部60は、電気ヒータである。実施形態では、第一バックアップロール24に対し、電気ヒータによる4個の第一加熱部60が等角度間隔で埋め込まれている。但し、第一加熱部60は、電気ヒータとは異なる型式の加熱部としてもよい。第一加熱部60の数は、3個以下又は5個以上としてもよい。第一加熱部60の型式及び数は、諸条件を考慮して適宜決定される。第一バックアップロール24における第一加熱部60の配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。第一加熱部60は、第一バックアップロール24を加熱する。例えば、第一加熱部60は、第一バックアップロール24を150~240℃の範囲の所定の温度に加熱する。
【0041】
第二加熱部62は、第二バックアップロール26に設けられる。第二加熱部62は、第二バックアップロール26の内部に埋め込まれる。第二加熱部62は、電気ヒータである。実施形態では、第二バックアップロール26に対し、電気ヒータによる4個の第二加熱部62が等角度間隔で埋め込まれている。但し、第二加熱部62は、電気ヒータとは異なる型式の加熱部としてもよい。第二加熱部62の数は、3個以下又は5個以上としてもよい。第二加熱部62の型式及び数は、諸条件を考慮して適宜決定される。第二バックアップロール26における第二加熱部62の配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。第二加熱部62は、第二バックアップロール26を加熱する。例えば、第二加熱部62は、第二バックアップロール26を150~240℃の範囲の所定の温度に加熱する。
【0042】
第三加熱部64は、エンボスロール20に設けられる。第三加熱部64は、エンボスロール20の内部に埋め込まれる。第三加熱部64は、電気ヒータである。実施形態では、エンボスロール20に対し、電気ヒータによる4個の第三加熱部64が等角度間隔で埋め込まれている。但し、第三加熱部64は、電気ヒータとは異なる型式の加熱部としてもよい。第三加熱部64の数は、3個以下又は5個以上としてもよい。第三加熱部64の型式及び数は、諸条件を考慮して適宜決定される。エンボスロール20における第三加熱部64の配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。第三加熱部64は、エンボスロール20を加熱する。例えば、第三加熱部64は、エンボスロール20を150~240℃の範囲の所定の温度に加熱する。
【0043】
第一バックアップロール24、第二バックアップロール26及びエンボスロール20の各温度が150℃未満である場合、賦形性が損なわれることがある。第一バックアップロール24、第二バックアップロール26及びエンボスロール20の各温度が240℃を超える場合、基材85の厚みが減少することがある。その結果、化粧シート80では、凹凸模様81の品位が損なわれることがあり、又はクッション性が損なわれることがある。
【0044】
<エンボス加工方法>
エンボス加工方法について、
図1及び
図2を参照して説明する。エンボス加工方法は、エンボス加工装置10で実施される(
図1参照)。エンボス加工方法により、
図2上段に示す基材85から
図2中段又は下段に示す化粧シート80が製造される。従って、エンボス加工方法は、化粧シート80の製造方法ともいえる。エンボス加工方法は、第一工程と、第二工程と、第三工程を含む。エンボス加工方法では、基材85を搬送方向に連続的に搬送しつつ、第一工程と第二工程と第三工程が順次連続的に実施される。第一工程は、連続的に搬送される基材85に対して連続的に実施される。第二工程は、連続的に搬送される基材85に対して連続的に実施される。第三工程は、連続的に搬送される基材85に対して連続的に実施される。エンボス加工装置10では、エンボス加工方法が実施される場合、エンボスロール20用の駆動部は、連続的に駆動する。
【0045】
エンボス加工方法では、基材85に対する2回の押圧により、積層方向に所定の寸法の凹部82及び凸部83が基材85の表面に賦形(形成)される(
図2参照)。第一加熱部60は、第一バックアップロール24を加熱する。第二加熱部62は、第二バックアップロール26を加熱する。第三加熱部64は、エンボスロール20を加熱する。即ち、エンボス加工方法は、第一バックアップロール24とエンボスロール20と第二バックアップロール26が所定の温度に加熱された状態で実施される。
【0046】
供給装置90では、基材85が繰り出され、エンボス加工装置10に供給される(
図1参照)。エンボス加工装置10では、基材85は、ガイドロール40の外周を搬送方向に搬送され、第一バックアップロール24とガイドロール40の間を通過する。その後、基材85は、裏面が第一バックアップロール24の外周に接した状態で第一バックアップロール24の外周を搬送方向に搬送される。基材85は、エンボス加工方法の実施前、所定の温度の第一バックアップロール24により加熱される。
【0047】
第一工程は、基材85を、次の状態でエンボスロール20と第一バックアップロール24に挟み込む工程である。前述の状態は、成形部22で基材85の表面を押圧し且つ第一バックアップロール24が基材85の裏面に接した状態である。エンボスロール20は、第一回転方向D1に回転する。第一バックアップロール24は、第二回転方向D2に従動して回転する。第一工程では、基材85に対する1回目の押圧が実施される。
【0048】
第二工程は、次の基材85を、第一範囲R1を搬送方向に搬送する工程である。前述の基材85は、エンボスロール20と第一バックアップロール24の間を通過した基材である。第二工程は、第一接触ロール32と第二接触ロール34が基材85の裏面に接した状態で行われる。エンボスロール20は、第一回転方向D1に回転する。接触部30では、第一接触ロール32と第二接触ロール34は、第二回転方向D2に従動して回転する。基材85は、エンボスロール20と第一接触ロール32の間を通過し、更に、エンボスロール20と第二接触ロール34の間を通過する。その後、基材85は、エンボスロール20の外周を搬送方向に搬送される。
【0049】
第三工程は、次の基材85を、次の状態でエンボスロール20と第二バックアップロール26に挟み込む工程である。前述の基材85は、エンボスロール20の外周の第一範囲R1を搬送方向に搬送された基材である。前述の状態は、成形部22で基材85の表面を押圧し且つ第二バックアップロール26が基材85の裏面に接した状態である。エンボスロール20は、第一回転方向D1に回転する。第二バックアップロール26は、第二回転方向D2に従動して回転する。第三工程では、基材85に対する2回目の押圧が実施される。
【0050】
第三工程の終了後、化粧シート80は、剥離ロール50によってエンボスロール20から剥離される。その後、化粧シート80は、回収装置92によってエンボス加工装置10から回収される。
図2中段に示す化粧シート80では、裏面が表面の凹凸模様81に対応する凹凸状とされている。但し、エンボス加工装置10でエンボス加工方法が上記同様に実施された場合であっても、化粧シート80は、
図2中段とは異なり、裏面が平面状となることもある(
図2下段参照)。化粧シート80の裏面が凹凸状(
図2中段参照)及び平面状(
図2下段参照)の何れとなるかは、例えば、次の点により定まる。前述の点は、中間材86、表面材87及び裏面材88の一部又は全部の素材の特性である。例えば、裏面材88が伸び難く、熱収縮が大きな素材である場合、化粧シート80は、裏面が平面状となることもある(
図2下段参照)。第一バックアップロール24と第二バックアップロール26がフラットな曲面の外周を有するとする(
図1参照)。この場合、エンボス加工時、基材85の裏面が
図2中段に示す化粧シート80のように凹凸状に変形する点は、公知の事象である(例えば、上述の特許文献9参照)。
【0051】
<実施例>
発明者は、実施形態のエンボス加工装置10で実施されるエンボス加工方法により製造された化粧シート80の有効性を確認するため、実験を行った。以下、今回の実験により得られた実験結果を説明する。その際、上記との対応を明らかにするため、各部に対する符号は、上記と同様とする。
【0052】
(1)実験方法
実験では、サンプル1~3を評価対象とした。サンプル1~3では、基材85は、同一とした。基材85は、3層の積層体とした(
図2上段参照)。中間材86と表面材87と裏面材88は、フレームラミネートにより貼り合わせた。中間材86と表面材87と裏面材88は、次の通りとした。
[中間材・表面材・裏面材]
中間材86(材質,厚み):軟質ウレタンフォームシート,5mm
表面材87(材質,目付):ポリエステル編物,300g/m
2
裏面材88(材質,目付):ポリエステル不織布,12g/m
2
サンプル1~3では、表面の凹凸模様81は、実施形態で例示した縞模様(
図2中段又は下段参照)と同様とした。従って、凹凸模様81は、凹部82と凸部83が基材85の長手方向に繰り返された態様を有する。サンプル1は、実施形態の化粧シート80に対応する。サンプル1の作製条件は、次の通りとした。作製条件に関し、第一押圧力は、基材85がエンボスロール20と第一バックアップロール24の間を通過する際、基材85に作用させる圧力である。第二押圧力は、基材85がエンボスロール20と第二バックアップロール26の間を通過する際、基材85に作用させる圧力である。サンプル1の作製に用いたエンボス加工装置10では、角度θ2は、-5°とした(
図1参照)。
[サンプル1の作製条件]
加工速度:1m/分
第一バックアップロール24(温度,搬送範囲RB):240℃,1/4周
エンボスロール20(温度,搬送範囲RA):180℃,1/2周
第一押圧力:40MPa
第二バックアップロール26(温度):210℃
第二押圧力:40MPa
サンプル2の作製には、接触部30(第一接触ロール32及び第二接触ロール34)を備えないエンボス加工装置を用いた。サンプル3の作製には、第二バックアップロール26を備えないエンボス加工装置を用いた。サンプル2,3の作製条件は、使用したエンボス加工装置が異なる点を除き、上述したサンプル1と同様とした。従って、サンプル2,3の作製条件に関するこの他の説明は、省略する。
【0053】
(2)評価
評価項目は、2回の押圧に伴う賦形位置のずれ、サンプル1~3の厚み、凹部82及び凸部83の高低差ΔT及び凹凸模様81の耐久性の4項目とした。
【0054】
(2-1)賦形位置のずれ
賦形位置のずれの評価は、サンプル1~3を目視にて観察して行った。評価基準は、次の通りとした。
[賦形位置のずれの評価基準]
A:賦形位置のずれなし
B:賦形位置のずれあり
上述の評価基準で、評価「A」は、第一ピッチと第二ピッチがエンボスロール20の周方向における凹凸状の成形部22の形状に一致していることを示す。一方、評価「B」は、第一ピッチと第二ピッチがエンボスロール20の周方向における凹凸状の成形部22の形状に一致していないことを示す。第一ピッチは、凹部82の長手方向のピッチである。第二ピッチは、凸部83の長手方向のピッチである。
【0055】
(2-2)サンプル1~3の厚み
サンプル1~3の厚みT1(
図2中段又は下段参照)を測定した。測定位置は、凸部83の位置とした。中間材86の厚みは、上述した通り、基材85の状態(エンボス加工前の状態)で5mmである。従って、サンプル1~3では、エンボス加工後の厚みT1は、5mm以上であることが好ましい。
【0056】
(2-3)凹部及び凸部の高低差
サンプル1~3の厚みT2(
図2中段又は下段参照)を測定した。測定位置は、凹部82の位置とした。その後、次の式(1)から、凹部82及び凸部83の高低差ΔTを算出した。サンプル1~3では、高低差ΔTは、3mm以上であることが好ましい。
【0057】
高低差ΔT=厚みT1-厚みT2 ・・・(1)
(2-4)凹凸模様の耐久性
凹凸模様81の耐久性の評価は、次の状態のサンプル1~3を株式会社大栄科学精器製作所製の平面摩耗試験機(T-type)に固定して行った。前述の状態は、次のサイズのウレタンフォームを裏面に添えた状態である。前述のサイズは、幅70mm、長さ300mm、厚み10mmである。試験条件と評価基準は、次の通りとした。
[試験条件]
摩擦子表面形状:曲面(10R)及び綿布(綿帆布)取り付け
荷重:9.8N
ストローク:140mm
摩擦往復速度:60往復/分
往復回数:10,000回
[凹凸模様の耐久性の評価基準]
A:凹凸模様81に変化なし
B:凹凸模様81に僅かに変化あり
C:凹凸模様81に明らかに変化あり
(3)実験結果
サンプル1~3を対象とした上記の各評価について、表1に示す実験結果が得られた。
【表1】
【0058】
サンプル1とサンプル2の比較により、エンボス加工時の賦形位置のずれに対し、接触部30(第一接触ロール32及び第二接触ロール34)が有効であることが確認された。サンプル3でも、サンプル1と同様、賦形位置のずれは、認められなかった。但し、サンプル3では、エンボス加工における押圧回数は、1回となる。従って、サンプル3では、賦形位置のずれは、生じない。サンプル1とサンプル2,3の比較により、エンボス加工時の2回押圧が有効であることが確認された。即ち、実施形態のエンボス加工装置10で実施されるエンボス加工方法によれば、立体感及び耐久性に優れた凹凸模様81を基材85の表面に賦形することができる。
【0059】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0060】
(1)エンボス加工装置10では、第一バックアップロール24がエンボスロール20に対して第一配置方向の第一側に設けられ、第二バックアップロール26がエンボスロール20に対して第一バックアップロール24より第一配置方向の第二側に設けられる(
図1参照)。第一バックアップロール24には、第一加熱部60が設けられる。第一加熱部60は、第一バックアップロール24を加熱する。エンボス加工装置10は、接触部30を備える。接触部30は、エンボスロール20の外周の第一範囲R1に設けられる。接触部30は、第一接触ロール32と、第二接触ロール34を含む。第一接触ロール32は、第一範囲R1の第三位置P3にエンボスロール20に対向して設けられる。第二接触ロール34は、第一範囲R1の第四位置P4にエンボスロール20に対向して設けられる。エンボス加工方法の実施時、第一接触ロール32と第二接触ロール34は、第一範囲R1を搬送方向に搬送されている基材85の裏面に接する。第一接触ロール32と第二接触ロール34は、基材85の裏面に接した状態で第二回転方向D2に従動して回転する。
【0061】
そのため、基材85が第一範囲R1を搬送されている状態でエンボスロール20からの基材85の剥離を接触部30(第一接触ロール32及び第二接触ロール34)によって規制することができる。第一範囲R1を搬送中の基材85では、表面及び裏面の各側での熱収縮量が相違する。例えば、裏面側での熱収縮量が表面側での熱収縮量より大きくなることがある。従って、前述した熱収縮量の相違に基づき、基材85は、第一範囲R1の搬送途中にエンボスロール20から剥離し易くなる。第一範囲R1を搬送中の基材85がエンボスロール20から剥離した場合、第一賦形位置及び第二賦形位置の位置ずれが生じ易くなる。第一賦形位置は、エンボスロール20と第一バックアップロール24によって押圧される基材85の表面上の位置である。第二賦形位置は、エンボスロール20と第二バックアップロール26によって押圧される基材85の表面上の位置である。この点に関し、エンボス加工装置10では、エンボスロール20からの基材85の剥離が規制されるため、第一賦形位置及び第二賦形位置の位置ずれを抑制することができる。基材85がエンボスロール20と第一バックアップロール24の間を通過した後、早いタイミングでエンボスロール20からの基材85の剥離を規制することができる。第三位置P3と第四位置P4でエンボスロール20からの基材85の剥離を規制しつつ、基材85をスムーズに搬送することができる。エンボス加工装置10では、基材85に対する2回の押圧により、エンボス加工方法の実施時、基材85の搬送速度を高めることができる。化粧シート80の生産性を向上させることができる。立体的な凹凸模様81を有する化粧シート80を製造することができる。
【0062】
(2)エンボス加工装置10では、ガイドロール40が第二範囲R2に第一バックアップロール24に対向して設けられる(
図1参照)。ガイドロール40は、供給装置90から繰り出された基材85を第一バックアップロール24の側に供給する。そのため、基材85を第一バックアップロール24にスムーズに供給することができる。基材85が第一バックアップロール24の外周を搬送される距離を短くすることが可能となる。基材85を第一バックアップロール24に密着させることができる。基材85をスムーズに加熱することができる。
【0063】
(3)エンボス加工装置10では、第三加熱部64がエンボスロール20に設けられ、第二加熱部62が第二バックアップロール26に設けられる(
図1参照)。そのため、エンボス加工方法の実施中、基材85を加熱することができる。基材85がエンボスロール20と第一バックアップロール24の間を通過した後、基材85の温度変化を抑制することができる。
【0064】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
【0065】
(1)エンボス加工装置10では、第一配置方向は、鉛直方向に一致する(
図1参照)。第一配置方向は、エンボスロール20の径方向に沿った方向であればよい。エンボス加工装置では、第一バックアップロール24とエンボスロール20と第二バックアップロール26は、エンボスロール20の径方向に沿い且つ鉛直方向に対して傾斜した方向に並んで配置されてもよい。エンボス加工装置では、第一配置方向をエンボスロール20の径方向に沿った方向のうちの何れの方向とするかは、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0066】
(2)エンボス加工装置10では、第二バックアップロール26は、搬送範囲RAがエンボスロール20の外周の1/2周となる位置に設けられる(
図1参照)。第二バックアップロール26は、前述の位置とは異なる位置に設けられてもよい。但し、第二バックアップロール26は、搬送範囲RAがエンボスロール20の外周の1/2~3/4周の範囲の所定値となる位置に設けるとよい。搬送範囲RAがエンボスロール20の外周の1/2周未満である場合、基材85に対する賦形性が損なわれることがある。一方、搬送範囲RAがエンボスロール20の外周の3/4周を超える場合、基材85が過剰に加熱されることがある。基材85が過剰に加熱された場合、化粧シート80の状態で厚みT1(
図2下段又は中段参照)が減少することがある。エンボスロール20に対する第二バックアップロール26の位置は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0067】
(3)接触部30は、第一接触ロール32と、第二接触ロール34を含む(
図1参照)。接触部では、接触ロールの本数は、1本又は3本以上としてもよい。接触ロールを1本とする場合、1本の接触ロールは、エンボスロール20の外周の第一範囲R1のうち、第二バックアップロール26より第一バックアップロール24寄りの位置に設けるとよい。このような配置とした場合、基材85を接触ロールの自重によりエンボスロール20の径方向の中心側に押圧することができる。但し、一部の接触ロール又は全部の接触ロールは、第一範囲R1のうち、第一バックアップロール24より第二バックアップロール26寄りの位置に設けてもよい。接触部を1本又は複数本の接触ロールとする場合、第一範囲R1における接触ロールの配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0068】
この他、接触部は、接触ロールとは異なる態様としてもよい。例えば、接触部は、基材85の裏面との接触に伴い回転しない態様としてもよい。また、接触部は、接触部が未変形の状態でも基材85の裏面と面接触する態様としてもよい。例えば、接触部は、エンボスロール20の外周に沿った曲面を有する態様としてもよい。
【0069】
(4)エンボス加工装置10では、ガイドロール40は、第一バックアップロール24の外周の第二範囲R2に設けられる(
図1参照)。更に、ガイドロール40は、搬送範囲RBが第一バックアップロール24の外周の1/4周となる位置に設けられる。ガイドロール40は、前述の位置とは異なる位置に設けられてもよい。但し、ガイドロール40は、搬送範囲RBが第一バックアップロール24の外周の1/6~3/4周の範囲の所定値となる位置に設けるとよい。搬送範囲RBが第一バックアップロール24の外周の1/6未満である場合、基材85に対する賦形性が損なわれることがある。一方、搬送範囲RBが第一バックアップロール24の外周の3/4周を超える場合、基材85が過剰に加熱されることがある。基材85が過剰に加熱された場合、化粧シート80の状態で厚みT1(
図2下段又は中段参照)が減少することがある。第一バックアップロール24に対するガイドロール40の位置は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0070】
(5)エンボス加工装置10では、駆動部がエンボスロール20のシャフト21に取り付けられる。エンボスロール20は、駆動部からの駆動力によって第一回転方向D1に自転する(
図1参照)。第一バックアップロール24と第二バックアップロール26と第一接触ロール32と第二接触ロール34とガイドロール40と剥離ロール50には、駆動部は、設けられない。従って、第一バックアップロール24と第二バックアップロール26と第一接触ロール32と第二接触ロール34と剥離ロール50は、基材85の裏面に接した状態で第二回転方向D2に従動して回転する。ガイドロール40は、基材85の表面に接した状態で第一回転方向D1に従動して回転する。第一バックアップロール24、第二バックアップロール26、第一接触ロール32、第二接触ロール34、ガイドロール40及び剥離ロール50の一部又は全部のロールには、駆動部を設けてもよい。駆動部は、例えば、モータである。エンボスロール20、第一バックアップロール24、第二バックアップロール26、第一接触ロール32、第二接触ロール34、ガイドロール40及び剥離ロール50のうちの複数のロールに駆動部が設けられるとする。この場合、各駆動部には、検出器を設けるとよい。駆動部がモータである場合、検出器は、例えば、エンコーダである。各駆動部は、検出器からの検出信号に従い制御される。複数の駆動部のうちの一部又は全部の駆動部は、同期運転される。第一バックアップロール24、第二バックアップロール26、第一接触ロール32、第二接触ロール34、ガイドロール40及び剥離ロール50の一部又は全部のロールに駆動部を設ける場合、エンボスロール20用の駆動部は、省略してもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 エンボス加工装置、 20 エンボスロール、 21 シャフト
22 成形部、 24 第一バックアップロール、 25 シャフト
26 第二バックアップロール、 27 シャフト、 30 接触部
32 第一接触ロール、 33 シャフト、 34 第二接触ロール
35 シャフト、 40 ガイドロール、 41 シャフト
50 剥離ロール、 51 シャフト、 60 第一加熱部
62 第二加熱部、 64 第三加熱部、 80 化粧シート
81 凹凸模様、 82 凹部、 83 凸部、 85 基材
86 中間材、 87 表面材、 88 裏面材、 90 供給装置
92 回収装置、 D1 第一回転方向、 D2 第二回転方向
L1 基準線、 L2 接線、 P1 第一位置、 P2 第二位置
P3 第三位置、 P4 第四位置、 R1 第一範囲
R2 第二範囲、 RA,RB 搬送範囲、 T1,T2 厚み
θ1,θ2 角度