IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ・アメリカズ・エルエルシーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】硬化性樹脂系
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/50 20060101AFI20220720BHJP
   C08G 59/20 20060101ALI20220720BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
C08G59/50
C08G59/20
C08J5/24 CFC
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019556958
(86)(22)【出願日】2018-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018028157
(87)【国際公開番号】W WO2018195192
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】62/486,514
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509282365
【氏名又は名称】ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ・アメリカズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キンケイド,デレク
(72)【発明者】
【氏名】ル,ドン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,デイビッド・ランハム
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-074918(JP,A)
【文献】特開昭51-096897(JP,A)
【文献】米国特許第04680341(US,A)
【文献】特許第4972851(JP,B2)
【文献】国際公開第2012/124780(WO,A1)
【文献】特開2006-188707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/50
C08G 59/20
C08J 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)エピハロヒドリンと、脂肪族アミン、アルキル芳香族アミン、アルキルアミノフェノール及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも2個の反応性水素を有するアミンとの反応から得られるアルキル化グリシジルアミンを含むエポキシ成分、ならびに(ii)フェニルインダンジアミン
を含む硬化成分を含む硬化性樹脂系であって、
前記アルキルアミノフェノールが式
【化1】
[式中、Rは1個から12個までの炭素原子を有するアルキル基であり、R 1 は1個から
12個までの炭素原子を有するアルキル基であり、zは1である]
を有し、
ここで硬化性樹脂系は、150℃の硬化温度で、85%以上の硬化度を示す
硬化性樹脂系
【請求項2】
アルキル化グリシジルアミンがその分子中に2個ないし5個のエポキシ基を有する請求項1に記載の硬化性樹脂系。
【請求項3】
少なくとも2個の反応性水素を有するアミンがアルキル芳香族アミンである請求項1に記載の硬化性樹脂系。
【請求項4】
アルキル芳香族アミンがアルキル芳香族ポリアミンである請求項1に記載の硬化性樹脂系。
【請求項5】
Rがメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであり、R1がメチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル又はブチルである請求項5に記載の硬化性樹脂系。
【請求項6】
アルキルアミノフェノールが構造
【化2】
[式中、R、R1及びzは請求項において定義される]
を有する化合物である請求項に記載の硬化性樹脂系。
【請求項7】
zが1であり、R及びR1がOH基に対してオルトである請求項に記載の硬化性樹脂系
【請求項8】
zが1であり、R及びR1がNH2基に対してオルトである請求項に記載の硬化性樹脂系。
【請求項9】
フェニルインダンジアミンが構造
【化3】
[式中、各R2は独立して水素又は1個から6個までの炭素原子を有するアルキル基であ
り;各R3は独立して水素、ハロゲン又は1個から6個までの炭素原子を有するアルキル
基であり;そしてbは独立して1ないし4の整数であり、インダン環上のアミノ基は5又は6位にある]
を有する化合物である請求項1に記載の硬化性樹脂系。
【請求項10】
フェニルインダンジアミンが0モル%から100モル%までの5-アミノ-3-(4’-アミノフェニル)-1,1,3-トリメチルインダンを100モル%から0モル%までの6-アミノ-3-(4’-アミノフェニル)-1,1,3-トリメチルインダンと組み合わせて含む請求項に記載の硬化性樹脂系。
【請求項11】
a)エポキシ成分を硬化成分と混合して反応性混合物を形成し、ここでエポキシ成分はエピハロヒドリンと、脂肪族アミン、アルキル芳香族アミン、アルキルアミノフェノール及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも2個の反応性水素を有するアミンとの反応から得られるアルキル化グリシジルアミンを含み;前記アルキルアミノフェノールが式
【化1】
[式中、Rは1個から12個までの炭素原子を有するアルキル基であり、R 1 は1個から
12個までの炭素原子を有するアルキル基であり、zは1である]
を有し;そして硬化成分はフェニルインダンジアミンを含み;ここで前記反応性混合物は、150℃の硬化温度で、85%以上の硬化度を示し
b)得られる反応性混合物を強化繊維を含む金型中に移し;
c)金型中の反応性混合物を高められた温度で硬化させて、反応性混合物の硬化により形成されるポリマーマトリックス中に強化繊維が埋め込まれた繊維強化複合材料を製造し;そして
d)繊維強化複合材料を離型させる
ことを含む繊維強化エポキシ複合材料の製造方法。
【請求項12】
請求項11の方法に従って製造される繊維強化複合材料。
【発明の詳細な説明】
【関連出願へのクロスリファレンス】
【0001】
本出願は、2017年4月18日に出願された出願番号第62/486,514号を有する米国暫定特許出願明細書の利益を請求し、その開示全体は引用することにより本明細書の内容となる。
【連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載】
【0002】
適用なし
【技術分野】
【0003】
発明の分野
本開示はアルキル化グリシジルアミンを含むエポキシ成分及びフェニルインダンジアミンを含む硬化成分を含む硬化性樹脂系に関する。前記硬化性樹脂系は多様な用途において、例えば航空宇宙及び自動車産業用の複合材料の製造において有用である。
【背景技術】
【0004】
背景
エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物は、構造用複合材料の製造のための数多くのプロセスにおいて用いられている。例えばそのような組成物は、樹脂トランスファー成形(resin tranfer molding)(RTM)、真空補助樹脂トランスファー成形(vacuum-assisted resin transfer molding)(VARTM)、Seeman Composites Resin Infusion Molding Process(SCRIMP)、反応射出成形(RIM)法及び液体圧縮成形(liquid compression molding)(LCM)として既知のものを含む成形法において用いられる場合がある。これらの方法のそれぞれにおいて、硬化性樹脂組成物は強化剤に適用され、強化剤の存在下で硬化されている。次いで強化剤が分散された連続ポリマー相(硬化した樹脂から形成される)を有する複合材料が生成される。
【0005】
上記の種々の方法を用いて広範囲の製品を製造することができる。例えば成形法(RTM、VARTM、SCRIMP、RIM及びLCMのような)を用いて自動車及び航空機部品において有用な高強度部品を製造することができる。RTM、VARTM及びSCRIMP法において、織物状(woven)又はマット状(matted)繊維プレフォームを金型キャビティー中に挿入し、金型を閉じ、樹脂を金型中に射出して樹脂を硬化させることにより部品が製造される。RIM法において、織物状又はマット状繊維プレフォームは直前に記載した通りにあらかじめ金型中に挿入される場合があるか、又はそれを硬化性樹脂組成物と一緒に金型中に射出することができる。LCM法において、反応性混合物は繊維プレフォーム又はスタックに射出することなく、1cmないし50cm以上の幅を有する比較的広いスリットダイを介して供給されている系の「帯(bands)」としてそれを噴霧するか又は据える(lay down)ことにより直接適用される。
【0006】
多くの他の製造法の場合にそうであるように、これらの複合材料製造法の経済性は重度に運転速度に依存する。成形法の場合、運転速度は多くの場合に「サイクル時間」という観点で(in terms of)表される。サイクル時間は、金型中で複合部品を製造し、複合部品の製造のために金型を準備するのに必要な時間を指す。サイクル時間は、単位時間当たりに金型上で製造され得る複合部品の数に直接影響する。より長いサイクル時間は製造コストを増加させ、それは製造される部品当たりの諸経費(中でも設備費及び人件費)がより大きいからである。より大きな生産能力が必要な場合、より多くの金型及び他の加工装置が必要なために資本コストも増加する。これらの理由で多くの場合にサイクル時間を短縮することが望まれる。上記の成形法においてエポキシ樹脂を含む硬化性組成物が用いられる場合、サイクル時間の主要な構成要素は樹脂が硬化するのに必要な時間の長さである。特に部品が大きいか又は複雑な場合、長い硬化時間が多くの場合に必要である。従って樹脂が硬化するのに必要な時間を短縮することができると、サイクル時間及び製造コストを低下させることができる。
【0007】
触媒及びいくつかの場合には高度に反応性の硬化剤の使用を経てより速い硬化を助長することができる。しかしこれらのようなより速い硬化系に関連する問題がある。1つの問題は反応性である-より迅速に硬化する系は非常に迅速に高い粘度を発現する傾向がある。硬化時間を可能な限り短縮するために系の反応性をますます向上させる時、これは非常に重要な問題になる。系の硬化が迅速すぎると、許容され得る質を有する部品を製造するのが困難又は不可能になる。系は非常に急速に粘度を上昇させ、特に比較的大きな部品を製造する時に金型を満たすのが困難になり得る。より高い運転圧力が必要になり、より大きな装置及び運転コストに導く。比較的小さい部品においてさえ、硬化性ポリマーが繊維の間及びその周りを流れる時、多くの場合に可視の流れライン(flow lines)及びボイド(voids)が形成される。これらの欠陥は部品における物理的、熱的及び機械的性質の損失を生ずる。
【0008】
早期の粘度上昇の問題は、いくつかの繊維強化複合材料製造法において特に深刻である。これは、多くの場合に繊維が少なくとも部分的に予備加熱されるからである。金型中への硬化性組成物の導入は、加熱された繊維との接触点において樹脂マトリックス組成物を急速な局所的加熱に暴露する。これは急速な局所的硬化及び付随する局所的粘度上昇を生ずる。これらの局所的粘度上昇は欠陥のある部品が製造される傾向を助長する。
【0009】
これらの問題を回避する試みにおいて、遅延作用触媒(delayed action catalysts)が試された。しかしながら多くの遅延作用触媒は単純に、必要な短い離型時間を与えない。他の遅延作用触媒は、樹脂が射出される時の金型中の繊維の温度又はその近辺の温度において活性化される。後者の場合、遅延作用触媒は樹脂が繊維に接触する点で局所的に活性化され得、局所的な硬化及び粘度上昇に導き、それは今度は部品における欠陥に導く。
【0010】
別の重要な考慮事項は、硬化した組成物のガラス転移温度である。硬化性エポキシ樹脂マトリックス系の場合、重合反応の進行とともにガラス転移温度は上昇する。一般に樹脂は金型温度より高いガラス転移温度を発現し、部品を損傷なく離型させ得るのが望ましい。いくつかの場合、硬化可能な組成物はさらに、続いて製造される複合部品がその意図される用途において適切に働く(perform properly)のに必要なガラス転移温度を達成しなければならない。従ってすでに記載した硬化属性の他に、エポキシに基づく系は完全に硬化した時に必要なガラス転移温度を達成することができるものでなければならない。いくつかの用途において、この必要なガラス転移温度は成形法それ自体の間に達成され(すなわち追加の後硬化段階の必要なく)、それでも必要な短い離型時間が達成されるのが高度に望ましい。
【0011】
従って上記の欠点に苦しめられない望ましい物理的、熱的及び化学的性質を有する硬化性エポキシに基づく組成物が当該技術分野において望まれる。下記に記載され、続く請求項により特定される本開示の態様により、これらの要求に対処する。
【発明の概要】
【0012】
概略
本開示は、アルキル化グリシジルアミンを含むエポキシ成分及びフェニルインダンジアミンを含む硬化成分を含む硬化性樹脂系を提供する。1つの態様において、前記硬化性樹脂系は高い潜伏性(latency)を示し、低温で硬化すると約80%以上の硬化度を有し、且つ望ましい熱的及び機械的性質を示す硬化製品を与える。
【0013】
本開示に従う硬化性樹脂系はコーティング、接着剤又はシーラントにおけるような多様な用途において用いられる場合がある。1つの態様において、前記硬化性樹脂系は航空宇宙、自動車又は電子産業におけるような種々の産業における使用のための複合材料の製造において用いられる場合がある。
【0014】
詳細な記述
本明細書に現れる場合、「含む」という用語及びその派生語は、追加の成分、段階又は方法が本明細書で開示されていても開示されていなくても、それらの存在を排除することを意図していない。いずれの疑問をも避けるために、「含む」という用語の使用を介して本明細書で特許請求されるすべての組成物は、そうでないと記載されなければ、いずれの追加の添加物、助剤又は化合物をも含む場合がある。対照的に「本質的に~からなる」という用語は、本明細書に現れる場合、操作性に必須でないものを除いていずれの他の成分、段階又は方法をも続く記述の範囲から排除し、「~からなる」という用語は、用いられる場合、特定的に明示され(delineated)ていない又は挙げられていないいずれの成分、段階又は方法をも排除する。「又は」という用語は、他にことわらなければ、挙げられるメンバーを個々にならびにいずれかの組み合わせにおいて指す。
【0015】
“a”及び“an”という冠詞は、冠詞の文法的な対象の1つ以上(すなわち少なくとも1つ)を指すために本明細書で用いられる。例えば「アルキル化グリシジルアミン(an alkylated glycidyl amine)」は1種のアルキル化グリシジルアミン又は1種より多いアルキル化グリシジルアミンを意味する。「1つの態様において」、「1つの態様に従うと」などの句は一般に、句に続く特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの態様に含まれ、且つ本開示の1つより多い態様に含まれる場合があることを意味する。重要なことに、そのような句は必ずしも同じ態様を指さない。成分又は特徴がある特性に含まれるか又はそれを有する「場合がある」、「ことができる」、「ことができた」又は「場合があった」と明細書が述べている場合、その特定の成分又は特徴はその特性に含まれるか又はそれを有することを要求されていない。
【0016】
「脂肪族」という用語は、芳香族でない化合物を意味する。
【0017】
「アルキル化グリシジルアミン」という用語は、アルキル基を有するグリシジルアミンを指す。
【0018】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、直鎖状及び分枝鎖状アルキル基ならびにシクロアルキル基を指す。いくつかの態様において、アルキル基は1個から約20個までの炭素原子又は1個から12個までの炭素又はさらにいくつかの態様において1個から8個までの炭素原子を有する場合がある。1個から8個までの炭素原子を有する直鎖状アルキル及びシクロアルキル基の例にはメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル基ならびにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル基が含まれる。分枝鎖状アルキル基の例にはイソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、イソペンチル及び2,2-ジメチルプロピル基が含まれるがこれらに限られない。本明細書で用いられる場合、「アルキル」という用語はアルキルのすべての分枝鎖形態を包含する。
【0019】
本明細書で用いられる場合、「硬化(curing)」又は「硬化(cure)」という用語は化学的架橋によるエポキシ樹脂の硬化(hardening)を指す。「硬化性」という用語は、組成物又は系が組成物又は系を硬化又は熱硬化状態(cured or thermoset state or condition)にするであろう条件に供され得ることを意味する。
【0020】
「硬化度(curing degree)」又は「硬化度(degree of curing)」という用語は、硬化反応がその開始(反応が全く起こっていない)とその終了(反応が可能な限りまで進行し、その時系は完全に硬化している)の間でどこまで進行したかの表現として理解されるべきである。
【0021】
「エピハロヒドリン」という用語は、以下の構造:
【化1】
を有する化合物を指し、式中、Aはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのようなハロゲン原子である。エピクロロヒドリンはエピハロヒドリンの1つの例である。
【0022】
「実質的に含まない」という用語は、組成物における材料の実質的な不在に関連して用いられる場合、そのような材料が存在しないか又はもしあったとしても偶発的な不純物又は副生成物としてであることを意味する。言い換えると、材料は組成物の性質に影響しない。
【0023】
本開示は一般に(i)エピハロヒドリンと、脂肪族アミン、アルキル芳香族アミン、アルキルアミノフェノール及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも2個の反応性水素を有するアミンとの反応から得られるアルキル化グリシジルアミンを含むエポキシ成分、ならびに(ii)フェニルインダンジアミンを含む硬化性成分を含む硬化性樹脂系に関する。出願人らは驚くべきことに、そのような硬化性樹脂系が高い潜伏性(すなわち、温度安定性)を示すのみでなく、低温で迅速に硬化をもすることを見出した。さらに硬化性樹脂系は硬化すると高い耐熱性を示し、それは進歩した複合材料用途のために必要である。かくして本開示の硬化性樹脂系は、複合的用途(composite applications)のための熱的、機械的及び流動学的要求を満たしながら向上した加工潜伏性(process latency)及び迅速硬化能力も与えるための反応性化学解決案(reactive chemistry solutions)を提供する。そのような迅速硬化能力はより速い加工処理量及びますます好ましい生産経済性を生ずる。
【0024】
本開示の硬化性樹脂系は単独で用いられる場合があるが、系は一般に繊維性支持体と組合されて複合材料を形成する。複合材料はプレプレグ又は硬化した完成部品の形態の場合がある。複合材料はいずれの意図された目的のために用いられる場合もあるが、1つの態様において、それらは構造用及び非構造用航空機部品及び一次航空機構造又は部品のための航空宇宙用途において用いられる。構造部品には機体、翼、尾翼ならびに翼桁、リブ及びストリンガーのような支持構造が含まれる。非構造部品には航空宇宙機(aerospace vehicles)のインテリア(interior)が含まれ得る。さらに複合材料は一次航空機構造の製造に用いられる場合がある。一次航空機構造又は部品は、飛行の間に有意な応力を受け且つ制御された飛行の維持のために航空機にとって必須である固定翼又は回転翼航空機の部品である。複合材料は「耐荷重」部品及び一般的な構造物の製造に用いられる場合もある。
【0025】
上記の通り、硬化性樹脂系はアルキル化グリシジルアミンを含むエポキシ成分を含む。1つの態様に従うと、アルキル化グリシジルアミンはその分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物である。別の態様において、アルキル化グリシジルアミンはその分子中に3個以上のエポキシ基又はその分子中に4個以上のエポキシ基を有する化合物である。さらに別の態様において、アルキル化グリシジルアミンはその分子中に5個以下のエポキシ基を有する化合物である。さらにもっと別の態様において、アルキル化グリシジルアミンはその分子中に2個ないし5個のエポキシ基又はその分子中に2個ないし4個のエポキシ基又はさらにその分子中に2個ないし3個のエポキシ基を有する化合物である。さらなる態様において、アルキル化グリシジルアミンはその分子中に3個ないし5個のエポキシ基又はその分子中に3個ないし4個のエポキシ基を有する化合物である。
【0026】
上記の通り、アルキル化グリシジルアミンはエピハロヒドリンを脂肪族アミン、アルキル芳香族アミン、アルキルアミノフェノール及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも2個の反応性水素を有するアミンと反応させることにより得られる場合がある。別の態様において、アルキル化グリシジルアミンはエピハロヒドリンを脂肪族アミン、アルキルアミノフェノール及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも2個の反応性水素を有するアミンと反応させることにより得られる場合がある。さらに別の態様において、アルキル化グリシジルアミンはエピハロヒドリンをアルキル芳香族アミン、アルキルアミノフェノール及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも2個の反応性水素を有するアミンと反応させることにより得られる場合がある。さらにもっと別の態様において、アルキル化グリシジルアミンはエピハロヒドリンをアルキル芳香族アミンから選ばれる少なくとも2個の反応性水素を有するアミンと反応させることにより得られる場合がある。さらなる態様において、アルキル化グリシジルアミンはエピハロヒドリンをアルキルアミノフェノールから選ばれる少なくとも2個の反応性水素を有するアミンと反応させることにより得られる場合がある。
【0027】
1つの態様に従うと、エピハロヒドリンはエピクロロヒドリン又はエピブロモヒドリンである。1つの好ましい態様に従うと、エピハロヒドリンはエピクロロヒドリンである。
【0028】
別の態様において、少なくとも2個の反応性水素を有するアミンは脂肪族アミンである。1つの態様に従うと、脂肪族アミンはモノアミンである。モノアミンの例にはメチルアミン、n-ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、アミノノルボルナン、N,N-ジエチルトリメチレンジアミン及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0029】
別の態様に従うと、脂肪族アミンはジ又はポリアミンである。ジ及びポリアミンの例にはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリブチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,2-ブタンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(アミノプロピル)エーテル、ビス(アミノプロピル)スルフィド、イソホロンジアミン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)-トランス-シクロヘキサン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジアミン、2,2’-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、4-(2-アミノプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-アミン(メンタンジアミン)及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0030】
別の態様に従うと、アミンはアルキル芳香族アミンである。別の態様において、アルキル芳香族アミンはアルキル芳香族ポリアミンである。アルキル芳香族ポリアミンの例には2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、4,4’-メチレン-ビス-(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジエチルアニリン)、5-アミノ-3-(4’-アミノフェニル)-1,1,3-トリメチルインダン、6-アミノ-3-(4’-アミノフェニル)-1,1,3-トリメチルインダン、3,3’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタンのような4,4’-ジアミノジフェニルメタンのアルキル化誘導体、ジエチルトルエンジアミン及びそれらの混合物が含まれるがこれらに限られない。
【0031】
さらに別の態様に従うと、アミンはアルキルアミノフェノールである。1つの態様において、アルキルアミノフェノールは構造
【化2】
を有する化合物であり、式中、Rは1個から12個までの炭素原子を有するアルキル基であり、R1は1個から12個までの炭素原子を有するアルキル基であり、zは0又は1の整数である。
【0032】
1つの態様に従うと、zは0であり、Rは1個から8個までの炭素原子を有するアルキル基である。R基の例にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びブチル基が含まれるがこれらに限られない。
【0033】
別の態様に従うと、zは1であり、Rは1個から8個の炭素原子を有するアルキル基であり、R1は1個から8個の炭素原子を有するアルキル基である。R及びR1基の例にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びブチル基が含まれるがこれらに限られない。
【0034】
さらに別の態様において、アルキルアミノフェノールは構造
【化3】
を有する化合物であり、式中、R、R1及びzは上記の通りに定義される。1つの態様において、zが1である場合、R及びR1はOH基に対してオルトであるが、別の態様において、zが1である場合、R及びR1はNH2基に対してオルトである。
【0035】
さらに別の態様において、アルキルアミノフェノールは構造
【化4】
を有する化合物であり、式中、R、R1及びzは上記の通りに定義される。
【0036】
米国特許第4,540,769、4,900,848、5,017,674及び5,280,069号明細書に開示されている方法によるような当業者に既知の適した方法により、アルキル化グリシジルアミンを製造することができる。これらの特許は、そのような材料の製造方法に関連するそれらの開示に関し、引用することによりそれらの記載事項が完全に本明細書の内容となる。例えば1つの適した方法はアミンとエピハロヒドリンを反応させて前記アミンの対応するハロヒドリンアミンを形成し、得られるハロヒドリンアミンを続いて脱ハロゲン化水素することを含む。アルキル化グリシジルアミンの製造において、典型的に適した触媒の存在下又は不在下で且つ適した溶媒の存在下又は不在下で、約0℃から約150まで又は約20℃から約100℃まで又はさらに約40℃から約80℃までの温度で;及び約30mmHg真空から約100psiaまで又は約65mmHg真空から約50psiaまで又はさらに大体大気圧から約20psiaまでの圧力において;且つ反応の完了に十分な時間、通常は約30分から約48時間まで、もっと通常には約1時間から約12時間まで、最も通常には約1時間から約6時間までアミンをエピハロヒドリンと反応させる。この初期反応は、触媒が化学量論的量で用いられるアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物でなければ、ハロヒドリンアミン中間体を与え、それを次いで塩基性作用化合物(basic acting compound)と反応させてビシナルハロヒドリン基をエポキシド基に転換する。適した溶媒の存在下又は不在下におけるハロヒドリンアミン中間体と塩基性作用化合物の反応は、典型的に約0℃から約100℃まで、より適切には約20℃から80℃まで、最も適切には約25℃から約60℃までの温度;及び適切には約30mmHg真空から約100psiaまで、より適切には約45mmHg真空から約50psiaまで、最も適切には約60mmHg真空から大気圧までの圧力で;且つ脱ハロゲン化水素反応が完了するのに十分な時間、通常は約10分から約12時間まで、もっと通常には約15分から約6時間まで、最も通常には約20分から約1時間まで行われる。得られる生成物はアルキル化グリシジルアミン化合物である。
【0037】
アルキル化グリシジルアミンの製造のための反応において用いられる場合があるエピハロヒドリンの量は、アミンの1モル当たり0.5モル以上又は1.5モル以上又はさらに3モル以上又はさらに8モル以上またはさらに10モル以上の場合がある。
【0038】
アルキル化グリシジルアミンの製造のために用いられ得る適した触媒には、例えば例としてベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミドのようなハロゲン化アンモニウム、La(NO32及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0039】
アルキル化グリシジルアミンの製造のために用いられ得る適した塩基性作用化合物には、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などが含まれる。特に適したそのような化合物には例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸リチウム、重炭酸カルシウム、重炭酸バリウム、重炭酸マグネシウム、重炭酸マンガン、それらの混合物などが含まれる。最も好ましいのは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
【0040】
アルキル化グリシジルアミンの製造のために用いられ得る適した溶媒には、例えばアルコール、グリコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、グリコールエーテル、アミド、スルホキシド、スルホン、それらの組み合わせなどが含まれる。特に適した溶媒には例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、キシレン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、ブチレングリコールメチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、それらの組み合わせなどが含まれる。溶媒は、用いられる場合、通常約5重量%から約95重量%まで又は約20重量%から約60重量%まで、最も適切には約30重量%から約40重量%の量で用いられ、ここで重量%は溶媒及びエピハロヒドリンの合わされた重量に基づく。
【0041】
一般にエポキシ成分は少なくとも40重量%のアルキル化グリシジルアミンを含む場合があり、ここで重量%はエポキシ成分の合計重量に基づく。他の態様において、エポキシ成分は少なくとも約50重量%又は少なくとも約60重量%又は少なくとも約70重量%又はさらに少なくとも約80重量%のアルキル化グリシジルアミンを含む場合があり、ここで重量%はエポキシ成分の合計重量に基づく。さらに別の態様において、エポキシ成分は少なくとも約92.5重量%又は少なくとも約95重量%又はさらに少なくとも約97.5重量%又はさらに少なくとも99重量%又はさらに99.9重量%のアルキル化グリシジルアミンを含む場合があり、ここで重量%はエポキシ成分の合計重量に基づく。さらにもっと別の態様において、エポキシ成分はアルキル化グリシジルアミンからなる。
【0042】
さらに別の態様において、エポキシ成分はさらにエポキシ樹脂を含む場合がある。そのようなエポキシ樹脂の例は、例えばレゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラメチルビフェノール又はそれらの2種以上の混合物のようなジフェノールのジグリシジルエーテルを含むポリフェノールのポリグリシジルエーテルである。さらなる例にはポリグリコールのポリグリシジルエーテル;クレゾール-ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、フェノール-ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂及びビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂を含むエポキシノボラック樹脂;脂環式エポキシド;トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン;テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン;オキサゾリドン含有化合物;先進(advanced)エポキシ-イソシアナートコポリマー;ならびにメチレンジアニリン又はm-フェニレンジアミンのテトラグリシジルエーテル、フルオレンジアニリンのテトラグリシジルアミン、トリグリシジルアミノフェノール及びアニリンのジグリシジル誘導体を含むがこれらに限られない非アルキル化グリシジルアミンが含まれる。
【0043】
1つの態様において、エポキシ成分は約60重量%未満のエポキシ樹脂を含む場合があり、ここで重量%はエポキシ成分の合計重量に基づく。他の態様において、エポキシ成分は約30重量%未満又は約20重量%未満のエポキシ樹脂を含む場合があり、ここで重量%はエポキシ成分の合計重量に基づく。さらに別の態様において、エポキシ成分は約7.5重量%未満又は約5重量%未満又は約2.5重量%未満又はさらに約1重量%未満又はさらに約0.1重量%未満のエポキシ樹脂を含む場合があり、ここで重量%はエポキシ成分の合計重量に基づく。
【0044】
上記の通り、硬化性樹脂系は硬化成分も含む。1つの態様において、硬化成分はフェニルインダンジアミンを含む。さらなる態様において、フェニルインダンジアミンは構造
【化5】
を有する化合物であり、式中、R2は水素又は1個から6個までの炭素原子を有するアルキル基であり;R3は独立して水素、ハロゲン又は1個から6個までの炭素原子を有するアルキル基であり;そしてbは独立して1ないし4の整数であり、インダン環上のアミノ基は5又は6位にある。
【0045】
フェニルインダンジアミンは異性体又は置換異性体フェニルインダンジアミン化合物のいずれの組み合わせを含むこともできる。例えばフェニルインダンジアミンは0モル%から100モル%までの5-アミノ-3-(4’-アミノフェニル)-1,1,3-トリメチルインダンを100モル%から0モル%までの6-アミノ-3-(4’-アミノフェニル)-1,1,3-トリメチルインダンと組み合わせて含むことができる。さらに、これらの異性体のいずれか又は両方は0%から100%までの全範囲に及んで置換ジアミン異性体のいずれかにより置き換えられていることができる。そのような置換ジアミン異性体の例は5-アミノ-6-メチル-3-(3’-アミノ-4’-メチルフェニル)-1,1,3-トリメチルインダン、5-アミノ-3-(4’-アミノ-Ar’,Ar’-ジクロロフェニル)-Ar,Ar-ジクロロ-1,1,3-トリメチルインダン、6-アミノ-(4’-アミノ-Ar’,Ar’-ジクロロ-フェニル)-Ar,Ar-ジクロロ-1,1,3-トリメチルインダン、4-アミノ-6-メチル-3(3’-アミノ-4’-メチル-フェニル)-1,1,3-トリメチルインダン及びAr-アミノ-3-(Ar’-アミノ-2’,4’-ジメチルフェニル-1,1,3,4,6-ペンタメチルインダンである。上記の式中の接頭辞(prefixes)Ar及びAr’は、与えられる置換基に関するフェニル環中での不確定な位置を示す。
【0046】
フェニルインダンジアミンの中で、R2が独立して水素又はメチルであり、R3が独立して水素、メチル、クロロ又はブロモであるものを挙げることができる。特に、適したフェニルインダンジアミンはR2が水素又はメチルであり、R3が独立して水素、メチル、クロロ又はブロモであり、アミノ基が5又は6位及び3’又は4’位にあるものである。相対的な可用性の理由で、特に適しているフェニルインダンジアミンにはR2がメチルであり、各R3が水素であり、アミノ基が5又は6位及び4’位にある化合物が含まれる。これらの化合物は、構造式
【化6】
を有する5(6)-アミノ-3-(4’-アミノフェニル)-1,1,3-トリメチルインダン(DAPI)として既知であり、ここでインダン環上のアミノは5又は6位にある。
【0047】
フェニルインダンジアミン及びそれらの製造方法は米国特許第3,856,752及び3,983,092号明細書に開示されており、それらの特許はそのような材料の製造に関連するそれらの開示に関して引用することによりその記載事項が完全に本明細書の内容となる。
【0048】
一般に、フェニルインダンジアミンを含む硬化成分及びアルキル化グリシジルアミンを含むエポキシ成分を、アミン水素当量当たりに少なくとも0.8エポキシ当量が反応性混合物に与えられるような量で組み合わせて反応性混合物を形成する。別の態様において、フェニルインダンジアミンを含む硬化成分及びアルキル化グリシジルアミンを含むエポキシ成分を、アミン水素当量当たりに少なくとも0.9エポキシ当量又は少なくとも1.0エポキシ当量が反応性混合物に与えられるような量で組み合わせて反応性混合物を形成する。エポキシ成分を、反応性混合物に与えられるアミン水素当量当たりに最高で10エポキシ当量のように大過剰で与えることができるが、好ましくはアミン水素当量当たりに2以下、より好ましくは1.25以下そしてさらにもっと好ましくは1.10以下のエポキシ当量が与えられる。
【0049】
いくつかの態様において、硬化成分は任意的にフェニルインダンジアミンの他に少なくとも1種の他の硬化剤を含む場合がある。1つの特定の態様において、任意的な硬化剤はエポキシ成分の硬化を助長する、そして特にアルキル化グリシジルアミン及び任意的なエポキシ樹脂の開環重合を助長するものである。
【0050】
任意的な硬化剤の例には、メタ-キシレンジアミン、1,3-(ビスアミノメチル)シクロヘキサン、トリシクロデカンジアミン、ノルボルナンジアミン、3,3’-ジメチルメチレンジ(シクロヘキシルアミン)、メチレン-ジ(シクロヘキシルアミン)、1,2-シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、メタ-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、テトラ-アルキルジアミノジフェニルメタン、テトラ-アルキル化ジ(4-アミノフェノール)ジ-イソプロピルベンゼン及びそれらの混合物を含むがこれらに限られない芳香族及び脂環式アミンが含まれる。
【0051】
別の態様において、硬化成分は任意的に2-メチルイミダソール;2-エチル-4-メチルイミダゾール;2-フェニルイミダゾールのようなイミダゾール;トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N-ジメチル-1-フェニルメタナミン及び2,4,6-トリス((ジメチルアミノ)メチル)フェノール及びトリブチルアミンのような第3級アミン;エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド及びエチルトリフェニル-ホスホニウムアセテートのようなホスホニウム塩;ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド及びベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドのようなアンモニウム塩;種々のカルボン酸化合物ならびにそれらに混合物を含む触媒を含む場合がある。
【0052】
硬化性樹脂系に、エポキシ成分及び/又は硬化成分のいずれかに加えられる場合がある他の任意的な添加剤には、触媒、希釈剤、耐衝撃性改良剤、内部離型剤、強靭化剤、染料、顔料、酸化防止剤、難燃剤、チキソトロープ剤、流れ調整剤、接着促進剤、光安定剤、防腐剤、短(最高で約6インチまで)尺強化繊維、ミクロン及びナノ粒子を含む非繊維性粒子状充填剤、湿潤剤及びそれらの混合物が含まれるがこれらに限られない。1つの態様において、硬化性樹脂系は実質的にポリエーテルスルホン強靭化剤を含まない。別の態様において、硬化性樹脂系は実質的に水を含まない。
【0053】
1つの態様に従うと添加剤は、存在する場合、約0.001重量%から約40重量%までの範囲内の量で硬化性樹脂系中に含まれる場合があり、ここで重量%はエポキシ成分及び硬化成分の合計重量に基づく。
【0054】
別の態様において:
a)エポキシ成分を硬化成分と混合して反応性混合物を形成し、ここで
エポキシ成分はエピハロヒドリンと脂肪族アミン、アルキル芳香族アミン、アルキルアミノフェノール及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも2個の反応性水素を有するアミンの反応から得られるアルキル化グリシジルアミンを含み;そして
硬化成分はフェニルインダンジアミンを含み;
b)得られる反応性混合物を強化繊維を含む金型中に移し;
c)金型中の反応性混合物を高められた温度で硬化させて、反応性混合物の硬化により形成されるポリマーマトリックス中に強化繊維が埋め込まれた繊維強化複合材料を製造し;そして
d)繊維強化複合材料を離型させる
ことを含む繊維強化エポキシ複合材料の製造方法を提供する。
【0055】
ポリマーマトリックスは本開示の硬化性樹脂系から、エポキシ成分と硬化成分を前記の割合で混合し、得られる混合物を硬化させることにより形成される。成分のいずれか又は両方を必要なら予備加熱してからそれらを互いに混合することができる。一般に迅速な硬化を得るために、混合物を高められた温度に加熱することが必要である。下記の成形複合材料の製造方法のような成形法において、金型中に含まれている場合がある強化繊維及び/又はインサートと一緒に予備加熱されている場合がある金型中に反応性混合物を導入する。硬化温度は例えば約40℃から約190℃まで又は約50℃から約180℃まで又はさらに約60℃から約170℃までの場合がある。別の態様において、硬化温度は例えば約65℃から約150℃まで又は約70℃から約135℃まで又は約80℃から約120℃までの場合がある。さらに別の態様において、硬化温度は示差走査熱量測定(DSC)により測定される反応の開始により支配される。反応の開始は、硬化系が十分な発熱反応を経験し、熱流を保持するために必要とする熱が参照より少ないような温度として定義される。この硬化開始温度は、例えば約120℃から約190℃まで又は約130℃から約180℃まで又はより好ましくは約140℃から約180℃までの場合がある。190℃より高い開始温度は迅速な低温硬化を達成することができず、120℃より低い温度は高い品質を有する部品の注入に十分な時間を許さない。
【0056】
いくつかの態様において、得られるポリマーマトリックスが硬化温度より高いガラス転移温度を得るまで硬化を続けるのが好ましい。離型の時点におけるガラス転移温度は好ましくは少なくとも110℃又は少なくとも125℃又はさらに少なくとも140℃又はさらに少なくとも150℃である。本開示の利点は、短い硬化時間でそのようなガラス転移温度を得ることができることである。これは短いサイクル時間を可能にする。硬化温度における離型時間は、典型的に350秒以下、好ましくは300秒以下そしてより好ましくは240秒以下である。いくつかの態様において、そのような硬化温度における離型時間は180秒以下又は120秒以下である。
【0057】
さらに別の態様において、硬化性樹脂系は前記の温度で硬化させると約80%以上の硬化度を示す。さらにもっと別の態様において、硬化性樹脂系は前記の温度で硬化させると約85%以上又は90%以上の硬化度を示す。さらに別の態様において、約90%より高いか又はさらに約95%より高い硬化度に達せしめるために、複合材料を離型後に加熱オーブン中でのような別の段階においてさらに硬化させるのが望ましい場合がある。
【0058】
上記の通り、本開示の硬化性樹脂系は、強化繊維の存在下で系を硬化させることにより繊維強化複合材料を製造するために特に有用である。これらの複合材料は一般にエポキシ成分を硬化成分と混合して反応性混合物を形成し、繊維を反応性混合物で濡らし(wetting)、次いで反応性混合物を強化繊維の存在下に前記の温度で硬化させることにより製造される。
【0059】
強化繊維は熱的に安定であり、硬化プロセスの間に強化繊維が分解又は融解しないような分解温度を有する。適した繊維材料には例えばガラス、石英、ポリアミド樹脂、ホウ素、炭素、麦わら、麻、サイザル麻、綿、竹及びゲル紡糸ポリエチレン繊維が含まれる場合がある。
【0060】
短(0.5ないし15cm)繊維、長(15cmより長い)繊維又は連続ロービングの形態で強化繊維を与えることができる。必要ならマット又は他のプレフォームの形態で繊維を与えることができ、そのようなマット又はプレフォームはいくつかの態様において繊維を絡ませるか、織るか及び/又は縫うことにより、あるいは接着性結合剤を用いて繊維を結合させることにより形成される場合がある。プレフォームは完成複合材料(又はその強化を必要とする部分)の寸法及び形に近い場合がある。必要なら、連続繊維又は比較的短い繊維のマットを積み重ね、典型的に粘着剤を用いて一緒に圧縮し、種々の厚さのプレフォームを形成することができる。
【0061】
プレフォームの製造に適した粘着剤には、例えば米国特許第4,992,228、5,080,851及び5,698,318号明細書に記載されているような熱軟化性ポリマーが含まれる。粘着剤は複合材料のポリマー相と適合性であるか及び/又は反応し、ポリマーと強化繊維の間に優れた接着がなければならない。粘着剤は1種以上の触媒、熱可塑性ポリマー、ゴム又は他の改質剤のような他の成分を含む場合がある。
【0062】
サイジング(sizing)又は他の有用なコーティングを繊維の表面上に適用してからそれらを金型中に導入する場合がある。サイジングは多くの場合に硬化樹脂と繊維表面の間の接着を促進する。
【0063】
複合材料は金型中で製造される場合がある。そのような場合、強化繊維を金型中に導入してからエポキシ成分/硬化成分反応性混合物を導入する場合がある。これは繊維プレフォームが用いられる場合に通常あてはまる。繊維プレフォームを金型中に置き、金型を閉め、次いで反応性混合物を金型中に導入し、そこで反応性混合物はプレフォーム中の繊維の間に浸透し、キャビティーを満たし、次いで硬化して複合材料が製造される。
【0064】
あるいはまた、繊維(プレフォームを含む)を開放金型中に置き(deposited)、反応性混合物をプレフォーム上及び金型中に噴霧するか、注ぐか又は射出することができる。この方法で金型を満たした後、金型を閉め、反応性混合物を硬化させる。この型の方法の例はギャップ圧縮樹脂トランスファー成形(gap compression resin transfer molding)であり、その方法では繊維を含む金型をギャップを以て開けたままにし、そのギャップは最初のキャビティー厚の例えば10%ないし100%の場合がある。ギャップはより低い流れ抵抗を許し、それは金型の充填をより容易にし、繊維の回り及び間における反応性混合物の浸透を助長する。
【0065】
短繊維を反応性混合物と一緒に金型中に導入することができる。そのような短繊維は例えば反応性混合物の形成の前にエポキシ成分又は硬化成分(又は両方)と配合されている場合がある。あるいはまた、エポキシ成分及び硬化成分が混合されると同時に、又はその後であるが反応性混合物を金型中に導入する前に短繊維を反応性混合物中に加える場合がある。
【0066】
あるいはまた、短繊維を金型中に噴霧することができる。そのような場合、短繊維を噴霧して入れると同時又はその後に反応性混合物も金型中に噴霧することができる。繊維及び反応性混合物を同時に噴霧する場合、それらを混合してから噴霧することができる。あるいはまた、繊維及び反応性混合物を別々だが同時に金型中に噴霧することができる。噴霧された材料をドクターブレード又は類似の装置を用いて広げる及び/又は平らにしてから金型を閉じ、硬化を行う場合がある。特に興味深い方法において、長繊維を短い長さに刻み、刻まれた繊維を反応性混合物が噴霧されて入れられると同時か又はその直前に金型中に噴霧する。メッシュ材料は多くの場合に流れ促進剤(flow promoters)として働く。
【0067】
反応性混合物が繊維プレフォーム又はスタックに射出することなく、1cmないし50cm以上の幅を有する比較的広いスリットダイを介して供給されている系の「帯」としてそれを噴霧するか又は据えることにより直接適用される湿式圧縮法(wet compression process)を用いることができる。完成複合材料において所望の繊維体積含有率に達するのに十分な材料を適用する。反応性混合物を開放金型の内部又は金型の外部で繊維に適用することができる。代わりに繊維の1つの層を反応性混合物で濡らし、次いで濡れた表面上に繊維の第2の層を置き、従って繊維の2つの層の間に樹脂層を挟むことにより、反応性混合物を堆積物(build-up)の中心層に適用する場合がある。繊維マットは非けん縮繊維堆積物から、織物から、不規則繊維堆積物(random fiber build-ups)又はプレフォームから作られ得る。反応性混合物を金型の外部で繊維に適用する場合、早期の硬化を妨げるため及び反応性混合物の粘度を低下させてそれらが金型中に移される前に繊維から反応性混合物が滴らないように、それは典型的にいくらか低い温度で適用される。次いで濡れたプレフォームを熱い金型の下半分中に置き、金型を閉め、材料を圧力下で硬化させる。
【0068】
本開示に従って製造される複合材料は、少なくとも30体積%又は少なくとも40体積%又はさらに少なくとも45体積%から最高で55体積%又はさらに最高で60体積%までのように最高で50体積%の繊維含有率を有する場合がある。
【0069】
金型は強化繊維の他に1種以上のインサートを含む場合がある。そのようなインサートは強化材として働く場合があり、流れ促進剤として働く場合があり、そしていくつかの場合には減量目的のために存在する場合がある。そのようなインサートの例には例えば成形段階の間に遭遇する温度において歪んだり劣化したりしない木材、合板、金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、他のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニルなどのような発泡しているか又は発泡していない場合がある種々の高分子材料、種々の型の複合材料が含まれる。
【0070】
強化繊維及びもしあるとしたらコア材料は、真空補助法(vacuum assisted processes)において通常用いられるようにバッグ又はフィルム中に封入されている場合がある。
【0071】
金型及びプレフォーム(及びもしあるなら他のインサート)は、それらを反応性混合物と接触させる前に、硬化温度又は何らかの他の有用な高められた温度に加熱される場合がある。金型表面を外部離型剤で処理する場合があり、それは溶剤又は水に基づいている場合がある。
【0072】
反応性混合物が高い粘度に達するか又は有意な量のゲルを発現する前にそれを金型に移すことができれば、反応性混合物の成分を混合し、混合物を金型に移すために用いられる特定の装置は本開示にとって重要であるとは考えられない。本開示の方法はRTM、VARTM、RFI、ギャップ圧縮樹脂トランスファー成形及びSCRIMP加工法及び装置(いくつかの場合には方法の種々の段階において必要な加熱を与えるための装置改変を有する)ならびに湿式圧縮のような他の方法に適応できる(amenable)。
【0073】
エポキシ成分及び硬化成分を混合するために用いられる混合装置は、高度に均一な反応性混合物(及びこの時点にやはり混入される任意的な成分)を与えることができるいずれの型のものであることもできる。種々の型の機械的ミキサー及び攪拌機が用いられる場合がある。2つの好ましい型のミキサーは静置ミキサー(static mixers)及びインピンジメントミキサー(impingement mixers)である。
【0074】
いくつかの態様において、混合及び分散装置はインピンジメントミキサーである。この型のミキサーは、ポリウレタン及びポリウレア成形品の製造のためのいわゆる反応射出成形法において通常用いられる。エポキシ成分及び硬化成分(ならびにこの時点に混入される他の添加剤)を圧力下でミキシングヘッド(mixing head)中にポンプで入れ、そこでそれらを急速に混合する。高圧機における運転圧力は1,000から29,000psi以上(6.9ないし200MPa以上)までの範囲の場合があるが、いくつかの低圧機を有意により低い圧力で運転することができる。さらに混合するために、得られる混合物に次いで好ましくは静置混合装置(static mixing device)を通過させ、次いで金型キャビティー中に移す。静置混合装置を金型に設計する場合がある。これは、清浄化のために静置混合装置を容易に開放することを可能にする利点を有する。
【0075】
ある特定の態様において、エポキシ成分及び硬化成分を直前に記載した通りに、それらを圧力下でミキシングヘッド中にポンプで入れることにより混合する。インピンジメント混合を用いる場合がある。流入するエポキシ成分及び硬化成分流の運転圧力はいくらか低い値(例えば約1から約6.9MPaまで)又は高い値(例えば6.9から200MPaまでのような)の範囲の場合がある。得られる反応性混合物を次いでいくらか低い運転圧力で(最高で5MPaまでか又は最高で約1.035MPaまでのような)金型中に導入する。そのような態様において、反応性混合物を金型に入れる前に典型的に静置ミキサーを通過させる。ミックスヘッド(mix head)と金型射出ポート(injection port)の間の圧力低下のいくらか又はすべてはそのような静置ミキサーを経て起こるであろう。前記方法を行うための1つの好ましい装置は、大きなポリウレタン及びポリウレア成形品の加工のために通常用いられるような反応射出成形機である。
【0076】
他の態様において、前記の通りに反応性混合物を混合し、次いで金型中に噴霧する。熱い反応性混合物の温度が前記の通りに保持されるように、温度は噴霧区域において保持される。
【0077】
金型は典型的に金属金型であるが、それはセラミック又はポリマー複合材料の場合があり、但し金型は成形法の圧力及び温度条件に耐えることができる。金型は、ミキサーと液体伝達関係にある(in liquid communication with)1個以上の入口を含み、それを介して反応性混合物が導入される。金型は反応性混合物が射出される時に気体が逃げるのを許すための排気口を含む場合がある。
【0078】
金型は典型的に、それを開けたり閉じたりするのを可能にし、充填及び硬化操作の間に金型を閉じたままに保つためにそれに圧力を適用することができるプレス又は他の装置内に保持される。金型又はプレスには熱又は冷却を与えることができる手段が備えられる。
【0079】
前記の方法のいくつかの態様において、成形された複合材料は、硬化性樹脂系が金型中に導入された後の90分以内、好ましくは30から60分まで以内、より好ましくは15から45分まで以内に離型される。そのような方法において、導入された反応性混合物は強化繊維の回り及び間を流れ、金型を満たし、次いで金型中で硬化し、好ましくは反応性混合物が金型中に導入された後の90分以内、より好ましくは30ないし60分以内に少なくとも150℃(又は少なくとも160℃又はさらに少なくとも170℃)のガラス転移温度を有するポリマーを形成する。
【0080】
本開示の方法は、種々の型の航空宇宙及び自動車部品を含む多様な複合材料の製造に有用である。航空宇宙部品の例には前記のものが含まれるが、自動車部品には垂直及び水平車体パネル、自動車及びトラックシャシー部品及びいわゆる「ホワイトボディー」構造部品が含まれる。
【0081】
他の態様において、硬化性樹脂系は樹脂コーティングされた支持体の形成のためのコーティングとして、1つ以上の類似の又は非類似の支持体を接着するための接着剤としてあるいは電子部品の封入のための封入剤として用いられる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0082】
実施例
下記の表1は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される種々の硬化性樹脂系に関する硬化開始、150℃における1時間の硬化後のガラス転移温度及びパーセント硬化転換率を表す。等温粘度(isothermal viscosity)及び相対的潜伏性(relative latency properties)も示す。本明細書で用いられる場合、「潜伏性」という用語は、硬化性樹脂系の粘度がその初期の粘度から2倍になるのに要する時間として定義される。5(6)-アミノ-3-(4’-アミノフェニル)-1,1,3-トリメチルインダン(DAPI)、イソホロンジアミン(IPDA)、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メタニリン)(M-MIPA)及び4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)(M-DEA)を用いて硬化された非アルキル化グリシジルアミンをアルキル化グリシジルアミンと比較する。比較実施例1、1a及び2は、脂環式アミン、IPDA又はM-MIPA及びM-DEAのような芳香族アミンのいずれかを用いて硬化された非アルキル化グリシジルアミンである。比較実施例2a及び3は、IPDAを用いて硬化されたアルキル化グリシジルアミンである。本発明の実施例1b、1c、2b及び3aは、DAPIを用いて硬化されたアルキル化グリシジルアミンである。比較実施例に関する結果は、これらの硬化性樹脂系が150℃以下において少なくとも80%の十分な硬化を発現するのに必要な反応性を欠いている及び/又はDAPIを用いて硬化されたアルキル化グリシジルアミンと比較して少なくとも50%対190%の比で(by at least a ratio of 50% to 190%)必要な潜伏性を欠いていることを示す。
【表1】
TGMDA:メチレンジアニリンのテトラグリシジルエーテル
TGDADEPM:N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン
TGDADMPM:N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン
TGEPAP:パラ-アミノフェノールのトリグリシジルエーテル
TGEMePAP:2-メチルパラ-アミノフェノールのトリグリシジルエーテル
DAPI:5(6)-アミノ-3-(4’-アミノフェニル)-1,1,3-トリメチルインダン
M-MIPA:4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メタニリン)
M-DEA:4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)
IPDA:イソホロンジアミン
【0083】
本開示の種々の態様の製造及び使用を上記に詳細に記載してきたが、本開示は多様な特定の文脈に埋めこまれ得る多くの適用可能な発明の概念を与えていると認識されるべきである。本明細書で議論される特定の態様は単に本発明の製造及び使用のための特定の方法の例であり、本発明の範囲を制限しない。