(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】表面検査のための撮像システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
G01N21/88 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020132135
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2020-09-28
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520291928
【氏名又は名称】キンボール エレクトロニクス インディアナ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kimball Electronics Indiana, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,サンテク
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-242103(JP,A)
【文献】特表2017-505434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0192769(US,A1)
【文献】特開平06-003625(JP,A)
【文献】特開平06-066537(JP,A)
【文献】特開2008-076962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 9/00-G01B 9/10
G01B 11/00-G01B 11/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像システムであって、
インコヒーレント光信号を発するインコヒーレント光源と、
前記インコヒーレント光信号を受けるよう位置付けられ、コリメート光信号を発する、コリメーションレンズと、
前記インコヒーレント光源から発せられた前記インコヒーレント光信号
の進行方向に対して、実質的に垂直に位置付けられたセンサレンズ面を画定するセンサレンズを有し、前記コリメート光信号の反射を受けるよう位置付けられた、センサ
であって、
前記センサレンズは前記センサと前記センサレンズとの間にアパーチャを備える、前記センサと、
前記インコヒーレント光源と前記センサとの間に配設された、偏光器と
、
評価面の平面を画定する、評価される表面を有し、前記評価面の平面が前記コリメート光信号の進行方向に対して垂直になるよう位置付けられ、前記評価される表面から反射した前記コリメート光信号を前記センサが受けるように位置付けられる、ディスプレイモジュールと、
を備える、撮像システム。
【請求項2】
前記センサレンズ面は、前記評価面の平面に実質的に平行であり、前記インコヒーレント光信号
の進行方向は、前記評価面の平面に実質的に平行である、請求項
1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記センサレンズ面は、前記評価面の平面に対して実質的に垂直であり、前記インコヒーレント光信号
の進行方向は、前記評価面の平面に対して実質的に垂直である、請求項
1に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記評価される表面は実質的に平坦な面であり、それによって前記センサによって感知された画像は、前記評価される表面の非平坦性のコントラスト表示を含む、請求項
1に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記評価される表面は湾曲した面であり、前記湾曲した面に対応した曲率を有する円筒形レンズをさらに備え、それによって前記センサによって感知された画像は、前記評価される表面の曲率における不完全性のコントラスト表示を含む、請求項
1に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記インコヒーレント光信号を、第1の光信号及び第2の光信号に分割するよう位置付けられたビームスプリッタをさらに備え、前記第1の光信号は、前記第2の光信号に対して角度が付けられている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記偏光器は、
前記インコヒーレント光源と前記ビームスプリッタとの間に配設された、第1の直線偏光器であって、前記ビームスプリッタは非偏光ビームスプリッタを備える、第1の直線偏光器と、
前記センサと前記ビームスプリッタとの間に配設された、第2の直線偏光器と
を備える、請求項
6に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記ビームスプリッタ及び前記偏光器は、偏光ビームスプリッタとして組み合わされる、請求項
6に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記偏光ビームスプリッタと前記センサとの間に配設された、収集レンズをさらに備える、請求項
8に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記センサレンズは、アパーチャ及びナイフエッジのうちの一方を備える、請求項
9に記載の撮像システム。
【請求項11】
前記インコヒーレント光信号は、発光ダイオードによって発せられる、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項12】
インコヒーレント光信号を発するインコヒーレント光源と、
前記インコヒーレント光信号を受けるよう位置付けられ、コリメート光信号を発する、コリメーションレンズと、
前記インコヒーレント光源から発せられた前記インコヒーレント光信号の進行方向に対して、実質的に垂直に位置付けられたセンサレンズ面を画定するセンサレンズを有し、前記コリメート光信号の反射を受けるよう位置付けられた、センサであって、
前記センサレンズは前記センサと前記センサレンズとの間にアパーチャを備える、前記センサと、
前記インコヒーレント光源と前記センサとの間に配設された、偏光器と、
評価面の平面を画定する、評価される表面を有し、前記評価面の平面が前記コリメート光信号の進行方向に対して垂直になるよう位置付けられ、前記評価される表面から反射した前記コリメート光信号を前記センサが受けるように位置付けられる、ディスプレイモジュールと、を備える撮像システムにおける、
評価される表面における不完全性を評価するための方法であって、
インコヒーレント光信号を発するステップと、
前記インコヒーレント光信号をビームスプリッタに通過させ、第1の光信号及び第2の光信号を作り出すステップであって、前記第1の光信号は前記第2の光信号に対して角度が付けられている、ステップと、
前記インコヒーレント光信号の少なくとも一部をコリメーションレンズに通過させ、コリメート光信号を作り出すステップと、
前記コリメート光信号を前記評価される表面に反射させ、反射光信号を作り出すステップであって、前記評価される表面は、前記コリメート光信号
の進行方向に対して実質的に垂直である評価面の平面を画定する、ステップと、
センサにおける反射光信号を感知し、感知画像を作り出すステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記感知画像におけるコントラストを評価し、前記評価される表面の表面不均等性の存在及び規模を判定するステップをさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記評価される面は湾曲した面であり、前記方法は、
前記コリメート光信号を円筒形レンズに通過させ、変更された前記コリメート光信号を作り出すステップをさらに含み、
反射させるステップは、変更された前記コリメート光信号を、湾曲した前記評価される表面に反射させるステップを含み、
コントラストを評価するステップは、湾曲した前記評価される表面の曲率における不完全性の存在及び範囲を判定するステップを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記評価される表面は実質的に平坦な面であり、
コントラストを評価するステップは、前記実質的に平坦な面における、非平坦性の存在及び範囲を判定するステップを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項16】
前記インコヒーレント光信号
のインコヒーレント光、前記インコヒーレント光信号の一部
のインコヒーレント光、及び前記コリメート光信号
のコリメート光、のうちの少なくとも1つを偏光させるステップをさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項17】
前記反射光信号を感知するステップは、
前記反射光信号をアパーチャの1つに通過させるステップと、
前記反射光信号を、ナイフエッジを越えて通すステップと
のうちの一方を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項18】
前記コリメーションレンズを、前記インコヒーレント光信号の少なくとも一部
のインコヒーレント光に対して実質的に垂直に位置付けるステップと、
前記評価される表面を、前記コリメーションレンズに実質的に平行に位置付けるステップと
をさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第199条の下で、2019年8月7日に出願された「IMAGING SYSTEM FOR SURFACE INSPECTION」と題する米国仮特許出願第62/883,924号の利益を主張する。その開示の全ては本明細書で参照として明白に組み込まれている。
【0002】
本出願は、平坦な反射光学素子及びディスプレイにおける、表面不均等性の試験及び検出に関する。より詳細には、ディスプレイ及び組み立てられたディスプレイモジュールの平面性または均等性の評価に関する。
【背景技術】
【0003】
平坦パネルディスプレイの起伏、または平面性の欠如は、積層処理制御への見通しを提供するため、及び最終製品の品質の指標を提供するための、重要なパラメータである。ディスプレイモジュールが、一様に高い平面性(すなわち平坦性)を有することが、益々重要になってきている。平面性の不均等性(例えば起伏)が、特に特定の角度で見たとき、ディスプレイモジュールのエンドユーザによって確認される場合がある。起伏または他の不均等性は、その結果としてユーザ体験を損ねることになる。
【0004】
前述に対する改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、スマートフォン、タブレットなどに見られるタイプの、組み立てられたディスプレイモジュールなどの反射型ディスプレイの、不均一性または不均等性を評価するための撮像システム、及び方法を目的とする。このシステムは、偏光された発光ダイオード(LED)など、インコヒーレント光を含む。評価されることになる表面は、入射光に対して垂直であり、そのため光は表面上に直接突き当たる。光の偏光は、反射の前後で変えられ、評価下にある表面からの反射光はセンサによって受けられ、画像を形成する。表面の不均一性または不均等性は、感知画像にコントラスト変化として現出する。評価下にある表面からの反射は180°反射であるので、感知画像は、評価されることになる表面全体にわたって鮮明に合焦され得る。任意選択としてシステムは、効率及びコンパクトさのために、収集レンズなしで単一のコリメーションレンズを利用し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1のシステム及び方法において、インコヒーレント光は偏光ビームスプリッタを通過し、評価されることになる表面上で直接的に(すなわち垂直に)輝く。評価されることになる表面は、組み立てられたディスプレイモジュールであってよい。ディスプレイモジュールから反射された光は、偏光を90°切り替え、次に偏光ビームスプリッタによって90°反射される。次に光は、その経路におけるナイフエッジまたはアパーチャを通って、カメラまたは撮像センサに至る。カメラまたは撮像センサは、反射光を介してディスプレイモジュールに像を映す。任意の不均一な表面の不均等性は、ディスプレイモジュールの画像においてコントラスト変化を作り出し、それは評価される表面において任意の不均等性の可視化を容易にする。
【0007】
第2のシステム及び方法において、インコヒーレント光は第1の直線偏光器を通過し、次に非偏光ビームスプリッタを通過し、そして評価されることになる表面上で直接的に(すなわち垂直に)輝く。評価されることになる表面は、組み立てられたディスプレイモジュールであってよい。ディスプレイモジュールから反射された光は、偏光を90°切り替え、次に非偏光ビームスプリッタによって反射される。次に光は、その経路における第2の偏光器及びナイフエッジまたはアパーチャを通って、カメラまたは撮像センサに至る。カメラまたは撮像センサは、反射光を介してディスプレイモジュールに像を映す。任意の不均一な表面の不均等性は、ディスプレイモジュールの画像においてコントラスト変化を作り出し、それは評価される表面において任意の不均等性の可視化を容易にする。
【0008】
第3の方法において、第2の方法と類似の配置が、コリメーションレンズの後に円筒形レンズの追加を伴って使用され、それによって1D集光波面を生成する。波面の半径が、評価されることになる湾曲した表面の半径と同一である場合、この形状は、第1及び第2の方法ならびに装置で使用される同じシュリーレンタイプ(Schlieren-type)の画像を生成することができる。なぜなら、評価される表面の反射光は、反射前及び反射後の両方が円筒形レンズを通った後に、上述の平面ディスプレイからの反射と同じ光経路を追尾することになるからである。
【0009】
1つに実施形態において、本開示は、インコヒーレント光信号を発するインコヒーレント光源と、インコヒーレント光信号及び第1の光信号のうちの一方を受けるよう位置付けられ、コリメート光信号を発するコリメーションレンズと、インコヒーレント光源及びセンサの間に機能的に配設された偏光器と、を含む撮像システムを提供する。上記のセンサは、光源から発せられたインコヒーレント光信号に対して実質的に垂直に位置付けられたセンサレンズ面を画定する、センサレンズを有する。上記のセンサは、コリメート光信号の反射を受けるよう位置付けられる。
【0010】
別の実施形態において、本開示は、評価される面における不完全性を評価する方法を提供する。この方法は、インコヒーレント光信号を発するステップと、インコヒーレント光信号を、ビームスプリッタに通過させて第1の光信号及び第2の光信号を作り出すステップであって、第1の光信号は第2の光信号に対して角度が付いている、ステップと、インコヒーレント光信号の少なくとも一部をコリメーションレンズに通過させて、コリメート光信号を作り出すステップと、評価される表面上のコリメート光信号を反射させ、反射光信号を作り出すステップであって、この評価される表面は、コリメート光信号に対して実質的に垂直である評価面の平面を画定する、ステップと、センサにおいて反射光信号を感知して、感知画像を作り出すステップと、を含む。
【0011】
添付の図面と共に、本発明の実施形態における以下の説明を参照することによって、本発明の上述及び他の特徴及び目的、ならびにそれらを実現する方法は、より明確となり、本発明自体も、より良好に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】2つのレンズ及び偏光ビームスプリッタを利用して、本発明によって作られた第1の表面不均等性検出システムの概略図である。
【
図2】単一のコリメーションレンズ、少なくとも1つの直線偏光器、及び非偏光ビームスプリッタを利用して、本発明によって作られた第2の表面不均等性検出システムの概略図である。
【
図3】センサ及び光源が取り替えられた代替の配置を伴う、
図2に示されたシステムの概略図である。
【
図4】円筒形レンズが湾曲したディスプレイモジュールの評価に利用された、代替の配置を伴う、
図3に示されたシステムの概略図である。
【
図5】本開示による、評価される表面の完全性を評価する方法を示すフローチャートである。
【
図6A】本開示による、ディスプレイモジュールの分解斜視図である。
【
図6B】
図6Aに示されたディスプレイモジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を通して、対応する参照記号は対応する部分を示す。本明細書で記述する例は、本発明の実施形態を示し、以下で開示される実施形態は、本発明の範囲を開示する正確な形態に限定するよう徹底すること、または解釈することは意図されない。
【0014】
本開示は、シュリーレンタイプの撮像を使用して、ディスプレイモジュールの起伏または他の表面の不均等性を検査、及び評価するための方法に向けられる。試験対象は、直線偏光かつコリメートされた、インコヒーレント光に直接(すなわち垂直に)露出される。この条件付き光信号は、次に、試験対象の反射面または試験対象に一体化された反射面から反射される。この反射光の偏光は、ディスプレイモジュール上に積層された偏光器に一体化された、クリアな1/4波長板をダブルパスで通過することによって90°回転される。撮像カメラは、この光信号をさらなる偏光フィルタにかけた後で、この反射光信号を撮像する。試験対象の評価される表面の平面が、光信号に直接提示され、かつ撮像カメラのレンズに平行であるので、評価画像は歪んでおらず、そのため評価画像は、評価する領域の全体にわたって鮮明に合焦され得る。同様にこれは、起伏または他の不均一性の、非常に効率的かつ有効な検出及び定量化をもたらす。
【0015】
図1~
図4は、不均等性検出システム10、110、110’、210のブロック図を示す。それらは全て、表面の不均等性、厚さのばらつき、ならびに/または透明の光学材料(例えば、スマートフォンまたはタブレットに使用されるタイプのカバーガラスまたはタッチパネル、ディスプレイカバーガラス、薄膜、光学薄膜材料など)のばらつき及び屈折性を検出するために構成される。システム10、110、110’、及び210の各々は、シュリーレン撮像原理を利用して、平坦性(または
図4の場合の公称曲率)のばらつき、厚さのばらつき、及び/または透明光学材料の屈折率のばらつきによって生じる、表面の不均等性を検出する。それによって、評価される表面における、表面の起伏または不均等性の存在及び範囲を、不均等性検出システム10、110、110’、及び210を用いて、検出及び分析することができる。
【0016】
次に
図1を参照すると、不均等性検出システム10は、折り畳まれたシュリーレン撮像システムを利用する。シュリーレン撮像システムにおいて、偏光ビームスプリッタ16は光経路を分割し、偏光の切り替えを実施して、ディスプレイモジュール50などの対象の照射プロファイルを撮像する。
【0017】
詳細には、例えばLED器具であってもよい非コリメート光源またはインコヒーレント光源12は、インコヒーレント光信号30を発し、それは次にコリメーションレンズ14によってコリメートされる。得られたコリメート光信号32は、偏光ビームスプリッタを通過して、P偏光の光信号34を生成する。
【0018】
P偏光の光信号34は、次にディスプレイモジュール50によって180°反射され、1/4波長板及び直線偏光器を含むダブルパスの円偏光器18を作る。直線偏光器から反射された光は、1/4波長板をダブルパスで通過する。示された実施形態において、円偏光器18は、ディスプレイモジュール50に一体化されている。ディスプレイモジュール50から反射して得られた信号はS偏光の光信号36であり、それは偏光ビームスプリッタ16に再び入り、今回は90°だけ再び反射され、S偏光のままの反射光信号38となる。
【0019】
次に反射光信号38は、収集レンズ20を通過し、S偏光の信号構成を保つ。得られた収集光40は、次に撮像レンズ22に向けられる。撮像レンズは、収集光信号40の焦点に位置付けられたアパーチャ停止部を有する。代替として、撮像レンズにおけるアパーチャ停止部は、焦点で収集光信号40をフィルタにかけるよう位置付けられたナイフエッジ22と、交換され得る。フィルタにかけられて得られた光信号42は、次にセンサ24によって受けられる。センサ24は、評価されることになる反射面の表面の均等性を示す画像を収集し、提示し得る。示された実施形態において、評価される表面は、本明細書で示されかつ説明されるように、ディスプレイモジュール50からのものである。
【0020】
評価される表面において起伏または他の不均等性が存在する場合、検出システム10は収集光信号40の入射光を、アパーチャ停止部またはナイフエッジの不透明部分によって遮断させる。その一方ではっきりと反射した光は、アパーチャ停止部またはナイフエッジを通過する。このように、システム10は、センサ24によって(例えばモニタまたは他のディスプレイモジュールに)集められて出力される際に、評価される表面の反射像におけるコントラスト変化を作り出す。このコントラスト変化は、評価される表面の起伏または不均等性の存在及び範囲の表示であり、より大きいコントラストの変化は、起伏または他の不均等性の、より大きい範囲及び/または規模に相当し、その逆も同じである。
【0021】
次に
図2を参照すると、上述のシステム10と類似の方法で、起伏または他の不均等性の検出及び定量化を容易にする、第2の不均等検出システム110が示される。システム110は、上述のシステム10に実質的に類似する。システム110の参照番号は、システム10の参照番号に100を加えたものに相当する。システム110の要素は、別途注記しない限り、対応するシステム10の参照番号によって表わした類似の要素に対応する。
【0022】
しかしシステム110は、収集レンズ20を除いて再構成され、それによってシステム100を物理的により小型に、かつ廉価とすることができる。
【0023】
システム110において、インコヒーレント光源112はインコヒーレント光信号130を発し、それは第1の直線偏光器126を通過して、P偏光の光信号134を作り出す。次に光信号134は、非偏光ビームスプリッタ116及びコリメーションレンズ114を通過して、ディスプレイモジュール50に直角に向けられたコリメート光信号132を作り出す。すなわち、コリメート光信号132は、ディスプレイモジュール50の評価される表面の平面に対して垂直である。信号132は、円偏光器118の一部として含まれた1/4波長板をダブルパスで通過する。円偏光器118は、上述の偏光器18と類似して構成され得る。
【0024】
ディスプレイモジュール50から発せられて、得られた反射光信号は、S偏光の光信号136であり、P偏光のコリメート光信号132から180°で配向される。信号136は、後ろ向きで非偏光ビームスプリッタ116に向けられ、信号136は90°反射される。得られた反射光信号138は、次に第2の直線偏光器128を通過し、得られたS偏光の信号は、焦点に位置付けられたアパーチャ停止部を有する撮像レンズ122にぶつかる。システム10について上述したように、焦点におけるこのアパーチャ停止部(またはナイフエッジ)は、ディスプレイモジュール50の反射面の非平坦部によって反射された任意の光線を、アパーチャ停止部の不透明部によって遮断させる。それによって、平坦表面部から反射された光線に対するコントラストを作り出す。したがって、光信号142を介してセンサ124によって集められた画像は、ディスプレイモジュール50の評価される表面における、起伏または他の表面の不均等性の存在、位置、及び規模の、コントラスト表示を提供する。
【0025】
図3は、上記で詳細に説明した不均等性検出システム110の構造及び機能と全体的に類似する、不均等性検出システム110’を示す。システム110及び110’は互いに実質的に類似し、示されるように同じ構成の構造から成る。
【0026】
しかし検出システム110’は、ビームスプリッタ116に対する光源112及びセンサ124の位置を、他の関連構成要素(アパーチャ停止部及び直線偏光器126及び128など)と共に入れ替える。
図3に表わされるように、インコヒーレント光源112はインコヒーレント光信号130を発し、それは直線偏光器126を通過して、P偏光の光信号134を作り出す。信号134は、次に非偏光ビームスプリッタ116によって90°反射される。得られた反射信号138は、コリメート光信号132を作り出すコリメーションレンズ114を通過して、システム110について上述したものと同じ方法で、円偏光器118を介してディスプレイモジュール50から反射される。
【0027】
ディスプレイモジュール50の評価される表面によって発せられる、反射したS偏光の光信号は、次に非偏光ビームスプリッタ116及び第2の直線偏光器128を通過する。撮像レンズ(またはナイフエッジ)122は、S偏光の光信号136をフィルタにかけ、得られた光信号142はセンサ124によって受けられる。センサ124によって感知されて得られた画像は、上述のような表面の不均等性の存在及び範囲のコントラスト表示を有する。
【0028】
次に
図4を参照すると、不均等性検出システム210は、上述のシステム110’に全体的に類似の構成を有する。さらにシステム210は、上述のシステム110及び110’に実質的に類似し、システム210の参照番号は、システム110及び110’の参照番号に100を加えたものに相当する。システム210の要素は、別途注記しない限り、対応するシステム110の参照番号によって表わした類似の要素に相当する。
【0029】
しかし、不均等性検出システム210は、コリメーションレンズ214からのコリメート光信号232を受ける円筒形レンズ215を、さらに含む。円筒形レンズ215は、P偏光の収束光信号240を、円偏光218を含む湾曲したディスプレイモジュール250に向けて通過させる。偏光器218を介した反射及びダブルパスの後、光信号236は、湾曲した評価される表面から反射し、円筒形レンズ215及びコリメーションレンズ214を戻って通過し、反射光信号238を生成する。
【0030】
収束光信号240は、一次元湾曲の(すなわち焦点の)波面であり、ディスプレイ250の対応する凸状に湾曲した反射面に入射する。この焦点波面の曲率半径は、ディスプレイモジュール250の湾曲した凸状ディスプレイ表面の意図された半径と等しい。そのため、モジュール250の評価される表面によって反射したS偏光の光信号236は、円筒形レンズ215を通過して戻り、再びコリメートされる。次にコリメーションレンズ214を通って戻り、反射光信号238としてセンサ224に向けて再び合焦される。それによって、円筒形レンズは、湾曲したディスプレイモジュール250の、湾曲した表面からの反射光信号238を作り出すよう動作する。湾曲したディスプレイモジュール250は、上記で詳述した平坦面の評価のために設計されたシステム10、110、及び110’と同じシュリーレン画像構成である。このように、湾曲した評価される表面の不均等性の存在、及び範囲は、平坦面(すなわち平面)と同じように調査することができる。
【0031】
図4に示された実施形態において、円筒形レンズ215は、上記のように凸状に湾曲したディスプレイに使用するために設計された、ポジティブ(すなわち合焦する)円筒形レンズである。しかし、類似で形成されるネガティブな円筒形レンズも、湾曲した凸状のディスプレイパネルの不均等性の正確な計測のために設計され、同様に一次元で広がる波面を生成するために使用され得る。
【0032】
図4は、直線偏光器226を介して非偏光ビームスプリッタ216の反射面に向けてP偏光の光信号234を発する、光源212を示す。その一方で反射光信号238は、ビームスプリッタ216を通ってセンサ224に向かう。この構成は、円筒形レンズ215及びシステム210を加えた以外は、
図3に示し、上記で詳細に説明したシステム110’と類似する。しかし、
図2に示されたシステム110の構成は、湾曲したディスプレイモジュール250の評価のための円筒形レンズ215の追加を伴い、同様に変更され得る。すなわち、光源212及びセンサ224は、ビームスプリッタ216に対して、それらの関連の構成要素と共に取り替えられ得る。
【0033】
図1及び
図2それぞれに示されたシステム10及び110の場合、光源12、112はディスプレイモジュール50上で直接輝く。すなわち、光源12、112から導出されたコリメートビームは、ディスプレイモジュール50の評価されることになる表面によって画定された平面に対して、垂直である。本開示の目的のための「実質的に垂直」は、約90°を指し、少なくとも89.5°、89.7°、もしくは89.9°、または多くとも90.1°、90.3°、もしくは90.5°であり、ちょうど90°を含む。または前述の値の任意の対によって定義された任意の角度範囲である。
【0034】
反対に、
図3及び
図4に示されたシステム110’及び210の場合、インコヒーレント光源112、212はインコヒーレント光信号130、230を発する。それらは、ディスプレイモジュール50及び250それぞれの評価される表面に対して、名目上は平行であるが、非偏光ビームスプリッタ116、216、及びコリメーションから反射した後に、コリメート光ビームは、評価される表面によって画定された平面上で直接(すなわち垂直に)輝く。
【0035】
このように、システム10、110、110’、及び210の全ては、センサ24、124、及び224のそれぞれのレンズによって画定された平面が、フィルタにかけられた入射する信号42、142、242のそれぞれに対して垂直になるよう、配置される。この入射する信号は、ディスプレイモジュール50または250の反射面の直接反射である。したがって、センサ24、124、及び224は、反射したコリメート光信号を受けるよう位置付けられる。反射したコリメート光信号は、ディスプレイモジュール50、250の評価される表面の平面における、直接の180°反射である。したがって、センサ24、124、及び224によって生成されて得られた画像は、完全またはほぼ完全に合焦している。反対に、センサによって受けられた反射像が、センサレンズに対して角度が付けられたディスプレイモジュールからくるシステムにおいて、完全な合焦は、反射像の細いストリップを越えることによってのみ可能である。
【0036】
システム10、110、及び110’の場合、評価される表面は実質的に平面であり、ディスプレイモジュール50は、名目上は平面のディスプレイをユーザに提示する。本開示の目的のための、携帯電話及びハンドヘルド式タブレットデバイスの文脈における「実質的に平面」は、平坦性から100μm以下の名目上のばらつきを伴う表面を意味し得る。これらのシステムのため、センサ24または124によって受けられた画像におけるコントラストは、評価される表面の非平坦性または他の不均等性を表わす。
【0037】
他方で、
図4は、上述のようにディスプレイモジュール250の湾曲した表面の評価のために設計されたシステム210を示す。この湾曲した表面は、ディスプレイモジュール50の平坦面に類似した検査の平面を画定するものとされ得る。本開示の目的のために、湾曲したモジュール250の評価される表面の平面は、湾曲した表面によって画定され、かつ評価されることになる表面の領域を二分する、曲率半径に対して垂直な平面である。それによって、湾曲した表面の半分は、平面の一方の側にあり、湾曲した表面の他方の半分は、平面の他方の側にある。
図4のシステム210において、センサ224によって感知された画像は、評価される表面の曲率の不完全性を表わす。「完全な」面は、望ましい丸みを付けられた(例えば円筒形または球形)面に完全に適合した面を表わし、不完全性は、その完全な面からの逸脱を表わす。
【0038】
図5は、平面(システム10、110、もしくは110’の場合)または湾曲(システム210の場合)のいずれかで、評価される表面の不完全性を評価するための、例示的な方法を示す。この方法300は、本開示によって作られたシステムのユーザによって実施され得るか、またはコンピュータもしくは制御器の使用を介して自動化され得る。
【0039】
実施形態において、センサ24、124、または224によって検出された画像は、制御器によって評価される。実施形態において、制御器はマイクロプロセッサベースであり、非一時的コンピュータ可読媒体を含む。非一時的コンピュータ可読媒体は、その中に記憶された処理命令を含み、それらの処理命令は、制御器のマイクロプロセッサによって実行可能であり、検出した画像を評価して、試験下におけるディスプレイ面の不完全性のレベルを判定する。非一時的コンピュータ可読媒体、またはメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM、EEPROM、もしくはフラッシュメモリなど)、または情報を記憶できる任意の他の有形的表現媒体を含み得る。
【0040】
画像は、コントラスト変化を検出かつ評価するよう設計されたソフトウェアによって処理されることになり、欠陥サイズを判定して、ディスプレイ全体の品質のための点数を生成する。従来の画像処理及び機械学習技法の両方を使用して、このソフトウェアを実行することができる。
【0041】
ステップ310において、インコヒーレント光信号が、例えば電力を光源に加えることによって、発せられる。例示的な実施形態において、光信号は、光源12、112、または212のうちの1つから来るLED信号である。ステップ320において、インコヒーレント光信号は、偏光ビームスプリッタ16、または非偏光ビームスプリッタ116もしくは216などのビームスプリッタを通過し、互いに対して角度が付けられた第1の光信号及び第2の光信号を作り出す。1つの例示的な実施形態において、第1及び第2の光信号は、互いに対して90°角度が付けられてもよく、約50対50で分かれ、それによって第1及び第2の光信号の各々は、等しいか実質的に等しい強度となる。偏光ビームスプリッタをまっすぐ通過する光は、第1の方向で直線偏光され、本明細書ではP偏光と称する。非偏光ビームスプリッタの場合、光はビームスプリッタによって偏光されない。
【0042】
ステップ330において、インコヒーレント光信号の少なくとも一部はコリメーションレンズを通過し、コリメート光信号を作り出す。システム10など、本開示によって作られたいくつかのシステムにおいて、このコリメーションステップは、インコヒーレント光信号がビームスプリッタに入る前に生じ得る。システム110、110’、及び210など、本開示によって作られた他のシステムにおいて、このステップは、光信号がビームスプリッタを通過した後、またはビームスプリッタによって反射された後に生じ得る。したがって、いくつかの場合、インコヒーレント光信号の一部のみが、コリメーションレンズを通過し得る。
【0043】
ステップ340において、インコヒーレント光信号の少なくとも一部は偏光される。このような偏光は、システム10における偏光ビームスプリッタ16、システム110、110’における直線偏光器126、128、またはシステム210における直線偏光器226及び228を含む、1つまたは複数の構造によって影響され得る。加えて、システム10、110、110’、及び210の各々は、円偏光器18、118、または218それぞれを介して、コリメーションの前または後のいずれかで、コヒーレント光信号の少なくとも一部の偏光に影響し得る。
【0044】
ステップ350において、コリメート光信号は、ディスプレイモジュール50または250の反射面などの、評価される表面で反射して、反射光信号を作り出す。この反射光信号は、感知画像を作り出すために、センサ24、124、または224などのセンサなどによって感知される。ステップ370において、この感知画像はコントラストの評価のために使用され、評価される表面の不均等性の存在及び規模を判定する。
【0045】
1つの実施形態において、ディスプレイモジュール50、250は携帯電話、タブレット、または他のハンドヘルド式ディスプレイデバイスであってよく、システム10、110、110’、または210は、携帯電話またはタブレットのオペレータインターフェースを評価するために使用される。例えば、
図6A及び
図6Bは、ディスプレイモジュール50または250(電話400が名目上平坦であるか、名目上湾曲したユーザインターフェースを有するかに依拠する)に代わり得る携帯電話400を示す。
【0046】
図6Aに示されるように、携帯電話400はバックカバー410を含む。底部シェル420は、フェースシェル430と接続され、携帯電話400に機能を提供するよう構成された回路ボード425を保護する。底部シェル420は、電池415を支持するよう構成され、さらに、バックカバー410と接続するよう構成される。フェースシェル430は、ディスプレイモジュール440と接続するよう、かつディスプレイモジュール440を支持するよう構成される。完全に組み立てられたとき、ディスプレイモジュール440は、ディスプレイ層470及びカバーガラス/タッチパネル450aを含む。カバーガラス/タッチパネル450aは、透明材料または透明光学材料450として構成される。様々な構成要素の全てが接続されたとき、携帯電話400は、人の手によって取り扱うのに好適な、使いやすい容器内に構成される。タブレットは、全体寸法がより大きいこと以外、電話400と類似して構成され得る。
【0047】
ディスプレイモジュール440は、液晶ディスプレイ(LCD)、円偏光器460、及び光学透明カバーガラス/タッチパネル450aなどの、ディスプレイ層470を含む。いくつかの構成において、円偏光器460は、ディスプレイ層470及び円偏光器460の両方を囲む点線輪郭によって示されるように、ディスプレイ層470に一体化され得る。ディスプレイ層470は、ユーザによって視認可能な画像を表示することにより、対応するユーザにビジュアルインターフェースを提供するよう構成される。ディスプレイ層470は、特定の用途のための必要性または要望に応じて、1つまたは複数の追加の層を含み得る。様々な技術が使用され、ディスプレイ層470を構築する。通常、ディスプレイ層470は、ユーザによって視認可能なカラー光を提供するピクセルとして構成される。これらの技術として、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)などが挙げられる。カバーガラス/タッチパネル450aは、ディスプレイ層470、またはディスプレイ層470に関連した円偏光器460に隣接して位置される。カバーガラス/タッチパネル450aは、ユーザインターフェースとして構成される。ユーザは携帯電話400と相互に作用し、及び/または、スタイラスもしくは1つもしくは複数の指を使用して、ガラスもしくはパネル450aに触れることで、入力制御を提供し得る。
【0048】
ディスプレイスクリーン、テレビスクリーン、コンピュータモニタ、タブレットデバイス、一体型ディスプレイスクリーン(例えば車両のダッシュ、デスク面、パネルなどに一体化)、ポータブル通信デバイスなど、ディスプレイモジュール440及び/または透明光学材料450の他の使用が企図される。
【0049】
特に、カバーガラス/タッチパネル450aの上面451、及びディスプレイ層470の上面471の均一性は、ユーザの最適な視覚体験のために望ましい。上記で詳細に説明したシステム10、110、110’、及び210を含む、本開示の実施形態は、カバーガラス450aまたは他の透明材料の上面451における平坦性、及びディスプレイ層470または他の反射材料の上面471における平坦性を、検出及び/または計測するよう構成される。
【0050】
本発明を例示的な設計を有するよう説明してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で、さらに変更され得る。したがって本出願は、一般的な原理を使用して、本発明の任意の変形、使用、または適合を網羅するよう意図される。さらに、本出願は、本発明が関連する技術分野の公知または通例の実施内となるような、本開示からの逸脱を網羅するよう意図され、それらは添付した特許請求の範囲の制限内にある。