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特許7108002アルコール組成物及びポリウレタンフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】アルコール組成物及びポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/12 20060101AFI20220720BHJP
   C08G 18/50 20060101ALI20220720BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20220720BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220720BHJP
【FI】
C08G18/12
C08G18/50 021
C08G18/32 050
C08G18/32 028
C08G18/32 034
C08G18/32 037
C08G101:00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020158356
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2021055069
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】P 2019178919
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河野 正一郎
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-288783(JP,A)
【文献】特開2015-110739(JP,A)
【文献】国際公開第2020/040117(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 101:00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール組成物(D)とポリイソシアネート成分(H)とを反応させてなるポリウレタンフォーム(F)であり、
前記アルコール組成物(D)は、
下記一般式(1)で示される1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)と、
脂肪族ジアミン(I1)、脂環式ジアミン(I2)及び芳香族ジアミン(I3)からなる群より選ばれる1種以上の1級アミノ基含有ジアミン(I)と、
ポリイソシアネート(B)とを必須原料として、(A)及び(I)が有する1級アミノ基と(B)が有するイソシアネート基とが反応して得られる水酸基とウレア基を有する反応生成物(C)を含むアルコール組成物であるポリウレタンフォーム(F)
【化1】

[一般式(1)中、RとRとRはそれぞれ独立に炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキレン基であって、Rが複数のときは同一でも異なってもよく、Rが複数のときは同一でも異なってもよい。nは1~5の整数であり、nは0~5の整数である。AOは炭素数が2~4のアルキレンオキシ基を表し、mはn個ある窒素原子にそれぞれ付加したアルキレンオキシドの付加モル数を表し、それぞれ独立に1~50の整数である。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール組成物及びこれとポリイソシアネート成分と反応させてなるポリウレタンフォームに関する。さらに詳しくは、水酸基とウレア基を含むアルコール組成物、及び難燃性に優れたポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリウレタンフォームの樹脂強度を上げるポリオールとして、ポリオール中に各種樹脂を含有したポリマーポリオールが知られている。
これらのポリマーポリオールに含有される樹脂としては、スチレン/アクリロニトリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂が知られている(非特許文献1)。これらのうち、ウレタン樹脂を含むものとしてはポリイソシアネート重付加ポリオール(PIPAポリオール)が挙げられ、ウレア樹脂を含むものとしては尿素分散ポリオール(PHDポリオール)が挙げられる。
また、ポリウレタンフォームは建材、自動車のエンジンルーム、鉄道車両、飛行機等の用途では機械強度以外に厳しい難燃性も要求されるが、これらのポリマーポリオールのうち、スチレン/アクリロニトリル樹脂を含むものは、スチレン/アクリロニトリル樹脂のポリオール中での沈降安定性は良好であるものの、難燃性は期待できない。一方、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレア樹脂を含むものは、ウレタンフォームの難燃性の向上が期待できるが、ポリオール中での各樹脂の沈降安定性に問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“CHEMISTRY AND TECHNOLOGY OF POLYOLS FOR POLYURETHANES ”、第1巻、第2版、(2016年出版)、197~253頁、著者Mihail Ionescu、出版社Smithers Rapra Technology )、
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ポリイソシアネートと反応させて得られるポリウレタンフォームが優れた難燃性と強度物性を示すアルコール組成物を提供することを目的とする。さらに、水酸基とウレア基を有する反応生成物(C)の分散安定性が非常に良好で、製造時のみならず経時的にも外観が均一なままで樹脂が析出したり凝集したり沈降して分離したりしない、アルコール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち本発明はアルコール組成物(D)とポリイソシアネート成分(H)とを反応させてなるポリウレタンフォーム(F)であり、前記アルコール組成物(D)は、下記一般式(1)で示される1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)と、脂肪族ジアミン(I1)、脂環式ジアミン(I2)及び芳香族ジアミン(I3)からなる群より選ばれる1種以上の1級アミノ基含有ジアミン(I)と、ポリイソシアネート(B)とを必須原料として、(A)及び(I)が有する1級アミノ基と(B)が有するイソシアネート基とが反応して得られる水酸基とウレア基を有する反応生成物(C)を含むアルコール組成物であるポリウレタンフォーム(F)である。
【0006】
【化1】
【0007】
[一般式(1)中、RとRとRはそれぞれ独立に炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキレン基であって、Rが複数のときは同一でも異なってもよく、Rが複数のときは同一でも異なってもよい。nは1~5の整数であり、nは0~5の整数である。AOは炭素数が2~4のアルキレンオキシ基を表し、mはn個ある窒素原子にそれぞれ付加したアルキレンオキシドの付加モル数を表し、それぞれ独立に1~50の整数である。]
【発明の効果】
【0008】
本発明のアルコール組成物は、反応生成物(C)、すなわちポリウレア樹脂の分散安定性が高く、さらに高強度で、難燃性の高いポリウレタンフォームが得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のアルコール組成物(D)は、下記一般式(1)で示される1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)と、脂肪族ジアミン(I1)、脂環式ジアミン(I2)及び芳香族ジアミン(I3)からなる群より選ばれる1種以上の1級アミノ基含有ジアミン(I)と、ポリイソシアネート(B)とを必須原料として(A)又は(I)が有する1級アミノ基と(B)が有するイソシアネート基とが反応して得られる、水酸基とウレア基を有する反応生成物(C)を含むアルコール組成物である。(A)は、その一般式(1)中のnが1のモノオール又は2~5のポリオールである。ポリイソシアネートは(B)は2個以上のイソシアネート基を有するので、(A)と(B)、及び(I)と(B)との反応は、1級アミノ基とイソシアネート基とのウレア化反応が、(A)の水酸基と(B)とのウレタン化反応よりも圧倒的に速く進行し、その重合反応による反応生成物(C)はウレア基とイソシアネートと反応せずに残った水酸基を有するポリウレア樹脂となる。
【0010】
【化2】
【0011】
[一般式(1)中、RとRとRはそれぞれ独立に炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキレン基であって、Rが複数のときは同一でも異なってもよく、Rが複数のときは同一でも異なってもよい。nは1~5の整数であり、nは0~5の整数である。AOは炭素数が2~4のアルキレンオキシ基を表し、mはn個ある窒素原子にそれぞれ付加したアルキレンオキシドの付加モル数を表し、それぞれ独立に1~50の整数である。]
【0012】
本発明における1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)は、上記の一般式(1)で示される化合物である。
1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0013】
式(1)中、RとRとRはそれぞれ独立に炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキレン基であって、Rが複数のときは同一でも異なってもよく、Rも同様に、複数のときは同一でも異なってもよい。
【0014】
としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基及びイソブチレン基等が挙げられ、ウレタンフォームの難燃性とポリウレア樹脂の分散安定性、及び化合物の原料入手の容易さの観点から、好ましいのはエチレン基である。
また、RとRとしては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基及びイソブチレン基等が挙げられ、ウレタンフォームの難燃性とポリウレア樹脂の分散安定性、及び化合物の原料入手の観点から、好ましいのはエチレン基である。
【0015】
は1~5の整数であり、粘度の観点から、好ましくは1~3の整数であり、さらに好ましくは1又は2である。
は0~5の整数であり、ポリウレア樹脂の分散安定性の観点から、好ましくは0~3の整数であり、さらに好ましくは0である。
【0016】
本発明における1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)は、ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを付加して得られる。
前記ポリアミン化合物としては、ジアルキレンテトラミン、トリアルキレンテトラミン、及びテトラアルキルペンタミンが挙げられる。
具体例としては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、ジブチレントリアミン(スペルミジン)、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びトリブチレンテトラミン(スペルミン)などが挙げられ、好ましくはジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミンであり、特に好ましくはジエチレントリアミンである。
【0017】
式(1)中のAOは炭素数が2~4のアルキレンオキシ基を表し、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、及びオキシブチレン基が挙げられ、粘度の観点から、好ましくはオキシエチレン基及びオキシプロピレン基である。これらは単独であっても2種以上の混合であってもよい。
【0018】
mはn個ある窒素原子に付加したアルキレンオキシドの付加モル数を表し、それぞれ独立に1~50の数であり、ポリウレタンフォームの難燃性の観点から、好ましくは1~40、さらに好ましくは1~20である。
【0019】
ポリアミンのアミノ基の活性水素とアルキレンオキサイドとの反応は分子内のすべてのアミノ基に対しておこり得るため、末端の1級アミノ基ではなく分子鎖中の2級アミノ基に対してだけ選択的に反応させるためには、本発明における1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)は、1級アミノ基部分をケチミン化してブロックしたケチミン化合物を経由して製造する必要がある。
本発明における1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)の具体的な製造方法については、例えば特開平1-249748号公報及び特開2003-34797号公報に記載された方法が挙げられる。
【0020】
本発明における1級アミノ基含有ジアミン(I)としては、脂肪族ジアミン(I1)、脂環式ジアミン(I2)、芳香族ジアミン(I3)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
1級アミノ基含有脂肪族ジアミン(I1)としては、ポリウレタンフォームの難燃性の観点から好ましいのは、炭素数が2~10であるジアミンであり、具体的には、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、イソプロピレンジアミン、ブチレンジアミン、及びイソブチレンジアミン等が挙げられる。
1級アミノ基含有脂環式ジアミン(I2)としては、具体的には、イソホロンジアミン、シクロヘキサンジアミン、及びメチレンビス(シクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
1級アミノ基含有芳香族ジアミン(I3)としては、具体的には、フェ二レンジアミン、トルエンジアミン、及びキシリレンジアミン等が挙げられる。
【0022】
1級アミノ基含有ジアミン(I)のうち、難燃性の観点から、1級アミノ基含有芳香族ジアミン(I3)が好ましい。
【0023】
本発明におけるポリイソシアネート(B)としては、イソシアネート基を分子内に2個以上有する化合物であればとくに限定されない。
ポリイソシアネート(B)としては、芳香族ポリイソシアネート(B1)、脂肪族ポリイソシアネート(B2)、脂環式ポリイソシアネート(B3)、芳香脂肪族ポリイソシアネート(B4)及びこれらの変性物(B5)が挙げられる。
ポリイソシアネート(B)は1種でも、2種以上を併用してもよい。
【0024】
芳香族ポリイソシアネート(B1)としては、炭素数(イソシアネート基中の炭素原子を除く;以下のポリイソシアネートの炭素数も同様)6~16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6~20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物、並びにこれらイソシアネートの混合物などが挙げられる。
具体例としては、1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(以下、トリレンジイソシアネートをTDIと略記)、粗製TDI、2,4’-又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ジフェニルメタンジイソシアネートをMDIと略記)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI、又はポリメリックMDI)、並びにTDIとポリメリックMDIの混合物などが挙げられる。
【0025】
脂肪族ポリイソシアネート(B2)としては、炭素数6~10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
具体例としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0026】
脂環式ポリイソシアネート(B3)としては、炭素数6~16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。
具体例としては、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0027】
芳香脂肪族ポリイソシアネート(B4)としては、炭素数8~12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
具体例としては、キシリレンジイソシアネート、及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0028】
変性ポリイソシアネート(B5)の変性としてはウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、及びオキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。
具体例としては、ウレタン変性MDI、及びカルボジイミド変性MDIなどが挙げられる。
【0029】
上記(B)のうち、ポリウレタンフォームの難燃性の観点から、芳香族ポリイソシアネート(B1)及びその変性物を使用することが好ましい。
また、ポリイソシアネート(B)中のイソシアネート基含有率は、10~40重量%が好ましい。
【0030】
1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)と、1級アミノ基含有ジアミン(I)と、ポリイソシアネート(B)とを反応させてなる反応生成物(C)は、水酸基をn個、すなわち少なくとも水酸基を1個有する(A)中のアミノ基と、ポリイソシアネート(B)中のイソシアネート基とが反応した結果、ウレア基以外に、水酸基を有するアルコール組成物になる。
反応生成物(C)は、ポリウレア樹脂の分散性の観点から、水酸基を2個以上有することが好ましい。
従来のポリマーポリオールであるPHDポリオールでは、ウレタンフォームのハードセグメントを構成するポリウレア樹脂粒子のポリオールへの分散性が悪いため、ポリウレア樹脂が凝集することや沈降して分離してしまう問題があった。しかし本発明のアルコール組成物は、ウレア基を有する構造からなるハードセグメントが(A)に由来するポリオキシアルキレン基を有するため、長期間経っても均一である。
【0031】
1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)と1級アミノ基含有ジアミン(I)とに反応させるポリイソシアネート(B)のモル数は、(A)と(I)の合計モル数に対して、好ましくは0.1~1.0倍、さらに好ましくは0.5~1.0倍、特に好ましくは0.7~1.0倍である。
(A)と(I)のモル比率は、好ましくは1:50~100:1、さらに好ましくは1:40~90:1、特に好ましくは、1:30~80:1である。
【0032】
本発明の反応生成物(C)は、1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)と、1級アミノ基含有ジアミン(I)と、ポリイソシアネート(B)とを必須原料として得られる反応生成物であるが、原料としてさらに、ウレア基を有しないポリオール(E)を用いてもよい。
後述のポリオール(G)を用いる場合、1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A)と1級アミノ基含有ジアミン(I)とポリイソシアネート(B)とをウレア反応させる際にこのポリオール(E)を含有させると、一部のポリオール(E)とポリイソシアネート(B)が反応することで、反応生成物(C)であるのポリオール(G)への分散安定性がさらに向上するので好ましい。
【0033】
本発明におけるウレア基を有しないポリオール(E)としては、ポリオキシアルキレンポリオール(E1)、ポリエステルポリオール(E2)などのポリオール、及びポリマーポリオール(E3)などが挙げられる。
【0034】
ポリオキシアルキレンポリオール(E1)としては、多価アルコール(エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、及びショ糖など)、多価アミン(エチレンジアミン、及びトルエンジアミンなど)、多価フェノール(ビスフェノールA、及びビスフェノールFなど)及び、それらの混合物にアルキレンオキサイドを付加した化合物である。
付加するアルキレンオキサイドとしては、炭素数2~4のものが好ましく、2種以上用いてもよい。
具体例としては、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、及びブチレンオキサイド等が挙げられ、好ましいものはPO単独、EO単独、及びPOとEOの混合である。
2種以上併用の際の付加形式は、ブロック状でもランダム状でもよい。
【0035】
ポリエステルポリオール(E2)としては、
多価アルコール[2価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びネオペンチルグリコールなど)、前記のポリオキシアルキレンポリオール(E1)(特に2価のポリエーテルポリオール)、又は3価もしくはそれ以上の多価アルコール(グリセリン、及びトリメチロールプロパン等)のとの混合物]と、ポリカルボン酸(アジピン酸、及びセバシン酸など)又はそのエステル形成性誘導体〔無水マレイン酸、無水フタル酸など酸無水物、テレフタル酸ジメチルなどの低級アルキル(アルキル基の炭素数が1~4)エステル等〕とのポリエステルポリオール;
前記カルボン酸無水物及びアルキレンオキサイドとの縮合反応物;
これらの縮合反応物のアルキレンオキサイド(EO、及びPO等)付加物;
多価アルコールを開始剤としてラクトン(ε-カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるポリラクトンポリオール;
多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応で得られるポリカーボネートポリオール;
天然由来のポリエステルポリオール(ひまし油、及びひまし油誘導体など)などが挙げられる。
【0036】
ポリマーポリオール(E3)としては、ポリオール(E1)中でスチレン/アクリロニトリルを重合したスチレン/アクリロニトリル系ポリマーポリオール、ポリオール中でウレタン反応を行ったPIPAポリオール、及びポリオール中でメラミンとホルムアルデヒドを重縮合したメラミンポリオールが挙げられる。
これらのうち、ウレア基を有しないポリオール(E)の粘度とポリウレタンフォームの強度及び難燃性の観点から、ポリオキシアルキレンポリオール(E1)が好ましい。
【0037】
ウレア基を有しないポリオール(E)の水酸基価(単位:mgKOH/g)は、ポリウレタンフォームの強度及び難燃性の観点から、好ましくは20~2,000、さらに好ましくは20~1,500、特に好ましくは20~1,000である。
なお、本明細書における水酸基価は、JIS K0070(1995年版)に規定の方法で測定される。また、水酸基を有する物質が2種又は3種以上の場合、水酸基価は各物質の水酸基価の重量による相加平均値である。
【0038】
反応生成物(C)の原料として用いるウレア基を有しないポリオール(E)の使用量は、アルコール組成物(D)の重量に基づいて、好ましくは0~90重量%であり、さらに好ましくは0~80重量%、特に好ましくは0~70重量%である。
【0039】
アルコール組成物(D)の水酸基価(単位:mgKOH/g)は、ポリウレタンフォームの強度及び難燃性の観点からの観点から、好ましくは20~2,000、さらに好ましくは20~1,500、特に好ましくは20~1,000である。
アルコール組成物(D)におけるウレア基の含有量は、(D)の重量に基づいて、ポリウレタンフォームの難燃性の観点から、好ましくは0.01~2.0mmol/g、さらに好ましくは0.02~1.5mmol/g、特に好ましくは0.05~1.2mmol/gである。
また、反応生成物(C)におけるウレア基の含有量は、好ましくは0.02 ~6.0mmol/gであり、さらに好ましくは0.05~4.0mmol/g、特に好ましくは0.1~ 2.0mmol/gである。
【0040】
本発明のポリウレタンフォーム(F)は、本発明のアルコール組成物(D)とポリイソシアネート成分(H)を反応させて得られるものであり、例えば、上記の(D)及び(H)と、必要によりポリオール(G)、ウレタン化触媒(J)、整泡剤(Z)、発泡剤(K)及び難燃剤(L)などを、容器に入れて、混合し、ウレタン反応により硬化させて得られる。
【0041】
ポリオール(G)としては、前述のウレア基を含有しないポリオール(E)と同様のものが挙げられ、ポリオキシアルキレンポリオール(E1)、ポリエステルポリオール(E2)、及びポリマーポリオール(E3)などを用いることができる。
【0042】
ポリイソシアネート成分(H)としては、前述のポリイソシアネート(B)と同じポリイソシアネートを用いることができる。
ポリイソシアネート成分(H)としては、ポリウレタンフォームの難燃性の観点から、芳香族ポリイソシアネート(B1)及びその変性物を使用することが好ましい。
【0043】
アルコール組成物(D)、ポリオール(G)、及びそれ以外の水酸基を含むアルコール成分の混合物と、ポリイソシアネート成分(H)との割合をイソシアネート指数[(イソシアネート基/水酸基の当量比)×100]で表した場合、指数は種々変えることができるが、フォームの物性や成形性の観点から、好ましくは80~140、さらに好ましくは85~120、特に好ましくは90~115である。
【0044】
また、アルコール組成物(D)及びポリオール(G)とポリイソシアネート成分(H)成分の反応方法としては、ワンショット法であっても、予め(D)及び(G)の混合物の一部と(C)を反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを形成させた後、残りの(D)及び(G)と反応させるか、あるいは予め(D)及び/又は(G)と、(C)の一部を反応させてOH末端プレポリマーを形成させた後、残りの(C)と反応させるプレポリマー法であってもよい。
【0045】
本発明におけるウレタン化触媒(J)としては、ウレタン化反応を促進する通常のウレタン化触媒はすべて使用でき、トリエチレンジアミン、ビス(N,N-ジメチルアミノ-2-エチル)エーテル、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミンのPO付加物などの3級アミン及びそのカルボン酸塩、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、スタナスオクトエート等のカルボン酸金属塩、ジブチルチンジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。
具体例としては、エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO-33LV」、「POLYCAT201」、「DABCO K-15」及び東ソー(株)製「TOYOCAT ET」、「TOYOCAT DM-70」などが挙げられる。
ウレタン化触媒(J)の使用量は、反応速度の観点から、アルコール組成物(D)とポリオール(G)の合計重量100重量部に対して、0.05~10.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.2~5.0重量部である。
ウレタン化触媒(J)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0046】
本発明における整泡剤(Z)としては、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるものはすべて使用できる。
具体例としては、ジメチルシロキサン系整泡剤[ダウ・東レ(株)製の「VORASURF SRX-253」、「VORASURF PRX-607」等]、及びポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[ダウ・東レ(株)製の「VORASURF SZ-1142」、「VORASURF SRX-294A」、「VORASURF SH-193」、「VORASURF SZ-1720」、「VORASURF SZ-1675t」、「VORASURF SF-2936F」、「VORASURF SZ-1346」、「VORASURF SF-2962」、「VORASURF SZ-1327」、エボニックジャパン(株)製の「TEGOSTAB B8715LF2」、「TEGOSTAB B8738LF2」、「TEGOSTAB B8737」、「TEGOSTAB B8742」、「TEGOSTAB B4900」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製の「NIAX SILICONE L-540」、「NIAX SILICONE L-595」、「NIAX SILICONE L-3601」、「NIAX SILICONE L-3640」、「NIAX SILICONE L-5309」等]が挙げられる。
整泡剤(Z)の使用量は、機械物性、機械物性の経時変化及びフォームの変色の観点から、アルコール組成物(D)とポリオール(G)との合計重量100重量部に対して、0.1~5.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5~3.0重量部である。
整泡剤(Z)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0047】
本発明における発泡剤(K)としては、水、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等を用いることができる。
発泡剤(K)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよいが、好ましくは水を使用していることであり、さらに好ましくは水のみを単独で使用していることである。
発泡剤(K)として水のみを単独で用いる場合の水の使用量は、アルコール組成物(D)とポリオール(G)との合計重量100重量部に対して、フォームの成形性及び機械物性の観点から、1.0~7.0重量部が好ましく、さらに好ましくは2.0~5.5重量部である。
他の発泡剤と併用する場合の水の使用量は、アルコール組成物(D)とポリオール(G)との合計重量100重量部に対して、フォームの成形性及び機械物性の観点から、1.0~5.5重量部が好ましく、さらに好ましくは2.0~4.0重量部である。
【0048】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素としては、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HCFC-123、HCFC-141b、HCFC-22及びHCFC-142b);
HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HFC-134a、HFC-152a、HFC-356mff、HFC-236ea、HFC-245ca、HFC-245fa及びHFC-365mfc);
HFO(ハイドロフルオロオレフィン)タイプのもの[例えば、HFO-1233zd(E)及びHFO-1336mzz(Z)]などが挙げられる。
これらのうち、ポリウレタンフォームの燃焼性の観点から、HCFC-141b、HFC-134a、HFC-356mff、HFC-236ea、HFC-245ca、HFC-245fa、HFC-365mfc、HFO-1233zd(E)、HFO-1336mzz(Z)及びこれらの2種以上の混合物が好ましい。
【0049】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素を用いる場合の使用量は、アルコール組成物(D)とポリオール(G)との合計重量100重量部に対して、フォームの成形性及び機械物性の観点から、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5~45重量部である。
低沸点炭化水素は、沸点が-5~50℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタン及びこれらの混合物が挙げられる。
低沸点炭化水素を用いる場合の使用量は、アルコール組成物(D)とポリオール(G)との合計重量100重量部に対して、フォームの成形性及び機械物性の観点から、40重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5~30重量部である。また、液化炭酸ガスを用いる場合の使用量は、アルコール組成物(D)とポリオール(G)との合計重量100重量部に対して、フォームの成形性及び機械物性の観点から、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは25重量部以下である。
【0050】
本発明における難燃剤(L)としては、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるものはすべて使用でき、例えば、リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステル、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、ホウ素化合物、臭素化合物、塩素化パラフィン、及び環状脂肪酸などが挙げられる。これらのうち、好ましいものはリン酸エステル、及びハロゲン化リン酸エステルである。
具体例としては、大八化学工業(株)製「TMCPP」、「TMP」、[TCP]、「CR-900」、「CR-733S」、「CR-504L」、「TCP」などが挙げられる。
難燃剤(L)の使用量は、機械物性、機械物性の経時変化及びフォームの変色の観点から、アルコール組成物(D)とポリオール(G)との合計重量100重量部に対して、1.0~40.0重量部が好ましく、さらに好ましくは1.0~30.0重量部である。
【0051】
本発明のポリウレタンフォーム(F)には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、各種の添加剤を含有させることができる。
添加剤としては、脱水剤、滑剤、可塑剤、チクソ性付与剤、充填剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、抗酸化剤、着色剤、防黴剤、抗菌剤、分散剤(沈降防止剤)、消泡剤、無機フィラー、有機フィラー、及びマイクロバルーン等が挙げられる。
各種添加剤の添加量は、アルコール組成物(D)とポリオール(G)との合計重量とポリイソシアネート成分(H)の合計重量に基づいて、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。
【実施例
【0052】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0053】
製造例1 1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A-1)の製造
窒素ガス導入管、分水器及び攪拌装置を備えた2リットルオートクレーブにジエチレントリアミン52部(0.5モル)、メチルイソブチルケトン200部(2.0モル)を仕込み140℃、常圧で8時間反応させる。反応中に流出した水は窒素ガスを吹き込みながら分水器で随時除去する。反応終了後、過剰のメチルイソブチルケトンを100℃、減圧下で留去する。次いで、触媒として水酸化カリウム4.3部を仕込み、プロピレンオキサイド1,104部(19.0モル)を温度130℃で付加させる。反応終了後触媒を除去し、水を60部添加し、110℃で4時間加水分解を行ない、遊離したメチルイソブチルケトンを除去した後、減圧下で過剰の水分を除去して、1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A-1)を得た。
これは化学式(1)のRとRがエチレン基であり、nが1であり、nが0であり、mが38であるジエチレントリアミンのPO38モル付加物である。
【0054】
製造例2 1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A-2)の製造
製造例1においてプロピレンオキサイドを290部(5.0モル)へ変更する以外は製造例1と同様にして、1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A-2)を得た。
これは化学式(1)のRとRがエチレン基であり、nが1であり、nが0であり、mが10であるジエチレントリアミンのPO10モル付加物である。
【0055】
製造例3 1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A-3)の製造
製造例1においてプロピレンオキサイドを145部(2.5モル)へ変更する以外は製造例1と同様にして、1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A-3)を得た。
これは化学式(1)のRとRがエチレン基であり、nが1であり、nが0であり、mが5であるジエチレントリアミンのPO5モル付加物である。
【0056】
製造例4 1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A-4)の製造
製造例1においてプロピレンオキサイドを87部(1.5モル)へ変更する以外は製造例1と同様にして、1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A-4)を得た。
これは化学式(1)のRとRがエチレン基であり、nが1であり、nが0であり、mが3であるジエチレントリアミンのPO3モル付加物である。
【0057】
実施例1
容量2Lの撹拌容器に1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A-1)908.7部とエチレンジアミン(I1-1)6.1部を入れ、液温25℃、回転数150rpmで15分間撹拌し、均一に混合した。撹拌容器を冷却して液温を25℃に保ちながら撹拌しながら、TDI-80(B1-1)[東ソー(株)製「コロネートT-80」]85.2部を30分かけて滴下してウレア化反応を完結させることにより本発明の反応生成物(C)を含む本発明のアルコール組成物(D-1)1000部を得た。
【0058】
実施例2~5及び比較例1
表1に記載の部数で、実施例1と同様の操作を行い、実施例2~8のアルコール組成物(D-2)~(D-5)及び比較例1のアルコール組成物(D’-1)を得た。
【0059】
実施例6
容量2Lの撹拌容器に1級アミノ基含有アルキレンオキシド付加物(A-2)149.8部とエチレンジアミン(I1-1)3.3部とサンニックス KC-725(E1-3)[三洋化成工業(株)製、グリセリンのPO・EO付加物]800.0部を投入し、液温25℃、回転数150rpmで15分間撹拌し、均一に混合した。撹拌容器を冷却して液温を25℃に保ちながら撹拌しながら、TDI-80(B1-1)46.9部を30分かけて滴下してウレア化反応を完結させることにより、本発明の反応生成物(C)を含む本発明のアルコール組成物(D-6)1,000部を得た。
【0060】
実施例7と8
表1に記載の部数で、実施例6と同様の操作を行い、実施例7と8のアルコール組成物(D-7)と(D-8)を得た。
【0061】
【表1】
【0062】
なお、表1に記載の化合物は以下の通りである。
ジアミン(I1-1):エチレンジアミン
ジアミン(I2-1):イソホロンジアミン
ジアミン(I3-1):キシリレンジアミン
【0063】
ポリオール(E1-1):サンニックス GP-250[三洋化成工業(株)製、グリセリンのPO付加物、水酸基価673]。
ポリオール(E1-2):サンニックス GP-400[三洋化成工業(株)製、グリセリンのPO付加物、水酸基価400]。
ポリオール(E1-3):サンニックス KC-725[三洋化成工業(株)製、グリセリンのPO・EO付加物、水酸基価34]。
【0064】
ポリイソシアネート(B1-1):コロネートT-80[2,4-TDI:2,6-TDI=8:2混合物。東ソー(株)製、イソシアネート基含有率48重量%]
ポリイソシアネ-ト(B1-2):ミリオネートMT [4,4’-MDI、東ソー(株)製、イソシアネート基含有率33.6重量%]
【0065】
実施例1~8のアルコール組成物(D-1)~(D-8)及び比較例1のアルコール組成物(D’-1)中のウレア基含量(mmol/g)、水酸基価、25℃での粘度を表1に示した。
また、製造直後の25℃での外観と、25℃で保存した30日後の外観を目視にて確認した結果を表1に示した。
【0066】
<粘度>
機種:BL型粘度計(TOKIMEC製)
測定条件:25℃、ローターンNo.3又はNo.4
【0067】
実施例9
実施例1で作成したアルコール組成物(D-1)と、ポリオール(G-1)、整泡剤(Z-1)、ウレタン化触媒(J-1)、(J-2)、及び発泡剤(K-1)を表2に記載した量で1Lカップに入れて、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。
得られた混合液に、ポリイソシアネート成分(H-1)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で15秒間撹拌し、混合液を段ボールで作製した40cm×40cm×20cmの型の中に入れ、発泡させることでポリウレタンフォーム(F-1)を得た。
【0068】
実施例10~14と比較例2
表2記載の部数で、実施例9と同様の操作で、実施例10~14のポリウレタンフォーム(F-2)~(F-6)と比較例2のポリウレタンフォーム(F’-1)を得た。
【0069】
【表2】
【0070】
なお、表2に記載の化合物で表1に記載のないものは以下の通りである。
ポリオール(G-1):サンニックス KC-725[三洋化成工業(株)製、グリセリンのPO・EO付加物、水酸基価34]
ポリオール(G-2):サンニックス FA-728R[三洋化成工業(株)製、アクリロニトリル系ポリマーポリオール、ポリマー濃度20重量%、水酸基価28]。
整泡剤(Z-1):エボニックジャパン(株)製「TEGOSTAB B8738LF2」。
ウレタン化触媒(J-1):エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO-33LV」(トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液)。
ウレタン化触媒(J-2):東ソー(株)製「TOYOCAT ET」[ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液]。
発泡剤(K-1):水
ポリイソシアネ-ト成分(H-1):CE-729 [TDI-80(2,4-及び2,6-TDI(2,4-TDIの比率が80%)/粗製MDI=80/20混合物(重量比)、日本ポリウレタン工業(株)製イソシアネート基含有率=44.6重量%]
【0071】
実施例9~14及び比較例2で作成したポリウレタンフォーム(F-1)~(F-6)、及び(F’-1)について、ポリウレタンフォームのフォーム密度、25%圧縮硬さ、50%圧縮硬さ、及び難燃性について以下の方法で測定した。その結果を表2に示す。
【0072】
<フォーム密度>
JIS K6400に準拠してフォーム密度(kg/m)を測定する。
<圧縮硬さ>
JIS K6400に準拠して25%圧縮硬さと50%圧縮硬さ(N/100cm)を測定する。
【0073】
<難燃性(燃焼試験)>
FMVSS 302に準拠して行い、下記の基準で判定する。
◎:試験片に着火しない、あるいはA標線の手前で自消する。
○:燃焼距離が51mm以下かつ燃焼時間が60秒以内で消火する。
△:燃焼距離が50mm以上かつ燃焼速度が80mm/分未満
×:燃焼距離が50mm以上かつ燃焼速度が80mm/分以上
【0074】
実施例15
実施例7で作成したアルコール組成物(D-7)と、ポリオール(G-3)、整泡剤(Z-2)、ウレタン化触媒(J-3)、(J-4)、(J-5)、発泡剤(K-1)及び(K-2)を表3に記載した量で1Lカップに入れて、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。
得られた混合液に、ポリイソシアネート(H-2)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で10秒間撹拌し、混合液を70℃に温度調節した30cm×30cm×10cmの金型の中に入れ、10分間硬化させることでポリウレタンフォーム(F-7)を得た。
【0075】
実施例16と比較例3
表3記載の部数で、実施例15と同様の操作で、実施例16のポリウレタンフォーム(F-8)と比較例3のポリウレタンフォーム(F’-2)を得た。
【0076】
【表3】
【0077】
なお、表3に記載の化合物で表1と表2に記載のないものは以下の通りである。
ポリオール(G-3):サンニックス GP-400[三洋化成工業(株)製、グリセリンのPO付加物、水酸基価400]。
ウレタン化触媒(J-3):エアプロダクツジャパン社製「POLYCAT201」。
ウレタン化触媒(J-4):東ソー(株)製「TOYOCAT DM-70」。
ウレタン化触媒(J-5):エアプロダクツジャパン社製「DABCO K-15」。
発泡剤(K-2):ハネウェル社製「ソルスティスLDA」[HFO-1233zd(E)]。
難燃剤(L-1):大八化学工業(株)製「TMCPP」[トリス(クロロプロピル)ホスフェート]。
【0078】
実施例15~16及び比較例3で作製したポリウレタンフォーム(F-7)~(F-8)、及び(F’-2)について、ポリウレタンフォームのフォーム密度、硬さ、難燃性について以下の方法で測定した。その結果を表3に示す。
【0079】
<フォーム密度>
JIS K-7222に準拠してフォーム密度(kg/m)を測定する。
<硬さ>
JIS K-7220に準拠して圧縮強さ(N/mm)を測定する。
【0080】
<難燃性(燃焼試験)>
JIS A 9511 B法に準拠して燃焼距離と燃焼時間を評価した。なお、建築材料用の硬質ポリウレタンフォームとしては、一般に燃焼距離は50mm以下が、また燃焼時間は60秒以下が、必要とされる。
【0081】
本発明の実施例1~8のアルコール組成物は、製造直後だけでなく30日後の外観も均一で、ゲル状物などの析出、分離、沈降は全く認められない。一方、ポリアミンのアルキレンオキシド付加物を含まずエチレンジアミンのみを用いた比較例1のアルコール組成物の製造直後の外観は不均一でゲル状物が分離していた。
さらに、本発明のアルコール組成物を使用した実施例9~14の軟質ポリウレタンフォームは高強度であり、高い難燃性能を示す。一方、一般的なアクリロニトリル系ポリマーポリオールを用いた比較例2のポリウレタンフォームは、難燃性能が不良であり、強度も低い。
また実施例15~16の硬質ポリウレタンフォームは圧縮強さが高く、高い難燃性能を示す。一方、比較例3の一般的な硬質ポリウレタンフォームは、難燃性能が不良であり、強度も低い。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のアルコール組成物は、ウレア樹脂の分散安定性が優れているため、汎用的なポリウレタンフォームの原料として好適に使用できる。さらに、本発明のアルコール組成物を用いたポリウレタンフォームは、高強度であり難燃性に優れた樹脂を高濃度に含有するため、高い難燃性と物性の求められるウレタン樹脂製エンジンカバー、鉄道車両用ウレタンシートクッション、交通車両用ウレタンシートクッション、建材用断熱ウレタンボード、などの用途として特に好適である。