IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-レゾルバ信号処理装置および方法 図1
  • 特許-レゾルバ信号処理装置および方法 図2
  • 特許-レゾルバ信号処理装置および方法 図3
  • 特許-レゾルバ信号処理装置および方法 図4
  • 特許-レゾルバ信号処理装置および方法 図5
  • 特許-レゾルバ信号処理装置および方法 図6
  • 特許-レゾルバ信号処理装置および方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】レゾルバ信号処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
G01D5/20 110Q
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020190833
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2021096237
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0165281
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513013942
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ジェ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】バン サン フン
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122884(JP,A)
【文献】特開2007-315856(JP,A)
【文献】特開2007-248246(JP,A)
【文献】特開2008-116350(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0288619(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1937266(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252
5/39-5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励磁信号生成部によって生成された励磁信号が印加され、レゾルバから出力されたレゾルバ信号を処理するレゾルバ信号処理装置であって、
前記レゾルバ信号処理装置は、レゾルバ信号処理部を含み、
前記レゾルバ信号処理部は、
前記レゾルバ信号の入力を受け、前記レゾルバ信号の極点情報を抽出するレゾルバ信号取得部、
前記レゾルバ信号取得部の前記極点情報を抽出する極点取得時点を補償するレゾルバ位相補償部、および
前記レゾルバ位相補償部によって補償された前記極点取得時点に応じて、前記レゾルバ信号取得部によって抽出された前記極点情報を用いてデジタル信号を出力するレゾルバ-デジタル変換器
を含み、
前記レゾルバ信号取得部は、位相遅延初期値を用いて前記レゾルバ信号から複数のサンプリング信号を抽出し、前記レゾルバ位相補償部は、前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在するか否かを判断し、前記位相遅延初期値を補償して極点取得時点を算出し、
前記位相遅延初期値は、前記励磁信号生成部に入力される矩形波の初期時間から前記レゾルバ信号の前記極点情報までの時間に初期に設定された値であり、
前記レゾルバ位相補償部は、前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在しない場合、前記サンプリング信号の大きさの増加または減少に応じて前記位相遅延初期値を加減して前記極点取得時点を算出することを特徴とする、レゾルバ信号処理装置。
【請求項2】
前記レゾルバ-デジタル変換器は、抽出された前記極点情報を用いて形成された前記レゾルバ信号の包絡線を用いて前記デジタル信号を出力することを特徴とする、請求項1に記載のレゾルバ信号処理装置。
【請求項3】
前記レゾルバ位相補償部は、前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在する場合、複数のサンプリング信号のうち最も大きい値または最も小さい値を有するサンプリング信号が極点になるように前記極点取得時点を補償することを特徴とする、請求項1に記載のレゾルバ信号処理装置。
【請求項4】
(a)正弦波励磁信号をレゾルバに印加するステップ、
(b)前記レゾルバからレゾルバ信号の入力を受け、前記レゾルバ信号の極点取得時点を補償するステップ、
(c)補償された前記極点取得時点に応じてレゾルバ信号の極点情報を抽出するステップ、および
(d)前記極点情報を用いて前記レゾルバ信号をデジタル信号に変換するステップ
を含み、
前記(b)前記レゾルバからレゾルバ信号の入力を受け、前記レゾルバ信号の極点取得時点を補償するステップは、
(b1)位相遅延初期値を用いて 前記レゾルバ信号から複数のサンプリング信号を取得するステップ、
(b2)前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在するか否かを確認するステップ、および
(b3)前記極点情報の存在有無に応じて前記位相遅延初期値を補償して前記極点取得時点を算出するステップ
を含み、
前記位相遅延初期値は、励磁信号生成部に入力される矩形波の初期時間から前記レゾルバ信号の前記極点情報までの時間に初期に設定された値であり、
前記(b3)前記極点情報の存在有無に応じて前記位相遅延初期値を補償して前記極点取得時点を算出するステップにおいて、前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在しない場合、前記サンプリング信号の大きさの増加または減少に応じて前記位相遅延初期値を加減して前記極点取得時点を算出することを特徴とする、レゾルバ信号処理方法。
【請求項5】
前記(b3)前記極点情報の存在有無に応じて前記位相遅延初期値を補償して前記極点取得時点を算出するステップにおいて、前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在する場合、複数のサンプリング信号のうち最も大きい値または最も小さい値を有するサンプリング信号が極点になるように前記極点取得時点を補償することを特徴とする、請求項4に記載のレゾルバ信号処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバ信号処理装置および方法に関する。より詳しくは、本発明は、レゾルバ信号処理時の位相差に応じた補償を容易に行って正確な信号処理を可能にするレゾルバ信号処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車またはハイブリッド車両は、駆動力を提供する電気モータを備えている。このような電気モータは、制御時に速度を精密に測定するために速度センサが取り付けられている。最も広く用いられる速度センサとしては、光学式または磁気式インクリメンタルエンコーダとレゾルバ(Resolver)がある。
【0003】
レゾルバは、ステータ、ロータおよび回転トランスを含み、レゾルバを速度センサとして用いる場合、ステータとロータとの間に正弦波が生成されるようにする巻線が存在する。この時、レゾルバ1次側巻線に励磁電圧を印加し、レゾルバ2次側に印加された電圧情報からロータの位置が測定される。すなわち、電気モータの速度を検出するために、電気モータにおいてロータの回転角速度および回転角をセンシングして、ロータの絶対位置が測定される。
【0004】
レゾルバに正弦波を励磁信号として印加し、印加された励磁信号によって出力されるレゾルバの出力信号をデジタル信号に変換する。ところで、正弦波信号が入力されるレゾルバにおいては、レゾルバを構成する内部素子、すなわち、抵抗およびインダクタなどの影響により、レゾルバに入力される信号とレゾルバから出力される信号との間に位相差が発生するようになる。このような位相差を解決するために、大韓民国登録特許第10-1012741号には、励磁信号として印加される正弦波信号の位相をレゾルバから出力された信号の位相と同一に補償することが開示されている。
【0005】
ところで、このような位相補償過程のためには、正弦波発生信号を別途に収集し、レゾルバの出力信号に対する情報を収集して、遅れた位相を判断するなどの過程が必要であるため、信号処理過程が複雑であるという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1012741号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複雑な信号処理過程なしにレゾルバの出力信号から極点情報を取得してレゾルバ信号をデジタル信号に変換できるようにするレゾルバ信号処理装置および方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、励磁信号生成部によって生成された励磁信号が印加され、レゾルバから出力されたレゾルバ信号を処理するレゾルバ信号処理装置であって、前記レゾルバ信号処理装置は、レゾルバ信号処理部を含み、前記レゾルバ信号処理部は、前記レゾルバ信号の入力を受け、前記レゾルバ信号の極点情報を抽出するレゾルバ信号取得部、前記レゾルバ信号取得部の前記極点情報を抽出する極点取得時点を補償するレゾルバ位相補償部、および前記レゾルバ位相補償部によって補償された前記極点取得時点に応じて、前記レゾルバ信号取得部によって抽出された前記極点情報を用いてデジタル信号を出力するレゾルバ-デジタル変換器を含むことを特徴とするレゾルバ信号処理装置を提供する。
【0009】
一実施形態において、前記レゾルバ-デジタル変換器は、抽出された前記極点情報を用いて形成された前記レゾルバ信号の包絡線を用いて前記デジタル信号を出力してもよい。
【0010】
また、前記レゾルバ信号取得部は、既に設定された位相遅延初期値を用いて前記レゾルバ信号から複数のサンプリング信号を抽出し、前記レゾルバ位相補償部は、前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在するか否かを判断し、前記位相遅延初期値を補償して極点取得時点を算出してもよい。
【0011】
一実施形態において、前記レゾルバ位相補償部は、前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在する場合、複数のサンプリング信号のうち最も大きい値または最も小さい値を有するサンプリング信号が極点になるように前記極点取得時点を補償してもよい。
【0012】
また、前記レゾルバ位相補償部は、前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在しない場合、前記サンプリング信号の大きさの増加または減少に応じて前記位相遅延初期値を加減して前記極点取得時点を算出してもよい。
【0013】
また、本発明は、(a)正弦波励磁信号をレゾルバに印加するステップ、(b)前記レゾルバからレゾルバ信号の入力を受け、前記レゾルバ信号の極点情報取得時点を補償するステップ、(c)補償された前記極点情報取得時点に応じてレゾルバ信号の極点情報を抽出するステップ、および(d)前記極点情報を用いて前記レゾルバ信号をデジタル信号に変換するステップを含むレゾルバ信号処理方法を提供する。
【0014】
一実施形態において、前記(b)ステップは、(b1)既に設定された位相遅延初期値を用いて前記レゾルバ信号から複数のサンプリング信号を取得するステップ、(b2)前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在するか否かを確認するステップ、および(b3)前記極点情報の存在有無に応じて前記位相遅延初期値を補償して前記極点取得時点を算出するステップを含んでもよい。
【0015】
また、前記(b3)ステップにおいて、前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在する場合、複数のサンプリング信号のうち最も大きい値または最も小さい値を有するサンプリング信号が極点になるように前記極点取得時点を補償してもよい。
【0016】
なお、前記(b3)ステップにおいて、前記複数のサンプリング信号に極点情報が存在しない場合、前記サンプリング信号の大きさの増加または減少に応じて前記位相遅延初期値を加減して前記極点取得時点を算出してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レゾルバ信号をデジタルに変換する過程で複雑な信号処理を省略することができ、レゾルバ信号の極点を容易に抽出して効果的な信号処理が可能であるという長所がある。
【0018】
具体的には、本発明によれば、レゾルバに印加される励磁信号に対する正規化などの信号処理または励磁信号の再生成なしに遅れた位相を補正できるという効果がある。
【0019】
また、本発明によれば、レゾルバから出力されるサイン信号とコサイン信号間の同期化をさせなくてもレゾルバセンサ信号を処理することができるため、データ処理量が減少できるという効果がある。すなわち、レゾルバに印加される励磁信号としての正弦波を用いる場合、サイン信号とコサイン信号を正弦波と比較するために全区間に対するスキャンが必要であるという従来技術の短所を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理装置の構成を示す図である。
図2】本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理装置において、モータ出力信号に対する極点情報の抽出を例示する図である。
図3】本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理装置において、極点情報取得時点を補償する方法を説明する図である。
図4】本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理装置において、極点情報取得時点を補償する方法を説明する図である。
図5】本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理装置において、極点情報取得時点を補償する方法を説明する図である。
図6】本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理方法を概略的に示すフローチャートである。
図7】本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理方法において、レゾルバ信号の極点取得時点を補償する過程を具体的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。先ず、各図面の構成要素に参照符号を付する際、同一の構成要素に対しては、他の図面上に示すときにも可能な限り同一の符号を付するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにおいて、関連の公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明は省略する。また、以下では本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明の技術的思想はこれに限定または制限されるものではなく、当業者により変形されて多様に実施できることは勿論である。
【0022】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理装置の構成を示す図であり、図2は、本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理装置において、モータ出力信号に対する極点情報の抽出を例示する図である。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理装置10は、レゾルバ20に供給される励磁信号を生成する励磁信号生成部30、および前記レゾルバ20から出力されたサイン信号および/またはコサイン信号の入力を受け、それを処理してデジタル信号に変換して出力するレゾルバ信号処理部100を含む。
【0024】
励磁信号生成部30は、通常、矩形波の伝達を受け、矩形波を正弦波に変換して正弦波励磁信号を生成する。
【0025】
正弦波励磁信号はモータに取り付けられたレゾルバ20に印加され、レゾルバ20は回転角度に応じてサイン信号とコサイン信号を出力する。レゾルバ20から出力されたサイン信号とコサイン信号はレゾルバ信号処理部100に入力される。
【0026】
一実施形態において、レゾルバ信号処理部100は、レゾルバ20から出力されるサイン信号またはコサイン信号の入力を受け、サイン信号および/またはコサイン信号の極点情報を抽出する機能をするレゾルバ信号取得部110、レゾルバ信号取得部110のサイン信号および/またはコサイン信号の極点取得時点を補償する補償情報を生成するレゾルバ位相補償部120、およびレゾルバ信号取得部110によって抽出された極点情報を用いてレゾルバの出力信号をデジタルに変換するレゾルバ-デジタル変換器(Resolver-to-Digital Converter:RDC)130を含む。
【0027】
レゾルバ信号補償部120は、レゾルバ20からのコサイン信号に対する取得時点を補償するためのコサイン位相補償部122、およびサイン信号に対する取得時点を補償するためのサイン位相補償部124を含むことができる。コサイン位相補償部122とサイン位相補償部124は同様の方式で実現されてもよく、但し、それぞれが処理する対象信号が互いに異なるだけである。
【0028】
図2を参照すれば、正弦波励磁信号がレゾルバ20に印加され、レゾルバ20からサイン信号および/またはコサイン信号が出力されたものが例示され、サイン信号の一部分を拡大した図が共に示されている。
【0029】
レゾルバ-デジタル変換器130においては、サイン信号とコサイン信号の包絡線(envelope)を用いてレゾルバ信号をデジタル信号に変換し、レゾルバ信号取得部110においては、サイン信号とコサイン信号の極点情報(各信号のピーク値)を算出する。図2のサイン信号の拡大図を参照すれば、サイン信号の極点情報(1)を抽出することが求められ、極点以前情報(2)または極点以後情報(3)を抽出する場合には不正確な結果が導き出される。
【0030】
本発明においては、レゾルバ信号取得部110に入力されたレゾルバ20からのサイン信号および/またはコサイン信号はレゾルバ位相補償部120に伝達され、レゾルバ位相補償部120において極点取得時点に対する情報を算出してレゾルバ信号取得部110に伝達することにより、レゾルバ信号取得部110において正確な極点情報を抽出するようにすることに一特徴がある。
【0031】
レゾルバ信号取得部110によって得られたレゾルバ信号(レゾルバ20から出力されたサイン信号/コサイン信号)に対し、レゾルバ位相補償部120における極点情報取得時点を補償する方法について説明すれば次の通りである。
【0032】
図3図5は、本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理装置において、極点情報取得時点を補償する方法を説明する図である。図3は、レゾルバ信号から抽出された情報に極点情報が含まれた状態を例示し、図4は、レゾルバ信号から抽出された情報が値が続けて大きくなる状態を例示し、図5は、レゾルバ信号から抽出された情報が値が続けて小さくなる状態を例示する。
【0033】
図3図5においては、励磁信号生成部30に入力される矩形波と、励磁信号生成部30によって生成された正弦波励磁信号と、正弦波励磁信号がレゾルバ20に印加され、レゾルバ20から出力されたレゾルバ信号とが現れる。矩形波と正弦波励磁信号は理論的には同期しており、実際状態では矩形波と正弦波励磁信号のピークは微小な誤差が存在する。ところで、本発明においては、矩形波と正弦波励磁信号のピークに誤差が発生した場合であってもレゾルバ信号から正確な極点情報を抽出することができるため、より正確なレゾルバ信号処理が可能な長所がある。
【0034】
一方、励磁信号生成部30に入力される矩形波の初期時間から、レゾルバ20から出力されるレゾルバ信号の極点情報までの時間、すなわち、位相遅延初期値T1は事前に定められてもよい。
【0035】
図3を参照すれば、矩形波のM番目の信号(M次信号)に対するレゾルバ信号に対して位相遅延初期値であるT1時間を中心にレゾルバ信号a1、a2、a3、a4、a5を複数抽出(サンプリング)する。ここで、レゾルバ信号a1、a2、a3、a4、a5はT1よりは小さい微小な時間間隔ΔTごとに抽出されてもよく、抽出されるレゾルバ信号a1、a2、a3、a4、a5の個数は2個以上であってもよく、奇数であってもよい。
【0036】
図3においては、M次信号に対するレゾルバ信号a1、a2、a3、a4、a5のうち最大値を有するレゾルバ信号a4が存在し、レゾルバ信号a4はT1以後に現れるため、M+1次信号(M+1番目の矩形波信号)に対しては、「T1_rev=T1+ΔT」に調整し、T1_revを中心に複数のレゾルバ信号をサンプリングすることができる。また、場合によっては、T1_rev時点で1個のレゾルバ信号だけをサンプリングすることも可能である。
【0037】
図4を参照すれば、矩形波のM番目の信号(M次信号)に対するレゾルバ信号に対して初期値であるT1時間を中心にレゾルバ信号a1、a2、a3、a4、a5を複数抽出(サンプリング)した。ところで、抽出されたレゾルバ信号a1、a2、a3、a4、a5は大きさが次第に増加し、最後のレゾルバ信号a5が最大値を示す。すなわち、抽出されたレゾルバ信号a1、a2、a3、a4、a5には極点情報が存在せず、大きさは増加している状態である。この場合、M+1次信号(M+1番目の矩形波信号)に対しては、「T1_rev=T1+αΔT(αは自然数または正の実数)」に調整し、T1_revを中心に複数のレゾルバ信号をサンプリングしてサンプリングの適切性を再評価することができる。
【0038】
図5を参照すれば、矩形波のM番目の信号(M次信号)に対するレゾルバ信号に対して初期値であるT1時間を中心にレゾルバ信号a1、a2、a3、a4、a5を複数抽出(サンプリング)した。ところで、抽出されたレゾルバ信号a1、a2、a3、a4、a5は大きさが次第に減少し、最も先のレゾルバ信号a1が最大値を示す。すなわち、抽出されたレゾルバ信号a1、a2、a3、a4、a5には極点情報が存在せず、大きさは減少している状態である。この場合、M+1次信号(M+1番目の矩形波信号)に対しては、「T1_rev=T1-αΔT(αは負の整数または負の実数)」に調整し、T1_revを中心に複数のレゾルバ信号をサンプリングしてサンプリングの適切性を再評価することができる。
【0039】
一方、図3図5においては極大値を有する極点情報を抽出することを例示しているが、極小値を有する極点情報を抽出することも同様の方式で行われてもよい。
【0040】
図6は、本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理方法を概略的に示すフローチャートであり、図7は、本発明の好ましい実施形態によるレゾルバ信号処理方法において、レゾルバ信号の極点取得時点を補償する過程を具体的に示すフローチャートである。
【0041】
図6を参照すれば、本発明に係るレゾルバ信号処理方法は、正弦波励磁信号をレゾルバ20に印加するステップ(S100)、レゾルバ20からレゾルバ信号の入力を受け、レゾルバ信号の極点情報取得時点を補償するステップ(S200)、補償された極点情報取得時点に応じてレゾルバ信号の極点情報を抽出するステップ(S300)、および抽出された極点情報を用いてレゾルバ信号をデジタル信号に変換するステップ(S400)を含む。
【0042】
図7を参照して、S200ステップについてより詳しく説明する。
【0043】
レゾルバ信号の極点情報取得時点を補償する過程として、先ず、レゾルバ信号取得部110は、位相遅延初期値T1を基準にレゾルバ信号を複数取得する(S210)。
【0044】
レゾルバ位相補償部120は、レゾルバ信号取得部110によって抽出された複数のレゾルバ信号に極点が存在するか否かを確認する(S220)。極点が存在する場合、位相遅延初期値T1を維持するか、または図3で説明したように位相遅延初期値T1に一定時間を加えて極点情報取得時点を補償することができる。
【0045】
S220ステップにおいて極点が存在しないと判断された場合、抽出された複数のレゾルバ信号が増加するかまたは減少するかを判断する(S240)。
【0046】
レゾルバ信号が増加する場合、図4で説明したように、極点情報取得時点は、初期値T1に一定値を加えた値(T1_rev=T1+αΔT)に修正される(S250)。
【0047】
レゾルバ信号が減少する場合、図5で説明したように、極点情報取得時点は、初期値T1から一定値を引いた値(T1_rev=T1-αΔT)に修正される(S260)。
【0048】
S250ステップとS260ステップの以後にS300ステップに移行せず、S210ステップに戻り、修正された極点情報取得時点に対する検証をさらに行うことも可能である。
【0049】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で様々な修正、変更および置換が可能である。よって、本発明に開示された実施形態および添付された図面は本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、このような実施形態および添付された図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は下記の請求範囲によって解釈しなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0050】
10 ・・・レゾルバ信号処理装置
20 ・・・レゾルバ
30 ・・・励磁信号生成部
100 ・・・レゾルバ信号処理部
110 ・・・レゾルバ信号取得部
120 ・・・レゾルバ位相補償部
130 ・・・レゾルバ-デジタル変換器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7