(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】MIMOアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20220720BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H05K7/20 D
H05K7/20 E
H05K7/20 F
H01L23/36 Z
H01L23/36 D
(21)【出願番号】P 2021132147
(22)【出願日】2021-08-16
(62)【分割の表示】P 2019556953の分割
【原出願日】2018-04-20
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】10-2017-0051475
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0045883
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウー ヨー
(72)【発明者】
【氏名】イン ホ キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン シク パク
(72)【発明者】
【氏名】へー ヨン キム
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-188344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0037226(US,A1)
【文献】特開2002-8923(JP,A)
【文献】特開2007-80989(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0008045(US,A1)
【文献】特表2012-521657(JP,A)
【文献】特開2013-143488(JP,A)
【文献】特開2017-228748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に少なくとも1つ以上の発熱素子が備えられたPCBと、
前記PCBの一面をカバリングするように配置され、貫通ホールが形成された第1放熱部と、
前記貫通ホールに結合され、前記発熱素子から熱が伝達され、前記第1放熱部よりも離隔した遠距離で放熱する第2放熱部とを含み、
前記第2放熱部は、前記貫通ホールに一端部が結合される結合ボディを含み、
前記結合ボディの他端部には、一端部に向かって切開された熱分配空間が形成される、MIMOアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1放熱部は、外側面に直交する方向に延びるように複数の垂直放熱フィンが形成され、
前記第2放熱部は、前記結合ボディの外周面に前記複数の垂直放熱フィンに対して直交するように延長形成された複数の水平放熱フィンをさらに含む、請求項1に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項3】
前記熱分配空間の内部には、
前記熱分配空間の底面から上側に延びるが、「+」字状の水平断面形状を有する熱分配ブリッジが形成された、請求項2に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項4】
前記結合ボディには、
前記熱分配空間と外部とを連通させるが、前記複数の水平放熱フィンの間に貫通する複数のエアベントホールが形成された、請求項2に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項5】
前記結合ボディの一端部を形成する一面の縁部位には、複数のねじ締結ホールが形成され、
前記貫通ホールには、内側に突出し、ねじ貫通ホールが形成された複数の締結フランジが備えられ、
前記結合ボディは、締結ねじによって前記複数の締結フランジにねじ結合される、請求項2に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項6】
前記結合ボディは、前記締結ねじの結合時、前記一面が前記発熱素子の備えられた側に移動する、請求項5に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項7】
前記締結ねじの外周面には、
前記締結ねじの結合時、前記締結ねじの頭部によって前記複数の締結フランジにそれぞれ密着する公差吸収リングが介在する、請求項5に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項8】
前記公差吸収リングは、弾性材質からなる、請求項7に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項9】
前記PCBは、前記発熱素子が前記貫通ホールに向かうように前記第1放熱部に締結部材によって結合され、
前記公差吸収リングは、前記締結部材による前記PCBの前記第1放熱部に対する結合力が提供される時、弾性変形する、請求項7に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項10】
前記貫通ホールの内周面には、雌ねじ山が形成され、前記貫通ホールに挿入される前記結合ボディの外周面には、前記雌ねじ山に締結される雄ねじ山が形成された、請求項1に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項11】
前記第1放熱部の他面には、前記貫通ホールを外側に延長させ、前記結合ボディの一端部の挿入を案内するガイドボスが突出して形成され、
前記結合ボディの外周面には、前記ガイドボスの先端部に密着するようにねじ組立てられるロッキングリングが備えられる、請求項10に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項12】
前記結合ボディの外周面には、前記ガイドボスの内周面と前記結合ボディとの間の隙間を遮断するシーリング部材が介在し、
前記ロッキングリングは、前記ガイドボスの先端部に密着する時、前記シーリング部材を加圧する、請求項11に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項13】
前記第2放熱部は、前記結合ボディの一面に結合され、前記発熱素子の一面に接触する熱伝導媒介ブロックをさらに含み、
前記熱伝導媒介ブロックは、前記結合ボディよりも熱伝導度が高い材質からなる、請求項1に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項14】
前記熱伝導媒介ブロックは、前記結合ボディの一面に溝形状に形成された結合溝にねじ結合方式および強制圧入方式のいずれか1つの方式で結合される、請求項13に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項15】
前記熱伝導媒介ブロックは、前記結合ボディの一面にボンディング結合方式、ブレージング結合方式および異種射出成形方式のいずれか1つの方式で結合される、請求項13に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項16】
前記発熱素子に接触する前記結合ボディの一面には、熱伝導媒介物質が塗布される、請求項1に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項17】
前記複数の水平放熱フィンは、前記発熱素子から外側に所定距離離隔して複数個が多段配列され、
前記複数の水平放熱フィンの外形の組み合わせは、円柱、六面体、球および円錐形状のいずれか1つで形成された、請求項2に記載のMIMOアンテナ装置。
【請求項18】
上下に垂直配置された前記第1放熱部の一面の上側および下側に前記第2放熱部がそれぞれ1つずつ結合された場合、相対的に下側に備えられた前記第2放熱部から放熱された熱気が上昇気流によって相対的に上側に備えられた前記第2放熱部に伝達されることを遮断するエアバッフルがさらに備えられた、請求項1に記載のMIMOアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MIMOアンテナ装置に関し、より詳細には、熱を発生させる発熱素子に直接接触させて放熱性能を向上させることはもちろん、周辺部品との組立公差および高さ偏差を解消して汎用性を向上させることができるMIMOアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術、例えば、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術は、複数のアンテナを用いてデータ伝送容量を画期的に増加させる技術であって、送信機ではそれぞれの送信アンテナを介して互いに異なるデータを伝送し、受信機では適切な信号処理により送信データを区分するSpatial multiplexing手法である。
【0003】
したがって、送受信アンテナの個数を同時に増加させることにより、チャネル容量が増加してより多くのデータを伝送可能にする。例えば、アンテナ数を10個に増加させるには、現在の単一アンテナシステムに比べて、同じ周波数帯域を用いて約10倍のチャネル容量を確保する。
【0004】
このようなMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が適用された送受信装置の場合、アンテナの個数が増加するにつれて送信機(Transmitter)とフィルタ(Filter)の個数もともに増加し、Coverage拡張のための高出力によって所定の熱が発生し、発生した熱の外部排出は、製品の耐久性およびアンテナ性能に非常に大きな影響を及ぼす。このような放熱の問題は、PCBに実装された通信部品のみならず、所定の熱を発生させる発熱素子のすべてに対して発生する共通の問題として認識される。
【0005】
従来は、複数の放熱フィンが備えられた放熱体の一面を発熱素子との間にサーマルパッド(Thermal pad)のような媒体を用いて間接的に接触させて、発熱素子から発生した熱を放熱体の放熱フィンを介して外部に放熱する構造が一般的であった。
【0006】
サーマルパッドは、後述のように、接触熱抵抗が必然的に発生する。それにもかかわらず、発熱素子と放熱体との間を媒介するようにサーマルパッドが備えられる理由は、放熱体がPCBの発熱素子に接するように設けるために必要な組立公差および発熱素子のPCBに対する半田付け時に発生する高さ偏差などを解消しながら熱を容易に伝達可能にするためである。
【0007】
しかし、従来技術による放熱構造は、一定の厚さを有するサーマルパッドによって発熱素子と放熱体との間の接触熱抵抗が必然的に発生して効率的に部品を冷却させにくく、前述した組立公差および高さ偏差などを解消するためにサーマルパッドの厚さを増加させる場合には、接触熱抵抗がさらに増加する問題があり、このような問題を解決するために、放熱体の放熱フィンの高さを増加させるように設計変更することができるが、そのような設計変更によって製品の重量およびサイズ増大の問題が追加的に発生し、特に発熱量が高い場合、放熱体の放熱フィンの高さを増加させても部品の温度が低下しない飽和状態に至る問題がある。
【0008】
一方、本発明の属する技術分野における従来技術として、ランプ装置の駆動時に発生する熱を効率的に放出できるランプ装置の内容を開示した大韓民国公開特許第2012-0029632号がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、複数のアンテナ素子およびこれを電気的に連結する通信部品のような発熱素子が備えられたMIMO(Multiple Input Multiple Output)アンテナ装置において、放熱部を発熱素子に直接接触させて放熱性能を向上させることはもちろん、周辺部品との組立公差および高さ偏差を解消して汎用性を向上させることができるMIMOアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るMIMOアンテナ装置の好ましい一実施形態は、一面に少なくとも1つ以上の発熱素子が備えられたPCBと、前記PCBの一面をカバリングするように配置され、貫通ホールが形成された第1放熱部と、前記貫通ホールに結合され、前記発熱素子から熱が伝達され、前記第1放熱部よりも離隔した遠距離で放熱する第2放熱部とを含み、前記第2放熱部は、前記貫通ホールに一端部が結合される結合ボディを含み、前記結合ボディの他端部には、一端部に向かって切開された熱分配空間が形成される。
【0011】
本発明に係るMIMOアンテナ装置の好ましい一実施形態は、一面に少なくとも1つ以上の発熱素子が備えられたPCBと、前記PCBの一面をカバリングするように配置されるが、前記発熱素子の具備位置に対応する部位に貫通ホールが形成され、外側面に直交する方向に延びるように複数の垂直放熱フィンが形成された第1放熱部と、前記発熱素子の一面に接触するように前記貫通ホールに着脱可能に結合され、前記発熱素子から熱が伝達され、前記第1放熱部よりも離隔した遠距離で放熱する第2放熱部とを含む。
【0012】
ここで、前記第2放熱部は、前記貫通ホールに一端部が収容されるように結合される結合ボディと、前記結合ボディの外周面に前記複数の垂直放熱フィンに対して直交するように延長形成された複数の水平放熱フィンとを含むことができる。
【0013】
また、前記結合ボディの他端部には、一端部に向かって軸切開された熱分配空間が形成され、前記熱分配空間の内部には、前記熱分配空間の底面から上側に延びるが、「+」字状の水平断面形状を有する熱分配ブリッジが形成される。
【0014】
また、前記結合ボディには、前記熱分配空間と外部とを連通させるが、前記複数の水平放熱フィンの間に貫通する複数のエアベントホールが形成される。
【0015】
また、前記結合ボディの一端部を形成する一面の縁部位には、複数のねじ締結ホールが形成され、前記貫通ホールには、内側に突出し、ねじ貫通ホールが形成された複数の締結フランジが備えられ、前記結合ボディは、締結ねじによって前記複数の締結フランジにねじ結合される。
【0016】
また、前記結合ボディは、前記締結ねじの結合時、前記一面が前記発熱素子の備えられた側に移動する。
【0017】
また、前記締結ねじの外周面には、前記締結ねじの結合時、前記締結ねじの頭部によって前記複数の締結フランジにそれぞれ密着する公差吸収リングが介在してもよい。
【0018】
また、前記公差吸収リングは、弾性材質からなってもよい。
【0019】
また、前記PCBは、前記発熱素子が前記貫通ホールに向かうように前記第1放熱部に締結部材によって結合され、前記公差吸収リングは、前記締結部材による前記PCBの前記第1放熱部に対する結合力が提供される時、弾性変形できる。
【0020】
また、前記貫通ホールの内周面には、雌ねじ山が形成され、前記貫通ホールに挿入される前記結合ボディの外周面には、前記雌ねじ山に締結される雄ねじ山が形成される。
【0021】
また、前記複数の垂直放熱フィンが形成された前記第1放熱部の他面には、前記貫通ホールを外側に延長させ、前記結合ボディの一端部の挿入を案内するガイドボスが突出して形成され、前記結合ボディの外周面には、前記ガイドボスの先端部に密着するようにねじ組立てられるロッキングリングが備えられる。
【0022】
また、前記結合ボディの外周面には、前記ガイドボスの内周面と前記結合ボディとの間の隙間を遮断するシーリング部材が介在し、前記ロッキングリングは、前記ガイドボスの先端部に密着する時、前記シーリング部材を加圧することができる。
【0023】
また、前記第2放熱部は、前記結合ボディの一面に結合され、前記発熱素子の一面に接触する熱伝導媒介ブロックをさらに含み、前記熱伝導媒介ブロックは、前記結合ボディよりも熱伝導度が高い材質からなってもよい。
【0024】
また、前記熱伝導媒介ブロックは、前記結合ボディの一面に溝形状に形成された結合溝にねじ結合方式および強制圧入方式のいずれか1つの方式で結合される。
【0025】
また、前記熱伝導媒介ブロックは、前記結合ボディの一面にボンディング結合方式、ブレージング結合方式および異種射出成形方式のいずれか1つの方式で結合される。
【0026】
また、前記発熱素子に接触する前記結合ボディの一面には、熱伝導媒介物質が塗布される。
【0027】
また、前記複数の水平放熱フィンは、前記発熱素子から外側に所定距離離隔して複数個が多段配列され、前記複数の水平放熱フィンの外形の組み合わせは、円柱、六面体、球および円錐形状に形成される。
【0028】
また、上下に垂直配置された前記第1放熱部の一面の上側および下側に前記第2放熱部がそれぞれ1つずつ結合された場合、相対的に下側に備えられた前記第2放熱部から放熱された熱気が上昇気流によって相対的に上側に備えられた前記第2放熱部に伝達されることを遮断するエアバッフルがさらに備えられてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るMIMOアンテナ装置の一実施形態によれば、複数のアンテナ素子およびこれを電気的に連結する通信部品のような発熱素子が備えられたMIMO(Multiple Input Multiple Output)アンテナ装置において、放熱部を発熱素子に直接接触させて、熱伝達時に発生する接触熱抵抗を大幅に低減することで、放熱性能を向上させ、装置の寿命を増大させることはもちろん、周辺部品との組立公差および高さ偏差を解消して汎用性を向上させることができる。
【0030】
また、本発明に係るMIMOアンテナ装置の一実施形態によれば、複数の通信部品が実装されたPCBの発熱素子それぞれに放熱部を直接接触させることで、複数の通信部品から発生する高い発熱による信号歪みまたは信号のアンバランス現象を解消できるので、通信性能を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明に係るMIMOアンテナ装置の好ましい一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の構成のうち第2放熱部を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の構成のうち第2放熱部のPCBに対する結合構造を示す分解状態の切開斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1の構成のうちエアバッフルを示す斜視図である。
【
図7A】本発明に係るMIMOアンテナ装置の構成のうち第2放熱部の多様な形態を示す斜視図である。
【
図7B】本発明に係るMIMOアンテナ装置の構成のうち第2放熱部の多様な形態を示す斜視図である。
【
図7C】本発明に係るMIMOアンテナ装置の構成のうち第2放熱部の多様な形態を示す斜視図である。
【
図8A】従来の放熱機構および本発明に係るMIMOアンテナ装置の放熱性能を比較するための熱分布図である。
【
図8B】従来の放熱機構および本発明に係るMIMOアンテナ装置の放熱性能を比較するための熱分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付した図面と共に詳細に後述する実施例を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現可能であり、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義される。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指し示す。
【0033】
以下、本発明に係るMIMOアンテナ装置の実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明に係るMIMOアンテナ装置の好ましい一実施形態を示す斜視図であり、
図2は、
図1の分解斜視図である。
【0035】
本発明に係るMIMOアンテナ装置1の好ましい一実施形態は、
図1および
図2に参照されるように、一面に少なくとも1つ以上の発熱素子51が備えられたPCB50(印刷回路基板、PrintedCircuit Board)と、PCB50の一面をカバリングするように配置されるが、発熱素子51の具備位置に対応する部位に貫通ホール13が形成され、外側面に直交する方向に延びるように複数の垂直放熱フィン12が形成された第1放熱部10と、発熱素子51の一面に直接接触するように貫通ホール13に着脱可能に結合され、発熱素子51から熱が伝達され、第1放熱部10よりも離隔した遠距離で放熱する第2放熱部100とを含む。
【0036】
ここで、発熱素子51は、電源の入力によって駆動されながら所定の熱を発生させる素子であればいかなるものをも含む概念である。具体的には、複数のアンテナを用いてデータ伝送容量を画期的に増加させて第5世代無線通信技術を集約的に構築できるMIMO(Multiple Input Multiple Output)システムを構成する通信部品(例えば、送受信機、フィルタ、パワー増幅器(Power Amplifier:PA)、フィルタなど)を、「発熱素子」の適切な例に挙げることができる。
【0037】
ここで、MIMOシステムは、複数のアンテナ素子、これらを制御するためのデジタルプロセッシング回路および各アンテナ素子に対する独立かつ個別制御可能にそれぞれに対応するように備えられたパワーサプライユニット(PSU、Power Supply Unit)が備えられる。
【0038】
一方、第1放熱部10は、
図2に参照されるように、図面上下側にPCB50が収容される程度の所定厚さを有するが、一側および他側方向に長く長方形の外形を有し、図面上下面が開口した直方体形状を有する放熱部ハウジング11を含む。以下、説明の便宜のために、第1放熱部10の図面上下側部位を、「PCB収容空間5(
図4に示されている)」と称する。
【0039】
ここで、PCB50は、PCB収容空間5の内側面に図示しない締結部材の結合力によって密着するように結合される。例えば、締結部材は、PCB収容空間5の内側面に形成された図示しない締結孔に結合される締結ねじであってもよく、締結ねじがPCB50を貫通しながら締結孔に締結される時に発生する結合力によってPCB50がPCB収容空間5の内側面に強固に密着することができる。
【0040】
図面上上側に相当する放熱部ハウジング11の上部面には、前述した垂直放熱フィン12が外側に突出するが、長手方向に長く形成され、複数個が図面上長手方向と直交する幅方向に所定距離離隔して平行配置される。
【0041】
同時に、放熱部ハウジング11の上部面には、PCB収容空間5と連通する少なくとも1つ以上の貫通ホール13が形成される。放熱部ハウジング11の上部面には、貫通ホール13の周り部位を上側に延長させるように上部に突出してガイドボス14が形成される。ガイドボス14は、放熱部ハウジング11の上部面から上側に所定長さ延びるが、中空の円筒形態に形成され、貫通ホール13が上側に延びた形態を取り、
図1および
図2の図面上、第2放熱部100の下端部が収容されて結合される時、これをガイドする役割を果たす。
【0042】
ここで、ガイドボス14の上端は、放熱部ハウジング11の上部面に備えられた複数の垂直放熱フィン12の高さと一致するように形成される。
【0043】
また、ガイドボス14の周辺には、
図2の右側部位に参照されるように、隣接した複数の垂直放熱フィン12の一部がガイドボス14と離隔して切開された切開部18が形成される。
【0044】
しかし、必ずしも切開部18が形成されるべきではなく、
図2の左側部位に参照されるように、ガイドボス14に隣接する複数の垂直放熱フィン12がガイドボス14と一体に形成されることも可能であることは当然であろう。
【0045】
切開部18が形成された第2放熱部100の実施形態の場合、放熱しようとする発熱素子51から発生した熱を独立して第2放熱部100のみが関与して放熱するという利点がある。逆に、切開部18が形成されず、第1放熱部10の複数の垂直放熱フィン12がガイドボス14と一体に形成された第2放熱部100の実施形態の場合、発熱素子51から発生した熱を前記ガイドボス14を媒介として第1放熱部10および第2放熱部100に適切に分配して迅速な放熱を可能にするという利点がある。
【0046】
同時に、図面上下側に相当する放熱部ハウジング11のPCB収容空間5には、発熱素子51が実装された一面が貫通ホール13の内側に向かうように収容結合される。この時、発熱素子51の少なくとも一部が貫通ホール13の内側にオーバーラップされるように配置されることが好ましい。
【0047】
貫通ホール13の内周面のうち下端部には、第2放熱部100が締結ねじ114によってねじ結合可能な複数の締結フランジ15が貫通ホール13の中心に向かって突出するように備えられる。
【0048】
複数の締結フランジ15には、締結ねじ114が締結されるねじ貫通ホール16が上下に穿孔形成される。同時に、複数の締結フランジ15の下部面には、締結ねじ114の頭部114bが収容される締結溝17が下側に開口するように形成される(
図4および
図5の図面符号参照)。
【0049】
一方、本発明に係るMIMOアンテナ装置1の好ましい一実施形態は、
図2に参照されるように、放熱部ハウジング11の開口した一面を遮蔽するように結合されるカバーパネル40をさらに含んでもよい。カバーパネル40は、PCB収容空間5の内部に結合されたPCB50を外部から保護する役割を果たす構成であり、放熱部ハウジング11に対する結合方式は、いかなる方式が採用されても構わない。このようなカバーパネル40は、前述したMIMOシステムが適用された場合、アンテナ素子を保護するレドームに対応する構成であってもよい。
【0050】
図3は、
図1の構成のうち第2放熱部を示す分解斜視図であり、
図4は、
図1のA-A線に沿った断面図であり、
図5は、
図4の構成のうち第2放熱部のPCBに対する結合構造を示す分解状態の切開斜視図である。
【0051】
本発明に係るMIMOアンテナ装置1の好ましい一実施形態において、第2放熱部100は、
図1および
図2に参照されるように、放熱部ハウジング11に形成された貫通ホール13に下端部が収容されるように結合される。
【0052】
第2放熱部100は、
図3~
図5に参照されるように、放熱部ハウジング11に形成された貫通ホール13に一端部(図面上下端部)が収容されるように結合される結合ボディ110と、結合ボディ110の外周面に前述した複数の垂直放熱フィン12に対して直交するように延長形成された複数の水平放熱フィン130とを含むことができる。
【0053】
より詳細には、結合ボディ110は、貫通ホール13に挿入可能な大きさの直径を有する円柱形状に形成され、複数の水平放熱フィン130は、結合ボディ110の外周面から放射状に延びるパネル形状に形成されるが、上下に所定距離離隔して多段配置される。
【0054】
結合ボディ110の他端部(図面上上端部)には、
図3~
図5に参照されるように、下端部に向かって軸切開された熱分配空間111が形成される。
【0055】
熱分配空間111は、実質的に熱を受けて伝達する部位である結合ボディ110の下端部の上下の厚さを低減して、結合ボディ110の外周面に沿って均一に分配可能にするために設けられた空間である。すなわち、結合ボディ110は、熱伝導可能な材料で具備されるが、熱分配空間111の形成される位置が全部満たされている場合、厚さによる熱伝達量のばらつきが発生する余地がある。ここで、熱分配空間111は、発熱素子51から発生した熱が結合ボディ110の下端部に伝達された場合、迅速かつ均一に複数の水平放熱フィン130が備えられた結合ボディ110の外周面に伝導されるようにする役割を果たす。
【0056】
しかし、熱分配空間111である空き空間によって熱気が断熱されたまま凝集しうるので、本発明に係る MIMOアンテナ装置1の好ましい一実施形態では、
図3~
図5に参照されるように、熱分配空間111の内部面には、その底面から上側に所定長さ延びるが、十字(+)状の水平断面を有する熱分配ブリッジ112がさらに形成されてもよい。好ましくは、熱分配ブリッジ112は、熱分配空間111の底面から中間部分まで上側に延長形成される。
【0057】
熱分配ブリッジ112は、熱分配空間111に凝集した熱気および結合ボディ110の下端部から直接伝達される熱を迅速に複数の水平放熱フィン130が備えられた結合ボディ110の外周面上側に伝導させる。
【0058】
一方、結合ボディ110には、
図3~
図5に参照されるように、熱分配空間111と外部とを連通させる複数のエアベントホール113が形成される。
【0059】
より詳細には、複数のエアベントホール113は、熱分配空間111中、「+」字状の熱分配ブリッジ112によって区画された4つの空間の内壁面からそれぞれ上側に直線配列されるように形成される。
【0060】
好ましくは、結合ボディ110の外側には、前述のように、上下に複数の水平放熱フィン130が備えられることから、複数のエアベントホール113は、複数の水平放熱フィン130の間に貫通して形成されるのが良い。
【0061】
複数のエアベントホール113は、熱分配空間111に凝集した熱気を複数の水平放熱フィン130が形成される各層に相当する外部に吐出させることで、均一な放熱性能を有するようにする役割を果たす。すなわち、複数のエアベントホール113は、熱分配空間111内における空気循環を円滑にすることで、伝達された熱が凝集するか、または偏心して放熱されるのを防止することができる。
【0062】
一方、結合ボディ110の一端部を形成する一面(すなわち、図面上、結合ボディ110の下端部を形成する下面)には、発熱素子51に向かって所定長さ突出するように素子接触面が形成される。
【0063】
素子接触面は、
図2および
図3に参照されるように、ほぼ接触する発熱素子の上面に対応する形状の外観を有するように形成され、好ましくは、貫通ホール13に形成された複数の締結フランジ15と干渉することなく、その下部に備えられた発熱素子51と直接接触可能な形状に形成される。
【0064】
素子接触面は、結合ボディ110と同一の熱伝導度を有する同一の材料として結合ボディ110と一体に成形されることも可能であるが、後述する熱伝導媒介ブロック125で具備されても構わない。これについては、後で詳細に説明する。
【0065】
一方、素子接触面を除いた残りに相当する結合ボディ110の下面の縁部位には、複数のねじ締結ホール117が形成される。複数のねじ締結ホール117は、図面上下側から上側に締結ねじ114が締結されるように形成されることが好ましい。本発明の好ましい一実施形態では、前述した素子接触面の形状を正方形で採用し、複数のねじ締結ホール117は、正方形状の素子接触面の各面外側に1つずつ4つ形成されると限定して説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0066】
結合ボディ110は、締結ねじ114が図面上下側で締結されるように備えられることから、締結ねじ114の結合時、一面が発熱素子51の備えられた側に移動する。
【0067】
このような複数のねじ締結ホール117は、結合ボディ110を貫通ホール13の上側から下側に移動させて、複数の締結フランジ15に形成されたねじ貫通ホール16とマッチングさせた後、締結ねじ114を用いてねじ結合させることで、結合ボディ110を放熱部ハウジング11に一次的に固定させることができる。
【0068】
ところが、製品の設計時、結合ボディ110を放熱部ハウジング11の貫通ホール13に結合させる時に必要な所定の組立公差が考慮されなければならない一方、PCB50の一面に発熱素子51を半田付け方式のような工法で実装させる時、高さ偏差などが発生する余地がある。
【0069】
ここで、発熱素子51の上面とこれを直接放熱させるための第2放熱部100の結合ボディ110の下面は、直接的な接触が行われてこそ最適な放熱性能を実現することができるが、前述した組立公差および高さ偏差などによって締結ねじ114による結合が完了した後にも隙間が発生したり、直接的な接触結合が容易でない問題点がある。
【0070】
このような問題点を解決するために、本発明に係るMIMOアンテナ装置1の好ましい一実施形態において、締結ねじ114の外周面には、締結ねじ114の結合時、締結ねじ114の頭部114bによって複数の締結フランジ15にそれぞれ密着し、PCB50の放熱部ハウジング11に対する結合時に発生する結合力によって弾性変形する公差吸収リング115が介在してもよい。
【0071】
より詳細には、一般的に、締結ねじ114は、雄ねじ山が形成された本体114aと、本体114aの先端に形成され、ドライバのような締結工具が差し込まれる十字(+)または一字(-)状の工具溝が形成された頭部114bとから形成される。
【0072】
ここで、公差吸収リング115は、本体114aの外周面に挟まれるが、締結ねじ114の複数の締結フランジ15に対する結合時、公差吸収リング115の上端は、頭部114bが収容される締結フランジ15の締結溝17の内部面によって支持され、公差吸収リング115の下端は、頭部114bによって支持される。
【0073】
このように結合される公差吸収リング115は、PCB収容空間5の内側面に発熱素子51が実装されたPCB50を図示しない締結部材を用いて結合させる時、発熱素子51の上面と結合ボディ110の素子接触面とが接触した状態で、締結部材の結合力によって弾性変形した状態を維持する。
【0074】
すると、公差吸収リング115の恒久的な復元力によってPCB50の結合が完了した後にも、結合ボディ110の素子接触面と発熱素子51の上面との間に相互強制押圧力が形成される。ここで、公差吸収リング115の恒久的な復元力とは、その材質がゴムのような弾性材質であることから、外力が提供されると形状変形し、追って外力が除去されると再び材質の性質上復元しようとする内在した力をいう。
【0075】
このような強制押圧力の形成は、結合ボディ110の素子接触面と発熱素子51の上面との間の相互間離脱現象を防止可能なため、放熱性能が大きく向上できる。
【0076】
また、組立公差および高さ偏差などによる製品の精密な設計が要求されないので、製品の汎用性を向上させることができる。
【0077】
しかし、結合ボディ110が、前述のように、必ずしも締結ねじ114によって放熱部ハウジング11の貫通ホール13に結合される方式で結合されるべきではない。
【0078】
すなわち、
図2の図面上左側を参照すれば、結合ボディ110の下端部外周面には、雄ねじ山が形成され、貫通ホール13の内周面には、結合ボディ110がねじ締結されるように雄ねじ山に対応する雌ねじ山が加工形成される。
【0079】
ただし、この場合には、第2放熱部100の第1放熱部10に対する結合が容易な代わりに、組立公差および高さ偏差などを解消できる締結フランジ15が貫通ホール13に備えられないので、放熱性能および汎用性が低下しうるが、これは、後述するロッキングリング120およびシーリング部材119によって解消される余地がある。
【0080】
より詳細には、
図3~
図5に参照されるように、複数の水平放熱フィン130の下部に相当する結合ボディ110の外周面には、シーリング設置溝118が溝形状に形成され、シーリング設置溝118には、シーリング部材119が介在する。
【0081】
シーリング部材119は、結合ボディ110の貫通ホール13に対する結合時、ガイドボス14の上端部内周面と結合ボディ110の外周面との間の隙間を遮断する役割を果たす。
【0082】
一方、シーリング設置溝118の上部に相当する結合ボディ110の外周面には、ロッキングリング120がねじ結合される。このために、ロッキングリング120の内周面には、雌ねじ山120aが形成され、結合ボディ110の外周面中、ロッキングリング120の設けられる対応部位には、雄ねじ山120bが形成される。
【0083】
ロッキングリング120の外周面は、組立者がスパナなどのような組立工具を用いて回転可能に多角形状の水平断面を有するように形成されることが好ましい。
【0084】
ロッキングリング120は、結合ボディ110の外周面に予め余裕をもって仮結合した状態で、結合ボディ110の下端部が貫通ホール13の締結フランジ15に結合された後、前述したスパナなどのような組立工具を用いてロッキングリング120の下端がガイドボス14の上端に密着するように回転組立てられる。
【0085】
この時、結合ボディ110は、貫通ホール13の下側で締結ねじ114によって一次的に締結フランジ15に支持されるように結合され、貫通ホール13の上側でロッキングリング120によって二次的にガイドボス14の先端に支持されるように結合されるので、第1放熱部10に対して強固に固定される。
【0086】
また、ロッキングリング120の下端がガイドボス14の先端に密着するように回転結合される時、シーリング部材119を加圧することで、シーリング部材119が弾性変形しながら、前述した公差吸収リング115と同一の機能を行うことができる。
【0087】
例えば、結合ボディ110の貫通ホール13に対する結合方式にかかわらず、一旦結合ボディ110の素子接触面がPCB50の発熱素子51の上面に接触した状態で、ロッキングリング120を回転調節することで、シーリング部材119が弾性変形すると、シーリング部材119によって持続的に結合ボディ110の素子接触面と発熱素子51の上面との間に公差吸収リング115のような強制押圧力が形成されるのである。
【0088】
したがって、シーリング部材119は、公差吸収リング115と同一の機能を行うと同時に、外部から貫通ホール13を介してPCB50が備えられた方向に水分などのような異物の流入を遮断するシーリング機能を行う。
【0089】
一方、本発明に係るMIMOアンテナ装置1の好ましい一実施形態は、
図4に参照されるように、第2放熱部100は、結合ボディ110の一面(下面)に結合され、発熱素子51の一面(上面)に接触する熱伝導媒介ブロック125をさらに含んでもよい。
【0090】
熱伝導媒介ブロック125は、結合ボディ110より熱伝導度が高い材質からなることが好ましい。すなわち、結合ボディ110の素子接触面は、高い熱伝導度を有する熱伝導媒介ブロック125に代替可能である。
【0091】
本発明に係るMIMOアンテナ装置1の好ましい一実施形態において、結合ボディ110の熱伝導度は、それ自体で固有の放熱性能を有するように備えられるものであるが、好ましい一実施形態は、結合ボディ110の熱伝導度よりも高い熱伝導度を有する熱伝導媒介ブロック125の下面に素子接触面の役割を代替させることで、放熱性能をさらに向上させることができる。
【0092】
ここで、熱伝導媒介ブロック125は、結合ボディ110の下面に溝形状に形成された結合溝にねじ結合方式および強制圧入方式のいずれか1つの方式で結合される。
【0093】
しかし、熱伝導媒介ブロック125の結合ボディ110に対する具備方式が前述した方式に限定されるものではない。すなわち、熱伝導媒介ブロック125は、結合ボディ110の下面に熱伝導媒介ブロック125の下面が露出するように、ボンディング結合方式、ブレージング結合方式および異種射出成形方式のいずれか1つの方式で結合される。
【0094】
同時に、発熱素子51に接触する結合ボディ110の下面である素子接触面または熱伝導媒介ブロック125の下面には、熱伝導媒介物質が塗布される。
【0095】
熱伝導媒介物質は、噴霧形態で素子接触面や熱伝導媒介ブロック125の下面に塗布されることが好ましい。
【0096】
図6は、
図1の構成のうちエアバッフルを示す斜視図であり、
図7A~
図7Cは、本発明に係るMIMOアンテナ装置の構成のうち第2放熱部の多様な形態を示す斜視図である。
【0097】
本発明に係るMIMOアンテナ装置1の好ましい一実施形態は、
図6に参照されるように、上下方向に配置された放熱部ハウジング11の一面に少なくとも2つの第2放熱部100が上側および下側にそれぞれ1つずつまたはそれ以上配置される場合、前記2つの第2放熱部100の間を区画するように配置されたエアバッフル200をさらに含んでもよい。
【0098】
エアバッフル200は、
図4に参照されるように、相対的に下側に備えられた第2放熱部100A、100Bによって放熱された熱気が自然対流によって相対的に上側に備えられた第2放熱部100に上昇気流によって伝達される場合、各第2放熱部100ごとに不均一な放熱性能が実現されうることから、下側の上昇気流を遮断することで、全体的に均一な放熱性能が実現されるようにする役割を果たす。
【0099】
エアバッフル200は、先端部が上側に傾斜して備えられることで、下側の第2放熱部100の水平放熱フィン130から放熱された熱気が、エアバッフル200によって停滞することなく、上側の第2放熱部100を迂回して上側に移動するように備えられる。
【0100】
一方、第2放熱部100に形成された複数の水平放熱フィン130は、発熱素子51から外側(すなわち、
図7A~
図7Cの図面上上側)に所定距離離隔して複数個が多段配列される。
【0101】
ここで、複数の水平放熱フィン130の外形の組み合わせは、
図1~
図6に参照されるように、各水平放熱フィン130の直径が同一の円形の水平断面形状を有する円柱形状、
図7Aに参照されるように、各水平放熱フィン130が同一の正方形の水平断面の面積を有する六面体形状、
図7Bに参照されるように、円形の水平断面形状を有するものの、中間部分の直径が最も大きく上部または下部へいくほど次第に面積が小さくなる球形状、および
図7Cに参照されるように、円形の水平断面形状を有するものの、上部へいくほど次第に面積が小さくなる円錐形状に形成される。
【0102】
ここで、
図7Aに示された六面体形状は、比較的構造が簡単で、
図1~
図6に参照された円柱形状に比べて製造に容易であるという利点がある。また、
図7Cに示された形状の場合、放熱のために最も重要な下側の水平放熱フィンの放熱面積が広くなければならないので、最下側の水平放熱フィンの有効放熱面積を広くするが、上部へいくほど水平放熱フィンの面積を減少させることで、全体重量を低減できるという利点がある。
【0103】
また、
図7A~
図7Cを参照すれば、複数の水平放熱フィン130は、上下に6つが所定距離離隔して積層配置された実施例のみが開示されたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、水平放熱フィン130の個数は、発熱素子51の発熱量および周辺構成部品との干渉関係などを考慮して異なる個数で設計可能であることが好ましい。
【0104】
同時に、複数の水平放熱フィン130の水平面積も、発熱素子51の発熱量を考慮して能動的に設計変更可能であることは当然であろう。
【0105】
以下、上記のように構成される本発明に係るMIMOアンテナ装置1を用いた放熱時と、従来の方式による放熱時の作用関係を比較する。
【0106】
図8Aおよび
図8Bは、従来の放熱機構および本発明に係るMIMOアンテナ装置1の放熱性能を比較するための熱分布図である。
【0107】
本発明の出願人は、最も客観的な比較データを取得するために、共通の環境が構築されるように、次のような共通仕様の第1放熱部10を採用した。
【0108】
すなわち、第1放熱部10の放熱部ハウジング11の一面の面積は500×200×81mm、複数の垂直放熱フィン12を除いた放熱部ハウジング11の厚さは5.0mm、複数の垂直放熱フィン12の高さは60mm、複数の垂直放熱フィン12の個数は12個で共通採用した。
【0109】
同時に、第1放熱部10には、2つの熱源が上下に所定距離離隔して垂直配置されるように第2放熱部100を垂直配置し、冷却方式は強制送風が全く介入しない自然伝導方式(Natural Convection Cooling Type)を適用した。
【0110】
前記のような同一の条件下で実験を行った結果、
図8Aに参照されるように、従来の方式による放熱時には、発熱素子51のうち上側に位置した第1熱源51aの最高温度が87.5℃に到達した一方、発熱素子51のうち下側に位置した第2熱源51bの最高温度も86.3℃に到達した。これに対し、
図8Bに参照されるように、本発明の好ましい一実施形態に係るMIMOアンテナ装置1による放熱時には、発熱素子51のうち上側に位置した第1熱源51aの最高温度が83.6℃と低くなった一方、発熱素子51のうち下側に位置した第2熱源51bの最高温度も83.1℃と低くなったことを確認した。
【0111】
すなわち、本発明に係るMIMOアンテナ装置1の好ましい一実施形態は、第1熱源51aを基準として3.8℃の温度改善効果を導出し、このような温度差を従来の方式により克服するためには、解釈上複数の垂直放熱フィン12の高さを60mmさらに増加させなければならないことを確認し、これはつまり、製品サイズの小型化作製が可能であることを反証するものである。
【0112】
同時に、従来の方式による場合、第1熱源51aおよび第2熱源51b別の温度偏差は1.2℃であるが、本発明の好ましい一実施形態に係るMIMOアンテナ装置1を適用する場合、温度偏差が0.5℃に過ぎないので、エアバッフル200による各熱源別の温度偏差を減少させて、より優れた放熱性能を実現できることを確認した。
【0113】
したがって、発熱素子51の上面に直接的に結合ボディ110の下面が接触するように備えられた本発明に係るMIMOアンテナ装置1の好ましい一実施形態によれば、サーマルパッドのような媒介構成により放熱を試みる従来の方式に比べて卓越した放熱性能を実現できるという利点を有する。
【0114】
以上、本発明に係るMIMOアンテナ装置の好ましい一実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した好ましい一実施例により限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲における実施が可能であることは当然であろう。そのため、本発明の真の権利範囲は、後述する請求の範囲によって定められるというべきである。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によれば、放熱部を発熱素子に直接接触させて、熱伝達時に発生する接触熱抵抗を大幅に低減することで、放熱性能を向上させ、装置の寿命を増大させることはもちろん、周辺部品との組立公差および高さ偏差を解消して汎用性を向上させることができるMIMOアンテナ装置を製造することができる。