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特許7108158航空輸送ネットワークにおける効率的なVTOLリソース管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】航空輸送ネットワークにおける効率的なVTOLリソース管理
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20220721BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20220721BHJP
   B64C 29/00 20060101ALI20220721BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20220721BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20220721BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64F1/36
B64C29/00
G01C21/34
G06Q50/30
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2019558428
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 IB2018052864
(87)【国際公開番号】W WO2018198038
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】62/489,992
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521431848
【氏名又は名称】ジョビー エレベート, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ゴエル、ニキル
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バダラメンティ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ムーア、マーク
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/093905(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/00
B64F 1/36
B64C 29/00
G01C 21/34
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実施する 方法であって、
複数の垂直離着陸(VTOL)機のサービス目標を特定すること、
前記複数のVTOL機の位置を含むVTOLデータを取得すること、
所与の期間における輸送サービスの需要の推定値を生成すること、前記需要の推定値が、各々出発地と目的地とを特定する複数の輸送サービスの要求を含んでおり、
前記複数のVTOL機の各々のバッテリレベルを判定すること、
前記需要の推定値と前記バッテリレベルと前記サービス目標とに基づいて前記複数のVTOL機の各々のルートを決定することであって、各ルートは、目的地、当該目的地へ赴く途中で訪れる任意の地点、および出発時間を指定するものである、前記複数のVTOL機の各々のルートを決定すること、
前記複数のVTOL機のうちの少なくともサブセットにルーティング指示を送信することであって、前記サブセット内の各前記VTOL機について前記決定されたルートに基づくルーティング指示を送信すること、を備える方法。
【請求項2】
前記サービス目標が、
VTOL機が輸送する人数を最大化すること、
VTOL機が地上で費やす合計時間を最小化すること、または、
VTOL機が飛行中にあるときの各VTOL機の平均人数を最大化すること、
のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ルーティング指示が、特定のVTOL機に特定の時間にわたって充電させるための指示を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記需要の推定値を生成することが、
乗客によってすでに要求されている輸送サービスの要求が満たされていないことを示す現在の需要データを取得すること、
所与の期間に受信される輸送サービスの要求の推定値を前記現在の需要データに追加すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のVTOL機の各々のルートを決定することが、
前記VTOLデータと前記需要の推定値とをネットワークフローモデルへの入力として提供すること、
前記特定されたサービス目標を考慮して前記ネットワークフローモデルを解くこと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のVTOL機の各々のルートを決定することが、
輸送ネットワーク内の前記複数のVTOL機の各々の異なる流れを決定すること、
前記複数のVTOL機のうちの少なくともサブセットについて、前記異なる流れのうちの対応する1つを選択すること、
前記選択された各流れに基づいて各ルートを決定すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の垂直離着陸(VTOL)機の位置を決定すること、
前記需要の推定値に基づいて複数の輸送要求を決定することであって、各輸送要求が、それぞれの出発位置からそれぞれの目的位置までの輸送の要求である、前記複数の輸送要求を決定すること、
前記輸送ネットワーク内の前記複数のVTOL機の異なる流れをモデル化することにより前記複数のVTOL機の各々の各ルートを同時に決定するように構成されたネットワークフローモデルに、前記複数の輸送要求、前記複数のVTOL機の位置、および前記バッテリレベルを提供すること、をさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに当該1つまたは複数のプロセッサに動作を実行させる実行可能コンピュータプログラムコードを記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記動作が、
複数の垂直離着陸(VTOL)機のサービス目標を特定すること、
前記複数のVTOL機の位置を含むVTOLデータを取得すること、
所与の期間における輸送サービスの需要の推定値を生成すること、前記需要の推定値が、各々出発地と目的地とを特定する複数の輸送サービスの要求を含んでおり、
前記複数のVTOL機の各々のバッテリレベルを判定すること、
前記需要の推定値と前記バッテリレベルと前記サービス目標とに基づいて前記複数のVTOL機の各々のルートを決定することであって、各ルートは、目的地、当該目的地へ赴く途中で訪れる任意の地点、および出発時間を指定するものである、前記複数のVTOL機の各々のルートを決定すること、
前記複数のVTOL機のうちの少なくともサブセットにルーティング指示を送信することであって、前記サブセット内の各前記VTOL機について前記決定されたルートに基づくルーティング指示を送信すること、を備える、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記サービス目標が、
VTOL機が輸送する人数を最大化すること、
VTOL機が地上で費やす合計時間を最小化すること、または、
VTOL機が飛行中にあるときの各VTOL機の平均人数を最大化すること、
のうちの少なくとも1つである、請求項8に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記ルーティング指示が、特定のVTOL機に特定の時間にわたって充電させるための指示を含む、請求項8に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記需要の推定値を生成することが、
乗客によってすでに要求されている輸送サービスの要求が満たされていないことを示す現在の需要データを取得すること、
所与の期間に受信される輸送サービスの要求の推定値を前記現在の需要データに追加すること、を含む、請求項8に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記複数のVTOL機の各々のルートを決定することが、
前記VTOLデータと前記需要の推定値とをネットワークフローモデルへの入力として提供すること、
前記特定されたサービス目標を考慮して前記ネットワークフローモデルを解くこと、を含む、請求項8に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
コンピュータシステムであって、
ハードウェアである1つまたは複数のプロセッサと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに当該1つまたは複数のプロセッサに動作を実行させる実行可能コンピュータプログラムコードを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と、を備え、前記動作が、
複数の垂直離着陸(VTOL)機のサービス目標を特定すること、
前記複数のVTOL機の位置を含むVTOLデータを取得すること、
所与の期間における輸送サービスの需要の推定値を生成すること、前記需要の推定値が、各々出発地と目的地とを特定する複数の輸送サービスの要求を含んでおり、
前記複数のVTOL機の各々のバッテリレベルを判定すること、
前記需要の推定値と前記バッテリレベルと前記サービス目標とに基づいて前記複数のVTOL機の各々のルートを決定することであって、各ルートは、目的地、当該目的地へ赴く途中で訪れる任意の地点、および出発時間を指定するものである、前記複数のVTOL機の各々のルートを決定すること、
前記複数のVTOL機のうちの少なくともサブセットにルーティング指示を送信することであって、前記サブセット内の各前記VTOL機について前記決定されたルートに基づくルーティング指示を送信すること、を備える、コンピュータシステム。
【請求項14】
前記サービス目標が、
VTOL機が輸送する人数を最大化すること、
VTOL機が地上で費やす合計時間を最小化すること、または、
VTOL機が飛行中にあるときの各VTOL機の平均人数を最大化すること、
のうちの少なくとも1つである、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
前記需要の推定値を生成することが、
乗客によってすでに要求されている輸送サービスの要求が満たされていないことを示す現在の需要データを取得すること、
所与の期間に受信される輸送サービスの要求の推定値を前記現在の需要データに追加すること、を含む、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項16】
前記複数のVTOL機の各々のルートを決定することが、
前記VTOLデータと前記需要の推定値とをネットワークフローモデルへの入力として提供すること、
前記特定されたサービス目標を考慮して前記ネットワークフローモデルを解くこと、を含む、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
コンピュータが実施する 方法であって、
前記複数の垂直離着陸(VTOL)機の位置を決定すること、
複数の輸送要求を決定することであって、各輸送要求が、それぞれの出発位置からそれぞれの目的位置までの輸送の要求である、前記複数の輸送要求を決定すること、
前記複数のVTOL機の各々の現在のバッテリレベルを判定すること、
特定のVTOL機がルートを実行する前に特定の時間にわたって充電すべきであることを決定するために輸送ネットワーク内の前記複数のVTOL機の異なる流れをモデル化することにより前記複数のVTOL機の各々のルーティングデータを同時に決定するように構成されたネットワークフローモデルに、前記複数の輸送要求、前記複数のVTOL機の位置、および前記現在のバッテリレベルを提供すること、
前記複数のVTOL機のうちの少なくともサブセットにルーティング指示を送信することであって、各前記VTOL機の対応するルーティングデータに基づくルーティング指示を送信すること、を備え、前記ルーティング指示の送信が、特定のVTOL機がルートを実行する前に特定の時間にわたって充電すべきであるとの決定に基づく、方法。
【請求項18】
前記複数のVTOL機のサービス目標を決定することをさらに備え、前記ルーティングデータを決定することが前記サービス目標にさらに基づいている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サービス目標が、
VTOL機が輸送する人数を最大化すること、
VTOL機が地上で費やす合計時間を最小化すること、または、
VTOL機が飛行中にあるときの各VTOL機の平均人数を最大化すること、
のうちの少なくとも1つである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の輸送要求を決定することが、
乗客によってすでに要求されている輸送サービスの要求が満たされていないことを示す現在の需要データを取得すること、
所与の期間に受信される輸送サービスの要求の推定値を前記現在の需要データに追加すること、を含み、
前記複数の輸送要求が、前記追加された前記現在の需要データに基づいている、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
輸送サービスに関する複数の需要プロファイルを生成すること、
輸送サービスの需要を測定すること、
前記複数の需要プロファイルのうちのいずれが前記測定された需要に最も近いかを特定すること、をさらに備え、
前記複数の輸送要求が、前記特定された需要プロファイルに基づいている、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記輸送サービスの需要を定期的に測定すること、
前記定期的に測定された需要に基づく定期的なルーティング指示を前記VTOL機の少なくともサブセットに送信すること、をさらに備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ネットワークフローモデルが、前記複数のVTOL機のうちの1つのVTOL機の乗客定員、前記複数のVTOL機のうちの1つのVTOL機の最大バッテリレベル、前記複数のVTOL機のうちの1つのVTOL機であって乗客を輸送しないVTOL機を再配置するためのコスト、および、前記複数の輸送要求のうちの少なくとも2つにおける2つの同一位置間を輸送する乗客の合計人数のうちの1つまたは複数に基づいて、前記異なる流れをモデル化するように構成されている、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに当該1つまたは複数のプロセッサに動作を実行させる実行可能コンピュータプログラムコードを記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記動作が、
前記複数の垂直離着陸(VTOL)機の位置を決定すること、
複数の輸送要求を決定することであって、各輸送要求が、それぞれの出発位置からそれぞれの目的位置までの輸送の要求である、前記複数の輸送要求を決定すること、
前記複数のVTOL機の各々の現在のバッテリレベルを判定すること、
特定のVTOL機がルートを実行する前に特定の時間にわたって充電すべきであることを決定するために輸送ネットワーク内の前記複数のVTOL機の異なる流れをモデル化することにより前記複数のVTOL機の各々のルーティングデータを同時に決定するように構成されたネットワークフローモデルに、前記複数の輸送要求、前記複数のVTOL機の位置、および前記現在のバッテリレベルを提供すること、
前記複数のVTOL機のうちの少なくともサブセットにルーティング指示を送信することであって、各前記VTOL機の対応するルーティングデータに基づくルーティング指示を送信すること、を備え、前記ルーティング指示の送信が、特定のVTOL機がルートを実行する前に特定の時間にわたって充電すべきであるとの決定に基づく、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項25】
前記動作がさらに、前記ルーティング指示のサービス目標を決定することを備え、前記ルーティングデータが前記サービス目標に基づいている、請求項24に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
前記サービス目標が、
VTOL機が輸送する人数を最大化すること、
VTOL機が地上で費やす合計時間を最小化すること、または、
VTOL機が飛行中にあるときの各VTOL機の平均人数を最大化すること、
のうちの少なくとも1つである、請求項25に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
前記複数の輸送要求を決定することが、
乗客によってすでに要求されている輸送サービスの要求が満たされていないことを示す現在の需要データを取得すること、
所与の期間に受信される輸送サービスの要求の推定値を前記現在の需要データに追加すること、を含み、
前記複数の輸送要求が、前記追加された前記現在の需要データに基づいている、請求項25に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
コンピュータシステムであって、
ハードウェアである1つまたは複数のプロセッサと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに当該1つまたは複数のプロセッサに動作を実行させる実行可能コンピュータプログラムコードを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と、を備え、前記動作が、
前記複数の垂直離着陸(VTOL)機の位置を決定すること、
複数の輸送要求を決定することであって、各輸送要求が、それぞれの出発位置からそれぞれの目的位置までの輸送の要求である、前記複数の輸送要求を決定すること、
前記複数のVTOL機の各々の現在のバッテリレベルを判定すること、
特定のVTOL機がルートを実行する前に特定の時間にわたって充電すべきであることを決定するために輸送ネットワーク内の前記複数のVTOL機の異なる流れをモデル化することにより前記複数のVTOL機の各々のルーティングデータを同時に決定するように構成されたネットワークフローモデルに、前記複数の輸送要求、前記複数のVTOL機の位置、および前記現在のバッテリレベルを提供すること、
前記複数のVTOL機のうちの少なくともサブセットにルーティング指示を送信することであって、各前記VTOL機の対応するルーティングデータに基づくルーティング指示を送信すること、を備え、前記ルーティング指示の送信が、特定のVTOL機がルートを実行する前に特定の時間にわたって充電すべきであるとの決定に基づく、コンピュータシステム。
【請求項29】
前記動作がさらに、前記複数のVTOL機のサービス目標を決定することを備え、前記ルーティングデータが前記サービス目標に基づいている、請求項28に記載のコンピュータシステム。
【請求項30】
前記サービス目標が、
VTOL機が輸送する人数を最大化すること、
VTOL機が地上で費やす合計時間を最小化すること、または、
VTOL機が飛行中にあるときの各VTOL機の平均人数を最大化すること、
のうちの少なくとも1つである、請求項29に記載のコンピュータシステム。
【請求項31】
前記ルーティング指示が、特定のVTOL機に特定の時間にわたって充電させるための指示を含む、請求項28に記載のコンピュータシステム。
【請求項32】
前記複数の輸送要求を決定することが、
乗客によってすでに要求されている輸送サービスの要求が満たされていないことを示す現在の需要データを取得すること、
所与の期間に受信される輸送サービスの要求の推定値を前記現在の需要データに追加すること、を含み、
前記複数の輸送要求が、前記追加された前記現在の需要データに基づいている、請求項28に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は、概して、航空輸送ネットワークに関し、特に、ハブ間のアドホック飛行(ad hoc flight)を含むネットワークの管理に関する。本出願は、2017年4月25日に出願された米国仮出願番号第62/489,992号の利益を主張し、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一般に都市内では多種多様な輸送形態が利用可能である。人々は、歩いたり、自転車に乗ったり、車を運転したり、公共交通機関を利用したり、ライドシェアリングサービスを利用したりすることができる。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、人口密度と土地需要の増加に伴い、多くの都市は交通渋滞とそれに付随する汚染の問題に益々直面している。したがって、多くの土地の使用を必要とすることなく、交通量を削減し得る方法で利用可能な輸送形態を拡大する必要がある。
【0004】
輸送ネットワーク管理システムは、複数のVTOL機のサービス目標を特定し、複数のVTOL機の位置を含むVTOLデータを取得する。VTOL機のうちの1つによって少なくとも部分的に提供される輸送サービスの需要の推定値が生成され、その需要の推定値とサービス目標とに基づいて複数のVTOL機のルーティングデータが決定される。ルーティングデータに基づくルーティング指示は、VTOL機のうちの少なくともサブセットに送信される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による輸送ネットワークに関連付けられたコンピューティング環境を示す高レベルブロック図。
図2図1に示された一実施形態による輸送ネットワーク管理システムを示す高レベルブロック図。
図3図2に示された一実施形態による需要推定サブシステムを示す高レベルブロック図。
図4図2に示された一実施形態による候補ハブ特定サブシステムを示す高レベルブロック図。
図5図2に示された一実施形態によるハブ最適化サブシステムを示す高レベルブロック図。
図6図2に示された一実施形態によるルート最適化サブシステムを示す高レベルブロック図。
図7】一実施形態による図1のコンピューティング環境での使用に適したコンピュータの例を示す高レベルブロック図。
図8】一実施形態による輸送ネットワークを計画および管理する方法を示すフローチャート。
図9】一実施形態による輸送ネットワーク内のルーティングを決定する方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面および以下の説明では、例示のみを目的として特定の実施形態について説明する。以下の説明から、当業者であれば、記載された原理から逸脱することなく構造および方法の代替実施形態を採用できることを容易に認識し得る。以下では、添付の図面にその例が示されたいくつかの実施形態を参照する。なお、実用上可能なものについて同様または類似の機能を示すために同様または類似の参照番号が図面で使用されている。
【0007】
[概要]
都市内での航空交通は地上交通と比べて制限されている。航空交通は都市内の航空交通を困難にする多くの要件を含み得る。例えば、航空機は、燃料やインフラ(例えば、滑走路)などの膨大なリソースを必要とし、相当な騒音を発生し、乗機や降機に相当な時間を必要とし得るものであり、いずれも、都市内または隣接する都市間でより多くの量の航空交通を達成する上での技術的課題を提示している。しかしながら、このような航空交通を提供することにより、完全に地上ベースとするアプローチよりも移動時間を短縮するとともに、交通渋滞に関連する問題を軽減することができる。
【0008】
垂直離着陸(VTOL)機は、都市および大都市圏の輸送ネットワーク内に航空輸送を組み込む機会を提供する。VTOL機は、これまでの航空機に比べて離陸および着陸のために必要なスペースをはるかに少なくする。また、バッテリ技術の発展により、電気VTOL機が技術的にも商業的にも実用可能になっている。電気VTOL機は、他の動力源を使用する航空機よりも静かにできるため、騒音が懸念され得る市街地での使用の可能性をさらに高める。
【0009】
計画段階では、VTOL機が離着陸する地理的領域内のハブの候補位置を特定するために需要の推定値が使用される。需要の推定値は、それらの候補位置を、いくつかの所定の目的(例えば、VTOLカバー範囲の最大化、移動時間短縮の最大化など)に最適な位置として選択された位置サブセットに絞り込むためにも使用され得る。そして、輸送中にVTOL機と人の流れをシミュレートすることにより航空輸送ネットワーク案に対する洞察を得て特定の目的をより満たすようにその構成をさらに改良することができる。
【0010】
ハブのセットが構築されてVTOL機群が動作中にあるとき、需要予測およびネットワーク最適化プロセスを使用して輸送サービスの提供を調整することができる。VTOL機群の使用を最適化することにより、地上での輸送に比べて乗客の時間を大幅に節約しながら総電力使用量や消耗を減らすことができる。
【0011】
一実施形態では、輸送ネットワーク管理システム110は、複数のVTOL機のサービス目標を特定し、複数のVTOL機の位置を含むVTOLデータを取得する。複数のVTOL機のうちの1つによって少なくとも部分的に提供される輸送サービスの需要が推定され、その推定された需要とサービス目標とに基づいて複数のVTOL機のルーティングデータが決定される。ルーティングデータに基づくルーティング指示は、VTOL機のうちの少なくともサブセットに送信される。
【0012】
[システム環境の例]
図1は、航空輸送ネットワークに関連付けられたコンピューティング環境100の一実施形態を示す。図1に示された実施形態において、コンピューティング環境100は、輸送ネットワーク管理システム110と、VTOL機120a,120bのセットと、ハブ管理システム130a,130bのセットと、クライアントデバイス140a,140b,140cのセットとを含み、これらはすべて、ネットワーク170を介して接続されている。エンティティのタイプについて複数の例が示されているが、対応する参照番号の後の文字でそれらが区別される場合、そのようなエンティティは、同じタイプの異なる2つのエンティティを区別して示す必要がなければ参照番号のみで参照される。他の実施形態では、コンピューティング環境100は、異なるおよび/または追加の要素を含む。また、本明細書に記載される方法とは異なる方法で機能が要素間で分散されてもよい。例えば、ハブ管理システム130は、輸送ネットワーク管理システム110にて記憶および更新されるハブに関する情報とともに省略されてもよい。
【0013】
輸送ネットワーク管理システム110は、輸送ネットワークの計画および設計を支援する。一実施形態において、輸送ネットワーク管理システム110は、輸送サービスの需要を推定し、その需要を満たすのに役立つVTOLハブの位置を提示し、ハブ間の乗客およびVTOL機の流れをシミュレートすることによりネットワーク計画を支援する。輸送ネットワーク管理システム110の実施形態については、図2図6を参照して以下でより詳細に説明する。
【0014】
輸送ネットワーク管理システム110は、VTOLハブのセットが動作可能になると、輸送サービスも調整し得る。輸送ネットワーク管理システム110は、輸送サービスを要求するユーザ(乗客)を特定のVTOL機120とペアにし得る。輸送ネットワーク管理システム110は、地上輸送との相互作用により交通サービスを調整し得る。例えば、輸送ネットワーク管理システム110は、ライドシェアリングサービスなどの既存の輸送サービスコーディネーターの拡張であり得る。
【0015】
一実施形態では、輸送ネットワーク管理システム110は、VTOL機120が関与する行程を、(1)乗客の最初の位置から第1のハブまでの区間、(2)VTOLの第1のハブから第2のハブまでの区間、および(3)第2のハブから乗客の目的地までの区間、の3つの区間を有するものとして扱う。第1および第3の区間は、徒歩でもよいし、ライドシェアリングサービスなどの地上での輸送によって提供されてもよい。輸送ネットワーク管理システム110は、現在のハブを出発する時間、出発後に飛行するハブ、途中の中間地点、出発前または到着時に充電に費やす時間、輸送する個人の身元などのルーティング情報をVTOL機120に提供する。輸送ネットワーク管理システム110は、特定のVTOL機120に対して、乗客なしでハブ間を飛行する(「回送」と呼ばれる)ように指示することで、群分布を改善することもできる。
【0016】
VTOL機120は、輸送ネットワーク内のハブ間を飛行する乗り物である。VTOL機120は、人間のパイロットによって(乗り物内でまたは地上で)制御されるか、または自律式であり得る。一実施形態では、VTOL機120は、水平推力および垂直推力のためにプロペラのセットを使用するバッテリ駆動型の航空機である。プロペラの構成により、VTOL機は垂直に(または実質的に垂直に)離着陸できる。便宜上、この実施形態を参照してコンピューティング環境100の様々なコンポーネントを説明する。しかしながら、ヘリコプター、垂直以外の角度で離陸する飛行機など、他のタイプの航空機を使用することもできる。VTOLという用語は、そのような乗り物を含むと解釈されるべきである。
【0017】
VTOL機120は、コンピューティング環境100の他の要素に(例えば、ネットワーク170を介して)ステータス情報を通信するコンピュータシステムを含み得る。このステータス情報は、現在の位置、現在のバッテリ充電、潜在的なコンポーネント障害などを含み得る。また、VTOL機120のコンピュータシステムは、ルーティング情報および気象情報などの情報を受信し得る。図1には2つのVTOL機120が示されているが、輸送ネットワークは任意の数のVTOL機を含むことができる。
【0018】
ハブ管理システム130は、輸送ネットワークのハブの機能を提供する。ハブは、VTOL機120の着陸(および離陸)が予定されている場所である。輸送ネットワーク内には、様々なタイプのハブが存在し得る。例えば、乗客のスループットが大きい中心位置にあるハブは、16台(またはそれ以上)のVTOL機120が同時に(またはほぼ同時に)離着陸するのに十分なインフラを含み得る。同様に、そのようなハブは、バッテリ駆動型のVTOL機120を再充電するための複数の充電ステーションを含み得る。対照的に、人口の少ない郊外に位置するハブは、単一のVTOL機120を対象とするインフラを含む場合や充電ステーションを有さない可能性がある。ハブ管理システム130は、ハブに配置されてもよいし、遠隔地に配置されてもよいし、ネットワーク170を介して接続されてもよい。後者の場合、単一のハブ管理システム130が複数のハブに対してサービスを提供し得る。
【0019】
一実施形態では、ハブ管理システム130は、ハブの機器の状態を監視し、輸送ネットワーク管理システム110に報告する。例えば、充電ステーションに障害がある場合、ハブ管理システム130は、VTOL機120の充電に使用できないことを自動的に報告して保守または交換を要求し得る。ハブ管理システム130は、ハブの機器を制御することもできる。例えば、一実施形態において、ハブは、離陸/着陸位置から乗機/降機位置に移動可能な1つまたは複数の発着台を含む。ハブ管理システム130は、この発着台の移動を(例えば、輸送ネットワーク管理システム110および/またはVTOL機120から受信した命令に応じて)制御し得る。
【0020】
クライアントデバイス140は、ユーザが輸送ネットワーク内で輸送サービスを手配することができるコンピューティングデバイスである。図1には3つのクライアントデバイス140が示されているが、実際にはさらに多くの(例えば、数千または数百万の)クライアントデバイスがネットワーク170に接続され得る。一実施形態では、クライアントデバイス140は、輸送サービスを手配するためのアプリケーションを実行するモバイルデバイス(例えば、スマートフォン、タブレットなど)である。ユーザがアプリケーション内でピックアップ場所と目的地を与えると、クライアントデバイス140は輸送サービスの要求を輸送ネットワーク管理システム110に送信する。あるいは、ユーザが目的地を与えると、そのユーザの現在の位置(例えば、クライアントデバイス140のGPSデータから決定される)に基づいてピックアップ位置が決定される。
【0021】
輸送ネットワーク管理システム115は、それらがどのように生成されるかによらず、輸送要求に対してサービスをどのように提供するかを決定することができる。一実施形態では、地上輸送と航空輸送との組み合わせによって輸送要求に対するサービスを提供することができる。輸送ネットワーク管理システム110は、その要求に対してどのようにサービスを提供するかについての情報(例えば、必要に応じて、ユーザがどの乗り物に乗るべきか、歩く場所についての指示など)をユーザのクライアントデバイス140に送信する。
【0022】
ネットワーク170は、ネットワーク化されたコンピューティング環境100の他の要素が通信する通信チャネルを提供する。ネットワーク170は、有線および/または無線通信システムの両方を使用したローカルエリアおよび/またはワイドエリアネットワークの任意の組み合わせを含み得る。一実施形態では、ネットワーク170は標準の通信技術および/またはプロトコルを使用する。例えば、ネットワーク170は、イーサネット(登録商標)、802.11、マイクロ波アクセス世界規模相互運用性(WiMAX)、3G、4G、符号分割多元接続(CDMA)、デジタル加入者線(DSL)などの技術を使用した通信リンクを含み得る。ネットワーク170を介した通信に使用されるネットワークプロトコルの例としては、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ハイパーテキストトランスポートプロトコル(HTTP)、シンプルメール転送プロトコル(SMTP)、ファイル転送プロトコル(FTP)などが挙げられる。ネットワーク170を介して交換されるデータは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)または拡張マークアップ言語(XML)などの任意の適切なフォーマットを使用して表され得る。いくつかの実施形態では、ネットワーク170の通信リンクのすべてまたはいくつかは、任意の適切な技術を使用して暗号化され得る。
【0023】
[輸送ネットワーク計画]
図2は、輸送ネットワーク管理システム110の一実施形態を示す。図2に示された実施形態において、輸送ネットワーク管理システム110は、需要推定サブシステム210、候補ハブ特定サブシステム220、ハブ最適化サブシステム230、およびルート最適化サブシステム240を含む。他の実施形態では、輸送ネットワーク管理システム110は、異なるおよび/または追加の要素を含む。また、本明細書に記載される方法とは異なる方法で機能が要素間で分散されてもよい。例えば、輸送ネットワーク管理システム110は、ネットワーク170に接続されるものとして示されているが、いくつかの実施形態では、輸送ネットワークの初期計画に使用され、図示された他のコンポーネントに接続される必要はない。
【0024】
需要推定サブシステム210は、地理的領域における輸送サービスの需要を予測する。その予測された需要は、輸送ネットワークの計画を支援するために、他のサブシステムへの入力として提供され得る。一実施形態では、需要推定サブシステム210は、最初に、地理的領域内の1つまたは複数の既存の地上輸送サービスの使用データに基づいて需要を予測する。入力は地理的領域(例えば、都市)および期間であり、予測される需要は、出発地、目的地、および時刻をそれぞれ含む仮想輸送要求の対応するセットであり得る。輸送ネットワークが動作可能となった後も計画が継続する場合(例えば、ハブの最初のセットが構築され、さらなるハブの追加を含む拡張が計画されている場合)、需要予測のモデルは、輸送ネットワークのハブ間の飛行を含む使用データに基づいて、そのようなデータが利用可能になると、時間とともに更新され得る。需要推定サブシステムの様々な実施形態については、図3を参照して以下でより詳細に説明する。
【0025】
候補ハブ特定サブシステム220は、地理的領域内のハブの候補位置のセットを特定する。一実施形態では、候補ハブ特定サブシステム220は、輸送ネットワーク設計者などのユーザがハブの候補位置を(例えば、住所、GPS座標を提供したり、地図上の位置をクリックしたりすることによって)手動で選択可能とするインタフェースを提供する。代替的または追加的に、候補ハブ特定サブシステム220は、予測需要(例えば、需要推定サブシステム210によって生成される予測需要)に基づいて候補位置を自動的に特定し得る。候補ハブ特定サブシステム220の様々な実施形態については、図4を参照して以下でより詳細に説明する。
【0026】
ハブ最適化サブシステム230は、ハブの候補位置のセットを取得し、予測需要に基づいてハブが実際に配置される位置のサブセットを選択する。一実施形態では、ハブ最適化サブシステム230は、輸送ネットワークを動作させるハブ位置の初期グループと、ネットワークのカバー範囲を改善するために後で追加される1つまたは複数の追加グループを特定する。また、ハブ最適化サブシステム230は、各ハブのタイプ(例えば、着陸台の数、充電装置の数、VTOL機格納庫の数などを示す)を推奨し得る。ハブ最適化サブシステム230の様々な実施形態については、図5を参照して以下でより詳細に説明する。
【0027】
ハブ最適化サブシステム230からの出力はルート最適化サブシステム240に供給され得る。ハブ最適化サブシステム230により特定されたハブによって提供されるカバー範囲は、輸送ネットワークのスループットの上限を提供する。言い換えれば、カバー範囲とは、すべての適格な輸送要求がVTOL機120によってサービス提供されると仮定して、選択された位置にハブを配置することによって達成可能な最大スループットである。しかしながら、VTOL機120が特定の輸送要求に対応できるかどうかを考慮しないため、この上限が実現されない場合がある。ルート最適化サブシステム240は、輸送ネットワーク内のVTOL機120および乗客の流れをモデル化することで、VTOL機群を管理して最大スループットに近い値を実現するための方法を決定する。ルート最適化サブシステム240の様々な実施形態については、図6を参照して以下でより詳細に説明する。
【0028】
図3は、需要推定サブシステム210の一実施形態を示す。需要推定サブシステム210は、地理的領域内の輸送サービスの需要を予測する。図3に示された実施形態では、需要推定サブシステム210は、初期モデルモジュール310、需要予測モジュール320、モデル更新モジュール330、および需要データストア340を含む。他の実施形態では、需要推定サブシステム210は、異なるおよび/または追加の要素を含む。また、本明細書に記載される方法とは異なる方法で機能が要素間で分散されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、輸送ネットワークの計画中に需要推定サブシステム210を使用して初期需要モデルが生成され、モデル更新モジュール330が省略されてもよい。
【0029】
初期モデルモジュール310は、地理的領域内のVTOLサービスに対する需要を予測するモデルを生成する。モデルは、VTOL需要の代替として地上輸送を使用した(例えば、ライドシェアリングサービスを介した)地理的領域内での長距離輸送サービスの要求を含む履歴交通データを使用して構築され得る。履歴交通データは複数のソースから収集され得る。一実施形態では、要求は、出発地と目的地との間の半正矢(Haversine)距離が20~100マイル(約32.2~160.9km)の間の長距離と見なされる。初期モデルモジュール310は、出発地または目的地のいずれかが所定の地点(例えば、地理的領域の中心点)から所与の距離(例えば、120マイル(約193.1km))内にある場合、そのような要求を地理的領域内のものと見なし得る。所定の地点および所与の距離はユーザによって選択することが可能である。あるいは、ユーザはジオフェンス(geofence)を定義し、出発地または目的地(またはその両方)がそのジオフェンス内にある要求のみが考慮される。他の実施形態では、どの要求を地理的領域内のものと見なすかを判断したり、VTOL機120でサービスを提供するための候補を判断したりする他の方法が使用され得る。
【0030】
別の実施形態では、初期モデルモジュール310は、履歴交通データに基づいた一つの推定を最初に行い、確率論モデル(例えば、二相確率論モデル)を使用して、複数の状況に対応するよりロバストなソリューションを生成する。各々それが起こる対応する確率を有する2つ以上の状況のリストが定義される。最初の段階では、ハブ位置のセットが選択される(例えば、図4および図5を参照して以下で説明する)。次いで、初期モデルモジュール310は、異なる状況および対応する確率を考慮して、予測された需要に対するサービスの提供をシミュレートする。したがって、輸送ネットワークが動作しているとき、需要推定サブシステム210は、現在の需要データを分析し、それを様々な状況と比較して、発生しそうな状況を特定することができる。次いで、需要推定サブシステム210は、特定された状況に基づいて将来の需要の新たな予測または更新された予測を生成し得る。また、モデルは、結果の悪い認識をより受け入れ易くなるように改良することができる。例えば、輸送ネットワークの一つの構成選択により、平均してすべての状況でVTOL120がより多くの輸送要求に対するサービスを提供するものとなり得るが、1つの低確率の状況では、VTOLによってサービス提供される要求の数が非常に少なくなる。すべての状況でVTOL120によってサービス提供される要求の平均数が少ないがサービスレベルが平均を大幅に下回る状況がない第2の構成を選択することが望ましいことがある。
【0031】
需要予測モジュール320は、モデルを適用してある期間中の地理的領域におけるVTOLサービスの需要を予測する。一実施形態では、ユーザは、予測が望まれる開始時間と終了時間を選択する。モデルへの入力は、地理的領域の現在の人口、地理的領域の予想される人口増加、社会経済学、企業およびその他のエンティティの場所(例えば、輸送要求は、空港、バー、会場、大学キャンパスなどの間でより頻繁に要求され得る)、および地理的領域内の他の輸送手段のコスト、利用性、期間に関する情報を含む。輸送ネットワークがすでに動作している場合、入力はさらに、その期間について受信している輸送サービスの要求、および/または輸送サービスの過去の需要に関する情報も含み得る。需要予測モジュール320は、機械学習技術を適用して、現在の入力(例えば、時刻、曜日、日付、天気、特別なイベント、その期間について受信済みの輸送サービスの要求の数および分布、計画的な停止または他の輸送モードの制限など)が将来の需要にどのようにマッピングされ得るかを学習することができる。
【0032】
上述したように、モデルからの出力はVTOL機120で少なくとも部分的にサービス提供される候補としての仮想輸送要求のセットであり、各要求は、出発地、目的地、および時刻を含む。要求に対するサービス提供を地上輸送のみで行うよりも総移動時間を閾値(例えば、40%)だけ短縮することができる場合、その要求はVTOL機120によるサービス提供の対象と見なすことができる。一実施形態では、需要推定モジュール320は、将来の時間枠(例えば、次の1時間、次の4時間、翌日など)の需要を定期的(例えば、毎分、5分毎など)に推定する。
【0033】
モデル更新モジュール330は、新しいデータが利用可能になると、需要を予測するために使用されるモデルを更新する。一実施形態では、航空輸送ネットワークが動作可能になると、モデル更新モジュール330は、地上ベースのサービスから得られた履歴交通データを、VTOL機120によって実際にサービス提供された要求から得られた交通データと組み合わせる。VTOLサービスデータは、プロキシではなく実際のVTOL需要に関するものであることを反映するために、履歴データよりも大きく重み付けされ得る。例えば、輸送ネットワーク管理システム110は、VTOL機の利用によりもたらされるよりも短い移動時間によって、乗客に対して長距離移動の魅力を高めることができ、これにより、長距離にわたる輸送サービスの要求の増加を見込むことができる。
【0034】
需要データストア340は、需要データを記憶するように構成された1つまたは複数のコンピュータ可読媒体である。なお、需要推定サブシステム210内の単一のエンティティとして示されているが、需要データストア340は複数のコンピューティングデバイスに分散していてもよい。例えば、需要データストア340は、需要推定サブシステム210がネットワーク170を介してリモートでアクセスする分散データベースであってもよい。一実施形態では、需要データストア340は、初期モデルを構築するために使用される履歴需要データ、およびモデルを更新するために使用され得る実際のVTOLサービスを記述したデータを記憶する。また、需要データストア340は、モデル自体を記憶してもよい。いくつかの実施形態では、輸送ネットワーク管理システム110は複数の地理的エリアにサービスを提供し、需要データストア340は、各地理的エリアについて異なるモデルを記憶する。また、各モデルの複数のバージョンが(例えば、更新されたモデルの精度が低いことが判明した場合に、需要推定サブシステム210が以前のバージョンに戻すようにするために)記憶されてもよい。
【0035】
図4は、候補ハブ特定サブシステム220の一実施形態を示す。候補ハブ特定サブシステム220は、VTOL機120が離着陸可能なハブの候補位置を特定する。図4に示された実施形態において、候補ハブ特定サブシステム220は、パラメータ選択モジュール410、候補選択モジュール420、候補視覚化モジュール430、および候補ハブストア440を含む。他の実施形態では、候補ハブ特定サブシステム220は、異なるおよび/または追加の要素を含む。また、本明細書に記載される方法とは異なる方法で機能が要素間で分散されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、候補視覚化モジュール430および対応する機能が省略されてもよい。
【0036】
パラメータ選択モジュール410は、ハブの候補位置を特定する際に使用されるパラメータを選択するためのユーザインタフェースを提供する。一実施形態では、パラメータは、特定する候補位置の総数、候補とすべき位置(例えば、GPS座標を提供するなどによって)、考慮できない位置(例えば、除外エリアの周りのジオフェンスを定義するなどによって)を含む。あるいは、パラメータのうちの1つ以上が予め決定されてもよい。例えば、候補ハブの数は一定値(例えば、100箇所)に制限されてもよい。
【0037】
候補選択モジュール420は、推定された需要(例えば、需要推定サブシステム210によって生成される)および選択されたパラメータに基づいて、ハブの候補位置のセットを特定する。一実施形態では、候補選択モジュール420は、需要推定サブシステム210によって生成された仮想輸送要求の出発地および目的地にk平均クラスタリングアルゴリズムを適用する。このアルゴリズムでは、希望する候補位置の総数にkが設定され得るか、またはユーザが指定した候補位置の数よりも少ない総数が含まれる必要がある。候補選択モジュール420は、各クラスタの重心をハブの候補位置として特定する。他の実施形態では、推定された需要に基づいて候補位置を特定するために他のアプローチが使用されてもよい。
【0038】
候補視覚化モジュール430(含まれる場合)は候補位置をユーザに提示する。一実施形態では、候補視覚化モジュールは、候補位置が(例えば、黒丸などで)オーバーレイされた地理的領域の地図を表示する。候補視覚化モジュール430により、ユーザは、考慮すべきさらなる位置を追加したり、候補選択モジュール420によって生成された候補位置を削除したり、および/または候補の位置を変更したりすることができる。このような視覚化は、ユーザがパラメータを修正し、候補位置を特定するプロセスを再実行するのにも役立つものとなり得る。
【0039】
候補ハブストア440は、ハブの候補位置を記憶するように構成された1つまたは複数のコンピュータ可読媒体である。また、候補ハブストア440は、推定需要データなど、候補ハブ特定サブシステム220で使用されるデータのローカルコピーを記憶し得る。なお、候補ハブ特定サブシステム220内の単一のエンティティとして示されているが、候補ハブストア440は複数のコンピューティングデバイスに分散していてもよい。
【0040】
図5は、ハブ最適化サブシステム230の一実施形態を示す。ハブ最適化サブシステム230は、ハブを構築するために、どのハブの候補位置を選択するかを支援する。図5に示された実施形態では、ハブ最適化サブシステム230は、パラメータ選択モジュール510、ハブ選択モジュール520、ハブ分類モジュール530、ハブ視覚化モジュール540、およびハブストア550を含む。他の実施形態では、ハブ最適化サブシステム230は、異なるおよび/または追加の要素を含む。また、本明細書に記載される方法とは異なる方法で機能が要素間で分散されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ハブ視覚化モジュール540および対応する機能が省略されてもよい。
【0041】
候補ハブ特定サブシステム220における対応するモジュールと同様に、パラメータ選択モジュール510は、実際のハブを構築するためにどの候補位置を選択すべきかを決定する際に使用されるパラメータを選択するためのユーザインタフェースを提供する。一実施形態では、ユーザは、ハブによってその要求がカバーされる乗客の数を最大化すること、または、VTOL機120を使用して総節約時間を最大化すること、の2つの目的から選択し得る。ユーザは、選択すべき一定数(例えば、25箇所)のハブ位置を選択してもよいし、あるいは、この数は最適化目標によって決定されるようにしてもよい。同様に、ユーザは、含まれるべき様々なタイプによるハブの数(または範囲)を特定することができる(例えば、16台のVTOL機120と充電設備と保守サービスの機能を備えた5箇所の大型ハブ;4台のVTOL機と充電設備の機能を備えた10箇所の中型ハブ;1台のVTOL機を備えた10箇所の小型ハブ)。また、パラメータ選択モジュール510は、異なる目的を有し得る複数の構築段階をユーザが特定することを可能にし得る。例えば、第1段階はサービスを受ける乗客の数を最大化する目的で25箇所のハブに制限され、第2段階は節約時間を最大化する目的で別の15箇所のハブを構築し得る。他の実施形態では、異なる目的または目的の組み合わせが設定されてもよい。
【0042】
また、パラメータ選択モジュール510は、輸送ネットワークに関する他のパラメータをユーザが設定することを可能にし得る。例えば、一実施形態では、ユーザは、ハブ間の最小距離(例えば、半正矢距離)、VTOL機120が充電せずに移動可能な最大距離、VTOL機のバッテリの充電率、バッテリを交換可能かどうか(および交換にかかる時間)、VTOL機の最大対気速度、離陸および着陸にかかる時間、乗客を乗せたり降ろしたりするのにかかる時間、要求をVTOLによるサービス対象とみなすための閾値節約時間、VTOL機が一度に運ぶことができる乗客の数、外出禁止(curfew)時間(例えば、VTOL機の飛行が許可されていない夜間)など、を設定することができる。これらのパラメータの一部またはすべてが予め設定されて、ユーザによる変更が不可とされてもよい。いくつかの実施形態では、輸送ネットワークは複数のタイプのVTOL機120を含むことができ、ユーザは各タイプのパラメータを提供することができる。あるいは、ユーザはリストから(例えば、ドロップダウンメニューで)VTOL機120の1つまたは複数のタイプを選択するだけでもよく、パラメータ選択モジュール510がデータストアから対応する情報(最大対気速度、充電無しによる最大距離、運べる乗客の数)を取得してもよい。
【0043】
ハブ選択モジュール520は、候補位置のサブセットを推奨位置として選択してハブを構築する。様々な実施形態において、ハブ選択モジュール520は、輸送サービスの仮想要求のセットを含む予測需要データを(例えば、需要データストア340から)取得する。各仮想要求には出発地と目的地が含まれる。ハブ選択モジュール520は、提供されたパラメータのすべてを満たし、かつ選択された目的を最もよく満たす候補ハブのサブセットを特定する。
【0044】
一実施形態では、候補ハブの所与のサブセットについて、ハブ選択モジュール520は各要求に対するサービス提供方法を決定する。要求は、地上での(例えば、ライドシェアリングサービスを使用した)単一の区間によってサービス提供されるか、または3つの区間のセットによってサービス提供され、その3つの区間のうちの中間の区間がVTOL機120によってサービス提供される。第1区間および第3区間は地上ベースであり、徒歩区間であり得るかまたは地上輸送によりサービス提供され得る。所与の要求について、その要求に対するサービスの提供を地上輸送のみで行うよりも結果的に達成される時間節約が閾値(例えば、40%)を超える場合、その要求はVTOL機120によるサービス提供の候補となり得る。VTOLサービス区間に要する時間は、半正矢距離に一定のスケーリング係数(例えば、1.42など)を掛けて区間距離を取得し、典型的な対気速度(例えば、1時間あたり170マイル(約273.6km))を仮定することによって推定され得る。要求に対するサービス提供がVTOL機120によって行われるとき、第1区間および第3区間は、それらが閾値距離未満である場合(例えば、半正矢距離が500メートル未満である場合)には徒歩区間の候補と見なされ得る。
【0045】
ハブ選択モジュール520は、ハブのサブセットの選択をバイナリ最適化問題として扱い得る。例えば、それぞれ選択または非選択のいずれかとされる候補ハブのセットとしてHを定義するとともに、rでインデックス付けされてそれぞれ経路P(r)のセットを有する乗客のセットとしてRを定義する。経路は、VTOLサービス区間を含む行程である。これに基づいて、さらに3つの変数が定義され得る。
1)各候補ハブh∈Hのzは、そのハブが選択されているのか(z=1)それとも選択されていないのか(z=0)を示す。
2)xr,pは、乗客rがP(r)の経路pに割り当てられている場合は1、それ以外の場合は0に等しいバイナリ変数である。
3)yは、選択されたハブに依存してすべての要求がカバーされない場合があることを考慮するためのものであり、乗客rにVTOL経路が割り当てられていない場合は1、それ以外の場合は0に等しい別のバイナリ変数である。
【0046】
乗客rを経路pに割り当てることで幾らかの期間の節約τr,pが生じる。定式化すると、これは地上輸送に比べて数分の短縮であり、以下のように測定される。
【0047】
【数1】
ここで、T(i,j)は位置iからjへの推定走行時間であり、VTOL(i,j)はハブiからハブjまでのVTOL機120の推定所要時間であり、αは乗機(load)時間、離陸時間、着陸時間、降機(unload)時間で構成されるVTOLサービス全行程に適用される一定値である。さらに、o(r)とd(r)は乗客rの出発地と目的地を表し、hdep(p)とharr(p)は経路pにおける出発地のハブと到着地のハブを表す。VTOL120による可能な限り多くの要求に対するサービス提供を促進するために、VTOLルートでカバーされない要求にはペナルティλが適用され得る。これにより、最適化問題について次式が得られる。
【0048】
【数2】
ここで、制約(1)は、時間の節約が大きい行程に乗客を割り当てることを優先し(第1項)、VTOL機120によってサービスされない要求にペナルティを課す(第2項)ことによって、ネットワーク内のすべての乗客の全体の期間節約を最大化しようとするものである。制約(2)は、すべての乗客をVTOL行程に割り当てるかまたは地上のままとする。制約(3)は、選択されたハブの数が最大許容数を超えないようにする。制約(4)は、選択されたサブセットに出発地のハブと到着地のハブとの両方が含まれる行程にのみ乗客を割り当てるようにする。なお、出発地(i)または目的地(j)のいずれかのハブが経路pに対して閉じられている場合、xr,pが強制的に0になる。制約(5)は、セットC内で接近しすぎているハブについて、これらのハブのうちの多くとも1つが選択されるようにする。これらの制約のセットが整数プログラム最適化ソルバによって解かれることにより、適用された制約を満たし選択された目的を達成する候補ハブのサブセットを特定することができる。全体の時間節約とVTOL機120の使用率とのバランスは、VTOL機によってサービス提供されない要求に適用されるペナルティの大きさを変更することにより(例えば、λの値を変更することによって)調整することができる。他の実施形態では、他の最適化プロセスが使用されてもよい。
【0049】
ハブ分類モジュール530は、ハブ選択モジュール520によって特定されたサブセット内のハブに推奨タイプを割り当てる。ハブ分類モジュール530は、VTOLサービス区間の出発地または目的地のいずれかとしてハブを含む行程に基づいて、選択された各ハブの予想される全体を定義し得る。スループットは、1時間毎や、1日毎などにサービス提供される要求の平均数である。あるいは、スループットは、所与の期間にサービス提供される要求の予想最大数(例えば、そのハブについて1日の最も忙しい時間に予想される要求数であって、この数はハブによって異なり得る)とすることができる。
【0050】
一実施形態では、ハブ分類モジュール530は、予想されるスループットに基づいて各ハブに推奨タイプを割り当てる。タイプは、均一性を提供して設計コストおよび構築コストを削減するように所定の設計のセットから選択され得る。例えば、小型、中型、大型のハブ設計が存在し、それぞれ1台、4台、16台のVTOL機120の離陸/着陸を同時に(またはほぼ同時に)処理する能力を有し得る。あるいは、ハブ分類モジュール530は、各ハブがそのハブで同時に(またはほぼ同時に)離陸/着陸できるようにする多数のVTOL機120を割り当て得る。いずれの場合も、分類化では将来の需要の成長予測が考慮され得る。
【0051】
また、ハブ分類モジュール530は、各ハブで利用可能なVTOL充電ステーションの数(ゼロを含む)を示し得る。一実施形態では、利用可能な充電設備はハブのタイプに関連付けられている。例えば、大型のハブは4つの充電ステーションを有し、中型のハブでは1つ、小型のハブでは0であり得る。代替的または追加的に、ハブ分類モジュール530は、充電ステーションが利用可能なハブと他のハブとの間の距離を考慮し得る。例えば、輸送ネットワークの端に位置する小型のハブ、すなわち他のハブからの離間距離が大きい小型のハブが、ほとんどの小型のハブには含まれない充電ステーションを含んでもよい。別の実施形態では、ハブの各タイプの数または割合がユーザによって(例えば、パラメータ選択モジュール510により)設定され、それに応じてハブ分類モジュール530はどのハブをどのタイプにするべきかを選択する。例えば、5つの大型のハブが必要であることをユーザが示す場合、パラメータ選択モジュール510は、サブセット内で最大のスループットを有する5つのハブをそれら大型のハブとして選択するなどのように選択し得る。
【0052】
ハブ視覚化モジュール540(含まれる場合)は、選択されたハブ位置をユーザに提示する。一実施形態において、ハブ視覚化モジュール540は、選択されたハブ位置のインジケータを地理的領域の地図上にオーバーレイする。各ハブのタイプは、インジケータのサイズ、色、形状などの変化によって示され得る。例えば、各ハブ位置は黒丸で示され、その丸のサイズはハブのタイプに対応し得る(例えば、大きい丸は大型のハブであるなど)。あるいは、ハブのタイプおよび/または追加情報(例えば、予想全体)がインジケータの隣に、またはユーザがそのインジケータを選択したときに(例えば、クリックすることによって)提示されてもよい。同様に、ハブが複数の段階で構築される場合に、各ハブがどの構築段階にあるかをインジケータのプロパティによって示してもよい(例えば、第1段階のハブを赤としつつ、第2段階のハブを青とするなど)。また、ハブ視覚化モジュール540は、選択されたハブ位置を変更するためのユーザインタフェースを提供してもよい。例えば、一実施形態では、ユーザは、ハブを追加、削除、または再配置することができ、各ハブのタイプや構築段階を変更することができる。
【0053】
ハブストア550は、ハブの位置および対応するデータ(例えば、タイプ、スループットなど)を記憶するように構成された1つまたは複数のコンピュータ可読媒体である。また、ハブストア550は、より効率的なデータ処理のために、候補ハブ位置および/または推定需要データのローカルコピーを記憶してもよい。なお、ハブ最適化サブシステム230内の単一のエンティティとして示されているが、ハブストア550は複数のコンピューティングデバイスに分散していてもよい。
【0054】
図6は、ルート最適化サブシステム240の一実施形態を示す。ルート最適化サブシステムは、輸送ネットワークを介したVTOL機120および乗客のルーティングを決定する。図6に示された実施形態において、ルート最適化サブシステム240は、パラメータ選択モジュール610、フローモデリングモジュール620、ルート視覚化モジュール630、およびルーティングデータストア640を含む。他の実施形態において、ルート最適化サブシステム240は、異なるおよび/または追加の要素を含む。また、本明細書に記載される方法とは異なる方法で機能が要素間で分散されてもよい。
【0055】
パラメータ選択モジュール610は(候補ハブ特定サブシステム220およびハブ最適化サブシステム230における対応するモジュールと同様に)輸送ネットワークのモデル化に使用される様々なパラメータを定義するためのユーザインタフェースを提供する。一実施形態では、定義可能なパラメータはVTOLパラメータおよび目的を含む。VTOLパラメータは、利用可能なVTOL機120の数、および複数のタイプが利用可能な場合にはそれらVTOL機のタイプを含み得る。各VTOLのタイプについて、VTOLパラメータは、移動中の速度、上昇時間、座席数、VTOL機が自律式かどうか、最大飛行範囲、巡航時のバッテリ消費率、離着陸時のバッテリ消費、バッテリ再充電率、ハブでバッテリを切り替え可能かどうか、切り替えに要する時間などを含み得る。運用中の輸送ネットワークに対してルーティングが(例えば、リアルタイムまたは実質的にリアルタイムで)実行されている状況では、パラメータ選択モジュール610は、VTOL120および/またはハブ管理システム130により利用可能なデータからパラメータの一部またはすべてを決定することができる。
【0056】
また、目的は、(1)輸送する人の数を最大化すること、(2)VTOL機120の使用を最大化すること(例えば、各VTOL機が地上で費やす時間を最小化しつつ、できるだけ少ないVTOL機を使用すること)、または(3)乗客の移動コスト(例えば、考えられる最小行程よりも長い行程についての1分あたりのペナルティ)や、VTOL使用コスト(例えば、使用率の低いVTOL区間のペナルティ)や、VTOL機の再配置コスト(例えば、他のハブへの再配置、あるいは着陸台から格納エリアなどのようにハブ内における再配置)などを含む全体の運用コストを最小化すること、であり得る。なお、他の目的やVTOLパラメータが使用されてもよい。
【0057】
フローモデリングモジュール620は、輸送ネットワーク内のVTOL機120および乗客の流れをモデル化し、選択された目的を考慮して効率を最大化するように試みる。様々な実施形態において、フローモデリングモジュール620は、時間を複数セグメントに離散化し(例えば、1分、5分など)、セグメント毎にVTOL120群の最適なまたは実質的に最適なルーティングを計算する。フローモデリングモジュール620は、結果として生じるマルチコモディティーネットワークフロー問題(乗客およびVTOL機120は両方ともモデル内のコモディティーである)を解決して、選択された目的を満たすために各VTOL機がどのようにルーティングされるべきかを決定する。
【0058】
一実施形態では、ネットワークフローモデルは以下のように定義される。
【0059】
【表1】
上記の定義を使用して、モデルは以下の制約によって定義され得る。
【0060】
【数3】
ネットワークフローモジュール620は、以下のような特定の目的を満たすようにモデルを解くことができる。
1.時間節約の最大化:
【0061】
【数4】
2.VTOL使用率の最大化:
【0062】
【数5】
3.総コスト(移動コスト、再配置コスト)の最小化:
【0063】
【数6】
ネットワークフローモジュール620によって使用されるモデルは、経路ベースのモデルとして以下のように定義することもできる。
【0064】
【数7】
その結果、以下の列あたりのコストが削減される。
【0065】
【数8】
したがって、ネットワークフローモジュール620は、負の重み付けおよび燃料制約を使用して最短経路を見付けることにより、輸送ネットワーク内でVTOL機120をどのようにルーティングするかを決定することができる。この実施形態では、グラウンドアークの重み付けは-αijν-γijであり、他のアークの重み付けは-αijνである。一実施形態では、ネットワークフローモジュール620は、VTOLおよび地上輸送の各モードを介して各輸送要求に対するサービス提供を行うことを考慮する。ネットワークフローモジュール620は、各要求に対するサービス提供を行うためにどの輸送モード(VTOLを含む)が使用される可能性が高いかを決定し得る。ネットワークフローモジュール620は、出発地、目的地、時間、利便性(例えば、入出時間)、人口統計などの要因に基づいて、各要求が各輸送モードによってサービス提供される確率を計算し得る。他の実施形態では、ルーティングを最適化するための異なるモデルが使用され得る。
【0066】
ルート視覚化モジュール630は、輸送ネットワーク内のVTOL機120および乗客の流れをモデル化した結果をユーザに提示する。一実施形態では、この結果は、群内のVTOL機120の数、VTOL使用率(例えば、VTOL区間での利用可能な座席が満たされた割合)、VTOL機によってサービス提供される要求についての平均の節約時間(例えば、地上のみの等価時間の割合として)、モデル化された期間内にVTOL機によってサービス提供される乗客の総数を含む、要約統計のセットとして提示される。他の実施形態では、要約統計は、異なるまたは追加の情報を含み得る。
【0067】
また、ルート視覚化モジュール630は、需要がハブによって時間とともにどのように変化したかを示すタイムラインを提示し得る。一実施形態では、ユーザが(例えば、タイムライン上の対応する時点をクリックすることにより)特定の時間を選択すると、ルート視覚化モジュール630は、その時点で飛行中の各VTOL機120の飛行経路を地理的領域の地図上にオーバーレイするなどによって、その時点の輸送ネットワークの状態を視覚化する。さらに、ユーザがハブを選択すると、ルート視覚化モジュール630は、例えば、発着するVTOL機120の数、ハブにおいてVTOL機への搭乗を待っている乗客の数、ハブで空きのある着陸台の数など、選択されたハブに関する情報を提示し得る。同様に、ユーザがVTOL飛行経路を選択すると、対応するVTOL機120および飛行経路に関する情報(例えば、特定のVTOL機の識別情報、現在サービスの提供を受けている乗客の識別情報、出発地と目的地のハブ、バッテリ残量、到着までの残り時間など)が表示され得る。
【0068】
ルート視覚化モジュール630によって提供される視覚化は、実際のインフラの構築が始まる前に、ユーザが輸送ネットワークのより深い理解を得て、潜在的な問題および改善を特定するのに役立ち得る。例えば、ユーザは、ハブが過密となっていること、または利用可能なVTOL機120の数を超えて需要が生じる可能性が高い時間帯のいずれかで、輸送ネットワーク内の潜在的な渋滞場所(choke point)を識別することができる。また、視覚化は、乗客が時間をどれだけ節約できるか、何人の乗客がサービスの提供を受けることができるかをユーザが理解するのに役立つものとなり、ひいては交通渋滞をどのように緩和できるかを推定するのに使用することができる。
【0069】
ルーティングデータストア640は、ルート最適化サブシステムによって使用および/または生成されたデータを記憶する。一実施形態では、ルーティングデータストア640は、フローモデリングモジュール620によって実行された各シミュレーションの結果を記憶する。したがって、ユーザは異なるパラメータを使用して複数のシミュレーションを実行し、後でその結果を比較することができる。ルーティングデータストア640は、ハブ最適化サブシステム230によって生成されたハブ位置や需要推定サブシステム210によって生成された需要データなど、輸送ネットワークをモデル化するために使用されるデータのローカルコピーを追加的または代替的に記憶し得る。
【0070】
[コンピューティングシステムアーキテクチャ]
図7は、コンピューティング環境100内での使用に適した例示的なコンピュータ700を示す高レベルのブロック図である。例示的なコンピュータ700は、チップセット704に結合された少なくとも1つのプロセッサ702を含む。チップセット704は、メモリコントローラハブ720と入出力(I/O)コントローラハブ722を含む。メモリ706およびグラフィックスアダプタ712はメモリコントローラハブ720に結合され、さらにディスプレイ718がグラフィックスアダプタ712に結合されている。ストレージデバイス708、キーボード710、ポインティングデバイス714、およびネットワークアダプタ716は、I/Oコントローラハブ722に結合されている。コンピュータ700の他の実施形態は、異なるアーキテクチャを有する。
【0071】
図7に示された実施形態では、ストレージデバイス708は、ハードドライブ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD、またはソリッドステートメモリデバイスなどの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。メモリ706は、プロセッサ702によって使用される命令およびデータを保持する。ポインティングデバイス714は、マウス、トラックボール、タッチスクリーン、または他のタイプのポインティングデバイスであり、コンピュータシステム700にデータを入力するためにキーボード710(スクリーンキーボードでもよい)と組み合わせて使用される。グラフィックスアダプタ712は、ディスプレイ718上に画像および他の情報を表示する。ネットワークアダプタ716は、コンピュータシステム700を1つまたは複数のコンピュータネットワークに結合する。
【0072】
図1図6のエンティティによって使用されるコンピュータのタイプは、実施形態およびそのエンティティが必要とする処理能力に応じて変更することができる。例えば、輸送サービス管理システム110は、記載された機能を提供するべく協働する複数のコンピュータ700を含み得る。さらに、コンピュータ700は、キーボード710、グラフィックスアダプタ712、およびディスプレイ718などの上記のコンポーネントのいくつかを省略することができる。
【0073】
[方法例]
図8は、航空輸送ネットワークを計画する方法800の一実施形態を示す。図8のステップは、方法800を実行する輸送ネットワーク管理システム110の観点で示されている。しかしながら、ステップの一部またはすべてが他のエンティティまたはコンポーネントによって実行されてもよい。また、いくつかの実施形態では、複数ステップを並行して実行してもよいし、異なる順序でステップを実行してもよいし、あるいは異なるステップを実行してもよい。
【0074】
図8に示された実施形態において、方法800は、輸送ネットワーク管理システム110が長距離(例えば、20~120マイル(約32.2~193.1km))の輸送サービスの需要を推定する(810)ことから始まる。推定された需要は仮想輸送要求のセットであり、各仮想輸送要求は、出発地、目的地、および要求時間を含む。上述したように、仮想輸送要求は、地上輸送を使用した長距離輸送サービスの要求履歴に基づき得る。一実施形態では、要求履歴が仮想要求として使用される。別の実施形態では、予想される人口増加、VTOL機120が利用可能になったときの予想される需要の増加などの要因に適用される調整を用いて、要求履歴と同様の分布で仮想輸送要求のセットが生成される。
【0075】
輸送ネットワーク管理システム110は、推定された需要に基づいてハブの候補位置を特定する(820)。上述したように、輸送ネットワーク管理システム110は、輸送要求の出発地と目的地を(例えば、k平均クラスタリングを使用して)クラスタリングし、各クラスタの重心を候補位置として特定する(820)。一実施形態では、輸送ネットワーク管理システム110は、100箇所のハブ候補位置を特定する(820)。別の実施形態では、特定するハブの数は、ユーザによって設定可能である。また、ユーザは、それら候補位置のうちの1つ以上を手動で選択または調整することができる。
【0076】
輸送ネットワーク管理システム110は、候補位置のサブセットをハブの位置として選択する(830)。上述したように、輸送ネットワーク管理システム110は、1つまたは複数の目的、例えば、VTOLカバー範囲を最大化する、ネットワーク全体で移動時間の短縮を最大化する、あるいは、予め定義された費用関数を(例えば、VTOLカバー範囲と移動時間短縮とのバランスを取るように)最小化するなどの目的を達成するようにハブの位置を選択する(830)。一実施形態では、選択(830)された位置は、異なる時間において構築されるように異なる段階(phase)に分割されることで、異なる目的を達成するのに役立ち得る。例えば、最初の25箇所のハブはVTOLカバー範囲を最大化することを目的とする一方、次の10箇所のハブは移動時間の節約を最大化することを目的とし得る。ハブおよび段階の数はユーザによって予め設定されてもよいし、または設定可能とされてもよい。また、ハブは、1つまたは複数のタイプ(例えば、各々異なる数の着陸台や充電ステーションなどを備える大型、中型、小型であるなど)で構成され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のハブについて選択された位置および/またはタイプをユーザが手動で設定または調整してもよい。
【0077】
輸送ネットワーク管理システム110は、選択された情報に基づいてルート最適化統計を計算する(840)。一実施形態では、ユーザは、VTOL機120の数やVTOL機に関する情報(例えば、座席の数、巡航速度、離着陸に要する時間、バッテリ容量など)などの追加のパラメータを定義する。輸送ネットワーク計画管理110は、仮想需要を満たすためのVTOL機120の最適なルーティングを決定し、対応するルーティング情報を計算する(840)。ルート最適化統計には、VTOL機120によってサービス提供される要求の割合、地上輸送のみを使用する場合と比べた総節約時間、サービス提供を受ける合計人数、飛行中のVTOL機の平均空席数などが含まれ得る。他の実施形態では、異なるまたは追加の情報がルート最適化統計に含まれてもよい。
【0078】
輸送ネットワーク管理システム110は、輸送ネットワークの視覚化をユーザに提示する(850)。一実施形態では、視覚化は、対応する位置においてハブが幾何学的形状(例えば、丸)としてオーバーレイされた、輸送ネットワークによりサービス提供される地理的領域の地図を含む。また、視覚化は、ルート最適化統計を(例えば、テーブルで)含み得る。追加的または代替的に、視覚化は、上述したように、需要が時間とともにどのように変化するかを示すタイムラインを含んだり、VTOL飛行経路の一部またはすべてを地図上にオーバーレイしたり、ハブおよびVTOL機120に関する追加情報へのアクセスを(例えば、視覚化による対応するグラフィックス表現上でのクリックによって)提供したりする。
【0079】
図9は、輸送ネットワーク内でVTOL120群のルーティングを決定する方法900の一実施形態を示す。図9のステップは、方法900を実行する輸送ネットワーク管理システム110の観点で示されている。しかしながら、ステップの一部またはすべてが他のエンティティまたはコンポーネントによって実行されてもよい。また、いくつかの実施形態では、複数ステップを並行して実行してもよいし、異なる順序でステップを実行してもよいし、あるいは異なるステップを実行してもよい。
【0080】
図9は、方法900の単一の反復を示している。アクティブ輸送ネットワークの一実施形態では、方法900は、定期的に(例えば、1分毎、5分毎などに)繰り返されることで、現在の状況に基づいてVTOL120群のルーティングデータを更新する。これにより、状況が突然変化する場合でも、VTOL群を効率的に使用可能となり得る。例えば、別の輸送モードでの予期しない障害(例えば、事故による地下鉄システムの停止)により、VTOL120によってサービス提供され得る輸送サービスの要求が突然急増して、VTOL群の最適ルーティングを変化させる可能性がある。したがって、方法900を反復することは、乗客によって節約される時間の量を増やしたり、使用される総電力量を減らしたり、VTOL120の消耗を減らしたりするなどの利点をもたらし得る。
【0081】
図9に示された実施形態において、方法900は、パラメータ選択モジュール610が現在のVTOLおよびルーティングデータを取得する(910)ことにより始まる。VTOLデータは、各VTOL120に関する情報であり、現在の位置、VTOLが地上にあるか飛行中にあるか、現在のバッテリレベル、最大バッテリレベルなどを含み得る。VTOLデータは、VTOL120から(例えば、無線接続を介して)受信され得るか、または最新の既知の値(例えば、VTOL120が最後に充電接続されたときにハブ管理システム130によって報告される)とルーティングデータとに基づいて推定され得る(例えば、飛行中にあるVTOL120は現在位置の推定のために典型的な対気速度で指示されたルートに沿って移動するものと仮定され得る)。ルーティングデータは、各VTOL120に割り当てられたルートに関する情報である。ルートには、目的地、途中で訪れる地点、出発時間、飛行速度、出発前または到着後に充電に費やす時間、運ぶ乗客の数(および識別情報)などの情報が含まれ得る。ルーティングデータは、データストア(例えば、ルーティングデータストア640)から取得(910)されてもよい。
【0082】
また、パラメータ選択モジュール610は、現在の需要データを取得する(920)。現在の需要データには、ユーザによって既に送信されている輸送サービスの要求が含まれる。一実施形態では、現在の需要データは、ユーザから受信した(例えば、クライアントデバイス140から提示された)輸送要求のセットに設定され、各輸送要求には出発地、目的地、および要求時間が含まれる。
【0083】
パラメータ選択モジュール610は、現在の需要データに将来の需要の推定値を追加する(930)。将来の需要の推定値は、図3を参照して上述した需要推定サブシステムを使用して生成され得る。現在の需要データは、需要推定サブシステム210によって使用されるモデルへの入力として使用され得る。例えば、現在の需要が所与の日時における通常よりも高い場合、これは需要が引き続き通常を上回る可能性があることを示し得る。一実施形態では、将来の需要の推定値は、輸送サービスに対する仮想要求のセットであり、各仮想要求は、所与の期間(例えば、今後15分、今後1時間、今後4時間など)内における出発地、目的地、および要求時間を含む。将来の需要の推定値を現在の需要データと組み合わせることで、輸送要求の単一のセット(実際の要求と仮想/予想される要求との両方)を生成することができる。したがって、需要データは、すでに受信されている輸送要求と将来の輸送要求の予測との両方を含む期間における需要の推定値を表し得る。
【0084】
ルート最適化サブシステム240は、需要データに基づいてルーティングデータを更新する(940)。一実施形態では、フローモデリングモジュール620は、需要データとともにVTOLデータおよびルーティングデータに基づいて最適なルーティングを決定する。この最適ルーティングの決定処理は、図6を参照して上述した最適化アプローチを使用して行われ得る。ルート最適化サブシステム240への入力は、取得(910)された VTOLデータ、需要データ、気象データなどを含み得る。ルート最適化サブシステム240は、更新されたルーティングデータに基づいて、VTOL120の一部またはすべてにルーティング指示を送信し得る。例えば、この指示は、VTOL120に対して、特定のハブへの飛行、指定された時間におけるそのバッテリの充電、指定された乗客のピックアップ、および輸送ネットワークでのVTOLの使用を最適化する他の適切なアクティビティの実行を指示する。
【0085】
[追加の考慮事項]
上記した説明のいくつかの部分は、アルゴリズムのプロセスまたは動作の観点で実施形態を説明している。これらのアルゴリズムの説明や表現は、データ処理技術の当業者によって一般的に使用されており、それら当業者の作業の内容を他の当業者に効果的に伝えるものである。これらの動作は、機能的、計算的、または論理的に説明されているが、プロセッサまたは同等の電気回路によって実行される命令やマイクロコードなどを含むコンピュータプログラムによって実装されるものと理解される。さらには、一般性を損なうことなく、便宜上これらの機能的動作の構成をモジュールと呼ぶ場合もある。
【0086】
本明細書で使用される「一実施形態」または「実施形態」とは、その実施形態に関連して説明される特定の要素、特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」という表現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0087】
いくつかの実施形態は、「結合される」や「接続される」という表現をそれらの派生語とともに使用して説明され得る。これらの用語は同義語として意図されていないことを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態は、2つ以上の要素が互いに直接物理的にまたは電気的に接触していることを示すために「接続される」という用語を用いて説明され得る。別の例では、いくつかの実施形態は、2つ以上の要素が直接物理的にまたは電気的に接触していることを示すために「結合される」という用語を用いて説明され得る。しかしながら、「結合される」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないものの依然として互いに協働または相互作用することを意味する場合もある。実施形態は本明細書の文脈に限定されない。
【0088】
本明細書で使用される「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」という用語、またはそれら用語のその他の任意の変形語は、非排他的包含を対象とすることが意図される。例えば、要素のリストを備えるプロセス、方法、項目、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的にはリストされていないまたはそのようなプロセス、方法、項目、または装置に内在するその他の要素も含み得る。さらに、明示的にそうでないことが述べられていない限り、「または」は、包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指すものではない。例えば、条件AまたはBは、Aが真(または存在)でありBが偽(または存在しない)であること、Aが偽(または存在しない)でありBが真(または存在)であること、ならびに、AおよびBの両方が真(または存在)であること、のうちのいずれか一つによって満たされる。
【0089】
また、「1つ」の使用は、実施形態の要素および構成要素を説明するために使用される。これは、単に便宜上、本開示の一般的な意味を与えるために使用される。本明細書は、ある1つのものまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、特にそうでないことを意味することが明らかでない限り、単数には複数も含まれる。
【0090】
本開示を読むことで、当業者は、輸送ネットワークを計画し、そのネットワーク内で輸送サービスを調整するためのシステムおよびプロセスのさらなる追加の代替構造および機能設計を理解し得る。したがって、特定の実施形態および用途について図示し説明したが、説明される主題は、本明細書に開示されている正確な構造および構成要素に限定されず、開示されている方法および装置の配置、動作、および詳細において、当業者には明らかな様々な修正、変更、および変形がなされ得ることを理解すべきである。保護の範囲は、特許請求の範囲の請求項によってのみ制限されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9