(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】水周り装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20220721BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20220721BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20220721BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
E03C1/05
A47K1/00 J
E03C1/042 C
E03C1/042 B
G01S7/03 240
(21)【出願番号】P 2017186166
(22)【出願日】2017-09-27
【審査請求日】2020-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】松本 健志
(72)【発明者】
【氏名】小林 基紀
(72)【発明者】
【氏名】正平 裕也
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 三典
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 陽介
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-248668(JP,A)
【文献】特開2017-166154(JP,A)
【文献】特開2001-348923(JP,A)
【文献】特開2017-066693(JP,A)
【文献】特開2005-274406(JP,A)
【文献】特開2006-022538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
A47K 1/00-1/14
G01S 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方側が開口しているボウル部と、
前記ボウル部に水を吐出する吐水口を有する吐水部と、
所定の領域に向けて電波を放射すると共に、当該電波の反射波を検出するセンサ部と、
前記センサ部の検出結果に基づいて、被検知体の状態を判別する判別部と、
前記ボウル部の上方において、上面視で前記ボウル部の一部を覆うように延在する上方張出部と、
を備え、
前記センサ部は、前記上方張出部に設けられており、
前記所定の領域は、前記センサ部に対して斜め下方側に位置する領域であり、
前記センサ部から放射される電波の少なくとも一部は、前記ボウル部の前端よりも前方にまで到達
し、
前記ボウル部の近傍には、前記ボウル部より上方の高さまで立ち上がる壁が設けられており、
前記上方張出部は、前記壁から前記ボウル部の側へと片持ち梁状に突出しており、
前記センサ部は、1つまたは複数のアンテナ要素が配置された平面であるアンテナ面を有しており、
前記アンテナ面は、斜め下方側を向くように配置されており、
前記上方張出部は、略直方体状であり、前記アンテナ面を底面として当該アンテナ面に垂直に斜め下方側へと延びる仮想的な柱状領域が当該上方張出部の1つの面のみを貫く、という位置関係で配置されている
ことを特徴とする水周り装置。
【請求項2】
前記上方張出部の上面は、水平面となっており、
前記上方張出部の底面の少なくとも突出端側の一部は、突出端に向かって薄くなるような傾斜面となっている
ことを特徴とする請求項
1に記載の水周り装置。
【請求項3】
上方側が開口しているボウル部と、
前記ボウル部に水を吐出する吐水口を有する吐水部と、
所定の領域に向けて電波を放射すると共に、当該電波の反射波を検出するセンサ部と、
前記センサ部の検出結果に基づいて、被検知体の状態を判別する判別部と、
前記ボウル部の上方において、上面視で前記ボウル部の一部を覆うように延在する上方張出部と、
を備え、
前記センサ部は、前記上方張出部に設けられており、
前記所定の領域は、前記センサ部に対して斜め下方側に位置する領域であり、
前記上方張出部は、水平方向に延在する板材を内蔵しており、
前記センサ部は、前記板材の下方側に配置されている
ことを特徴とする水周り装置。
【請求項4】
前記吐水口または吐水部は、前記上方張出部に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載の水周り装置。
【請求項5】
前記センサ部は、1つまたは複数のアンテナ要素が配置された平面であるアンテナ面を有しており、
前記吐水部を制御する操作部が、前記上方張出部に設けられており、
前記操作部は、前記アンテナ面を底面として当該アンテナ面に垂直に斜め下方側へと延びる仮想的な柱状領域が当該操作部と重複しない、という位置関係で配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載の水周り装置。
【請求項6】
上方側が開口しているボウル部と、
前記ボウル部に水を吐出する吐水口を有する吐水部と、
所定の領域に向けて電波を放射すると共に、当該電波の反射波を検出するセンサ部と、
前記センサ部の検出結果に基づいて、被検知体の状態を判別する判別部と、
前記ボウル部の上方において、上面視で前記ボウル部の一部を覆うように延在する上方張出部と、
を備え、
前記センサ部は、前記上方張出部に設けられており、
前記所定の領域は、前記センサ部に対して斜め下方側に位置する領域であり、
前記センサ部から放射される電波の少なくとも一部は、前記ボウル部の前端よりも前方にまで到達し、
前記センサ部は、1つまたは複数のアンテナ要素が配置された平面であるアンテナ面を有しており、
前記吐水部を制御する操作部が、前記上方張出部に設けられており、
前記操作部は、前記アンテナ面を底面として当該アンテナ面に垂直に斜め下方側へと延びる仮想的な柱状領域が当該操作部と重複しない、という位置関係で配置されている
ことを特徴とする水周り装置
。
【請求項7】
前記ボウル部の近傍には、前記ボウル部より上方の高さまで立ち上がる壁が設けられており、
前記上方張出部は、前記壁から前記ボウル部の側へと片持ち梁状に突出している
ことを特徴とする請求項6に記載の水周り装置。
【請求項8】
前記センサ部は、1つまたは複数のアンテナ要素が配置された平面であるアンテナ面を有しており、
前記アンテナ面は、斜め下方側を向くように配置されており、
前記上方張出部は、略直方体状であり、前記アンテナ面を底面として当該アンテナ面に垂直に斜め下方側へと延びる仮想的な柱状領域が当該上方張出部の1つの面のみを貫く、という位置関係で配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の水周り装置。
【請求項9】
前記操作部と前記アンテナ面とは、水平方向にずらされた位置関係で配置されている
ことを特徴とする請求項
5乃至8のいずれかに記載の水周り装置。
【請求項10】
前記吐水口からの吐止水を制御する電磁弁を更に備え、
前記電磁弁は、前記判別部による判別結果に基づいて自動制御されるようになっている
ことを特徴とする請求項1乃至
9のいずれかに記載の水周り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台のような水周り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マイクロ波センサを用いて使用者の接近を検知して、照明装置等を自動的に動作させる洗面化粧台が知られている。例えば、特許文献1には、洗面化粧台の近傍に人が立ったときに洗面化粧台の照明等の電気設備を自動的に作動させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗面化粧台に搭載された従来のマイクロ波センサは、ボウル部の背面側に立設された壁から前方側へと水平方向にマイクロ波を放射していた。この態様は、より遠くまでマイクロ波を到達させることができるため、使用者の接近をより早期に検知できるという利点がある。
【0005】
しかしながら、本件発明者は、ボウル部の背面側に立設された壁から前方側へと水平方向に向けてマイクロ波を放射する態様(
図12参照)では、次のような誤検知の問題が生じやすいことを知見した。
【0006】
より具体的には、ボウル部の背面側に立設された壁から前方側へと水平方向に向けてマイクロ波を放射する態様では、使用者が接近していないのに、洗濯機の揺れを使用者の接近であると誤って検知してしまう場合がある、ことが知見されたのである。
【0007】
近年の住居においては、洗濯機が洗面室内に設置されることが一般的となっているため、この問題の解消を図ることは非常に有用である。
【0008】
本件発明者は、先ず、ボウル部の背面側に立設された壁からマイクロ波を斜め上方側へと放射する態様について検討した(
図13参照)。これによれば、洗濯機の設置位置(設置高さ)を回避するようにマイクロ波を放射することになるため、前記の誤検知発生を顕著に抑制することが可能である。
【0009】
しかしながら、このような斜め上方側への放射によれば、身長が低い使用者(例えば子供)の場合において、使用者の検知性能が不十分になってしまう。
【0010】
本件発明者は、次に、ボウル部の背面側に立設された壁からマイクロ波を斜め下方側へと放射する態様について検討した(
図14)。これによっても、洗濯機の設置位置を回避するようにマイクロ波を放射することになるため、前記の誤検知発生を顕著に抑制することが可能である。
【0011】
しかしながら、このような斜め下方側への放射によれば、ボウル部によってマイクロ波が反射してしまうため、使用者の検知精度が悪くなってしまう。特に、ボウル部に水を溜めた状態では、使用者の検知精度が非常に悪くなってしまう。
【0012】
本件発明者は、更に、ボウル部の前方領域からマイクロ波を斜め上方側または斜め下方側へと放射する態様について検討した(
図15(a)~
図15(c)参照)。これによっても、洗濯機の設置位置を回避するようにマイクロ波を放射することになるため、前記の誤検知発生を顕著に抑制することが可能である。
【0013】
しかしながら、ボウル部の前方領域からのマイクロ波の放射によれば、ボウル部使用時の使用者とマイクロ波の放射源との間の距離が近すぎて、使用者がマイクロ波の放射源に対して横に少しずれているだけで、使用者の検知精度が悪くなってしまう(
図15(c)参照)。
【0014】
本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものである。本発明の目的は、洗濯機の設置位置を回避するようにマイクロ波を放射できる一方で、ボウル部使用時の使用者とマイクロ波の放射源との間の距離を所定距離以上に維持することで使用者が横に少しずれていても十分な検知精度を実現できる水周り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上方側が開口しているボウル部と、前記ボウル部に水を吐出する吐水口を有する吐水部と、所定の領域に向けて電波を放射すると共に、当該電波の反射波を検出するセンサ部と、前記センサ部の検出結果に基づいて、被検知体の状態を判別する判別部と、前記ボウル部の上方において、上面視で前記ボウル部の一部を覆うように延在する上方張出部と、を備え、前記センサ部は、前記上方張出部に設けられており、前記所定の領域は、前記センサ部に対して斜め下方側に位置する領域であり、前記センサ部から放射される電波の少なくとも一部は、前記ボウル部の前端よりも前方にまで到達することを特徴とする水周り装置である。
【0016】
本発明によれば、センサ部を上方張出部に設けることによって、ボウル部使用時の使用者とセンサ部(電波の放射源)との間の距離を所定距離以上に維持することが可能となり、使用者が横に少しずれている場合でも十分な検知精度を実現できる。そして、センサ部が、当該センサ部に対して斜め下方側に位置する領域に向けて電波を放射することにより、洗濯機(あるいは他の任意の振動装置)からの電波の反射を抑制することができる一方で、身長が低い使用者(例えば子供)の場合でも十分な検知精度を実現できる。
【0017】
好ましくは、前記ボウル部の近傍には、前記ボウル部より上方の高さまで立ち上がる壁が設けられており、前記上方張出部は、前記壁から前記ボウル部の側へと片持ち梁状に突出している。
【0018】
このような形態によれば、ボウル部使用時に、上方張出部の存在が干渉する(邪魔になる)ことを抑制できる。
【0019】
また、好ましくは、前記センサ部は、1つまたは複数のアンテナ要素が配置された平面であるアンテナ面を有しており、前記アンテナ面は、斜め下方側を向くように配置されており、前記上方張出部は、略直方体状であり、前記アンテナ面を底面として当該アンテナ面に垂直に斜め下方側へと延びる仮想的な柱状領域が当該上方張出部の1つの面のみを貫く、という位置関係で配置されている。
【0020】
このような形態によれば、略直方体状の上方張出部の面同士が接続された部分(エッジが稜線として明確に視認される場合に限定されず、丸められている場合も含む)によって電波が分割されることを抑制することができ、結果的に十分な検知精度を実現できる。
【0021】
また、前記上方張出部の上面は、水平面となっており、前記上方張出部の底面の少なくとも突出端側の一部は、突出端に向かって薄くなるような傾斜面となっていることが好ましい。
【0022】
このような形態によれば、上方張出部の突出端側において、上方張出部の厚みを薄く見せることができるため、デザイン性が向上される。
【0023】
また、本発明は、上方側が開口しているボウル部と、前記ボウル部に水を吐出する吐水口を有する吐水部と、所定の領域に向けて電波を放射すると共に、当該電波の反射波を検出するセンサ部と、前記センサ部の検出結果に基づいて、被検知体の状態を判別する判別部と、前記ボウル部の上方において、上面視で前記ボウル部の一部を覆うように延在する上方張出部と、を備え、前記センサ部は、前記上方張出部に設けられており、前記所定の領域は、前記センサ部に対して斜め下方側に位置する領域であり、前記上方張出部は、水平方向に延在する板材を内蔵しており、前記センサ部は、前記板材の下方側に配置されていることを特徴とする水周り装置である。
【0024】
このような形態によれば、水平方向に延在する板材によって上方張出部の強度が向上されるため、上方張出部を何かを載置するための棚として活用することができる。一方、センサ部が当該板材の下方側に配置されているため、板材の選択について電波との干渉問題を考慮する必要性を小さくすることができる。
【0025】
また、前記吐水口または吐水部は、前記上方張出部に設けられていることが好ましい。
【0026】
この場合、吐水口または吐水部を使用者に近づけた設計が容易であり、使い勝手の向上に貢献できる。また、吐水部とセンサ部の両方が上方張出部に集約されることにより、メンテナンス性も向上される。
【0027】
また、前記センサ部が1つまたは複数のアンテナ要素が配置された平面であるアンテナ面を有している場合、前記吐水部を制御する操作部が、前記上方張出部に設けられており、前記操作部は、前記アンテナ面を底面として当該アンテナ面に垂直に斜め下方側へと延びる仮想的な柱状領域が当該操作部と重複しない、という位置関係で配置されていることが好ましい。
【0028】
この場合、操作部を使用者に近づけた設計が容易であり、使い勝手の向上に貢献できる。また、操作部とセンサ部の両方が上方張出部に集約されることにより、メンテナンス性も向上される。一方、アンテナ面を底面として当該アンテナ面に垂直に斜め下方側へと延びる仮想的な柱状領域が操作部と重複しないため、操作部ないし当該操作部と接続される各種部材(給水路、バルブ等)の材料等の選択について電波との干渉問題を考慮する必要性を小さくすることができる。
【0029】
また、前記操作部と前記アンテナ面とは、水平方向にずらされた位置関係で配置されていることが好ましい。
【0030】
この場合、操作部ないし当該操作部と接続される各種部材の材料等の選択について、電波との干渉問題を考慮する必要性を更に小さくすることができる。また、操作部とセンサ部とが互いにずれていることにより、スペースの有効利用が図れるという効果もある。
【0031】
また、前記吐水口からの吐止水を制御する電磁弁を更に備え、前記電磁弁は、前記判別部による判別結果に基づいて自動制御されるようになっていることが好ましい。
【0032】
あるいは、前記ボウル部の周囲を照明する照明装置を更に備え、前記照明装置は、前記判別部による判別結果に基づいて自動制御されるようになっていることが好ましい。
【0033】
さらには、前記吐水口からの吐止水を制御する電磁弁と前記ボウル部を照明する照明装置との両方を更に備え、前記電磁弁及び前記照明装置の各々が、前記判別部による判別結果に基づいて自動制御されるようになっていることが好ましい。この場合、1つのセンサ部の出力に基づいて、自動水栓機能と自動照明機能との両方を実現できるため、水周り装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、センサ部を上方張出部に設けることによって、ボウル部使用時の使用者とセンサ部(電波の放射源)との間の距離を所定距離以上に維持することが可能となり、使用者が横に少しずれている場合でも十分な検知精度を実現できる。そして、センサ部が、当該センサ部に対して斜め下方側に位置する領域に向けて電波を放射することにより、洗濯機(あるいは他の任意の振動装置)からの電波の反射を抑制することができる一方で、身長が低い使用者(例えば子供)の場合でも十分な検知精度を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態による水周り装置の概略図である。
図1(a)は、本発明の一実施形態による水周り装置の概略縦断面図であり、
図1(b)は、
図1(a)のb-b線に沿ってみた上面視図である。
【
図3】上方張出部の好適な一例の概略断面図である。
【
図4】上方張出部の別の好適な一例の概略断面図である。
【
図5】上方張出部の更に別の好適な一例の概略断面図である。
【
図6】
図5の上方張出部の変形例の概略断面図である。
【
図7】上方張出部の更に別の好適な一例の概略断面図である。
【
図8】上方張出部の更に別の好適な一例の平面図である。
【
図9】上方張出部の更に別の好適な一例の概略断面図である。
【
図10】上方張出部の更に別の好適な一例の概略断面図である。
【
図11】センサ部と操作部との配置例を示す概略平面図である。
【
図13】検討過程で考察した水周り装置の概略縦断面図である。
【
図14】検討過程で考察した別の水周り装置の概略縦断面図である。
【
図15】検討過程で考察した更に別の水周り装置の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による水周り装置について説明する。
【0037】
(構成)
図1(a)は、本発明の一実施形態による水周り装置の概略縦断面図であり、
図1(b)は、
図1(a)のb-b線断面図である。また、
図2は、
図1の水周り装置の概略ブロック図である。
【0038】
図1(a)乃至
図2に示すように、本実施形態の水周り装置1は、洗面化粧台であり、上方側が開口しているボウル部10と、ボウル部10の上方において上面視でボウル部10の一部を覆うように延在する上方張出部50と、上方張出部50に設けられ前方側(
図1(a)の左側、
図1(b)の下側)斜め下方に向けてマイクロ波(電波の一部)を放射すると共に当該マイクロ波の反射波を検出するセンサ部30と、を備えている。
【0039】
本実施形態のセンサ部30は、放射されるマイクロ波の半値角より中心側の領域(
図1(a)及び
図1(b)において二点鎖線で囲った領域)の少なくとも一部がボウル部10の上方を抜けていく(ボウル部10と重複しない)ような位置関係で、配置されている(
図1(a)参照)。
【0040】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、本実施形態の水周り装置1では、ボウル部10の後方側(
図1(a)の右側、
図1(b)の上側)の近傍に、ボウル部10より上方の高さまで立ち上がる壁60が設けられており、上方張出部50は、上面が水平な直方体形状で、当該壁60からボウル部10の側へと片持ち梁状に突出している。
【0041】
また、
図1(a)及び
図1(b)では図示が省略されているが、本実施形態の水周り装置1には、ボウル部10に水を吐出する吐水口22を有する吐水部20が設けられている(
図2参照)。
【0042】
また、
図2に示すように、本実施形態の水周り装置1は、吐水口22からの吐止水を制御する電磁弁としての給水バルブ21と、ボウル部10の周囲を照明する照明装置70と、を更に備えている。照明装置70は、照明制御部71と照明機器72とを有している。
【0043】
そして、センサ部30の検出結果に基づいて、被検知体としての使用者または使用者の手の状態を判別する判別部40が設けられており、給水バルブ21及び照明制御部71の各々が、判別部40による判別結果に基づいて自動制御されるようになっている。
【0044】
より具体的には、本実施形態のセンサ部30は、
図2に示すように、マイクロ波を放射する送信部31と、マイクロ波の反射波を検出する受信部32と、放射信号と検出信号(受信信号)との差分を検出する差分検出部33と、を有している。(もっとも、差分検出部33は、判別部40の方に搭載されていてもよい。)
【0045】
そして、本実施形態の判別部40は、
図2に示すように、差分検出部33からの信号を受信する信号受信手段41と、差分検出部33からの信号状態に基づいて使用者の水周り装置1への接近状態及び離反状態を検出する使用者検出手段42と、差分検出部33からの信号状態に基づいて使用者の手の吐水口22への接近状態及び離反状態を検出する手洗い動作検出手段43と、を有している。
【0046】
そして、使用者検出手段42の検出結果に基づいて、照明制御部71が自動制御されるようになっており、また、手洗い動作検出手段43の検出結果に基づいて、給水バルブ21が自動制御されるようになっている。
【0047】
なお、判別部40は、センサ部30と同様に上方張出部50の内部に設けられてもよいが、壁60の内部等に設けられてもよい。
【0048】
(作用・効果)
以上のような本実施形態によれば、センサ部30が上方張出部50に設けられたことによって、ボウル部10を使用する時の使用者とセンサ部30(マイクロ波の放射源)との間の距離を、所定距離以上に維持することが可能となり、使用者が横に少しずれている場合でも(
図1(b)参照)、十分な使用者の検知精度を実現できる。
【0049】
そして、センサ部30が、当該センサ部30に対して斜め下方側に位置する領域に向けてマイクロ波を放射することにより(
図1(a)参照)、洗濯機80(あるいは他の任意の振動装置)からのマイクロ波の反射を抑制することができる一方で、身長が低い使用者(例えば子供)の場合でも十分な検知精度を実現できる。
【0050】
また、本実施形態では、上方張出部50が、壁50からボウル部10の側へと片持ち梁状に突出していることにより、ボウル部10の使用時に上方張出部50の存在が干渉する(邪魔になる)ことを抑制できる。
【0051】
また、本実施形態では、上方張出部50の上面が水平であるため、上方張出部50を何かを載置するための棚として活用することができる。
【0052】
また、本実施形態では、1つのセンサ部30の出力に基づいて、給水バルブ21の自動制御(自動水栓機能)と照明制御部71の自動制御(自動照明機能)との両方を実現できるため、水周り装置1の小型化を図ることができる。
【0053】
(上方張出部50におけるセンサ部の配置例:
図3及び
図4)
センサ部30は、一般に、1つまたは複数のアンテナ要素(パッチアンテナと呼ばれており、送信部31と受信部32とを兼ねる場合もある)が例えばマトリクス状(アンテナ要素が複数の場合)に配置された平面であるアンテナ面30aを有している。斜め下方に向けてマイクロ波を放射するためには、当該アンテナ面30aが、斜め下方側を向くように配置される。
【0054】
なお、アンテナ要素は、マトリクス状に配置されていなくてもよいが、規則性を持った配置であることが好ましい。例えば、マトリクスの一部の行(または列)が、他の行(または列)に対してずれているような配置であってもよい。
【0055】
そして、略直方体状の上方張出部50の面同士が接続された部分(エッジが稜線として明確に視認される場合に限定されず、丸められている場合も含む)によってマイクロ波が分割されることを抑制するために、アンテナ面30aを底面として当該アンテナ面30aに垂直に斜め下方側へと延びる仮想的な柱状領域C(「電波の主軸」と呼ばれている)が上方張出部50の1つの面のみを貫く、という位置関係で配置されていることが好ましい。
【0056】
図3及び
図4は、それぞれ、上方張出部50のそのような好適な形態例を図示している。
図3の場合、柱状領域Cが上方張出部50の下面50dのみを貫くような位置関係で、センサ部30(アンテナ面30a)が配置されている。また、
図4の場合、柱状領域Cが上方張出部50の前面50fのみを貫くような位置関係で、センサ部30(アンテナ面30a)が配置されている。
【0057】
図3及び
図4のような形態によれば、略直方体状の上方張出部50の面同士が接続された部分によってマイクロ波が分割されることを抑制することができ、結果的に十分な検知精度を実現できる。
【0058】
(上方張出部50の好適な形態例:
図5及び
図6)
また、上方張出部50の上面50uが水平である一方で、上方張出部50の底面の少なくとも突出端側の一部は、突出端に向かって薄くなるような傾斜面50tとなっていることが好ましい。また、この場合、柱状領域Cが上方張出部50の当該テーパ面50tのみを貫くような位置関係で、センサ部30(アンテナ面30a)が配置されていることが好ましい。このような形態例を、
図5に示す。
【0059】
また、
図6は、
図5の上方張出部50の変形例の概略断面図である。
図6に示すように、上方張出部50の底面の壁側の一部も、壁60に向かって薄くなるような傾斜面となっていてよい。
【0060】
図5及び
図6のような形態によれば、上方張出部50の突出端側において、上方張出部50の厚みを薄く見せることができるため、デザイン性に優れる。
【0061】
(上方張出部50の好適な内部構造例:
図7及び
図8)
また、上方張出部50は、水平方向に延在する板材51を内蔵しており、センサ部30は、板材51の下方側に配置されていることが好ましい。板材51は、例えば金属板である。このような内部構造例を、
図7に示す。
【0062】
図7の内部構造例によれば、水平方向に延在する板材51によって上方張出部50の強度が向上されるため、上方張出部50を何かを載置するための棚としてより効果的に活用することができる。一方、センサ部30が当該板材51の下方側に配置されているため、板材51の選択についてマイクロ波との干渉問題を考慮する必要性を小さくすることができ、例えば板材51として金属板を採用することができる。電波の干渉問題としては、具体的には、センサ部30から放射された電波の検知領域が板材51の影響で変化して、検知性能に影響が出てしまうこと等が挙げられる。
【0063】
また、上方張出部は、全体として平面状に広がっていれば足りる。例えば、
図8に示す上方張出部52のように、外側面から内側に向かって部分的に切り欠かれた切り欠き52vが設けられていて、当該切り欠き52v内にセンサ部30等が収容されていてもよい。
【0064】
(吐水口22及び操作部25の好適な配置例:
図9乃至
図11)
吐水口22は、上方張出部50に設けられていることが好ましい。このような配置例を、
図9に示す。
【0065】
図9の配置例によれば、吐水口22を使用者に近づけた設計が容易であり、使い勝手の向上に貢献できる。また、吐水部20とセンサ部30の両方が上方張出部50に集約されることにより、メンテナンス性も向上される。
【0066】
また、流量調整や温度調整のために吐水部20を制御する操作部25が設けられる場合、当該操作部25も上方張出部50に設けられていることが好ましい。この場合、更に、操作部25は、アンテナ面30aを底面として当該アンテナ面30aに垂直に斜め下方側へと延びる仮想的な柱状領域Cが当該操作部25と重複しない、という位置関係で配置されていることが好ましい。このような配置例を、
図10に示す。
【0067】
図10の配置例によれば、操作部25を使用者に近づけた設計が容易であり、使い勝手の向上に貢献できる。また、操作部25とセンサ部30の両方が上方張出部50に集約されることにより、メンテナンス性も向上される。更に、柱状領域Cが操作部25と重複しないため、操作部25ないし当該操作部25と接続される各種部材(給水路、バルブ等)の材料等の選択について、マイクロ波との干渉問題を考慮する必要性を小さくすることができる。
【0068】
また、操作部25とアンテナ面30a(センサ部30)とは、水平方向にずらされた位置関係で配置されていることが好ましい。このような配置例を、
図11に示す。
【0069】
図11の配置例によれば、操作部25ないし当該操作部25と接続される各種部材の材料等の選択について、マイクロ波との干渉問題を考慮する必要性を更に小さくすることができる。また、操作部25とセンサ部30とが互いにずれていることにより、スペースの有効利用が図れるという効果もある。
【符号の説明】
【0070】
1 水周りシステム
10 ボウル部
20 吐水部
21 給水バルブ(電磁弁)
22 吐水口
30 センサ部
30a アンテナ面
31 送信部(パッチアンテナ)
32 受信部(パッチアンテナ)
33 差分検出部
40 判別部
41 信号受信手段
42 使用者検出手段
43 手洗い動作検出手段
50 上方張出部
50u 上面(水平)
50f 前面
50d 下面
50t 傾斜面
51 板材(例えば金属の平板材)
52 部分的な切り欠きを含む上方張出部
52v 切り欠き
60 壁
70 照明装置
71 照明制御部
72 照明機器
80 洗濯機
C 仮想的な柱状領域(「電波の主軸」)