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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】浴槽装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/20 20060101AFI20220721BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
A47K3/20
A47K3/00 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021000135
(22)【出願日】2021-01-04
(62)【分割の表示】P 2018232450の分割
【原出願日】2016-05-23
(65)【公開番号】P2021045693
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】北浦 秀和
(72)【発明者】
【氏名】原島 立成
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-209141(JP,A)
【文献】特開2019-058734(JP,A)
【文献】特開2016-007361(JP,A)
【文献】特開平06-133884(JP,A)
【文献】特開平11-287519(JP,A)
【文献】特開2012-170769(JP,A)
【文献】実開平02-096984(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
A47K 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯留する浴槽に設けられる浴槽装置であって、
上記浴槽内の湯水を吸引し且つこの湯水を下流側のポンプ下流側流路に供給するポンプと、
上記ポンプ下流側流路から分岐される第1流路と、
上記ポンプ下流側流路から分岐される第2流路と、
上記第1流路から供給された湯水を上記浴槽内に吐水する第1吐水部と、
上記第2流路から供給された湯水を上記第1吐水部よりも上方から上記浴槽内に吐水する第2吐水部と、
上記ポンプを制御する制御部と、
上記第2流路上に設けられる ジェットポンプユニットと、を備え、
上記ジェットポンプユニットは、
ジェットポンプ作用により引き込まれる湯水が貯留されているジェットポンプ水貯留部と、
上記第2流路に供給された湯水を上記ジェットポンプ水貯留部を通るように噴射する噴射部と、を備え、
上記ジェットポンプユニットは、上記噴射部から噴射された湯水によって上記ジェットポンプ水貯留部において湯水を引き込むジェットポンプ作用により、上記噴射部から噴射された湯水の流量よりも大きな流量の湯水を上記第2吐水部に供給するように構成され、
上記ポンプから供給される湯水を、上記第1吐水部から吐水される湯水の流速は上記第2吐水部から吐水される湯水の流速よりも高くなるように、上記第1吐水部と上記第2吐水部とから同時に吐水させることを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
上記ジェットポンプユニットは、さらに、上記ジェットポンプ水貯留部と上記浴槽との間に形成され且つ上記浴槽の湯水を上記ジェットポンプ水貯留部に導入する浴槽水連通流路部を備えていることを特徴とする請求項1記載の浴槽装置。
【請求項3】
上記浴槽水連通流路部の連通流路入口部は、上記ポンプに上記浴槽内の湯水を吸引するポンプ上流側流路のポンプ流路入口部とは、独立して形成されていることを特徴とする請求項2記載の浴槽装置。
【請求項4】
上記浴槽は、単一の入口流路部を形成し、且つこの入口流路部に、上記連通流路入口部と上記ポンプ流路入口部とが接続され、さらに、上記入口流路部の流路断面積が、上記連通流路入口部の流路断面積と上記ポンプ流路入口部の流路断面積との総和よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項3記載の浴槽装置。
【請求項5】
上記ジェットポンプユニットは、さらに、上記浴槽水連通流路部の連通流路入口部の開口面積を調整することができる開度調整機構を備えていることを特徴とする請求項3又は4記載の浴槽装置。
【請求項6】
上記第2吐水部は、上記ポンプから供給された浴槽水を、上記浴槽内の水面より上方の上記浴槽の上端近傍の位置から上記浴槽内に座って入浴する使用者の肩付近の空間に向けて吐水するために、上記第1吐水部よりも上方に配置されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の浴槽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽装置に係り、特に、湯水を貯留する浴槽に設けられる浴槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1に記載されているように、浴槽に取付けられ、浴槽の内部に位置する吸水口から浴槽水を1つのポンプによって汲み上げ、上部吐水口及び下部吐水口から吐水することにより浴槽水を循環させる吐水装置が知られている。
このような吐水装置においては、浴槽水が給水口から給水路と1つのポンプを経由して共通導水路に導かれ、この共通導水路が上部導水路と下部導水路に分岐されている。上部吐水口は、上部導水路から供給された浴槽水を帯状水に変えて吐水するようになっており、下部吐水口は、下部導水路から供給された浴槽水をバブル噴射するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-7344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような吐水装置において、上部吐水口から使用者の肩周りに低速大流量の吐水を行ない、且つ下部吐水口から使用者の腰周りに高速小流量の吐水を行なわせようとする場合に、高速小流量の吐水を行なう下部吐水口側の流路の圧損が、低速大流量の吐水を行なう上部吐水口側の流路の圧損よりも極めて大きくなっている。従って、両方の吐水口から同時に吐水を行なうとき、両方の吐水口への浴槽水の供給が大きく偏り、上部吐水口側の吐水流量が増大する一方、下部吐水口側の吐水流量が不足し、高速小流量の吐水によるマッサージ効果が非常に弱くなるという課題があった。
このため従来は、低速大流量の吐水を行なう上部吐水口からの吐水と、高速小流量の吐水を行なう下部吐水口からの吐水とを、同時に行うことなく、どちらか一方のみを行うように切り替えることで、下部吐水口側の吐水流量が不足してマッサージ効果の弱い吐水が行なわれることを防止していた。
【0005】
そこで、本発明は、共通のポンプから供給される湯水を、第1吐水部から吐水される湯水の流速は第2吐水部から吐水される湯水の流速よりも高くなるように、第1吐水部と第2吐水部とから同時に吐水させることができる浴槽装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、湯水を貯留する浴槽に設けられる浴槽装置であって、浴槽内の湯水を吸引し且つこの湯水を下流側のポンプ下流側流路に供給するポンプと、ポンプ下流側流路から分岐される第1流路と、ポンプ下流側流路から分岐される第2流路と、第1流路から供給された湯水を浴槽内に吐水する第1吐水部と、第2流路から供給された湯水を上記第1吐水部よりも上方から浴槽内に吐水する第2吐水部と、ポンプを制御する制御部と、ジェットポンプユニットと、を備え、ジェットポンプユニットは、ジェットポンプ作用により引き込まれる湯水が貯留されているジェットポンプ水貯留部と、第2流路に供給された湯水をジェットポンプ水貯留部を通るように噴射する噴射部と、を備え、ジェットポンプユニットは、噴射部から噴射された湯水によってジェットポンプ水貯留部において湯水を引き込むジェットポンプ作用により、噴射部から噴射された湯水の流量よりも大きな流量の湯水を第2吐水部に供給するように構成され、ポンプから供給される湯水を、第1吐水部から吐水される湯水の流速は第2吐水部から吐水される湯水の流速よりも高くなるように、第1吐水部と第2吐水部とから同時に吐水させることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、ジェットポンプユニットを第2流路上に設けることにより、第1流路から第1吐水部に至る流路の圧力損失と、第2流路から第2吐水部に至る流路の圧力損失と、の差を比較的小さくすることができるので、共通のポンプから供給される湯水が、第1流路及び第2流路のいずれかに大きく偏って供給されることを抑制でき、共通のポンプから供給される湯水を、第1吐水部から吐水される湯水の流速は第2吐水部から吐水される湯水の流速よりも高くなるように、第1吐水部と第2吐水部とから同時に吐水させることができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、ジェットポンプユニットは、さらに、ジェットポンプ水貯留部と浴槽との間に形成され且つ浴槽の湯水をジェットポンプ水貯留部に導入する浴槽水連通流路部を備えている。
このように構成された本発明においては、ジェットポンプユニットのジェットポンプ水貯留部に湯水を供給するための専用の給水源を別途設けることなく、浴槽の湯水を浴槽水連通流路部からジェットポンプ水貯留部に導入することができ、浴槽装置の全体の構造を簡素化することができる。また、ジェットポンプユニットのジェットポンプ水貯留部に湯水を浴槽外から供給するための専用の給水源を別途設けていないので、ジェットポンプユニットにより、第1吐水部から吐水される湯水の流量よりも大きな流量を第2吐水部から浴槽内に吐水させる場合においても、浴槽内の水位、すなわち水量が増えることを防止することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、浴槽水連通流路部の連通流路入口部は、上記ポンプに上記浴槽内の湯水を吸引するポンプ上流側流路のポンプ流路入口部とは、独立して形成されている。
このように構成された本発明においては、浴槽内から連通流路入口部に流入する湯水の流れと、浴槽内からポンプ流路入口部に流入する湯水の流れとが、それぞれ独立した入口に対して形成されるので、流れが互いに影響しにくくすることができ、連通流路入口部から浴槽連通部に向かって流入する湯水がポンプによってポンプ流路入口部内に吸引される影響を受けることを防ぐことができ、湯水をジェットポンプユニットに安定して供給することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、浴槽は、単一の入口流路部を形成し、且つこの入口流路部に、連通流路入口部とポンプ流路入口部とが接続され、さらに、入口流路部の流路断面積が、連通流路入口部の流路断面積とポンプ流路入口部の流路断面積との総和よりも大きくなるように形成されている。
このように構成された本発明においては、入口流路部の流路断面積が、連通流路入口部の流路断面積とポンプ流路入口部の流路断面積との総和よりも大きくなるように形成されているので、入口流路部内において分岐される、浴槽内から連通流路入口部に流入する湯水の流れと、浴槽内からポンプ流路入口部に流入する湯水の流れとが、それぞれ独立した状態で比較的安定的に形成されるので、流れが互いに影響しにくくすることができる。従って、浴槽連通部に向かって流入する湯水がポンプによって吸引される影響を受けることをより確実に防ぐことができ、湯水をジェットポンプユニットにより安定して供給することができる。
また、浴槽側において、連通流路入口部及びポンプ流路入口部の2つの開口を形成することなく、1つの入口流路部を形成することができるので、浴槽に入口流路部を接続するための加工作業を低減させることができ、さらに浴槽と入口流路部との間のシール部分を低減させることにより製造作業及び管理作業を低減することができ且つ水漏れのリスクも低減させることができる。
【0010】
本発明は、好ましくは、ジェットポンプユニットは、さらに、浴槽水連通流路部の連通流路入口部の開口面積を調整することができる開度調整機構を備えている。
このように構成された本発明においては、共通のポンプから供給される湯水を、第1吐水部から吐水される湯水の流速は第2吐水部から吐水される湯水の流速よりも高くなるように、第1吐水部と第2吐水部とから同時に吐水させることができる浴槽装置において、第1吐水部から吐水される湯水の流速及び流量の変更を伴うようなポンプの設定及び/又はポンプ自身の変更を行うことなく、開度調整機構により、第2吐水部から吐水される湯水の流速及び流量を比較的簡単な構成で変更することができる。
【0011】
本発明は、好ましくは、第2吐水部は、ポンプから供給された浴槽水を、浴槽内の水面より上方の浴槽の上端近傍の位置から浴槽内に座って入浴する使用者の肩付近の空間に向けて吐水するために、第1吐水部よりも上方に配置される。
このように構成された本発明においては、共通のポンプから供給される湯水を、第1吐水部から吐水される湯水の流速は第2吐水部から吐水される湯水の流速よりも高くなるように、第1吐水部よりも上方に配置される第2吐水部から、第1吐水部よりも上方の使用者の体の上部、例えば首、肩等に対して吐水を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の浴槽装置によれば、共通のポンプから供給される湯水を、第1吐水部から吐水される湯水の流速は第2吐水部から吐水される湯水の流速よりも高くなるように、第1吐水部と第2吐水部とから同時に吐水させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による浴槽装置を示す概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による浴槽装置を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態による浴槽装置の浴槽内に使用者が座っている状態で、図2のIII-III線に沿って見た浴槽装置の内部構造を概略的に示す概略断面図である。
図4】本発明の一実施形態による浴槽装置のジェットポンプユニット及び吐水部の吐水口を示す斜視図である。
図5図2のIII-III線に沿って見たジェットポンプユニット及び吐水部の吐水口の断面図である。
図6】本発明の一実施形態による浴槽装置のジェットポンプユニットにおけるジェットポンプ作用を説明する図である。
図7】本発明の一実施形態による浴槽装置の浴槽内に使用者が座っている状態で、吐水部のみからの吐水動作が行われる様子を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態による浴槽装置の浴槽内に使用者が座っている状態で、図2のIII-III線に沿って見た浴槽装置の内部構造を概略的に示し、ブロー吐水部のみからの吐水動作が行われる様子を説明する概略断面図である。
図9】本発明の一実施形態による浴槽装置の浴槽内に使用者が座っている状態で、図2のIII-III線に沿って見た浴槽装置の内部構造を概略的に示し、吐水部及びブロー吐水部から同時に行われる吐水動作が行われる様子を説明する概略断面図である。
図10図3のX-X線に沿って見た浴槽の断面図である。
図11】本発明の一実施形態による浴槽装置のジェットポンプユニットの開度調整機構が連通流路入口部の近傍に設けられ且つ開度調整機構が連通流路入口部を開く開状態に調整されている状態を示す概略断面図である。
図12】本発明の一実施形態による浴槽装置のジェットポンプユニットの開度調整機構が連通流路入口部の一部を覆うように設けられ且つ開度調整機構が連通流路入口部の一部を覆うような閉状態に調整されている状態を示す概略断面図である。
図13】本発明の一実施形態による浴槽装置におけるポンプの設置位置を示す上面図である。
図14】本発明の一実施形態による浴槽装置におけるポンプの設置位置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態による浴槽装置を説明する。
図1は本発明の一実施形態による浴槽装置を示す概略斜視図であり、図2は本発明の一実施形態による浴槽装置を示す平面図であり、図3は本発明の一実施形態による浴槽装置の浴槽内に使用者が座っている状態で、図2のIII-III線に沿って見た浴槽装置の内部構造を概略的に示す概略断面図であり、図4は本発明の一実施形態による浴槽装置のジェットポンプユニット及び吐水部の吐水口を示す斜視図であり、図5図2のIII-III線に沿って見たジェットポンプユニット及び吐水部の吐水口の断面図である。
【0015】
図1及び図2に示すようは、本発明の一実施形態による浴槽装置1は、施設、家庭等の浴場、風呂場又は浴室等に設けられる浴槽装置である。
本発明の一実施形態による浴槽装置1は、湯水(浴槽水)を貯留する浴槽2に設けられる浴槽装置1である。
本発明の一実施形態による浴槽装置1は、浴槽2内の湯水を吸引し且つ下流側に供給するポンプ4と、ポンプ4から供給された湯水を浴槽2の上端近傍から浴槽2内に吐水する吐水部6(第2吐水部)と、ポンプ4を制御する制御部8と、ポンプ4と吐水部6との間の噴射部側流路32上に設けられるジェットポンプユニット10と、浴槽2の縦壁に形成された浴槽連通口部12から吐水部6又は後述するブロー吐水部16に至る循環流路14と、ポンプ4から供給された湯水を浴槽2の上下方向の中央近傍から浴槽2内にブロー吐水するブロー吐水部16(第1吐水部)と、循環流路14においてポンプ4の下流側の流路をジェットポンプユニット10側の流路と、ブロー吐水部16側の流路とに切替える切替弁18と、を備えている。なお、浴槽装置1は、湯水(浴槽水)を貯留する浴槽2を備えていてもよい。
ここで、浴槽2に貯水される湯水は、浴槽2に貯水される浴槽水であり、本発明において使用する用語「湯水」は、浴槽装置の給水装置又は外部施設の給水装置等において温度調節されて湯と水が混合された湯水のみならず、外部水道からすでに温度調節されて給水された給水、給水源からの水を適温まで加熱し且つ新たに水を混合することによって温度を調節していない湯も含む意味で使用されている。「湯水」は、温度の異なる「水」として表現されることもできる。例えば、湯水は、使用者が操作部38において設定した40度等の温度を有する温水である。
【0016】
本実施形態においては、浴槽2は、例えば大人の使用者(入浴者)が一人で入浴するような比較的小型のサイズの四角形状の浴槽2であるが、浴槽2は、このようなサイズ及び形状のみならず、例えば施設等で複数人で入れるような比較的大型のサイズの浴槽であってもよく、さらに、多角形状、丸形状、曲線を有した形状等の他の形状を有していてもよい。また、浴槽2は、通常のお風呂のための浴槽のみならず、半身浴のための浴槽、マッサージ等の医療目的に用いられる浴槽として用いられることもできる。浴槽2が、例えば家庭用のユニットバス等に用いられる大人の使用者(入浴者)が一人で入浴するような規格の浴槽である場合には、短辺側に使用者の背中及び頭が近づくようにして使用者が座って入浴することを想定して、吐水部6が短辺側に配置される。浴槽2は、使用者の体の大きさにもよるが、例えば、使用者が座った状態、上半身を背中側に傾けて座っている状態、上半身を背中側に傾けて寝転んでいる状態、又は上半身を背中側に大きく傾けて仰向けに近い状態まで寝転んでいる状態等で入浴することができる湯ぶねである。
浴槽2は、入浴している使用者の臀部又は足部が接する底部2aと、入浴している使用者の背中が接することが多い縦壁2bと、縦壁2bの上部と接続され且つ浴槽2の上面を形成する上端部2cとを備えている。
上端部2cは、入浴している使用者(入浴者)Hの上半身、例えば頭部、首部、又は肩部に比較的近い高さ位置に形成される。例えば、上端部2cは、入浴している使用者Hが底部2a上に臀部をつけて座っている状態で使用者Hの後頭部を上端部2c上に載せてリラックスした状態で座ることができるような高さ位置に形成されている。上端部2cは、ほぼ平坦な面として形成されていてもよく、又は、頭部や首部の曲り形状に合わせやすいように湾曲面として形成されていてもよい。
【0017】
なお、浴槽2には、使用者Hの操作部38の操作等に基づいて、給湯器等から温度調節されていない状態で供給されるお湯、及び/又は給水源から温度調節されていない状態で供給される水、及び/又はこれらのお湯と水との混合割合を調節して温度調節された湯水、等を浴槽2内に給水できるような給水装置(図示せず)が設けられている。
【0018】
浴槽2は、その外側にケーシング20が取付けられている。ケーシングが浴槽2に取付けられることにより、浴槽装置1全体の美的感覚を保ち且つ内部の電気部品等の保護をすることができる。後述するポンプ4、ジェットポンプユニット10、各流路等は、ケーシング20(或いは浴室の壁面W)と浴槽2との間の非常に限られた空間において配置される必要がある。
【0019】
ポンプ4は、浴槽2内の湯水を吸引し且つ下流側に供給することができる。ポンプ4は、吸引した湯水に圧力をかけて圧送する機能を有するポンプである。ポンプ4は、電気的に駆動される電動モータ(図示せず)に直結されたインペラ(図示せず)の回転に伴って浴槽2内の湯水を吸引し且つ湯水を下流側に圧送する。ポンプ4は、浴槽2の外側且つケーシング20の内側(或いは壁面の内側)に設けられている。このようなケーシング20(或いは壁面W)と浴槽2との間の空間においては、ポンプ4、各流路、ジェットポンプユニット10等が配置されているため、ポンプ4の設置位置や大きさ(サイズ)については多くの制約があり、ポンプ4を安易に大型化することが難しい環境となっている。また、このような浴槽2とケーシング20(或いは壁面W)との間の空間は上部の領域が比較的狭くなっていることが多いため、仮にポンプ4を大型化しようとすれば、ポンプ4を下部に設置することが必要となり、使用後にポンプに残留する残水(比較的冷たい冷水となっている残水)の課題が生じる。
【0020】
図3において矢印F7により示すように、本実施形態における吐水部6は、湯水を浴槽2の上端部2c近傍から浴槽2内に吐水する。吐水部6は、浴槽2の上端部2c近傍に配置されている。吐水部6は、ブロー吐水部16よりも上方に配置されている。吐水部6は、縦壁2bの上下方向の中央部分よりも上方に配置され、例えば中央部分の上端部2c上に配置されている。吐水部6は、浴槽2内に貯水される湯水の所定の水位の水面、例えば、通常の使用状態における予め設定された入浴用の給水水位WL0(図3参照)の水面、又は浴槽2の物理的な満水水位WL1の水面、よりも上方に位置する。従って、吐水部6は、湯水を空中(大気中)に吐水するような空中吐水部を形成している。より具体的には、吐水部6は、浴槽水を、浴槽2内の通常の給水水位WL0の水面より上方の位置から座って入浴している状態の使用者Hの肩付近の空間に向けて吐水するように、浴槽2の上端部2c近傍から浴槽2内に吐水する。また、吐水部6は、浴槽2の上端部2cよりも上方の高さ位置又は上端部2cから下方向に200mm以内の高さ位置に配置されている。吐水部6は、浴槽2の上端部2cに設けられたヘッドレストよりも上方の高さ位置又はその上端部から下方向に200mm以内の高さ位置に配置されていてもよい。
【0021】
図4に示すように、本実施形態においては、吐水部6は、横方向に比較的長い幅広の吐水口22を形成している。吐水部6は、浴槽2の中心に対して左右方向(高さ方向に対する横方向)に広がって形成されている吐水口22から正面側(浴槽2内部側)に向かって滝のように湯水を吐水する。このような吐水部6は、具体的には、吐水部6の吐水口22の上下方向の高さhに対し、吐水口22の左右方向の長さlが大きくなるように形成されている。吐水口22の左右方向の長さlは、およそ大人の平均的な肩幅の長さに形成されている。例えば、吐水口22の左右方向の長さlは、浴槽2の短辺の長さの2分の1、又は浴槽2の短辺の長さの3分の2等の長さに形成されていてもよい。また、例えば、吐水口22の左右方向の長さlは、300mm~500mmの範囲の長さに形成することができる。
【0022】
図4及び図5に示すように、吐水部6は、正面側(浴槽2内部側)に向けて横向きに開口する吐水口22を形成している。吐水口22は、浴槽2の上面とほぼ平行に広がりを有する長方形形状の吐水口22を形成している。また、吐水部6は、吐水口22に接続する吐水部内流路底面22aがほぼ平坦に形成されている。よって、図7に示すように、横向きに吐水された湯水は、ほぼ一定の幅及び厚みの安定した帯状(水膜状)の流水の流れとして空中に放物線を描いて下方に流下する。
【0023】
吐水部6の吐水部上面6aは、使用者Hが頭部(例えば後頭部)を吐水部上面6a上に載せてリラックスした姿勢(例えば体の頭部を吐水部6上面に載せ、背中を縦壁2bに預け、底部2a上に座っているような比較的楽な姿勢)をとることができるように、浴槽2内側に向けて緩やかに下降するような湾曲面を形成している。吐水部上面6aは、使用者Hの頭部を支えるヘッドレストの機能を果たすことができる。使用者Hが頭部を吐水部上面6a上に載せてリラックスした姿勢をとる場合に、吐水部6から吐水される湯水が、首、肩に当たるようになっている。さらに、使用者Hが頭部を吐水部上面6a上に載せてリラックスした姿勢をとる場合に、吐水部6から吐水される湯水が、肩から使用者Hの正面側(胸側)に広がるように流れる、及び/又は肩から使用者Hの背面側(背中側)に広がるように流れる。従って、湯水により首、肩のみならず、胸、腹、背中及び腰等も温めることができる。例えば、上述のように吐水部6から吐水した湯水の一部が使用者の肩に向かって吐水されるような吐水状態を肩湯の吐水状態としている。
【0024】
循環流路14は、浴槽連通口部12から延びる入口流路24(入口流路部)と、入口流路24に接続され且つ入口流路24から浴槽連通部42に向かって斜め上方に比較的短い距離にわたって延びる連通流路26と、入口流路24に接続され且つ入口流路24からポンプ4に向かって下方に延びるポンプ上流側流路28と、ポンプ4の下流側に接続され且つ切替弁18まで延びるポンプ下流側流路30と、ポンプ下流側流路30から分岐され且つ切替弁18からジェットポンプユニットに向かって延びる噴射部側流路32(第2流路)と、浴槽連通部42から吐水部6に向かって延びる浴槽水導入流路34(第2流路)と、ポンプ下流側流路30から分岐され且つ切替弁18からブロー吐水部16に向かって延びるブロー吐水部側流路36(第1流路)と、を備えている。
【0025】
制御部8は、使用者Hの操作する操作部38と接続されている。また、制御部8は、ポンプ4、切替弁18、操作部38、空気導入切替弁58、圧力センサ40等と、電気的に接続され、電気信号を相互に送受信することができ、上述の各部分を電気的に操作できるようになっている。制御部8は、浴室内の壁面Wに取付けられている。また、操作部38は、使用者Hが希望する操作を行うことができる操作パネル等の操作部であり、浴室内の壁面Wに取付けられている。使用者Hが操作部38を操作した情報が電気信号により制御部8に送られる。このような制御部8や操作部38は、浴室外の壁面等に設けることもできる。制御部8は、浴槽装置1を適切に制御することができるようなメモリ等の記憶装置(図示せず)及び演算装置(図示せず)を備えている。
【0026】
制御部8が、浴槽2内の水位が浴槽連通口部12から空気が導入される可能性がある所定水位WL2以下であると判断する場合には、ポンプ4を作動させないように制御する。この所定水位WL2は、例えば、浴槽連通口部12の上端の高さの水位とされている。浴槽2内の水位がWL2以下である状態において、空気が浴槽連通口部12から比較的大量に制限なく浴槽連通部42に導入されてしまうと吐水部6から吐水される湯水の温度の低下や湯水の流れの割れ等を引き起こすため、浴槽2内の水位がWL2以下であると判断する場合には、ポンプ4を作動させないこととしている。
また、制御部8が、浴槽2内の水位がブロー吐水部16の高さの水位WL3以下の水位であると判断する場合には、ブロー吐水部16からの高速のブロー吐水は水中で行うものであるため、ポンプ4を作動させないように制御する(図8参照)。
【0027】
入口流路24においては、水圧を検出する圧力センサ40が設けられている。圧力センサ40の検出した水圧が制御部8に送信され、制御部8が、圧力センサ40の検出した水圧により、浴槽2内の湯水の水位(水量)を判断することができる。なお、圧力センサ40は、入口流路24に限られず、連通流路26、ポンプ上流側流路28等の浴槽2内の水位に応じた水圧を受ける他の位置に取付けられていてもよい。さらに他の実施形態においては、圧力センサ40によらず、水位センサによって浴槽2内の湯水の水位(水量)を測定してもよい。また、さらに他の実施形態においては、圧力センサ40の配置を省略し、ポンプ4の電動モータの負荷(負荷に応じて電動モータに流れる電流量の変動)を測定することにより浴槽2内の湯水の水位(水量)を測定してもよい。電動モータに流れる電流量の変動は、電流センサ等により測定され、測定情報が電流センサから制御部8に送られる。
【0028】
ブロー吐水部16は、浴槽2の縦壁2bの上下方向の中央近傍の高さ位置に設けられている。本実施形態においては、ブロー吐水部16は、浴槽2の吐水部6側の縦壁2bにおいて2つのブロー吐水部16が設けられている。なお、ブロー吐水部16の個数は、2つのみならず、1つでもよく、さらに、3つ以上の個数であってもよい。例えば、2つのブロー吐水部16は、浴槽2の左右方向(縦壁2bに向かって左右方向)において、浴槽連通口部12に対して左右両側にずれた対称の位置に配置されている。
ブロー吐水部16は、その内部の流路の径を、ブロー吐水部16の上流側のブロー吐水部側流路36の径よりも絞るように形成されている。ブロー吐水部16は、浴槽2の縦壁2bにおいて、横向き(例えば水平に近い横向き)に取付けられており、ブロー吐水部16から横向きに高速のブロー吐水を吐水するようになっている。ブロー吐水部16は、ポンプ4の下流側のブロー吐水部側流路36に接続され、ポンプ4から圧送された水流を直接噴出するようになっている。従って、ブロー吐水部16は、ポンプの圧送する送出水量に応じた比較的小流量且つ高速の吐水流を形成する。
【0029】
ブロー吐水部16は、浴槽2の縦壁2bの上下方向の中央近傍の高さ位置、すなわち、一般的な使用者Hの腰や背中に相当する高さ位置に配置されており、ブロー吐水部16から使用者Hに向かって吐水されたブロー吐水が使用者Hの腰や背中に衝突することにより、使用者Hの腰や背中を押圧し、マッサージの効果を奏することができる。ブロー吐水部16は、制御部8がブロー吐水部16が浴槽2の水面下にある状態と判断する場合にブロー吐水を行うことができるようになっており、水中において吐水を行う水中吐水部を構成している。このように、ブロー吐水部16は浴槽2の湯水中に吐水を行って水流を使用者Hに作用させることから、ポンプ4中等の比較的冷たい前回使用時の残水をブロー吐水部16から吐水してしまう場合においても、ブロー吐水が浴槽2の湯水と混ざり合って使用者Hに衝突するため、使用者Hに冷たい水の間隔を感じさせる恐れが少なくなっている。
【0030】
ブロー吐水部16は、吐水部6から吐水される湯水の流速よりも高い流速の湯水を吐水して浴槽2内に貯留されている浴槽水を攪拌する攪拌吐水部としても機能している。ブロー吐水部16は、高速のブロー吐水を水中に行うため、浴槽内の湯水を強力に攪拌することができる。ブロー吐水部16は、浴槽水連通流路部47の連通流路26が接続される浴槽2の縦壁2bの近傍領域に配置されている。ブロー吐水部16は、縦壁2bにおいて、浴槽水連通流路部47の浴槽連通口部12の近傍の上方側に配置されている。このように、ブロー吐水部16と、連通流路26に連通する浴槽連通口部12とが、同一の縦壁2bに沿って比較的近くに配置されている。従って、ブロー吐水部16からの吐水による湯水の攪拌効果が、効率よく浴槽連通口部12の近傍領域において生じることができ、比較的温度の高い湯水を浴槽水連通流路部47及び浴槽連通部42に供給することができる。
【0031】
切替弁18は、噴射部側流路32、及びブロー吐水部側流路36のうちの両方又はいずれか一方の流路を選択的に開閉することができる。従って、切替弁18は、ポンプ4の下流側のポンプ下流側流路30から供給される湯水を、噴射部側流路32、及びブロー吐水部側流路36のうちの両方又はいずれか一方に選択的に供給することができる。同時に噴射部側流路32及びブロー吐水部側流路36を開放している場合には、切替弁18は、流量の分配割合を自由に変更することができる。切替弁18は、制御部8に電気的に接続され、使用者Hの操作部38の操作を受けて、切替弁18を電気的に開閉操作できるようになっている。従って、使用者Hは、ジェットポンプユニット10を介した吐水部6からの吐水と、ブロー吐水部16からの吐水との両方又はいずれか一方に選択的に実行させることができる。
【0032】
次に、図3乃至図6図13及び図14を参照して、ジェットポンプユニット10について説明する。
図6は本発明の一実施形態による浴槽装置のジェットポンプユニットにおけるジェットポンプ作用を説明する図であり、図13は本発明の一実施形態による浴槽装置におけるポンプの設置位置を示す上面図であり、図14は本発明の一実施形態による浴槽装置におけるポンプの設置位置を示す側面図である。
【0033】
ジェットポンプユニット10は、ジェットポンプ作用により引き込まれる湯水が貯留されているジェットポンプ水貯留部41と、ポンプ4の下流側に配置され且つポンプ4から供給された湯水を浴槽連通部42を通るように噴射するジェットノズル44(噴射部)と、ジェットノズル44の吐水方向側に配置され且つジェットノズル44から噴射された湯水の流れ中に空気を導入する空気導入口部45と、浴槽連通部42の下流側に延びる浴槽水導入部46と、ジェットポンプ水貯留部41と浴槽2との間に形成され且つ浴槽2の浴槽水をジェットポンプ水貯留部41に導入する浴槽水連通流路部47と、を備えている。
ジェットポンプユニット10は、大流量を吐水部6に供給しようとする場合にも、比較的簡易な構成且つ比較的小型の構造物により形成することができるため、浴室内のケーシングと浴槽2との間の制約された小空間において、配置することができる。
【0034】
ジェットポンプ水貯留部41は、本実施形態においては、浴槽2と連通され且つ浴槽2の湯水が流入するようになっている浴槽連通部42である。ジェットポンプ水貯留部41は、浴槽2とは別の給水源又は給水装置等に連通され且つこの給水源等から給水される湯水が流入して貯留部を形成していてもよい。すなわち、ジェットポンプ水貯留部41に浴槽2から湯水を供給せず、且つ外部の別の給水源等から湯水をジェットポンプユニット10に供給するようにして貯留部を形成していてもよい。
【0035】
浴槽連通部42は、箱型の貯水室を形成し且つ連通流路26の下流側端部に接続されている。浴槽連通部42は、浴槽2の縦壁2bに形成された浴槽連通口部12の奥側且つ縦壁2bの裏側の近傍領域に配置されている。浴槽連通部42は、縦壁2bと壁面Wとの間の比較的狭い領域に配置されている。また、浴槽連通部42は、浴槽連通口部12の奥側に真っ直ぐ延びる連通流路26の端部に設けられ、浴槽連通口部12から浴槽連通部42までの距離がなるべく短くなるように配置されている。浴槽連通部42は、浴槽2と連通され且つ浴槽2の湯水が流入するようになっている。また、浴槽連通部42の底面42aを貫通するようにジェットノズル44が取付けられ、このジェットノズル44と対向する浴槽連通部42の上面42bにおいては開口が形成され、この開口から浴槽水導入部46が上方に延びている。浴槽連通部42は、浴槽連通口部12から延びる入口流路24及び連通流路26を介して、浴槽2内の貯水領域(使用者Hの入浴する領域)と連通されている。従って、浴槽2内に湯水が貯水される場合に、湯水が浴槽連通部42内にも流入して貯水されるようになっている。ジェットノズル44から湯水が噴射されていない状態において、湯水は、浴槽連通部42と、浴槽2内の貯水領域を行き来できるようになっている。浴槽連通部42と、浴槽2内の貯水領域の湯水の温度はほぼ同様の湯水の温度となっている。
【0036】
浴槽連通部42及び後述する浴槽水連通流路部47は、浴槽2の底部2aと上端部2cとの間の中間の高さ位置h1以下の高さ位置に配置されている。すなわち、浴槽連通部42及び後述する浴槽水連通流路部47は、中間の高さ位置h1と浴槽2の底部2aとの間の高さ位置に配置されている。従って、浴槽2内に貯水されている浴槽水が例えば上記中間の高さ位置h1程度又は中間の高さ位置h1よりも低い貯水量で貯水されているような、入浴者が半身浴を行うような使用状態であったとしても、浴槽連通部42及び浴槽水連通流路部47が湯水により満たされており、浴槽の湯水をジェットポンプユニット10を利用して吐水部6から入浴者の肩等に吐水させることができる。
【0037】
図3及び図9等に示すように、ジェットポンプユニット10は、浴槽2の吐水部6が配置される側の左右方向の中心において、浴槽連通口部12の奥側(壁面W側)に配置されている。ジェットポンプユニット10は、ジェットノズル44及び浴槽連通部42の高さ位置が中間の高さ位置h1よりも低い位置となるように形成されている。また、ジェットポンプユニット10は、浴槽水導入部46が浴槽2の上端部2c近傍から中間の高さ位置h1よりも低い位置まで延びるように形成されている。このように、あえて低い位置にジェットノズル44及び浴槽連通部42を配置するようにジェットポンプユニット10を構成することにより、浴槽2内の湯水の貯水量が少ない、すなわち貯水水位が低い場合においても吐水部6からの吐水を行うことができる。
このようにジェットポンプユニット10は、浴槽2の左右方向の中央の下部に配置されるが、図13に示すように、ポンプ4は、浴槽2の吐水部6が配置される側の左右方向の中央よりも外側の側方側端部近傍に配置されることができる。図14に示すように、ポンプ4は、浴槽2の側方側の下部且つケーシング20の内側に配置されている。このようにポンプ4は浴槽2の側方側等に配置することができ、浴槽連通口部12からポンプ上流側流路28に流入した湯水が浴槽2の側方側に配置されたポンプ4に導かれ、ポンプ4から圧送された湯水が、ポンプ下流側流路30を通って中央に配置されたジェットポンプユニット10又は中央近傍のブロー吐水部側流路36に流れるようになっている。
【0038】
湯水が貯水されている状態において、湯水は、湯水の中でも比較的熱い湯水は上方に移動しやすく、湯水の中でも比較的冷たい湯水は下方に移動しやいという性質を有している。ここで、浴槽連通部42は、浴槽連通口部12よりも高い位置に配置されているので、湯水の中でも比較的熱い湯水は浴槽連通口部12よりも高い位置の浴槽連通部42に移動しやすく、浴槽連通部42内の湯水の温度を冷えにくくし、比較的暖かい湯水の温度に維持しやすくすることができる。
【0039】
ジェットノズル44は、浴槽連通部42を通り且つ浴槽水導入部46に向けて湯水を噴射してジェットポンプ作用を誘発させる。ジェットノズル44は、その内部の流路の径を、ジェットノズル44の上流側の噴射部側流路32の径よりも絞るように形成されている。従って、ポンプ4により圧送された湯水は、ジェットノズル44内でさらに加速され、ジェットノズル44から高速の湯水の流れとして噴出されるようになっている。ジェットノズル44は、浴槽連通部42及び浴槽水導入部46に向けて指向されている。よって、ジェットノズル44は、浴槽連通部42及び浴槽水導入部46の内方に向けて直線的な指向性を有する高速の噴流を噴射することができるようになっている。ジェットノズル44の出口開口から噴射された高速の噴流は、浴槽連通部42内の湯水を引き込むことによりその流量が徐々に増大され且つ流速が徐々に減少する。
ジェットポンプユニット10は、湯水を流路径の絞られたジェットノズル44から噴射して浴槽連通部42を通して浴槽水導入部46に流入させるため、所定の大きさの圧力損失を生じている。この圧力損失の大きさは、湯水をブロー吐水部16から吐水させる際の圧力損失の大きさと比較的近い大きさとすることができ、ジェットポンプユニット10を通る流路の抵抗と、ブロー吐水部16に至る流路の抵抗とを比較的近づけることにより、湯水を両方の流路に同時に流すようにしながら流量及び流速を調整することが可能となっている。
【0040】
図5に示すように、空気導入口部45は、ジェットノズル44の吐水方向の前方側(ジェットノズル44の下流側)に配置されている。空気導入口部45は、ジェットノズル44の下流側の近傍に配置され且つジェットノズル44から噴射された浴槽水のジェットポンプ作用により空気が噴射された浴槽水中に引き込まれるように形成されている。空気導入口部45は、浴槽連通部42の外部から浴槽連通部42の内部まで貫通するように取付けられ、浴槽連通部42内に延びる空気導入口部45を形成している。空気導入口部45は、円管状の内部流路を形成しており、空気がこの内部流路内を導入されるようになっている。
【0041】
空気導入口部45は、ジェットノズル44の噴射方向(本実施形態においては上下方向)において、ジェットノズル44と、浴槽連通部42から吐水部6に向かって延びる浴槽水導入部46の入口部46aとの間に配置されている。より具体的には、空気導入口部45は、ジェットノズル44の出口開口を形成している先端44aと、入口部46aとの間の中間点よりもジェットノズル44側に寄って配置されている。また別の言い方によれば、空気導入口部45とジェットノズル44の先端44aとの距離は、空気導入口部45と入口部46aとの距離よりも短くなるように空気導入口部45が配置されている。このように、空気導入口部45は、ジェットノズル44の噴射方向において、浴槽水導入部46の入口部46aよりも上流側且つ且つジェットノズル44から噴射される浴槽水の流速の高いジェットノズル44の先端44a近傍の領域に配置されている。
【0042】
なお、空気導入口部45は、ジェットノズル44の先端44aと、入口部46aとの間の中間点よりも入口部46a側に寄って配置されていてもよい。この場合においては、ジェットノズル44から噴射された噴流は、浴槽連通部42内の湯水を引き込むことによりその流量が増大されているが、流量の増大に伴って流速が減少しているため、空気導入口部45から湯水中に導入される空気量を比較的低い導入量に抑制させることができる。
【0043】
空気導入口部45は、ジェットノズル44の噴射方向に対する横方向(本実施形態においては左右方向)において、ジェットノズル44の側方側からジェットノズル44の噴射方向の正面近傍まで延びている。より具体的には、空気導入口部45は、浴槽連通部42のジェットノズル44の設けられている底面42aに対して側面42cから横方向に延び、且つジェットノズル44の出口開口の延長領域C近傍まで延びるように形成されている。延長領域Cは、ジェットノズル44の出口開口を下流側に向けて直線的に延長したとした場合の仮想的な領域として規定される。空気導入口部45は、側面42cからジェットノズル44の噴射方向の正面近傍まで延びている。空気導入口部45は、浴槽連通部42内において側面42cとジェットノズル44の中心軸線との間に延びている。よって、空気導入口部45は、ジェットノズル44に対して直交するように、側面42cからジェットノズル44の正面前方まで延ばされている。このように、空気導入口部45は、ジェットノズル44の噴射方向に対する横方向において、側面42cよりも内側且つジェットノズル44から噴射される浴槽水の流速の高い噴射方向の正面近傍の領域まで延びている。
【0044】
空気導入口部45の先端の先端開口部45aが、ジェットノズル44の先端の正面よりわずかに側面42c側に寄った位置に配置されている。この先端開口部45aは、その下流側(浴槽水導入部46側)の開口部分が上流側(ジェットノズル44側)の開口部分よりも大きくなるような斜めの開口として形成されている。矢印F4に示すようなジェットノズル44からの高速の湯水の流れにより、ジェットポンプ作用による負圧が生じ、空気導入口部45の先端開口部45aから空気が引き込まれ(吸引され)、湯水の中に微細(微小)な空気の気泡が混入される。
【0045】
空気導入口部45には空気導入管56が接続され、空気導入管56上には空気の導入路の開閉を行うことができる空気導入切替弁58が設けられている。空気導入管56の他端には、浴室内から空気を取り入れる空気開口(図示せず)が形成されている。本実施形態においては、空気はジェットポンプ作用による負圧によって湯水中に吸引されるので、空気を空気導入管56に送出するためのエアポンプ等の装置を省略することができる。空気導入切替弁58の開閉の制御は制御部8によって電気的に行われている。すなわち、空気供給の実行及び停止(オン/オフ)を空気導入切替弁58の開閉によって切替えることができる。使用者Hが、空気供給を実行した場合には、浴槽2の上端近傍に設けられた吐水部6からの吐水、例えば肩湯の吐水に空気を混入させることにより、吐水が入浴者に当たる際の吐水刺激(吐水の当たる感覚)を柔らかくすることができる。また、使用者Hが、空気供給を停止或いはやめている場合には、空気を混入させず、吐水が入浴者に当たる際の吐水刺激(吐水の当たる感覚)を強めることができる。このように空気導入口部45から湯水中に導入される微小な空気の気泡の量は、制御部8によって制御される。なお、空気導入切替弁58を省略して自然に空気が導入されるように構成することもできる。さらに、制御部8の脈動モードによれば、空気導入切替弁58のオン/オフを自動で定期的に或いは他の条件により交互に切り換え、吐水部6からの吐水中の空気の混入量を自動的に変化させ、吐水が使用者Hに与える刺激を所定の条件により変化させることができる。例えばこのような脈動モードにより、肩湯の吐水刺激効果やマッサージ効果をより強くすることができる。なお、空気導入口部45及び空気導入切替弁58等の空気導入システムを省略して浴槽装置1を微細な空気を混入させないように構成してもよい。
【0046】
浴槽水導入部46は、浴槽水導入流路34の少なくとも一部を形成している。浴槽連通部42から吐水部6に向かって延びる浴槽水導入部46は、ジェットノズル44の開口の向きの延長線上において直線的に延びる流路を形成している。浴槽水導入部46は、浴槽連通部42の上面から上方に直線的に延びる円管状の流路を形成している。浴槽水導入部46の流路径は、ジェットノズル44の流路径よりも大きく形成されている。よって、浴槽水導入部46の流路断面積も、ジェットノズル44の流路断面積よりも大きく形成されている。よって、浴槽水導入部46は、ジェットノズル44から噴射される湯水の流量よりも多くの流量の湯水を導入できるような大きさに形成されている。ジェットノズル44、浴槽連通部42及び浴槽水導入部46は、一つの方向に延びる直線的な流路を形成し、ジェットノズル44から噴射される高速の噴流の向きに沿った高速の流れを形成することができる。
【0047】
なお、浴槽水導入流路34は、その上部において、左右方向に広がる展開部48を形成しており、展開部48において左右方向に広がった湯水を吐水部6から横方向(例えば水平に近い横向き)に吐水できるようになっている。展開部48は、上方において流路断面積が徐々に大きくなるような流路を形成している。浴槽水導入流路34の下流側は吐水部6に接続されている。
【0048】
次に、図10乃至図12を参照して、浴槽水連通流路部47、ポンプ上流側流路28及び開度調整機構54等について説明する。
図10図2のIII-III線に沿って見た浴槽の断面図であり、図11は本発明の一実施形態による浴槽装置のジェットポンプユニットの開度調整機構が連通流路入口部の近傍に設けられ且つ開度調整機構が連通流路入口部を開く開状態に調整されている状態を示す概略断面図であり、図12は本発明の一実施形態による浴槽装置のジェットポンプユニットの開度調整機構が連通流路入口部の一部を覆うように設けられ且つ開度調整機構が連通流路入口部の一部を覆うような閉状態に調整されている状態を示す概略断面図である。
【0049】
浴槽水連通流路部47は、浴槽連通部42と浴槽2との間の連通流路26と、浴槽2側のその入口部分を形成する連通流路入口部50と、を備えている。浴槽水連通流路部47が設けられているので、ジェットポンプユニット10のジェットポンプ水貯留部41に湯水を供給するための専用の給水源等を別途設けることなく、浴槽2の浴槽水を浴槽水連通流路部47からジェットポンプ水貯留部41に導入することができ、浴槽装置1の全体の構造を簡素化して形成することができる。また、ジェットポンプユニット10のジェットポンプ水貯留部41に湯水を浴槽2の外部から供給するための専用の給水源等を別途設けていないので、ジェットポンプユニット10により、ブロー吐水部16から吐水される浴槽水の流量よりも大きな流量を吐水部6から浴槽2内に吐水させる場合においても、外部から追加の給水を受けることにより、浴槽2内の水位、すなわち水量が増えることを防止することができる。
【0050】
連通流路入口部50は、入口流路24に接続するように形成され、入口流路24内に開口されている。連通流路入口部50は、入口流路24及び浴槽2の内部領域A(入浴者の入浴領域)に向かって開口するように形成されている。図10に示すように、浴槽2の内部領域Aから入口流路24内(入口流路24の奥側)を見た場合に、連通流路入口部50は、浴槽連通口部12より奥側且つ入口流路24内の入口流路内縦壁24aの上部に円形の開口を形成している。連通流路入口部50の流路の断面積は、浴槽水導入部46の流路の断面積よりも大きくなるように形成されている。
【0051】
ここで、連通流路入口部50は、ポンプ4に浴槽2内の浴槽水を吸引するポンプ上流側流路28のポンプ流路入口部52と、独立して形成されている。ポンプ流路入口部52は、浴槽連通口部12より奥側且つ入口流路24内の入口流路内縦壁24aの下部に円形の開口を形成している。連通流路入口部50は、ポンプ流路入口部52よりも大きな半径の円形開口を形成している。よって、連通流路入口部50の流路断面積は、ポンプ流路入口部52の流路断面積よりも大きく形成されている。入口流路内縦壁24aにおいて、連通流路入口部50と、ポンプ流路入口部52との間は入口流路内縦壁24aにより所定距離にわたって離間され、連通流路入口部50とポンプ流路入口部52とが別個に独立して配置されている。ポンプ流路入口部52は、入口流路24に接続するように形成され、入口流路24内に開口されている。ポンプ流路入口部52は、入口流路24及び浴槽2の内部領域A(入浴者の入浴領域)に向かって開口するように形成されている。連通流路入口部50とポンプ流路入口部52とは、並行に同じ向きに向かって開口されているので、それぞれの導入口部に向かう湯水の流れが、それぞれの導入口部に向かって並行に流入することとなり、流入する流れが互いに干渉又は影響しにくくすることができる。
【0052】
図10に示すように、入口流路24が、連通流路入口部50の流路断面積とポンプ流路入口部52の流路断面積との総和(合計)よりも大きな流路断面積を有するように形成されている。入口流路24が、連通流路入口部50の流路断面積とポンプ流路入口部52の流路断面積との総和(合計)よりも大きな流路断面積を有することにより、浴槽連通口部12から入口流路24内に流入した湯水が、連通流路入口部50とポンプ流路入口部52とのそれぞれに向かう場合に、それぞれの導入口部に向かって並行に流入することとなり、流れが互いに干渉しにくくすることができ、連通流路入口部50から浴槽連通部42に向かって流入する湯水がポンプ4のポンプ流路入口部52側への吸引によって影響を受けることを防ぐことができ、想定量の湯水をジェットポンプユニット10に安定して供給することができる。
【0053】
図10に示すように、入口流路24は、その内部に連通流路入口部50及びポンプ流路入口部52を形成し、浴槽2側の単一の開口部として浴槽連通口部12を形成している。よって、入浴者が浴槽2側から見た場合には、単一の浴槽連通口部12のみが見えるようになっている。このように、浴槽2の縦壁2bに、連通流路入口部50及びポンプ流路入口部52の2つの開口を直接形成することなく、1つの浴槽連通口部12、すなわち入口流路24のみを形成することができるので、浴槽2に入口流路24を接続するための加工作業を低減させることができ、さらに浴槽2と入口流路24との間のシール部分を低減させることによりシールの製造作業及びシールの管理作業を低減することができ且つ水漏れのリスクも低減させることができる。
【0054】
図11及び図12に示すように、ジェットポンプユニット10は、さらに、浴槽水連通流路部47の連通流路入口部50の開口面積を調整することができる開度調整機構54を備えている。開度調整機構54は、連通流路入口部50の近傍に設けられている。開度調整機構54は、連通流路入口部50の開口面積を調整することができるシャッター機構を備えている。開度調整機構54は、浴槽装置1の使用者が浴槽2内から手動により連通流路入口部50の流路の開口面積を調整することができるように形成されている。より具体的には、使用者Hの手指等の簡便な操作により浴槽連通口部12側から開度調整機構54の位置を手動で変更することができる。なお、連通流路入口部50の開口面積の調整は電動の機構により行われてもよい。
【0055】
図11に示すように、開度調整機構54が、連通流路入口部50を開く開状態に調整されている状態である場合には、入口流路24から連通流路入口部50を通過して浴槽連通部42に向かって流れる湯水の流れF21と、入口流路24からポンプ流路入口部52を通過してポンプ4に流れる湯水の流れF22とが形成されている。開度調整機構54が、連通流路入口部50を狭めていない開状態であるので、連通流路入口部50の口径に応じた流量及び/又は流速の流れF21が浴槽連通部42に向かって形成されることとなる。
【0056】
図12に示すように、開度調整機構54が、連通流路入口部50の全部又は一部を覆うような閉状態として位置される場合には、連通流路入口部50に流入される湯水の流量及び/又は流速が制限されるため、浴槽連通部42に供給される湯水の流量が制限され、ポンプ4の制御をしなくとも、吐水部6から吐水される湯水の流量、速度及び水勢等を簡単に調節することができる。このとき、入口流路24から連通流路入口部50を通過して浴槽連通部42に向かって流れる湯水の流れF23と、入口流路24からポンプ流路入口部52を通過してポンプ4に流れる湯水の流れF24とが形成されている。ここで、開度調整機構54が、連通流路入口部50を狭めている閉状態であるので、連通流路入口部50に流入される湯水の流量及び/又は流速が制限され、F23の流量及び/又は流速はF21の流量及び/又は流速よりも小さくなる。一方、流れF23とF24の流量及び流速は、ポンプ4の性能に応じるため、ほぼ一定である。
本実施形態においては、開度調整機構54は、連通流路入口部50の開状態と、閉状態とを2段階で調整できるようになっているが、開度調整機構54は、連通流路入口部50の開度(開口の開閉割合)を、例えば3段階や5段階等の複数の段階に応じて調整できるようにしてもよい。
【0057】
本実施形態の開度調整機構54によれば、共通のポンプ4から供給される浴槽水を、ブロー吐水部16から吐水される浴槽水の流速は吐水部6から吐水される浴槽水の流速よりも高く且つ吐水部6から吐水される浴槽水の流量はブロー吐水部16から吐水される浴槽水の流量よりも大きくなるように、ブロー吐水部16と吐水部6とから同時に吐水させることができる浴槽装置1において、ブロー吐水部16から吐水される湯水の流速及び流量の変更を伴うようなポンプ4の設定及び/又はポンプ4自身の変更を行うことなく、吐水部6から吐水される湯水の流速及び流量を比較的簡単な構成で比較的簡単に変更又は調整(微調整)することができる。
【0058】
次に、図3乃至図7により、本実施形態による浴槽装置1による吐水部6のみからの吐水動作を説明する。
図7は本発明の一実施形態による浴槽装置の浴槽内に使用者が座っている状態で、吐水部のみからの吐水動作が行われる様子を示す斜視図である。
浴槽装置1による吐水部6からの吐水動作が開始される前において、使用者Hが入浴できる温度の湯水が例えば給水水位WL0まで浴槽2内に給水され且つ貯水されている。このとき、浴槽2と浴槽連通部42とが入口流路24及び連通流路26を介して連通されているので、浴槽2とほぼ同じ温度の湯水が浴槽連通部42内にも貯水された状態となっている。
【0059】
浴槽装置1による吐水部6からの吐水動作を開始しようとするとき、使用者Hは、操作部38を操作して吐水部6からの吐水を選択する。使用者Hが操作部38を操作した情報が制御部8に伝達される。このとき、制御部8は圧力センサ40の検出した水圧の値に基づいて、浴槽2内の湯水の水位の高さの判定を行う。
制御部8が、浴槽2内の水位が浴槽連通口部12から空気が導入される可能性がある所定水位WL2以下であると判断する場合には、ポンプ4を作動させないように制御する。この所定水位は、例えば、浴槽連通口部12の上端の高さの水位WL2とされている。よって、制御部8が、浴槽2内の水位が浴槽連通口部12から空気が導入される可能性がある所定水位(例えばWL2)より高い水位であると判断する場合には、ポンプ4を作動させるように制御する。
【0060】
制御部8が、ポンプ4を作動させると、ポンプ4は、矢印F1に示すように、浴槽2内の湯水を浴槽連通口部12から入口流路24及びポンプ上流側流路28を介して吸引する。そして、ポンプ4は、矢印F2に示すように、吸引した湯水を下流側のポンプ下流側流路30に圧送する。制御部8は、噴射部側流路32、及びブロー吐水部側流路36のうちの両方又はいずれか一方の流路を選択的に開閉するように切替弁18を制御する。例えば、ブロー吐水部16からの吐水動作を行わず且つ吐水部6からの吐水動作を行う場合には、切替弁18によりポンプ下流側流路30からブロー吐水部16側流路への流路の連通を閉状態とし、且つポンプ下流側流路30から噴射部側流路32への流路の連通を開状態とする。このとき、湯水は、矢印F3に示すように、ポンプ下流側流路30から噴射部側流路32に供給される。噴射部側流路32内を通過する湯水は、矢印F4に示すように、ジェットノズル44から浴槽連通部42及び浴槽水導入部46の内方に向けて高速且つ直線的に噴射される。このとき、浴槽連通部42においてジェットノズル44から噴射された湯水がジェットポンプ作用により浴槽連通部42内の湯水を引き込みながら浴槽水導入部46に流れる。
【0061】
制御部8は、ポンプ4から供給される浴槽水を、後述する吐水部6のみからの吐水動作を実行させる吐水部吐水モードを備えている。制御部8は、ポンプ4から供給される浴槽水を、後述するブロー吐水部16のみからの吐水動作を実行させるブロー吐水モードを備えている。
制御部8は、ポンプ4から供給される浴槽水を、上記第1吐水部から吐水される浴槽水の流速は上記第2吐水部から吐水される浴槽水の流速よりも高く且つ上記第2吐水部から吐水される浴槽水の流量は上記第1吐水部から吐水される浴槽水の流量よりも大きくなるように、後述する吐水部6及びブロー吐水部16から同時(同時期)に行われる吐水動作を実行させる同時吐水モードを備えている。また、制御部8は、空気導入切替弁58のオン/オフを自動で定期的に或いは他の条件により交互に切り換える脈動モードを備えていてもよい。これにより、吐水部6からの吐水中の空気の混入量を変化させ、吐水が使用者Hに与える刺激に変化を付与することができるため、肩湯の吐水刺激効果をより強くすることができる。さらに、制御部8は、吐水部6からの吐水とブロー吐水部16(攪拌吐水部)からの吐水とを同時(同時期)に行う吐水動作を実行させる攪拌吐水モードを備えている。攪拌吐水モードによれば吐水部6から比較的温度の低い湯水が吐水されないように、吐水部6からの吐水中にブロー吐水部16からの吐水を行って浴槽2内の湯水を攪拌することができる。
【0062】
次に、図5及び図6に示すように、ジェットノズル44から噴射された湯水がジェットポンプ作用により浴槽連通部42内の湯水を引き込みながら浴槽水導入部46に流れる様子をより詳細に説明する。
図5及び図6に示すように、ジェットノズル44から高速で噴射された湯水は、矢印F4に示すように、噴流(ジェット流)を形成し、ジェットノズル44の開口の向きに高速且つ強力な推進力を有する流れを形成する。このとき、この噴射された湯水の流れが、ジェットポンプ作用、すなわちエジェクタ効果により、周囲の湯水を引き込む作用を生じる。本実施形態においては、矢印F4に示すような直線的な噴流に対し、浴槽連通部42内の湯水が、矢印F5及びF6に示すように、引き込まれ(他の表現によれば巻き込まれ)る。このとき、ジェットノズル44から噴射された湯水の流量q1に、浴槽連通部42内から引き込まれる湯水の流量q2が加算され、より大流量の浴槽水導入部46内の湯水の流量q3となる(矢印F4'参照)。このような流量の関係はq1+q2=q3の式により示すことができる。このように、ジェットポンプユニット10は、ジェットポンプ作用を用いて、ジェットノズル44の下流側の浴槽連通部42内の湯水を巻き込んで吐水流量を増幅させる技術を実現することができる。
【0063】
ジェットノズル44から噴射された湯水が、浴槽連通部42において、浴槽2内から流入する湯水を引き込むことから、ジェットノズル44から噴射される湯水に低温の湯水(前回使用時の残水等)が混じっている場合においても、浴槽連通部42内の湯水を引き込みながら吐水部6に供給されるので、浴槽2内の湯水の温度に比較的近い温度の湯水を吐水部6から吐水させることができる。従って、使用者Hに冷たさを感じさせることをより確実に抑制することができ、ポンプ4の使用開始直後から吐水部6からの吐水を使用することができ、浴槽装置1の始動性を向上させることができる。
また、浴槽連通部42内から引き込まれる湯水の流量q2は、ジェットノズル44から噴射された湯水の流量q1よりも多い流量に設定されている。このように、q2>q1の流量の関係を有しているので、ジェットノズル44から噴射される湯水に低温の湯水(前回使用時の低温の残水や、浴槽2への湯水の供給後の時間経過によりポンプ4等の流路内の湯水の温度が低下した場合の低温の湯水等)が混じっている場合においても、噴射された湯水がジェットノズル44から噴射される湯水の流量q1よりも多い流量q2の浴槽連通部42内の湯水を引き込みながら吐水部6に供給されるので、浴槽水導入部46の湯水中において、浴槽連通部42から引き込まれる湯水内の湯水の温度に近い比較的暖かい湯水の割合が支配的となる。従って、使用者Hに冷たさを感じさせることをより確実に抑制することができ、ポンプの使用開始直後から吐水部6からの吐水を使用することができ、浴槽装置1の始動性を向上させることができる。
【0064】
浴槽水導入部46内の湯水の流量q3は、例えば、ジェットノズル44から噴射された湯水の流量q1の2倍~4倍の流量の範囲に設定されている。また、例えば、浴槽水導入部46内の湯水の流量q3は、30l/min~80l/minの流量の範囲に設定されている。浴槽連通部42内から引き込まれる湯水の流量q2は、例えば、ジェットノズル44から噴射された湯水の流量q1の1倍~3倍の流量の範囲に設定されている。
【0065】
上述のように、ジェットノズル44から噴射された湯水は、浴槽連通部42において湯水を引き込み、浴槽水導入部46に流入する。浴槽水導入部46内の湯水は、ジェットノズル44から噴射された湯水の水勢及び流速を維持しながら上向きに流れ、展開部48に到達する。湯水の流れは、展開部48において左右方向に広げられた流れとなり、吐水部6に到達する。矢印F7に示すように、湯水は、左右方向に長く形成されている吐水口22から正面側(浴槽内部側)に向かって滝のように吐水される。このように、湯水は、肩幅程度の幅を持った帯状の流れとして吐水され、使用者Hの首及び肩に比較的均一に掛かる。吐水部6から吐水される湯水は、ほぼ一定の幅及び厚みの安定した流水の流れを形成している。吐水部6から吐水される湯水は、使用者Hの首、肩、胸及び背中などの広範囲にわたって比較的均等に広がるように流れることができ、例えば半身浴の状態の使用者Hの体が冷えないように温めることができる。
【0066】
また、吐水部6から吐水される湯水は、ジェットポンプユニット10を介して供給されているため、ポンプ4の大きさに伴う圧送可能流量よりも増大された流量とされている。すなわち、ポンプ4の大きさを大型化することなく、ポンプ4の圧送可能流量に対して例えば2倍~4倍の大きさの吐水部6からの大流量の吐水をすることができる。大流量の吐水を実現するためにポンプの大きさを大型化することは、ポンプの設置位置や大きさ(サイズ)についてスペースの制約があり非常に難しい。また、仮に大流量の吐水を実現するためにポンプの大きさを大型化することは、ポンプの振動や作動音が大きくなるため、使用者Hに不快感を与える可能性がある。
これに対し、本実施形態においては、安易にポンプの大きさを大型化できない環境において、ジェットポンプユニット10を用いることにより大流量の吐水を実現することができる。吐水部6から大流量の吐水が行えることにより、浴槽2内に貯水する湯水の量(使用者Hが浸かっている湯水の量)を比較的少なくした場合においても、使用者Hの体が冷えないようにより効率的に温めることができる。また、浴槽2内に貯水する湯水の量(使用者Hが浸かっている湯水の量)を比較的少なくできるので、節水効果を実現することができる。吐水部6から大流量の吐水が行えることにより、使用者Hの体の温め効果及びマッサージ効果を増大させることができ、使用者Hのリラックス効果及びくつろぎ効果を増大させることができる。
【0067】
次に、図8に示すように、本実施形態による浴槽装置1によるブロー吐水部16のみからの吐水動作を説明する。
図8は本発明の一実施形態による浴槽装置の浴槽内に使用者が座っている状態で、図2のIII-III線に沿って見た浴槽装置の内部構造を概略的に示し、ブロー吐水部のみからの吐水動作が行われる様子を説明する概略断面図である。
【0068】
浴槽装置1によるブロー吐水部16のみからの吐水動作を開始しようとするとき、使用者Hは、操作部38を操作してブロー吐水部16からの吐水を選択する。使用者Hが操作部38を操作した情報が制御部8に伝達される。このとき、制御部8は圧力センサ40の検出した水圧の値に基づいて、浴槽2内の湯水の水位の高さの判定を行う。制御部8が、浴槽2内の水位がブロー吐水部16の高さの水位WL3以下の水位であると判断する場合には、ポンプ4を作動させないように制御する。よって、制御部8が、浴槽2内の水位がブロー吐水部16の高さより高い水位であると判断する場合には、ポンプ4を作動させるように制御する。
【0069】
制御部8が、ポンプ4を作動させると、ポンプ4は、矢印F8に示すように吸引した湯水を、矢印F9に示すように下流側のポンプ下流側流路30に圧送する。制御部8は、ブロー吐水部16からの吐水動作を行い且つ吐水部6からの吐水動作を行わないようにするため、ポンプ下流側流路30からブロー吐水部側流路36への流路の連通を開状態とし、且つポンプ下流側流路30から噴射部側流路32への流路の連通を閉状態とするように切替弁18を制御する。このとき、湯水は、矢印F10に示すように、ポンプ下流側流路30からブロー吐水部側流路36に供給される。ブロー吐水部側流路36に流入した湯水は、矢印F11に示すように、ブロー吐水部16から浴槽内に向けて噴射される。ブロー吐水部16から吐水される湯水は、ポンプ4によって圧送された湯水であり、比較的小流量且つ高速の吐水流を形成している。ブロー吐水部16から吐水される湯水は、使用者Hの腰や背中に衝突することにより、衝突した部分のマッサージを行うことが出来る。この間、切替弁18がポンプ下流側流路30から噴射部側流路32への流路の連通を閉状態としているので、吐水部6からの吐水動作は行われない。
【0070】
次に、図9に示すように、本実施形態による浴槽装置1において、吐水部6及びブロー吐水部16から同時(同時期)に行われる吐水動作を説明する。
図9は本発明の一実施形態による浴槽装置の浴槽内に使用者が座っている状態で、図2のIII-III線に沿って見た浴槽装置の内部構造を概略的に示し、吐水部及びブロー吐水部から同時に行われる吐水動作が行われる様子を説明する概略断面図である。
【0071】
なお、本実施形態による浴槽装置1による吐水部6及びブロー吐水部16から同時に行われる吐水動作については、実施形態による浴槽装置1による吐水部6のみからの吐水動作と、ブロー吐水部16のみからの吐水動作と共通する吐水動作に関する説明については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
吐水部6及びブロー吐水部16から同時(同時期)に行われる吐水動作とは、吐水部6から行われる吐水動作と、ブロー吐水部16から行われる吐水動作とがある時点において同時に行われている場合の吐水動作をいう。従って、吐水部6から行われる吐水動作と、ブロー吐水部16から行われる吐水動作とが同時期に開始される場合のみならず、吐水部6から行われる吐水動作と、ブロー吐水部16から行われる吐水動作とがそれぞれ異なる時点で開始され両者の吐水動作が並行して行われている場合を含む。
【0072】
浴槽装置1による吐水部6及びブロー吐水部16から同時に行われる吐水動作を開始しようとするとき、使用者Hは、操作部38を操作して吐水部6からの吐水及びブロー吐水部16からの吐水を両方選択する。
制御部8は、上述のように浴槽2内の水位が浴槽連通口部12から空気が導入される可能性がある所定水位WL2より高い水位であると判断し且つ浴槽2内の水位がブロー吐水部16の高さの水位WL3より高い水位であると判断する場合に、ポンプ4を作動させるように制御する。
【0073】
制御部8が、ポンプ4を作動させると、ポンプ4は、矢印F12に示すように、浴槽2内の湯水を浴槽連通口部12から入口流路24及びポンプ上流側流路28を介して吸引する。そして、ポンプ4は、矢印F13に示すように、吸引した湯水を下流側のポンプ下流側流路30に圧送する。制御部8は、噴射部側流路32及びブロー吐水部側流路36の両方を開状態とするように切替弁18を制御する。よって、湯水は、矢印F14及びF15に示すように、ポンプ下流側流路30から噴射部側流路32及びブロー吐水部側流路36の両方に供給される。
【0074】
矢印F14に示すように、噴射部側流路32内を通過する湯水は、矢印F16に示すように、ジェットノズル44から浴槽連通部42及び浴槽水導入部46の内方に向けて高速且つ直線的に噴射される。このとき、浴槽連通部42においてジェットノズル44から噴射された湯水が、矢印F17に示すように、ジェットポンプ作用により浴槽連通部42内の湯水を引き込みながら浴槽水導入部46に流れる。浴槽水導入部46から吐水部6に供給される湯水の流量q3はジェットノズル44から噴射された湯水の流量q1に対して増幅されている(矢印F16'参照)。矢印F18に示すように、湯水は、左右方向に長く形成されている吐水口22から正面側(浴槽内部側)に向かって滝のように吐水される。
ジェットノズル44から噴射される湯水に低温の湯水(前回使用時の残水等)が混じっている場合においても、浴槽連通部42内の湯水を引き込みながら吐水部6に供給されるので、浴槽2内の湯水の温度に比較的近い温度の湯水を吐水部6から吐水させることができる。また、ジェットポンプユニット10を用いることにより吐水部6から大流量の吐水を行うことができる。
【0075】
次に、本実施形態において空気導入口部45によって空気が噴射された湯水中に混入されることを説明する。
図3及び図5において、矢印F4に示すように、湯水が、ジェットノズル44から浴槽連通部42及び浴槽水導入部46の内方に向けて高速且つ直線的に噴射される。このとき、浴槽連通部42においてジェットノズル44から噴射された湯水がジェットポンプ作用により空気導入口部45内の空気を引き込みながら浴槽水導入部46に流れる。このとき、空気導入口部45が噴射部の下流側の近傍に配置されているので、ジェットノズル44から噴射された湯水が、噴射された直後に空気を湯水中に引き込む。ジェットノズル44から噴射される湯水の流れの流量は、比較的少量である。このとき、ジェットノズル44から噴射される湯水の流れの流量が噴射された直後の比較的少ない状態(ジェットノズル44から噴射される湯水の流量とほぼ同じ流量)であるので、噴射される湯水の流量に応じて引き込まれる空気の導入量を比較的少なく抑制することができる。ジェットノズル44から噴射された湯水は、空気導入口部45より下流側の浴槽連通部42及び浴槽水導入部46を通過するにつれて、ジェットポンプ作用により浴槽連通部42内の湯水を引き込みながらその流量が増大される。このように、主に空気導入口部45より下流側において、流量が増幅されるので、空気導入口部45付近を通過する流れの流量の増大が抑制され、空気導入口部45から湯水中に引き込まれる空気の流量が過度に増大されることを抑制することができる。
【0076】
さらに、ジェットノズル44から噴射された湯水は、ジェットポンプ作用により浴槽連通部42内の湯水を引き込みながらその流量が増大されるので、空気混入量の増加を抑制した状態で比較的大流量の吐水を行うことができる。従って、吐水部から比較的大流量の吐水を行う浴槽水の流れにエジェクタ作用により空気を導入する場合であっても、空気の導入量を比較的少なく抑制することができ、空気の導入量が増えて吐水部からの吐水が割れやすくなることを抑制することができ、比較的均一で安定した吐水状態が形成できる。より具体的には、横長に形成された幅広の吐水口22から所定の幅の幅広且つ薄膜状の流れとして吐水がなされる場合に、吐水中に比較的大きな大きさの気泡が含まれることにより、水流が複数の水流に割れて分割されるように乱れる、一部が途切れるようにして水流が偏る、又は均一な幅広薄膜状の流れの一部に水流が乱れるようにして空間が出現する等の水流の割れ、乱れを抑制し、吐水中に空気を混入した状態においても、均一な幅広薄膜状の滑らかな流れを形成することができる。
このような流れによれば、空気を混入した流れが使用者に当たる場合にリラックス効果やマッサージ効果を与えるのみならず、微細な気泡を混入した流れが使用者に当たる場合の吐水刺激(使用者に与える感覚)が乱れることが抑制され、さらに、水跳ね等も抑制され、使用者が肩湯として使用する場合に、効果的なリラックス効果を与えることができる。
【0077】
また、空気導入口部45がジェットノズル44の下流側の近傍及び/又は噴射方向の正面近傍の正面領域に配置されているので、ジェットノズル44から噴射された湯水が、噴射された直後の比較的流速の高い領域において空気を湯水中に引き込む。よって、湯水の比較的流速の高い流れにより空気が空気導入口部45から引き込まれることにより、空気が比較的大きな気泡として導入されることを抑制し、空気が微細な気泡として分割されて導入させることができる。このように、湯水中に微細な大きさの気泡が混入されることにより、吐水部からの吐水が割れやすくなるような比較的大きな大きさの気泡が混入されることを抑制することができる。また、空気が微細な気泡の状態で少量ずつ混入されるため、多量の空気が比較的大きな気泡として混入されることを抑制し、比較的少量の総量の空気を混入させることができる。従って、比較的少量且つ微細な状態の気泡を混入でき、吐水部からの吐水流をより割れにくくすることができる。
【0078】
ここで、入口流路24内の湯水の流れを説明する。入口流路24には、湯水が浴槽2から浴槽連通口部12を通って流入する。入口流路24においては、浴槽2内から連通流路入口部50に流入する湯水の流れと、浴槽2内からポンプ流路入口部52に流入する湯水の流れとが、それぞれ独立した入口に対して形成される。連通流路入口部50と、ポンプ流路入口部52とは、それぞれ並行に浴槽2の内部領域Aに向かう開口を形成しているので、連通流路入口部50及びポンプ流路入口部52のそれぞれに流入する湯水の流れは、独立され且つ直線的にそれぞれの開口に向かって流入する流れを形成する。従って、2つの流れが互いに影響しにくくすることができ、連通流路入口部50から浴槽連通部42に向かって流入する湯水がポンプ4によってポンプ流路入口部52内に吸引される影響を受けることを防ぐことができ、湯水をジェットポンプユニット10に安定して供給することができる。
【0079】
また、入口流路24においては、入口流路24の流路断面積が、連通流路入口部50の流路断面積とポンプ流路入口部52の流路断面積との総和よりも大きくなるように形成されているので、入口流路24内において分岐される、浴槽2内から連通流路入口部50に流入する湯水の流れと、浴槽2内からポンプ流路入口部52に流入する湯水の流れとが、入口流路24内の空間領域においてそれぞれ独立した状態で比較的安定的に形成されるので、流れが互いに影響しにくくすることができる。入口流路24が、浴槽2内から連通流路入口部50に流入する湯水の流れと、浴槽2内からポンプ流路入口部52に流入する湯水の流れとが、それぞれの流線が交差しないように配置されることができ、それぞれ影響しにくい程度に独立して流れることができるような十分な流れ領域(流れスペース)を有している。ポンプ流路入口部52に吸引される湯水の流れは、浴槽2の内部領域Aからポンプ流路入口部52に向かう湯水の流れとして形成され、連通流路入口部50側からポンプ流路入口部52に向かう湯水の流れを抑制するように形成されている。従って、浴槽連通部42に向かって流入する湯水がポンプ4によって吸引される影響を受けることをより確実に防ぐことができ、湯水をジェットポンプユニット10により安定して供給することができる。
【0080】
矢印F15に示すように、ブロー吐水部側流路36に流入した湯水は、矢印F19及びF20に示すように、ブロー吐水部16から浴槽内に向けて噴射される。ブロー吐水部16から吐水される湯水は、ポンプ4によって圧送された湯水であり、比較的小流量且つ高速の吐水流を形成している。ブロー吐水部16から吐水される湯水は、使用者Hの腰や背中に衝突することにより、衝突した部分のマッサージを行うことが出来る。
【0081】
図9において、ブロー吐水部16が浴槽2内に貯留されている浴槽水を攪拌する攪拌吐水部としても機能していることを説明する。吐水部6からの吐水とともに、ブロー吐水部16(攪拌吐水部)からの吐水を同時に行って浴槽2内の湯水を攪拌することができる。
ブロー吐水部16から高速で吐水される湯水は矢印F20に示すように強力な流れを形成し、浴槽2内の自然の湯水の対流に加えて、浴槽2内の湯水を強制的に攪拌するような流れを形成する。また、ブロー吐水部16から高速で吐水される湯水は使用者Hに衝突した場合にも、例えば矢印F25に示すような上下方向に広がるような流れを生じさせ、浴槽2内の湯水を強制的に攪拌するような流れを形成する。
【0082】
浴槽連通部42及び浴槽水連通流路部47が、浴槽2の底部2aと上端部2cとの間の中間の高さ位置h1以下の高さ位置に配置されていることにより、浴槽2内の湯水のうち低い位置に貯留しやすい比較的温度の低い湯水が浴槽連通部42に流入する可能性がある場合においても、ブロー吐水部16によって浴槽2内の浴槽水を攪拌し、ジェットポンプユニット10に比較的温度の高い湯水を流入させることができる。 吐水部6からの吐水とともに、ブロー吐水部16からの吐水も行うことにより、ジェットポンプユニット10から吐水部6に比較的温度の低い湯水が供給され、吐水部6から比較的温度の低い湯水が使用者Hに吐水されることをより確実に抑制することができる。
また、ブロー吐水部16が浴槽水連通流路部47の連通流路26が接続される浴槽2の縦壁2bにおいて配置され、ブロー吐水部16と、浴槽連通口部12とが、同一の縦壁2bに沿って比較的近くに配置されることとなるから、浴槽水連通流路部47の連通流路26に流入する湯水をブロー吐水部16によってより効率よく攪拌することができる。従って、ジェットポンプユニット10から吐水部6に比較的温度の低い湯水が供給され、吐水部6から比較的温度の低い湯水が使用者Hに吐水されることをより確実に抑制することができる。
【0083】
本実施形態において、吐水部6は幅広の比較的大きな吐水口22を形成し低速且つ大流量の吐水を行うのに対し、ブロー吐水部16は小径の開口を形成し高速且つ小流量の吐水を行っている。このような流速及び流量の異なる吐水を同時期に行っている。本実施形態においては、噴射部側流路32に取付けられたジェットノズル44における圧力損失と、ブロー吐水部側流路36に取付けられたブロー吐水部16における圧力損失との差異を比較的小さくすることができるため、共通のポンプ4から湯水を供給する場合であっても、湯水の流量が各流路のいずれかに大きく偏ることを抑制し、吐水部6及びブロー吐水部16から同時に吐水動作を行うことができる。また、ジェットポンプユニット10を用いることによりポンプから噴射部側流路32に供給される湯水の流量が一定の場合(増大されていない場合)においても吐水部6から増大された大流量の吐水を行うことができ、吐水部6及びブロー吐水部16において、ぞれぞれ流速及び流量の異なる吐水を同時期に行うことができる。
【0084】
上述した本発明の一実施形態による浴槽装置1によれば、ジェットポンプユニット10を噴射部側流路32及び浴槽水導入流路34上に設けることにより、ブロー吐水部側流路36からブロー吐水部16に至る流路の圧力損失と、噴射部側流路32及び浴槽水導入流路34から吐水部6に至る流路の圧力損失と、の差を比較的小さくすることができるので、共通のポンプ4から供給される湯水が、ブロー吐水部側流路36及び噴射部側流路32及び浴槽水導入流路34のいずれかに大きく偏って供給されることを抑制でき、共通のポンプ4から供給される湯水を、ブロー吐水部16から吐水される湯水の流速は吐水部6から吐水される湯水の流速よりも高くなるように、吐水部6とブロー吐水部16とから同時に吐水させることができる。
【0085】
また、本発明の一実施形態による浴槽装置1によれば、ジェットポンプユニット10のジェットポンプ水貯留部41に湯水を供給するための専用の給水源を別途設けることなく、浴槽2の湯水を浴槽水連通流路部47からジェットポンプ水貯留部41に導入することができ、浴槽装置1の全体の構造を簡素化することができる。また、ジェットポンプユニット10のジェットポンプ水貯留部41に湯水を浴槽外から供給するための専用の給水源を別途設けていないので、ジェットポンプユニット10により、ブロー吐水部16から吐水される湯水の流量よりも大きな流量を吐水部6から浴槽2内に吐水させる場合においても、浴槽2内の水位、すなわち水量が増えることを防止することができる。
【0086】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽装置1によれば、浴槽2内から連通流路入口部50に流入する湯水の流れと、浴槽2内からポンプ流路入口部52に流入する湯水の流れとが、それぞれ独立した入口に対して形成されるので、流れが互いに影響しにくくすることができ、連通流路入口部50から浴槽連通部42に向かって流入する湯水がポンプ4によってポンプ流路入口部52内に吸引される影響を受けることを防ぐことができ、湯水をジェットポンプユニット10に安定して供給することができる。
【0087】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽装置1によれば、入口流路24の流路断面積が、連通流路入口部50の流路断面積とポンプ流路入口部52の流路断面積との総和よりも大きくなるように形成されているので、入口流路24内において分岐される、浴槽2内から連通流路入口部50に流入する湯水の流れと、浴槽2内からポンプ流路入口部52に流入する湯水の流れとが、それぞれ独立した状態で比較的安定的に形成されるので、流れが互いに影響しにくくすることができる。従って、浴槽連通部42に向かって流入する湯水がポンプ4によって吸引される影響を受けることをより確実に防ぐことができ、湯水をジェットポンプユニット10により安定して供給することができる。
また、浴槽2側において、連通流路入口部50及びポンプ流路入口部52の2つの開口を形成することなく、1つの入口流路24を形成することができるので、浴槽2に入口流路24を接続するための加工作業を低減させることができ、さらに浴槽2と入口流路24との間のシール部分を低減させることにより製造作業及び管理作業を低減することができ且つ水漏れのリスクも低減させることができる。
【0088】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽装置1によれば、共通のポンプ4から供給される湯水を、ブロー吐水部16から吐水される湯水の流速は吐水部6から吐水される湯水の流速よりも高くなるように、ブロー吐水部16と吐水部6とから同時に吐水させることができる浴槽装置1において、ブロー吐水部16から吐水される湯水の流速及び流量の変更を伴うようなポンプの設定及び/又はポンプ自身の変更を行うことなく、開度調整機構54により、吐水部6から吐水される湯水の流速及び流量を比較的簡単な構成で変更することができる。
【0089】
さらに、本発明の一実施形態による浴槽装置1によれば、共通のポンプ4から供給される湯水を、ブロー吐水部16から吐水される湯水の流速は吐水部6から吐水される湯水の流速よりも高くなるように、ブロー吐水部16よりも上方に配置される吐水部6から、ブロー吐水部16よりも上方の使用者の体の上部、例えば首、肩等に対して吐水を行うことができる。
【符号の説明】
【0090】
1 浴槽装置
2 浴槽
2a 底部
2b 縦壁
2c 上端部
4 ポンプ
6 吐水部
6a 吐水部上面
8 制御部
10 ジェットポンプユニット
12 浴槽連通口部
14 循環流路
16 ブロー吐水部
18 切替弁
20 ケーシング
22 吐水口
22a 吐水部内流路底面
24 入口流路
26 連通流路
28 ポンプ上流側流路
30 ポンプ下流側流路
32 噴射部側流路
34 浴槽水導入流路
36 ブロー吐水部側流路
38 操作部
40 圧力センサ
41 ジェットポンプ水貯留部
42 浴槽連通部
42a 底面
42b 上面
44 ジェットノズル
44a 先端
45 空気導入部
45a 先端開口部
46 浴槽水導入部
46a 入口部
47 浴槽水連通流路部
48 展開部
50 連通流路入口部
52 ポンプ流路入口部
54 開度調整機構
56 空気管
58 空気導入切替弁
H 使用者
q1 流量
q2 流量
q3 流量
W 壁面
WL0 給水水位
WL1 満水水位
WL2 水位
WL3 水位
図1
図2
図3
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