(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】ティッシュペーパ
(51)【国際特許分類】
D21H 27/00 20060101AFI20220721BHJP
D21H 11/12 20060101ALI20220721BHJP
A47K 10/16 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
D21H27/00 F
D21H11/12
A47K10/16 C
(21)【出願番号】P 2019229753
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2019-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】519454246
【氏名又は名称】加藤 雅子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅子
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-219587(JP,A)
【文献】特表2006-527800(JP,A)
【文献】特表2019-510892(JP,A)
【文献】特開平10-331090(JP,A)
【文献】独立行政法人農畜産業振興機構(alic)ホームページ、平成24年度第3回野菜需給協議会配布資料、資料7「野菜の定義について」[online],2020年12月21日,インターネット、<URL:https://www.alic.go.jp/content/000093223.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 27/00
D21H 11/12
A47K 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サツマイモの茎の繊維を原料として製造され
、乳糖によって軟化処理されたティッシュペーパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜、特に、サツマイモのような根菜類を原料とするティシュペーパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティッシュペーパは、木材チップを原料として製造されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】https://www.nepia.co.jp/company/nepia_product.html、「ネピア製品ができるまで」(令和1年10月22日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のティシュペーパでは、以下のような問題がある。
【0005】
すなわち、従来のティッシュペーパは、柔らかさを出すために、軟化剤としてグリセリンが使用されている。また、グリセリンは、良いにおいがする。
【0006】
このように、従来のティッシュペーパは、柔らかく、良いにおいがするために、乳幼児が口に入れることが多い。
【0007】
グリセリンは、人間が摂取しても特段大きな害はないが、皮膚や粘膜に対して軽い刺激性があるために、皮膚の弱い乳幼児は、摂取しないことが好ましい。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、食べても安全な野菜の繊維を使って、ティッシュペーパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0010】
すなわち、請求項1の発明は、サツマイモの茎の繊維を原料として製造され、乳糖によ
って軟化処理されたティッシュペーパである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、食べても安全な野菜の繊維を使って、ティッシュペーパを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】 本発明の実施形態に係るティッシュペーパの製造の流れを説明するフローチャートである。
【
図2】 本発明の実施形態に係るティッシュペーパの製造における加熱工程を例示する図である。
【
図3】 本発明の実施形態に係るティッシュペーパの製造における原料投入工程を例示する図である。
【
図4】 本発明の実施形態に係るティッシュペーパの製造におけるリグニン除去工程を例示する図である。
【
図5】 本発明の実施形態に係るティッシュペーパの製造における繊維取り出し工程を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態に係るティッシュペーパについて説明する。
【0018】
ティッシュペーパの原料は、例えば針葉樹や広葉樹のような木材の繊維であるパルプである。
【0019】
本実施形態に係るティッシュペーパは、木材の繊維に代えて、野菜の繊維を使って製造される。
【0020】
使用する野菜は、繊維の多い根菜類が好ましく、特にサツマイモが好適である。サツマイモには、実の部分のみならず、茎の部分にも、多くの繊維が含まれている。従って、普段は食用として使用されない茎の部分であっても、廃棄することなく、ティッシュペーパの原料として活用することも可能となるので、農業資源の有効利用にもなる。
【0021】
以下に、本発明の実施形態に係るティッシュペーパの製造方法について
図1のフローチャートに沿って説明する。以下の説明では、一例として、原料をサツマイモとして説明するが、本発明の原料は、必ずしもサツマイモに限定されるものではないと理解されたい。
【0022】
本発明の実施形態に係るティッシュペーパを製造するためには、先ず、原料である野菜(サツマイモ)から繊維を取り出す必要がある。
【0023】
このため、
図2に例示するように、リグニンを除去する薬品が添加された水Wを釜10の中に入れ、釜10を加熱する(S1)。
【0024】
次に、
図3に例示するように、この釜10の中に、原料Gであるサツマイモの茎を投入し、加熱を続けながら、かき混ぜる(S2)。
【0025】
リグニンは、繊維を、葉や茎に接着する作用のある物質である。したがって、リグニンを除去することによって、野菜から繊維を分離することができる。リグニンを除去する方法は、酸や塩基で抽出する方法や、リグニン自体を分解して取り除く方法など、様々な方法が知られている。したがって、ステップS2では、これら公知の技術の何れかを用いて原料Gであるサツマイモの茎からリグニンを除去することができる(S3)。
【0026】
リグニンが除去されることによって、茎と繊維とが分離される。その後、
図4に例示するように、釜10の中の液から茎Kの部分を取り除いた(S4)後、
図5に例示するように、釜10の中の液Wを篩15にかけることによって、繊維Sだけを取り出すことができる(S5)。篩15を通過した液Wは廃棄する。
【0027】
その後、ステップS5で取り出した繊維Sから、洗浄等によって、異物Iを取り除く(S6)。
【0028】
このようにして取り出された繊維Sを原料として、ティッシュペーパを製造する(S7)。
【0029】
その後の具体的な製造方法は、パルプの繊維を原料とする従来のティッシュペーパの製造方法と同じであるので、詳細な説明を省略する。ただし、従来は、軟化剤としてグリセリンが使用されているが、本実施形態では、軟化剤として、グリセリンに代えて、乳糖を使用する。
【0030】
このように、本発明の実施形態によれば、パルプの繊維に代えて、野菜の繊維を原料として、ティッシュペーパを製造することができる。野菜を原料としているが故に、誤って食べても害はなく、乳幼児に対しても安心して使用することができる。
【0031】
また、パルプの繊維で製造されたティッシュペーパと同様に、軟化処理されているので、肌ざわりも柔らかで心地よい。ただし、軟化処理には、グリセリンに代えて、乳糖が使用されているので、皮膚の弱い人であっても使用することができる。
【0032】
また、本発明の実施形態の副次的な効果として、野菜資源の有効利用という効果を奏することができる。すなわち、従来廃棄されていた野菜の茎の部分であっても、ティッシュペーパの原料として活用することができるので、資源の有効利用の点からも好ましいものである。
【0033】
以上、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0034】
10 釜
15 篩