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7108261温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構
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  • -温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/14 20060101AFI20220721BHJP
   E05F 1/16 20060101ALI20220721BHJP
   E05F 3/22 20060101ALI20220721BHJP
   E05C 19/02 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
A01G9/14 Q
E05F1/16 C
E05F3/22 D
E05C19/02 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018130608
(22)【出願日】2018-07-10
(65)【公開番号】P2020005580
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090114
【弁理士】
【氏名又は名称】山名 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【弁理士】
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】窪田 亮
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007628(JP,A)
【文献】特許第4879004(JP,B2)
【文献】実開平05-071386(JP,U)
【文献】特開平11-152956(JP,A)
【文献】特開2004-190230(JP,A)
【文献】特開平10-299317(JP,A)
【文献】実開昭52-138658(JP,U)
【文献】特開2010-275811(JP,A)
【文献】特開2010-007283(JP,A)
【文献】特開2010-174491(JP,A)
【文献】登録実用新案第3083521(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第02989886(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14
E05F 1/16
E05F 3/22
E05C 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室の出入口開口の上辺レールに戸車が懸架され、前記戸車に吊設されたスライド式ドアの上部にワイヤ引き込み式のぜんまいユニットが設置され、且つ前記ワイヤの先端が前記上辺レールに接続されていると共に、前記上辺レールにストッパー機構が設置され、前記スライド式ドアの開き時に戸車が前記ストッパー機構に係止され、その係止状態の解除時に前記ぜんまいユニットのワイヤに引き込まれて当該スライド式ドアが自閉自在に構成されていること
前記ストッパー機構は、係止部材と同係止部材を包持するベース体とが一体化して構成され、前記ベース体は、左右に側壁部を有する横断面形状が下向きに開口部を有する溝形鋼状をなし、その略中央が垂直方向に穿設された雌ネジ部に形成されており、前記係止部材の通孔とベース体の雌ネジ部の位置を合致させて係止部材を包持するベース体は、その左右の側壁部が上辺レールの左右のリップの上面又はその近傍に載置され、前記通孔と雌ネジ部に下方からネジ込んだボルトが上辺レールの上面部の内側面に当接されてストッパー機構が固定されること を特徴とする、温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構。
【請求項2】
前記スライド式ドアの戸車は、ダブル車輪の車軸に車軸支持ロッドが垂下して設けられて成り、前記車軸支持ロッドに当該スライド式ドアが吊設され、且つ上辺レールは、横断面形状が下向きに開口部を有するリップ付溝形鋼状をなし、内向きの左右のリップの上面が前記ダブル車輪の走行面とされており、前記ストッパー機構は、前記上辺レール内に装填される係止部材の内端が、左右一対の腕部によって鍬形状に形成されて成り、前記腕部の奥の係止スペースで前記ダブル車輪の車軸支持ロッドが係止され、少しの力で前記車軸支持ロッドは係止部材から解除されて当該スライド式ドアが自閉する構成であることを特徴とする、請求項1に記載した温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構。
【請求項3】
前記ストッパー機構の係止部材は、弾性のある合成樹脂製によって、垂直方向に通孔が穿設された基部の内端に形成された左右一対の腕部の先端は、ダブル車輪の車軸支持ロッドが進入しやすい末広がり状の開口先端部に形成され、つづく内方は前記車軸支持ロッドの直径より狭い狭小口部に形成され、つづく内方は前記車軸支持ロッドの直径より若干広くて同車軸支持ロッドを係止自在な係止スペースをなす係止奥部として形成された構成であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構。
【請求項4】
前記スライド式ドアの戸車をなすダブル車輪には、ベアリングが装填されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載した温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構。
【請求項5】
前記上辺レールには、ぜんまいユニットによって自閉するスライド式ドアの勢いを制止する補助ストッパーが所望位置に設置され、自閉する前記ドアの戸車をなすダブル車輪が当該補助ストッパーに当接されてドアは閉じ位置で閉じられることを特徴とする、請求項1又は2又は4に記載した温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温室(ビニールハウス)の出入口開口の上辺レールに懸架された戸車に吊設され、自動的に自閉するタイプのスライド式ドアのストッパー機構に関し、さらに言えば、必要に応じて、このスライド式ドアを開けたときに一時的にストップ(係止)させて開き状態を維持し、温室の内外を通過しやすくして作業が行え、その開き状態の解除もスムーズに行える温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、温室の出入口開口におけるハット型下辺レールとドア枠下面に戸車を設けたスライド式ドアにおいて、ドア枠にぜんまいユニットを取り付け、スライド式ドアが自動的に自閉するものは公知である。このハット型下辺レールとドア枠下面に戸車を設けたスライド式ドアでは下辺レールにストッパー機構を設けている。しかし、一般的な温室で使用されている上辺レールに懸架された戸車に吊設されたドアでは、下辺レールはスペースがなく、戸車を使用しづらく、スライド式ドアを開いた際に、一時的に係止して開き状態を維持する装置を設置する場所がない。
これに対し、温室の出入口開口における上辺レールは、横断面形状が下向きに開口部を有するリップ付溝形鋼状をなしているので、その内向きの左右のリップの上面を、ダブル車輪の走行面として利用する技術が開発されている。
例えば、本出願人が開発した特許文献1には、温室の出入口開口に取付けた上辺レールと、前記上辺レールに吊設されてスライド移動されるスライド式ドアとより成るスライド式ドア構造において、上辺レールは、横断面形状の基本形が下向きに開口部を有するリップ付溝形鋼状をなし、内向きに略直角に屈曲された左右のリップの上面が戸車の走行面とされ、片側のリップの端縁はリップ下側へ折り返されて当該リップとの間にセルフタップビスをネジ込み可能な間隙の溝部が形成され、更に側板の延長線上で略垂直下向きに屈曲された垂下面部が形成されており、シート止め材がセルフタップビスを前記溝部へねじ込むことによって上辺レールに取付けられ、スライド式ドアの上部から垂直上向きに突き出る形に取付けられたダブル車輪が前記上辺レール内の左右のリップの上面に走行可能に載置されている、温室用のスライド式ドア構造が開示されている(同文献1の請求項1参照)。
【0003】
一方、ぜんまいユニットも種々開発され、上記のような温室の上辺レールに適用できるものとして、例えば特許文献2に記載された引き戸クローザが知られている。同クローザは、ワイヤと、このワイヤの他端を固設するぜんまいを収容したぜんまい室及びワイヤ室を有するぜんまいユニットと、ワイヤの中間部を巻装若しくは係止するとともにダンパ力をワイヤを介して引き戸に付与するダンパユニットと、ワイヤが通過経路から脱線するのを防止するワイヤ乱れ防止手段とを備えた引き戸クローザであって、ぜんまいユニットは、引き戸の閉扉速度を調整する調速手段を、ぜんまい室の側面と対面する調速室に備え、ワイヤ室には、ワイヤを巻き取るためのワイヤプーリをぜんまい室との第1の境界壁に形成し、調速手段はぜんまい室と調速室との境界を構成する第2の境界壁の厚さをぜんまい軸寄りの方がぜんまいの外周寄りの方よりも厚くなるように形成され、引き戸内部に埋設可能な薄型化を図ることができる技術である(同文献2の請求項1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第2764698号公報
【文献】特許第4879004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、スライド式ドアの戸車をダブル車輪で構成し、横断面形状が下向きに開口部を有するリップ付溝形鋼状をなしている温室の上辺レールを利用して、その内向きの左右のリップの上面をダブル車輪の走行面とすることができる。そして、特許文献2に記載された引き戸クローザを温室の上辺レールに適用し、スライド式ドアを自動的に自閉させることが可能である。
しかし、そのような温室の上辺レールに吊設されるスライド式ドアをぜんまいユニットで自動的に自閉できても、当該ドアを開いて(全開して)一時的にその開き状態を維持するストッパー機構は未だ開発されていない。
【0006】
したがって、本発明は上記のような問題点を解決すべくなされたもので、その目的は、温室の出入口開口の上辺レールに懸架された戸車に吊設され自動的に自閉するスライド式ドアを開けた際に、必要に応じて一時的にストップ(係止)させて開き状態を保ち、温室の内外を通過して作業しやすくし、その開き状態の解除もスムーズに行える温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構は、温室1の出入口開口10の上辺レール2に戸車3が懸架され、前記戸車3に吊設されたスライド式ドア4の上部にワイヤ60引き込み式のぜんまいユニット6が設置され、且つ前記ワイヤ60の先端が前記上辺レール2に接続されていると共に、前記上辺レール2にストッパー機構5が設置され、前記スライド式ドア4の開き時に戸車3が前記ストッパー機構5に係止され、その係止状態の解除時に前記ぜんまいユニット6のワイヤ60に引き込まれて当該スライド式ドア4が自閉自在に構成されていること、
前記ストッパー機構5が、係止部材5Aと同係止部材5Aを包持するベース体5Bとが一体化して構成され、前記ベース体5Bは左右に側壁部57、57を有する横断面形状が下向きに開口部56を有する溝形鋼状をなし、その略中央が垂直方向に穿設された雌ネジ部59に形成されており、前記係止部材5Aの通孔55とベース体5Bの雌ネジ部59の位置を合致させて係止部材5Aを包持するベース体5Bは、その左右の側壁部57、57が上辺レール2の左右のリップ21、21の上面22、22又はその近傍に載置され、前記通孔55と雌ネジ部59に下方からネジ込んだボルト8が上辺レール2の上面部23の内側面23aに当接されてストッパー機構5が固定される
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記請求項1に記載したスライド式ドア4の戸車3が、ダブル車輪30、30の車軸31に車軸支持ロッド32が垂下して設けられて成り、前記車軸支持ロッド32に当該スライド式ドア4が吊設され、且つ前記上辺レール2は、横断面形状が下向きに開口部20を有するリップ21付溝形鋼状をなし、内向きの左右のリップ21、21の上面22、22が前記ダブル車輪30、30の走行面とされており、前記ストッパー機構5は、前記上辺レール2内に装填される係止部材5Aの内端が、左右一対の腕部51、51によって鍬形状に形成されて成り、前記腕部51、51の奥の係止スペースKで前記ダブル車輪30、30の車軸支持ロッド32が係止され、少しの力で前記車軸支持ロッド32は係止部材5Aから解除されて当該スライド式ドア4が自閉する構成である。
【0009】
請求項3に記載した発明は、前記請求項1又は2に記載したストッパー機構5の係止部材5Aが、弾性のある合成樹脂製によって、垂直方向に通孔55が穿設された基部50の内端に形成された左右一対の腕部51、51の先端は、ダブル車輪30、30の車軸支持ロッド32が進入しやすい末広がり状の開口先端部52に形成され、つづく内方は前記車軸支持ロッド32の直径より狭い狭小口部53に形成され、つづく内方は前記車軸支持ロッド32の直径より若干広くて同車軸支持ロッド32を係止自在な係止スペースKをなす係止奥部54として形成された構成である。
なお、この係止部材5Aが金属製で且つ車軸支持ロッド32が合成樹脂製であったり、係止部材5Aの腕部51の一部を合成樹脂製にするなど様々な形態で実施可能である。
【0011】
請求項に記載した発明は、前記請求項1~3のいずれか1項に記載したスライド式ドア4の戸車3をなすダブル車輪30、30に、ベアリングが装填されている。
【0012】
請求項に記載した発明は、前記請求項1又は2又は4に記載した上辺レール2に、ぜんまいユニット6によって自閉するスライド式ドア4の勢いを制止する補助ストッパー7が所望位置に設置され、自閉する前記ドア4の戸車3をなすダブル車輪30、30が当該補助ストッパー7に当接されてドア4は閉じ位置CLで閉じられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構は、温室の出入口開口の上辺レールに戸車が懸架され、その戸車に吊設されたスライド式ドアが、当該ドアに設置されたワイヤ引き込み式のぜんまいユニットによって閉止自在であると共に、上辺レールにストッパー機構が設置されているので、スライド式ドアの開き時に戸車(車軸支持ロッド)がストッパー機構(係止部材)に係止され、一時的に係止させて開き状態を保ち、温室の内外を必要に応じて自由に通過でき、作業効率の向上に寄与する。
その戸車(車軸支持ロッド)の係止状態の解除時にも、僅かな力でスライド式ドアをストッパー機構から離脱でき、離脱されたドアはぜんまいユニットのワイヤに引き込まれてスムーズに自閉する自在性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構を温室の上辺レールに取付けた状態を示した斜視図である。
図2】Aはスライド式ドアの戸車のストッパー機構への係止前又は係止離脱後を示した説明斜視図、Bは戸車のストッパー機構への係止状態を示した説明斜視図である。
図3】ストッパー機構の係止部材を示した左側面図(A)、平面図(B)、右側面図(C)、裏面図(D)、正面図(E)である。
図4】Aはストッパー機構の分解図、BはAのストッパー機構の組立て完成図である。
図5】Aはストッパー機構の上辺レールへの設置過程を示した斜視図、Bはストッパー機構の上辺レールへの設置状態を示した斜視図である。
図6】片開きタイプのスライド式ドアにストッパー機構を実施した例を温室の内側から示した正面図である。
図7】両開きタイプのスライド式ドアにストッパー機構を実施した例を温室の内側から示した正面図である。
図8】両開きタイプのスライド式ドアにおいて片開きのドアでストッパー機構を実施した例を温室の内側から示した正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施形態の温室用の自閉スライド式ドアのストッパー機構は、温室1の出入口開口10の上辺に取り付けた上辺レール2に懸架された戸車3に吊設して自動的に自閉するタイプのスライド式ドア4を開けた際に、必要に応じて一時的にストップ(係止)させて開き状態を維持し、温室1の内外を通過して作業しやすくさせるために、前記上辺レール2に設置して実施されるものである。
【0016】
基本的には、図6図8に示したような温室1の出入口開口10の上辺レール2に戸車3が懸架され、前記戸車3にスライド式ドア4が吊設されている。当該スライド式ドア4の内側上部の閉じ方向寄り内端に、ワイヤ60引き込み式のぜんまいユニット6が設置されている。と共に、同ぜんまいユニット6用のストッパー61が上辺レール2の所望位置にボルト8を介して設置され、且つ前記ぜんまいユニット6のワイヤ60の先端が前記ストッパー61に接続され、スライド式ドア4がぜんまいユニット6によって閉止自在になっている。そして、スライド式ドア4を開けた際における同ドア4の外端の上方位置近傍の上辺レール2にストッパー機構5が設置され、前記スライド式ドア4の開き時に戸車3が前記ストッパー機構5に係止され、その係止状態の解除時に前記ぜんまいユニット6のワイヤ60に引き込まれて当該スライド式ドア4が自動的に自閉される構成となっている。
前記ぜんまいユニット6としては、上記特許文献2のクローザを使用できるが、そこまで精緻な構造ではなく、少なくとも例えば、互いに独立して回動可能なせんまい部とダンパ部(図示は両略)とに捲回するワイヤ60を介してスライド式ドア4を自動的に閉止可能なユニット等で実施される。
【0017】
前記スライド式ドア4の戸車3は、図2に示したように、車軸31の両端で支持されるダブル車輪30、30で好適に実施される。このダブル車輪30、30には、ベアリング(図示は省略)を装填して実施するのが好ましい。ぜんまいユニット6のバネの力が弱いからである。スライド式ドア4の重さが約2kgの場合、ベアリング使用時は100~200g相当になり開閉が楽になる。
前記の車軸31(丸棒体)の中央に形成された貫通孔33に、車軸支持ロッド32(φ=10mm)が垂下して設けられ、前記車軸支持ロッド32に当該スライド式ドア4が吊設されている。符号34は上端に形成された抜止め縁部である。
一方、上辺レール2は、幅寸が50mmで、横断面形状が下向きに開口部20を有するリップ21付溝形鋼状をなし、内向きの左右のリップ21、21の上面22、22が、前記ダブル車輪30、30の載置後の走行面とされている。
【0018】
本実施形態のストッパー機構5は、係止部材5Aと同係止部材5Aを包持するベース体5Bとで構成されている。
係止部材5Aは、図3A~Eに示したように、弾性のある合成樹脂製で形成され、垂直方向に通孔55が穿設された基部50(縦×横(幅寸)×高さ=44×36×8mm)の内端に形成された左右一対の腕部51、51の先端が、図2のダブル車輪30、30の車軸支持ロッド32が進入しやすい末広がり状の開口先端部52に形成されている。先端の最大開口幅は14mmである。つづく内方が、前記車軸支持ロッド32の直径より狭い7mm幅の狭小口部53に形成されている。つづく内方は、前記車軸支持ロッド32の直径より若干広く、本実施例では12mmの幅寸で同ロッド32を係止自在な係止スペースKをなす係止奥部54として形成されている。かくして、当該係止部材5Aの内端が、左右一対の腕部51、51によって鍬形状に形成されている。
前記の基部50には、その上面で奥行方向に凹んだ上向き凹部50aが形成されている。後述するベース体5Bと嵌合させるためである。また基部50の下面には、レール方向に凹んだ下向き凹部50b・・・が複数形成されている。上辺レール2と嵌合させるためであり、腕部51が上辺レール開口部20と平行になり、ズレることを防止している。
【0019】
ベース体5Bは、縦×横(幅寸)×高さ=60×40×10mmの金物で、左右に側壁部57、57を有する横断面形状が下向きに開口部56を有する溝形鋼状をなし、その略中央が垂直方向に穿設された雌ネジ部59に形成されている。よって、前記係止部材5Aの上向き凹部aをベース体5Bの下向き凸部58に嵌合させて両係止部材5Aとベース体5Bを一体化したストッパー機構5を形成する(図4A、B参照)。そのとき、係止部材5Aの通孔55とベース体5Bの雌ネジ部59の位置が合わさるストッパー機構5を垂直又は斜めにし、図5Aのように、上辺レール2の開口部20に下方から挿入する。
【0020】
この一体化したストッパー機構5を上辺レール2内に納めたら、設置したい所望位置で、係止部材5Aを包持するベース体5Bの左右の側壁部57、57を、上辺レール2の左右のリップ21、21の上面22、22又はその近傍に載置する(図5B)。そのとき、係止部材5Aの下向き凹部50b・・・が、上辺レール2のリップ21、21の内側端縁21a、21aに嵌り込んで位置決めしやすい。そして、前記通孔55と雌ネジ部59に下方からネジ込んだボルト8が、上辺レール2の上面部23の内側面23aに当接されて当該ストッパー機構5が固定される(図1図5B)。
なお、本実施形態では、ストッパー機構5を係止部材5Aとベース体5Bとの2部材を後から一体化した例を示しているが、係止部材5Aとベース体5Bを別部材とせず、元々一体化した態様で実施してもよい。
【0021】
したがって、上辺レール2内に装填されて固定された前記ストッパー機構5は、前記左右一対の腕部51、51によって鍬形状に形成された係止部材5Aの当該腕部51、51の奥の係止スペースKで、前記ダブル車輪30、30の車軸支持ロッド32が係止される。一方、少しの力で前記車軸支持ロッド32は係止部材5Aから解除され当該ドア4が自閉する。
【0022】
上述した自閉スライド式ドアのストッパー機構5の使用例について説明する。
まず、図6は、片開きタイプの自閉スライド式ドア4にストッパー機構5を実施した例を示している。
図6に示した温室1の内側において、スライド式ドア4の上部内端にぜんまいユニット6が設置され、そのワイヤ60の先端が上辺レール2の右側に設置されたユニット用ストッパー61に接続されている。上辺レール2に吊設されたドア4の内端上部が前記ぜんまいユニット6によって自動的に自閉する。そして、開いて係止(ストップ)する時には、ぜんまいユニット6のバネの力もあるので、少し強めに前記ストッパー機構5の係止部材5Aの係止スペースKに入れて係止させる。一方、その係止状態を解除する際は、ぜんまいユニット6のバネの力も作用し、ドア4の閉じ方向に軽い力で動かせてその係止を解除することができる。
【0023】
図7は、両開きタイプの自閉スライド式ドア4、4にストッパー機構5を実施した例を示している。
この左右に位置する両開きタイプの自閉スライド式ドア4、4においては、前記片開きタイプの左右対称のように、上辺レール2の中央の閉じ位置(符号のCLを参照)にユニット用ストッパー61が設置され、閉じ位置(CL)から若干離れた左右両側に補助ストッパー7、7が各々設置されると共に、同上辺レール2の左右両側に各々ストッパー機構5、5が設置されている。上辺レール2に吊設された左右両側のドア4、4の上部内端に設置の各ぜんまいユニット6、6のワイヤ60、60の先端が、中央の前記ユニット用ストッパー61にそれぞれ接続されて自動的に自閉し、開き時には前記左右のストッパー機構5に各々係止される。
補助ストッパー7は、例えば上述したストッパー機構5の係止部材5Aを除いたベース体5Bのみを使用する構成で実施することが可能である。やはり、ボルト8で上辺レール2に固定される。
そのため、左右両側で係止され開いた自閉スライド式ドア4、4が、係止を解除されて閉じるとき、前記補助ストッパー7、7によって勢いよくスライド移動するのが制止され、中央の閉じ位置(CL)で、確実に左右両側のドア4、4が閉じる。
【0024】
図8は両開きタイプの自閉スライド式ドア4、4において、通常片開きのドア4を開閉する実施例を示している。
上辺レール2の中央の閉じ位置(CL)にユニット用ストッパー61が設置され、閉じ位置(CL)から若干離れた左側に補助ストッパー7が設置されると共に、同上辺レール2の左側に左側のドア4を係止するストッパー機構5が設置されている。一方、前記閉じ位置(CL)から干離れた右側に、右側のドア4を係止するストッパー機構5が設置され、この右側のドア4は通常当該ストッパー機構5による係止状態が維持されている。
前記上辺レール2に吊設された左側のドア4の上部内端に設置のぜんまいユニット6のワイヤ60の先端が、中央の前記ユニット用ストッパー61に接続されて自動的に自閉し、開き時には前記左側のストッパー機構5に係止自在である。
したがって、左側で係止して開いていた自閉スライド式ドア4が、係止を解除されて閉じるとき、前記補助ストッパー7に当接して止まるので、勢いよく移動して右側のドア4にガチャンと当たって右側のドア4の係止状態が解除されることがなく、少しの衝撃で右側の閉じているドア4が開くことはない。
【0025】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0026】
1 温室
10 出入口開口
2 上辺レール
20 開口部
21 リップ
22 上面
23 上面部
23a 内側面
24 側面部
3 戸車
30 ダブル車輪
31 車軸
32 車軸支持ロッド
4 スライド式ドア
5 ストッパー機構
5A 係止部材
50 基部
50a 上向き凹部
50b 下向き凹部
51 腕部
52 開口先端部
53 狭小口部
54 係止奥部
55 通孔
K 係止スペース
5B ベース体
56 開口部
57 側壁部
58 下向き凸部
59 雌ネジ部
6 ぜんまいユニット
60 ワイヤ
61 ユニット用ストッパー
7 補助ストッパー
8 ボルト
CL 閉じ位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8