(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2017044459
(22)【出願日】2017-03-09
【審査請求日】2019-09-06
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潤
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】北川 創
【審判官】村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-298(JP,A)
【文献】特許第6035400(JP,B1)
【文献】特許第6048902(JP,B1)
【文献】特許第6060409(JP,B1)
【文献】特開2016-179219(JP,A)
【文献】特開2014-140536(JP,A)
【文献】特許第5935936(JP,B1)
【文献】”CRぱちんこウルトラバトル烈伝 発表会「ULTRAレバー体験コーナー」”,YouTube [online] [video],2015年2月13日,特に、0:00-0:05を参照。,[2021年11月18日検索],インターネット,URL,https://www.youtube.com/watch?v=1dtaxceWVJ0
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
遊技者が操作可能な有体物である操作手段と、
遊技者に対して前記操作手段の操作を促す演出であって操作有効期間中の操作が演出上反映される操作演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記操作演出において、前記操作手段を操作すべき時機であることを遊技者に示すために表示される画像であって前記操作手段を表した部分を含む操作画像が、当該操作手段を表した部分を含めて前記操作手段の操作方向に沿って移動するように前記操作有効期間が開始されるよりも前の所定期間中に前記表示装置に表示され、前記操作有効期間が開始される時点で前記操作画像が所定位置に到達し、当該所定位置に到達した当該操作画像
が含む前記操作手段を表した部分をそのまま用いて遊技者に対し前記操作手段の操作が促されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1等に記載されるように、遊技者に対し、押しボタン等の操作手段の操作を促す演出を実行することが可能な遊技機が公知である。操作手段の操作を促す際には、操作画像(例えば、操作手段を模した画像)が表示される(特許文献1の
図9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、操作手段を用いた演出の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示装置と、遊技者が操作可能な操作手段と、遊技者に対して前記操作手段の操作を促す操作演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記操作演出において、前記操作手段を操作すべき時機であることを遊技者に示すために表示される操作画像が、前記操作手段の操作方向に沿って移動するように前記表示装置に表示されることを特徴とする。
【0006】
上記本発明にかかる遊技機では、操作画像が操作手段の操作方向に沿って移動するように表示装置に表示される。したがって、これを見た遊技者は、自身によるその後の操作手段の操作態様を想起することになる。つまり、遊技者の操作意欲を向上させることによる演出の趣向性向上につながる。
【0007】
前記操作画像は、前記操作手段の操作が演出上反映される操作有効期間を示すメータ画像を含むものであるとよい。
【0008】
このように、操作有効期間を示すメータを含めた操作画像が移動表示されるようにすることで、操作有効期間が設定されるということを(操作画像が移動表示されている際に)予め知ることが可能である。
【0009】
前記操作演出は、前記操作手段を上方に向かって変位させるよう操作することを促す演出であり、前記操作画像は、上方に向かって移動するように前記表示装置に表示されるとよい。
【0010】
このように、操作画像を上方に向かって移動するように表示することで、その後、操作手段を上方に向けて操作させるべき時機が訪れることを想起させることが可能である
【0011】
前記操作演出は、前記操作手段を下方に向かって変位させるよう操作することを促す演出であり、前記操作画像は、下方に向かって移動するように前記表示装置に表示されるとよい。
【0012】
このように、操作画像を下方に向かって移動するように表示することで、その後、操作手段を下方に向けて操作させるべき時機が訪れることを想起させることが可能である
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる遊技機は、操作手段を用いた演出の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態にかかる遊技機の外観斜視図である。
【
図2】遊技盤およびその後方に固定された表示装置を示した図である。
【
図3】表示装置に表示される識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図4】操作手段が第一位置に位置した状態(通常状態)、および第二位置に位置した状態(準備状態)を示した概略図である。
【
図6】押し込み操作演出が発生する場合において、対象報知演出中に操作手段が通常状態から準備状態に遷移するケースを示した図である。
【
図7】押し込み操作演出が発生する場合において、先の報知演出中に操作手段が通常状態から準備状態に遷移するケースを示した図である。
【
図8】押し込み操作演出が発生する場合において、複数の先の報知演出に跨って操作手段が通常状態から準備状態に遷移するケースを示した図である。
【
図9】押し込み操作演出が発生する場合において、二つ先の報知演出中に操作手段が準備状態に遷移し、一つ先の報知演出中に押し込み操作演出が発生せず、その後の対象報知演出中に押し込み操作演出が発生するケースを示した図である。
【
図10】操作手段が通常状態から準備状態に遷移したものの、押し込み操作演出が発生しないケースを示した図である。
【
図11】引き上げ操作演出の概要を示した図である。
【
図14】複合操作演出において、第二操作有効期間の開始時点が種々変化しうることを説明するためのタイムチャートである。
【
図15】第二操作有効期間を示すメータの表示手法を説明するための図である。
【
図16】操作手段を引き上げ操作させる演出発生時における操作画像の表示態様を説明するための図である。
【
図17】操作手段を押し下げ操作させる演出発生時における操作画像の表示態様を説明するための図である。
【
図18】操作手段を手前側に引き込むよう操作させる演出発生時における操作画像の表示態様を説明するための図である。
【
図19】操作手段を奥側に押し込むよう操作させる演出発生時における操作画像の表示態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1)全体構成
以下、本発明にかかる遊技機1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1および
図2を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0016】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。遊技盤90の後方には表示装置91が固定されている。当該表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901より視認される。表示領域911の形状は適宜変更可能である。
【0017】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0018】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0019】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口904は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、公知の遊技機と同様に、大当たりとなる場合には、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(
図3参照)が所定の組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となることによって報知され、それ以外の組み合わせが表示された場合にははずれとなる。
【0020】
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(識別図柄80(識別図柄群80g)の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0021】
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている当否判定結果の報知が開始されていない取得された数値(当否判定情報)のそれぞれに対応するマークである保留図柄70が表示装置91の表示領域911に表示される(
図3参照)。本実施形態では、数値が取得されたタイミングが早いものから(いわゆる保留消化が早いものから)順に左から並ぶよう表示される。保留図柄70を表示する専用の表示装置が設けられていてもよい。保留図柄70の態様は常に同じであってもよいし、対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)が高まったことを示唆する通常の保留図柄70とは異なる態様の一または複数種の特殊図柄が設定されていてもよい。
【0022】
なお、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0023】
2)操作手段
2-1)操作手段の基本的構成
本実施形態にかかる遊技機1は、遊技者が操作可能な操作手段10を備える。操作手段10は、所定の方向に沿って移動することが可能な構造物である。本実施形態における操作手段10は「剣」を模した構造物である。操作手段10は、原位置である第一位置と、当該第一位置よりも上方(「上方」とは、水平方向よりも上向きのことをいう。また、「下方」とは、水平方向よりも下向きのことをいう。以下同じ)の位置である第二位置との間を移動することが可能である。なお、以下の説明における操作手段10の位置等は、操作手段10が原位置である第一位置に位置した状態におけるものをいう。
【0024】
操作手段10は、遊技機1の枠部20(前面枠)に形成された収容空間内に入り込んだ状態にある(
図1等参照)。具体的には、枠部20には上方に向かって開放する開口部が形成された収容空間が形成されており、当該空間内に操作手段10の一部(剣の「刃」の部分)が入り込み、他の一部(剣の「鍔」「持ち手」の部分)が収容空間外(収容空間の上方)に位置した状態にある。操作手段10が第一位置から第二位置に変位(上方に向かって変位)すると、収容空間内に入り込んでいた操作手段10の一部(剣の「刃」の部分)が収容空間外に露出する。
【0025】
第一位置(
図4(a)参照)は、それ以上操作手段10が下方に移動することができない位置である。第二位置(
図4(b)参照)はそれ以上操作手段10が上方に移動することができない位置である。操作手段10が第一位置に位置したこと(もしくは、ほぼ第一位置に位置しているとみなすことができるような範囲内にあること)および第二位置に位置したこと(もしくは、ほぼ第二位置に位置しているとみなすことができるような範囲内にあること)は、図示されないセンサにより検出される。
【0026】
かかる操作手段10に対し、電気的駆動源の動力が伝達可能に構成されている。本実施形態にかかる駆動源はモータ30である(
図4参照)。モータ30から操作手段10に至るまでの動力伝達機構の構成はどのようなものであってもよいから説明を省略する。モータ30を一方に回転させることにより操作手段10は第一位置から第二位置に変位する。モータ30を他方に回転させることにより操作手段10は第二位置から第一位置に変位する。つまり、本実施形態にかかる操作手段10は、遊技者の操作によらず、自動的に動作することも可能である。
【0027】
遊技者が操作手段10を操作すべき(操作可能な)タイミングでないときにおいては、操作手段10はロックされている。当該ロック機構はどのようなものであってもよい。本実施形態では、励磁されたモータ30のディティントトルクにより、操作手段10を第一位置から第二位置に容易に変位させることができないようにされている。
【0028】
本実施形態においては、操作手段10の操作態様として、二種類の操作態様が設定されている。一つは、操作手段10を第一位置から第二位置に変位させる操作態様(以下、第一操作態様と称することもある)であり、もう一つは操作手段10を第二位置から第一位置に変位させる操作態様である。第一操作態様は、操作手段10を上方に向かって「引き上げる」操作態様であるということができる。第二操作態様は、操作手段10を下方に向かって「押し込む」操作態様であるということができる。
【0029】
2-2)操作手段を用いた各種演出等
以下、上記操作手段10を用いた各種演出や、操作手段10に関する制御等について説明する。
【0030】
2-2-1)押し込み操作演出
遊技者に対し、操作手段10を「押し込む」(押し下げる)よう操作すること、すなわち上述した第二操作態様にて操作することを促す演出について説明する。押し込み操作演出では、遊技者が操作手段10を「押し込む」べきタイミングであることが把握できるような操作画像(なお、「画像」というときは、静止画、動画の両方を含む。以下同じ)が表示される(
図5(a)参照)。かかる操作画像は、操作有効期間(操作が演出に反映される期間)の経過時間または残り時間を示すメータ画像を含むものであるとよい。これらの画像が表示されること自体は公知の操作演出と同様である。押し込み操作が検出されたこと(もしくは操作有効期間が経過したこと)を契機として、遊技者に有利な状況となること(例えば大当たりに当選したこと)を示す成功結末、または成功結末とならなかったことを示す失敗結末が実行される(
図5(b)参照)。
【0031】
本実施形態にかかる操作手段10は、原位置である第一位置に位置した状態においてはそれ以上下方に変位させること、すなわち「押し込む」ことができない。したがって、押し込み操作演出を実行する場合には、操作手段10を予め第一位置から第二位置に変位させる。つまり、モータ30を駆動し、操作手段10を、通常状態(第一位置)から、押し込み操作を行うのに適した準備状態(第二位置)に自動的に遷移させる。このように、本実施形態では、原位置である第一位置に位置する状態においては実行することができない操作態様(特定操作)にて、操作手段10の操作を促す演出を実行することが可能である。
【0032】
上述したように、当否判定結果は、識別図柄80によって報知される。一つの当否判定結果を報知する識別図柄80の変動開始から変動停止までの一連の演出を報知演出とする。押し込み操作演出は、当該報知演出の少なくとも一部として実行されることがある演出である。基本的には、ある当否判定結果の報知演出(以下、対象報知演出と称することもある)において押し込み操作演出を実行することが決定された場合、基本的には、対象報知演出が開始されてから(識別図柄80の変動が開始されてから)、準備動作が開始され、押し込み操作演出が発生するよりも前に当該準備動作が完了され、押し込み操作演出に至ることになる(
図6参照)。
【0033】
しかし、対象報知演出の時間(期間)が短い場合、対象報知演出が開始された後、準備動作が開始されるのでは、準備動作の完了時点が押し込み操作演出の開始時点に間に合わないおそれがある。そこで、本実施形態では、対象報知演出よりも前に実行される報知演出(以下、先の報知演出と称することもある)中に、準備動作を開始させる(第一位置から第二位置への移動を開始させる)ことがある。具体的には、対象報知演出に対応する当否判定情報(以下、対象当否判定情報と称することもある)が保留情報として記憶手段に記憶されている時点(対象報知演出が開始されていない時点)において、当該対象報知演出中に押し込み操作演出が実行されることが決定された場合に、対象当否判定情報よりも先に取得された当否判定情報に対応する先の報知演出中に準備動作を開始させることがある(
図7参照)。したがって、ある意味においては、当該準備動作の開始という事象は、対象報知演出において押し込み操作演出が発生することを事前に示唆するというものであるため、公知の先読み演出の一種であるということができる。
【0034】
準備動作は、押し込み操作演出の開始時点(操作有効期間の開始時点)までに完了すればよい。したがって、準備動作は、先の報知演出中に「開始」され、押し込み操作演出の開始時点までに完了すればよい。したがって、準備動作の開始から完了までの期間は、先の報知演出と対象報知演出に跨っていてもよい。
【0035】
ただし、準備動作は、対象報知演出が開始されるよりも前に「完了」されることが好ましい。つまり、
図7に示した例のように、対象報知演出が開始されるよりも前に、操作手段10が第二位置(準備状態)に遷移することが完了していることが好ましい。このようにすることで、対象報知演出が開始された後すぐに押し込み操作演出を開始させることが可能となるからである。
【0036】
上述したように、先の報知演出の時間を利用して準備動作を実行するのは、対象報知演出の時間(期間)が短い場合があるから(対象報知演出が開始されてから準備動作を開始するのでは準備動作の完了が間に合わないおそれがあるから)である。本実施形態では、報知演出の時間(変動時間)は、複数種の候補時間のうちのいずれかが設定される。そして、当該複数種の候補時間のうち、所定の基準時間より短い一または複数種の候補時間のいずれかが対象報知演出の時間として設定される場合には、先の報知演出を利用して準備動作を行うようにする。つまり、対象報知演出の時間が、所定の閾値よりも短い時間となる場合には、準備動作の完了が間に合わないおそれがあるとして、先の報知演出を利用した準備動作を行うものとしている。
【0037】
本実施形態では、複数種の候補時間のうちの最も短い時間(以下、最短時間と称することもある)のみが、上記基準時間よりも短い時間として設定されている。つまり、対象報知演出の時間として最短時間が設定される場合には、先の報知演出を利用した準備動作が行われる。
【0038】
最短時間が設定される状況としては種々考えられる。例えば、記憶手段に記憶されている保留情報の数が所定数以上である場合である。一般的に、保留情報の数が所定数以上であるときには、遊技の進行を早めるため、報知演出の時間(変動時間)が短くなる(短くなりうる)よう制御することが知られている。このような制御手法を用いている場合には、保留情報の数が所定数以上である場合に最短時間が設定される(設定されうる)ことになる。また、通常の遊技状態(低ベース状態)とは異なる遊技状態であって、始動入賞口904への遊技球の入賞が容易な状態(高ベース状態、時間短縮遊技状態等と称される状態)において、報知演出の時間(変動時間)が短くなるよう制御することが知られている。このような制御手法を用いる場合には、始動入賞口904への遊技球の入賞が容易な状態中に最短時間が設定される(設定されうる)ことになる。
【0039】
このように、本実施形態では、先の報知演出中に、操作手段10を第一位置(通常状態)から第二位置(準備状態)に遷移させる準備動作が開始されるよう制御することが可能であるから、対象報知演出にて実行される押し込み操作演出において、準備動作が間に合わない状況が生じてしまうのを防止することが可能である。
【0040】
本実施形態における上記構成はあくまで一例である。例えば以下のように変更、具体化等してもよい。
【0041】
a)準備動作は、複数の先の報知演出に跨って実行されることがあるようにしてもよい。つまり、対象報知演出よりも一つ前の報知演出だけでなく、それよりもさらに前の一または複数の報知演出を利用して準備動作が実行されることがあるようにする(
図8参照)。準備動作に要するトータルの時間が長い場合に有効である。また、各報知演出の時間が連続して短くなりやすい状態(上述した高ベース状態)において特に有効である。
【0042】
また、準備動作が、対象報知演出よりも二以上先の報知演出にて発生しうる設定としてもよい(
図9参照)。例えば、準備動作が、対象報知演出よりも二つ先の報知演出にて発生した場合、遊技者は、対象報知演出よりも一つ先の報知演出にて押し込み操作演出が発生するのではないかという印象を受ける。しかし、実際には、当該一つ先の報知演出では押し込み操作演出が発生せず(
図9(c)参照)、その後に実行される対象報知演出(
図9(d)(e)参照)にて押し込み操作演出が発生することになる。このような構成とすることで、押し込み操作演出が発生するタイミングが種々変化しうる(対象報知演出が容易に把握できない)面白みのある構成となる。
【0043】
b)準備動作が発生したとき、対象報知演出において必ず押し込み操作演出が発生しないようにしてもよい。すなわち、本実施形態のように準備動作が発生したときには、100%の確率で対象報知演出において押し込み操作演出が発生するものとしてもよいし、準備動作が発生した場合であっても対象報知演出において押し込み操作演出が発生しないケース(
図10参照)が生じうるようにしてもよい。前者の場合は、準備動作の発生というものは、押し込み操作演出の発生を確実にする先読み演出ということになる。後者の場合は、準備動作の発生というものは、(準備動作が発生しない場合に比して)押し込み操作演出が発生する蓋然性が高まったことを示唆するに留まる先読み演出ということになる。
【0044】
なお、準備動作が発生したにも拘わらず、対象報知演出において押し込み操作演出が発生しない場合は、モータ30を駆動して第二位置(準備状態)に位置した操作手段10を第一位置(通常状態)に戻す(
図10(e)参照)。当該戻す動作は、対象報知演出が終了した後行うとよい。このようにすれば、対象報知演出が終了するまでは、押し込み操作演出の発生に期待させる遊技性とすることが可能である。
【0045】
また、先の報知演出中に操作手段10を第一位置から第二位置に変位させた(準備状態とした)後、先の報知演出が終了するまでに操作手段10を第二位置から第一位置に戻し、対象報知演出にて押し込み操作演出が発生しないことを示すようにしてもよい。
【0046】
2-2-2)引き上げ操作演出
遊技者に対し、操作手段10を「引き上げる」よう操作すること、すなわち上述した第一操作態様にて操作することを促す(操作手段10を第一位置から第二位置に変位させることを求める)演出について説明する。引き上げ操作演出では、遊技者が操作手段10を「引き上げる」べきタイミングであることが把握できるような操作画像が表示される(
図11(a)参照)。かかる操作画像は、操作有効期間(操作が演出に反映される期間)の経過時間または残り時間を示すメータ画像を含むものであるとよい。これらの画像が表示されること自体は公知の操作演出と同様である。また、引き上げ操作演出発生時には、上述した操作手段10のロックは解除される。単独で実行される引き上げ操作演出においては(詳細を後述する複合操作演出の一部として実行されるものではない場合には)、引き上げ操作が検出されたこと(もしくは操作有効期間が経過したこと)を契機として、遊技者に有利な状況となること(例えば大当たりに当選したこと)を示す成功結末または成功結末とならなかったことを示す失敗結末が実行される(
図11(b)参照)。
【0047】
従来の遊技機は、押しボタンのような部材を、下向きに操作する操作を求める操作演出が一般的であったところ、本実施形態における引き上げ操作演出は、操作手段10を上向きに操作させることを求めるものであるため、従来にない斬新な演出態様であるといえる。
【0048】
本実施形態における操作手段10は、「剣」を模したものであって、遊技者は、当該「剣」の持ち手部分を握り、操作手段10を引き上げることになる。本実施形態では、持ち手部分の上部は、その下部よりも断面(操作手段10の操作方向に直交する平面で切断した断面)が大きい。具体的には、操作手段10には、遊技者が触れる(握る)部分(接触部11)と、当該接触部11の上側に形成された当該接触部11よりも断面が大きい部分(引掛部12)が形成されているということである(
図1参照)。遊技者が操作手段10を操作する際には引掛部12が引掛りとなるため、遊技者は操作手段10を引き上げ操作しやすい。
【0049】
このような引き上げ操作演出が発生した場合、通常遊技者は操作手段10を引き上げようとすることになるが、操作手段10を重力に逆らって変位させる操作態様であるため、遊技者の負担が大きい。特に、女性やお年寄りなどには負担が大きい操作態様となる可能性がある。
【0050】
そこで、本実施形態では、遊技者自らが操作手段10の引き上げ操作を行わなくても、遊技者が所定の代替動作を行った場合、駆動源であるモータ30の動力によって操作手段10が自動的に第一位置から第二位置に変位するよう構成されている。代替動作の具体的態様は、操作手段10の引き上げ操作よりも容易な動作であればどのようなものであってもよい。本実施形態では、操作手段10とは異なる別の操作手段である押しボタン40(
図1参照)を押し下げる操作を行うことが、代替動作として設定されている。つまり、引き上げ操作演出の操作有効期間中に押しボタン40の押し下げ操作を行った場合には、自動的に操作手段10が第一位置から第二位置に変位する、すなわち重力方向上向きに変位することになる。したがって、操作手段10の引き上げ操作を負担に感じる遊技者は、押しボタン40の押し下げ操作を行えばよいことになる。
【0051】
引き上げ操作演出中(引き上げ操作演出の操作有効期間中)に、代替動作の態様が示されようにするとよい。具体的には、表示装置91にて、押しボタン40の押圧操作により、操作手段10が自動的に上昇すること(自らが引き上げ操作を行わなくてもよいこと)が示される(代替動作表示41)(
図12参照)。このように代替動作の態様が示されるようにすることで、遊技者は容易に代替動作の態様を把握することが可能となる。
【0052】
なお、引き上げ操作演出は、後述する複合操作演出の一部(往動操作演出)として発生しうるものである。当該複合操作演出にて操作手段10を引き上げることを求められた際においても、上記代替動作を行うことにより、操作手段10が自動的に第一位置から第二位置に変位する。その後、複合操作演出の他の一部(復動操作演出)として発生する押し下げ操作演出にて、遊技者は操作手段10の押し下げ操作を行うことができる。
【0053】
本実施形態における上記構成はあくまで一例である。例えば以下のように変更、具体化等してもよい。
【0054】
a)本実施形態では、引き上げ操作演出中(引き上げ操作演出の操作有効期間中)に、代替動作の態様が表示装置91等に示されることを説明したが、このように代替動作が示されてしまうと、引き上げ操作演出の趣向性が低下してしまうおそれがある(引き上げなくてもよい、ということを遊技者が把握してしまうと興醒めしてしまうおそれがある)として、代替動作の態様が遊技者に対して示されないようにしてもよい。このような構成としても、雑誌等のメディア、遊技店が設置する遊技説明等により代替動作の態様を遊技者に知らせることができるという点において大きな問題にはならないといえる。また、代替動作が、いわゆる「隠し演出」として機能して、遊技の趣向性を向上させることに寄与することになるともいえる。
【0055】
b)上記実施形態では、代替動作は、操作手段10を引き上げる操作の代わりとなるものであることを説明したが、代替動作の対象はこのような「引き上げ操作」に限られるものではない。遊技者の負担になると思われる操作が設定されている場合には、それよりも容易な動作を代替動作として設定すればよい。
【0056】
c)代替動作は、押しボタン40等、別の操作手段の操作に限られるものではない。遊技者自らの行動が直接、または間接的に検出されるというものであればよい。例えば、所定範囲内に入り込んだ物体を検出することが可能なセンサを設け、当該センサに遊技者の身体の一部(手等)が入り込んだことを代替動作として設定することが考えられる。代替動作の態様を表示装置91等にて示すのであれば、「○○に手をかざせ」といった表示を行えばよい。
【0057】
2-2-3)複合操作演出
遊技者に対し、操作手段10を「引き上げる」よう操作する(第一操作態様にて操作する)ことを促した(
図13(a)参照)後、操作手段10を「押し下げる」よう操作する(第二操作態様にて操作する)ことを促す(
図13(b)参照)ことが連続的に発生する複合操作演出について説明する。複合操作演出においては、上記押し下げ操作演出および引き上げ操作演出にて説明したように、遊技者が操作手段10を操作すべきタイミングであることが把握できるような操作画像が表示される。複合操作演出においては、押し下げ操作が検出されたこと(もしくは押し下げ操作のために設定された操作有効期間が経過したこと)を契機として、遊技者に有利な状況となること(例えば大当たりに当選したこと)を示す成功結末または成功結末とならなかったことを示す失敗結末が実行される(
図13(c)参照)。
【0058】
複合操作演出は、操作手段10を、第一位置から第二位置に変位させた後、第二位置から第一位置に変位させるというものである。つまり、操作手段10を往復動作させる演出であるといえる。したがって、複合操作演出は、その前半部分として操作手段10を往動操作する「往動操作演出」、後半部分として操作手段10を復動操作する「復動操作演出」が設定されたものであるということができる。なお、本実施形態における複合操作演出は、操作手段10を一往復させるものであって、操作手段10を複数回往復させるものではない。また、一般的な「押しボタン」等を一回押圧操作することも操作手段を往復させているといえるが、かかる操作態様は、押しボタンが下方に移動した後、上方に移動するものであるという点(往動時と復動時の操作手段の変位方向が逆である点)で本実施形態における複合操作演出とは相違する。また、本実施形態における複合操作演出は操作手段10の上方への変位は基本的には遊技者の力によってなされるものである一方、一般的な押しボタンはばね等の付勢部材によって強制的に上方へ変位させられるものであるという点で相違する。
【0059】
本実施形態では、第一操作態様による引き上げ操作演出は、複合操作演出の一部としてではなく、単体で発生する(押し下げ操作演出を伴わない)ことがある。同様に、第二操作態様による押し下げ操作演出は、複合操作演出の一部としてではなく、単体で発生する(引き上げ操作演出を伴わない)ことがある。そして、演出後に遊技者に有利な状況(例えば、大当たりが報知される状況)に移行する蓋然性(いわゆる信頼度)は、単体で発生する引き上げ操作演出や、単体で発生する押し下げ操作演出に比して、複合操作演出の方が高く設定されている。
【0060】
往動操作演出の具体的態様は、上記引き上げ操作演出と同じものとすることができる。遊技者に対して求める操作手段10の操作態様は、「引き上げ操作」という点で同じであるからである。ただし、引き上げ操作演出が単体で発生する場合(押し下げ操作演出を伴わない場合)と、複合操作演出の一部として引き上げ操作演出が発生する場合とでは態様を異ならせること(例えば、操作を促す画像を変化させる)ことが好ましい(本実施形態では、操作手段10の操作方向を示す矢印の画像が異なる)。これにより、遊技者は、引き上げ操作演出が単体で発生しているのか、複合操作演出の一部として引き上げ操作演出が発生しているのかを容易に区別することが可能となる。また、引き上げ操作演出が単体で発生した場合と、複合操作演出が発生した場合とでは、演出後に遊技者に有利な状況に移行する蓋然性(いわゆる信頼度)が異なるよう設定されているときには、両者を区別することができるようにすることは特に重要である。
【0061】
復動操作演出の具体的態様は、上記押し下げ操作演出と同じものとすることができる。遊技者に対して求める操作手段10の操作態様は、「押し下げ操作」という点で同じであるからである。ただし、押し下げ操作演出が単体で発生する場合(引き上げ操作演出の後発生するものではない場合)と、複合操作演出の一部として押し下げ操作演出が発生する場合とでは態様を異ならせること(例えば、操作を促す画像を変化させる)ことが好ましい(本実施形態では、操作手段10の操作方向を示す矢印の画像が異なる)。これにより、遊技者は、押し下げ操作演出が単体で発生しているのか、複合操作演出の一部として押し下げ操作演出が発生しているのかを容易に区別することが可能となる。また、押し下げ操作演出が単体で発生した場合と、複合操作演出が発生した場合とでは、演出後に遊技者に有利な状況に移行する蓋然性(いわゆる信頼度)が異なるよう設定されているときには、両者を区別することができるようにすることは特に重要である。
【0062】
複合操作演出を構成する往動操作演出および復動操作演出のそれぞれにおいて、操作手段10の操作が有効となる操作有効期間が設定される。以下、往動操作演出において設定される操作有効期間を第一操作有効期間と、復動操作演出において設定される操作有効期間を第二操作有効期間と称することもある。
【0063】
第一操作有効期間が開始される時点は、複合操作演出の開始時点を基準とすれば一定である。つまり、複合操作演出(往動操作演出)の開始と同時、または開始から一定時間経過後に、第一操作有効期間が開始される(
図14(a)~(c)参照)。
【0064】
一方、第二操作有効期間が開始される時点は、複合操作演出の開始時点を基準とした場合には一定ではない。具体的には、往動操作演出の第一操作有効期間において操作手段10の引き上げ操作(第二位置への変位)が完了した時点(以下、第一操作完了時点と称することもある)に応じて変化しうる。具体的には以下の通りである。
【0065】
第二操作有効期間が開始される時点は、第一操作完了時点(第一操作がなされなかった場合には、第一操作有効期間の終了時点をいう。以下同じ)と同時、または一定時間経過後である。本実施形態では、どのようなケースであっても、第一操作完了時点から時間Tの経過後に第二操作有効期間が開始される(
図14(a)~(c)参照)。つまり、第二操作有効期間が開始される時点は、第一操作完了時点を基準とすれば一定である。しかし、第一操作完了時点は、往動操作演出において遊技者がどの程度操作手段10の操作を完了させたかに応じて変化するものであるため、複合操作演出の開始時点を基準とすれば、第二操作有効期間が開始される時点は一定でないということになる。このように設定されているため、第一操作完了時点が早くなればなるほど、すなわち往動操作演出において遊技者が操作手段10の引き上げ操作を早く完了させればさせるほど、第二操作有効期間の開始時点は(複合操作演出の開始時点を基準として)早くなる。
【0066】
このように設定している理由は、複合操作演出は、遊技者に対し、操作手段10を異なる操作態様で連続的に操作することを求めるものであるからである。仮に、複合操作演出の開始時点を基準として、第二操作有効期間の開始時点が一定であると仮定すると、操作手段10の引き上げ操作が早く行われるほど、引き上げ操作の完了から、押し下げ操作が有効となるまでの期間が長くなってしまう。複合操作演出は、操作手段10を「連続」して操作することが醍醐味であるともいえるため、引き上げ操作の完了から押し下げ操作が有効となるまでの期間が必要以上に長くなると遊技者が興醒めしてしまうおそれがある。したがって、本実施形態では、往動操作演出において遊技者が操作手段10の引き上げ操作を早く完了させればさせるほど、第二操作有効期間の開始時点が早くなるよう設定している。換言すれば、往動操作演出において遊技者が操作手段10の引き上げ操作を早く完了させればさせるほど、往動操作演出が早く終了し、復動操作演出が早く開始されるともいえる。
【0067】
また、往動操作演出において遊技者が操作手段10の引き上げ操作を早く完了させればさせるほど、第二操作有効期間の長さ(第二操作がなされなかったと仮定した場合の長さをいう)が長くなるように設定されている。具体的には、本実施形態では、複合操作演出の開始時点を基準とすれば、第二操作有効期間の終了時点(第二操作がなされなかったと仮定した場合の終了時点)は一定である(
図14(a)~(c)参照)。つまり、複合操作演出の開始から、所定時間経過後に第二操作有効期間の終了時点に到達するよう設定される。ただし、第二操作有効期間中に操作手段10の押し下げ操作がなされた場合には、遊技者に有利な状況するか否かを示す結末部分の演出(遊技者に有利な成功結末、または遊技者に不利な失敗結末のいずれか)が実行されることになるため、実際に第二操作有効期間の終了時点が訪れるのは第二操作有効期間中に操作手段10の押し下げ操作がなされなかった場合である。
【0068】
つまり、複合操作演出を実行するのに要する時間は、第一操作有効期間の時間と第二操作有効期間の時間を足し合わせた時間以上の長さに設定されているところ、往動操作演出において遊技者が使用しなかった第一操作有効期間の残り時間が、第二操作有効期間に加えられる構成とされている(
図14(a)~(c)参照)。例えば、第一操作有効期間および第二操作有効期間の基準時間(デフォルトの時間)がともに5秒であるとする。この場合、第一操作有効期間の開始から3秒後に操作手段10の引き上げ操作が完了した場合には、第二操作有効期間の長さは、(5-3)+5=7秒となる。なお、このような計算を行う上で有効桁数は、適宜設定することができる(例えば、0.1秒以下の単位は切り捨てるような設定とすることができる)。
【0069】
本実施形態では、複合操作演出に要するトータルの演出時間(開始から終了までの時間)は一定である(
図14(a)~(c)参照)。上記のように、第二操作有効期間の終了時点が一定となるようにすれば、複合操作演出に要するトータルの時間を一定にすることは容易である。結末部分の長さを調整するだけで、複合操作演出に要するトータルの時間を一定にすることができるからである。本実施形態では、どのようなタイミングで操作手段10の操作がなされたとしても、複合操作演出の開始から終了までの時間は一定である。また、複合操作演出は、ある当否判定結果を報知する報知演出の少なくとも一部として実行されるものであるため、当該複合操作演出に要する時間を一定とすることで、報知演出に複合操作演出を組み込む制御が容易になる。
【0070】
また、上述したように、第二操作有効期間の実際の長さは、種々変化する。第二操作有効期間中には、当該有効期間の残り時間または経過時間を示すメータが表示される。本実施形態では、初期状態における当該メータの大きさ(デフォルトの大きさ)は一定とされる(
図15(a))。ただし、実際に設定される第二操作有効期間の長さに応じて当該メータ(時間を示す要素)が減少または増加する速度が変化する。例えば、時間経過とともにメータが減少していく構成とする場合、第二操作有効期間の時間が5秒に設定されたとき(デフォルトの時間が設定されたとき)に比して、7秒に設定されたとき(2秒加算されたとき)の方が、メータが減少する速度が速くなるように設定される(
図15(a)(b)参照)。つまり、第二操作有効期間が終了するタイミングでメータが0となるような速度で表示される。初期状態におけるメータの大きさは一定であるため、実際に設定された第二操作有効期間の時間の長さに応じて、メータの減少速度が変化することになる。
【0071】
本実施形態における上記構成はあくまで一例である。例えば以下のように変更、具体化等してもよい。
【0072】
a)上記実施形態における複合操作演出は、操作手段10を第一操作態様にて操作することを促す往動操作演出の後、操作手段10を第二操作態様にて操作することを促す復動操作演出が発生するものであることを説明したが、往動操作演出と復動操作演出にて促される操作態様が逆であってもよい。
b)上記実施形態における複合操作演出の往動操作演出にて、上述した代替動作が適用される構成とする場合には、代替動作がなされた時点が、操作手段10が第一操作態様にて操作された時点に置き換えられる。
【0073】
2-2-4)引き上げ操作を促す際における操作画像の表示
上記2-2-2)で説明した引き上げ操作演出、2-2-3)で説明した複合操作演出においては、操作手段10を「引き上げ操作」すること(第一操作態様にて操作すること)が促される。操作手段10の「引き上げ操作」を促すための画像として操作画像15が表示される(
図16参照)。以下では、操作手段10の引き上げ操作が演出上反映される操作有効期間が開始される前における操作画像15の表示態様について説明する。
【0074】
本実施形態における操作画像15は、操作手段10を表した部分(以下、主画像151と称することもある)を含む。ここで、「操作手段を表した部分」とは操作手段10の少なくとも一部をそのまま模したような画像であってもよいし、操作手段10の少なくとも一部に改変を加えて表したような画像であってもよい。それを見た遊技者が、操作手段10を示していることが理解できるような画像であればよい。本実施形態における操作手段10は「剣」をモチーフにしたものであるため、主画像151はそれを表すようなものとされる(
図16(b)等参照)。
【0075】
また、本実施形態における操作画像15は、操作有効期間を示すメータを表す部分(以下、メータ画像152と称することもある)を含む(
図16(b)等参照)。操作有効期間が開始されたときには、当該メータ画像152が時間経過とともに変化していき(「メータ」の部分が減少または増加していき)、操作有効期間の残り時間または経過時間を示すことになる(
図16(d)参照)。
【0076】
また、本実施形態における操作画像15は、操作の指示内容を示した文字部分(以下、文字画像153と称することもある)を含む(
図16(b)等参照)。本実施形態の文字画像153は、「剣を引き上げろ」といったものである。当該文字画像153は、求められる操作態様が操作手段10を引き上げるものであることが把握できるようなものであればどのようなものであってもよい。
【0077】
本実施形態では、このような操作画像15が、操作有効期間が開始されるよりも前の所定期間において、操作手段10の操作方向に沿って移動するように表示される。具体的には、操作画像15は、操作有効期間の開始時点においては、表示領域における予め定められた所定位置(操作画像15の全体が表示される位置)に表示されることになる(
図16(d)参照)ところ、操作有効期間の開始時点よりも前に、当該所定位置に向かって、かつ、操作手段10の操作方向と同じ方向である上方に向かって移動するように表示される(
図16(a)~(c)参照)。本実施形態では、操作画像15が上方に向かって移動し、当該所定位置に到達すると同時に、操作有効期間が開始される(メータの変化が開始される)よう設定されている。また、操作有効期間が開始された後は、操作有効期間が開始されたことを示すような画像であって、移動する操作画像15には含まれていなかった画像が新たに表示される。本実施形態では、操作手段10の操作方向を示す矢印の画像が表示される(
図16(d)参照)。この種の画像(操作画像15には含まれていなかった画像)が操作有効期間の開始後に新たに表示されるようにすることで、操作有効期間が開始されたことを把握することが可能となる。
【0078】
このように、操作画像15は、操作手段10の操作方向と同じ方向に移動するよう表示される(
図16(a)~(c)参照)。操作有効期間において、操作手段10を「引き上げ操作」すること、すなわち操作手段10を上方に変位させることが求められるため、操作有効期間が開始されるよりも前に操作画像15が上方に向かって移動するよう表示される。つまり、遊技者は、操作手段10を上方に向かって操作させるよりも前に、操作画像15が上方に向かって変位するのを見ることになるから、自身によるその後の操作手段10の操作態様を想起することになる。したがって、遊技者の操作意欲を向上させることによる演出の趣向性向上につながる。
【0079】
本実施形態では、操作手段10を「引き上げ操作」させるに際しては、上記のように操作画像15が操作手段10の操作方向に向かって変位するよう表示される一方、操作手段10を「押し下げ操作」させるに際しては、操作画像15は上記のように表示されない(操作画像15が操作手段10の操作方向に向かって移動するように表示されない)。引き上げ操作は、従来の遊技機にはない特殊な操作態様であるため、かかる特殊な操作態様による操作を促す際にのみ操作画像15が上記のように表示されるようにし、従来一般の操作態様であるともいえる「押し下げ操作」に関しては操作画像15が上記のように表示されないものとする。これにより、操作手段10を「引き上げ操作」させることを強調することが可能となる。また、本実施形態における複合操作演出に関していえば、引き上げ操作→押し下げ操作の順で操作手段10を操作させることになるため、先の演出である往動操作演出については操作有効期間の開始前に操作手段10を上記のように表示することが容易である一方、後の演出である復動操作演出については、先の演出である引き上げ操作演出から連続的に発生させるものであるため、操作有効期間の開始前に操作手段10を下方に向かって移動するように表示することが困難であるといえる。ただし、後述するa)で述べるように、操作手段10の押し下げ操作を求める演出時においても、操作有効期間開始前に操作画像15が操作手段10に操作方向に向かって移動するように表示するような構成とすることを否定するわけではない。
【0080】
本実施形態における上記構成はあくまで一例である。例えば以下のように変更、具体化等してもよい。
【0081】
a)操作手段10を「押し下げ操作」させるに際し、操作有効期間の開始よりも前に、操作画像15が下方に向かって移動するように表示されるよう構成されていてもよい(
図17参照)。つまり、事後的に発生する操作手段10の操作態様(押し下げ操作)を想起させるものとして、操作画像15が下方へ変位するよう表示される(
図17(a)~(c)参照)ようにしてもよい。なお、一般的な態様の操作手段(押しボタン等)についても同様の技術思想が適用可能である。
【0082】
b)操作手段として前方および後方の少なくともいずれか一方に変位させるよう操作することが可能なものが知られている。つまり、「前方に引く」操作、および「後方に押す」操作の少なくともいずれか一方が可能なものである。なお、「前方」とは、前後方向に直交する重力方向に沿う平面よりも前向きのことをいい、「後方」とは、前後方向に直交する重力方向に沿う平面よりも後ろ向きのことをいう。この種の操作手段自体は公知であるため説明を省略する。
【0083】
図18に示すように、操作手段を「前方に引く」よう操作することを促す操作演出においては、あたかも操作手段が手前に移動するかのように表示領域に表示する。例えば、操作画像15が次第に大きくなるように(時間経過とともにズームアップされていくように)表示領域に表示される構成とする(
図18(a)~(c)参照)。遠近法により、操作画像15が手前に移動するかのように表示されるようにしてもよい。
【0084】
図19に示すように、操作手段を「後方に押す」よう操作することを促す操作演出においては、あたかも操作手段が後方に移動するかのように表示領域に表示する。例えば、操作画像15が次第に小さくなるように(時間経過とともにズームアウトされていくように)表示領域に表示される構成とする(
図19(a)~(c)参照)。遠近法により、操作画像15が奥に移動するかのように表示されるようにしてもよい。
【0085】
このような構成とすることで、前方および後方の少なくともいずれか一方に変位させるよう操作することが可能な操作手段についても、操作有効期間の開始前に表示される操作画像15により、操作手段の操作態様を想起させることが可能となる。
【0086】
c)本実施形態では、操作画像15が操作手段10の操作方向と同じ方向に向かって移動するよう表示されるのは、操作有効期間の開始よりも前の所定期間であることを説明したが、操作画像15が移動している期間の少なくとも一部が、操作有効期間と重複していてもよい。つまり、操作画像15が移動している最中に操作有効期間が開始される設定としてもよい。この場合には、操作画像15の全体が移動しつつ、その一部であるメータ画像152が操作有効期間の開始とともに変化を開始することになる。
【0087】
d)本実施形態では、操作画像15は操作有効期間を示すメータ画像152を含むものであることを説明したが、操作画像15が操作手段10の操作方向と同じ方向に移動するように表示されている際は、メータ画像152が表示されないようにしてもよい。つまり、操作画像15(メータ画像152を除く部分)の移動が停止した後、(操作有効期間が開始されるよりも前に)メータ画像152が表示されるようにする。
【0088】
e)操作画像15が操作手段10の操作方向と同じ方向に移動するように表示されている際や、所定位置に到達した後の操作有効期間が開始されるよりも前の期間において、移動する操作画像15の形態が変化することがあってもよい。つまり、操作画像15が移動しているということが把握されるのであれば(操作画像15とは異なる全く別の画像に変化するといった変化態様でなければ)、画像を構成する種々の要素(色、大きさ等)が途中で変化することがあってもよい。
【0089】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0090】
上記実施形態にかかる遊技機は、いわゆるぱちんこ遊技機であるが、回動式遊技機等、その他の遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 遊技機
10 操作手段
15 操作画像
40 押しボタン(別の操作手段)
50 可動役物(別の可動体)
80 識別図柄
91 表示装置
911 表示領域