(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 315Z
(21)【出願番号】P 2017246728
(22)【出願日】2017-12-22
【審査請求日】2019-06-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 英明
(72)【発明者】
【氏名】柏木 浩志
(72)【発明者】
【氏名】土屋 良孝
(72)【発明者】
【氏名】牧 智宣
(72)【発明者】
【氏名】中山 覚
(72)【発明者】
【氏名】梶野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】川添 智久
【合議体】
【審判長】▲吉▼川 康史
【審判官】石井 哲
【審判官】蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-171646(JP,A)
【文献】特開2004-275533(JP,A)
【文献】特開2014-94058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が操作可能な操作手段と、
当否判定結果を報知するための識別図柄、および当該識別図柄よりも後方に位置するように表示される背景画像が表示される表示手段と、
前記操作手段の操作が有効となる操作有効期間中であることが前記表示手段に示されていない状態にて前記操作手段が操作されることを契機とした前記背景画像の一部の変化により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する特定演出を実行することが可能な演出実行手段と、
を備え、
前記操作有効期間中にて、前記背景画像は、経時的に変位する変位画像を含み、
前記特定演出は、前記操作手段が操作された時点における前記変位画像の位置を基準として当該変位画像の変位に変化が生じるものであることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
当否判定結果を示す図柄の背景として表示される背景画像の変化により、遊技者に有利な事象が発生するか否かを示唆する遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、背景画像を用いて遊技の趣向性向上を図ることが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、遊技者が操作可能な操作手段と、当否判定結果を報知するための識別図柄、および当該識別図柄よりも後方に位置するように表示される背景画像が表示される表示手段と、前記操作手段が操作されることを契機とした前記背景画像の一部の変化により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する特定演出を実行することが可能な演出実行手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
前記特定演出において前記操作手段の操作が有効となる操作有効期間中であることは、前記表示手段に示されないとよい。
【0007】
前記特定演出は、前記操作手段の操作を契機とする変化が発生していない状態における前記背景画像の一部の態様により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆するものであるとよい。
【0008】
対象の当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを、当該対象の当否判定結果よりも先に報知される一または複数の先の当否判定結果を報知する先の報知演出を利用して示唆する先読み連続演出を実行することが可能であり、前記対象の当否判定結果を報知する対象報知演出の一部として前記特定演出が発生しうるとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる遊技機によれば、背景画像を用いて遊技の趣向性向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】表示装置の表示領域に表示される識別図柄と保留画像を示した図である。
【
図3】通常表示態様の背景演出を説明するための図である。
【
図4】特定表示態様の背景演出を説明するための図である。
【
図5】特定表示態様の背景演出が発生する場合において、操作手段の操作タイミングに応じて背景画像の具体的態様が異なるものとなることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかる遊技機1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0012】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0013】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0014】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0015】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0016】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0017】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口904は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、公知の遊技機と同様に、大当たりとなる場合には、識別図柄80(
図2参照)が所定の組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となることによって報知され、それ以外の組み合わせが表示された場合にははずれとなる。
【0018】
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(識別図柄80の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知(識別図柄80の変動)が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0019】
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている当否判定結果の報知が開始されていない取得された数値(当否判定情報)のそれぞれに対応するマークである保留画像70が、表示装置91の表示領域911に表示される。具体的には、当否判定を実行するための数値が取得された順に並ぶよう、保留画像70が表示装置91の表示領域911に表示される。本実施形態では、数値が取得されたタイミングが早いものから(いわゆる保留消化が早いものから)順に左から並ぶよう表示される。当否判定結果の報知は完了していないが、既に当否判定結果を報知する演出(識別図柄80の変動)が開始されているもの(いわゆる当該変動)に対応する保留画像70が表示されるようにしてもよい。保留画像70は、静止画であってもよいし動画であってもよい。なお、以下の説明における画像(例えば、詳細を後述する背景画像10)は、特に説明する場合を除き、静止画および動画の両方を含むものとする。
【0020】
本実施形態にかかる遊技機1は、当否判定結果を報知する報知演出として種々の演出を実行することが可能である。以下、当該演出の一種として設定された背景演出(本発明における特定演出に相当する)について詳細に説明する。
【0021】
背景演出は、表示装置91の表示領域911に表示される背景画像10(
図2等参照)を利用した演出である。背景画像10は、当否判定結果を報知する識別図柄80よりも後方に位置するように表示される画像である。表示装置91の表示領域911に表示される画像は、複数のレイヤが重ね合されたものが出力される。背景画像10は、識別図柄80を表示するレイヤや保留画像70を表示するレイヤとは異なる一または複数のレイヤにより表示される画像である。背景画像10を表示する一または複数のレイヤは、識別図柄80を表示するレイヤや保留画像70を表示するレイヤよりも後方に位置するものとされる。つまり、識別図柄80や保留画像70が表示されている部分はそれにより背景画像10の一部が覆い隠されるかのような表示態様となる。本実施形態における背景画像10は、後述する物体画像11を表示するレイヤと、それ以外の全部または一部の画像を構成するレイヤとを少なくとも含むレイヤ群から構築される。一のレイヤから背景画像10(後述する物体画像11を含めた全体)が構築される構成としてもよい。
【0022】
本実施形態にかかる遊技機1は、遊技者が操作可能な操作手段30を備える(
図1参照)。操作手段30の具体的態様(操作態様)等はどのようなものであってもよい。本実施形態の操作手段30は押しボタンである。図示されない演出制御手段(演出制御用の回路)は、操作手段30の操作の有無を判断することが可能である
【0023】
背景演出は、操作手段30の操作が検出されることを契機として背景画像10の一部が変化するというものである。当該変化の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、背景画像10の一部として物体の画像(以下、物体画像11と称する)が表示され、当該物体画像11の態様が操作手段30の操作を契機として変化する。物体画像11の表示(背景演出)は、当否判定結果を報知する報知演出の度に実行されるわけではない。背景演出の対象となる当否判定結果(以下、対象当否判定結果と称することもある)を報知する報知演出(以下、対象報知演出と称することもある)が開始される(識別図柄80の変動が開始される)と同時、または報知演出の開始から所定時間経過後に物体画像11が表示される。
【0024】
背景演出において、物体画像11が表示されている期間の少なくとも一部は、操作有効期間として設定される。当該操作有効期間中に操作手段30が操作された場合と操作されなかった場合とでは、物体画像11の表示態様が異なるものとなる。かかる点について以下具体的に説明する。
【0025】
操作有効期間中に操作手段30の操作が検出されなかった場合には、物体画像11は基本表示態様で表示される。本実施形態における基本表示態様は、表示領域911の左側から現れた物体画像11が、そのまま左右方向に沿うようにして右に移動し、表示領域911の右側から表示領域911外に移動するような態様である。つまり、物体画像11が直線的に移動する態様である(
図3参照)。
【0026】
操作有効期間中に操作手段30の操作が検出された場合には、物体画像11は基本表示態様とは異なる特定表示態様で表示される(
図4参照)。特定表示態様は基本表示態様と異なるものであればその具体的態様はどのようなものであってもよい。また、一種類の特定表示態様が設定された構成としてもよいし、複数種の特定表示態様が設定された構成としてもよい。本実施形態では、第一特定表示態様および第二特定表示態様の二種類が設定されている。三種以上の特定表示態様が設定されていてもよい。第一特定表示態様は、操作手段30の操作が検出されたことを契機として、左から右に移動していた物体画像11が上に移動するように進行方向を変化させ、表示領域911の上側から表示領域911外に移動するような態様である(
図4(a)(b)(c)参照)。第二特定表示態様は、操作手段30の操作が検出されたことを契機として、左から右に移動していた物体画像11が下に移動するように進行方向を変化させ、表示領域911の下側から表示領域911外に移動するような態様である(
図4(a)(b)(d)参照)。このように、特定表示態様は、操作手段30の操作を契機として、物体画像11の態様が通常表示態様とは異なる態様に変化するというものである。本実施形態における特定表示態様は、操作手段30の操作が検出されたタイミングで、物体画像11の移動方向が変化する。そのため、第一特定表示態様および第二特定表示態様の背景画像10は、操作手段30の操作タイミングに応じて異なるものとなる。例えば、
図5に示すように、同じ第一特定表示態様が発生する場合であっても、操作手段30の操作タイミングが早いほど、物体画像11はより早く(本実施形態では表示領域911のより左側で)上方に向かって移動し始めることになる。
【0027】
操作手段30の操作がなされた結果、第一特定表示態様と第二特定表示態様のいずれが発生するかは、対象当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)を示唆する。つまり、本実施形態における背景演出は、操作手段30の操作がなされた結果として発生しうる複数種の特定表示態様のうちのいずれが発生するかにより、信頼度を示唆するというものである。本実施形態では、第一特定表示態様よりも第二特定表示態様の方が、信頼度が高い設定となっている。三つ以上の特定表示態様が設定される場合であっても、各特定表示態様が信頼度を示唆する構成とすればよい。
【0028】
背景演出にて、操作有効期間中に操作手段30の操作が検出されなかった場合には、特定表示態様が表示されない。つまり、内部的には操作手段30の操作が検出された場合には第一特定表示態様と第二特定表示態様のいずれが発生するかが決定されているものの、それは実行されずに通常表示態様が発生することになる。つまり、いずれの特定表示態様が発生するかによる信頼度示唆は行われない。
【0029】
また、本実施形態では、操作有効期間中であることを示す表示が表示領域911に表示されない。通常、操作手段30の操作が演出に反映される場合には、操作手段30の操作を行うべきタイミングであることを遊技者に示すため、操作手段30の操作を促す画像(操作手段を表す画像等を含む)が表示されるところ、本実施形態の背景演出における操作有効期間中にはこの種の画像が表示されない(
図3~
図5参照)。このようにすることで、遊技を楽しむための「隠れ演出」として背景演出を機能させることが可能となる。
【0030】
ただし、操作手段30の操作を促す画像以外の要素(以下、示唆要素と称する)により、操作有効期間中であることを示唆する構成としてもよい。示唆要素は種々のものを例示することができる。例えば、操作手段30に設けた発光部を発光させる、操作手段30を振動させる振動装置を駆動するといった、遊技者の感覚により把握することが可能な変化を操作手段30に生じさせることが挙げられる。また、遊技機1に設けられるスピーカより所定の効果音が出力されることが挙げられる。示唆要素は、操作手段30の操作を促す画像を表示することに比して遊技者が気付きにくい変化等であれば、背景演出の「隠れ演出」としての機能は維持されることになる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態にかかる遊技機1は、操作手段30の操作が実行されることを契機として背景画像10の一部が変化し、それにより大当たり信頼度が示唆されるというものであるため、背景画像10を利用して遊技の趣向性向上を図ることが可能である。
【0032】
また、本実施形態では、操作有効期間中に、操作手段30の操作を促す画像等が表示されない。すなわち、操作有効期間中であることが具体的に表示されるものではない。したがって、操作手段30の操作により背景画像10が変化するということに気付いた遊技者のみが当該変化による面白みを享受することができるものとなる。
【0033】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0034】
○第一具体例
操作手段30の操作を契機とする変化が発生していない状態においても背景画像10の一部により対象当否判定結果の信頼度が示唆される構成とする。具体的には、複数種の基本表示態様が設定された構成とし、各基本表示態様は操作有効期間が開始される前からその態様の違いが判別可能なものとする。つまり、操作有効期間が開始された後は特定表示態様に変化しうることになるから、その変化が生じる前から態様の差が判別できる必要がある。そして、複数種の基本表示態様のそれぞれについて信頼度が設定されたものとする。このような構成とすれば、操作手段30の操作により背景画像10が変化することに気付かない場合であっても、背景画像10の態様により信頼度が示唆されることになる。
【0035】
例えば、
図6に示すように、物体画像11として複数種の画像(第一物体画像111および第二物体画像112)が設定された構成とし、どの物体画像11が表示されるかにより、信頼度が異なるものとすることが考えられる。
【0036】
○第二具体例
背景演出は、対象報知演出の一部として発生しうるものであるが、当該対象報知演出が、いわゆる先読み連続演出の対象となるものとする。つまり、対象当否判定結果が先読み連続演出を経て報知されるものとする。先読み連続演出それ自体は公知であるため詳細な説明を省略するが、対象当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを、当該対象当否判定結果よりも先に報知される一または複数の先の当否判定結果を報知する先の報知演出(「はずれ」を報知する報知演出)を利用して示唆するものである。先の報知演出では、先読み連続演出の連続性(先読み連続演出が継続していること)が示唆される。当該示唆はどのようなものであってもよい。例えば、先の報知演出の当否判定結果を示す識別図柄80の組み合わせが所定の組み合わせ(順目等)とすること等が挙げられる(
図7参照)。
【0037】
このような構成とすれば、上記背景演出が発生した時点が先読み連続演出の終了時点となる(
図7(c)参照)ことから、先読み連続演出の対象となる報知演出が開始されたことを遊技者が把握することが可能となる。また、先読み連続演出の対象となる報知演出にて背景演出が発生することを知っていれば、背景画像10を見逃してしまうことや、操作手段30の操作を忘れてしまうといったことが抑制される。
【0038】
一の当否判定結果を報知する報知演出において、変動する識別図柄80を擬似的に停止させ、再び変動させることを一または複数回繰り返す擬似連続演出において、同様の技術思想を適用したものとしてもよい。つまり、一連の擬似連続演出における最後の識別図柄80の再変動時に背景演出が発生するような構成としてもよい。
【0039】
○第三具体例
上記実施形態では、操作有効期間中に操作手段30の操作がなされた場合、特定表示態様が表示されることを説明したが、操作有効期間中に操作手段30の操作がなされた場合であっても特定表示態様が表示されない(そのまま通常表示態様が表示され続ける)場合がある構成とする(
図8(a)(b)(d)の流れで演出が発生しうる構成とする)。このような構成とすれば、操作手段30の操作によって背景画像10の一部が変化しうることを知っている遊技者が、操作手段30の操作により背景画像10の一部が変化するか否かに注目するという遊技性を実現することが可能となる。
【0040】
本例のような構成とする場合、操作有効期間中に操作手段30の操作がなされた結果、通常表示態様から特定表示態様に変化したとき(
図8(a)(b)(c)の流れで演出が発生したとき)と、通常表示態様から特定表示態様への変化が生じなかったとき(
図8(a)(b)(d)の流れで演出が発生したとき)とでは、対象当否判定結果の信頼度が異なる設定とすればよい。このようにすることで、背景演出の趣向性をさらに向上させることが可能となる。
【0041】
○第四具体例
上記実施形態では、操作有効期間中に、操作有効期間中であることを示す表示(操作手段30の操作を促す画像の表示)はなされないことを説明したが、操作有効期間中であること示す表示がなされる(
図9(a)(c)参照)こともあれば、このような表示がなされない(
図9(a)(b)参照)こともある設定とする。操作手段30の操作を促す画像が表示される場合、これとともに操作有効期間の経過状況を示すような画像(メータ)を表示するとよい(
図9(c)参照)。このような構成とすれば、操作有効期間中であることを示す表示が全くなされないことが原因で、継続的に遊技しているにも拘わらず操作有効期間が設定されていることに遊技者が全く気付かないといった事態の発生を抑制することが可能となる。
【0042】
本例のような構成とする場合、操作有効期間中であることを示す表示がなされないときと、操作有効期間中であることを示す表示がなされたときとでは、対象当否判定結果の信頼度が異なる設定としてもよい。このようにすることで、背景演出の趣向性をさらに向上させることが可能となる。
【0043】
○第五具体例
上記実施形態では、操作有効期間中に操作手段30の操作がなされた場合には、背景画像10の一部の変化(特定表示態様の表示)が発生することを説明したが、操作手段30の操作がなされたことを契機として、背景画像10の一部の変化が発生する(
図10(a)(b)(c)参照)こともあれば、それ以外の画像(他の画像)の変化が発生する(
図10(a)(b)(d)参照)こともある構成とする。背景画像10の一部の変化が発生する蓋然性の方が、他の画像の変化が発生する蓋然性よりも高く設定されていることが好ましい。このような構成とすれば、背景画像10の一部が変化すると思って操作手段30を操作したところ、他の画像が変化するという驚きのある遊技性を実現することが可能である。
【0044】
なお、他の画像が変化する場合には背景画像10の一部が変化しない(特定表示態様が表示されない)構成(
図10(d)参照)としてもよいし、他の画像が変化する場合にも背景画像10の一部が変化する(他の画像の変化が発生するとともに特定表示態様が表示される)構成としてもよい。
【0045】
他の画像の変化は、遊技者の利益に関与する変化であることが好ましい。その一例としては、保留画像70の変化(いわゆる保留変化演出の発生)を挙げることができる。保留画像70として、対応する当否判定結果が大当たりとなる信頼度が異なる複数種の態様が設定されているとする。操作手段30の操作を契機として、信頼度が高まる方向に保留画像70の態様が変化しうる設定とする。保留画像70の態様の変化は、対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まったということであるから、遊技者の利益に間接的に関与するものであるといえる。
【0046】
○第六具体例
操作手段30として、操作態様が異なる複数種の手段が設けられた構成とする。このような複数種の操作手段30が設けられた構成自体は公知であるから説明を省略する。例えば、第一操作手段と第二操作手段が設けられた構成とし、操作有効期間中において第一操作手段が操作された場合には背景画像70の態様の変化(特定表示態様の表示)が発生するものの、第二操作手段が操作された場合には背景画像70の態様の変化が発生しない設定とする。このような構成とすることで、背景演出の趣向性をさらに向上させることが可能となる。
【0047】
この場合、背景演出以外の演出において、第一操作手段の操作を求める操作演出が発生する頻度と、第二操作手段の操作を求める操作演出が発生する頻度は異なるものとされるとよい。第一操作手段の操作を求める操作演出が発生する頻度の方が、第二操作手段の操作を求める操作演出が発生する頻度よりも高い設定とすれば、遊技者は第一操作手段を操作する機会が増える(第一操作手段が馴染みのあるものとなる)から、当該第一操作手段の操作によって変化が発生する背景演出の存在に気づきやすいという利点がある。一方、第二操作手段の操作を求める操作演出が発生する頻度の方が、第一操作手段の操作を求める操作演出が発生する頻度よりも高い設定とすれば、遊技者は第二操作手段を操作する機会があまりない(第二操作手段が馴染みのないものとなる)から、当該第二操作手段の操作によって変化が発生する背景演出の存在に気づきにくい、すなわち「隠れ演出」としての機能を向上させることができるという利点がある。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0049】
上記実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるぱちんこ遊技機であるが、ぱちんこ遊技機特有の構成を利用したものを除き、回動式遊技機等のその他の遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。
【0050】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0051】
・手段1
遊技者が操作可能な操作手段と、
当否判定結果を報知するための識別図柄、および当該識別図柄よりも後方に位置するように表示される背景画像が表示される表示手段と、
前記操作手段が操作されることを契機とした前記背景画像の一部の変化により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する特定演出を実行することが可能な演出実行手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、操作手段の操作が実行されることを契機として背景画像の一部が変化し、それにより大当たり信頼度が示唆されるというものであるため、背景画像を利用して遊技の趣向性向上を図ることが可能である。
【0052】
・手段2
前記特定演出において前記操作手段の操作が有効となる操作有効期間中であることは、前記表示手段に示されないことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
このように、操作有効期間中であることが具体的に表示されるものではない構成とすれば、操作手段の操作により背景画像が変化するということに気付いた遊技者のみが当該変化による面白みを享受することができるものとなる。
【0053】
・手段3
前記特定演出は、前記操作手段の操作を契機とする変化が発生していない状態における前記背景画像の一部の態様により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
このような構成とすれば、遊技者が操作手段の操作により背景画像が変化することに気付かない場合であっても、背景画像の態様により信頼度が示唆されることになる。
【0054】
・手段4
対象の当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを、当該対象の当否判定結果よりも先に報知される一または複数の先の当否判定結果を報知する先の報知演出を利用して示唆する先読み連続演出を実行することが可能であり、
前記対象の当否判定結果を報知する対象報知演出の一部として前記特定演出が発生しうることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遊技機。
このような構成とすれば、背景演出が発生した時点が先読み連続演出の終了時点となることから、先読み連続演出の対象となる報知演出が開始されたことを遊技者が把握することが可能となる。また、先読み連続演出の対象となる報知演出にて背景演出が発生することを知っていれば、背景画像を見逃してしまうことや、操作手段の操作を忘れてしまうといったことが抑制される。
【符号の説明】
【0055】
1 遊技機
10 背景画像
11 物体画像
111 第一物体画像
112 第二物体画像
30 操作手段
70 保留画像
80 識別図柄
91 表示装置
911 表示領域