(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】香り放出が調節されるパルプ基材で形成された物品
(51)【国際特許分類】
A61L 9/03 20060101AFI20220721BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
A61L9/03
A61L9/12
(21)【出願番号】P 2019538563
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 US2017054245
(87)【国際公開番号】W WO2018064449
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-28
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519112955
【氏名又は名称】エンバイロセント,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】メーナート, エリック
(72)【発明者】
【氏名】マッケイ, ニコラス ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ドー,バオ チョン
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-526906(JP,A)
【文献】特公昭58-050740(JP,B2)
【文献】米国特許第09149522(US,B2)
【文献】特開平09-276384(JP,A)
【文献】米国特許第09132204(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
A01M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維と、複雑な幾何学的形状を有する少なくとも1つの表面とを含むパルプ基材であって、細孔が前記繊維間に形成され、前記複雑な幾何学的形状がピークと平坦な領域を含む、パルプ基材と、
第1の揮発性を有する少なくとも1つのトップノート成分および第2の揮発性を有する少なくとも1つのベースノート成分を含む揮発性組成物とを備え、
前記第1の揮発性は、前記第2の揮発性より高く、
前記揮発性組成物は、前記パルプ基材の前記細孔を少なくとも部分的に満たし、
前記パルプ基材が、第1の多孔性を有する少なくとも1つの低多孔性ゾーンと、第2の多孔性を有する少なくとも1つの高多孔性ゾーンとを含み、
前記第1の多孔性は、前記第2の多孔性より低く、
前記低多孔性ゾーンより前記高多孔性ゾーンにより多くの前記ピークがあ
り、
前記少なくとも1つのトップノート成分が、前記少なくとも1つの低多孔性ゾーンに加えられ、前記少なくとも1つのベースノート成分が、前記少なくとも1つの高多孔性ゾーンに加えられる、物品。
【請求項2】
請求項1に記載の物品を形成する方法であって、前記少なくとも1つの低多孔性ゾーンが、型の第1の排水表面を使用して形成され、前記少なくとも1つの高多孔性ゾーンが、前記型の第2の排水表面を使用して形成され、前記第1の排水表面は、前記第2の排水表面と異なり、追加の排水機構を有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の物品を形成する方法であって、前記少なくとも1つの低多孔性ゾーンおよび前記少なくとも1つの高多孔性ゾーンが、型内の仕切りの使用によって形成される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の物品を形成する方法であって、前記少なくとも1つの低多孔性ゾーンが、型の部分への第1の圧力の適用によって形成され、前記少なくとも1つの高多孔性ゾーンが、前記型の部分への前記第1の圧力より低い第2の圧力の適用によって形成される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の物品を形成する方法であって、前記少なくとも1つの低多孔性ゾーンが、型の部分への第1のパルプ濃度の適用によって形成され、前記少なくとも1つの高多孔性ゾーンが、前記型の部分への前記第1のパルプ濃度より低い第2のパルプ濃度の適用によって形成される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の物品を形成する方法であって、前記少なくとも1つの低多孔性ゾーンが、前記パルプ基材の部分への第1の量のガスまたはガス形成材料の適用によって形成され、前記少なくとも1つの高多孔性ゾーンが、前記パルプ基材の部分への前記第1の量より多い第2の量の前記ガスまたはガス形成材料の適用によって形成される、方法。
【請求項7】
前記ピークが、前記揮発性組成物の三次元排出を提供する、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記物品が、取付要素を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記物品に加えられた裏打ち層をさらに含み、
前記裏打ち層が、金属材料で形成される、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
光源の配置のための前記物品を通る開口部をさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記パルプ基材が、第1の多孔性と、少なくとも第2の多孔性を有する他の材料が前記パルプ基材に加えられる開口部とを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
調節コーティングが、前記パルプ基材に適用される、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記調節コーティングが、前記少なくとも1つの低多孔性ゾーンにのみ適用される、請求項
12に記載の物品。
【請求項14】
前記調節コーティングが、前記少なくとも1つの高多孔性ゾーンにのみ適用される、請求項
12に記載の物品。
【請求項15】
前記物品が、少なくとも1つのエネルギー源と組み合わされ、
前記少なくとも1つのエネルギー源が、加温ボウルとプレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
請求項1に記載の物品を形成する方法であって、前記少なくとも1つの低多孔性ゾーンが前記少なくとも1つの高多孔性ゾーンと比較して異なる視覚的外観を有するように、前記揮発性組成物が、前記パルプ基材の前記細孔を少なくとも部分的に満たす前に染料と混合され、
前記少なくとも1つの低多孔性ゾーンが、前記染料の色に基づいてより暗い色を有し、前記少なくとも1つの高多孔性ゾーンが、前記染料を含まない前記パルプ基材と同様の色を有する、方法。
【請求項17】
繊維と、複雑な幾何学的形状を有する少なくとも1つの表面と、第1の多孔性を有する少なくとも1つの低多孔性ゾーンと、第2の多孔性を有する少なくとも1つの高多孔性ゾーンとを含むパルプ基材であって、細孔が前記繊維間に形成され、前記複雑な幾何学的形状がピークと平坦な領域を含む、パルプ基材と、
前記パルプ基材内に配置された第2の材料と、
第1の揮発性を有する少なくとも1つのトップノート成分および第2の揮発性を有する少なくとも1つのベースノート成分を含む揮発性組成物とを備え、
前記第1の揮発性は、前記第2の揮発性より高く、
前記揮発性組成物は、前記パルプ基材の前記細孔を少なくとも部分的に満たし、
前記第1の多孔性は、前記第2の多孔性より低く、
前記低多孔性ゾーンより前記高多孔性ゾーンにより多くの前記ピークがあ
り、
前記少なくとも1つのトップノート成分が、前記少なくとも1つの低多孔性ゾーンに加えられ、前記少なくとも1つのベースノート成分が、前記少なくとも1つの高多孔性ゾーンに加えられる、物品。
【請求項18】
前記第2の材料は、生物学的植物由来材料を含む、請求項
17に記載の物品。
【請求項19】
前記第2の材料は、螺旋状巻紙の香りロッドを含む、請求項
17に記載の物品。
【請求項20】
前記第2の材料は、前記パルプ基材の少なくとも1つの開口部内に配置される、請求項
17に記載の物品。
【請求項21】
前記第2の材料は、前記パルプ基材の前記繊維と比較して異なる密度を有する第2の繊維を含む、請求項
17に記載の物品。
【請求項22】
前記第2の材料は、第2の繊維を含み、前記第2の繊維は、前記パルプ基材の前記繊維とは異なる源に由来する、請求項
17に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]本出願は、2016年9月30日に出願された「ARTICLES FORMED OF PULP BASE MATERIALS WITH MODULATED SCENT RELEASE」と題する米国仮特許出願第62/402,906号(「‘906出願」)に関連し、その優先権を主張する。‘906出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明の分野は、揮発性組成物の調節された放出を提供するように構成される、パルプ基材で形成された物品に関し、より具体的には、揮発性嗅覚またはフレグランス化合物の調節された放出を提供するパルプ基材で形成された物品に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]フレグランス放出デバイスはよく知られており、身近な空間の人々に快適な環境を提供するために家庭および商業施設で一般的に使用されている。さらに、アロマがもたらす体験は、個人の一般的な気分を改善または向上させることがよく認識されている。いくつかの例では、フレグランスは、特定の香りに関連する体験の記憶を誘発し得る。快適な環境を提供しているか、一般的な態度に影響を与えているか、懐かしい記憶を誘発させているかにかかわらず、安定した長期にわたるフレグランスの放出は、消費者と顧客の満足度を保証する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]受動拡散に基づくフレグランス放出デバイスは、表面からのフレグランスの有限の供給量およびその蒸発速度によってそれらの製品用途が制限されている。いくつかの例では、フレグランス放出デバイスはその構造内にフレグランス液体を運ぶように設計されており、それによりフレグランスの供給量は有限であり、フレグランス放出デバイスのサイズによって決定されるようになっている。
【0005】
[0005]フレグランス放出デバイスからのフレグランスの蒸発速度は、少なくとも部分的に、フレグランスの組成物によって決定され、揮発性の高い化合物を含有する組成物(例えば「トップ」ノート)は、揮発性の低い化合物を含有する組成物(例えば「ベース」ノート)よりも速く蒸発する。フレグランス組成物は、その性質を決定する。その結果、フレグランスの組成物を変更すると、性質に影響を与える。フレグランスの放出速度プロファイルは、一般に、製品使用の開始時には強く(より強力である)、経時的に強力さが減少する。
【0006】
[0006]これらのフレグランスについては、フレグランスの充填および性質を変えることなく、フレグランス放出デバイスからのフレグランスの放出を調節して安定した長期にわたるフレグランス放出を提供する必要がある。具体的には、製品使用の初期段階ではフレグランス化合物の放出を抑制し、製品使用の後期段階ではフレグランス化合物の放出を促進する必要がある。また、嗅覚感覚が物品によって放出される香りに対して免疫を持たないように、経時的に放出される香りの種類を調節する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本特許で使用される「本発明」(「invention」「the invention」「this invention」および「the present invention」)という用語は、本特許および以下の特許請求の範囲のすべての主題を広く指すことを意図している。これらの用語を含む陳述は、本明細書に記載の主題を限定するものではなく、または以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本特許によってカバーされる本発明の実施形態は、この発明の概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。この発明の概要は、本発明の様々な態様の高レベルの概要であり、以下の発明を実施するための形態の節でさらに説明されているいくつかの概念を紹介している。この発明の概要は、特許請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を識別することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。主題は、本特許の明細書全体、任意のまたはすべての図面および各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0008】
[0008]本発明のある特定の実施形態によれば、物品は、繊維を含むパルプ基材であって、細孔は、繊維間に形成されるパルプ基材と、少なくとも1つのトップノート成分および少なくとも1つのベースノート成分を含む揮発性組成物とを含む。揮発性組成物は、パルプ基材の細孔を少なくとも部分的に満たし、少なくとも1つのトップノート成分の放出速度は、パルプ基材によって調節され、少なくとも1つのベースノート成分の放出速度は、パルプ基材によって高められる。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、パルプ基材は、少なくとも1つの低多孔性ゾーンと、少なくとも1つの高多孔性ゾーンとを含む。少なくとも1つのトップノート成分は、少なくとも1つの低多孔性ゾーンに加えられてもよく、少なくとも1つのベースノート成分は、少なくとも1つの高多孔性ゾーンに加えられてもよい。
【0010】
[0010]少なくとも1つの低多孔性ゾーンおよび少なくとも1つの高多孔性ゾーンは、異なる排水表面を有する型の使用によって、型内の仕切りの使用によって、型の一部への異なる圧力の適用によって、型の一部への異なるパルプ濃度の適用によって、および/またはパルプ基材の一部への異なる量のガスまたはガス形成材料の適用によって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの低多孔性ゾーンは、第1の型に形成され、少なくとも1つの高多孔性ゾーンは、第2の型に形成される。
【0011】
[0011]物品は、互いに接合された少なくとも2つのパルプ基材を含んでもよい。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態では、パルプ基材は、複雑な幾何学的形状を有する少なくとも1つの表面を含む。複雑な幾何学的形状は、ピークと、平坦な領域とを含んでもよい。ピークは、揮発性組成物の放出速度を高めかつ/または揮発性組成物の三次元排出を提供してもよい。
【0013】
[0013]物品は、取付要素を含んでもよい。取付要素は、穴を含んでもよい。
【0014】
[0014]物品は、物品を直立位置に保持するための滑らかな表面を含んでもよい。いくつかの実施形態では、スタンドは、物品に結合されて物品を直立位置に保持する。
【0015】
[0015]裏打ち層は、物品に加えられてもよい。裏打ち層は、導電性材料で形成されてもよい。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、物品は、光源の配置のための物品を通る開口部をさらに含んでもよい。
【0017】
[0017]ある特定の実施形態では、パルプ基材は、第1の多孔性と、少なくとも第2の多孔性を有する他の材料がパルプ基材に加えられる開口部とを含む。
【0018】
[0018]調節コーティングは、パルプ基材に適用されてもよく、少なくとも1つの低多孔性ゾーンにのみ適用されてもよく、かつ/または少なくとも1つの高多孔性ゾーンにのみ適用されてもよい。
【0019】
[0019]いくつかの実施形態では、物品は、少なくとも1つのエネルギー源と組み合わされる。
【0020】
[0020]少なくとも1つのエネルギー源は、加温ボウルまたはプレートおよび/またはファンであってもよい。物品は、ファンの少なくとも1つの羽根を形成してもよい。
【0021】
[0021]いくつかの実施形態では、物品は、光源の周囲に配置される。
【0022】
[0022]いくつかの実施形態では、物品は、支持構造内に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
[0023]以下の詳細な説明において、本発明の実施形態は、以下の図を参照しながら説明される。
【0024】
【
図1】本発明のある特定の実施形態による、パルプ基材を形成するために使用される型の画像である。
【
図2】
図1の型で形成されたパルプ基材の上面図である。
【
図4】本発明のある特定の実施形態による、仕切りを用いて形成されたパルプ基材の上面図である。
【
図5】本発明のある特定の実施形態による、仕切りの上および下表面がパルプ材料によって覆われている仕切りを用いて形成されたパルプ基材の側面図である。
【
図6】本発明のある特定の実施形態による、仕切りの上表面がパルプ材料によって覆われている仕切りを用いて形成されたパルプ基材の側面図である。
【
図7】本発明のある特定の実施形態による、仕切りの上および下表面がパルプ材料によって覆われていない仕切りを用いて形成されたパルプ基材の側面図である。
【
図8】本発明のある特定の実施形態による、裏打ち層を含む仕切りを用いて形成されたパルプ基材の側面図である。
【
図9】本発明のある特定の実施形態による、複数のゾーンを含む仕切りを用いて形成されたパルプ基材の上面図である。
【
図10】本発明のある特定の実施形態による、複数ステップの成形プロセスの流れ図である。
【
図11】本発明のある特定の実施形態による、複雑な表面幾何学的形状で形成されたパルプ基材の側面図である。
【
図12】本発明のある特定の実施形態による、複雑な表面幾何学的形状で形成されたパルプ基材の側面図である。
【
図13】本発明のある特定の実施形態による、取付要素を用いて形成されたパルプ基材の上面図である。
【
図14】本発明のある特定の実施形態による、開口部を有して形成されたパルプ基材の上面図である。
【
図15】本発明のある特定の実施形態による、他の材料の追加のための複数の開口部を有して形成されたパルプ基材の上面図である。
【
図16】他の材料が複数の開口部に組み込まれている
図15のパルプ基材の上面図である。
【
図17】本発明のある特定の実施形態による、接合されている2つのパルプ基材の側面図である。
【
図18】接合された
図17の2つのパルプ基材の側面図である。
【
図19】パルプ基材への揮発性組成物の導入ための毛細管システムを有するパルプ基材の側面図である。
【
図20】本発明のある特定の実施形態による、取付要素および様々な形状を有する物品の正面画像である。
【
図21】本発明のある特定の実施形態による、取付要素および様々な形状を有する物品の正面画像である。
【
図22】本発明のある特定の実施形態による、取付要素および様々な形状を有する物品の正面および側面画像である。
【
図23】本発明のある特定の実施形態による、物品をスタンドに結合する取付要素を有する物品の正面画像である。
【
図24】本発明のある特定の実施形態による、物品および取り付け可能な裏打ち層の正面画像である。
【
図25】裏打ち層に取り付けられた
図24の物品の正面図である。
【
図26】裏打ち層に取り付けられた
図24の物品の背面図である。
【
図27】取り付け可能な裏打ち層を有する物品のスケッチである。
【
図28】本発明のある特定の実施形態による、取付要素ならびに様々な形状および着色を有する物品の正面および側面画像である。
【
図29】裏打ち層を取り付けた物品のスケッチである。
【
図30A】本発明のある特定の実施形態による、取付要素ならびに様々な形状および着色を有する物品の正面および側面画像、ならびに2つのパルプ基材を接合することによって形成された物品の側面画像である。
【
図30B】本発明のある特定の実施形態による、取付要素ならびに様々な形状および着色を有する物品の正面画像である。
【
図31】本発明のある特定の実施形態による、2つのパルプ基材を接合することによって形成された物品の上面、正面、および側面図である。
【
図32】本発明のある特定の実施形態による、2つのパルプ基材を接合することによって形成された物品の上面、正面、および側面図である。
【
図33A】本発明のある特定の実施形態による、2つのパルプ基材を接合することによって形成された物品の画像である。
【
図33B】本発明のある特定の実施形態による、2つのパルプ基材を接合することによって形成された物品の画像である。
【
図33C】本発明のある特定の実施形態による、2つのパルプ基材を接合することによって形成された物品の画像である。
【
図34】本発明のある特定の実施形態による、物品の正面図である。
【
図37】本発明のある特定の実施形態による、スタンドならびに様々な形状および着色を有する物品の正面および側面画像である。
【
図38A】本発明のある特定の実施形態による、スタンドおよび様々な形状を有する物品の正面画像である。
【
図38B】本発明のある特定の実施形態による、スタンドおよび様々な形状を有する物品の正面画像である。
【
図39A】本発明のある特定の実施形態による、スタンドならびに様々な形状および着色を有する物品の正面および側面画像である。
【
図39B】本発明のある特定の実施形態による、スタンドならびに様々な形状および着色を有する物品の正面画像である。
【
図40】本発明のある特定の実施形態による、2つのパルプ基材を接合することによって形成された物品の上面、正面、側面、および背面図である。
【
図41A】本発明のある特定の実施形態による、スタンドおよび様々な形状を有する物品の上面および側面図である。
【
図41B】本発明のある特定の実施形態による、スタンドおよび様々な形状を有する物品の上面および側面図である。
【
図41C】本発明のある特定の実施形態による、スタンドおよび様々な形状を有する物品の上面および側面図である。
【
図42】本発明のある特定の実施形態による、スタンドを有する物品の側面図である。
【
図43】本発明のある特定の実施形態による、スタンドを有する物品の上面、側面、および斜視図である。
【
図44A】本発明のある特定の実施形態による、スタンドを有する物品の上面、側面、および斜視図である。
【
図44B】本発明のある特定の実施形態による、スタンドを有する物品の上面、側面、および斜視図である。
【
図45】本発明のある特定の実施形態による、エネルギー源と組み合わされた物品の側面図である。
【
図46】本発明のある特定の実施形態による、エネルギー源と組み合わされた物品の側面図である。
【
図47】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色を有する物品の正面図である。
【
図48】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および加温ボウルを有する物品の正面図である。
【
図49】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および加温ボウルを有する物品の正面図である。
【
図50】本発明のある特定の実施形態による、裏打ち層およびホルダと組み合わされた物品の上面および側面図である。
【
図51A】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面および側面画像である。
【
図51B】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面および側面画像である。
【
図52A】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面、側面、および斜視画像である。
【
図52B】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面、側面、および斜視画像である。
【
図53】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面および側面画像である。
【
図54A】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面、側面、および斜視画像である。
【
図54B】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面、側面、および斜視画像である。
【
図55A】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面、側面、および斜視画像である。
【
図55B】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面、側面、および斜視画像である。
【
図56A】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面、側面、および斜視画像である。
【
図56B】本発明のある特定の実施形態による、様々な形状および着色ならびにプラグイン加熱要素を有する物品の正面、側面、および斜視画像である。
【
図57】本発明のある特定の実施形態による、ファンの羽根を形成する物品のスケッチである。
【
図58】本発明のある特定の実施形態による、ファンの羽根を形成する物品のスケッチである。
【
図59】本発明のある特定の実施形態による、物品の支持構造の斜視図である。
【
図62】
図59の支持構造に取り付けられた装飾カバーの正面図である。
【
図65】本発明のある特定の実施形態による、経時的な基材の内部構造および調節コーティングにわたる揮発性組成物の移動を示す概略図である。
【
図66】本発明のある特定の実施形態による、低密度パルプ基材を含む三次元パルプ物体のサンプルの断面の顕微鏡写真画像である。
【
図67】本発明のある特定の実施形態による、高密度パルプ基材を含む三次元パルプ物体のサンプルの断面の顕微鏡写真画像である。
【
図68】本発明のある特定の実施形態による、高密度パルプ材料と低密度パルプ材料の両方を有する三次元パルプ物体のサンプルの断面の顕微鏡写真画像である。
【
図69】本発明のある特定の実施形態による、ヨウ素染色後の低密度パルプ基材を含む三次元パルプ物体のサンプルの断面の顕微鏡写真低角度反射光画像(microphotograph low-angle reflected light image)である。
【
図70】本発明のある特定の実施形態による、ヨウ素染色後の高密度パルプ基材を含む三次元パルプ物体のサンプルの断面の顕微鏡写真低角度反射光画像である。
【
図71】
図69の低密度サンプルの断面の高解像度画像である。
【
図72】
図70の高密度サンプルの断面の高解像度画像である。
【
図73】本発明のある特定の実施形態による、物品の正面図である。
【
図75】本発明のある特定の実施形態による、物品の正面図である。
【
図77】本発明のある特定の実施形態による、物品の支持構造の斜視組立図である。
【
図79】本発明のある特定の実施形態による、2つの密度ゾーンの重量損失データを示すグラフである。
【
図80】本発明のある特定の実施形態による、物品の重量損失データを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0106]本発明の実施形態の主題は、法定要件を満たすために具体的に本明細書に記載されているが、この説明は必ずしも特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。特許請求される主題は、他の方法で具現化されてもよく、異なる要素またはステップを含んでもよく、他の既存または将来の技術と併せて使用されてもよい。この説明は、個々のステップの順序または要素の配置が明示的に記載されている場合を除き、様々なステップまたは要素の間における特定の順序または配置を意味すると解釈されるべきではない。
【0026】
[0107]本発明のある特定の実施形態によれば、物品10は、基材12を含む。
【0027】
A.基材
[0108]基材12は、揮発性組成物24が内部に貯蔵されてそこから放出される場所を提供するように構成される複数の細孔22を含む内部構造20を含むことができ、これについては以下に詳細に説明する。
【0028】
[0109]基材12は、天然および/または合成パルプ組成物、限定はしないが、紙、セルロース、酢酸セルロース、パルプラップ、コットンリンタ、生物学的植物由来材料(生植物由来)、合成パルプ組成物、および混合パルプを含む、他の製品と組み合わせたパルプ組成物、ポリマー材料、多孔質材料、および/または押出成形物を含んでもよい。
【0029】
[0110]当技術分野で知られているように、パルプは、主に原料材料の他の成分を含む繊維の集まりであり、繊維は、天然または合成原料材料、例えば、生物学的植物(天然)または石油系合成製品(合成)に由来する。パルプは、いくつかの既知のパルプ化技術のうちの任意の1つを使用して様々な種類の木材から製造することができる。パルプは、硬材、軟材、またはそれらの混合物からのものであり得る。パルプはまた、竹、サトウキビ、および他のパルプ源からも製造することができる。パルプはまた、リサイクル材料から作製されてもよく、古紙を回収してそれを新しい製品に作り直すことを含む。
【0030】
[0111]ある特定の実施形態では、基材12内の複数の細孔22の数および/またはサイズ(すなわち、多孔性)は、内部構造20を形成する繊維および/または粒子の緻密性および/またはサイズによって制御することができる。例えば、繊維を含む基材12のある特定の実施形態では、繊維間の空隙が内部構造20全体に小さな空気通路を形成する。繊維の緻密性は、基材12がガスまたは液体を通過させる程度に影響を与える。例えば、多孔性は、揮発性組成物の吸収、取込、および/または充填量に影響を与え得るか、またはそのような物質の放出速度に影響を与え得る。基材12の多孔性および/または吸収性は、パルプまたは上述の任意の他の組成物などの組成物から形成されるときに、添加剤などの他の材料をマトリックス材料12に加えることによって影響を与えられ得、その結果、添加剤は形成後に基材12の内部構造20内に位置する。
【0031】
[0112]パルプを含む基材12の多孔性は、パルプ製造プロセスのどの段階でも影響を与えられる可能性がある。繊維精製のレベルが上がると、繊維はより強くかつしっかりと共に結合し、パルプ材料をより緻密にし、それによって空気通路の網状組織および多孔性を減少させる。基材12の多孔性はまた、他の圧縮方法を使用して制御することができ、これについては以下に詳細に説明する。
【0032】
[0113]基材12の多孔性は、ある量の空気がサンプルを通過するのにかかる時間の長さ、またはサンプルを通過する空気の通過速度のいずれかとして、ガーレー透気度試験機(第1の場合)またはシェフィールドポロシメータ(第2の場合)のいずれかを使用して定量的に測定される。ガーレー透気度試験機では、多孔性は、ISO 5646-5、TAPPI T-460、またはTAPPI T-536に記載のように、100立方センチメートルの空気が4.88インチの水の圧力差で1.0平方インチの所与の材料を通過するのに必要な秒数として測定される。
【0033】
[0114]多孔性は、揮発性組成物24がパルプ基材12にどれだけ完全にかつどれだけ早く吸収されるかに影響を与え得るが、これは、そのような吸収が主に毛細管現象によって起こり得るからである。例えば、高い多孔性を有するパルプ基材12は、揮発性組成物24の吸収性を高めることができる。紙のシートについての標準試験方法に対する多孔性に関連する例として、パルプ基材12の多孔性は、0.01ガーレー秒~100ガーレー秒の範囲であり得、それらの間のすべての範囲を含む。多層のパルプ基材12が存在するある特定の実施形態では、多孔性は、0.01ガーレー秒~20ガーレー秒の範囲であり得る。揮発性組成物24は、フィルムもしくはコーティングの形態で、または基材12の内部構造20に組み込まれる処理として基材12に適用することができる。多孔性の差が揮発性組成物24の放出速度に影響を与えるので、多孔性が低いと、放出速度は低く、多孔性が高いと、放出速度は高い。基材12の一部(内側層または内側プライなど)の多孔性が高いことで、揮発性組成物24が基材12の外側に達するためにより多くの層/プライを通過しなければならないという事実を補償する。また、基材12の密度が基材12の内部貯蔵部(すなわち、揮発性組成物24を吸収する能力)に影響を与えることにも留意されたい。
【0034】
[0115]いくつかの実施形態では、基材12の厚さが異なると、製造プロセス中に異なる量の圧縮が適用され、その結果、得られる基材12は様々な密度、多孔性、および吸収性を有することができる。
【0035】
[0116]基材、多孔性、パルプ濃度などのさらなる説明は、米国特許出願公開第2011/0262377号に見出すことができ、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
[0117]ある特定の実施形態では、パルプ基材12の多孔性は、パルプ基材12が様々な多孔性ゾーン1202を有して構成されるように制御されてもよい。いくつかの実施形態では、多孔性ゾーン1202は、パルプ基材12内の繊維の緻密性を変えることによって形成されてもよい。
【0037】
[0118]例えば、パルプ基材12は、
図1に示すように、型1204内に形成することができる。型1204は、少なくとも1つの高多孔性ゾーン1206および少なくとも1つの低多孔性ゾーン1208を有するパルプ基材12を形成するように構成される。
【0038】
[0119]基材表面に複数の開口1209を有する型1204の部分の上に配置されたパルプ基材12は、低多孔性ゾーン1208を含む。圧力がパルプ基材12に均一に適用されると、より多くの水がパルプ基材12のそのゾーンから排水開口1209を介して除去される。結果として、低多孔性ゾーン1208は、より大きい繊維の緻密性(したがってより大きい密度)を有することになる。
【0039】
[0120]対照的に、固体基材表面を有する型1204の部分の上に配置されたパルプ基材12は、高多孔性ゾーン1206を含む。圧力がパルプ基材12に均一に適用されると、水の除去を補助するための追加の排水機構がないため、パルプ基材12のそのゾーンから除去される水が少なくなる。結果として、高多孔性ゾーン1206は、より低い繊維の緻密性(したがってより低い密度)を有することになる。
【0040】
[0121]
図2~
図3に最もよく示されているように、高多孔性ゾーン1206と低多孔性ゾーン1208との間に遷移多孔性ゾーン1210があってもよく、そこでは繊維の緻密性が徐々に変化する。揮発性組成物(単数または複数)24がパルプ基材12のゾーン1206、1208に注入されると、揮発性組成物(単数または複数)24の一定量の吸上げが遷移多孔性ゾーン1210を通して行われ得る。
【0041】
[0122]さらなる実施形態では、
図4~
図9に最もよく示されているように、仕切り1212をパルプ基材12内に配置するか、または少なくとも部分的に埋め込むことができる。仕切り1212をパルプ基材12内に配置するために、パルプ組成物が型1204に導入されるときに仕切り1212を型1204内に配置することができる。仕切り1212は、いくつかまたは実質的にすべての遷移多孔性ゾーン1210、ならびに様々な多孔性ゾーン1202間の揮発性組成物24のいくつかまたは実質的にすべての吸上げを排除するようにゾーン1206および1208を分離するために成形されてもよい。
【0042】
[0123]いくつかの実施形態では、より低い濃度のパルプ繊維を有するパルプ基材12を高多孔性ゾーン1206に加えてもよく、より高い濃度のパルプ繊維を有するパルプ基材12を低多孔性ゾーン1208に加えてもよい。圧力が型1204に均一に適用されると、高多孔性ゾーン1206は、低多孔性ゾーン1208よりも低い繊維の緻密性(したがってより低い密度)を有することになる。圧力が型1204を均一な距離に圧縮するために適用されると、低多孔性ゾーン1208は、体積当たりの繊維の数が多いために、高多孔性ゾーン1206よりも大きい繊維の緻密性(したがってより高い密度)を有することになる。
【0043】
[0124]あるいは、均一の濃度のパルプ繊維を有するパルプ基材12は、両方のゾーン1206、1208に加えられてもよい。より多くの圧力を低多孔性ゾーン1208に適用することで、より圧縮して多孔性を減少させることができる(すなわち、繊維をより圧縮して密度を増加させることによって)。対照的に、圧力を高多孔性ゾーン1206にあまり適用しないことで、低多孔性ゾーン1208よりも圧縮を少なくすることができる。
【0044】
[0125]
図5~
図6に最もよく示されているように、仕切り1212は、パルプ基材12内に少なくとも部分的に埋め込まれるように成形することができる。これらの実施形態では、パルプ基材12の一部は、仕切り1212が重なり合うパルプ基材12を通して見えないように、仕切り1212の上側(
図5~
図6)および/または下側(
図6)表面の上に延びることができる。揮発性組成物(単数または複数)24がパルプ基材12のゾーン1206、1208に注入されると、揮発性組成物(単数または複数)24の一定量の吸上げが重なり合うパルプ基材12を通して行われ得る。
【0045】
[0126]他の実施形態では、
図4および
図6~
図9に最もよく示されているように、仕切り1212は、物品10の可視表面の少なくとも一部を形成するように成形されてもよい。これらの実施形態では、仕切り1212は、物品10の装飾設計または他の審美的に魅力的な表面処理の一部を形成するように成形することができる。
【0046】
[0127]さらなる実施形態では、多孔性ゾーン1202は、ガスまたはガス形成材料などの様々な量の細孔形成剤を導入することによって形成することができる。ガスまたはガス形成材料は、型1204への導入の前または後にパルプ基材12に導入することができる。ガス形成材料の例は、炭酸カルシウムおよび酸などの固体、揮発性液体、化学試薬、例えば、重炭酸塩の分解によってガスの放出を引き起こす熱分解性材料、またはデキストロースおよび酵母などの生物学的薬剤を含む。異なる量のガスまたはガス形成材料を各ゾーン1206、1208に導入し、それによって各ゾーンの繊維含有量がほぼ同じであっても、異なる多孔性を有するゾーンを生成することができる。例えば、高多孔性ゾーン1206は、より大量のガスまたはガス形成材料を注入され、それによってより大きい多孔性を有してもよく、一方、低多孔性ゾーン1208は、より少量のガスまたはガス形成材料を注入され、それによってより低い多孔性を有してもよい。
【0047】
[0128]さらなる実施形態では、ゾーン1206および1208は、上記の技術(すなわち、繊維の緻密性、ガスまたはガス形成材料の注入、精製、添加剤、または上述の任意の他の多孔性制御方法)のいずれかを使用して完全に別々の型1204に形成され、ゾーン1208の多孔性に対してゾーン1206の多孔性を調整することができる。
【0048】
[0129]さらに、
図10に記載のように、パルプ基材12は、少なくとも2つの成形ステップを使用して形成されてもよい。第1のステップでは、パルプ組成物を第1の型1204Aに加え、次いでより高い圧力(0.1lb/in
2~100lb/in
2の範囲)を使用して圧縮して低多孔性ゾーン1208を形成する。パルプ基材12を第1の型1204Aから除去し、次に第1の型1204Aよりも大きい体積を有する第2の型1204Bに挿入する。次いで、追加のパルプ組成物を第2の型1204Bに加え、パルプ基材12を第1の型1204Aから取り囲む。型1204B内の材料は、次により低い圧力(0.1lb/in
2~100lb/in
2の範囲)を使用して圧縮されて高多孔性ゾーン1206を形成する。この技術は、遷移多孔性ゾーン1210が多孔性ゾーン1202間に形成されることなく、またゾーンを分離するための仕切り1212を必要とせずに、個別の多孔性ゾーン1202を有するパルプ基材12を形成する。加えて、追加のパルプ組成物の追加後の低多孔性ゾーン1208の形状および/または密度を維持するために、追加のパルプ組成物を第2の型1204Bに加える前に低多孔性ゾーン1208に処理を適用してもよい。処理の例は、限定はしないが、湿潤強度剤、結合剤、ワックス、デンプン、サイズ剤、架橋剤、および/または任意の他の適切な剤を含む。
【0049】
[0130]仕切り1212がゾーン1206、1208間の重なり合うパルプ基材12を完全に排除するように成形される実施形態および/またはゾーン1206、1208が異なる型で形成される実施形態では、
図17~
図18、
図30A、
図31~
図32、および
図40に示すように、ゾーン1206、1208間の接合機構1214を使用してパルプ基材12を物品10の中に分離することができる。
【0050】
[0131]適切な接合機構1214の例は、限定はしないが、接着剤、コーティング、ワックス、デンプン、およびガムなどの任意の適切な化学的ファスナ、ならびに/または雄/雌クリップ、アンカ、フックおよびループファスナ、ピン、ねじ型ファスナ、含浸型ファスナ、および磁石などの任意の適切な機械的ファスナを含んでもよい。これらの機械的ファスナは、ある特定の実施形態では、成形プロセス自体の一部であってもよく、パルプから作製されてもよい。
【0051】
[0132]
図17は、使用され得る接合機構1214の一例を示す。ある特定の実施形態では、接合機構1214は、パルプ基材12が形成されるときに型に含めることができる。他の実施形態では、接合機構1214は、成形プロセスが完了した後にゾーン1206、1208に加えることができる。
【0052】
[0133]パルプ基材12の上記の説明は、2つの多孔性ゾーン1206、1208に焦点を当てていたが、実施形態は決してそのように限定されない。例えば、上記の技術および機構を使用して、限定はしないが、3、4、5、6、またはそれ以上のゾーンを含む、任意の適切な数のゾーンを有するパルプ基材12を形成することができる。
図9に示すように、パルプ基材12は、8つのゾーン、すなわち最も高い多孔性を有するゾーン1206A、高い多孔性を有する1206B、低い多孔性を有する1208A、および最も低い多孔性を有する1208Bを含むことができる。
【0053】
[0134]さらに、ゾーンは、限定はしないが、くさびまたはパイ形、直線形、楕円形、円形、または任意の適切な種類の単純なまたは複雑な幾何学的形状を含む、任意の適切な形状を有してもよい。さらに、ゾーン1206、1208が異なる多孔性で形成されるように記載されているが、当業者であれば、ゾーン1206、1208は、上述の形成または接合技術のいずれかを使用して同じまたは同様の多孔性で形成されてもよいことを理解するであろう。
【0054】
[0135]さらに、
図2、
図11~
図12、
図17~
図18、
図30A、
図31~
図32、および
図40に最もよく示されているように、ゾーンは、他のゾーンと接合するための比較的滑らかな連結表面1216を有するように形成され得る一方、パルプ基材12の外側表面を形成する多くのピーク1226を含み得る非常に粗いまたは複雑な外向き表面1218も有する。
【0055】
[0136]いくつかの実施形態では、外向き表面1218の複雑な幾何学的形状は、さらなる放出速度制御を提供し得る。例えば、
図71および
図72の添付の顕微鏡写真に示すように、パルプ基材12は、表面1218に位置するピーク1226内に位置するパルプ組成物の微小変動を含む。ピーク1226の形状は、パルプ繊維をこれらのエリアにおいてミクロスケールでより高度に集中させる一方で、谷または平坦な領域1228は、ミクロスケールでより良好なパルプ繊維分散のために構成される。結果として、平坦な領域1228と比較して、ピーク面積1226からの放出速度に変動がある。加えて、以下により詳細に説明されるように、ピーク1226および谷または平坦な領域1228の異なる表面積もまた、放出速度制御を提供する。したがって、表面幾何学的形状は、「トップノート」の放出速度をさらに調節するためにゾーン1208内のより滑らかな表面テクスチャを使用しながら、「ベースノート」の放出速度をさらに高めるためにゾーン1206内により多くのピーク1226を提供するように構成され得る。したがって、放出速度は、密度および/または表面積の差によって調整することができる。
【0056】
[0137]ピーク1226の場所および濃度はまた、揮発性組成物24の放出の方向性を向上させる。例えば、ピーク1226は、小さい三次元放射源として作用し、それにより揮発性組成物24がピーク1226の隆起表面から全方向に放射することを可能にする。対照的に、平坦な領域1228は、ある範囲の方向に面する表面積が少ないので、より限られた方向性で放射する傾向にある。ピーク1226および平坦な領域1228によって提供される放射の方向性の範囲は最適化され、パルプ基材12内のある特定の揮発性組成物24の場所と結び付けられてもよい。表面幾何学的形状は、多孔性ゾーン1202および/または比較的均一な多孔性を有するパルプ基材12と共に機能するように設計することができる。
【0057】
[0138]いくつかの実施形態では、
図20~
図26、
図28~
図29、
図30A~
図30B、
図35、
図59~
図64、および
図73~
図76に示すように、物品10は、物品10を別の物品または他の物体、例えば、あらゆる形態の交通手段の一部(車のキャビン、飛行機、電車、ボートなど)、クリスマスツリーまたは他の現実的もしくは人工的な付属品もしくは装飾品、家もしくはオフィスの備品、または体に取り付けるための取付要素1002を含んでもよい。そのような取付要素1002は、パルプ基材12内に、物品を表面、別の物品、または別の構造に取り付けるためのフック、クリップ、ループ、ひも、プロング、バンド、磁石、または他の機構を物品10に挿入または結合するための穴を含むことができる。他の実施形態では、物品10は、パルプ基材12の少なくとも一部を貫通するように構成される取付要素1002を含んでもよい。
【0058】
[0139]取付要素1002は、パルプ基材12が成形された後に物品10に形成または取り付けられてもよい。取付要素1002はまた、パルプ組成物と共に型1204に配置される仕切り1212または他の構造の一部として接続または形成されてもよく、それにより取付要素1002はパルプ基材12内に少なくとも部分的に埋め込まれる。
【0059】
[0140]いくつかの実施形態では、
図11~
図12、
図17~
図18、
図24~
図25、
図31に最もよく示されているように、物品10は、テーブル、机、カウンタ、窓敷居などの別の表面に配置されたときに物品10を直立位置に保持する支持表面を形成する、外向きの滑らかな表面1220を含むことができる。
【0060】
[0141]ある特定の実施形態では、
図23、および
図35~
図44に最もよく示されているように、スタンド1006は、物品10に結合するように構成されてもよい。スタンド1006は、物品10と他の表面との間の接触を防止するように、揮発性組成物24を吸収または透過しない任意の材料で形成され得る。適切な材料は、限定はしないが、金属、金属化フィルム、セラミック、ガラス、グレイズドセラミック、プラスチック、ポリマー、および任意の他の不浸透性材料を含む。
【0061】
[0142]他の実施形態では、
図8、
図24~
図27、および
図29に最もよく示されているように、物品10は、物品10の少なくとも1つの表面に適用される裏打ち層1222を含むことができる。裏打ち層1222は、物品10と他の表面との間の接触を防止するように、揮発性組成物24を吸収または透過しない任意の材料で形成され得る。適切な材料は、限定はしないが、金属、金属化フィルム、セラミック、ガラス、グレイズドセラミック、プラスチック、ポリマー、および任意の他の不浸透性材料を含む。
【0062】
[0143]裏打ち層1222は、パルプ基材12が接着剤、コーティング、ワックス、デンプン、ガムなどの任意の適切な化学的ファスナならびに/またはスナップフィット設計、雄/雌クリップ、アンカ、フックおよびループファスナ、ピン、ねじ型ファスナ、含浸型ファスナ、パルプ繊維を結合するための表面の粗さまたは適合性、および磁石などの任意の適切な機械的ファスナを使用して成形された後に物品10に適用され得る。
【0063】
[0144]ある特定の実施形態では、
図8に最もよく示されているように、裏打ち層1222はまた、パルプ組成物と共に型1204に配置される仕切り1212または他の構造の一部として接続または形成されてもよく、それにより裏打ち層1222はベースパルプ材料12の外表面を形成する。
【0064】
[0145]さらなる実施形態では、
図14~
図16、
図21、
図41および
図43に最もよく示されているように、物品10は、物品10の一部または全体を通って延びるダボまたは他の開口部1224をさらに含むことができる。開口部1224は、成形プロセス中にパルプ基材12内に形成されてもよく、または開口部1224を形成するために機械的ツールを使用して物品10に形成されてもよい。開口部1224は、物品10内に発光ダイオードまたは他の光源などの光源を配置するように構成することができる。
【0065】
[0146]さらなる実施形態では、1つまたは複数の開口部1224は、他のパルプ基材12または他の材料もしくは物体を挿入するための入れ物を形成してもよい。例えば、
図15~
図16に最もよく示されているように、パルプ基材12は、多孔性ゾーン1202を有さずに少なくとも1つの開口部1224を有する均一な第1の多孔性を有するように成形することができる。この開口部1224は、多孔性ゾーン1202を有さずに均一な第2の多孔性を有し、かつ開口部1224の形状および寸法に実質的に一致する形状を有するように成形される別のパルプ基材12を受容するように成形され得る。第2のパルプ基材12が開口部1224に挿入されると、物品10は、他のパルプ基材12の異なる多孔性から生じる異なる多孔性ゾーン1202を含むことができる。追加の開口部1224が物品10と共に含まれてもよく、追加の異なる多孔性を有するより多くのパルプ基材12が挿入されて複数の多孔性ゾーン1202を形成してもよい。さらなる実施形態では、螺旋状巻紙の香りロッドなどの他のアイテムを開口部1224に挿入することができる。したがって、開口部1224は、香りが枯渇した古い基材12または香りロッドを除去し、それらを新しいものと交換することによって揮発性組成物24を物品10内に補充する方法として働き得る。
【0066】
[0147]他の実施形態では、
図19に最もよく示されているように、毛細管構造1230は、仕切り1212に組み込まれてもよく、および/またはパルプ組成物の追加の前または間に型1204に加えられる別々の構造であってもよい。この毛細管構造1230は、パルプ基材12の外側表面からアクセス可能な1つの開口端部1234と、パルプ基材12の本体内で終端する対向端部1236とを有するある長さの管1232を含み得る。対向端部1236は、パルプ組成物の追加および成形プロセスの間に仕切り1212に接続されて毛細管構造1230を型1204内に吊り下げることができる。
【0067】
[0148]ある特定の実施形態では、毛細管構造1230は、各ゾーン1206、1208を通って延びる別々の管を含むことができる。管は、その長さに沿って一連の小さい開口1238をさらに含み得る。毛細管構造1230は、濃度が枯渇すると揮発性組成物24をゾーン1206、1208に再導入するために使用することができる。揮発性組成物24は、開口端部1234を通って導入され、開口1238を介してゾーン1206、1208に分散する。各ゾーン1206、1208は、異なる揮発性組成物24を受容することができ、および/または再充填設計は、揮発性組成物24を所望のように異なる香りで置き換えることを可能にする。
【0068】
[0149]ある特定の実施形態では、
図45~
図46、
図48~
図49、および
図51~
図58に最もよく示されているように、物品10は、限定はしないが、加熱要素(加温ボウルまたはプレート、電気プラグイン、化学加温パック、キャンドル、光源、加熱要素システム、および任意の他の発熱体)および風要素(ファン、送風機、空気循環ベント、羽根のないファン、および任意の他の空気移動体など)を含む、少なくとも1つのエネルギー源1004と組み合わせることができる。
【0069】
[0150]物品10は、様々な方法でエネルギー源1004と組み合わせることができる。揮発性組成物を含有する物品に取り付けられるおよび/または近接して配置される様々なエネルギー源が米国特許出願公開第2015/0217016号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
[0151]いくつかの実施形態では、物品10は、加温ボウルまたはプレート1004内に配置されてもよく、物品10は、加温ボウル1004の表面との接触を介して加熱される。加温ボウルまたはプレート1004の表面は、約90°F~250°Fの範囲の熱を発生する。さらなる実施形態では、化学加温パック1004を物品10に取り付けるかまたは隣接して配置することができる。
【0071】
[0152]これらの実施形態では、裏打ち層1222は、物品10と加温ボウル1004との間の接触表面として働くように構成されてもよい。物品10と加温ボウル1004との間の熱伝達の効率を向上させるために、裏打ち層1222は、スズ、銅、アルミニウム、または他の適切な金属材料などの導電性材料で形成されてもよい。
【0072】
[0153]いくつかの実施形態によれば、物品10は、白熱電球の周囲および/または近くに配置される、ライトシェードまたはスクリーンに成形されてもよい。例えば、物品10は、夜間照明用のスクリーンまたは小さい装飾照明用のシェードとして配置することができる。物品10はまた、より大きい電球用のランプシェードまたはスクリーンとして構成されてもよい。
【0073】
[0154]物品10はまた、
図57~
図58および
図77~
図78Bに示すように、ファンなどの風要素の経路内に配置され、かつ/または風要素に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、物品10は、ファンの1つまたは複数の羽根の少なくとも一部を形成することができ、かつ/またはベントカバーに取り付けることができる。これらの実施形態では、物品10は、
図59~
図64に示す叉状構造1008または
図77~
図78Bに示すカップ構造1008などの支持構造1008内に配置することができる。プロング1010は、物品10を支持構造1008に固定するために物品10の側面を部分的に囲むように延びる。プロング1010は、(
図59~
図64に示すように)支持構造1008または(
図77~
図78Bに示すように)装飾カバー1012に取り付けることができる。支持構造1008はまた、支持構造1008をベントの羽根または他の適切な表面に固定する、取付要素1002を含む。いくつかの実施形態では、
図78Bに示すように、取付要素1002は、自動車のファンまたはベントの外部分などの適切な表面と係合することができる、互いに向かって付勢される一対のクランプ部材を含み得る。支持構造1008は、プロング1010の外側表面に取り付ける装飾カバー1012をさらに含んでもよい。
【0074】
[0155]エネルギー源1004によって生じた熱は、放出を促進するように物品10内の揮発性組成物24を加熱し、エネルギー源1004によって生じた風は、物品10上に気流を作り出し、揮発性組成物24の分散を促進する。
【0075】
[0156]
図73~
図76に示すように、物品10は、異なる密度を有する複数のゾーンを含み得る。物品10は、それぞれ異なる密度を有する任意の数のゾーンを有してもよい。例えば、物品10は、第1の密度ゾーン1241、第2の密度ゾーン1242、第3の密度ゾーン1243、および第4の密度ゾーン1244を含み得る。いくつかの実施形態では、密度ゾーンは、上述のように様々な多孔性ゾーン(例えば、高多孔性ゾーン1206および低多孔性ゾーン1208)と相関し得る。場合によっては、高密度ゾーンは、低多孔性ゾーン1208と相関し、低密度ゾーンは、高多孔性ゾーン1206と相関する。しかしながら、物品10は、2つの密度/多孔性ゾーンに限定されず、任意の数の密度/多孔性ゾーンを有することができる。(以下により詳細に説明される)揮発性組成物24の吸収およびその後の放出に影響を与えることに加えて、様々な密度ゾーンはまた、物品10の美観/外観にも影響を与え得る。いくつかの実施形態では、揮発性組成物24は、染料(油溶性染料など)と組み合わせることができる。様々な染料が、以下により詳細に説明されている。揮発性組成物24の染料の色は、物品10の高密度エリアにおいてより暗くまたは濃く見える。場合によっては、基材12は、ほぼ白色であり、染料は、低密度エリアが基材12の白色に近く見え、高密度エリアが染料の色に近いより暗い色を有するように(赤、青、緑などの)色である。
【0076】
[0157]
図73および
図74は、天使の形状に形成された物品10の一例を示す(
図24~
図28、
図34、
図35、
図37、
図40も参照)。いくつかの実施形態では、第2の密度ゾーン1242は、天使の羽に対応し、物品10の最も高い密度を有する。
図73および
図74に示す第1および第3の密度ゾーン1241および1243は、第2の密度ゾーン1242よりも低い密度を有する。いくつかの実施形態では、天使の顔/頭(第1の密度ゾーン1241)は、低密度であり、天使の服/体(第3の密度ゾーン1243)は、第1の密度ゾーン1241の密度よりも高いが第2の密度ゾーン1242の密度よりも低い中程度の密度を有する。
【0077】
[0158]いくつかの実施形態では、第1の密度ゾーン1241は、約0.6g/cm3~0.9g/cm3であり、第2の密度ゾーン1242は、約1.0g/cm3~1.2g/cm3である。ある特定の実施形態では、第1の密度ゾーン1241は、約0.7g/cm3~0.75g/cm3であり、第2の密度ゾーン1242は、約1.05g/cm3~1.1g/cm3である。物品10の密度が増加するにつれて、物品10に吸収され得るフレグランス(揮発性組成物24などの液体)の最大量が減少する。いくつかの実施形態では、液体が吸収された後、第1の密度ゾーン1241は、約50%~54%のフレグランス充填パーセントを有し、第2の密度ゾーン1242は、約42%~46%のフレグランス充填パーセントを有する。ある特定の実施形態では、液体が吸収された後、第1の密度ゾーン1241は、約51.5%~52.5%のフレグランス充填パーセントを有し、第2の密度ゾーン1242は、約43.5%~44.5%のフレグランス充填パーセントを有する。
【0078】
[0159]
図75および
図76は、雪片の形状に形成された物品10の例を示す(
図50も参照)。これらの図は、物品10の2つのバージョン、バージョン(a)およびバージョン(b)を示し、バージョン(b)は、バージョン(a)の高さh
1よりも大きい高さ/厚さh
2を有する。いくつかの実施形態では、h
2は、h
1よりも約50%大きい。いくつかの例では、h
2は、約1.5mmであり、h
1は、約1mmである。バージョン(a)は、第1の密度ゾーン1241および第2の密度ゾーン1242を有し、第2の密度ゾーン1242は、第1の密度ゾーン1241よりも高い密度を有する。バージョン(b)は、第3の密度ゾーン1243および第4の密度ゾーン1244を有し、第4の密度ゾーン1244は、第3の密度ゾーン1243よりも高い密度を有する。バージョン(b)の高さ/厚さの増加は、第3の密度ゾーン1243がバージョン(a)の第1の密度ゾーン1241よりも低い密度を有することを示し、これにより第3の密度ゾーン1243と第4の密度ゾーン1244との間のより良好な色コントラストが可能になる(第1の密度ゾーン1241と第2の密度ゾーン1242との間のコントラストと比較して)。
【0079】
[0160]物品10はまた、裏側にチャネル1250を含み得る(
図74および
図76参照)。チャネル1250の形状は、(
図74および
図76に示すように、物品10の裏側の周辺からのオフセットを伴って)物品10の周辺にほぼ一致し得るが、これは必須ではない。いくつかの実施形態では、物品10の製造プロセス中、特定量の揮発性組成物24(または揮発性組成物24と油溶性染料との組合せ)をチャネル1250に注ぐことができる。
図74に示すように、チャネル1250は、少なくとも1つの補助チャネル1251、1252を含むことができる。補助チャネル1251、1252は、チャネルに注がれた液体が特定の領域に蓄積すること、および/または特定のエリアにおいて物品10の全体の厚さを減少させることを可能にし得る。物品10の局所的な厚さを減少させることは、局所的なエリアにおける圧縮を増加させ、それにより所望の場所での物品10の密度を増加させ、これにより、より詳細な表面細部を外向き表面1218で成形することが可能になる。例えば、第1の補助チャネル1251は、天使の顔の反対側に位置してもよく、したがって顔の特徴(例えば、口、目など)を外向き表面1218に成形することが可能になる(
図73および
図74参照)。同様に、第2の補助チャネル1252は、天使の服の反対側に位置してもよく、したがって特徴(例えば、縞など)を外向き表面1218に成形することが可能になる(
図73および
図74参照)。いくつかの実施形態では、第1の補助チャネル1251は、ほぼ円形(2D)または部分的に球形(3D)の形状を有してもよい。ある特定の実施形態では、第2の補助チャネル1252は、ほぼ三角形(2D)または部分的に円錐形(3D)の形状を有してもよい。物品10はまた、揮発性組成物24(または揮発性組成物24と油溶性染料との組合せ)の容器に浸されてもよい。揮発性組成物24をチャネルに注ぐこと、または物品10を容器に浸すことの一方または両方は、ロボットデバイスによって完了することができる。
【0080】
[0161]上述のように、物品10の密度は、吸収され得る液体フレグランスの量に影響を与える。いくつかの実施形態では、揮発性組成物24(または揮発性組成物24と油溶性染料との組合せ)を加えた後、
図73~
図76に示す物品10全体は、約30重量%~60重量%の液体である。物品10のいくつかの例は、40重量%の液体を有することができ、他の物品10は、50重量%の液体を有することができる。いくつかの実施形態では、物品10は、5~15gまでの揮発性組成物24(または揮発性組成物24と油溶性染料との組合せ)を受容することが可能な内部貯蔵部を有する。いくつかの実施形態では、物品10の内部貯蔵部は、9gまでの揮発性組成物24(すなわち、最大液体容量)を受容することが可能である。いくつかの実施形態では、物品10は、最大液体容量の約2/3を吸収するように設計されている。いくつかの実施形態では、物品10は、約6gの揮発性組成物24を吸収するように設計されている。
【0081】
[0162]チャネル1250は、チャネル1250の体積が物品10の最大液体容量にほぼ対応するように設計することができる。場合によっては、チャネル1250の体積は、製造プロセス中に物品10によって吸収される所望の量の液体にほぼ対応し、他の実施形態では、チャネル1250の体積は、液体がチャネルに注がれるとすぐに吸収が始まるという仮定に基づいて、製造プロセス中に物品10によって吸収される所望の量の液体よりも少ない。
【0082】
B.揮発性組成物
[0163]揮発性組成物24は、限定はしないが、フレグランス、風味化合物、臭気除去化合物、アロマテラピー化合物、天然油、水性の香り、臭気中和化合物、および屋外用製品(例えば、防虫剤)を含んでもよい。
【0083】
[0164]本明細書で使用する場合、「揮発性物質」は、臭気のある任意の化合物、混合物、もしくは化合物の懸濁液、または臭気化合物を相殺もしくは中和する任意の化合物、混合物、もしくは化合物の懸濁液、例えば嗅覚化合物に反応することが可能な、またはそのような嗅覚反応を減少もしくは排除する、生物において正または負の嗅覚感覚反応を生じるであろう任意の化合物もしくは化合物の組合せを指す。
【0084】
[0165]揮発性組成物は、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の揮発性物質を含み、一般に、揮発性であり得、ヒトまたは動物の嗅覚系に運ばれ得る匂いまたは臭気を有する組成物であり、一般に、1つまたは複数の嗅覚受容体と相互作用するように十分に高い濃度で提供される。
【0085】
[0166]フレグランスは、嗅覚化合物に反応することが可能な生物において嗅覚反応を生じさせることが可能なアロマまたは臭気化合物、混合物または化合物の懸濁液を含むことができ、本明細書では臭気物質、アロマ、またはフレグランスと呼ぶことがある。フレグランス組成物は、トップノート、ミッドノートまたはハート、およびドライダウンまたはベースノートを含む、1つまたは複数のフレグランス特徴を含み得る。揮発性組成物24は、溶媒または保存料などの他の希釈剤または添加剤を含み得る。
【0086】
[0167]本発明において有用な揮発性組成物24の例は、限定はしないが、エステル、テルペン、環状テルペン、芳香族化合物とも呼ばれるフェノール類、アミン類およびアルコール類を含む。さらなる例は、限定はしないが、フラネオール、1-ヘキサノール、シス-3-ヘキセン-1-オール、メントール、アセトアルデヒド、ヘキサナール、シス-3-ヘキセナール、フルフラール、フルクトン、酢酸ヘキシル、エチルメチルフェニルグリシデート、ジヒドロジャスモン、ワインラクトン、オクタ-1-エン-3-オン、2-アセチル-1-ピロリン、6-アセチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリジン、ガンマ-デカラクトン、ガンマ-ノナラクトン、デルタ-オクタラクトン、ジャスミン、マッソイアラクトン、ソトロンエタンチオール、グレープフルーツメルカプタン、メタンチオール、2-メチル-2-プロパンチオール、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、ギ酸メチル、ネロリンテトラヒドロチオフェン、2,4,6-トリクロロアニソール、置換ピラジン、酢酸メチル、酪酸メチル、ブタン酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル、酪酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸ペンチル、酪酸ペンチル、ペンチルペンタノエート、イソアミルアセテート、オクチルアセテート、ミルセン、ゲラニオール、ネロール、シトラール、レモナル、ジェラニアル、ネラル、シトロネラル、シトロネロール、リナロール、ネロリドール、リモネン、樟脳、テルピネオール、α-イオノン、テルピネオール、ツジョン、ベンズアルデヒド、オイゲノール、シンナムアルデヒド、エチルマルトール、バニリン、アニソール、アネトール、エストラゴール、チモールトリメチルアミン、プトレシン、ジアミノブタン、カダベリン、ピリジン、インドールおよびスカトールを含む。これらの大部分は、有機化合物であり、アルコールまたは油などの有機溶媒に容易に溶解する。フレグランスは、精油を含むものなどの純粋なフレグランスを含み、当業者に知られている。水性臭気化合物および他の臭気組成物もまた、本発明によって企図される。
【0087】
[0168]嗅覚活性化合物または組成物であるフレグランス油は、通常、多くの異なる香料原材料を含む。使用される各香料原材料は、個々の性質および揮発性を含むいくつかの重要な特性によって互いに異なる。これらの異なる特性、およびその他を念頭に置くことによって、香料原材料をブレンドして全体的に特定の性質プロファイルを有するフレグランス油を開発することができる。今日まで、性質は、異なる香料原材料が基質から蒸発するにつれて時間と共に変化して発生するように設計され、使用者によって検出される。例えば、軽い、新鮮、フルーティ、シトラス、グリーン、または繊細なフローラルなどの適用直後に検出される最初の瞬間的な性質をフレグランス油に与えるために、揮発性が高く持続性が低い香料原材料が一般に使用される。そのような材料は、フレグランスの分野では一般に「トップノート」と呼ばれる。対照的に、揮発性が低く、持続性のある香料原材料は、典型的には、適用直後にも検出されることもあるが、香りはかなり長く持続するじゃ香、甘い、バルサム、スパイシー、木質、または重いフローラルなどの性質をフレグランス油に与えるために使用される。これらの材料は、一般に「ミドルノート」または「ベースノート」と呼ばれる。高度に熟練した調香師が通常、得られるフレグランス油が所望の全体的なフレグランス性質プロファイルを有するように香料原材料を注意深くブレンドする。所望の全体的な性質は、フレグランス油が最終的に使用される組成物の種類と、またフレグランスに対する消費者の好みの両方に依存する。
【0088】
[0169]揮発性に加え、香料原材料の別の重要な特徴は、臭気検出閾値(ODT)として知られるその嗅覚検出レベルである。香料原材料が低臭気検出閾値を有する場合、ヒトによって検出されるように、時にはたった数十億分の1の非常に低いレベルが、ガス相または空気中に必要とされる。逆に、香料原材料が高いODTを有する場合、使用者が匂いを感じることができる前に、空気中に大量または濃度の高い材料が必要とされる。材料の影響は、そのガス相の機能または空気濃度およびそのODTである。したがって、大きなガス相濃度を送ることが可能な揮発性材料はまた、低いODTを有し、影響力が強いと考えられる。今日まで、フレグランス油を開発するとき、高揮発性材料を使いすぎると、短期的で過剰な香りをもたらしてしまうため、揮発性が低い揮発性原材料と高い揮発性原材料の両方を用いてフレグランスを平衡させることが重要であった。そのため、フレグランス油内における高濃度の香料原材料は、慣例的に使用が制限されてきた。
【0089】
[0170]本明細書で使用する場合、「フレグランス油」という用語は、組成物、好ましくは化粧品組成物に全体的に心地よい臭気プロファイルを付与するために使用される香料原材料、または香料原材料の混合物を指す。本明細書で使用する場合、「香料原材料」という用語は、封入されていない状態にあるときに臭気のある任意の化学化合物に関する。例えば、前香料の場合、香料成分は、香料原材料であると考えられ、前化学アンカは、封入材料であると考えられる。また、「香料原材料」は、好ましくは約0.1よりも大きい、より好ましくは約0.5よりも大きい、さらにより好ましくは約1.0よりも大きいClogP値を有する材料によって定義される。本明細書で使用する場合、「ClogP」という用語は、オクタノール/水分配係数の10を底とする対数を意味する。これは、米国カリフォルニア州アーバインのDaylight Chemical Information Systems Inc.から入手可能な「CLOGP」と呼ばれるプログラムから容易に計算することができる。オクタノール/水分配係数は、米国特許第5,578,563号により詳細に記載されている。
【0090】
[0171]その他「ミドルおよびベースノート」香料原材料の例は、限定はしないが、グリシド酸エチルメチルフェニル、エチルバニリン、ヘリオトロピン、インドール、アントラニル酸メチル、バニリン、サリチル酸アミル、クマリンを含む。その他香料原材料のさらなる例は、限定はしないが、アンブロックス、バクダノール、サリチル酸ベンジル、アントラニル酸ブチル、セタロックス、エバノール、シス-3-ヘキセニルサリチレート、リリアール、ガンマウンデカラクトン、ガンマドデカラクトン、ガンマデカラクトン、カロン、シマル、ジヒドロイソジャスモン酸、イソオイゲノール、リラール、メチルベータナフチルケトン、ベータナフトールメチルエーテル、パラヒドロキシルフェニルブタノン、8-シクロヘキサデセン-1-オン、オキソシクロヘキサデセン-2-オン/ハバノリド、フロルヒドラル、イントレレベンアルデヒドを含む。
【0091】
[0172]揮発性の「トップノート」香料原材料の例は、限定はしないが、アネトール、メチルヘプチンカーボネート、エチルアセトアセテート、パラシメン、ネロール、デシルアルデヒド、パラクレゾール、メチルフェニルカルビニルアセテート、イオノンアルファ、イオノンベータ、ウンデシレンアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、2,6-ノナジエナール、ノニルアルデヒド、オクチルアルデヒドを含む。揮発性香料原材料のさらなる例は、限定はしないが、フェニルアセトアルデヒド、アニスアルデヒド、ベンジルアセトン、エチル-2-メチルブチレート、ダマセノン、ダマスコンアルファ、ダマスコンベータ、フロルアセテート、フルテン、フルクトン、ハーバート、イソシクロシトラール、メチルイソブテニルテトラヒドロピラン、イソプロピルキノリン、2,6-ノナジエン-1-オール、2-メトキシ-3-(2-メチルプロピル)-ピラジン、メチルオクチンカーボネート、トリデセン-2-ニトリル、アリルアミルグリコレート、シクロカルバネート、シクラルC、メロナール、ガンマノナラクトン、シス1,3-オキサチアン-2-メチル-4-プロピルを含む。
【0092】
[0173]他の有用なその他「ミドルおよびベースノート」香料原材料は、オイゲノール、アミノシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、サリチル酸ヘキシル、ジャスモン酸メチルジヒドロ、サンダロア、ベロトン、ウンデカバートル、エキサルトリド/シクロペンタデカノリド、ジンゲロン、メチルセドリロン、サンデラ、ジメチルベンジルカルビニルブチレート、ジメチルベンジルカルビニルイソブチレート、トリエチルシトレート、カシュメラン、フェノキシエチルイソブチレート、イソオイゲノールアセテート、ヘリオナル、イソEスーパー、イオノンガンマメチル、ペンタリド、ガラキソリド、フェノキシエチルプロピオネートを含む。
【0093】
[0174]他の揮発性の「トップノート」香料原材料は、限定はしないが、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、樟脳、カルボン、ボルネオール、酢酸ボルニル、デシルアルコール、ユーカリプトール、リナロール、酢酸ヘキシル、酢酸イソ-アミル、チモール、カルバクロール、リモネン 、メントール、イソ-アミルアルコール、フェニルエチルアルコール、アルファピネン、アルファテルピネオール、シトロネロール、アルファツジョン、ベンジルアルコール、ベータガンマヘキサノール、ジメチルベンジルカルビノール、フェニルエチルジメチルカルビノール、アドオキサール、アリルシクロヘキサンプロピオネート、ベータピネン、シトラール、シトロネリルアセテート、シトロネラルニトリル、ジヒドロミルセノール、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルニトリル、ヒドロキノンジメチルエーテル、ヒドロキシシトロネラール、リナリルアセテート、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルプロピルアルコール、プレニルアセテート、トリプラール、テトラヒドロリナロール、ベルドックス、シス-3-ヘキセニルアセテートを含む。
【0094】
[0175]ある特定の実施形態では、揮発性組成物24は、0.001g/日~2.0g/日の範囲の放出速度を有するフレグランス成分を含んでもよい。フレグランスの配合は、トップ、ミッド、およびベースノート成分の任意の適切な組合せを含み得る。
【0095】
[0176]ある特定の実施形態では、パルプ基材12は、パルプ基材12内の適切なゾーン1206、1208と対をなす2つ以上の揮発性組成物24を注入され、「トップノート」および「ミドルおよびベースノート」の放出速度を最適化するように設計されたブレンドした放出速度を達成し得る。
【0096】
[0177]上述したように、多孔性(繊維の緻密性、ガスもしくはガス形成材料の注入、精製、添加剤、または上述の任意の他の多孔性制御方法によって制御することができる)は、揮発性組成物24の取込または充填量に影響を与える可能性があり、または揮発性組成物24の放出速度に影響を与える可能性がある。例えば、繊維の緻密性がより低い高多孔性ゾーン1206は、繊維間により大きい空気通路があるので、揮発性組成物24のより容易な放出を提供する。したがって、大部分が「ミドルおよびベースノート」成分を含む揮発性組成物24を高多孔性ゾーン1206に組み込んで、「ミドルおよびベースノート」成分のより早い放出を提供することができる。
【0097】
[0178]対照的に、繊維の緻密性がより高い低多孔性ゾーン1208は、繊維を通る空気通路の網状組織がより狭くかつ複雑であるので、揮発性組成物24のより制御された放出を提供する。したがって、大部分が「トップノート」成分を含む揮発性組成物24を低多孔性ゾーン1208に組み込んで、「トップノート」成分のより遅い放出を提供することができる。
【0098】
[0179]言い換えれば、パルプ基材12は、複数のゾーンで設計することができ、各ゾーンは、異なる揮発性組成物24内の特定のノートの所望の放出速度と相関する固有に設計されたパルプ多孔性を有する。
【0099】
[0180]いくつかの実施形態では、すべてのノートを同時に持続的に放出するように設計することができ、これはより低い多孔性ゾーンを有する「トップノート」、中程度の多孔性ゾーンを有する「ミドルノート」、およびより高い多孔性ゾーンを有する「ベースノート」の対によって最適化することができる。
【0100】
[0181]他の実施形態では、設計は、経時的に異なる香りをずらして放出させることができ、これは上述の対を逆にすることによって最適化することができる。言い換えれば、パルプ基材12は、より高い多孔性ゾーン1202を有する「トップノート」、中程度の多孔性ゾーン1202を有する「ミドルノート」、およびより低い多孔性ゾーン1202を有する「ベースノート」の対を含むことができる。
【0101】
[0182]実施例2に記載の試験結果は、0.36g/mLの密度を有するパルプ基材12が、0.24g/mLの密度を有するパルプ基材12と比較して、高および低分子量化合物を有する揮発性組成物の異なる放出プロファイルを生じることを実証する。フレグランス業界では、高分子量化合物は、「ベースノート」化合物として分類され、低分子量化合物は、「トップノート」揮発性化合物として分類される。
【0102】
[0183]具体的には、「ベースノート」化合物メチルセドリルケトン(「MCK」)揮発性組成物24のみを含有するサンプルについては、低密度パルプ基材サンプルは、高密度パルプ基材サンプルよりも約12倍多い「ベースノート」MCKを放出した。
【0103】
[0184]「トップノート」化合物酢酸エチル揮発性組成物24と「ベースノート」化合物メチルセドリルケトン(「MCK」)揮発性組成物24の両方を含有するサンプルについては、低密度パルプ基材サンプルおよび高密度パルプ基材サンプルは、同様の速度で「ベースノート」MCKを放出し、低密度パルプ基材サンプルは、高密度パルプ基材サンプルよりも約15倍多い「トップノート」酢酸エチルを放出した。
【0104】
[0185]最後に、低密度パルプ基材サンプルは、高密度パルプ基材サンプルよりもすべての揮発性組成物24についてより速い放出速度を示した。
【0105】
[0186]
図79は、第1の密度ゾーン1241および第2の密度ゾーン1242の重量損失データを示す。いくつかの実施形態では、
図79に示すデータは、
図73および
図74に示す実施形態に関連する。しかしながら、
図79に示すデータは、複数の実施形態に関連し得る。上述のように、第1の密度ゾーン1241が第2の密度ゾーン1242と比較してより低い密度(より高い多孔性)を有し、したがってより多くの液体を吸収することができるので、第1の密度ゾーン1241は、より大きい重量損失(表面積当たり)を示す。
図79はまた、第2の密度ゾーン1242の重量損失率が第1の密度ゾーン1241の重量損失率よりも速く減少することを示す。
図80は、21日間にわたる物品10の累積重量損失の一例を示す。いくつかの実施形態では、
図80に示すデータは、
図73および
図74に示す実施形態に関連する。しかしながら、
図80に示すデータは、複数の実施形態に関連し得る。
【実施例】
【0106】
[0187][実施例1]パルプマトリックスの合成
パルプ材料(15g;南部広葉樹;Sulfatate-H-Jグレード;Rayonier Performance Fibers、LLC)をブレンダカップに加えた。(i)コロイダルシリカ(5g;Snowtex(登録商標)-O(水中シリカ20%wt/wt);Nissan Chemical America Corporation)、(ii)デンプン(5g;Maltrin QD(登録商標)M500 マルトデキストリンNF;Grain Processing Corporation)、(iii)ベーキングパウダ(1g;Clabber Girl Corporation)、および(iv)水(221.5g)を含有する溶液をブレンダカップに加えた。ブレンダカップの内容物をブレンドして一貫したパルプスラリーを形成し、続いて100gの過剰の溶液を除去した。最終パルプスラリーをシリコーン型に加えた。型の形状は、直径1.8cm、高さ1.3cm(体積:3.31cm
3)の寸法の円筒形であった。様々な密度のパルプシリンダを作成するのに使用したパルプスラリーの量を、表1に示す。
【表1】
【0107】
[0188][実施例2]パルプマトリックスからの高および低MW原料の放出のヘッドスペースガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)評価
パルプマトリックスからのトップノートまたはベースノート揮発性原料の放出量は、静的ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによるポリマー中の揮発性物質の定量のための標準方法ASTM D4526-12標準を用いて評価した。ヘッドスペースGC/MS実験は、Agilentの機器:ヘッドスペースモデル7697A、GCモデル7850A、およびMSモデル5975Cで実行した。トップノートおよびベースノート原料は、フレグランス業界のすべての種類の嗅覚組成物に使用される一般的な原料である。酢酸エチル(CAS 141-78-6;MW88.1g/mol)は、試験されたトップノート原料であり、メチルセドリルケトン(CAS 32388-5-9;MW246.4g/mol)は、試験されたベースノート原料である。ベースノート原料は、揮発性原料の分子量スペクトルの上限を表し、トップノート原料は、揮発性原料の分子量スペクトルの下限を表す。
【表2】
【0108】
[0189][実施例3]エポキシ包埋および薄片イメージングによるパルプ基材12中の繊維密度の図解。
高密度(0.36g/mL)を有する三次元パルプ物体および低密度(0.24g/mL)パルプ基材12を有する三次元パルプ物体のサンプルを、エポキシ包埋および薄片イメージングを使用して分析した。各サンプルを、Electron Microscopy Sciencesによって販売されているEpofixコールドマウントエポキシ樹脂で真空充填した。各サンプルの薄片をのこ刃で切断し、カーギル標準屈折液(R.I.=1.572、これはEpofixのR.I.に一致する)に浸した。次に、透過光イメージングを使用して、
図66、
図67および
図68に見られ得るように、各サンプルの断面の顕微鏡写真を撮影した。サンプルの中心にある濃いスパイクされた特徴は、エポキシ樹脂の含浸が不完全であることを示し、間接的に繊維密度も示している。例えば、
図67に見られ得るように、エポキシ樹脂の含浸は、
図66に示す低密度サンプルよりも高密度サンプルの方が不完全である。さらに、高密度および低密度パルプ基材12の両方を有する三次元パルプ物体のサンプルを含む
図68もまた、低密度のエリアよりも高密度のエリアにおける不完全なエポキシ樹脂の含浸を示す。加えて、
図67では、濃い中心を除いた高密度サンプルの上から下へのわずかな密度のゆるやかな変化は、サンプルがくさび形をしているときの薄片の厚さの変化によって生じるアーチファクトである。しかしながら、高密度および低密度パルプ基材12の両方を含む
図68のサンプルは、均一な厚さを有し、したがってわずかに暗い上半分は、そのエリアにおける高密度パルプ基材12を示す。
【0109】
C.調節コーティング
[0190]本明細書で使用する場合、「コーティング」は、物品10の外側表面、パルプ基材12のいくつかまたはすべての表面の少なくとも1つに任意の適切な方法を使用して適用され得る、ならびに/または基材12および/もしくは物品10の内部構造20全体に均一または不均一に分布され得る任意の組成物を指す。表面に適用される場合、コーティングは、組成物が物品10および/または基材12内に少なくともある程度浸透してもしなくてもよいように適用され得る。
【0110】
[0191]調節コーティング14は、基材12の少なくとも1つの外側表面16および/または物品10に適用されてもよく、揮発性組成物24の充填の前または後に適用されてもよい。ある特定の実施形態では、調節コーティング14は、基材12の内部構造20内にあるレベルまで浸透することができ、これは、基材12の多孔性、処理方法、または他の特徴に応じて変わり得る。
【0111】
[0192]調節コーティング14は、経時的に比較的安定した揮発性組成物24の放出を達成するために、より高い濃度レベルで内部構造20に充填された揮発性組成物24の放出速度を遅くし、より低い濃度レベルの揮発性組成物24の放出速度を加速するように設計されている。
【0112】
[0193]調節コーティング14が揮発性組成物24のある範囲の充填レベルにわたってこの「ホールド/プッシュ」効果を有するように機能する方法を説明するために、揮発性組成物24の放出速度を生じさせる方法を説明する必要がある。揮発性組成物24は、以下に詳細に説明される充填方法の様々な実施形態を通じて内部構造20内で十分に高い充填レベルが達成されるまで、細孔22を介して内部構造20に充填または吸収される。揮発性組成物24は、調節コーティング14が適用される前または後に内部構造20に充填または吸収されてもよい。
【0113】
[0194]内部構造20内の揮発性組成物24の初期の高い充填レベルは、揮発性組成物24を内部構造20から低濃度の領域にできるだけ速やかに拡散または蒸発させる内力を生成する。揮発性組成物24の充填レベルが経時的に減少するにつれて、拡散または蒸発を引き起こす力は、もはや力が残らなくなるまで(すなわち、揮発性組成物24がもはや内部構造20から拡散または蒸発しなくなる平衡点に達するまで)小さくなる。平衡点は、通常0%濃度よりも高いので、揮発性組成物24の一部は内部構造20の細孔22内に捕捉されるようになる。
【0114】
[0195]米国特許出願公開第2011/0262377号などの従来の用途では、より高い濃度レベルで揮発性組成物の急速な放出を遅らせるまたは遅延させる層を形成するためにコーティングを適用することができる。これらの従来のコーティングは、典型的には、コーティング層内に揮発性組成物の一部を捕捉する物質を含み、コーティングを通る放出速度を遅くする。しかしながら、コーティングは揮発性組成物の放出速度を遅くするためのバリアまたは「スピードバンプ」としてのみ働くので、放出は、内部構造内の揮発性組成物の濃度が平衡に達すると最終的に停止する(すなわち、コーティング層を通して揮発性組成物をもたらすのに十分な濃度がもはやなくなり、したがって揮発性組成物の一部がコーティング層内および/または内部構造内に捕捉されたままになることを可能にするレベルである)。
【0115】
[0196]調節コーティング14は、バリア物質26と吸湿性物質28の両方を含む。特に、ほとんどの実施形態では、調節コーティング14は、揮発性組成物24自体と化学的に相互作用しない物質を含む。
【0116】
[0197]これらの実施形態では、調節コーティング14が内部構造20内の揮発性組成物24のより高い濃度レベルで内部構造20の外側表面16に適用されると、バリア物質26は、調節コーティング14を通る揮発性組成物24の放出速度を遅くするためのバリアまたは「スピードバンプ」を形成する。
図65の初期段階のセクションに示すように、これらのより高い初期濃度レベルでは、吸湿性物質28は揮発性組成物24の放出速度を調節する役割を果たさない(すなわち、水分を調節コーティング14に吸収しない)が、これは内部構造20内の揮発性組成物24の濃度が、ある量の揮発性組成物24が吸湿性物質28によって水が調節コーティング14に引き込まれるのを効果的に阻止する速度で調節コーティング14を通して放出されるように押し出すのに十分に高いからである。
【0117】
[0198]
図65の中期段階のセクションに示すように、内部構造20内の揮発性組成物24の濃度レベルがゆっくりと小さくなるにつれて、内部構造20内の揮発性組成物24の濃度は、低下した放出速度で揮発性組成物24の一部を調節コーティング14から押し出し続けるのに依然として十分に高いままである。
【0118】
[0199]後期段階で観察される現象を説明するための1つの仮説は、調節コーティング14を出る揮発性組成物24の体積がより小さいので、吸湿性物質28は、より多くの水(典型的には、水蒸気の形態で)を調節コーティング14に引き込み始め、そのとき水は吸湿性物質28を吸着または吸収し、調節コーティング14内のバリア物質26によって捕捉される揮発性組成物24を置換し始めるということである。この仮説は、
図65の後期段階のセクションに示されており、調節コーティング14を有さない同じ製品と比較して、吸湿性物質28の既知の物理的特性および製品ライフサイクルの終わりに高い放出速度を示すデータに基づいている。置換されると、揮発性組成物24は調節コーティング14から放出され、それによって揮発性組成物24単独のより高い充填レベルによってもたらされる放出速度に近似し得る、揮発性組成物24の総放出速度が生じる。
【0119】
[0200]揮発性組成物24の充填レベルが、揮発性組成物24を調節コーティング14から追い出すことができなくなるレベルまで低下し続けると、吸湿性物質28は、より多くの水を調節コーティング14に引き込み続ける。その水は、捕捉された揮発性組成物24を置換し続け、置換された揮発性組成物24を調節コーティング14から効果的に放出させる。後期段階のある期間では、吸湿性物質28によってもたらされる水置換による揮発性組成物24の放出速度は、揮発性組成物24単独のより高い充填レベルによってもたらされる放出速度に近似し得るか、および/または揮発性組成物24のより高い充填レベルと吸湿性物質28によってもたらされる水置換の両方によってもたらされる総放出速度に近似し得る。結果として、バリア物質26のみを含有する従来のコーティングが、濃度の平衡点が内部構造20内に達すると揮発性組成物の放出を停止した場合、調節コーティング14は、揮発性組成物24の比較的一定の放出を提供し続ける。
【0120】
[0201]後期段階で観察される現象を説明するための別の仮説は、吸湿性物質28によって調節コーティング14に持ち込まれる水がバリア物質26を劣化させるように作用することができ、これはまた調節コーティング14内および基材12の内部構造20内に捕捉された揮発性組成物24の放出を可能にするということである。
【0121】
[0202]いずれにしても、試験結果は、基材12の内部構造20の多孔性および揮発性組成物24の揮発性レベルに応じて、調節コーティング14が物品10のアロマライフサイクルにわたって揮発性組成物24の改善された放出プロファイルを生じることを実証する。最終的に、内部構造20内の揮発性組成物24の濃度および調節コーティング14内のバリア物質26によって捕捉された量は、調節コーティング14によって毎日放出される揮発性組成物24の量が最終的にゼロに減少するような非常に低い点に達する。このプロセスを支持し説明する一連の例は、米国特許出願公開第2016/0089468号に提供されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
[0203]ある特定の実施形態では、バリア物質26は、マルトデキストリン(例えば、マルトリン)を含み得る。他の実施形態では、バリア物質26は、限定はしないが、他のデキストリン、他のフィルム形成多糖、他の炭水化物(モノ、ジ、トリなど)、天然の未加工デンプン、加工デンプン、製紙に使用するのに適した任意のデンプン、ならびにデンプンタイプの組合せ、デキストリンタイプ、およびデンプンとデキストリンとの組合せを含んでもよい。ある特定の実施形態では、バリア物質26は、限定はしないが、不溶化剤、潤滑剤、分散剤、消泡剤、架橋剤、結合剤、界面活性剤、レベリング剤、湿潤剤、表面添加剤、レオロジー改質剤、非粘着剤などの添加剤、および他のコーティング添加剤を含んでもよい。
【0123】
[0204]ある特定の実施形態では、吸湿性物質28は、シリカ(例えばシリカナノ粒子)を含み得る。他の実施形態では、吸湿性物質28は、限定はしないが、他の吸湿性試薬、活性炭、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、モレキュラーシーブ、または他の適切な吸水性材料を含んでもよい。
【0124】
[0205]バリア物質26と吸湿性物質28との重量比は、99:1~1:99の範囲であり得、それらの間のすべての範囲を含む。ある特定の実施形態では、バリア物質26と吸湿性物質28との重量比はさらに、25:75~75:25の範囲であり得る。さらに他の実施形態では、バリア物質26と吸湿性物質28との重量比は、約50:50であり得る。
【0125】
[0206]ある特定の実施形態では、吸湿性物質28の粒子サイズは、揮発性組成物24の充填レベルの減少による放出速度の低下に対抗するのに十分な水を引き付けるのに必要な表面積の量によって部分的に決定される。吸湿性物質28はまた、液体の水ではなく水蒸気を引き付けるように構成される。結果として、吸湿性物質28の粒子サイズの直径は、0.001μm~1μmの範囲であり得、それらの間のすべての範囲を含み、さらに1nm~100nmの範囲であり得、これは適切な量の水蒸気分子を引き付けるだけでなく、より均一なコーティングを提供する。
【0126】
[0207]ある特定の実施形態では、吸湿性物質28は、バリア物質26との相互作用を可能にする表面電荷範囲を有することができる。例えば、シリカの場合、表面電荷は、高度にアニオン性の点電荷であるゼータ電位によって測定して、-10mV~-4000mVの範囲である。シリカをコーティング前にマルトデキストリンと混合すると、マルトデキストリンがシリカ粒子の周囲に集まり、これがさらに調節コーティング14内のバリア形成を助けることができる。
【0127】
[0208]ある特定の実施形態では、調節コーティング14は、揮発性化合物24のより一貫した放出速度を提供し得る。コンシステンシー(変動)は、以下の式によって測定することができる。
変動(重量損失率)=初日の重量損失値/前日の重量損失値
【0128】
[0209]調節コーティング14の利点は、物品のライフサイクルにわたって1~20の比の範囲内で変動を減らすことであり、それはある特定の実施形態では30日であり得るが、必要または所望に応じてより長くまたはより短くすることができる。
【0129】
[0210]ある特定の実施形態では、調節コーティング14は、上述の多孔性ゾーン1202と組み合わせて使用され得る。例えば、調節コーティング14は、パルプ基材12の外表面に適用されてもよく、またはトップノート揮発性成分24に対するそのゾーンの低多孔性/高密度設計の調節効果をさらに高めるために、低多孔性ゾーン1208の外表面にのみ適用されてもよい。
【0130】
[0211]調節コーティング14のさらなる利点は、調節コーティング14がパルプ基材12に、特に高多孔性ゾーン1206に対して提供する構造的補強である。いくつかの実施形態では、たとえコーティングが高多孔性ゾーン1206からのベースノート揮発性組成物24の放出速度も抑制することができるとしても、調節コーティング14を高多孔性ゾーン1206の外表面にのみ適用してさらなる安定性をそれらの高多孔性ゾーン1206に提供することができる。
【0131】
[0212]D.基材および/または物品の追加の処理
基材12は、物品10に変換されてもよく、これは調節コーティング14および/または揮発性組成物24が適用される前または後に行われてもよい。
【0132】
[0213]さらなる実施形態では、物品10は、限定はしないが、円筒形の円盤、円柱、ツリー、花輪、地球儀、オーブ、松ぼっくり、星、ベル、ストッキング、バッグ、ギフトボックス、雪だるま、ペンギン、トナカイ、サンタクロース、ハート、天使、バスケット、花、蝶、葉、顔、鳥、魚、哺乳動物、爬虫類、ピラミッド、コーン、雪片、他の多角形形状、ファンの羽根またはそれらの一部を含む様々な形状およびサイズを有する三次元構造を含んでもよい。物品10は、1つまたは複数の平坦な表面、凹状の表面、凸状の表面、滑らかな表面、および/もしくは複雑な幾何学的形状(例えば、ピークおよび谷)を含む表面、または任意の他の適切な表面構成を有してもよい。
【0133】
[0214]ある特定の実施形態では、物品10は、螺旋状巻紙を含み得る。螺旋巻きプロセスは、構造構成要素の軸の周囲に紙を完全に一回転巻くことによって形成された各層について、紙が同じまたは異なるものになることを可能にする。例えば、物品10は、直径よりも長いロッドが形成されるように、パルプ基材12を垂直軸の周囲に巻くことによって形成されたロッド形状を含むことができる。紙マトリックスを軸の周囲に完全に一回転させることによって形成された各層を、プライと呼ぶことができる。例えば、10プライのロッドは、ロッドの各プライに1~10個の異なる特徴を有することができる。特徴は、限定はしないが、基材12の吸収性、引張り強度密度、pH、多孔性、および極性、ならびに紙または内部構造20の種類を含んでもよい。
【0134】
[0215]調節コーティング14は、揮発性組成物24の適用の前または後にパルプ基材12に適用することができる。
【0135】
[0216]調節コーティング14は、パルプ基材12が型1204から除去された後および/または物品10に形成された後にパルプ基材12に適用されてもよい。
【0136】
[0217]例えば、調節コーティング14は、三次元物品10が一定量の調節コーティング14内に特定の時間にわたって配置される浸漬法を介してパルプ基材12および/または物品10に適用されてもよく、その後除去されて乾燥されてもよい。浸漬法はまた、物品10の二次元バージョンと共に使用されてもよい。追加のレベルは、0.1重量%~10重量%の範囲であり得る。
【0137】
[0218]他の実施形態では、調節コーティング14は、1重量%~20重量%の範囲の追加の注入を伴う注入方法を介してパルプ基材12および/または物品10に適用されてもよく、ある特定の実施形態では、さらに10重量%~20重量%の範囲であってもよい。
【0138】
[0219]さらに他の実施形態では、調節コーティング14は、スプレー処理を介してパルプ基材12および/または物品10に適用することができる。
【0139】
[0220]揮発性組成物24は、上述のように、調節コーティング14の適用の前または後に基材12に適用することができる。例えば、揮発性組成物24は、基材12および/または物品10を揮発性組成物24と一定期間接触させることによって適用することができる。揮発性組成物24は、液体、固体、ゲル、またはガスなどの任意の物理的状態にあり得る。便宜上、液体揮発性組成物24が説明されているが、これは限定的であることを意図しない。相互作用時間は、基材12および/もしくは物品10に適用されている揮発性組成物24の濃度または種類、ならびに/または揮発性組成物24の放出をどれだけ強くまたは強力にすることが望ましいか、ならびに/または基材12の種類に依存し得る。飽和時間(相互作用時間)は、1分未満から数時間、数日までの範囲であり得る。基材12および/または物品10は、揮発性組成物24にさらされる前に前処理されてもよい。例えば、基材12および/または物品10を乾燥オーブンに入れて残留水分を除去することができる。さらなる方法ステップは、基材12および/または物品10を圧力処理および/または真空処理することを含む。処理後、基材12および/もしくは物品10は、例えばラビングまたはパッティング乾燥によって、ならびに/または表面を乾燥させるための既知の他の方法によって乾燥させることができ、ならびに/または風乾させることができる。乾燥ステップは、本明細書に記載の他のステップの前または後に使用することができる。
【0140】
[0221]いくつかの実施形態では、揮発性組成物24を基材12および/または物品10に適用するための方法は、揮発性組成物24と基材12および/または物品10とを容器内で組み合わせることと、大気圧を超える圧力を揮発性組成物24と基材12および/または物品10に加えることとを含む。圧力は、約1psi~約40psi、約5psi~約30psi、または約10psi~約20psiの範囲、約5psi、約10psi、約15psi、約20psi、約25psi、約30psi、約35psi、約40psi、および/またはそれらの間の圧力で加えることができる。圧力は、約1分~約10時間、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間適用されてもよく、または揮発性組成物24の基材12および/もしくは物品10への所望の充填量、または基材12および/もしくは物品10からの揮発性組成物24の放出を達成するのに十分な量の揮発性組成物24を基材12および/もしくは物品10に適用するのに必要ならば、もっと長くてもよい。特定の実施形態のための適切な圧力および時間は、特定の揮発性組成物24および基材12ならびに/または物品10の同一性および特徴に基づいて当業者によって決定され得る。
【0141】
[0222]ある特定の実施形態では、揮発性組成物24を適用するための方法は、揮発性組成物24と基材12および/または物品10とを容器内で組み合わせることと、大気圧未満の真空を揮発性組成物24と基材12および/または物品10に加えることとを含む。真空は、0.001mmHg~約700mmHg、または約5Kpa~約35kPa、約10Kpa~約25kPa、約20Kpa~約30kPa、約15Kpa~約25kPa、約25KPa~約30kPaの範囲、約5kPa、約6kPa、約7kPa、約8kPa、約9kPa、約10kPa、約15kPa、16kPa、約17kPa、約18kPa、約19kPa、約20kPa、約22kPa、約24kPa、約26kPa、約28kPa、約30kPa、およびそれらの間の真空で加えることができる。真空は、約1分~約10時間、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間適用されてもよく、または揮発性組成物24の基材12および/もしくは物品10への所望の充填量、または基材12および/もしくは物品10からの揮発性組成物24の放出を達成するのに十分な量の揮発性組成物24を基材12および/もしくは物品10に適用するのに必要ならば、もっと長くてもよい。
【0142】
[0223]さらに他の実施形態では、方法は、圧力および真空ステップを含み得る。揮発性組成物24と基材12および/または物品10とを組み合わせて、特定の順序で真空処理および圧力処理を行うことができる。例えば、揮発性組成物24と基材12および/または物品10とを気密装置の容器内で組み合わせて、20mmHg~80mmHgの真空を約1分~10時間適用することができる。1psi~40psiの圧力処理を約1分~約10時間適用することができ、真空または圧力処理の時間および量は、基材12および/または物品10に充填される揮発性組成物24の量、使用される基材12の種類、物品10の意図される使用、ならびに物品10の他の特徴に応じて変わり得る。
【0143】
[0224]ある特定の実施形態では、基材12および/または物品10は、着色剤で前処理され、続いて調節コーティング14で処理されてもよい。着色剤は、天然および合成染料、耐水性染料、耐油性染料、油溶性染料、ならびに耐水性染料と耐油性染料との組合せを含み得る。着色剤は、基材12の組成物に基づいて選択されてもよく、十分に当業者の技術の範囲内である。適切な耐水性着色剤は、油溶性着色剤およびワックス可溶性着色剤を含む。油溶性着色剤の例は、Pylakrome Dark GreenおよびPylakrome Red(Pylam Products Company、Tempe Ariz.)を含む。適切な耐油性着色剤は、水溶性着色剤を含む。水溶性着色剤の例は、FD&C Blue No.1およびCarmine(Sensient、St.Louis、MO.)を含む。レーキタイプの染料もまた、使用することができる。レーキ染料の例は、Cartasol Blue KRL-NA LIQおよびCartasol Yellow KGL LIQ(Clariant Corporation、Charlotte、N.C.)である。顔料はまた、基材12を着色するのに使用され得、基材12の製造中または製造後に加えられてもよい。そのような着色または染色方法は、当業者に知られており、任意の適切な染料、顔料、または着色剤が本発明によって企図される。着色剤を使用して、シリカまたは他の吸湿性物質28の全体の表面電荷に影響を与えてコーティングとの相互作用を高めることができる。
【0144】
[0225]ある特定の実施形態では、インクまたは塗料を物品10の表面に適用し、
図21、
図28、
図30A~
図30B、
図33A~
図33B、
図37~
図39、
図51~
図55に示すような複雑な設計を提供することができる。そのような技術は、インクまたは塗料をセラミック材料に適用するのに使用されるものと類似している。インクまたは塗料は、染料と組み合わせておよび/または染料プロセスの代わりに適用することができる。
E.無溶媒フレグランスディスペンサ
【0145】
[0226]ある特定の実施形態によれば、物品10は、木材パルプなどの、全天然の生分解性、リサイクル可能、堆肥化可能かつ持続可能な原料材料で形成される。これらの材料は、シリカ、デンプン、重曹などの、全天然の生分解性、リサイクル可能、堆肥化可能な性能向上剤と組み合わされる。次いで、製品は、全天然の精油の形態の100%純粋なフレグランスおよび/または他の責任を持って選択かつ採取されたフレグランス材料などのフレグランスで処理される。
【0146】
[0227]具体的には、物品10は、化学溶媒を含まない。化学溶媒は、使用可能なフレグランスの量を最小限に抑え(85%程度)、持続期間を短縮してしまう。さらに、化学溶媒は、香料で完全に克服するのが困難な化学倍音(chemical overtone)を有する。化学溶媒の使用は、発がん性物質、呼吸器感作性物質、喘息原因物質、フタル酸エステル類および難分解性生物蓄積性毒素を完全に排除することが不可能になり、健康および健全性プロファイルが損なわれることを意味する。
【0147】
[0228]図面に示したまたは上述した構成要素、ならびに図示または説明されていない構成要素およびステップの異なる配置が可能である。同様に、いくつかの特徴およびサブコンビネーションは有用であり、他の特徴およびサブコンビネーションを参照せずに用いられてもよい。本発明の実施形態は、限定的ではなく例示的な目的のために記載されており、代替の実施形態が本特許の読者には明らかになるであろう。したがって、本発明は、上述したまたは図面に示した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく様々な実施形態および修正が可能である。