(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】能耳茸抽出物を有効成分として含有する婦人科疾患の予防または治療用薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/07 20060101AFI20220721BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20220721BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20220721BHJP
【FI】
A61K36/07
A61P15/00
A23L33/10
(21)【出願番号】P 2020501105
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(86)【国際出願番号】 KR2018002529
(87)【国際公開番号】W WO2018174424
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2017-0037168
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519339622
【氏名又は名称】ウー,ヒョ ジン
【氏名又は名称原語表記】WOO, Hye Jin
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ヒョ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,デ ハ
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-073502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
REGISTRY(STN)
FSTA(STN)
AGRICOLA(STN)
BIOTECHNO(STN)
CABA(STN)
SCISEARCH(STN)
TOXCENTER(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
能耳茸抽出物を有効成分として含有する婦人科疾患の予防または治療用薬学的組成物
であって、
前記婦人科疾患が、生理痛、生理不順、赤帯下、お血症、及び、生理による無気力感・疲労・浮腫で組成された群から選択される何れか一つ以上である、婦人科疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記能耳茸が子実体である、請求項1に記載の婦人科疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項3】
能耳茸抽出物を有効成分として含有する婦人科疾患改善用保健機能食品
であって、
前記婦人科疾患が、生理痛、生理不順、赤帯下、お血症、及び、生理による無気力感・疲労・浮腫で組成された群から選択される何れか一つ以上である、婦人科疾患改善用保健機能食品。
【請求項4】
前記能耳茸が子実体である、請求項
3に記載の婦人科疾患改善用保健機能食品 。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は能耳茸抽出物を有効成分として含有する婦人科疾患の予防または治療用薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
女性の社会進出によりキャリア・ウーマンが増えながら洋食とインスタント食品攝取の増加、仕事と家庭でのストレス、無理なダイエットなどによって体内の栄養及びホルモンの不均衡が現われて、多くの女性が生理不順、生理痛、肌トラブル、不眠症、脱毛、鬱病、身長と胸の発育不振などの疾患を経験している。
【0003】
このような疾患の治療は人為的に合成したエストロゲンを投与するホルモン補充療法が最も多く利用されているが、これは長期間使用する場合、子宮癌、乳房癌、静脈血栓症、胆嚢疾患などを誘発する可能性が提起されて使用が制限されている。
【0004】
生理痛は可任期女性の約50%で現われる非常にありふれた婦人科疾患の一つで、初経後1~2年以内に初めて発生し、大部分10代または20代の女性でよく現われる症状であるが、ひどい場合には40代までも持続する場合がある。この中で、約10%は毎月1~3日を日常生活もできないほどの痛みを訴える。
【0005】
生理痛は生理が現われる数時間前或いは直前に恥骨部位の上側で始まって2~3日間持続する。一次性生理痛の原因は子宮筋肉の過度な収縮で、これは出産時の産痛と似ている。尾骨(腰推仙椎)部位の痛症が伴ったり太ももの前側まで痛症が拡大される場合もあり、同時に、嘔吐、吐き気、下痢などの症状が現われる場合があり、珍しくは失心に至る場合もある。また、生理痛で現われる痛症は腹腔内炎症などによる痛症とは違って締め付けられるような様相であり、骨盤部位のマッサージ、身体活動などによって好転されることができるが、症状の程度によって薬物の投与が必要である。
【0006】
慶熙医療院漢方病院の調査によれば、生理の際に腹痛、腰痛及び頭痛のような痛症を訴える女性が47%、食慾不振及び消化不良のような胃腸障害を経験する女性が13%、不快感を感じる女性が8%と現われた。特に中高校女子学生は632人の中70%が生理痛を訴え、50%は非常に深刻な痛症を訴えた。しかしながら、この中で66%は我慢し、28%は 鎮痛剤で解決し、90%以上が根本的な治療をしないことと調査された。
【0007】
生理痛の原因についてはまだ明らかになっていない部分が多い。しかしながら、一次性生理痛の痛症の大部分は子宮内膜細胞でプロスタグランジンの生成が増加することによって惹起される症状とされている。黄体期のプロゲステロン水準低下で脱落される子宮内膜細胞でシクロオキシゲナーゼ(COX)の活性が増加し、それにより、プロスタグランジン(PG)、特に、PGF2-α及びPGE2が分泌される。これらプロスタグランジンの作用で子宮の緊張が増加し、高振幅収縮を見せるが、この収縮によって虚血性痛症が発生する。
【0008】
生理痛を根本的に治療する治療剤はないが、現在、アスピリン、イブプロペン、アセトアミノフェンなどの投与でプロスタグランジンの生成を抑制することで痛症を緩和させる方法が最も多く使われている。しかしながら、前記薬物は薬物耐性、消化不良、悪心、嘔吐、便秘、下痢、頭痛、めまい症、視覚障害、聴覚障害、眠気、疲労及び胃腸管出血などの副作用を誘発する虞がある。
【0009】
そこで、副作用がないながら生理痛を緩和させる物質を開発しようとする研究が活発に行われている。これに関して、高麗人参実抽出物の生理前症侯群及び生理痛緩和用組成物が大韓民国特許公開第10-2015-005430号に開示されており、アセクロフェナック及びスコポラミンの生理痛緩和または治療用途が大韓民国特許登録第10-1598283号に開示されている。
【0010】
一方、茸は数千年前から人類が食用と薬用として広く利用して来た生物資源で、茸には代謝産物である多糖体及び多糖体-ペプチド複合体、トリテルペノイド(triterpenoid)、タンパク質が含まれて多様な生理反応調節機能を有しているという点で重要な薬理的価値がある。
【0011】
このような茸の中で、能耳茸( Sarcodon Asparatus)はヒダナシタケ目(Aphyllophorales)のイボタケ科(Thelphoraceae)に属する担子菌類茸で、子実体は高さが10~20cmで、朝顔のように広がった漏斗状で、たくさんのとげが生えている。冠は直径が7~25cm、高さが7~25cmで、表面が荒く、表面に大きいな鱗片がある。能耳茸は乾燥すれば強い香りが漂って一名香茸とも呼ばれる。
【0012】
能耳茸は生体機能調節に効果が高く、癌、脳卒中、心臓病などの成人病に対する予防と改善効果がいいと知られている。能耳茸は楢柏の根と外生菌根を形成し、闊葉樹林の地上で群生或いは単生する茸で、いまだに人工栽培が行われておらず自然状態での採取に仰いでいる。
【0013】
そこで、本発明者らは副作用がなくて安全な生理痛緩和及び治療剤を開発する途中に、能耳茸抽出物が生理痛を緩和させ、生理期間、出血量、生理不順及びお血を減少させ、生理の色を清くすることを確認することで、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は能耳茸抽出物の婦人科疾患の予防または治療用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達するために、本発明は能耳茸抽出物を有効成分として含有する婦人科疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は能耳茸抽出物を有効成分として含有する婦人科疾患改善用保健機能食品を提供する。
【0017】
また、本発明は能耳茸抽出物を個体に投与するステップを含む婦人科疾患の予防、改善または治療方法を提供する。
【0018】
さらに、本発明は婦人科疾患の予防、改善または治療のための薬剤の製造に用いるための能耳茸抽出物の用途を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の能耳茸抽出物は1回だけ服用しても生理痛を治療し、生理期間、出血量、生理不順及びお血を減少させ、生理の色を清くすることで、婦人科疾患の予防または治療に有用に用いられることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0021】
本発明は能耳茸抽出物を有効成分として含有する婦人科疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0022】
前記抽出物は、1)能耳茸に抽出溶媒を加えて1次抽出するステップ;2)前記ステップ1)の1次抽出物を2次抽出するステップ;3)前記ステップ2)の抽出物を濾過するステップ;及び4)前記ステップ3)で濾過した抽出物を減圧濃縮した後乾燥して能耳茸の抽出物を製造するステップを含む製造方法によって製造されることができる。
【0023】
前記方法において、ステップ1)の能耳茸は栽培したものまたは市販されるものなどを用いることができ、特に制限がなく、前記能耳茸の子実体または菌糸体部分を利用することができる。本発明の一実施例で、前記能耳茸抽出物は子実体から抽出されたものであってもよい。
【0024】
前記方法において、ステップ1)の抽出溶媒は、水、アルコールまたはこれらの混合物であってもよい。前記アルコールは、具体的には、C1~C4の低級アルコールであてもよく、さらに具体的には、メタノールまたはエタノールであってもよい。本発明の一実施例で、前記抽出溶媒は水であってもよい。抽出方法としては、減圧高温抽出、熱湯抽出、濾過法、熱水抽出、浸漬抽出、還流抽出、冷浸抽出、蒸気抽出、常温抽出または超音波抽出など本技術分野で公知の全ての方法を利用することができる。本発明の一実施例で、前記抽出方法は熱水抽出であってもよい。前記抽出溶媒は能耳茸の乾燥重量を基準として30~90倍、具体的には40~80倍、さらに具体的には50~70倍の量で添加されることができる。本発明の一実施例で、前記抽出溶媒は能耳茸の乾燥重量を基準として60倍の量で添加されることができる。
【0025】
前記ステップ1)の1次抽出は30℃~100℃、具体的には40℃~80℃、さらに具体的には45℃~60℃で行われることができる。本発明の一実施例で、前記1次抽出は50℃で行われることができる。また、前記1次抽出は5分~1時間、具体的には15分~40分、さらに具体的には25分~35分間行われることができる。本発明の一実施例で、前記1次抽出は30分間行われることができる。
【0026】
前記ステップ2)の2次抽出は50℃~120℃、具体的には70℃~110℃、さらに具体的には90℃~105℃で行われることができる。本発明の一実施例で、前記2次抽出は100℃で行われることができる。また、前記2次抽出は5分~30分、具体的には5分~20分、さらに具体的には5分~15分間行われることができる。本発明の一実施例で、前記2次抽出は10分間行われることができる。
【0027】
前記婦人科疾患は女性ホルモンの不均衡による可能性があり、具体的に女性ホルモンの不均衡による生理痛、生理前症候群、浮腫、生理不順、赤帯下、お血症、手足冷え症、腰痛、肌トラブル、不眠症、脱毛、鬱病、眩暈、頭痛、便秘、下痢、紅潮、耳鳴または頻尿であり得る。
【0028】
本発明の具体的な実施例で、本発明者らは熱風乾燥して粉碎した能耳茸子実体に水を添加して能耳茸抽出物を製造し、これを生理痛がひどくて生理時に毎回痛み止めを服用する10代~50代の女性17人に服用させた。その結果、能耳茸抽出物を服用した女性たちはこれを服用した直後生理痛がなくなり、能耳茸抽出物を1回服用した月の生理期間及び出血量が減少した。また、生理中の血の色が清まり、お血がなくなった(表1参照)。さらに、能耳茸抽出物を1回服用した次の月の生理時には能耳茸抽出物を服用しなくても生理痛が些細に現われるか現われなく、出血量が減少し、お血がなくなった。前記効果は12ヶ月以後にも持続した(表2~4参照)。
【0029】
その故、前記能耳茸抽出物は婦人科疾患の予防または治療用薬学的組成物として有用に用いられることができる。
【0030】
前記薬学的組成物は、薬学的組成物総重量に対して有効成分である本発明による能耳茸の抽出物を10~95重量%含むことができる。また、本発明の薬学的組成物は前記有効成分の外にさらに同一または類似する機能を有する有効成分を1種類以上追加的に含有することができる。
【0031】
また、本発明の組成物は生物学的製剤に通常的に用いられる担体、希薄剤、賦形剤または二つ以上のこれらの組み合わせを含むことができる。薬剤学的に許容可能な担体は組成物を生体内に伝達するのに適するものであれば特に制限がなく、例えば、Merck Index、13th ed.、Merck & Co.Inc.に記載された化合物、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノールまたはこれら成分の中の1成分以上を混合したものであってもよい。この時、必要によって抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加してもよい。
【0032】
前記組成物を製剤化する場合、通常用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希薄剤または賦形剤を用いて製造される。
【0033】
本発明の組成物は経口製剤または非経口製剤に剤形化されることができる。経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤などが含まれ、このような固形製剤は一つ以上の組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース及びゼラチンなどを交ぜて調製されることができる。また、マグネシウムステアレート、タルクのような滑剤も添加されることができる。一方、液状製剤としては懸濁剤、内容液剤、乳剤またはシロップ剤などがあり、ここには湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などのような賦形剤が含まれることができる。
【0034】
非経口投与のための製剤には滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁溶剤、乳剤などの注射剤が含まれることができる。
【0035】
非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが用いられることができる。
【0036】
また、本発明は能耳茸抽出物を有効成分として含有する婦人科疾患改善用保健機能食品を提供する。
【0037】
前記抽出物は1)能耳茸に抽出溶媒を加えて1次抽出するステップ;2)前記ステップ1)の1次抽出物を2次抽出するステップ;3)前記ステップ2)の抽出物を濾過するステップ;及び4)前記ステップ3)で濾過した抽出物を減圧濃縮した後乾燥して能耳茸の抽出物を製造するステップを含む製造方法によって製造されることができる。
【0038】
前記方法において、ステップ1)の能耳茸は栽培したものまたは市販されるものなどを用いることができ、特に制限がなく、前記能耳茸の子実体または菌糸体部分を利用することができる。本発明の一実施例で、前記能耳茸抽出物は子実体から抽出されたものであってもよい。
【0039】
前記抽出物は水、アルコールまたはこれらの混合物を溶媒として用いて抽出することができる。前記アルコールは具体的にはC1~C4の低級アルコールであってもよく、さらに具体的には、メタノールまたはエタノールであってもよい。本発明の一実施例で、前記抽出溶媒は水であってもよい。
【0040】
前記婦人科疾患は女性ホルモンの不均衡による可能性がある。具体的に女性ホルモンの不均衡による生理痛、生理前症候群、浮腫、生理不順、赤帯下、お血症、手足冷え症、腰痛、肌トラブル、不眠症、脱毛、鬱病、眩暈、頭痛、便秘、下痢、紅潮、耳鳴または頻尿であり得る。
【0041】
本発明の具体的な実施例で、本発明者らは熱風乾燥して粉碎した能耳茸子実体に水を添加して能耳茸抽出物を製造し、これを生理痛がひどくて生理時に毎回痛み止めを服用する10代~50代の女性17人に服用させた。その結果、能耳茸抽出物を服用した女性たちはこれを服用した直後生理痛がなくなり、能耳茸抽出物を1回服用した月の生理期間及び出血量が減少した。また、生理中の血の色が清まり、お血がなくなった(表1参照)。さらに、能耳茸抽出物を1回服用した次の月の生理時には能耳茸抽出物を服用しなくても生理痛が微細に現われるか現われなく、出血量が減少し、お血がなくなった。前記効果は12ヶ月以後にも持続した(表2~4参照)。
【0042】
その故、前記能耳茸抽出物は婦人科疾患を改善するのに有用に用いられることができる。
【0043】
前記保健機能食品に添加される有効成分である能耳茸抽出物の含有量は目的によって決められる。一般的に、前記含有量は保健機能食品の総重量の0.01~90重量部であってもよい。
【0044】
また、前記保健機能食品の形態及び種類には特に制限はない。前記物質を添加することができる保健機能食品の形態は錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液状及び丸などであってもよい。
【0045】
本発明の保健機能食品は、通常の保健機能食品のように各種香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。前述した天然炭水化物は葡萄糖、果糖のようなモノサッカライド、マルトース、スクロースのような二糖、デキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド、キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としてはソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤や、サッカリンまたはアスパルテームのような合成甘味剤などであってもよい。
【0046】
前記以外に本発明の保健機能食品は各種栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリンまたはアルコールなどを含むことができる。このような成分は独立的または組み合わせて用いられることができる。このような添加剤の比率は本発明の抽出物100重量部当たり0.01~0.1重量部の範囲で選択されることができる。
【0047】
また、本発明は能耳茸抽出物を個体に投与するステップを含む婦人科疾患の予防、改善または治療方法を提供する。
【0048】
本発明による能耳茸抽出物は前述したような特徴を有することができる。前記個体は哺乳動物、具体的に人間であることができる。
【0049】
本発明の組成物は目的する方法によって経口投与または非経口投与されることができ、非経口投与は皮膚外用または腹腔内注射、直腸内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射または胸部内注射注入方式の中で選択されることができる。
【0050】
本発明による組成物は薬剤学的に有効な量で投与される。これは疾患の種類、 重症、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時に用いられる薬物などによって異なる。本発明の組成物は単独または他の治療剤と併用して投与されてもよい。併用して投与する場合、投与は順次または同時であってもよい。
【0051】
しかしながら、好ましい効果のため、本発明による薬学的組成物に含まれる有効成分の量は0.001~10,000mg/kg、具体的には0.1~5g/kgであってもよい。前記投与は一日に1回でもよく、数回に分けて投与してもよい。
【0052】
さらに、本発明は婦人科疾患の予防、改善または治療のための薬剤の製造に用いるための能耳茸抽出物の用途を提供する。
【0053】
本発明による能耳茸抽出物は前述したような特徴を有することができる。
【0054】
発明の実施のための形態
【0055】
以下、本発明を以下の実施例を通じて詳しく説明する。
【0056】
ただ、以下の実施例は本発明を例示するだけであって、本発明の内容がこれらによって限定されるのではない。
【0057】
<実施例1>能耳茸抽出物の製造
【0058】
慶尚北道安東の野山で採取した能耳茸の子実体を通常の方法で熱風乾燥した後、粉碎した。その後、180mlの水に粉砕された能耳茸を3g入れ、50℃で30分間沸かした後、100℃で10分間沸かして能耳茸抽出物を得た。
【0059】
<実験例1>能耳茸抽出物の生理痛治療効能の確認
【0060】
能耳茸抽出物の生理痛緩和及び治療効能を評価するために以下のような実験を行った。
【0061】
<1-1>試験対象
【0062】
生理痛がひどくて生理時に毎回痛み止めを服用する10代~50代の女性17人を対象として能耳茸抽出物の生理痛緩和及び治療効能を評価した。
【0063】
<1-2>能耳茸抽出物の服用前後による生理痛治療効能の確認
【0064】
能耳茸抽出物の服用前後による変化を確認するために、普段生理痛がひどくて痛み止めを服用しなければならない女性を選別して生理痛が始まると前記実施例1の方法で製造された抽出物160mlを1回服用させた。その結果、抽出物の服用による変化を以下の表1に現わした。
【0065】
【0066】
表1に示したように、能耳茸抽出物を服用した直後全ての女性で生理痛がなくなり、大部分の女性では能耳茸抽出物を1回服用した月の生理期間及び出血量が減少し、生理中の血の色が清まり、お血及び生理不順がなくなった(表1)。また、一部女性では生理による無気力感、疲労感及び浮腫などが減少した。
【0067】
<1-3>能耳茸抽出物の1回服用後の生理痛治療効能の確認
【0068】
能耳茸抽出物を1回服用してから1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月及び12ヶ月が経た後の変化を調査して以下の表2~4に現わした。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
表2~4に現わしたように、能耳茸抽出物を1回服用した次の月から能耳茸抽出物を服用しなくても生理痛が些細に現われるか現われなく、出血量が減少し、お血もなくなった。前記効果は12ヶ月以後にも持続した(表2~4)。
【0073】
一方、本発明による能耳茸抽出物は目的によって各種形態に製剤化が可能である。以下では、本発明による能耳茸抽出物を有効成分として含有させたいくつかの製剤化方法を例示し、本発明はこれに限定されるのではない。
【0074】
<製剤例1> 薬学的製剤の製造
【0075】
<1-1>散剤の製造
【0076】
本発明による能耳茸抽出物 2g
【0077】
乳糖1g
【0078】
前記成分を混合して気密布に充填して散剤を製造する。
【0079】
<1-2>錠剤の製造
【0080】
本発明による能耳茸抽出物 100mg
【0081】
トウモロコシデンプン 100mg
【0082】
乳糖100mg
【0083】
ステアリン酸マグネシウム 2mg
【0084】
前記成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法によって打錠して錠剤を製造する。
【0085】
<1-3>カプセル剤の製造
【0086】
本発明による能耳茸抽出物 100mg
【0087】
トウモロコシデンプン 100mg
【0088】
乳糖100mg
【0089】
ステアリン酸マグネシウム 2mg
【0090】
前記成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造する。
【0091】
<1-4>丸の製造
【0092】
本発明による能耳茸抽出物 1g
【0093】
乳糖 1.5g
【0094】
グリセリン 1g
【0095】
キシリトール 0.5g
【0096】
前記成分を混合した後、通常の方法によって1丸当たり4gになるように製造する。
【0097】
<1-5>顆粒の製造
【0098】
本発明による能耳茸抽出物 150mg
【0099】
大豆抽出物 50mg
【0100】
葡萄糖 200mg
【0101】
デンプン 600mg
【0102】
前記成分を混合した後、30%エタノール100mgを添加して、60℃で乾燥して顆粒を形成した後、布に充填する。
【0103】
<1-6>注射剤の製造
【0104】
本発明による能耳茸抽出物 500mg
【0105】
注射用滅菌蒸溜水 適量
【0106】
pH調整剤 適量
【0107】
通常の注射剤の製造方法によって1アンプル当たり(2ml)前記の成分含有量で製造する。
【0108】
<1-7>液剤の製造
【0109】
本発明による能耳茸抽出物 100mg
【0110】
異性化糖 10g
【0111】
マンニトール 5g
【0112】
精製水 適量
【0113】
通常の液剤の製造方法によって精製水にそれぞれの成分を加えて溶解させ、レモン香を適量加えた後、前記成分を混合し、その後、精製水を加えて全体を精製水を加えて全体100mlに調節した後、アンバーボトルに充填して滅菌して液体を製造する。
【0114】
<製剤例2>保健機能食品の製造
【0115】
本発明による能耳茸抽出物 100mg
【0116】
ビタミン混合物 適量
【0117】
ビタミンA アセテート 70ug
【0118】
ビタミンE 1.0mg
【0119】
ビタミンB1 0.13mg
【0120】
ビタミンB2 0.15mg
【0121】
ビタミンB6 0.5mg
【0122】
ビタミンB12 0.2ug
【0123】
ビタミンC 10mg
【0124】
ビオチン 10ug
【0125】
ニコチン酸アミド 1.7mg
【0126】
葉酸 50ug
【0127】
パントテン酸カルシウム 0.5mg
【0128】
無機質混合物 適量
【0129】
硫酸第一鉄 1.75mg
【0130】
酸化亜鉛 0.82mg
【0131】
炭酸マグネシウム 25.3mg
【0132】
第1リン酸カリウム 15mg
【0133】
第2リン酸カルシウム 55mg
【0134】
クエン酸カリウム 90mg
【0135】
炭酸カルシウム 100mg
【0136】
塩化マグネシウム 24.8mg
【0137】
前記ビタミン及びミネラル混合物の組成比は比較的に保健機能食品に適する成分を好ましい実施例で混合して組成したが、その配合比を任意に変形して実施しても構わなく、通常の保健機能食品の製造方法によって前記成分を混合した後、顆粒を製造し、通常の方法によって保健機能食品組成物の製造に用いることができる。