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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】通行ゲート
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/52 20060101AFI20220721BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20220721BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20220721BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H01Q1/52
G07G1/00 301Z
G07G1/00 311D
H01Q13/08
H01Q21/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021157651
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2021084078
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515305441
【氏名又は名称】RFルーカス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100190355
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 紀央
(72)【発明者】
【氏名】上谷 一
(72)【発明者】
【氏名】平野 健太郎
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-083739(JP,A)
【文献】登録実用新案第3149211(JP,U)
【文献】特開2006-335537(JP,A)
【文献】特開2014-134038(JP,A)
【文献】特開2019-139378(JP,A)
【文献】特開2007-249337(JP,A)
【文献】特開平10-124710(JP,A)
【文献】特開2015-216520(JP,A)
【文献】特開2011-066495(JP,A)
【文献】特開2008-099266(JP,A)
【文献】特開2021-005816(JP,A)
【文献】特開昭63-199503(JP,A)
【文献】特開平11-207756(JP,A)
【文献】特開2004-070487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
G06K 7/00- 7/14
G06K 17/00-19/18
G06Q 50/00
G07B 11/00-17/04
G07G 1/00- 5/00
H04B 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行者が通過する通路に対応して設けられる床部と、通行者が前記通路としての床部を通過する通過方向に沿って前記床部の端側において側面を形成するように設けられる側壁とを備え、
前記床部は、
複数のアンテナ素子を有し、前記アンテナ素子のそれぞれに所定の特性に応じた電力と位相とが設定された単位アンテナアレイを1以上備えるアンテナ装置を備え、
前記側壁は、それぞれが所定の高さを有し電波吸収材が設けられる下側壁部と上側壁部とを備え、前記下側壁部は、通行ゲートが設置される設置面に対して設けられ、前記上側壁部は、前記下側壁部の上に存在するように設けられ
前記上側壁部は、透光性を有する板状部材と、透光性を有する電波吸収材とを用いて構成され、
前記上側壁部の下端部に対応する位置にて設置され、平面より上方向に突出する形状を有し、前記通路に直行する方向において前記上側壁部よりも前記通路に近い側に設置されるインジケータを備える
通行ゲート。
【請求項2】
前記下側壁部の通路側の面は樹脂により覆うようにされる
請求項1に記載の通行ゲート。
【請求項3】
前記上側壁部は、四角形の上側の角部を取り除いた形状を有する
請求項1または2に記載の通行ゲート。
【請求項4】
前記単位アンテナアレイにおける複数のアンテナ素子のうちの一部のアンテナ素子を、所定部分を除いて電磁波を隠蔽するように設けられる導体による遮蔽物を備える
請求項1からのいずれか一項に記載の通行ゲート。
【請求項5】
前記一部のアンテナ素子に対応する所定の位置に対して設けられる導体片を備える
請求項に記載の通行ゲート。
【請求項6】
前記導体片は、単位アンテナアレイにより放射される電波の波長に基づく所定長の辺を有する方形である
請求項に記載の通行ゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナの周囲に、アンテナ近傍で電波を吸収または反射することでアンテナの指向特性を変更する指向特性変更部材を設け、指向特性変更部材の、アンテナに対する位置関係を調整することで指向特性を変更可能な技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、運営会社サーバが、ゲート装置の読取部により読み取られた商品ID及びを購入情報として記憶部に記憶し、記憶した購入情報に基づいてユーザごとの決済情報を生成することで決済が行われるようにされた販売システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-165754号公報
【文献】特開2020-191042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通行ゲートを通行者が通過する際に商品識別子等の情報をRFID(Radio Frequency IDentifier)タグから読み取るにあたっては、通行ゲートにおいて対象のRFIDタグの読み取りが円滑に行われるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、通行ゲートにおいて対象のRFIDタグの読み取りが円滑に行われるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、通行者が通過する通路に対応して設けられる床部と、通行者が前記通路としての床部を通過する通過方向に沿って前記床部の端側において側面を形成するように設けられる側壁とを備え、前記床部は、複数のアンテナ素子を有し、前記アンテナ素子のそれぞれに所定の特性に応じた電力と位相とが設定された単位アンテナアレイを1以上備えるアンテナ装置を備え、前記側壁は、それぞれが所定の高さを有し電波吸収材が設けられる下側壁部と上側壁部とを備え、前記下側壁部は、通行ゲートが設置される設置面に対して設けられ、前記上側壁部は、前記下側壁部の上に存在するように設けられる通行ゲートである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、通行ゲートにおいて対象のRFIDタグの読み取りが円滑に行われるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における通行ゲートの外観例を示す斜視図である。
図2】第1実施形態における通行ゲートを平面方向からみた図である。
図3】第1実施形態におけるアンテナ装置部を平面方向からみた図である。
図4】第1実施形態におけるアンテナユニットのアンテナ形成パターンの一例を示す図である。
図5】第1実施形態における遮蔽物を設けたアンテナユニットの態様例を示す図である。
図6】第1実施形態における遮蔽物を設けたアンテナユニットによるアンテナ装置部の態様例を示す図である。
図7】第1実施形態における試験板の態様例を示す図である。
図8】第1実施形態におけるアンテナユニットについての試験結果を示す図である。
図9】第1実施形態における遮蔽物と導体片を設けたアンテナユニットの態様例を示す図である。
図10】第2実施形態における通行ゲートの外観例を示す斜視図である。
図11】第2実施形態における側壁の側面図である。
図12】第2実施形態における決済システムの構成例を示す図である。
図13】第2実施形態におけるゲート端末の構成例を示す図である。
図14】第2実施形態におけるゲート端末、ユーザ端末、及び決済情報管理サーバがウォークスルー決済の決済段階に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図15】第2実施形態におけるゲート端末ゲートがウォークスルー決済の確認段階に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図16】第2実施形態におけるゲート端末において表示される画面の態様例を示す図である。
図17】第2実施形態における通行ゲートの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のアンテナ装置を備える通行ゲート1の外観例を示す斜視図である。図2は、通行ゲート1を平面方向からみた図である。
通行ゲート1は、いわゆるウォークスルー決済に対応するもので、店舗において客が購入する商品についての精算(決済)を行う際に用いられる。店舗にて、客は、自分が購入しようとする商品を商品棚等から取り出し、買い物袋に入れるようにする。商品にはRFID(Radio Frequency IDentifier)タグが付されている。客は、自分が購入しようとする商品を買い物袋に入れ終えると、会計のために商品の入った買い物袋を持ちながら通行ゲート1を通過する。
【0010】
客が通行ゲート1を通過する際、通行ゲート1に設けられたアンテナと買い物袋に入れられている商品に付されたRFIDタグとが電波の送受信を行う。これにより、通行ゲート1が備えるRFIDタグリーダによって、商品に付されたRFIDタグに記憶されている商品の情報が読み取られる。読み取られた商品の情報は、通行ゲート1からサーバに送信される。サーバは受信された商品の情報を利用して精算についての確認を行う。
【0011】
精算対象の商品と客との対応付けは、例えば客が、自分の所持するスマートフォンなどの携帯端末に表示させた客識別コード(例えば、2次元コード)を通行ゲート1に対応するコードリーダに読み取らせるようにされる。サーバは、コードリーダにより読み取られた客識別コードと、通行ゲート1から送信された商品の情報とを対応付けることにより、精算対象の商品と客との対応付けが行われる。
【0012】
なお、以降の説明にあたり、通行ゲート1を通過方向DRに沿って通過している客の前後左右の方向を、通行ゲート1の前後左右として扱う。
【0013】
なお、以降の説明にあたり、アンテナとRFIDタグとの間での電波の伝搬に応じた通信と、RFIDタグの読み取りとについては、同義であるとして説明する場合がある。
【0014】
図1図2に示されるように、通行ゲート1は、基本的構成として床部11と側壁13を備える。
床部11は、通行ゲート1において客が通過する通路の床面となる部位である。床部11は、平面方向からみて長方形とされており、客が通過する際の通過方向DRに長方形の長手方向の辺が沿うようにされた向きで配置されている。
床部11は、上側の上面部11aと、当該上面部11aの下側のアンテナ装置部11bとを有する。上面部11aは、例えば樹脂などにより形成される。アンテナ装置部11bは、RFIDタグとの通信のために電波を放射するアンテナ装置が備えられる部位である。
【0015】
側壁13は、床部11の長手方向の各辺に沿って設けられる。つまり、側壁13は、床部11の左右両側に在るようにして設けられる。なお、床部11の左右いずれか一方の側が店舗の壁面であるような場合には、床部11の他方の側のみに側壁13が設けられてもよい。側壁13は、客が確実にアンテナ装置部11bを有する床部11の上を歩いた状態で通行ゲート1を通過できるようにするための案内として機能する。
【0016】
ここで、床部11のアンテナ装置部11bにおいて備えられるアンテナは、床部11の上を客とともに通過する商品に付されたRFIDタグを確実に読み取ることができるようにすることが求められる。つまり、アンテナ装置部11bのアンテナは、床部11を底面とする或る高さまでの空間(読取対象空間)において存在するRFIDタグを確実に読み取ることが求められる。
その一方で、アンテナ装置部11bのアンテナは、読取空間よりも外側の空間(非読取対象空間)に存在するRFIDタグについては読み取らないようにすることが求められる。床部11の平面外側の空間に存在するRFIDタグも読み取り可能な状態であると、客が通行ゲート1を通過する際に、客が購入対象とする商品だけではなく、周囲の他の客が所持している商品や通行ゲート1の近傍にて陳列されている商品のRFIDタグまで読み取ってしまい、正常な精算が行えないことになる。
【0017】
しかしながら、単にアンテナ装置部11bにてアンテナを配置した場合には、電波が非読取対象空間にまで及ぶことから、非読取対象空間に存在するRFIDタグまでも読み取ることができてしまう。
【0018】
そこで、本実施形態の通行ゲート1は、以下に説明するようにして、読取対象空間に存在するRFIDタグについては読み取るようにしたうえで、非読取対象空間に存在するRFIDタグについては読み取らないようにされる。
【0019】
このために、アンテナ装置部11bのアンテナとしては、電波放射の弱い方向を通過方向DRに沿うようにさせ、電波放射の強い方向が通過方向DRと直行するようにして配置されるようにしてよい。本実施形態では、平面形状のアンテナ(アンテナ素子110)が法線方向に電波放射の指向性を持っている。そのような平面形状のアンテナを床面に配置することによって、電波放射方向は床から天井に向かう上下方向となる。側板に平面形状のアンテナを配置した場合には、店舗における通行ゲート1の配置の向きによっては、電波の指向性が店内に向く場合が想定される。そこで、本実施形態のように床面にアンテナを配置することによって、店舗における通行ゲート1の配置に依存することなく、通行ゲート1を通過しているものではない読み取り不要のRFIDタグを誤って読み取ってしまうといった誤検出を防止できる。
そのうえで、通行ゲート1の左右の側壁13の床部11側の面には、それぞれ、電波吸収板14を設けるようにされる。電波吸収板14は、電波吸収材により形成される板である。
電波吸収板14を設けることにより、側壁13に対応する側面にて電波を吸収するため、アンテナ装置部11bのアンテナが、左右の非読取対象空間に存在するRFIDタグを読み取らないようにすることが可能となった。
本実施形態では、床面に配置した平面形状のアンテナ(アンテナ素子110)に対し、側壁13に電波吸収板14を設置した。上記もしたようにアンテナは床から天井に向かう法線方向に指向性を有するが、左右方向にも電波が幾分放射される。そこで、床面に接する側壁に電波吸収板14を設置することにより、左右方向における余分な電波放射を効率的に吸収し、通行ゲート1を通過しているものではない読み取り不要のRFIDタグの誤検出を防止できる。
【0020】
また、本実施形態では、アンテナ装置部11bのアンテナが前後における非読取対象空間に存在するRFIDタグを読み取らないようにするため、以下の構成が採られる。
図3は、アンテナ装置部11bを抜き出して平面方向からみた図である。アンテナ装置部11bは、3つのアンテナユニット100が左右方向に並ぶようにして配置されている。
なお、アンテナ装置部11bにおいて配置されるアンテナユニット100の数については特に限定されない。
【0021】
図4は、1つのアンテナユニット100のアンテナ形成パターンの一例を示している。同図のアンテナユニット100は、2つの単位アンテナアレイ101が前後方向に沿って配置される。1つの単位アンテナアレイ101においては、前後方向に沿って2つのアンテナ素子110が配置される。アンテナ素子110は、電波を放射する放射面を有する。このようなアンテナ素子110は、パッチアンテナとして機能する。
【0022】
1の単位アンテナアレイ101における2つのアンテナ素子110には、それぞれ単位アンテナアレイ101として所望の特性が与えられるように設定された電力と位相による信号が供給される。アンテナ素子110のそれぞれは、供給された入力信号に応じて円偏波による電波を放射する。放射されたアンテナ素子110のそれぞれの電波が空間にて合成される結果、単位アンテナアレイ101として或る特定の特性が得られる。
具体的に、1の単位アンテナアレイ101における2つのアンテナ素子110は、一方が主アンテナとして機能し、他方が波形制御アンテナとして機能する。主アンテナとしてのアンテナ素子110には、所定周波数、所定出力(振幅)による波形の入力信号を与えて電波を放射させ、波形制御アンテナとしてのアンテナ素子110には、主アンテナに与えられる信号と同じ周波数と出力であって、かつ、主アンテナに与えられる信号に対して所定の位相差を有する波形の入力信号を与えるようにされる。これにより、主アンテナと波形制御アンテナとのそれぞれから放射される電波の合成波が所定の偏向を有するようにされる。アンテナユニット100においては、このように構成された主アンテナと波形制御アンテナとがおおむね線対称に配置されている。
本実施形態においては、単位アンテナアレイ101の特性として、前述のように、前後方向における電波放射に対して左右方向における電波放射のほうが強くなるように、2つのアンテナ素子110に供給する信号の電力と位相を設定してよい。本実施形態においては、1のアンテナユニット100において配置されるアンテナ素子110のうち、中央よりの2つのアンテナ素子110が主アンテナとして機能し、最も前と最も後ろに配置される2つのアンテナ素子110が波形制御アンテナとして機能する。
【0023】
上記のように、本実施形態の単位アンテナアレイ101は、2つのアンテナ素子110に供給される信号の電力と位相によって特性が決定されるようになっている。そして、アンテナユニット100は、このような単位アンテナアレイ101が前後方向に2つ備えられたアンテナアレイとして構成される。
なお、1つのアンテナユニット100に備えられる単位アンテナアレイ101の数については特に限定されない。
【0024】
上記構成のアンテナユニット100によるアンテナ装置部11bは、そのままでは通行ゲート1の前後の非読取対象空間に存在するRFIDタグを読み取り可能な状態にある。
そこで、本願の発明者等は、アンテナユニット100において前後方向に沿って配置される4つのアンテナ素子110のうち、最も前に位置するアンテナ素子110と最も後ろに位置するアンテナ素子110との一部を、遮蔽物で覆うことで、これらのアンテナ素子110から前方または後方に放射される電波の抑制を試みることとした。遮蔽物は、例えば遮蔽された部分からの電波の放射を抑制することが可能なように、アルミニウムや銅等の導体が用いられる。
【0025】
図5は、1のアンテナユニット100に対して2つの遮蔽物200を設けた態様例を示している。同図では、一方の遮蔽物200は、アンテナユニット100において最も前に位置するアンテナ素子110を遮蔽対象として前側から覆い、当該アンテナ素子110の後ろ側を一部露出させるようにして設けられている。
もう一方の遮蔽物200は、アンテナユニット100において最も後ろに位置するアンテナ素子110を遮蔽対象として後ろ側から覆い、当該アンテナ素子110の前側を一部露出させるようにして設けられている。
つまり、アンテナユニット100における前方の単位アンテナアレイ101については、2つのアンテナ素子110のうちの前方のアンテナ素子110を遮蔽物200により遮蔽している。また、アンテナユニット100における後方の単位アンテナアレイ101については、2つのアンテナ素子110のうちの後方のアンテナ素子110を遮蔽物200により遮蔽している。
【0026】
また、アンテナ装置部11bにおいては、図6のように遮蔽物200が設けられたアンテナユニット100が左右方向において3つ並ぶように配置される。そこで、図6に示すように、アンテナ装置部11bに対しては、3つのアンテナユニット100にわたるようにして共通の遮蔽物200が設けられてよい。
【0027】
本願の発明者は、遮蔽物200を設けるにあたり、遮蔽対象のアンテナ素子110について遮蔽物200により遮蔽されない部分をどの程度とすればRFIDタグの読み取り状況が最良となるのかを、以下のように試験した。
試験にあたり、試験者である本願の発明者は、図7に示す試験板300-1、300-2を用いた。試験板300-1は、ダイポールアンテナの方向を水平とした横向きのRFIDタグ301を18行×4列に配列させて設けた板である。各行は、10cm~180cmの範囲で10cmごとの高さとなるようにされている。
また、試験板300-2は、ダイポールアンテナの方向を垂直とした縦向きのRFIDタグ301を18行×5列に配列させて設けた板である。試験板300-2についても、各行は、10cm~180cmの範囲で10cmごとの高さとなるようにされている。
また、試験板300-1、300-2に設けられたRFIDタグ301ごとに付されている数は、RFIDタグ301に付された番号である。
【0028】
試験にあたり、本願の発明者は、例えば図7のように3つのアンテナユニット100が配置されたアンテナ装置部11bの前端から所定の距離を隔てた位置にて試験板300-1、300-2をともに立てるようにして設けた。この場合、試験板300-1、300-2に配置されたRFIDタグ301は、非読取対象空間に存在するため読み取ることが避けられるべきものである。また、本願の発明者は、アンテナ装置部11bの平面から所定の高さとなる位置にM枚のRFIDタグを置くようにした。このように置かれたM枚のRFIDタグは、読取対象空間に存在することから、読み取られるべきものである。
そのうえで、本願の発明者は、アンテナ装置部11bにて配置されたアンテナユニット100における最も前のアンテナ素子110を遮蔽対象として、例えば前側から後ろにかけて所定長(例えば0.5cm)ごとに遮蔽幅を大きくしていくように変更しながら、遮蔽幅ごとにRFIDタグ301の読み取り状況を試験した。
【0029】
図8は、上記の試験結果を示している。試験結果Rs1は、試験板300-1、300-2に配置されたRFIDタグ301についての読み取り状況を示す。つまり、試験結果Rs1は、非読取対象空間に存在するRFIDタグ301についての読み取り状況を示す。試験結果Rs2は、読取対象空間に置かれたM枚のRFIDタグ301についての読み取り状況を示す。
同図によれば、読取対象空間に存在するM枚のRFIDタグ301の全てを正常に読み取り可能とされたうえで、非読取対象空間に存在するRFIDタグを読み取った数が最小となるのは、例えば遮蔽幅W1のときとなる。
また、アンテナ装置部11bの後端から所定の距離を隔てた位置にて試験板300-1、300-2を立て、アンテナ装置部11bにおける最も後ろのアンテナ素子110を遮蔽対象として試験を行った場合にも、同様の試験結果が得られた。
【0030】
図5においては、遮蔽幅W1によりアンテナユニット100における前端と後端のアンテナ素子110を、遮蔽物200により遮蔽幅W1で遮蔽させた状態を示している。このように遮蔽物200が遮蔽幅W1でアンテナ素子110を遮蔽している状態では、アンテナ素子110が完全に遮蔽されることなく一定面積が露出している状態にある。
このような状態では、アンテナ素子110の露出している部分から放射される電波と、遮蔽された放射面111の部分から漏れ出した電波とが合成されるようになる。このような状態に応じて変化した単位アンテナアレイ101の特性が、図8の遮蔽幅W1に対応する試験結果を生じさせたことになる。
本実施形態の場合、アンテナユニット100において、中央寄りに配置された二つの主アンテナとしてのアンテナ素子110は完全に露出している。一方、主アンテナの入力信号に対して所定の位相差を有する入力信号が供給される2以上の波形制御アンテナとしてのアンテナ素子110は、それぞれ1/2以上の面積が遮蔽されている。2つの主アンテナとしてのアンテナ素子110のそれぞれには同位相の入力信号が供給され、2つの波形制御アンテナとしてのアンテナ素子110のそれぞれには同位相であって、主アンテナの入力信号に対しては所定の位相差を有する入力信号が供給される。
波形制御アンテナの遮蔽面積が小さすぎると効果が薄く、遮蔽面積が大きすぎると波形制御アンテナとしての機能が失われる。波形制御アンテナとしてのアンテナ素子110の面積全体の2/3~3/4程度を遮蔽することが好ましい。例えば、アンテナ素子110の面積全体の70%程度を遮蔽するのが最適であるとの結果が得られた。
本実施形態においては、アンテナユニット100が通過方向DRに沿って平行に3つ配置されているので、本実施形態の通行ゲート1には中央に6つの遮蔽されていない主アンテナが配置され、最も後ろ(通行者から見て入り口)と最も前(通行者から見て出口)に、一部が遮蔽された波形制御アンテナが3つずつ配置されることになる。
また、波形制御アンテナの遮蔽部分は、通行ゲート1の出入り口側である。すなわち、波形制御アンテナにおいて主アンテナに対して遠い側の部分が遮蔽されている。これによって、主アンテナと波形制御アンテナとが放射する電波の合成波の通行ゲート1の出入り口から通行ゲート1の外側への漏洩が減少し、通行ゲート1を通過しているものではない読み取り不要のRFIDタグの誤検出を防止できる。
また、本実施形態は遮蔽物200の配置によって合成波の状態を変更可能であり、アンテナユニット100自体については変更なく使用できるので、製造コストを抑えることができる。例えば、波形制御アンテナとしてのアンテナ素子110自体の面積や形状を変更すると、周波数や電力が主アンテナ側と整合しなくなり、合成波自体が変化してしまう可能性がある。本実施形態のように、波形制御アンテナを配置しつつ遮蔽物200により遮蔽することで、主アンテナと波形制御アンテナの形状や面積については実質的に同じとしたまま、すなわち、供給する入力信号の周波数と電力は同じとしたままで、最適な合成波を容易に得ることができる。
【0031】
ただし、図8に示されるように、遮蔽幅W1のときには、未だ、或る程度の数の非読取対象空間におけるRFIDタグが読み取られている。このため、遮蔽幅W1によりアンテナ素子110を遮蔽した状態としたうえで、さらに非読取対象空間におけるRFIDタグの読み取りの数が削減されることが好ましい。
【0032】
そこで、本願の発明者は、遮蔽幅W1のときに読み取られた非読取対象空間のRFIDタグについての内訳を検証した。検証の結果、試験板300-1に配置されたRFIDタグ301のうちから読み取られたものはゼロであり、読み取られたRFIDタグは、試験板300-2に配置されたものが全てであった。このことは、遮蔽幅W1によりアンテナ素子110を遮蔽したことにより、遮蔽されたアンテナ素子110を含む単位アンテナアレイ101の特性として、偏波が円偏波から垂直偏波に近い状態となったことを意味する。なお、条件によっては、逆に水平偏波に近い状態となる場合もある。
また、非読取対象空間にて生じたこのような現象は、読取対象空間においても同様に生じている。このため、読取対象空間においても、水平に近い姿勢状態にあるRFIDタグが読み取られにくい状況となる。
つまり、遮蔽幅W1によりアンテナ素子110を遮蔽した段階では、RFIDタグについて読み取りやすい向きと読み取りにくい向きとで偏りが生じる。このため、非読取対象空間においては、読み取りやすい向きのRFIDタグを誤って読み取りやすくなる一方で、読取対象空間においては、読み取りにくい向きのRFIDタグが読み取り不可となりやすいという状況が生じる。
【0033】
このような状況に対して、本願の発明者は、直線偏波に近くなった状態を円偏波に近い状態に戻すようにすることを検討した。その結果、本願の発明者は、図9のアンテナ装置部11bとして示すように、アンテナユニット100ごとにおいて、遮蔽対象としたアンテナ素子110が遮蔽されずに露出している部分の所定箇所に、導体片103を設けることとした。導体片103は、例えばアルミニウム、銅等による導体が用いられてよい。
なお、同図においては、アンテナ装置部11bにおける各アンテナユニット100において導体片103を設けた例が示されているが、例えば、アンテナ装置部11bにおける一部のアンテナユニット100において導体片103を設ける場合があってよい。
【0034】
このような導体片103を設けた状態では、試験結果として、前後の非読取対象空間に配置した試験板300-1、300-2から読み取ることのできたRFIDタグ301がゼロであった。これに対して、読取対象空間に試験板300-1、300-2を配置した状態では、試験板300-1、300-2のいずれからもRFIDタグ301を、導体片103が設けられない場合と比較してより多く読み取ることができた。つまり、導体片103が設けられたことにより、アンテナユニット100から放射される電波の偏向方向が円偏波に近い状態に戻った。これにより、読取対象空間においては、RFIDタグの姿勢にかかわらず読み取りがしやすくなり、非読取対象空間におけるRFIDタグは読み取りにくくなるように変化した。
【0035】
そのうえで、本願の発明者は、試験の結果、導体片103の位置としては、アンテナユニット100の幅W2の中間に対応する位置が好ましいことを発見した。また、導体片103のサイズとしては、1辺が1/8λによる長さの正方形が好ましいことを発見した。なお、この場合の導体片103の1片は厳密に1/8λの長さでなくともよく、例えば、1/8λを基準に±20%程度の範囲で適宜調整されてよい。
【0036】
このように、本実施形態においては、遮蔽物200と導体片103を設けるという簡易な構成によって、読取対象空間に存在するRFIDタグは読み取り、非読取対象空間に存在するRFIDタグは読み取らないよう、単位アンテナアレイ101の特性を変更できる。また、このような簡易な構成でよいことで、例えば単位アンテナアレイ101を備えるアンテナユニット100が汎用的なものであるような場合にも対応して、容易に特性を変更することも可能となる。
【0037】
なお、本実施形態において、遮蔽物200の遮蔽幅の調整のみによって非読取対象空間のRFIDタグを読み取ることなく、読取対象空間のRFIDタグを良好に読み取ることができた場合には、導体片103は設けられなくともよい。
なお、例えば通行ゲート1に天井部分を設けたうえで、アンテナユニット100を備えるアンテナ装置部11bは天井部分に設けられてもよい。この場合、アンテナ装置部11bは天井部分のみに設けられてもよいし、床部11と天井部分との両方に設けられてもよい。
なお、本実施形態のように遮蔽物200や導体片103が設けられるアンテナユニット100は、ウォークスルー決済に対応する通行ゲート1以外にも適用されてよい。例えば、本実施形態のアンテナユニット100は、例えば商品倉庫などにおいてピップアップされた商品を運搬するのに用いられる商品収容コンテナなどに適用することができる。また、本実施形態のアンテナユニット100の構成は、例えば客などが店舗外に商品を持ち出すこと検知するシステム、入出荷される物品を検品するシステム、書籍の自動貸し出しに対応するシステム等にも適用が可能である。また、本実施形態のアンテナユニット100の構成は、例えば店舗、倉庫、物流の貨物船・列車・トラックなどにて多数存在する物品のうちから取り出された物品をベルトコンベアなどにより搬送する際に、ベルトコンベアにより搬送される物品に付されたRFIDを読み取るようにされたシステムに適用可能である。
上記のようにウォークスルー決済以外の用途に対応するシステムにアンテナユニット100を適用する場合には、アンテナユニット100における単位アンテナアレイ101の数や1の単位アンテナアレイ101におけるアンテナ素子110の数は、適用されるシステムに応じて適宜変更されてよい。また、単位アンテナアレイ101間の配列位置関係や、単位アンテナアレイ101におけるアンテナ素子110の配列方向等も、適用されるシステムに応じて適宜変更されてよい。
なお、本実施形態において遮蔽対象となるアンテナ素子は、パッチアンテナ以外の形式のアンテナであってもよい。
【0038】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態のアンテナ装置部11bが備えるのと同様の構成のアンテナ装置を備える通行ゲートについての具体的構成の一例となる。
【0039】
[外観例]
図10は、本実施形態の通行ゲート500の外観例を示している。同図の通行ゲート500は、第1実施形態の通行ゲート1と同様にウォークスルー決済に対応する。本実施形態の通行ゲート500に対応するウォークスルー決済の態様例については後述する。
なお、同図の説明にあたり、通行ゲート500を通過方向DRに沿って通過している客(通行者)の前後左右の方向を、通行ゲート500の前後左右として扱う。
【0040】
同図の通行ゲート500は、基本的構成として、床部510と側壁520(520-1、520-2)とを備える。
床部510は、通行ゲート500において客が通過する通路の床面となる部位である。床部510は、平面方向からみて長方形とされており、客が通過する際の通過方向DRに長方形の長手方向の辺が沿うようにされた向きで配置されている。
床部510は、底面部511と、当該底面部511の上に被せられるように設けられる上面部512とにより外径が形成される。底面部511は、例えばアルミニウム等の金属または樹脂により形成されてよい。上面部512は、例えば樹脂等により形成されてよい。底面部511と上面部512とによる床部510は、10mmほどの高さを有する。
床部510の上面部512において前端部と後端部とには、それぞれスロープ512a、512aが設けられることで、床部510の上面部512と設置面との段差が解消されるようにしている。
【0041】
床部510の底面部511と上面部512との間には、アンテナ装置部513が配置される。アンテナ装置部513は、図3図6図9に示したアンテナ装置部11bと同様の構成のアンテナ装置を備える。
【0042】
側壁520(520-1、520-2)は、通過方向DRに沿って床部510の左右両側に在るようにして設けられる。このように設けられる側壁520は、客が確実にアンテナ装置部513を有する床部510の上を歩いた状態で通行ゲート500を通過できるようにするための案内として機能する。
側壁520のうち、側壁520-1は、床部510の右側に設けられ、側壁520-2は床部510の左側に設けられる。
【0043】
右側の側壁520-1は、基礎側壁521-1(下側壁部の一例)と補助側壁522-1(上側壁部の一例)を備える。左側の側壁520-2は、基礎側壁521-2(下側壁部の一例)と補助側壁522-2(上側壁部の一例)を備える。
以降の説明において、基礎側壁521-1、521-2について特に区別しない場合には基礎側壁521と記載し、補助側壁522-1、522-2について特に区別しない場合には補助側壁522と記載する。
【0044】
右側の側壁520-1の基礎側壁521は、床部510の右側の端部に沿って、設置面に立てられるようにして配置される。また、左側の側壁520-2の基礎側壁521は、床部510の左側の端部に沿って、設置面に立てられるようにして配置される。
【0045】
側壁520-1、520-2それぞれにおいて、基礎側壁521の外側(通路となる床部510と反対側)の側面にはカバー521aが設けられ、内側(床部510側)の側面にはカバー521bが設けられる。カバー521a、521bは、例えば樹脂により形成されてよい。
【0046】
基礎側壁521の内側の側面のカバー521bを樹脂とすることによっては、通行ゲート500を通過する客(通行者)の安全を図ることができる。例えば、車椅子に乗って客が通行ゲートを通過しようとするときに、車椅子の一部と基礎側壁521の内側の側面との間に通行者の手などの身体部分が挟まる可能性がある。このようなときに、側壁520の内側の側面が金属のような硬い材質であると、挟まった身体部分への負担が大きくなる可能性がある。
そこで、本実施形態では、基礎側壁521の内側の側面のカバー521bを樹脂としている。このようにカバー521bが樹脂とされることで、車椅子の一部と基礎側壁521の内側の側面との間に通行者の手などの身体部分が挟まったとしても、樹脂であるカバー521bがたわむことができるので、挟まった身体部分への負担を大幅に軽減できる。
【0047】
また、基礎側壁521の外側(通路となる床部510と反対側)の側面のカバー521aも樹脂とすることで、通行ゲート500の脇を通過する客の安全を同様に図ることができる。
【0048】
なお、基礎側壁521の側面は、樹脂以外で軟性を有する材質のものが用いられてよい。
【0049】
また、左右の基礎側壁521のそれぞれには電波吸収材523が設けられる。電波吸収材523は、基礎側壁521としての本体の内部に設けられていることから、外側からは見えないようにされている。電波吸収材523は、同図において破線で示すように、基礎側壁521の側面の面積をほぼ占有するようにして設けられる。これにより、基礎側壁521の側面にて電波を吸収させることができる。
【0050】
また、左右の基礎側壁521(521-1、521-2)のそれぞれには補助側壁522(522-1、522-2)が取り付けられる。同図の補助側壁522は、透明な板状であり、基礎側壁521の外側側面に対して固定されるようにして取り付けられることで、基礎側壁521の上側にさらに延伸して配置された態様となる。
補助側壁522は、例えば透明のアクリル板に対して透明の電波吸収材としてのシートを貼り付けたものである。
なお、補助側壁522と電波吸収材としてのシートは、完全に透明でなくともよく、一定以上の透光性を有するものであればよい。
【0051】
図11は、右側の側壁520-1を、右側面方向から視た図である。
同図に示されるように、側壁520-1は、設置面FLを基準として基礎側壁521-1の高さH1に対して、基礎側壁521-1から上側に延伸された補助側壁522-1の高さH2を上げた、高さ(H1+H2)を有する。
基礎側壁521-1に設けられた電波吸収材523は、基礎側壁521-1の側面に対応するサイズを有するようにして設けられ、補助側壁522-1に設けられた電波吸収材のシートは、補助側壁522-1の側面全体に施されている。なお、補助側壁522-1において基礎側壁521-1と重複せずに基礎側壁521の上に延伸されている部分に対して電波吸収材のシートが設けられてもよい。
このように基礎側壁521-1と補助側壁522-1とに電波吸収材が設けられることで、側壁520-1は、基礎側壁521-1と補助側壁522-1とによる側面のサイズ形状にほぼ対応して電波吸収材が設けられていることになる。つまり、基礎側壁521-1と補助側壁522-1とによる側面にて電波を吸収する機能が与えられる。これにより、例えば基礎側壁521に補助側壁522が設けられない場合と比較して、床部510のアンテナ装置部513から左右方向に放射される電波を吸収することのできる面積の高さ方向を増加させることができる。
【0052】
また、左側の側壁520-2も、図11と同様の態様により基礎側壁521-2と補助側壁522-2とを備えて構成される。
【0053】
本願の発明者は、基礎側壁521(521-1、521-2)の高さH1を1000mm、補助側壁522(522-1、522-2)が基礎側壁521(521-1、521-2)の上側から延伸された部分の高さH2を400mmとした場合の試験の結果として、補助側壁522(522-1、522-2)の上端からさらに200mmの高さH3程度までにわたって、通行ゲート500の左右方向に放射される電波を有効に吸収できている範囲が及んでいることを確認した。
【0054】
このような本実施形態によっては、通行ゲート500の外側の左右において存在するRFIDタグを誤って読み取ることの防止が強固に図られることとなる。この結果、通行ゲート500において本来読み取るべき購入対象の商品に付されたRFIDタグ900の読み取りが円滑に行われる。
【0055】
また、補助側壁522(522-1、522-2)は、四角形の上側の左右の角部を斜め方向に取り除いたようにされた形状とされている。補助側壁522については、四角形のままであってもよい。しかしながら、補助側壁522が四角形である場合には、当該四角形の上側の左右の角部が付近を通行する人にとって圧迫感を与える場合がある。そこで、本実施形態においては、補助側壁522について四角形の上側の左右の角部を斜め方向に取り除いたような形状としている。
なお、補助側壁522の基礎側壁521より上の部分について、例えば半円などのように曲線による外形形状としてもよい。しかしながら、同図のように四角形の上側の左右の角を直線的に切り取ったような形状とすることで加工も容易となる。
【0056】
説明を図10に戻す。通行ゲート500において、右側の基礎側壁521-1には、インジケータ530A、530B、進入センサ540-1、コードリーダ550、及びゲート端末600が設けられている。
また、左側の基礎側壁521-2には、右側の基礎側壁521-1に設けられた進入センサ540-1と対となるように、進入センサ540-2が設けられる。
【0057】
なお、例えばインジケータ530A、530B、進入センサ540-1、コードリーダ550、及びゲート端末600が左側の基礎側壁521-2に設けられ、進入センサ540-2が右側の基礎側壁521-1に設けられてもよい。以降においては、図10に示されるように、右側の基礎側壁521-1にて、インジケータ530A、530B、進入センサ540-1、コードリーダ550、及びゲート端末600が設けられ、左側の基礎側壁521-2にて進入センサ540-2が設けられている場合を例に挙げて説明する。
なお、進入センサ540-1、540-2について特に区別しない場合には、進入センサ540と記載する。
【0058】
インジケータ530A、530Bは、客が通行ゲート500を通過してウォークスルー決済を行っているときの状況に応じて所定の色により点灯あるいは点滅することで、客や店員等に向けてウォークスルー決済を行っているときの状況を報知する。インジケータ530Aは、発光部として例えば所定の複数の発光色によるLED(Light Emitting Diode)を備えて構成される。
インジケータ530Aは、基礎側壁521-1の後側の側面に配置される。インジケータ530Bは基礎側壁521-1の上面における前方側の位置に設けられる。
【0059】
インジケータ530Bは、基礎側壁521-1の上面に対して設けられている。そのうえで、インジケータ530Bは、図11に示されるように、側面からみて基礎側壁521-1の上面から突出するようにされた形状を有している。
【0060】
インジケータ530Bは、同図のように基礎側壁521-1の上面から突出させることなく、基礎側壁521-1の上面と同じ高さで設けることも可能である。しかしながら、この場合には、通行ゲート500から或る程度離れている店員にとってインジケータ530の点灯状態を把握しにくい。この場合に店員等がインジケータ530Bの点灯状態を把握するには、基礎側壁521-1の上面が見える程度にまで通行ゲート500に近づく必要がある。
そこで、同図のように基礎側壁521-1の上面から突出させるようにすれば、店員等は、通行ゲート500から或る程度離れていても、インジケータ530Bがどのような点灯状態にあって、通行ゲート500においてどのような状況となっているのかを的確に把握できる。
また、基礎側壁521-1に取り付けられた補助側壁522-1は透明性を有することから、店員等は、通行ゲート500の左側からであっても、補助側壁522を介してインジケータ530Bを問題なく見ることができる。
【0061】
また、インジケータ530Bは、LED等による発光部を図10の突出した形状によるカバーで覆った構造を有する。インジケータ530Bのカバーの材質には透光性を有する樹脂が用いられてよい。また、インジケータ530Bのカバーは、透光性を与えるにあたり、透明な材質であってもよいが、例えば乳白色の材質が用いられてもよい。乳白色の材質を用いた場合には、透明な材質を用いた場合よりも発光部の光を和らげることができる。
【0062】
進入センサ540は、通行ゲート500の後方側から通路(床部510)に進入しようとする客(人)を検出するセンサである。進入センサ540は、例えば距離設定型の光電センサが用いられてよい。この場合、光電センサの設定距離は、通行ゲート500の後方の入口付近までの距離とされてよい。あるいは、進入センサ540は、例えばカメラを備え、カメラにより撮像して得られる撮像画像から通行ゲート500の後方の入口に進入してくる人を検出することにより通行ゲート500への客の進入を検出可能に構成されてよい。
本実施形態において、進入センサ540-1、540-2は、それぞれ右側の基礎側壁521-1と左側の基礎側壁521-2との上面部における前方に配置されている。
このように進入センサ540-1、540-2が設けられることで、後方から通路に進入してきた客を検出する範囲を上下方向においても広く取ることが可能となるので、例えば車椅子で進入してきた客や子供などであっても検出しやすくなる。
また、進入センサ540-1、540-2は、通路を挟んでそれぞれ左右に位置するようにされた位置関係により設けられている。このため、通路を通行する客が左もしくは右のいずれかに寄っているような状態であっても、客が検出されやすい。
【0063】
コードリーダ550は、客が決済に用いるユーザ端末にて表示されているコードを読み取る。ユーザ端末にて表示されるコードは、対応の客が行った決済に対応する商品の購入内訳を示す購入情報に付与された識別子(購入識別子)を示す。このようなユーザ端末にて表示されるコードは、QRコード(登録商標)等としての2次元コードであるが、例えばバーコード等の他の形式のコードであってもよい。
【0064】
本実施形態において、コードリーダ550のQRコードの読み取り方向は、矢印Yとして示すように、水平に通行ゲート500の通路側(左側)に向くようにされている。この場合、客は、例えばユーザ端末を左手に持ちながら、ユーザ端末に表示させたQRコードを、ユーザ端末の表示面を右側に向けた状態で、矢印Yとは反対の方向からコードリーダ550に近づけていくようにされる。
【0065】
例えば、QRコードの読み取り方向が上に向くようにコードリーダ550を配置することもできる。この場合、客は、ユーザ端末の表示面を下に向けた状態でコードリーダ550に近づけていくようにされる。しかしながら、このようにしてユーザ端末の画面に表示されたコードを読み取らせるようにすると、客は、ユーザ端末の表示面をコードリーダ550に被せるようにしてしまいやすい。このために、コードリーダ550とユーザ端末の画面との距離が短すぎてしまって良好な読み取りが行われないことがあった。
【0066】
そこで、本実施形態の通行ゲート500においては、コードリーダ550のQRコードの読み取り方向を上方向ではなく、水平方向として通路側(左側)に向けるように配置した。
このような配置としたことで、客がユーザ端末の表示面をコードリーダ550にかざす際に、ユーザ端末の表示面とコードリーダ550との間に或る程度の距離が保たれやすくなり、コードが良好に読み取られるようにすることができた。
なお、図示は省略するが、コードリーダ550の位置に対応させて、床部510の上面部512には、左右方向に沿った深さ5mm程度の溝もしくは5mm程度の突起を形成してもよい。例えば、車いすを利用する客が通行ゲート500を通過する場合には、コードリーダ550にユーザ端末をかざす際に車いすから手を離す必要がある。このようなときに、床部510の上面部512にて溝あるいは突起が形成されていることで、不用意に車いすが移動することを防ぐことができる。
【0067】
ゲート端末600は、決済に関する処理を実行する。ゲート端末600が決済に関連して実行する処理の具体例については後述する。ゲート端末600には、例えばタブレット端末等が用いられてよい。
【0068】
[決済システムについて]
図12は、本実施形態の通行ゲート500を含む決済システムの全体的な構成例を示している。同図の決済システムは、通行ゲート500と、ユーザ端末700と、決済情報管理サーバ800と、商品MCに付されるRFIDタグ900とを含む。
【0069】
通行ゲート500においては、ゲート端末600に対して、通信処理部514、インジケータ530(530A、530B)、進入センサ540、及びコードリーダ550が接続されている。ゲート端末600と、通信処理部514、インジケータ530(530A、530B)、進入センサ540、及びコードリーダ550との接続は、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により行われてもよいし、USB(Universal Serial Bus)等のデータインターフェースにより行われてもよい。
【0070】
商品MCに付されたRFIDタグ900は対応の商品MCの商品を示す商品情報を記憶している。RFIDタグ900は、通信距離の範囲内にあるアンテナ装置部513と通信可能となると、自己が記憶する商品情報を送信する。通信処理部514は、アンテナ装置部513が受信した電波を復調して、RFIDタグ900から送信された商品情報を取得し、取得した商品情報をゲート端末600に出力する。
【0071】
通信処理部514に対応するハードウェアは、通行ゲート500における床部510あるいは側壁520の内部に設けられてよい。あるいは、通信処理部514としての機能がゲート端末600に備えられてもよい。
【0072】
進入センサ540は、人が通行ゲート500に進入してくることを検出すると、人の進入が検出されたことを示す人進入通知をゲート端末600に送信する。なお、ゲート端末600が、進入センサ540が出力する撮像画像等の情報を入力し、人の進入を検出するようにされてもよい。
【0073】
コードリーダ550は、ユーザ端末700にて表示されたコードを読み取り、読み取ったコードが示す購入識別子をゲート端末600に出力する。
コードリーダ550は、通過方向DRにおいて、図9に示したアンテナ素子110のうち、遮蔽されていないアンテナ素子110の右側、もしくは遮蔽されていないアンテナ素子110同士の間隙の右側に対応する位置に配置されている。遮蔽されていないアンテナ素子110の直上となる位置がRFIDタグを検出する精度が最も高くなる。このような位置に対応させてコードリーダ550を配置することによって、通行ゲート500を通過しようとする客は、床部510上にて、必然的に商品のRFIDタグが最も検出されやすい位置にて立ち止まることができる。したがって、例えば客が未精算の商品を持っていたような場合であっても、未精算の商品のタグが読み取られることなく客が通行ゲート500を通過してしまうようなことを極力防止できる。
【0074】
インジケータ530(530A、530B)は、ゲート端末600の制御に応じて所定の色による点灯あるいは点滅が行われる。
【0075】
ユーザ端末700は、店舗にて買い物をする客が所持する端末である。ユーザ端末700は、例えばスマートフォンやタブレット端末等であってよい。ユーザ端末700は、店舗での買い物にあたり、購入対象の商品についてオンライン決済を行うことのできる買い物アプリケーションがインストールされている。
【0076】
決済情報管理サーバ800は、店舗での商品の購入に応じたオンライン決済に関する管理を行うサーバである。
【0077】
図13は、ゲート端末600の構成例を示している。同図のゲート端末600としての機能は、ゲート端末600が備えるCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することによって実現される。
同図のゲート端末600は、通信部601、入出力インターフェース部602、ユーザインターフェース部603、制御部604、及び記憶部605を備える。
【0078】
通信部601は、ネットワーク経由で決済情報管理サーバ800と通信を行う。
【0079】
入出力インターフェース部602は、周辺機器としての各種デバイスと信号やデータの授受を行う。通信部601が対応するハードウェアは、例えばネットワークにおける物理層に対応する構成を有する。
入出力インターフェース部602は、図12との対応では、通信処理部514、インジケータ530(530A、530B)、進入センサ540、及びコードリーダ550等と接続される。入出力インターフェース部602が対応するハードウェアは、例えばUSB等の所定のデータインターフェース規格に対応するコネクタ等を備える。
【0080】
ユーザインターフェース部603は、ユーザインターフェースを提供する部位である。具体的に、ユーザインターフェース部603は、ハードウェアとしてタッチパネルとして構成された表示部を含む。
【0081】
制御部604は、ゲート端末600における各種制御を実行する。制御部604が対応するハードウェアは、例えばCPU、RAM(Random Access Memory)等を備える。
記憶部605は、ゲート端末600に対応する各種の情報を記憶する。
【0082】
本実施形態の決済システムにおいて、客は、店舗にて以下のような手順で商品を購入する。客は、店舗にて自分が所持するユーザ端末700にて買い物アプリケーションを起動させておくようにする。客は、店舗にて自分が購入する商品を商品棚から取り出すと、取り出した商品に付されている商品コードとしてのバーコードを、買い物アプリケーションが動作するユーザ端末700に読み取らせていくようにする。このように客が購入しようとする商品の商品コードが読み取られていくことで、商品コードが読み取られた商品が購入対象として登録されていく。客は、商品コードを読み取らせて登録が完了した商品については、買い物カゴにいれていくようにする。
【0083】
客は、購入しようとする全ての商品の登録が完了すると、買い物アプリケーションが動作するユーザ端末700を操作して登録された商品の合計金額に対するオンライン決済を行う。オンライン決済は、クレジットカード決済であってもよいし、所定のオンライン決済サービスを利用するものであってもよい。
【0084】
上記のようにユーザ端末700を用いた決済が完了すると、客は、登録した商品が入った買い物カゴを持ったまま、通行ゲート500を通過するようにされる。通行ゲート500を通過することにより、決済の対象としてユーザ端末700により登録された商品と、買い物カゴに入れられている現物の商品との内訳が一致しているか否かの確認が行われる。
このように、本実施形態の決済システムにおいて、1の客に対応するウォークスルー決済の手順は、客がユーザ端末700を用いて購入対象の商品に対応する決済を行う決済段階と、決済の後において、決済の対象とされた商品と買い物カゴに入れられている現物の商品との内訳が一致しているか否かを確認する確認段階とを含む。
【0085】
図14のフローチャートを参照して、本実施形態の決済システムにおけるゲート端末600、ユーザ端末700、及び決済情報管理サーバ800が、1の客のウォークスルー決済における決済段階に対応して実行する処理手順例について説明する。同図におけるユーザ端末700の処理は、買い物アプリケーションが動作する状態のもとで実行される。
【0086】
まず、ユーザ端末700が実行する処理手順例について説明する。
ステップS100:客は、前述のように買い物アプリケーションが動作するユーザ端末700に購入対象の商品の商品コードを読み取らせる操作(コード読取操作)を行う。ユーザ端末700は、客のコード読取操作に応じて商品コードを読み取り、読み取った商品コードを含む商品登録要求を決済情報管理サーバ800に送信する。決済情報管理サーバ800は、受信された商品登録要求に含まれる商品コードが対応する商品情報を、ユーザ端末700に送信する。ユーザ端末700は、送信された商品情報を取得する。
当該ステップS100の処理は、客がユーザ端末を用いて商品登録を行うごとに実行される。
【0087】
ステップS102:客は、購入対象の全ての商品についてのコード読取操作を終えると、決済を行わせるための所定の操作(決済操作)を行う。決済操作が行われたことに応じて、ユーザ端末700は、決済情報管理サーバ800に決済要求を送信し、決済情報管理サーバ800に決済処理を実行させる。
【0088】
ステップS104:決済情報管理サーバ800は、決済要求に応じた決済処理を実行すると、今回の決済の対象とされた商品の登録結果が示される購入情報に対応する購入識別子をユーザ端末700に送信する。ユーザ端末700は、受信された購入識別子をQRコード化した購入確認コードを表示する。
客は、ウォークスルー決済における確認段階への移行に対応して、購入確認コードが表示されたユーザ端末700を所持して通行ゲート500に赴くようにされる。
【0089】
次に、決済情報管理サーバ800が実行する処理手順例について説明する。
ステップS200:決済情報管理サーバ800は、ステップS100に対応してユーザ端末700から送信された商品登録要求の受信に応じて、商品登録処理と、登録された商品の商品情報のユーザ端末700への送信とを実行する。商品登録処理は、受信された商品登録要求に含まれていた商品コードが示す商品の商品情報を対応の購入情報に格納する処理を含む。
当該ステップS200の処理は、ステップS100によりユーザ端末700から送信された商品登録要求が受信されるごとに実行される。
【0090】
ステップS202:決済情報管理サーバ800は、ステップS102に対応してユーザ端末700から送信された決済要求を受信したことに応じて、対応の購入情報を利用してオンライン決済処理を実行する。
【0091】
ステップS204:決済情報管理サーバ800は、ステップS202によるオンライン決済処理が完了したことに応じて、今回実行されたオンライン決済処理の対象とされた購入情報を示す購入識別子をユーザ端末700に送信する。
【0092】
ステップS206:また、決済情報管理サーバ800は、ステップS202によるオンライン決済処理が完了したことに応じて、対応の購入情報をゲート端末600に送信する。送信される購入情報には、購入識別子と、登録された商品を示す商品コードとが含まれる。
【0093】
次にゲート端末600が実行する処理手順例について説明する。
ステップS300:ゲート端末600は、ステップS206により決済情報管理サーバ800から送信された購入情報を記憶する。
【0094】
図15のフローチャートを参照して、本実施形態のゲート端末600がウォークスルー決済における確認段階に対応して実行する処理手順例について説明する。
ステップS400:ゲート端末600は、進入センサ540から出力される検出情報に基づいて、通行ゲート500への人(客)の進入が検出されるのを待機している。
当該ステップS400にて通行ゲート500への人(客)の進入が検出されるのを待機している状態において、ゲート端末600は、インジケータ530(530A、530B)を例えば緑色で点灯させている。インジケータ530が緑色の場合には、通行ゲート500が正常であって使用可能であることを示す。
【0095】
ステップS402:オンライン決済を終えた客が通行ゲート500の通路の後ろ側に近づいてきたことで、通行ゲート500への人の進入が検出されると、ゲート端末600は、入出力インターフェース部602における表示部にて、コード読取案内画面を表示させる。コード読取案内画面は、客に向けて、ユーザ端末700にて表示されている購入確認コードを、コードリーダ550に読み取らせることを案内する画面である。
【0096】
図16(A)は、コード読取案内画面の一例を示している。同図のコード読取案内画面においては、メッセージエリアAR1と案内画像GPとが配置されている。メッセージエリアAR1においては、客に向けて、ユーザ端末700にて表示されている購入確認コードを、コードリーダ550に読み取らせることを案内する内容のメッセージが表示されている。
また、コード読取案内画面において、案内画像GPが表示されている。同図の案内画像GPは、人の手がユーザ端末700の表示面をコードリーダ550にかざして購入確認コードとしてのQRコードを読み取らせている様子を表している。つまり、案内画像GPは、購入確認コードの読み取らせ方を画像により示している。なお、案内画像GPは、同図の例以外の態様であってもよく、例えば通行ゲート500を通過しようとする人(客)が一方の手に商品を持ちながら、もう一方の手でコードリーダ550にユーザ端末700をかざしている様子を示すような画像であってもよい。このような態様の案内画像GPが表示されていることで、客は、ユーザ端末700にて表示されている購入確認コードとしてのQRコードをコードリーダ550に読み取らせるべきことを把握できる。
なお、購入確認コードとしてのQRコードがコードリーダ550に読み取られるときには、コードリーダ550により撮像しているQRコードがコード読取案内画面における所定の領域にて表示されてよい。
【0097】
ステップS404:ゲート端末600は、コード読取案内画面を表示させた状態のもとで、コードリーダ550により購入確認コードの読み取りが行われるのを待機している。
通行ゲート500に進入してきた客が、コード読取案内画面に表示された案内に従って、ユーザ端末700にて表示されている購入確認コードをコードリーダ550に読み取らせると、コードリーダ550は、読み取った購入確認コードが示す購入識別子をゲート端末600に出力する。ゲート端末600は、このように出力された購入識別子を取得したことに応じて、購入確認コードが読み取られたと判定する。
【0098】
ステップS406:ゲート端末600は、取得した購入識別子が示す購入情報を決済情報管理サーバ800から取得する。
【0099】
ステップS408:購入情報を取得したことに応じて、ゲート端末600は、RFID対応通信を開始させる。つまり、ゲート端末600は、床部510におけるアンテナ装置部513と通信処理部514とによるRFIDタグ対応の通信を開始させる。具体的に、ステップS408の処理として、ゲート端末600は、例えば通信処理部514にアンテナ装置部513への電力供給を開始させるように制御してよい。
【0100】
ステップS410:客は、購入確認コードをコードリーダ550に読み取らせる際には、通行ゲート500に進入しており、決済を済ませた商品が入った買い物カゴを持った状態で、床部510の上にいる状態である。この状態のもとで、ステップS408によりRFID対応通信が開始されることで、床部510のアンテナ装置部513は、買い物カゴに入っている商品に付されたRFIDタグ900と通信を行い、通信処理部514は、RFIDタグ900から送信された商品コードを取得する。通信処理部514は、取得した商品コードをゲート端末600に出力する。
このように、ゲート端末600は、買い物カゴに入っている商品ごとの商品コードを取得することになる。そこで、ゲート端末600は、RFID対応通信により取得した商品コードと、ステップS406により取得した購入情報に含まれる商品コードとを照合する。
【0101】
ステップS412:ゲート端末600は、ステップS410によりどの照合結果が得られたのかを判定する。ステップS410による照合結果は、「一致」、「未読取商品有り」、「未決済商品有り」のうちのいずれかとなる。
「一致」は、購入情報に含まれる商品コードの内訳と、RFID対応通信により取得した商品コードの内訳とが一致するとの照合結果である。
「未読取商品有り」は、購入情報に含まれる商品コードの内訳のなかに、RFID対応通信により取得した商品コードには含まれていないものがあるとの照合結果である。
「未決済商品有り」は、RFID対応通信により取得した商品コードのうちには含まれているが、購入情報の商品コードのうちには含まれていない商品コードがあるとの照合結果である。
【0102】
ステップS414:照合結果が「一致」であると判定された場合、ゲート端末600は、通過案内画面を表示部に表示させる。
図16(B)は、通過案内画面の一例を示している。同図の商品確認画面においては、メッセージエリアAR1と照合結果エリアAR2とが配置されている。
通過案内画面のメッセージエリアAR1においては、照合結果が「一致」であることが確認できたので通行ゲート500を通過してよいことを案内するメッセージが表示される。
また、照合結果エリアAR2においては、購入情報の商品コードごとに対応する商品のリストが表示される。この場合の照合結果エリアAR2における商品の各リスト項目は、それぞれが買い物カゴに入っている商品の商品コードと一致したことを示すようにして所定の背景色が設定される。
【0103】
ステップS416:また、ゲート端末600は、例えば先に実行されたステップS420の処理等によって緑色以外による色でインジケータ530をこれまで点灯させていた場合には、緑色による点灯に変更する。これまでにおいてもインジケータ530が緑色で点灯していた場合には、ステップS416の処理はスキップされてよい。
【0104】
ステップS418:ステップS412にて「未読取商品有り」の照合結果が得られた場合には、買い物カゴに入っている商品に付されたRFIDタグのうちで、アンテナ装置部513との通信が不良で、商品コードを正常に送信できていないものがあることになる。この場合、ゲート端末600は、読取補助案内画面を表示部に表示させる。
【0105】
図16(C)は、読取補助案内画面の一例を示している。同図の読取補助案内画面におけるメッセージエリアAR1においては、客に向けて、通行ゲート500の床部510の上にいる状態で、買い物カゴに入っている商品を動かしてもらうように案内するメッセージが表示される。RFIDタグ900の向きが変わることによりアンテナ装置部513との通信が良好となる場合がある。そこで、この場合には、客に、買い物カゴに入っている商品を動かしてRFIDタグ900の向きを変えてもらうことで、通信不良の解消を図るようにされる。
また、読取補助案内画面の照合結果エリアAR2においては、購入情報の商品コードごとに対応する商品のリスト項目のうち、買い物カゴに入っている商品の商品コードと一致するものがなかった商品のリスト項目については、照合が未確認であることを示す背景色で表示される。同図においては、「商品2」のリスト項目について照合が未確認であることを示す背景色により表示された例が示されている。
【0106】
ステップS420:また、ゲート端末600は、ステップS418により読取補助案内画面を表示させるとともに、インジケータ530を黄色で点灯させる。インジケータ530は、黄色で点灯することにより、まだ買い物カゴに入っている全ての商品のRFIDタグ900の読み取りが完了していないことを報知する。
【0107】
ステップS422:ステップS412にて「未決済商品有り」の照合結果が得られた場合には、決済された商品以外の商品(未決済商品)が買い物カゴに入っていることになる。この場合、ゲート端末600は、再決済案内画面を表示部に表示させる。
【0108】
図16(D)は、再決済案内画面の一例を示している。再決済案内画面におけるメッセージエリアAR1においては、客に向けて、未決済商品について決済をしたうえで、再度、未決済商品の決済に応じてユーザ端末700にて表示された購入確認コードをコードリーダ550に読み取らせるように案内するメッセージが表示される。また、再決済案内画面には、案内画像GPが表示されている。
なお、ゲート端末600は、未決済商品の商品コードが示す商品情報を決済情報管理サーバ800から取得したうえで、取得した商品情報に基づいて、未決済商品の商品名等の情報を再決済案内画面にて表示してもよい。
なお、再決済案内画面についても、購入確認コードとしてのQRコードがコードリーダ550に読み取られるときには、コードリーダ550により撮像しているQRコードが画面内の所定の領域にて表示されてよい。
【0109】
ステップS424:また、ゲート端末600は、ステップS422により再決済案内画面を表示させるとともに、インジケータ530を赤色で点灯させる。インジケータ530は、赤色で点灯することにより、未決済商品のあることを報知する。ステップS424によりインジケータ530を赤色で点灯させた後において、ゲート端末600は、未決済商品の決済が完了してコードリーダ550により購入確認コードの読み取りが行われたことに応じてインジケータ530を緑色で点灯させるようにしてよい。
【0110】
ステップS426:ステップS416またはステップS424の処理の後、ゲート端末600は、RFID対応通信を終了させる。
【0111】
なお、ステップS426のRFID対応通信の終了は、通行ゲート500を客が通過したことにより、進入センサ540により人が検出されていた状態から人が検出されない状態に遷移したことに応じて、実行されるようにしてよい。また、この際、ゲート端末600は、RFID対応通信の終了とともに、表示部における表示を待機状態に対応する待機画面に遷移させてよい。
【0112】
なお、ゲート端末600は、進入センサ540の検出出力に基づいて、コードリーダ550により購入確認コードが読み取られないまま、人が通行ゲート500を通過したことを判定した場合には、警告のための報知を行うようにしてよい。この場合の警告のための報知は、インジケータ530(530A、530B)により行われてよい。
【0113】
なお、ゲート端末600は、進入センサ540により人が通行ゲート500に進入したことが検出された後において、RFID対応通信を開始させたのであるがRFIDタグ900から商品コードを読み取ることができないまま、通行ゲート500を人が通過した(進入センサ540により人が検出されなくなった)場合にも、警告のための報知を行うようにしてよい。
【0114】
なお、ゲート端末600は、進入センサ540による通行ゲート500の人の進入、通過についての検出結果を利用して、通行ゲート500を通過した人数をカウントするようにしてよい。
【0115】
なお、本実施形態の決済システムにおけるウォークスルー決済の手順は、上記の例に限定されない。
例えば客は、ユーザ端末700により購入対象の商品を登録したうえで、決済は行わずに通行ゲート500に赴くようにされる。通行ゲート500に客が赴いて、ユーザ端末700にて表示された購入識別子をコードリーダ550に読み取らせると、RFID対応通信が開始され、買い物カゴに入っている商品の商品コードが読み取られる。ゲート端末600は、購入情報の商品コードとRFID対応通信により取得した商品コードとを照合し、一致の照合結果が得られたのであれば、決済情報管理サーバ800にオンライン決済に対応する決済処理を実行させる。この場合、ゲート端末600は、オンライン決済の処理状況を示す表示を行うようにされてよい。
あるいは、通行ゲート500にて購入情報の商品コードとRFID対応通信により取得した商品コードとを照合し、一致の照合結果が得られたことが確認されると、客は通行ゲート500を通過して、店舗において設置された会計用の端末で決済を行うようにされてもよい。
【0116】
なお、基礎側壁521の上部において、クレジットカードや交通系ICカード等の決済用カード媒体からのデータの読み取りが可能なカードリーダを設けてもよい。カードリーダは、磁気を読み取り可能なものであってもよいし、非接触でRFIDタグの読み取りが可能なものであってもよく、決済用カード媒体からのデータの読み取り方式については特に限定されない。
この場合において、客は、例えば通行ゲート500を通過している間に商品に付されたRFIDタグを読み取り、客が通行ゲート500を通過しているときに、客が所持する決済用カード媒体をカードリーダが読み取ることで決済が行われるようにしてもよい。この場合、客はユーザ端末700を用いて決済する必要はない。
上記実施形態においては、客は、店舗内の任意の場所にて先に決済(精算)を行ってから通行ゲート500を通過するようにされている。この場合、通行ゲート500では、客の所持する商品について決済済みであるか否かの確認のためのRFIDタグの読み取りが行われるものであり、決済のために客が操作を行うことはない。このため、客は、例えば、購入確認コードとしてのQRコードをコードリーダ550に読み取らせる操作を行って読み取り結果の確認を行っているごく短い時間を除いて、ほぼ立ち止まることなく通過することができる。これにより、上記実施形態の場合には、通行ゲート500を利用する客の滞留を緩和できる。
しかしながら、一方で、上記実施形態の場合には、客が自分の所持しているユーザ端末700上でアプリケーションを操作することになるので、客によってはこのような操作が不慣れな場合もある。この場合には、上記の例のように、通行ゲート500を通過しているときに決済用カード媒体を用いた決済が行えるようにすることが好ましい場合がある。
【0117】
なお、店舗にてレジスタ端末を配置してよい。レジスタ端末は、例えば、店員または客自身の操作に応じて購入対象の商品のコードを読み取り、コードが読み取られた商品の決済(精算)が可能とされたものであってもよい。
そのうえで、レジスタ端末は、決済が完了したことに応じて、決済済みであることを示す決済済証明コードとしてのQRコードが印刷されたレシートを発行するようにされてよい。客は発行されたレシートを持って通行ゲート500に赴き、レシートに印刷された決済済証明コードをコードリーダ550に読み取らせて通行ゲート500を通過するようにされる。
この場合の通行ゲート500の通過は、客が売り場から退場するにあたり、客が所持している商品の全てがレジスタ端末にて決済が済んでいるか否かの確認を行うために行われる。このために、通行ゲート500では、RFIDタグが読み取られた商品の内訳とレジスタ端末にて決済された商品の内訳とが一致しているか否かの判定を行ってよい。例えば、客が、レジスタ端末にて決済を完了した後に、決済していない商品を所持してしまった場合には、通行ゲート500にてRFIDタグが読み取られた商品の内訳がレジスタ端末にて決済された商品の内訳と一致しないことが判定される。このような判定が得られた場合、通行ゲート500は警告のための報知を行うようにしてよい。この場合の警告のための報知も、インジケータ530(530A、530B)により行われてよい。
【0118】
図17を参照して、本実施形態の通行ゲートの変形例について説明する。同図は、本変形例の通行ゲート500Aを後ろ側から見た図である。
図10においては、1の通路に対応して1の通行ゲート500が独立した構成を示した。これに対して、図17に示される本変形例の通行ゲート500Aは、複数の通路ごとに対応するゲートユニット501が連結された構成である。同図においては、2つのゲートユニット501-1、501-2が連結された例を示している。
ゲートユニット501-1は、床部510と当該床部510の右側に配置される側壁520-1Aを備える。また、ゲートユニット501-1の左側に連結されるゲートユニット501-2は、床部510と当該床部510の右側に配置される側壁520-1Bと、当該床部510の左側に配置される側壁520-2とを備える。
この場合、通行ゲート500Aのゲートユニット501-1の左側は、ゲートユニット501-2の側壁520-1Bが位置することとなるので、側壁520-2は設けなくともよい。つまり、この場合には、ゲートユニット501-2の側壁520-1Bが、ゲートユニット501-1の左側の側壁として共用される。また、この場合、ゲートユニット501-2の側壁520-1Bが、ゲートユニット501-1とゲートユニット501-2との間の仕切りとしても機能する。
また、このようにゲートユニット501が連結される構成の場合、進入センサ540(540-1)は、同図にも示されるように、ゲートユニット501-1、501-2のそれぞれに対応して、右側の側壁520-1A、520-1Bに各1つが設けられるようにしてよい。
ただし、ゲートユニット501-2のように左側の側壁520-2が他のゲートユニットと共用されない場合には、左右で一対となるように左側の側壁520-2にも進入センサ540(540-2)を設けてよい。
【0119】
なお、上述のゲート端末600、ユーザ端末700、及び決済情報管理サーバ800等としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の各装置等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1 通行ゲート、11 床部、11a 上面部、11b アンテナ装置部、13 側壁、14 電波吸収板、100 アンテナユニット、101 単位アンテナアレイ、103 導体片、110 アンテナ素子、200 遮蔽物、500,500A 通行ゲート、501(500-1,500-2) ゲートユニット、510 床部、513 アンテナ装置部、514 通信処理部、520(520-1,520-2) 側壁、521(521-1,521-2) 基礎側壁、カバー、521b カバー、522 (522-1,522-2) 補助側壁、522-2 補助側壁、523 電波吸収材、530(530A,530B) インジケータ、540 進入センサ、550 コードリーダ、600 ゲート端末、700 ユーザ端末、800 決済情報管理サーバ、900 RFIDタグ
【要約】
【課題】通行ゲートにおいて対象のFIDタグの読み取りが円滑に行われるようにする。
【解決手段】通行者が通過する通路に対応して設けられる床部と、通行者が前記通路としての床部を通過する通過方向に沿って前記床部の端側において側面を形成するように設けられる側壁とを備え、前記床部は、複数のアンテナ素子を有し、前記アンテナ素子のそれぞれに所定の特性に応じた電力と位相とが設定された単位アンテナアレイを1以上備えるアンテナ装置を備え、前記側壁は、それぞれが所定の高さを有し電波吸収材が設けられる下側壁部と上側壁部とを備え、前記下側壁部は、通行ゲートが設置される設置面に対して設けられ、前記上側壁部は、前記下側壁部の上に存在するように設けて通行ゲートを構成する。
【選択図】図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17