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特許7108350狭額縁ディスプレイモジュール及びデータ出力装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】狭額縁ディスプレイモジュール及びデータ出力装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20220721BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/00 348Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022050039
(22)【出願日】2022-03-25
【審査請求日】2022-03-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513043020
【氏名又は名称】株式会社セレブレクス
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】長野 英生
(72)【発明者】
【氏名】山野 要
(72)【発明者】
【氏名】友國 哲男
(72)【発明者】
【氏名】牧野 努
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-242698(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0038117(US,A1)
【文献】特開2004-193223(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0210433(US,A1)
【文献】特開平07-049657(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0097286(US,A1)
【文献】特開2006-276833(JP,A)
【文献】国際公開第2014/077175(WO,A1)
【文献】特開2007-188078(JP,A)
【文献】特開2007-058174(JP,A)
【文献】特開2014-192298(JP,A)
【文献】特開2002-244580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0244906(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0013857(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0165595(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0146848(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/136-1/1368
G09F9/00-9/46
H01L21/447-21/449
21/60-21/607
H05K1/14
3/32-3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続端子を有するドライバチップと、
一端が前記ドライバチップの前記接続端子に接続され、他端がディスプレイパネルへの出力端子に接続された複数の信号ラインを備えた
データ出力装置であって、
前記ドライバチップは、前記接続端子が以上に並んで配置されており、前記出力端子に近い順に、第1行目、第2行目、第3行目とした場合に、
第1 目及び第3行目に属する複数の前記接続端子には、前記信号ラインが前記出力端子に向かう方向に引き出されるように接続されたものが含まれ、
第2 に属する複数の前記接続端子には、前記信号ラインが第1に属する前記接続端子に接続された前記信号ラインとは異なる方向に引き出されるように接続されたものが含まれ ており、
第2行目に属する前記接続端子から引き出された前記信号ラインには第3行目に属する前記接続端子の間を通るものが含まれ、かつ、第3行目に属する接続端子から引き出された前記信号ラインには第1行目及び第2行目に属する前記接続端子の間を通るものが含まれる
データ出力装置。
【請求項2】
前記ドライバチップは、前記接続端子が4行以上に並んで配置されており、 前記出力端子に近い順に、第1行目、第2行目、第3行目、第4行目とした場合に、
第2行目に属する前記接続端子から引き出された前記信号ラインには第3行目及び第4行目に属する前記接続端子の間を通るものが含まれる
請求項1に記載のデータ出力装置。
【請求項3】
第2 に属する前記接続端子に接続された複数の前記信号ラインには、前記出力端子から離れる方向に前記接続端子から引き出され、その後前記出力端子へと向かう方向に配線されたものが含まれる
請求項1に記載のデータ出力装置。
【請求項4】
前記ドライバチップの複数の前記接続端子から前記ディスプレイパネルへの前記出力端子へ向かう方向に平行な仮想線を引いた場合に、前記接続端子は、前記仮想線が他の接続端子と重ならないように配置されている。
請求項1に記載のデータ出力装置。
【請求項5】
請求項1に記載の前記データ出力装置と、
前記出力端子を介して前記信号ラインが接続されたディスプレイパネルを備える
ディスプレイモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭額縁ディスプレイモジュール及びそのためのデータ出力装置に関する。具体的に説明すると、本発明は、ディスプレイパネルの狭額縁を実現するためのCOF(Chip On Film)配線技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコンやタブレットパソコンなどのモバイル機器市場では、消費電力低減とコスト低減が常に求められている。一方で、パネルの解像度向上やディスプレイの画質向上に伴い、データ処理量及び動作周波数は増加の一途をたどり、消費電力低減とコスト低減は相反する大きな課題になっている。ノートパソコンやタブレットパソコンにおけるディスプレイパネルへの描画データの信号を入力する回路は、描画データ自身の演算や各種演算処理やグラフィクス処理を担当するCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサと、このプロセッサから送られる描画データを入力としディスプレイパネルのタイミングコントロールや画像処理を行うタイミングコントローラ(Timing Controller:TCON)と、タイミングコントローラからの描画データを入力としディスプレイパネルの仕様に合わせて描画データをアナログ出力するソースドライバ(Source Driver:SD)などのドライバチップとによって構成される。
【0003】
ノートパソコンやタブレットパソコンなどのモバイル機器では、タイミングコントローラとソースドライバが分離されている場合が多い。例えば、図1に示すFHD(Full High Definition:1920×1080ピクセル)ディスプレイパネルの場合、タイミングコントローラ1つと4つのソースドライバが必要になる場合が多い。また、4K2Kパネル(4000×2000ピクセルに近い解像度のパネル)の場合、タイミングコントローラ1つと8つのソースドライバが必要になる場合が多い。さらに、図1に示したように、タイミングコントローラとソースドライバを接続するFPC(Flexible Printed Cable)がソースドライバの個数分必要になり、パネルの解像度が高くなるに伴い部品点数が増加しコストアップの要因となっていた。さらに、タイミングコントローラとソースドライバ間にインタフェースを設ける必要があるが、このインタフェースによって電力が消費されてしまう。このような背景から、図1に示した回路構成では、コスト削減及び消費電力削減が困難な状況であった。
【0004】
そこで、部品点数と消費電力を削減するために、図2及び図3示すようなタイミングコントローラとソースドライバが1チップになった、いわゆるシステムドライバ(TCON+SD)も検討することができる。図2はシステムドライバが2つ設けられた構成を示し、図3はシステムドライバが1つに集積された構成を示している。システムドライバ化することで、部品点数が少なくなりコスト低減が可能になる。さらに、タイミングコントローラとソースドライバ間のインタフェースがなくなるため、消費電力の低減も可能になる。特に、部品点数と消費電力の低減の観点から、図3に示すように、システムドライバは一つのみであることが好ましいといえる。しかし、システムドライバは、従前のソースドライバと同様に、液晶パネルのガラス上に実装される。描画データは、プロセッサ(CPU/GPU)からシステムドライバに直接eDPインタフェースあるいはMIPIインタフェースを介してシステムドライバに入力される。
【0005】
ここで、液晶パネルは、ソースラインとゲートラインで構成される。FHDパネルの場合、ソースラインは1920×3(RGB)ライン必要となり、ゲートラインは1080ライン必要となる。ソースラインは、描画データをソースドライバからアナログ出力するライン(データライン)であり、所定の間隔を空けて互いに平行に配線されている。ゲートラインは、1ゲートラインずつ時間的にシフトしながらソースラインの描画データを駆動していく制御線であり、ソースラインと直交する方向に所定の間隔を空けて互いに平行に配線されている。ゲートラインとソースラインとの各交差点には、表示画素(ピクセル)が設けられている。また、現在では、ソースドライバやシステムドライバが液晶ガラス上に実装される方式、いわゆるCOG(Chip On the Glass)方式が主流である。
【0006】
液晶パネル(ディスプレイパネル)のソースラインのモデルを図4に示す。液晶パネルは、ソースドライバが実装される領域であるファンアウト領域(Fan out Area)と、液晶のピクセルがアレイ状に配列されているアクティブ領域(Active Area)に分かれる。このアクティブ領域からファンアウト領域を含むガラスモジュールのエッジ部分までが、液晶パネルの額縁領域と呼ばれ、この額縁領域はより狭いものの方が商品価値は高いとされる。
【0007】
図4に示されるように、4個のソースドライバが設けられている場合、1つのソースドライバが駆動する必要のあるCOG上のソースラインの配線数は少なくて済む。例えばFHDパネルの場合には、ソースラインは1920×3(RGB)=5860本あるが、ソースドライバが4個設けられている場合、1個あたり1440本を駆動することになる。例えば、特許文献1には、ソースドライバが4個設けられた構成が示されている。他方で、図2図3、及び図5に示されるように、タイミングコントローラ(TCON)とソースドライバ(SD)が統合されている場合や、あるいはソースドライバの集積化が進み部品数が1個又は2個になると、1つのソースドライバが駆動する必要のあるCOG上のソースラインの配線数が多くなり、額縁領域の高さが大きくなってしまうという問題が発生する。
【0008】
ここで、図6を参照して、ディスプレイパネル(液晶パネル)の額縁領域の構成について説明する。額縁領域の中心には、タイミングコントローラとソースドライバが統合されたドライバチップがあり、このドライバチップ上辺からアクティブ領域に向かってソースラインが配線されている。また、ソースラインの配線は、一番左端あるいは右端のラインからパネルの中心のラインに対して、全てのラインが一定の角度θにて配線されていることが一般的である。このドライバチップとソースラインの接続部からアクティブ領域までの間の領域を、本願明細書では「ファンアウト領域」と定義し、図中においては、そのファンアウト領域の高さをHで示している。また、額縁領域には、このファンアウト領域よりもアクティブ領域の遠位に位置する領域が存在し、本願明細書ではこの領域を「ファンイン領域」と定義している。このファンイン領域には、チップ下辺から左右に延びるゲート信号駆動ラインがパネルの左右方向に配線されていて、額縁領域の左右部分にテストパッドが配置されている。また、ファンイン領域には、ソースラインのテストラインやそのテストパッド、さらにはゲート駆動制御信号ラインやそのテストパッドなどが配置されている。このファンイン領域の高さを、図中ではHで示している。上記H+Hの値が、額縁領域全体の高さとなる。そこで、本願出願人は、ディスプレイパネルの額縁領域において、特ソースライン等の信号ラインの配線を工夫することにより、Hで示したファンアウト領域の高さを削減するための技術を提案している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2005-031332号公報
【文献】特開2018-072783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の通り、図2図3、及び図5に示されるように、タイミングコントローラ(TCON)とソースドライバ(SD)が統合されている場合や、あるいはソースドライバの集積化が進み部品数が1個又は2個になると、1つのソースドライバが駆動する必要のあるCOG上のソースラインの配線数が多くなり、額縁領域の高さが大きくなるという問題がある。特に、このような場合には、額縁領域のうち、Hで示したファンアウト領域の高さを削減することが難しくなる。
【0011】
ここで、図7を参照して、従来の液晶パネルの配線構造を例に挙げて、額縁領域の高さHを求める方法を説明する。まず、アクティブ領域のソースラインの配線ピッチをPpix、ファンアウト領域のソースラインの配線ピッチをP、ドライバチップ上のソースラインの接続部(出力パッド)のピッチをPbp、ドライバチップの一番端の接続部からディスプレイパネルの一番端のソースラインまでの距離をDとする。ここで、Ppix>Pbpとなるため、ドライバチップとアクティブ領域とを繋ぐソースラインの一部は、一定の角度で傾斜させる必要がある。ファンアウト領域に位置する一番端のソースラインの配線と、アクティブ領域におけるソースラインの延伸方向と直交する直交方向の方向軸との角度θは、θ=sin-1(P/Ppix)で表される。すると、領域額縁におけるファンアウト領域の高さHは、H=D・tanθ=D・tan(sin-1(P/Ppix))となる。
【0012】
このように、Hの数値は、Dに依存し、このDの値が大きいほどHの数値も大きくなることがわかる。また、θが大きいほど、Hの数値も大きくなることが分かる。さらに、Pが大きいほど、Hの数値も大きくなる。Ppixは、ディスプレイパネルのサイズと解像度で決まる値であるため、ソースラインの配線を行う際には変更することのできない固定値であるといえる。Ppixが一定である場合、Pが大きいほどθが大きくなり、これに伴ってHも大きくなる。このように、θは、PとPpixで決まる値である。
【0013】
従来、1つのパネル上に多数のソースドライバが実装される場合、Dの値を小さくできるため、Hの値も小さくできた。しかし、ソースドライバとTCONを統合して1チップに集積すると、パネル上に実装されるソースドライバが1つになるため、Dの値が大きくなり、Hの値も大きくなるという新たな課題が発生した。
【0014】
ここで、額縁サイズを小さくする別の技術としてCOF(Chip On Film)実装が知られている。COGと比較したCOFによる額縁サイズの縮小効果を図8にて説明する。
【0015】
前述の通り、COG実装の場合、Hの値は、H=D・tanθにて決まる。Dは、パネルの両端からチップサイズの横方向までのサイズで決まるため、パネル上に実装するチップの数が少なくなるとDの値は大きくなりHの値も大きくなる。また、Hの値は、チップの縦サイズとパネルの下部に引き出す配線領域の合計サイズで決まる。例えば、14インチディスプレイのパネルの横サイズは309mmであり、チップサイズが30mmとすると、Dの値は、309mm/2-30mm/2=139.5mmになる。パネル上の配線ピッチPwを4mmとすると、Hは5.2mmになる。角度θは2.1度になる。チップの縦方向のサイズを1mm、パネル下部の配線領域を1mmとすると、Hは2mmになる。よって、HとHを合計したパネルの額縁サイズは、7.2mmになる。
【0016】
これに対してCOF実装の場合、フィルムの横サイズを大きくできる。一般的に流通しているCOFのフィルムの横サイズは60mm程度であり、Dの値は、309mm/2-60mm/2=124.5mmになる。パネルのインチ数、配線ピッチ、θはCOG実装の場合と同じとすると、Hの値は、H=D・tanθにて決まるため、4.6mmまで短縮できる。また、COF実装の場合、COG実装で必要であったHにおけるチップの縦サイズ分が不要になるため、COFにおけるHは1mmですむ。よって、HとHを合計したパネルの額縁サイズは、5.6mmまで縮小できる。また、COFフィルムは薄膜であり、ディスプレイ裏面に折り曲げることができるため、COFフィルムの縦方向サイズはパネルの額縁サイズに影響を及ぼさない。
【0017】
このようにCOF実装技術を用いると額縁サイズを縮小できる効果が得られる。しかしながら、多数のソースドライバ出力チャンネルを有するチップをCOFに実装する場合、COFフィルムの配線ピッチの制約から、これまで2層配線構造を有するフィルムが必要であった。その結果、製造コストが1層のCOFに比べて格段に高価で普及が進んでいなかった。
【0018】
2層配線構造を有するフィルムを利用した従来のCOF実装を図9にて説明する。COG実装された多チャンネルソースドライバのチャンネル数を2880チャンネルとすると、チップから引き出す部分(拡大図A)のCOF配線ピッチは、少なくとも10umが必要になる。また、一般的に流通しているCOFのフィルムの横サイズを60mmとすると、COFフィルムの端部(拡大図B)の配線ピッチは60mm/2880=20.8μmが最小ピッチになる。現在流通しているCOFは大半が1層配線構造であり、1層配線の最小ピッチは20um程度が限界である。よって、当該COG実装された多チャンネルソースドライバは1層配線構造のCOFには実装ができないことなる。市場には2層配線構造のCOFもあり、図8に示す通り2層配線を使用すれば、10umピッチで設計されたCOG実装された多チャンネルソースドライバをCOF実装することが可能になる。しかし、2層配線構造のCOFは1層配線構造のCOFに比べて格段に高価であるため、ほとんど用いられていなかった。
【0019】
そこで、本発明は、COG実装で使われる多数のソースドライバ出力チャンネルを有するチップを1層配線構造のCOFに実装するための技術を提供することにより、安価な狭額縁ディスプレイを実現することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の発明者らは、上記問題の解決手段について鋭意検討した結果、複数の接続端子が複数行に並んで配置されたドライバチップを採用すると共に、ある行に属する接続端子とその次の行に属する接続端子とで信号ラインの引き出し方を異ならせることにより、多数のソースドライバ出力チャンネルを有するドライバチップを1層配線構造のCOFに実装することが可能となるという知見を得た。そして、本発明者らは上記知見に基づけば、従来技術の問題を解決できることに想到し、本発明を完成させた。以下、本発明の構成について具体的に説明する。
【0021】
本発明の第1の側面は、液晶パネルなどのディスプレイパネルに描画データを出力するためのデータ出力装置(10)に関する。このデータ出力装置(10)は、COF(Chip On Film)実装されたモジュールであることが好ましい。本発明に係るデータ出力装置(10)は、ドライバチップ(20)とこれに接続された複数の信号ライン(31,32,41)とを備える。ドライバチップ(20)は、複数の接続端子(21,22)を有する。ドライバチップ(20)は、ソースドライバであってもよいし、ゲートドライバであってもよいし、ソースドライバとタイミングコントローラが統合されたいわゆるシステムドライバであってもよい。本発明において、ドライバチップ(20)は、フィルム(11)上に一つのみ配置されていることが好ましいが、これに限定されず、フィルム(11)上に複数(例えば2~4個)配置されていてもよい。また、複数の信号ライン(31,32,41)は、それぞれ、その一端がドライバチップ(20)の接続端子(21,22)に接続され、その他端がディスプレイパネルへ信号を出力するための出力端子(13)に接続されている。このように、信号ライン(31,32,41)は、フィルム(11)上において、接続端子(21,22)と出力端子(13)とを繋ぐように配線されている。なお、信号ライン(31,32,41)は、ソースドライバに接続されたソースラインであってもよいし、ゲートドライバに接続されたゲートラインであってもよい。
【0022】
ここで、ドライバチップ(20)は、接続端子(21,22)が複数行に並んで配置されている。すなわち、本願の図では、ディスプレイパネルへの複数の出力端子(13)が並ぶ方向を「x軸」で示し、これに直交する方向を「y軸」で示している(例えば図10参照)。この場合に、接続端子(21,22)の行は、x軸方向に沿って延び、y軸方向に対して複数段で並ぶものである。この場合に、ある行に属する複数の接続端子(21)には、信号ライン(31)が出力端子(13)に向かう方向に引き出されるように接続されたものが含まれる。なお、ある行に属する複数の接続端子(21)の全てから信号ライン(31)が引き出されている必要はなく、接続端子(21)の一部から出力端子(13)に向かって信号ライン(31)が引き出されていてもよい。これに対して、ある行の次に出力端子(13)に近い行に属する接続端子(21)には、信号ラインが接続されていないか、又は、信号ライン(32)がある行に属する接続端子(21)に接続された信号ライン(31)とは異なる方向に引き出されるように接続されたものが含まれる。なお、この複数の接続端子(21)の全てから信号ライン(32)が引き出されている必要はなく、接続端子(21)の一部から上記した異なる方向に信号ライン(32)が引き出されていてもよい。また、ここにいう信号ラインが接続端子から「引き出される」方向とは、信号ラインのうちの接続端子に最も近い部分が配線された方向を意味しており、信号ライン全体の配線方向をいうのではない。また、ある行に属する接続端子(21)に接続された信号ライン(31)とは「異なる方向」とは、例えば、出力端子(13)から離れる方向や、出力端子(13)の並び方向と平行な方向が含まれる。
【0023】
上記構成のように、ドライバチップ(20)に複数行で設けられた接続端子(21)に対して、ある行の接続端子(21)と、その次の行の接続端子(21)とで、信号ライン(31,32,41)の引き出し方を変えることで、ドライバチップ(20)及び信号ライン(31,32,41)を配置するフィルム上のスペースを有効活用することができる。これにより、ディスプレイモジュールの狭額縁化を安価に実現することができる。
【0024】
本発明に係るデータ出力装置(10)において、ドライバチップ(20)は、接続端子(21)が4行以上で配置されていることが好ましい。この場合に、前記した「ある行」を第1行目とした場合に、奇数行に属する複数の接続端子(21)には、信号ライン(31)が出力端子(13)に向かう方向に引き出されるように接続されたものが含まれることが好ましい。また、偶数行に属する複数の接続端子(21)には、信号ラインが接続されていないか、又は、信号ライン(32)が奇数行に属する接続端子(21)に接続された信号ライン(31)とは異なる方向に引き出されるように接続されたものが含まれることが好ましい。このように、ドライバチップ(20)上に接続端子(21)を4行以上で配置するとともに、奇数行と偶数行の接続端子(21)とで信号ライン(31,32)の引き出し方を変えることで、フィルム上のスペースをより効率的に利用できるようになる。
【0025】
本発明に係るデータ出力装置(10)において、前記ある行の次に出力端子(13)に近い行に属する接続端子(21)に接続された複数の信号ライン(32)には、出力端子(13)から離れる方向に接続端子(21)から引き出され、その後出力端子(13)へと向かう方向に配線されたものが含まれていてもよい。これにより、ドライバチップ(20)の背後側(出力端子とは反対側)のスペースを有効活用できる。
【0026】
本発明に係るデータ出力装置(10)において、前記ある行の次に出力端子(13)に近い行に属する接続端子(21)に接続された複数の信号ライン(32)には、出力端子(13)の並び方向(x軸方向)と平行な方向に接続端子(21)から引き出され、その後出力端子(13)へと向かう方向に配線されたものが含まれていてもよい。これにより、ドライバチップ(20)の側方のスペースを有効活用できる。
【0027】
本発明に係るデータ出力装置(10)において、ドライバチップ(20)の複数の接続端子(21)からディスプレイパネルへの出力端子(13)へ向かう方向(y軸方向)に平行な仮想線を引いた場合に、各接続端子(21)は、この仮想線が他の接続端子(21)と重ならないように配置されていることが好ましい。つまり、各行において、接続端子(21)は互い違いとなるようにオフセット配置されている。これにより、全ての信号ライン(31,32,41)が干渉しないように、各接続端子(21)から信号ライン(31,32,41)を引き出し易くなる。
【0028】
本発明の第2の側面は、ディスプレイモジュールに関する。本発明に係るディスプレイモジュールは、前述した第1の側面に係るデータ出力装置(10)と、出力端子(13)を介して信号ライン(31,32,41)が接続されたディスプレイパネルを備える。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、COG実装で使われる多数のソースドライバ出力チャンネルを有するチップを、1層配線構造のCOFに実装する技術を提供することで、安価に狭額縁ディスプレイが実現することができる。また、COG実装用に設計されたチップを、設計変更なしにCOF実装ができるため、半導体メーカの開発費を抑制することができ、パネルメーカやPCメーカではチップの再評価時間やコストを抑制することができる。
【0030】
また、従来、ドライバの個数が削減された場合にはディスプレイパネルの狭額縁化が困難であったが、本発明によればディスプレイパネルの狭額縁化を安価に実現することができる。例えば、14インチのFHDパネルにおいて、従来技術では額縁サイズが7.2mmであったものが5.6mmまで削減可能になり、額縁サイズを20~30%程度削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】[従来技術]図1は、タイミングコントローラとソースドライバが分離されたディスプレイモジュールの全体構成を示したブロック図である。
図2】[従来技術]図2は、タイミングコントローラとソースドライバが一体化されたディスプレイモジュールの全体構成を示したブロック図である。
図3】[従来技術]図3は、タイミングコントローラとソースドライバが一体化されたディスプレイモジュールの全体構成を示したブロック図である。
図4】[従来技術]図4は、タイミングコントローラとソースドライバが分離されたディスプレイモジュールにおいて、ディスプレイパネルのアクティブ領域と額縁領域を示す図である。
図5】[従来技術]図5は、タイミングコントローラとソースドライバが一体化されたディスプレイモジュールにおいて、ディスプレイパネルのアクティブ領域と額縁領域を示す図である。
図6】[従来技術]図6は、ディスプレイパネルのソースラインの従来の配線方式を示す図である。
図7】[従来技術]図7は、図6に示したディスプレイパネルの中央から左側半分を拡大した図であり、従来の配線方式において額縁領域のサイズがどのように求められるか説明するための図である。
図8】[従来技術]図8は、多チャンネルソースドライバ出力を有するドライバチップのCOF実装の構成を示すための図である。
図9】[従来技術]図9は、2層配線構造を有するフィルムを利用したCOF実装の構成を示すための図である。
図10】[本発明]図10は、本発明の第1の実施形態を示した図である。
図11】[本発明]図11は、本発明の第2の実施形態を示した図である。
図12】[本発明]図12は、本発明の第3の実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。本発明は、以下に説明する各実施形態を適宜組み合わせることもできるし、各実施形態を単独で利用することもできる。
【0033】
[第1の実施形態]
図10は、本発明の第1の実施形態を示している。本実施形態は、狭額縁液晶パネルをCOF技術にて実現するためのCOFモジュール10に関する。COFモジュール10は、例えばノートパソコンやタブレットパソコンに適用することができ、液晶パネルの狭額縁化に貢献するものである。
【0034】
図10に示されるように、COFモジュール10は、基本的に、フィルム11と、ドライバチップ20、複数の信号ライン31,32,41,51を含んで構成されている。信号ラインには、ソースライン31,32と、ゲート信号駆動ライン41と、映像信号や電力の入力ライン51が含まれる。このCOFモジュール10において、ドライバチップ20と複数の信号ライン31,32,41,51は、配線回路基板として機能するフィルム11の上に実装される。フィルム11は特に制限されず、公知のものを適宜採用できる。
【0035】
ドライバチップ20は、タイミングコントローラ(TCON)とソースドライバ(SD)とが統合されたものであり、ディスプレイパネルのソースラインに対して描画データを出力する機能と、その描画データを出力するタイミングを制御する機能を担う。図8に示した例では、ドライバチップ20がタイミングコントローラとソースドライバの両方の機能を担うものであるため、このドライバチップ20にソースライン31,32に加えてゲート信号駆動ライン41が接続されている。ただし、ドライバチップ20を、単にソースドライバの機能のみを持つものとし、タイミングコントローラを別に存在させてもよい。ドライバチップ20がソースドライバとしてのみ機能する場合には、ゲート信号駆動ライン41は別途設けられたタイミングコントローラに接続すればよい。
【0036】
タイミングコントローラ(ドライバチップ20の機能の一部)は、CPUやGPUなどのプロセッサから送られる描画データを入力としディスプレイパネルのタイミングコントロールや画像処理を行う。ソースドライバ(ドライバチップ20の機能の一部)は、ディスプレイパネルのソースラインを駆動するための回路である。ソースドライバは、タイミングコントローラからの描画データを入力としディスプレイパネルの仕様に合わせて描画データをアナログ出力する。ソースドライバは、複数のソースラインに接続されており、各ソースラインに駆動電圧(階調表示電圧)を印加する。ディスプレイモジュールには、一つのディスプレイパネルに対して複数のソースドライバを備え付けることもできるが、部品点数削減及び消費電力削減の観点から、一つのディスプレイパネルに対してソースドライバを一つのみ備え付けることが好適である。また、図示は省略するが、ディスプレイモジュールは、ソースドライバの他に、ディスプレイパネルのゲートラインを駆動するゲートドライバを備えていてもよい。ゲートドライバは、TFT(Thin Film Transistor)をオンするための走査信号を各ゲートラインに順次印加する。ゲートドライバによってゲートラインに操作信号が印加されてTFTがオン状態のときに、ソースドライバからソースラインに駆動電圧が印加されると、それらの交点に位置する表示素子に電荷が蓄積される。これにより、表示素子の光透過率がソースラインに印加された駆動電圧に応じて変化して、表示素子を介した画像表示が行われる。
【0037】
なお、ディスプレイパネルは、一般的に、ソースライン、ゲートライン、及び表示画素によって構成される。ソースラインは、ガラスなどで構成されたパネル基板上に、所定の間隔を空けて互いに平行に複数本設けられている。ゲートラインは、同じパネル基板上に、ソースラインと直交する方向に沿って、所定の間隔を空けて互いに平行に複数本設けられている。表示画素は、ソースラインとゲートラインとの各交差点に設けられている。各表示画素には、スイッチング素子としてのTFTが接続されている。例えば、FHDの液晶パネルの場合、ソースラインは1920×3(RGB)ライン必要となり、ゲートラインは1080ライン必要となる。
【0038】
図10に示したように、フィルム11上には、複数の入力端子12と複数の出力端子13が設けられている。フィルム11が矩形状であると想定した場合、複数の入力端子12は、フィルム11の下辺にx軸方向に沿って並べて設けられ、複数の出力端子13は、フィルム11の上辺にx軸方向に沿って並べて設けられる。なお、ここにいうフィルム11の上辺とは、ディスプレイパネル側の辺であり、フィルム11の下辺とはディスプレイパネルとは反対側の辺である。入力端子12には、プロセッサから映像信号を受信するための入力ライン51や、電源から電力を受け取るための入力ライン51が接続される。出力端子13出力端子13は、ドライバチップ20で処理された映像信号をディスプレイパネルへ出力するためのものであり、出力端子13にはディスプレイパネルのゲートラインやソースラインが接続される。
【0039】
また、ドライバチップ20には、フィルム11上の入力端子12及び出力端子13と電気的に接続するための複数の接続端子21,22,23を備える。複数の接続端子には、複数のソース接続端子21、複数のゲート接続端子22、及び複数の入力接続端子23が含まれる。各ソース接続端子21は、ソースライン31,32によって、出力端子13に電気的に接続されている。すなわち、ソースライン31,32の一端はソース接続端子21に接続され、ソースライン31,32の他端が出力端子13に接続されることになる。また、各ゲート接続端子22は、ゲート信号駆動ライン41によって、出力端子13に電気的に接続されている。すなわち、ゲート信号駆動ライン41の一端はゲート接続端子22に接続され、ゲート信号駆動ライン41の他端が出力端子13に接続されることになる。また、各入力接続端子23は、入力用の信号ラインによって、出力端子13に接続されている。ドライバチップ20が矩形状であると想定した場合、ゲート接続端子22と入力接続端子23は、フィルム11の下辺にx軸方向に沿って並べて設けられる。一方で、ソース接続端子21は、ドライバチップ20上の平面領域に、複数行に並べて配置されている。
【0040】
ソース接続端子21の配置について具体的に説明する。図10に示されるように、ソース接続端子21は、複数行に並べて配置される。図10に示した例では、ソース接続端子21は4行に並べられている。図10ではソース接続端子21の行の概念をわかり易くするために、ソース接続端子21の第1行目を白色、第2行目を黒色、第3行目を白色、第4行目を黒色とし、奇数行を白色、偶数行を黒色で示している。なお、ソース接続端子21の第1行目は、出力端子13に最も近い位置に形成された行であり、第2行目、第3行目、第4行目はこの順で出力端子13との距離が離れていく。ソース接続端子21の行は、図10のx軸方向に沿って延びており、この各行がy軸方向に段をなしているといえる。
【0041】
また、各行に属するソース接続端子21は、それぞれ互い違いとなるようにオフセット配置されている。すなわち、各ソース接続端子21の中心を通るようにy軸に平行な仮想線を引いたとき、各仮想線が他のソース接続端子21と重ならないようにすることが好ましい。言い換えると、ある行に属するソース接続端子21間のx軸方向における間隔(ピッチ)は、ソース接続端子21の横幅のN倍以上(Nはソース接続端子21の行数)とすることが好ましい。これにより、各ソース接続端子21からソースライン31,32を引き出しやすくなる。
【0042】
ここで、本実施形態では、第1行目と第3行目に属する複数のソース接続端子21に接続されたものを第1のソースライン群31という。この第1のソースライン群31は、ソース接続端子21から出力端子13に向かって引き出されて、そのまま出力端子13に接続されている。特に、第1行目に属するソース接続端子21から引き出された第1のソースライン群31は、すべて、一直線状に出力端子13に向かって延びている。なお、第3行目に属するソース接続端子21から引き出された第1のソースライン群31には、第2行目のソース接続端子21を避けるために迂回するように配線されているものも含まれているが、一直線状に出力端子13に向かって延びているものも含まれている。
【0043】
一方で、本実施形態では、第2行目と第4行目に属する複数のソース接続端子21に接続されたものを第2のソースライン群32という。第2のソースライン群32は、第2行目と第4行目に属するソース接続端子21から一旦出力端子13から離れる方向に向かって引き出されている。第2のソースライン群32は、このように出力端子13から離れる方向に向かってソース接続端子21から引き出されてy軸と平行に進んだ後、左右(x軸方向)の外側に向かって進み、さらにその後出力端子13に向かってy軸方向と平行に進むように配線されることとなる。このとき、第2のソースライン群32は、少なくとも第1行目の複数のソース接続端子21よりも左右外側まで進んだ後に、他のソースライン31,32と干渉しないように、出力端子13に向かって一直線状に進むように配線されている。なお、第2行目に属するソース接続端子21から引き出された第2のソースライン群32には、第3行目のソース接続端子21を避けるために迂回するように配線されているものも含まれている。このように、本実施形態では、奇数行に属するソース接続端子21(白色)と偶数行に属するソース接続端子21(黒色)とでソースライン31,32の引き出し方向を異ならせている。
【0044】
また、図10に示したように、第1行目及び第3行目のソース接続端子21については、その全てから第1のソースライン群31が引き出されている。一方で、第2行目及び第4行目のソース接続端子21については、その全てから第2のソースライン群32が引き出されているわけではなく、ドライバチップ20の左右外側寄りに位置する幾つかのソース接続端子21に限り第2のソースライン群32が引き出されている。図示した例では、第2行目及び第4行目のソース接続端子21のうち、各行につき、左右それぞれ4つ(各行合計8つ)のソース接続端子21に限り第2のソースライン群32が引き出されている。このように、必ずしも、すべてのソース接続端子21に対してソースライン31,32を接続する必要はない。なお、第2行目及び第4行目について、第2のソースライン群32を接続するソース接続端子21の数は、上記した左右4つずつに限られず、例えば左右2つずつであってもよいし、左右5つ以上であってもよい。その数は適宜調整可能である。
【0045】
図10に示したように、フィルム11上において、出力端子13に向かう方向に引き出す第1のソースライン群31と、出力端子13から離れる方向に引き出す第2のソースライン群32を設けることで、ドライバチップ20のソース接続端子21のピッチが例えば10umであっても、フィルム11上で配線する配線ピッチは2倍の20umにすることができる。第2のソースライン群32は、一旦下部方向に引き出した後、横方向に進み、その後上部方向に進むように配線することで、ディスプレイパネルパネルのソースラインに接続することができる。次に第1のソースライン群31は、フィルム11上で、上部方向に引き出す配線のみが存在する。ドライバチップ20のソース接続端子21のピッチが例えば10umの場合、フィルム11上で配線する配線ピッチは2倍の20umになるように、例えば1段飛ばしにて上部方向に引き出す。なお、ドライバチップ20の下部方向には、ドライバチップ20に入力される映像入力ライン、電源入力ライン等51の配線が存在するため、第1及び第2のソースライン群31,32を引き出すことはできない。
【0046】
例えば、COG実装された多チャンネルのドライバチップ20全体の出力端子13のチャンネル数を2880チャンネルとすると、第2のソースライン群32は左右それぞれ例えば800チャンネルとし、第1のソースライン群31は中央部の例えば640チャンネルとして、合計2240チャンネルのソースラインを引き出すことができる。例えばFHDパネルにおいて、マルチプレクサ構成を有するLTPSパネルやOXIDEパネルは1920チャンネルのソースラインをドライバチップ20から引き出すことが必要であるが、本実施形態で2240チャンネル引き出せれば対応が可能になる。これにより、COG実装で使われる多数のソースドライバ出力チャンネルを有するチップを、1層配線構造のCOFに実装することが可能となり、安価に狭額縁ディスプレイが実現できる。
【0047】
なお、図10に示されるように、ドライバチップ20の下辺側には複数のゲート接続端子22が設けられている。このゲート接続端子22には、それぞれゲート信号駆動ライン41が接続されている。ゲート信号駆動ライン41は、一旦出力端子13から離れる方向に向かってゲート接続端子22から引き出されている。また、ゲート信号駆動ライン41は、このように出力端子13から離れる方向に向かってゲート接続端子22から引き出された後、左右外側に向かって進み、さらにその後出力端子13に向かって進むように配線されることとなる。ゲート信号駆動ライン41は、最終的には、複数の出力端子13のうち、複数のソースライン31,32が接続された出力端子13よりもさらに左右の外側に位置する出力端子13(Gate Output)に対して接続される。
【0048】
[第2の実施形態]
続いて、図11を参照して、本発明の第2の実施形態に係るCOFモジュール10ついて説明する。第2の実施形態については、前述した第1の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。第2の実施形態のいては、第1の実施形態と同じ要素について同じ符号を付することでその説明を割愛する。
【0049】
第2の実施形態に係るCOFモジュール10では、第1の実施形態で説明した第2のソースライン群32は用いられていない。このため、第2の実施形態では、ディスプレイパネルのソースラインへの映像信号の出力を、第1のソースライン群31のみで実現する。すなわち、図11に示されるように、第1行目と第3行目に属するソース接続端子21からは全て第1のソースライン群31が引き出されているが、第2行目と第4行目に属するソース接続端子21には何も信号ラインが接続されていない。その他の構成要素については、第2の実施形態は第1の実施形態と同じである。
【0050】
例えば、COG実装された多チャンネルソースドライバのチャンネル数を2880チャンネルとすると、第1のソースライン群31は全2880チャンネルの半分のチャンネルが上部方向に引き出されるため、合計1440チャンネルのソースラインを引き出すことができる。例えばFHDパネルにおいて、COFモジュール10を2つ搭載した場合、デュアルゲート構成を有するディスプレイパネルは、ドライバチップ20からソースラインを2800チャンネル引き出すことが必要になる。この場合、本実施形態に係るCOFモジュール10を2つディスプレイパネルに接続することで、狭額縁ディスプレイを実現できる。
【0051】
[第3の実施形態]
続いて、図12を参照して、本発明の第3の実施形態に係るCOFモジュール10ついて説明する。第3の実施形態についても、前述した第1の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
【0052】
第3の実施形態においては、第2行目と第4行目に属するソース接続端子21のうち、最も左右の外側に位置するソース接続端子21のみから第2のソースライン群32が引き出されている。第2のソースライン群32は、各ソース接続端子21から真横(x軸方向)に向かって引き出された後、出力端子13に向かって直線状に配線されている。このように、第3の実施形態において、第2のソースライン群32は、フィルム11上を横方向と上部方向に向かって配線された部分のみを有し、下部方向に向かって配線された部分は有していない。この場合、COFモジュール10上下方向(y軸方向)の面積を削減することができ、COFモジュール10の面積の低減とコスト削減が可能になる。
【0053】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0054】
10…COFモジュール(データ出力装置)
11…フィルム
12…入力端子
13…出力端子
20…ドライバチップ
21…ソース接続端子
22…ゲート接続端子
23…入力接続端子
31…第1のソースライン群(信号ライン)
32…第2のソースライン群(信号ライン)
41…ゲート信号駆動ライン(信号ライン)
51…入力ライン
【要約】
【課題】安価な狭額縁ディスプレイを提供する。
【解決手段】COFモジュール10であって、複数の接続端子21を有するドライバチップ20と、一端がドライバチップ20の接続端子21に接続され他端がディスプレイパネルへの出力端子13に接続された複数の信号ライン31,32を備える。ドライバチップ20は、接続端子21が複数行に並んで配置されている。ある行に属する複数の接続端子21には、第1のソースライン群31が出力端子13に向かう方向に引き出されるように接続されたものが含まれる。ある行の次に出力端子13に近い行に属する接続端子21には、信号ラインが接続されていないか、又は、第2のソースライン群32が第1のソースライン群31とは異なる方向に引き出されるように接続されたものが含まれる。
【選択図】図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12