(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-20
(45)【発行日】2022-07-28
(54)【発明の名称】配管類用カバー部材
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
E03C1/12 Z
(21)【出願番号】P 2018049829
(22)【出願日】2018-03-16
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】伊東 卓哉
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-035899(JP,A)
【文献】特開2010-236688(JP,A)
【文献】特開2000-161583(JP,A)
【文献】特開2017-008705(JP,A)
【文献】登録実用新案第3037740(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12
E03D 1/00-7/00;11/00-13/00
F16L 55/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管類に巻き付けるカバー本体と、前記配管類に巻き付けた状態で先端に向かうほど外径が次第に小さくなるようにバンドで縮径させて前記配管類に固定される縮径部とを備え、該縮径部には、縮径した状態でバンドが先端方向で係止するバンド係止部を備え
、
前記バンド係止部は、前記縮径した状態で径外方向に立ち上がる段差部を構成することを特徴とする配管類用カバー部材。
【請求項2】
配管類に巻き付けるカバー本体と、前記配管類に巻き付けた状態で先端に向かうほど外径が次第に小さくなるようにバンドで縮径させて前記配管類に固定される縮径部とを備え、該縮径部には、縮径した状態でバンドが先端方向で係止するバンド係止部を備え、
前記縮径部は、前記カバー本体の幅方向一端部に設けられ、前記バンド係止部は、前記縮径部の先端に備えていることを特徴とす
る配管類用カバー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管類に巻き付けて装着される配管類用カバー部材に関する。
【0002】
上記配管類用カバー部材は、例えば排水管からの排水音を低減する目的で排水管に装着される。具体的には、排水管の途中に設けられた点検口を備えた配管類の一つである継手と継手の上下に接続される継手よりも小径な排水管とに亘って配管類用カバー部材を遮音カバーとして装着する。この配管類用カバー部材は、シート状の部材から構成され、点検口に対応する部分に開口が形成され巻き付け方向(管や継手の周方向)に長い横長状の本体部と、本体部の上下端部のそれぞれに所定間隔置きにV字状のスリットが切り欠かれた縮径部と、前記点検口を閉じるべく、本体部の巻き付け方向の一端部に形成された蓋部とを備えている。
【0003】
この配管類用カバー部材を装着する場合には、まず継手に本体部を巻き付ける。続いて本体部の上下に位置する縮径部のそれぞれを結束バンドで締め付けることによって、先端に向かうほど外径が次第に小さくなるように上下の縮径部を縮径させて上下の排水管にそれぞれ固定する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-8705号公報(
図14(a),(b)参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の配管類用カバー部材では、縮径部を結束バンドで締め付けるとき、縮径部が先端に向かうほど外径が次第に小さくなっていくため、縮径部の表面を結束バンドが滑って先端側へ移動してしまい、縮径部の先端から外れてしまうことがある。このように結束バンドが縮径部から外れると、結束バンドを再度縮径部へ戻して締め付け作業をやり直さなければならず、煩雑になるという不都合があった。
【0006】
本発明は前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、配管類への装着作業を容易に行える配管類用カバー部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配管類用カバー部材は、前述の課題解決のために、配管類に巻き付けるカバー本体と、前記配管類に巻き付けた状態で先端に向かうほど外径が次第に小さくなるようにバンドで縮径させて前記配管類に固定される縮径部とを備え、該縮径部には、縮径した状態でバンドが先端方向で係止するバンド係止部を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、配管類にカバー本体を巻き付けてから、縮径部をバンドで締め付けると、縮径部が先端に向かうほど外径が次第に小さくなる。すると、縮径部の先端側へ移動するバンドがバンド係止部に係止して、バンドが縮径部の先端から外れてしまうことを防止できる。よって、縮径部から外れたバンドを再度縮径部へ戻して締め付けるといった作業を不要にできる。
【0009】
又、本発明の配管類用カバー部材は、前記バンド係止部が、前記縮径した状態で径外方向に立ち上がる段差部を構成してもよい。
【0010】
上記のように、縮径部が縮径した状態でバンド係止部が径外方向に立ち上がる段差部を構成することによって、縮径部の縮径時にバンドが段差部に係止する。
【0011】
又、本発明の配管類用カバー部材は、前記縮径部が、前記カバー本体の幅方向一端部に設けられ、前記バンド係止部は、前記縮径部の先端に備えていてもよい。
【0012】
上記のように、バンド係止部を縮径部の先端に備えることによって、縮径部の縮径時に先端側に移動するバンドを確実に係止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、縮径部に、縮径した状態でバンドが先端方向で係止するバンド係止部を備えることによって、縮径部からのバンドの外れを防止して、配管類への装着作業を容易に行える配管類用カバー部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の配管類用カバー部材を継手に巻き付ける直前の状態を示す正面図である。
【
図2】同配管類用カバー部材を継手に巻き付けて装着した状態を示す縦断側面図である。
【
図3】同配管類用カバー部材を継手に巻き付けて装着した状態を示す要部の斜視図である。
【
図5】第2実施形態の配管類用カバー部材を継手に巻き付ける直前の状態を示す正面図である。
【
図6】(a)~(d)は他のバンド係止部を示す正面図である。
【
図7】(a)~(d)は他のバンド係止部を示す正面図である。
【
図8】(a)~(c)は他のバンド係止部を示す正面図である。
【
図9】(a)~(c)は他のバンド係止部を示す正面図である。
【
図10】(a),(b)は他のバンド係止部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1及び
図2に、点検口(図示せず)を閉じる蓋1Aを備えた継手(配管類)1と継手1の上下に接続される継手1よりも小径な外径を有する2つの上下の排水管2,3とに亘って遮音カバーとしての第1配管類用カバー部材4を巻き付ける直前の状態を示している。なお、
図1に示す第1配管類用カバー部材4において、紙面における上下方向を幅方向Wとし、紙面における左右方向を長さ方向Lとして以下において説明する。したがって、第1配管類用カバー部材4の幅方向Wを配管類の管軸方向に向けた状態で配管類の周囲に長さ方向Lで巻き付けることになる。
【0017】
第1配管類用カバー部材4は、配管類に巻き付けることができるように可撓性を有するシートに構成されている。具体的には、内側(配管類側)に配置されるPETフェルトから構成される吸音層と、吸音層の外側に積層される遮音層を構成する塩化ビニル樹脂層と、最外側に積層される合成樹脂でなる不織布からなる保護層とを備える3層構造になっているが、他の構成であってもよい。また、第1配管類用カバー部材4は、
図1~
図4に示すように、継手1に巻き付けるカバー本体5と、配管類に巻き付けた状態で先端に向かうほど外径が次第に小さくなるようにバンド8で縮径させて上下の排水管2,3に固定される縮径部6,6と、を備え、縮径部6,6のそれぞれには、縮径した状態でバンド8が先端方向(幅方向W外向き)で係止するバンド係止部7を備えている。
【0018】
カバー本体5は、幅方向よりも長さ方向に長い略長方形状に構成され、継手1の外径よりも長い長辺を有するとともに、継手1の蓋1Aに対応する部分に略正方形状の開口5Aが形成されている。なお、長さ方向Lの長さは、巻き付ける配管類の周方向の寸法(外径寸法)よりも長く設定されることが好ましいが、場合によっては、巻き付ける配管類の周方向の寸法(外径寸法)と同一長さに設定されていてもよい。
【0019】
縮径部6,6のそれぞれは、
図1及び
図4に示すように、カバー本体5の長さ方向に所定間隔を置いて基端側ほど幅が狭い多数の略V字状の切欠き6Kが形成されることによって、それら切欠き6Kの間に先端側ほど寸法が小さくなる多数(図では6個)の台形状の片部6Aが形成されて構成されている。このように構成された縮径部6,6のそれぞれを、バンド8で締め付けることによって、切欠き6Kを閉じるように隣り合う片部6Aが周方向で接近して、先端に向かうほど外径が次第に小さくなるように変形させることができる。なお、
図2では、締め付けられて縮径した縮径部6が先端に向かうほど排水管2側に位置する直線状の傾斜面を有している。
【0020】
各バンド係止部7は、縮径部6を構成する多数の片部6Aの先端に備え、カバー本体5の長さ方向(図では上下方向と直交する横方向)に延びる長方形状に構成されている。これは、巻き付けられた配管類用カバー部材4の縮径部6,6の先端よりも基端側の部分をバンド8で締め付けることによって、締め付けられていない先端に位置するバンド係止部7が径外方向に立ち上がる(高段となる)段差部7D(
図2、
図3参照)を構成する。つまり、バンド8で縮径部6の基端側の部分を締め付けても、バンド8の締付力が作用しないバンド係止部7は、縮径されずに径外方向に延びた状態を維持することで他の部分よりも高くなって段差部7Dを構成できる。この段差部7Dに、締め付けているバンド8が
図2に示す片部6Aの傾斜面を滑って先端側へ移動することで係止する。これによって、縮径部6からのバンド8の外れを防止できる。なお、
図1及び
図4では、左端の片部6Aの先端におけるカバー本体5の長手方向両端のそれぞれにバンド係止部7を備えているが、残りの他の片部6Aは、先端におけるカバー本体5の長手方向一端(図では右端)にのみバンド係止部7を備えている。
【0021】
バンド8は、
図3に示すように、金属製や合成樹脂製のインシュロック(商標登録)から構成され、フレキシブルな所定幅と所定長さを有するバンド部8Aと、バンド部8Aを挿通可能でバンド部8Aを抜け止め状態に保持する係止爪(図示せず)を備えた角筒状のロック部8Bとを備えている。
【0022】
第1配管類用カバー部材4の施工手順について説明するが、第1配管類用カバー部材4を施工する前に、上下の排水管2,3に配管類用カバー部材9,10を巻き付けて装着しておくことになる(
図2参照)。これら配管類用カバー部材9,10は、同一外径の排水管(配管類)2,3を巻くため、前記縮径部6及びバンド係止部7を備えていないカバー部材から構成され、第1配管類用カバー部材4と同一の3層構造に構成されていてもよいし、他の構成にしてもよい。
【0023】
まず、
図1に示すように、継手1と上下の排水管2,3とを覆うように継手1の前面の蓋1Aにカバー本体5の開口5Aを合わせた状態にする(
図1参照)。この状態から、第1配管類用カバー部材4を、それの幅方向が継手1の管軸方向に向いた状態で継手1の周囲に長手方向で巻き付ける。第1配管類用カバー部材4を継手1に巻き付けた後、テープで固定する。次に、第1配管類用カバー部材4の上端側の縮径部6をバンド8により締め付けて上側の排水管2に第1配管類用カバー部材4の上端部である上側の縮径部6を固定する。このとき、排水管2の外径が継手1の外径よりも小さいため、バンド8で締め付けられる縮径部6が先端に向かうほど外径が次第に小さくなるように(
図2に示す傾斜姿勢に)変形するが、その変形によりバンド8が縮径部6の表面を先端方向(第1配管類用カバー部材4の幅方向外向き)に向かって滑って移動して縮径部6から外れてしまうことを縮径部6の先端に備えたバンド係止部7との係止により防止することができる。すなわち、このバンド係止部7は、前述したように、縮径部6の先端側よりも基端側の部分をバンド8で締め付けることによって、締め付けられていない先端に位置するバンド係止部7が径外方向に立ち上がる(高段となる)段差部7Dを構成する。これによって、バンド8が段差部7Dに係止できる。
【0024】
上端側の縮径部6の上側の排水管2への固定が終了すると、下端側の縮径部6の下側の排水管3への固定作業を前記と同様に行って、第1配管類用カバー部材4の施工が完了する。なお、図示していないが、
図1及び
図2において、継手1の前方を覆う蓋カバー部材を最後に装着することが好ましい。この蓋カバー部材は、第1配管類用カバー部材4に取り付ける又は一体成形したものであってもよいし、第1配管類用カバー部材4とは、別に構成された蓋カバー部材を固定手段により継手1の前方を覆うように固定してもよい。また、
図3において、バンド8や切欠き6Kを粘着剤付きのテープで覆う仕上げ作業を行ってもよい。
【0025】
<第2実施形態>
第1実施形態では、継手1を覆う第1配管類用カバー部材4を示したが、第2実施形態では、集合住宅等に組み込まれる排水システムに用いられる集合排水管11を覆う第2配管類用カバー部材12及び第3配管類用カバー部材13を例として説明する。なお、第2配管類用カバー部材12及び第3配管類用カバー部材13は、第2配管類用カバー部材12及び第3配管類用カバー部材13と同様に3層構造に構成されているが、他の構成であってもよい。
【0026】
図5に示すように、集合排水管11は、建築物の区画体である床スラブ14に形成された貫通孔14Aを上下方向に貫通する状態で設置されている。なお、図示していないが、集合排水管11の外面と床スラブ14の貫通孔14Aとの間は、モルタル等の充填材により充填される。
【0027】
また、集合排水管11の上端に、上下方向に沿う第1立て管15が接続され、集合排水管11の横側には、水平方向に沿う枝管16が接続され、集合排水管11の下端に、上下方向に沿う第2立て管17が接続されている。
【0028】
集合排水管11の上部と第1立て管15の下端部とに亘って第2配管類用カバー部材12が巻き付けられて装着される。第2配管類用カバー部材12は、周方向に3本の枝管を貫通することができるように、かつ、外径の異なる枝管の外径寸法に対応できるように大きさが異なる3つの環状の切り取り線18A,18B,18Cを長さ方向(図面において横方向)に隣り合わせて3箇所に形成されたカバー本体18と、カバー本体18の上端から延出され、第1立て管15に巻き付けた状態で先端に向かうほど外径が次第に小さくなるようにバンド8で縮径させて配管類である上側の第1立て管15に固定される前記と同一構成の縮径部19とを備え、縮径部19には、縮径した状態でバンド8が先端方向で係止する前記と同一構成のバンド係止部20を備えている。縮径部19は、カバー本体18の長さ方向に所定間隔を置いて基端側ほど幅が狭い多数の略V字状の切欠き19Kが形成されることによって、それら切欠き19Kの間に先端側ほど寸法が小さくなる多数(図では6個)の台形状の片部19Aが形成されて構成されている。
【0029】
第2配管類用カバー部材12の施工手順について説明する。前述同様に、第2配管類用カバー部材12を施工する前に、第1立て管15に配管類用カバー部材(図示せず)を巻き付けて装着しておくことになる。
【0030】
まず、第2配管類用カバー部材12に備える長さ方向において右端に位置する3つの環状の切り取り線18A,18B,18Cのうちの枝管16の外径に合うように最外周に位置する切り取り線18Aを切り取る。この切り取って下方が開放された切欠き18Kが形成された状態から第2配管類用カバー部材12を集合排水管11の上部に巻き付けながら、カバー本体18の切欠き18Kを枝管16に挿通させる。この状態で前記同様に、第2配管類用カバー部材12の上端側の縮径部19をバンドにより締め付けて第1立て管15の下端部に第2配管類用カバー部材12の上端部を固定する。このとき、第1立て管15の外径が集合排水管11の外径よりも小さいため、バンドで締め付けられる縮径部19が先端に向かうほど外径が次第に小さくなるように(
図5の2点鎖線で示す傾斜姿勢に)変形し、その変形によりバンドが縮径部19の表面を先端方向に向かって移動して縮径部19から外れてしまうことを縮径部19の先端に備えたバンド係止部20との係止により防止することができる(
図2及び
図3と同様であるため、図示を省略している)。
【0031】
また、枝管16が接続される集合排水管11の接続部11Aと枝管16の集合排水管11側端部とに亘る状態で第3配管類用カバー部材13が巻き付けられて装着される。第3配管類用カバー部材13は、集合排水管11の接続部11Aに巻き付けられる長方形状のカバー本体21と、カバー本体21の幅方向一端から延出され、先端に向かうほど外径が次第に小さくなるようにバンド8で縮径させて配管類である枝管16に固定される前記と同一構成の縮径部22とを備え、縮径部22には、縮径した状態でバンド8が先端方向で係止する前記と同一構成のバンド係止部23を備えている。縮径部22は、カバー本体21の長さ方向に所定間隔を置いて基端側ほど幅が狭い多数の略V字状の切欠き22Kが形成されることによって、それら切欠き22Kの間に先端側ほど寸法が小さくなる多数(図では6個)の台形状の片部22Aが形成されて構成されている。なお、第3配管類用カバー部材13を集合排水管11の接続部11Aに巻き付ける場合には、
図5に示すように、第3配管類用カバー部材13の幅方向を横向きの枝管16の管軸方向に向けるために第3配管類用カバー部材13の長さ方向を縦方向(上下方向)にした縦向き姿勢に第3配管類用カバー部材13を姿勢変更している。
【0032】
第3配管類用カバー部材13の施工手順について説明する。前述同様に、第3配管類用カバー部材13を施工する前に、枝管16に配管類用カバー部材(図示せず)を巻き付けて装着しておくことになる。
【0033】
まず、縦向き姿勢にした第3配管類用カバー部材13を集合排水管11の接続部11Aに巻き付ける。この状態で前記同様に、第3配管類用カバー部材13の幅方向一端側(
図5では右端側)の縮径部22をバンド(図示せず)により締め付けて枝管16に第3配管類用カバー部材13の幅方向一端部を固定する。このとき、枝管16の外径が集合排水管11の接続部11Aの外径よりも小さいため、バンドで締め付けられる縮径部22が先端に向かうほど外径が次第に小さくなるように(
図5の2点鎖線で示す傾斜姿勢に)変形し、その変形によりバンドが縮径部22の表面を先端方向に向かって移動して縮径部22から外れてしまうことを縮径部22の先端に備えたバンド係止部23との係止により防止することができる(
図2及び
図3と同様であるため、図示を省略している)。
【0034】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、
図1~
図4で示したバンド係止部7を、
図6~
図10に示す構成にしてもよい。なお、図では1個のバンド係止部のみ図示している。
【0035】
図6(a)~(d)では、バンド係止部をバンド8の巻回方向一端側にのみ延びるように構成されたものであり、4種類の形状のものを示している。具体的には、
図6(a)では、縮径部6の上端の略中央から上方に延びる上方延出部24Aと、上方延出部24Aの上端からバンド8の巻回方向一端(図では右端)から真横の右側(左側でもよい)に延びる横延出部24Bとからバンド係止部24を構成している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が横延出部24Bの下端24bに係止して先端方向(図では上方)へのバンド8の移動が防止される。
図6(b)では、縮径部6の上端のバンド8の巻回方向一端(図では右端であるが左端でもよい)から斜め上方に立ち上がる傾斜部25Aと、傾斜部25Aの上端から真横(図では右側)に延びる横部25Bと、横部25Bの右端から下方に延びる下部25Cとからバンド係止部25を構成している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が横部25Bの下端25bに係止して先端方向(図では上方)へのバンド8の移動が防止される。
図6(c)では、縮径部6の上端部をバンド8の巻回方向一端(図では左端であるが右端でもよい)からバンド8の巻回方向内側に入り込んでUの字状の切欠き26Kを形成することによって、巻回方向一方側(図では左側)に延びる延出部26Aを形成してバンド係止部26を構成している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が延出部26Aの下端、つまり切欠き26Kの上端に係止して先端側(図では上方)へのバンド8の移動が防止される。
図6(d)では、縮径部6の上端のバンド8の巻回方向一端(図では右端)から真横(図では右側であるが、左側でもよい)に延びるとともに右側(先端)ほど下方に位置する傾斜延出部からバンド係止部27を構成している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が縮径部6の右側上端とバンド係止部27の下側で左端との角部27Aにバンド8の上端が係止して先端側へのバンド8の移動が防止される。
【0036】
また、
図7(a)~(d)では、バンド係止部をバンド8の巻回方向両側に延びるように構成されたものであり、4種類の形状のものを示している。具体的には、
図7(a)では、縮径部6の上端部の左右中央部から上方に延びる上方延出部28Aと、上方延出部28Aの上端部からバンド8の巻回方向両側の真横に延びる一対の横延出部28B,28Bとからバンド係止部28を構成している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が横延出部28B,28Bの下端28b,28bに係止して先端方向へのバンド8の移動が防止される。
図7(b)では、縮径部6の上端部のバンド8の巻回方向両端から斜め上方に立ち上がる一対の傾斜部29a,29dと、傾斜部29a,29dの上端部から真横(図では左右)に延びる横部29b,29eと、横部29b,29eのバンド8の巻回方向先端(図では左右端)から下方に延びる下部29c,29fとからなる一対の延出部29A,29Bからバンド係止部29を構成している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が横部29b,29eの下端29B,29Eに係止して先端方向へのバンド8の移動が防止される。
図7(c)では、縮径部6の上端から真横(図では左右)に延びる一対の横部30A,30Bからバンド係止部30を構成している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が横部30A,30Bの下端30a,30bに係止して先端方向へのバンド8の移動が防止される。
図7(d)では、縮径部6の上端から両横側(図では左右)に延びると共に先端側ほど下方に位置する一対の傾斜延出部31A,31Bからバンド係止部31を構成している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が、縮径部6の左側上端と左側の傾斜延出部31Aの右端との角部31a及び縮径部6の右側上端と右側の傾斜延出部31Bの左端との角部31bに係止して先端方向へのバンド8の移動が防止される。
【0037】
また、
図8(a)~(c)では、縮径部6の上端部に、
図8(a),(c)では向きの異なるコの字状の切欠き32K,34Kを形成し、
図8(b)では略コの字状(
図8(b)参照)の切欠き33Kを形成することによって、3つの切起片32A,33A,34Aを形成し、それら切起片32A,33A,34Aを作業者が図において上方に切起こした状態にすることによって、バンド係止部32,33,34を構成することができる。
図8(a)は、バンド8の巻回方向一端側(図では右側であるが、左側でもよい)に延びる切起片32Aである。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が、切起こした切起片32Aの下端32aに係止して先端方向(図では上方)へのバンド8の移動が防止される。
図8(b)は、下方に延びるとともに先端側ほどバンド8の巻回方向一端側(図では右側であるが、左側でもよい)に位置する傾斜切起片33Aである。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が、切起こした傾斜切起片33Aの基端部の裏面側部分33aに係止して先端側へのバンド8の移動が防止される。
図8(c)では、下方に延びる切起片34Aである。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が、切起こした切起片34Aの基端部の裏面側部分34aにバンド8の上端が係止して先端側(図では上方)へのバンド8の移動が防止される。
【0038】
また、
図9(a)~(c)では、縮径部6の上端部のそれぞれに孔35K,36K,37Kを形成し、それら孔35K,36K,37K内に舌片35A,36A,37Aを突出させてバンド係止部35,36,37を構成した場合を示している。
図9(a)では、舌片35Aが孔35Kのバンド8の巻回方向一端から他端側(図では左端から右端側であるが、逆でもよい)に延びる状態を示している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が、舌片35Aの下端35aに係止して先端方向(図では上方)へのバンド8の移動が防止される。
図9(b)では、舌片36Aが、孔36Kの上端の左右中央から下方に延びるとともに先端側ほど右側に傾く傾斜状態を示している。したがって、したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が、舌片36Aの基端部の裏面側部分36aにバンド8の上端が係止して先端方向へのバンド8の移動が防止される。
図9(c)では、舌片37Aが、孔37Kの上端のバンド8の巻回方向中央から下方(図では左右中央から下方)に延びている状態を示している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が、舌片37Aの基端部の裏面側部分37aにバンド8の上端が係止して先端側へのバンド8の移動が防止される。
【0039】
また、
図10(a)では、縮径部6の上端部のバンド8の巻回方向一端側(図では右側)に延びる上下一対の横延出部38A,38Bを備えてバンド係止部38を構成している。したがって、バンド8で縮径部6を縮径することによって、バンド8が縮径部6の表面を先端方向(幅方向W外向き)に向かって滑って移動し、移動したバンド8の上端が、上側の横延出部38Aの下端38aに係止して先端方向(図では上方)へのバンド8の移動が防止される。なお、上側の横延出部38Aの下端38aと下側の横延出部38Bの上端38bとの隙間をバンド8の幅(上下方向の寸法)と同一にする又はバンド8の幅よりも大きくしている。これにより、バンド8を上側の横延出部38Aの下端38aと下側の横延出部38Bの上端38bとの間に位置決めすることができ、バンド8の締め付け作業をし易いという利点がある。
【0040】
図10(b)では、縮径部6の基端から上端の間の途中部分からバンド8の巻回方向一端側(図では左側)に延びるバンド係止部39を設けている。したがって、縮径部6を縮径した状態で縮径部6の上下方向途中に設けたバンド係止部39の下端39aにバンド8の上端が係止して先端方向へのバンド8の移動が防止される。
【0041】
前記実施形態では、バンド係止部が配管類用カバー部材の幅方向で延びるものから構成したが、配管類用カバー部材の表面(外面)から厚み方向外側に突出する突出部から構成してもよい。この突出部は、配管類用カバー部材に一体形成する又は別体形成された凸部を接着又は両面テープで取り付けて構成してもよい。また、ピンの軸部を配管類用カバー部材に差し込んでピンの頭部を突出部として構成することもできる。
【0042】
また、前記実施形態では、排水管や排水集合管に配管類用カバー部材を巻き付けたが、配水管、ドレン管、給水給湯管等の配管類に配管類用カバー部材を巻き付けてもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、配管類用カバー部材を遮音性を有するものから構成したが、耐火性又は保温性(結露防止や温度低下防止)等を有するものから構成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…継手、1A…蓋、2,3…排水管、4…第1配管類用カバー部材、5…カバー本体、5A…開口、6…縮径部、6A…片部、6K…切欠き、7…バンド係止部、7D…段差部、8…バンド、8A…バンド部、8B…ロック部、9,10…配管類用カバー部材、11…集合排水管、11A…接続部、12…第2配管類用カバー部材、13…第3配管類用カバー部材、14…床スラブ、14A…貫通孔、15…第1立て管、16…枝管、17…第2立て管、18…カバー本体、18A,18B,18C…切り取り線、19…縮径部、19A…片部、19K…切欠き、20…バンド係止部、21…カバー本体、22…縮径部、22A…片部、22K…切欠き、23…バンド係止部、24…バンド係止部、24A…上方延出部、24B…横延出部、24b…下端、25…バンド係止部、25A…傾斜部、25B…横部、25C…下部、25b…下端、26…バンド係止部、26A…延出部、27…バンド係止部(傾斜延出部)、27A…角部、28…バンド係止部、28A…上方延出部、28B…横延出部、28b…下端、29…バンド係止部、29A,29B…延出部、29C,29E…下端、29a,29d…傾斜部、29b,29e…横部、29c,29f…下部、30…バンド係止部、30A,30B…横部、30a,30b…下端、31…バンド係止部、31A,31B…傾斜延出部、31a,31b…角部、32,33,34…バンド係止部、32A,33A,34A…切起片、33a…裏面側部分、34a…裏面側部分、35,36,37…バンド係止部、35A,36A,37A…舌片、35K,36K,37K…孔、35a…下端、36a,37a…裏面側部分、38…バンド係止部、38A,38B…横延出部、38a…下端、38b…上端、39…バンド係止部、39a…下端